JP5589620B2 - 電子部品の冷却構造、電子部品装置、ヒートシンク - Google Patents
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Description
LSIチップ1は配線基板2上の所定位置に実装されている。LSIチップ1の頂面1aに、LSIチップ1より大きい面積を持つヒートシンク3が配置されている。このヒートシンク3は、LSIチップ1に、図示しないコイルスプリングやプレートスプリングを用いて押し付けるよう固定され、これによってその下面側3aをLSIチップ1の頂面1aに押し付けて接触させている。
その結果、熱設計上、LSIチップ1とヒートシンク3との接触面は、LSIチップ1からヒートシンク3までの熱伝導経路において、熱密度の最も高い部分となっている。そこで、一般的な電子部品の冷却構造においては、図4に示すように、LSIチップ1とヒートシンク3との熱抵抗を小さくするために、LSIチップ1とヒートシンク3との間にサーマルグリース4を介在させている(例えば、下記特許文献1参照)。
図5は、LSIチップ1とヒートシンク3とのギャップ寸法が、温度変化により、(a)標準ギャップ(常温)→(b)狭ギャップ(高温)→(c)標準ギャップ(常温)と変化した場合の、サーマルグリース4の状態変化を示している。図5(a)に示す状態から、温度が高くなって、図5(b)に示すように、LSIチップ1とヒートシンク3とのギャップ寸法が狭ギャップとなると、サーマルグリース4は、LSIチップ1の頂面の範囲から外周側へ押し出される。そして、図5(c)に示すように、再び温度が低下し、LSIチップ1とヒートシンク3とのギャップ寸法が標準ギャップとなったときには、一度外へ押し出されたサーマルグリース4の一部がLSIチップ1の頂面1aの範囲に戻らず、結果として気泡5がサーマルグリース4内に取り込まれてしまう。
このようにしてサーマルグリース4に気泡5が生じてしまうと、気泡5は大きな熱抵抗となるので、LSIチップ1の安定した冷却が行えないという問題が生じる。
すなわち、本発明の電子部品の冷却構造は、配線基板の表面に実装される電子部品と、前記電子部品を覆うように設けられるヒートシンクと、前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に充填され、半流動性を有するサーマルグリースと、を備え、前記ヒートシンクは、前記電子部品側の表面から突出すると共に内側空間に前記電子部品を収容した周壁を有し、前記周壁は、前記電子部品の角部に対応する位置に形成されると共に前記内側空間と外側とを連通させる開放部を具備し、前記サーマルグリースは、前記内側空間に充填されていると共に前記開放部に貯留されていることを特徴とする。
また、電子部品の角部以外に対応する部分において、周壁が、サーマスグリースが外側に広がるのを制限するので、サーマルグリース量を増やすことなく、上記効果を得ることができるので、コスト面においても優れる。
図1に示すように、LSIチップ(電子部品)10は、例えば矩形のプレート状で、配線基板30上の所定位置に実装されている。LSIチップ10の頂面10aに、放熱性に優れた金属製等からなり、LSIチップ10より大きい面積を持つプレート状のヒートシンク20が配置されている。このヒートシンク20は、LSIチップ10に、図示しないコイルスプリングやプレートスプリングを用いて押し付けるよう固定され、これによってその下面側の接触面20aをLSIチップ10の頂面10aに押し付けて接触させている。電子部品装置は、これらLSIチップ10、ヒートシンク20、配線基板30を備えて構成されている。
周壁25は、LSIチップ10の外周縁部の四辺のそれぞれに沿って連続して延びる四つの突起21が、矩形状に配列されて構成されている。より具体的には、四つの突起21のうち相互に隣接する二つの突起21が、内側空間と外側とを連通させる開放部22を介して、互いに直交する方向に延在するように配列されることにより、全体として矩形状に構成されている。すなわち、この周壁25は、開放部22がLSIチップ10の角部10cに対応して位置するようになっている。
図2に示すように、各突起21は、ヒートシンク20をLSIチップ10上に載せたときに、LSIチップ10に接触しないよう、LSIチップ10の外周縁部に位置する側面10bから外周側に所定寸法以上離間して設けられている。また、各突起21は、ヒートシンク20の接触面20aがLSIチップ10の頂面10aに押し付けられた状態で、突起21の先端部21aが配線基板30に接触しないような高さで形成されている。また本実施形態において、突起21は、ヒートシンク20から配線基板30に接近するに従い、その幅が漸次縮小する断面視台形状に形成されている。
まず、図3(a)に示すように、配線基板30上に実装したLSIチップ10の頂面10aに、サーマルグリース40を盛り付ける。
そして、LSIチップ10の頂面10aにヒートシンク20を押し付ける。すると、図3(b)、(c)に示すように、LSIチップ10の頂面10aとヒートシンク20との間で、サーマルグリース40が押し広げられる。すると、サーマルグリース40は、LSIチップ10とヒートシンク20とにより、その行き場が制限され、ヒートシンク20の接触面20aおよび突起21と、LSIチップ10の頂面10aおよび四方の側面10bとの間に充填される。
なお、ここで、温度変化によってサーマルグリース40が押し出された場合、サーマルグリース40は、LSIチップ10の四方の側面10bに沿った部分においては、突起21により外周側へ広がるのが制限され、LSIチップ10の角部10c近傍の開放部22から集中的に広がる。したがって、サーマルグリース40の量を増やすことなく、LSIチップ10の角部10c近傍におけるサーマルグリース40の量を低コストで有効に増やすことができる。
また、突起21により、サーマルグリース40の広がる向きが、外周側ではなく配線基板30側に制限されるので、LSIチップ10の頂面10aとヒートシンク20の接触面20aとの間だけでなく、LSIチップ10の四方の側面10bに沿ってヒートシンク20と配線基板30の表面との間に、サーマルグリース40を充填させることができる。これにより、LSIチップ10からヒートシンク20への熱伝導効率を高めることができ、放熱性を向上できるとともに、LSIチップ10が空気と触れないようにすることができる。
このとき、ヒートシンク20に設けた突起21を、サーマルグリース40を介して配線基板30と接触させることもできるので、LSIチップ10への給電で生じる配線基板30内の発熱を、ヒートシンク20に逃がすこともでき、この点においても放熱性を向上できる。この場合において、突起21の先端部21aを、配線基板30の表面に平行な平坦面とするのが好ましい。突起21の先端部21aと配線基板30との間に、サーマルグリース40を確実に介在させることができるためである。
例えば、ヒートシンク20に形成した突起21の形状や、開放部22の位置、開口寸法等は、適宜変更することが可能である。
また、突起21をヒートシンク20とは別部品とし、ヒートシンク20に、半田付け、ビス等の各種固定手段により取り付ける構成とすることも許容する。
また、プレート状のヒートシンク20は、放熱効果を高めるフィンを形成した構成にしてもよい。
また、LSIチップ10に限らず、他の電子部品においても、同様の構成を適用することで放熱性能を高めることができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
10a 頂面
10b 側面
10c 角部
20 ヒートシンク
20a 接触面
21 突起
21a 先端部
22 開放部
30 配線基板
40 サーマルグリース
Claims (7)
- 配線基板の表面に実装される電子部品と、
前記電子部品を覆うように設けられるヒートシンクと、
前記電子部品と前記ヒートシンクとの間に充填され、半流動性を有するサーマルグリースと、を備え、
前記ヒートシンクは、前記電子部品側の表面から前記配線基板に接触しない高さまで突出すると共に内側空間に前記電子部品を収容した周壁を有し、
前記周壁は、前記電子部品の角部に対応する位置に形成されると共に前記内側空間と外側とを連通させる開放部を具備し、
前記サーマルグリースは、前記内側空間に充填されていると共に前記開放部に貯留されていることを特徴とする電子部品の冷却構造。 - 前記周壁が、前記ヒートシンクと同材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の冷却構造。
- 前記周壁が、前記ヒートシンクを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の冷却構造。
- 前記周壁において前記配線基板に対向する先端部が、前記配線基板の表面に平行な平坦面により形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電子部品の冷却構造。
- 前記サーマルグリースは、前記開放部を介して前記周壁の外側に貯留されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電子部品の冷却構造。
- 請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電子部品の冷却構造を具備することを特徴とする電子部品装置。
- 電子部品を覆うように設けられて前記電子部品で発生する熱を放熱するヒートシンクであって、
前記ヒートシンクは、前記電子部品とサーマルグリースを介して接触する表面から、前記電子部品が取り付けられる配線基板に接触しない高さまで突出すると共に前記電子部品を収容する内側空間を形成する周壁を有し、
前記周壁は、前記電子部品の角部に対応する位置に形成されると共に前記内側空間と外側とを連通させる開放部を具備し、前記サーマルグリースを前記内側空間に充填可能かつ前記開放部に貯留可能であることを特徴とするヒートシンク。
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