以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る多方向入力装置は、例えば、携帯電話装置やゲーム機用コントローラなどにおける方位入力操作に用いられるものである。なお、本実施の形態に係る多方向入力装置の用途については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る多方向入力装置1の分解斜視図である。以下においては、説明の便宜上、図1に示す上方側を「多方向入力装置1の上方側」と呼び、図1に示す下方側を「多方向入力装置1の下方側」と呼ぶものとする。また、図1に示す左下方側を「多方向入力装置1の前方側」と呼び、図1に示す右上方側を「多方向入力装置1の後方側」と呼ぶものとする。図2以降の図面においても同様とする。
図1に示すように、実施の形態1に係る多方向入力装置1は、複数(本実施の形態では4つ)の荷重センサ21a〜21dが実装される基板2と、基板2の上方側に配置される支持部材3、駆動部材4及び押圧部材5と、基板2の下方側に配置される固定部材6とを含んで構成されている。また、基板2上に重ねられた支持部材3、駆動部材4及び押圧部材5の中央には、プッシュスイッチ用の可動部材7が配置され、後述する基板2上の固定接点(中央固定接点26a、外側固定接点26b)及び可動接点8上に載置される。
基板2は、例えば、ガラスエポキシ樹脂で構成される。基板2は、複数の荷重センサ21a〜21dが配置される概して正方形状のセンサ配置部22と、センサ配置部22の後方側の一辺の一部から後方側に延出して設けられ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)23や図示しないコネクタが接続される複数の端子24が配置される端子配置部25とを有する。
複数の荷重センサ21a〜21dは、センサ配置部22の四隅部近傍において、略等角度間隔で設けられている。これらの荷重センサ21a〜21dの中央には、円形状の中央固定接点26aが設けられている。この中央固定接点26aの周囲には、円環形状の外側固定接点26bが設けられている。基板2上には、これらの複数の荷重センサ21a〜21dとASIC23との間、ASIC23や外側固定接点26bと端子24との間に接続されたリード線27が設けられている。なお、基板2は、フレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)で構成することも可能である。
荷重センサ21a〜21dは、樹脂材料からなる保護部材28a〜28dで保護された圧電素子を備えて構成されている。荷重センサ21a〜21dは、押圧操作に伴う荷重を内部の圧電素子に適切に伝えるセラミック製の突起部29a〜29dを備えている。これらの突起部29a〜29dは、保護部材28a〜28dの上面から露出するように設けられている。荷重センサ21a〜21d内に配置される圧電素子の出力端子は、リード線27を介してASIC23に接続されている。ASIC23は、これらの圧電素子から到来する電圧信号に基づいて押圧操作に伴う荷重及び荷重が加えられた位置(方向)を算出する。なお、ASIC23は、樹脂材料からなる保護部材23aにより覆われている。
基板2の中央固定接点26a及び外側固定接点26bの上方には、可動接点8が配置される。可動接点8は、例えば、弾性変形可能な導電性の金属板材で構成されている。可動接点8は、外形が円形状を有し、その中央部分が上方側に膨出した形状を有している。可動接点8は、その外周縁部が外側固定接点26bに載置され、その中央部分が中央固定接点26aと対向した状態で基板2上に配置される。可動接点8は、下面に粘着面を有する円形状のシール9により基板2に貼り付けられる。この場合、可動接点8は、その上面がシール9の粘着面に貼り付けられた状態で保持され、非押圧操作状態でその中央部分が中央固定接点26aと対向した状態となっている。
可動部材7は、可動接点8を保持したシール9の上方に配置される。可動部材7は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型され、円柱形状を有する円柱部71と、この円柱部71の下端部に設けられたストッパ部72とを有している。ストッパ部72は、非押圧操作状態において、可動接点8の復帰力により上方側に付勢された可動部材7を所定位置に配置するためのものである。ストッパ部72は、支持部材3の一部と当接することにより、可動部材7を所定位置に配置する寸法に形成されている。
支持部材3は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型され、概して矩形状の基部31と、この基部31の側面から延出する4本の腕部32〜35とを有する。基部31の上面には、矩形状の第1突出部31aが設けられている。さらに、この第1突出部31aの上面には、矩形状の第2突出部31bが設けられている。なお、第1突出部31aの各辺と、第2突出部31bの各辺とは45度の角度を有している。これらの第1突出部31a、第2突出部31b及び基部31の中央には、円形状の貫通孔31cが形成されている。貫通孔31cは、可動部材7の円柱部71が貫通可能であり、ストッパ部72が当接可能な寸法に設けられている。
腕部32〜35は、それぞれ基部31の側面から外側に延出する第1腕部32a〜35aと、これらの第1腕部32a〜35aの先端側から上面視にて反時計回り方向に90度折れ曲がった第2腕部32b〜35bとを有している。これらの第1腕部32a〜35a、並びに、第2腕部32b〜35bは、それぞれ共通の構成を有する。以下においては、腕部33の第1腕部33a及び第2腕部33bを用いて、これらの構成について説明するものとする。
第1腕部33aは、その基端部近傍で基部31と同一の高さを有する第1平面部33cと、この第1平面部33cよりも低い位置に配置された第2平面部33dとを有している。第2腕部33bは、第2平面部33dの一方の側面から第1腕部33aと直交する方向に延出して設けられている。第2平面部33dの第2腕部33b側の上面には、押圧操作状態において、後述する駆動部材4の弾性腕部43a〜43dの先端を受ける受け部33eが設けられている。一方、受け部33eと反対側の第2平面部33dの側端部の上面には、ストッパ部33fが設けられている。受け部33e及びストッパ部33fは、共に第1平面部33c又は第2平面部33dと平行な平坦面を有している。受け部33eは、ストッパ部33fよりも広幅の平坦面を有している。また、受け部33eの平坦面は、第1平面部33cよりも低い位置に延在し、ストッパ部33fの平坦面は、受け部33eの平坦面よりも低い位置に延在している。
第2腕部33bは、その上端部に後述する押圧部材5の被固定部52a〜52dを支持する支持面33gが設けられている。この支持面33gは、基部31に設けられた第1突出部31aと同一の高さの位置に延在している。なお、腕部32、34、35においても、腕部33の第1腕部33a、第2腕部33bと同様の構成を有する第1腕部(32a、34a、35a)第2腕部(32b、34b、35b)を備えるが、図1においては、適宜図示を省略している。
駆動部材4は、例えば、押圧部材5よりも高い剛性を有する金属板材で構成される。駆動部材4は、上述した複数の荷重センサ21a〜21dを押圧駆動するものである。駆動部材4は、環状を有する基部41と、この基部41の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の連結部42a〜42dと、これらの連結部42a〜42dを介して基部41に連結された弾性変形可能な弾性腕部43a〜43dとを有している。基部41は、概して八角形状を有し、その中央に矩形状の開口部41aが形成されている。開口部41aは、支持部材3の第1突出部31aと略同一形状に設けられている。連結部42a〜42dは、基部41を構成する八角形状の対向する辺の外周の一部からそれぞれ延出して設けられている。弾性腕部43a〜43dは、それぞれ連結部42a〜42dの先端部に設けられ、基部41の外周を囲むように設けられている。弾性腕部43a〜43dの先端部近傍には、僅かに外側に突出する部分を含む位置に被押圧部43eが設けられている(図1に示す点線の内側部分)。
押圧部材5は、例えば、ステンレス等のばね性を有する金属板材で構成される。押圧部材5は、環状を有する基部51と、この基部51の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の被固定部52a〜52dと、同じく基部51の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の弾性腕部53a〜53dとを有している。なお、基部51は、第2の基部を構成し、弾性腕部53a〜53dは、第2の弾性腕部を構成する。基部51は、概して正方形状を有し、その中央に矩形状の開口部51aが形成されている。開口部51aは、支持部材3の第2突出部31bと略同一形状に設けられている。
被固定部52a〜52dは、基部51の四隅部の外周から外側に向けて延出して設けられている。これらの被固定部52a〜52dは、後述する固定部材6の固定片62a〜62dによる固定を受ける部分である。これらの被固定部52a〜52dは、共通の構成を有する。以下においては、被固定部52bを用いて、これらの構成について説明するものとする。被固定部52bは、概して矩形状を有する上面部52eと、この上面部52eの一部から垂下して設けられた被固定片52fとを有している。被固定片52f及び上面部52eの一部には、矩形状の開口部52gが形成されている。なお、被固定部52a、52c、52dにおいても、被固定部52bと同様の構成を有するが、図1においては、適宜図示を省略している。
弾性腕部53a〜53dは、基部51の各辺の外周から外側に向けて延出して設けられている。これらの弾性腕部53a〜53dは、共通の構成を有する。以下においては、説明の便宜上、弾性腕部53bを用いて、これらの構成について説明するものとする。弾性腕部53bは、その自由端部が僅かに上方側に延出するように折り曲げ形成されている(図6参照)。弾性腕部53bの基端部には、開口部53eが形成されている。この開口部53eは、弾性腕部53bを変形し易くするために形成されている。また、弾性腕部53bの先端部には、操作者からの押圧操作に応じて駆動部材4の弾性腕部43bの被押圧部43eを押圧する押圧部53fが設けられている。この押圧部53fの下面には、下方側に突出する突部53gが設けられている(図6参照)。この突部53gは、弾性腕部53bに加えられた押圧操作を確実に駆動部材4に伝達するために設けられている。なお、弾性腕部53a、53c、53dにおいても、弾性腕部53bと同様の構成を有するが、図1においては、適宜図示を省略している。
固定部材6は、例えば、金属板材に折り曲げ加工を施して形成される。固定部材6は、概して矩形状の平面部61と、この平面部61の四隅部近傍の外周に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の固定片62a〜62dとを有している。これらの固定片62a〜62dは、平面部61から略垂直に上方側に折り曲げて形成されている。固定片62a〜62dは、それぞれ開口部62eを有すると共に、その上端部にて下方側に向けて延出する係止片62fを有している。これらの係止片62fは、押圧部材5の被固定片52fの開口部52gに入り込み、押圧部材5を固定する部分である。なお、固定部材6の少なくとも平面部61には、基板2に形成されたリード線27同士の短絡を防ぐために、絶縁性のコーティングがその表面に施されている。
次に、実施の形態1に係る多方向入力装置1を組み立てる工程について説明する。図2及び図3は、それぞれ実施の形態1に係る多方向入力装置1を組み立てる過程の斜視図である。なお、図2及び図3においては、説明の便宜上、固定部材6を基板2の下面に配置した状態を示すが、固定部材6を取り付ける工程については、押圧部材5まで基板2上に配置した後に行うようにしても構わない。
上記構成を有する多方向入力装置1を組み立てる場合には、基板2上の中央固定接点26a及び外側固定接点26b上に、シール9に貼り付けられた可動接点8が配置されると共に、シール9の上面に可動部材7が載置される。そして、図2に示すように、可動部材7の円柱部71が貫通孔31cを貫通するように支持部材3が基板2上に配置される。この場合、支持部材3は、腕部32〜35の間に荷重センサ21a〜21dを収容するように基板2に配置される。例えば、荷重センサ21bは、腕部32の第2腕部32bの側面と、腕部33の第1腕部33aの側面との間に配置され、荷重センサ21cは、腕部33の第2腕部33bの側面と、腕部34の第1腕部34aの側面との間に配置される。
そして、図2に示す状態の支持部材3上に駆動部材4が取り付けられる。駆動部材4は、図3に示すように、開口部41aで支持部材3の第1突出部31aを収容するように配置される。開口部41aと第1突出部31aとが略同一の形状を有することから、支持部材3の所定位置に確実に駆動部材4を位置決めできるものとなっている。この場合、駆動部材4は、連結部42a〜42dが、支持部材3の腕部32〜35における第1平面部32c〜35c上に載置され、弾性腕部43a〜43dが、荷重センサ21a〜21dや、支持部材3の隣接する腕部32〜35に対向するように配置される。例えば、連結部42aが腕部32の第1平面部32cに載置され、弾性腕部43aが荷重センサ21bや腕部33に対向するように配置される。弾性腕部43a〜43dは、先端部が腕部32〜35の受け部32e〜35eに対向配置され、被押圧部43eが腕部32〜35のストッパ部32f〜35fに対向配置される。また、弾性腕部43a〜43dは、その連結部42a〜42d寄りの一部が荷重センサ21a〜21dに対向配置されている。すなわち、荷重センサ21a〜21dの配設位置よりも先端側に配置される弾性腕部43a〜43dの一部を被押圧部43eとしている。
さらに、図3に示す状態の支持部材3上に押圧部材5が取り付けられる。図4及び図5は、それぞれ実施の形態1に係る多方向入力装置1の全体斜視図及び上面図である。押圧部材5は、図4及び図5に示すように、開口部51aで支持部材3の第2突出部31bを収容するように配置される。開口部51aと第2突出部31bとが略同一の形状を有することから、支持部材3の所定位置に確実に押圧部材5を位置決めできるものとなっている。この場合、押圧部材5の弾性腕部53a〜53dは、その押圧部53fが、駆動部材4の弾性腕部43a〜43dの被押圧部43eに対向して配置される。この状態で固定部材6の固定片62a〜62dの係止片62fが被固定部52a〜52dの開口部52gに係合することによって、押圧部材5が固定部材6に固定される。
可動部材7の円柱部71は、非押圧操作状態において、その上端部の一部が支持部材3の第2突出部31bから突出するように配置される。なお、可動部材7は、可動接点8の弾性復帰力により上方側に付勢された状態となっている。押圧部材5の弾性腕部53a〜53dは、この可動部材7の周囲において、直交する方向に延在するように配置される。多方向入力装置1においては、このように組み立てられた状態で図示しない操作部材が被せられ、可動部材7で押圧操作を受け付けると共に、押圧部材5で押圧操作(方位入力操作)を受け付け可能に構成されている。
図6は、実施の形態1に係る多方向入力装置1の側面図である。なお、図6においては、図5に示す下方側から見た多方向入力装置1の側面を示している。図6に示すように、押圧部材5は、被固定部52a〜52dが、支持部材3の第2腕部32b〜35bの支持面32g〜35g上に支持された状態となっている(図6では被固定部52aのみ示している)。また、押圧部材5の弾性腕部53a〜53dは、その下面に設けられた突部53gが、駆動部材4の弾性腕部43a〜43dの被押圧部43eの上面に接触した状態となっている。図6に示す被押圧操作状態において、弾性腕部43a〜43dは、荷重センサ21a〜21dの突起部29a〜29dから僅かに離間した状態となっている。
次に、実施の形態1に係る多方向入力装置1で押圧操作を受け付ける場合の動作について図4〜図6を参照しながら説明する。まず、多方向入力装置1において、可動部材7で押圧操作を受け付ける場合について説明する。可動部材7で押圧操作を受け付けると、可動部材7が可動接点8の弾性復帰力に抗して下方側に移動する。そして、一定位置よりも下方側に押し下げられると、可動接点8が反転し、その下面が中央固定接点26aに接触する。これにより、中央固定接点26aと外側固定接点26bとが導通状態となり、リード線27を介してプッシュスイッチのオン状態を示す電圧信号が端子24に出力される。一方、可動部材7に対する押圧操作が解除されると、可動接点8の弾性復帰力により可動部材7が押し上げられ、中央固定接点26aと外側固定接点26bとが非導通状態となり、プッシュスイッチのオン状態を示す電圧信号の出力が停止される(すなわち、オフ状態とされる)。
多方向入力装置1において、押圧部材5で押圧操作を受け付ける場合について説明する。ここでは、弾性腕部53aで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置1の前方側への押圧操作を受け付ける場合)の動作について説明するものとする。
弾性腕部53aで押圧操作を受け付ける場合、弾性腕部53a自体の弾性復帰力に抗して弾性腕部53aが下方側に移動する。弾性腕部53aが押し下げられると、その下面の突部53gが、駆動部材4の弾性腕部43aの被押圧部43eを押し下げる。これにより、弾性腕部43aは、基端部分(連結部42aとの連結部分)を支点として先端部分が下方側に撓む。そして、一定位置以上に押し下げられると、基端部分寄りの位置に配置された一部が突起部29bに当接し、この突起部29bを介して荷重センサ21bに対して荷重が加わる。荷重センサ21bに加わった荷重は、圧電素子により電圧信号に変換され、リード線27を介してASIC23に出力される。ASIC23において、この電圧信号から押圧操作に伴う荷重及び荷重が加えられた位置が算出され、これに応じた電圧信号が端子24に出力される。一方、弾性腕部53aに対する押圧操作が解除されると、弾性復帰力により弾性腕部53aが初期位置に戻り、弾性腕部43aも初期位置に復帰する。これにより、荷重センサ21bからASIC23に対する電圧信号の出力が停止する。
この場合において、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、荷重センサ21bの配設位置よりも先端側の弾性腕部43aの一部を被押圧部43eとしていることから、弾性腕部43aが撓む範囲を確保することができ、駆動部材4の上方に配設される操作部材の揺動や傾倒の角度を従来のものより大きくできるので、圧電素子を荷重センサ21bに用いた場合においても、良好な操作感触を付与することができる。また、被押圧部43eに加えられた荷重が直接、荷重センサ21bに加わる事態を回避できるので、従来に比して荷重センサ21bを破損し難くすることができる。
特に、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、駆動部材4において、弾性腕部43a〜43dを、基部41の外周側に当該基部41を囲むように設けていることから、弾性腕部43a〜43dを長く形成することができるので、弾性腕部43a〜43dが撓む範囲を大きくでき、更に良好な操作感触を付与することができる。また、弾性腕部43a〜43dが基部41を囲むように設けられるので、多方向入力装置1における幅方向の寸法の小型化の要請に対応することも可能である。
また、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、駆動部材4において、基部41を環状に設けていることから、基部41自体における変形をある程度許容することができるので、基部41が平板状に形成される場合に比べて連結部42a〜42d近傍に応力が集中する事態を回避でき、駆動部材4の破損等の不具合を防止することができる。
さらに、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、駆動部材4上に、複数の弾性腕部53a〜53dを有する押圧部材5を配設し、これらの弾性腕部53a〜53dによって駆動部材4の被押圧部43eを押圧させている。これにより、2つの弾性腕部(弾性腕部43a〜43d、弾性腕部53a〜53d)が重ねられ、これらの2つの弾性腕部でばね荷重を特定できるので、多方向入力装置1におけるばね荷重を調節し易くすることができ、設計の自由度を確保することができる。
特に、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、押圧部材5の弾性腕部53a〜53dの先端側に設けた押圧部53fを被押圧部43eに対向させると共に、押圧部53fに突部53gを設けていることから、確実に被押圧部43eを押圧することができる。なお、ここでは、押圧部53fに突部53gを設ける場合について説明しているが、同等の機能を有する突部を被押圧部43eに設けるようにしてもよい。この場合にも、被押圧部43eを確実に荷重センサ21a〜21d側に移動させることが可能である。
また、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、弾性腕部53aに対する押圧操作に応じて駆動部材4の弾性腕部43aが下方側に移動する際、弾性腕部43aの先端は、支持部材3の腕部33の受け部33eに当接する。このため、弾性腕部43a(被押圧部43e)は、連結部42a及び受け部33eの2箇所で支持された状態とされることから、弾性腕部43aによるばね荷重を大きくすることができる。
さらに、実施の形態1に係る多方向入力装置1において、弾性腕部53aに対して過度に大きい荷重が加えられた場合には、駆動部材4の弾性腕部43aの被押圧部43eが、支持部材3の腕部33のストッパ部33fに当接する。このため、弾性腕部43aが所定位置以上に下方側に移動するのを規制することができるので、荷重センサ21bが破損する事態を確実に防止することができる。
さらに、実施の形態1に係る多方向入力装置1においては、駆動部材4を鋼板等の金属板材で構成していることから、金属板材である駆動部材4を介して荷重センサ21a〜21dを押圧駆動することできるので、荷重センサ21a〜21dの検知部に突起部29a〜29dが設けられた構成であっても、確実に当該突起部29a〜29dを押圧駆動することができる。また、駆動部材4は、押圧部材5よりも剛性の高い金属板材で構成されていることから、荷重センサ21a〜21dの突起部29a〜29dによる弾性腕部43a〜43dの塑性変形を生じにくくして、良好な検出特性を保つことができる。
なお、ここでは、弾性腕部53aのみで押圧操作を受け付ける場合について説明しているが、弾性腕部53a、53bで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置1の斜め前方側への押圧操作を受け付ける場合)においても、同様の効果を得ることが可能である。
(実施の形態2)
図7及び図8は、本発明の実施の形態2に係る多方向入力装置11の分解斜視図である。以下においては、説明の便宜上、図7及び図8に示す上方側を「多方向入力装置11の上方側」と呼び、図7及び図8に示す下方側を「多方向入力装置11の下方側」と呼ぶものとする。また、図7に示す左下方側を「多方向入力装置11の前方側」と呼び、図7に示す右上方側を「多方向入力装置11の後方側」と呼ぶものとする。なお、図7の分解斜視図においては、多方向入力装置11を上方側から示しており、図8の分解斜視図においては、多方向入力装置11を下方側から示している。図9以降の図面においても同様とする。
図7及び図8に示すように、実施の形態2に係る多方向入力装置11は、複数(本実施の形態では4つ)の荷重センサ121a〜121dが実装される基板12と、基板12の上方側に配置される駆動部材13とを含んで構成されている。なお、図7及び図8においては、説明の便宜上、駆動部材13を押圧する操作部材14(中央操作部材14a、周辺操作部材14b)と、この操作部材14と駆動部材13との間に介在されるラバー部材15とを示している。
基板12は、例えば、ガラスエポキシ樹脂で構成され、正方形状に設けられている。基板12の中央には、複数の荷重センサ121a〜121dが、基板12の四隅部に対応する位置に略等角度間隔で設けられている。これらの荷重センサ121a〜121dの中央には、円形状の中央固定接点122aが設けられている。この中央固定接点122aの周囲には、一部が途切れた概して円環形状の外側固定接点122bが設けられている。また、基板12上には、これらの複数の荷重センサ121a〜121dと複数の端子123との間、中央固定接点122a、外側固定接点122bと2つの端子123との間に接続されたリード線124が設けられている。さらに、荷重センサ121a〜121dの近傍には、複数(本実施の形態では4つ)の貫通孔125が設けられている。これらの貫通孔125には、後述する駆動部材13の接地片134が貫通される。
荷重センサ121a〜121dは、例えば、台座ガラス上にシリコンチップが配置されると共に、その内部に圧電素子が配設されている。圧電素子の上方には、金属製の接触子121eが設けられている。これらの接触子121eは、後述する駆動部材13の弾性腕部133a〜133dからの押圧力を圧電素子に伝達する役割を果たすものである。
基板12の中央固定接点122a及び外側固定接点122bの上方には、可動接点16が配置される。可動接点16は、例えば、弾性変形可能な導電性の金属板材で構成されている。可動接点16は、外形が円形状を有し、その中央部分が上方側に膨出した形状を有している。可動接点16は、その外周縁部が外側固定接点122bに載置され、その中央部分が中央固定接点122aと対向した状態で基板12上に配置される。可動接点16は、下面に粘着面を有する円形状のシール17により基板12に貼り付けられる。この場合、可動接点16は、その上面がシール17の粘着面に貼り付けられた状態で保持され、非押圧操作状態でその中央部分が中央固定接点122aと対向した状態となっている。
駆動部材13は、例えば、ステンレス等のばね性を有する金属板材で構成される。駆動部材13は、環状を有する基部131と、この基部131の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の連結部132a〜132dと、これらの連結部132a〜132dを介して基部131に連結された弾性変形可能な弾性腕部133a〜133dとを有している。基部131の中央には、円形状の開口部131aが形成されている。連結部132a〜132dは、基部131の外周の一部からそれぞれ延出して設けられている。これらの連結部132a〜132dの先端には、下方側に垂下して設けられた接地片134が設けられている。これらの接地片134は、基板12の貫通孔125を介して基板12の下面に設けられた図示省略した接地用パターンに半田付けされ、駆動部材13の帯電を防止する役割を果たすものである。
弾性腕部133a〜133dは、それぞれ連結部132a〜132dの先端部に設けられ、基部131の外周を囲むように設けられている。弾性腕部133a〜133dは、連結部132a〜132dとの連結部分において上方側(荷重センサ121a〜121d側から離間する方向)に折り曲げられており、連結部132a〜132dよりも高い位置に延在するように設けられている。また、連結部132a〜132dとの連結部分には、孔部133eが形成されている。弾性腕部133a〜133dの先端は、僅かに内側に屈曲した形状を有し、この屈曲部分で被押圧部133fが構成されている。これらの被押圧部133fは、後述する周辺操作部材14bの突出部143cを介して押圧を受ける。
ラバー部材15は、例えば、ゴム等の弾性部材で形成される。ラバー部材15は、概して正方形状の平板形状部151と、この平板形状部151の中央で上方側に膨出形成されたドーム形状部152とを有する。平板形状部151は、基板12の外形よりも僅かに小さい寸法に形成されている。ドーム形状部152は、平坦面を構成する上面部152aを有している。上面部152aの周縁部近傍には、90度間隔で複数(本実施の形態では4つ)の円形状の開口部152bが形成されている。上面部152aの中央には、上面部152aから独立して変形可能に構成された円形状の可動部152cが設けられている。可動部152cの中央には、貫通孔152dが形成されている。ドーム形状部152は、周辺操作部材14bに対する押圧操作に応じて変形可能に構成され、可動部152cは、中央操作部材14aに対する押圧操作に応じて変形可能に構成されている。
操作部材14を構成する中央操作部材14a、周辺操作部材14bは、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型されている。中央操作部材14aは、概して円盤形状を有する円盤形状部141と、この円盤形状部141の下面中央から下方側に延出する軸部142とを有している。軸部142は、ラバー部材15の貫通孔152dを貫通可能な寸法に設けられている。周辺操作部材14bは、概して円環形状を有する円環形状部143を有する。円環形状部143の中央開口部143aは、中央操作部材14aの円盤形状部141を収容可能な寸法に設けられている。円環形状部143の下面143bは、平坦面で構成されている。下面143bには、90度間隔で複数(本実施の形態では4つ)の半球形状の突出部143cが設けられている。これらの突出部143cは、ラバー部材15の開口部152bを通過可能な寸法に設けられている。
次に、実施の形態2に係る多方向入力装置11を組み立てる工程について説明する。図9及び図10は、それぞれ実施の形態2に係る多方向入力装置11を組み立てる過程の斜視図及び上面図である。上記構成を有する多方向入力装置11を組み立てる場合には、基板12上の中央固定接点122a及び外側固定接点122b上に、シール17に貼り付けられた可動接点16が配置される。そして、図9及び図10に示すように、複数の接地片134がそれぞれ貫通孔125を貫通するように駆動部材13が基板12に取り付けられる。
駆動部材13は、基部131に形成された開口部131aが、基板12上に貼り付けられたシール17と対向するように配置される。弾性腕部133a〜133dは、荷重センサ121a〜121dの上方側を通過して、それぞれの被押圧部133fが上面視にて隣接する連結部132a〜132dの近傍の位置に配置された状態となっている。例えば、弾性腕部133bの被押圧部133fは、隣接する連結部132aの近傍の位置に配置されている(図10参照)。荷重センサ121a〜121dは、弾性腕部133a〜133dにおける連結部132a〜132dとの連結部分の近傍の下方側の位置に対向配置されている。すなわち、荷重センサ121a〜121dの配設位置よりも先端側に配置される弾性腕部133a〜133dの一部を被押圧部133fとしている。
そして、図9及び図10に示す状態の駆動部材13を覆うようにラバー部材15が被せられると共に、ラバー部材15の上方に操作部材14が取り付けられる。この場合、操作部材14を構成する中央操作部材14aは、軸部142がラバー部材15の貫通孔152dを貫通するように取り付けられ、周辺操作部材14bは、突出部143cがラバー部材15の開口部152bを通過するように取り付けられる。
図11は、実施の形態2に係る多方向入力装置11の上面図である。なお、図11においては、説明の便宜上、操作部材14(中央操作部材14a、周辺操作部材14b)を取り除いた状態について示している。図11に示すように、ラバー部材15が被せられた状態において、開口部152bには、駆動部材13の弾性腕部133a〜133dの被押圧部133fが対向して配置されている。すなわち、ラバー部材15に操作部材14を取り付けた状態においては、周辺操作部材14bの突出部143cが被押圧部133fを押圧可能に構成されている。また、貫通孔152dには、駆動部材13の開口部131aを介して、シール17が対向して配置されている。すなわち、ラバー部材15に操作部材14を取り付けた状態においては、中央操作部材14aの軸部142の下端部がシール17(可動接点16)を押圧可能に構成されている。
図12は、実施の形態2に係る多方向入力装置11の側面図である。なお、図12においては、図10に示す下方側から見た多方向入力装置11の側面を示している。また、図12においては、被押圧操作状態(初期状態)の多方向入力装置11について示している。図12に示すように、駆動部材13の弾性腕部133a〜133dは、被押圧操作状態において、荷重センサ121a〜121dに設けられた接触子121eに接触した状態となっている。これにより、押圧操作に伴って弾性腕部133a〜133dに加わる荷重が、接触子121eを介して圧電素子に伝達されるように構成されている。
次に、実施の形態2に係る多方向入力装置11で押圧操作を受け付ける場合の動作について図9〜図12を参照しながら説明する。まず、多方向入力装置11において、中央操作部材14aを介して押圧操作を受け付ける場合について説明する。中央操作部材14aで押圧操作を受け付けると、軸部142が可動接点16の弾性復帰力に抗して下方側に移動する。そして、一定位置よりも下方側に押し下げられると、可動接点16が反転し、その下面が中央固定接点122aに接触する。これにより、中央固定接点122aと外側固定接点122bとが導通状態となり、リード線124を介してプッシュスイッチのオン状態を示す信号が端子123に出力される。一方、可動接点16に対する押圧操作が解除されると、可動接点16の弾性復帰力により中央操作部材14aが押し上げられ、中央固定接点122aと外側固定接点122bとが非導通状態となり、プッシュスイッチのオン状態を示す信号の出力が停止される(すなわち、オフ状態とされる)。
多方向入力装置11において、周辺操作部材14bで押圧操作を受け付ける場合について説明する。ここでは、周辺操作部材14bを介して駆動部材13の弾性腕部133bで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置11の前方側への押圧操作を受け付ける場合)の動作について説明するものとする。
弾性腕部133bで押圧操作を受け付ける場合、周辺操作部材14bの突出部143cにより弾性腕部133bの被押圧部133fが押し下げられる。被押圧部133fが押し下げられると、連結部132bとの基端部分(弾性腕部133bとの連結部分)を支点として弾性腕部133bの先端部が下方側に撓む。そして、一定位置以上に押し下げられると、基端部分寄りの位置に配置された一部が接触子121eを押圧し、この接触子121eを介して荷重センサ121bに対して荷重が加わる。荷重センサ121bに加わった荷重は、圧電素子により電圧信号に変換され、リード線124を介して端子123に出力される。一方、弾性腕部133bに対する押圧操作が解除されると、弾性復帰力により弾性腕部133bが初期位置に復帰する。これにより、荷重センサ121bから端子123に対する電圧信号の出力が停止する。
この場合において、実施の形態2に係る多方向入力装置11においては、荷重センサ121bの配設位置よりも先端側の弾性腕部133aの一部を被押圧部133fとしていることから、実施の形態1に係る多方向入力装置1と同様に、弾性腕部133aが撓む範囲を確保することができ、駆動部材13の上方に配設される操作部材14の揺動や傾倒の角度を従来のものより大きくできるので、圧電素子を荷重センサ121bに用いた場合においても、良好な操作感触を付与することができる。また、被押圧部133fに加えられた荷重が直接、荷重センサ121bに加わる事態を回避できるので、従来に比して荷重センサ121bを破損し難くすることができる。
特に、実施の形態2に係る多方向入力装置11においては、駆動部材13において、弾性腕部133a〜133dを、基部131の外周側に当該基部131を囲むように設けていることから、実施の形態1に係る多方向入力装置1と同様に、弾性腕部133a〜133dを長く形成することができるので、弾性腕部133a〜133dが撓む範囲を大きくでき、更に良好な操作感触を付与することができる。また、弾性腕部133a〜133dが基部131を囲むように設けられるので、多方向入力装置11における幅方向の寸法の小型化の要請に対応することも可能である。
また、実施の形態2に係る多方向入力装置11においては、駆動部材13において、基部131を環状に設けていることから、基部131自体における変形をある程度許容することができるので、基部131が内側に開口部(貫通孔)を有さない平板状に形成される場合に比べて連結部132a〜132d近傍に応力が集中する事態を回避でき、駆動部材13の破損等の不具合を防止することができる。
さらに、実施の形態2に係る多方向入力装置11においては、弾性腕部133a〜133dに折り曲げ部を設けていることから、弾性腕部133a〜133dの変形の支点(起点)を明確に定めることができるので、弾性腕部133a〜133dが撓む範囲がばらつくのを抑制することができる。
特に、実施の形態2に係る多方向入力装置11においては、弾性腕部133a〜133dにおける連結部132a〜132dとの連結部分に孔部133eを形成していることから、弾性腕部133a〜133dの折り曲げ形成された部分の面積を小さくできるので、弾性腕部133a〜133dをより撓み易くすることができる。
なお、ここでは、弾性腕部133bのみで押圧操作を受け付ける場合について説明しているが、弾性腕部133a、133bで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置11の斜め前方側への押圧操作を受け付ける場合)においても、同様の効果を得ることが可能である。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係る多方向入力装置111の分解斜視図である。以下においては、説明の便宜上、図13に示す上方側を「多方向入力装置111の上方側」と呼び、図13に示す下方側を「多方向入力装置111の下方側」と呼ぶものとする。また、図13に示す左下方側を「多方向入力装置111の前方側」と呼び、図13に示す右上方側を「多方向入力装置111の後方側」と呼ぶものとする。図14以降の図面においても同様とする。
図13に示すように、実施の形態3に係る多方向入力装置111は、複数(本実施の形態では4つ)の荷重センサ1121a〜1121dが実装される基板112と、基板112の上方側に配置される支持部材113、金属板114及び駆動部材115と、基板112の下方側に配置される固定部材116とを含んで構成されている。また、基板112上に重ねられた支持部材113、金属板114及び駆動部材115の中央には、プッシュスイッチ用の可動部材117が配置され、後述する基板112上の固定接点(中央固定接点1125a、外側固定接点1125b)及び可動接点118上に載置される。
基板112は、例えば、ガラスエポキシ樹脂で構成される。基板112は、複数の荷重センサ1121a〜1121dが配置されるセンサ配置部1122と、センサ配置部1122の後方側の一辺の一部から後方側に延出して設けられ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1123や図示しない複数の端子が配置される端子配置部1124とを有する。センサ配置部1122は、概して矩形状に設けられると共に、多方向入力装置111の前後方向及び前後方向に直交する方向に突出する突出部1122a〜1122dとを有している。端子配置部1124は、センサ配置部1122の突出部1122dから延出して設けられている。
複数の荷重センサ1121a〜1121dは、センサ配置部1122の突出部1122a〜1122d上に略等角度間隔で設けられている。これらの荷重センサ1121a〜1121dの中央には、円形状の中央固定接点1125aが設けられている。この中央固定接点1125aの周囲には、円環形状の外側固定接点1125bが設けられている。なお、基板112上には、これらの複数の荷重センサ1121a〜1121dとASIC1123との間、ASIC1123や中央固定接点1125aと端子との間に接続された図示しないリード線が設けられている。また、荷重センサ1121a〜1121dの間には、複数(本実施の形態では4つ)の挿通孔1126が設けられている。これらの挿通孔1126には、後述する固定部材116の係合片1161aや、支持部材113の下面に設けられた図示しない係合片が挿通される。なお、基板112は、フレキシブル基板(FPC)で構成することも可能である。
荷重センサ1121a〜1121dは、圧電素子を備えて構成されている。荷重センサ1121a〜1121dは、押圧操作に伴う荷重を内部の圧電素子に適切に伝えるセラミック製の突起部1121eを備えている。荷重センサ1121a〜1121d内に配置される圧電素子の出力端子は、基板112上のリード線を介してASIC1123に接続されている。ASIC1123は、これらの圧電素子から到来する電圧信号に基づいて押圧操作に伴う荷重及び荷重が加えられた位置(方向)を算出する。
基板112の中央固定接点1125a及び外側固定接点1125bの上方には、可動接点118が配置される。可動接点118は、例えば、弾性変形可能な導電性の金属板材で構成されている。可動接点118は、外形が円形状を有し、その中央部分が上方側に膨出した形状を有している。可動接点118は、その外周縁部が外側固定接点1125bに載置され、その中央部分が中央固定接点1125aと対向した状態で基板112上に配置される。可動接点118は、下面に粘着面を有する円形状のシール119により基板112に貼り付けられる。この場合、可動接点118は、その上面がシール119の粘着面に貼り付けられた状態で保持され、非押圧操作状態でその中央部分が中央固定接点1125aと対向した状態となっている。
可動部材117は、可動接点118を保持したシール119の上方に配置される。可動部材117は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型され、円柱形状を有する円柱部1171と、この円柱部1171の下端部に設けられたストッパ部1172とを有している。ストッパ部1172は、非押圧操作状態において、可動接点118の復帰力により上方側に付勢された可動部材117を所定位置に配置するためのものである。ストッパ部1172は、支持部材113の一部と当接することにより、可動部材117を所定位置に配置する寸法に形成されている。
支持部材113は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型され、概して矩形状の基部1131と、この基部1131の側面から突出する複数(本実施の形態では4つ)の突出部1132a〜1132dとを有する。基部1131の上面には、概して矩形状の第1突出部1131aが設けられている。さらに、この第1突出部1131aの上面には、概して円環形状の第2突出部1131bが設けられている。なお、第2突出部1131bの周面には、外側に突出する突出部が設けられている。これらの突出部は、第1突出部1131aの四隅部に向かって突出している。これらの第1突出部1131a、第2突出部1131b及び基部1131の中央には、円形状の貫通孔1131cが形成されている。貫通孔1131cは、可動部材117の円柱部1171が貫通可能であり、ストッパ部1172が当接可能な寸法に設けられている。
突出部1132a〜1132dの中央には、それぞれ矩形状の開口部1133a〜1133dが形成されている。これらの開口部1133a〜1133dは、荷重センサ1121a〜1121dが貫通可能な寸法に設けられている。また、各開口部1133a〜1133dの側方側には、上方側に突出するそれぞれ一対の突出片1134a〜1134dが設けられている(図13では1134cのみ符号を付与)。これらの突出片1134a〜1134dは、金属板114の位置決めを行うと共に、駆動部材115の下面を支持するために設けられている。また、突出部1132a〜1132dの外縁部には、上方側に僅かに突出したストッパ部1135a〜1135dが設けられている。これらのストッパ部1135a〜1135dは、後述する駆動部材115の弾性腕部1153a〜1153dの所定位置以上の下方側への移動を規制するものである。
金属板114は、駆動部材115よりも高い剛性の金属板材で構成される。金属板114は、環状を有する基部1141と、この基部1141の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の突出片1142a〜1142dとを有している。基部1141は、中央に矩形状の開口部1141aが形成されている。開口部1141aは、支持部材113の第1突出部1131aと略同一形状に設けられている。突出部1142a〜1142dは、基部1141の外周から外側に向けて延出して設けられている。なお、これらの突出部1142a〜1142dの幅は、支持部材113におけるそれぞれ一対の突出片1134a〜1134d間の長さよりも僅かに小さい寸法に設けられている。
駆動部材115は、例えば、ステンレス等のばね性を有する金属板材で構成される。駆動部材115は、環状を有する基部1151と、この基部1151の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の支持板部1152a〜1152dと、同じく基部1151の外周の一部に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の弾性腕部1153a〜1153dとを有している。基部1151は、その中央に概して円形状の開口部1151aが形成されている。開口部1151aは、支持部材113の第2突出部1131bと略同一形状に設けられている。
支持板部1152a〜1152dは、概して正方形状を有し、角部近傍に円形状の開口部1152eが形成されている。この開口部1152eは、後述する固定部材116の固定片1162eによる固定を受ける部分である。支持板部1152a〜1152dには、中央部から基部1151に向けて延出する弾性変形可能な保持腕部1152fが設けられている。これらの保持腕部1152fは、支持板部1152a〜1152dよりも僅かに上方側に延出して設けられている。保持腕部1152fは、金属板114の基部1141を所定位置に保持する役割を果たすものである。
弾性腕部1153a〜1153dは、先端部の上面にて上方側に突出した突部1153eが設けられている。これらの突部1153eは、図示しない操作部材による被押圧部を構成する。また、弾性腕部1153a〜1153dの中央近傍には、下方側に突出する突部1153fが設けられている。これらの突部1153fは、金属板114を介して荷重センサ1121a〜1121dを押圧駆動する部分である。
固定部材116は、例えば、表面が絶縁性の金属板材に折り曲げ加工を施して形成される。固定部材116は、概して矩形状の平面部1161と、この平面部1161の四隅部近傍の外周に設けられた複数(本実施の形態では4つ)の固定部1162a〜1162dとを有している。これらの固定部1162a〜1162dの上面には、円筒形状の固定片1162eが設けられている。これらの固定片1162eは、駆動部材115の支持板部1152a〜1152dの開口部1152eにかしめ等により固定される部分である。平面部1161における対角線上の所定位置には、円筒形状を有する一対の係合片1161aが設けられている。これらの係合片1161aは、基板112に形成された挿通孔1126に挿入され、基板112に対する固定部材116の位置決めに利用される。
次に、実施の形態3に係る多方向入力装置111を組み立てる工程について説明する。図14及び図15は、それぞれ実施の形態3に係る多方向入力装置111を組み立てる過程の斜視図である。なお、図14及び図15においては、説明の便宜上、固定部材116を基板112の下面に配置した状態を示すが、固定部材116を取り付ける工程については、駆動部材115まで基板112上に配置した後に行うようにしても構わない。
上記構成を有する多方向入力装置111を組み立てる場合には、基板112上の中央固定接点1125a及び外側固定接点1125b上に、シール119に貼り付けられた可動接点118が配置されると共に、シール119の上面に可動部材117が載置される。そして、図14に示すように、可動部材117の円柱部1171が貫通孔1131cを貫通するように支持部材113が基板112上に配置される。この場合、支持部材113は、基板112のセンサ配置部1122に重ねられ、開口部1133a〜1133dに荷重センサ1121a〜1121dを収容するように基板112に配置される。なお、固定部材116の固定部1162a〜1162dは、支持部材113にて、それぞれ隣接する突出部1132a〜1132dの間から露出した状態となる。
そして、図14に示す状態の支持部材113上に金属板114が取り付けられる。金属板114は、図15に示すように、開口部1141aで支持部材113の第1突出部1131aを収容するように配置される。開口部1141aと第1突出部1131aとが略同一の形状を有することから、支持部材113の所定位置に確実に金蔵板114を位置決めできるものとなっている。この場合、金属板114は、突出片1142a〜1142dが、それぞれ支持部材113の一対の突出片1134a〜1134dの間に配置される。これらの突出片1142a〜1142dの下面は、荷重センサ1121a〜1121dの突起部1121eに載置された状態となっている。
さらに、図15に示す状態の支持部材113上に駆動部材115が取り付けられる。図16及び図17は、それぞれ実施の形態3に係る多方向入力装置111の全体斜視図及び上面図である。駆動部材115は、図16及び図17に示すように、開口部1151aで支持部材113の第2突出部1131bを収容するように配置される。開口部1151aと第2突出部1131bとが略同一の形状を有することから、支持部材113の所定位置に確実に駆動部材115を位置決めできるものとなっている。この場合、駆動部材115の弾性腕部1153a〜1153dは、その突部1153fが金属板114の突出片1142a〜1142dに対向して配置される。また、被押圧部として機能する突部1153eは、支持部材113の突出部1132a〜1132dの外縁部に設けられたストッパ部1135a〜1135dに対応する位置に配置される。すなわち、荷重センサ1121a〜1121dの配設位置よりも先端側に配置される弾性腕部1153a〜1153dの一部で被押圧部が構成されている。
駆動部材115の支持板部1152a〜1152dは、固定部材116の固定部1162a〜1162d上に載置される。そして、固定部1162a〜1162d上の固定片1162eが開口部1152eにかしめ等されることによって、駆動部材115が固定部材116に固定される。この場合、支持板部1152a〜1152dに設けられた保持腕部1152fは、その先端部で金属板114の基部1141を保持(付勢)した状態となっている。
可動部材117の円柱部1171は、その上端部の一部が非押圧操作状態において、支持部材113の第2突出部1131bから突出するように配置される。なお、可動部材117は、可動接点118の弾性復帰力により上方側に付勢された状態となっている。駆動部材115の弾性腕部1153a〜1153dは、この可動部材117の周囲において、直交する方向に延在するように配置される。多方向入力装置111においては、このように組み立てられた状態で図示しない操作部材が被せられ、可動部材117で押圧操作を受け付けると共に、駆動部材115で押圧操作(方位入力操作)を受け付け可能に構成されている。
図18は、実施の形態3に係る多方向入力装置111の側面図である。なお、図18においては、図17に示す下方側から見た多方向入力装置111の側面を示している。図18に示すように、駆動部材115は、支持部材113の突出片1134a〜1134d上に支持された状態となっている(図18では突出片1134bのみ示している)。また、駆動部材115の弾性腕部1153a〜1153dは、図18に示す被押圧操作状態において、その下面に設けられた突部1153fが、金属板114の突出片1142a〜1142dの上面から僅かに離間した状態となっている。
次に、実施の形態3に係る多方向入力装置111で押圧操作を受け付ける場合の動作について図16〜図18を参照しながら説明する。まず、多方向入力装置111において、可動部材117で押圧操作を受け付ける場合について説明する。可動部材117で押圧操作を受け付けると、可動部材117が可動接点118の弾性復帰力に抗して下方側に移動する。そして、一定位置よりも下方側に押し下げられると、可動接点118が反転し、その下面が中央固定接点1125aに接触する。これにより、中央固定接点1125aと外側固定接点1125bとが導通状態となり、リード線を介してプッシュスイッチのオン状態を示す電圧信号が端子に出力される。一方、可動部材117に対する押圧操作が解除されると、可動接点118の弾性復帰力により可動部材117が押し上げられ、中央固定接点1125aと外側固定接点1125bとが非導通状態となり、プッシュスイッチのオン状態を示す電圧信号の出力が停止される(すなわち、オフ状態とされる)。
多方向入力装置111において、駆動部材115で押圧操作を受け付ける場合について説明する。ここでは、弾性腕部1153bで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置111の前方側への押圧操作を受け付ける場合)の動作について説明するものとする。
弾性腕部1153bで押圧操作を受け付ける場合、弾性腕部1153b自体の弾性復帰力に抗して弾性腕部1153bが下方側に移動する。弾性腕部1153bが押し下げられると、その下面の突部1153fが、金属板114の突出片1142bを押し下げる。これにより、突出片1142bは、基端部分(基部1141との連結部分)を支点として先端部分が下方側に撓む。そして、一定位置以上に押し下げられると、突出片1142bの下面が突起部1121eに当接し、この突起部1121eを介して荷重センサ1121bに対して荷重が加わる。荷重センサ1121bに加わった荷重は、圧電素子により電圧信号に変換され、リード線を介してASIC1123に出力される。ASIC1123において、この電圧信号から押圧操作に伴う荷重及び荷重が加えられた位置が算出され、これに応じた電圧信号が端子に出力される。一方、弾性腕部1153bに対する押圧操作が解除されると、弾性復帰力により弾性腕部1153bが初期位置に戻り、突出片1142bも初期位置に復帰する。これにより、荷重センサ1121bからASIC1123に対する電圧信号の出力が停止する。
この場合において、実施の形態3に係る多方向入力装置111においては、荷重センサ1121bの配設位置よりも先端側の弾性腕部1153bの一部に被押圧部として機能する突部1153eを設けていることから、実施の形態1に係る多方向入力装置1と同様に、弾性腕部1153bが撓む範囲を確保することができ、駆動部材115の上方に配設される操作部材の揺動や傾倒の角度を従来のものより大きくできるので、圧電素子を荷重センサ1121bに用いた場合においても、良好な操作感触を付与することができる。また、被押圧部に加えられた荷重が直接、荷重センサ1121bに加わる事態を回避できるので、従来に比して荷重センサ1121bを破損し難くすることができる。
特に、実施の形態3に係る多方向入力装置111においては、駆動部材115の弾性腕部1153a〜1153dによって金属板114を介して荷重センサ1121a〜1121dを押圧駆動することから、荷重センサ1121a〜1121dの検知部に突起部1121eが設けられた構成であっても、確実に当該突起部1121eを押圧駆動することができる。
また、実施の形態3に係る多方向入力装置111においては、駆動部材115において、支持板部1152a〜1152dに基部1151側に延出し、金属板114を保持する保持腕部1152fを設けていることから、金属板114を安定して保持することができると共に、駆動部材115に対する押圧操作時に金属板114を変位させることができる。
なお、ここでは、弾性腕部1153bで押圧操作を受け付ける場合について説明しているが、弾性腕部1153a、1153bで押圧操作を受け付ける場合(すなわち、多方向入力装置111の斜め前方側への押圧操作を受け付ける場合)においても、同様の効果を得ることが可能である。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。