JP5593638B2 - 複合体及び複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属とポリフェニレンスルフィドからなる複合体に関するものであり、更に詳しくは、表面に陽極酸化による酸化被膜層を有するアルミニウム系金属部材及びポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる界面の接着性、密着性に優れる複合体及び複合体の製造方法に関するものである。
金属と樹脂を一体化し複合体として用いることは各種産業において行われており、該複合体化に適した接着剤の研究・開発が行われてきた。
その一方で、複合体とする際の工程・部品点数の簡略化を促進するために接着剤を用いずに金属と樹脂との一体成形を行う方法についても検討が行われてきている。
そして、そのような樹脂の中でもポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記することもある。)は、優れた機械的性質、熱的性質、電気的性質を有し、コンデンサの誘電体、電気絶縁材料、電子部品、音響振動板などに幅広く使用されている。しかし、PPSには金属との接着性に劣り、金属との一体成形には適さない、という課題があった。
そこで、金属の表面を処理することにより樹脂との接着性を向上させる試みが提案されており、アルミニウム材の陽極酸化被膜に孔を形成し、樹脂と複合する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、熱可塑性樹脂と金属部品との密着性を向上させる方法としてケミカルエッチングを施した金属部品をインサートして熱可塑性樹脂の成形を行う方法が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
さらに、アルミ箔とポリオレフィンの接着性を高めたラミネート積層体として、ベーマイト処理を施したアルミ箔とポリオレフィンからなるラミネート積層体(特許文献3,4、非特許文献1〜3参照。)、ヒドラジンを主成分とする電解液中でアルミニウムまたはアルミニウム合金から成る成形体を陽極酸化して酸化被膜を形成し、その表面にフッ素樹脂被膜を形成する方法(特許文献5参照。)が提案されている。
WO2004−055248号公報(特許請求の範囲) 特開2001−225352号公報(特許請求の範囲) 特開2002−110111号公報(特許請求の範囲) 特開2002−343314号公報(特許請求の範囲) 特開平07−163942号公報(特許請求の範囲)
高分子論文集 Vol.60,No.3,pp.128〜137(Mar.2003) 高分子論文集 Vol.60,No.7,pp.335〜346(Jul.2003) 高分子論文集 Vol.58,No.7,pp.353〜362(Jul.2001)
しかし、特許文献1,2に提案された方法においては、金属部品と熱可塑性樹脂の接着性に課題を残すものである。
特許文献3,4、非特許文献1〜3に提案されたラミネート積層体は、PPSに代表されるエンジニアリングプラスチックとは全くのその特性を異にするポリオレフィンを構成とするものであり、アルミニウム系金属部品とPPSとからなる複合体については何等述べられていない。また、特許文献5についても同様にアルミニウム系金属部品とPPSとからなる複合体については何等述べられていない。
そこで、本発明は、アルミニウム系金属部材とポリフェニレンスルフィド系樹脂との界面の接着性、密着性に優れる複合体を提供するものである。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、特定の処理方法により形成された酸化被膜層を有するアルミニウム系金属部材がポリフェニレンスルフィド系樹脂と良好な接着性、密着性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ヒドラジン含有電解液中で陽極酸化して表面に酸化皮膜層を形成したアルミニウム系金属部材及びポリフェニレンスルフィド系樹脂からなり、該ポリフェニレンスルフィド系樹脂が、ポリフェニレンスルフィドに対し、極性基含有ポリオレフィン、及び、アルコキシシラン系カップリング剤,ケチミン基を有するシラン化合物,ウレタン系接着剤,カルボジイミド化合物,有機チタネート系カップリング剤,有機アルミネート系カップリング剤,ポリエチレンイミンからなる群より選択される相溶化剤を配合してなるポリフェニレンスルフィド組成物であることを特徴とする複合体及びその製造方法に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合体は、ヒドラジン含有電解液中で陽極酸化して表面に酸化皮膜層を形成したアルミニウム系金属部材及びポリフェニレンスルフィド系樹脂からなるものである。該複合体を構成するアルミニウム系金属部材は、該酸化被膜層を有することからポリフェニレンスルフィド系樹脂と良好な親和性を有し、接着性、密着性に優れるものとなる。
本発明の複合体を構成するアルミニウム系金属部材としては、表面にヒドラジン含有電解液中で陽極酸化することにより形成された酸化皮膜層を有するアルミニウム系金属部材である限りにおいて如何なる制限を受けるものでもなく、部品とした際のその形状についても制限を受けるものでもない。その際のアルミニウム系金属部材を構成するアルミニウム系金属としては、アルミニウム系金属の範疇に属する如何なる金属であってもよく、アルミニウム、アルミニウム合金等を挙げることができ、該アルミニウム合金としては、例えば日本工業規格に規定されるA1000番台、A2000番台、A3000番台、A5000番台、A6000番台、A7000番台等を挙げることができる。
該アルミニウム系金属部材は、ヒドラジン含有電解液中で陽極酸化して表面に酸化皮膜層を形成したアルミニウム金属部材であり、該酸化皮膜層を有することによりアルミニウム系金属部材の表面は凹形状を有することからポリフェニレンスルフィド系樹脂との接着性、密着性を向上させることが可能となる。そして、陽極酸化を行う際のヒドラジン含有電解液としては、例えばヒドラジンを含有する水溶液であり、特に効率良く酸化被膜層を形成することが可能となることから、該電解液はヒドラジンのほかに例えばフッ化アンモニウム塩、酢酸アンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、等を含有していることが好ましい。
そして、陽極酸化法としては、メッキ等の分野において陽極酸化法として一般的に知られている方法を用いることができ、該ヒドラジン含有電解液にアルミニウム系金属部材を浸漬し、該アルミニウム系金属部材を陽極として電解反応を行うことによりその表面に酸化皮膜層を形成するものである。陽極酸化法の具体的例示としては、1)一定の直流電圧をかけて電解を行う直流電解法、2)直流成分に交流成分を重畳した電圧をかけることにより電解を行うバイポーラ電解法、等を挙げることができる。
本発明の複合体を構成するポリフェニレンスルフィド系樹脂は、ポリフェニレンスルフィド系樹脂と称される範疇の樹脂であれば如何なるものでもよく、例えばポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド組成物であってもよい。その中でも特に複合体とする際の成形加工性に優れることから直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下、測定した溶融粘度が100〜30000ポイズであるポリフェニレンスルフィドを用いたものであることが好ましい。
また、本発明に用いられるポリフェニレンスルフィド系樹脂は、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に酸化性ガス中で加熱処理を行い硬化を行ったものであってもよい。
該ポリフェニレンスルフィドの製造方法としては、特に限定はなく、一般的にポリフェニレンスルフィドの製造方法として知られている方法により製造すればよく、例えば重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンとを反応する方法により製造することが可能である。アルカリ金属硫化物としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びそれらの混合物が挙げられ、これらは水和物の形で使用しても差し支えない。また、これらアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基とを反応させることによって得られるが、p−ジクロロベンゼンの重合系内への添加に先立ってその場で調整されても、また系外で調整されたものを用いても差し支えない。また、アルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンとの仕込み比は、アルカリ金属硫化物/p−ジクロロベンゼン=1/0.9〜1.1(モル比)の範囲とすることが好ましい。
重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、特に非プロトン性で高温でのアルカリに対して安定な有機アミドが好ましい溶媒である。該有機アミドとしては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素及びその混合物、等が挙げられる。また、該重合溶媒は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3500重量%で用いることが好ましく、特に250〜1500重量%となる範囲で使用することが好ましい。重合は200〜300℃、特に220〜280℃にて0.5〜30時間、特に1〜15時間攪拌下にて行うことが好ましい。
さらに、ポリフェニレンスルフィドとしては、特に接着性、密着性に優れるアルミニウム系金属部材との複合体が得られることから、フェニレンスルフィド単位あたり0.05〜5モル%に相当する官能基を有する官能基含有ポリフェニレンスルフィド及び/又は直鎖状ポリフェニレンスルフィドであることが好ましい。
該官能基含有ポリフェニレンスルフィドとしては、例えばアミノ基含有ポリフェニレンスルフィド、カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド、チオール基含有ポリフェニレンスルフィド、水酸基含有ポリフェニレンスルフィド等を挙げることができ、その中でも入手の容易さよりアミノ基含有ポリフェニレンスルフィド、カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィドであることが好ましい。
該官能基含有ポリフェニレンスルフィドは、例えばアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンとを反応させる際に、官能基含有芳香族ハロゲン化合物を共存させ重合を行う方法により製造することが可能である。
該官能基含有芳香族ハロゲン化合物としては、アミノ基含有ポリフェニレンスルフィドとする際には、例えば2,5−ジクロロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジアミノクロロベンゼン、2−アミノ−4−クロロトルエン、2−アミノ−6−クロロトルエン、4−アミノ−2−クロロトルエン、3−クロロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジブロモアニリン、2,6−ジブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン、及びそれらの混合物等が挙げられ、特に3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジアミノクロロベンゼンが好ましい。カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィドとする際には、例えば2,5−ジクロロ安息香酸、2,6−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジブロモ安息香酸、2,6−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、及びそれらの混合物等が挙げられ、特に3,5−ジクロロ安息香酸が好ましい。チオール基含有ポリフェニレンスルフィドとする際には、例えば2,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、3,5−ジクロロチオフェノール、2,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、3,5−ジブロモチオフェノール、及びそれらの混合物等が挙げられ、特に3,5−ジクロロチオフェノールが好ましい。水酸基含有ポリフェニレンスルフィドとする際には、例えば2,5−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,5−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、及びそれらの混合物等が挙げられ、特に3,5−ジクロロフェノールが好ましい。
一方、該直鎖状ポリフェニレンスルフィドとしては、直鎖状ポリフェニレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、例えば特公昭52−12240号公報に記載の方法により製造することが可能である。
そして、特に接着性、密着性に優れたアルミニウム系金属部材との複合体となることから、ポリフェニレンスルフィド系樹脂として、ポリフェニレンスルフィドに対し、極性基含有ポリオレフィン及び相溶化剤を配合してなるポリフェニレンスルフィド組成物であることが好ましく、該ポリフェニレンスルフィド組成物は、ポリフェニレンスルフィド67〜98.9重量%、極性基含有ポリオレフィン1〜30重量%、及び相溶化剤0.1〜5重量%からなるものであることが好ましい。
該極性基含有ポリオレフィンとしては、極性基含有ポリオレフィンの範疇に属するものであれば如何なるものも用いることが可能であり、例えばカルボン酸基含有ポリオレフィン、カルボン酸エステル基含有ポリオレフィン、酸無水物基含有ポリオレフィン、水酸基含有ポリオレフィン、アミノ基含有ポリオレフィン、アセトキシ基含有ポリオレフィン、エポキシ基含有ポリオレフィン、オキサゾリン基含有ポリオレフィン等を挙げることができ、より具体的には、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体等を挙げることができ、その中でも、特に接着性、密着性に優れる複合体となることから、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体であることが好ましい。
該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が接着性、密着性、それらの熱老化性、靭性、耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α−オレフィン残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:45〜1:5〜1の範囲からなるものであることが好ましく、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存し、グラフト化反応を進行することにより入手することが可能である。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が接着性、密着性、それらの熱老化性、靭性、耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:40〜1:10〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダインLX4110(アルケマ社製)、(商品名)ボンダインTX8030(アルケマ社製)、(商品名)ボンダインAX8390(アルケマ社製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が接着性、密着性、それらの熱老化性、靭性、耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位(重量比)=85〜99:15〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファスト2C(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファストE(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が接着性、密着性、それらの熱老化性、靭性、耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:酢酸ビニル残基単位(重量比)=50〜98:15〜1:35〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファスト2B(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファスト7B(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が接着性、密着性、それらの熱老化性、靭性、耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=50〜98:10〜1:40〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファスト7L(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファスト7M(住友化学(株)製)等が挙げられる。
ここで、極性基含有ポリオレフィンを構成するα−オレフィンとは、炭素数が3以上のα−オレフィンを言い、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。また、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルが挙げられる。
該ポリフェニレンスルフィド組成物を構成する相溶化剤としては、通常ポリフェニレンスルフィドに相溶化剤として用いられているものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能であり、該相溶化剤としては、例えばアルコキシシラン系カップリング剤、多官能性イソシアネート系化合物、ケチミン基を有するシラン化合物、ウレタン系接着剤、カルボジイミド化合物、有機チタネート系カップリング剤、有機アルミネート系カップリング剤、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。
該アルコキシシラン系カップリング剤としては、アミノ基、エポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種以上の官能基を有するアルコキシシラン系カップリング剤であれば特に限定されるものではなく、例えば3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びこれらの混合物が挙げられ、中でもN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。
該多官能性イソシアネート化合物としては、2官能以上のイソシアネート基を有する化合物であれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能であり、例えば1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリフェニルポリイソシアネート等を挙げることができる。
該ウレタン系接着剤としては、(商品名)UM700シリーズ(セメダイン(株)製)、(商品名)ボンドKUシリーズ(コニシ(株)製)、(商品名)タケラックシリーズ(三井化学ポリウレタン(株)製)、(商品名)ノンソルボンドXシリーズ(大日精化工業(株)製)、(商品名)ボンドSUシリーズ(シリル化ポリウレタン接着剤)(コニシ(株)製)等を市販品として入手することができる。
該カルボジイミド化合物としては、分子内に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、例えばN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジ(o−トルイル)カルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等の一官能性カルボジイミド化合物;p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、p−フェニレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、p−フェニレン−ビス(メシチルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等の二官能性カルボジイミド化合物;1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリフェニルポリイソシアネート等のイソシアネートの縮合物等の多官能性カルボジイミド化合物等が挙げられる。該多官能性カルボジイミド化合物としては、例えば(商品名)カルボジライトLA−1(日清紡社製)、(商品名)カルボジライトHMV−8CA(日清紡社製)、(商品名)エラストスタブH01(日清紡社製)等の商品名で一般的に知られている多官能性カルボジイミド化合物が挙げられる。
該有機チタネート系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイナマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチルグリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアロイルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート等を挙げることができる。
該有機アルミネート系カップリング剤としては、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等を挙げることができる。
該ポリエチレンイミンとしては、ポリエチレンイミンと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、市販品として例えば(商品名)エポミン((株)日本触媒製)を用いることができる。
該ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、成形品とする際の金型離型性や外観を改良するために滑剤を配合してなることが好ましい。該滑剤としては、例えばカルナバワックス、カルボン酸アマイド系ワックスが挙げられる。該カルナバワックスとしては、一般的な市販品を用いることができ、例えば(商品名)精製カルナバ1号粉(日興ファインプロダクツ製)等を挙げることができる。また、該カルボン酸アマイド系ワックスとは、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸及びジアミンからなる重縮合物でありこの範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH−255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
該ポリフェニレンスルフィド組成物は、アルミニウム系金属部材との接着強度、密着性、それらの熱老化性を更に高める目的で、エポキシ樹脂を配合していてもよい。該エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良い。具体例としては、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAと称することもある。)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールFと称することもある。)、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールSと称することもある。)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、テトラフェニロールエタン、これらのハロゲン置換体およびアルキル基置換体、ブタンジオール、エチレングリコール、エリスリット、ノボラック、グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリン等から合成されるグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;該ヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とフタル酸グリシジルエステル等から合成されるグリシジルエステル系エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の第一または第二アミンとエピクロロヒドリン等から合成されるグリシジルアミン系エポキシ樹脂等々のグリシジル基を含むエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリオレフィン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等々のグリシジル基を含まないエポキシ樹脂が挙げられる。中でも得られるポリフェニレンスルフィド組成物が、アルミニウム系金属部材との接着性に特に優れたものとなることから、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。更に好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
該ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、一般的な樹脂組成物に配合されている充填材を配合してなるものであってもよく、該充填材としては、繊維状充填材として、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維等が例示でき、その中でも、特に機械的強度に優れるポリフェニレンスルフィド組成物となることから、ガラス繊維が好ましい。また、非繊維状充填材としては、例えばワラストナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、タルク、アルミナシリケート等の珪酸塩;酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム等の窒化物;ガラスフレーク、ガラスビーズ等を例示でき、その中でも、特に寸法安定性に優れるポリフェニレンスルフィド組成物となることから、マイカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズが好ましい。また、該充填材は、該ポリフェニレンスルフィド組成物の機械的強度が高いものとなることから、イソシアネート系化合物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、エポキシ化合物等で表面処理したものであっても良い。
該ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来公知の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、金型腐食防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても良い。
該ポリフェニレンスルフィド系樹脂の調製方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常280〜400℃の中から任意に選ぶことが出来る。
本発明の複合体の製造方法としては、該複合体を製造することが可能であれば如何なる方法をも用いることが可能であり、例えば上記したヒドラジン含有電解液中で陽極酸化を行い表面に酸化皮膜層を形成したアルミニウム系金属部材を、射出成形機に装着されている金型内に装着し、ポリフェニレンスルフィド系樹脂を溶融状態で射出を行い複合体とする、インサート形成により製造することが可能である。
本発明の複合体は、アルミニウム系金属部材とポリフェニレンスルフィド系樹脂が良好な接着性、密着性を有することからこれら特性を必要とする各種用途に用いることが可能であり、例えば電子機器筐体、電気機器筐体、電子機器部品、電気機器部品等を挙げることができる。さらにセンサー、コイルボビン等に代表される電気接続端子部品等にも適したものである。
本発明の複合体は、アルミニウム系金属部材とポリフェニレンスルフィド系樹脂が良好な接着性を有することからその工業的価値は高く、その生産効率も優れたものとなる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
なお、実施例に用いたポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド組成物、複合体は、以下の方法により評価・測定した。
〜ポリフェニレンスルフィドの溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター(島津製作所製、商品名CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
〜アミノ基含有量の測定〜
赤外線吸収スペクトル測定装置により、1900cm−1の吸収(ベンゼン環のC−H面外偏角振動)と、3387cm−1の吸収(アミノ基のN−H伸縮振動)を測定し、該吸収比よりアミノ基含有量を得た。なお、その際の検量線はベンゼンとアニリンの混合物より作成した。
〜耐ヒートサイクル性の評価〜
得られた複合体を−25℃に1時間放置した後、150℃まで昇温し150℃で放置した後、さらに−25℃まで降温する工程を1サイクルとする耐低高温試験を100サイクル行い界面での破壊の有無により接着性の評価を行った。
〜接着強度の測定〜
複合体試験片を引張試験機((株)島津製作所製、商品名オートグラフAG−5000B)で5mm/分で引張り、破断強度を測定した。破断強度を接着面積で除して、接着強度とした。
〜接着強度の熱老化性〜
接着強度の測定に用いた試験片を100℃に設定したギヤー式老化試験器((株)東洋
精機製作所製、商品名60−P)に入れ、1000時間加熱した。その後試験片を取り出し、接着強度を測定した。この値を熱老化後の接着強度とし、加熱前の接着強度を100%とした熱老化後の接着強度の残率が、100%に近いほど熱老化性に優れると判断した。
<合成例1(ポリフェニレンスルフィド(a1−2)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7278g、3,5−ジクロロアニリン11.7g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのアミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−1)と記す。)を得た。このPPS(a1−1)を、さらに酸素雰囲気下250℃で2時間硬化を行いアミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−2)と記す。)を得た。
得られたPPS(a1−2)の溶融粘度は1600ポイズであり、フェニレンスルフィド単位あたりのアミノ基含有量は0.1モル%であった。
<合成例2(ポリフェニレンスルフィド(a2−1))の合成)>
攪拌機を装備する50リットルチタン製オートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン10773g、47%硫化水素ナトリウム水溶液5607g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3807gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、4533gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン7060gとN−メチル−2−ピロリドン5943gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水1503gを圧入し、再度255℃まで昇温し、255℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをN−メチル−2−ピロリドン、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a2−1)と記す。)を得た。
得られたPPS(a2−1)は直鎖状のものであり、その溶融粘度は350ポイズであった。
<合成例3(ポリフェニレンスルフィド(a−2))の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a−1)と記す。)を得た。このPPS(a−1)を、さらに酸素雰囲気下250℃で4時間硬化を行いPPS(a−2)を得た。
得られたPPS(a−2)の溶融粘度は、3000ポイズであった。
<合成例4(無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレンの合成)>
直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ 1P53A)10kgに対し無水マレイン酸(和光純薬工業(株)製)250g、ジアルキルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25B)10gをヘキシェルミキサーにて均一に混合した。その後、二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35−102B)にて、シリンダー温度220℃で押出し、無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレンを得た。赤外線吸収スペクトルによりカルボニル基による吸収を測定し、別途作成した検量線から求めた無水マレイン酸含有量は1.4wt%であった。また、メルトフローレート(MFR)は0.7g/10分(測定温度190℃、荷重21.18N)であった。
実施例1
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.2モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧30Vで30分間直流電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A1100)製試験片を得た。
合成例1より得られたPPS(a1−2)84重量%、合成例4より得られた無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン15重量%、及びアルコキシシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、(商品名)KBE−402;3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)1重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が25重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A1100)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は4.5MPaであり、接着強度の耐老化性は90%と優れたものであった。
実施例2
アルミニウム製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.1モル/リットル、フッ化アンモニウム塩濃度0.1モル/リットル、炭酸アンモニウム塩濃度0.1モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧35Vで30分間直流電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム製試験片を得た。
合成例2より得られたPPS(a2−1)87重量%、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(アルケマ社製、(商品名)ボンダインTX8030)12重量%、及び2,6−トリレンジイソシアネート1重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が20重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は3.7MPaであり、接着強度の耐老化性は85%と優れたものであった。
実施例3
アルミニウム合金(A5052)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をアセトンに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.2モル/リットル、フッ化アンモニウム塩濃度0.2モル/リットル、炭酸アンモニウム塩濃度0.05モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧35Vで30分間直流電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A5052)製試験片を得た。
合成例3より得られたPPS(a−2)85重量%、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(アルケマ社製、(商品名)ボンダインAX8390)14重量%、及びケチミン基を有するシラン化合物(チッソ社製、(商品名)S340;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン)1重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が20重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A5052)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は4.0MPaであり、接着強度の耐老化性は85%と優れたものであった。
実施例4
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.2モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧30Vで30分間直流電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A1100)製試験片を得た。
合成例1より得られたPPS(a1−2)84重量%、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(住友化学(株)製、(商品名)ボンドファストE)14重量%、及びウレタン系接着剤(セメダイン(株)製、(商品名)UM700)2重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が25重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A1100)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は4.2MPaであり、接着強度の耐老化性は82%と優れたものであった。
実施例5
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.25モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧30V、ふれ幅7V、周波数1kHzで30分間バイポーラ電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A1100)製試験片を得た。
合成例1より得られたPPS(a1−2)84重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、(商品名)ウルトラセン 630)15重量%、及びカルボジイミド化合物(日清紡(株)製、(商品名)カルボジライトLA−1)1重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が25重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A1100)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は4.8MPaであり、接着強度の耐老化性は85%と優れたものであった。
実施例6
アルミニウム合金(A5052)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をアセトンに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.2モル/リットル、フッ化アンモニウム塩濃度0.2モル/リットル、炭酸アンモニウム塩濃度0.05モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧35V、ふれ幅7V、周波数1kHzで30分間バイポーラ電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A5052)製試験片を得た。
合成例3より得られたPPS(a−2)85重量%、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(アルケマ社製、(商品名)ボンダインAX8390)14重量%、及びポリエチレンイミン(日本触媒製、(商品名)エポミン SP−012)1重量%からなる合計量100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が20重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A5052)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験100サイクルにて複合体の破壊は見られなかった。また、接着強度は4.0MPaであり、接着強度の耐老化性は80%と優れたものであった。
実施例7
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃のヒドラジン濃度0.2モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧30V、ふれ幅7V、周波数1kHzで30分間バイポーラ電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A1100)製試験片を得た。
合成例3より得られたPPS(a−2)100重量部に対し、カルナバワックス(日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末)0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91)が35重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを作製した。
該アルミニウム合金(A1100)製試験片を射出成形機金型内に装着し、該ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入しインサート成形を行い複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を評価したところ耐低高温試験80サイクルにて複合体が破壊した。また、接着強度は3.6MPaであり、接着強度の耐老化性は75%と優れたものであった。
比較例1
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))に陽極酸化を施さなかった以外は、実施例1と同様の方法により、複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を耐低高温試験10サイクルにて複合体は破壊した。また、接着強度は0.3MPaであり、接着性は低いものであった。
比較例2
アルミニウム製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))に陽極酸化を施さなかった以外は、実施例2と同様の方法により、複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を耐低高温試験20サイクルにて複合体は破壊した。また、接着強度は0.2MPaであり、接着性は低いものであった。
比較例3
アルミニウム合金(A5052)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))に陽極酸化を施さなかった以外は、実施例3と同様の方法により、複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を耐低高温試験15サイクルにて複合体は破壊した。また、接着強度は0.2MPaであり、接着性は低いものであった。
比較例4
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))に陽極酸化を施さなかった以外は、実施例7と同様の方法により複合体の製造を試みたが、成形後金型から取り出す際に界面で破壊し、複合体を得ることは出来なかった。
比較例5
アルミニウム合金(A1100)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃の塩酸濃度0.1モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧30Vで30分間直流電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A1100)製試験片を得た以外は、実施例1と同様の方法により、複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を耐低高温試験30サイクルにて複合体は破壊した。また、接着強度は0.6MPaであり、接着性は低いものであった。
比較例6
アルミニウム合金(A5052)製試験片(35mm(長辺)×13mm(短辺)×2mm(厚さ))をアセトンに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を陽極として20℃の硫酸濃度0.1モル/リットルの電解液に浸漬し、基底電圧35V、ふれ幅7V、周波数1kHzで30分間バイポーラ電解法により陽極酸化を行うことにより、表面に酸化被膜層を有するアルミニウム合金(A5052)製試験片を得た以外は、実施例6と同様の方法により、複合体を得た。
得られた複合体の耐ヒートサイクル性を耐低高温試験30サイクルにて複合体は破壊した。また、接着強度は0.7MPaであり、接着性は低いものであった。

Claims (6)

  1. ヒドラジン含有電解液中で陽極酸化して表面に酸化皮膜層を形成したアルミニウム系金属部材及びポリフェニレンスルフィド系樹脂からなり、該ポリフェニレンスルフィド系樹脂が、ポリフェニレンスルフィドに対し、極性基含有ポリオレフィン、及び、アルコキシシラン系カップリング剤,ケチミン基を有するシラン化合物,ウレタン系接着剤,カルボジイミド化合物,有機チタネート系カップリング剤,有機アルミネート系カップリング剤,ポリエチレンイミンからなる群より選択される相溶化剤を配合してなるポリフェニレンスルフィド組成物であることを特徴とする複合体。
  2. アルミニウム系金属部材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属部材であることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  3. ポリフェニレンスルフィドが、官能基含有ポリフェニレンスルフィド及び/又は直鎖状ポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体
  4. 電子・電気機器筐体部品であること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。
  5. 電気接続端子部品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。
  6. 少なくとも下記の(1)〜(3)の工程を経ることを特徴とする複合体の製造方法。
    (1)アルミニウム系金属部材をヒドラジン含有電解液中で陽極酸化して表面に酸化皮膜層を形成する工程。
    (2)表面に酸化被膜層を有するアルミニウム系金属部材を射出成形機の金型内に装着する工程。
    (3)該金型内にポリフェニレンスルフィドに対し、極性基含有ポリオレフィン、及び、アルコキシシラン系カップリング剤,ケチミン基を有するシラン化合物,ウレタン系接着剤,カルボジイミド化合物,有機チタネート系カップリング剤,有機アルミネート系カップリング剤,ポリエチレンイミンからなる群より選択される相溶化剤を配合してなるポリフェニレンスルフィド組成物であるポリフェニレンスルフィド系樹脂を溶融状態で射出し、インサート成形を行い複合体とする工程。
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