JP5594613B2 - 単結晶ダイヤモンドおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ダイヤモンド、特に半導体デバイス用基板や光学部品に適した大型ダイヤモンド単結晶およびその製造方法を提供するものである。
ダイヤモンドは高硬度、高熱伝導率の他、高い光透過率、ワイドバンドギャップなどの多くの優れた性質を有することから、各種工具、光学部品、半導体、電子部品の材料として幅広く用いられており、今後さらに重要性が増すものと考えられる。ダイヤモンドは過去には天然に産出するものが工業用途に使用されたが、現在では工業用途はもっぱら人工合成されたものが中心である。ダイヤモンド単結晶は現在工業的には、数万気圧以上の圧力下で合成されている。このような高い圧力を発生する超高圧容器は非常に高価であり、大きさにも制限があるため、高温高圧法による大型の単結晶合成には限界がある。不純物として窒素(N)を含んだ黄色を呈するIb型のダイヤモンドについては1cmΦ級のものが高圧合成法により合成、販売されているがこの程度の大きさがほぼ限界と考えられている。また、不純物のない無色透明なIIa型のダイヤモンドについては、天然のものを除けば、さらに小さい数mmΦ程度以下のものに限られている。
一方高圧合成法と並んでダイヤモンドの合成法として確立されている方法として気相合成法がある。この方法によっては数cm〜10cmの比較的大面積のものが人工的に製造されているが、これらは通常は多結晶膜である。しかし、ダイヤモンドの用途の中でも特に平滑な面を必要とする超精密工具や光学部品、半導体などに用いられる場合は、単結晶ダイヤモンドを用いることが必要になる。そこで、従来から気相合成法によりエピタキシャル成長させて単結晶ダイヤモンドを得る方法が検討されている。
一般にエピタキシャル成長は、成長する物質を同種の基板上に成長させるホモエピタキシャル成長と、異種基板の上に成長させるヘテロエピタキシャル成長とが考えられる。ヘテロエピタキシャル成長では、これまで立方晶窒化硼素(cBN)、炭化珪素、珪素、ニッケル、コバルトなどが報告されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)が、ヘテロエピタキシャル成長により膜質のよい単結晶は得られていないため、ホモエピタキシャル成長による単結晶合成が有力と考えられる。ホモエピタキシャル成長では、高圧合成によるダイヤモンドIb基板の上に高純度のダイヤモンドを気相からエピタキシャル成長させることにより、高圧で得られるIIaダイヤモンドを上回る大きなIIa単結晶ダイヤモンドを得ることができる。また、同一の結晶方位に向けた複数のダイヤモンド基板、あるいはダイヤモンド粒を用い、この上に一体のダイヤモンドを成長させることにより小傾角粒界のみを持つダイヤモンドが得られることも報告されている(特許文献4参照)。
特開昭63−224225号公報 特開平2−233591号公報 特開平4−132687号公報 特開平3−75298号公報
これらの方法で得られる単結晶ダイヤモンドを半導体デバイス用基板として利用する場合、大面積でかつ歪が少なく、低コストであることが要請される。本発明者らは、(400)面のX線ロッキングカーブの半値幅が10〜80秒であって、半導体デバイス用基板としての優れた特性を有し、かつ低コストなダイヤモンド単結晶が得られることを見出しているが、さらなる品質向上、コスト低減を目指し、鋭意開発を継続してきた。
そこで本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、複屈折光を利用した評価方法において、互いに直交する直線偏光が試料を透過した際に生じる位相差がある一定の範囲内に入っていればそれが半導体基板としての特性に大きな影響を与えないことを見出して本発明を完成した。
本発明は以下に記載する通りのものである。
(1)種となる単結晶ダイヤモンド基板の側面を機械的に研磨する工程と、
側面を機械的に研磨された前記単結晶ダイヤモンド基板の側面及び1主面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去してから、気相合成法により新たに単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程と、
種となる単結晶ダイヤモンド基板と、気相合成法により新たに成長させた単結晶ダイヤモンド層を分離する工程を含み、
前記種となる単結晶ダイヤモンド基板が高圧合成法、あるいは気相合成法により成長されたものであることを特徴とする単結晶ダイヤモンドの製造方法。
(2)前記機械的に研磨する工程によって、単結晶ダイヤモンド基板の側面の傾きが主面に対して82度以上98度以下の範囲内となることを特徴とする()に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法。
(3)前記種となる単結晶ダイヤモンド基板の1主面及び/又は側面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去する工程において、エッチング除去される厚さが0.5μm以上400μm未満であることを特徴とする()または()に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法。
本発明によるダイヤモンドおよびその製造方法を用いることによって、ダイヤモンド単結晶を半導体デバイス用基板に適用することが可能となる。さらには、低歪が要求される光学部品応用にも新たな途を開くものである。
本発明者らは複屈折光を利用した評価方法において、互いに直交する直線偏光が試料を透過した際に生じる位相差がある一定の範囲内に入っていればそれが半導体基板としての特性に大きな影響を与えないことを見出した。その範囲とは、試料全体にわたり、厚さ100μmあたり位相差が最大50nm以下である。そして、好ましくは10nm以下、特に好ましくは3nm以下であれば、紫外光学用途などの光学部品に用いることが可能となる。
このようなダイヤモンドは、その厚さが、100μm以上1500μm以下であること、差し渡し径が4mm以上であること、室温における抵抗率が1012Ωcm以上であること、電子スピン共鳴によって得られるスピン密度が、g値が2.0020以上2.0028未満の範囲において、1×1017/cm3以下であること、不純物としての窒素原子の濃度が、0.01ppm〜100ppmであること、不純物としてのシリコン原子の濃度が、0.01ppm〜1000ppmであることが半導体デバイス用基板として用いる際に適している。ここで室温とは、20℃±15℃である。
このようなダイヤモンド基板は、種となる単結晶ダイヤモンド基板を用意する工程と、その1主面を、反応性イオンエッチング(Reactive ion etching:以下、RIE)によりエッチング除去してから、当該主面に気相合成法により新たに単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程と、種となる単結晶ダイヤモンド基板と気相合成法により新たに成長させた単結晶ダイヤモンド層を分離する工程を含むことを特徴とする製造方法により、得られることがわかった。さらに、多結晶成長前に、種となる単結晶ダイヤモンド基板の側面を機械的に研磨し、その後に主面及び/又は側面をエッチング除去する工程を含む製造方法によって得られることがわかった。
前述したように、(400)面のロッキングカーブが10〜80秒の範囲に入っていても、半導体デバイス用としての諸特性(絶縁抵抗、移動度など)にばらつきがある。この原因として、発明者らは結晶の歪に着目してさまざまな角度から鋭意検討を重ねた。その結果、複屈折光を利用した評価方法において、互いに直交する直線偏光が試料を透過した際に生じる位相差がある一定の範囲内に入っていれば歪が半導体基板としての特性に大きな影響を与えないことを見出した。すなわち、その範囲とは、厚さ100μmあたり位相差が最大50nm以下である。
まったく歪の無い光学的に完全対称な結晶においては、この位相差は0である。しかしながら、実在する結晶は大なり小なり歪を持っていることが多い。透明結晶においてはこの位相差を評価することで結晶中の歪を定量化することができる。(400)面のロッキングカーブが同じく10〜80秒の範囲に入っていても、この位相差に差が生じることがわかった。その原因として、われわれはまず、結晶中に取り込まれる不純物に着目した。すなわち、窒素およびシリコンが、それぞれ0.01〜100ppm、0.01〜1000ppmの範囲に入っている場合に、上記位相差が実現できることがわかった。さらに、電子スピン共鳴によって得られるスピン密度が、g値が2.0020以上2.0028未満の範囲において、1×1017/cm3以下であること、種基板として、天然の単結晶基板を用いるのではなく、高圧合成法または気相合成法により成長させた種結晶を用いること、その側面を機械的に研磨し、主面及び側面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去してから、当該主面に気相合成法により新たに単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程を含むことによって、光学的な歪を、結晶全体にわたって低減させることを見出した。
半導体デバイス用基板としてこの発明を用いる場合、その厚さは100μm以上1500μm以下が望ましい。差し渡し径は大きいほど良いが、4mm以上あればデバイス開発工程には十分なサイズである。
この基板の製造方法として、種基板を気相合成法によることはもちろんのこと、波長360nm以下のレーザー光線によるスライス加工により種基板と新たに成長させた単結晶層を分離する工程を含むことが望ましい。これにより、種基板を研磨等で削り落とす方法はもちろん、波長360nmを越えるレーザーによるスライスと比べても、加工ロスを抑制することができるので、低コスト化に大きく貢献する。
種基板としては、気相合成法によるものを使用することが好ましい。高圧合成法による種基板を利用するのに比べて、歪を抑制できることがわかった。これは、高圧合成法によるものと気相合成法による単結晶では、欠陥の導入のされ方や不純物の量、分布に差があるために、同じ単結晶とはいえ両者の間で微妙に熱膨張係数などの特性に違いが存在し、その結果歪が蓄積する。気相合成法によるものを種基板として用いれば、その種基板中に前記歪が残っていても、新たに成長させる単結晶層中には歪が導入されないことがわかった。
さらに、種となる単結晶ダイヤモンド基板の側面を機械的に研磨し、その後に主面、側面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去してから、気相合成法により新たに単結晶ダイヤモンド層を成長させることが、歪み低減に大きな効果を有することがわかった。
この研磨後の側面は、主面との傾きが82度以上98度以下の範囲内にあることが望ましい。82度以上90度未満の傾き(側面が上向きに傾いた状態)では、単結晶成長時に横成長速度が増大し、大型単結晶を得やすくなる。逆に傾き角が90度以上になれば(側面が垂直ないし下向きに傾いた状態)では、横成長速度は低下するものの、低歪み成長に効果があり、精密光学部品等の応用により好適となる。
この研磨等の主面、側面の面荒さは、Rmaxで0.1μm以下、Raで10nm以下にあることが望ましい。この面荒さは、原子間力顕微鏡で容易に測定することができる。また、研磨時に基板角部分等に欠けが生じてもよいが、そのサイズは50μm以下であることが望ましい。これらの要件を満たすことにより、単結晶成長時に異常成長を防止することができ、低歪み成長を実現できる。
さらに、機械的に研磨済みの種基板の表面、及び主面をRIEにより0.5μm以上400μm未満エッチング除去してから単結晶成長させることが望ましい。ダイヤモンド単結晶の気相成長時における歪み生成を抑制するためには、加工変質層の存在しない種基板を用意すればよいが、種基板表面の加工変質層はその生成経緯に鑑み、機械的な研磨加工により取り除くことが困難である。ダイヤモンドの非機械的な加工プロセスは前記RIEをはじめ、マイクロ波プラズマエッチングやECRプラズマエッチング、イオンビームエッチングなど様々なプロセスが公知となっている。これら非機械的な加工プロセスにおいて、RIE以外の方法では、種基板の加工速度や加工面積、さらに加工後の表面荒れやエッチング時のダメージ層の生成など、全てを同時に解決するのが困難である。RIEでは高速かつ平坦、さらにダメージなく種基板の加工変質層のみを除去できる。その後、単結晶を気相成長することにより、歪みがなく高品質で、大型のダイヤモンド単結晶基板を得ることができる。
本発明のRIEは公知の方法で実施できる。その方式には大別して、真空容器中に対向して配置した電極に高周波電源を接続する容量結合型プラズマ(CCP)を利用する方式と、真空容器を取り巻くように配置したコイルに高周波電源を接続する誘導結合型プラズマ(ICP)を利用する方式が存在し、両方式を組み合わせた方式も存在するが、本発明にはいずれの方式も利用できる。
エッチングガスは酸素とフッ化炭素の混合ガスを用い、エッチング圧力は1.33Pa以上13.3Pa以下が望ましい。前記ガス種、圧力を用いることで、高速、かつ平坦に加工変質層のみを除去することができる。
本発明における種基板主面、側面のエッチング厚さは0.5μm以上400μm未満であればよいが、望ましくは5μm以上50μm未満、より好ましくは10μm以上30μm未満が適している。エッチング厚さは薄いほど加工時間が短くて済み、表面の平坦性が維持される利点がある。種基板の加工変質層の厚みは、研磨の種類や強度に依存する。その大部分は0.5μm未満であるが、局所的にはまれに10μm程度の深さまで到達する場合があり、この部分から成長した領域で半導体としての特性が劣化することがある。逆にエッチング深さが厚いとエッチング時間がかかるだけでなく、エッチングによる表面荒れが拡大する場合がある。この後の単結晶成長では、表面荒れに起因した結晶性の悪化が認められる場合がある。
本発明における種基板の側面は同様のRIEで50nm以上、より好ましくは0.15μm以上エッチング除去されることが望ましく、特に側面も表面同様に機械的に研磨されている場合は0.5μm以上エッチング除去されることが望ましい。これにより、特に単結晶の厚膜成長時に横方向への拡大成長が起こった場合、側面から横成長した領域の歪みを低減することができる。側面のRIEの方法としては、種基板表面のRIEを行う際に横方向からも同時にエッチングする方法があるが、基板を立てて配置して側面のみをエッチングする方が、エッチング厚を独立して制御できるため効率的である。
側面と主面のエッチングは、側面エッチングを先に行ったほうが好ましい。すなわち、側面エッチングは基板を立てて配置し、主面をカバーする必要があるが、カバー時等に主面にダメージが加わることがある。このダメージは、本発明による主面のエッチングによって除去が可能である。なお、使用する種基板の主面は、(100)もしくは概ね(100)であることが望ましい。種基板の側面の面方位は概ね(100)であれば、横成長速度が大きくなり、大型単結晶が得やすくなる。
(比較例)
大きさ4.0×4.0×0.4mmの高圧合成単結晶Ib基板を種基板として用いて、気相合成法によりホモエピタキシャル成長を行った。主面は(100)である(<110>方向に0.9度オフ)。成長条件は、メタン濃度10%(水素希釈)、圧力120Torr、基材温度990℃であった。成長時間は100時間とした。成長後に、YAG基本波のレーザーを側面から入射し、種基板と気相合成単結晶層を分離した。気相合成単結晶層は、成長面、基板面をともに鏡面研磨し、外周をYAG基本波レーザーによる整形切断加工を施し、その後、重クロム酸を用いた洗浄を行い、4.7×4.7×0.35mmの試料Aを得た(主面は(100)、<110>方向に0.8度オフ)。
参考例1)
上記で得られた試料A(気相合成種基板)を用いて、上記と同じ条件でさらに成長を続け、新たに気相合成単結晶層を700μm得た。なお、この成長の前に、新たに単結晶層を成長させる主面を、公知の高周波電極間放電型(CCP)のRIEによりエッチング除去している。エッチング条件を以下に示す。
高周波周波数:13.56MHz
高周波電力:250W
チャンバ内圧力:8Pa
2ガス流量:8sccm
CF4ガス流量:12sccm
上記の条件により7時間エッチングしたところ、種基板の主面は18μmエッチング除去され、エッチング後の表面粗さRmaxは0.1μmでエッチング前と変化がなかった。
これを、YAGの3倍高調波レーザー(波長355nm)を用いて、種基板を分離した。新たに成長させた気相合成単結晶層は、成長面、基板面ともに鏡面研磨し、同じくレーザーYAG基本波により切断整形加工を行った。そして、5.4×5.5×0.3mmの試料Bを得た。
この試料A,Bの、(400)面のX線ロッキングカーブの半値幅、位相差、抵抗率、スピン密度、窒素不純物、シリコン不純物の濃度を測定した。すなわち、下記の通りの評価方法である。
1)X線ロッキングカーブの半値幅はCuKα1のX線を用いて、第一結晶として高圧合成単結晶ダイヤモンド(400)面平行配置を利用して2結晶法により評価した。
2)位相差は、セナルモン法で測定した。すなわち、1/4波長板と偏光子を組み合わせて、試料透過後の楕円偏光を直線偏光に変換し、位相差を求める。測定光源には、ナトリウムランプ(波長589nm)を使用した。得られた位相差を試料厚さ100μm厚あたりに換算し、評価した。測定は、偏光顕微鏡を用いて行い、試料全体にわたって観察してその最大値を求めた。
3)抵抗率は、試料の両面に電極金属を形成し、所定の電界を印加して、そのとき流れる電流値を測定することによって求めることができる。測定は室温20℃にて実施した。
4)スピン密度は、ESR法によって求めた。測定は室温20℃にて実施した。中心磁場3370G、磁場掃印幅100G、マイクロ波は9.46GHz、出力0.01〜0.16mWとした。測定はすべて、外部磁場を単結晶の<100>軸方向にかけて実施した。
得られたスペクトルから、g値が2.0020以上2.0028未満の範囲におけるスピン密度を算出した。
5)窒素不純物濃度、シリコン不純物濃度は、SIMS分析によって評価した。SIMS分析は、一次イオンとしてCsを用いて、加速電圧15kV、検出領域35μmΦとして、試料最表面から0.5μmスパッタした場所での濃度を求めた。濃度定量は、別途用意した標準試料(イオン注入により作製した不純物濃度既知のダイヤモンド単結晶)との比較により行った。
その結果は、表1の通りであった。
試料A、Bともにロッキングカーブの半値幅は20秒強と優れているが、位相差は場所によって試料Aのばらつきが大きい。このために、抵抗率が11乗台に低下している。このような試料では、高耐圧が必要な電子デバイス用途ではデバイス特性に影響を与えることが懸念される。これは、種基板が高圧合成単結晶ダイヤモンドであること、成長前のエッチング処理を実施していないことなどの理由により、試料の場所による歪量のばらつきがあるためである。
試料Bでは、十分な耐圧を有し、高品質電子デバイス用基板として利用できると期待される。
(実施例
試料Aと同様の条件で作製した試料A’を基板とし、試料Bと同様の条件で試料Cを作製した。ただし、この成長の前に、試料A’の全側面をまず、試料を立てた状態でエッチング処理し、次に新たに単結晶層を成長させる主面をエッチング処理した。エッチング条件は参考例1と同様である。4つの側面をそれぞれ5時間、主面は9時間エッチングすることにより、側面は10〜15μm、主面は24μmエッチングされた。
この試料Cについて、参考例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
ロッキングカーブの半値幅は、試料Bよりもやや悪くなっているが、位相差の最大値は25nmと良好である。これは、側面のエッチング処理により、種基板の側面近傍を起点とする歪が低減されているためであり、電子デバイス用基板として適用した際に、試料Bと同様、高品質な基板として利用できると期待される。試料B、Cともに、電子デバイス用基板としてのみならず、光学部品としても優れた特性を発揮するものと考えられる。
Figure 0005594613
(実施例
大きさ4.0×4.0×0.4mmの高圧合成単結晶Ib基板を種基板として6枚準備した。主面及び側面の面方位は(100)で、側面を機械的に研磨する際、基板ごとに主面との角度を変化させた。主面及び側面の研磨は、公転・乾式の研磨装置を用いて行った。研磨荷重は1kgとした。砥石の周速は30m/sで、研磨時間は主面が10分、側面はそれぞれ5分であった。主面、側面の研磨後面荒さはRmax=0.1μm、Ra=2.
5nmであった。基板側面の一部には研磨時に生じた欠けが存在していたが、そのサイズは1μm以下であった。
これらの基板に対して、先の参考例1と同様の条件でまず種基板側面をエッチングし、その後主面をエッチングした。エッチング量は基板ごとに時間を調節して変化させた。その後、試料Aと同様の条件で気相合成単結晶を成長させた。さらにそれぞれの試料について試料Aの作製時と同様の手順で、レーザーを用いて気相合成単結晶層を取り出し、両面研磨を行ってそれぞれの結晶性を計測した。
こうして得られた気相合成単結晶試料D〜Iについて、参考例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
Figure 0005594613
表2における試料D〜Iは主面と側面の角度を変化させた際の比較である。試料Dでは主面と側面は互いに垂直に研磨された結果、得られた気相合成単結晶の位相差は5nmと試料Cよりも小さな値となった。試料Eは種基板の主面と側面の角度が86度であり、得られた気相合成単結晶の横成長速度は試料Cより速かったものの、位相差は試料Aよりも悪化した。試料Fは種基板の主面と側面の角度が94度であり、得られた気相合成単結晶の位相差は1nmと最も小さな値となった。
試料G及びHは主面と側面の角度がより小さく、又は大きくなった比較例である。いずれも、側面の面方位が(100)から大きくずれた結果、横方向成長領域の結晶性が悪化し、位相差が大きくなった。試料Iは主面と側面のエッチング量を少なくした比較例である。エッチングが不十分なため、その後の気相合成時に単結晶層の結晶性が悪化した結果、位相差が大きくなった。

Claims (3)

  1. 種となる単結晶ダイヤモンド基板の側面を機械的に研磨する工程と、
    側面を機械的に研磨された前記単結晶ダイヤモンド基板の側面及び1主面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去してから、気相合成法により新たに単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程と、
    種となる単結晶ダイヤモンド基板と、気相合成法により新たに成長させた単結晶ダイヤモンド層を分離する工程を含み、
    前記種となる単結晶ダイヤモンド基板が高圧合成法、あるいは気相合成法により成長されたものであることを特徴とする単結晶ダイヤモンドの製造方法。
  2. 前記機械的に研磨する工程によって、単結晶ダイヤモンド基板の側面の傾きが主面に対して82度以上98度以下の範囲内となることを特徴とする請求項に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法。
  3. 前記種となる単結晶ダイヤモンド基板の1主面及び側面を反応性イオンエッチングによりエッチング除去する工程において、エッチング除去される厚さが0.5μm以上400μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法。
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