本発明はエラストマー性組成物の生成に用いられる加工助剤に関する。特に、本発明はエラストマー性組成物の生成に用いられる機能性ポリマーを含む加工助剤に関する。
タイヤ産業において、タイヤ及びタイヤ構成成分の製造者は、その様な商品を作る場合無数の選択がある。例えば、タイヤ及びタイヤ構成成分を商業的に配合するための成分の選択は、所望の特性及びバイアス又はラジアルと言う様な最終使用目的、及びその最終用途(例えば、航空機、トラック/バス又は乗用車)に依る。
成分の選択で同様に考慮しなければならない重要な点は、工業用成分をバッチゴム ミックスに効果的に加工する能力であり、またこれらの未硬化ゴムミックスの更に下流での加工である。例えば、乾燥した、固形物、特に充填剤の様なほこりを含まない粒子は容易に空気搬送され、Banbury(登録商標)ミキサーの様な内部ミキサーでバッチ生産のために必要な量が自動的に計量されることもある。
梱包されたポリマーの様なバルク固体は、バッチ生産のために必要な量が正確に加えられる様に比較的小さい、より取り扱いが容易なサイズに切断することが必要となる。液体は運搬、計量において同じ問題があり、その流動性及び流出することなく流れる能力に起因する問題がさらに加わることもある。例えば、粘性液体は、正確な重量計測のために必要な流率を得るために加熱及び揮発性気体を発生させることなくバッチ内部ミキサーに加えることが必要になることもある。
更に、これらの非硬化ゴムミックスのさらに下流での加工は、使用される特定の工場の装置に大きく依存することもある。そこで、非硬化ゴムミックスの特性、例えば、ムーニー粘度及びムーニースコーチ値は、製造効率を最適化することを助けるための重要な変数及びパラメータであり、その理由は、特にロールミル、ローラー金型、カレンダー、押出機等の様な混合に続くゴム加工装置は、世界中で工場を問わず、その生産量及び速度及び操業温度が大きく異なることがありうるからである。したがって、これらのミックス成分に必要な要件は、非硬化ゴムミックスの加工を容易にすることに寄与する能力である。特に、タイヤのその部分の製造が、タイヤのインナーライナーの様な空気の不浸透性に依存する場合は、製造者は、「ブチル」ゴム又はエラストマーを種々の実施の形態で広く使用することを含め無数のアプローチを取ってきた。
ブチルゴムは、一般にイソブチレン及びイソプレンのコポリマーであり、時にはハロゲン化されているが、タイヤにとり望ましい空気不浸透性の特性を与える能力のため広く用いられてきた。ハロブチルゴム(ハロゲン化されたブチルゴム)は、乗用車、トラック/バス、及び航空機用のタイヤのインナーライナーで空気を保持するためのポリマーとして選択される。例えば、米国特許第5,922,153号, 5,491,196号, EP 0 102 844及びEP 0 127 998を参照。ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム及び分枝(「星状分枝」(star-branched))ハロゲン化ブチルゴムは、これらに特異に応用するために製剤可能なイソブチレン ベースのエラストマーである。EXXPRO(登録商標)エラストマー(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)は、一般にイソブチレン及びパラメチルスチレンのハロゲン化されたランダムコポリマーであるが、従来のブチルゴムに比べ改良点を持ち、そのため特に関心が持たれている。例えば、米国特許第6,293,327号,米国特許第5,386,864号, 米国特許出願公開第2002/151636号, 日本特許出願公開第2003170438号及び第2003192854号を参照願いたい(市販のEXXPRO(登録商標)エラストマーを他のポリマーとブレンドしたものの種々の応用アプローチを示す)。
前記のエラストマー組成物の加工において、当業者が持つ無数の選択の内、加工助剤の選択はその重要性が増している。加工助剤は、タイヤのインナーライナーのエラストマーを加工する場合には重要である。何故ならそれは硬化タイヤの浸透性、形成されているが非硬化タイヤの成分をお互いに接着させる「グリーン タック」(green tack)と呼ばれる能力、及び/又は非硬化ゴムミックスの下流での加工能力に影響しうるからである。
適当な加工助剤を選択することにより、製造者は、エラストマーが加工される条件及びこれらのエラストマーにより製造される最終使用商品の多くの特性に影響を与えることができる。例えば、低いムーニー粘度の非硬化ゴムミックスは生産速度を高めることもある。しかし、ムーニー粘度が余りに低いと非硬化ゴムミックスの伸張又は引裂きが起こり潜在的スクラップ率が高まる。同様に、非硬化ゴムミックスのムーニースコーチ値が増大するとミル、金型、カレンダー、押出機等がより高い操業温度になることもある。
過去においては、産業界では、エラストマー組成物の加工処理を支援するため、一般に精製プロセス又はプロセスオイル、例えば、芳香族、パラフィン系、ナフテン系オイル及びこれらの混合物からの蒸留「カット」を受け入れていた。例えば、米国特許5,162,409号及び5,631,316号を参照。しかし、これらの成分の使用は、インナーライナーの様な空気膜の浸透性を増す結果となることもある。より最近になって、ポリブテン加工助剤が、インサービス タイヤ及び/又はタイヤ製造の他の望ましい特性を維持しつつ空気膜成分の浸透性を低減させる能力のため多大の関心が持たれるようになった。例えば、米国特許6,710,116号, 米国特許出願公報第2005/0027062号, WO 2002/32995, WO 2002/32992, WO 2002/32993, WO 2002/48257及びWO 2004/009700を参照。ポリブテン加工助剤の使用は過去の努力からの根本的な決別を表わす。その理由はこれらの加工助剤は、重合プロセスにより生産され、精製プロセスからの蒸留「カット」ではないからである。しかし、製造者が特定の最終使用商品の所望の特性に照らして、如何にエラストマーが加工されるべきかの決定をする際に考慮せねばならない特性のバランスに、より多くの選択肢及び柔軟性を持たせるための更なる改良が必要である。例えば、更に、タイヤの空気膜成分の浸透性を低減させ、又は空気膜成分の浸透性を維持し、及び/又は非硬化ゴムミックスの加工での制約を減少させることが望ましい。本発明はこの必要性を、本明細書に記載の機能性ポリマーを含み、加工助剤を使用することにより、より多くの選択肢を提供することにより満たす。
発明の概要
本発明はエラストマー性組成物を生成するプロセスを提供し、本プロセスは少なくとも一つのエラストマーを加工助剤に接触させることを含み、該加工助剤は少なくとも一つのハロゲン基を持つ少なくとも一つの機能性ポリマーを含む。
他の実施の態様においては、本発明はまた前記エラストマー性組成物から生産されるタイヤのインナーライナーの様な商品を提供する。
発明の詳細な説明
請求項に記載の発明を理解するため、本発明の種々の特異の実施の態様、変形及び実施例が、本明細書に含まれる好ましい実施の態様及び定義を含めて、説明される。
周期表の「族」に関して、周期表の族に対する新しい番号はHAWLEY'S CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY, 852ページ (13版、1997)に記載のものを使用する。
スラリーは、希釈剤、モノマー、ルイス酸、及び開始剤から沈殿したポリマー、を含むある容量の希釈剤を指す。スラリー濃度は、スラリーの全容量に基づく部分的又は完全に沈殿したポリマーの容量パーセントである。
ポリマーはホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を指すのに用いることもある。同様に、コポリマーは、少なくとも2つのモノマーを含む、任意選択的に他のモノマーを含むポリマーを指す。
ポリマーがモノマーを含むと言う時は、モノマーはモノマーの重合した形、又はモノマーの誘導体の形のポリマーで存在する。しかし、参照を容易にするために、「(各)モノマー等を含む」等の表現を略表現として用いる。同様に、触媒成分が、その成分の中性の、安定的形を含むものとして記載される場合は、その成分のイオン化された形はモノマーと反応しポリマーを生成する形であることは当業者に十分理解されるであろう。
ゴムはASTM Dl 566の定義、すなわち、「大きい変形から回復することができ、沸騰溶媒中で本質的に非溶解性である(しかし膨張は可能)の状態であり得、又はすでにその状態にあり、その状態に修飾される材料」の定義と矛盾しない任意のポリマー又はポリマーの組成物を指す。エラストマーは、ゴムの用語と相互交換的に使用することもある。
エラストマー性組成物は上で定義された少なくとも一つのエラストマーを含む。
ASTM D 1566の定義による加硫ゴム化合物は、エラストマーより調合される架橋された弾力性を持つ材料を言い、小さい力により大きく変形をし、変形を起す力を与えることを止めると、大よそ元のサイズ及び形状に急速に力強い回復をする。硬化されたエラストマー性組成物は、硬化プロセスを経た、及び/又は硬化剤又は硬化パッケージの効果的な量を含むか又はその効果的な量を用いて生成される任意のエラストマー性組成物を言い、加硫ゴム化合物の用語と相互交換的に用いられる用語である。
ASTM D 1566の定義による熱可塑性エラストマーは、ポリマーの特徴である温度範囲を通じて、繰り返して加熱することにより軟化させ、そして冷却することにより硬化させることができ、そして軟化させた状態において商品に形成できるゴム類似の材料を指す。熱可塑性エラストマーは少なくとも2つのポリマーのミクロ相が分離したシステムである。一つの相は室温で流動しない固いポリマーであるが、加熱すると流動体となり、熱可塑性エラストマーに強度を与える。他の相は、熱可塑性エラストマーに弾力性を与える軟らかいゴム状ポリマーである。固い相は通常主要な又は連続相である。
ASTM D 1566の定義による熱可塑性加硫物は動的加硫により生成された、化学的に架橋されたゴム状相を持つ熱可塑性エラストマーを言う。動的加硫は、熱可塑性ポリマーと適当な反応性ゴムポリマーと適当な反応ゴム状ポリマーを親密に溶融混合し化学的に架橋されたゴム状相を持つ熱可塑性エラストマーを生成するプロセスを指す。ゴム状相は、架橋されているか否かを問わず通常よりマイナーな、又は分散相である。
「phr」の用語はゴム100重量部当りの部分、又は「部分」(parts)であり、組成物の成分が全てのエラストマー成分の合計に比較して測定される通常用いられる測定単位である。全てのゴム成分の合計phr又は部分は、1、2、3、それ以上の異なるゴム組成物がある処方により存在する場合、常に100phrである。他の非ゴム性成分はゴムの100重量部に対して比率が決められ、そしてphrで表わされる。この様に、唯一の、又はそれ以上成分のレベルを調整した後に、各成分のパーセントを再計算する必要なく、ゴムの同じ相対的割合に基づき異なる組成物間で例えば、硬化剤のレベル、又は充填剤の投入等を容易に比較することができる。
イソオレフィンは、その炭素に2つの置換基を持つ少なくとも一つの炭素を持つ任意のオレフィンモノマーを言う。
マルチオレフィンは2以上の二重結合を持つ任意のモノマーを言う。好ましい実施の態様においては、マルチオレフィンは、イソプレンの様な共役ジエンの様な2つの共役二重結合を持つ任意のモノマーである。
イソブチレン ベースのエラストマー又はポリマーはイソブチレンの70モル%の繰り返し単位を含むエラストマー又はポリマーを言う。
炭化水素は、主に水素及び炭素原子を含む分子又は分子の部分を指す。ある実施の態様においては、炭化水素はまた、以下に更に詳細に検討する炭化水素のハロゲン化された形のもの及びヘテロ原子を含む形のものを含む。
アルキルは、例えば、メチル基(CH3), またはエチル基(CH3CH2)等の様な化学式から一以上の水素を除いた、アルカン由来のパラフィン系炭化水素を言う。
アリールは例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の様な芳香族化合物に特徴的な環式構造を形成し、典型的にはその構造に交互に二重結合(「不飽和」)を持つ炭化水素基を指す。アリール基は、この様に、例えば、フェニル基(C6H5)の様な、化学式から一以上の水素を除いた芳香族化合物由来の基である。
「置換された」は、少なくとも一つの水素基が少なくとも一つの以下のものから選択される置換基により置換されていることを言う。例えば、ハロゲン(halogen) (塩素、臭素、フッ素(chlorine, bromine, fluorine)又はヨウ素(iodine), アミノ(amino), ニトロ(nitro), スルホキシ(sulfoxy)スルホン酸又はスルホン酸アルキル (sulfonate 又はalkyl sulfonate), チオール(thiol), アルキルチオール(alkylthiol), 及びヒドロキシ(hydroxy); アルキル(alkyl),1から20の炭素原子を持つ線状又は分枝鎖であり、メチル(methyl), エチル(ethyl), プロピル(propyl), イソプロピル(isopropyl), 通常のブチル(normal butyl), イソブチル(isobutyl), 第二級ブチル(secondary butyl), 第三級ブチル(tertiary butyl)等を含む;1から20の炭素原子を持つ線状又は分枝鎖アルコキシ(alkoxy)であり、例えば、メトキシ(methoxy), エトキシ(ethoxy), プロポキシ(propoxy), イソプロポキシ(isopropoxy),ブトキシ(butoxy), イソブトキシ(isobutoxy), 第二級ブトキシ(secondary butoxy), 第三級ブトキシ(tertiary butoxy), ペンチルオキシ(pentyloxy), イソペンチルオキシ(isopentyloxy), ヘキシルオキシ(hexyloxy), ヘプチルオキシ(heptyloxy), オクチルオキシ(octyloxy), ノニルオキシ(nonyloxy), 及びデシルオキシ(decyloxy); ハロアルキル(haloalkyl)でありこれは少なくとも一つのハロゲンにより置換された1から20の炭素原子を持つ線状又は分枝鎖アルキルを言い、例えば、クロロメチル(chloromethyl), ブロモメチル(bromomethyl), フルオロメチル(fluoromethyl), イオドメチル(iodomethyl),2−クロロエチル (2-chloroethyl), 2−ブロモエチル(2- bromoethyl), 2−フルオロエチル(2-fluoroethyl), 3−クロロプロピル(3-chloropropyl), 3−ブロモプロピル(3-bromopropyl), 3−フルオロプロピル(3-fluoropropyl), 4−クロロブチル(4- chlorobutyl), 4−フルオロブチル(4-fluorobutyl), ジクロロメチル(dichloromethyl),ジブロモメチル(dibromomethyl), ジフルオロメチル(difluoromethyl),ジイオドメチル(diiodomethyl), 2,2−クロロエチル(2,2-dichloroethyl), 2,2−ブロモエチル(2,2-dibromoethyl), 2,2−ジフルオロエチル(2,2-difluoroethyl), 3,3−ジクロロプロピル(3,3- dichloropropyl), 3,3−ジフルオロプロピル(3,3-difluoropropyl), 4,4−ジクロロブチル(4,4-dichlorobutyl), 4,4−ジブロモブチル(4,4-dibromobutyl), 4,4−ジフルオロブチル(4,4- difluorobutyl),トリクロロメチル(trichloromethyl), トリフルオロメチル(trifluoromethyl),2,2,2−トリフルオロエチル (2,2,2-trifluoroethyl), 2,3,3−トリフルオロプロピル(2,3,3- trifluoropropyl), 1,1,2,2−テトラフルオロエチル(1,1,2,2-tetrafluoroethyl), 及び2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(2,2,3,3-tetrafluoropropyl)を含む。この様に「置換されたスチレン系単位(substituted styrenic unit)は p−メチルスチレン(p-methylstyrene)、p−エチルスチレン(p-ethylstyrene)などを含む。
ブチルゴム
本発明の実施において有用な好ましいエラストマーはイソブチレンベースのホモポリマー又はコポリマーを含む。上で述べた様に、イソブチレンベースのエラストマー、又はポリマーは、イソブチレン由来の少なくとも70モル%繰り返し単位を含むエラストマー又はポリマー指す。これらのポリマーは、イソブチレン由来の単位の様なC4からC7のイソモノオレフィン由来の単位及び少なくとも一つの他の重合可能な単位のランダムコポリマーとして表すことが出来る。イソブチレンベースのコポリマーは、ハロゲン化されていても、されていなくとも良い。
本発明のある実施の態様においては、エラストマーはブチル タイプ ゴム又は分枝ブチル タイプ ゴム、特にこれらのエラストマーのハロゲン化された形のものである。有用なエラストマーは、オレフィン又はイソオレフィン及びマルチオレフィンの、ホモポリマー及びコポリマー又はマルチオレフィンのホモポリマーの様な不飽和ブチルゴムである。本発明に好適な、これらの及び他のタイプのエラストマーは周知であり、RUBBER TECHNOLOGY, 209- 581 ページ(Morton 編纂。 Chapman & Hall 1995), THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK, 105-122ページ (Ohm 編纂, R.T. Vanderbilt Co., Inc. 1990), 及び8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY, Kresge及びWang、934-955ページ (John Wiley & Sons, Inc. 第4版、1993)に記載されている。
本発明の方法及び組成物に有用な不飽和エラストマーの例としては、ポリ(イソブチレンーco−イソプレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレンーco―ブタジエン)、天然ゴム、星状分枝ブチルゴム及びこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。本発明の有用なエラストマーは、技術分野で知られている任意の適当な方法により生産することができ、本発明はエラストマーの生産方法によって限定されることはない。
エラストマー性組成物は少なくとも一つのブチルゴムを含んでいてもよい。ブチルゴムは、モノマーの混合物を反応させて生成し、その混合物は、少なくとも(1)一つのC4 からC7のイソオレフィンモノマー成分、例えば、イソブチレンと(2)マルチオレフィン、モノマー成分を含む。イソオレフィンは、ある実施の態様においては、全モノマー混合物の重量の70から99.5重量%の範囲であり、他の実施の態様においては、85から99.5重量%である。マルチオレフィン成分はモノマー混合物中に、ある実施の態様においては30から0.5重量%で存在し、他の実施の態様においては、15から0.5重量%で存在する。更に他の実施の態様においては、モノマー混合物の8から0.5重量%がマルチオレフィンである。
イソオレフィンはC4 からC7の化合物であり、その例の化合物として、例えば、イソブチレン、イソブテン、2−メチルー1−ブテン、3−メチルー1−ブテン、2−メチルー2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチル ビニル エーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、及び4−メチルー1−ペンテンがあるが、これに限定されるものではない。マルチオレフィンはC4 からC14のマルチオレフィンであり、その例には、例えば、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチルーフルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、及びピペリレン及びEP 0 279 456, 米国特許第5,506,316号 及び米国特許第5,162,425号に開示されている様な他のモノマーである。スチレン及びジクロロスチレンの様な他の重合可能なモノマーもまた、ブテンゴムのホモ重合又は共重合に適している。本発明のブチルゴムポリマーの一つの実施の態様では、ポリマーは95から99.5重量%のイソブチレンを0.5から8重量%のイソプレンと反応させることにより得られ、他の実施の態様においては、0.5重量%から5.0重量%のイソプレンと反応させることにより得られる。ブチルゴム及びその生成方法は、例えば、以下の文献に詳細に記載される:米国特許第2,356,128号, 米国特許第3,968,076号,米国特許第4,474,924号, 米国特許第4,068,051号及び米国特許第5,532,312号。
また、WO 2004/058828, WO 2004/058827, WO 2004/058835, WO 2004/058836, WO 2004/058825, WO 2004/067577, 及びWO 2004/058829を参照願いたい。
市販されている望ましいブチルゴムの例には、ムーニ粘度が30 から 56 (ML 1 + 8、25℃)のポリ(イソブチレンーco−イソプレン)EXXON(登録商標)BUTYLグレード(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。
市販されている他の望ましいブチルゴムの例には、分子量平均粘度が0.75 から 2.34 x 106 のVISTANEX(登録商標) ポリイソブチレン ゴム(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。
星状分枝ブチルゴム
本発明で有用なブチルゴムの他の実施の態様は分枝、又は「星状分枝」ブチルゴムである。これらのゴムについては、例えば、EP 0 678 529 Bl,、米国特許第5,182,333号及び米国特許第5,071,913号に記載がある。ある実施の態様においては、星状ブチルゴム(star-branched butyl rubber (SBB))はブチルゴムが、ハロゲン化されているか、いないかを問わず、またポリジエン、又はブロックコポリマーが、ハロゲン化されているかいないかを問わず、ブチルゴムの組成物である。本発明はSBBを形成する方法を限定するものではない。ポリジエン/ブロックコポリマー、または分枝剤(以下「ポリジエン」)は、典型的にカチオン反応をし、ブチル又はハロゲン化されたブチルゴムの重合の間存在する、又はブチルゴムとブレンドされSBBを形成することができる。分枝剤又はポリジエンは任意の好適な分枝剤であっても良く、SBBを生成するために使用されるポリジエンの種類は限定されない。
ある実施の態様においては、SBBは通常、上に記載の様にブチル又はハロゲン化ブチル、及びスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリリン、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレン ジエン ゴム(EPDM)、エチレンープロピレン ゴム (EPR)、スチレンーブタジエンースチレン及びスチレンーイソプレンースチレン ブロックコポリマーから選択されるポリジエンン及び部分的にハロゲン化されたポリジエンのコポリマーの組成物である。
これらのポリジエンは、ある実施の態様においてはモノマーの重量%に基づき、0.3 重量%より多い、他の実施の態様においては0.3から3重量%、更に他の実施の態様においては0.4から2.7重量%で存在する。
本発明のSSBの商業的実施の形態には、ムーニ粘度 (ML 1+8、1250C, ASTM D 1646)が34から44のSB Butyl 4266 (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。更にSB Butyl 4266の硬化特性は以下の通りである: MHは69 ± 6 dN-m, MLは11.5 ± 4.5 dN-m (ASTM D2084)。
ハロゲン化ブチルゴム
本発明の望ましい実施の態様におけるエラストマーはハロゲン化されている。ハロゲン化ブチルゴムは、上に記載のブチルゴム製品のハロゲン化により生成される。ハロゲン化は任意の方法により実施され得、本発明はハロゲン化のプロセスにより限定されない。ブチルポリマーの様なポリマーをハロゲン化する方法は、米国特許第2,631,984号、 米国特許第3,099,644号、 米国特許第4,554,326号、 米国特許第4,681,921号、 米国特許第4,650,831号、 米国特許第4,384,072号、 米国特許第4,513,116号、及び米国特許第5,681,901号に記載されている。
ある実施の態様においては、ブチルゴムはヘキサン希釈液において、4から60℃で臭素(Br2) 又は塩素(Cl2)をハロゲン化剤として用いてハロゲン化される。ハロゲン化ブチルゴムはある実施の態様において、20から70 (ML 1+8、125℃)のムーニー粘度を持ち、他の実施の態様においては、25 から 55のムーニー粘度を持つ。ハロゲンの重量%は、ハロゲン化ブチルゴムの重量に基づき、ある実施の態様においては0.1から10 重量%、他の実施の態様においては0.5から5 重量%である。更に他の実施の態様においては、ハロゲン化ブチルゴムのハロゲンの重量%は、1から2.5 重量%である。
本発明の好適なハロゲン化ブチルゴムのある商業的な実施の態様は、Bromobutyl 2222 (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。そのムーニー粘度は27から37 (ML 1+8、125℃, ASTM 1646, 修正後)及び臭素含有量はBromobutyl 2222の1.8から2.2重量%である。更に、Bromobutyl 2222の硬化特性は以下の通りである:MHは28から40 dN-m, MLは7から18 dN-m (ASTM D2084)。
ハロゲン化ブチルゴムの他の商業的な実施の態様は、Bromobutyl 2255 (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。そのムーニー粘度は41から51 (ML 1+8、125℃, ASTM 1646) 及び臭素含有量は1.8から2.2重量%である。更に、Bromobutyl 2255の硬化特性は以下の通りである:MHは34から48 dN-m, MLは11から21 dN-m (ASTM D2084)。
星状分枝ハロゲン化ブチルゴム
本発明のエラストマーの他の実施の態様においては、分枝又は 「星状分枝」ハロゲン化ブチルゴムが使用される。ある実施の態様においては、ハロゲン化星状分枝ブチルゴムは、ブチルゴムがハロゲン化されているか、いないかを問わず、またポリジエン、又はブロックコポリマーがハロゲン化されているか、いないかを問わず、ブチルゴムの組成物である。ハロゲン化プロセスについては、米国特許第4,074,035号, 米国特許第5,071,913号, 米国特許第5,286,804号, 米国特許第5,182,333号及び米国特許第6,228,978号に詳細に記載されている。本発明は、ハロゲン化星状分枝ブチルゴムの形成方法を限定するものではない。ポリジエン/ブロック コポリマー、又は分枝剤(以下「ポリジエン」)は、通常カチオン反応し、及びブチル又はハロゲン化ブチル又はハロゲン化ブチルゴムの重合中に存在し、又はブチル又はハロゲン化ブチルゴムとブレンドさせハロゲン化星状分枝ブチルゴムを生産するために使用することができる。
分枝剤又はポリジエンは任意の好適な分枝剤であっても良く、本発明では、ハロゲン化分枝ブチルゴムを生成するために使用されるポリジエンはこの種類に限定されない。
ある実施の態様においては、ハロゲン化星状分枝ブチルゴムは通常、上で説明した様にブチル又はハロゲン化ブチルゴム、及び、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレンープロピレン ジエンゴム、スチレンーブタジエンースチレン及びスチレンーイソプレンースチレン ブロックコポリマーを含む群から選択されるポリジエン及び部分的にハロゲン化されたポリジエンのコポリマーの組成物である。これらのポリジエンは、モノマーの重量%に基づき、ある実施の態様においては0.3重量%より大きく、他の実施の態様においては0.3から3重量%、更に他の実施の態様においては0.4から2.7重量%である。
ハロゲン化星状分枝ブチルゴムのある商業的な実施の態様は、Bromobutyl 6222 (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)である。そのムーニー粘度は27から37 (ML 1+8、125℃, ASTM 1646) 及び臭素含有量はハロゲン化星状分枝ブチルゴムに対して2.2から2.6重量%である。更に、Bromobutyl 6222の硬化特性は以下の通りである:MHは24から38 dN-m, MLは6から16 dN-m (ASTM D2084)。
ハロゲン化イソブチレンーパラ−メチルスチレンゴム
本発明のエラストマー性組成物はまた、イソブチレン及びアルキルスチレンコモノマーの様なC4からC7イソモノオレフィン、及び重量で少なくとも80重量%、代替的に、少なくとも90重量%のパラーアイソマーを含むパラーメチルスチレンの様なアルキルスチレン コモノマーを含む、少なくとも一つのランダムコポリマーを含んでも良く、任意選択的に、スチレンモノマー単位に存在する少なくとも一以上のアルキル置換基がベンジルハロゲン又は他の幾つかの官能基を持つ官能化されたインターポリマーを含む。
他の実施の態様においては、ポリマーはエチレン又はC
3 からC
6 α-オレフィン及び、重量に基づき少なくとも80%、代替的に少なくとも90%のパラーアイソマーを含むパラーメチルースチレンの様なアルキル スチレン コモノマーのランダムエラストマー性コポリマーであっても良く、任意選択的にスチレンモノマーに存在する少なくとも一以上のアルキル置換基がベンジルハロゲン又は幾つかの他の官能基を持つ官能化インターポリマーを含む。代表的な材料は、ポリマー鎖に沿いランダムに間をおいて配置された以下のモノマー単位を含むポリマーとして特徴付けても良い:
式中R及びR1は独立に水素、C1からC7の様な低級アルキル及び第一級又は第二級ハロゲン化アルキル、及びXはハロゲンの様な官能基である。ある実施の態様においては、R及びR1はそれぞれ水素である。ランダムポリマー構造中に存在する60モル%までを占めるパラー置換スチレンは、ある実施の態様においては、上の官能化された構造(2)であることもあり、他の実施の態様においては、0.1モル%から5モル%である。更に他の実施の態様においては、官能化された構造(2)の量は0.2から3モル%である。
官能基Xはハロゲン又はベンジル型ハロゲンを他の基、例えば、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、アミド及びイミド、ヒドロキシ、アルコキシド、フェノール塩、チオレート、チオエーテル、キサントゲン酸塩、シアン化物、シアン酸塩、アミノ及びこれらの混合物により求核置換反応させることにより組み入れられる他の官能基であることもある。これらの官能化されたイソモノオレフィン コポリマー、その生成方法、官能化の方法及び硬化については米国特許第5,162,445により具体的に記載されている。
ある実施の態様においては、エラストマーはイソブチレン及びパラーメチルスチレンのランダムポリマーを含み、パラーメチルスチレンは0.5から20モル%含む。ベンジル環に存在する60モル%までのメチル置換基は、臭素又は塩素原子、例えば、臭素原子(パラ(ブロモメチルスチレン))、並びにそれらの酸又はエステル官能化されたものを含む。
ある実施の態様においては、官能性は、ポリマー化合物が高温で混合される場合、そのマトリクスポリマーに存在する官能基、例えば、酸、アミド又はヒドロキシ官能基と反応し、又は極性結合を形成することができる様な規準で選択される。
ある実施の態様においては、ランダムコポリマーは本質的に均一な成分分布を持つため、ポリマーの少なくとも95重量%は、ポリマーの平均パラーアルキルスチレン含有量の10%の範囲内のパラーアルキルスチレン含有量を持つ。代表的なポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される5未満、代替的に、2.5未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)を持ち、代表的な粘度平均分子量は200,000 から2,000,000まで及び代表的な数平均分子量は25,000 から750,000である特徴を持つ。
ある実施の態様においては、臭素化されたポリ(イソブチレンーco-p-メチルスチレン)ポリマーは通常コポリマー中にモノマー由来単位全量との比較で0.1から5モル%のブロモメチルスチレン基を含む。他の実施の態様においては、ブロモメチル基の量は0.2から3.0モル%, 及び他の実施の態様においては、0.3から2.8モル%、及び更に他の実施の態様においては、0.4から2.5モル%、更に他の実施の態様においては、0.3から2.0モル%であり、望ましい範囲はこれらの任意の上限を任意の下限と組み合わせたものであっても良い。言い換えると、代表的なコポリマーは、ポリマーの重量に基づき臭素を0.2から10重量%、他の実施の態様においては、0.4から6重量%、他の実施の態様においては、0.6から5.6重量%含み、ポリマー骨格鎖に実質的に環状ハロゲン又はハロゲンを含まない。ある実施の態様においては、ランダムポリマーはC4からC7イソオレフィン由来の単位(又はイソモノオレフィン)、パラーメチルスチレン由来の単位及びパラ(ハロメチルスチレン)由来の単位のコポリマーであり、パラ(ハロメチルスチレン)由来の単位は、パラーメチルスチレンの全数量に基づきポリマー中に0.4から3.0 モル%存在し、ある実施の態様においては、パラーメチルスチレン由来の単位はポリマーの全重量に基づき3から15重量%存在し、及び他の実施の態様においては、4から10重量%で存在する。他の実施の態様においては、パラ(ハロメチルスチレン)はパラ(ブロモメチルスチレン)である。
本発明のハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレン ゴムの商業的実施の態様はEXXPRO(登録商標)エラストマー (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)があり、そのムーニー粘度(ML 1+8、125℃, ASTM D1646)は30から50、ハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレン ゴムとの対比で、p-メチルスチレン含有量が4から8.5重量%、及び臭素含有量が0.7から2.2重量%である。
上で検討したエラストマーはスラリー重合、典型的にはその混合物を含む塩素化炭化水素及び/又はフッ素化炭化水素の様なハロゲン化炭化水素を含む(例えば、WO 2004/058828, WO 2004/058827, WO 2004/058835, WO 2004/058836, WO 2004/058825, WO 2004/067577及びWO 2004/058829を参照)。
ブレンドに関するある実施の態様では、上で検討したエラストマーは少なくとも以下の一つと組み合わせても良い。
汎用ゴム
しばしば商品用ゴム(commodity rubber)と呼ばれる汎用ゴムは、通常、低いヒステリシス及び高い弾力性と共に、高力価及び良好な耐磨耗性を持つ任意のゴムであっても良い。これらのエラストマーは、熱及び酸素、特にオゾンに対して通常低い耐性しか持たないため、混合物化合物中に対分解剤を必要とする。これらは、RUBBER TECHNOLOGY COMPOUNDING AND TESTING FOR PERFORMANCE, 125ページ (Dick, 編集, Hanser, 2001)においてSchoolが記載する様に、特殊エラストマーに比べて販売価格が安いこと及び、大量に使用されるため、しばしば市場で容易に見つけることができる。
汎用ゴムの例には、天然ゴム(natural rubbers (NR)), ポリイソプレン ゴム(polyisoprene rubber (IR)), ポリ(スチレンーco―ブタジエン ゴム)(poly(styrene-co-butadiene) rubber (SBR)), ポリブタジエン ゴム(polybutadiene rubber (BR)), ポリ(イソプレンーco―ブタジエンゴム(poly(isoprene-co-butadiene rubber (IBR)), 及びスチレンーイソプレンーブタジエンゴム(styrene-isoprene- butadiene rubber (SIBR)), 及びこれらの混合物を含む。 エチレンープロピレン ゴム(Ethylene-propylene rubber (EPM)), 及びエチレンープロピレンージエン ゴム(ethylene-propylene-diene rubber (EPDM))及びこれらの混合物はまたしばしば汎用エラストマーと呼ばれる。
他の実施の態様においては、組成物はまた天然ゴムを含んでも良い。天然ゴムについては、RUBBER TECHNOLOGY, 179-208 ページ(Morton, 編集, Chapman & Hall, 1995)にSubramaniamが詳細に論じている。本発明の天然ゴムの望ましい実施の態様は、SMR CV, SMR 5, SMR 10, SMR 20,及び SMR 50及びこれらの混合物の様なマレーゴムから選択され、天然ゴムの100℃(ML 1+4)で測定したムーニー粘度は30から120、より好ましくは40から65であるのが良い。本明細書に記載のムーニー粘度試験はASTM D 1646により測定される。
他の実施の態様においては、エラストマー性組成物はまた。ポリブタジエンゴム(polybutadiene rubber (BR))を含んでも良い。ポリブタジエン ゴムの100℃(ML 1+4)で測定されたムーニー粘度は、35から70であり、他の実施の態様においては40から約65、更に他の実施の態様においては45から60であっても良い。本発明で有用なこれらの合成ゴムの商業的例には、商標名BUDENE(登録商標) (Goodyear Chemical Company, Akron, OH), BUNA(登録商標) (Lanxess Inc., Sarnia, Ontario, Canada)及びDiene(登録商標) (Firestone Polymers LLC, Akron, OH)で販売されているものがある。
その例は高cis-(ポリブタジエン(high cis- polybutadiene (cis-BR))がある。cis-ポリブタジエン(cis-polybutadiene)又は高 cis-ポリブタジエン(high cis-polybutadiene)の意味は、1,4-cis-ポリブタジエン (1,4-cis polybutadiene)が用いられ、cis成分が少なくとも95%あることを言う。高 cis-ポリブタジエン(high cis-polybutadiene)の商業製品の具体的な例は、BUDENE(登録商標)1207又はBUNA(登録商標)CB 23の組成物に用いられているものがある。
他の実施の態様においては、エラストマー性組成物はまたポリイソプレン ゴム(polyisoprene rubber(IR))を含んでも良い。ポリイソプレンの100℃ (ML 1+4)でのムーニー粘度は35から70であり、他の実施の態様においては40から約65、更に他の実施の態様においては、45から60であっても良い。本発明で有用なこれらの合成ゴムの商業的例にはNATSYN(登録商標)2200 (Goodyear Chemical Company, Akron, OH)がある。
他の実施の態様においては、エラストマー性組成物はまた、EPM 及び EPDMの様なエチレン及びプロピレン由来の単位のゴムを、好適な添加ゴムとして含んでも良い。EPDMを生成するための好適なコモノマーの例は、エチリデン ノルボルネン、1,4ヘキサジエンエン、ジシクロペンタジエンなどがある。これらのゴムはRUBBER TECHNOLOGY, 260-283ページ (1995)に記載されている。好適なエチレンープロピレンゴムはVISTALON(登録商標)(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)として、市場で調達可能である。
更に他の実施の態様においては、エチレン性組成物はエチレン/アルファーオレフィン/ジエン ターポリマーを含んでいても良い。アルファーオレフィンは、C3からC20のアルファーオレフィンよりなる群から選択され、プロピレン、ブテン及びオクテンが好ましく、プロピレンが最も好ましい。ジエン成分はC4 からC20ジエンよりなる群から選択される。好適なジエンの例は、直鎖、炭化水素ジエンオレフィン、又は6から15の炭素原子を持つシクロアルケニル置換アルケンを含む。具体的な例には、
(a) 1,4−ヘキサジエンエン及び1,6−オクタジエンの様な直鎖非環式ジエン;
(b) 5-メチル- 1,4-ヘキサジエン; 3, 7-ジメチル- 1,6-オクタジエン; 3,7- ジメチル-l,7-オクタジエンの様な分枝非環式ジエン;及びジヒドロミリセン(dihydromyricene)及びジヒドロオシネン(sihydroocinene)の様な混合異性体;
(c) 1,3 シクロペンタジエン; 1,4- シクロヘキサジエン; 1,5-シクロオクタジエン 及び1,5-シクロドデカジエンの様な単環脂環式ジエン;
(d) テロラヒドロインデン、メチル-テトラヒドロインデン;ジシクロペンタジエン(DCPD); バイシクロ-(2.2.1)-ヘプタ-2,5-ジエンの様なの様な多環脂環式融合、及び架橋環式ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及び5-メチレン -2-ノルボルネン (MNB), 5-ピロペニル-2-ノルボルネン, 5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、 5 -エチリデン-2 -ノルボルネン(ENB), 5 -(4-シクロペンテニル)-2 -ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン及び 5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の様なシクロアクキリデン ノルボルネン); (e) アリルシクロヘキセン、ビニル シクロオクテン、アリル シクロデセン、ビニル シクロドデセンの様なシクロアルケニル置換アルケンを含む。これらの例にはまたジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン, 5-メチレン-2-ノルボルネン、及び5-エチリデン-2-ノルボルネンを含む。ジオレフィンの例には、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン及び5-ビニル-2-ノルボルネンを含む。当業者がこれらのターポリマーをどの様に応用しているかについての更なる情報及び例については、米国特許第6,245,856を参照。
特殊ゴム
ある実施の態様においては、第二級エラストマーは、ブタジエンーアクリロニトリルゴム(NBR、又はニトリルゴム)、2−プロペンニトリル及び1,3−ブタジエンのコポリマー様な極性官能基を含む特殊ゴムである。ニトリルゴムは、ある実施の態様においては、10から50重量%のアクリロニトリルを含んでも良く、他の実施の態様においては、15から40重量%、更に他の実施の態様においては、18から35重量%含んでも良い。ムーニー粘度は、ある実施の態様においては(1+4, 100℃, ASTM D1646) 30から90、他の実施の態様においては、30から75であっても良い。これらのゴムは技術分野で良く知られており、例えば、HANDBOOK OF PLASTICS, ELASTOMERS, AND COMPOSITES 1.41-1.49 (Harper, 編集, McGraw-Hill, Inc. 1992)に記載されている。本発明で有用な合成ゴムの市販例には、BREON(登録商標)、NIPOL(登録商標)、SIVIC(登録商標)、及びZETPOL(登録商標)(Zeon Chemicals, Louisville, KY), EUROPRENE(登録商標)、N (Polimeri Europa Americas, Houston, TX), 及びKRYNAC(登録商標)、PERBUNAN(登録商標)、及びTHERBAN(登録商標)(Lanxess Corporation, Akron, OH)がある。
他の実施の態様においては、第二級エラストマーは、ハロゲン化又はカルボキシル化された又はスチレン化されたニトリルゴムの様なNBRの誘導体である。ブタジエンーアクリロニトリルースチレンゴム (SNBR, 又は "ABS" ゴム)、2−プロペンニトリル及び1,3−ブタジエン及びスチレンのコポリマーは、アクリルニトリルを、ある実施の態様においては10から40重量%、他の実施の態様においては15から30 重量%、更に他の実施の態様においては18から30重量%含んでも良い。SNBRコポリマーのスチレン含有量は、ある実施の態様においては15から40重量%、他の実施の態様においては18から30重量%、及び更に他の実施の態様においては20から25重量%であっても良い。ムーニー粘度は、ある実施の態様においては30から60 (1+4, 100℃, ASTM D1646)であり、他の実施の態様においては30から55であっても良い。これらのゴムはその技術分野で知られており、また例えば、HANDBOOK OF PLASTICS, ELASTOMERS, AND COMPOSITES 1.41-1.49 (Harper, 編集、McGraw-Hill, Inc. 1992)に記載されている。本発明で有用なこの合成ゴムの市販例には、KRYNAC(登録商標)(Lanxess Corporation, Akron, OH)がある。
更なる他の実施の態様においては、第二級エラストマーは、ポリクロロプレン(CR, 又はクロロプレンゴム)、2-クロロ-l,3-ブタジエンのホモポリマーの様なハロゲン基を含む特殊ゴムがある。ムーニー粘度は、ある実施の態様においては、30から110(1+4, 100℃, ASTM D1646)、他の実施の態様においては、35から75であることもある。これらのゴムはその技術分野で知られており、また例えば、HANDBOOK OF PLASTICS, ELASTOMERS, AND COMPOSITES 1.41-1.49 (Harper, 編集、McGraw-Hill, Inc. 1992)に記載されている。本発明で有用なこの合成ゴムの市販されている例には、商標名NEOPRENE(登録商標)(DuPont Dow Elastomers, Wilmington, DE), BUTACLOR(登録商標)(Polimeri Europa Americas, Houston, TX)及びBAYPREN(登録商標)(Lanxess Corporation, Akron, OH)がある。
半結晶性ポリマー
ある実施の態様においては、エラストマー性組成物は、その立体規則的プロピレン配列により中程度レベルの結晶性を持つ弾性ポリマーである少なくとも一つの半結晶性ポリマーを含んでいても良い。半結晶性ポリマーは(A)立体規則性が領域反転のような方法により中断されているプロピレンホモポリマー;(B)プロピレン立体規則性が少なくとも部分的にコモノマーにより中断されているランダムプロピレンコポリマー、又は(C)(A)及び(B)の組み合わせを含んでいても良い。
ある実施の態様においては、半結晶性ポリマーは更に、ブレンド組成物の加硫及び他の化合的修飾を助けるために非共役ジエンモノマーを含む。ポリマー中に存在するジエンの量は、好ましくは10重量%未満、及びより好ましくは5重量%未満であるのが良い。ジエンはこれに限定されないが、エチリデン ノルボルネン、ビニル ノルボルネン及びジシクロペンタジエンを含み、エチレンプロピレン ゴムの加硫に通常用いられる非共役ジエンであれば任意の物であってよい。
ある実施の態様においては、半結晶性ポリマーはプロピレン、及びエチレン及びC4- C12 α-オレフィン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのコモノマーのランダムコポリマーである。この実施の態様のある特定の特徴として、コポリマーはエチレン由来の単位をその下限の2重量%, 5重量%, 6重量%, 8重量%, 又は10重量% からその上限の20重量%, 25重量%, 又は28重量%の範囲で含む。この実施の態様ではまた、コポリマー中にプロピレン由来の単位をその下限の72重量%,75重量%,又は80重量% からその上限の98重量%, 94重量%, 92重量%又は90重量%の範囲で含んでも良い。これらの重量パーセントは、プロピレン及びエチレン由来の単位の全重量に基づくものであり、すなわち、プロピレン由来の単位の重量%及びエチレン由来の単位の重量%の合計を100%としたものに基づく。
ポリマーのエチレン組成物は以下の様にして測定することができる。薄い均質なフィルムが約150℃以上の温度でプレスされ、その後Perkin Elmer PE 1760赤外線分光光度計に置かれる。サンプルの600 cm-1 から4000 cm-1の全スペクトルが記録され、エチレンのモノマー重量パーセントは以下の等式により計算することができる:
エチレン重量%=82.585 -111.987X + 30.045 X2,
式中Xは1155 cm-1でのピーク、及び722 cm-1又は732 cm-1のピークでのより高い数値の比である。ポリマー中の他のモノマーの濃度はこの方法を用いて測定することができる。
個々の分子量範囲のコモノマー含有量は、GPCにより収集されたサンプルと連動させて、フーリエ変換赤外分光(Fourier Transform Infrared Spectroscopy (FTIR) )により測定することができる。その様な一つの方法はWheeler及びWillisのApplied Spectroscopy, 47巻, 1128-1130ページ (1993)に記載されている。異なるが同様の方法では、本目的のために同様に機能するものがあり当業者によく知られている。
ポリマーのコモノマー含有量及び配列分布は13C 核磁気共鳴分光計(nuclear magnetic resonance spectroscopy (13C NMR))により測定することができ、当業者によく知られている。
ある実施の態様においては、半結晶性ポリマーは狭い組成分布を持つランダムプロピレンコポリマーを含む。他の実施の態様においては、ポリマーは狭い組成分布を持ち、DSCにより決定される融点が25℃から100℃であるランダムプロピレンコポリマーである。コポリマーはランダムであると記載されるが、その理由はプロピレン、コモノマー及び任意選択的にジエンを含むポリマーは、コモノマー残基の数及び分布はモノマーのランダム重合と一致するからである。ステレオブロック構造では、お互いに隣接する任意の同種のブロックモノマー残基の数は、同様の組成のランダムコポリマーにおける統計的分布から予測されるものより大きい。ステレオブロック構造を持つ歴史的エチレンープロピレンコポリマーポリマーは、ポリマー中のモノマー残基の統計的ランダム分布よりも、これらのブロック構造(blocky structure)と一致するエチレン残基の分布を持つ。コポリマーの分子内組成分布(すなわち、ランダム性)は13C NMRにより決定しても良く、13C NMRはコモノマー残基を隣接するプロピレン残基との関係で位置付けする。コポリマーの分子内組成分布は溶媒中で熱分画により決定される。典型的な溶媒は不飽和炭化水素、例えば、へキサン又はヘキセンがある。熱分画の手順は以下に記述する。典型的には、コポリマーの約75重量%、 好ましくは85重量%が一又は二の隣接する可溶な画分として、残りはそれに直接先行し、又は後続する画分に分離される。これらの画分の各々は、その違いがコポリマーの平均コモノマー重量の20%を超えない(相対的)、好ましくは10%(相対的)を超えない組成(エチレン又はアルファ オレフィンの様な重量%コモノマー)を持つ。コポリマーは、上に記載の分画試験を満たす場合には、狭い組成分布をもつ。所望のランダム性及び狭い組成を持つコポリマーを生成するためには、(1)第一及び第二モノマー配列を単一の統計最頻度値の添加のみを許す単一部位メタロセンを用いる、及び(2)コポリマーが、コポリマーの実質的に全てのポリマー鎖に単一重合環境のみを与える連続フロー攪拌タンク重合反応器においてよく混合されるなら有益である。
ポリマーの結晶化度は融解熱により表すことができる。本発明の実施の態様ではDSCにより決定される融解熱がその下限が1.0 J/g, 又は3.0 J/gからその上限が50 J/g, 又は10 J/gのポリマーを含む。理論に捕われることは望まないが、本発明の実施の態様のポリマーは、通常アイソタクチックな、結晶可能なプロピレン配列を持つと信じられており、上の融解熱はこれらの結晶質部分の融解によるものと信じられている。
ポリマーの結晶化度はまた、結晶化度パーセントで表しても良い。ポリプロピレンの最大レベルの熱エネルギーは189 J/gであると予測される。すなわち、100%の結晶化度は189 J/gと等しい。したがって、上に述べた融解熱からポリマーはその上限が65%, 40%, 30%, 25%又は20%, その下限が1%, 3%, 5%, 7%又は8%の範囲内にあるポリプロピレンの結晶化度を持つ。
結晶化度のレベルはまた融点に反映される。本明細書で用いる「融点」(melting point)の用語は、上で検討した様に、DSCにより決定される第一次及び第二次ピークの内の最大ピークである。本発明のある実施の態様においては、ポリマーは唯一の融点を持つ。典型的には、プロピレンコポリマーのサンプルは、両方を合わせて単一の融点と考えられる第一のピークに隣接した第二のピークを示す。これらのピークの最大のものが融点と考えられる。好ましくはポリマーはDSCによる融点の上限が110℃、100℃, 90℃, 80℃又は70℃からその下限の0℃, 20℃, 25℃, 30℃, 35℃, 40℃又は45℃の範囲であるのが良い。典型的には、アルファーオレフィン コポリマー成分のサンプルは、第一のピークに隣接する第二の溶融ピークを示し;これらは一体として単一の融点と考えられる。ピークの最大は融点と考えられる。
半結晶性ポリマーはその重量平均分子量(Mw)が上限の5,000,000 g/モル, 1,000,000 g/モル又は500,000 g/モル, 下限が10,000 g/モル, 20,000 g/モル又は80,000 g/モル, 分子量分布Mw/Mn (MWD), これは時には多分散性指数(polydispersity index (PDI))と呼ばれるが、がその下限の1.5, 1.8又は2.0 から上限の40, 20, 10, 5又は4.5の範囲にある。
本明細書で用いるMw及びMWDは、米国特許第4,540,753号及びこれに引用される方法、又はVerstrate他、 「巨大分子」(Macromolecules), 21巻, 3360ページ (1988)に記載されている方法を含む種々の方法により決定することができる。これらの記載内容は米国での慣例従い、参照により本明細書に組み入れられる。
ある実施の態様においては、半結晶性ポリマーはML(I +4)、125℃でのムーニー粘度が100以下、75 以下, 60 以下又は30以下である。本明細書のムーニー粘度はML(I +4)、125℃でASTM D 1646に従い測定することができる。
本発明の実施の態様で使用される半結晶性ポリマーは立体規則性指数(tacticity index (m/r))はその下限が4から6、その上限8, 10又は12の範囲であり得る。本明細書でm/rと表される立体規則性指数は、13C核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance (13C NMR))により決定され、Cheng, Macromolecules, 17巻, 1950ページ (1984)に記載の様に計算される。「m」又は「r」の表示は、対になっている隣接するプロピレン基の空間的配置を示し、「m」はメソを、「r」はラセミを表す。m/r比が1.0は通常シンジオタクッチポリマーを表し、m/r比が2.0はアタクチック材料を表す。アイソタクチック材料は理論的には無限に近い比を持ち、副産物のアタクチックポリマーの多くはアイソタクチック含有量を十分含み、その結果、比は50より大きくなる。
ある実施の態様においては、半結晶性ポリマーはアイソタクチック、立体規則的プロピレンの結晶化度を持つ。本明細書で用いる「立体規則性」(stereoregular)の用語は、プロピレン中の、又は例えば、エチレンの様な任意の他のモノマーを除く衝撃コポリマーの様なブレンド中のポリプロピレン連続相中の圧倒的な数、例えば、80%より多くのプロピレン残基が同じ1,2挿入を持ち、及び側鎖メチル基の立体規則的配置が同じ、メソ又はラセミであることを言う。
本発明の実施の態様のプロピレン単位の立体規則性を表す付随的方法は、三つ組立体規則性(triad tacticity)を用いることとである。ポリマーの三つ組立体規則性は、頭―尾結合よりなる鎖である3つの隣接するプロピレン単位の配列の相対的立体規則性であり、m及びr配列の2成分の組み合わせとして表される。これは通常本発明のコポリマーを、特定の立体規則性を持つ単位の数の、コポリマー中の全てのプロピレン三つ組に対する比率として表される。
プロピレンコポリマーの三つ組立体規則性(mm割合)はプロピレンコポリマーの
13C NMRによるスペクトル及び次の式から決定することができる:
mm 割合 = PPP(mm)/(PPP(mm) + PPP(mr) + PPP(rr))
式中PPP(mm) 、PPP(mr) 及びPPP(rr)は頭―尾結合より成る以下の3つのプロピレン単位鎖中の2番目の単位のメチル基に由来のピーク領域を示す:
プロピレンコポリマーの13C NMRスペクトルは米国特許第5,504,172号に記載の様に測定される。メチル炭素領域(100万当り19-23部分(ppm))は第一の領域(21.2-21.9 ppm)、第二の領域(20.3-21.0 ppm)及び第三の領域(19.5-20.3 ppm)に分けることができる。スペクトル中の各ピークは「ポリマー」(Polymer)30巻, 1350ページ(1989)の論文を参照して決められた。第一の領域では、PPP (mm)で表される、3つのポリプロピレン単位鎖の第二の単位のメチル基が共鳴する。第二の領域では、PPP (mr)で表される、3つのポリプロピレン単位鎖の第二の単位のメチル基が共鳴し、及びその隣接する単位がプロピレン単位及びエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)が共鳴する(20.7 ppmの近辺)。第三の領域では、PPP (rr)で表される、3つのポリプロピレン単位鎖の第二の単位のメチル基が共鳴し、及びその隣接する単位がエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が共鳴する(19.8 ppmの近辺)。
三つ組立体規則性の計算については米国特許第5,504,172号に示す技術に概観される。第二及び第三の領域の全ピーク領域のピーク領域からプロピレン挿入による(2,1及び1,3の両方)ピーク領域の誤差を差引き、頭―尾結合よりなる3プロピレン単位鎖(PPP(mr) 及びPPP(rr))に基づくピーク領域を得ることができる。この様に、PPP(mm), PPP(mr)及びPPP(rr)のピーク領域を評価することができ、そして、頭―尾結合よりなる3プロピレン単位鎖の三つ組立体規則性を決定することができる。
半結晶性ポリマーは13C NMRにより測定した3つのプロピレン単位の三つ組立体規則性が75% 以上、80%以上, 82%以上、85%以上又は90%以上あることもある。
本発明のある実施の態様においては、半結晶性ポリマーはメルトフローレート(MFR)が5000 dg/分以下、代替的に300 dg/分以下、代替的に200 dg/分以下、代替的に100 dg/分以下、代替的に50 dg/分 以下、代替的に20 dg/分以下、代替的に10 dg/分以下、代替的に2 dg/分以下である。ポリマーのMFRはASTM D1238 (230℃, 2.16 kg)による。
ある実施の態様においては、本発明の半結晶性ポリマーは本発明のブレンド組成物中に、組成物の全重量に基づき、その下限の50重量%, 70重量%, 75重量%, 80重量%, 82重量%, 又は85重量%からその上限の99重量%, 95重量%, 又は90重量%の範囲で存在する。
ある実施の態様においては、本発明で用いる半結晶性ポリマーは、例えば、WO 00/69963, WO 00/01766, WO 99/07788, WO 02/083753に記載されており、WO 00/01745中の「プロピレン オレフィン コポリマー」(Propylene Olefin Copolymer)として更に詳細に記載されている。半結晶性ポリマーはVISTAMAXX(登録商標)特殊エラストマー (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)及びVERSIFY(登録商標)エラストマー(本明細書に記載のプロセスで生産されたものではない) (Dow Chemical Company, Midland, MI)で市販されている。
熱可塑性樹脂
他の実施の態様においては、エラストマー性組成物は少なくとも一つの熱可塑性樹脂を含んでも良い。本発明の実施に好適な熱可塑性樹脂は単独で又は組み合わせて用いても良く、窒素、酸素、ハロゲン、硫黄又は、ハロゲン又は酸性基の様な芳香族官能基と相互に作用しあうことのできる他の基を含む樹脂である。樹脂は、ある実施の態様においては、ナノ複合材料として30から90重量%のナノ複合材料で存在し、他の実施の態様においては40から80重量%、更に他の実施の態様においては、50から70重量%で存在する。更に他の実施の態様においては、樹脂は40重量%より大きいレベルのナノ複合材料、他の実施の態様においては、60重量%を超えるレベルのナノ複合材料で存在する。
好適な熱可塑性樹脂は、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂((acrylonitrile-butadiene-styrene resin)ABS)、ポリフェニレン酸化物(polyphenyleneoxide (PPO))、ポリフェニレン硫化物(polyphenylene sulfide (PPS))、ポリスチレン、スチレンーアクリルニトリル樹脂(styrene- acrylonitrile resins (SAN))、スチレン無水マレイン酸樹脂(styrene maleic anhydride resins (SMA))、芳香族ポリケトン(aromatic polyketones (PEEK, PED,及びPEKK) )及びこれらの混合物から選択される樹脂を含む。
好適な熱可塑性ポリアミド(ナイロン)は、ポリマー鎖内に反復性アミド単位を持つコポリマー及びタ−ポリマーを含む結晶質又は樹脂性、高分子固体ポリマーを含む。ポリアミドは、カプロラクタム、ピロリドン、ラウリルラクタム、及びアミノ アンデカン ラクタム又はアミノ酸、又は二塩基酸及びジアミンの縮合により生成されても良い。繊維形成及び成形グレード ナイロンの何れも好適である。その様なポリアミドの例には、ポリカプロラクタム(ナイロンー6)(polycaprolactam (nylon-6)), ポリラウリルラクタム(ナイロンー12)(polylauryllactam (nylon- 12)), ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロンー6,6)(polyhexamethyleneadipamide (nylon-6,6))、 ポリヘキサメチレンアゼルアミド(ナイロンー6,9)(polyhexamethyleneazelamide (nylon- 6,9)), ポリヘキサメチレンセバシンアミド(ナイロンー6,10)(polyhexamethylenesebacamide (nylon-6, 10)), ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロンー6,IP)(polyhexamethyleneisophthalamide (nylon-6, IP) 及び11−アミノーウンデカン酸(ナイロンー11)(11-amino-undecanoic acid (nylon- 11))の縮合生成物がある。条件を満たすポリアミド(特に軟化点が275℃より低いもの)のその他の例については16 ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY, P 1-105 (John Wiley & Sons 1968), CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND Technology, 748- 761ページ (John Wiley & Sons, 1990)及び10 ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY, 392-414 ページ(John Wiley & Sons 1969)に記載されているものがある。市販されている熱可塑性ポリアミドは本発明の実施で有利に用いることができ、軟化点及び融点が160℃から260℃の間である線状結晶質ポリアミドが好ましい。
使用することのできる好適な熱可塑性ポリエステルには、無水物脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸エステルの一つ又はその複合物及び一ジオール又はジオールの混合物のエステルを含む。条件を満たすポリエステルの例には、ポリ(トランスー1,4―シクロヘキシレンC2-6 コハク酸塩(poly(trans- 1,4-cyclohexylene succinate)及びポリ(トランスー1,4―シクロヘキシレン アジピン酸塩(poly (trans- 1,4-cyclohexylene adipate));
ポリ(トランスー1,4―シクロヘキシレン アルカン ジカルボン酸塩(poly (trans- 1,4-cyclohexylene C2-6 alkane dicarboxylate);
ポリ(シスー1,4―シクロヘキサンジメチレン)酸化物及び(poly(cis-l,4-cyclohexane-dimethylene) oxlate)及びポリ(シスー1,4―シクロヘキサンジメチレン)コハク酸(poly-(cis-l,4-cyclohexanedimethylene) succinate)の様なポリ(シス又はトランスー1,4―シクロヘキサンジメチレンアルカンジカルボン酸塩(poly (cis or trans- 1 ,4 cyclohexanedimethylene))alkanedicarboxylate);
ポリエチレンテレフタル酸塩(polyethyleneterephthalate) 及びポリテトラメチレンーテレフタル酸塩(polytetramethylene- terephthalate)の様なポリ(C2-4アルキレン テレフタル酸塩(poly (C2-4 alkylene terephthalates));
ポリエチレンイソフタル酸塩(polyethyleneisophthalate)及びポリテトラメチレンーイソフタル酸塩(polytetramethylene-isophthalate)及び同様な材料の様なポリ(C2-4 アルキレン イソフタル酸塩(poly (C2-4 alkylene isophthalate)を含む。
好ましいポリエステルは、ナフタレン又はフタル酸の様な芳香族ジカルボン酸及びポリエチレン テレフタル酸塩及びポリブチレン テレフタル酸塩の様なC2 からC4のジオールに由来のものがある。好ましいポリエステルは160℃から260℃の範囲の融点を持つであろう。
本発明で用いられるポリ(フェニレン エーテル)(Poly(phenylene ether))(PPE))熱可塑性樹脂は良く知られており、アルキル置換 フェノールの酸化カップリング重合により生成される市販の材料である。これらは一般に、ガラス転移温度が190℃から235℃の範囲の線状、非晶質高分子である。これらのポリマー、その調製方法及びポリスチレンを用いる組成物は、米国特許第3,383,435号に更に詳しく記載されている。
他の使用可能な熱可塑性樹脂には、セグメント化されたポリ(エーテル co-フタル酸塩の様な上に記載のポリエステルのポリカーボネート アナログ;ポリカプロラクトン ポリマー; アクリロニトリルを50モル%より少ない量で含むスチレンのコポリマー(SAN)及びスチレン、アクリロニトリル及びブタジエンの樹脂を含むコポリマー(ABS);ポリフェノール スルホンの様なスルフォン ポリマー;エチレン及びC2からC8 α-オレフィンのコポリマー及びホモポリマーを含み、ある実施の態様においては、プロピレン由来の単位のホモポリマー及び他の実施の態様においては、エチレン由来の単位及びプロピレン由来の単位のランダム コポリマー又はブロックコポリマー及び同様の技術分野で良く知られた熱可塑性樹脂を含む。
他の実施の態様においては、更に上に記載の任意の熱可塑性樹脂(また熱可塑性物質又は熱可塑性ポリマーと呼ばれる)を含む本発明の組成物は更に動的加硫されたアロイに成形される。
「動的加硫」の用語は、本明細書ではエンジニアリング樹脂及び加硫可能なエンジニアリング樹脂が高せん断条件下で加硫される、加硫プロセスを指すのに用いる。その結果、加硫可能なエラストマーは同時に架橋され、エンジニアリング樹脂マトリクス内の「ミクロ ゲル」の細かい粒子として分散する。
動的加硫は、ロールミル、バンベリー(登録商標)ミキサー、連続ミキサー、混練機又は混合押出機、例えば、2軸押出機の様な機器中でエラストマーの硬化温度又はそれより高い温度で成分を混合することにより実施される。動的加硫された組成物の特有の特徴は、エラストマー組成物が十分硬化されているにもかかわらず、組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の従来のゴム加工技術により加工及び再加工が可能であることである。スクラップ及びバリは集めて再加工することが出来る。
本発明のDVAで有用な特に好ましい熱可塑性ポリマーには、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリルニトリルーブタジエンースチレン樹脂(acrylonitrile-butadiene-styrene resins(ABS))、ポリフェニレン酸化物(polyphenyleneoxide (PPO))、ポリフェニレン硫化物(polyphenylene sulfide (PPS))、スチレンーアクリルニトリル樹脂(styrene- acrylonitrile resins (SAN))、ポリイミド、スチレン無水マレイン酸樹脂(styrene maleic anhydride resins (SMA))、芳香族ポリケトン(aromatic polyketones (PEEK, PED,及びPEKK) )及びこれらの混合物よりなる群から選択されるエンジニアリング樹脂を含む。好まくはエンジニアリング樹脂はポリアミドである。より好ましいポリアミドはナイロン6及びナイロン11である。好ましくはエンジニアリング樹脂は、ポリマーブレンドに基づき、約10から98重量%存在するのが好適であり、好ましくは約20から95重量%存在するのが良く、エラストマーは2から90重量%、好ましく約は5から80重量%存在するのが良い。
好ましくはエラストマーは、組成物中にエンジニアリング樹脂中に分散した粒子として存在するのが良い。
ある好ましい実施の態様においては、エラストマーは、ポリ(イソブチレンーco−アルキルスチレン)、好ましくはポリ(イソブチレンーco−p―メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレンーco−アルキルスチレン)、好ましくはハロゲン化 ポリ(イソブチレンーco−p―メチルスチレン)、星状分枝ブチルゴム、ハロゲン化星状分枝ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及びこれらの混合物から選択されるのが良い。好ましい他の実施の態様においては、エラストマーはブロモブチルゴム又はクロロブチルゴムを含む。
エラストマーはエラストマー性組成物中に、ある実施の態様においては90 phrまでの範囲で、他の実施の態様においては50 phrまで、更に他の実施の態様においては40 phrまで、更に他の実施の態様においては30 phrまで存在することもある。
他の実施の態様においては、エラストマーは少なくとも2 phr、他の実施の態様においては少なくとも5 phr、更に他の実施の態様においては少なくとも10 phrで存在しても良い。望ましい実施の態様は、これらの任意の下限と任意の上限を組み合わせたものの全てを含んでも良い。
他の実施の態様においては、エラストマーは、個々に又はエラストマーのブレンド(すなわち、反応器ブレンド、溶融混合の様な物理的ブレンド)は、組成物の所望の最終使用目的に応じて、ある実施の態様においては組成物中に5から90 phrで存在し、他の実施の態様においては10から80 phr、更に他の実施の態様においては30から70 phr、更に他の実施の態様においては40から60 phr、更に他の実施の態様においては5から50 phr、更に他の実施の態様においては5から40 phr、更に他の実施の態様においては20から 60 phr、更に他の実施の態様においては20から50 phrで存在しても良い。
エラストマー性組成物はまた、少なくとも一以上の他のエラストマーを含んでも良い。これらのエラストマーは他の材料又はポリマーと組み合わせても良い。
ある実施の態様において適用可能な場合は、本発明の実施で用いられるエラストマーは線状、実質的に線状、ブロック状又は枝分かれをしていても良い。
エラストマー性組成物はまた、以下にさらに詳細に検討する様に、他の種々の成分を含むこともあり、究極に最終使用商品に成形される硬化エラストマー性組成物を成形する様、任意選択的に硬化しても良い。
プラストマー(plastomer)
本発明で有用なプラストマーは、密度が0.85から0.915 g/cm3及びメルトインデクス(MI)が0.10 から30 dg/分の間のポリオレフィンコポリマーと表すことができる。ある実施の態様においては、有用なプラストマーはエチレン由来の単位及び少なくとも一つのC3からC10のアルファ オレフィン由来の単位のコポリマーであり、コポリマーは0.915 g/cm3未満の密度を持つ。プラストマー中に存在するコモノマー(C3からC10のアルファ オレフィン由来の単位)は、ある実施の態様においては2から35重量%、他の実施の態様においては5から30重量%、他の実施の態様においては、15から25重量%、更に他の実施の態様においては20から30重量%である。
本発明で有用なプラストマーは、ある実施の態様においては、メルトインデックス(MI)が0.1から20 dg/分 (ASTM D1238; 190℃, 2.1 kg)の間、他の実施の態様においては0.2から10 dg/分、更に他の実施の態様においては0.3から8 dg/分である。有用なプラストマーの平均分子量は、ある実施の態様においては、10,000から800,000他の実施の態様においては20,000から700,000の範囲である。有用なプラストマーの1%割線曲げ弾性率(ASTM D790)は、ある実施の態様においては10 MPaから150Mpa、他の実施の態様においては20 MPaから100 Mpaである。更に本発明で有用なプラストマーは、融点(Tm)が、ある実施の態様においては50℃から62℃(第一のピーク)及び65℃から85℃(第二のピーク)、他の実施の態様においては52℃から60℃(第一のピーク)及び70℃から80℃(第二のピーク)である。
本発明で有用なプラストマーは、エチレン由来の単位及び、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンの様な高級アルファ オレフィン由来の単位の、メタロセン触媒により生成されるコポリマーであり及びある実施の態様においては0.860及び0.900 g/cm3の密度を持つ様に一以上のこれらのコモノマーを十分含む。望ましいプラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は、ある実施の態様においては2から5、他の実施の態様においては2.2から4の範囲である。市場で入手可能なプラストマーの例にはEXACT(登録商標)4150(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)があり、これはエチレン及び1−ヘキセンのコポリマーであり、1−ヘキセン由来の単位はプラストマーの18から22重量%を占め、0.895 g/cm3 の密度、3.5 dg/分のMIを持ち、及びEXACT(登録商標)8201(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)があり、これはエチレン及び1−オクテンのコポリマーであり、1−オクテン由来の単位はプラストマーの26から30重量%を占め、0.882 g/cm3 の密度、1.0 dg/分のMIを持つ。
加工助剤
機能性ポリマー(Functionalized Polymer)
本発明はエラストマー性組成物を生成するプロセスを提供し、該プロセスは少なくとも一つのエラストマーを加工助剤と接触させえることを含み、加工助剤は少なくとも一つのハロゲン基を持つ少なくとも一つの機能性ポリマーを含む。ハロゲンは、例えば、臭素又は塩素であっても良い。ある実施の態様においてはハロゲンはフッ素ではない。機能性ポリマー中のハロゲンのモル%は0.1から10.0モル%の範囲、代替的に0.25から5.0モル%、代替的に0.5から2.5モル%であっても良い。
機能性ポリマーは、任意の非機能性ポリマーより、ハロゲン化反応、又は「ene」化反応、又は当業者に良く知られているラジカルグラフト反応により調製しても良い。代替的に、機能性ポリマーはハロゲン基を用いて一以上のモノマーを重合することにより調製しても良い。
ある実施の態様においては、機能性ポリマーは、一以上のオレフィン、アルファ オレフィン、二置換オレフィン、イソオレフィン、共役ジエン、非共役ジエン、スチレン類及び/又は置換スチレン類及びビニルエーテルを含むモノマーから重合されるポリマー由来のものでも良い。例えば、モノマーは2から20炭素原子を含み、代替的に、2から12、及び代替的に、4から10炭素原子を含んでも良い。
ある実施の態様においては、機能性ポリマーはC2-C12 のアルファオレフィン由来の単位を含む。
ある実施の態様においては、機能性ポリマーはC4-C10のアルファオレフィン由来の単位を含む。
更に他の実施の態様においては、機能性ポリマーはイソブチレン由来の単位を含む。
上に記載の加工助剤は、ゲル透過クロマトグラフィーにより決定される数平均分子量(Mn)が、ある実施の態様においては、10,000未満、他の実施の態様においては、8000未満、更に他の実施の態様においては、6000未満であることもある。ある実施の態様においては、加工助剤は、数平均分子量が400より大きく、他の実施の態様においては700より大きく、更に他の実施の態様においては900より大きい。
好ましい実施の態様においては、上に記載の分子量の下限とその上限の任意の組合せであり得る。例えば、ある実施の態様においては、加工助剤の数平均分子量は400から10,000、及び他の実施の態様においては700から8000、更に他の実施の態様においては900から3000であっても良い。
加工助剤の典型的な粘度(ASTM D445)は、ある実施の態様においては100℃で10から6000 cSt (centiStokes)であり、他の実施の態様においては100℃で35から 5000 cSt、更に他の実施の態様では100℃で35 cStより大きく、更に他の実施の態様において100℃で100 cStより大きい。
ある実施の態様においては、加工助剤は数平均分子量(Mn)が450から5,000; 代替的に500から2,500; 代替的に900から2,500; 代替的に約1,000; 代替的に約1,300; 及び代替的に2,300であっても良い。
更に他の実施の態様においては、加工助剤の粘度は、ある実施の態様においては100℃で10から6000 cSt (centiStokes)、他の実施の態様においては100℃で35から5000 cStであっても良い。他の実施の態様においては、粘度は100℃で35 cStより大きく、他の実施の態様においては100℃で100 cStより大きい。
エラストマー性組成物は、ある実施の態様においては、加工助剤を1から60 phr含み、他の実施の態様においては2から40 phr、他の実施の態様においては 3から35 phr、更に他の実施の態様においては4から30 phr、更に他の実施の態様においては2から10 phr、更に他の実施の態様においては3から25 phr、更に他の実施の態様においては2から20 phr含み、又はこれらを用いて生成され、望ましい加工助剤の範囲は、これらの任意の下限をその任意の上限と組合せた任意の範囲であっても良い。
ある実施の態様においては、加工助剤又はエラストマー性組成物は芳香族基又は不飽和を含まない。
他の実施の態様においては、加工助剤又はエラストマー性組成物は、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系オイル又はこれらの混合物を含まない、又は実質的に含まない又は汚染レベル程にしか含まない。本明細書で用いる「実質的に含まない」は、1,000 ppm未満、代替的に800 ppm未満、代替的に500 ppm未満、代替的に250 ppm未満、代替的に100 ppm未満、代替的に75 ppm未満、代替的に50 ppm未満、代替的に20 ppm未満、代替的に15 ppm未満、代替的に10 ppm未満、及び代替的に5 ppmであることを言う。
更に他の実施の態様においては、加工助剤又はエラストマー性組成物は、以下に述べる様な他の成分を含んでも良い。
ポリブテン
本発明のある特徴として、ポリブテン加工オイルはエアバリアー組成物に存在することもある。本発明のある実施の態様においては、ポリブテン加工オイルは、ある実施の態様においては3から8の炭素原子を持つオレフィン由来の単位、他の実施の態様においては好ましくは4から6の炭素原子を持つ低分子量(15,000 Mn未満)のホモポリマー又はコポリマーであるのが良い。更に他の実施の態様においては、ポリブテンは、C4ラフィネートのホモポリマー又はコポリマーである。その様な低分子量ポリマーの実施の態様で「ポリブテン」ポリマーと呼ばれているものは、例えば、SYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS 、357-392ページ (Rudnick & Shubkin編纂, Marcel Dekker 1999) に記載されている (以下「ポリブテン加工オイル」 又は「ポリブテン」と呼ぶ)。
本発明のある実施の態様においては、ポリブテン加工オイルは少なくともイソブチレン由来の単位、1−ブテン由来の単位、及び2−ブテン由来の単位のコポリマーである。ある実施の態様においては、ポリブテンはホモポリマー、コポリマー、又は三つの単位のタ−ポリマーであり、イソブチレン由来の単位がコポリマーの40から100重量%、1−ブテン由来の単位はコポリマーの0から40重量%、及び2−ブテン由来の単位はコポリマーの40から100重量%である。他の実施の態様においては、ポリブテンはコポリマー、又は三つの単位のタ−ポリマーであり、イソブチレン由来の単位はコポリマーの40から99重量%、1−ブテン由来の単位はコポリマーの2から40重量%、2−ブテン由来の単位はコポリマーの0から30重量%である。
更に他の実施の態様においては、ポリブテンは三つの単位のタ−ポリマーであり、イソブチレン由来の単位はコポリマーの40から96重量%、1−ブテン由来の単位はコポリマーの2から40重量%、2−ブテン由来の単位はコポリマーの2から20重量%である。更に他の実施の態様においては、ポリブテンはイソブチレン及び1−ブテンのホモポリマー、又はコポリマーであり、イソブチレン由来の単位はホモポリマー又はコポリマーの65から100重量%、1−ブテン由来の単位はコポリマーの0から35重量%である。
本発明で有用なポリブテン加工オイルは典型的には、ある実施の態様においては数平均分子量(Mn)が10,000未満、他の実施の態様においては8000 未満、他の実施の態様においては6000未満である。ある実施の態様においては、ポリブテンオイルは数平均分子量(Mn)が400より大きく、他の実施の態様においては700 より大きく、更に他の実施の態様においては900より大きい。好ましい実施の態様においては、これらの分子量の下限をその上限と組み合わせた何れの分子量のものであっても良い。例えば、本発明のポリブテンのある実施の態様においては、ポリブテンは数平均分子量が400から10,000, 他の実施の態様においては700から8000、更に他の実施の態様においては900から3000である。ポリブテン加工オイルの有用な粘度は、ある実施の態様において100℃で10から6000 cSt (centiStokes)、他の実施の態様において100℃で35から5000 cSt 、更に他の実施の態様においては、100℃で35 cStより大きく、更に他の実施の態様においては100℃で100 cStより大きい。
その様な加工オイルで市販されている例には、PARAPOL(登録商標)450, 700, 950, 1300, 2400 及び2500の様なPARAPOL(登録商標)加工オイルのシリーズ(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX); ORONITE(登録商標)(ChevronTexaco, New Orleans, LA); DAELIM POLYBUTENE(登録商標)(Daelim Industrial Co., Ltd., Korea); INDOPOL(登録商標)(Innovene USA LLC, Lisle, IL); TPC PIB (Texas Petrochemicals, Houston, TX)がある。
市販されているPARAPOL(登録商標)加工オイルのシリーズは、合成液状ポリブテンであり、各製剤はある分子量を持ち、その製剤は全て本発明の組成物に用いることができる。ゲル透過クロマトグラフィーにより決定されるPARAPOL(登録商標)オイルの分子量は420 Mn (PARAPOL(登録商標)450)から2700 Mn (PARAPOL(登録商標) 2500)である。
PARAPOL(登録商標)オイルのMWDは、ある実施の態様においては1.8から3、他の実施の態様においては2から2.8の範囲である。
以下の表は本発明の実施の態様で有用なPARAPOL(登録商標)オイルの特性の幾つかを示す。粘度はASTM D445により決定され、分子量はゲル浸透クロマトグラフィーによる。
PARAPOL(登録商標)加工助剤の他の特性は以下の通りである:
PARAPOL(登録商標)加工助剤の密度(g/mL)は約0.85 (PARAPOL(登録商標)450) から0.91 (PARAPOL(登録商標) 2500)の範囲で変わる。PARAPOL(登録商標)オイルの臭素価(bromine number (CG/G))は450 Mn加工オイルの40から、2700 Mn加工オイルの8までの範囲である。
本発明のエラストマー性組成物は一以上の種類のポリブテンを混合物として含んでいても良く、これらはエラストマーに添加する前に、又は添加と同時にブレンドされても良い。ポリブテン加工オイル混合物の量及び密度(例えば、粘度、Mn等)はこの様な方法で変えることができる。この様にPARAPOL(登録商標)450は、本発明の組成物において低粘度が所望される場合に使用することができ、他方、他の異なる粘度又は分子量を得るため、より高い粘度又はその組成物が所望される場合には、PARAPOL(登録商標)2500を使用することができる。より具体的に言えば、「ポリブテン加工オイル」の用語は、本明細書にその開示されている範囲で、任意の所望の粘度又は分子量(又は他の特性)を得るために使用される単一のオイル又は2以上のオイルの組成物を含む。
ポリブテン加工オイル又はその2以上のオイルは、本発明のエラストマー性組成物中に、ある実施の態様においては1から60 phr、他の実施の態様においては2から40 phr、他の実施の態様においては4から35 phr、更に他の実施の態様においては5から30 phr、更に他の実施の態様においては2から10 phr、更に他の実施の態様においては5から25 phr、更に他の実施の態様においては2から 20 phrで存在し、ポリブテンの所望の範囲は本明細書に記載の任意の下限値をその任意の上限値と組み合わせたものであっても良い。好ましくはポリブテン加工オイルは芳香族基又は不飽和をもたないのが良い。
本発明のポリオレフィン組成物は、非官能性プラスタイザー(non- functionalized plastizer ("NFP"))を含む。本発明のNFPは炭素及び水素を含む化合物であり、水酸化物、アリール、及び置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボン酸塩、エステル、不飽和炭素、アクリレート、酸素、窒素及びカルボキシルより選択される相当量の範囲の官能基を含まない。「相当量の範囲」の意味は、これらの基及びこれらの基を含む化合物は意図的にNFPに添加されず、もし存在したとしても、ある実施の態様においては重量NFPの5重量%未満、他の実施の態様においては1 重量%未満、更に他の実施の態様においては0.5 重量%未満である。
ある実施の態様においては、NFPはC6からC200パラフィン、他の実施の態様においてはC8からC100パラフィンより成る。他の実施の態様においてはNFPは基本的にC6からC200 パラフィンより成り、他の実施の態様においては、C8からC100パラフィンより成る。本発明の目的との関係及び本明細書の記載では「パラフィン」の用語は、n−パラフィン、分枝パラフィン、イソパラフィンの様な全ての異性体を含み、及び多くの環状脂肪族種及びそのブレンドを含んでいることもあり、本明細書に記載の所望のNFPの要件を満たす様に、技術分野で知られている方法により又は精製原油から合成されることもある。NFPとして有用な本明細書に記載の種類の材料は、所望の特性を得るために、単独で用いることも、又は本明細書に記載の他のNFPを添加して用いても良い。
NFPは本発明のポリオレフィン組成物中に、ある実施の態様においては0.1から60重量%で存在してもよく、他の実施の態様においては0.5から40重量%、更に他の実施の態様においては1から20重量%、及び更に他の実施の形態においては2から10重量%で存在してもよく、望ましい範囲はこれらの任意の下限値をその任意の上限値と組み合わせたものであっても良い。
NFPはまた、本明細書に記載のパラメータの任意の数、又はその組み合わせにより記載することができる。ある実施の態様においては、本発明のNFPは、ある実施の態様においては、0℃未満の流動点(pour point)を持ち、他の実施の態様においては-5℃未満、他の実施の態様においては-10℃未満、更に他の実施の態様においては-20℃未満、更に他の実施の態様においては-40℃未満、更に他の実施の態様においては-50℃未満、更に他の実施の態様においては-60℃未満、更に他の実施の態様においては-120℃より大きく、更に他の実施の態様においては-200℃より大きく、望ましい範囲はこれらの任意の上限と任意の下限を組み合わせたものを含む。ある実施の態様においては、NFPは-30℃未満の、及び他の実施の態様においては-30℃及び-90℃の間の流動点を持ち、粘度が40℃(ASTM D445)において0.5から200 cStの範囲であるパラフィン又は他の化合物である。殆んどの鉱油は、通常芳香族小部分及び他の官能基を含むが、同じ粘度範囲で10℃から-20℃の流動点を持つ。
NFPは20℃での誘電率が、ある実施の態様においては3.0未満、他の実施の態様において2.8未満、他の実施の態様において2.5未満、他の実施の態様において2.3未満、更に他の実施の態様において2.1未満であることもある。
ポリエチレン及びポリプロピレンは、それぞれ少なくとも2.3の誘電率(1 kHz, 23℃)を持つ(CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY AND PHYSICS (Lide, 編纂. 82版. CRC Press 2001))。
NFPは100℃での粘度(ASTM D445)が0.1から3000 cStであり、他の実施の態様においては100℃で0.5から1000 cSt、他の実施の態様においては100℃で1から250 cSt及び他の実施の態様においては100℃で1から200 cSt及び更に他の実施の態様においては100℃で10から500 cStであり、望ましい範囲はこれらの粘度の任意の上限値を任意の下限値と組み合わせたものを含んでも良い。
NFPは、ある実施の態様においては比重(ASTM D4052, 15.6/15.6℃)が0.920 g/cm3 未満、他の実施の態様においては0.910 g/cm3 未満、他の実施の態様においては0.650から0.900 g/cm3、他の実施の態様においては0.700から0.860 g/cm3、他の実施の態様においては0.750から0.855 g/cm3、他の実施の態様においては0.790から0.850 g/cm3、他の実施の態様においては0.800から0.840 g/cm3 であり、望ましい範囲はこれらの比重の任意の上限値を任意の下限値と組み合わせたものを含んでも良い。
NFPは、ある実施の態様においては沸点が100℃から800℃であり、他の実施の態様においては200℃から600℃、更に他の実施の態様においては250℃から500℃である。
更にNFPは重量平均分子量(GPC又はGC)が、20,000 g/モル未満、他の実施の態様においては10,000 g/モル未満、他の実施の態様においては5,000 g/モル未満、他の実施の態様においては4,000 g/モル未満、他の実施の態様においては2,000 g/モル未満、他の実施の態様においては500 g/モル未満、他の実施の態様においては100 g/モル未満であり、望ましい範囲はこれらの分子量の任意の上限値を任意の下限値と組み合わせたものを含んでも良い。
本発明のポリオレフィンにNFPとして好適な化合物は、所謂「イソパラフィン」、「ポリアルファオレフィン」(polyalphaolefms (PAO))及びポリブテン(PAOのサブグループ)の様な市販されている化合物から選択しても良い。これらの3つの種類の化合物はパラフィンとして記載することができ、パラフィンには分枝、環状、及び通常の構造及びそれらのブレンドを含んでも良い。これらのNFPは、ある実施の態様においてはC6 からC200パラフィンを含んでも良く、他の実施の態様においてはC8 からC100パラフィンを含んでも良い。
イソパラフィン
所謂「イソパラフィン」は以下の様に記載される。これらのパラフィンは、望ましくはイソパラフィンであるのが良く、これはパラフィン鎖が各パラフィン鎖の少なくとも一部と共に、C1からC10アルキル分枝を持つことを意味する。C6からC200パラフィンは、ある実施の態様においてはC6からC25イソパラフィンを含み、他の実施の態様においてはC8からC20イソパラフィンを含んでも良い。
より具体的には、イソパラフィンは飽和脂肪族炭化水素でありその分子は少なくとも一つの炭素原子が少なくとも3つの他の炭素原子又は少なくとも一つの側鎖(すなわち、一以上の第3級、又は第4級炭素原子を持つ分子)を持ち、好ましくは分子当りの全炭素原子数が、6から50,他の実施の態様においては10から24、更に他の実施の態様においては10から15の範囲であるのが良い。各炭素数を持つ種々の異性体が通常存在する。イソパラフィンはまた、通常イソパラフィンの少量の成分として、分枝側鎖を持つシクロパラフィンを含んでも良い。これらのイソパラフィンの密度(ASTM D4052, 15.6/15.6℃)は0.70から0.83 g/cm
3の範囲、流動点はある実施の態様においては-40℃未満、他の実施の態様においては-50℃未満であり、粘度(ASTM 445, 25℃)は25℃で0.5から20 cSt、平均分子量が100から300 g/モルの範囲である。イソパラフィンは、商標名ISOPAR (ExxonMobil Chemical Company, Houston TX)で市販されており、例えば、米国特許第6,197,285号、米国特許第3,818,105号、及び 米国特許第3,439,088号に記載されており、イソパラフィンのISOPAR(登録商標)シリーズとして市販されている。
他の実施の態様においては、イソパラフィンは、分子中に6から50の炭素原子を持ち、及び他の実施の態様においては10から24の炭素原子を持つパ分枝及び通常のラフィンの混合物である。イソパラフィン組成物は、分枝パラフィン:n−パラフィンの比率が、ある実施の態様においては0.5:1から9:1、他の実施の態様においては1 :1から4:1の範囲である。この実施の態様の混合物のイソパラフィンは50重量%より多い(イソパラフィン組成物の全重量により)モノメチル種、例えば、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−メチル等を含み、混合物中のイソパラフィンの全重量に基づき、1より多い炭素数の置換基、例えば、エチル、プロピル、ブチル等を持つ最小の分枝構成を持つ。ある実施の態様においては、混合物中のイソパラフィンは、混合物中のイソパラフィンの全重量に基づき、70重量%より多いモノメチル種を含む。イソパラフィン混合物は、ある実施の態様においては100℃から350℃の範囲内で沸騰し、他の実施の態様においては100℃から320℃の範囲内で沸騰する。異なるグレードを調製する場合、パラフィン混合物は通常狭い沸騰範囲、例えば、35℃の沸点範囲を持つカットに分画させる。これらの分枝パラフィン/n―パラフィンブレンドは、例えば、米国特許第5,906,727号に記載されている。
他の好適なイソパラフィンはまた、商標名SHELLSOL(登録商標)(Royal Dutch/Shell Group of Companies),SOLTROL(登録商標)(Chevron Phillips Chemical Co. LP) 及びSASOL(登録商標) (Sasol Limited, Johannesburg, South Africa)で市場で購入が可能である。市販されている例には、SHELLSOL TM (沸点 = 215-260℃), SOLTROL 220 (沸点 =233-280℃),及びSASOL LPA-210及びSASOL-47 (沸点= 238-274℃)がある。
ポリアルファオレフィン
本発明のNFPとして好適なパラフィンはまた、以下に説明する所謂ポリアルファオレフィン(PAO)を含む。本発明で有用なPAOはC6からC200 パラフィン、及び他の実施の態様においてはC10からC100 n-パラフィンを含む。PAOはある実施の態様においてはC4からC12アルファオレフィンの二量体、三量体、四量体、五量体等であり、他の実施の態様においてはC5からC12アルファオレフィンの二量体、三量体、四量体、五量体等である。好適なオレフィンには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン及び1−ドデセンを含む。ある実施の態様においては、オレフィンは1−デセンであり、NFPは1−デセンの二量体、三量体、四量体、五量体(及びより高次の量体)の混合物である。PAOについては米国特許第5,171,908号及び米国特許第5,783,531号及びSYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS, 1-52ページ (Rudnick & Shubkin, 編纂 Marcel Dekker, Inc. 1999)により具体的に記載されている。
本発明のPAOは、ある実施の態様においては重量平均分子量が100から20,000であり、他の実施の態様においては200から10,000、更に他の実施の態様においては200から7,000、更に他の実施の態様においては200から2,000、更に他の実施の態様においては200から500である。通常、PAOは粘度が100℃で0.1から150 cSt、他の実施の態様においては100℃で0.1から3000 cSt(ASTM D445)である。本発明で有用なPAOは、他の実施の態様においては流動点が0℃未満、他の実施の態様においては-10℃未満、更に他の実施の態様においては-20℃未満、更に他の実施の態様においては-40℃未満である。望ましいPAOはSHF及びSuperSyn PAOs (ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)として市場より購入可能である。
他の加工助剤にはエステル、ポリエーテル及びポリアルキレン グリコールを含む。
他の加工助剤は本発明のエラストマー性組成物の製造工程に存在しても、あるいは使用されても良い。加工助剤には、可塑剤、粘着付与剤、増量剤、化学調整剤、均質剤及びメルカプタンの様な解膠剤(peptizer)、石油及び加硫植物油、鉱油、パラフィン油、ポリブテン助剤、ナフテン系油、芳香油、ワックス、樹脂、ロジン等を含むがこれに限定されるものではない。
その粘度指数、及び含まれる飽和及び硫黄の量により特徴付けられるある鉱油は、 米国石油協会(API)の炭化水素 ベースストック グループI,II,又はIIIとして分類されている。グループIベースストックは溶媒の精製鉱油である。これらは最も多くの不飽和化合物及び硫黄を含み、最も粘度指数が低い。
グループII及びIIIは高粘度指数を持ち、非常に高い粘度指数の鉱油である。これらは水素化処理された鉱油である。グループIIIはグループIの油よりも不飽和化合物及び硫黄の含有が少なく、グループIIの油よりも高い粘度指数を持つ。「Synthetic Lubricants and High-Performance Functional Fluids」第二版、Rudnick, Shubkin, 編纂, Marcel Dekker, Inc. New York, 1999 でRudnick 及びShubkinは鉱油を、典型的に以下の様に記す:
グループI−硫黄レベルが0.03重量%より多く、飽和レベルが60から80 %、及び粘度指数が約90の鉱油を生成するために硫黄含有を低下させる様に、芳香族の溶剤抽出、溶剤脱ろう、水素化精製を用いて精製された鉱油;
グループ II―従来の芳香族の溶剤抽出、溶剤脱ろう、及び硫黄レベルを0.03 重量%より低くするために、より厳格な条件で水素精製し、及びオレフィン及び芳香族化合物のあるものから二重結合を除いた中程度に水素化分解された鉱油であり、飽和レベルは95-98%より大きく、及びVI(viscosity index)は約80-120である。
グループIII−厳格な条件で水素処理された鉱油であり、ある油では飽和レベルが実質的に100%、硫黄含有量は0.03重量%以下(好ましくは0.001及び0.01%の間)VIは120を超える。
加工助剤は通常、ある実施の態様においては、1から70 phr、 他の実施の態様においては3から60 phr、更に他の実施の態様においては、5から50 phrの範囲で製造プロセスに存在し又は使用される。
本発明のある実施の態様においては、パラフィン系、ナフテン系及び/又は芳香油は実質的に存在しない。すなわち、これらは意図的に組成物に添加されず、又は代替的に、もし存在するとしてもエアーバリアーを作るために使用される組成物の0.2重量%までである。
充填剤
エラストマー性組成物は一以上の充填成分を持ち、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、粘土及び剥離する又はしない他のケイ酸塩、マイカ、タルク、二酸化チタン、及び黒鉛の様な一以上の充填剤成分を含んでも良い。
本発明の充填剤は任意のサイズ及び典型的には、例えば、約0.0001μmから約100 μmの範囲であっても良い。本明細書に記載の様に、シリカは、未処理、沈殿シリカ、結晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミニウムケイ酸塩、又はカルシウムケイ酸塩、ヒュームド シリカ(fumed silica)等を含み、溶液、熱分解又は同様の方法により加工され、表面領域を持つ任意のタイプの、又は粒子サイズのシリカ、又は他のケイ酸誘導体、又はケイ酸を指す。
ある実施の態様においては、充填剤は黒鉛又は改質された黒鉛及びこれらの任意の組み合わせであっても良い。他の実施の態様においては、充填剤は黒鉛及びシリカのブレンドである。タイヤ溝及び側壁の様な商品の好ましい充填剤は、ブレンドの10から100 phr、他の実施の態様においてはより好ましくは30から80 phr、更に他の実施の態様においては50から80 phrのレベルで存在する強化グレード黒鉛である。黒鉛の有用なグレードは、RUBBER TECHNOLOGY, 59-85ページに記載されている様に、N 110からN990の範囲である。より望ましくは、例えば、タイヤ溝に有用な黒鉛の実施の態様では、ASTM (D3037, D1510, 及びD3765) のN229, N351, N339, N220, N234及びN110である。他のタイヤの側壁で有用な黒鉛の実施の態様としては、N330, N351, N550, N650, N660,及びN762である。インナーライナー及び他のエアーバリアーに好適な黒鉛はN550, N660, N650, N762, N990及びRegal 85を含む。
層状充填剤は層状粘土、任意選択的に有機分子の様な変性剤で処理された又は事前処理された層状粘土を含んでも良い。エラストマー性組成物は、ナノコンポジット、又はナノコンポジット組成物を形成する、粘土、任意選択的に変性剤で処理された又は事前処理された粘土を含んでも良い。
ナノコンポジットは上に記載の様に少なくとも一つのエラストマー、及び少なくとも一つの変性された層状充填剤を含んでも良い。変性された層状充填剤は、少なくとも一つの層状粘土の様な少なくとも一つの充填剤を、少なくとも一つの変性剤と接触させることを含むプロセスにより生成しても良い。
変性された層状充填剤は当業者に良く知られた方法及び設備を用いて生産しても良い。例えば、米国特許第4,569,923号, 米国特許第5,663,111号, 米国特許第6,036,765号及び米国特許第6,787,592号を参照願いたい。この方法についての説明は実施例の項に記載されている。しかし、これらの方法の全てが記載されているものではない。
ある実施の態様においては、層状粘土の様な層状充填剤は少なくとも一つのケイ酸塩を含んでも良い。
ある実施の態様においては、ケイ酸塩は少なくとも一つの「スメクタイト」、又は膨張する結晶格子を持つ粘土鉱物の通常クラスを指す「スメクタイト タイプ 粘土」を含んでも良い。例えば、これにはモントモリトナイト、バイデライト、及びノントロナイトよりなる、ジオクタヘドラル スメクタイト、及び及び、サポナイト、ヘクトライト及びソーコナイトを含む、トリオクタヘドラル スメクタイトを含んでも良い。また、例えば、米国特許第3,252,757号, 米国特許第3,586,468号, 米国特許第3,666,407号, 米国特許第3,671,190号, 米国特許第3,844,978号, 米国特許第3,844,979号, 米国特許第3,852,405号, 及び米国特許第3,855,147号に開示される熱水過程による合成により生成されるスメクタイト粘土も含まれる。更に他の実施の態様においては、少なくとも一つのケイ酸塩は天然又は合成フィロケイ酸塩、例えば、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤ石、スティブンサイト等及びバーミキュライト、ハロイサイト、アルミ酸塩酸化物、ハイドロダルサイト等を含んでも良い。上に述べた実施の態様の任意の組み合わせもまた考慮される。上に述べた層状粘土の様な層状充填剤は、層状充填剤の中間層表面に存在するカチオンとイオン交換反応をすることのできる少なくとも一つの変性剤又は膨張剤又は剥離剤又は添加剤により、インターカレ−ト処理され、又は剥離処理の様に変性を受けても良い。変性剤はまた、膨張剤又は剥離剤として知られる。通常、これらは層状充填剤の中間層表面に存在するカチオンとイオン交換反応をすることのできる添加剤である。好適な剥離添加剤には、アンモニア、アルキルアミン、又はアルキルアンモニア(第1級、第2級、第3級、及び第4級)、脂肪族、芳香族又はアリル脂肪族アミンのホスホニウム又はスルフォニウムの誘導体、ホスフィン及び硫化物の様なカチオン性界面活性剤を含む。
例えば、アミノ化合物(又は対応するイオン)はR2R3R4Nの構造を持つものであり、式中、ある実施の態様においてはR2, R3及びR4 はC1 からC30のアルキル又はアルケン、他の実施の態様においてはC1からC20のアルキル又はアルケンであり、これらは同じでも、異なっていても良い。ある実施の態様においては、剥離剤は、所謂長鎖第3級アミンであり、少なくともR2 はC14からC20のアルキル又はアルケンである。
他の実施の態様においては、剥離剤は中間層の表面に共有結合することのできるものを含む。これらは-Si(R5)2R6 構造のポリシランを含み、式中R5はそれぞれの場合に同一であっても又は異なっていても良く、アルキル、アルコキシ、又はオキシランより選択され、R6 は複合体のマトリクスポリマーと適合する有機基である。他の好適な剥離剤には、12−アミノドデカン酸、エプシロンーカプロラクタム及び同様の材料の様な2-30炭素原子を含むプロトン化アミノ酸及びその塩がある。好適な膨張剤及びインターカレートされた層状ケイ酸塩は. 米国特許第4,472,538号, 米国特許第4,810,734号, 及び米国特許第4,889,885号 並びにWO 92/02582に開示されている。ある実施の態様においては、単一又は複数の剥離剤はハロゲン化されたエラストマーのハロゲン部位と反応することができ、粘土を剥離させることを助ける複合体を形成する。ある実施の態様においては、添加剤は第一級、第二級及び第三級アミン及びホスフィン;アルキル及びアリールスルフィド及びチオール;及びそれらの多官能化されたものを含む。望ましい添加剤には:長鎖第三級アミン、例えば、N,N-ジメチルーオクタデシルアミン(N,N-dimethyl-octadecylamine), N,N-ジオクタデシルーメチルアミン(N,N-dioctadecyl- methylamine)、所謂、二水素化された獣脂アルキルーメチルアミン(dihydrogenated tallowalkyl-methylamine)など、及びアミン末端を持つポリテトラヒドロフラン(amine-terminated polytetrahydrofuran); 長鎖 チオール(long-chain thiol)及びチオ硫酸ナトリウムヘクサメチレン(hexamethylene sodium thiosulfate)の様なチオ硫酸塩化合物(thiosulfate compound)を含む。
更に他の実施の態様においては、変性剤は、C
25からC
500の長さの炭素鎖を含む少なくとも一つのポリマー鎖を含み、ポリマー鎖はまた、ポリマー鎖Eに垂下した以下の基により表されるアンモニア官能基を含む:
ここでR, R1 及びR2は水素、C1 からC26 アルキル、アルケン又はアリ−ル、置換されたC1からC26 アルキル、アルケン、又はアリール、C1 からC26 脂肪族アルコール又はエーテル、C1からC26 カルボン酸、ニトリル、エトキシ化されたアミン、アクリル酸塩及びエステルから独立に選択され;及びXは、Br-, Cl-又はPF6 -の様なアンモニアの対イオンである。
本明細書に記載されている様な変性剤は、本明細書に記載された浸透試験により測定される最適な空気保持力を達成する量で組成物中に存在する。例えば、添加剤は、ある実施の態様においては0.1から40phrで使用されても良く、他の実施の態様においては0.2から20 phr、他の実施の態様においては0.3 から10 phrで使用されても良いが、これに限定されるものではない。
剥離添加剤はどの段階で組成物に加えてもよい;例えば、添加剤はエラストマーに加えても良く、続いて層状充填剤を加えるか、又は少なくとも一つのエラストマー及び少なくとも一つの層状充填剤の組み合わせに加えても良く;他の実施の態様においては、添加剤はまず層状充填剤とブレンドされ、続いてエラストマーを添加しても良い。
ある市販の製品の例には、Southern Clay Products, Inc.、 Gunsalas, TXのCloisitesがある。例えば、Cloisite Na+, Cloisite 30B, Cloisite 10A, Cloisite 25 A, Cloisite 93 A, Cloisite 20A, Cloisite 15A,及びCloisite 6Aがある。これらはまた、CO-OP Chemical Co., LTD、東京,日本、が製造するSOMASIF及びLUCENTITE粘土として購入が可能である。例えば、SOMASIF(登録商標)MAE, SOMASIF(登録商標)MEE、SOMASIF(登録商標)MPE, SOMASIF(登録商標)MTE, SOMASIF(登録商標)ME-100, LUCENTITE(登録商標) SPN,及びLUCENTITE(SWN)がある。
本発明の実施の態様によるナノ複合体に組み入れられる粘土又は剥離剤粘土は引張り強度又は酸素透過性の様なナノ複合体の機械的特性又はバリアー特性を向上させるのに十分である。その量は一般的にナノ複合体のポリマー含有量に基づき、ある実施の態様において0.5から10重量%であり、他の実施の態様においては、1から5重量%である。ゴム100当りの部分で表された粘土又は剥離粘土は、ある実施の態様においては、1から30 phr及び他の実施の態様においては、5から20 phrである。
架橋剤、硬化剤、硬化パッケージ及び硬化プロセス
ある実施の態様においては、エラストマー性組成物及びこれらの組成物から生成される商品は、少なくとも一つの硬化剤パッケージ、少なくとも一つの硬化剤、少なくとも一つの架橋剤を含み、又はこれらの助けを得て製造され、及び/又はエラストマー性組成物を硬化するプロセスを経る。本明細書に記載の、少なくとも一つの硬化剤パッケージとは、その産業分野で通常理解されている、ゴムに硬化特性を与えることのできる任意の材料又は方法を指す。少なくとも一つの硬化剤パッケージは以下に述べるものの少なくとも一つを含んでも良い。
特にシリカは主要な充填剤であり、又は他の充填剤と組み合わせて用いられる場合は、一以上の架橋剤は好ましくは本発明のエラストマー性組成物に用いるのが良く、架橋剤及び/又は硬化剤は、硫黄、酸化亜鉛、及び脂肪酸を含む。より好ましくは、結合剤は二官能性有機シラン架橋剤であるのが良い。「有機シラン架橋剤」は、これに限定されるものではないが、ビニル トリエトキシシラン、ビニルートリー(ベーターメトキシエトキシ)シラン、メタアクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ガンマーアミノープロピルートリエトキシシラン(WitcoからAI 1100として市販されている)、ガンマーメルカプトプロピルトリメトキシシラン(WitcoからAI 189として市販されている)等及びこられの混合物を含み、当業者に知られている任意のシラン結合充填剤及び/又は架橋活性剤及び/又はシラン強化剤であっても良い。ある実施の態様においては、bis-(3-トリエトキシルプロピル)テトラスルフィド(DegussaよりSi69として市販されている)が使用される。
過酸化硬化系又は樹脂硬化系もまた使用することができる。
ポリマーの熱又は放射線誘導架橋を用いても良い。
通常、ポリマーブレンド、例えば、タイヤを製造するために用いられるものは架橋されており、それによってポリマーの機械的特性を向上させる。加硫されたゴム化合物の物理的特性、性能特性及び耐久度は、加硫反応中に形成される架橋の数(架橋密度)及びそのタイプに直接関係する(例えば、「RUBBER WORLD」の HeIt他、The Post Vulcanization Stabilization for NR、18-23ページ (1991)を参照)。
硫黄はジエン含有エラストマーの最も通常の加硫剤である。それはひし形8員環として又は非晶質多量体型で存在する。硫黄加硫系はまた、硫黄の活性化を促進する促進剤、活性剤及び遅延剤よりなり、加硫速度をコントロールするのを助ける。促進剤は加硫の開始及び速度、形成される硫黄架橋の数及びそのタイプをコントロールすることを助ける。これらの要素は加硫物の効果特性を決定するのに本質的な役割を果たす。
活性剤は、加硫速度を増すために、ゴムに溶融する複合体を形成するためにまず促進剤を反応させることにより加硫速度を増大させる化学物質である。複合体はその後硫黄と反応して硫化剤を形成する。促進剤の通常の種類としては、アミン、ジアミン、グアニジン、チオ尿酸、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバメート、キサントゲン酸塩等を含む。
遅延剤は、未硬化ゴムを加工する十分な時間を与えるために、硬化の開始時を遅延させるために用いても良い。
ハロゲン含有エラストマー、例えば、ハロゲン化星状分枝ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状分枝臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレン コポリマー)ゴム、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、ポリクロロプレン、及びクロロスルホン酸ポリエチレンは、金属酸化物と反応させて架橋してもよい。金属酸化物はポリマー中でハロゲン基と反応し、活性化された中間剤を生成し、それが更に反応して炭素―炭素結合を作り出すと考えられる。ハロゲン化亜鉛は副産物として遊離し、この反応で自触媒として働く。
一般的に、ポリマーブレンドは硬化用分子を添加することで架橋させても良く、例えば、硫黄、金属酸化物、有機金属化合物、ラジカル開始剤等であり、続いて加熱される。特に、以下の金属酸化物は本発明で機能する一般的硬化剤である:ZnO, CaO, MgO, Al2O3, CrO3, FeO, Fe2O3,及びNiO。これらの金属酸化物は、単独で又は対応する金属脂肪酸複合体(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)と共に、又は、ステアリン酸の様な有機及び脂肪酸のみを添加したものと共に、及び任意選択的に他の硬化剤、例えば、硫黄化合物、アルキル過酸化物、ジアミン又はそれらの誘導体((例えば、DuPontより販売されるDIAK)と共に用いても良い(また、Formulation Design and Curing Characteristics of NBR Mixes for Seals, RUBBER WORLD, 25-30ページ(1993)を参照)。エラストマーを硬化させるこの方法は加速させても良く、しばしばエラストマーブレンドの加硫に用いられる。
硬化プロセスの加速は本発明においては、しばしば有機化合物が多いが、ある量の促進剤を組成物に添加することにより実行される。天然ゴムの加硫を促進する機構は、硬化剤、促進剤、活性剤及びポリマーの間の複雑な相互反応を含んでいる。理想的には、利用可能な硬化剤は全て、2つのポリマー鎖を結合させ、ポリマーマトリクスの全体の強度を向上させる効果的な架橋の形成に用いられるのが良い。多くの促進剤が知られており、以下のものを含むが、これに限定されるものではない:ステアリン酸(stearic acid)、ジフェニル グアニジン(diphenyl guanidine) ((DPG))、テトラメチルチウラム ジスルフィド(tetramethylthiuram disulfide) (TMTD)、4,4'-ジチオジモルフォリン(4,4'-dithiodimorpholine)(DTDM)、テトラブチルチウラム ジスルフィド(tetrabutylthiuram disulfide)(TBTD)、ベンゾチアジル ジスルフィド(benzothiazyl disulfide)(MBTS)、ヘキサメチレン- 1,6-ビスチオ硫酸塩 ジナトリウム 塩 二水和物(hexamethylene- 1,6-bisthiosulfate disodium salt dihydrate )(DURALINK(登録商標)HTSとしてFlexsysより販売)、2−モルフォリノチオ ベンゾチアゾール(2-morpholinothio benzothiazole) (MBS又はMOR)、90% MOR及び10% MBTS のブレンド(MOR 90)、(N-第3級ブチル-2-ベンゾチアゾール スルホンアミド(N-tertiarybutyl-2-benzothiazole sulfenamide)(TBBS)、N- オキシジエチレン チオカルバミル-N-オキシジエチレン スルホンアミド(N-oxydiethylene thiocarbamyl-N-oxydiethylene sulfonamide) (OTOS)、亜鉛2-エチルーヘキサノエート(zinc 2-ethyl hexanoate) (ZEH)、及び「チオ尿素」(thioureas)である。
他の成分
本発明により生成される組成物は、典型的にはゴムミックスで通常用いられる他の成分及び添加剤を含み、例えば、効果的な量の他の変色されない及び変色しない加工助剤、色素、抗酸化剤、及び/又はオゾン劣化防止剤がある。
加工
エラストマーのブレンドは反応器ブレンド及び/又はメルトミックスであっても良い。成分の混合は、ポリマー成分、充填剤及び粘土を任意の好適な混合機器でインターカレートの形に結合させることにより通常知られている技術により実施しても良く、混合機器はまた、2ロールオープンミル、ブラベンダー(登録商標)インターナルミキサー、接線ロータを持つバンベリー(登録商標)インターナルミキサー、インターメッシュ ロータ付きクルップ ミキサー、又は好ましくはミキサー/押出機であって良い。混合は、ある実施の態様においては、粘土のインターカレートが剥離し、ポリマー内で均一に分散しナノ複合体を形成するのに十分なせん断条件下で、組成物で用いられるエラストマー及び/又は第二次ゴムの融点までの範囲の温度で実施され、他の実施の態様においては40℃から250℃であり、更に他の実施の態様においては100℃から200℃で実施される。
典型的には、70%から100%の一以上のエラストマーがまず20から90秒の間、又は温度が40℃から75℃に到達するまで混合される。その後充填剤の3/4、及びエラストマーの残量が、もし残って入れば、通常、ミキサーに添加され、そして温度が90℃から150℃に達するまで混合が続けられる。次に、残りの加工助剤及び充填剤が添加され、温度が140℃から190℃に達するまで混合が続けられる。マスターバッチの混合物は、オープンミルでシートにすることで終了し、そして60℃から100℃までの間に冷却され、硬化剤が添加される。
粘土との混合は当業者に知られている技術により実施され、そこでは、ある実施の態様においては粘土は黒鉛と同時にポリマーに添加される。加工助剤は通常、黒鉛及び粘土がエラストマーマトリクス中で十分分散した後に混合サイクルに添加される。
本発明の硬化組成物は種々のエラストマー及び加工助剤と共に充填剤を含んでも良い。本発明の組成物は通常、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)(halogenated poly(isobutylene-co-p-methylstyrene)、ブチルゴム(butyl rubber)、又はハロゲン化星状分枝ブチルゴム(halogenated star-branched butyl rubber (HSBB))の様なイソブチレン ベースのエラストマーを単独で又はその幾つかを組み合わせたものを含み、ある実施の態様においては加工助剤は3から30 phrで存在する。
ある実施の態様においては、組成物は、汎用ゴムを3 から30 phr含むこともある70から97 phrのハロゲン化ブチルゴム成分、及び加工助剤が3から30 phr、黒鉛の様な充填剤は20から100 phr含み、及びある実施の態様においては剥離剤粘土を0.5から20 phrで含み、他の実施の態様においては2から15 phr含む。フェノール樹脂、硫黄、ステアリン酸及び酸化亜鉛の様な硬化剤は0.1から10 phrで存在しても良い。
他の実施の態様においては、組成物はある実施の態様においては75から97 phrのハロゲン化ブチルゴム成分であっても良く、他の実施の態様においては80から97 phrであり、及び加工助剤は3から30 phr、黒鉛の様な充填剤は20から100 phr、及びある実施の態様においては剥離剤粘土を0.5から20 phrで含み、他の実施の態様においては2から15 phr含む。フェノール樹脂、硫黄、ステアリン酸及び酸化亜鉛の様な硬化剤は0.1から10 phrで存在しても良い。
更に他の実施の態様においては、組成物はある実施の態様においては85から97 phrのハロゲン化ブチルゴム成分であっても良く、他の実施の態様においては90から97 phrであり、及び加工助剤は3から30 phr、黒鉛の様な充填剤は20から100 phr、及びある実施の態様においては剥離剤粘土を0.5から20 phr含み、他の実施の態様においては2から15 phrを含む。フェノール樹脂、硫黄、ステアリン酸及び酸化亜鉛の様な硬化剤は0.1から10 phrで存在しても良い。
本発明で有用なイソブチレン ベース エラストマーは、本明細書に開示された種々の他のゴム又はプラスチックとブレンドしても良く、特にナイロンのような熱可塑性樹脂、又はポリプロピレン又はポリプロピレンのコポリマーの様なポリオレフィンとブレンドしても良い。これらの組成物は、空気袋、包装材料、タイヤのインナーチュブ、インナーライナー、エアスリーブ(エアーショック用の)、隔膜並びに高度に空気又は酸素を保持するのが望ましい他の応用分野の様に空気バリアー用として有用である。ある実施の態様においては硬化された組成物が製品として形成される場合、60℃で約40.0 cc- mm/m2-day-mmHgのMOCON酸素透過率を持ち、代替的に約45.0 cc- mm/m2-day-mmHg、代替的に約50.0 cc-mm/m2-day-mmHg、又は他の実施の態様においては代替的に約75.0 cc-mm/m2-day- mmHgを持つ。
ある実施の態様においては、空気バリアーはC4 からC7イソモノオレフィン由来の単位、少なくとも一つの充填剤及び400より大きい数平均分子量を持つ機能性ポリマー加工助剤、及び少なくとも一つの硬化剤を含む少なくとも一つのランダムコポリマーを組み合わせる方法、及び上に記載の組み合わせた成分を硬化させることにより造られる。
ある実施の態様においては、エラストマー性組成物は、任意選択的に以下を含む:
a) 少なくとも一つの充填剤、例えば、炭酸カルシウム、粘土、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、でん粉、木粉(wood flower)、 黒鉛、又はこれらの混合物;
b) 少なくとも一つの粘土、例えば、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤ石、スティブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミ酸塩酸化物、ハイドロタルサイト又はこれらの混合物であり、任意選択的に変性剤により処理される;
c) 少なくとも一つのプロセスオイル、例えば、芳香油、ナフテン油、パラフィン油、又はこれらの混合物;
d) 少なくとも一つの加工助剤、例えば、プラストマー、ポリブテン、ポリアルファオレフィン油、又はこれらの混合物;
e) 少なくとも一つの硬化剤パッケージ、又は硬化剤であり、それによりエラストマー性組成物が少なくとも一つのプロセスを経て硬化された組成物を生成するパッケージ又は硬化剤;
f) 上のa)-e)の任意の組み合わせ
上に記載のエラストマー性組成物は、タイヤの生産に使用されるインナーライナー及びインナーチューブの様な空気隔膜の製造に用いても良い。インナーライナー及びタイヤの製造に使用される方法及び機器は技術分野で良く知られている(例えば、米国特許第6,834,695号、米国特許第6,832,637号、米国特許第. 6,830,722号、 米国特許第6,822,027号、 米国特許第6,814,116号、 米国特許第6,805,176号、 米国特許第.6,802,922号、 米国特許第6,802,351号、 米国特許第6,799,618号、 米国特許第. 6,796,348号、 米国特許第6,796,347号、 米国特許第6,617,383号、 米国特許第6,564,625号、及び米国特許第6,538,066号を参照)。本発明は、インナーライナー及びタイヤのような商品を製造する特定の方法に限定されるものではない。
産業上の利用可能性
本発明のエラストマー性組成物は押出され、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、及び積層することにより、繊維、フィルム、積層板、層状物、工業部品、例えば、自動車部品、電化製品の枠、消費用製品、パッケージ等を含む種々の成形商品として生成される。
特にエラストマー性組成物は、種々のタイヤとして応用される商品で有用であり、例えば、トラックタイヤ、バスタイヤ、乗用車タイヤ、自動二輪車タイヤ、オフロードタイヤ、航空機用タイヤ等がある。エラストマー性組成物は最終商品又はタイヤのインナーライナーの様な最終商品の構成部分として作られることもある。商品はエアーバリアー、空気膜、フィルム、層状物(ミクロ層及び/又は多層)、インナーライナー、インナーチューブ、側壁、トレッド、空気袋、包装材料等から選択されることもある。
他の応用面では、エラストマー性組成物は、エアークッション、空気バネ、送風機、ホース、圧縮空気袋、及びコンベヤーベルト又は自動車用ベルトの様なベルトに使用されることもある。
これらは成形ゴム部品として有用であり、自動車のサスペンションバンパー、自動車用排気ガスつり具及び躯体取り付け用において広く用いられる。
更に、エラストマー性組成物はまた、接着剤、コーキング材、封止剤、及びつや出し化合物として用いても良い。これらはまた、ゴム製剤での可塑剤として、ストレッチラップフィルムに製造される組成物の成分として、潤滑剤の分散剤、及び製陶及び電線用充填材で有用である。
更に他の応用分野は、本発明のエラストマー又はエラストマー性組成物は、薬剤用の栓及び封止材の様な医療分野での応用、医療機器の被覆、及び塗料ローラ用商品のみならずチューインガムにも用いても良い。
本明細書に引用された全ての特許、特許出願、テストの手順、優先権書類、論文、刊行物、マニュアル、及び他の資料は、その開示が本発明と矛盾しない限りにおいて、及びその様な組み入れが許される全ての法体制下において、参照により本明細書に組み入れられる。
数値の下限及び数値の上限が記載されている場合は、その全ての数値の下限から全ての数値の上限までの範囲が考慮の対象となっている。
本発明の実施例における説明では、特別な例について記載されているが、当業者にとっては、種々の他の修飾が可能であることは明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修飾することが可能であることを理解すべきである。したがって、本出願に添付された特許請求の範囲に記載の発明の範囲は本明細書の実施例及び記載に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載は、本発明が属する技術分野の専門家により同等であると取扱われる全ての特徴を含み、本発明に含まれている特許可能な全ての新規な特徴を含むものと解すベきである。
実施例
機能性ポリマーの調製
ポリイソブチレン(polyisobutylene (PIB, Texas Petrochemicals, TPC 5130, Mn=I 150-1450 グラム/モル)の臭素化が、技術分野で知られているバッチ臭素化技術を用いて実施された。臭素化ステップの前にPIB ポリマー溶液が500-ml 丸底フラスコで、200 ml のシクロヘキサン(Aldrich, 99.9+, HPCL グレード)中で150 グラムのPIBポリマーを溶解させて調製された。臭素溶液はポリマー溶液中で臭素分子の分散を向上させるために、液体臭素(Aldrich Chemical Co., 99.5%, A.C.S. 試薬グレード)を3 - 5 倍の容積のシクロヘキサンにより希釈して調製された。
臭素化反応はシクロヘキサン中の臭素溶液をポリマー溶液を強く攪拌しながら滴下により加えて実施された。臭素ラジカルの形成を防ぎ/最小化するために臭素化反応中光への露出は注意深く最小に抑えられた。臭素は、追加のじょうごを用いて反応器にPIBポリマー溶液中に赤/オレンジ色が持続する様になるまで十分加えられるまで、滴下された。最初に15 mlシクロヘキサン中の13.23 グラムの臭素がセメントに添加された。これにより、まず薄黄色となり、2分内にこの色は消えた。次に10 mlシクロヘキサン中の7.12 グラムの臭素が反応器に添加され、これはポリマー溶液中で長く続く薄い赤色/オレンジ色となった。臭素化反応は、反応が塩基で抑えられるまで、最後の臭素の添加後9分間続けられた。反応を抑える塩基溶液は、100 ml の脱イオン水中で7.85 グラムの苛性ソーダ(NaOH) ペレット (Fisher 証明, 99.9%, A.C.S. グレード)から作られた。ポリマー溶液はNaOH水溶液が加えられると直ちにミルク色に変わり、これは反応器中の過剰な臭素及びHBr 副産物が完全に中和されたことを示していた。中和されたポリマー溶液は、水性底部層が、頭部有機ポリマー溶液から明確に分離されるまでそのまま置かれた。
臭素化され、中和されたポリマー溶液混合物は2000 ml分液漏斗に移され、その後2000 ml 脱イオン水で洗浄され、そして底部水層がポリマー溶液を残して排出された。ポリマー溶液は4000 ml ビーカーに移され、ポリマーは、ポリマー溶液に2000 ml のメタノール(Fisher 証明 A.C.S. グレード、99.9%)を攪拌を続けながらゆっくり添加することにより溶液から沈殿させた。
沈殿させたポリマーは、99+%の歩留まり率で得られたが、35℃の真空炉で窒素ガス流により1週間の間乾燥された。ポリマーはその後再度溶解、再沈殿され、そして真空炉で乾燥された。
プロトンNMR分析が、出発時のPIBポリマー及び最終の臭素化されたポリイソブチレン機能性ポリマー(BrPIB)で実施された。NMRスペクトル分析の結果は、99%より多くのオレフィン鎖末端が臭素化されていることを示した。予想された様に、NMRスペクトル分析の結果は、幾つかの異なる臭素化された構造又は異性体が生成されたことを示していた。しかし、本発明はBrPIB又はBrPIBの詳細な分子構造の臭素化された種類の数又はそのタイプにより限定されることを意図するものではない。
物理的試験方法
試験方法は表1に纏めた。
硬化特性はMDR 2000及び0.5度振動角(arc)を用いて指示された温度で測定された。
試験見本が指示された温度、通常150℃から160℃で、t90 +適当なモールド遅れに対応する時間硬化された。本明細書を通じて使用される「MH」及び「ML」は「最大トルク」(maximum torque)及び「最小トルク」(minimum torque)を夫々指す。
「MS」値はムーニー スコーチ値(Mooney scorch value)、「ML(I +4)」値はムーニー粘度値(Mooney viscosity value)である。後の測定値の誤差(2σ)は± 0.65 ムーニー粘度単位である。「t」は分で表した硬化時間であり、「ts」は分で表したスコーチ値(scorch value)である。
可能な場合は、標準ASTM試験が、硬化された化合物の物理的特性を決定するために用いられた(表1を参照)。応力/歪特性(引張り強さ、破断点伸び、モジュラス、破断エネルギー)が、室温でInstron 4202 又はInstron Series IX Automated Materials Testing System 6.03.08を用いて測定された。引張り測定は大気温度で0.25 インチ巾(0.62 cm)及び1.0 インチ (2.5 cm) 長さ(2つのタブの間)の見本(犬用の骨の形)で実施された。見本の厚さは種々でシステムコンピュータに接続されたMitutoyo Digimatic Indicatorにより手動で測定された。見本はクロスヘッド速度20インチ/分 (51 cm/分)で引張られ、応力/歪データが記録された。少なくとも3つの見本の平均応力/歪値が報告された。引張り強さ測定での誤差(2σ)は± 0.47 MPa単位であり;100%モジュラスの測定誤差(2σ)は± 0.11 Mpaであり;降伏点伸び測定の誤差(2σ)は± 13 %単位である。ショアーA硬度は室温でZwick Duromaticを用いて測定された。
酸素透過度は、MOCON OxTran Model 2/61を用いて、8 JOURNAL OF POLYMER SCIENCE: PART A-2, 467ページ (1970)のPasternak 他により公開された薄膜を通した酸素移送の動的測定の法則により稼動させて測定した。測定単位はcc-mm/m2-day-mmHgである。通常この方法は次の通りの内容である:平板フィルム又はゴムサンプルが、酸素を含まないキャリアーガスを用いて残留酸素が取除かれた拡散セルに固定される。キャリアーガスは安定したゼロを示すまでセンサーに送られる。純粋酸素又は空気がその後拡散セルの室の外側に導入される。フィルムを通して拡散セルの室内に入る拡散する酸素はセンサーに運ばれ、センサーが酸素の拡散速度を測定する。
浸透度は次の方法により試験された。サンプル組成物から取られた薄い、加硫された試験見本が拡散セルに置かれ、65℃のオイルバスで調整された。空気が見本を通して浸透するために要する時間が記録され空気浸透度が決定される。試験見本は12.7cm 直径及び0.38mm厚さの円形プレートであった。空気浸透度の測定誤差(2σ)は± 0.245 (xl08)単位である。
ある実施の態様においては、組成物は60℃でのMOCONは37.5 x 10-8 cc-mm/m2-day-mmHgである。
組成物は多くの商品を作るのに用いることができる。ある実施の態様においては、商品は、タイヤ硬化空気袋、タイヤ硬化包装、タイヤのインナーライナー、タイヤのインナーチューブ、及び空気スリーブから選択される。本発明の組成物を用いて作ることのできる他の有用な商品には、ホース、シール、成形品、ケーブル用覆い、及びTHE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK, 637-772ページ (Ohm 編纂, R.T. Vanderbilt Company, Inc. 1990)に開示されている他の商品を含む。
機能性ポリマーの試験
機能性ポリマー臭素化ポリイソブチレン(BrPIB, Expt 3)が、他のゴムの構成成分(表2を参照)と共に、バンベリー(登録商標)内部ミキサーの2段階プロセスで混合され、ブロモブチルゴム タイヤインナーライナー製剤に組み入れられた。ナフテン系加工オイルを含む化合物、コントロール1及びNFPポリイソブチレン加工助剤、コントロール2が比較例として調製された。製剤内容は表3に示す。
硬化及び硬化されたものの物理特性の試験の結果は、機能性ポリマーBrPIB 実験3(Expt 3)を用いると、タイヤインナーライナー製剤で、ナフテン系加工オイル(コントロール1)の代わりに、PIB NFP加工助剤(コントロール2)を用いた場合にMOCON空気浸透度を継続して減少させることが示された。Expt 3はまた、ナフテン系加工助剤(コントロール1)の数値と比べてより高いムーニー スコーチ及びts2 硬化時間を持ち、そのため下流のタイヤ製造工程において加工がより容易となる。Expt 3はまた、より低いショアーA硬度、モジュラス、及びタンジェントデルタ熱蓄積値(heat build-up value)を持ち、これらはPIB NFP (コントロール 2)を用いて得られるより高い数値に比べて、ナフテン系加工オイル(コントロール 1)のものとより類似する。表4を参照。他の硬化及び硬化されたものの物理特性もまた維持される。
機能性ポリマー臭素化ポリイソブチレン(BrPIB, Expt 6)が、他のゴムの構成成分(表2を参照)と共に、バンベリー(登録商標)内部ミキサーの2段階プロセスで混合され、星状ブロモブチルゴム タイヤインナーライナー製剤に組み入れられた。ナフテン系加工オイルを含む化合物、コントロール4、及びNFPポリイソブチレン加工助剤、コントロール5,
が比較例として調製された。製剤内容は表5に示す。
硬化及び硬化されたものの物理特性の試験の結果は、BrPIB (Expt 6)を用いると、タイヤインナーライナー製剤で、PIB NFP加工助剤(コントロール5)を用いた場合は、ナフテン系加工オイル(コントロール5)に比べて、MOCON空気浸透度を継続して減少させることが示した。Expt 3はまた、より低いショアーA硬度及びモジュラスを持ち、これらはPIB NFP (コントロール5)のより高い数値に比べて、ナフテン系加工オイル(コントロール 4)のものとより類似する。表6を参照。他の硬化及び硬化されたものの物理特性もまた維持される。
機能性ポリマー臭素化ポリイソブチレン(BrPIB, Expt 9)が、他のゴムの構成成分(表2を参照)と共に、バンベリー(登録商標)内部ミキサーの2段階プロセスで混合され、臭素化イソブチレンーco-para-メチルスチレン ゴム タイヤインナーライナー製剤に組み入れられた。ナフテン系加工オイルを含む化合物、コントロール7、及びNFPポリイソブチレン加工助剤、コントロール8が比較例として調製された。製剤内容は表7に示す。
硬化及び硬化されたものの物理特性の試験の結果は、BrPIB (Expt 9)を用いると、タイヤインナーライナー製剤で、PIB NFP加工助剤(コントロール8)を用いた場合は、ナフテン系加工オイル(コントロール7)に比べて、MOCON空気浸透度を継続して減少させることが示された。Expt 9は、より低いムーニー粘度及びムーニー スコーチ値を持ち、これらはPIB NFP (コントロール8)のより高いムーニー粘度又はより低いムーニー スコーチ値に比べて、ナフテン系加工オイル(コントロール 7)のムーニー粘度及びムーニー スコーチ値とより類似する(表8を参照)。そのため下流のタイヤ製造工程で非硬化混合物の加工がより容易になる。
Expt 9はまた、PIB NFP (コントロール8)のより高い数値に比べて、ナフテン系加工オイル(コントロール7)のモジュラス及び降伏点伸びにより類似する、より低いモジュラス及びより高い降伏点伸びを持つ。表8を参照。他の硬化及び硬化されたものの物理特性もまた維持される。