JP5590726B2 - 加工可能で硬化可能な充填剤入りハロゲン化イソオレフィンエラストマー - Google Patents
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Description
最終商品用の配合処方用の原料と添加剤の選択は、目的とする諸物性のバランスに依存し、詳しくはタイヤ製造工場での加工性、及びグリーン(未硬化)コンパウンドのタック性と、硬化されたタイヤ用組成物の使用時の性能とのバランスに依存する。
このようなエラストマーの例として、ブチル(イソブチレン−イソプレンゴムまたはIIR)、ブロモブチルゴム(臭素化イソブチレン−イソプレンゴムまたはBIIR)、 クロロブチルゴム(塩素化イソブチレン−イソプレンゴムまたはCIIR)、星状分岐ブチルゴム(SBB)、 EXXPROTMエラストマー(臭素化イソブチレン−-p-メチル-スチレン共重合体またはBIMSM)等が挙げられる。
本願は、特にBIMSM等のハロゲン化イソオレフィンポリマーに関する。
クレイの存在により種々のポリマーブレンドの空気遮断特性が強化されることに鑑み、空気透過性がより低いナノコンポジットが求められており、特にタイヤの製造に用いられる、動的に加硫されたエラストマーのナノコンポジットが求められている。
また、エラストマーのナノコンポジットのインナーライナーは、複合化剤とゴムを用いることによっても形成されている。ここで、複合化剤は、正に荷電した基を有する反応性ゴムであって、ゴムの中に層状のシリケートが均一に分散された反応性ゴムである。例えば、Kresgeらの米国特許5,665,183及び5,576,373が参照される。
ポリマーが変形されたとき、エントロピーの減少によりポリマー中に応力が蓄積される。しかし、ポリマーの緊張状態が継続すると、ポリマー鎖が熱力学的確率の最も高い等方性状態へ拡散するため、応力が低下あるいは緩和する。良好な加工性を示すには、所定量の変形が与えられたときに、グリーンまたは未硬化組成物の応力が速やかに緩和することが必要である。
従って、本願では加工性という用語と応力緩和という用語は、同義で用いられる。加工性が悪いこと、あるいは応力緩和が遅いことはタイヤの製造時に問題を生じる。これは、時間の経過に従い収縮するゴムのコンパウドを取り扱うことは容易ではないためである。
この用途は数十年にわたり存在してきたが、カーボンブラックまたは他の充填剤が添加されたグリーンコンパウンドの加工性に関する研究はほとんどされていない。通常、カーボンブラックの添加量は40-100 phrである。ここで、phrはparts per hundred of rubberの略である(エラストマー=100 gのとき、カーボンブラック=40-100 g)。加工性の他、遮断性、耐屈曲疲労性、硬化接着性等のインナーライナー用エラストマーコンパウンドとして優れた性能をできるだけ保持していることが望ましいことは当然である。
充填剤添加量を増加させたとき、パーコレーション閾値は種々の現象として現われる。
この現象とは、例えば、緩和時間の急激な増加;定常粘度(steady state viscosity)と呼ばれる応力緩和曲線の下の面積の急激な増加(Strobl著「The Physics of Polymers」第2版, Springer社、ドイツ(1997年)参照)(緩和時間が短いほど面積が小さくなる。すなわち、定常粘度が低下するか、または加工性が向上する。);低周波数域における貯蔵弾性率(G')の、損失弾性率と同程度までの増加;等である。
いずれの場合にも、充填剤の添加量がパーコレーション閾値を超えたとき、加工性の低下が認められる。ポリマーの応力緩和の説明は、W. Tobolskyの「Properties and Structure of Polymers」(John Wiley & Sons, Inc社、New York, NY, 219頁 (1960年))に記載されている。
カーボンブラック、クレイ、または他の充填剤が添加されたとき、ハロゲン化イソオレフィンエラストマー、例えば特定のアルキルスチレン含有量、臭素含有量、ムーニー粘度、分子量、及び分岐指数を有する臭素化イソブチレン−パラメチルスチレンエラストマーは、従来のブロモブチルゴムと同等の応力緩和を有するという、予想外の知見が得られた。
このようなエラストマーから成形された最終製品の物性は、ナノコンポジット、あるいは従来のブロモブチルゴム(臭素化イソブチレン−イソプレンゴム、またはBIIR)等のゴムから製造された充填剤入り組成物からから成形された最終製品と同等である。例えば、この発明の組成物は、インナーライナーやインナーチューブ等の空気バリア材に用いることができる。
ひとつの実施形態では、イソオレフィンがイソブチレンで、アルキルスチレンがp-メチルスチレンで、ハロゲンが臭素である。
この方法には、(a)エラストマー組成物と、充填剤及び硬化剤とをコンパウンド化する工程であって、エラストマー組成物が上記の物である工程と、(b) コンパウンド化されたエラストマー組成物を、ゴム製品の所定形状に成形する工程と、(c) 所定形状のゴム製品を得るためにエラストマー組成物を硬化させる工程とが含まれる。ゴム製品は、例えばインナーライナーまたはインナーチューブである。
この発明のエラストマーには、C4からC7のイソオレフィンから誘導されたユニットを有するエラストマーが含まれる。このエラストマーはハロゲン化されていることが好ましい。イソオレフィンは、C4からC7の化合物であり、ひとつの実施形態ではイソブチレン、イソブテン、2-メチル-l-ブテン、3-メチル-l-ブテン、2-メチル-2-ブテン、及び4-メチル-l-ペンテンから選択される。
このエラストマーには、他のモノマーに由来するユニットも含まれ得る。ひとつの実施形態では、このエラストマーには少なくとも1のスチレン系モノマーが含まれる。スチレン系モノマーは、置換されたスチレン系モノマーのユニットであってもよく、好ましくは、スチレン、α-メチルスチレン、あるいはアルキルスチレン(オルト、メタ、またはパラ)であり、ここでアルキル基はC1からC5のアルキル基、または分岐鎖アルキル基から選択される。好ましい実施形態では、スチレン系モノマーはパラメチルスチレンである。
この発明の別の実施形態では、中間体ポリマーは、エチレンまたはC3からC6のα-オレフィンと、パラアルキルスチレン、好ましくは、パラ異性体の重量を基準として少なくとも80%、より好ましくは少なくともと90%のパラメチルスチレンとを含むエラストマー性のランダム共重合体であり、さらに官能化された中間体ポリマーであって、少なくともスチレン系モノマーユニット中のアルキル置換基の一部にベンジル型ハロゲンまたは他の置換基が含まれる、官能化された中間体ポリマーが含まれる。
好ましい材料は、以下の複数のモノマーユニットがポリマー鎖に沿ってランダムに分布した中間体ポリマーである。
ひとつの実施形態では、最大60モルパーセントのパラ-置換スチレンユニットが、好ましくは官能化された構造で、中間体ポリマー中に存在する。別の実施形態では、0.1から5モルパーセントのパラ-置換スチレンユニットが、好ましくは官能化された構造で、中間体ポリマー中に存在する。また別の実施形態では、中間体ポリマー中に官能化された構造のパラ-置換スチレンユニットが0.4から1モルパーセント存在する。
このようなハロゲン化エラストマーはEXXPROTM Elastomers(ExxonMobil Chemical Company社, Houston TX)として市販されており、「BIMSM」と略記されている。これらのエラストマーは、所望により、そのポリマーの少なくとも95重量%が、ポリマーの平均パラ-アルキルスチレン含量に対し10%以内のパラ-アルキルスチレン含量を有する実質的に均一な組成分布を備える。
別の実施形態では、ブロモメチル基の量は0.2から3.0モルパーセント、別の実施形態では0.3から2.8モルパーセント、別の実施形態では0.4から2.5モルパーセント、別の実施形態では0.3から2.0モルパーセントであり、ここで、好ましい範囲はこれらの上限値のいずれかと、これらの下限値のいずれかとの組合せである。
別言すると、好ましい共重合体には共重合体の重量に対し0.2から10重量パーセントの臭素が含まれ、別の実施形態では0.4から6重量パーセントの臭素が含まれ、別の実施形態では0.6から5.6重量パーセントの臭素が含まれており、実質的に環状ハロゲン、またはポリマー主鎖中のハロゲンが存在しない。
この発明のひとつの実施形態では、中間体ポリマーはC4からC7のイソオレフィン由来のユニット(またはイソモノオレフィン)と、パラメチルスチレン由来のユニットと、パラ-(ハロメチルスチレン)由来のユニットとから成る共重合体であり、ここで、ポリマー中間体中にパラ-(ハロメチルスチレン)由来のユニットが、パラメチルスチレン由来のユニットの全量に対し0.4から3.0モルパーセント存在する。
さらに、ひとつの実施形態では、パラメチルスチレン由来のユニットがポリマーの全重量に対し3から15重量パーセント存在し、別の実施形態では、パラメチルスチレン由来のユニットがポリマーの全重量に対し4から10重量パーセント存在する。
別の実施形態では、パラ-(ハロメチルスチレン)はパラ-(ブルモメチルスチレン)である。
特定の実施形態では、同様の主鎖構造の中間体ポリマーを2種類以上用いることが好ましい。例えば、重量平均分子量が150,000未満の低分子量中間体ポリマーと、重量平均分子量が250,000を超える高分子量中間体ポリマーとをブレンドして用いることができる。
この発明の組成物には、炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ、シリケート、タルク、ニ酸化チタン、カーボンブラック等の充填剤が含まれていてもよい。本願で充填剤というとき、無機のクレイ、および/またはナノコンポジットのマトリックスの一部を構成するオルガノクレイ粒子が含まれ、所望により、例えばナノメートルオーダーの粒径のクレイ粒子、あるいは、充填剤として使用可能な大粒径のクレイを単独、またはナノコンポジット中の小粒径クレイと組み合わせて用いることができる。
ひとつの実施形態では、充填剤はカーボンブラック、または修飾されたカーボンブラックである。充填剤は、半補強グレードのカーボンブラックで、ブレンド物中に10から150phrの量で存在し、より好ましくは30から120phrの量で存在し、特に好ましくは35から100phrの量で存在する。有用なカーボンブラックのグレードは、「RUBBER TECHNOLOGY」の 59-85頁 (1995年)に記載された、N110からN990である。
より好ましくは、例えばタイヤのトレッドに有用なカーボンブラックはASTM (D3037, D1510, D3765)に規定されたN229, N351, N339, N220, N234, N110である。例えばタイヤのサイドウォールに有用なカーボンブラックはN330, N351, N550, N650, N660, N762である。例えばタイヤのインナーライナーに有用なカーボンブラックはN550, N650, N660, N762, N990である。
これらの層状クレイは一般に、厚みが8-12Åのシリケートのプレートを多数含む粒子から成り、この多数のシリケートのプレートの層間間隔は4Å未満で、互いに固く結合しており、層間表面にNa+, Ca2+, K+またはMg2+等のイオン交換可能なカチオンを有する。
好ましいアミン化合物(または対応するアンモニウムイオン)は、R12R13R14Nで表され、ここでR12、R13及びR14は、ひとつの実施形態では、同一または異なるC1からC30のアルキル基またはアルケン基であり、別の実施形態では、同一または異なるC1からC20のアルキル基またはアルケン基である。ひとつの実施形態では、剥離剤はいわゆる長鎖三級アミンであり、少なくともR12がC14からC20のアルキル基またはアルケン基である。
好ましいジアミンはR18R19N-R20-NR21R22で表され、R18、R19、R20、R21、及びR22は同一または異なるC1からC30のアルキル基またはアルケン基、または、同一または異なるC1からC20のアルキル基またはアルケン基である。
長鎖ジアミンを用いる場合、少なくとも1のN-アルキル基またはN-アルケン基の炭素数が8から30であり、好ましくは炭素数が14から20である。非限定的例示として、N-ココ-l,3-ジアミノプロパン、N-オレイル-l,3-ジアミノプロパン、N-タロー-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N'-トリメチル-N'-タロー-l,3-ジアミノプロパン等が挙げられる。
ひとつの実施形態では、剥離添加剤には全ての一級、二級、三級アミン及びホスフィン、アルキル及びアリールスルフィド、アルキル及びアリールチオール、及びこれらの多官能化合物が含まれる。好ましい剥離添加剤には、N,N-ジメチル-オクタデシルアミン、N,N-ジオクタデシル-メチルアミン等の長鎖三級アミン、いわゆる脱水素タローアルキル-メチルアミン等、及び、アミン末端ポリテトラヒドロフラン、ヘキサメチレンチオスルフェートナトリウム等の、長鎖チオール及びチオスルフェート化合物が含まれる。
剥離添加剤は、この発明の組成物に任意の段階で添加することができる。例えば、剥離添加剤を先ず中間体ポリマーに添加し、次にクレイを添加することができる。または、剥離添加剤を中間体ポリマーとクレイの混合物に添加することができる。あるいは、別の実施形態では、剥離添加剤を先ずクレイと混合し、次に中間体ポリマーに添加してもよい。
このような多官能性硬化剤の非限定的例示として、ヘキサメチレンビス(チオスルフェートナトリウム)と、ヘキサメチレンビス(桂皮アルデヒド)、及びその他ゴムのコンパウンドの技術分野で公知の多官能性硬化剤が挙げられる。
このほかの好ましい多官能性硬化剤は、例えば「BLUE BOOK, MATERIALS, COMPOUNDING INGREDIENTS, MACHINERY AND SERVICES FOR RUBBER」 (D. R. Smith著、 Lippincott & Petto Inc.社、2001年) に記載されている。
多官能性硬化剤が用いられる場合、ひとつの実施形態では多官能性硬化剤は組成物中に0.1から8phr存在し、別の実施形態では0.2から5phr存在する。
このような剥離により、層状シリケートはより容易に、重合可能なモノマー、あるいはポリマーを層間に取り込むことができる。さらに、インターカレートされた層状シリケートとポリマーマトリックス材とを剪断下で混合して、剥離された各プレート片をポリマーマトリックス中に均一に分散させる際に、各層の層剥離が促進される。
いくつかの市販のエラストマーのムーニー粘度の値を下記に示す。
Permalux (ジカテコールボレートのジ-オルト-トリルグアニジン塩)、HVA-2 (m-フェニレンビスマレイミド)、Zisnet (2,4,6-トリメルカプト-5トリアジン)、ZDEDC (ジエチルジチオカルバメート亜鉛)、及びその他のジチオカルバメート、Tetrone A (ジペンタ-メチレンチウラムヘキサスルフィド)、Vultac-5 (アルキル化フェノールジスルフィド)、SP1045 (フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056 (臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD (ジフェニルフェニレンジアミン)、 サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)、ウッドロジン(アビエチン酸)、及びTMTDS (テトラメチルチウラムジスルフィド)と硫黄との組合せ。
この発明の組成物を、紫外線または電子線照射により硬化させることもできる。
エラストマーとクレイのナノコンポジットは、溶液ブレンディング、メルトブレンディング、またはエマルジョンプロセス等の、様々なプロセスにより製造することができる。
例えば、2007年1月18日に公開された「Functionahzed Isobutylene Polymer-Inorganic Clay Nanocomposites and Organic-Aqueous Emulsion Process」と題する米国特許出願公開2007/015853には、クレイとブチルゴムのナノコンポジットを、ゴム溶液とクレイの水性分散液とから成るエマルジョンを用いて製造する方法が開示されており、この出願ではクレイは無機クレイでもよいとしている。
別のナノコンポジットの製造方法の例は、W. Weng らが2005年7月18日に出願した「Split-Stream Process for Making Nanocomposites」と題する米国特許出願番号11/183,361であり、この出願には、ゴムのスリップストリームからナノコンポジットの濃縮液を調製し、この濃縮液をゴムのメインストリームとブレンドすることにより、クレイとブチルゴムのナノコンポジットを製造する方法が開示されている。
各成分のブレンド操作は、ポリマー成分とインターカレートされたクレイとを組み合わせて、適切な混合装置を用いて行うことができる。適切な混合装置は、バンバリーミキサーTM、ブラベンダーミキサーTM、または、好ましくはミキサー/押出機である。混合は、インターカレートされたクレイが剥離され、ポリマー中に均一に分散してナノコンポジットを形成するように、十分な剪断下において120℃から300℃の温度で行う。
この発明のナノコンポジットを、エマルジョンプロセスで製造することもできる。
ひとつの実施形態では、エマルジョンプロセスには、無機クレイの水性スラリーと、ポリマー溶液(セメント)とを混合する工程が含まれる。エマルジョンまたはミクロエマルジョンが形成されるように、撹拌は十分行う。
いくつかの実施形態では、エマルジョンは水性の懸濁液、または有機溶媒の懸濁液として形成される。この発明のナノコンポジットの製造には、バッチ式あるいは連続式を含め、ラボ用及び大規模な生産用の、標準的方法及び装置を用いることができる。
いくつかの実施形態では、エマルジョンは高剪断撹拌装置を用いて混合物を撹拌することにより製造される。
エマルジョンに関する一般的情報は、「Colloidal Systems and Interfaces」(S. Ross 、I. D. Morrison著、J. W. Wiley社、NY、1988年)に記載されている。
エマルジョンは、クレイの剥離を行うために十分な時間、懸濁状態に保たれる。こととき、連続または間欠的混合または撹拌や、加熱または温度制御を行ってもよく、あるいは行わなくてもよい。ひとつの実施形態では、エマルジョンは0.1から100時間懸濁状態に保たれ、別の実施形態では、2から20時間懸濁状態に保たれる。
この発明のナノコンポジットは、溶液ブレンディングで製造することもできる。
いくつかの実施形態では、ナノコンポジットは、炭化水素と少なくとも1の層状充填剤またはクレイとを含む溶液Aと、溶媒と少なくとも1のエラストマーを含む溶液Bとを接触させる工程と;溶液Aと溶液Bを接触させて得られた生成物から溶媒を除去してナノコンポジットを形成する工程と;を含むプロセスにより製造される。
また別の実施形態では、ナノコンポジットを、少なくとも1のエラストマーと少なくとも1の層状充填剤とを溶媒中で接触させる工程と、接触により生じた生成物から溶媒を除去してナノコンポジットを形成する工程とを有するプロセスで製造することができる。
別の実施形態では、エラストマーの空気遮断性を改良するために上記のプロセスで製造されたナノコンポジットは、本願に開示する硬化されたナノコンポジット組成物または製品について測定したとき、40℃における酸素透過性が160 mm.cc/[m2.日]以下である。
第2ゴム成分、または「汎用ゴム」成分をこの発明の組成物、またはこの発明による最終製品にブレンドすることができる。
このようなゴムの非限定的例示として、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリポリ(イソプレンブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ポリスルフィド、ニトリゴム、プロピレンオキサイドポリマー、星状分岐ブチルゴム、及びハロゲン化星状分岐ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状分岐ポリイソブチレンゴム、星状分岐臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレン共重合体)ゴム;他のポリ(イソブチレンp-メチルスチレン)、及びハロゲン化ポリ(イソブチレンp-メチルスチレン)エラストマー、例えばイソブチレン由来のユニット、p-メチルスチレン由来のユニット、及びp-ブロモメチルスチレン由来のユニットから成るターポリマーであって、モノマー含有量、分子量、ムーニー粘度、分岐指数、または他の性質が前記のBIMSMの規格に適合しないターポリマー及びこれらの組合せが挙げられる。
これらのゴムの大部分は、Subramaniamの「RUBBER TECHNOLOGY」の179-208頁 (M. Morton, Chapman & Hall社 1995年)、「THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK」の105-122頁 (R. F. Ohm 著、R.T. Vanderbilt Co., Inc.社、1990年)、あるいはE. KresgeとH. C. Wangの「8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY」の934-955頁 (John Wiley & Sons, Inc.社、第4版、1993年) に記載されている。
この発明のひとつの実施形態では、ハロゲン化ゴム成分はC4からC7のイソオレフィンとマルチオレフィンとの共重合体のハロゲン化物である。
別の実施形態では、ハロゲン化ゴム成分は、ポリジエンまたはブロック共重合体と、C4からC7のイソオレフィンの共重合体と、結合または「星状分岐」したブチルゴムとのブレンド物である。従って、この発明で使用されるハロゲン化ブチルポリマーは、C4からC7のイソオレフィン由来のユニットと、マルチオレフィン由来のユニットと、ハロゲン化マルチオレフィン由来のユニットとから成るハロゲン化エラストマーであり、「ハロゲン化ブチルゴム」と、いわゆる「ハロゲン化星状分岐」ブチルゴムの両者が含まれる。
ひとつの実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムは臭素化ブチルゴムであり、別の実施形態では塩素化ブチルゴムである。
いくつかのハロゲン化ゴム成分は、米国特許4,703,091及び4,632,963に開示されている。
アリル型ハロゲン化ポリマーを生成させる一般的方法は、Gardnerらの米国特許4,632,963, 4,649,178,及び4,703,091に開示されている。
すなわち、この発明のひとつの実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムは、ハロゲン化されたマルチオレフィンユニットが最初のアリル型ハロゲン化ユニットとなり、この最初のアリル型構造は、ひとつの実施形態では少なくとも20モルパーセント(ハロゲン化されたマルチオレフィンの全量に対して)であり、別の実施形態では30モルパーセントである。
このような構成は下記構造式で表される。
別の第2ゴム成分として使用されるハロゲン化ブチルゴムの市販品はBromobutyl 2255 (ExxonMobil Chemical Company社, Houston, TX)である。このハロゲン化ブチルゴムのムーニー粘度は41から51(ML 1+8 ,125℃, ASTM 1646, 修正)で、臭素含有量はBromobutyl 2222に対し1.8から2.2重量パーセントである。またBromobutyl 2255の硬化特性は次の通りである。MHが34から48 dN-m、MLが11から21 dN-m (ASTM D2084, 修正)。
この発明は、ハロゲン化ゴム成分の販売元によって限定されない。
空気タイヤは多層構造の積層体であり、トレッドとサイドウォール部材を含む外層、トレッドの半径方向内側のベルト補強層、中間のカーカス構造体、(カーカス構造体は、ゴム状マトリックスに埋め込まれたタイヤ補強用繊維(例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、または金属繊維)からなる多数のより糸を含み、より糸の末端は一組の非伸張性ビーズ環に巻かれている)、及びカーカス構造体の内面に積層されるインナーライナーを含む。
通常、タイヤはタイヤ組立て用ドラムを用いて組立てられ、一段または二段組立てプロセスで組立てられる。未硬化のグリーンタイヤが組み立てられた後、未硬化のタイヤは、タイヤの内部で膨張してインナーライナーに接触する膨張ブラダーを備える加熱成形型に入れられる。次に、未硬化のタイヤは加硫温度まで加熱され、硬化される。
加硫温度は通常約100℃から約250℃で、好ましくは125℃から200℃であり、時間は約1分から数時間で、好ましくは、乗用車用タイヤの場合約5から30分である。加硫時間と温度は、タイヤの大きさ、タイヤの厚み、タイヤに用いられるエラストマーの種類等の、様々な要素に依存する。組立てられたタイヤを加硫することにより、エラストマー性の構成部材が加硫され、これらの構成部材の接着が強化される結果、硬化され、一体となったタイヤが得られる。
Claims (14)
- 硬化可能なゴム配合処方において加工可能なエラストマー組成物であって、
充填剤と、C4からC7のイソオレフィンと、3から20重量パーセントのアルキルスチレンとを含み、0.2から2モル%のハロアルキルスチレンが含まれ、ムーニー粘度が15から26、数平均分子量が270,000未満、重量平均分子量が470,000未満、z平均分子量が700,000未満、分岐指数(g')が0.4から1.1であるハロゲン化中間体ポリマーを含む、エラストマー組成物。 - イソオレフィンがイソブチレンで、アルキルスチレンがp-メチルスチレンで、ハロゲンが臭素である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
- 数平均分子量が170,000から270,000で、重量平均分子量が300,000から470,000で、および/または、z平均分子量が400,000から700,000である、請求項2に記載のエラストマー組成物。
- 定常粘度が、2000 kPa-s未満である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
- さらに、第2のゴム、加工助剤、硬化剤、劣化防止剤、柔軟剤、またはこれらの組合せが含まれる、請求項1に記載のエラストマー組成物。
- 前記エラストマー組成物のゴム100重量部に対して1から30重量部のクレイが含まれる、請求項5に記載のエラストマー組成物。
- 硬化された充填剤入りゴム製品を製造する方法において、
エラストマー組成物と硬化剤とをコンパウンド化する工程であって、エラストマー組成物が、充填剤と、イソブチレンと、3から20重量パーセントのp-メチルスチレンとを含み、0.2から2モル%のブロモメチルスチレンが含まれ、ムーニー粘度が15から26、数平均分子量が270,000未満、重量平均分子量が470,000未満、z平均分子量が700,000未満、分岐指数(g')が0.4から1.1の臭素化された中間体ポリマーを含む工程と、
コンパウンド化されたエラストマー組成物を、ゴム製品の所定形状に成形する工程と、
所定形状のゴム製品を得るためにエラストマー組成物を硬化させる工程とが含まれる、硬化された充填剤入りゴム製品を製造する方法。 - 数平均分子量が170,000から270,000で、重量平均分子量が300,000から470,000で、z平均分子量が400,000から700,000である、請求項7に記載の方法。
- コンパウンド化された組成物の1 kPaまでの応力緩和時間が300秒未満であり、製造時にコンパウンド化された組成物を変形させる工程が含まれ、変形した状態を、応力が1 kPa未満まで緩和される時間保ち続ける、請求項7に記載の方法。
- コンパウンド化された組成物の定常粘度が、2000 kPa-s未満である、請求項7に記載の方法。
- コンパウンド化された組成物に、さらに第2のゴム、加工助剤、劣化防止剤、柔軟剤、またはこれらの組合せが含まれる、請求項7に記載の方法。
- 前記充填剤に、前記エラストマー組成物のゴム100重量部に対して1から30重量部のクレイが含まれる、請求項7に記載の方法。
- ゴム製品が、インナーライナーまたはインナーチューブである、請求項7に記載の方法。
- エラストマー組成物と硬化剤とをコンパウンド化する方法により製造されたインナーライナーを備えるタイヤにおいて、
エラストマー組成物が、充填剤と、イソブチレンと、3から20重量パーセントのp-メチルスチレンとを含み、0.2から2モル%のブロモメチルスチレンが含まれ、ムーニー粘度が15から26、数平均分子量が270,000未満、重量平均分子量が470,000未満、z平均分子量が700,000未満、分岐指数(g')が0.4から1.1の臭素化された中間体ポリマーを含み、
コンパウンド化されたエラストマー組成物を、タイヤ用インナーライナーの形状に成形する工程と、
タイヤ用インナーライナーを得るためにエラストマー組成物を硬化させる工程とが含まれる方法により製造されたインナーライナーを備えるタイヤ。
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