JP5593819B2 - アクリル系樹脂の熱分解方法 - Google Patents
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Description
樹脂の熱分解方法の一つとして、流動層を利用する方法がある。該方法は、分解槽内にて、樹脂の熱分解温度以上の温度に加熱した高温の流動媒体(砂等の固体粒子)を流動させ、そこに樹脂を投入するもので、樹脂の熱分解に必要な熱量が流動媒体の顕熱により供給される。そのため、分解槽の壁面だけで加熱する場合に比べて効率よく熱分解を実施でき、分解槽のスケールアップが容易であること、加熱した流動媒体を分解槽に連続的に供給するとともに該分解槽から流動媒体を連続的に排出することで連続的な熱分解処理が可能であること、樹脂の熱分解残渣を流動媒体に付着させて分解槽から排出できること、排出した流動媒体を加熱等により再生して再利用できること、等の利点があり、工業的に有利な方法である。たとえば特許文献1、2には、分解槽に加熱した流動媒体、流動化ガスおよび樹脂をそれぞれ連続的に供給し、かつ該分解槽から流動媒体を連続的に排出し、その排出した流動媒体を加熱装置に導入して加熱した後、再度分解槽に供給する方法が記載されている。このような方法において、分解槽に樹脂を連続的に供給する手段としては、定量供給性に優れることから、スクリューフィーダーが好ましく使用されている。
特許文献3〜5では、根元部分よりも先端部のスクリュー内径が細くなるテーパースクリューフィーダーを使用する方法が開示されている。該方法では、スクリューフィーダーのスクリュー先端部の樹脂充満率を高くすることで、スクリューフィーダーのスクリュー根元部分に流動化ガスや、熱分解ガスが流れないようにマテリアルシールしている。
特許文献6では、スクリューフィーダー外筒を加熱し、樹脂を溶融することでマテリアルシールしつつ、原料を供給する方法が開示されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、流動層による不活性ガス雰囲気下でのアクリル系樹脂の熱分解を長時間連続して安定に実施できる熱分解方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、下記工程(1)〜(3)を含む熱分解方法であって、該工程(2)におけるアクリル系樹脂の供給を、下記条件(a)および(b)を満たすように行う熱分解方法である。
工程(1):流動媒体が充填された分解槽に、該分解槽の下部から不活性ガスを含む流動化ガスを連続的に供給して該流動媒体を流動させ、流動層を形成する工程。
工程(2):前記流動層に、アクリル系樹脂を、スクリュー先端部が前記分解槽に接続されたスクリューフィーダーにより連続的に供給して熱分解させ、該熱分解により生じるガス状の分解生成物を冷却し、液体として回収する工程。
工程(3):前記分解槽内の流動媒体を、前記スクリューフィーダーの接続位置の高さよりも下側の位置から連続的に排出し、加熱装置に導入し、加熱した後、前記分解槽に連続的に供給する工程。
条件(a):前記スクリューフィーダーのスクリュー先端部の、前記分解槽の内壁と接する位置での樹脂充填率が51%以下である。
条件(b):前記スクリューフィーダーのスクリュー先端部の、前記分解槽の内壁と接する位置での樹脂供給線速度が2.0m/分以上である。
なお、特許文献1、2においては、スクリューフィーダーにより分解槽内の流動媒体中に樹脂を供給しているが、スクリューフィーダーのスクリュー先端部の、分解槽の内壁と接する位置での樹脂充填率と樹脂供給線速度に関する知見は開示されていない。
以下、本発明の熱分解方法について、その実施形態例を示して説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の熱分解方法に用いられる熱分解装置の一実施形態(以下、第一実施形態ということがある。)を示す概略図である。
本実施形態の熱分解装置100は、樹脂の熱分解を行う分解槽1と、分解槽1に不活性ガスを含む流動化ガスを供給する流動化ガス供給流路2と、分解槽1に樹脂を供給する樹脂供給スクリューフィーダー3と、分解槽1に流動媒体を供給する流動媒体供給スクリューフィーダー4と、分解槽1の下方に配置された、分解槽1内の流動媒体を排出する流動媒体排出スクリューフィーダー5と、流動媒体排出スクリューフィーダー5の出口5aから排出される流動媒体を貯留するホッパー6と、ホッパー6から排出される流動媒体を加熱する加熱装置7と、加熱装置7にて加熱された流動媒体を流動媒体供給スクリューフィーダー4に供給する流動媒体供給流路8と、分解槽1内のガスを排出するガス排出流路9と、ガス排出流路9の下流に設置され、分解槽1から排出されたガスを冷却し、凝縮液を回収する冷却装置10と、冷却装置10から排出されたガス中のミストを回収するミスト回収装置11と、を具備する。
流動化ガス供給流路2にはブロワー12が設置されている。
樹脂供給スクリューフィーダー3は、スクリュー部3aと、スクリュー部3aの上流側上方に設置されたシュート部3bとから構成され、スクリュー部3aの出口が分解槽1に接続されている。また、シュート部3bの入口にはロータリーバルブ(定量供給装置)13が設置されている。
分散装置1bとしては、多孔板、スリット板、メッシュ板、焼結フィルタ、ノズル、キャップ付きノズル等が挙げられる。
ここで、静置状態とは、樹脂を供給する前の状態であって、流動化ガスの供給および撹拌装置による撹拌を行っていない状態をいう。
流動層高さは、流動媒体層1cの最下端から流動媒体層1cの最上面の高さまでの距離を意味する。「流動媒体層1cの最下端」とは、流動媒体層1cの最下面が図1に示すように平坦である場合には該最下面の位置であり、流動媒体層1cの最下面が、頂点が下側にある円錐状である場合には該円錐の頂点相当位置である。
分解槽1の代表長さは、分解槽1の水平断面形状が円の場合にはその円の直径とし、分解槽1の水平断面形状が正方形の場合にはその一辺の長さとし、分解槽1の水平断面形状が長方形の場合には短辺と長辺の和の2分の1の長さとする。それ以外の断面形状の場合にはまず断面積を算出し、その断面積と同じ面積を有する円の直径とする。
静置状態の流動層高さ/分解槽1の代表長さの比を0.5以上とすることにより、流動媒体の流動の斑が小さくなる。また。静置状態の流動層高さ/分解槽の代表長さの比を3.5以下とすることにより、流動層の圧力損失が小さくなり、流動化ガスの供給に必要な動力を小さくすることができる。
静置状態での空間部の長さは、静置状態での空間部の長さ/分解槽1の代表長さの比が0.5〜5となる範囲内であることが好ましい。
ここで空間部の長さとは、静置状態での流動媒体層1cの最上面の高さから分解槽1の最上面の高さまでの距離をいう。
分解槽の代表長さは、上記の通りである。
静置状態での空間部の長さ/分解槽1の代表長さの比を0.5以上とすることにより、分解槽1から排出されたガス(流動化ガスと樹脂の分解生成物との混合ガス)を冷却装置10に送る際、該ガスに同伴して排出される流動媒体の量を減少させることができる。また、静置状態での空間部の長さ/分解槽1の代表長さの比を5以下とすることにより、分解槽1の全高を低くすることができ、分解槽1の設備コストを低減できる。
分解槽1の全高は、分解槽1の最下端から分解槽1の最上面の高さまでの距離を意味する。「分解槽1の最下端」とは、分解槽1の最下面が図1に示すように平坦である場合には該最下面の位置であり、分解槽1の最下面が、頂点が下側にある円錐状である場合には該円錐の頂点相当位置である。
分解槽1の全高/分解槽1の代表長さの比を1以上とすることにより、流動媒体の流動の斑が小さくなり、また充分な空間部を確保しやすい。分解槽1の全高/分解槽の代表長さの比を8.5以下とすることにより、流動層の圧力損失を小さくでき、また分解槽1の全高が低くなり、分解槽1の設備コストを低減できる。
撹拌機の撹拌軸の数に制限はなく、1本であっても良いし、2本以上であっても良い。撹拌軸の本数が2本以上の場合、分解槽内の水平方向、及び鉛直方向の流動がさらに向上する。
撹拌機の攪拌翼の形状は特に限定されず、パドル翼、アンカー翼、リボン翼、ヘリカル翼、プロペラ翼、タービン翼、等が例示される。
なお、撹拌装置は必須ではなく、分散装置1bを介して供給される流動化ガスのみによって流動媒体層1cが充分に流動する場合は、必ずしも撹拌装置を設ける必要はない。
ここで、分解槽1の「下部」とは、分解槽1の最下端から樹脂供給スクリューフィーダー3の接続位置(樹脂の供給位置)の高さまでの間を意味する。「分解槽1の最下端」とは、上述したとおり、分解槽1の最下面が図1に示すように平坦である場合には該最下面の位置であり、分解槽1の最下面が、頂点が下側にある円錐状である場合には該円錐の頂点相当位置である。
流動化ガス供給流路2がこの位置に接続されていることにより、流動化ガス供給流路2を通じて流動化ガスを分解槽1に供給した際に、流動媒体層1cを流動させやすく、また、該層内に供給された樹脂を均一に分散させることができるようになっている。
ここで、分解槽1の「上部」とは、流動媒体層1cの最上面から分解槽1の最上端までの間を意味する。「分解槽1の最上端」とは、分解槽1の最上面が図1に示すように平坦である場合には該最上面の位置であり、分解槽1の最上面が、頂点が上側にある円錐状の場合には該円錐の頂点相当位置である。
なお、ここでは本体1a上面にガス排出流路9を接続しているが本発明はこれに限定されず、たとえば分解槽1の上部の側面に接続してもよい。
ここで、分解槽1の「中間部」とは、静置状態における流動媒体層1cの最下端から最上面までの間を意味する。「流動媒体層1cの最下端」とは、上述したとおり、流動媒体層1cの最下面が図1に示すように平坦である場合には該最下面の位置であり、流動媒体層1cの最下面が、頂点が下側にある円錐状である場合には該円錐の頂点相当位置である。
樹脂供給スクリューフィーダー3の接続位置、つまり樹脂の供給位置は、必ずしも流動媒体層1cの下方には限定されないが、流動媒体層1cの下方から樹脂、流動媒体を供給することは、樹脂の熱分解効率、樹脂と流動媒体の流動層での分散性等の点で有利である。
流動媒体供給スクリューフィーダー4の接続位置、つまり流動媒体の供給位置は、必ずしも流動媒体層1cの下方には限定されない。分解槽1内にて、流動媒体は、流動化ガスの供給、またはそれに加えて撹拌装置での撹拌により流動化されているので、流動媒体はどこから供給しても分解槽1内で均一に流動し得る。
樹脂供給スクリューフィーダー3、流動媒体供給スクリューフィーダー4として用いられるスクリューフィーダーは、特に限定されず、粉体の供給、排出等に使用されている公知のスクリューフィーダーを使用できる。定量供給の観点から、一軸スクリューフィーダーまたは二軸スクリューフィーダーが好ましい。一軸スクリューフィーダーの方が、装置コストを低減できる点で好ましい。
樹脂供給スクリューフィーダー3は、スクリューを収納するスクリュー部3aと、スクリュー部3aの上流側上方に設置されたシュート部3bとから構成される。
スクリュー部3aは、シリンダー31を備え、シリンダー31内には、スクリュー軸32とスクリュー羽根33とからなるスクリュー34が収納されている。
スクリュー羽根33は、スクリュー根元部のピッチs1よりも、スクリュー先端部のピッチs2が広くなるように、スクリュー軸32に取り付けられている。
シュート部3bの入口にはロータリーバルブ(定量供給装置)13が設置されている。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、スクリュー34の先端の位置が、分解槽1の内壁表面の位置と一致していなくてもよい。ただし、スクリュー34の先端の位置が、分解槽1の内壁表面1fの位置を基準として、水平方向に±0.05×dSの範囲とすることが好ましい。dSは、スクリュー34の径(スクリュー軸32の中心からスクリュー羽根33の先端までの距離を半径とする円の直径)を示す。該位置が+0.05×dSを超える場合は、スクリュー34の先端が、流動層内に存在することになり、流動媒体によって磨耗しやすくなる。該位置が−0.05×dS未満である場合は、分解槽1内の流動媒体がスクリューフィーダー側に入り込みやすくなる。この場合、スクリュー先端部の温度が高くなるため、スクリュー先端で樹脂が溶融しやすくなり、樹脂供給に必要なスクリューフィーダー動力が大きくなるおそれがある。なお、図2の右方向を+方向、左方向を−方向とする。
なお、ここでは流動媒体層1cの最下層に流動媒体排出流路1dを接続しているが本発明はこれに限定されず、たとえば分解槽1の下部の側面に接続してもよい。ただしこの場合においても、流動媒体排出流路1dの接続位置は、樹脂供給スクリューフィーダー3の接続位置(樹脂の供給位置)の高さよりも下側であることが好ましい。
樹脂の供給位置の高さよりも下側から排出される流動媒体中には樹脂は殆ど含まれず、流動媒体の流動性が確保でき、また、冷却装置10で回収される、アクリル系樹脂の原料であるモノマーの量が増加する。一方、流動媒体を樹脂の供給位置と同じ高さ、あるいはそれよりも上側から排出すると、排出される流動媒体中に樹脂が多く混合されているので、その流動性が悪く、流動媒体の排出性に問題がある。また、回収されるモノマーの量が低減する。
流動媒体排出スクリューフィーダー5として用いられるスクリューフィーダーは、特に限定されず、粉体の供給、排出等に使用されている公知のスクリューフィーダーを使用できる。定量供給の観点から、一軸スクリューフィーダーまたは二軸スクリューフィーダーが好ましい。
冷却装置10としては、気体状の熱分解生成物を冷却し、液体として凝縮させ得るものであれば特に制限はなく、たとえば管式熱交換器、プレート式熱交換器、スクラバー、スプレー塔、等が挙げられる。
冷却装置10の下には容器が設置され、生じた凝縮液(分解生成物を含む液体)を収容できるようになっている。該容器の大きさ、形状には制限はない。
ミスト回収装置11としては、サイクロン式ミスト回収装置、メッシュ式ミスト回収装置、等が例示される。
ミスト回収装置11の下には容器が設置され、回収したミスト(分解生成物を含む液体)を収容できるようになっている。該容器の大きさ、形状には制限はない。
そのため、冷却装置10やミスト回収装置11の下流に、それらを除去するための精製装置(図示せず)を設置することが好ましい。
精製装置としては、除去対象に応じて公知の精製装置を利用できる。具体的には、たとえばフィルタ、蒸留塔が挙げられ、複数の精製装置を併用してもよい。
工程(1’):流動媒体が充填されて流動媒体層1cが形成された分解槽1に、流動化ガス供給流路2を介して流動化ガスを連続的に供給して該流動媒体を流動させ、流動層を形成する工程。
工程(2’):該流動媒体層1cに、樹脂を、樹脂供給スクリューフィーダー3により連続的に供給して熱分解させ、該熱分解により生じるガス状の分解生成物を、ガス排出流路9を介して冷却装置5に送り、冷却して液体として回収する工程。
工程(3’):分解槽1内の流動媒体を、流動媒体排出流路1dおよび流動媒体排出スクリューフィーダー5を介して連続的に排出し、ホッパー6に貯留した後、加熱装置7に導入し、加熱した後、流動媒体供給流路8を介して流動媒体供給スクリューフィーダー4に送り、該流動媒体供給スクリューフィーダー4から再度分解槽1に連続的に供給する。
樹脂の熱分解によって生成したガス状の分解生成物は、流動化ガスとともに分解槽1から排出され、ガス排出流路9を経由して冷却装置5に送られる。分解槽1から冷却装置5送られたガス(流動化ガスと、熱分解により生じたガス状の分解生成物との混合ガス)を冷却すると、それらのガス中に含まれるガス状の分解生成物が凝縮し、液体として回収される。
流動媒体としては、たとえば、砂、セラミックス粒子、金属粒子、金属水酸化物粒子、金属ハロゲン化物粒子等が挙げられる。特に、低価格で、取り扱いが容易で、熱分解による副反応が起こりにくく、プロセス全体の収率低下が起こりにくいことから、砂が好ましい。該砂の種類に特に制限はなく、川砂、山砂、海砂等が使用できる。その中でも流動性の良い点から、川砂が好ましい。
流動媒体の大きさは特に制限はないが、その取り扱い性の観点から、平均粒径が0.01mm〜1mmが好ましく、0.05mm〜0.8mmがより好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン等が挙げられる。これらの中でも、低価格、取り扱い容易、熱分解による副反応が起こりにくく、プロセス全体の収率低下が起こりにくい等の理由から、窒素が好ましい。
流動化ガスは、本発明の効果を損なわない範囲で、不活性ガス以外のガスを含有してもよい。たとえば後述する工程(2’)で冷却装置10から排出される混合ガスや、冷却装置10の下流に任意に設けられるミスト回収装置11から排出される混合ガスを再利用してもよい。
流動化ガスの供給速度(kg/時間)は、流動媒体層1cの流動化が可能な範囲内であればよい。
流動化ガスの供給速度の計測及び制御は、渦式流量計等のガス用流量制御計により行うことができる。
分解槽1に供給する流動化ガスの温度は、工程(2’)で分解槽1に供給する樹脂の温度以上、500℃以下が好ましい。流動化ガスの温度が樹脂の温度以上であれば、流動媒体層1cの過度の温度低下が抑えられる。流動化ガスの温度が500℃以下であれば、回収される液体の品質が向上する。
工程(2’)では、まず、工程(1’)で流動化させた流動媒体層1cに、樹脂を、樹脂供給スクリューフィーダー3により連続的に供給する。
本発明において、該樹脂としてはアクリル系樹脂が用いられる。
「アクリル系樹脂」は、モノマー単位(重合体を構成する繰り返し単位)として、(メタ)アクリル酸エステル単位を有する重合体である。ここで「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」のことをいう。(メタ)アクリル酸エステルは、一般式:CH2=C(R1)−CO−O−R2[式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は有機基である。]で表される化合物である。
R1としては、メチル基が好ましい。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エステルが好ましい。
R2の有機基としては、たとえば、アルキル基等が挙げられる。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルとして具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。
アクリル系樹脂は、少なくともメタクリル酸メチル単位を含むことが好ましい。特に、モノマーを高収率で回収する点から、全構成単位100質量%中、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含んでいることが好ましく、メタクリル酸メチル単位を70質量%以上含んでいることがより好ましい。
該他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なものであればよく、たとえば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、多官能モノマー等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、たとえば、多官能(メタ)アクリル酸エステルが例示される。多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえばエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、等が挙げられる。
多官能モノマー単位を含むアクリル系樹脂として、架橋したアクリル系樹脂が挙げられる。
アクリル系樹脂は、他の樹脂と混合されていてもよい。
アクリル系樹脂は、充填剤以外の添加剤を含んでいてもよい。該添加剤としては、たとえば顔料、染料、補強剤、酸化防止剤、安定剤等が挙げられる。
条件(a):樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の、分解槽1の内壁と接する位置での樹脂充填率が51%以下である。該樹脂充填率は、50%以下が好ましい。
条件(b):樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の、分解槽1の内壁と接する位置での樹脂供給線速度が2.0m/分以上である。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部は、分解槽1の内壁と接する位置では温度が高くなる。この熱の影響により、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー部3a内を移動する樹脂の線速度が、分解槽1の内壁と接する位置で、その上流側よりも遅くなり、渋滞が発生しやすい。しかし本発明においては、条件(a)および(b)を満たすことで、該渋滞による悪影響、すなわちスクリュートルクの上昇を低減できる。
前記樹脂充填率は、上記効果の点では51%以下であればよい。下限は特に限定されないが、低すぎると樹脂供給量に対するスクリューサイズが大きくなりすぎることを考慮すると、30%以上が好ましい。
前記樹脂供給線速度は、アクリル系樹脂の流動層内への分散の点で、2.0m/分以上が好ましく、3.0m/分以上がより好ましい。またスクリューの軸ぶれや、スクリューやケーシングの磨耗などを考慮すると、10m/分以下が好ましく、5.0m/分以下がより好ましい。
「分解槽1の内壁と接する位置」とは、スクリュー部3aの水平方向において、分解槽1の内壁表面1fの位置(分解槽1内の流動媒体が分解槽1の内壁と接する位置)と一致する位置である。
式中、Q1は、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー根元部における1ピッチあたりの体積[m3]であり、Q2は、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部における1ピッチあたりの体積[m3]であり、それぞれ下記数式により求められる。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の、分解槽1の内壁と接する位置での樹脂供給線速度は、式:s2×n2により求められる。
方法1:樹脂供給スクリューフィーダー3のみを制御する方法。
方法2:樹脂供給スクリューフィーダー3の上流にロータリーバルブ13のような定量供給装置を設置し、樹脂供給スクリューフィーダー3および定量供給装置の両方を制御する方法である。
方法1の場合、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率に関しては、スクリュー先端部のスクリューピッチとスクリュー先端部のスクリューピッチとの比を調節すればよい。たとえばスクリュー先端部のスクリューピッチを、図2に示すようにスクリュー根元部のスクリューピッチよりも広くすると、スクリュー先端部の樹脂充填率が低下する。また、スクリューフィーダーのスクリュー先端部の樹脂供給線速度に関しては、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー34の回転数により調節でき、たとえば回転数を上げるほど、樹脂供給線速度が速くなる。
方法2の場合、定量供給装置により樹脂供給スクリューフィーダー3への樹脂供給量を調節する(たとえばロータリーバルブ13の回転数を調節する)ことで、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率を調節できる。また、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂供給線速度はスクリュー34の回転数で調節できる。具体的には、ロータリーバルブ13、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー34それぞれの回転数を、定量供給装置の送り能力が樹脂供給スクリューの送り能力の50%以下となるように設定すればよい。方法2は、樹脂充填率および樹脂供給線速度を別々に調節できるため好ましい。
樹脂を供給する際(熱分解を行う際)の流動媒体層1cの温度(流動層の温度)は、350℃以上が好ましく、350〜500℃が好ましい。該温度が350℃以上であれば、樹脂の熱分解速度が速くなる。該温度が500℃以下であれば、回収される液体の品質が向上する。該流動層の温度は、該流動層に供給する流動化ガスや流動媒体の温度を調節することにより調節できる。
流動媒体層1cの温度は、分解槽1内の流動媒体が存在するところに熱電対(図示略)に設置することにより測定できる。
流動媒体層1cの温度は、工程(3’)で当該分解槽1に供給する流動媒体の温度を調節することにより制御でき、該流動媒体の温度は、加熱装置7に設置された流動媒体温度の制御装置により制御できる。具体的には、加熱装置7の流動媒体が存在するところに熱電対を設置して温度測定を行いつつ、その温度が所定の温度になるように燃料の供給量を調節することで制御できる。
たとえば精製処理として蒸留を行う場合、精製装置として、アクリル系樹脂の原料であるモノマーより低沸点の成分を分離する蒸留塔と、該モノマーより高沸点の成分を分離する2以上の蒸留塔と組み合わせることが、回収されるモノマーの純度を高めるために好ましい。
冷却装置10の上流に、分解槽1からガスに同伴して排出される流動媒体を捕集するための装置を設置し、予め該流動媒体を除去してもよい。該装置の例としてサイクロンが例示される。
この混合ガスを、再度分解槽1に供給することにより、アクリル系樹脂の原料のモノマーの回収量を増加させることができる。
除害処理は、たとえば該混合ガスを加熱装置7に送り、燃焼させることにより実施できる。
ミスト回収装置11からは、流動化ガスと、液化しなかった分解生成物と、分離ガスとの混合ガスが排出される。この混合ガスは、前記冷却装置10から排出される混合ガスと同様、除害処理後、系外に排気してもよいし、分解槽1に再度供給してもよい。
混合ガスに混合する不活性ガスとしては、前記流動化ガスとして挙げた不活性ガスと同様のものが挙げられる。
冷却装置10またはミスト回収装置11から出てくる混合ガスに対して混合する不活性ガスの質量比は、不活性ガス/混合ガス=0〜5とするのが好ましい。この比が0とは、樹脂の分解生成物のうち、冷却装置10で液化しなかったガスのみを、分解槽1の流動化ガスとして使用することである。この比を5以下とすることにより、別の工程から供給するガスの量を低減することができ、ガスの使用に伴う費用を削減できるため好ましい。
このように不活性ガスが混合されたガス(以下、希釈ガスということがある。)は、流量制御装置やコントロールバルブ等により、分解槽1に供給されるガスと、除害処理後に系外に排気するガスとに分けられる。
該希釈ガスの一部を流量制御装置から除害処理後、系外に排出することにより、分解槽に供給するガスに含まれる酸素濃度を低減することができる。
分解槽1に供給されるガス中の酸素濃度は、樹脂分解の安定性確保や回収する液量の増加、その液の品質向上の観点から、3体積%以下とすることが好ましく、1体積%以下とするのが特に好ましい。
分解槽1に供給されるガスの温度は、前述した流動化ガスの温度と同様とする。
工程(3’)では、分解槽1内の流動媒体を、流動媒体排出流路1dおよび流動媒体排出スクリューフィーダー5を介して連続的に排出し、ホッパー6に貯留した後、加熱装置7に導入し、加熱した後、流動媒体供給流路8を介して流動媒体供給スクリューフィーダー4に送り、該流動媒体供給スクリューフィーダー4から再度分解槽1に連続的に供給する。
流動媒体層1c内に樹脂の未分解物がある場合、該未分解物は、流動媒体とともに分解槽1から排出される。排出された流動媒体に該未分解物が同伴していても、加熱装置7にて該流動媒体を加熱することで、該未分解物を熱分解または燃焼させて流動媒体から除去し、樹脂の熱分解に利用することができる。
流動媒体の排出速度の計測は、ロードセル等の質量計測機を用いることにより行うことができる。また、排出速度の制御は流動媒体排出スクリュー5の回転数制御により行うことができる。
流動層炉を用いる場合、たとえば、該流動層炉に流動媒体を供給するとともに、空気、燃料の燃焼ガスまたはその混合物を流動化ガスとして供給して該流動媒体を流動化させながら、流動媒体の温度を上昇させる。ロータリキルンを用いる場合、空気、燃料の燃焼ガスまたはその混合物を供給しながら、装置自体を回転させ、その内部の流動媒体を流動させながら、流動媒体の温度を上昇させる。このようにして流動媒体の温度を上昇させることにより、流動媒体に同伴して排出された樹脂の未分解物を熱分解または燃焼させることができる。
加熱装置7における加熱温度は、分解槽1に供給する流動媒体の温度等を考慮して適宜設定すればよい。また、加熱温度を段階的に変更して加熱を行ってもよい。
工程(3’)における流動媒体供給スクリューフィーダー4からの流動媒体の供給速度(kg/時間)は、通常、流動媒体排出スクリューフィーダー5からの流動媒体の排出速度(kg/時間)とほぼ同一である。
分解槽1への流動媒体の供給速度(kg/時間)は、樹脂の供給速度(kg/時間)との比(流動媒体/樹脂)が、1〜20の範囲内であることが好ましい。流動媒体/樹脂が1以上であれば、樹脂を効率よく熱分解できる。流動媒体/樹脂が20以下であれば、分解槽1と流動媒体加熱装置12との間の流動媒体の循環量が抑えられ、加熱装置12の大型化によるコストの上昇が抑えられる。
流動媒体の供給速度の計測は、流動媒体供給スクリューフィーダー4のホッパー(図示せず)に取り付けたロードセル等の質量計測機を用いることにより行うことができる。
また、供給速度の制御は、流動媒体供給スクリューフィーダー4のホッパーにロータリーバルブ等の定量供給装置を取り付ける方法、流動媒体供給スクリューフィーダー4のスクリュー回転数を制御する等の方法により行うことができる。
なお、本実施形態では、加熱した流動媒体の分解槽1への供給方法としてスクリューフィーダーを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されず、たとえば流動媒体の自重落下による方法を利用してもよい。流動媒体の自重落下による方法は簡便な方法であり、設備費が安いという利点がある。ただし定量供給の観点ではスクリューフィーダーによる方法が有利である。
以上、本発明を、第一実施形態を示して説明したが本発明は該実施形態に限定されるものではない。
以下の各例で使用した流動媒体、樹脂、スクリュー、測定方法および評価方法(運転安定性)は下記のとおりである。
(流動媒体)
流動媒体としては、砂(天然川砂、株式会社昌栄マテリアル製、商品名:エバラロズナ、平均粒子径(直径)0.3mm、かさ密度1600kg/m3)を使用した。
樹脂1:メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略記する。)100質量%からなる樹脂(ポリメタクリル酸メチル)。該樹脂1の重量平均分子量は40万であり、ガラス転移温度は100℃であった。目開き5.6mmの篩いを通過し、目開き4.75mmの篩いを通過しない大きさのものを使用した。
樹脂供給スクリューフィーダー3として一軸スクリューフィーダーを使用し、そのスクリューとして、スクリュー径0.142m、スクリュー軸径0.0605m、スクリュー全長1.8mで、スクリュー羽根のピッチのみ異なる2種のスクリューAまたはBを使用した。
スクリューAのスクリュー羽根のピッチ:全長にわたって0.150mで一定。
スクリューBのスクリュー羽根のピッチ:スクリュー根元部(上流末端から〜スクリュー半長まで)は0.075m、スクリュー先端部(スクリュー半長の位置から先端まで)は0.150m。
流動媒体層1c内部の所定の測定箇所に熱電対を挿入し、温度を計測した。測定箇所は、板状の分散装置1bの流動層側の表面から上方に250mm、500mm、750mm、1000mm離れた高さで、流動媒体層1cの中央と、分解槽1内壁面から水平方向に3cm、30cm離れた位置の計12箇所とした。
100時間運転時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー部3a内における樹脂の渋滞状況と、流動媒体層1c内の樹脂の分散状況を、下記判定基準で判定した。
[渋滞]樹脂供給時に樹脂供一軸スクリューフィーダーのトルクが上昇し、停止した場合を×、それ以外を○とした。
[分散]上記流動媒体層1c内の局部温度の測定の結果、全ての測定箇所の温度が平均値に対して±1%以内であった場合を○、それ以外の場合を×と判断した。該平均値は、全測定箇所の温度の平均値である。
ロータリーバルブ13を設置しないこと以外は、図1に示す構成の熱分解装置100を用いて実施した。
分解槽1の直径は1mで高さは3mであった。
流動媒体層1cの流動のために、流動化ガスと、撹拌翼を備えた撹拌装置とを使用した。流動化ガスとしては窒素ガスを使用した。撹拌翼は二枚の傾斜パドル翼を5段にしたものを使用し、上下の段のパドル翼は直交するようにした。撹拌翼の撹拌速度は毎分6回転(6rpm)とした。
分解槽1の最下部には、流動化ガスを分散させるために、分散装置1bとして板状の分散器(分散板)を配置した。分散板直径は1mで、中央に砂の排出用の配管(流動媒体排出流路1d)を設置した。
分解槽1から流動媒体を連続的に排出し、加熱装置7に送った。その排出速度は、分解槽1と流動媒体排出スクリューフィーダー5との間に設置したホッパー(図示せず)のロードセルにより計測した。
加熱装置7としては、熱風で砂を流動化させる流動層炉を使用した。加熱装置7内には流動媒体として上記と同じ砂を1800kg入れておいた。加熱装置7では、熱風の温度を制御することにより砂の温度が所定の温度になるようにした。
まず、加熱装置7の設定温度を550℃として、加熱された流動媒体を42kg/minで連続的に分解槽1へ供給した。その供給位置は、分散装置1bの高さから0.75m上とした。その供給速度は、加熱装置7と分解槽1の間に設置した砂ホッパー(図示せず)のロードセルにより計測した。
流動媒体供給スクリューフィーダー4、流動媒体排出スクリューフィーダー5としては、それぞれ、一軸スクリューを使用した。
また、樹脂供給スクリューフィーダー3から分解槽1に樹脂1を、20℃にて、150kg/minで連続的に供給した。その供給位置は分散装置1bから0.75m上とした。樹脂1の供給速度は、樹脂供給スクリューフィーダー3上に設置した樹脂ホッパーのロードセルにより計測した。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリューとしてはスクリューBを用い、その回転数を18rpmとした。
このとき、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は50[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は2.70[m/min]であった。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリューBの回転数を14rpmとしたこと以外は実施例1と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は50[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は2.10[m/min]であった。
上記運転を100時間行ったが、樹脂供給スクリューフィーダー3のトルク上昇や、流動媒体層1cの局部温度低下は見られず、安定に運転が可能であった。
定量供給装置であるロータリーバルブ13を図1に示すように設置し、その回転数により樹脂供給スクリューフィーダー3への樹脂供給量が90kg/hrとなるように調整した(事前にロータリーバルブ回転数に対する樹脂供給量の検量線を取得し、それを元に樹脂供給量をロータリーバルブ回転数で調整した。)こと以外は、実施例1と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は30[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は2.70[m/min]であった。
上記運転を100時間行ったが、樹脂供給スクリューフィーダー3のトルク上昇や、流動媒体層1cの局部温度低下は見られず、安定に運転が可能であった。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリューBをスクリューAに変更し、その回転数を14rpmとしたこと以外は実施例1と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は100[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は0.98[m/min]であった。
その結果、樹脂1の供給開始からわずか9分で樹脂供給スクリューフィーダー3のトルクが上昇し、過負荷にて緊急停止した。分解槽1の冷却後、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部を開け確認したところ、形状を保ったまま溶融した樹脂1が圧縮されたような形で渋滞していた。
スクリューBの回転数を12rpmとしたこと以外は実施例1と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は50[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は1.80[m/min]であった。
その結果、樹脂1の供給開始直後の樹脂供給スクリューフィーダー3のトルク上昇は見られなかったが、流動媒体層1c内の樹脂供給部付近で局部的な温度低下が徐々に起こり、3時間経過時点で運転を停止した。
樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリューBをスクリューAに変更したこと以外は、実施例3と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は30[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は1.35[m/min]であった。
その結果、樹脂1の供給開始直後の樹脂供給スクリューフィーダー3のトルク上昇は見られなかったが、流動媒体層1c内の樹脂供給部付近で局部的な温度低下が徐々に起こり、1時間経過時点で運転を停止した。
ロータリーバルブ13の回転数を、樹脂供給スクリューフィーダー3への樹脂供給量が165kg/hrとなるように調整したこと以外は実施例3と同様な操作を実施した。
樹脂1供給時の樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部の樹脂充填率は55[%]であり、スクリュー先端部の樹脂供給線速度は2.70[m/min]であった。
その結果、樹脂1の供給開始からわずか9分で樹脂供給スクリューフィーダー3のトルクが上昇し、過負荷にて緊急停止した。分解槽1の冷却後、樹脂供給スクリューフィーダー3のスクリュー先端部を開け確認したところ、形状を保ったまま溶融した樹脂1が圧縮されたような形で渋滞していた。
Claims (1)
- 下記工程(1)〜(3)を含む熱分解方法であって、該工程(2)におけるアクリル系樹脂の供給を、下記条件(a)および(b)を満たすように行う熱分解方法。
工程(1):流動媒体が充填された分解槽に、該分解槽の下部から不活性ガスを含む流動化ガスを連続的に供給して該流動媒体を流動させ、流動層を形成する工程。
工程(2):前記流動層に、アクリル系樹脂を、スクリュー先端部が前記分解槽に接続されたスクリューフィーダーにより連続的に供給して熱分解させ、該熱分解により生じるガス状の分解生成物を冷却し、液体として回収する工程。
工程(3):前記分解槽内の流動媒体を、前記スクリューフィーダーの接続位置の高さよりも下側の位置から連続的に排出し、加熱装置に導入し、加熱した後、前記分解槽に連続的に供給する工程。
条件(a):前記スクリューフィーダーのスクリュー先端部の、前記分解槽の内壁と接する位置での樹脂充填率が51%以下である。
条件(b):前記スクリューフィーダーのスクリュー先端部の、前記分解槽の内壁と接する位置での樹脂供給線速度が2.0m/分以上である。
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