JP5582622B2 - 補償信号プロファイルを有する接触面 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2009年9月2日出願のスウェーデンの特許出願第0950628−8号、2009年9月2日出願の米国仮出願第61/272219号、2009年10月19日出願のスウェーデン特許出願第0950767−4号、2009年10月19日出願の米国仮出願第61/272666号の利益を主張するものであり、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、接触面上の物体の位置を検出するための技術に関する。接触面は、タッチセンシティブパネルの一部でもよい。
タッチセンシティブパネルが、コンピュータ、電子測定及び試験機器、ゲーム装置などに入力データを提供するために使われつつある。パネルには、例えばポインタ、タッチペン又はひとつ又複数の指を使用して相互に作用するユーザ用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)が設けられてもよい。GUIは、固定してもよいし動的でもよい。固定のGUIは例えば、パネルの上、下又は内部に配置される印刷物の形でもよい。動的なGUIは、パネルと統合されるか又はその下方に配置されるディスプレイスクリーンによって、又はプロジェクタによりパネルに投影されている画像によって提供されることができる。
接触感度をパネルに提供する多数の既知の技術があり、例えば、パネル上の接触の位置から離れて散乱した光を捕えるカメラを用いるものや、抵抗ワイア・グリッド、容量性センサ、歪み計などをパネルに組み込むことによるものがある。
米国特許出願公開US2004/0252091は、漏れ全反射(FTIR)に基づく代替の接触検知技術を開示する。2つの離れた光源からの異なるビームがパネルへ結合されて、全反射によりパネル内で伝搬する。各光源からの光は、パネル全体にわたって一様に分配される。光センサの配列がパネルの周辺部付近に位置し、光源からの光を検出する。物体がパネルの表面に接触すると、光は接触の点で局所的に減衰することになる。物体の位置は、光センサの列での各光源からの光の減衰に基づいて三角測量によって判定される。
米国特許第3,673,327号は、類似の接触検知技術を開示しており、そこでは光ビーム発信器の列がパネルの2つのエッジに沿って配置され、内部反射によりパネルを通って伝搬する光線を横切るグリッドをセットアップする。ビーム検出器の対応する列は、パネルの対向エッジに配置される。物体がパネルの表面に接触するとき、接触の位置で交差するビームは、減衰することになる。検出器の列上の減衰したビームは、直接物体の位置を識別する。
これらの周知のFTIR技術は、とりわけ、光を測定するために、パネルに接触する物体を、おそらくパネルに現れる無関係な物体や他のものと十分に区別できる程度の精度を有する比較的複雑な装置の使用が必要なため、高コストであることが欠点である。
上述の点に鑑み、本発明の目的は、上述の技術及び従来技術の改良を提供することにある。より詳しくは、スクリーン上の関係のない物体を考慮し改良された解像度を有する装置を提供することを目的とする。
それゆえ、接触面上の少なくともひとつの物体の位置を判定する装置であって、接触面及び対向面を規定する光透過パネルと、接触面と対向面間の内部反射による伝搬のため、光をパネルに導入するように構成された照明配置と、パネル内を伝搬する光を受光するように構成された光検出配置と、反復的に、i)光検出配置で受光された光の現在の信号プロファイルを判定し、ii)条件が満たされるときに、光検出配置で受光された光のバックグラウンド信号プロファイルを更新し、iii)バックグラウンド信号プロファイル及び現在の信号プロファイルに応じて、現在の補償信号プロファイルを計算し、及び、iv)物体が接触面に接触することによりパネル内を伝搬する光を減衰させるとき、補償信号プロファイルに応じて位置を判定するよう構成されたプロセッサユニットとを備えた装置が提供される。
ここで、光をパネルに導入する多くの技術とともに光を受光する技術があることに留意されたい。本発明の核は、どのようにプロセッサユニットが、物体の位置を判定するために使われる種々の信号プロファイルを処理するように調整できるかであるため、本発明に係る装置は、適切な光導入/受光技術を使用してもよいことを意味する。ここで、「信号プロファイル」は、光検出配置を用いて受光された(そして、暗に測定された)光のエネルギーを表すことができる。従って、照明配置がパネルのインカップリング箇所で光を導入し、一方、光検出配置がパネルのアウトカップリング箇所で光を検出する。よって、信号プロファイルは、アウトカップリング箇所の中の異なる空間位置での受光エネルギーを表す。ここで、現在の信号プロファイルは、現在の投影信号と呼ばれてもよく、バックグラウンド信号プロファイルは、バックグラウンド投影信号と呼ばれてもよく、そして、補償信号プロファイルは、補償投影信号と呼ばれてもよい。
光検出配置により受光された光のバックグラウンド信号プロファイルを更新することは、バックグラウンド信号プロファイルが、プロセッサユニットによって実行される各繰り返しの間に更新されなければならないことを意味するものではなく、むしろバックグラウンド信号プロファイルは、少し以前に又は現在の時間位置で、光検出配置により受光された光に基づいて判定される。
本発明の利点は、物体の位置を判定するときに、バックグラウンド信号プロファイルを断続的に更新することによって、例えば汚れ及び接触面の損傷/欠陥の影響を低減した点にあり、汚れ/損傷/欠陥で生じる信号特徴が自動的に抑制され、又は補償信号プロファイルにおいても除去されることになる。その結果、比較的単純で効率的なデータ処理によって、物体の位置のより正確な判定を得ることができる。また、本発明に係る装置は、物体の位置を判定することが光の減衰と、従って、比較的複雑な受光された光の現在の信号プロファイルとに基づくときに、特に適している。特に、パネルの内部反射が全(又はほぼ全部の)反射(TIR)により生じ、そして、物体の接触によりFTIRが生じる場合に、得られた信号プロファイルを効率的に処理することに関して、本装置が驚くほど有望であることが見出された。
本装置は、汚れが接触面から取り除かれ、それが典型的には取り除かれた汚れの位置で減少した減衰をもたらすという状況を扱うことにも適している。この場合、バックグラウンド信号プロファイルを更新することは、汚れが接触面についたときと比較して、「ネガティブ」とみなされることができる。
プロセッサユニットは、反復的なプロセスを実行するための手段、そして、反復的な処理の間に、現在の信号プロファイルを判定し、バックグラウンド信号プロファイルを更新し、補償信号プロファイルを計算し、物体の位置を判定する手段とみなされることができる。また、当業者が気づくように、プロセッサユニットは、各々が記載される処理動作のひとつ又は複数を実行するひとつ又は複数のデータプロセッサを備えることができる。
上記のように、プロセッサユニットは、接触面に接触している物体の位置を判定するために反復的な動作を実行する。また、繰り返しは、物体が接触面に接触するかに関係なく、連続的に実行されることができる。また、プロセッサユニットの動作は、記載されているものとは異なる順番で実行されることができ、組み合わせてもよいし、下位動作に分けられてもよい。さらに、付加的な動作がプロセッサユニットによって実行されてもよく、プロセッサユニットが接触面に物体が接触することを判定するときのみ、所定の動作が実行されることができる。
ここで、光は、10nmから1mmまでの範囲内で選択される波長を有する電磁放射と呼ばれ、すなわち、赤外線が多くの場合最も好ましい光であるが、紫外、可視及び赤外の光が、物体の位置の検出に使用できる。
プロセッサユニットは、現在の信号プロファイルをバックグラウンド信号プロファイルで割ることで、補償信号プロファイルを計算するように構成されてもよい。このようにプロセッサユニットを構成することにより、補償信号プロファイルは、いわゆる透過信号とみなされることができる。透過信号は、物体が接触面に接触するとき、信号プロファイルの局部的な低下がある約1の(相関的な)透過で本質的に均一の信号レベルを有することができる。
現在の信号プロファイルの透過信号への変換が、接触を表す関連信号の低下の識別を非常に容易にできることは当然である。従って、除算処理を用いて現在の信号プロファイルを透過信号に変換することにより、個々の接触する物体から透過信号の局部的な低下への寄与を切り離すことが可能である。
当業者が気づくように、除算によって補償信号プロファイルを算出するように構成されたプロセッサユニットは、除算だけによって補償信号プロファイルを算出することに制限されず、他に、数学的に対応する動作が同様に実行されてもよい。もちろん、同じことが、以下に記載する信号プロファイルの対数を減算する処理や、信号プロファイル自体を減算する処理に適用でき、後者は透過信号にはならないがむしろ信号レベルの絶対差をもたらす。
プロセッサユニットは、現在の信号プロファイルの対数からバックグラウンド信号プロファイルの対数を減算することで、補償信号プロファイルを計算するように構成されてもよい。
現在の信号プロファイルの対数からバックグラウンド信号プロファイルの対数を減算することで、補償信号プロファイルを計算するとき、減算処理は一般に除算より処理効果的な動作であるため、上述の分割の処理と同じ効果が得られ、計算コストが下がる。また、必要な計算効果を更に減らすために、所定の値の対数を判定することは、テーブル内の値とその対数をルックアップすることに基づくことができる。この場合、補償信号プロファイルは、上述の透過信号の対数に対応する。
プロセッサユニットは、現在の信号プロファイルからバックグラウンド信号プロファイルを減算することで、補償信号プロファイルを計算するように構成されてもよい。
このように減算を使用するとき、補償信号プロファイルは、透過信号の変化とみなされることができ、接触を表す減少した信号レベルを識別確認するために使われることができる。
プロセッサユニットは、補償信号プロファイルから予め定められた補償信号プロファイルを減算することで、位置を判定するように構成されてもよい。
各々の信号プロファイルは、パネルの第1の主方向の各信号プロファイルと、パネルの第2の主方向の各信号プロファイルを含んでもよい。よって、パネルの主方向を表す少なくとも4つの信号プロファイルが、物体の位置を判定するために使われることができ、現在の補償信号プロファイルの算出は、上述の除算/減算の2つの処理を含むことができる。デカルト座標系が物体の位置を規定するために使われる場合、4つの信号プロファイルは、典型的に、バックグラウンド信号プロファイルと現在の信号プロファイルそれぞれのx−成分及びy−成分を表す。
照明配置は、光を導入するための一組の発光体を備えても良く、光検出配置は、光を受光するための一組の光検出器を備えても良く、バックグラウンド信号プロファイルを形成するための光と、現在の信号プロファイルを形成するための光が、同じ組の発光体及び光検出器により、各時刻で導入されて受光される。ここで、検出器/発光体の「組」は、ひとつの検出器/発光体だけを含んでもよい。
プロセッサユニットは、接触面上に物体が存在するのとは独立に、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。よって、これは、バックグラウンド信号プロファイルを形成するために使用する光が、接触面上の物体による接触とは関係なく光検出配置で測定され、プロセッサユニットが、バックグラウンド信号の更新を含む反復的な処理を連続的に実行してもよいことを意味することができる。
プロセッサユニットは、物体が接触面に接触することによりパネル内を伝搬する光を減衰させるとき、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。この場合、物体が接触面に接触するときに、バックグラウンド信号は実際に更新される。しかし、この更新は、可能ではあるけれども、(物体が表面に接触するときに)その接触により引き起こされることを意味する必要性はない。装置にとっては、接触面上の物体の位置が判定できるとき、物体は接触面に接触することを判定できる。
プロセッサユニットは、装置が起動されるとき、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。典型的には、起動は、装置の従来の立ち上げ処理に含まれることができる。ひとつのバージョンでは、プロセッサユニットは、例えばリセットコマンド又はタッチパネルが調整されるグラフィック表示装置の自動調整コマンドなどのユーザコマンドに応答して、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されることもできる。例えば、ユーザコマンドは、接触面上の所与の位置で判定される接触によりプロセッサユニットに指示されることができる。
プロセッサユニットは、予め定められた時間間隔でバックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。所定の時間間隔を用いることで、例えば物体が接触面に接触するときに、バックグラウンド信号が偶然に更新されることができる。ここで時間間隔は、接触面上に比較的多くの接触がある時間にわたって判定できるときに減るように、動的にできる。対応する方法では、比較的少ない数の物体が接触面に接触するときに、時間間隔を増やすことができる。時間間隔は、例えば4秒ごと、繰り返しごと、又はプロセッサユニット実行される繰り返し10:thごとなどにできる。
プロセッサユニットは、該プロセッサユニットが物体が接触面に接触していないと判定するとき、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。バックグラウンド信号プロファイルを更新するためのこの基準は、基準が矛盾するようにみえるかもしれないが、物体が接触面に接触するときに、例えばバックグラウンド信号プロファイルを更新する基準と組み合わせられることができる。例えば、物体が接触面に接触しないときにバックグラウンド信号を所定の回数更新した後に、物体が接触面に接触するとすぐに、バックグラウンド信号は更新されると決定できる。後者の場合、例えば物体の位置が以前の繰り返しにおいて判定されるときなど、物体の検出によって更新が引き起こされることができる。
プロセッサユニットは、現在測定された信号プロファイル及び以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルに応じて、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。そうすることで、接触面上の汚れ又はかき傷によって生じる信号プロファイルのピークを例えば取り除くことが可能である。以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルは、先に更新されたバックグラウンド信号プロファイルを有することができ、すなわち、最も最近に更新されたバックグラウンド信号プロファイルではない。
プロセッサユニットは、現在測定された信号プロファイルを、以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルよりも比較的低く重みづけすることで、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよく、それは、接触面上の汚れ、及び/又は、何度かの繰り返しにわたり接触面に残る接触から生じる信号のピークを無効にする可能性を与える。重みづけの例は、現在測定された信号プロファイルを0.01%−1%で重みづけするのに対して、以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルを99%−99.99%で重みづけすることを含むことができる。好ましくは、バックグラウンド信号プロファイルがより頻繁に更新されるときに、比較的低い重みが、現在測定された信号を与えられる。
プロセッサユニットは、バックグラウンド信号プロファイルの第2セクションと異なる、バックグラウンド信号プロファイルの第1セクションを更新するように構成されてもよい。ここで、セクションは、異なる位置でのパネルの光分布を表すことができ、しばしば、多少頻繁に使われるパネルの異なる部分として役立つことができる。この理解に基づき、及び、信号プロファイルがパネル内を伝搬する光の空間分布を示すことができる点をふまえると、実際には、しばしば信号プロファイルの異なる部分について、バックグラウンド信号プロファイルを更新する必要性が異なる。
プロセッサユニットは、物体の位置を表すバックグラウンド信号プロファイルの第1セクションを更新するように構成され、該第1セクションは、物体の位置を表さないバックグラウンド信号プロファイルの第2セクションとは異なってもよい。ここで、位置を「表わさない」とは、バックグラウンド信号プロファイルの一部とみなすことができ、それは、物体の位置が判定されることができない現在の又は補償信号プロファイルの一部に対応する。
信号プロファイルに関する2つのセクションを異なって更新することは、例えば、ひとつのセクションを更新するのに対して他のセクションを更新しないこと、異なる時間間隔でセクションを更新すること、及び/又は、各セクションを更新するために異なる計算を使用することを含む。
プロセッサユニットは、物体の位置に応じて、バックグラウンド信号プロファイルを判定することにより、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。物体の位置は、現在の又は補償信号プロファイルの所定のセクションによって、典型的に判定され、そしてこのセクションは、バックグラウンド信号プロファイルにマッピングされることができる。一旦マッピングがされると、接触を表すバックグラウンド信号プロファイルの対応するセクションは、所定の方法で更新されることができる。
プロセッサユニットは、物体の位置が判定されてから経過した時間に応じて、バックグラウンド信号プロファイルを判定することにより、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。例えば、これは、バックグラウンド信号プロファイルを、以前の光強度の測定の間に得られた信号プロファイルに設定することを含むことができる。このような遅延バックグラウンド信号プロファイルを使用するとき、例えばそれらの効果の前に補償されることができる歪められた接触の効果は、補償信号プロファイルに含まれる。
プロセッサユニットは、物体が接触面から取り除かれるとき、物体の位置と関連しないバックグラウンド信号プロファイルの第2セクションよりも速く、物体の位置に関連するバックグラウンド信号プロファイルの第1セクションを更新するように構成されてもよい。より速く更新することは、より頻繁に(時間内により何度も)更新することと共に、例えばより最近の測定信号プロファイルに、以前のバックグラウンド信号プロファイルに対するものより比較的高い重みファクターを適用することを含み、その信号プロファイルが、第1セクションを判定するための組合せで使われる。これは、以前、接触に空間的に対応したバックグラウンド信号プロファイルのあるセクションは、以前、接触に空間的に対応していないバックグラウンド信号プロファイルの他の部分よりも頻繁に更新されることができることを意味する。接触が取り除かれたときから所定回数の更新繰り返しの後に、第1セクションは、信号プロファイルの他の部分と同じ時間間隔で、又は、同じ割合で更新されることができ、すなわち、第1セクションは、接触に対応しない信号プロファイルに関する他のセクションと同様に扱われてもよい。
このように更新することは、例えば以前の接触の位置に残る指紋から共通に生じる信号特徴が、比較的速くバックグラウンド信号に含まれることができる点で有効である。
プロセッサユニットは、光検出配置により受光された光の時間分布変動に応じて、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。ここで、変動は、例えば、時間分布された変動が時間に対して所定の傾斜を有するとき、又は時間分布された変動が所定のリプルを有する場合、物体の接触を示すことができる。一旦接触が判定されると、この情報は、例えば接触に応じてバックグラウンド信号プロファイルを更新するときに、接触と、接触面上の汚れ又は損傷とを区別するために使われることができる。
プロセッサユニットは、特定の時間間隔にわたって判定された物体の位置に応じて、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。例えば、現在の信号プロファイルの一部が通常は接触に対応する形状を有するが、「接触」が3時間など非常に長い期間の間残った場合、バックグラウンド信号プロファイルの対応する部分は、あたかもそれが汚れと関連あって、しかるべく更新できるように扱われることができる。
接触面上の少なくともひとつの物体の存在を表すデータを記憶するように構成されたメモリ装置を備え、プロセッサユニットは、少なくともひとつの物体の存在に応じて、バックグラウンド信号プロファイルを更新するように構成されてもよい。
プロセッサユニットは、予め定められた補償信号プロファイルに応じて、物体の位置を判定するように更に構成されてもよい。
本発明の他の態様によると、接触面及び対向面を規定する光透過パネルの接触面上の少なくともひとつの物体の位置を判定する方法であって、接触面と対向面間の内部反射による伝搬のため、光をパネルに導入するステップと、パネル内を伝搬する光を受光するステップと、反復的に、i)光検出配置で受光された光の現在の信号プロファイルを判定するステップと、ii)条件が満たされるときに、光検出配置で受光された光のバックグラウンド信号プロファイルを更新ステップと、iii)バックグラウンド信号プロファイル及び現在の信号プロファイルに応じて、現在の補償信号プロファイルを計算するステップと、iv)物体が接触面に接触することによりパネル内を伝搬する光を減衰させるとき、補償信号プロファイルに応じて位置を判定するステップを含む方法が提供される。
他の態様によれば、上述の方法であって、光を導入し受光するステップが省略される点が違う方法が提供される。この場合、その方法は、例えば接触装置のメモリにダウンロードされることができる処理指示の形態で実装されてもよく、そして、バックグラウンド信号プロファイルを更新する及び/又は接触の位置を判定するために指示を使用することができる。
本発明のさらに別の態様によると、処理部により実行されると上述の方法のいずれかを行う処理命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
本発明に係る方法は、本発明の装置に関連した上述の特徴のいずれかを実装する機能を含むことができ、対応する効果を共有し、すなわち、本方法は、プロセッサユニットの上述の処理に対応する多くのステップを含むことができる。
添付図面を参照して、本発明の実施例を一例として説明する。
図1は、タッチセンシング装置の実施例の上面図である。 図2は、図1の断面図である。 図3は、図1の装置を伝搬する複数のビームの測定エネルギーを示す。 図4は、図1の装置によって実行される、物体の位置を判定する方法の実施例を示すフロー図である。 図5aは、バックグラウンド信号プロファイルと、光検出配置によって受光される光の現在の信号プロファイルを示す。 図5bは、バックグラウンド信号プロファイルと、光検出配置によって受光される光の現在の信号プロファイルを示す。 図6は、接触の間に測定される光の時間分布された減衰を示す。 図7aは、バックグラウンド信号プロファイル、現在の信号プロファイル、計算された透過、図1の装置での複数の接触間の透過の負の対数を示す。 図7dは、バックグラウンド信号プロファイル、現在の信号プロファイル、計算された透過、図1の装置での複数の接触間の透過の負の対数を示す。 図8は、現在の信号プロファイル及びバックグラウンド信号プロファイルの時間分布された値と、いくつかの関連する閾値レベルを示す。 図9aは、本明細書に記載されるいくつかの原理に従った、現在の信号プロファイル、バックグラウンド信号プロファイル及び計算された減衰の時間分布された値を示す。 図9bは、本明細書に記載されるいくつかの原理に従った、現在の信号プロファイル、バックグラウンド信号プロファイル及び計算された減衰の時間分布された値を示す。 図9cは、本明細書に記載されるいくつかの原理に従った、現在の信号プロファイル、バックグラウンド信号プロファイル及び計算された減衰の時間分布された値を示す。
図1〜2は、光透過パネル103を含むタッチセンシング装置101の実施例を図示する。パネル103は、平らか又は湾曲してもよく、接触面104と、接触面104に対向しほぼ平行な対向面105を規定する。パネル103は、光Lが内部反射によってパネル103内を伝搬できるように構成され、例えば矩形、円形及び楕円平面の形状を有することができる。
このため、光伝搬チャネルが、接触面104と対向面105の間に設けられ、それらは組み合わせてパネル103の2つの境界面を形成する。接触面104は、伝搬する光Lが例えば指又は針の形態のひとつ以上の接触物体(3つの物体C、D、Eが示されている)と作用しあうことを可能にする。指紋Aの形態の接触面104上の汚れとともに、接触面104上のかき傷Bの形態の損傷も図示されている。ここで、損傷Bは汚れと称することもある。
物体との相互作用において、光Lの一部は物体によって散乱し、光Lの一部は物体により吸収され、光の一部は影響を受けずに伝搬し続けることができる。このように、物体C、D、Eのいずれかが接触面104に接触すると、透過光Lのエネルギーが減少する。異なる複数の(1より大きい)方向からパネル103を通って透過する光Lのエネルギーを測定することにより、接触している物体の位置(「接触位置」)が、例えば三角測量で検出できる。位置の例として、物体Cの位置が、参照符号pcによって示される。
しかし、物体C、D、Eのように、汚れA、Bは、光Lの一部を散乱させるとともに光Lの一部を吸収させる。よって、パネル103を通って伝搬する光のエネルギーに基づいて接触する物体の位置を検出するとき、汚れによる課題が生じうる。
図1においては、デカルト座標系が導入され、本実施例において矩形形状のパネル103の側面と平行な座標軸x、yを有する。デカルト座標系は、例えば物体Cの位置pcをx−及びy−座標の点から記載するとき、及び、種々の方向をパネル103のx−及びy−方向に関連して記載するときの説明のためだけのものである。接触位置及び方向は、いかなるタイプの座標系、例えば極座標、楕円座標、放物線状の座標系で表されることもできる。
典型的には、パネル103はひとつ以上の層の固体材料でできている。接触面104での内部反射は、パネル103の材料と、典型的には空気である周囲の媒質と間の屈折率の違いから起こる、内部反射又は全反射(TIR)によって生じる。対向する境界面105での反射は、TIR、又は、対向する境界面105に塗布された反射コーティングのいずれかによって生じうる。光Lが、パネルの入射箇所での臨界角より大きいパネル103の法線に対する角度でパネル103に注入される限り、TIRは維持される。当業者に周知のように、臨界角は、入射箇所及び周囲の材料で光を受光する材料の屈折率で定まる。
上述の接触している物体と伝搬している光Lとの間の相互作用のプロセスは、物体がパネル表面材料を囲む材料よりも高い屈折率を有し、面104から数波長距離より短い範囲に配置される場合は、伝搬する光により形成されるエバネッセント波から物体へエネルギーが放散される、いわゆる漏れ全反射(FTIR)を含むことができる。通常、パネル103は、透過されたエネルギーの検出可能な測定を可能にする関連波長範囲で、十分な光量を透過するいかなる材料でもできていてもよい。このような材料は、ガラス及びポリカーボネートを含む。パネル103は、円周状のエッジ部分によって規定され、それは上面及び底面104、105と垂直であるか又は垂直でなくてもよい。
光Lは、パネル103のひとつ又は複数のインカップリング箇所120x、120yを介して、パネル103に結合されることができ、アウトカップリング箇所121x、121yを介してパネル103の外に結合される。例えば、そして図1及び2に示すように、光Lをy−方向の伝搬のためパネル103に結合する第1の照明配置111xによって、及び、光をx−方向の伝搬のためパネル103に結合する第2の照明配置111yによって、光Lはパネル103に結合される(導入される)ことができる。y−方向に伝搬された光は、第1の光検出配置109xでアウトカップリングされ(受光され)るとともに、x−方向に伝搬された光は、第2の光検出配置109yでアウトカップリングされる。光検出配置はそれぞれ、各アウトカップリング箇所で光のエネルギーを測定できる。
各照明配置111x、111yは、発光体112x、112yの各組を有し、一方、各光検出配置109x、109yは、光検出器110x、110yの各組を有する。全パネル103が照らされるように、各発光体はビームの形で光を発し、検出器群の対向する検出器で受光される。インカップリング箇所で導入された光は、x、yの各方向で光のシートをつくるが、光は各アウトカップリング箇所に沿った異なる空間位置のアウトカップリング箇所で検出される。
パネル103に光をインカップリングし及びアウトカップリングする多数の他の方法があり、同様に使用できることに留意されたい。よって、最も一般的な定義では、パネル103は、光を導入するためのインカップリング箇所120x、120yと、パネル103から光をアウトカップリングするためのアウトカップリング箇所121x、121yを有するとみなされることができる。これは、エッジ部分を介して直接的にパネル103との間で光を結合するという可能性を含んでいる。あるいは、別々の細長い結合要素が、光をパネル103へ又はそこから導くために、エッジ部分に、又は、上部若しくは底面104、105に取り付けられることができる。このような結合要素は、例えば楔型を有することができる。また、インカップリング箇所は、パネル103のエッジ又は角の、わずかな位置だけでもよく、そして、使用する特定のイン/アウトカップリング技術に応じて、光はパネル103内を、実質的にまっすぐなビームとして、発散する/収束する/平行なビームとして、多重化を使用して符号化ビームなどとして伝搬できる。
検出器は、アウトカップリング箇所で受光される光のエネルギーを連続的に測定するか又はサンプルし、アウトカップリング箇所内の異なる空間位置での受光エネルギーを示す信号プロファイルになる。信号プロファイルの動作を実行するため、いわゆる「センシング・インスタンス」は、その時間間隔で信号プロファイルを示すデータが検索されることができるように、短い時間間隔の間に形成される。ここで、その後のセンシング・インスタンスの数は、アウトカップリング箇所及び異なる時点での信号プロファイルを記載するデータの組の数と同じになる。このため、センシング・インスタンスは、所定数の信号プロファイルを集めることで得られ、ここで各信号プロファイルは、上述のようにアウトカップリング箇所の多くの空間位置へパネル内を透過した光のエネルギーを表し、各空間位置は、パネル内の光の特定の経路に関連する。また、照明配置は、多重化された信号を伝える光を導入するくよう構成でき、この場合、アウトカップリング箇所の各空間位置は、光のいくつかの経路に関する情報を保持することができる。
装置の時間解像度は、信号プロファイルがどれくらいの頻度で検索されるかにより決まる。例えば、手書きの物の記録用に設計された装置については、少なくとも75Hz(すなわち、1秒につき75のセンシング・インスタンスが形成される)の信号プロファイル検索が望ましく、一方、他の用途では、より低いかより高い時間解像度が必要とされる。後述するように、信号プロファイルに関する動作は、反復的に繰り返し実行でき、繰り返し実行(反復動作)するときに、1つのセンシング・インスタンスが各繰り返しで使われる。よって、反復的な動作は、瞬間的な信号プロファイル、センシング・インスタンス又は繰り返しごとに実行できるといえる。
上で暗示したように、物体Cが、各インカップリング箇所から発した平行でない少なくとも2つのビームに影響を及ぼす場合、接触する物体Cの位置pcが決定できる。パネルを通過した後に、各ビームのエネルギーは、パネル103のアウトカップリング箇所に光学的に結合する、対向の光検出器で測定される。
図1のタッチセンシング装置は、センシング・インスタンスの間に表面に接触する複数の物体の位置を決定するよう作動してもよい(「マルチタッチ」)。上述のように、光の一部だけが物体によって吸収/散乱され、一方、残りの光は物体を通過するビームの主方向に沿って伝搬し続ける。従って、たまたま2つの物体が、ビームの方向に次々に配置されると、ビームの一部は、両物体と相互に作用することになる。ビームエネルギーが十分であれば、残りのビームが光検出器に達することになり、測定信号を生成して両相互作用を識別できる。
図1では、物体C、Dが同時に(すなわち同一のセンシング・インスタンスの間に)パネル103に配置され、測定信号プロファイルS−x、S−yが光検出器によって作成される。信号プロファイルS−x、S−yは、センシング・インスタンス番号iの間にパネル103のアウトカップリング箇所で測定されたビームのエネルギーを表す。信号は、時間及び/又は所与の座標系におけるx−y位置に応じた測定エネルギーを示す。図示するように、各々の接触する物体C、D、Eも汚れA、Bも、繰り返しごとの測定ビームエネルギーにおいて局所的な減少を生じる。具体的には、物体/汚れは、物体/汚れの見かけの大きさに依存する信号の特徴に起因し、ここで、信号の特徴は、物体/汚れの大きさとともに物体/汚れの吸収/散在特性にも依存する。ただし、信号プロファイルS−x、S−yによって、処理部(CPU)102が物体/汚れを区別できる場合、パネル103上のそれらの位置は上述のように例えば三角測量で測定できる。
図3を参照すると、測定信号プロファイルS−x及びS−yが、更に詳細に記載されており、測定値S1−S8は、光が物体/汚れによって減衰したいくつかの経路の測定エネルギーを表す。よって、S1−S8の集合は、信号プロファイルS−x及びS−yのピークを与える。ここで、信号プロファイルS−x及びS−yから分かるように、測定S1−S8は、生じる減衰の幅に対応する信号プロファイル幅を有する。例えば、y−方向のかき傷Bは、x−方向よりもy−方向により広いプロファイルを生じる。当分野で公知のように、減衰は、パネル内での光の吸収及び/又は散乱を含み、アウトカップリング箇所での減少した光強度をもたらす。
物体と汚れを区別する処理部102(図2)は、接触面104上のそれらの位置を判定するためにも使われることができる。この目的のため、信号プロファイルS−x、S−yが処理部102によって検索されるように、処理部102は光検出配置109x、109yに接続される。さまざまな信号プロファイルを記憶できるようにし、処理部102で実行されると後述する動作方法のいずれかを実行する処理指示を記憶するために、メモリ装置108の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体が、処理部102に接続される。
図1及び2の例において、装置は、少なくともパネル表面104の一部の範囲内でグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を提供するインターフェイス装置106を含む。インターフェイス装置106は、パネル103の上、下又はその中に配置される固定画像を有する基板の形態でもよい。あるいは、インターフェイス装置106は、装置101の下方に又はその内部に配置されるスクリーンでもよいし、装置101の下方に又はその上に配置され、画像をパネル103に投影するプロジェクタでもよい。このようなインターフェイス装置106は、コンピュータ・スクリーンにより提供されるGUIと同様に、ダイナミックGUIを提供できる。インターフェイス装置106は、GUIコントローラによって制御され、GUIコントローラは、例えば接触面上の物体又は汚れの位置を記載するための座標に対応する座標を用いて、GUIのグラフィカル・オブジェクトがどこに位置するか判定できる。
処理部102は、GUIのグラフィカル・オブジェクトの位置を記載している座標を受信でき、パネル表面104は、接触面の座標系に対応する座標系を使用するため、GUIの物体を接触面104上の接触と関連づけることができる。
パネル103へ光を導入する更なる例では、多くの平行でないビームの形態で光を導入する。ここで、各ビームは、インカップリング箇所120xなどのパネル103上のインカップリング箇所に沿って、入力スキャナ配置(図示せず)によりパネル103全体を掃引又はスキャンされることができる。このようなインカップリング箇所は、パネル103の左エッジ及び上部エッジに配置でき、パネル103全体が掃引されるときに各ビームを受光するように配置された検出配置により、パネル上のアウトカップリング箇所で、透過されたエネルギーが測定できる。この例では、アウトカップリング箇所は、パネル103の右エッジ及び下部エッジにある。また、別の実施例において、パネルの周辺に沿って互いの中間に発光体及び検出器を配置することが可能である。このことから、イン及びアウトカップリング箇所は、パネルの各エッジに配置できることになる。
接触面上の物体の位置を表す出力データを後述する動作方法で使用可能な、さらなる技術例がある点に留意されたい。このような他の技術を記載する目的のため、特許文献US4254333、US6972753、US7432893、US2006/0114237、US2007/0075648、WO2009048365、WO2010/006882、WO2010/006883、WO2010/006884、WO2010/006885、WO2010/006886及び国際出願番号PCT/SE2010/000135が、参照として組み入れられる。これらの文献は、光のいろいろな適切なインカップリング及びアウトカップリングとともに、光透過パネルでの光の空間分布を表すひとつ又は複数の信号と、具体的には、ひとつ又は複数のアウトカップリング箇所の中の異なる空間位置で受光される光を表す信号を得るための動作を記載している。当業者が気づくように、本発明は、図1及び2に関連して記載された特定の実施例に限定されない。
また、アウトカップリング箇所とインカップリング箇所の構造とは独立に、及び、照明配置及び光検出配置の厳密な構成とは独立に、照明配置は、適切な波長範囲、例えば赤外か可視波長領域において作動できる。光は、同一の波長で発生できるとともに、異なる発光体及び検出器に対して異なるようにして発光体の区別がつくようにできる。さらに、照明配置は、連続光かパルス光のいずれかを出力できる。
光は、ひとつ又は複数の光源によって発生でき、光源は、例えばダイオードレーザ、VCSEL(垂直共振器面発光レーザ)、もしくはLED(発光ダイオード)、白熱灯、ハロゲン灯など、所望の波長範囲の光を発することができるいかなるタイプの装置でもよい。
光のエネルギーは、光を電気信号に変換できるいかなるタイプの光検出器で測定されてもよい。このような光検出器は、適宜の数の光検出要素を有してもよく、従って0次元、1次元(1D)、2次元(2D)の検出器でもよい。ひとつの検出器が、(光のインカップリング及びアウトカップリングに用いられる技術に応じて)ひとつビームのエネルギー測定するために用いられてもよいし、又は、複数のビームの個々のエネルギーを測定するために用いられてもよい。ある実施例では、検出器は、ひとつだけの光検出要素を有するフォトディテクタでもよく、それは大きな検出面があり低検出ノイズをもたらす。
図4を参照すると、物体の位置を判定する方法のフロー図が示される。以下の定義を使用する。
:繰り返し(センシング・インスタンス)番号iの間に、アウトカップリング箇所で受光した光エネルギーを測定して得られる測定信号プロファイル。Sは、S−x及びS−yを備えることができ、このため、物体の位置を完全に記述できる。以下において、測定信号プロファイルは、現在の信号プロファイルでもある。何の技術及び原理が、アウトカップリング箇所で受光した光のエネルギーを求め及びそれを表すのに使用されるかによって、Sは、付加的な又はS−x及びSj−yとは別の信号プロファイルを備えてもよい。例えばWO2010/006882に記載された技術が利用される場合、このような他の信号プロファイルを得ることができる。
Sref:特定の繰り返し(センシング・インスタンス)の間に、アウトカップリング箇所で受光された光エネルギーの測定信号プロファイルに基づいて得られるバックグラウンド信号プロファイル、番号j。Srefは、x−yの構成要素Sref−x及びSref−yを備えてもよく、Sref−xは空間的にS−xに対応し、Sref−yは空間的にS−yに対応する。
:S/Srefによって定義される透過信号、物体の位置を判定するために汚れを考慮する。
処理部102は、パネル103に連続的に導入され、接触面104と対向面105の間の内部反射によって伝搬される光を使用する多くのステップを実行することにより接触位置を計算するよう構成されることができる。本方法は反復的であり、装置101が接触の位置を判定するためのモードにセットされる限り、実行される。
ステップ401において、現在の信号プロファイルSが、装置の光検出器から測定信号を得ることで判定される。各測定信号は、(使用するインカップリング及びアウトカップリング技術によって)ひとつ又は複数のビームによってパネルを介して透過されたエネルギーを表す。ステップ401は、測定信号を空間位置にマッピングするこを含むことができ、(使用する具体的な技術によって)時間依存の測定信号をパネル座標系に変換することを含んでもよい。
ステップ402において、ひとつ又は複数の基準に基づいて、バックグラウンド信号プロファイルSrefが更新されるかどうか判定される。典型的には、バックグラウンド信号プロファイルが、以前の繰り返しにおいて判定されていない場合、バックグラウンド信号プロファイルは更新される。より正確には、第1及び以降のバックグラウンド信号プロファイルは、装置の光検出器から測定信号を得ることで判定できる。
バックグラウンド信号プロファイルSrefが更新されるか判定するための他の基準として、バックグラウンド信号プロファイルを以前に更新してから予め定められた時間間隔が経過したか判定することを含んでもよい。予め定められた時間間隔を用いることで、バックグラウンド信号プロファイルは、例えば繰り返しごと、2分ごと又は繰り返し100回ごとなど、時間に応じて定期的に更新されることができる。
さらに別の基準は、バックグラウンド信号プロファイルSrefを更新することを含んでもよく、タッチパネルに接触がないとき、接触の位置が定期的に判定されるため、ステップ406に関連して記載されるように、接触位置が判定不能なことは、物体がないことを表すことができ、よって、バックグラウンド信号プロファイルを更新するための基準として使うことができる。
ステップ403において、バックグラウンド信号プロファイルSrefは更新され、組合せか単独で、後述するように多くの動作を含むことができる。
典型的には、物体が接触面に接触しないと判定されるときに、すなわち、(例えばステップ406において)物体の位置が判定できないとき、又は、以前の繰り返しの間に接触が存在しなかった場合に、バックグラウンド信号プロファイルSrefは、バックグラウンド信号プロファイルを現在の信号プロファイルSに等しく設定することによって更新される。
それに代えて又は追加して、接触面が比較的汚れのないとき及び接触面に物体が接触しないとき、バックグラウンド信号プロファイルSrefは、装置101を製造過程で判定されることができる。また、この場合、バックグラウンド信号プロファイルは、現在の信号プロファイルSを判定するときと同様に、すなわち、アウトカップリング箇所での光の空間分布を測定することにより、判定されることができる。また、バックグラウンド信号プロファイルは、ユーザ初期設定に応答して、例えばリセット動作の一部として、現在の信号プロファイルに設定されることができる。
バックグラウンド信号プロファイルSrefを更新する他の方法は、ある時間に渡り測定されるアウトカップリング箇所での光の平均的空間分布としてバックグラウンド信号プロファイルを演算することを含む。この場合、光の空間分布は、一定の時間間隔で測定され、平均値は、より多くの汚れがパネルに付着するにつれてその時間の間に変化し、測定された空間分布から計算される。
また、いわゆる窓関数を用いることができ、ここでは所定の時間間隔内でアウトカップリング箇所で測定された光の空間分布平均として、例えば、現在時間から10秒前の間隔内で測定される平均空間分布として、バックグラウンド信号プロファイルSrefが計算される。
信号プロファイルバックグラウンドを更新するさらなる動作は、現在測定された信号プロファイルS及び以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルSrefj-1に応じて、例えば、現在測定された信号プロファイルSを、以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイルSrefj-1より比較的低く重みづけすることにより、バックグラウンド信号プロファイルを更新することを含む。これの例は、以下の式で示される。
Figure 0005582622
ただし0<=ε<1である。より低い値のεを選択すると、現在の信号プロファイルは比較的低い重みを与えられ、更新されたバックグラウンド信号プロファイルの全てが最新の測定信号に依存するというわけではないため、例えば瞬間的な障害の影響を減らすことができる。εの値をゼロに設定すると、接触から生じる信号がバックグラウンド信号を妨害せず、本質的には、バックグラウンド信号を更新しないことに対応する。より高い値のεを選択すると、バックグラウンド信号のより速い更新を達成でき、特に接触がなくなったことが検出されたときに関係する。
バックグラウンド信号プロファイルSref及び光検出配置によって受光された光の現在の信号プロファイルSを示す図5a及び5bを参照し、バックグラウンド信号プロファイルSrefに対する他の更新動作は、バックグラウンド信号プロファイルSrefの第2セクションSref−Bと異なる、バックグラウンド信号プロファイルSrefの第1セクションSref−Aを更新することを含む。セクションSref−AとSref−Bを更新する違いは、セクションSref−AとSref−Bの一方が接触を示すかどうかに基づくことができる。
より詳細には、そして図5bにみられるように、セクションSref−Aとともに更なるセクションSref−Cは、信号レベルが減少した信号プロファイルSrefの各部分を有し、それは後に詳しく述べるように典型的に接触を表す。信号プロファイルSref及びSはパネルのアウトカップリング箇所での同じ光の空間分布に対応するため、セクションSref−A及びSref−Cは、接触を示すセクションS−A及びS−Cを知ることで識別されることができる。このことから、Sref−A及びSref−Cは、接触に空間的に対応するセクションといえることになる。同様に、セクションS−Bは、空間的にセクションSref−Bに対応し、よってそのセクションはパネル上の現在の接触による影響がない信号プロファイルの部分を示す。したがって、接触の位置を知ることで、例えば、セクションSref−Bが更新でき、一方、セクションSref−A及びSref−Cは、対応する接触が存在する間は更新されない。
バックグラウンド信号プロファイルSrefを更新するためのさらなる動作は、接触が接触面から取り除かれるとき、バックグラウンド信号プロファイルSrefに関する他のセクションより速く、取り除かれた接触に空間的に対応するセクションを更新することを含む。より速く更新することは、接触が取り除かれたときから所定期間実行される。
換言すれば、接触がパネルからなくなるとすぐに、接触に空間的に対応するバックグラウンド信号プロファイルの部分は、バックグラウンド信号プロファイルの他の部分より速い割合で更新される。例えば、接触が取り除かれるとき、取り除かれた接触による影響のないバックグラウンド信号の他の部分は、5センシング・インスタンス毎に更新されるのに対して、バックグラウンド信号プロファイルの関連する部分は、以降の40センシング・インスタンスについてセンシング・インスタンス毎に更新できる。この動作を実行することで、例えば以前の接触の位置上に残っている指紋から生じる信号寄与が、比較的急速に考慮されることができる。バックグラウンド信号が繰り返し毎に更新される場合、更新手順の時間的動きを変えることによってより速い更新ができ、それは例えば式(1)のεの値を上昇させることで達成されることができる。
そのセクションが、例えばコンピュータ・アイコンの形態における絵文字など、GUIの特定の物体に空間的に対応する場合、異なるバックグラウンド信号のセクションを更新することも可能である。
更なる更新動作は、時間に応じてバックグラウンド信号プロファイルを更新することを含む。例えば、バックグラウンド信号プロファイルは、少なくとも4秒前に、アウトカップリング箇所で得られた測定値に設定されることができる。このような動作は実用的であり、それは数センシング・インスタンス後まで検出できない出来事によりバックグラウンド信号プロファイルを歪めることができ、及び、遅延バックグラウンド信号プロファイルを用いることにより、それらが物体の位置を判定するための次の動作で使用されるバックグラウンド信号プロファイルに到達する前に、これらの出来事の効果は補償されることができるためである。
バックグラウンド信号プロファイルの更新は、現在の信号プロファイル又は以前のバックグラウンド信号プロファイルのいずれかを入力として使用し、一体化された制御システムとして実装されることもできる。このような制御システムの例は、以下の式によって数学的に記載できる。ただし、例えば、i=jであり、aは、典型的には0.001〜0.1の間の時間係数であり、Srefは、典型的には、接触状態になる前の1から50センシング・インスタンスの間のSref値に設定される。
Figure 0005582622
接触状態が始まったあと、Srefは通常更新されないが、それは、接触状態が始まる前にバックグラウンドはどんな状態だったかという基準となることに留意されたい。
ここで、「接触状態」は、接触に空間的に対応するバックグラウンド信号プロファイルの一部に関連し、すなわち、一例として図5a〜図5bの信号プロファイルを使用するとき、上で述べたセクションSref−A及びSref−Cは、バックグラウンド信号プロファイルについての接触状態を示し、又は、その状態なっている。同様に、セクションSref−Bは接触状態になってなく、そのため、Sref−Bを有するバックグラウンド信号プロファイルの部分は、式(2)の第1変形(Srefは接触状態に属さない)に従って更新されるのに対して、接触状態部分(Sref−A及びSref−C)は、第2変形(Srefは接触状態に属する)に従って更新される。
接触が生じたか又はなくなった直後に、係数aは、すばやく以前のSref値又は新規なS値に適応するため、通常高めの値、典型的には0.01から1.0の範囲に設定される。
2つ以上の接触が、パネル内の光の同じ経路に沿った配列のために現在の信号プロファイルSにまとまった減少をもたらすとき、バックグラウンド信号Srefを更新する特別な状況が生じる。配列された接触のうちの1つが取り除かれても、現在の信号プロファイルSの関連した部分はまだ接触を示す。しかし、同時に、取り除かれた接触による指紋が接触面上に残ることがあるため、バックグラウンド信号プロファイルSrefの対応する部分は、より速い更新を必要とすることがある。これに対処するため、バックグラウンド信号プロファイルSrefの対応する部分は、例えば、比較的より小さいa値で、式(2)の第1変形を用いて関連した部分を更新することにより、通常接触が存在する場合より高い割合で更新できる。接触がなくなった関連部分のSrefを更新する他の方法は、指紋信号をSref値に加えることを含む。そして、この追加は、式(2)の第2変形がSref値を指紋によって生じる減衰を含むように更新できる。典型的な指紋信号は、複数の指紋によって生じる平均減衰を推定することで、観察に基づいて決定されることができる。他の変形例は、指紋信号を、指紋を残した接触を示す現在の信号プロファイルに関するセクションの信号レベルの2−15%に設定することを含む。例えば、以前のバックグラウンド信号プロファイルに指紋信号を直接加えるなど、指紋信号が、バックグラウンド信号プロファイルを更新するための他の動作に使用できることはもちろんである。
いくつかの接触はそれぞれ現在の信号プロファイルの同じ部分で信号レベルを低下させており、それらのひとつひとつの接触の除去の検出は、現在の信号プロファイルに関する各接触指示セクションについて信号変化のレベルをモニタすることに基づいてすることができる。例えば、信号変化が接触指示セクションでの所定の増加エネルギーレベルを示すのに対して、そのセクションのエネルギーレベルがまだ接触を表す場合、いくつかの配列された接触のひとつの接触の除去が検出される。好ましくは、0、1、2、3(など)を表すアウトカップリング箇所でのエネルギーレベルは、観察に基づいて検出される。
上述のように、バックグラウンド信号プロファイルの更新は、物体が接触面に接触するか否かに依存することができる。物体が表面に存在するか否かを決定することの変形例は、i)以前の繰り返し又はセンシング・インスタンスの間に、物体の位置をうまく判定すること、ii)現在の信号プロファイル素早い変化を判定すること、及び、iii)現在の信号プロファイルの時間分布したリプルを判定することを含む。
後の2つの変形例ii)及びiii)を示すため、例えば発光体/検出器の対により接触の場所で測定される光の時間分布された減衰のグラフである図6を参照する。減衰は、各センシング・インスタンス(時間間隔)で、例えば、接触を表す透過信号に関するセクションのうちの透過信号の平均の負の対数として判定されることができる。透過信号は以下で更に説明され、そして、減衰信号の代わりに、送信信号自体、現在の信号プロファイル、バックグラウンド信号プロファイル、又は、光検出器の生の信号が使われることができる。
現在の信号プロファイルの素早い変化を判定することは時折、傾斜検出と呼ばれ、時間分布された減衰の一部の変化を測定することを含む。変化が鋭く増加する場合、接触を示すことと考えられる。同様に、減衰がセンシング・インスタンスの間に鋭く減少する場合、接触が取り除かれると判定できる。
図6にみられるように、線L1で示すようにある短い時間間隔内で減衰の急激な増加と、L2で示すように減衰の急激な減少がある。上述のように、減衰は、多くのセンシング・インスタンスにわたって分布し、それはある時間にわたり分布する減衰に対応する。減衰の変化量は、一般に接触する物体の減衰(光散乱/吸収)特性に依存し、物体がパネルに、そして、装置において使用される特定のハードウェアコンポーネント及び材料に、どれくらい強く押されるかに依存する。変化量は、例えば、種々の一般的に用いられる物体で接触面に接触する/接触しないときにその大きさを測定することによって、タッチセンシング装置のタイプ毎に観察的に判定できる。
信号プロファイルのリプルを判定することは、時間分布された減衰の特定の部分、すなわち光の減衰増加を示す部分、を調査することを含んでもよい。調査された部分の大きさがセンシング・インスタンスの間にある程度変化する場合、すなわちリプルが存在する場合、通常、リプルは人又はロボットによって開始された接触を表し、それは人と多くのロボットはめったに完全に静止していないという理解に基づく。正確にどれくらいのリプルが接触を表すかは、観察的に決定できる。
このようなリプルの例は、図6によって示されており、ここでは信号プロファイルはセンシング・インスタンスΔSの間隔にわたり減衰ΔAの変化がある。減衰ΔAにおける正確な変化は、観察に基づいて判定されることができるが、ともかく、使用される光検出配置のような電子測定装置に共通の信号ノイズからしばしば生じる小さな一般のリプルよりは大きい。ノイズから生じる小さいリプルの例は、セクション602により示される。
後の2つの変形例ii)及びiii)、すなわち信号プロファイルの素早い変化を判定すること、及び、信号プロファイルの時間分布されたリプルを判定することは、接触の存在及び/又は接触の位置を確認するための他の接触検知アプリケーションで使われることができることに留意されたい。よって、これらの変形例は、本明細書において記載される装置及び方法に限られない。両変形例は、接触の存在及び/又は位置を確認することについて、(アウトカップリング箇所での)光の時間配布に依存するので、他の接触検知装置に関して適用できる包括的方法は、アウトカップリング箇所で受光される光の時間分布変動に応じて、接触の存在及び/又は位置を判定することを含む。変形例ii)及びiii)は、包括的方法のより詳細な実施例であり、組み合わせて用いることができる。包括的方法は、既存の方法が正しく接触の存在/位置を識別しているようであるか検査するために用いられることもできる。上に示すように、包括的方法は、入力として光検出器の生の信号を使用でき、又は、生の信号から派生する他の信号プロファイルを使用でき、そして、包括的方法は、例えば上で組み入れられた特許文献に記載の技術に適用されることができる。
図4における方法を次に参照すると、ステップ404で、現在の信号プロファイルS及び任意にバックグラウンド信号プロファイルSrefが、前処理される。例えば、信号プロファイルは、ローパスフィルタ、メジアンフィルタ、フーリエ面フィルタなどの標準的なフィルタリング技術を使用して、ノイズ減少のために処理されてもよい。さらに、発生した光のエネルギーが装置で測定される場合、信号プロファイルは、照明配置における時間的エネルギー変動を補償されてもよい。さらに、信号プロファイルは、関心の領域の外側、例えばパネルの検知領域の外側からのセンサ信号を含んでもよい。従って、信号プロファイルは、関連した部分を抽出することによって前処理されてもよい。さらに、信号は調整されてもよく、すなわち、パネル座標系の等距離のサンプリング距離を有するように変換されてもよい。このような調整は、非線形角度変数を有する各測定信号を挿入することを含んでもよく、パネル全体に均一に分布されるサンプルを有するデータセットになる。
ステップ405において、透過信号Tの形態の補償信号プロファイルが、T=S/Srefで算出され、又は異なるが、等価な以下の式:log(T)=log(S)−log(Sref)を用いて算出される。
図7aを参照すると、バックグラウンド信号プロファイルSrefの例が示され、アウトカップリング箇所で受光された光のエネルギー(縦軸)が、空間信号分布(横軸)に応じてプロットされている。言い換えると、バックグラウンド信号プロファイルは、透過されたエネルギーのアウトカップリング箇所の中の位置に応じたプロットとして与えられることができる。タッチパネル上に存在する汚れが、例えば減少610、611など、アウトカップリング箇所での光の減少を生じることがある。
図7bに、3つの物体がパネル103に接触するときに得られる現在の信号プロファイルSが例示され、測定された信号レベルは、接触に対応する位置612、613で、大幅に低くなる。しかし、そこにみられるように、汚れによる光の減少が、減少610に示すようにまだ信号プロファイルに含まれる。
現在の信号プロファイルSをバックグラウンド信号プロファイルSrefで割ると、図7cで示すように透過分布を有する透過信号Tが得られる。ここで、接触を示す透過Tに関するセクション614、615は、透過の減少を示す。透過信号は、接触する物体によって生じるセクション614、615での(相対的な)約1の透過で、本質的に均一の信号レベルをもたらす。測定信号の透過信号への変換は、接触を表す関連したセクションの識別をとても容易にすることがわかる。異なるアウトカップリング箇所で得られる測定信号のセクション、及び/又は、パネル内を伝搬する異なるビームを比較することを可能にする。
アウトカップリング箇所の方へ進む光の方向に並ぶ複数の接触がある場合、接触による全体の透過信号は、接触の個々の透過の積である。図7cにおいて、セクション614が典型的には2つの接触を表すのに対し、セクション615は、1つの接触を表す。
対数処理が都合よく使われるため、そして、接触を正の信号として説明するのによく役立つため、Tの負の対数(−log(T))が判定されることができ、それによって信号プロファイルが図7dのプロファイルのようになり、ピーク616がセクション614に対応するとともに、ピーク617がセクション615に対応する。
透過信号は、例えば、汚れとともに、タッチパネルの他の光吸収障害を補償するため、透過信号は「補償」信号であると言える。
図7a−7dの信号プロファイルは、パネルのx−及びy−方向の1つにおける光の空間分布を示すことができることに留意されたい。当業者が気づくように、接触のx−及びy−位置の各々が判定される場合、いくつかの信号プロファイルについての動作が、実行されなければならない。しかし、パネル内の光の全空間分布を表す集合した信号プロファイルを生成し処理することも可能である。
ここで図4における方法を参照すると、ステップ406において、接触位置は透過信号に基づいて、また、オプションとして以前の繰り返しの間に算出された透過信号にも基づいて、判定される。要するに、接触の位置は、複数のセンシング・インスタンスにわたる透過の変化に基づいて判定されることができる。
図7cのセクション614、615の大きさとともに、図7dのピーク616、617の大きさは、接触位置を示す。また、例えばピーク616、617の各々の下で統合した領域を表す領域値の大きさは接触位置を示すことができ、例えば、以前のセンシング・インスタンスの間に識別された接触位置に関する情報を用いて、接触位置についての推測的な知識が、接触位置の判定の精度及び/又は計算速度を上げるために使われることができる。
また、本明細書に記載されるタッチセンシング装置は、透過断層撮影のために開発された適切な既知のアルゴリズムを使用するために作られてもよい。従って、接触位置は、few−viewアルゴリズムなどの利用できる画像再現アルゴリズムを使用して再現してもよい。再現は、装置の散乱によって生じる、信号幅とタッチパネルに沿った位置の間の予め定められた機能的な依存性を考慮してもよい。
上の例から、接触の位置を知ることは、バックグラウンド信号プロファイルを更新するいくつかの例に関連しうることがわかる。この目的のため、接触に空間的に対応するバックグラウンド信号プロファイル(例えば図5aのセクションSref−A)の部分の範囲が、タッチセンシング装置のメモリに保存される。接触がパネルに存在する限り、バックグラウンド信号プロファイルに関するセクションを示す接触を更新することを阻止できる。
バックグラウンド信号プロファイルに関するセクションを示す接触を更新することを阻止することで、例えば、Tの負の対数の信号プロファイルは、接触指示ピークを維持することになる。
一方、バックグラウンド信号を、例えば現在の測定信号プロファイル又はその平均、加重平均などに設定することによって、全バックグラウンド信号プロファイルが更新される場合、T=S/Srefであり、しばらくすると、SとSrefの双方が、接触を示す位置で対応する信号レベルを含むことになる予定であるため、Tの負の対数の接触指示ピークは、時間を通じて小さくなる。この場合、最初の接触が検出されると、接触の位置に関する情報は、ある時間にわたり接触を識別するため、タッチセンシング装置のメモリに格納される。接触がパネルから取り除かれると、透過は、取り除かれた接触の位置で増加することになり、透過信号(図7cと比較)は、取り除かれた接触でピークを示すことになる。接触が取り除かれるとき、メモリ内の関連する接触指示情報は、その接触がもはや有効でないとして無視される。
ステップ407において、判定された接触位置は出力され、次のセンシング・インスタンスの処理のためのステップ401に戻る。
バックグラウンド信号プロファイルSrefが時間を通じてどのように変化できるかを示すため、図8が参照される。ここで、現在の信号プロファイルSの時間分布された減衰値V−Sは、アウトカップリング箇所の特定の部分での減衰を表す。バックグラウンド信号プロファイルSrefの対応する時間分布された減衰値V−Srefも示されている。既知のように、減衰は、信号レベルの増加として接触を示すのに対し、例えばセンサからの生の信号は、信号の減少として接触を示す。
V−S値及びV−Sref値は、始めは、おおよそ同じ減衰レベルを有する。この点、現在の信号プロファイルはそうではないが、典型的には、ローパスフィルタを適用したバックグラウンド信号プロファイルによって、減衰のわずかな差が生じる場合がある。
所定の時間位置t1でV−S値は急激に増加し、それは典型的にパネルに接触する物体に対応する。バックグラウンド信号プロファイルが現在の信号プロファイルを使用する方法によって更新されると仮定すると、V−Sref値は全く同じ時間t1で増加する。V−S値が曲線664で示す所定のレベルを上回って増加するので、物体がスクリーンに接触することが判定できる。時間t1の接触によるV−Sref値の増加は、時間t1の前の時点に有していた値に設定することにより修正できる。曲線662で示す閾値レベルは、接触がもはや存在しないとき、すなわちV−S値が時間位置t2で閾値レベル662を下回るときを判定するのに用いることができ、接触がもはや存在しないことが判定できる。閾値レベル662は、例えば過去複数のセンシング・インスタンスで測定した最大V−S値の30%に設定できる。
物体がスクリーンに接触する限りV−Sref値は更新されないが、時間t2で接触がなくなるとすぐに、V−Sref値は、V−Sref値が本質的にV−S値と同じ信号レベルを有するように現在のV−S値を考慮して更新される。時間t1より前の信号レベルと比較して時間t2の後の増加した信号レベル(減衰)は、典型的には以前の接触の位置に残っている指紋の形態の汚れにより生じる。時間t2の後、所定のレベル664は、接触後及び前のV−S値の信号レベルの差に対応する量により更新される。
図9a−cを参照すると、上述の計算の結果がより詳細に示される。
図9aは、アウトカップリング箇所の特定の部分について1000センシング・インスタンスを通じてそれぞれ更新され測定されたときの、現在の信号プロファイルSの時間分布された信号の値V−S’と、バックグラウンド信号プロファイルSrefの時間分布された信号の値V−Sref’を示す。ここで、V−S’の値は、光検出配置から得られた生の信号レベルであり、そして、セクションB1でカバーされる測定位置の変動に見られるようなノイズを示す。セクションAでカバーされる測定位置は、指による接触を示し、セクションB2でカバーされる測定位置は、セクションB1でカバーされる測定位置と比較すると減少した信号レベルを有し、それは指の接触により生じる指紋の典型的効果である。V−S’の値は、セクションAでカバーされるセンシング・インスタンスの間、接触が現れたあとに直接実行される少しのリセットを除いて更新されない。
図9bは、図9aに対応するが、接触がなくなった後に参照信号をより速く更新する点に違いがある。より速い更新は、セクションB2’でカバーされるセンシング・インスタンスで実行される。通常の更新は、セクションB2でカバーされるセンシング・インスタンスで実行される。そこにみられるように、ここではV−Sref’の値は図9aより速くV−S’の値を反映し、それにより指紋の効果がより早い段階で考慮されることができる。
図9cは、1−V−S’/V−Sref’で計算された補償信号プロファイルの時間分布された値を例示し、ここでV−S’及びV−Sref’は図9bの値である。ここに見られるように、指紋が前の接触の位置に存在するけれども、セクションB2及びB2’の信号レベルは、基本的にはセクションB1の信号レベルに対応する。しかし、バックグラウンド信号プロファイルが記載のように更新されない場合、セクションB2及びB2’の信号レベルは大幅に高い。
本発明の各実施形態が説明され、示されたが、本発明はそれに制限されず、請求の範囲で規定される主題の範囲において他の方法で実現されることもできる。特に、本発明は、パネル内の光の分布を表す信号プロファイルを得る他の技術を用いて実行されることができる。

Claims (27)

  1. 接触面(104)上の少なくともひとつの物体(C)の位置(pc)を判定する装置であって、
    接触面(104)及び対向面(105)を規定する光透過パネル(103)と、
    接触面(104)と対向面(105)間の内部反射による伝搬のため、光(L)を前記パネル(103)に導入するように構成された照明配置(111x)と、
    前記パネル(103)内を伝搬する光(L)を受光するように構成された光検出配置(109x)と、
    プロセッサユニット(102)であって、反復的に、
    前記光検出配置(109x)で受光された光の現在の信号プロファイル(S)を判定し、
    条件が満たされるときに、前記光検出配置(109x)で受光された光(L)のバックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新し、
    バックグラウンド信号プロファイル(Sref)及び現在の信号プロファイル(S)に応じて、現在の補償信号プロファイル(T)を計算し、及び、
    物体(C)が接触面(104)に接触することにより前記パネル(103)内を伝搬する光(L)を減衰させるとき、補償信号プロファイル(T)に応じて位置(pc)を判定するよう構成された前記プロセッサユニット(102)と
    を備えることを特徴とする装置。
  2. 前記プロセッサユニット(102)は、現在の信号プロファイル(S)をバックグラウンド信号プロファイル(Sref)で割ることで、補償信号プロファイル(T)を計算するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記プロセッサユニット(102)は、現在の信号プロファイル(S)の対数からバックグラウンド信号プロファイル(Sref)の対数を減算することで、補償信号プロファイル(T)を計算するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記プロセッサユニット(102)は、現在の信号プロファイル(S)からバックグラウンド信号プロファイル(Sref)を減算することで、補償信号プロファイル(T)を計算するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. 前記プロセッサユニット(102)は、補償信号プロファイル(T)から予め定められた補償信号プロファイル(Ti−1)を減算することで、位置(pc)を判定するように構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
  6. 各々の信号プロファイル(Sref、S、T)は、前記パネル(103)の第1の主方向(x)の各信号プロファイル(Srefj−x、Si−x、Ti−x)と、前記パネル(103)の第2の主方向(y)の各信号プロファイル(Srefj−y、Si−y、Ti−y)を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
  7. 前記照明配置(111x)は、光(L)を導入するための一組の発光体(112x)を備え、前記光検出配置(109x)は、光(L)を受光するための一組の光検出器(110x)を備え、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を形成するための光と、現在の信号プロファイル(S)を形成するための光が、同じ組の発光体(112x)及び光検出器(110x)により、各時刻で導入されて受光されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
  8. 前記プロセッサユニット(102)は、接触面(104)上に物体(C)が存在するのとは独立に、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
  9. 前記プロセッサユニット(102)は、物体(C)が接触面(104)に接触することにより前記パネル(103)内を伝搬する光(L)を減衰させるとき、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
  10. 前記プロセッサユニット(102)は、装置が起動されるとき、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
  11. 前記プロセッサユニット(102)は、予め定められた時間間隔でバックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
  12. 前記プロセッサユニット(102)は、該プロセッサユニットが物体(C)が接触面(104)に接触していないと判定するとき、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
  13. 前記プロセッサユニット(102)は、現在測定された信号プロファイル及び以前に(Srefj-1)更新されたバックグラウンド信号プロファイルに応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
  14. 前記プロセッサユニット(102)は、現在測定された信号プロファイルを、以前に更新されたバックグラウンド信号プロファイル(Srefj-1)よりも比較的低く重みづけすることで、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
  15. 前記プロセッサユニット(102)は、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第2セクション(Sref−B)と異なる、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第1セクション(Sref−A)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の装置。
  16. 前記プロセッサユニット(102)は、物体(C)の位置(pc)を表すバックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第1セクション(Sref−A)を更新するように構成され、該第1セクションは、物体(C)の位置(pc)を表さないバックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第2セクション(Sref−B)とは異なることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
  17. 前記プロセッサユニット(102)は、物体(C)の位置(pc)に応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を判定することにより、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の装置。
  18. 前記プロセッサユニット(102)は、物体(C)の位置(pc)が判定されてから経過した時間に応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を判定することにより、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の装置。
  19. 前記プロセッサユニット(102)は、物体(C)が接触面(104)から取り除かれるとき、物体(C)の位置(pc)と関連しないバックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第2セクション(Sref−B)よりも速く、物体(C)の位置(pc)に関連するバックグラウンド信号プロファイル(Sref)の第1セクション(Sref−A)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の装置。
  20. 前記プロセッサユニット(102)は、前記光検出配置(109x)により受光された光の時間分布変動に応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の装置。
  21. 前記プロセッサユニット(102)は、特定の時間間隔にわたって判定された物体(C)の位置(pc)に応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の装置。
  22. 接触面(104)上の少なくともひとつの物体の存在を表すデータを記憶するように構成されたメモリ装置(24)を備え、前記プロセッサユニット(102)は、少なくともひとつの物体の存在に応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の装置。
  23. 前記プロセッサユニット(102)は、予め定められた補償信号プロファイル(Ti−1)に応じて、物体(C)の位置(pc)を判定するように更に構成されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の装置。
  24. 前記光透過パネル(103)と整列配置されたグラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するインターフェイス装置(106)を備え、前記プロセッサユニット(102)は、グラフィカル・ユーザ・インタフェースに応じて、バックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新するように構成されることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の装置。
  25. 接触面(104)及び対向面(105)を規定する光透過パネル(103)の接触面(104)上の少なくともひとつの物体(C)の位置(pc)を判定する方法であって、
    接触面(104)と対向面(105)間の内部反射による伝搬のため、光(L)をパネル(103)に導入するステップと、
    パネル(103)内を伝搬する光(L)を受光するステップと、
    反復的に、
    光検出配置(109x)で受光された光の現在の信号プロファイル(S)を判定する(401)ステップと、
    条件が満たされるときに、光検出配置(109x)で受光された光(L)のバックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新する(403)ステップと、
    バックグラウンド信号プロファイル(Sref)及び現在の信号プロファイル(S)に応じて、現在の補償信号プロファイル(T)を計算する(405)ステップと、
    物体(C)が接触面(104)に接触することによりパネル(103)内を伝搬する光(L)を減衰させるとき、補償信号プロファイル(T)に応じて位置(pc)を判定する(406)ステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  26. 接触面(104)及び対向面(105)を規定する光透過パネル(103)の接触面(104)上の少なくともひとつの物体(C)の位置(pc)を判定する方法であって、
    反復的に、
    接触面(104)と対向面(105)間の内部反射による光透過パネル(103)内の伝搬後に光検出配置(109x)で受光された光の現在の信号プロファイル(S)を判定する(401)ステップと、
    条件が満たされるときに、光検出配置(109x)で受光された光(L)のバックグラウンド信号プロファイル(Sref)を更新する(403)ステップと、
    バックグラウンド信号プロファイル(Sref)及び現在の信号プロファイル(S)に応じて、現在の補償信号プロファイル(T)を計算する(405)ステップと、
    物体(C)が接触面(104)に接触することによりパネル(103)内を伝搬する光(L)を減衰させるとき、補償信号プロファイル(T)に応じて位置(pc)を判定する(406)ステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  27. コンピュータに請求項25又は26に記載の方法を行わせるための処理命令を記憶することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な媒体。
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