JP5590624B2 - 補体活性を阻害することによる同種移植片の生存の延長 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本出願は、2004年5月14日に出願された米国仮特許出願第60/571,444号に対する優先権の利益を主張し、その開示は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
(技術分野)
本開示は、哺乳動物における同種移植片の生存を延長するための方法に関する。特に、本開示は、免疫抑制剤である一種以上の薬物に加えて、補体または終末補体形成のインヒビター、特に補体C5の切断のインヒビターを投与することによる、同種移植片の生存の延長に関する。
(背景)
臓器移植は、慢性的な臓器不全を有するほとんどの患者に対して好ましい処置である。腎臓、肝臓、肺および心臓の移植は、レシピエントが、より通常の生活様式に戻るときのリハビリテーションの優れた機会を提供するが、可能性のあるレシピエントの医学的な適合性/外科的な適合性、ドナーの不足の高まりおよび移植した臓器機能の早発の不全により制限されている。
細胞、組織および臓器の移植は、非常に一般的であり、多くの場合、命を救う手順である。臓器移植は、慢性的な臓器不全を有するほとんどの患者にとって好ましい処置である。拒絶を阻害するための処置における大きな改善にも関わらず、拒絶は、首尾よい臓器移植に対する最も大きな障害の一つであり続けている。拒絶は、急性の拒絶のみならず、慢性的な拒絶もまた包含する。死亡したドナー由来の移植された腎臓の一年生存率は、平均88.3%であり、生存するドナー由来から受けた腎臓の一年生存率は、94.4%である。移植された腎臓の対応する5年生存率は、63.3%および76.5%である(非特許文献1、http://www.unos.org/data/ar2002/ar02_chapter_one.htmを参照のこと)。肝臓については、死亡したドナーおよび生存するドナーに由来する肝臓の一年生存率は、それぞれ80.2%および76.5%である。肝臓移植片の対応する5年生存率は、63.5%および73.0%である(非特許文献1、http://www.unos.org/data/ar2002/ar02_chapter_one.htmを参照のこと)。免疫抑制薬物、特にシクロスポリンA、およびより最近はタクロリムスの使用は、特に急性の拒絶を予防することにより臓器移植の成功率を劇的に改善した。数字は、上に示したとおりであるが、短期および特に長期の両方の成功率を改善するための必要性はなお存在する。腎臓移植および肝臓移植について、上記の数字から理解されるように、これらの移植された臓器の5年の不全率は、およそ25〜35%である。2001年のみで、23,000人より多い患者が臓器移植を受け、その内約19,000人が腎臓または肝臓であった(非特許文献1、http://www.unos.org/data/ar2002/ar02_chapter_one.htmを参照のこと)。移植物のこの1年のみに関して、現在の技術を用いた場合、これらの移植された腎臓および肝臓の内の約5,000〜6,000が5年以内に機能しなくなると予測され得る。これらの数字は、骨髄のような他の移植された臓器または組織を含まない。
移植物には複数のタイプが存在する。これらは、非特許文献2に記載されている。ある個体から同じ個体に移植された移植片は、自己移植片または自家移植片と呼ばれる。二つの遺伝的に同一または同系の個体の間で移植された移植片は、同族移植片と呼ばれる。同じ種の二つの遺伝的に異なる個体の間で移植された移植片は、同種異系移植片または同種移植片と呼ばれる。異なる種の個体間で移植された移植片は、異種移植片(xenogeneic graft)または異種移植片(xenograft)と呼ばれる。同種移植片上で異物として認識される分子は、同種抗原と呼ばれ、異種移植片上で異物として認識される分子は、異種抗原と呼ばれる。同種抗原または異種抗原と反応するリンパ球または抗体は、それぞれ同種反応性または異種反応性であると記載される。
現在40,000より多い腎臓、心臓、肺、肝臓および膵臓の移植が、毎年米国では行なわれている(非特許文献2)。他の可能な移植物としては、血管組織、眼、角膜、レンズ、皮膚、骨髄、筋肉、結合組織、胃腸組織、神経組織、骨、幹細胞、膵島、軟骨、肝細胞および造血細胞が挙げられるが、これらに限定されない。残念なことに、存在するドナーよりも多くの移植の志願者が存在する。この不足を克服するために、異種移植をどのように使用するかを知るための大きな努力がなされている。この分野で進歩がなされているが、現在ほとんどの移植物が同種移植片であるということが事実である。同種異型移植物は、現在異種移植片移植よりは成功するようであるが、成功するためには、多くの障害を克服しなければならない。同種移植片の拒絶を生じ得る、ドナー臓器に対してレシピエントによってなされるいくつかの型の免疫学的攻撃が存在する。これらとしては、超急性拒絶、急性血管拒絶(急速体液性拒絶およびデノボの急性体液性拒絶)および慢性拒絶が挙げられる。拒絶は通常T細胞媒介性抗体攻撃または体液性抗体攻撃の結果であるが、補体およびサイトカインの効果のようなさらなる二次的な因子を含み得る。
臓器移植を必要とする患者の数と利用可能であるドナーの臓器の数との間のこれまでの大きくなりつつある不均衡は、世界中でおおきな問題になっている。非特許文献3。抗HLA抗体を発生した個体は、免疫化された、または感作されたと言われる。非特許文献4。HLA感作は、重篤な抗体媒介性の拒絶(ABMR)の発生に起因して、臨床的な移植における生存するドナー由来の臓器の最適な利用に対する主要な障壁である(非特許文献5)。例えば、腎臓移植を待っている全ての個体の50%より多くが、広範囲の反応性同種抗体のレベルの増加した感作された患者である。これらの増加は、複数からの輸血、これまでの機能不全の同種移植または妊娠から生じる(非特許文献6)。ABMRの役割は、この型の拒絶が同種移植片機能の急性の喪失または慢性の喪失のいずれかを生じ得るという認識に起因して、現在移植における最も活動的な研究領域の一つである。非特許文献7。超急性拒絶(HAR)または急速体液性拒絶(ACHR)を含むABMRの多くの症例が、強力な抗T細胞治療に耐性である急性同種移植片損傷、循環するドナー特異的抗体の検出、および移植片における補体成分の沈着により特徴付けられると報告されている。循環する同種抗体の増加および急性の拒絶の症例の20〜30%に生じる補体活性化を有するABMRは、細胞拒絶より悪い予後不良を有する。非特許文献8。
高度に前感作された患者は、高レベルの同種抗体を示すが、通常即時型かつ攻撃性のHARを罹患する。技術における大きな努力および顕著な進歩のある臨床的な診療において、HARは、ドナーHLA抗原に特異的な抗体を用いて感作した患者を同定するために、移植前のリンパ球毒性交差適合を得ることにより回避される。しかし、ドナーHLAまたは他の非MHC内皮抗原に対する循環する抗体はまた、急速体液性拒絶の遅延形態を担い得、これは、移植片の喪失発生の増加と関連している。非特許文献9。従って、臨床環境において、ABMRを模倣するための新規の感作された動物モデルの開発は、その機構に対する研究に有益であり、前感作させた宿主における同種移植拒絶の管理における非常に重要な進歩に有益である。
いくつかの高度に前感作された患者は、抗ドナー抗体を一時的に排除するために設計され、実行されてきた免疫吸着(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12)、血漿しゃ血および静脈内免疫グロブリン(非特許文献13、非特許文献14)のような介入プログラムから恩恵を受け得る。しかし、その恩恵に加えて、上述の治療は、一部の個体がその効果に対してあまり感受性でないので、多数の欠点を有する(非特許文献12、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17);それらは、極めて高価であり、多大な時間を必要とし、危険である(非特許文献18)さらに、これらのプロトコルの一時的かつ可変性の効果は、その影響を制限した。非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21。
「Annual Report」、Scientific Registry of Transplant Recipients(SRTR) in collaboration with the 臓器 Procurement and Transplantation Network(OPTN) Abbas AKら、「Cellular and Molecular Immunology」、第4版、W.B.Saunders Company、New York、2000年、p.363−383 Park WDら、「Am.J.Transplant」、2003年、第3巻、p.952−960 Gloorら、「Contrib.Nephrol」、2005年、第146巻、p.11−21 Warrenら、「Am.J.Transplant.」、2004年、第4巻、p.561−568 Kupiec−Weglinski、「Ann.Transplant」、1996年、第1巻、p.34−40 Mehraら、「Curr.Opin.Cardiol.」、2003年、第18巻、p.153−158 Mauiyyediら、「Curr.Opin.Nephrol.Hypertens」、2002年、第11巻、p.609−618 Collinsら、「J.Am.Soc.Nephrol.」、1999年、第10巻、p.2208−2214 Palmerら、「Lancet」、1989年、第1巻、p.10−12 Rossら、「Transplantation」、1993年、第55巻、p.785−789 Kriaaら、「Nephrol.Dial.Transplant.」、1995年、第10巻、補遺6、p.108−110 Sonnendayら、「Transplant.Proc.」、2002年、第34巻、p.1614−1616 Rochaら、「Transplantation」、2003年、第75巻、p.1490−1495 Hakimら、「Am.J.Kidney Dis.」、1990年、第16巻、p.423−431 Glotzら、「Transplantation」、1993年、第56巻、p.335−337 Tyanら、「Transplantation」、1994年、第57巻、p.553−562 Salamaら、「Am.J.Transplant.」、2001年、第1巻、p.260−269 Glotzら、「Am.J.Transplant.」、2002年、第2巻、p.758−760 Kupinら、「Transplantation」、1991年、第51巻、p.324−329 Schweitzerら、「Transplantation」、2000年、第70巻、p.1531−1536
従って、ABMRの予防における危険性および費用を減少させるための新規の方法を開発することは、同種移植片を受容するレシピエントを前感作させるために有益である。
(要旨)
従って、移植した細胞、組織または臓器の生存を延長する方法が提供される。特に、同種移植した細胞、組織または臓器の生存を延長させる方法が提供される。これらの方法は、補体活性のインヒビターに加えて一種以上の免疫抑制剤の使用に関する。一種以上の医薬または医薬パッケージの製造における一種以上の免疫抑制剤および補体活性のインヒビターの使用がまた提供される。このような医薬または医薬パッケージは、被験体哺乳動物における同種移植片の生存を延長させるのに有用である。
特定の実施形態において、補体活性の阻害は、補体C5を指向する薬物の長期投与により達成される。補体活性を阻害する好ましい薬物は、補体の一種以上の成分(例えば、C5)に特異的な抗体である。特定の好ましい実施形態において、上記抗体は、C5の切断を阻害し、それによりC5aおよびC5b−9の両方の形成を阻害する。上記抗体は、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体(例えば、ヒト化抗体)、抗体フラグメント(例えば、Fab)、単鎖抗体、Fvまたはドメイン抗体であり得る。レシピエントはまた、一種以上の免疫抑制薬物(例えば、シクロスポリンA)で処置される。
特定の実施形態において、MHC不適合レシピエント(すなわち、MHC不適合同種移植片の哺乳動物レシピエント)、前感作させたレシピエントまたはABO不適合レシピエント(すなわち、AMB不適合同種移植片の哺乳動物レシピエント)が処置される。このモデルにおいて、上記レシピエントは、免疫抑制薬物(好ましくはシクロスポリンAの投与および短期のシクロフォスファミドの投与)と一緒に補体インヒビター(好ましくは抗C5モノクローナル抗体)で、再度長期的に処置される。この三重の療法は、前感作させた同種移植レシピエントの移植片の生存を延長させる。
本開示はまた、レシピエント内の抗ドナー免疫グロブリン(Ig)の部分集合(subclass)および/またはアイソタイプのレベルおよび/または比を調節する因子をレシピエントに投与することにより哺乳動物レシピエント内の同種移植片の生存を延長する方法を提供する。特定の実施形態において、レシピエント内の抗ドナーIgG1のレベルを低減させる因子が好ましい。特定の実施形態において、レシピエント内の抗ドナーIgG2aおよび/またはIgG2bのレベルを増加させる因子が好ましい。特定の実施形態において、レシピエント内の抗ドナーIgG1/抗ドナーIgG2aまたはIgG2bの比を低減させる因子が好ましい。
本発明の開示はまた、第1の哺乳動物レシピエント内で適合した同種移植片(すなわち、その同種移植片は、第1のレシピエント内で長く生存した)を用いて、第2の哺乳動物レシピエント内で同種移植片の生存を延長する方法を提供する。本開示はさらに、哺乳動物レシピエント内で抗ドナー抗体に対して抵抗性である同種移植片を提供し、その同種移植片は、その同種移植片に適合した第1のレシピエントから調製される。好ましい実施形態において、第1のレシピエントは、本明細書中に記載される処置を受けることにより、同種移植片に適合し、その処置としては、第1のレシピエントに、補体活性を阻害する薬物および二種の免疫抑制剤を投与する工程を包含する三重の療法の処置が挙げられる。
さらに、薬学的パッケージが提供される。本開示の薬学的パッケージは、補体活性を阻害する薬物および少なくとも一種の免疫抑制剤を含み得る。この薬学的パッケージは、長期投与のためのラベルをさらに含み得る。この薬学的パッケージはまた、患者(例えば、移植片のレシピエント)による自己投与のためのラベル、または移植のレシピエントの介護者のための指示書を含み得る。特定の実施形態において、薬学的パッケージ中の薬物および因子は、長期的な投与および/または自己投与のために適した一つの処方物中または別個の処方物中に存在する。
本開示はまた、凍結乾燥した処方物および注射に適した処方物を提供する。特定の実施形態は、補体活性を阻害する抗体および凍結保護剤(lyoprotectant)を含有する凍結乾燥した抗体処方物を提供する。好ましい実施形態において、この抗体処方物は、長期投与に適していて、例えば、この抗体処方物は、安定である。代替的な実施形態は、シリンジを備える注射システムを提供し、そのシリンジは、補体活性を阻害し注射に適した処方物中に存在する抗体を含むカートリッジを備える。
本開示の種々の実施形態で使用される抗体は、好ましくは、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する。特定の実施形態において、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する抗体は、全抗体または抗体フラグメントである。全抗体または抗体フラグメントは、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体もしくは脱免疫化抗体またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントであり得る。特定の実施形態において、全抗体または抗体フラグメントは、補体C5の切断を阻害し得る。特定の実施形態において、この抗体フラグメントは、Fab、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体または単鎖抗体である。好ましい実施形態において、この抗体フラグメントは、ペキセリズマブである。代替的な好ましい実施形態において、この全抗体は、エクリズマブである。
特定の実施形態において、補体活性を阻害する薬物(例えば、抗体)は、単位投薬形態中に存在し、これは、自己投与に特に適している。同様に、本開示の免疫抑制剤はまた、単位投薬形態中に存在し得る。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
レシピエント哺乳動物において、MHC不適合同種移植片の生存を延長するための方法であって、該方法は、該哺乳動物に、以下:a)補体活性を阻害する薬物、およびb)少なくとも一種の免疫抑制薬物を投与する工程を包含し、補体活性を阻害する該薬物が、長期的に投与される、方法。
(項目2)
前記哺乳動物がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記MHC不適合同種移植片が、HLA不適合同種移植片である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記補体活性を阻害する薬物が、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記終末補体すなわちC5aの形成を阻害する薬物が、全抗体または抗体フラグメントである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記全抗体または抗体フラグメントが、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ化抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記全抗体または抗体フラグメントが補体C5の切断を阻害する、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記抗体フラグメントが、Fab、F(ab’) 、Fv、ドメイン抗体および単鎖抗体からなる群より選択される、項目5に記載の方法。
(項目9)
前記抗体フラグメントがペキセリズマブである、項目5に記載の方法。
(項目10)
前記全抗体がエクリズマブである、項目5に記載の方法。
(項目11)
前記エクリズマブが、2週間毎に1回投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記補体活性のインヒビターが、以下i)可溶性の補体レセプター、ii)CD59、iii)CD55、iv)CD46およびv)C5、C6、C7、C8またはC9に対する抗体からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性またはB細胞活性を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性およびB細胞活性を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記免疫抑制薬物が、以下:シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、OKT3、コルチコステロイド、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、抗T細胞抗体、シクロホスファミド、レフルノミド、ブレキナル、ATG、ALG、15−デオキシスペルグアリンおよびブレディニンからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目16)
一種より多い免疫抑制薬物が投与される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記方法が、以下i)補体活性を阻害する薬物、およびii)シクロスポリンAを投与する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記補体活性を阻害する薬物が、補体C5の切断を阻害する抗体である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記同種移植片が、以下i)心臓、ii)腎臓、iii)肺、iv)膵臓、v)肝臓、vi)血管組織、vii)眼、viii)角膜、ix)レンズ、x)皮膚、xi)骨髄、xii)筋肉、xiii)結合組織、xiv)胃腸組織、xv)神経組織、xvi)骨、xvii)幹細胞、xviii)膵島、xix)軟骨、xx)肝細胞およびxxi)造血細胞からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目20)
項目1に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも20%長い時間生存する、方法。
(項目21)
項目1に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも40%長い時間生存する、方法。
(項目22)
前記同種移植片が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間生存する、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記同種移植片が、少なくとも6ヶ月間生存する、項目2に記載の方法。
(項目24)
前記同種移植片が、少なくとも1年間生存する、項目2に記載の方法。
(項目25)
前記同種移植片が、少なくとも5年間生存する、項目2に記載の方法。
(項目26)
前記同種移植片が、前記ヒトの残りの生存期間の間生存する、項目2に記載の方法。
(項目27)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも14日間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目28)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも28日間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目29)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも3ヶ月間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目30)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも6ヶ月間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目31)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも1年間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目32)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも5年間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目33)
補体活性を阻害する前記薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目34)
少なくとも一種の免疫抑制薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目1に記載の方法。
(項目35)
少なくともシクロスポリンAが、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記同種移植片に前感作させたレシピエント哺乳動物内で同種移植片の生存を延長するための方法であって、該方法は、該哺乳動物に、以下a)補体活性を阻害する薬物、およびb)少なくとも一種の免疫抑制薬物を投与する工程を包含し、補体活性を阻害する該薬物が、長期的に投与される、方法。
(項目37)
前記哺乳動物がヒトである、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記補体活性を阻害する薬物が、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記終末補体すなわちC5aの形成を阻害する薬物が、全抗体または抗体フラグメントである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記全抗体または抗体フラグメントが、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ化抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記全抗体または抗体フラグメントが補体C5の切断を阻害する、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記抗体フラグメントが、Fab、F(ab’) 、Fv、ドメイン抗体および単鎖抗体からなる群より選択される、項目39に記載の方法。
(項目43)
前記抗体フラグメントがペキセリズマブである、項目39に記載の方法。
(項目44)
前記全抗体がエクリズマブである、項目39に記載の方法。
(項目45)
前記エクリズマブが、2週間毎に1回投与される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記補体活性のインヒビターが、以下i)可溶性の補体レセプター、ii)CD59、iii)CD55、iv)CD46およびv)C5、C6、C7、C8またはC9に対する抗体からなる群より選択される、項目36に記載の方法。
(項目47)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性またはB細胞活性を阻害する、項目36に記載の方法。
(項目48)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性およびB細胞活性を阻害する、項目36に記載の方法。
(項目49)
前記免疫抑制薬物が、以下:シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、OKT3、コルチコステロイド、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、抗T細胞抗体、シクロホスファミド、レフルノミド、ブレキナル、ATG、ALG、15−デオキシスペルグアリンおよびブレディニンからなる群より選択される、項目36に記載の方法。
(項目50)
一種より多い免疫抑制薬物が投与される、項目36に記載の方法。
(項目51)
前記方法が、以下i)補体活性を阻害する薬物、およびii)シクロスポリンAを投与する工程を包含する、項目36に記載の方法。
(項目52)
前記方法が、以下i)補体活性を阻害する薬物、ii)シクロスポリンA、およびiii)シクロホスファミドを投与する工程を包含する、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記補体活性を阻害する薬物が、補体C5の切断を阻害する抗体である、項目51に記載の方法。
(項目54)
前記同種移植片が、以下i)心臓、ii)腎臓、iii)肺、iv)膵臓、v)肝臓、vi)血管組織、vii)眼、viii)角膜、ix)レンズ、x)皮膚、xi)骨髄、xii)筋肉、xiii)結合組織、xiv)胃腸組織、xv)神経組織、xvi)骨、xvii)幹細胞、xviii)膵島、xix)軟骨、xx)肝細胞およびxxi)造血細胞からなる群より選択される、項目36に記載の方法。
(項目55)
項目36に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも20%長い時間生存する、方法。
(項目56)
項目36に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも40%長い時間生存する、方法。
(項目57)
前記同種移植片が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間生存する、項目36に記載の方法。
(項目58)
前記同種移植片が、少なくとも6ヶ月間生存する、項目37に記載の方法。
(項目59)
前記同種移植片が、少なくとも1年間生存する、項目37に記載の方法。
(項目60)
前記同種移植片が、少なくとも5年間生存する、項目37に記載の方法。
(項目61)
前記同種移植片が、前記ヒトの残りの生存期間の間生存する、項目37に記載の方法。
(項目62)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも14日間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目63)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも28日間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目64)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも3ヶ月間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目65)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも6ヶ月間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目66)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも1年間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目67)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも5年間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目68)
補体活性を阻害する前記薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目69)
少なくとも一種の免疫抑制薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目36に記載の方法。
(項目70)
少なくともシクロスポリンAが、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記同種移植片に対してABO不適合であるレシピエント哺乳動物内で同種移植片の生存を延長するための方法であって、該方法は、該哺乳動物に、以下a)補体活性を阻害する薬物、およびb)少なくとも一種の免疫抑制薬物を投与する工程を包含し、補体活性を阻害する該薬物が、長期的に投与される、方法。
(項目72)
前記哺乳動物がヒトである、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記補体活性を阻害する薬物が、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する、項目71に記載の方法。
(項目74)
前記終末補体すなわちC5aの形成を阻害する薬物が、全抗体または抗体フラグメントである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記全抗体または抗体フラグメントが、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ化抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントである、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記全抗体または抗体フラグメントが補体C5の切断を阻害する、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記抗体フラグメントが、Fab、F(ab’) 、Fv、ドメイン抗体および単鎖抗体からなる群より選択される、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記抗体フラグメントがペキセリズマブである、項目74に記載の方法。
(項目79)
前記全抗体がエクリズマブである、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記エクリズマブが、2週間毎に1回投与される、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記補体活性のインヒビターが、以下i)可溶性の補体レセプター、ii)CD59、iii)CD55、iv)CD46およびv)C5、C6、C7、C8またはC9に対する抗体からなる群より選択される、項目71に記載の方法。
(項目82)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性またはB細胞活性を阻害する、項目71に記載の方法。
(項目83)
前記免疫抑制薬物が、T細胞活性およびB細胞活性を阻害する、項目71に記載の方法。
(項目84)
前記免疫抑制薬物が、以下:シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、OKT3、コルチコステロイド、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、抗T細胞抗体、シクロホスファミド、レフルノミド、ブレキナル、ATG、ALG、15−デオキシスペルグアリンおよびブレディニンからなる群より選択される、項目71に記載の方法。
(項目85)
一種より多い免疫抑制薬物が投与される、項目71に記載の方法。
(項目86)
前記方法が、以下i)補体活性を阻害する薬物、およびii)シクロスポリンAを投与する工程を包含する、項目71に記載の方法。
(項目87)
前記方法が、以下i)補体活性を阻害する薬物、ii)シクロスポリンA、およびiii)シクロホスファミドを投与する工程を包含する、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記補体活性を阻害する薬物が、補体C5の切断を阻害する抗体である、項目86に記載の方法。
(項目89)
前記同種移植片が、以下i)心臓、ii)腎臓、iii)肺、iv)膵臓、v)肝臓、vi)血管組織、vii)眼、viii)角膜、ix)レンズ、x)皮膚、xi)骨髄、xii)筋肉、xiii)結合組織、xiv)胃腸組織、xv)神経組織、xvi)骨、xvii)幹細胞、xviii)膵島、xix)軟骨、xx)肝細胞およびxxi)造血細胞からなる群より選択される、項目71に記載の方法。
(項目90)
項目71に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも20%長い時間生存する、方法。
(項目91)
項目71に記載の方法であって、前記同種移植片が、該方法が補体活性を阻害する前記薬物なしで行なわれる場合に生じるよりも少なくとも40%長い時間生存する、方法。
(項目92)
前記同種移植片が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間生存する、項目71に記載の方法。
(項目93)
前記同種移植片が、少なくとも6ヶ月間生存する、項目72に記載の方法。
(項目94)
前記同種移植片が、少なくとも1年間生存する、項目72に記載の方法。
(項目95)
前記同種移植片が、少なくとも5年間生存する、項目72に記載の方法。
(項目96)
前記同種移植片が、前記ヒトの残りの生存期間の間生存する、項目72に記載の方法。
(項目97)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも14日間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目98)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも28日間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目99)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも3ヶ月間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目100)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも6ヶ月間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目101)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも1年間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目102)
補体活性を阻害する前記薬物が、少なくとも5年間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目103)
補体活性を阻害する前記薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目104)
少なくとも一種の免疫抑制薬物が、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目71に記載の方法。
(項目105)
少なくともシクロスポリンAが、前記哺乳動物の残りの生存期間の間長期的に投与される、項目104に記載の方法。
(項目106)
哺乳動物内で同種移植片の生存を延長するための医薬または医薬パッケージの製造における、補体活性を阻害する薬物および免疫抑制薬物の使用。
(項目107)
一種より多い免疫抑制薬物が、前記医薬または医薬パッケージに含まれる、項目106に記載の使用。
(項目108)
前記補体活性を阻害する薬物および前記免疫抑制薬物が、前記哺乳動物への同時投与に適した処方物中に存在する、項目106に記載の使用。
(項目109)
前記補体活性を阻害する薬物および前記免疫抑制薬物が、前記哺乳動物への連続投与に適した処方物中に存在する、項目106に記載の使用。
(項目110)
前記補体活性を阻害する薬物が、前記哺乳動物への長期的な投与に適した処方物中に存在する、項目106に記載の使用。
(項目111)
前記免疫抑制薬物が、前記哺乳動物への長期的な投与に適した処方物中に存在する、項目106に記載の使用。
(項目112)
レシピエント哺乳動物において、同種移植片の生存を延長するための方法であって、該方法は、第1のレシピエント哺乳動物に適応させた第1の同種移植片から同種移植片を調製する工程を包含し、該第1のレシピエント哺乳動物は、該第1の同種移植片を受容した後、補体活性を阻害する薬物および少なくとも一種の免疫抑制剤で処置される、方法。
(項目113)
レシピエント哺乳動物において、生存の延長した同種移植片であって、該同種移植片は、第1のレシピエント哺乳動物から調製され、補体活性を阻害する薬物および少なくとも一種の免疫抑制剤で処置された第1のレシピエント哺乳動物に移植される、同種移植片。
(項目114)
補体活性を阻害する薬物および少なくとも一種の免疫抑制剤を含む薬学的パッケージであって、該薬物および該薬剤が、長期的な投与のために処方される、薬学的パッケージ。
(項目115)
前記薬物が、抗体および凍結保護剤を含有する凍結乾燥処方物中の抗体である、項目114に記載の薬学的パッケージ。
(項目116)
前記薬剤が、該薬剤および凍結保護剤を含有する凍結乾燥処方物中に存在する、項目114に記載の薬学的パッケージ。
(項目117)
前記薬物および前記薬剤が、該薬物、該薬剤および凍結保護剤を含有する同一の凍結乾燥処方物中に存在する、項目114に記載の薬学的パッケージ。
(項目118)
前記薬物が、カートリッジを備えるシリンジを備える注射システム中に存在する項目114に記載の薬学的パッケージであって、該カートリッジが、注射に適した処方物中に該薬物を含む、薬学的パッケージ。
(項目119)
前記薬剤が、カートリッジを備えるシリンジを備える注射システム中に存在する項目114に記載の薬学的パッケージであって、該カートリッジが、注射に適した処方物中に該薬剤を含む、薬学的パッケージ。
(項目120)
前記薬物および前記薬剤が、カートリッジを備えるシリンジを備える注射システム中に存在する項目114に記載の薬学的パッケージであって、該カートリッジが、注射に適した処方物中に該薬物および該薬剤を含む、薬学的パッケージ。
(項目121)
前記薬物が、単位投薬形態中に存在する、項目114に記載の薬学的パッケージ。
(項目122)
前記薬剤が、単位投薬形態中に存在する、項目114に記載の薬学的パッケージ。
(項目123)
補体活性を阻害する抗体および凍結保護剤を含有する凍結乾燥抗体処方物であって、長期的な投与に適している、凍結乾燥抗体処方物。
(項目124)
前記抗体が、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する、項目123に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目125)
前記抗体が、全抗体または抗体フラグメントである、項目123に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目126)
前記全抗体または抗体フラグメントが、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ化抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントである、項目125に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目127)
前記全抗体または抗体フラグメントが補体C5の切断を阻害する、項目125に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目128)
前記抗体フラグメントが、Fab、F(ab’) 、Fv、ドメイン抗体および単鎖抗体からなる群より選択される、項目125に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目129)
前記抗体フラグメントがペキセリズマブである、項目125に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目130)
前記全抗体がエクリズマブである、項目125に記載の凍結乾燥抗体処方物。
(項目131)
シリンジを備える注射システムであって、該シリンジが、補体活性を阻害し、かつ注射用に処方される抗体を含むカートリッジを備える、注射システム。
図1A−1Dは、種々の処置下で、前感作させたレシピエント対感作させていないレシピエントの抗ドナー抗体のレベルを示す。 図1A−1Dは、種々の処置下で、前感作させたレシピエント対感作させていないレシピエントの抗ドナー抗体のレベルを示す。 図2Aおよび図2Bは、前感作させた同種移植レシピエントにおいて抗C5抗体、CsAおよびCyPを使用する三重療法と前感作させた同種移植レシピエントにおいて抗C5抗体およびCsAのみを使用する併用療法との間の比較を示す。図2Aは、示したとおりの異なる処置下での種々のレシピエントにおける心臓同種移植片の生存を比較する。図2Bは、組織学および免疫組織学(例えば、種々の群のレシピエントの心臓同種移植片におけるリンパ球浸潤)を示す。 図2Aおよび図2Bは、前感作させた同種移植レシピエントにおいて抗C5抗体、CsAおよびCyPを使用する三重療法と前感作させた同種移植レシピエントにおいて抗C5抗体およびCsAのみを使用する併用療法との間の比較を示す。図2Aは、示したとおりの異なる処置下での種々のレシピエントにおける心臓同種移植片の生存を比較する。図2Bは、組織学および免疫組織学(例えば、種々の群のレシピエントの心臓同種移植片におけるリンパ球浸潤)を示す。 図3は、免疫抑制剤と比較した場合の抗C5抗体により遮断された終末補体活性を示す。 図4A−4Dは、抗C5抗体のみ、抗C5抗体とCsAとの二重併用療法、および抗C5抗体とCsAとCyPとの三重併用療法下での同種移植片の前感作させたレシピエントにおける抗ドナー抗体のレベルを比較する。 図4A−4Dは、抗C5抗体のみ、抗C5抗体とCsAとの二重併用療法、および抗C5抗体とCsAとCyPとの三重併用療法下での同種移植片の前感作させたレシピエントにおける抗ドナー抗体のレベルを比較する。 図5Aおよび5Bは、未処置または種々の処置下での同種移植レシピエントにおけるIgGアイソタイプの比の変化を示す。 図6は、未処置動物の心臓移植片と比較した場合の長期に生存する心臓移植片におけるBcl−2タンパク質およびBcl−x1タンパク質の高レベルの発現を示す。 図7は、第1の移植レシピエントからの適合した移植片の第2の移植(再移植)の改善を示す。 図8は、再移植実験の結果を示す。 図9は、再移植実験の結果を示す。
(詳細な説明)
(概要:移植片(transplant)または移植片(graft)の拒絶)
超急性拒絶は、移植後数分〜数時間以内に生じ、移植された組織抗原に対する前形成された抗体に起因する。それは、出血および移植脈管構造の血栓閉塞により特徴付けられる。抗体の内皮への結合は、補体を活性化し、抗体および補体は、血管内の血栓症を促進し、血管の閉塞を生じる、移植内皮における多数の変化を誘導し、その結果として、移植された臓器は、不可逆的な虚血性損傷を罹患する(Abbasら、2000)。超急性拒絶は、多くの場合、予め存在するIgM同種抗体(例えば、赤血球に発現したABO血液群抗原に対して指向されたIgM同種抗体によって媒介される。この型の拒絶は、自然抗体によって媒介されるが、異種移植物の拒絶に対する主要な理由である。自然IgM抗体に起因する超急性拒絶は、通常は同種移植片がドナーおよびレシピエントのABO型に適合するように選択されるので、もはや同種移植片に関する主要な問題ではない。ABO適合同種移植片の超急性拒絶はなお生じ得るが、通常タンパク質同種抗原(例えば、異物MHC分子)に対して、または血管内皮細胞上に発現するあまりよく明らかになっていない同種抗原に対して指向されるIgG抗体により媒介される。このような抗体は、移植前または多胎妊娠前の輸血を介して同種抗原に対する事前の暴露(この事前の暴露は、「前感作(presensitization)」と言われる)の結果として生じ得る。Abbasら、2000。
急性拒絶は、移植の第一週の後に通常始まる、T細胞、マクロファージおよび抗体により媒介される血管および実質の傷害のプロセスである。Abbasら、2001。Tリンパ球は、血管内皮細胞または実質細胞上に存在する同種抗原(MHC分子が挙げられる)に応答することにより、急性拒絶における中心的な役割を果たす。活性化されたT細胞は、移植片細胞の直接的な溶解を引き起こすか、または、壊死を引き起こす炎症性細胞を漸増し、活性化させるサイトカインを産生する。CD4細胞およびCD8細胞は両方とも急性拒絶に寄与し得る。移植片における同種異系細胞の破壊は、CD8+細胞毒性Tリンパ球死滅に高度に特異的であり、その顕著な特徴である。Abbasら、2000。CD4T細胞は、サイトカインを分泌し、遅延型の過敏性様反応を移植片に誘導することにより、急性移植片拒絶を媒介するのに重要であり得、CD4T細胞が、急性拒絶を媒介するために十分であることを示すいくつかの証拠が入手可能である。Abbasら、2000。抗体はまた、移植レシピエントが、血管壁抗原に対する体液性免疫応答を生じ、産生された抗体が、血管壁に結合し、構成要素を活性化させた後、急性拒絶を媒介し得る。Abbasら、2000。
慢性拒絶は、長期にわたって存在する正常な臓器の構造の喪失を有する線維症により特徴付けられる。慢性拒絶の病因は、急性拒絶の病因と比較してあまりよく理解されていない。移植片動脈閉塞は、内膜の平滑筋細胞の増殖の結果として生じ得る(Abbasら、2000)。このプロセスは、加速された、または移植片動脈硬化と呼ばれ、移植後6ヶ月〜1年以内に任意の血管化した臓器移植物に発生し得る。
移植を成功させるために、いくつかの様式の拒絶が克服されなければならない。拒絶を予防するのに複数のアプローチが使用される。これは、種々の様式の攻撃を予防(例えば、T細胞攻撃、抗体、サイトカインおよび補体の効果の阻害)するために、免疫抑制剤(多くの場合いくつかの型の免疫抑制剤)の投与を必要とし得る。ドナーをレシピエントに適合させるためのドナーのプレスクリーニングはまた、拒絶の予防、特に超急性拒絶の予防における主要な因子である。移植前の抗HLA抗体の免疫吸着は、超急性拒絶を低減し得る。移植の前に、レシピエントまたは宿主は、抗T細胞試薬(例えば、モノクローナル抗体OKT3、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、シクロスポリンAまたはタクロリムス(FK506))を投与され得る。さらに、グルココルチコイドおよび/またはアザチオプリンは、移植の前に宿主に投与され得る。移植拒絶を予防するのを補助するために使用される薬物としては、ATGまたはALG、OKT3、ダクリズマブ、バシリキシマブ、コルチコステロイド、15−デオキシスペルグアリン(15−deoxyspergualin)、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリオン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、6−メルカプトプリン、ブレディニン、ブレキナル、レフルノミド(leflunamide)、シクロホスファミド、シロリムス、抗CD4モノクローナル抗体、CTLA4−Ig、抗CD154モノクローナル抗体、抗LFA1モノクローナル抗体、抗LFA−3モノクローナル抗体、抗CD2モノクローナル抗体および抗CD45が挙げられるが、これらに限定されない。
同種移植片は、T細胞の活性化により一部拒絶される。移植レシピエントは、同種移植片における異物抗原のCD4+T細胞認識の後、拒絶応答を生じる。これらの抗原は、主要な組織適合性複合体(MHC)によりコードされる。クラスIMHC分子およびクラスIIMHC分子の両方が存在する。ヒトにおいて、クラスIMHC分子は、HLA−A、HLA−BおよびHLA−Cである。ヒトにおけるクラスIIMHC分子は、HLA−DR、HLA−DQおよびHLA−DPと呼ばれる。マウスにおいて、クラスIMHC分子は、H−2K、H−2DおよびH−2Lであり、クラスIIMHC分子は、I−AおよびI−Eである。CD4T細胞が異物MHC抗原に結合する場合、それらは、活性化され、クローン増殖される。活性化T細胞は、サイトカインを分泌し、これは、単球/マクロファージ、B細胞および細胞毒性CD8T細胞の活性化を補助する。活性化単球/マクロファージは、組織損傷を生じる因子を放出し、B細胞は、組織破壊を媒介する補体を生じる同種抗体を産生し、CD8T細胞は、アポトーシスおよび細胞溶解の誘導を介して抗原特異的様式で移植細胞を死滅させる。
(免疫抑制剤)
移植片拒絶を遅延させる(すなわち、その生存を延長する)ために使用される多くの薬物は、種々の方法で機能する。免疫抑制剤は、広範に使用される。幾つかの免疫抑制薬物の作用の機構の概説については、Stepkowski,2000を参照のこと。シクロスポリンAは、移植片拒絶を阻害するために最も広範に使用される免疫抑制薬物の1種である。これは、インターロイキン−2すなわちIL−2のインヒビターである(インターロイキン−2のmRNA転写を防止する)。より直接的に、シクロスポリンは、カルシニューリン活性化を阻害する。カルシニューリン活性化は、通常、T細胞レセプター刺激の際に起こる。カルシニューリンは、NFAT(活性化T細胞の核性因子)を脱リン酸化して、NFATが核に侵入してインターロイキン−2プロモーターに結合することを可能にする。このプロセスを遮断することにより、シクロスポリンAは、CD4T細胞の活性化を阻害し、そして活性化から生じる(阻害がなければ起こるはずである)事象のカスケードを阻害する。タクロリムスは、別の免疫抑制剤であり、インターロイキン−2の産生を阻害することによって作用する。
ラパマイシン(Rapamycin)(シロリムス)、SDZ RADおよびインターロイキン−2レセプターブロッカーは、インターロイキン−2の作用を阻害し、それによって上述の事象のカスケードを防止する薬物である。
プリンもしくはピリミジンの生合成のインヒビターもまた、移植片拒絶を阻害するために使用される。これらは、DNA合成を防止し、それによって細胞分裂(T細胞の分裂する能力を含む)を阻害する。この結果は、新しいT細胞の形成を防止することによる、T細胞活性の阻害である。プリン合成のインヒビターとしては、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)およびミゾリビン(ブレディニン)が挙げられる。ピリミジン合成のインヒビターとしては、ブレキナルナトリウムおよびレフルノミドが挙げられる。シクロホスファミドは、プリンおよびピリミジンの両方のインヒビターである。
T細胞活性化を阻害するなお別の方法は、レシピエントをT細胞に対する抗体で処理することである。OKT3は、CD3(T細胞レセプターの一部)に対するマウスモノクローナル抗体である。この抗体は、T細胞レセプターを阻害し、そしてT細胞活性化を抑制する。
同種移植片拒絶を遅延するための多くの他の薬物および方法が、当業者に公知であり、当業者によって使用される。1種のアプローチは、T細胞を枯渇させるためのアプローチである(例えば、照射による)。これは、多くの場合、骨髄移植において(特に、主要HLAの部分的不適合が存在する場合に)使用されている。レシピエントへのCD40リガンド−CD40相互作用のインヒビター(ブロッカー)の投与、および/またはCD28−B7相互作用のブロッカーの投与が、使用されている(米国特許第6,280,957号)。国際特許出願公開第01/37860号は、Th1免疫応答を阻害するための抗CD3モノクローナル抗体およびIL−5の投与を教示する。国際特許出願公開00/27421号は、腫瘍壊死因子αアンタゴニストの投与による角膜移植片拒絶の予防もしくは処置のための方法を教示する。Glotzら(2002)は、免疫グロブリンの静脈内投与(IVIg)は、抗HLA抗体の力価の重大な持続低の低下を誘導し、それによってHLA不適合期間の移植を可能にし得ることを示す。類似のプロトコールとしては、血漿交換(Taubeら,1984)もしくは免疫吸着技術と免疫抑制剤との組み合わせ(Hiesseら,1992)、またはこれらの組み合わせ(Montgomeryら,2000)が挙げられる。Changelianら(2003)は、免疫抑制がJanusキナーゼ3(JAK3:共通のγ鎖(γc)を用いる(インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−7、インターロイキン−9、インターロイキン−15、インターロイキン−21)サイトカインレセプターの適正なシグナル伝達のために必要な酵素である)の経口インヒビターによって引き起こされるモデルを教示する。この結果は、T細胞活性化の阻害である。ICAM−1に対するアンチセンス核酸は、心臓同種移植片移植の研究において、単独でまたは白血球機能関連抗原1(LFA−1)に特異的なモノクローナル抗体と併用で使用されている(Stepkowski,2000)。同様に、心臓同種移植片を処置するために、抗ICAM−1抗体は、抗LFA−1抗体と併用して使用されている(Stepkowski,2000)。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ラットの心臓もしくは腎臓の同種移植片モデルにおいて、さらに、シクロスポリンと組み合わせて使用されており、移植片の生存を延長する相乗効果を生じる(Stepkowski,2000)。慢性的移植片拒絶は、TGF−βのアンタゴニスト(分化、増殖およびアポトーシスに関与するサイトカイン)を投与することによって処置されている(米国特許出願公開第2003/0180301号)。
(補体および移植片/移植片拒絶)
移植片拒絶における補体の役割は、周知である。これは、異種移植の場合に特に当てはまるが、補体は、同種移植においてもまた、役割を果たす。概説については、PlattおよびSaadi,1999を参照。補体の役割の1つの局面は、臓器移植片がレシピエントの血液で再灌流される時点で虚血−再灌流障害が起こり得ることである。補体はまた、同種移植片拒絶の幾つかの兆候を引き起こし得る。
補体系は、米国特許第6,355,245号において詳細に説明される。補体系は、他の身体の免疫学的系と組み合わせて作用し、細胞性病原体およびウイルス性病原体の侵入に対して防御する。少なくとも25種の補体タンパク質が存在し、これらは、血漿タンパク質および膜補因子の複合的堆積として見出される。血漿タンパク質は、脊椎動物血清中で、約10%までのグロブリンを作製する。補体成分は、一連の複雑であるが正確な酵素的切断事象および膜結合事象において相互作用することにより、その免疫防御系を達成する。生じる補体カスケードは、オプソニン機能、免疫制御機能および溶解性機能の産物の生成をもたらす。
補体カスケードは、古典的経路もしくは代替的経路を介して進行する。これらの経路は、多くの成分を共有する。これらはその最初の段階で異なる一方で、これらは集まって同じ「終末補体」成分(C5〜C9)を共有する。この終末補体は、標的細胞の活性化および破壊を担う。
古典的補体経路は、代表的に、標的細胞上の抗原性部位の抗体認識および抗原性部位への結合によって開始される。代替的経路は、通常、抗体非依存的であり、そして病原体表面上の特定の分子によって開始され得る。両方の経路とも、補体成分C3が活性なプロテアーゼ(各経路によって異なる)によって切断されてC3aおよびC3bを生じる点に集まる。補体攻撃を活性化する他の経路は、この事象の連続においてより遅く作用し、補体機能の種々の局面をもたらし得る。
C3aは、アナフィラトキシンである。C3bは、最近細胞および他の細胞、ならびに特定のウイルスおよび免疫複合体に結合し、これらを循環から除去するためにタグ標識する。C3bは、この役割において、オプソニンとして公知である。C3bのオプソニン作用は、補体系の最も重要な抗感染作用と考えられる。C3b機能を遮断する遺伝性損傷を有する患者は、広範な種々の病原性生物による感染に罹患しやすく、一方で、補体カスケード連続の後期に損傷を有する患者(すなわち、C5機能を遮断する損傷を有する患者)は、ナイセリア属感染のみに対してより罹患しやすいことが見出され、従って、何かに対してより罹患しやすいことが見出される(Fearon,1983)。
C3bはまた、各経路に対して独特である他の成分との複合体を形成して、古典的C5コンバルターゼもしくは代替的C5コンバルターゼを形成する。これらは、C5をC5aとC5bとに切断する。従って、C3は、代替的経路および古典的経路の両方に必須であるため、補体反応連続における中心的タンパク質であると考えられる。(Wurznerら,1991)。C3bのこの特性は、血清プロテアーゼ因子Iによって制御され、この血清プロテアーゼ因子Iは、C3b上で作用してiC3bを産生する。オプソニンとしてなお機能的であるため、iC3bは、活性なC5コンバルターゼを形成し得ない。
C5は、正常血清中に約75g/mL(0.4μM)で見出される190kDaのβグロビンである。C5は、糖修飾されており、その重量の約1.5〜3%は炭水化物である。成熟C5は、999アミノ酸の115kDaのα鎖が656アミノ酸の75kDaのβ鎖に連結される、ヘテロダイマーである。C5は、1コピーの遺伝子の、前駆体タンパク質産物の1本の鎖として合成される(Havilandら,1991)。この遺伝子の転写物のcDNA配列により、18アミノ酸のリーダー配列を有する、1659アミノ酸長の分泌性pro−C5前駆体が予測される。
このpro−C5前駆体は、アミノ酸655およびアミノ酸659の後で切断され、アミノ末端フラグメント(アミノ酸残基+1〜655)としてβ鎖を、そしてカルボキシ末端フラグメント(アミノ酸残基660〜1658)としてα鎖を生じ、この2つの間の4アミノ酸が欠失する。
C5aは、代替的C5コンバターゼもしくは古典的C5コンバターゼのどちらかによって、α鎖の74アミノ酸(すなわち、アミノ酸660〜733)を最初に含むアミノ末端フラグメントとして、C5のα鎖から切断される。C5aの11kDaの重量の約20%は、炭水化物に起因する。コンバターゼ作用のための切断部位は、アミノ酸残基733もしくはそのすぐ近傍にある。この切断部位もしくはその近傍に結合する化合物は、C5コンバターゼ酵素の切断部位への接近を遮断し、それによって補体インヒビターとして作用する可能性を有する。
C5はまた、C5コンバターゼ活性以外の手段によって活性化され得る。制限トリプシン消化(MintaおよびMan,1977;WetselおよびKolb,1982)および酸処理(YamamotoおよびGewurz,1978;Vogtら,1989)もまた、C5を切断して活性なC5bを産生し得る。
C5aは、もう1つのアナフィラトキシンである。C5bは、C6、C7、およびC8と組み合わせて、標的細胞の表面上でC5b−8複合体を形成する。幾つかのC9分子の結合の際、細胞膜傷害複合体(MAC、C5b−9、終末補体複合体(TCC))が、形成される。十分な数のMACが標的細胞膜内に挿入される場合、MACが作った開口(MAC孔)は、標的細胞の急速な浸透圧溶解(osmotic lysis)を媒介する。より低い非溶解性の濃度のMACは、他の効果を生じ得る。特に、少数のC5b−9複合体の内皮細胞および血小板への膜挿入は、有害な細胞活性を生じ得る。幾つかの場合、活性は、細胞溶解をもたらし得る。
上述のように、C3aおよびC5aは、アナフィラトキシンである。これらの活性化された補体成分は、肥胖細胞脱顆粒を引き起こし得、この肥胖細胞脱顆粒は、ヒスタミンおよび他の炎症のメディエータを放出し、平滑筋収縮、血管透過性の増大、白血球活性化および他の炎症性現象(過剰細胞性(hypercellularity)をもたらす細胞増殖を含む)を生じる。C5aはまた、炎症促進性顆粒球を補体活性の部位へ誘引するために寄与する化学走性ペプチドとして機能する。
レシピエント抗体のドナー同種抗原への補体結合は、超急性移植片拒絶の主な原因と考えられる。移植前クロスマッチ試験のおかげで、この基本型の体液性拒絶は、現在滅多に観察されない(Regeleら,2001)。現在、体液性免疫機構が他の型の同種移植片拒絶に寄与し得ることを、データが示している(Regeleら,2001)。体液性の前感作(presensitization)を示す高レベルの反応性抗体パネルは、低い腎臓移植片生存と関連することが見出された(Opelz,1992)。転写後期間の間の同種抗体の出現により、移植片の転帰が悪いことが予測されることが報告されている(Jeannetら,1970;Halloranら,1992)。ならびに、免疫吸着によるレシピエントIgGの選択的な除去は、いくらか拒絶エピソードを逆転させた。このことは、体液性免疫機構の拒絶に対する寄与を示す(Perssonら,1995;Boehmigら,2000)。移植片における補体活性化は、抗体媒介性移植片損傷を示し得る。補体切断産物C4dは、抗体依存性古典的経路の活性化についてのマーカーである。腎臓同種移植片生検における毛細管C4d沈着は、移植片の悪い転帰に関連した。
最近、補体活性化は同種移植片レシピエントを感作し、同種移植片における組織損傷の発生に有意に寄与することを示す証拠が増えている(Plattら,1999)。抗体は、古典的補体経路を活性化する、最も研究されたメディエータである。臨床的には、同種抗体は、補体を活性化することが公知である(Baldwinら,2001)。HalloranおよびCollinsは、腎同種移植片の特定の毛細管におけるC4d沈着は、急性体液性拒絶の感受性の診断マーカーであり、この急性体液性拒絶は、循環するドナー特異的抗体の存在に強く関連することを示す(Collinsら,1999;Halloran,2003)。支持的なさらなる証拠は、補体阻害を有する動物において見られる(Prattら,1996;Pruittら,1991;Forbesら,1978)か、または補体欠損の動物において見られ(Prattら,2000;Baurerら,1995)、これらは、炎症性損傷の有意な低下および抗ドナー免疫応答の低下を示す。ABMRにおいて、補体は、古典的経路によって活性化され、病因における鍵の役割を果たすことを示唆される(Collardら,1997)。異種移植後のHARまたは急性血管拒絶(AVR)における補体の役割はよく記録されている(Plattら,1999)が、同種移植後のABMRの病因における補体の正確な機構は、まだ解明されていない。
補体のC5成分は、切断されて多重の炎症促進性効果を有する生成物を形成するので、免疫媒介性炎症応答における補体阻害のための魅力的な標的である。上述のように、C5aは、強力なアナフィラトキシンであり、かつ化学走性因子である。C5aによる細胞活性化は、多数のさらなる炎症メディエータの放出を誘導する(Joseら,1983)。補体活性化経路(古典的経路、代替的経路またはマンナン結合レクチン経路)は、最終的に、細胞溶解性膜傷害複合体C5b−9の形成をもたらす(Kirschfunk,2001)。C5b−9は、細胞溶解による直接的組織損傷および溶解未満の用量での炎症促進性細胞活性化の療法を媒介し得る(Saadiら,1995;Papadimitriouら,1991)。従って、移植後の補体媒介性炎症応答の最適阻害のために、C5a産生およびC5b−9産生の両方を遮断することが必要とされ得る。同時に、補体カスケードのC5での阻害は、C3bの産生を低減することなく、C3b媒介性の病原性微生物のオプソニン作用ならびに免疫複合体の可溶化およびクリアランスをを維持する。
抗C5 mAbの有益な効果は、心筋再灌流(Vakevaら,1998)、全身性エリテマトーデス(Wangら,1996)および慢性関節リウマチ(Wangら,1995)を含む幾つかの実験モデルにおいて、ならびにヒトの自己免疫疾患、心肺バイパス、および急性心筋梗塞の臨床試験において報告されている。さらに、抗C5モノクローナルAb(mAb)の機能的遮断による補体不活化は、異種移植モデルにおけるHARを予防する(Kroshusら,1995;Wangら,1999)。
補体インヒビターを投与することによって同種移植拒絶を遅延させる方法が、試験されている。国際特許出願公開第92/10205号は、前感作されたラットモデルにおいて心臓同種移植の拒絶を阻害するための、シクロスポリンと可溶性補体レセプター(sCR1)との組み合わせの使用を開示する。補体レセプター1は、補体C3bおよび補体C4bに結合する。補体レセプター1の可溶化形態は、天然に存在し得るか、または組換えDNA手順を介して産生され得る。これらの可溶性補体レセプターは、補体活性化の結果、インビトロで阻害され得る(米国特許第6,057,131号)。国際公開第92/10205号において、心臓同種移植片に対して前感作を受けたラットは、移植2日前から開始して移植片拒絶の時まで継続して、シクロスポリンAを10mg/kg/日で筋肉内投与された。さらに、可溶性補体レセプター1(sCR1)は、単回静脈内ボーラスとして、移植片の再灌流の直前に15mg/kgで投与された。薬物処置を受けていないコントロール動物は、平均3.8日目に移植片を拒絶した。シクロスポリンA単独を投与された動物は、平均57日目に移植片を拒絶した(これは非常に変動性であり、2匹のラットは2日目と4日目とに拒絶し、3匹目のラットは144日目に拒絶した)。sCR1単独を投与されたラットは、平均44日目に移植片を拒絶した。シクロスポリンAとsCE1との組み合わせを投与されたラットは、平均147日目に移植片を拒絶した。長期的なシクロスポリンAと単回ボーラスのsCR1との組み合わせは、移植片拒絶までの時間を大いに延長する相乗効果をもたらしたようであった。前感作されたラット同種移植片の類似のモデルを使用したPruittおよびBollinger(1991)による先行研究は、sCR1単独の投与は、補体を非活性化し、移植片拒絶までの時間の延長をもたらしたことを示した。
Simsら(米国特許第5,135,916号)は、C5b−9の形成を遮断するために、補体のインヒビター(例えば、CD59またはC7もしくはC9に対する抗体)を使用して移植される器官および組織の血管内皮を処置することを示唆する。この使用は、C5b−9によって開始される細胞壊死を予防する。C5b−9不活化剤は、インビトロ保存の間に血管壁細胞を補体活性化の進行から保護するために、灌流液または保存培地に添加される。さらに、器官または組織は、移植によって開始された補体活性化から生じる細胞溶解性効果および血栓効果から保護され、それにより、補体媒介性急性拒絶を回避する。Simsら(米国特許第5,573,940号および米国特許第6,100,443号)はまた、CD59を移植された組織または器官において発現させ、移植された器官を拒絶から保護する方法を教示する。この方法は、移植される細胞を形質転換させることによって達成され得る。
ドナーおよびレシピエントを事前スクリーニングしてドナー同種移植片をレシピエントに適合させる方法と組み合わせて、現在までに開発された幾つかの薬物は、移植片の生存時間の平均の長さを延長したが、それにもかかわらず、多くの同種移植片は、レシピエントの生存期間の間に拒絶される。一般に、先行技術は、急性移植片拒絶を克服することを主に目指してきた。さらに、活性化終末補体成分の抗体媒介性同種移植片拒絶における役割は、C5タンパク質レベルにおいて補体カスケードを特異的に標的化するインヒビターを用いて試験されていない。本明細書中で記載され、かつ実施例で例示される方法は、同種移植片(特に、前感作されたレシピエントにおける同種移植片)の慢性的拒絶を阻害することにより、同種移植分野を進歩させる。新規な方法は、補体インヒビターの長期的投与と組み合わせた免疫抑制薬剤の適正な組み合わせを用いることにより、さらに延長した同種移植片生存を示す。
(方法および使用)
本明細書中で開示される方法は、同種移植片生存を延長させるために使用される。この方法は、一般に、補体活性のインヒビターを1以上の免疫抑制剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
適切な補体インヒビターは、当業者に公知である。抗体は、活性化補体の別々の成分に対して作製される(例えば、C5a、C7、c9などに対する抗体)(例えば、米国特許第6,534,058号;米国特許出願公開第US2003/0129187号;および米国特許第5,660,825号を参照)。補体媒介性溶解を阻害することが公知であるタンパク質しては、CD59、CD55、CD46ならびにC8およびC9他のインヒビターが挙げられる(例えば、米国特許第6,100,443号を参照)。米国特許第6,355,245号は、C5に結合してC5aとC5bとへの切断を妨げることにより、C5aの形成のみでなくC5b−9複合体の形成をも妨げる抗体を教示する。補体レセプターとして公知であり、補体に結合するタンパク質もまた、公知である(国際出願公開第92/10205号および米国特許第6,057,131号を参照)。補体レセプターの可溶化形態(例えば、可溶性CR1)の使用は、好中球酸化バースト、補体媒介性溶血ならびにC3a産生およびC5a産生のような、補体活性化の結果を阻害し得る。当業者は、上記を、公知の補体およびその活性化を阻害する方法の幾つかとして理解する(しかし、全てではない)。
適切な免疫抑制剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ATGまたはALG、OKT3、ダクリズマブ(daclizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、コルチコステロイド、15−デオキシスパガリン(15−deoxyspergualin)、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、6−メルカプトプリン、ブレディニン、ブレキナル、レフルノミド、シクロホスファミド、シロリムス、抗CD4モノクローナル抗体、CTLA4−Ig、抗CD154モノクローナル抗体、抗LFA1モノクローナル抗体、抗LFA−3モノクローナル抗体、抗CD2モノクローナル抗体、および抗CD45。
同種移植片は、移植された器官、器官の部分、組織または細胞を含み得る。これらとしては、心臓、腎臓、肺、膵臓、肝臓、血管組織、目、角膜、レンズ、皮膚、骨髄、筋肉、結合組織、胃腸組織、神経組織、骨、幹細胞、膵島細胞、軟骨、肝細胞および造血細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
同種移植片の不全についての理由の少なくとも一部分は、同種移植片のレシピエントによる応答が補体を活性化することである。補体の活性化は、移植片不全を引き起こす強力な炎症促進性分子であるC5aおよびC5b−9の形成をもたらす。いかなる提唱された理論に束縛されることも望まないが、出願人は、C5aおよびC5b−9の形成の阻害または存在するC5aおよびC5b−9の阻害は、移植片不全の予防を補助し得ることを理論付けた。その上、同種移植片が存在する限り、レシピエントは移植片に対する免疫応答をマウントしようとし続けること、ならびにこの応答はC5aおよびC5b−9を産生しようとすることを含むことを、理論付けた。妨げられない限り、この補体応答は、短い期間に急性血管拒絶をもたらし、そして長い期間において慢性移植片拒絶に寄与し得る。補体活性のインヒビターを使用する先行技術方法は、これらのインヒビターを移植の時にのみ投与することに限られていた。このことは、急性拒絶を予防することに役立つが、本明細書中で開示される結果が示すように、このようなインヒビターをより長い期間投与することにより、改善された結果が得られる。この長期投与は、急性拒絶の予防にのみ役立つこととは対照的に、同種移植片の慢性拒絶の予防に役立つ。この結果は、補体活性のインヒビターを投与しない場合もしくはこのようなインヒビターを同種移植片の移植の時にのみ投与することと比較して、同種移植片の生存期間がより長い。最も一般的には、レシピエントの残りの生存期間の間同種移植片が生存することが望ましいが、同種移植片がより短い時間のみ必要とされる場合がある(例えば、レシピエント自らの器官がレシピエントの中で回復するまで(この時点で同種移植片はもはや必要とされない)の時間をつなぐ当座しのぎの器官(bridge organ))。このような移植片が必要とされる時間の長さは変動するが、通常、急性拒絶が起こる時間より長く、そして慢性拒絶が起こるために十分な長さであり得る。当座しのぎの移植片のために所望されるこの生存期間は、例えば、6ヶ月間である。
補体活性の長期の阻害が同種移植片生存を延長することを証明するため、補体活性化が、長期的様式でかつ移植の時だけではなく阻害される実験を行った。長期的処置とは、同種移植片の生存期間までのより長い期間の間の処置を意味する。この処置は、毎日の処置であり得るが、毎日の処置に限定されない。長期的処置は、同種移植片レシピエントにおいて薬物の有効量を維持する。例えば、好ましい方法は、抗C5モノクローナル抗体エクリズマブ(eculizumab)を含む方法である。発作性夜間血色素尿症(PNH)に罹患するヒトの研究において、エクリズマブは、12〜14日毎に1回、患者一人あたり900mgの用量を投与されている。この投薬は、完全かつ継続的に終末補体活性を遮断することが見出されており、そしてPNHの症状を大いに阻害した(Hillmenら,2004)。この投与用量は、エクリズマブが不活性化されるか、もしくは体内から除去されるまで、およそ2週間にわたって補体の効果を遮断し得る。従って、エクリズマブの長期的処置は、例えば、患者の残りの生存期間にわたる、同種移植片レシピエントに対する2週間に一度の900mgの投与であり得る。同様に、同種移植片レシピエントにおける薬物の有効量を維持するために毎日のスケジュールが必要とされようと別のスケジュールが必要とされようと、必要な場合、他の薬物が長期的に送達され得る。移植片拒絶が単なる補体活性化以上のもの(例えば、T細胞活性)によって引き起こされ得ることが周知であるので、この実験は、移植片拒絶の予防において、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)をさらなる補助剤として含んだ。
補体活性を阻害する好ましい方法は、補体C5に結合するモノクローナル抗体を使用し、C5の切断を妨げることである。この方法は、C5aおよびC5b−9の形成を妨げると同時に、レシピエントに有益であるC3aおよびC3bの形成を可能にする。ヒト補体に特異的なこのような抗体は、公知である(米国特許第6,355,245号)。これらの抗体は、米国特許第6,355,245号に開示され、抗体全体すなわち全長抗体(現在エクリズマブと名づけられる)と単鎖抗体(現在ペキセリズマブ(pexelizumab)と名づけられる)とが挙げられる。マウスC5に対する類似の抗体は、BB5.1と呼ばれる(Freiら,1987)。BB5.1は、以下の実験において使用される。補体活性を阻害する抗体は、モノクローナル抗体である必要はない。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル抗体であってもよい。これらは、さらに、抗体フラグメントであってもよい。抗体フラグメントとしては、Fab、F(ab’)、F(ab’)、単鎖抗体、ドメイン抗体およびFvが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、抗体はヒト化(Jonesら,1986)、キメラ化、または脱免疫化(deimmunized)され得ることが、当業者に周知である。抗体はまた、変異体Fcが補体を活性化しないような、変異されたFc部分を含み得る。本開示において使用される抗体は、これらのいずれかであり得る。同種移植片のレシピエントがヒトである場合、ヒト化抗体を使用することが、好ましい。
(投与および処方)
補体活性のインヒビターの投与は、当業者に公知の方法に従って実施される。これらのインヒビターは、好ましくは、同種移植片移植の前に投与されるか、または移植の時点で投与され、この投与は、長期的様式で継続する。これらのインヒビターは、拒絶エピソードが起こる事象において拒絶エピソードの間、さらに投与され得る。
本開示はまた、医薬品もしくは医薬品パッケージの製造において、補体活性を阻害する薬物および免疫抑制剤の使用を提供する。このような医薬品または医薬品パッケージは、レシピエントにおける同種移植片生存(特に、同種移植片の長期的生存)の延長において有用である。好ましい実施形態において、この医薬品もしくは医薬品パッケージは、同種移植片のレシピエントへの長期的投与に適するように処方されそして調製される。例えば、安定的な処方物が使用される。特定の実施形態において、この医薬品もしくは医薬品パッケージは、同種移植片レシピエントへの補体活性を阻害する薬物と免疫抑制薬剤との同時の投与に適するように処方されそして調製され得る。特定の実施形態において、この医薬品もしくは医薬品パッケージは、同種移植片レシピエントへの補体活性を阻害する薬物と免疫抑制薬物との連続的な(いずれの順番においても)投与に適するように処方されそして調製され得る。
本開示の薬学的パッケージは、補体活性を阻害する薬物と少なくとも1つの免疫抑制剤とを含み得る。この薬学的パッケージは、長期的投与のためのラベルをさらに含み得る。この薬学的パッケージはまた、患者(例えば、移植片のレシピエント)による自己投与のためのラベル、もしくは移植片のレシピエントの看護人のための指示書を含み得る。特定の実施形態において、薬学的パッケージ中の薬物および薬剤は、長期的投与および/または自己投与に適した、1つの処方物中に存在し得るか、もしくは別々の処方物中に存在し得る。
本開示はまた、凍結乾燥処方物および注射のために適した処方物を提供する。特定の実施形態は、補体活性を阻害する抗体および凍結保護剤を含む凍結乾燥抗体処方物を提供する。好ましい実施形態において、抗体処方物は、長期的投与に適する(例えば、安定な抗体処方物)。代替の実施形態は、シリンジを含む注射システムを提供し、このシリンジは、補体活性を阻害する、注射に適した処方物中の抗体を含むカートリッジを備える。
本開示の種々の実施形態において使用される抗体は、好ましくは、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する。特定の実施形態において、終末補体すなわちC5aの形成を阻害する抗体は、抗体全体もしくは抗体フラグメントである。この抗体全体もしくは抗体フラグメントは、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはヒト抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、キメラ化抗体フラグメントもしくは脱免疫化抗体フラグメントであり得る。特定の実施形態において、抗体全体もしくは抗体フラグメントは、補体C5の切断を阻害し得る。特定の実施形態において、この抗体フラグメントは、Fab、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体、もしくは単鎖抗体であり得る。好ましい実施形態において、この抗体フラグメントは、ペキセリズマブである。代替の好ましい実施形態において、抗体全体は、エクリズマブである。
特定の実施形態において、補体活性を阻害する薬物(例えば、抗体)は、単位投薬形態で存在し、この形態は、自己投与に特に適する。同様に、本開示の免疫抑制剤もまた、単位投薬形態で存在する。本開示の処方された生成物は、容器(代表的に、バイアル、カートリッジ、事前装填シリンジもしくは使い捨てのペン)中に含まれ得る。米国特許第6,302,855号に開示される用量分配デバイス(doser device)のような用量分配器(doser)もまた、たとえば本開示の注射システムと共に使用され得る。
「安定的な」処方物は、薬物(例えば、抗体)もしくは薬剤であって、その薬物もしくは薬剤において、保存の際にその物理的および化学的な安定性および強度を本質的に保持する処方物である。タンパク質活性を測定するための種々の分析技術は、当該分野で利用可能であり、Peptide and Protein Drug Delivery,247−301,Vincent Lee編,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)ならびにJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90(1993)において概説される。安定性は、選択された温度で選択された時間で測定され得る。例えば、凍結乾燥および保存の後の凝集の程度は、タンパク質安定性の指標として使用され得る。例えば、「安定な」処方物は、約10%未満(好ましくは約5%未満)のタンパク質が、処方物中で凝集体として存在する処方物であり得る。他の実施形態において、凍結乾燥処方物の凍結乾燥および保存の後の凝集体形成の任意の増加が、決定され得る。例えば、「安定な」凍結乾燥処方物は、この凍結乾燥処方物が2〜8℃で少なくとも1年間保存される場合、この凍結乾燥処方物における凝集体の増加が、約5%未満(好ましくは約3%未満)である処方物であり得る。他の実施形態において、タンパク質処方物の安定性は、生物学的活性アッセイを用いて測定され得る。
「再構築された」処方物は、凍結乾燥タンパク質処方物を希釈剤に溶解することによって、このタンパク質が再構築された処方物中に分散するように調製されている処方物である。この再構築された処方物は、このタンパク質によって処置される患者への投与(例えば、非経口投与)に適し、本発明の特定の実施形態において、皮下投与に適する処方物であり得る。
等張の再構築された処方物が、特定の実施形態において好ましい。「等張」とは、当該処方物がヒトの血液と本質的に同じ浸透圧を有することを意味する。等張の処方物は、一般に、約250〜350mOsmの浸透圧を有する。等張性は、例えば蒸気圧もしくは氷冷式(ice−freezing)浸透圧計を用いて測定され得る。
「凍結保護剤(lyoprotectant)」は、目的の薬物(例えば、抗体)と合わせられた分子であり、凍結乾燥の際およびその後の保存の際に、この薬物(例えば、抗体)の化学的不安定性および/または物理的不安定性を有意に防止するかまたは低下させる分子である。例示的な凍結保護剤としては、糖(例えば、ショ糖もしくはトレハロース)、アミノ酸(例えば、グルタミン酸一ナトリウムもしくはヒスチジン)、メチルアミン(例えば、ベタイン)、親液性の塩(例えば、硫酸マグネシウム)、ポリオール(例えば、三価アルコールもしくは高級糖アルコール(例えば、グリセリン、エリトリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトール))、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、Pluronic類、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい凍結保護剤としては、非還元糖(例えば、トレハロースもしくはショ糖)が挙げられる。
凍結保護剤は、凍結乾燥前の処方物に、「凍結保護的な量(lyoprotecting amount)」で添加される。この「凍結保護的な量」とは、凍結保護的な量で存在する凍結保護剤の存在下での薬物(例えば、抗体)の凍結乾燥後、この薬物(例えば、抗体)が、凍結乾燥の際およびその後の保存の際にその物理的および化学的な安定性および強度を本質的に維持することを意味する。
本明細書中で目的の「希釈剤」は、薬学的に受容可能な(ヒトへの投与のために安全かつ非毒性の)希釈剤であり、再構築処方物の調製のために有用である。例示的な希釈剤としては、滅菌水、注射用の静菌性水(BWFI)、pH緩衝化溶液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水)、滅菌生理食塩水溶液、リンガー溶液またはデキストロース溶液が挙げられる。
「保存剤」は、希釈剤に加えられて、再構築された処方物の細菌作用を本質的に低減し得、それによって、例えば多用性再構築処方物の生成を容易にし得る化合物である。強力な保存剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチル塩化アンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが挙げられる。他の型の保存剤としては、芳香族アルコール(例えば、フェノール、ブチルアルコールおよびベンジルアルコール、アルキルパラベン(例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノールおよびm−クレゾールが挙げられる。
「充填剤(bulking agent)」は、凍結乾燥混合物の重量を増し、そして凍結乾燥ケーキの物理的構造に寄与する(例えば、本質的に均質な開孔構造を維持する凍結乾燥ケーキの産生を容易にする)化合物である。例示的な充填剤としては、マンニトール、グリシン、ポリエチレングリコールおよびxorbitolが挙げられる。
従って、安定な凍結乾燥抗体処方物は、凍結保護剤(好ましくは、ショ糖もしくはトレハロースのような糖)を用いて調製され得る。この凍結乾燥処方物は、再構築されて、凍結乾燥前の処方物中の抗体濃度よりも有意に高い(例えば、約2〜40倍高く、好ましくは3〜10倍高く、最も好ましくは3〜6倍高い)抗体濃度を有する安定な再構築処方物を生成し得る。再構築処方物中のこのような高いタンパク質濃度は、この処方物が、皮下投与を意図される場合、特に有用であると考えられる。再構築処方物中の非常に高いタンパク質濃度にもかかわらず、この再構築処方物は、2〜8℃で少なくとも30日間安定(すなわち、有意な、すなわち受容不可能なレベルの化学的もしくは物理的なタンパク質の不安定性を示さない)であり得る。米国特許第6,821,515号を参照。特定の実施形態において、この再構築処方物は、等張である。
保存剤を含有する希釈剤(例えば、注射用静菌性水(BEFI))によって再構築される場合、この再構築処方物は、多用性処方物であり得る。このような処方物は、例えば、慢性的な医学的状態を処置するために被験体患者が薬物もしくは抗体および/または薬剤の頻繁な投与を必要とする場合に、有用である。多用性処方物の利点は、患者の使い易さを促進し、バイアル内容物の完全な使用を可能にすることによって廃棄を減らし、幾つかの用量が1つのバイアル中に包装されるので製造について有意な費用削減をもたらす(充填および輸送の費用を減らす)。
本開示はまた、処方物を調製する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)抗体と凍結保護剤との混合物を凍結乾燥する工程;および(b)工程(a)の凍結乾燥混合物を希釈剤中に再構築し、この再構築処方物が等張かつ安定であるようにする工程。
本明細書中で、以下を含む製造品もまた提供される:(a)抗体と凍結保護剤との混合物を含む容器;および(b)この凍結乾燥混合物を希釈剤で再構築して、再構築処方物中の所望の抗体濃度にするための指示書。製造品は、希釈剤(例えば、芳香族アルコールを含有する注射用静菌性水(BWFI))を含む第二の容器をさらに含み得る。
本開示の注射システムは、米国特許第5,308,341号に記載される医薬送達ペンを使用し得る。医薬送達ペンは、医薬の自己投与を容易にするために開発された。本開示の医薬は、補体活性を阻害する(例えば、補体C5に特異的な)薬物、および/または免疫抑制剤であり得る。1種の医薬ペンは、中にインスリンもしくは他の医薬のバイアルを入れられる、バイアルホルダーを備える。このバイアルホルダーは、細長い、一般的には筒状の構造であって、近位端および遠位端を備える。このバイアルの近位端は、二端針カニューレに結合するための装填手段を備える。遠位端もまた、ペン本体と結合するための装填手段を備え、この装填手段は、駆動器(driver)および用量設定装置を備える。先行技術のバイアルホルダー(貫通可能エラストマー隔壁を備える)の使用のための使い捨て医薬含有バイアルは、二端針カニューレの1端によって貫通され得る。このバイアルの遠位端は、ストッパーを備え、このストッパーは、流体中にスライドして配置され、バイアルの円筒壁に堅く結合する。この医薬送達ペンは、医薬のバイアルをバイアルホルダー内に挿入することによって使用される。次いで、ペン本体は、このバイアルホルダーの遠位端に結合される。このペン本体は、このペンによって送達される医薬の用量を示すための用量設定装置、ならびに、バイアルのストッパーを選択された用量に対応する距離について移動させる駆動装置を備える。
このペンの使用者は、二端針カニューレを、この針カニューレの近位点がバイアルの隔壁を貫くように、このバイアルホルダーの遠位端に装填する。次いで、患者は、用量を選択しそしてペンを操作して、ストッパーを選択した用量を送達するように動かす。この用量選択装置は、選択された用量の注射の際に、ゼロに戻る。次いで、患者は、針カニューレを取り除いて捨て、そしてこの先行技術送達ペンを次に必要な医薬投与のために便利な場所に保管する。バイアル中の医薬は、数回のこのような医薬の投与の後、消費される。従って、患者は、バイアルホルダーをペン本体から取り外す。次いで、空のバイアルが、取り除かれて捨てられ得る。新しいバイアルがバイアルホルダー内に挿入され得、このバイアルホルダーおよびペン本体は、再集合されて上で説明したように使用され得る。
従って、医薬送達ペンは、一般に、正確な投薬および使用の容易さのための駆動機構を備える。回転可能ノブのような投薬機構は、医薬の包装バイアルからペンによって正確に調整した量の医薬を使用者が注射されることを可能にする。医薬の用量を注射するために、使用者は、針を皮膚の下に挿入し、ノブが押し下がるところまで押し下げる。このペンは、完全に機械的なデバイスであってもよく、または使用者に注射される医薬の用量を正確に設定しかつ/または示すための電気回路と組み合わせられてもよい。米国特許第6,192,891号を参照。
本開示はまた、医薬の長期的かつ/または自己の投与に適する制御放出処方物もしくは延長放出処方物も提供する。
この医薬および種々の処方物(例えば、本開示の抗体および少なくとも1種の免疫抑制剤)が、処置を必要とする患者(例えば、同種移植のレシピエント)に、ボーラスとしての静脈内投与によって、もしくは一定時間にわたる連続的な注入による、筋肉内経路、腹腔内経路、大脳脊髄内(intracerobrospinal)経路、皮下経路、関節内経路、滑液包内経路、クモ膜下腔内経路、経口経路、局所経路もしくは吸入経路によって、投与され得る。
特定の実施形態において、処方物は、患者に皮下(すなわち、皮膚の下の)投与によって投与される。このような目的のために、この処方物は、シリンジを用いて注射され得る。しかし、この処方物の投与のために、注射デバイス(例えば、Inject−ease(登録商標)デバイスおよびGenject(登録商標)デバイス)、針なしデバイス(例えば、MediJector(登録商標)およびBioJector(登録商標))ならびに皮下パッチ送達系のような他のデバイスが利用可能である。
本発明の方法および使用は、以下の実施例を参照して説明される。この実施例は、例示の目的で提供され、本開示を限定することをいかなるようにも意図しない。当該分野で周知である標準的技術、または以下で具体的に説明される技術が、使用される。本明細書中で、以下の略語が使用される:ACR(急性細胞性拒絶)、AVR(急性血管拒絶)、CSA(シクロスポリン)、CyP(シクロホスファミド)、HAR(超急性拒絶)、MCP−1(単球化学走性タンパク質1)、MST(平均生存時間)、POD(手術後日数)。
(実施例1)
(方法)
(動物および免疫抑制剤)
雄性かつ成体のC3H(H−2)マウスおよびBALB/c(H−2)マウス(Jackson Labs,Bar Harbor,Maine)(体重25〜30g)を、それぞれドナーおよびレシピエントとして選択した。免疫抑制を受ける群において、レシピエントに、CsA(15mg/kg/日、s.c.、0日目から拒絶の終点もしくは100日目まで毎日)、もしくはCyP(40mg/kg/日、i.v.、0日目および1日目)、または抗C5 mAb(クローンBB5.1、Alexion Pharmaceuticals Inc.、40mg/kg/日、i.p.、0日目〜2日目、その後0日目〜60日目に週2回)を注射した。動物を、Animal Care Facility,University of Western Ontarioにて従来の条件下で収容し、the Canadian Council on Animal Careによって確立されたガイドライン(Olfertら,1993年)に従って世話をした。
(皮膚の前感作)
C3Hドナーから摘出した皮膚移植片の全体の厚みを、1×1cm正方の小片に切断してBALB/cレシピエントの胸郭の背上に移植し、その1週間後、同じドナーからの心臓移植を行った。拒絶を、皮膚移植片の完全な壊死と規定した。
(腹部心臓移植および頚部心臓移植)
皮膚の前感作の7日後、C3Hマウス心臓を、前感作したBALB/cレシピエントの腹部に、ドナーの大動脈とレシピエントの大動脈とを吻合し、そしてドナーの肺動脈とレシピエントの下大動脈とを吻合することによって移植した。再移植を行った群においては、未処置のCH3マウスもしくは前感作した長期間生存BALB/cレシピエントのどちらかから収集した第二の心臓移植片を、長期生存の第一の腹部心臓移植片を保有するレシピエントの頚部領域内に、ドナー大動脈とレシピエントの頚動脈とを吻合し、そしてドナーの肺動脈とレシピエントの外頚動脈とを吻合(端側吻合)することによって移植した。心臓移植片を、他に示さない限り拒絶まで毎日モニタリングした。拒絶を、拍動の完全な停止として規定した。
(実験群)
前感作したレシピエントを、各群8匹の動物を含む8つの群に無作為に割り当てた:第1群(未処置のマウス);第2群(CsA処置マウス);第3群(CyP処置マウス);第4群(CsA+CyP処置マウス)、第5群(抗C5 mAb処置マウス);第6群(抗C5 mAb+CsA処置マウス);第7群(抗C5 mAb+CyP処置マウス);第8群(抗C5 mAbのCsAおよびCyPとの併用処置マウス)。心悸動が明確でなくなった時もしくはPOD 100の時、移植片を慣用的組織学、免疫組織化学およびウェスタンブロット分析のために摘出し、血清サンプルをフローサイトメトリー分析および補体溶血アッセイのために収集した。第6群および第8群にさらに5匹の動物を入れ、POD3(第1群〜第5群、第7群についてのMST)で屠殺し、同時点で比較した。血清サンプルを、抗ドナー抗体レベルおよび補体活性の連続的な変化を検出するために、第8群においてPOD 11、21、28および60で収集した。さらに、3重処置した前感作レシピエントが第一の心臓移植片を100日間保持した場合、これらに第二の心臓を再移植した。未処置C3H心臓もしくは別の前感作BALB/cレシピエントからの100日間生存C3H心臓を、第二の心臓として使用した。8匹の動物を、各再移植群に含めた。
(移植片組織学)
組織サンプルを、10%緩衝化ホルムアルデヒド中で固定した。次いで、生検を、パラフィン中に包埋し、そしてH&E染色のために切片にした。この顕微鏡切片を、拒絶の重症度について目隠し様式で、病理学者が検査した。移植片拒絶の判定基準は、脈管炎、血栓症、出血およびリンパ球浸潤の存在を含んだ。これらの変化を、以下のように評価した:0(変化なし);1(最小限の変化);2(穏やかな変化);3(中程度の変化);4(著しい変化)。
(免疫組織化学)
4μm切片を、Tissue−Tek O.C.Tゲル(Optimum Cutting Temperature,Skura Finetek,Torrance,CA)中に入れ、ゼラチンコートした顕微鏡用スライドガラス上にマウントし、そしてElite Vectastain ABC kit(Vector Laboratories Inc.,Burlingame,CA)を用いて標準間接的アビジン−ビオチン免疫ペルオキシダーゼ染色方法によって染色した。生検を、ビオチン結合体化ラット抗マウスCD4 mAb(クローンYTS 191.1.2,Cedarlane Laboratories Ltd.,Homby,Ontario,Canada)およびビオチン結合体化ラット抗マウスCD8 mAb(クローン53−6.7,Pharmingen,Franklin Lakes,NJ)を用いてCD4細胞およびCD8細胞について、それぞれ染色した。移植片内単球/マクロファージ浸潤を、ビオチン結合体化ラット抗マウスMac−1 mAb(Cedarlane Laboratories Ltd.,Homby,Ontario,Canada)で染色することによって検出した。マウスIgGおよびマウスIgMの移植片内の沈着を、ビオチン結合体化ヤギ抗マウスIgGおよびヤギ抗マウスIgM(Cedarlane)を用いて検出した。補体沈着の同定について、切片を、ヤギ抗C3ポリクローナルAbもしくはヤギ抗C5ポリクローナルAb(Quidel,San Diego,CA)、ビオチン化ウサギ抗ヤギIgG(Vector Laboratories)、ならびにHRP結合体化ストレプトアビジン(Zymed Laboratories,South San Francisco,CA)と共に連続的にインキュベートした。スライドを、工程毎の間にリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、そして光学顕微鏡下で検査した。ネガティブコントロールを、一次抗体を省略することによって実施した。この免疫染色を、各切片につき5つの高出力視野で評価し、そして5回の独立した実験を行った。免疫ペルオキシダーゼ染色の切片を、染色強度に従って0から4+までに等級をつけた:0(ネガティブ)、1+(不明瞭)、2+(弱い染色)、3+(中程度の染色)および4+(非常に強い染色)。
(フローサイトメトリー)
循環する抗ドナー特異的なIgG抗体およびIgM抗体を、FACScanフローサイトメトリー(Becton Dickinson,Mountain View,CA)により、レシピエント血清において評価した。Glotzら(1993);Tyanら(1994)。簡潔にいうと、C3Hマウス脾臓細胞を単離し、そして未処置コントロールおよび実験群に由来する血清とともに、37℃で30分間インキュベートした。全IgG、全IgG1、全IgG2a、全IgG2bおよび全IgMについて染色するために、細胞を洗浄し、そしてマウスIgGのFcタンパク質に特異的なFITC結合体化ヤギ抗体、もしくはマウスIgMのμ鎖に特異的なフィコエリトリン結合体化ヤギ抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)、もしくはFITC結合体化ヤギ抗マウスIgG1(CALTAG Laboratories,Burlingame,CA)、もしくはFITC結合体化ヤギ抗マウスIgG2a(CALTAG)、もしくはFITC結合体化ヤギ抗マウスIgG2b(CALTAG)と共にインキュベートした。4℃で1時間の染色の後、細胞をPBSで洗浄し、5×10mLで再度浮遊させ、そして平均チャネル蛍光強度(抗体結合反応性を表す)についてフローサイトメトリーによって分析した。
(補体溶血アッセイ)
精製抗C5 mAbを、GVB2+緩衝液(ゼラチンVeronal緩衝化生理食塩水:0.1%ゼラチン、141mM NaCL、0.5mM MgClおよび1.8mMバルビタールナトリウム)中で2倍で連続希釈し(175〜0.1μg/ml)、そして96ウェルプレートに3連で(50μl/ウェル)加えた。BALB/cマウス血清を、GVB2+緩衝液で40% v/vに希釈し、そして同じ96ウェルプレートの列に加え(50μl/ml)、各ウェルにおけるBALB/cマウス血清の終濃度が20%になるようにした。このプレートを、室温で約30分間インキュベートし、この間にニワトリ赤血球を調製した。ニワトリ赤血球を、5回×1mlのGVB2+緩衝液で洗浄し、そして終濃度5×10/mlでGVB2+緩衝液中に再度浮遊させた。4mlのニワトリ赤血球を、抗ニワトリRBCポリクローナル抗体(Intercell Technologies,Hopewell,NJ,0.1% v/v)を加え、そしてこの細胞を、4℃で15分間、頻繁にボルテックスしながらインキュベートすることによって感作させた。次いで、この細胞を、でGVB2+で2回×1ml洗浄し、そしてでGVB2+中に終容量2.4mlで再度浮遊させた。このニワトリ赤血球(30μl/ウェル、2.5×10細胞)を、血清および抗C5 mAbを上述のように含むプレートに加え、よく混合し、そして37℃で30分間インキュベートした。次いで、このプレートを、1000×gで2分間遠心分離し、そして85μlの上清を、新しい96ウェルマイクロタイタープレートに移した。このプレートを、マイクロプレートリーダーを用いてOD415nmで読み取り、溶血の百分率を以下の式を用いて決定した:
Figure 0005590624
式中、100%溶解コントロールは、30μg/mlの上で調製したニワトリ赤血球への、100μlの0.1% NP−40含有GVB2+の添加によって得た。
(ウェスタンブロット分析)
凍結心臓サンプルの音波破砕を、RIPA溶解緩衝液(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)中4℃で1分間、10秒間の間隔で行い、その後、4℃、13,000rpmで10分間の微小遠心分離を行った。澄んだ上清を、Detergent−compatible protein assay kit(BIO−RAD)を用い、直ちに3連でタンパク質含有量について定量した。心臓溶解液(10μgタンパク質/ウェル)を、NuPAGE、4〜12%勾配Bis−TrisゲルおよびMES緩衝液系(Invitrogen)上で分離し、そして半乾燥トランスファー装置(BIO−RAD)を用いて、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(孔サイズ0.45μm;Invitrogen)に移した。膜を、正しい分子量において適切に切断し、ブロット1枚につき2種類の異なる一次抗体で発色させた(各ブロットを、試験抗体および(等量のサンプルをローディングしたことを保証するために)内部コントロール抗体に曝した)。抗Bcl−3(N−19)ウサギポリクローナル血清(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)および抗Bcl−XS/L(M−125)ウサギポリクローナル血清(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)を含む試験一次抗体を、Bcl−2タンパク質およびBcl−xlタンパク質の移植片内発現を検出するために用いた。抗カルセケストリンウサギポリクローナル血清(Calbiochem)を、内部コントロール一次抗体として使用した(Kobayashiら,1999)。一次抗体結合の検出を、以前に記載された(Arpら,1996)ように、洗浄したインキュベート後のブロットを西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP;Roche Laboratories)に結合体化したポリクローナルヤギ抗ウサギIgG画分に曝し、次いで化学発光を増強させるためにHRP結合体化抗体(Roche Laboratories)に曝すことによって適切に発色させることにより、実施した。
(統計的分析)
データを、平均±SDとして報告した。実験群の間の同種移植片生存を、rank−log試験を用いて比較した。組織学的知見および免疫組織学的知見を、Mann−Whitney U試験を用いて分析した。フローサイトメトリーデータおよびウェスタンブロットデータを、一元ANOVAを用いて分析した。0.05未満のp値を有する相違を、有意であるとみなした。
(実施例2)
(C3Hドナー皮膚移植片による前感作は、BALB/cレシピエントの心臓同種移植片における抗体媒介性ACHRを誘導する。)
診療所において前感作された患者を模倣する安定な小動物モデルを開発するため、ならびにABMRを研究するため、新規な完全MHC不適合マウスABMRモデルを、マウスレシピエントの前感作を通して開発してきた。このモデルにおいて、BALB/cレシピエントを、CH3ドナー皮膚移植片によって前感作し、その1週間後に同じドナーからの心臓移植を行った。ドナー皮膚前感作の7日後、抗ドナーIgG抗体の血清レベルは著しく上昇し、前感作BALB/cレシピエントにおけるピークのレベルに達したが、IgM抗体レベルは上昇しなかった(図1A)。次いで、同じドナーからの心臓移植を、これらの高度に感作されたマウスにおいて実施した。免疫抑制剤なしで、CH3心臓移植片は、ACHRによって急速に(3.1±0.4日以内)拒絶され、重篤な血栓症、出血および梗塞によって特徴付けられた(図1B−a)。対照的に、感作されていないBALB/cレシピエントにおける同じ心臓移植片(8.2±0.8日の平均生存時間(MST)を有する)は、術後3日目(POD3)に正常な組織学を示した(図1B−b)。未感作BALB/cレシピエントと同じ日に比較した場合、前感作された動物における心臓移植片は、多量のIgG抗体および補体(C3およびC5)の沈着を有したが、最小限のCD4浸潤およびCD8浸潤を有したことを明らかにした。その上、前感作レシピエントにおける循環する抗ドナーIgGレベルは、POD3の心臓移植片を与えた未感作の同じレシピエントのIgGレベルより有意に高かった(P<0.01、図1C)。しかし、抗ドナーIgMは、循環(図1C)および心臓移植片(表1)において非常に低いレベルで維持され、未感作レシピエントと前感作レシピエントとの間に有意な相違がなかったことを示した。さらに、未処置の前感作心臓レシピエントおよび未感作心臓レシピエントの両方において、正常レベルの補体溶血活性が示された(図1D)。これらのデータは、このモデルが、前感作レシピエント(前感作レシピエントで補体が病因において重要な役割を果たす)におけるABMRを研究するための理想的な移植モデルであることを示す。
(表1)
(POD3での未感作BALB/cレシピエントおよび前感作BALB/cレシピエントにおけるC3H心臓同種移植片の免疫組織学的変化の比較)
Figure 0005590624
免疫ペルオキシダーゼ染色についての等級:0(ネガティブ)、1+(不明瞭)、2+(弱い)、3+(中程度)、4+(強い)。
(CsAおよびCyPと組み合わせた抗C5 mAbは、ABMRを防止し、そして前感作マウスレシピエントにおける無期限の同種移植片生存を達成する。)
補体は、ABMRにおいて重要な役割を果たすことが示されている。しかし、高度に感作されたレシピエントにおける、終末補体カスケードのC5レベルでの機能的遮断の阻害効果は、未知である。本明細書中で提示される研究において、前感作モデルを、抗C5 mAbの効力を研究するために、ABMRの存在下で、単独でまたはCsAおよび/もしくはCyPと組み合わせて用いた。図2Aに示されるように、CsAもしくはCyPまたは組み合わせたこの2つの薬物のいずれかによる処置は、ABMRを防止せず、移植片は、それぞれ3.0±0.0日以内、3.3±0.5日以内、および3.5±0.6日以内に拒絶され、ACHRの代表的な病理学的不全(血管内血栓症および間隙性出血を含む)を有した(図2B−b、c、d)。これらの不全は、未処置の前感作BALB/レシピエントにおける心臓移植片(図2B−a)と区別不能であった。抗C5単一治療もしくは抗C5とCyPとの併用治療は、移植片生存を改善せず、心臓移植片はそれぞれ3.5±0.6日以内および3.2±0.4日以内(図2A)にACHRによって拒絶された(図2B−e、f)。抗C5 mAbとCsAとの併用治療(このプロトコールは、未感作動物において長期心臓同種移植生存を誘導し得る)は、この前感作モデルにおいて移植片生存をわずかに延長したが、やはり心臓移植片は、11.9±1.8日以内(図2A)に重篤な体液性拒絶(脈管炎、血栓症、出血および最小限の細胞浸潤を伴う)によって拒絶された(図2B−g)。対照的に、抗C5 mAbのCsAおよびCyPとの併用の3重の治療は、前感作動物において、拒絶の兆候なしに(図2B−h)、100日間を超える(図2A)無期限の心臓移植片生存を達成した(未処置動物または単独治療で処置されたかもしくは2つの薬物の併用治療で処置された動物に対してP<0.01)。この前感作マウスモデルにおいて、図2に示されるように、3日以内に心臓移植片が拒絶されたレシピエントにおいて、僅かな移植片内CD4細胞浸潤および移植片内CD8細胞浸潤しか観察されなかった。しかし、心臓移植片がより長く生存した場合、これらのT細胞の数は、抗C5 mAb+CsA処置レシピエントにおいて拒絶の時(POD11)に僅かに増加し、そして3重治療処置レシピエントにおいて移植片生存の初期段階(例えば、POD11)において僅かに増加した。その上、CsAの継続処置を受けた3重治療群においてCD4細胞浸潤およびCD8細胞浸潤は、長期生存心臓移植片において、POD60およびPOD100で阻害された。さらに、中程度の移植片内Mac−1細胞浸潤(単球およびマクロファージを含む)が、未処置マウスおよびCsA処置マウス、CyP処置マウスもしくはCsA+CyP処置マウスにおいて見出された。このとき、これらの細胞の浸潤は、抗C5 mAb処置マウスにおいて有意に減少した(表2)。これらの結果は、機能的遮断性抗C5 mAbは、従来の免疫抑制剤の使用および効力により、前感作動物においてABMRを予防しそして無期限の心臓移植片生存を達成することを示す。
(表2)
(剖検での前感作マウスレシピエントにおける心臓同種移植片の免疫ペルオキシダーゼ染色)
Figure 0005590624
等級:0(ネガティブ)、1+(不明瞭)、2+(弱い)、3+(中程度)、4+(強い)。
(抗C5 mAbは、心臓同種移植を受けた前感作レシピエントにおいて、補体溶血活性全体を阻害しそして局所的沈着を完全に阻害する。)
抗C5 mAbは、補体タンパク質C5の炎症促進性分子であるC5aとC5b−9とへの切断を遮断すること(Kroshusら,1995)、ならびにマウスにおいて完全にかつ継続的に終末補体活性を遮断すること(Wangら,1999)が、以前に示された。現在の研究において、レシピエントマウス血清を、抗体によって前感作されたニワトリ赤血球を溶解する能力を評価し、そして同時点(POD3)において比較することによって、終末補体活性を測定した。CsAもしくはCyPまたはこの2つの薬物の併用のいずれかによるマウスの処置は、終末補体活性に影響を有さなかった。一方で、抗C5 mAbの単独処置またはCsAもしくは/およびCyPとの併用処置は、この活性を完全に阻害した(図3;ナイーブかつ未処置の動物ならびにCsA処置動物、CyP処置動物もしくはCsA+CyP処置動物に対して、P<0.01)。さらに、抗C5 mAb処置動物から幾つかのより初期の時点で得られた血清は、同様に低減された溶血活性を示した。このことは、血清終末補体が、処置期間を通じて阻害されたことを示唆する。さらに、心臓移植片における局所的C5沈着は、抗C5 mAb処置前感作レシピエントにおいて完全に予防されたが、未処置前感作動物またはCsA処置前感作動物、CyP処置前感作動物およびCsA+CyP処置前感作動物においては予防されなかった(表2)。予測されたように、抗C5 mAbによる処置は、移植片におけるC3沈着を予防しなかった(表2)。これらの結果は、抗C5治療は、高度に感作されたレシピエントにおける心臓同種移植後の補体活性全体を完全に遮断することを示唆する。
(前感作動物における長期生存心臓移植片は、低レベルの抗ドナー抗体および補体の存在下において、体液性損傷に抵抗性である(適応の状況)。)
体液性拒絶における抗C5 mAbのさらなる役割を調べるために、異なる群において、レシピエント血清中の抗ドナー同種抗体レベルをフローサイトメトリーによって測定し、そして移植片内抗体沈着を免疫染色技術を用いて測定した。図4Aは、POD3で、未処置前感作BALB/cレシピエントが高レベルの循環抗ドナーIgG抗体を有したことを示す。単独治療もしくは2つの薬物の併用治療のいずれかを与えたレシピエントにおいて、CsAおよび/またはCyPは、循環する抗ドナーIgGレベルを部分的にダウンレギュレートした。一方、抗C5 mAb単独または抗C5 mAbとCsAもしくはCyPとの併用での処置は、同日に抗ドナー抗体レベルにさらなる影響を及ぼさなかった。対照的に、抗C5 mAb、CsAおよびCyPの3重治療により、高レベルの循環抗ドナーIgGが、徐々にダウンレギュレートされ、そしてPOD60で低レベルに達し、その後、100日目までこのレベルに留まり続けた(図4B)。異なる処置群における循環抗体のレベルと同様に、表2は、未処置の前感作動物または単独治療もしくは2つの薬物の併用治療で処置された前感作動物の、急速に拒絶された心臓移植片において、抗マウスIgGの強い沈着が存在したことを示す。興味深いことに、3重治療によって、IgG抗体沈着は、POD100の長期生存心臓移植片において、徐々に穏やかなレベルにまで弱まった(図4C−a、表2)。このモデルにおいて、IgMは、処置したかまたは処置しなかった前感作レシピエントにおける循環(図4A、B)もしくは移植された心臓移植片(図4C−b、表2)のどちらかにおいて、非常に低いレベルに留まった。さらに、抗C5 mAbによる処置は、60日目までに補体活性を検出不可能なレベルにまで除去し、その後、3重治療を与えた前感作マウスレシピエントにおける抗C5治療の中断後のPOD100に、枯渇前レベルにまで段階的に回復した(図4D)。その上、移植片内C5沈着もまた、100日間生存前感作動物において検出された(表2)。これらのデータは、抗移植片抗体の存在および補体活性化にもかかわらず、進行中の移植片適応が、3重治療処置前感作レシピエントにおいて起こることを実証する。
(抗C5 mAbとCsAとCyPとの組み合わせは、IgG1/IgG2a比を低下させ、そして適応化移植片を有するレシピエントにおいてIgGサブクラスにおけるIgG2bへのシフトをもたらす。)
抗C5 mAbベースの3重治療がIgGサブクラスにおけるシフト(このシフトは、適応に関連して起こり得る)を誘導するか否かを決定するために、抗ドナーIgG1サブクラス、抗ドナーIgG2aサブクラス、および抗ドナーIgG2bサブクラスの血清レベルを、未処置レシピエントと心臓移植片適応化レシピエントとの間で比較した。未処置レシピエント由来の血清は、主にIgG1イソ型を含み、IgG1/IgG2aの高い比によって示された(図5A)。対照的に、適応化移植片を保有するレシピエントにおいて、IgG1/IgG2aの比における有意な低下が観察された(図5A、P<0.01)。さらに、適応化心臓移植片を有する前感作レシピエントは、拒絶した移植片を有する同じレシピエントと比較した場合、抗ドナーIgG2bの増大したレベルを示した(図5B、P<0.01)。さらに、単独治療もしくは2つの薬物の併用治療で処置されたレシピエントにおけるIgGイソ型のパターンは、未処置動物におけるIgGイソ方のパターンと区別がつかなかった。これらのデータは、抗ドナーIgG1イソ型は、移植片拒絶と関連し得、一方、抗ドナーIgG2bサブクラスの産生は、保護抗体として機能し得、そして適応の誘導において重要な役割を果たし得ることを示す。
(抗C5 mAbとCsAとCyPとの組み合わせは、高度に感作されたマウスレシピエントにおいて、移植片内Bcl−2発現およびBcl−xl発現を誘導する。)
このモデルにおいて、保護タンパク質の移植片内発現と体液性損傷に対する移植片抵抗性との間に因果関係が存在するか否かを決定するために、ウェスタンブロット分析を使用して、高度に感作されたマウスレシピエント由来の心臓移植片組織における目的のタンパク質を検出した。長期生存心臓移植片は、POD100において高レベルのBcl−2タンパク質およびBcl−xlタンパク質を発現することが見出され、そして、これらのタンパク質は、抗C5 mAbベースの3連治療を受けた高度感作レシピエントにおいて心臓移植の12日後という早さで検出された(図6)。対照的に、未処置動物(図6)または単独治療もしくは2つの薬物の併用治療で処置された動物の心臓移植片において、Bcl−2タンパク質発現およびBcl−xlタンパク質発現は存在しなかった。これらの結果は、この前感作モデルにおいて、無期限生存動物における体液性損傷に抵抗性の移植片は、Bcl−2タンパク質およびBcl−xlタンパク質によって提供される保護に関連することを示唆する。
(適応性第一心臓移植片を有する前感作レシピエントは、第二の適応化心臓移植片を受容するが、同じドナー由来の第二のナイーブ移植片を拒絶する。)
適応化移植片の拒絶に抵抗する能力は、ナイーブ移植片が同種移植後に拒絶を受ける病態生理学的条件下で直接的に試験されていない。このモデルにおいて、適応性第一心臓移植片を有する前感作レシピエントが、第二の適応化移植片を許容するが第二のナイーブ移植片を拒絶するか否かを決定するために、本発明者らは、再移植シナリオを実施した。抗C5 mAbベースの3重治療によって処置した前感作BALB/cレシピエントにおいて、適応化C3H心臓移植片が100日目時点を生存した後、低レベルの同種抗体が検出された時(図4B)ならびに補体活性が処置前レベルに戻った時(図4D)、これらのレシピエントに、第二の心臓移植片を与えた。具体的には、ナイーブ心臓(図7A)もしくは別の前感作BALB/cレシピエント由来の100日間適応化C3H心臓(図7B)を、適応性第一C3H心臓を保有する前感作レシピエントの頚部に移植した。これらのレシピエントは、第2のナイーブ心臓を、6.6±1.1日目に重篤なAVRを伴って拒絶した(図8B−a)。同時に、第一の心臓は生存し続けた。対照的に、既に別の前感作マウスにおいて100日間生存している適応化心臓を第二の移植片として用いた場合は、これらの移植片は、適応性第一心臓移植片を保有する前感作レシピエントによって許容された(図8A)。これらの適応化第二心臓移植片において、第二移植後の90日間、拒絶の兆候は存在しなかった(図8B−b)。これらのデータは、適応化移植片は、抗ドナー抗体および補体の効果(通常、これらの前感作レシピエントにおいて同種移植片拒絶を媒介する)に対して抵抗性になることを示す。さらに、適応化移植片の宿主は新しい移植片を拒絶するという事実は、この適応化は、移植片に対する変化に関与することを示唆する。
(CsAによって処置された前感作レシピエントは、適応化心臓移植片を拒絶する。)
この前感作モデルにおける適応が、移植片および/またはレシピエントにおける変化によって引き起こされるか否かを決定するために、別の再移植を実施した。具体的には、C3H心臓移植片を、前感作BALB/cマウスにおいて100日間にわたって適応させ、次いで、適応化心臓移植片を、CsAのみで処置した第2の前感作BALB/cレシピエント内に再移植した(図7C)。CsAのみの治療は、細胞性拒絶を予防し得るが、新しいC3H心臓の急速体液性拒絶を予防できない。この適応化C3H心臓移植片は、CsA処置前感作BALB/cレシピエントにおいて、急速に拒絶された。再移植後、適応化心臓移植片における病理学は、正常(図9A)から重篤なACHRに変化した。このACHRは、大量の間隙出血を伴ったが、細胞浸潤はほとんどなかった(図9B)。さらに、適応化C3H心臓を与えたレシピエントにおける高レベルの抗ドナーIgGおよび正常レベルの補体溶血活性は、ナイーブC3H心臓を与えたCsA処置前感作レシピエントのこれらのレベルと同様であった。この結果は、抗C5 mAbベースの3重治療によって誘導される適応化は、移植片に対する変化のみでなく、レシピエントに対する変化にも関与する機構に起因し得ることを、さらに示す。
(実施例3)
(心臓移植モデルにおける急性脈管拒絶)
終末補体の形成のインヒビターを含むことが急性脈管拒絶を弱めるか否か、ならびにこのようなインヒビターを免疫抑制剤と組み合わせた使用は長期同種移植片生存を達成するか否かを決定するために、実験を実施した。この一組の実験において、抗C5モノクローナル抗体を、シクロスポリンと組み合わせて使用した。使用したモデルは、C3HマウスからBALB/cマウスへの同種移植片異所心臓移植であった。このモデルは、強くMHC不適合であるC3HマウスおよびBALB/cマウスによる、緊縮急性脈管拒絶モデルである。移植および他の方法を、Wangら(2003)によって記載されたように実施した。
(異所心臓移植)
腹部内異所心臓移植を、以前にWangら(2003)によって記載されたように実施した。簡潔に言うと、ドナーにおいて胸骨正中切開を実施し、そして心臓移植片を、下大動脈および大動脈を通してインシチュでゆっくりと1.0mlの冷ヘパリン化リンガー乳酸溶液で灌流し、その後、上大動脈および肺静脈を繋ぎ、そして切り離した。上行大動脈および肺動脈を横に切断し、そして移植片をドナーから摘出した。次いで、この移植片を、ドナーの肺動脈とレシピエントの下大動脈との間、ならびにドナーの動脈とレシピエントの腹部動脈との間で、11−0ナイロン縫合糸を用いて端側吻合によって血管移植した。移植した心臓の拍動を、直接腹部触診によって毎日モニタリングした。
拍動の程度を、以下のように等級付けした:A(強く拍動)、B(拍動の強度における顕著な低下)、またはC(心動悸の完全な停止)。心動悸が明確でなくなった時、移植片を慣用的組織学のために摘出した。特定の場合において、移植片がまだ機能しているマウスを、組織学を実施するために屠殺した。
(結果)
マウス(雄性、8〜12週齢マウス、体重25〜30g)を、各群6〜8匹のマウスを含む6つの実験群に分けた。移植を、0日目に行った。組織学的変化を、終末点(この終末点は、移植片不全の時点である)において調べた。または、ある場合は、マウスを、移植片不全の前に屠殺した。投与したBB5.1の投薬量(週に3回、40mg/kg体重)が、完全に終末補体活性を阻害することは、先行研究から公知である。
第1’群(コントロール):マウスに、−1日目、0日目、1日目および2日目に0.75mLの生理食塩水を腹腔内投与した。その後、このマウスを、終末点まで週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)、0.75mLの生理食塩水で腹腔内処置した。
第2’群(シクロスポリンAのみ):マウスに、0日目(移植の日)から終末点まで毎日、15mg/kg体重のシクロスポリンAを皮下投与した。
第3’群(抗補体抗体のみ):マウスに、−1日目、0日目、1日目および2日目に40mg/kg体重の抗マウスC5抗体BB5.1(Freiら,1987)を腹腔内投与し、その後、終末点まで週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)、40mg/kg体重で腹腔内処置した。
第4’群(移植後14日目まで抗補体抗体、+シクロスポリンA):マウスに、−1日目〜14日目まで、40mg/kg体重の抗マウスC5抗体BB5.1を静脈内投与し、そしてまた、15mg/kg体重のシクロスポリンAを0日目に始めて終末点まで毎日投与した。この群は、BB5.1を静脈内で毎日投与した点において、他の群と異なることに留意されたい。
第5’群(移植後28日目まで抗補体抗体、+シクロスポリンA):マウスに、−1日目、0日目、1日目および2日目に40mg/kg体重の抗マウスC5抗体BB5.1を腹腔内投与し、その後、28日目まで週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)、40mg/kg体重で腹腔内処置した。また、15mg/kg体重のシクロスポリンAを、0日目から始めて終末点まで毎日投与した。
第6’群(100日目まで長期的に抗補体抗体、+シクロスポリン):マウスに、−1日目、0日目、1日目および2日目に40mg/kg体重の抗マウスC5抗体BB5.1を腹腔内投与し、その後、100日目まで週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)、40mg/kg体重で腹腔内処置した。また、15mg/kg体重のシクロスポリンAを、0日目から始めて100日目まで毎日投与した。
この実験の結果を、表3および表4に示す。表3は、移植片の生存時間を示す。表4は、組織学的等級を示す。
(表3)
(同種移植片生存)
Figure 0005590624
(表4)
(剖検での心臓同種移植の組織学的変化の等級中央値)
Figure 0005590624
等級中央値(median score):0(正常)、1(最小限の変化)、2(穏やかな変化)、3(中程度の変化)、4(顕著な変化)。N/A(得られず)。
*Vasc(脈管炎)、Infar(梗塞)、Lymph(リンパ球浸潤)、Throm(血栓症)、Hemo(出血)、Fibrin(フィブリン沈着)、PMN(多形核細胞浸潤)
この結果は、補体阻害薬物を免疫抑制剤に加えて使用することの相乗効果を示す。未処置マウスにおいて、移植片を、約8日目に拒絶した。免疫抑制剤シクロスポリンAのみの、毎日の長期的な使用は、移植後役15日間の移植片生存の延長をもたらした。終末補体の形成を阻害するための抗C5抗体BB5.1の使用は、それ自体では効果を有さず、移植片拒絶は、コントロール群(第1’群)と同様に、移植後8日目に起こった。移植後28日目までのBB5.1+シクロスポリンAの併用は、移植片生存において相乗効果を示し、移植片生存を約80日間まで延長した。より驚くべき結果は、BB5.1およびシクロスポリンAをそれぞれ移植後長期的に投与した第5’群の結果である。この場合、移植片生存は、100日間を超えた(ここで得られたデータの限り)。さらに、表4に示される組織学的結果は、BB5.1およびシクロスポリンAの投与は、BB5.1単独もしくはシクロスポリンA単独のどちらかよりもずっとよく移植片を変化から保護し、移植後100日目において移植した心臓に組織学的変化が存在しなかったほどであった。これらのモデルにおける100日間の生存時間を、金基準とみなす。このモデルにおける100日間の生存は、同種移植片が無期限に生存することを示すと考えられる。BB5.1投与を28日目に停止した場合、移植片は保護されるが、約80日目に、最低限の組織学的変化から穏やかな組織学的変化までの変化を開始し、この時に移植片不全が起きた。
第4’群マウスを、異なって処置した(ここで、静脈内投与によって毎日BB5.1を投与した)。これらの動物は病気になり、体重減少および尿停留を示した。これらの動物を、移植した心臓はまだ拍動していたがその機能が低下していた時点で、屠殺した。この群は、研究したマウスの最初の群であり、これらの病気の効果が何故見られたかは分かっていない。これらの病気の効果は、BB5.1を週に3回の計画で腹腔内投与した場合は見られなかった。以下の実施例4で示すように、腹腔内経路を介したBB5.1の毎日の投与は、病気の効果を生じなかった。また、静脈内投与は、これらの動物において必ずしも病気を引き起こさなかった。エクリズマブ(ヒトC5に結合するBB5.1と等価なヒト抗体)の静脈内投与は、PNHの研究(Hillmenら,2004)において、ヒトに対して病気の効果を有さずに首尾よく静脈内投与されている。補体インヒビターは、静脈内経路および腹腔内経路に加えて他の経路によって投与され得、全てのこのような経路は、当業者に周知である。
(実施例4)
(前感作心臓移植モデルにおける急速拒絶)
実施例3に類似の第二の組の実験を行った。しかし、レシピエントマウスを、ドナー器官に前感作した。これらの実験において、この前感作を、皮膚移植片の事前の移植によって起こした。一般的に、前感作は、より初期の同種移植片を与えた結果としてのみでしか起こり得ないのではなく、多数回の血液輸血によって、もしくは女性においては妊娠することによってもまた、起こり得る。このような前感作方法に加えて、ABO不適合を有する同種移植片は、ABO抗原に対して機能する抗体ゆえに迅速に攻撃されかつ拒絶され、このような攻撃を防止するための工程を行うまで攻撃される。
これらの研究における幾匹かのマウスに、BB5.1および/またはシクロスポリンAに加えて、シクロホスファミドを投与した。これらの実験について、BALB/cレシピエントマウスを、C3H皮膚移植片によって、同じドナー由来の心臓移植の1週間前に前感作した(PruittおよびBollinger,1991の方法を用いた)。このモデルは、ヒトにおける前感作移植を模倣して(特に急速体液性拒絶に関連して)設定される。レシピエントマウスを、各群6〜8匹の8つの群に分配した。処置は、以下の通りであった。
群1”(コントロール):マウス(雄性、8〜12週齢マウス、体重25〜30g)に、0.75mLの生理食塩水を、−1日目に始めて終末点(移植片拒絶)まで継続的に毎日腹腔内投与した。
群2”(シクロスポリンAのみ):マウスに、シクロスポリンAを15mg/kg体重の用量で、0日目(移植の日)から始めて終末点まで皮下投与した。
群3”(BB5.1のみ):マウスに、抗マウス補体モノクローナル抗体BB5.1を40mg/kg体重の用量で、−1日目から始めて終末点まで継続的に毎日腹腔内送達した。
群4”(シクロホスファミドのみ):マウスに、シクロホスファミドを40mg/kg体重の用量で、0日目および1日目のそれぞれに静脈内投与した。
群5”(BB5.1+シクロスポリンA):マウスに、BB5.1を40mg/kg体重の用量で、−1日目から始めて終末点まで毎日、腹腔内投与した。これらのマウスに、さらにシクロスポリンAを15mg/kg体重の用量で0日目から終末点まで毎日皮下投与した。
群6”(BB5.1+シクロホスファミド):マウスに、BB5.1を40mg/kg体重の用量で、−1日目から始めて終末点まで継続的に毎日、腹腔内投与した。これらのマウスに、さらにシクロホスファミドを40mg/kg体重の用量で、0日目および1日目のそれぞれに静脈内投与した。
群7”(シクロスポリンA+シクロホスファミド):マウスに、シクロスポリンAを15mg/kg体重の用量で、0日目から終末点まで毎日皮下投与した。これらのマウスに、さらにシクロホスファミドを40mg/kg体重の用量で、0日目および1日目のそれぞれに静脈内投与した。
群8”(BB5.1+シクロスポリンA+シクロホスファミド):マウスに、BB5.1を40mg/kg体重の用量で、−1日目から始めて100日目まで継続的に毎日、腹腔内投与した。これらのマウスに、さらにシクロスポリンAを15mg/kg体重の用量で、0日目から100日目まで毎日皮下投与した。これらのマウスに、さらにシクロホスファミドを40mg/kg体重の用量で、0日目および1日目のそれぞれに静脈内投与した。この群の中の2匹を、組織学研究のために60日目(まだ拒絶は起こらなかった)に屠殺し、そして残りの4匹のマウスは、100日目までその移植片を拒絶しなかった。
さらに、前感作せずそして群1”のように生理食塩水のみを与えたコントロール群のマウスを、試験した。
これらの実験の結果を、表5および表6に示す。表5は、移植片についての生存時間を列挙し、そして表6は、組織学的結果をまとめる。
(表5)
(同種移植片生存)
Figure 0005590624
P<0.01 群1”対前感作なし
**P<0.01 群5”対群1”〜4”および6”〜7”
***P<0.01 群8”対群1”〜7”。
(表6)
(剖検における心臓同種移植片の組織学的変化の等級中央値)
Figure 0005590624
等級中央値:0(正常)、1(最小限の変化)、2(穏やかな変化)、3(中程度の変化)、4(顕著な変化)。N/A(得られず)。
*Vasc(脈管炎)、Infar(梗塞)、Lymph(リンパ球浸潤)、Throm(血栓症)、Hemo(出血)、Fibrin(フィブリン沈着)、PMN(多形核細胞浸潤)
表5に示される結果は、前感作マウスモデルと実施例3において使用したような非前感作マウスモデルとの間の相違を示す。この結果は、前感作の非存在下において、移植片は、いかなる薬物の処置も非存在の下で、約8日目に拒絶されることを示す。動物の前感作は、より迅速な拒絶を引き起こし、前感作した動物における移植片の拒絶は、いかなる薬物の処置も非存在の下で、約3日以内である。BB5.1、シクロスポリンAもしくはシクロホスファミドのいずれかによる処置は、移植片生存になんら効果を及ぼさず、各群の動物において、移植片は約3〜4日以内に拒絶された。BB5.1とシクロスポリンAとの併用は、拒絶にいくらか効果を有し、約12日目に拒絶が起こった。BB5.1とシクロホスファミドとの併用は、拒絶に対して保護的効果を有さず、拒絶は約3日目に起こった。同様に、シクロスポリンAとシクロホスファミドとの併用は、拒絶に対して本質的に保護的効果を有さず、拒絶は3〜4日目に起こった。非常に驚くべきことに、3種全ての薬物(BB5.1およびシクロスポリンの長期的投与+移植時のシクロホスファミドの投与)は、全てのマウスに高い相乗効果を示し、これらのマウスは、100日を超えて生存した。やはり、このモデルにおける100日の生存を、金基準とみなし、無期限生存と考える。
これらの結果および表6に示す組織学的結果は、前感作マウスの処置における補体インヒビターおよび免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA)による併用長期的投与は、急速拒絶をある程度弱めることを示す。これらの動物のシクロホスファミドによる移植時および移植後第1日目のさらなる処置は、ずっと長い生存時間をもたらし、少なくとも100日目まで拒絶を示さなかった。
本開示の方法および組成物は、種々の実施形態の形で援用され得るが、それらのほんの一部のみが本明細書中に開示されるに過ぎないことが、理解される。他の実施形態が存在し、そしてそれらは本開示の精神から逸脱しないことが、当業者に明らかである。従って、記載される実施形態は例示であって、制限として解釈されるべきではない。
(参考文献一覧)
本明細書中で使用される刊行物および他の資料は、本開示の背景を説明し、特に、実施に関してさらなる詳細を提供する場合、本明細書中にその全体が参考として援用され、そして便宜上、本文中で著者名および刊行日によって参照され、それぞれ以下の参考文献一覧に集められる。
Figure 0005590624
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Figure 0005590624
Figure 0005590624
本明細書中で引用される全ての参考文献の内容は、その全体が参照として援用される。

Claims (12)

  1. ヒトレシピエントにおいて、同種移植片臓器の生存の延長に使用するための組成物であって、該組成物は、補体成分C5に結合し、かつ、フラグメントC5aおよびC5bへのC5の切断を阻害する抗体を含み、該組成物は、少なくとも一種の免疫抑制薬物と組み合わせて該ヒトレシピエントに投与されることを特徴とする、組成物。
  2. 前記抗体が、C5に結合する全抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項に記載の組成物。
  3. 前記全抗体またはその抗原結合フラグメントが、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体もしくは脱免疫化抗体、またはその抗原結合フラグメントである、請求項に記載の組成物。
  4. 前記抗原結合フラグメントが、Fab、F(ab’)、Fv、および単鎖抗体からなる群より選択される、請求項に記載の組成物。
  5. 前記全抗体がエクリズマブである、請求項に記載の組成物。
  6. 前記抗原結合フラグメントがペキセリズマブである、請求項に記載の組成物。
  7. 前記同種移植片が、i)心臓、ii)腎臓、iii)肺、iv)膵臓、v)肝臓、vi)血管組織、vii)眼、viii)角膜、ix)レンズ、x)皮膚、xi)骨髄、xii)筋肉、xiii)結合組織、xiv)胃腸組織、xv)神経組織、xvi)骨、xvii)幹細胞、xviii)膵島、xix)軟骨、xx)肝細胞、およびxxi)造血細胞からなる群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記少なくとも一種の免疫抑制薬物が、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、OKT3、コルチコステロイド、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、抗T細胞抗体、シクロホスファミド、レフルノミド、ブレキナル、ATG、ALG、15−デオキシスペルグアリンおよびブレディニンからなる群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、少なくとも二種の免疫抑制薬物と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  10. シクロスポリンAが前記ヒトレシピエントに投与されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記ヒトレシピエントが、前記同種移植片に対してMHC不適合であるか、前記同種移植片に対して前感作されたか、または、前記同種移植片に対してABO不適合である、請求項1〜1のいずれか1項に記載の組成物。
  12. ヒトレシピエントにおいて、同種移植片臓器の生存の延長に使用するための組成物であって、該組成物は、補体成分C5に結合し、かつ、フラグメントC5aおよびC5bへのC5の切断を阻害する抗体を含み、該組成物は、少なくとも二種の免疫抑制薬物と組み合わせて該ヒトレシピエントに投与されることを特徴とし、該ヒトレシピエントは、該同種移植片に対してMHC不適合であるか、該同種移植片に対して前感作されたか、または、該同種移植片に対してABO不適合である、組成物。
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