近年、携帯電話等の携帯端末において、ユーザによる操作を検出する操作部やスイッチ等の入力装置として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える入力装置が採用されているものがある。携帯端末以外に、電卓、券売機等の情報機器や、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等にも、タッチセンサを備える入力装置は広く使用されている。
このようなタッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。しかしながら、いずれの方式のタッチセンサにおいても、指やスタイラスペンによる接触を検出するものであって、タッチセンサ自体は、接触されても、押しボタンスイッチのようには物理的に変位しない。
このため、操作者は、タッチセンサに対して接触操作を行っても、当該操作に対するフィードバックを得ることができない。そこで、従来、聴覚や視覚によらず、タッチセンサが接触を検出すると、タッチセンサを振動させて、操作者の指先に振動を発生させるようにしたフィードバック方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
この特許文献1および特許文献2に開示の技術によれば、タッチセンサに対する操作が検出された際に、操作者の指先などに、振動を発生させることができる。したがって、このような入力装置を用いて操作を行う操作者は、タッチセンサに対して行った操作が装置に正しく認識されたことを、触覚により認識することができる。
ところで、このようにタッチセンサに対する接触に基づいて振動を発生させる際に、これらの入力装置は、振動を発生する圧電素子などの振動部に駆動信号を供給する。
しかしながら、タッチセンサに対して常に同じ駆動信号を発生することにより振動部を振動させると、入力装置が操作者の指などに対して発生する振動が、タッチセンサ上で一様にならないという問題がある。これは、タッチセンサを構成する部材を基板などに固定する位置と、当該タッチセンサを振動させる振動部を配置する部位などの諸条件に依存して、振動部が発生する振動が伝播する度合いが、タッチセンサにおける位置により異なるためである。すなわち、同じ駆動信号により振動部を振動させても、タッチセンサにおける位置によっては、発生する振動の振幅などは同じにならないという問題がある。
このため、操作者は、タッチセンサに対して自らの指などを用いて接触操作を行うと、タッチセンサ上で接触する部位によって得られる振動の強さが異なるため、操作の際に違和感を覚えることになる。以下、このような従来技術を、図面を用いて説明する。
図5は、基板上に設置したタッチセンサにおいて所定の位置に振動部を配置し、当該振動部に駆動信号を供給した場合の、タッチセンサに伝播する振動の強度分布を説明する図である。
図5に示すタッチパネル装置は、支持基板100と、接触検出部400と、振動部500と、を備えている。図5に示すように、これらのタッチパネル装置は、支持基板100の上に接触検出部400を配置して、接触検出部400において所定の縁辺に隣接して振動部500を配置している。なお、接触検出部400は支持基板100上に接着等により固定され、振動部500も支持基板100上に接着等により固定されている。したがって、振動部500が駆動信号により振動を発生すると、当該振動は接触検出部400にも伝播する。
図5(A)に示す装置においては、支持基板100上において、接触検出部400の左側の縁辺に振動部500を配置している。また、図5(B)に示す装置においては、支持基板100上において、接触検出部400の左右両側の縁辺に振動部500aおよび500bを配置している。なお、多くの場合、接触検出部400および支持基板100は透明または透光性の部材で構成し、これらの裏面に表示部(図示せず)を配置して、当該表示部にキーやボタンなどの形を画像で表現したオブジェクト等を表示する。このオブジェクトは、接触検出部400上において接触すべき箇所(位置)を操作者に示唆する。このような構成により、表示部に表示されたオブジェクトに対して操作者が接触操作を行うと、当該オブジェクトが表示された領域に対応する位置において、接触検出部400が当該操作による接触を検出する。
図5(A)に示すように、この装置において振動部500に駆動信号を供給した場合、発生する振動の強度は、図中に破線で示すような分布になる。図5(A)において、Z1〜Z4は、振動部500の駆動により接触検出部400が振動する際に、接触検出部400の表面に対して法線方向に発生する振動の振幅の大きさを示している。ここでは、Z1>Z2>Z3>Z4の順に強い振動であることを表している。すなわち、Z1のように振動部500から近い部位においては、振動が強いまま伝播するため、大きな振動が発生する。しかしながら、例えばZ4のように振動部500から遠い部位においては、伝播する振動が減衰してしまっており、弱い振動しか発生しない。したがって、操作者が接触検出部400において接触する位置によって、発生する振動が強かったり弱かったりと均質でないため、操作者は操作の際に違和感を覚えることになる。
また、図5(B)に示す装置においては、接触検出部400の左右両側の縁辺に振動部500aおよび500bを配置しているため、これらの振動部に駆動信号を供給した場合、発生する振動の強度は、図中に破線で示すように左右対称の分布になる。図5(B)においても、Z1〜Z4は、振動部500の駆動により接触検出部400が振動する際に、接触検出部400の表面に対して法線方向に発生する振動の振幅の大きさを示している。また、ここでも、Z1>Z2>Z3>Z4の順に強い振動であることを表している。この場合も、操作者が接触検出部400において接触する位置によって、発生する振動が強かったり弱かったりと均質でないため、やはり操作者は操作の際に違和感を覚えることになる。
このような問題に対処するために、タッチセンサ上で接触が検出される位置に応じて、振動部を駆動させる駆動信号を異なるようにする技術が提案されている。具体的には、このような技術においては、タッチセンサ上で接触が検出される位置に応じて、例えば駆動信号により振動部を駆動する際の電力を調整することにより、タッチセンサ上で発生する振動の強度が均等になるように補正する。以下、このような従来技術を、図面を用いて説明する。
図6は、タッチセンサ上で発生する振動の強度が均等になるように補正を行う様子を説明する図である。図6(A)は、筐体などに四隅を固定したタッチセンサにおいて所定の位置に振動部を配置し、当該振動部に駆動信号を供給した場合の、タッチセンサに伝播する振動の強度分布を説明する図である。
図6に示すタッチパネル装置は、接触検出部400と、振動部500aおよび500bと、を備えている。この装置においては、接触検出部400は、その四隅を、筐体などに接着またはビス止め等により固定してあるものとする。このように、四隅が固定されている状態を、図6においては、接触検出部400の四隅のL字型の図形により示す。また、この装置においては、接触検出部400の上下側の縁辺に、振動部500aおよび500bをそれぞれ接着等により固着してある。したがって、振動部500aおよび500bが駆動信号により振動を発生すると、当該振動は接触検出部400にも伝播する。
図6(A)に示す装置において、振動部500aおよび500bに駆動信号を供給した場合、発生する振動の強度は、図中に破線で示すような分布になる。この装置においては、四隅が固定されているため、当該四隅の周辺においては振動が発生しにくい。したがって、四隅の周辺において発生する振動は弱いものとなる。一方、四隅から離れた部位、例えば接触検出部400表面の中央の部位等は、固定端から離れているため、同じ駆動信号による振動を発生させても、強い振動が発生する。したがって、この例においても、図5で説明した例と同様に、操作者は操作の際に違和感を覚えることになる。
そこで、図6(B)に示すように、接触検出部400が検出する接触の位置に応じて、振動部500aおよび500bを駆動する駆動信号を異ならせるようにする。すなわち、接触検出部400において、もともと振動の弱い位置(例えば接触検出部400の四隅の周辺)に対する接触が検出されたら、振動部500aおよび500bを駆動する際の電力が大きな駆動信号を供給することにより、発生する振動を強めにする。一方、接触検出部400において、もともと振動の強い位置(例えば接触検出部400の中央の領域)に対する接触が検出されたら、振動部500aおよび500bを駆動する際の電力が小さな駆動信号を供給することにより、発生する振動を弱めにする。このように、駆動信号を供給する際に補正を行うように制御部(図示せず)が制御することにより、接触検出部400において接触が検出される位置によらず、発生する振動の強度を均等にすることができる。このような装置であれば、操作者は接触検出部400においてどの位置に対して接触操作を行っても、得られるフィードバックの強さが均等になるため、操作者は違和感を覚えることがなくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るオブジェクト表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、オブジェクト表示装置1は、制御部10と、表示部30と、接触検出部40と、振動部50と、記憶部80と、バッテリ残量検出部90と、を備えている。
制御部10は、オブジェクト表示装置1を構成する各機能部を制御することにより、オブジェクト表示装置1の全体を制御および管理する。制御部10の動作のうち本実施の形態特有のものについては後述する。
表示部30は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のようなオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
接触検出部40は、通常は表示部30の前面に配置して、表示部30に表示したオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等(以下、単に「接触物」と総称する)による接触を、対応する接触検出部40のタッチ面において検出する。また、接触検出部40は、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を制御部10に通知する。この接触検出部40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成されたタッチセンサを用いることができる。なお、接触検出部40が接触物による接触を検出する上で、接触物が接触検出部40に物理的に触れることは必須ではない。例えば、接触検出部40が光学式である場合は、接触検出部40は接触検出部40上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物が接触検出部40に触れることは不要である。
振動部50は、例えば圧電振動子等を用いて構成し、接触検出部40を振動させる。この振動部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、振動部50は、制御部10から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。この際、制御部10は、接触検出部40が検出する接触物の接触の位置に応じて、振動部50を駆動する駆動信号を異ならせるように制御する。すなわち、このような制御により、オブジェクト表示装置1は、上述したような、接触検出部40上で発生する振動の強度が均等になるように補正を行うことができる。
記憶部80は、例えばNAND型フラッシュメモリ等によって構成し、オブジェクト表示装置1において実行する各種のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)を記憶するのみならず、各種の情報を記憶することができる。特に、本実施の形態において、記憶部80は、上述したように接触検出部40上で発生する振動の強度が均等になるように補正を行った際に、接触検出部40が検出する接触の位置と、当該接触に基づいて振動部50を駆動する際の電力との対応関係のテーブルを記憶しているものとする。
バッテリ残量検出部90は、例えばオブジェクト表示装置1が内蔵のバッテリの電圧を検出することにより、オブジェクト表示装置1全体を駆動するバッテリの残量を検出する。すなわち、オブジェクト表示装置1は、例えば携帯電話等の携帯端末のように、バッテリを電源とする。
次に、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1がオブジェクトの配置を変更して表示する動作について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係るオブジェクト表示装置1の動作を説明するフローチャートである。本実施の形態において、オブジェクト表示装置1は、省電力モードに移行した際に、表示部30に表示するオブジェクトのサイズ(大きさ)を変更して配置することにより、消費電力が低減されるようにする。なお、以下の説明においては、接触検出部40上で発生する振動の強度が、接触検出部40上で接触が検出された位置によらず均等になるように、すでに上述の補正を行っているものとする。すなわち、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1において、制御部10は、接触検出部40が検出する接触物の接触の位置に応じて、振動部50を駆動する駆動信号を異ならせるように制御する。
本実施の形態に係る動作が開始すると、制御部10は、オブジェクト表示装置1の動作が省電力モードに移行したか否かを判定する(ステップS11)。本実施の形態において、「省電力モード」とは、バッテリの持続時間を長くするためのモードとして、例えば操作者が自らメニュー画面等から項目を選択することにより、当該モードに移行することができる。その他、本実施の形態において、バッテリ残量検出部90が検出するバッテリの残量が所定の閾値を下回った場合に、自動的に省電力モードに移行するようにしてもよい。この場合、操作者が接触検出部40に接触する間際に省電力モードに移行してオブジェクトの大きさや配置が変更されると操作性を害するおそれも考えられる。
したがって、バッテリ残量検出部90が検出するバッテリの残量が所定の閾値を下回った場合、例えばポップアップ表示等を行うことにより、省電力モードに移行するか否かを操作者に問いかけ、選択操作を促すようにしてもよい。また、ポップアップ表示等により省電力モードに移行するか否かを操作者に選択させる態様の他にも、例えば表示部30においてユーザインタフェースの構成が変更される際に、省電力モードに移行するようにしてもよい。さらに、例えば振動を発生しないモードから振動を発生するモードに動作モードを切り換える際に、省電力モードに移行するようにもできる。
ステップS11において省電力モードに移行したら、制御部10は、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30にオブジェクトを配置するように制御する(ステップS12)。本実施の形態による動作においては、表示部30上で面積が限られた振動にかかる消費電力の小さな領域に、いくつかのオブジェクトを配置して表示するため、ここでいう「サイズの変更」とは、サイズを縮小するのが好適である。なお、このステップS12の時点では、制御部10が仮想的にオブジェクトを配置する演算処理を行い、まだ表示部30に表示する制御は行わない。
なお、ステップS12においてオブジェクトのサイズを縮小する際に、操作者が指で操作できる大きさ以上に縮小してしまうと、操作性を害することになる。したがって、オブジェクト表示装置1は、各オブジェクトが操作性を損なわない程度に縮小することができる下限の値を記憶部80に記憶しておくのが好適である。
ステップS12の動作を行ったら、制御部10は、このようにしてオブジェクトのサイズを変更して配置しても、まだ消費電力がより大きい位置にオブジェクトが配置されているか否かを判定する(ステップS13)。
ステップS13において、オブジェクトのサイズを変更して配置した結果、もはや消費電力がより大きい位置にオブジェクトが配置されていない場合、制御部10は、当該位置をサイズを変更して配置したオブジェクトを表示部30に表示するように制御を行う(ステップS15)。一方、ステップS13において、位置を変更したオブジェクトが、他のオブジェクトと重なる場合、オブジェクトのサイズを変更して配置しても、まだ消費電力がより大きい位置にオブジェクトが配置されている場合、制御部10は、ステップS14に移行する。ステップS14において、制御部10は、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを当該オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度に基づいて変更することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30にオブジェクトを配置するように制御する。なお、「オブジェクトに対応付けられた処理」とは、表示部30に表示されたオブジェクトに対応する位置において接触検出部40が接触物の接触を検出した際に行われる処理である。すなわち、オブジェクトに対する入力がオブジェクト表示装置1に認識された際に行われる処理である。
ここで、「オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度」とは、例えば、それまでに実行された処理と、当該処理の実行を開始するもとになったオブジェクトとの対応関係に基づいて、制御部10が各オブジェクトについて算出したものとすることができる。すなわち、この頻度とは、操作者によるそれまでの操作に基づいてオブジェクト表示装置1が学習した頻度とすることができる。
その他、各オブジェクトについて、当該オブジェクトに対する接触が検出される場面に応じて想定される頻度を予め設定して、記憶部80に記憶しておくようにする頻度も、「オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度」として想定することができる。例えば、アプリケーションによって提供されるユーザインタフェースにおいて、非常に頻繁に接触操作が行われる傾向にあることを予見できるオブジェクトが存在する場合、当該オブジェクトには高い頻度を設定することができる。一方、あまり頻繁に接触操作が行われない傾向にあることを予見できるオブジェクトが存在する場合、当該オブジェクトには低い頻度を設定することができる。
上述した動作により表示部30にオブジェクトが表示された後は、オブジェクト表示装置1は、操作者のブジェクトに対する接触操作に応じて所定の動作を行う。すなわち、制御部10は、表示部30に表示されたオブジェクトに対応する位置において接触検出部40が接触物の接触を検出すると、当該オブジェクトに対応付けられた処理を行うように制御する。
このように、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1において、制御部10は、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30にオブジェクトを配置するように制御することを特徴とする。また、オブジェクト表示装置1において、制御部10は、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを当該オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度に基づいて変更することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30にオブジェクトを配置するように制御する。
次に、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1の動作の具体例を説明する。
図3は、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1を、図6について説明したのと同様の状況において使用する場面について説明する図である。
図3(A)に示すオブジェクト表示装置1は、表示部30と、接触検出部40と、振動部50aおよび50bと、を備えている。接触検出部40は、表示部30の前面に重ねて配置するように構成されている。この装置においては、図6に示した例と同様に、接触検出部40は、その四隅を、筐体などに接着またはビス止め等により固定してあるものとする。このように、四隅が固定されている状態を、図3においても、接触検出部40の四隅のL字型の図形により示す。また、この装置においては、接触検出部40の上下側の縁辺に、振動部50aおよび50bをそれぞれ接着等により固着してある。したがって、振動部50aおよび50bが駆動信号により振動を発生すると、当該振動は接触検出部40にも伝播する。
また、図3(A)に示すオブジェクト表示装置1も、図6(A)で示したような分布で発生する振動の強度が異なるため、図6(B)で示した装置と同様に、接触検出部40上で発生する振動の強度が均等になるように補正を行う。その結果、図3(A)において破線で示すように、振動部50aおよび50bを駆動する際の電力の分布が小さい部位、中くらいの部位、大きな部位が存在するようになる。
図3(A)に示すオブジェクト表示装置1は、例えばタッチパネルを備えた携帯電話のような小型の端末において、電子メール作成アプリケーションを起動している状態を想定している。表示部30の下半分には、操作者に接触操作を行うべき位置を示唆するために文字入力用のキーのオブジェクトが表示され、上半分には、入力された文字が表示されるウィンドウのオブジェクトが表示されている。
図3(A)に示す状態においては、「か行」、「な行」、および「や行」のキーのオブジェクトのみが、振動による電力の小さな部位に表示されている。それ以外のキーのオブジェクトは、電力が中くらいまたは大きな部位に表示されている。このような配置においては、電力が中くらいまたは大きな部位に表示されているオブジェクトがいくつも存在するため、消費電力が問題になるおそれがある。そこで、本実施の形態によるオブジェクト表示装置1は、操作者の選択またはバッテリの残量に応じて、消費電力を低減させるようなサイズに縮小して配置してからオブジェクトを表示する。
図3(B)は、本実施の形態の動作により、消費電力を低減させるようにオブジェクトのサイズを縮小して配置してからオブジェクトを表示した例を示す図である。オブジェクト表示装置1は、本実施の形態の動作にしたがって、オブジェクトを縮小することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより大きくない部位に対応する表示部30の位置に、オブジェクトが表示される。図3(B)に示す例においては、文字入力用のキーのオブジェクトが相対的なキーの配列はそのままに、全体としてサイズが縮小されている。これにより、消費電力が小さな部位に表示されるオブジェクトが多くなり、消費電力が大きな部位に表示されるオブジェクトはなくなっている。
したがって、操作者は、接触検出部40のどの位置に対して接触操作を行ったとしても均等な振動による良好な操作感を得ることができつつ、さらにオブジェクト表示装置1の消費電力を低減することもできる。
なお、図3で説明した例においては、文字入力用のキーのオブジェクトをいわば全体として1つのオブジェクトと捉えて位置の変更を行った。この場合において、キーのオブジェクトをそれぞれ個別に捉えて、各オブジェクトの優先度を考慮して配置を変更することも考えられる。また、図3で説明した例においては、文字入力用のキーのオブジェクトが全て消費電力の小さな部位に表示されているわけではない。しかしながら、文字入力用のキーのオブジェクトが全て消費電力の小さな部位に表示されるようにさらに縮小すると、各キーのオブジェクトが小さくなりすぎて操作性を害するおそれがある。したがって、この場合、少なくとも消費電力が大きい部位には表示されない程度に、オブジェクトの縮小の下限値が設定されているものとする。
次に、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1の動作の他の具体例を説明する。
図4は、本実施の形態に係るオブジェクト表示装置1を、図6について説明したのと同様の状況において使用する他の場面について説明する図である。図4は、図3と同じ機器構成において、図3の例とは異なるアプリケーションを起動している状態を想定している。図4においては、オブジェクト表示装置1は、音楽プレーヤーのアプリケーションを実行している例を説明する。このアプリケーションにより、オブジェクト表示装置1は、音楽ファイルを再生したり前後の曲を選曲したり、音量を調節すること等ができる。
図4(A)に示す状態においては、表示部30の全体に、上方から「音量の上下」、「前の曲や後の曲の選曲」、「再生開始」および「再生停止」、さらに「再生の一時停止」のボタンのオブジェクトが表示されている。
図4(A)に示す状態においては、振動による消費電力が小さい部位が僅かであるため、ほとんどのボタンのオブジェクトは、電力が中くらいまたは大きな部位に表示されている。したがって、このような配置においては、消費電力が問題になるおそれがある。そこで、図3の例と同様に、本実施の形態によるオブジェクト表示装置1は、操作者の選択またはバッテリの残量に応じて、消費電力を低減させるようにオブジェクトを縮小して配置してから表示する。
図4(B)は、本実施の形態の動作により、消費電力を低減させるようにオブジェクトを縮小して配置してから表示した例を示す図である。オブジェクト表示装置1は、本実施の形態の動作を行うことで、オブジェクトを縮小して配置することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30の位置にオブジェクトが表示される。
しかしながら、この場合、全てのボタンのオブジェクトを、消費電力が小さな部位に収まるように縮小すると、オブジェクトに設定された縮小の下限値を下回ってしまうものとする。したがって、この例においては、全てのボタンのオブジェクトを、消費電力が小さな部位に収まるように縮小して配置することはできない。そこで、本実施の形態の動作により、オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度に基づいて、どちらのオブジェクトを優先して縮小することにより、電力の小さい部位に配置するかを決定する。この場合、現在までの操作履歴から算出された頻度、または予め定められた頻度によって、「音量の上下」および「前の曲や後の曲の選曲」のボタンのオブジェクトに対する接触が検出されて当該オブジェクトに対応付けられた処理が実行される頻度の方が高いものとする。すると、本実施の形態の動作により、図4(B)に示すように、これら「音量の上下」および「前の曲や後の曲の選曲」のボタンのオブジェクトが電力の小さい部位に配置される。また、それ以外の「再生開始」および「再生停止」ならびに「再生の一時停止」のボタンのオブジェクトは、その次に電力の小さな部位に配置されるようになる。
したがって、この場合も、操作者は、接触検出部40のどの位置に対して接触操作を行ったとしても均等な振動による良好な操作感を得ることができつつ、さらにオブジェクト表示装置1の消費電力を低減することもできる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、オブジェクト表示装置1は、携帯端末のようにバッテリで駆動するものとしたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。本発明は、バッテリで駆動される場合のように供給される電力が制限されている装置において特に顕著な効果を発揮するが、例えば電源が安定して供給される装置においても、消費電力を低減することができるという効果がある。
なお、振動部50は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいてオブジェクト表示装置1を振動させることにより、接触検出部40を間接的に振動させるように構成してもよいし、接触検出部40に圧電素子を配設することにより、接触検出部40を直接的に振動させるように構成してもよい。
また、振動部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチセンサの全面に透明圧電素子を設けて構成したり、触感を呈示する振動を表現できるのであれば、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。
また、上述した実施の形態において、振動部50がタッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する態様として、振動部50が接触検出部40のタッチ面に振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する態様を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、接触検出部40上に貼ったフィルムの電荷を制御する等により、機械的な振動を使わずに、タッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示してもよい。
また、本実施の形態の説明における「表示部」および「接触検出部」は、表示部とタッチセンサとの両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部とタッチセンサとの両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
上述した実施の形態においては、接触検出部40に対する接触に基づいて、振動部50が振動を発生する構成について説明した。しかしながら、接触検出部40に対する操作者の押圧操作による荷重を検出する荷重検出部を設け、当該荷重が所定の基準を満たした際に接触を検出したものとすることもできる。ここで、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力として認識されるための「所定の基準を満たした際」とは、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力として認識される所定値に達した際であってもよいし、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力として認識される所定値を超えた際でもよいし、荷重検出部により入力として認識される所定値が検出された際でもよい。
上述した実施の形態においては、制御部10は、省電力モードで動作する際に、または、バッテリの残量に応じて、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されるものではなく、振動部50が振動するモードで動作する際に、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更してもよい。つまり、この場合、制御部10は、振動しないモードから振動するモードにモードが変更されることに基づき、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更する。
また、制御部10が、表示部30に表示するオブジェクトのサイズを変更することにより、接触検出部40において駆動信号により振動部50を駆動する際の電力がより小さい部位に対応する表示部30にオブジェクトを配置する実施形態としては、以下のような形態が想定できる。すなわち、例えば、制御部10が、オブジェクトのサイズを変更(縮小)することにより、サイズ変更後のオブジェクトの領域内において、接触検出部40における最も電力の小さい駆動信号により振動部50を駆動する領域に対応する表示部30の領域を占める割合が高くなるように制御してもよい。また、例えば、制御部10が、オブジェクトのサイズを変更(縮小)することにより、サイズ変更後のオブジェクトの領域内において、接触検出部40における最も電力の大きい駆動信号により振動部50を駆動する領域に対応する表示部30の領域を占める割合が低くなるように制御してもよい。
また、同様に、例えば、制御部10が、オブジェクトのサイズを変更することにより、サイズ変更後のオブジェクトの領域内において、サイズ変更前のオブジェクトの領域内に対応する接触検出部40の領域において、最も電力の小さい駆動電力により振動部50を駆動する領域に対応する表示部30の領域を占める割合が高くなるように制御してもよい。さらに、例えば、制御部10が、オブジェクトのサイズを変更することにより、サイズ変更後のオブジェクトの領域内において、サイズ変更前のオブジェクトの領域内に対応する接触検出部40の領域において、最も電力の大きい駆動電力により振動部50を駆動する領域に対応する表示部30の領域を占める割合が低くなるように制御してもよい。