JP5583988B2 - 光学体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
光が入射する入射面を有する光学層と、
光学層内に形成された波長選択反射膜と
を備え、
波長選択反射膜が、入射面に対して傾斜した複数の波長選択反射膜からなり、
複数の波長選択反射膜が、互いに平行に配置されており、
入射角(θ、φ)(但し、θ:入射面に対する垂線と、入射面に入射する入射光または入射面から出射される反射光とのなす角、φ:入射面内の特定の直線と、入射光または反射光を入射面に射影した成分とのなす角)で入射面に入射した光のうち、主に特定波長帯780nm〜2100nmの近赤外光を正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に選択的に指向反射するのに対して、波長帯域以外の光を透過する光学体である。
1.第1の実施形態(構造体を1次元配列した例)
2.第2の実施形態(構造体を2次元配列した例)
3.第3の実施形態(構造体としてビーズを用いた例)
4.第4の実施形態(ルーバ型の波長選択反射膜の例)
5.第5の実施形態(指向反射体の表面に自己洗浄効果層を備えた例)
6.第6の実施形態(指向反射体に光散乱体を備えた例)
7.第7の実施形態(窓材の表面に波長選択反射膜を直接形成した例)
8.第8の実施形態(指向反射体の光学層を2層構造とした例)
9.第9の実施形態(指向反射体の表面または内部にバリア層を備えた例)
10.第10の実施形態(指向反射体の表面にハードコート層を備えた例)
11.第11の実施形態(指向反射体のハードコート層上に防汚層を備えた例)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。図1に示すように、指向反射体1は、光学層2と、この光学層2の内部に形成された波長選択反射膜3とを備える。光学層2は、波長選択反射膜3の第1の主面上に形成された第1の光学層4と、波長選択反射膜3の第2の主面上に形成された第2の光学層5とを備える。指向反射体1は、太陽光などの光が入射する入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学層2を透過した光が出射される出射面S2とを有する。
測定装置:全自動微細形状測定機 サーフコーダーET4000A(株式会社小坂研究所)
λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
データサンプリング間隔0.5μm
第1の光学層4は、例えば、波長選択反射膜3を支持するための支持体である。また、第1の光学層4は、透過写像鮮明度や全光線透過率を向上するとともに、波長選択反射膜3を保護するためのものでもある。第1の光学層4は、例えば、フィルム状、シート状、プレート状、ブロック状を有する。指向反射体1を窓材10に容易に貼り合わせ可能にする観点からすると、第1の光学層4は、フィルム状、シート状であることが好ましい。第1の光学層4の材料としては、例えば、ポリカーカーボネートなどの熱可塑性樹脂、アクリルなどの電離線硬化樹脂などを用いることができる。
第2の光学層5は、透過写像鮮明度や全光線透過率を向上するとともに、波長選択反射膜3を保護するためのものである。第2の光学層5の材料としては、例えば、ポリカーカーボネートなどの熱可塑性樹脂、アクリルなどの電離線硬化樹脂などを用いることができる。また、第2の光学層5を接着層とし、この接着層を介して窓材10に指向反射体1を貼り合わせる構成としてもよい。接着層の材料は、例えば、感圧性粘着剤(Pressure Sensitive Adhesive:PSA)、紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
波長選択反射膜3は、例えば、積層膜、透明導電膜、または機能膜である。また、積層膜、透明導電膜、および機能膜を2以上組み合わせて波長選択膜としてもよい。波長選択反射膜3の膜厚は、好ましくは20μm、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。波長選択反射膜3の膜厚が20μmを超えると、透過光が屈折する光路が長くなり、透過像が歪んで見える傾向がある。波長選択反射膜の形成方法としては、例えば、スパッタ法、蒸着法、ディップコーティング法、ダイコーティング法などを用いることができる。
以下、積層膜、透明導電膜、または機能膜について順次説明する。
積層膜は、例えば、屈折率の異なる低屈折率層および高屈折率層を交互に積層してなる積層膜である。または、積層膜は、例えば、赤外領域において反射率の高い金属層と、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する光学透明層、または透明導電膜とを交互に積層してなる積層膜である。
透明導電膜は、可視領域において透明性を有する導電性材料を主成分とする透明導電膜である。透明導電膜は、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ含有体、インジウムドープ酸化錫、インジウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫などの透明導電物質を主成分とする。もしくはこれらのナノ粒子や金属などの導電性を持つ材料のナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤーを樹脂中に高濃度に分散させた層を用いても良い。
機能膜は、外部刺激により反射性能などが可逆的に変化するクロミック材料を主成分とする。クロミック材料は、例えば、熱、光、侵入分子などの外部刺激により構造を可逆的に変化させる材料である。クロミック材料としては、例えば、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、ガスクロミック材料、エレクトロクロミック材料を用いることができる。
または、コレステリック液晶などのフォトニックラティスを用いることもできる。コレステリック液晶は層間隔に応じた波長の光を選択的に反射することができ、この層間隔は温度によって変化するため、加熱により、反射率や色などの物性を可逆的に変化させることができる。この時、層間隔の異なるいくつかのコレステリック液晶層を用いて反射帯域を広げることも可能である。
図5、図6は、指向反射体の機能の一例を説明するための断面図である。ここでは、例として、構造体の形状が傾斜角45°のプリズム形状である場合を例として説明する。
図5に示すように、この指向反射体1に入射した太陽光のうち近赤外線L1の一部は、入射した方向と同程度の上空方向に指向反射するのに対して、可視光L2は指向反射体1を透過する。
x=(sin(45−α')+cos(45−α’)/tan(45+α'))/(sin(45−α')+cos(45−α'))×R2 ・・・(1)
但し、α'=sin-1(sinα/n)
以下、図10および図11を参照して、本発明の第1の実施形態に係る指向反射体の製造方法の一例について説明する。
まず、例えば、バイトやレーザー加工などにより、構造体11と同一の凹凸形状、またはその反転形状を有する金型を形成する。次に、例えば溶融押し出し法や転写法を用いて、上記金型の凹凸形状をフィルム状またはシート状の樹脂材料に転写する。転写法としては、型に電離線硬化樹脂を流し込み、電離線を照射して硬化させる方法や、樹脂に熱や圧力を印加し、形状を転写する方法などが挙げられる。これにより、図10Aに示すように、一主面に構造体11を有する第1の光学層4が形成される。次に、図10Bに示すように、その第1の光学層4の一主面上に波長選択反射膜3を成膜する。波長選択反射膜3の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ウェットコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられ、これらの成膜方法から、構造体11の形状などに応じて適宜選択することが好ましい。
以上により、光学層2の内部に所望の形状の波長選択反射膜が設けられた指向反射体1が得られる。
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態に係る指向反射体の構造体の構成例を示す断面図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と対応する箇所には同一の符号を付す。第2の実施形態は、第1の光学層4の一主面にて構造体11が2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。
図15は、本発明の第3の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と対応する箇所には同一の符号を付す。図15に示すように、第3の実施形態は、構造体に代えてビース31を備えている点において、第1の実施形態とは異なっている。
図16は、本発明の第4の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態は、光の入射面に対して傾斜した複数の波長選択反射膜3を光学層2内に備え、これらの波長選択反射膜3を互いに平行に配列している点において、第1の実施形態とは異なっている。
図18は、本発明の第5の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第5の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。図18に示すように、第5の実施形態は、指向反射体1の入射面上に、洗浄効果を発現する自己洗浄効果層6をさらに備える点において、第1の実施形態とは異なっている。自己洗浄効果層6は、例えば、光触媒を含んでいる。光触媒としては、例えば、TiO2を用いることができる。
第6の実施形態は、特定波長の光を指向反射するのに対して、特定波長以外の光を散乱させる点において、第1の実施形態とは異なっている。指向反射体1は、入射光を散乱する光散乱体を備えている。この散乱体は、例えば、光学層2の表面、光学層2の内部、および波長選択反射膜3と光学層2との間のうち、少なくとも1箇所に設けられている。光散乱体は、好ましくは、波長選択反射膜3と第2の光学層5との間、第2の光学層5の内部、および第2の光学層5の表面のうちの少なくとも一箇所に設けられている。指向反射体1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、室内側および室外側のどちらにも適用可能である。指向反射体1を室外側に対して貼り合わせる場合、波長選択反射膜3と窓材などの支持体との間にのみ、特定波長以外の光を散乱させる光散乱体を設けることが好ましい。指向反射体1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、波長選択反射膜3と入射面との間に光散乱体が存在すると、指向反射特性が失われてしまうからである。また、室内側に指向反射体1を貼り合せる場合には、その貼り合わせ面とは反対側の出射面と、波長選択反射膜3との間に光散乱体を設けることが好ましい。
図20は、本発明の第7の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第7の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第7の実施形態は、窓材41上に波長選択反射膜3を直接形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。
図21A、図21Bは、本発明の第8の実施形態に係る指向反射体の第1の構成例を示す断面図である。図22A、図22Bは、本発明の第8の実施形態に係る指向反射体の第2の構成例を示す断面図である。第8の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第8の実施形態は、第1の光学層4および第2の光学層5の少なくとも一方が、2層構造を有している点において、第1の実施形態とは異なっている。図21A、図21Bでは、外光の入射面S1側となる第1の光学層4が2層構造を有する例が示されている。図22A、図22Bでは、外光の入射面S1側となる第1の光学層4と、外光の出射面S2側となる第2の光学層5との両方が2層構造を有する例が示されている。図21A、図21Bに示すように、第1の光学層4の2層構造は、例えば、表面側となる平滑な基材4aと、この基材4aおよび波長選択反射膜3との間に形成された樹脂層4bとから構成されている。図22A、図22Bに示すように、第2の光学層5の2層構造は、例えば、表面側となる平滑な基材5aと、この基材5aおよび波長選択反射膜3との間に形成された樹脂層5bとから構成されている。以下では、波長選択反射膜3が形成された第2の光学層5を反射層付き光学層9と称する。
波長選択反射膜3は、リン酸を含む化合物を含む第1の樹脂層4bまたは第2の樹脂層5bと接する面に、亜鉛の酸化物を含む薄膜を有することが特に好ましい。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソ(i)−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレート、「アクリエステル SL」[三菱レーヨン(株)製の、C12−/C13メタクリレート混合物の商品名]、ステアリル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き側鎖に官能基を含有しない(メタ)アクリレート類;およびエチレン−ジ−(メタ)アクリレートの如き二官能性ビニル系単量体類。
これらは誘電体層や金属膜の性質に応じて任意に量を調整することができる。
図23は、本発明の第8の実施形態に係る指向反射体の製造装置の一構成例を示す概略図である。図23に示すように、この製造装置は、基材供給ロール51、光学層供給ロール52、巻き取りロール53、ラミネートロール54、55、ガイドロール56〜60、塗布装置61、および照射装置62を備える。
以下、図22、および図23を参照しながら、本発明の第8の実施形態に係る指向反射体の製造方法の一例について説明する。
まず、基材供給ロール51から基材4aを送出し、送出された基材4aは、ガイドロール56を経て塗布装置61の下を通過する。次に、塗布装置61の下を通過する基材4a上に、塗布装置61により電離線硬化樹脂を塗布する。次に、電離線硬化樹脂が塗布された基材4aをラミネートロールに向けて搬送する。一方、光学層供給ロール52から反射膜付き光学層9を送出し、ガイドロール57を経てラミネートロール54、55に向けて搬送する。
図24は、本発明の第9の実施形態に係る指向反射体の第1の構成例を示す断面図である。図25は、本発明の第9の実施形態に係る指向反射体の第2の構成例を示す断面図である。第9の実施形態は、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1または出射面S2上、またはその面と波長選択反射膜3との間に、バリア層71とをさらに備える点において、第8の実施形態とは異なっている。図24では、指向反射体1が、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1上に、バリア層71をさらに備える例が示されている。図25では、指向反射体1が、窓材10などの被着体を貼り合わせる側となる第1の基材4aと樹脂層4bとの間に、バリア層71をさらに備える例が示されている。
図26は、本発明の第10の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第10の実施形態において、第8の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第10の実施形態は、指向反射体1の入射面S1および出射面S2のうちの少なくとも一方に形成されたハードコート層72をさらに備える点において、第8の実施形態とは異なっている。なお、図26は、指向反射体1の出射面S2にハードコート層72が形成された例が示されている。
図27は、本発明の第11の実施形態に係る指向反射体の一構成例を示す断面図である。第11の実施形態において、第10の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第11の実施形態は、ハードコート層72上に防汚層74をさらに備える点において、第10の実施形態とは異なっている。また、ハードコート層72と防汚層74との間の密着性を向上する観点からすると、ハードコート層72と防汚層74との間に、カップリング剤層(プライマー層)73をさらに備えることが好ましい。
まず、図28に示すように、バイトによる切削加工によりプリズム形状をNi―P製金型に付与した。次に、このNi―P製金型に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合樹脂(日本化薬社製、商品名DPHA)を塗布し、さらにその上に厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を載置した。次に、PETフィルム側からUV光を混合樹脂に対して照射し、混合樹脂を硬化させた後、樹脂とPETフィルムの密着体を金型から剥離した。
まず、図30A、図30Bに示すように、バイトによる切削加工により、三角錐形状をNi−P製金型に付与した。次に、このNi−P製金型に、ウレタンアクリレート(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)を塗布し、さらにその上に厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を設置し、PETフィルム側からUV光を照射して樹脂を硬化させた。
選択反射膜を表1に示す膜厚構成にした以外は、実施例2と同様にして実施例3の光学フィルムを得た。
選択反射膜を表1に示す膜厚構成にした以外は、実施例2と同様にして実施例4の光学フィルムを得た。
実施例2と同様に、硬化後の屈折率が1.533の樹脂を用いて三角錐形状を形成後、実施例2と同様の構成で酸化亜鉛膜および銀合金膜の交互多層膜による選択再帰反射膜を形成した。その後、交互多層膜が形成されている形状面上にUV硬化型樹脂(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.540)を塗布した。更にその上に厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を設置し、気泡を押し出した後に、このPETフィルム越しにUV光を照射し、樹脂を硬化させた。以上により、上層樹脂と下層樹脂の屈折率差0.007の実施例5の光学フィルムを得た。
上層に硬化後屈折率が1.542のUV硬化樹脂を用い、上層樹脂と下層樹脂の屈折率差を0.009とした以外は実施例5と同様にして実施例6の光学フィルムを得た。
平滑な表面を有するPETフィルム上に、表1に示す膜厚構成で交互多層膜を成膜して、比較例1の光学フィルムを得た。
平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例2と同一の製膜条件下で交互多層膜を製膜して、比較例2の光学フィルムを得た。
平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例3と同一の製膜条件下で交互多層膜を製膜して、比較例3の光学フィルムを得た。
平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例4と同一の製膜条件下で交互多層膜を製膜して、比較例4の光学フィルムを得た。
交互多層膜の形成工程までは実施例2と同様にして、交互多層膜付PETフィルムを得た後、その交互多層膜上を樹脂で埋めずに交互多層膜が露出した状態として、比較例5の光学フィルムを得た。
交互多層膜の形成工程までは実施例2と同様にして、交互多層膜付PETフィルムを得た後、交互多層膜が形成されている形状面上に下地層と同じ樹脂(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)を塗布した。次に、塗布した樹脂上にPETフィルムを被せない状態で、酸素による硬化阻害を回避するため、N2パージ下にてUV光を照射し、樹脂を硬化させた。これにより、比較例6の光学フィルムを得た。
上層に硬化後屈折率が1.546のUV硬化樹脂を用い、上層樹脂と下層樹脂の屈折率差を0.013とした以外は実施例5と同様にして比較例7の光学フィルムを得た。
上層に硬化後屈折率が1.558のUV硬化樹脂を用い、上層樹脂と下層樹脂の屈折率差を0.025とした以外は実施例5と同様にして比較例8の光学フィルムを得た。
実施例1、比較例1の光学フィルムの指向反射率を以下のようにして評価した。
図31は、光学フィルムの再帰反射率を測定するため測定装置の構成を示す。ハロゲン灯光源101から出射されレンズによりコリメートされた直線光が、光の進行方向に対し45°の角度に設置されたハーフミラー102に入射する。入射光の半分は、ハーフミラー102により反射されてその進行方向が90°回転するのに対して、入射光の残り半分は、ハーフミラー102を透過する。次に、反射光がサンプル103で再帰反射し、再びハーフミラー102に入射する。この入射光の半分が、ハーフミラー102を透過しディテクター104に入射する。この入射光の強度が、反射強度としてディテクター104により測定される。
実施例1〜6、比較例5〜8の光学フィルムの指向反射方向の評価を、上述の図31に示した測定装置を用いて以下のようにして行った。サンプル103を中心軸として、ディテクター104を矢印aに示すように回転させて、反射強度が最大となる方向を測定した。その結果を表3に示す。
実施例2〜4、比較例2〜4の光学フィルムの垂直透過率を以下のようにして評価した。
可視及び近赤外領域の垂直透過率を島津製作所製DUV3700により測定した。その分光透過率波形を図32および図33に示す。
実施例2〜4、比較例2〜4の光学フィルムの色度を以下のようにして評価した。
背面の色の影響を抑制するため、実施例および比較例の光学フィルムを黒色板(三菱レーヨン製 アクリライト L502)の上に置き、SP62(xRite社製 積分球型測色計。d/8°光学系、D64光源、2°視野、SPEXモード)により測定を行った。その結果を表4に示す。なお、サンプルを置かず測定した黒色板の色度はx=0.325、y=0.346であった。
実施例1〜5、比較例5〜8の光学フィルムの透過写像鮮明性を以下のようにして評価した。JIS−K7105に従い、くし幅2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.125mmの光学くしを用いて透過写像鮮明度を評価した。評価に使用した測定装置はスガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−1T型)である。次に、くし幅2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.125mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の総和を求めた。それらの結果を表3に示す。
実施例1〜6、比較例5〜8の光学フィルムのヘイズ評価を以下のようにして評価した。
JIS K7136に準拠した測定条件に基づき、ヘイズメータHM−150(村上色彩技術研究所製)を用いてヘイズの測定を行った。その結果を表3に示す。なお、光源はD65光源を用い、フィルターは適用しないで測定した。
実施例1〜6、比較例5〜8の光学フィルムの視認性を以下のようにして評価した。
作製したフィルムを光学透明な粘着剤により3mm厚のガラスに貼合した。次にこのガラスを目から50cm程度離して保持し、ガラス越しに約10mの距離にある隣の建物内部を観察し、以下の基準で評価した。その結果を表3に示す。
◎:回折による多重像などは見られず、通常の窓と同様に見える
○:通常の使用には問題ないが、鏡面反射体などがあると回折による多重像が若干見える
△:物体のおおよその形状は見分けられるが、回折による多重像が気になる
×:回折の影響などで曇って何があるか分からない
比較例6の光学フィルムの表面粗さを以下のようにして評価した。
触針式表面形状測定器ET−4000(小坂研究所製)を用いて、表面の粗さを測定した。その結果を図34に示す。
実施例1の光学フィルムでは、可視光の透過率を80%以上に維持しながら、近赤外線を指向反射させることができる。これに対して、比較例1の光学フィルムは、可視光の透過率を実施例1と同程度にできるが、入射角0度以外では近赤外線を再帰反射させることはできない。
比較例5の光学フィルムでは、波長1200nm程度の近赤外線に対して指向反射性が得られ、可視光線は透過するものの、交互多層膜上に樹脂層が形成され、透明化処理がされていないため、光学フィルムを介して反対側の物体を視認することはできない。比較例6の光学フィルムでは、図34に示すように、透明化処理の際に表面を完全に平らにすることができない。このため、比較例6の光学フィルムでは、比較例5と同様に光学フィルムを介して反対側の物体を視認することができない。三角錐の底辺のピッチ約110μmに対し、最大高さRzが1.3μm程度、算術平均粗さRaが0.14μm程度であることから、透過像を鮮明にするためには、より平滑な表面が必要であることがわかる。
また、比較例7、8の光学フィルムではそれぞれ、屈折率差が0.013、0.025であるため、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度が50未満となっている。また、0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した写像鮮明度の値の合計値が230未満となっている。したがって、比較例7、8の光学フィルムでは、散乱光が増加するとともに、可視光の選択透過性が低下している。すなわち、光学フィルムの透明性が低下している。
実施例1〜6の光学フィルムでは、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した写像鮮明度が50以上であり、各光学くしを用いて測定した写像鮮明度の値の合計値が230以上である。また、視認性の評価結果は「○」または「◎」となっている。
これに対して、比較例5〜8の光学フィルムでは、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した写像鮮明度が50未満であり、各光学くしを用いて測定した写像鮮明度の値の合計値が230未満である。また、視認性の評価結果は「×」となっている。
以上により、視認性の観点から、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度を50以上とすることが好ましい。また、視認性の観点から、0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した写像鮮明度の値の合計値を、230以上にすることが好ましい。
比較例2の光学フィルムは、可視光領域において反射率が高く金色がかった色調を呈する。比較例3の光学フィルムは、可視光領域において反射率が高く青緑色がかった色調を呈する。比較例4の光学フィルムは、可視光領域において反射率が高く赤色がかった色調を呈する。また、比較例3〜4の光学フィルムの色は見る角度によっても変化する。すなわち、比較例2〜4の光学フィルムの色調は、ビルの窓などに適用しにくいものとなっている。これに対して、比較例2〜4それぞれと同一の膜構成を有する実施例2〜4の光学フィルムには、見ると気にならない程度の色相で、実施例2は若干緑色、実施例3、4は若干青みがかっているが、その色相は見る角度を変えても殆ど色が変わらない。このような特性は、意匠性が要求されるような窓ガラスなどに光学フィルムを適用する場合に好ましいものである。
まず、図35A、図35Bに示す微細三角錐形状を有するNi−P金型ロールをバイトによる切削加工により作製した。次に、厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)上にウレタンアクリレート(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)を塗布し、金型に密着させた状態でPETフィルム側からUV光を照射してウレタンアクリレートを硬化させた。次に、ウレタンアクリレートが硬化されてなる樹脂層とPETフィルムとの積層体をNi−P製金型から剥離した。これにより、三角錐形状が付与された樹脂層(以下、形状樹脂層と称する。)がPETフィルム上に形成された。次に、金型により三角錐形状が成形された成形面に対し、表5に示す膜構成を有する波長選択反射膜をスパッタ法により製膜を行った。なお、AgPdCu膜の製膜には、Ag/Pd/Cu=99.0at%/0.4at%/0.6at%の組成を有する合金ターゲットを使用した。
ウレタンアクリレート 99質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート 1質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)
波長選択反射膜を表5に示す膜構成にした以外は、実施例7と同様にして実施例8の光学フィルムを得た。
波長選択反射膜を表5に示す膜構成にした以外は、実施例7と同様にして実施例9の光学フィルムを得た。なお、AgBi膜の製膜には、Ag/Bi=99.0at%/1.0at%の組成を有する合金ターゲットを使用し、Nb2O5膜の製膜には、Nb2O5セラミックスターゲットを用いた。
波長選択反射膜を表5に示す膜構成にした以外は、実施例9と同様にして実施例10の光学フィルムを得た。
波長選択反射膜を表5に示す膜構成にした以外は、実施例9と同様にして実施例11の光学フィルムを得た。
波長選択反射膜を表5に示す膜構成にした以外は、実施例9と同様にして実施例12の光学フィルムを得た。
形状付きPETフィルムに代えて、平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例7と同一構成の波長選択反射膜を成膜した以外は、比較例1と同様にして比較例9の光学フィルムを得た。
形状付きPETフィルムに代えて、平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例8と同一構成の波長選択反射膜を成膜した以外は、比較例1と同様にして比較例10の光学フィルムを得た。
形状付きPETフィルムに代えて、平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例9と同一構成の波長選択反射膜を成膜した以外は、比較例1と同様にして比較例11の光学フィルムを得た。
形状付きPETフィルムに代えて、平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例10と同一構成の波長選択反射膜を成膜した以外は、比較例1と同様にして比較例12の光学フィルムを得た。
形状付きPETフィルムに代えて、平滑な表面を有するPETフィルム上に、実施例12と同一構成の波長選択反射膜を成膜した以外は、比較例1と同様にして比較例13の光学フィルムを得た。
作製したフィルムを光学透明な粘着剤により3mm厚のガラスに貼合し、フィルムの端を剥がしてその様子を観察した。
◎:剥離が困難であり、無理に剥がすと、基材や樹脂などのバルク破壊が生じる
○:剥離が比較的困難であるが、無理に剥がすと界面で剥離する
△:界面での剥離は生じるが、剥離時に抵抗を感じる
×:抵抗なく界面剥離が生じる
コニカミノルタ製、分光側色計CM−3600dにより、D65光源における透過率および反射率を測定した。透過率は光学フィルムの垂線を基準として0°のものであり、反射率は光学フィルムの垂線を基準として8°のものである。その結果を図36〜図40に示す。
コニカミノルタ製、分光側色計CM−3600dにより、D65光源における透過色座標、および反射色座標を測定した。また、目視により透過光および反射光の赤みを判定した。その結果を表6、表7に示す。
n1方向:PETフィルムに付与されたプリズム形状の傾斜面に対して垂直な方向
n2方向:PETフィルムの主面に対して垂直な方向(PETフィルムの厚さ方向)
可視光透過率を向上するためには、可視視感度係数が高い波長500nm程度で高い透過率を有する必要があり、400〜750nmの光を通す事が望ましい。一方、熱の遮蔽を高めるためには、遮蔽に対する感度係数が高い波長域の光線を遮断する必要がある。これらを鑑み、可視透過率を向上させ、熱の遮蔽を向上するためには、波長400〜750nm程度の可視光線を透過し、波長750〜1300nm程度の近赤外線を効果的に遮断する必要がある。
比較例9、11〜13の光学フィルムは、赤紫〜紫の反射色相で、窓ガラスに貼ると気になる程の反射色を示している。比較例10の光学フィルムは、赤色の反射は気にならない程度であったが、太陽光の熱をさえぎるために必要な近赤外線のうち、波長800〜900nmにおける反射率が50%以下と低く、赤みと熱遮蔽性能の両立が難しい。
これに対して、実施例7〜10、12の光学フィルムは、反射光が光源の方向に再帰するために反射色が認識されず、太陽光を反射させて見ても、透過させて見ても、青緑系統の色しか認識されず、窓に適用すると涼しさを感じるような好ましい色調であった。そして、例えば実施例9の光学フィルムは、比較例11と同一の膜構成であり、赤外線の反射能力も高い。このように、本実施例のフィルムを適用すると、好ましい外観色と赤外線遮蔽性能を両立することができる。
まず、図35A、図35Bに示す微細三角錐形状を有するNi−P金型ロールをバイトによる切削加工により作製した。次に、厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)上にウレタンアクリレート(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)を塗布し、金型に密着させた状態でPETフィルム側からUV光を照射してウレタンアクリレートを硬化させた。次に、ウレタンアクリレートが硬化されてなる樹脂層とPETフィルムとの積層体をNi−P製金型から剥離した。これにより、三角錐形状が付与された樹脂層(以下、形状樹脂層と称する。)がPETフィルム上に形成された。次に、金型により三角錐形状が成形された成形面に対し、表9に示す反射膜Aを有する波長選択反射膜をスパッタ法により製膜を行った。なお、AgPdCu膜の製膜には、Ag/Pd/Cu=99.0at%/0.4at%/0.6at%の組成を有する合金ターゲットを使用した。
ウレタンアクリレート 99質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート 1質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)
但し、ウレタンアクリレートには、光重合開始剤などが含有されている。
包埋樹脂層を下記組成にした以外は、実施例13と同様にして実施例14の光学フィルムを得た。
ウレタンアクリレート 98質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート 2質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)
包埋樹脂層を下記組成にし、形状樹脂層の屈折率を合わせるために形状樹脂層の配合を変え、硬化後の屈折率を1.530とした以外は、実施例13と同様にして実施例15の光学フィルムを得た。
ウレタンアクリレート 95質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート 5質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)
包埋樹脂層を下記組成にした以外は、実施例15と同様にして実施例16の光学フィルムを得た。
<上層の樹脂組成物の配合>
ウレタンアクリレート 95質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート 5質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−2M)
波長選択反射膜を表9に示す反射膜Bにした以外は、実施例13と同様にして実施例17の光学フィルムを得た。なお、AgBi製膜時には、Ag/Bi=99.0at%/1.0at%の合金ターゲットを使用し、Nb2O5製膜時には、Nb2O5セラミックスターゲットを用いた。
波長選択反射膜を表9に示す反射膜Cにした以外は、実施例17と同様にして実施例18の光学フィルムを得た。
波長選択反射膜を表9に示す反射膜Dにした以外は、実施例13と同様にして実施例19の光学フィルムを得た。
包埋樹脂層と形状樹脂層とを下記組成にした以外は、実施例13と同様にして実施例20の光学フィルムを得た。
<上層の樹脂組成物の配合>
ウレタンアクリレート 70質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイロキシエチル−コハク酸 30質量部
(共栄化学社製、HOA−MS)
包埋樹脂層と形状樹脂層を下記組成にした以外は、実施例13と同様にして実施例21の光学フィルムを得た。
ウレタンアクリレート 85質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
γ−ブチロラクトンメタクリレート 15質量部
(大阪有機化学社製、GBLMA)
包埋樹脂層を形状樹脂層と同一組成にした以外は、実施例13と同様にして実施例22の光学フィルムを得た。
包埋樹脂層と形状樹脂層を下記組成にした以外は、実施例13と同様にして実施例23の光学フィルムを得た。
ウレタンアクリレート 99質量部
(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート 1質量部
(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)
作製した光学フィルムを光学透明な粘着剤により3mm厚のガラスに貼合し、フィルムの端を剥がしてその様子を観察した。その評価結果を表8に示す。
◎:剥離が困難であり、無理に剥がすと、基材や樹脂などのバルク破壊が生じる
○:剥離が比較的困難であるが、無理に剥がすと界面で剥離する
△:界面での剥離は生じるが、剥離時に抵抗を感じる
×:抵抗なく界面剥離が生じる
図35に示す微細三角錐形状を有するNi−P平板金型をバイトによる切削加工により作製し、各樹脂を塗布後、厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を被せ、金型に密着させた状態でPETフィルム側からUV光を1000mJ/cm2照射して樹脂を硬化させた。この樹脂とPETフィルムの積層体をNi−P製金型から剥離させて離型性を評価した。その評価結果を表8に示す。
○:硬化後、容易に離型可能
△:硬化後、離型は可能だが、樹脂が一部型に残り、形状フィルムにムラが見える
×:硬化後、型に密着して剥離しない
作製した光学フィルムを光学透明な粘着剤により3mm厚のガラスに貼合した。次に、このガラスを目から50cm程度離して保持し、ガラス越しに約10mの距離にある隣の建物内部を観察し、以下の基準で評価した。その評価結果を表8に示す。
○:回折による多重像などは殆ど見られず、窓としての使用に問題ない
△:物体のおおよその形状は見分けられるが、回折による多重像が気になる
×:回折の影響などで曇って何があるか分からない
まず、真空スパッタリンツ法により、ZnO膜をガラス板上に20nm製膜し、試験片を作製した。次に、アクリル樹脂組成物(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)に対して、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)の添加量を表10に示すように変えて添加した。これにより、添加剤の添加量が異なるアクリル樹脂組成物を得た。次に、これらのアクリル樹脂組成物を、作製した試験片に塗布した後、ゼオノアフィルムを被せ、UV光を1000mJ/cm2照射して樹脂を硬化させた。以上により、目的とするサンプルを得た。
添加剤として2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学社製、ライトアクリレートP−2M)を用い、その添加量を表10に示すように変えた以外は試験例1と同様にして、試験片を作製した。
添加剤として2−アクリロイロキシエチル−コハク酸(共栄化学社製、HOA−MS)を用い、その添加量を表10に示すように変えた以外は試験例1と同様にして、試験片を作製した。
添加剤としてγ−ブチロラクトンメタクリレート(大阪有機化学社製、GBLMA)を用い、その添加量を表10に示すように変えた以外は試験例1と同様にして、試験片を作製した。
次に、上述のようにして作製して試験片からゼオノアフィルムを剥離し、樹脂をカッターで100マスにクロスカットし、密着性試験を行った。その評価結果を表10に示す。
◎:密着性が高く、剥離0
○:比較的密着が強く、剥離0〜20
△:比較的密着が弱く、剥離20〜50
×:密着が弱く、剥離50〜100
リン酸系の添加剤では0.5%程度の比較的少量の添加により、密着性が向上する事が分かる。一方、コハク酸系やブチロラクトン酸系の添加剤では、比較的多量の20%程度以上添加する事で、密着性が向上する事が分かった。
まず、バイトにより切削加工により、図35に示す微細三角形状を有するNi−P平板金型を作製した。次に、アクリル樹脂組成物(東亞合成製、アロニックス、硬化後屈折率1.533)に対して、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学社製、ライトアクリレートP−1A)の添加量を表11に示すように変えて添加した。これにより、添加剤の添加量が異なるアクリル樹脂組成物を得た。次に、これらのアクリル樹脂組成物を、作製したNi−P平板金型の形状面に塗布した。次に、厚み75μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を被せ、金型にPETフィルムを密着させた状態でPETフィルムからUV光を1000mJ/cm2照射して樹脂を硬化させた。以上により、目的とするサンプルを得た。
添加剤として2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学社製、ライトアクリレートP−2M)を用い、その添加量を表11に示すように変えた以外は試験例5と同様にして、サンプルを作製した。
添加剤として2−アクリロイロキシエチル−コハク酸(共栄化学社製、HOA−MS)を用い、その添加量を表11に示すように変えた以外は試験例5と同様にして、サンプルを作製した。
添加剤としてγ−ブチロラクトンメタクリレート(大阪有機化学社製、GBLMA)を用い、その添加量を表11に示すように変えた以外は試験例5と同様にして、サンプルを作製した。
(離型性評価)
次に、硬化した樹脂層とPETフィルムとの積層体をNi−P平板金型から剥離させて離型性を評価した。その評価結果を表11に示す。
○:硬化後、容易に剥離可能
△:硬化後、剥離は可能だが、樹脂が一部型に残り、形状フィルムにムラが見える
×:硬化後、型に密着して剥離できない
添加剤がゼロの物は型から容易に剥離するが、密着性を向上する添加剤を少なくとも1%入れた物は剥離性に問題がある事が分かった。特に少量で密着性が向上するリン酸系の添加剤を添加した物は1%の添加で型に完全に密着するのに対し、密着性の比較的劣るブチロラクトン系でも1%の添加で樹脂が一部型に残るため、形状転写に使用出来ない事が分かる。
2 光学層
3 波長選択反射膜
4 第1の光学層
4a 第1の基材
4b 第1の樹脂層
5 第2の光学層
5a 第2の基材
5b 第2の樹脂層
6 自己洗浄効果層
7 光散乱層
8 接合層
9 反射膜付き光学層
10 窓材
11 構造体
12 微粒子
21 透明樹脂
22 剥離用フィルム
23 光源
31 ビーズ
32 焦点層
41 窓材
42 構造体
43 光学層
71 バリア層
72 ハードコート層
73 カップリング剤層
74 防汚層
S 入射面
L 入射光
L1 反射光
L2 透過光
Claims (15)
- 光が入射する入射面を有する光学層と、
上記光学層内に形成された波長選択反射膜と
を備え、
上記波長選択反射膜が、上記入射面に対して傾斜した複数の波長選択反射膜からなり、
上記複数の波長選択反射膜が、互いに平行に配置されており、
入射角(θ、φ)(但し、θ:上記入射面に対する垂線と、上記入射面に入射する入射光または上記入射面から出射される反射光とのなす角、φ:上記入射面内の特定の直線と、上記入射光または上記反射光を上記入射面に射影した成分とのなす角)で上記入射面に入射した光のうち、主に特定波長帯780nm〜2100nmの近赤外光を正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に選択的に指向反射するのに対して、上記波長帯域以外の光を透過する光学体。 - 上記特定波長帯の光に対する指向反射の方向φが、−90°以上、90°以下である請求項1記載の光学体。
- 上記特定波長帯の光に対する指向反射の方向が、(θ、φ)近傍である請求項1記載の光学体。
- 上記波長選択反射膜が、可視光領域において透明性を有する導電性材料を主成分とする透明導電膜、または外部刺激により反射性能が可逆的に変化するクロミック材料を主成分とする機能膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学体。
- 上記波長選択反射膜は、第1の主面および第2の主面を有し、
上記光学層が、上記波長選択反射膜の第1の主面上に形成された第1の光学層と、上記波長選択反射膜の第2の主面上に形成された第2の光学層とを備え、
上記第1の光学層は、上記波長選択反射膜が形成される面に1次元配列された構造体を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学体。 - 上記第1の光学層と上記第2の光学層との屈折率差が、0.010以下である請求項5記載の光学体。
- 上記第1の光学層と上記第2の光学層とが、可視光領域において透明性を有する同一樹脂からなり、上記第2の光学層には添加剤が含まれている請求項5記載の光学体。
- 上記構造体のピッチが、30μm以上5mm以下である請求項5記載の光学体。
- 上記光学層が、可視領域における特定の波長帯の光を吸収する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学体。
- 上記光学層の表面、上記光学層の内部、および上記波長選択反射膜と上記光学層との間のうち、少なくとも1箇所に光散乱体をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学体。
- 上記光学体の上記入射面上に、撥水性または親水性を有する層を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学体を備える窓材。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学体を備えるブラインド。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学体を備えるロールカーテン。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学体を備える障子。
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