JP6580202B2 - 光学部材及びその製造方法 - Google Patents
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それに対し、前記日光を反射するフィルムは、前記熱割れが起こりにくい。前記日光を反射するフィルムは、反射層として光学多層膜、金属含有膜、透明導電性膜などを用いる技術が既に知られている。しかし、通常、前記反射層は平面上のガラスに設けられるため、入射した太陽光を正反射させることしかできない。このため、上空から照射されて正反射された光は、屋外の別な建物や地面に到達し、吸収されて熱に変わり、周囲の気温を上昇させる。これにより、このような反射層が窓全体に貼られたビルの周辺では、局所的な温度上昇が起こり都市部ではヒートアイランドが増長し、反射光の照射面のみ芝生が生長しないなどの問題がある。
しかし、そのような反射構造の場合、日光吸収が大きくなり、前記日光を吸収するフィルムと同様に、窓ガラスが熱割れする可能性があるという問題がある。
<1> 凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも非晶質高屈折率層と、金属層とを有することを特徴とする光学部材である。
<2> 非晶質高屈折率層が、金属酸化物及び金属窒化物のいずれかを少なくとも含有する前記<1>に記載の光学部材である。
<3> 金属層の平均厚みが、5.0nm〜23.0nmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学部材である。
<4> 第1の光学透明層の凸形状が、多数の構造体の1次元配列及び2次元配列のいずれかにより形成され、前記構造体の形状が、プリズム形状、レンチキュラー形状、半球状、及びコーナーキューブ状のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学部材である。
<5> 波長選択反射層の金属層における突出部が、200nmあたり10個以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学部材である。
<6> 非晶質高屈折率層が、In2O3と前記In2O3に対して10質量%〜40質量%のCeO2とを含有する複合金属酸化物、ZnOと前記ZnOに対して20質量%〜40質量%のSnO2とを含有する複合金属酸化物、及びZnOと前記ZnOに対して10質量%〜20質量%のTiO2とを含有する複合金属酸化物の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の光学部材である。
<7> 凸形状を有する第1の光学透明層を形成する第1の光学透明層形成工程と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に、少なくとも非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層を形成する波長選択反射層形成工程とを有し、
前記波長選択反射層形成工程において、スパッタリング法により、60℃以下で前記非晶質高屈折率層を形成することを特徴とする光学部材の製造方法である。
本発明の光学部材は、第1の光学透明層と、波長選択反射層とを有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記第1の光学透明層は、凸形状を有し、可視光に対して透明である。
前記第1の光学透明層としては、前記波長選択反射層を支持するための支持体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の光学透明層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂が挙げられる。
意匠性の付与、即ち可視領域における特定の波長の光を吸収する特性は、例えば、前記第1の光学透明層に顔料を含有させることにより行うことができる。
前記顔料は、前記樹脂中に分散させることが好ましい。
前記樹脂中に分散させる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系顔料、有機系顔料などが挙げられるが、特に顔料自体の耐候性が高い無機系顔料とすることが好ましい。
前記無機系顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコングレー(Co、NiドープZrSiO4)、プラセオジムイエロー(PrドープZrSiO4)、クロムチタンイエロー(Cr、SbドープTiO2又はCr、WドープTiO2)、クロムグリーン(Cr2O3など)、ピーコック((CoZn)O(AlCr)2O3)、ビクトリアグリーン((Al、Cr)2O3)、紺青(CoO・Al2O3・SiO2)、バナジウムジルコニウム青(VドープZrSiO4)、クロム錫ピンク(CrドープCaO・SnO2・SiO2)、陶試紅(MnドープAl2O3)、サーモンピンク(FeドープZrSiO4)などが挙げられる。
前記有機系顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料などが挙げられる。
図2A〜図2Cは、第1の光学透明層が含有する構造体の形状例を示す斜視図である。構造体11は、一方向に延在された柱状の凸部であり、この柱状の構造体11が一方向に向かって1次元配列されている。波長選択反射層はこの構造体上に成膜させるため、前記波長選択反射層の形状は、構造体11の表面形状と同様の形状を有することになる。
なお、図1A、図1B、図2A、図2B、図2Cにおいて、符号3は波長選択反射層であり、符号4は、第1の光学透明層であり、符号5は、第2の光学透明層である。以下、本明細書の各図において、同一の部材等には同一の符号を示す。
前記波長選択反射層は、少なくとも非晶質高屈折率層(非晶質な高屈折率層)と、金属層とを有する。
前記波長選択反射層は、前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成される。
前記波長選択反射層は、赤外の特定波長を選択的に反射する。
前記波長選択反射層は、非晶質高屈折率層と、金属層とが交互に積層されていてもよい。ただし、前記波長選択反射層の最表面が高屈折率層である場合、前記最表面の前記高屈折率層は、非晶質であってもよいし、結晶質であってもよい。
本発明者らは鋭意検討した結果、前記第1の光学透明層の凸形状上に、非晶質高屈折率層を形成すると、非晶質高屈折率層が均一の厚みになり、その上に形成される金属層も均一に成膜され、日光吸収が小さくなることを見出した。
前記突出部の数は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、断面画像の観察により測定する。具体的には、以下の方法により測定する。
TEMによる断面画像を得る。前記断面画像において、金属層中に、上下2本の直線を引いた時、2本の直線に挟まれた金属層の部分の面積が最大の値をとる時の上側の直線を基準線とする。前記基準線から前記金属層の厚みの1/2以上が飛び出した前記金属層の一部を部分を、「突出部」とする。そして、前記断面画像中の200nmの長さの前記基準線における前記突出部の数を数える。TEMによる断面観察を、前記波長選択反射層の各前記金属層それぞれについて1箇所ずつ行い、最も突出部の多い金属層における200nmあたりの突出部の数とする。
前記金属層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属単体、合金などが挙げられる。
前記金属単体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Geなどが挙げられる。
前記合金としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Ag系、Cu系、Al系、Si系又はGe系の材料が好ましく、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgSi、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、AgPdFeがより好ましい。また、前記金属層の腐食を抑えるために、前記金属層に対してTi、Ndなどの材料を添加することが好ましい。特に、金属層の材料としてAgを用いる場合には、Ti、Ndを添加することが好ましい。
前記非晶質高屈折率層は、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する非晶質な高屈折率層である。前記非晶質高屈折率層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物、金属窒化物などが挙げられる。前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化インジウムスズ、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化スズ、酸化アルミニウムなどが挙げられる。前記金属窒化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタンなどが挙げられる。
更に添加する元素や量を制御して非晶質膜になりやすい材料を適用する事が好ましい。そのような材料としては、例えば、In2O3と前記In2O3に対して10質量%〜40質量%のCeO2とを含有する複合金属酸化物、ZnOと前記ZnOに対して20質量%〜40質量%のSnO2とを含有する複合金属酸化物、及びZnOと前記ZnOに対して10質量%〜20質量%のTiO2とを含有する複合金属酸化物などが挙げられる。
非晶質性については、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、層の断面画像の観察により確認することができる。
ここで高屈折率とは、例えば、屈折率1.7以上を指す。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第2の光学透明層、機能層などが挙げられる。
前記第2の光学透明層は、例えば、前記第1の光学透明層の凸形状を埋め合わせるような凹形状を有している。
前記第2の光学透明層は、透過写像鮮明度や全光線透過率を向上するとともに、前記波長選択反射層を保護するための層である。前記第2の光学透明層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、アクリル等の活性エネルギー線硬化性樹脂などの樹脂が挙げられる。また、前記第2の光学透明層を接着層とし、この接着層を介して窓材に光学部材を貼り合わせる構成としてもよい。前記接着層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感圧性粘着剤(Pressure Sensitive Adhesive:PSA)、紫外線硬化樹脂などが挙げられる。
意匠性の付与、即ち可視領域における特定の波長の光を吸収する特性は、例えば、前記第2の光学透明層に顔料を含有させることにより行うことができる。
前記顔料は、前記樹脂中に分散させることが好ましい。
前記樹脂中に分散させる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の光学透明層の説明において例示した前記顔料などが挙げられる。
前記機能層としては、外部刺激により反射性能などが可逆的に変化するクロミック材料を主成分とするものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記クロミック材料としては、熱、光、侵入分子などの外部刺激により構造を可逆的に変化させる材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、エレクトロクロミック材料などが挙げられる。
前記機能層の配置位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記光学部材は他の熱線カットフィルムと併用して用いることができ、例えば空気と第1の光学透明層との界面に光吸収塗膜を設けることもできる。また、前記光学部材は、ハードコート層、紫外線カット層、表面反射防止層などとも併用して用いることができる。これらの機能層を併用する場合、これらの機能層を光学部材と空気との間の界面に設けることが好ましい。ただし、前記紫外線カット層については、光学部材よりも太陽側に配置する必要があるため、特に室内外の窓ガラス面に内貼り用として用いる場合には、該窓ガラス面と光学部材の間に紫外線カット層を設けることが望ましい。この場合、窓ガラス面と光学部材の間の粘着層中に、紫外線吸収剤を練りこんでおいてもよい。
また、前記光学部材の用途に応じて、前記光学部材に対して着色を施し、意匠性を付与するようにしてもよい。このように意匠性を付与する場合、透明性を損なわない範囲で光学透明層が特定の波長帯の光のみ吸収する構成とすることが好ましい。
図3、図4は、光学部材の機能の一例を説明するための断面図である。ここでは、例として、構造体の形状が傾斜角45°のプリズム形状である場合を例として説明する。
図3に示すように、この光学部材1に入射した太陽光のうち上空に反射する光L1の一部は、入射した方向と同程度の上空方向に指向反射するのに対して、上空に反射しない光L2は光学部材1を透過する。
また、図4に示すように、光学部材1に入射し、波長選択反射層3の反射膜面で反射された光は、入射角度に応じた割合で、上空に反射する光L1と、上空に反射しない光L2とに分離する。そして、上空に反射しない光L2は、第2の光学透明層5と空気との界面で全反射した後、最終的に入射方向とは異なる方向に反射する。
光の入射角度をα、第1の光学透明層4の屈折率をn、波長選択反射層の反射率をRとすると、全入射成分に対する上空に反射する光L1の割合xは以下の式(1)で表される。
x=(sin(45−α')+cos(45−α’)/tan(45+α'))/(sin(45−α')+cos(45−α'))×R2 ・・・(1)
但し、α'=sin−1(sinα/n)
上空に反射しない光L1の割合が多くなると、入射光が上空に反射する割合が減少する。上空に反射する割合を向上するためには、波長選択反射層3の形状、すなわち、第1の光学透明層4の構造体の形状を工夫することが有効である。例えば、上空への反射の割合を向上するためには、構造体11の形状は、図2Cに示すシリンドリカル形状、又は図1A及び図1Bに示す非対称な形状とすることが好ましい。このような形状にすることで、入射光と全く同じ方向に光を反射することはできなくても、建築用窓材などにおいて、上方向から入射した光を上方向に反射させる割合を多くすることが可能である。図2C及び図1A及び図1Bに示す二つの形状は、図5及び図6に示すように、波長選択反射層3による入射光の反射回数が1回で済むため、最終的な反射成分を図3に示すような2回反射させる形状よりも多くすることが可能である。例えば、2回反射を利用する場合、ある波長に対する波長選択反射層の反射率を80%とすると、上空反射率は64%となるが、1回反射で済めば上空反射率は80%となる。
測定装置:全自動微細形状測定機(サーフコーダーET4000A、株式会社小坂研究所製)
λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
データサンプリング間隔0.5μm
本発明の光学部材の製造方法は、第1の光学透明層形成工程と、波長選択反射層形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、第2の光学透明層形成工程などのその他の工程を含む。
前記第1の光学透明層形成工程としては、凸形状を有する第1の光学透明層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記凸形状と同一形状又は反転形状を有する金型を用いて、前記凸形状を有する第1の光学透明層を形成する工程などが挙げられる。
前記波長選択反射層形成工程としては、前記第1の光学透明層上に、波長選択反射層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
スパッタリング法において、形成する高屈折率層を非晶質にするためには、前記第1の光学透明層を60℃以下にして、スパッタリングを行う。前記第1の光学透明層を60℃以下にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以下に調整した支持部材(ロールなど)に前記第1の光学透明層を支持させる方法などが挙げられる。この際、60℃以下という前記温度条件は、前記支持部材の温度であってもよい。
前記第2の光学透明層形成工程としては、前記波長選択反射層上に第2の光学透明層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記波長選択反射層上に、活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布し、硬化する工程などが挙げられる。
まず、バイト(切削工具)を用いた切削加工、レーザー加工などにより加工された、構造体11と同一の凸形状、又はその反転形状を有する金型を準備する。
以上により、所望の形状の波長選択反射層3が設けられた光学部材が得られる。
まず、バイト(切削工具)を用いた切削加工、レーザー加工などにより加工された、構造体と同一の凸形状、又はその反転形状を有する金型を準備する。
次に、例えば、溶融押し出し法、転写法などを用いて、前記金型の凸形状をフィルム状又はシート状の樹脂材料に転写する。前記転写法としては、型に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法や、樹脂に熱や圧力を印加し、形状を転写する方法などが挙げられる。これにより、一主面に凸形状の構造体を有する第1の光学透明層が形成される。
図11に示す製造装置は、スパッタリング用の製造装置であり、巻き出しロール101と、支持ロール102と、巻き取りロール103と、スパッタターゲット104とを有する。
長尺の第1の光学透明層4を、巻き出しロール101に密着させながら支持ロール102に送出し、支持ロール102に密着させた状態で、スパッタターゲット104を用いてスパッタを行い第1の光学透明層4の凸形状(構造体)上に高屈折率層を形成する。その際、支持ロール102の温度を60℃以下としておく。支持ロール102の温度を60℃以下にしておくと、高屈折率層が非晶質な状態で形成される。非晶質高屈折率層が形成された第1の光学透明層4を、支持ロール102を介して巻き取りロール103に搬送し、巻き取る。
さらに、同様の方法により金属層と、非晶質高屈折率層とを交互積層することで第1の光学透明層4上に波長選択反射層3が形成される。
まず、この製造装置の構成について説明する。この製造装置は、巻き出しロール51と、巻き出しロール52と、巻き取りロール53と、ラミネートロール54、55と、ガイドロール56〜60と、塗布装置61と、照射装置62とを備える。
まず、巻き出しロール51から基材5aを送り出す。送り出された基材5aは、ガイドロール56を経て塗布装置61の下を通過する。次に、塗布装置61の下を通過する基材5a上に、塗布装置61により活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する。次に、活性エネルギー線硬化性樹脂が塗布された基材5aをラミネートロールに向けて搬送する。一方、巻き出しロール52から波長選択反射層付き第1の光学透明層9を送り出し、ガイドロール57を経てラミネートロール54、55に向けて搬送する。
基材4aの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、シート状、プレート状、ブロック状などが挙げられる。基材4aの材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。前記公知の高分子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。基材4a、及び基材5aの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生産性の観点から38μm〜100μmであることが好ましい。基材4a、又は基材5aとしては、活性エネルギー線透過性を有することが好ましい。これにより、基材4a、又は基材5aと波長選択反射層3との間に介在させた活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、基材4a、又は基材5a側から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させることができるからである。
樹脂層4b、及び樹脂層5bは、例えば、透明性を有する。樹脂層4bは、例えば、基材4aと波長選択反射層3との間で樹脂組成物を硬化することにより得られる。樹脂層5bは、例えば、基材5aと波長選択反射層3との間で樹脂組成物を硬化することにより得られる。前記樹脂組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、製造の容易性の観点からすると、光又は電子線などにより硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、熱により硬化する熱硬化型樹脂などが好適に挙げられる。前記活性エネルギー線硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光により硬化する感光性樹脂組成物が好ましく、紫外線により硬化する紫外線硬化型樹脂組成物がさらに好ましい。
硬化収縮が少ないよう、オリゴマーを添加してもよい。硬化剤としてポリイソシアネートなどを含んでもよい。また、基材との密着性を考慮して、水酸基含有ビニル系単量体、カルボキシル基含有ビニル系単量体、リン酸基含有ビニル系単量体、多価アルコール類、カルボン酸、カップリング剤(シラン、アルミ、チタン等)や各種キレート剤などを添加してもよい。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソ(i)−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレート、「アクリエステル SL」[三菱レーヨン(株)製の、C12−/C13メタクリレート混合物の商品名]、ステアリル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き側鎖に官能基を含有しない(メタ)アクリレート類;及びエチレン−ジ−(メタ)アクリレートの如き二官能性ビニル系単量体類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジエチルフマレート、ジ(n−ブチル)フマレート、ジ(i−ブチル)フマレートもしくはジブチルイタコネートの如き、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸により代表される各種のジカルボン酸類と1価アルコール類とのジエステル類;
酢酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」〔オランダ国シェル社製の、分岐状(分枝状)脂肪族モノカルボン酸類のビニルエステルの商品名〕、(メタ)アクリロニトリルの如き、各種のビニルエステル類;
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のような、N,N−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;や(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドのブチルエーテル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のようなアミド結合含有ビニル系単量体等の窒素含有ビニル系単量体類;
などが挙げられる。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。図12に示すように、光学部材1は、光学透明層と、この光学透明層の内部に形成された波長選択反射層とを有する。光学部材1は、太陽光などの光が入射する入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、第1の光学透明層4を透過した光が出射される出射面S2とを有する。
光学部材は、前記光学部材を窓材に容易に貼り合わせ可能にする観点からすると、フレキシブル性を有することが好ましい。前記光学部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、シート状、プレート状、ブロック状などが挙げられるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。
また、光学部材の用途に応じて、光学部材に対して着色を施し、意匠性を付与するようにしてもよい。このように意匠性を付与する場合、透明性を損なわない範囲で光学透明層が特定の波長帯の光のみ吸収する構成とすることが好ましい。
図13〜図15は、本発明の第2の実施形態に係る光学部材の構造体の構成例を示す断面図である。第2の実施形態は、第1の光学透明層4の一主面にて構造体が2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。
第1の光学透明層4の一主面には、構造体11が2次元的に配列されている。この配列は、最稠密充填状態での配列であることが好ましい。例えば、第1の光学透明層4の一主面には、構造体11を最稠密充填状態で2次元配列することにより正方稠密アレイ、デルタ稠密アレイ、六方稠密アレイなどの稠密アレイが形成されている。正方稠密アレイは、正方形状の底面を有する構造体11を正方稠密状に配列させたものである。デルタ稠密アレイは、三角形状の底面を有する構造体11を六方稠密状に配列させたものである。六方周密アレイは、六角形状の底面を有する構造体11を六方稠密状に配列させたものである。
構造体11は、例えば、コーナーキューブ状、半球状、半楕円球状、プリズム状、自由曲面状、多角形状、円錐形状、多角錐状、円錐台形状、放物面状などの凸部である。構造体11の底面の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、又は三角形状、四角形状、六角形状、八角形状等の多角形状などが挙げられる。なお、図13では、四角形状の底面を有する構造体11を最稠密充填状態で2次元配列した正方稠密アレイの例が示されている。また、図14では、六角形状の底面を有する構造体を最稠密充填状態で2次元配列したデルタ稠密アレイの例が示されている。また、図15では、三角形の底面を有する構造体11を最稠密充填状態で2次元配列した六方稠密アレイの例が示されている。また、構造体11のピッチP1、P2は、所望とする光学特性に応じて適宜選択することが好ましい。また、光学部材の入射面に対して垂直な垂線に対して、構造体11の主軸を傾ける場合、構造体11の2次元配列のうちの少なくとも一方の配列方向に構造体11の主軸を傾けるようにすることが好ましい。地面に対して垂直に配置された窓材に光学部材を貼る場合には、構造体11の主軸が、垂線を基準にして窓材の下方(地面側)に傾いていることが好ましい。
図16は、本発明の第3の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。図16に示すように、第3の実施形態は、構造体11に代えてビース31を有している点において、第1の実施形態とは異なっている。
基材4cの一主面には、この一主面からビース31の一部が突出するようにビース31が埋め込まれ、基材4cとビース31とにより第1の光学透明層4が形成されている。
第1の光学透明層4の一主面に、焦点層32、波長選択反射層3、第2の光学透明層5が順次積層されている。ビース31は、例えば球状を有する。ビース31は、透明性を有することが好ましい。ビース31は、例えば、ガラスなどの無機材料、又は高分子樹脂などの有機材料を主成分とする。
図17は、本発明の第4の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。第4の実施形態は、光の入射面に対して傾斜した複数の波長選択反射層3を第1の光学透明層4と第2の光学透明層5との間に備え、これらの波長選択反射層3を互いに平行に配列している点において、第1の実施形態とは異なっている。
図18は、本発明の第4の実施形態に係る光学部材の構造体の一構成例を示す斜視図である。構造体11は、一方向に延在された三角柱状の凸部であり、この柱状の構造体11が一方向に向かって一次元配列されている。構造体11の延在方向に垂直な断面は、例えば、直角三角形状を有する。構造体11の鋭角側の傾斜面上に、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの、指向性を有する薄膜形成法により、波長選択反射層が形成される。
第4の実施形態によれば、複数の波長選択反射層を光学部材内に平行に配列している。これにより、前記波長選択反射層による反射回数を、コーナーキューブ形状やプリズム形状の構造体を形成した場合に比べて低減することができる。したがって、反射率を高くすることができ、かつ、前記波長選択反射層による光の吸収を低減できる。
図19は、本発明の第5の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。図19に示すように、第5の実施形態は、光学部材1の入射面上に、洗浄効果を発現する自己洗浄効果層6をさらに有する点において、第1の実施形態とは異なっている。自己洗浄効果層6は、例えば、光触媒を含んでいる。光触媒としては、例えば、TiO2を用いることができる。
上述したように、光学部材は特定波長帯の光を選択的に指向反射する点に特徴を有している。光学部材を屋外や汚れの多い部屋などで使用する際には、表面に付着した汚れにより光が散乱され指向反射特性が失われてしまうため、表面が常に光学的に透明であることが好ましい。そのため、表面が撥水性や親水性などに優れ、表面が自動的に洗浄効果を発現することが好ましい。
第5の実施形態によれば、光学部材の入射面上に自己洗浄効果層6を形成しているので、撥水性や親水性などを入射面に付与することができる。したがって、入射面に対する汚れなどの付着を抑制し、指向反射特性の低減を抑制できる。
第6の実施形態は、特定波長の光を指向反射するのに対して、特定波長以外の光を散乱させる点において、第1の実施形態とは異なっている。光学部材1は、入射光を散乱する光散乱体を備えている。この散乱体は、例えば、第1の光学透明層4又は第2の光学透明層5の表面、第1の光学透明層5又は光学透明層4の内部、及び波長選択反射層3と第1の光学透明層4又は第2の光学透明層5との間のうち、少なくとも1箇所に設けられている。光散乱体は、好ましくは、波長選択反射層3と第2の光学透明層4との間、第2の光学透明層5の内部、及び第2の光学透明層5の表面のうちの少なくとも一箇所に設けられている。光学部材1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、室内側及び室外側のどちらにも適用可能である。光学部材1を室外側に対して貼り合わせる場合、波長選択反射層3と窓材などの支持体との間にのみ、特定波長以外の光を散乱させる光散乱体を設けることが好ましい。光学部材1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、波長選択反射層3と入射面との間に光散乱体が存在すると、指向反射特性が失われてしまうからである。また、室内側に光学部材1を貼り合せる場合には、その貼り合わせ面とは反対側の出射面と、波長選択反射層3との間に光散乱体を設けることが好ましい。
図20Aは、本発明の第6の実施形態に係る光学部材の第1の構成例を示す断面図である。図20Aに示すように、第2の光学透明層5は、樹脂と微粒子12とを含んでいる。微粒子12は、第2の光学透明層5の主構成材料である樹脂とは異なる屈折率を有している。微粒子12としては、例えば、有機微粒子及び無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、微粒子12としては、中空微粒子を用いてもよい。微粒子12としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機微粒子、スチレン、アクリル、やそれらの共重合体などの有機微粒子が挙げられるが、シリカ微粒子が特に好ましい。
図20Bは、本発明の第6の実施形態に係る光学部材の第2の構成例を示す断面図である。図20Bに示すように、光学部材1は、第2の光学透明層5の表面に光拡散層7をさらに備えている。光拡散層7は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。前記微粒子としては、第1の構成例と同様のものを用いることができる。
図20Cは、本発明の第6の実施形態に係る光学部材の第3の構成例を示す断面図である。図20Cに示すように、光学部材1は、波長選択反射層3と第2の光学透明層5との間に光拡散層7をさらに備えている。光拡散層7は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。前記微粒子としては、第1の構成例と同様のものを用いることができる。
第6の実施形態によれば、赤外線などの特定波長帯の光を指向反射し、可視光などの特定波長対以外の光を散乱させることができる。したがって、光学部材1を曇らせて、光学部材1に対して意匠性を付与することができる。
図21は、本発明の第7の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。第7の実施形態は、第1の光学透明層としての窓材41上に波長選択反射層3を直接形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。
窓材41は、その一主面に構造体42を有する。この構造体42が形成された一主面上に、波長選択反射層3、第2の光学透明層43が順次積層されている。構造体42の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の実施形態における構造体11の凹凸を反転した形状などが挙げられる。第2の光学透明層43は、透過写像鮮明度や全光線透過率を向上するとともに、波長選択反射層3を保護するためのものでもある。第2の光学透明層43は、例えば、熱可塑性樹脂、又は活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする樹脂を硬化してなるものである。
図22A、図22Bは、本発明の第8の実施形態に係る光学部材1の第1の構成例を示す断面図である。図23A、図23Bは、本発明の第8の実施形態に係る光学部材1の第2の構成例を示す断面図である。第8の実施形態は、第1の光学透明層4及び第2の光学透明層5の少なくとも一方が、2層構造を有している点において、第1の実施形態とは異なっている。図22A、図22Bでは、外光の入射面S1側となる第1の光学透明層4が2層構造を有する例が示されている。図23A、図23Bでは、外光の入射面S1側となる第1の光学透明層4と、外光の出射面S2側となる第2の光学透明層5との両方が2層構造を有する例が示されている。図22A、図22Bに示すように、第1の光学透明層4の2層構造は、例えば、表面側となる平滑な基材4aと、この基材4a及び波長選択反射層3との間に形成された樹脂層4bとから構成されている。図23A、図23Bに示すように、第2の光学透明層5の2層構造は、例えば、表面側となる平滑な基材5aと、この基材5a及び波長選択反射層3との間に形成された樹脂層5bとから構成されている。
光学部材1は、例えば、接合層8を介して被着体である窓材10の屋内側又は屋外側に貼り合わされる。接合層8としては、例えば、接着剤を主成分とする接着層、又は粘着剤を主成分とする粘着層を用いることができる。接合層8が粘着層であるである場合、図22B、図23Bに示すように、光学部材1としては、例えば、その入射面S1又は出射面S2に形成された接合層8(粘着層)と、この粘着層上に形成された剥離層81とをさらに有することが好ましい。このような構成にすることで、剥離層81を剥離するだけで、接合層8(粘着層)を介して窓材10などの被着体に対して光学部材1を容易に貼り合わせることができるからである。
光学部材1と接合層8との接着性を向上する観点から、光学部材1と接合層8との間に、プライマー層をさらに形成することが好ましい。また、同様に光学部材1と接合層8との接着性を向上する観点から、光学部材1の接合層8が形成される入射面S1又は出射面S2に対して、公知の物理的前処理を施すことが好ましい。公知の物理的前処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマ処理、コロナ処理などが挙げられる。
図23は、本発明の第9の実施形態に係る光学部材の第1の構成例を示す断面図である。図24は、本発明の第9の実施形態に係る光学部材の第2の構成例を示す断面図である。第9の実施形態は、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1又は出射面S2上、又はその面と波長選択反射層3との間に、バリア層71とをさらに有する点において、第8の実施形態とは異なっている。図23では、光学部材1が、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1上に、バリア層71をさらに有する例が示されている。図26では、光学部材1が、窓材10などの被着体を貼り合わせる側となる基材4aと樹脂層4bとの間に、バリア層71をさらに有する例が示されている。
第9の実施形態では、光学部材1が入射面S1又は出射面S2にバリア層71をさらに有するので、入射面S1又は出射面S2から波長選択反射層3への水分の拡散を低減し、波長選択反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学部材1の耐久性を向上することができる。
図25は、本発明の第10の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。第10の実施形態は、光学部材1の入射面S1及び出射面S2のうちの少なくとも一方に形成されたハードコート層72をさらに有する点において、第8の実施形態とは異なっている。なお、図25は、光学部材1の出射面S2にハードコート層72が形成された例が示されている。
第10の実施形態によれば、光学部材1の入射面S1及び出射面S2のうちの少なくとも一方にハードコート層72を形成しているので、光学部材1に耐擦傷性を付与することができる。例えば、光学部材1を窓の内側に貼り合わせた場合には、光学部材1の表面を人が触ったり、又は光学部材1の表面を掃除したときにも傷の発生を抑制したりすることができる。また、光学部材1を窓の外側に貼り合わせた場合にも、同様に傷の発生を抑制することができる。
図26は、本発明の第11の実施形態に係る光学部材の一構成例を示す断面図である。第11の実施形態は、ハードコート層72上に防汚層74をさらに有する点において、第10の実施形態とは異なっている。また、ハードコート層72と防汚層74との間の密着性を向上する観点からすると、ハードコート層72と防汚層74との間に、カップリング剤層(プライマー層)73をさらに有することが好ましい。
第11の実施形態では、光学部材1がハードコート層72上に防汚層74をさらに備えているので、光学部材1に対して防汚性を付与することができる。
まず、バイト(切削工具)を用いた切削加工により、Ni−P製金型ロールの軸方向に図27A及び図27Bに示すような溝構造を付与した。次に、この金型ロールとニップロールとの間に平均厚み75μmのPETフィルム(A4300、東洋紡社製)を通紙し、金型ロールとPETフィルムとの間にウレタンアクリレート(アロニックス、東亞合成社製、硬化後屈折率1.533)を供給してニップしながら走行させ、PETフィルム側からUV光を照射して、樹脂を硬化させることで凸形状を付与したフィルム(第1の光学透明層)を作製した。
得られた光学部材の断面TEM像を図28に示す。図28に示す光学部材は7つの層に分かれているが、下から順に、第1の光学透明層、高屈折率層、金属層、高屈折率層、金属層、高屈折率層、第2の光学透明層である。
波長選択反射層の金属層における突出部の数は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、断面画像の観察により測定した。具体的には、以下の方法により測定した。
TEMによる断面画像を得た。前記断面画像において、金属層中に、上下2本の直線を引いた時、2本の直線に挟まれた金属層の部分の面積が最大の値をとる時の上側の直線を基準線とした。前記基準線から前記金属層の厚みの1/2以上が飛び出した前記金属層の一部を部分を、「突出部」とした。そして、前記断面画像中の200nmの長さの前記基準線における前記突出部の数を数えた。TEMによる断面観察を、前記波長選択反射層の各前記金属層それぞれについて1箇所ずつ行い、最も突出部の多い金属層における200nmあたりの突出部の数とした。
その結果を表1に示す。
波長1,200nmを赤外線の代表値として、光学部材の赤外線吸収率を分光光度計(UV−4100、日立製作所製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、赤外線吸収率は、50%以下が合格ラインである。
光学部材の可視光透過率を紫外可視分光光度計(UV−4100、日立製作所製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、可視光透過率は20%以上が合格ラインである。また、表1に示す可視光透過率は、JIS A 5759に従って測定したものである。
以下の評価基準に基づいて、総合判定を行った。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
◎:赤外線吸収率40%以下及び可視光線透過率30%以上
○:赤外線吸収率50%以下及び可視光線透過率30%以上、又は赤外線吸収率40%以下及び可視光線透過率15%以上(ただし、◎を満たさない)
△:赤外線吸収率40%超50%以下及び可視光線透過率15%以上30%未満
×:赤外線吸収率50%超及び/又は可視光線透過率15%未満
実施例1において、第1の光学透明層の凸形状の有無、PETフィルムの支持に用いたロールの温度、及び波長選択反射層の構成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光学部材を得た。
比較例1について得られた光学部材の断面TEM像を図30に示す。
また、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
構成B:GZO(23.8nm)/AgNdCu(24.3nm)/GZO(73.5nm)/AgNdCu(24.3nm)/GZO(23.8nm)
構成C:GZO(23.8nm)/AgNdCu(16.2nm)/GZO(73.5nm)/AgNdCu(16.2nm)/GZO(23.8nm)
構成D:GZO(23.8nm)/AgNdCu(6.0nm)/GZO(73.5nm)/AgNdCu(6.0nm)/GZO(23.8nm)
構成E:ICO(25.1nm)/AgNdCu(8.1nm)/ICO(77.4nm)/AgPdCu(8.1nm)/ICO(25.1nm)
構成F:ZTO(26.3nm)/AgNdCu(8.1nm)/ZTO(81.2nm)/AgPdCu(8.1nm)/ZTO(26.3nm)
ここで、「ICO」とは、CeO2を30質量%程度添加したIn2O3を意味する。「ZTO」とは、SnO2を30質量%程度添加したZnOを意味する。
可視光線、及び赤外線の透過率、及び反射率を、紫外可視分光光度計(UV-4100、日立製作所製)を用いて測定した。その結果を図29A〜図29Fに示す。
比較例1では、高屈折率層を形成する際の支持ロールの温度を80℃にしたことで、形成された高屈折率層は結晶質であった。その結果、金属層が不均一になり赤外吸収率の高い光学部材となった。
比較例2では、高屈折率層を形成する際の支持ロールの温度を80℃にしたことで、形成された高屈折率層は結晶質であった。また、金属層を厚くしたことにより、可視光透過率の低い光学部材となった。
比較例3及び4では、凸形状を有さない第1の光学透明層を用いた。その場合、支持ロールの温度を80℃にして結晶質な高屈折率層の形成を行っても(比較例3)、支持ロールの温度を20℃にして高屈折率層の形成を行っても(比較例4)、得られる光学部材は、赤外吸収率が低く、かつ可視光透過率が高いものであった。しかし、比較例3及び4の光学部材は、指向反射性を有するものではない。
3 波長選択反射層
4 第1の光学透明層
4a 基材
4b 樹脂層
4c 基材
5 第2の光学透明層
5a 基材
5b 樹脂層
5b’ 樹脂
6 自己洗浄硬化層
7 光散乱層
8 接合層
9 波長選択反射層付き第1の光学透明層
10 窓材
11 構造体
12 微粒子
23 光源
31 ビース
32 焦点層
41 窓材
42 構造体
43 第2の光学透明層
51 巻き出しロール
52 巻き出しロール
53 巻き取りロール
54 ラミネートロール
55 ラミネートロール
56 ガイドロール
57 ガイドロール
58 ガイドロール
59 ガイドロール
60 ガイドロール
61 塗布装置
62 照射装置
71 バリア層
72 ハードコート層
73 カップリング剤層
74 防汚層
81 剥離層
101 巻き出しロール
102 支持ロール
103 巻き取りロール
104 スパッタターゲット
S 入射光
S1 入射面
S2 出射面
L 入射光
L1 上空に反射する光
L2 上空に反射しない光
Claims (10)
- 凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも、屈折率1.7以上の非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、
前記非晶質高屈折率層が、金属酸化物及び金属窒化物の少なくともいずれかを含有し、
前記金属層の平均厚みが、5.0nm〜23.0nmであることを特徴とする光学部材。 - 凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも、屈折率1.7以上の非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、
前記金属層が、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgSi、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、及び、AgPdFeのいずれかであることを特徴とする光学部材。 - 凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも、屈折率1.7以上の非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、
前記非晶質高屈折率層が、In 2 O 3 と前記In 2 O 3 に対して10質量%〜40質量%のCeO 2 とを含有する複合金属酸化物、ZnOと前記ZnOに対して20質量%〜40質量%のSnO 2 とを含有する複合金属酸化物、及びZnOと前記ZnOに対して10質量%〜20質量%のTiO 2 とを含有する複合金属酸化物の少なくともいずれかを含有することを特徴とする光学部材。 - 凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも、屈折率1.7以上の非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、
正反射以外の方向に日光を指向反射することを特徴とする光学部材。 - 非晶質高屈折率層が、金属酸化物及び金属窒化物の少なくともいずれかを含有する請求項2から4のいずれかに記載の光学部材。
- 金属層の平均厚みが、5.0nm〜23.0nmである請求項2から5のいずれかに記載の光学部材。
- 波長選択反射層の金属層における突出部が、200nmあたり10個以下である請求項1から6のいずれかに記載の光学部材。
- 第1の光学透明層の凸形状が、多数の構造体の1次元配列及び2次元配列のいずれかにより形成され、前記構造体の形状が、プリズム形状、レンチキュラー形状、半球状、及びコーナーキューブ状のいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の光学部材。
- 請求項1から8のいずれかに記載の光学部材を製造する光学部材の製造方法であって、
凸形状を有する第1の光学透明層を形成する第1の光学透明層形成工程と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に、少なくとも非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層を形成する波長選択反射層形成工程とを有し、
前記波長選択反射層形成工程において、スパッタリング法により、60℃以下で非晶質高屈折率層を形成することを特徴とする光学部材の製造方法。 - 光学部材の製造方法であって、
前記光学部材が、
凸形状を有し、可視光に対して透明な第1の光学透明層と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に形成され、赤外の特定波長を選択的に反射する波長選択反射層とを有し、
前記波長選択反射層が、少なくとも、屈折率1.7以上の非晶質高屈折率層と、金属層とを有し、
前記凸形状を有する前記第1の光学透明層を形成する第1の光学透明層形成工程と、
前記第1の光学透明層の前記凸形状上に、少なくとも前記非晶質高屈折率層と、前記金属層とを有し、赤外の特定波長を選択的に反射する前記波長選択反射層を形成する波長選択反射層形成工程とを有し、
前記波長選択反射層形成工程において、スパッタリング法により、60℃以下で前記非晶質高屈折率層を形成することを特徴とする光学部材の製造方法。
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