JP5419257B2 - イソブチレンと多官能性オリゴマーを含むエラストマーナノ複合材 - Google Patents

イソブチレンと多官能性オリゴマーを含むエラストマーナノ複合材 Download PDF

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Description

この発明は、空気バリアに有用な気体透過性の低いナノ複合材と、その製造方法、およびこれを用いた製品に関する。
ナノ複合材は、少なくとも一方向の寸法がナノメートルオーダーの無機粒子を含有するポリマー系である。この例は、米国特許第6060549号、第6103817号、第6034164号、第5973053号、第5936023号、第5883173号、第5665183号、第5576373号、第5807629号、および第5576372号に開示されている。
一般にナノ複合材に用いられる無機粒子はポリシリケート、いわゆる「クレイ」または「ナノクレイ」といわれる物質である。理想的には、ナノ複合材では、クレイの表面間のスペースまたは空間にポリマーが挿入される、層間挿入が生じるべきである。最終的には剥離が生じ、ナノメータオーダーのクレイ薄片間にポリマーが完全に分散することが望ましい。
クレイの存在下でポリマー複合材の空気遮断性を強化する要求が高まっており、特に、タイヤなどに用いられる動的加硫されたエラストマーナノ複合材について、空気透過性の低いナノ複合材が求められている。
ナノ複合材の製造には、剥離されたクレイを生成させる種々の方法が用いられる。最も一般的な方法は、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレイを用いる方法である。有機クレイは、一般に、モンモリロナイトナトリウムの表面にあるナトリウムイオンを、アルキルアンモニウム化合物またはアリールアンモニウム化合物、あるいは膨潤剤または剥離剤として知られている有機化合物で置換する溶液イオン交換反応により製造することができる。
例えば、米国特許第5807629号、国際公開パンフレットWO02/100935号、WO02/100936が参照される。この他の背景技術として、米国特許第5576373号、第5665183号、第5807629号、第5936023号、第6121361号、国際公開パンフレットWO94/22680号、WO01/85831号、WO04/058874号が挙げられる。
有機クレイの性能を向上させる方法の1つは、官能化されたポリマーをクレイの処理に用いる方法である。この方法は、水に溶ける物質か、重合反応に取り込まれる物質に限られている。この方法は、例えばオリゴマー性、またはモノマー性のカプロラクタムを改質剤に用いるナイロンナノ複合材料の製造に用いられている。ポリオレフィンナノ複合材では、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンが利用され、いくつかのナノ複合材が成功裡に製造されている。
例えば、Liらが米国特許第6060549号などに開示した、剥離クレイを充填したナイロンの高耐衝撃性プラスチック母材が知られている。特に、Liらは、ナイロンなどの熱可塑性樹脂と、CからCのイソモノオレフィン、パラ−メチルスチレン、およびパラ−(ハロメチルスチレン)の共重合体のブレンド物であり、さらに、高耐衝撃性材料として剥離クレイを含有するナイロンを含むブレンド物を開示している。さらに、日本のYuichiらの特許公開公報2000−160024号には、空気バリアとして用いることができる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。Yuichiらのナノ複合材には、Liらと同様のブレンド物が含まれている。
ナノ複合材エラストマーのインナーライナーやインナーチューブも、複合化剤とゴムを用いて形成されており、ここでは、複合化剤は正電荷の基を有する反応性ゴムであり、その中に層状シリケートが均一に分散されている。例えば、Kresgeらの米国特許第5665183号、第5576373号が参照される。この方法では、予め形成された反応性ゴムが用いられている。
また、ナノ複合材は非イオン性の、臭素化されたイソブチレンとパラ−メチルスチレン共重合体と、これらの共重合体と他のポリマーとのブレンド物を用いて形成されている。例えば、Elspassらの米国特許第5807629号、第6034164号が参照される。
以上説明したように、ナノ複合材はエラストマーと有機クレイを、溶融状態または溶液中で混合して製造される。また、ポリマーが疎水性を有するため、一般に、クレイとポリマーの相互作用を改善するために、修飾された有機クレイが用いられる。一般に、修飾は、無機クレイ中のNa+カチオンを、テラ(terra)アルキルアンモニウム塩などの有機物修飾剤でイオン交換して行なわれる。この方法は高価であり、また、修飾されたクレイの大部分はポリマー中または有機溶剤中で剥離していない。
<発明の概要>
この発明は、より安価で、より効果的な、ポリマー−クレイナノ複合材を製造する方法を提供する。この発明はまた、エラストマーと;極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーと;クレイとを含むポリマー−クレイナノ複合材を提供する。官能化されたポリマー/オリゴマーをエラストマー、および/またはクレイとブレンドすることにより、クレイを分散させるためにエラストマーを特に官能化することなく、エラストマー中のクレイの分散を向上させることができ、この結果得られるブレンド物のバリア性は、クレイと極性基で官能化されたエラストマーとのブレンド物と似ている。
エラストマーには、例えばハロゲン化ポリイソブチレンなどのハロゲン化されたエラストマー、あるいは、別の例として、ハロゲン化されたイソブチレンとパラ−メチルスチレン共重合体などを用いることができる。エラストマーは、臭素または塩素でハロゲン化される。ハロゲン化されたエラストマーは、ハロゲン、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、水酸基などの官能基を備えることができる。ひとつの実施形態では、エラストマーはハロゲン以外の極性官能基を有さない。別の実施形態では、エラストマーまたはハロゲン化ポリマーは、官能基されたポリマーまたはオリゴマーよりも官能化の程度が低い。
エラストマーには、アンモニウム基で官能化されたポリマー鎖Eを含むことができる。アンモニウム基による官能化は、次のポリマー鎖Eにぶら下がった基で表される。
Figure 0005419257
ここで、RとRは同一または異なっており、水素、CからCのアルキル、1級または2級ハロゲン化アルキルであり;R、R、Rは同一または異なっており、水素、CからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、置換されたCからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、CからC20の脂肪族アルコールまたはエーテル、CからC20のカルボン酸、ニトリル、エトキシ化アミン、アクリレート、エステル、およびアンモニウム塩からなる群から選択される。
ひとつの実施形態では、ポリマーまたはオリゴマーは、0.01から10重量%の極性基で官能基され;ひとつの実施形態では、ポリマーの0.01から10重量%であり;別の実施形態では0.1から8重量%であり;また別の実施形態では0.2から7重量%であり;別の実施形態では0.3から3.0重量%であり;別の実施形態では0.5から2.0重量%であり;望ましい範囲はいずれかの上限値と下限値の組み合わせである。
極性基で官能基されるポリマーまたはオリゴマーは、CからCのイソオレフィンのポリマーまたはオリゴマーである。このイソオレフィンには、イソブチレンを用いることができる。ポリマーまたはオリゴマーには、CからCのイソオレフィン、およびアルキルスチレンを用いることができる。ポリマーまたはオリゴマーを、臭素または塩素でハロゲン化することができる。
極性基は、アルコール、エーテル、酸、無水物、ニトリル、エトキシ化されたアミンを含むアミン、アクリレート、エステル、アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
極性基は、環状無水物、対称性無水物、混合無水物、またはこれらの組み合わせ、などの酸無水物から誘導される。酸無水物には、カルボン酸無水物、チオ無水物、リン酸無水物、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
ひとつの実施形態では、酸無水物はカルボン酸無水物である。ある実施形態では、酸無水物には、無水マレイン酸、無水コハク酸、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
ひとつの実施形態では、極性基は酸から誘導される。酸にはカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、ペルオキソ酸、チオカルボン酸、硫酸、亜硫酸、キサントゲン酸、スルフェン酸、サルファミン酸、ホスホン酸、アミド酸、アジン酸、アゾン酸、ヒドロキサム酸、イミド酸、イミノ酸、ニトロソ酸(nitrosolic acid)、ニトロ酸(nitrolic acid)、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
ある実施形態では、エラストマーの数平均分子量は25000から500000であり;別の実施形態では50000から250000であり;また別の実施形態では50000を超える。ある実施形態では、極性ポリマーあるいはオリゴマーの数平均分子量は500から100000であり;別の実施形態では25000未満であり;別の実施形態では50000を超える。ある実施形態では、エラストマーの数平均分子量は少なくとも100000で、極性ポリマーの数平均分子量は100000未満であり;別の実施形態では、エラストマーと極性ポリマーはあらゆる数平均分子量の組み合わせとなり得、同じであっても異なっていてもよい。
ある実施形態では、エラストマーはハロゲン化されたものであり、極性ポリマーは酸または酸無水物から誘導されたものである。別の実施形態では、エラストマーはハロゲン化され、一部アミンで官能化されたものであり、極性基はアルコール、エーテル、酸、無水物、ニトリル、アクリレート、エステル、またはこれらの組み合わせから誘導される。
このナノ複合材のある実施形態では、極性の官能化されたポリマー/オリゴマーとエラストマーの重量比は0.01:1から1:1である。別の実施形態では、極性の官能化されたポリマー/オリゴマーとエラストマーの重量比は0.05:1から0.5:1、あるいは、0.1:1から0.25:1、あるいは、別の実施形態では、いかなる比率にも成りえる。
ナノ複合材は無機クレイ、有機クレイ、あるいは、これらの組み合わせの、クレイを含有する。クレイにはケイ酸塩を用いることができる。クレイには、モンモリロナイト, ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤアイト、ステベンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、またはこれらの組み合わせなどの、スメクタイトクレイを用いることができる。
ナノ複合材には、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、ケイ酸塩(クレイではなく、充填剤として使用されるもの)、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、 またはこれらの組み合わせ、などの充填剤が含まれる。ナノ複合材には、色素、顔料、酸化防止剤、光および熱安定剤、可塑剤、オイル、またはこれらの組み合わせ、などの添加剤が含まれる。ナノ複合材にはまた、有機過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、促進剤、加硫剤、またはこれらの組み合わせ、などの硬化剤が含まれる。
この発明はまた、前記のハロゲン化されたエラストマーと、クレイと、極性基で官能化されたポリマーあるいはオリゴマーとを組合せてなる、ナノ複合材を形成する方法を提供する。
この発明はまた、エラストマーとクレイからなるナノ複合材の製造方法を、エラストマーとクレイの混合物に、極性基で官能化されたポリマーあるいはオリゴマーを導入することにより改良した製造方法を提供する。
<発明の詳細な説明>
この発明は、ポリマー/クレイナノ複合材を製造する方法に係る。この方法によればハロゲン化されたエラストマーとクレイ、望ましくは剥離されたクレイのナノ複合材を製造することができ、空気バリアに好適に用いることができる。この発明の製造方法で形成されたナノ複合材は、改良された空気バリア性を有し、インナーライナーあるいはインナーチューブに好適に用いることができる。
<用語の定義>
本願では、CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS, 63(5), 27 (1985)に定義された、周期律表の新しい番号のつけ方を用いる。
本願で「ポリマー」というときは、ホモポリマー、共重合体、中間体ポリマー、ターポリマーなどの意味で用いる。同様に、共重合体というときは、少なくとも2種のモノマーからなり、任意に他のモノマーを含有するポリマーの意味で用いる。
ポリマーがモノマーを含むというときは、モノマーがポリマー中に重合された状態で存在するか、あるいは、そのモノマーの誘導体の状態でポリマー中に重合された状態で存在することを意味する。
同様に、触媒化合物がその化合物の中立で安定な状態を含むというときは、当業者であれば理解できることであるが、その化合物がイオン化された状態のとき、モノマーと反応してポリマーを生じる。
「エラストマー」または「エラストマー組成物」というときは、ASTM D1566の定義に従うポリマーまたはポリマーの組成物(ポリマーのブレンド物)の意味で用いる。エラストマーには、ポリマーの溶融混合、および/または、反応器混合によりブレンドされたポリマーのブレンド物が含まれる。この用語は「ゴム」と同義で用いられる。
「phr」というときは、「ゴム100に対する部」を意味し、この技術分野で一般的な割合であり、組成物中の各成分は主要なエラストマー成分に対する割合で表され、主要なエラストマー成分またはゴム成分の重量100部を基準に表される。
「イソブチレンベースのエラストマー」または「イソブチレンベースのポリマー」というときは、イソブチレンモノマー単位が少なくとも70モル%含まれるエラストマーまたはポリマーを意味する。
「イソオレフィン」というときは、少なくとも1つの炭素が2つの置換基を有するオレフィンモノマーの意味で用いる。
「マルチオレフィン」というときは、2つ以上の二重結合を有するモノマーを意味し、例えば、マルチオレフィンは、共役した2つの二重結合を有するモノマーであり、イソプレンなどのように共役したジエンを言う。
「ナノ複合材」あるいは「ナノ複合材組成物」というときは、少なくとも1つの方向における寸法がナノメートルオーダーの無機粒子がポリマー母材中に含まれるポリマー系を意味する。
「層間挿入」というときは、薄片の充填剤の各層の間にポリマーが存在する状態の複合材を意味する。工業的、学術的に理解されるように、層間挿入の指標は、最初の充填剤の薄片と比較したときに、検出されるX線ピークのシフト、および/または、低下であり、最初の鉱物と比較して間隔が大きくなったことを意味している。
「剥離」というときは、最初の無機粒子の各層が、ポリマーが各粒子の周囲を取り囲めるように分離することを意味し、ひとつの実施形態では,各薄片の間に十分な量のポリマーが存在し、各薄片がランダムに分散する。例えば、剥離または層間挿入の指標は、層状の薄片がランダムに分散するか、大きく離間することにより、X線のピークが表れないか、大きな面間隔として表れることである。しかしながら、工業的、学術的に理解されるように、剥離が生じたことを表す他の有用な指標は、気体透過性試験、電子顕微鏡観察、原子間力顕微鏡観察などである。
「溶剤」というときは、他の物質を溶解させることができる物質を言う。溶剤という用語が用いられるときは、特に断りのない限り、少なくとも1以上の溶剤を意味する。ある実施形態では、溶剤は極性である。別の実施形態では、溶剤は非極性である。
「溶液」というときは、1以上の物質(溶質)が1以上の物質(溶剤)に、分子レベルまたはイオンレベルで均一に分散している混合物をいう。例えば、溶解プロセスというときは、エラストマーと修飾された層状充填剤の両者が、同じ有機溶剤または溶剤混合物中にある混合プロセスをいう。
「懸濁」というときは、固体が、固体、液体、気体中に、通常はコロイドサイズより大きな粒子で分散している系を言う。
「エマルジョン」というときは、乳化剤の存在または非存在下で、液体または懸濁液が、非相溶性の液体中に、通常はコロイドサイズより大きな液滴で分散している系をいう。
「炭化水素」というときは、主に水素と炭素原子を含む、分子または分子の一部をいう。ある実施形態では、炭化水素には、ハロゲン化された炭化水素、および、以下詳しく説明するヘテロ原子を有する炭化水素が含まれる。
「極性基」というときは、非対称に配置された極性的な結合の原子の集団であって、結合した原子間の、Linus Paulingの電気陰性度のスケールで評価した、電気陰性度の差が、0.3より大きく1.7より小さいことをいう。クレイ層とカチオンの間でカチオン交換を生じる電荷分離が存在するイオン基とは異なり、極性基は電荷分離していない。極性基はクレイの表面と相互作用を生じるが、分散を助ける作用があっても、通常、誘引作用はない。
<エラストマー>
この発明のナノ複合材は、CからCのイソオレフィン誘導体の単位を有する少なくとも1つのエラストマーを含む。エラストマーはハロゲン化されていてもよい。イソオレフィンはCからCの化合物であり、ひとつの実施形態では、イソブチレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、および4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択される。
エラストマーは、他のモノマー誘導体単位を含む。ひとつの実施形態では、エラストマーには少なくとも1つのスチレンモノマーが含まれる。スチレンモノマーは、置換されたスチレンモノマーであり、望ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、あるいは、CからCのアルキル鎖または分岐を有するアルキル鎖から選択されるアルキル鎖を有するアルキルスチレン(オルト、メタ、パラ)、から選択される。
好ましい実施形態では、スチレンモノマーはパラ−メチルスチレンである。別の実施形態では、エラストマーには少なくとも1つのマルチオレフィンが含まれる。マルチオレフィンは、共役または非共役のCからC14のジエンであり、ひとつの実施形態では、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ピペリレン、またはこれらの組み合わせである。
ひとつの実施形態では、エラストマーには、イソオレフィンから誘導された単位と、マルチオレフィンから誘導された単位と、スチレンから誘導された単位とが含まれる。別の実施形態では、エラストマーにはイソオレフィンから誘導された単位と、スチレンから誘導された単位とが含まれ、また別の実施形態ではエラストマーにはイソオレフィンから誘導された単位と、マルチオレフィンから誘導された単位とが含まれる。
この発明のひとつの実施形態では、エラストマーは、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンコモノマーのCからCのイソオレフィンの弾性ランダム共重合体であり、好ましくは、パラ−アルキルスチレンが少なくともパラ−イソマーの重量で80%含まれ、より好ましくは90%含まれており、また、少なくともスチレンモノマー単位中のアルキル置換基のいくつかがハロゲン化ベンジル基またはその他の官能基を有する、官能化された中間体ポリマーを含有する。
この発明の別の実施形態では、中間体ポリマーは、エチレンとCからCのα−オレフィンとパラ−アルキルスチレンコモノマーの弾性ランダム共重合体であり、好ましくは、パラ−アルキルスチレンが少なくともパラ−イソマーの重量で80%含まれ、より好ましくは90%含まれており、また、少なくともスチレンモノマー単位中のアルキル置換基のいくつかがハロゲン化ベンジル基またはその他の官能基を有する、官能化された中間体ポリマーを含有する。
中間体ポリマーに好適な材料は、ポリマー鎖に沿って以下のモノマー単位がランダムに間隔をおいて並ぶものである。
Figure 0005419257
ここでR10とR11は、それぞれ独立して水素、低級アルキル、好ましくはC1からC7のアルキルおよび1級または2級ハロゲン化アルキル、Xはハロゲンなどの官能基である。好ましくは、R10とR11は水素である。中間体ポリマー中にある、パラ位が置換されたスチレンの最大60モル%までが、上記のいずれかの実施形態の官能化された構造を有し、別の実施形態では0.1から5モル%である。また別の実施形態では、官能化された構造は0.4から1モル%である。
官能基Xはハロゲン、またはハロゲンと、ベンジルハロゲンの求核反応により導入された、カルボン酸基、カルボン酸塩基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルボン酸イミド基、水酸基、アルコキシド基、フェノキシド基、チオール基、チオエステル基、キサントゲン酸塩基、シアン基、ニトリル基、アミノ基、およびこれらの組合せ、などの他の官能基との組み合わせである。
これらの官能化されたイソオレフィン共重合体の製造方法、官能化方法、硬化方法は、米国特許第5162445号に開示されており、特に、以下に開示するように官能化されたアミンが開示されている。
このような官能化された材料のうち最も有用なものは、弾性を有するイソブチレンとパラ−メチルスチレンのランダム中間体ポリマーであり、パラ−メチルスチレンは0.5から20モル%含まれ、ベンジル環中のメチル置換基の最大60モル%が、臭素または塩素原子、好ましくは臭素原子を有し(パラ(臭素化メチルスチレン))、あるいは、パラ(臭素化メチルスチレン)と、エーテルやエステルなどの他の官能基とを組み合わせたものである。
このようなハロゲン化されたエラストマーは商業的に、EXXPRO(登録商標)エラストマー (ExxonMobil Chemical Company社、ヒューストン、テキサス)として入手可能であり、このエラストマーを以下「BMS」と略記する。
好ましい実施形態では、中間体ポリマーの官能性は、ポリマー母材と高温で混合されるときに、ポリマー母材中の酸、アミノ基、水酸基などの官能基と、反応または極性結合を生じるように選択される。
これらの官能化された中間体ポリマーは、実質的に均一な組成分布を有し、少なくとも95wt%のポリマー中のパラ−アルキルスチレン含有量が、平均アルキルスチレン含有量値の10%以内に収まる。好ましい中間体ポリマーは狭い分子量分布(Mw/Mn)を示し、Mw/Mnが5未満、より好ましくは2.5未満であり、ゲル浸透クロマトグラフィーで求めた粘度平均分子量が20万から200万の範囲、好ましい数平均分子量は25000から750000である。
BIMSポリマーはルイス酸触媒を用いてモノマーの混合物をスラリー重合し、次に溶液中で、熱および/または光および/または化学開始剤などのラジカル開始剤と、ハロゲンとを用いてハロゲン化、好ましくは臭素化し、任意に、臭素を求電子反応により他の官能性部位に置換する。
好ましいBIMSポリマーは、臭素化されたポリマーであり、一般に、ポリマー中の全モノマー単位に対し、0.1から5モルパーセントの臭素化メチルスチレン基を含有する。別の実施形態では、臭素化メチル基の含有量は0.2から3.0モルパーセント、また別の実施形態では0.3から2.8モルパーセント、また別の実施形態では0.4から2.5モルパーセント、また別の実施形態では0.3から2.0モルパーセントであり、望ましい範囲はこれらの上限値と下限値の組み合わせである。
別言すれば、好ましい共重合体は、全ポリマーの重量に対し0.2から10wt%の臭素を含み、別の実施形態では0.4から6wt%の臭素を含み、別の実施形態では0.6から5.6wt%の臭素を含み、実質的に環状ハロゲン、またはポリマー主鎖中のハロゲンは存在しない。
この発明のひとつの実施形態では、中間体ポリマーはCからCのイソオレフィン誘導体(またはイソモノオレフィン)、パラ−メチルスチレン誘導体単位、パラ−(ハロメチルスチレン)誘導体単位の共重合体である。
ひとつの実施形態では、中間体ポリマー中に、パラ−(ハロメチルスチレン)単位は、全パラ−メチルスチレンに対し0.4から3.0モル%存在し、パラ−メチルスチレン誘導体単位は、全ポリマーの重量に対し3重量パーセントから15重量パーセント存在し、別の実施形態では4重量パーセントから10重量パーセント存在する。別の実施形態では、パラ−(ハロメチルスチレン)はパラ−(臭素化メチルスチレン)である。
この発明のハロゲン化されたエラストマーには、ハロゲン化ブチルゴム成分が含まれる。ここで「ハロゲン化ブチルゴム」というときは、ブチルゴムと、以下説明する、いわゆる星状に分岐したブチルゴムの両者が含まれる。この発明のひとつの実施形態では、ハロゲン化されたゴム成分は、ハロゲン化されたCからCのイソモノオレフィンおよびマルチオレフィンの共重合体である。別の実施形態では、ハロゲン化されたゴム成分は、ポリジエンまたはブロック共重合体と、CからCのイソモノオレフィンと、共役または「星状に分岐」したブチルポリマーのブレンド物である。
従って、この発明のハロゲン化されたブチルポリマーは、CからCのイソモノオレフィン誘導体単位と、マルチオレフィン誘導体単位と、ハロゲン化されたマルチオレフィン誘導体単位とを含む、ハロゲン化されたエラストマーであり、「ハロゲン化ブチルゴム」「ハロゲン化された星状の」ブチルゴムの両者が含まれる、と記述される。
ひとつの実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムは臭素化されたブチルゴムであり、別の実施形態では塩素化されたブチルゴムである。ハロゲン化ブチルゴムの一般性質と加工は、THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK 105-122 (Robert F. Ohm編., R.T. Vanderbilt Co., Inc. 1990)と、RUBBER TECHNOLOGY 311-321 (Maurice Morton 編., Chapman & Hall 1995)に記載されている。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、および星状に分岐したブチルゴムは、Edward KresgeとH.C. Wangらの8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY 934-955 (John Wiley & Sons, Inc. 4th ed. 1993)に記載されている。
この発明のハロゲン化されたゴム成分の比限定的例示として、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状に分岐したポリイソブチレンゴム、星状に分岐した臭素化ブチル (ポリイソブチレン/イソプレン共重合体) ゴム、イソブチレン/メタ−ブロモメチルスチレン、イソブチレン/パラ−ブロモメチルスチレンなどのイソブチレン−ブロモメチルスチレン共重合体、イソブチレン/クロロ−メチルスチレン、ハロゲン化されたイソブチレン−シクロペンタジエン、イソブチレン/パラクロロメチルスチレンなど、米国特許第4074035号、4395506号に記載されているハロメチル化された芳香族中間体ポリマー、イソプレンとハロゲン化されたイソブチレンの共重合体、ポリクロロプレンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。ハロゲン化ゴム成分のいくつかの実施例が、米国特許第4703091号、4632963号に開示されている。
より詳しくは、ひとつの実施形態では、この発明の臭素化されたゴム成分には、ハロゲン化ブチルゴムが用いられる。ハロゲン化ブチルゴムはブチルゴムをハロゲン化して製造される。好ましくは、この発明のハロゲン化ブチルゴムの製造に用いられるオレフィン重合用原料は、公知のブチルタイプのゴムの製造に用いられているオレフィン化合物である。ブチルポリマーは、コモノマーの混合物を反応させて製造され、この混合物は、少なくとも(1)イソブチレンなどのCからCのイソオレフィンモノマーと、(2)マルチオレフィンまたは共役したジエンのモノマーとを有する。
イソオレフィンは、ひとつの実施形態では全コモノマーに対し70から99.5wt%の範囲であり、別の実施形態では、85から99.5wt%である。ひとつの実施形態では、共役したジエン成分はコモノマーの混合物中に0.5から30wt%存在し、別の実施形態では0.5から15wt%存在する。また別の実施形態では、コモノマーの混合物の0.5から8wt%が共役したジエン成分である。
イソオレフィンは、イソブチレン, イソブテン、2−メチル−1ブテン、3−メチル−1ブテン、2−メチル−2ブテン、4−メチル−1ペンテンなどの、CからCの化合物である。マルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、シクロペンタジエン、ヘキサジエン、およびピペリレンなどの、CからC14の共役したジエンである。
この発明の実施形態に係るブチルゴムポリマーは、92から99.5wt%のイソブチレンを0.5から8wt%のイソプレンと反応させて得られ、また別の実施形態では95から99.5wt%のイソブチレンを0.5から5.0wt%のイソプレンと反応させて得られる。
ハロゲン化ブチルゴムは、前記のようにブチルゴム製品をハロゲン化して製造される。この発明ではハロゲン化の方法に制限はなく、いかなる方法で行ってもよい。ブチルポリマーなどのポリマーのハロゲン化方法は、米国特許第2631984号、3099644号、4554326号、4681921号、4650831号、4384072号、4513116号、5681901号に開示されている。ひとつの実施形態では、ハロゲンは、例えばRUBBER TECHNOLOGY, 298-299 (1995)に開示されている、いわゆるII,III構造である。
ひとつの実施形態では、ブチルゴムは、ハロゲン化剤に臭素Brまたは塩素Clを用いて、40から60℃のヘキサン溶液中でハロゲン化される。ハロゲン化ブチルゴムは、ひとつの実施形態では20から70のムーニー粘度(ML1+8、125℃)を有し、また別の実施形態では、25から55のムーニー粘度を有する。ハロゲン化ブチルゴム中のハロゲン含有量wt%は、ひとつの実施形態では0.1から10wt%であり、別の実施形態では0.5から5wt%である。また別の実施形態では、ハロゲン化ブチルゴム中のハロゲン含有量wt%は1から2.2wt%である。
別の実施形態では、ハロゲン化されたブチルゴムあるいは星状に分岐したブチルゴムは、第1アリル位にハロゲン化が生じてハロゲン化される。これは、遊離ラジカルによる臭素化、または遊離ラジカルによる塩素化によって達成される。あるいは、ハロゲン化されたゴムの、加熱などによる二次処理によって、アリル位がハロゲン化されたブチルゴムや星状に分岐したブチルゴムが生成する。アリル位がハロゲン化されたポリマーを生成させる一般的な方法は、Gardnerらの、米国特許第4632963号、4649178号、4703091号に開示されている。
すなわち、この発明のひとつの実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムにおけるハロゲン化されたマルチオレフィンモノマー単位は、第1アリル位がハロゲン化されたものであり、第1アリル位の構成は(ハロゲン化マルチオレフィンの全量に対して)少なくとも20モル%であり、別の実施形態では、少なくとも30モル%である。これは、下記の構造で表される。
Figure 0005419257
ここで、Xは、好ましくは塩素または臭素であるハロゲン、qは、ひとつの実施形態では、全ハロゲンのモル数に対し少なくとも20モル%、別の実施形態では少なくとも30モル%、また別の実施形態では25モル%から90モル%である。
このゴムの商業的実施形態は、Bromobutyl 2222 (ExxonMobil Chemical社)である。この製品のムーニー粘度(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正(modified))は27から37、臭素含有量は1.8から2.2wt%である。ハロゲン化ブチルゴムの別の商業的実施形態は、Bromobutyl 2255 (ExxonMobil Chemical社)である。この製品のムーニー粘度(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正(modified))は41から51、臭素含有量は1.8から2.2wt%である。この発明は、ハロゲン化ゴムの商業的入手源によって限定されるものではない。
別の実施形態では、この発明の臭素化されたゴムには、分岐、あるいは「星状に分岐」したハロゲン化ブチルゴムが用いられる。ひとつの実施形態では、星状に分岐したハロゲン化ブチルゴム(SBHR)は、ハロゲン化された、あるいはされていないブチルゴムと、ハロゲン化された、あるいはされていないポリジエンまたはブロック共重合体との組成物である。ハロゲン化方法は、米国特許第4074035号、4074035号、5071913号、5286804号、5182333号、および6228978号に詳しく開示されている。
この発明は、SBHRを生成させる方法によって限定されるものではない。ポリジエン/ブロック共重合体、または分岐剤(以下、ポリジエンという)は、カチオン性の反応性を有し、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムの重合中に共存し、あるいはSBHRを生成するために、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムにブレンドされる。分岐剤、あるいはポリジエンは、分岐剤に適したものであればよく、この発明はSBHRを生成するために用いられるポリジエンのタイプによって限定されるものではない。
ひとつの実施形態では、SBHRはブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムの組成物であり、ポリジエンと、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン、およびスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体からなる群から選択されて一部水素化されたポリジエンとの共重合体である。ひとつの実施形態では、ポリジエンの量は、モノマーのwt%で表したとき、0.3wt%を超え、別の実施形態では0.3から3wt%であり、さらに別の実施形態では0.4から2.7wt%である。
この発明のSBHRの商業的実施形態は、ムーニー粘度(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正(modified))が27から37で、臭素含有量が2.2から2.6重量%の、Bromobutyl 6222 (ExxonMobil Chemical Company社)である。
ひとつの実施形態では、ハロゲン化されたゴム成分はブレンド物中に10から90phr存在し、別の実施形態では20から80phr存在し、また別の実施形態では30から70phr存在し、好ましい範囲は、これらのphrの上限値とphrの下限値の組み合わせである。
<官能化されたハロゲン化エラストマー>
上記のハロゲン化されたポリマーのハロゲンは、母材ポリマーと高温で混合されたとき、母材ポリマー中の、例えば酸、アミノ基、水酸基などの官能基と反応、または極性結合することができる。この発明のひとつの実施形態は、クレイと、CからCのイソオレフィン誘導体を含むハロゲン化エラストマーとからなるナノ複合材であって;エラストマー中のハロゲンの一部が求電子反応によりアミン官能基で置換されて、ハロゲン化エラストマーも、次の図で表されエラストマーEにぶら下がっている、アミン官能化されたモノマー単位を有する。
Figure 0005419257
ここで、RとRは同一または異なっており、水素、CからCのアルキル、1級または2級ハロゲン化アルキルであり;R、R、Rは同一または異なっており、水素、CからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、置換されたCからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、CからC20の脂肪族アルコールまたはエーテル、CからC20のカルボン酸、ニトリル、エトキシ化アミン、アクリレート、エステル、およびアンモニウム塩からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、少なくとも1つのR、R、RがCからC20のアルケン、CからC20の脂肪族アルコールから選択され、CからC20の脂肪族エーテル、CからC20のカルボン酸、ニトリル、エトキシ化アミン、アクリレート、エステル、およびアンモニウム塩から選択される。
ひとつの実施形態では、ハロゲン化されたエラストマーEは、C−Cのイソオレフィン誘導体単位、パラ−メチルスチレン誘導体単位、およびパラ−(ハロメチルスチレン)誘導体単位からなる。
別の実施形態では、ハロゲン化されたエラストマーEは、C−Cのイソオレフィン誘導体単位、マルチオレフィン誘導体単位、およびハロゲン化されたマルチオレフィン誘導体単位からなる。
エラストマーEにぶら下がった官能基を、アミン官能基にすることができ、少なくとも1つのR、R、Rが、CからC20の脂肪族アルコールまたは脂肪族エーテル、CからC20のカルボン酸、ニトリル、エステル、アンモニウム塩またはアクリレートから選択される。アクリレートは次式で表される。
Figure 0005419257
ここで、R、R、およびRは、同一、または異なり、CからCのアルキルまたはアルケニルから選択される。
別の実施形態では、アミン基は次の構造を有するエトキシル化アミンから選択される。
Figure 0005419257
ここで、RはCからC20のアルキルであり、x+yは、2,5,10,15または50である。
別の実施形態では、アミン基は、ジメチルアミノアクリレート、ジメチルアミノメタクリレート、N−メチルアミノ−ビス−2−プロパノール、N−エチルアミノ−ビス−2−プロパノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロパノール、ジエチル−エタノールアミン、ジメチルアミノ−1−プロパノール、トリプロパノールアミン、トリエタノールアミン、アミノラウリン酸、ベタイン、またはこれらの組み合わせから選択される。
アミノ基で官能化された誘導単位は、ひとつの実施形態では、ハロゲン化エラストマー中に0.01重量パーセントから10重量パーセント存在し、別の実施形態では0.1重量パーセントから8重量パーセント存在し、別の実施形態では0.2から6重量パーセント存在する。好ましい範囲はこれらの上限値と下限値の組み合わせとすることができる。
<極性官能化されたポリマーまたはオリゴマー>
極性のポリマーまたはオリゴマーを、この発明の組成物または最終製品中に存在させることができる。極性ポリマーはポリマー母材とクレイの相互作用を増大させることができ、ナノ複合材の製造中に凝集したクレイの分離、分散、または剥離を促進する。これにより、空気透過性が改善された組成物が提供される。
極性成分はまた、最終製品を製造するときにクレイの再凝集を最小限にとどめることができ、ある実施形態では、極性ポリマーは、ポリマーの相溶性を高めるために、上記のハロゲン化あるいは官能化されたハロゲン化ポリマーと同様の化学構造(主鎖)を有することができる。極性基は、アルコール、エーテル、酸、無水物、ニトリル、エトキシ化されたアミンを含むアミン、アクリレート、エステル、アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
ひとつの実施形態では、極性ポリマーは、ポリマーと酸または酸無水物との反応で生成した反応生成物である。別の実施形態では、極性ポリマーは、ポリマーと酸無水物と開始剤の反応生成物である。一般に酸と酸無水物といわれるが、当業者であれば、ポリマーに酸または酸無水物を導入した場合、副生物と酸または酸無水物の塩が含まれることは容易に認められるであろう。
ひとつの実施形態では、極性ポリマーは、CからCのイソオレフィン誘導体単位を含む。イソオレフィンはCからCの化合物であり、ひとつの実施形態では、イソブチレン, イソブテン、2−メチル−1ブテン、3−メチル−1ブテン、2−メチル−2ブテン、4−メチル−1ペンテンからなる群から選択される。
極性ポリマーは、他のモノマー誘導体単位を含むことができる。ひとつの実施形態では、極性ポリマーは、少なくとも1つのスチレンモノマーを含み、このスチレンモノマーは置換基を有するスチレンモノマーであってもよく、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、あるいは、CからCのアルキル鎖または分岐を有するアルキル鎖から選択されるアルキル鎖を有するアルキルスチレン(オルト、メタ、パラ)、からなる群から選択される。好ましい実施形態では、スチレンモノマーはパラメチルスチレンである。
別の実施形態では、極性ポリマーには少なくとも1つのマルチオレフィンが含まれ、マルチオレフィンは、共役または非共役のCからC14のジエンであり、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ピペリレン、またはこれらの組み合わせである。
ひとつの実施形態では、極性ポリマーには、イソオレフィンから誘導された単位と、マルチオレフィンから誘導された単位と、スチレンから誘導された単位とが含まれる。別の実施形態では、極性ポリマーにはイソオレフィンから誘導された単位と、スチレンから誘導された単位とが含まれ、また別の実施形態では極性ポリマーにはイソオレフィンから誘導された単位と、マルチオレフィンから誘導された単位とが含まれる。別の実施形態では、極性ポリマーは上記のようにして、官能化、またはハロゲン化される。
いくつかの実施形態では、酸無水物が有機酸無水物である。酸無水物は次の一般構造を持つカルボン酸無水物の1つである。
Figure 0005419257
ここで、RとRは同一または異なっており、CからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、置換されたCからC20のアルキル、アルケン、またはアリール、CからC20の脂肪族アルコールまたはエーテル、ニトリル、エトキシ化アミン、アクリレート、エステル、およびアンモニウム塩からなる群から選択される。ひとつの実施形態では、酸無水物は無水マレイン酸である。別の実施形態では、酸無水物は無水コハク酸である。
別の実施形態では、酸無水物は無水リン酸、無水硫酸である。また別の実施形態では、極性基はカルボキシアミドである。
いくつかの実施形態では、酸は有機酸である。有機酸は、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、ペルオキシ酸などである。別の実施形態では、酸はチオカルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、キサントゲン酸、スルフェン酸、スルファミン酸、ホスホン酸、アミド酸、アジン酸、アゾン酸、ヒドロキサム酸、イミド酸、イミノ酸、ニトロソ酸、ニトロール酸、ヒドラゾン酸、またはこれらの組み合わせである。
別の実施形態では、極性のポリマーまたはオリゴマーは、ポリマーと酸無水物と開始剤とを反応させて生成させることができ、ある実施形態では、開始剤はパーオキサイドである。特に有用なパーオキサイドは、パーエステル(perester)、パーケタール(perketal)、ペルオキシカーボネートである。ある実施形態では、パーオキサイドはペルオキシベンゾエイトである。商業的な量のこれらの化合物は、Akzo Nobel社、Arkema社、Aztec社から入手できる。周知のように、このようなパーオキサイドは異なる温度ごとの分解速度に基づき選択される。このような半減期の情報は、供給者から入手できる。
ポリマーと、酸または酸無水物とを反応させるために用いられる開始剤の量は、約0ppmから約600ppmか、それ以上である。またこの発明の別の実施形態では、開始剤には、開始剤を組み合わせたものが含まれる。当業者であれば、これらの濃度に制限は無く、所望の性能のポリマー製品を製造するために必要な濃度で用いればよいことが理解できよう。
例えば、いくつかの実施形態では、極性ポリマーは無水コハク酸とポリイソブチレンの反応物である無水コハク酸ポリイソブチレンである。別の実施形態では、極性のポリマーまたはオリゴマーは、上述のハロゲン化エラストマーと無水マレイン酸との反応生成物である。別の実施形態では、ハロゲン化エラストマーと無水マレイン酸を、例えばtert−ブチルペルオキシベンゾエイトなどの開始剤の存在下で反応させる。
ひとつの実施形態では、酸または酸無水物から誘導された単位は、ポリマー中に、全ポリマーに対し0.01重量パーセントから10重量パーセント存在し、別の実施形態では0.1重量パーセントから8重量パーセント存在し、別の実施形態では0.01重量パーセントから10重量パーセント存在し、別の実施形態では0.2重量パーセントから7重量パーセント存在し、別の実施形態では0.2から5.0重量パーセント存在し、別の実施形態では0.3から3.0重量パーセント存在し、望ましい範囲はいずれかの上限値と下限値の組み合わせである。
エラストマーが官能基を含有する場合、剥離、層間挿入、気体透過性、ポリマーブレンドの相溶性を改善するために、極性ポリマーはより高含有量の官能基、および/または、異なる官能基、あるいは、例えばエラストマーの官能基よりも極性の高い官能基などを含有することができる。
ひとつの実施形態では、この発明のナノ複合材はハロゲン化エラストマーと極性ポリマーを含有することができる。上記のように、極性ポリマーは剥離、気体透過性、ポリマーブレンドの相溶性を、ハロゲン化エラストマーをさらに官能化することなく、強化することができる。製造工程を簡略化できることに加え、ハロゲン化エラストマーの官能化を最小限にし、あるいは省略することにより、芳香族ハロメチル基が利用可能な架橋反応の選択の幅を広げるので、組成物の硬化反応性が改善される。
この発明のナノ複合材中の極性ポリマー間、あるいは極性ポリマーと他の成分との相互作用は、空気バリア性を強化することができる。複合材料中の分子間の極性、あるいはその他のイオン性相互作用は、酸素または他のガスが透過可能な面積を制限するため、ナノ複合材の空気バリア性が強化される。
いくつかの実施形態では、イソモノオレフィンと酸または酸無水物から誘導された適切な極性ポリマーは、数平均分子量(Mn)が少なくとも約1000、好ましくは少なくとも約10000、より好ましくは約30000である。また、共重合体は、好ましくは重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわちMw/Mnが約6未満、好ましくは約4未満、より好ましくは約2.5未満である。
別の実施形態では、適切な極性オリゴマー、あるいは、低分子量ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約500、好ましくは少なくとも約1000、より好ましくは少なくとも約2000である。また、オリゴマーは、好ましくは重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわちMw/Mnが約6未満、好ましくは約4未満、より好ましくは約2.5未満である。
この発明のナノ複合材のポリマー成分の組み合わせには、少なくとも1つの上述のエラストマーまたはポリマーが含まれるか、あるいは、少なくとも2以上の上述のエラストマーまたはポリマーが含まれる。ひとつの実施形態では、エラストマーまたはポリマーには、少なくとも1つのイソブチレンベースのポリマーが含まれる。別の実施形態では、エラストマーまたはポリマーには、少なくとも1つのイソブチレンベースと、少なくとも1つの他のポリマーが含まれる。また別の実施形態では、少なくとも2以上のイソブチレンベースのポリマーが含まれる。
<第2ゴム成分>
この発明の組成物、またはこの発明の最終製品は、1以上の第2ゴム成分、あるいは「一般用途用ゴム」を、その組成中に含有する。これらのゴムの比限定的例示には、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、 スチレン−イソプレ−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、 エチレン−プロピレンゴム−ジエンゴム(EPDM)、ポリ硫化物、ニトリルゴム、ポリプロピレンオキサイドポリマー、星状に分岐したブチルゴム、ハロゲン化された星状に分岐したブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状に分岐したポリイソブチレンゴム、星状に分岐した臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレン共重合体)ゴム、ポリ(イソブチレン−co−パラ−メチルスチレン)ゴム、ハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−パラ−メチルスチレン)ゴム、例えばイソブチレン誘導体単位、パラ−メチルスチレン誘導体単位、およびパラ−臭素化メチルスチレン誘導体単位からなるターポリマー、およびこれらの混合物が含まれる。
好ましい実施形態の第2ゴム成分は天然ゴムである。天然ゴムについてSubramaniamによってRUBBER TECHNOLOGY 179-208 (Maurice Morton, Chapman & Hall 1995)に詳しく説明されている。この発明の望ましい実施形態の天然ゴムは、SMRCV, SMR5, SMR10, SMR20, SMR50,およびこれらの混合物などの、マレーシア産の天然ゴムから選択される。天然ゴムのムーニー粘度100℃(ML1+4)が30から120の範囲、好ましくは40から65の範囲である。ムーニー粘度の測定方法は、ASTM D−1646に従う。
ポリブタジエンゴム(BR)も、この発明の組成物に好ましい第2ゴム成分である。ポリブタジエンゴムのムーニー粘度100℃(ML1+4)が35から70の範囲、別の実施形態では40から65、また別の実施形態では45から60の範囲である。この発明に有用な市販の合成ゴムの例は、NATSYNTM(登録商標) (Goodyear Chemical Company社)、 BUDENETM(登録商標) 1207、または BR 1207 (Goodyear Chemical Company社)である。望ましいゴムは、高シス−ポリブタジエン(cis−BR)のものである。「シス−ポリブタジエン」「高シス−ポリブタジエン」というときは、1,4−シスポリブタジエンが用いられ、シス成分の含有量が少なくとも95%のものをいう。高シス−ポリブタジエンの商業製品の一例は、BUDENE(登録商標)1207組成物に用いられたものである。
エチレンとプロピレンから作られるEPMやEPDMなどのゴムも、第2ゴム成分に好適に用いられる。EPDMの製造に適したコモノマーは、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、その他である。これらのゴムは、RUBBER TECHNOLOGY 260- 283 (1995)に開示されている。好ましいエチレン−プロピレンゴムは商業的に、VISTALON(登録商標) (ExxonMobil Chemical Company社、ヒューストン、テキサス)が入手可能である。
別の実施形態では、第2ゴム成分はターポリマー成分の一部である、ハロゲン化されたゴムである。ハロゲン化されたブチルゴムは臭素化されたブチルゴムであり、別の実施形態では塩素化されたブチルゴムである。
ハロゲン化ブチルゴムの一般的性質と加工方法は、THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK 105-122 (Robert F. Ohm ed., R. T. Vanderbilt Co., Inc. 1990)と、RUBBER TECHNOLOGY 311-321 (Maurice Morton ed., Chapman & Hall 1995)に開示されている。ブチルゴム, ハロゲン化ブチルゴム、星状に分岐したブチルゴムは、Edward KresgeとH. C. Wangによって、8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY 934-955 (John Wiley & Sons, Inc. 4th ed. 1993) に開示されている。
この発明の第2ゴム成分には次のものが含まれるが、これらに限定されない。少なくとも1以上の、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状に分岐したポリイソブチレンゴム、星状に分岐した臭素化ブチル (ポリイソブチレン/イソプレン共重合体) ゴム;例えば、イソブチレン誘導体単位、パラ−メチルスチレン誘導体単位、およびパラ−臭素化メチルスチレン誘導体単位(BrIBMS)からなるターポリマーなどの、ハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−パラ−メチルスチレン)、および同様の、米国特許第5162445号、第4074035号、第4395506号に開示されたハロメチル化された芳香族中間体ポリマー;ハロゲン化されたイソプレンとハロゲン化されたイソブチレンの共重合体、ポリクロロプレンなど、およびこれらの混合物である。ハロゲン化されたゴム成分のいくつかの実施例が、米国特許第4703091号、4632963号に開示されている。
この発明のひとつの実施形態では、いわゆる半結晶性共重合体(SCC)が第2ゴム成分として存在する。半結晶性共重合体は、国際公開パンフレットWO00/69966に開示されている。一般に、SCCはエチレンまたはプロピレン由来のモノマー単位と、α−オレフィン由来のモノマー単位との共重合体であって、ひとつの実施形態では、α−オレフィンの炭素数は4から16であり、別の実施形態では、SCCはエチレン由来のモノマー単位とα−オレフィン由来のモノマー単位との共重合体であって、α−オレフィンの炭素数は4から10であり、SCCはある程度結晶性を有する。また別の実施形態では、SCCは1−ブテン由来のモノマー単位と、それ以外のα−オレフィン由来のモノマー単位との共重合体であって、α−オレフィンの炭素数は5から16であり、SCCはある程度結晶性を有する。SCCはエチレンとスチレンの共重合体であってもよい。
エラストマー組成物の第2ゴム成分の量は、1つの実施形態では、1から90phrであり、別の実施形態では最大50phrまでであり、別の実施形態では最大40phrまでであり、また別の実施形態では最大30phrまでである。また別の実施形態では、第2ゴム成分の量は少なくとも2phr、別の実施形態では少なくとも5phr、別の実施形態では少なくとも5phr、また別の実施形態では少なくとも10phrである。望ましい 実施形態では、いずれかの上限値と、いずれかの下限値とが組み合わされる。
例えば、第2ゴム成分は、単独、または例えばNRとBRのブレンドされたゴムとして、ひとつの実施形態では、5から90phr存在し、別の実施形態では10から80phr、別の実施形態では30 から70phr、別の実施形態では40から60phr存在し、また別の実施形態では5から50phr、別の実施形態では5から40phr、また別の実施形態では20から60phr存在し、また別の実施形態では20から50phr存在し、いずれの実施形態を選択するかは、組成物の最終的な用途による。
<充填剤、硬化剤、および他の添加剤>
この発明の組成物は、少なくとも1以上の炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ、珪酸塩、タルク、二酸化チタン、カーボンブラックなどのフィラーを含む。
ここでいう充填剤には、例えば寸法がナノメートルオーダーの、ナノ複合材の一部を構成する無機クレイ、および/または有機クレイは含まれないが、所望であれば、より大きなクレイをナノ複合材の充填剤に用いることができる。
ひとつの実施形態では、フィラーはカーボンブラックまたは修飾されたカーボンブラックである。好ましいフィラーは、半補強性グレードのカーボンブラックであり、ナノ複合材組成物中に10から150phr、より好ましくは30から120phr存在する。カーボンブラックの有用なグレードは、RUBBER TECHNOLOGY 59-85 (1995)に開示されたN110からN990の範囲のものである。より好ましくは、例えばタイヤのトレッド用に有用なカーボンブラックは、ASTM(D3037, D1510, とD3765)に規定されたN229、 N351, N339, N220, N234およびN110である。また、タイヤの側壁用に有用なカーボンブラックの例は、N330, N351, N550, N650,N660と、N762である。タイヤのインナーライナー用に有用なカーボンブラックの例は、N550, N650, N660, N762, and N990である。
この発明の組成物は、官能化されたエラストマー共重合体ブレンドを硬化可能な硬化剤を任意に含ませて、加硫可能な組成物を提供することができる。この発明のエラストマー共重合体の適した硬化剤には、有機過酸化物、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸と組み合わせて用いられる酸化亜鉛、任意に以下に例示する1以上の促進剤または硬化剤が含まれる:
Permalux(ジカテコールホウ酸のジ−オルト−トリルグアニジン(di−ortho−tolylguanidine)塩)、 HVA−2(m−フェニレンビスマレイミド)、Zisnet(2,4,6−トリメルカプト−5トリアジン)、ZDEDC(ジメチルジチオカーバメート亜鉛)および他のジメチルジチオカーバメート、TetroneA(ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド)、Vultac−5(アルキル化フェノールジ スルフィド)、SP1045(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056(ブロモメチルアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD(ジフェニルフェニレンジアミン)、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、 ウッドロジン(アビエチン酸)、およびTMTDS(二硫化テトラメチルチウラム)と硫黄の組み合わせ。
また、組成物を、紫外線または電子照射で硬化させてもよい。
この発明の組成物はまた、顔料、着色剤、染料、酸化防止剤、熱および光安定剤、可塑剤、オイルや他の公知の副原料など、従来用いられている他の添加剤を含むことができる。
充填剤、添加剤、および/または硬化剤のブレンドは、この発明のナノ複合材と所望の成分とを、例えば、バンバリー(登録商標)ミキサー、ブラベンダー(登録商標)ミキサー、好ましくはミキサー/押出機などの適切な混合装置を用いて、温度120℃から300℃で、所望の成分がポリマー中に均一に分散してナノ複合材組成物が形成されるのに十分なせん断下で混合して行う。
この発明の組成物は、押出加工、圧縮成形、ブロー成形、射出成形により、繊維、フィルム、自動車部品、電気製品のハウジング、日用品、包装資材などの、いろいろな形状の物品に成形することができる。成形された物品は高い耐衝撃強度と低い気体透過性を有する。特に、この発明の組成物は空気遮断性に優れており、袋状容器(bladders)、自動車(トラック、商用車および/または乗用車)や航空機の、インナーライナー、および/またはインナーチューブに有用である。
<クレイ>
この発明のナノ複合材は、膨潤性の無機クレイを含有することができる。この発明の目的に適した膨潤性の層状無機クレイには、天然または合成のフィロシリケート、特にスメクティックなクレイ、例えば、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤアイト、ステベンサイト、また、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミン酸塩酸化物、ハイドロタルサイトなどが含まれる。
これらの多層クレイは、一般に厚みが8から12Å、層間距離が4Å未満で、層間の表面にNa、Ca+2、K、あるいはMg+2などの交換可能なカチオンを含んで固く結合した、多数のプレート状珪酸の粒子を含んでなる。
層状のクレイは、クレイを水溶液中に懸濁させて剥離させることができる。水溶液中のクレイの濃度は、クレイ粒子間の相互作用が最小になり、クレイが完全に剥離するよう、十分低いことが好ましい。ひとつの実施形態では、水性のクレイのスラリー中のクレイ濃度は0.1から5.0重量パーセントである。別の実施形態では0.1から3.0重量パーセントである。
いくつかの実施形態では、水性のクレイのスラリーは、クレイと水を、室温でクレイの剥離に十分な時間撹拌して調製し、ひとつの実施形態では、クレイと水を0.25から24時間撹拌する。別の実施形態では、クレイと水を4から16時間、あるいは10から14時間撹拌する。
別の実施形態では、クレイを有機液体と混合して、クレイ分散液にする。クレイは無機クレイでも修飾された有機クレイでもよい。有機液体は水と混ざるものでも、混ざらないものでもよい。いくつかの実施形態では、クレイ分散液のクレイ濃度は0.1から5.0重量パーセントである。別の実施形態では0.1から3.0重量パーセントである。
層状のクレイはまた、多層クレイのケイ酸塩層表面に存在するカチオンとイオン交換反応可能な有機分子(膨潤または剥離「剤」または「添加剤」)で処理することにより、層間挿入され、剥離される。
適切な剥離剤には、アンモニウムイオン、アルキルアミンまたはアルキルアンモニウムイオン(1級、2級、3級、および4級)、脂肪族、芳香族、脂肪族アリールアミンのホスホニムまたはスルホニウム誘導体、ホスフィン、硫化物などの、カチオン性の界面活性剤が含まれる。
好ましいアミン化合物(または対応するアンモニウムイオン)の構造は、R121314Nで表され、ひとつの実施形態では、R12、R13、R14はCからC30のアルキルまたはアルケンであり、別の実施形態ではCからC20のアルキルまたはアルケンであり、それぞれが同じであるか、または異なっている。
ひとつの実施形態では、剥離剤はいわゆる長鎖三級アミンであり、少なくともR12がC14からC20のアルキルまたはアルケンである。
剥離剤にはまた、ジアミノアルカン、N−アルキル−ジアミノアルカン、N,N−ジアルキル−ジアミノアルカン、N,N,N´−トリアルキル−ジアミノアルカン、N,N,N´,N´−テトラアミノアルカンなどの、ジアミン化合物(あるいは、対応するアンモニウムまたはジアンモニウムイオン)を用いることがでる。
好ましいジアミンの構造は、R1819N−R20−NR2122で表され、R18、R19、R20、R21、R22は、同一の、または異なるCからC30のアルキルまたはアルケン、またはCからC20のアルキルまたはアルケンである。
長鎖ジアミンを所望するときは、少なくとも1つのN−アルキルまたはN−アルケン基の炭素数が8から30、好ましくは炭素数が14から20のものを用いる。非限定的例示としてN−coco−1,3ジアミノプロパン、N−タロ−1,3ジアミノプロパン、N,N,N´−トリメチル−N´ −タロ−1,3ジアミノプロパンなどが挙げられる。
別の剥離剤には、層状クレイの各層の表面に共有結合できるものが含まれる。このような剥離剤には、構造が−Si(R1516で表されるポリシランが含まれ、R15は分子毎に同一でも異なっていてもよくアルキルアルコキシ、オキシシランからなる群から選択され、R16はナノ複合材のポリマー母材と相溶する有機の置換基である。
別の剥離剤には、プロトン化された、炭素数が2から30のアミノ酸、またはその塩が含まれ、例えば12−アミノドデカン酸、イプシロンカプロラクタム、などの物質が含まれる。適切な膨潤剤と、層状ケイ酸塩に層間挿入する方法は、米国特許第4472538号、第4810734号、第4889885号、および国際公開パンフレットWO92/02582に開示されている。
この発明の好ましい実施形態では、剥離剤、または添加剤は、中間体ポリマー上のハロゲンと反応してコンプレックスを形成することができ、これによりクレイの剥離が助勢される。1つの実施形態では、剥離剤には全ての1級、2級、3級アミンおよびホスフィン;アルキルおよびアリール硫化物およびチオール;並びにこれらが官能化された化合物が含まれる。
好ましい剥離剤には、N,N−ジメチル−オクタデシルアミン、N,N−ジオクタデシルメチルアミン、いわゆる二水素化されたタローアルキル−メチルアミン、などと、末端がアミンのポリテトラヒドロフラン、長鎖チオール、または、ヘキサメチレンチオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩化合物などの、長鎖三級アミンが含まれる。
本願に開示する剥離剤は、組成物中に、ここに開示する透過性試験で測定したとき最適の空気保持率が得られる量だけ存在する。例えば、ひとつの実施形態では、剥離剤は0.1から20phr含有され、別の実施形態では0.2から15phr含有され、また別の実施形態では0.3から10phr存在する。剥離剤は、組成物中にどの段階で添加してもよく、例えば、まず剥離剤を中間体ポリマーに添加し、次にクレイを添加する。あるいは、中間体ポリマーとクレイの混合物に剥離剤を添加することができる。別の実施形態では、先ず剥離剤をクレイと混合しておき、つぎに中間体ポリマーにブレンドする。
この発明の別の実施形態では、少なくとも1の多官能性硬化剤を用いて、中間体ポリマーの空気透過性が改善される。このような多官能性硬化剤は、式「Z−R17−Z´」で表され、R17は置換または非置換の、CからC15のアルキル、CからC15のアルケニル、CからC12の環状芳香族のいずれかであり;ZとZ´は同じか異なり、チオ硫酸基、メルカプト基、アルデヒド基、カルボン酸基、パーオキサイド基、アルケニル基、または同様の基のいずれかであり、不飽和結合などの反応性基を有するポリマー鎖を、分子間または分子内で架橋させることができるものである。
いわゆるビスチオ硫酸基化合物は、望ましい多官能性化合物の一例である。このような多官能性硬化剤の非限定的例示として、ヘキサメチレンビス(チオ硫酸ナトリウム)とヘキサメチレンビス(桂皮アルデヒド)などが、ゴム配合技術の分野で広く知られている。
この他の好適な硬化剤は、例えば、BLUE BOOK, MATERIALS, COMPOUNDING INGREDIENTS, MACHINERY AND SERVICES FOR RUBBER (Don. R. Smith, ed., Lippincott & Petto hie. 2001)に開示されている。多官能性硬化剤が用いられる場合、ひとつの実施形態では、組成物中に0.1から8phr、別の実施形態では0.2から5phr存在する。
上記の膨潤剤による処理により、層同士をつなぐイオン結合力が減少することで分子が層間に導入される結果、層間の距離が4Å、好ましくは9Åより大きくなる結果、層状の薄片の層間挿入、または「剥離」が生じる。この距離の拡大は、多層の珪酸塩の層間に重合可能なモノマーおよびポリマー材料が容易に入るのを許し、剥離された珪酸塩の層がポリマー母材中に均一に分散するように剪断下で混練されたとき、層の剥離が加速される。
この発明でナノ複合材に添加されるクレイまたは剥離されたクレイの量は、ナノ複合材の例えば引っ張り強さや酸素透過率などの機械的性質とバリア性を改善するために必要な量である。この発明の、ナノ複合材中のクレイの量は、ナノ複合材中のポリマー含有量を基準にして、ひとつの実施形態では、0.5から10重量パーセント、別の実施形態では1から5重量パーセントである。ゴム100重両部に対する割合で表すと、クレイまたは剥離されたクレイの量は、ひとつの実施形態では、では1から30phrで、別の実施形態では5から20phrである。
<ナノ複合材の製造>
ナノ複合材は種々の方法で形成することができる。例えば、Gongらが2005年7月18日に出願した米国特許出願番号11/183361には、クレイ−ブチルゴムナノ複合材を、ゴム溶液のエマルジョンとクレイの水性分散液から製造する方法が開示されており、このクレイは無機クレイである。
別のナノ複合材形成の例として、Wengらが2005年7月18日に出願した米国特許出願番号11/184000には、ゴムを用いて濃縮されたナノ複合材を作り、この濃縮されたナノ複合材をメインのゴムにブレンドする方法が開示されている。
<溶融ブレンド>
この発明のナノ複合材は、ポリマーの溶融ブレンドにより形成することができる。各成分のブレンドは、ポリマー成分と、層間挿入されたクレイとを、例えば、バンバリー(登録商標)ミキサー、ブラベンダー(登録商標)ミキサー、好ましくはミキサー/押出機などの適切な混合装置を用いて、温度120℃から300℃で、層間挿入されたクレイが官能化された中間体ポリマー中に均一に分散してこの発明のナノ複合材が形成されるのに十分なせん断下で混合して行う。
<エマルジョン法>
この発明のナノ複合材はエマルジョン法でも形成することができる。
ひとつの実施形態では、エマルジョン法は、無機クレイの水性スラリーを、ポリマー溶液と混合する(セメント)工程を含む。混合は、エマルジョン、またはミクロエマルジョンが形成されるような十分な強さで行なう。ひとつの実施形態では、エマルジョンは水性溶液、あるいは有機溶剤中の懸濁液として形成される。実験室、および大生量産する製造設備用の、バッチ式または連続式の標準的な方法と装置を、この発明のナノ複合材ポリマーの製造に用いることができる。
いくつかの実施形態では、ナノ複合材は、水および少なくとも1つの層状クレイを含む溶液Aと、溶剤および少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bとを接触させ;溶液Aと溶液Bを接触させて得た生成物から、溶剤および水を除去してナノ複合材を回収することにより製造される。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、高せん断混合機を用いて混合物を撹拌して形成される。
いくつかの実施形態では、ナノ複合材は、水および少なくとも1つの層状クレイを含む溶液Aと、溶剤および少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bとを接触させ;接触を乳化剤または界面活性剤の存在下に行なう方法により製造される。
この発明のエマルジョンは、公知のエマルジョン技術により形成することができる。すなわち、炭化水素と水と界面活性剤を用いる場合には、エマルジョンを形成するために必要な時間、例えば通常は少なくとも数秒、市販のブレンダーやこれと同等の装置で十分せん断撹拌する。一般的なエマルジョンに関する情報は、S.RossとI.D.Morrisonらの「Colloidal Systems and Interfaces」、J. W. Wiley, NY, 1988が参照される。
エマルジョを、クレイの剥離が十分生じる時間、エマルジョンの状態に保つ。エマルジョンの状態に保つ時間は、1つの実施形態では0.1から100時間、別の実施形態では1から50時間である。エマルジョンの状態に保つ方法は、連続または不連続の撹拌を行い、または行なわず、加熱を行い、または行わず、あるいは別の温度制御を行なう方法により行なう。
界面活性剤を用いる場合、エマルジョンを安定な状態に保てる濃度にする。用いる界面活性剤の濃度は、好ましくは全エマルジョンに対し少なくとも0.001重量パーセント、より好ましくは約0.001から約3重量パーセント、最も好ましくは0.01から2重量パーセント未満である。
この発明のエマルジョンの調製に有用なカチオン性界面活性剤には、三級アミン、ジアミン、ポリアミン、アミンの塩、また四級アンモニウム化合物が含まれる。この発明のエマルジョンの調製に有用な非イオン性界面活性剤には、アルキルエトキシレート、直鎖アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アミドエトキシレート、アミンエトキシレート(例えば、coco−、タロー、およびオレイルアミンエトキシレート)、フェニルエトキシレート、およびノニルフェノールエトキシレートが含まれる。
<溶液ブレンド>
この発明のナノ複合材は、例えばWengらが2004年7月6日に出願した米国特許出願番号60/585629に開示した、溶液ブレンドによっても形成することができる。いくつかの実施形態では、ナノ複合材は、炭化水素を含む溶剤と、少なくとも1つの層状充填剤またはクレイとを含む溶液Aを、溶剤と少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bとを接触させ、溶液Aと溶液Bを接触させて得た生成物から、溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
前の実施形態では、層状の充填剤は上述のように有機化合物で処理された層状のクレイである。別の実施形態では、ナノ複合材は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状充填剤とを、溶剤中で接触させ、接触させて得た生成物から、溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
別の実施形態では、ナノ複合材は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状充填剤とを、少なくとも2つの溶剤を含む混合溶剤中で接触させ、接触させて得た生成物から、混合溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
また別の実施形態では、ナノ複合材は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状充填剤とを、少なくとも2つ以上の溶剤を含む混合溶剤中で接触させ、接触させて得た生成物から、混合溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
別の実施形態では、ナノ複合材は、溶剤または少なくとも2つ以上の溶剤を含む混合溶剤に少なくとも1つのエラストマーを溶解させ、次に少なくとも1つの層状充填剤を分散させた接触生成物を形成し、接触生成物から、混合溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
また別の実施形態では、ナノ複合材は、溶剤または少なくとも2つ以上の溶剤を含む混合溶剤に少なくとも1つの層状充填剤を分散させ、次に少なくとも1つのエラストマーを溶解させた接触生成物を形成し、接触生成物から、混合溶剤を除去してナノ複合材を形成することにより製造される。
上記の実施形態では、溶剤は、ナノ複合材組成物の製造時に、全組成物の重量に対し、30から99wt%存在し、または40から99wt%存在し、または50から99wt%存在し、または60から99wt%存在し、または70から99wt%存在し、または80から99wt%存在し、または90から99wt%存在し、または95から99wt%存在する。
さらに、いくつかの実施形態では、ナノ複合材組成物の製造時に2以上の溶剤が用いられる場合、全溶剤を100vol%としたとき、各溶剤は0.1から99.9vol%含まれ、または1から99vol%含まれ、または5から95vol%含まれ、または10から90vol%含まれる。
また別の実施形態では、上記の方法で形成された、エラストマーの空気透過性を改善するナノ複合材は、本願に開示された、硬化されたナノ複合材組成物または成形品の40℃における酸素透過率が150mm×cc/(m×日)未満である。
あるいは、本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が150mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が140mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が130mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が120mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が110mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が100mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が90mm×cc/(m ×日)未満であり;本願に開示された硬化されたナノ複合材組成物の40℃における酸素透過率が80mm×cc/(m ×日)未満である。
この発明の組成物は、押出加工、圧縮成形、ブロー成形、射出成形により、繊維、フィルム、自動車部品、電気製品のハウジング、日用品、包装資材などの、いろいろな形状の物品に成形することができる。成形された物品は高い耐衝撃強度と低い気体透過性を有する。特に、この発明の組成物は空気遮断性に優れており、袋状容器(bladders)、自動車(トラック、商用車および/または乗用車)や航空機の、インナーライナー、および/またはインナーチューブに有用である。
<気体透過性テスト>
以下の各実施例では、形成されたナノ複合材について、次の方法で気体透過性を測定した。
いくつかの実施形態では、36グラムのクレイ−ゴム混合物を、温度が130から140℃のブラベンダー(登録商標)に投入し、カーボンブラック(N660)20グラムを添加して7分間混練した。この混合物に、さらに、0.33グラムのステアリン酸と、0.33グラムのKadox(R)911と、0.33グラムのMBTSからなる硬化剤パッケージを添加し、40℃、40rpmで3分間混練した。
得られたゴム組成物を粉砕し、圧縮成形し、170℃で硬化させた。全ての試料は圧縮成形で徐冷して、欠陥の無いパッドを調製した。ゴムのサンプルには、圧縮硬化プレスを用いた。圧縮成形されたパッドの厚みは、約15milであった。Arborプレス機を用いて、成形されたパッドから気体透過性試験用に、直径2"の円盤を打ち抜いた。これらの円盤は、測定に前に、60℃の真空オーブン中に一晩置き、状態調整を行なった。
酸素透過率は、R. A. PasternakらがVol. 8 JOURNAL OF POLYMER SCIENCE: PART A-2 467 (1970)に開示した、酸素のフィルム透過の動的測定方法の原理に基づくMocon(登録商標) OX-TRAN 2/61を用いて、40℃で測定した。
調製した円盤を型枠上に置き、真空グリースでシールした。円盤の片側を窒素圧10psiに保ち、反対側を酸素10psiに保った。窒素側に設けた酸素センサを用いて、窒素側の酸素濃度の増加の経時変化をモニターした。酸素が円盤を透過するのに要した時間、または窒素側の酸素濃度が一定値に達するまでの時間を測定し、酸素透過率を求めた。気体透過性は、Mocon OX-TRAN 2/61透過試験機における40℃での酸素透過率で評価した。複数のサンプルを同様の方法で調製し、各サンプルについて気体透過性試験を行なった。
いくつかの実施形態で、物性評価に用いた配合処方は次の通りである。
原料 重量部
エラストマー/クレイ 100+x部のクレイ
カーボンブラックN660 60.0
ステアリン酸 1.0
酸化亜鉛Kadox 911 1.0
MBTS 1.0
カーボンブラックN660は、例えばCabotCorp.社(Billerica,MA)から入手できる。硬化剤のステアリン酸は、例えばC.KWitcoCorp.社(Taft,LA)から入手でき、活性化剤のKadox(登録商標)911は、C.P.Hall社(Chicago,IL)から入手できる。MBTS(2−メルカプトベンゾチアゾールジサルファイド)はR.T.Vanderbilt社(Norwalk,CT)、またはElastochem社(Chardon,OH)から入手できる。
以下の実施例のいくつかでは、ポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSA)を用いた。これはINFENIUM社、USA(Linden,NJ)から入手できる。INFENIUM社のPIBSAは、数平均分子量が600から約2200である。実施例で用いたPIBSA48の数平均分子量は約2200である。
この発明は以下を提供する。
1.エラストマーと、極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーと、クレイとからなるナノ複合材。
2.エラストマーが、ハロゲン化されたイソブチレンエラストマーである請求項1に記載のナノ複合材。
3.エラストマーがCからCのイソモノオレフィン、およびアルキルスチレンからなる中間体ポリマーである請求項1または請求項2に記載のナノ複合材。
4.エラストマーが、ハロゲン、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、水酸基からなる群から選択される官能基を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のナノ複合材。
5.エラストマーが臭素または塩素でハロゲン化されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のナノ複合材。
6.極性基が、ポリマーまたはオリゴマーの0.1から10重量パーセントを占め、官能化されたポリマーまたはオリゴマーと、エラストマーとの重量比が0.01:1から1:1の範囲である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のナノ複合材。
7.極性基が、ポリマーまたはオリゴマーの0.5から7.0重量パーセントを占め、官能化されたポリマーまたはオリゴマーと、エラストマーとの重量比が0.05:1から0.5:1の範囲である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のナノ複合材。
8.ポリマーまたはオリゴマーが、CからCのイソオレフィンのポリマーまたはオリゴマーである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のナノ複合材。
9.イソオレフィンがイソブチレンである、請求項10に記載のナノ複合材。
10.ポリマーまたはオリゴマーが、CからCのイソオレフィンとアルキルスチレンの中間体ポリマーである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のナノ複合材。
11.極性基が、アルコール、エーテル、酸、無水物、ニトリル、アミン、アクリレート、エステル、アンモニウムイオン、またはこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のナノ複合材。
12.極性基が酸無水物の誘導体である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のナノ複合材。
13.酸無水物が、環状無水物、対称無水物、混合無水物、またはこれらの組み合わせ、のいずれかである、請求項12に記載のナノ複合材。
14.酸無水物が、カルボン酸無水物、チオ無水物、リン酸無水物、またはこれらの組み合わせ、のいずれかである、請求項12に記載のナノ複合材。
15.酸無水物が、カルボン酸無水物である、請求項12に記載のナノ複合材。
16.酸無水物が、無水マレイン酸である、請求項12に記載のナノ複合材。
17.極性基が無水マレイン酸の誘導体である、請求項9に記載のナノ複合材。
18.酸無水物が、コハク酸無水物である、請求項12に記載のナノ複合材。
19.極性基が無水コハク酸の誘導体である、請求項8に記載のナノ複合材。
20.極性基が酸の誘導体である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のナノ複合材。
21.酸が、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、ペルオキソ酸、チオカルボン酸、 キサントゲン酸、スルフェン酸、スルファミン酸、ホスホン酸、アミド酸、アジン酸、アゾン酸、ヒドロキサム酸、イミド酸、イミノ酸、ニトロソ酸(nitrosolic acid)、ニトロ酸(nitrolic acid)、ヒドラゾン酸、またはこれらの組み合わせ、のいずれかである、請求項20に記載のナノ複合材。
22.エラストマーの数平均分子量が25000から500000で、極性ポリマーの数平均分子量が500から100000である、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載のナノ複合材。
23.エラストマーの数平均分子量が少なくとも100000である、請求項22に記載のナノ複合材。
24.極性ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が100000未満である、請求項22に記載のナノ複合材。
25.極性ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が少なくとも500である、請求項22に記載のナノ複合材。
26.クレイが無機クレイを含む、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載のナノ複合材。
27.クレイが有機クレイを含む、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載のナノ複合材。
28.クレイがケイ酸塩を含む、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載のナノ複合材。
29.クレイがスメクタイトクレイを含む、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載のナノ複合材。
30.スメクタイトクレイが、モンモリロナイト、 ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤアイト、ステベンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、またはこれらの組み合わせの、いずれかである、請求項29に記載のナノ複合材。
31.スメクタイトクレイが、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、またはこれらの組み合わせの、いずれかである、請求項29に記載のナノ複合材。
32.さらに、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、 またはこれらの組み合わせ、のいずれかを含む、請求項1から請求項31のいずれか1項に記載のナノ複合材。
33.さらに、色素、顔料、酸化防止剤、光および熱安定剤、可塑剤、オイル、またはこれらの組み合わせ、のいずれかを含む、請求項1から請求項32のいずれか1項に記載のナノ複合材。
34.有機過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、促進剤、加硫剤、またはこれらの組み合わせのいずれかを含む、請求項1から請求項33のいずれか1項に記載のナノ複合材。
35.エラストマーがハロゲン化されており、極性基が酸または酸無水物の誘導体である、請求項1に記載のナノ複合材。
36.エラストマーがハロゲン化されてアミンで官能化されており、極性基が、アルコール、エーテル、酸、無水物、ニトリル、アミン、アクリレート、エステル、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される誘導体である、請求項1に記載のナノ複合材。
37.ハロゲン化されたエラストマーと、クレイと、極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーを接触させる工程を含む、ナノ複合材の製造方法。
38.極性基が酸無水物誘導体である請求項37に記載のナノ複合材の製造方法。
39.極性基が酸誘導体である請求項37に記載のナノ複合材の製造方法。
40.さらに硬化剤を添加する工程を含む、請求項37から請求項39のいずれか1項に記載のナノ複合材の製造方法。
41.さらにナノ複合材を硬化させる工程を含む、請求項40に記載のナノ複合材の製造方法。
42.エラストマーとクレイからなるナノ複合材の製造方法において、極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーを、エラストマーとクレイの混合物に導入することを特徴とする改良された製造方法。
43.極性基が酸の誘導体である、請求項42に記載の改良された製造方法。
44.極性基が酸無水物の誘導体である、請求項42に記載の改良された製造方法。

<実施例>
<実施例1−8>
シクロヘキサン(1.7L)をジャケット付のガラス反応器に入れ、60℃に加熱した。登録商標EXXPROのエラストマーMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )を加熱した反応器に添加した。全てのポリマーが完全に溶解した後、クレイ16gと、50mLのシクロヘキサンに溶解したポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSA48、INFINIUM社、USAから入手できる)を反応器に添加し、40分間撹拌した。生成物を注ぎ出し、溶剤を蒸発させた。沈殿物を真空下、100℃で一晩乾燥させた。
比較例1〜4を、PIBSAを添加しなかった点を除き、同様にして調製した。
乾燥したクレイとゴムの混合物40gを、ブラベンダー(登録商標)に投入した。カーボンブラックN660(22.2グラム)を添加した後、140℃、60rpmで6分間混練し、混練機から取り出した。
取り出した混合物を、再度ブラベンダー(登録商標)に投入し、50℃、40rpmで30秒間混練した。硬化剤(ステアリン酸が0.37g;Kadox(登録商標)911が0.37g;MBTSが0.37g) をブラベンダー(登録商標)に投入し、組成物を4分間混練した。この材料を上述の気体透過性試験のために回収した。気体透過性試験の結果を表1に示す。
Figure 0005419257
<実施例9−14>
ブラベンダー(登録商標)を150℃に加熱し、60rpmに調整した。登録商標ExxproのMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )とPIBSA(上記のもの)をブラベンダー(登録商標)に投入し、1分間混練した。クレイを必要に応じて添加し、8分間混練した。生成した混合物を混練機から回収した。
回収した混合物36グラムを、ブラベンダー(登録商標)に投入し、カーボンブラック(N660、20グラム)を添加し150℃、60rpmで8分間混練した。硬化剤(ステアリン酸、Kadox(登録商標)911、とMBTSが各0.33g)を混合物に添加し、40℃、40rpmで3分間混練した。この材料を上述の気体透過性試験のために回収した。気体透過性試験の結果を表2に示す。
Figure 0005419257
<実施例15−16>
50グラムのXP50ゴム(イソブチレン+パラ−メチルスチレン共重合体であって、数平均分子量が約60000、分子量分布が約2.05)と、3グラムの無水マレイン酸をブラベンダー(登録商標)に投入し、180℃、60rpmで1分間混練した。
別のビーカーで、Luperox(登録商標)P(tert−ブチルペルオキシベンゾエイト、1.4mL)をアセトン(3mL)に溶かし、この溶液を、ブラベンダー(登録商標)にゆっくり注入した。全てのLuperox(登録商標)を添加した後、この混合物をさらに8分間混練した。ブラベンダー(登録商標)を210℃に加熱し、この混合物を2分間混練し、Luperox(登録商標)による反応を開始させ、無水マレイン酸、ペルオキシベンゾエイト、ポリマーを反応させて、無水マレイン酸で改質されたXP50(MAXP50)を形成した。
十分な量のMAXP50が得られるまでこの操作を繰り返し、得られた生成物を真空下、100℃で10時間乾燥した。反応生成物であるMAXP50は、約0.5重量パーセントの無水官能基を有していた(分析結果では、0.2から3.0重量パーセントの無水物が、ポリマーに組み込まれていた)。
2リットルのジャケット付の反応器で、MAXP50(9.6グラム)と、登録商標ExxproのMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )50.4グラムを、シクロヘキサン700mLに溶解させた。この混合液に、必要に応じて水を添加し、5分間撹拌した。Cloisite(登録商標)25Aを4.8グラム添加し、混合液をさらに20分間撹拌した。生成した溶液を容器に移し、溶剤を蒸発させた。生成物を真空下、100℃で一晩乾燥させた。
乾燥したクレイとゴムの混合物40グラムをブラベンダー(登録商標)に投入し、カーボンブラック(N660、22.2グラム)を添加し、140℃、60rpmで8分間混練した。硬化剤(ステアリン酸、Kadox(登録商標)911、とMBTSが各0.33g)を混合物に添加し、40℃、40rpmで3分間混練した。この材料を上述の気体透過性試験のために回収した。気体透過性試験の結果を表3に示す。
Figure 0005419257
<実施例17−24>
55グラムのXP50ゴムと、表4に示す量(3または4.5グラム)の無水マレイン酸をブラベンダー(登録商標)に投入し、180℃、60rpmで1分間混練した。別のビーカーで、Luperox(登録商標)P(tert−ブチルペルオキシベンゾエイト、1.4mLまたは2.1mL)をアセトン(3または4.5mL)に溶かし、この溶液を、ブラベンダー(登録商標)にゆっくり注入した。
全てのLuperox(登録商標)を添加した後、この混合物をさらに8分間混練した。ブラベンダー(登録商標)を210℃に加熱し、この混合物を2分間混練し、Luperox(登録商標)による反応を開始させ、無水マレイン酸、ペルオキシベンゾエイト、ポリマーを反応させて、無水マレイン酸で改質されたXP50(MAXP50)を形成した。
十分な量のMAXP50が得られるまでこの操作を繰り返し、得られた生成物を真空下、100℃、で10時間乾燥した。
2リットルのジャケット付の反応器で、MAXP50(9.6グラム)と、登録商標ExxproのMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )50.4グラムを、シクロヘキサン700mLに溶解させた。この混合液に、必要に応じて水を添加し、5分間撹拌した。Cloisite(登録商標)25Aを4.8グラム添加し、混合液をさらに20分間撹拌した。生成した溶液を容器に移し、溶剤を蒸発させた。生成物を真空下、100℃で一晩乾燥させた。
乾燥したクレイとゴムの混合物40グラムをブラベンダー(登録商標)に投入し、カーボンブラック(N660、22.2グラム)を添加し、140℃、60rpmで8分間混練した。硬化剤(ステアリン酸、Kadox(登録商標)911、とMBTSが各0.33g)を混合物に添加し、40℃、40rpmで3分間混練した。この材料を上述の気体透過性試験のために回収した。気体透過性試験の結果を表4に示す。
Figure 0005419257
<実施例25−30>
55グラムのXP50ゴムと、表5に示す量の無水マレイン酸をブラベンダー(登録商標)に投入し、180℃、60rpmで1分間混練した。別のビーカーで、Luperox(登録商標)P(tert−ブチルペルオキシベンゾエイト、1.4mL)をアセトン(5mL)に溶かし、この溶液を、ブラベンダー(登録商標)にゆっくり注入した。全てのLuperox(登録商標)を添加した後、この混合物をさらに8分間混練した。
ブラベンダー(登録商標)を210℃に加熱し、この混合物を2分間混練し、Luperox(登録商標)による反応を開始させ、無水マレイン酸、ペルオキシベンゾエイト、ポリマーを反応させて、無水マレイン酸で改質されたXP50(MAXP50)を形成した。各マレイン酸添加量毎に十分な量のMAXP50が得られるまでこの操作を繰り返し、得られた生成物を真空下、100℃、で10時間乾燥した。
ガラス瓶をシクロヘキサン(750mL)で満たした。MAXP50とクレイ(各6.4グラム)をシクロヘキサンに添加し、振蕩機で6時間混合した。この溶液に、登録商標ExxproのMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )73.6グラムを加え、振蕩機で3時間混合し、ポリマーを溶解させた。生成した溶液を回収し、溶剤を蒸発させた。生成物を真空下、70℃で10時間乾燥させ、さらに粉砕機により130℃で10から15分間乾燥した。
乾燥したクレイとゴムの混合物36グラムをブラベンダー(登録商標)に投入し、カーボンブラック(N660、20.0グラム)を添加し、140℃、60rpmで8分間混練した。硬化剤(ステアリン酸、Kadox(登録商標)911、とMBTSが各0.33g)を混合物に添加し、50℃、40rpmで3分間混練した。この材料を上述の気体透過性試験のために回収した。気体透過性試験の結果を表5に示す。
Figure 0005419257
<実施例31−35>
登録商標ExxproのMDX03−1 (パラ−メチルスチレン10重量パーセント、臭素0.85モル% )80グラムとPIBSA(ポリイソブチレン無水コハク酸)を、ガラス容器中でシクロヘキサン700mLに溶解させた。
この混合液を、外部加熱器付の反応器に移した。ガラス容器を100mLのシクロヘキサンで洗浄し、洗浄液も反応器へ入れた。次に、適正なpHの水溶液(pH=5の場合HCl溶液を用い、pH=9の場合NaOH溶液を用いた)200mLを添加した。
この混合液を70℃で撹拌した後、Cloisite(登録商標)Na+を3.4グラム添加し、この混合液を30分間撹拌した。生成した混合溶液を注ぎ出し、溶剤を蒸発させた。生成物を真空下、100℃で24時間乾燥させた。得られたナノ複合材の気体透過性を評価した結果を表6に示す。
Figure 0005419257
<実施例36−40>
80グラムの登録商標ExxproのMDX03−1と、PIBSA48(INFENIUM社、USA)とを、ガラス容器中でシクロヘキサン700mLに溶解させた。この混合液を、50℃のガラス製反応器に移した。ガラス容器を100mLのシクロヘキサンで洗浄し、洗浄液も反応器へ入れた。次に、適正なpHの水溶液(pH=5の場合HCl溶液を用い、pH=9の場合NaOH溶液を用いた)200mLを添加した。この混合溶液をクレイと30分間混合した後、イソプロパノールを用いて、混合溶液を沈殿させた。生成物を真空下、100℃で24時間乾燥させた。得られたナノ複合材の気体透過性を評価した結果を表7に示す。
Figure 0005419257
この発明の実施形態に係るナノ複合材は、自動車のインナーライナーなどの製造に用いる空気遮断材料として有用である。特に、このナノ複合材はトラックのタイヤ、バスのタイヤ、乗用車やオートバイのタイヤなどの、インナーライナーやインナーチューブに有用である。
この発明について、いくつかの実施形態に基づき開示し説明したが、当業者であれば、ここに開示されていない態様へ種々変更して実施することができるであろう。このため、この発明の範囲を決める際は、特許請求の範囲に基づき決められる。
全ての先行技術は、それが許される法域において本願に参照として援用される。また、試験方法を含め、本願に引用した文献は、それが許される法域において本願に参照として援用される。

Claims (11)

  1. 数平均分子量が25000から500000であって、C4からC7のイソモノオレフィンとアルキルスチレンからなるハロゲン化された中間体ポリマーを含むエラストマーと、極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーであって、数平均分子量が50000を超え、当該ポリマー又はオリゴマーは、ハロゲンを含まず、C4からC8イソオレフィン誘導体単位とスチレンモノマーを含み、当該極性基は、アルコール、エーテル、カルボン酸を除く酸、カルボン酸無水物を除く酸無水物、ニトリル、アミン、アクリレート、カルボン酸エステルを除くエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、ポリマーまたはオリゴマーと、クレイとからなるナノ複合材。
  2. エラストマーが、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、水酸基からなる群から選択される官能基を備える、請求項1に記載のナノ複合材。
  3. 極性基が、ポリマーまたはオリゴマーの0.1から10重量パーセントを占め、官能化されたポリマーまたはオリゴマーと、エラストマーとの重量比が0.01:1から1:1の範囲である、請求項1または請求項2に記載のナノ複合材。
  4. ポリマーまたはオリゴマーが、CからCのイソオレフィンとアルキルスチレンの中間体ポリマーからなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  5. 極性基が酸の誘導体であり、前記酸が、ペルオキソ酸、チオカルボン酸、 キサントゲン酸、スルフェン酸、スルファミン酸、ホスホン酸、アジン酸、アゾン酸、ヒドロキサム酸、イミド酸、ニトロソ酸、ニトロ酸、ヒドラゾン酸、またはこれらの組み合わせ、のいずれかである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  6. クレイが無機クレイ、有機クレイ、ケイ酸塩、スメクタイトクレイのいずれかを含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  7. さらに、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、またはこれらの組み合わせ、のいずれかを含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  8. さらに、色素、顔料、酸化防止剤、光および熱安定化剤、可塑剤、オイル、またはこれらの組み合わせ、のいずれかを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  9. 硬化剤、有機過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、促進剤、加硫剤、またはこれらの組み合わせのいずれかを含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のナノ複合材。
  10. 25000乃至500000の数平均分子量を有し、CからCイソオレフィンとアルキルスチレンのハロゲン化された中間体ポリマーを含むハロゲン化されたエラストマーと、クレイと、極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーとを接触させる工程を含み、前記極性基で官能化されたポリマーまたはオリゴマーは、ハロゲンを含まず、数平均分子量が50000を超え、またCからCイソオレフィン誘導単位とスチレンモノマーを含むものであり、当該極性基は、アルコール、エーテル、カルボン酸を除く酸、カルボン酸無水物を除く酸無水物、ニトリル、アミン、アクリレート、カルボン酸エステルを除くエステル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、ナノ複合材の製造方法。
  11. 極性基がカルボン酸無水物を除く酸無水物である請求項10に記載のナノ複合体の製造方法。
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