JP5581880B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池が有する触媒の劣化に関する。
燃料電池の電極触媒として、例えば、カーボンブラックに白金やルテニウム等の金属触媒を担持させた微粒子が用いられる。燃料電池中の電極触媒は、長期間の使用により劣化し得る。例えば、燃料電池を高電位無負荷状態で放置した場合における金属触媒の溶出や、電解質膜のピンホールを介した反応ガス(燃料ガス及び酸化剤ガス)のクロスリークに起因するカーボン酸化などが知られている。電極触媒の劣化は、反応ガスの燃費の低下を招くことから、従来から触媒の劣化率を正確に取得したいという要望があった。そこで、サイクリックボルタンメトリ法に従って燃料電池に電圧が印加されるようにポテンショスタットを制御し、印加電圧値と燃料電池を流れる電流値とに基づき、触媒の有効表面積を求め、かかる有効表面積に基づき触媒の劣化率を取得する技術が提案されている(特許文献1)。
特開2009−140751号公報
前述のポテンショスタットを用いて燃料電池に電圧を印加して触媒の劣化率を取得する技術では、印加電圧を得るための外部電源が必要となるため、触媒劣化率取得のための機構が大規模となり、燃料電池システムの製造コストの上昇を招くという問題があった。
本発明は、燃料電池が有する触媒の劣化率を、簡易な構成で正確に取得することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]
燃料電池システムであって、
触媒を有し、反応ガスを利用して発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の温度である燃料電池温度を取得する温度取得部と、
前記燃料電池におけるクロスリーク電流値を決定するクロスリーク電流値決定部と、
前記燃料電池が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを判定する湿潤判定部と、
前記燃料電池の開回路時の電圧である開回路電圧を測定する開回路電圧測定部と、
前記燃料電池の開回路時の理論上電圧である理論開回路電圧を算出すると共に、前記測定された開回路時の電圧である実測開回路電圧と前記理論開回路電圧との差分電圧を決定する差分電圧決定部と、
前記開回路時に前記燃料電池を流れる電流である開回路電流値を決定する開回路電流値決定部と、
前記燃料電池に流れる電流の電流値を調整する電流調整部と、
前記燃料電池に供給する前記反応ガスの流量を調整する流量調整部と、
前記燃料電池が前記高湿潤状態であると判定された場合において、前記流量調整部を制御して前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給すると共に、前記電流調整部を制御して低い電流密度範囲で前記燃料電池に流れる電流の電流値を変化させながら、前記燃料電池の電圧及び抵抗を測定する測定制御部と、
前記測定制御部により得られた電圧の測定電圧値と、前記測定制御部により得られた抵抗の測定抵抗値と、前記測定電圧値及び前記測定抵抗値に対応する電流値とに基づき、電荷移動係数を決定する電荷移動係数決定部と、
前記決定された差分電圧と、前記決定された開回路電流値と、前記決定された電荷移動係数とに基づき、交換電流密度を決定する交換電流密度決定部と、
前記決定された交換電流密度に基づき、前記触媒の劣化率を決定する劣化率決定部と、
を備え、
前記電荷移動係数決定部は、各電流値ごとに、対応する前記測定抵抗値と前記電流値とを掛け合わせて得られるIR過電圧を、対応する前記測定電圧値に加えて補正後電圧値を求めると共に、各電流値の対数値と対応する前記補正後電圧値とを直線近似した場合の傾きを求め、前記求めた傾き及び前記燃料電池温度に基づき、式1Aに基づき前記電荷移動係数を決定し、
前記交換電流密度決定部は、前記決定されたクロスリーク電流値と、予め設定されているマイクロショート電流の電流値と、前記決定された電荷移動係数と、に基づき、式1Bにより初期状態の交換電流密度を求めると共に、式1Cにより現在の交換電流密度を求め、
前記劣化率決定部は、前記求められた初期状態の交換電流密度と、前記求められた現在の交換電流密度とに基づき、式1Dにより前記触媒の劣化率を決定し、
前記開回路電流値は、前記クロスリーク電流及び前記マイクロショート電流の合計電流値である、燃料電池システム。
Figure 0005581880
Figure 0005581880
Figure 0005581880
Figure 0005581880
但し、前記式1Aにおいて、αは前記電荷移動係数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、Fはファラデー定数を、Aは前記傾きを、それぞれ示し、
前記式1Bにおいて、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、αは前記電荷移動係数を、Fはファラデー定数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、i_LEAKは前記クロスリーク電流値を、i_SHORTは前記マイクロショート電流を、それぞれ示し、
前記式1Cにおいて、i0(T)は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、Rは気体定数を、Tは現在の前記燃料電池温度を、T1は前記i0_INIを求める際の前記燃料電池温度を、前記G_i0は前記Tと前記T1との差分をキャンセルして前記現在の交換電流密度を求めるための所定の係数を、それぞれ示し、
前記式1Dにおいて、Rdは前記触媒の劣化率を、i0は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、それぞれ示す。
[適用例1]燃料電池システムであって、触媒を有し、反応ガスを利用して発電を行う燃料電池と、前記燃料電池が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを判定する湿潤判定部と、前記燃料電池の開回路時の電圧である開回路電圧を測定する開回路電圧測定部と、前記燃料電池の開回路時の理論上電圧である理論開回路電圧を算出すると共に、前記測定された開回路時の電圧である実測開回路電圧と前記理論開回路電圧との差分電圧を決定する差分電圧決定部と、前記開回路時に前記燃料電池を流れる電流である開回路電流値を決定する開回路電流値決定部と、前記燃料電池に流れる電流の電流値を調整する電流調整部と、前記燃料電池に供給する前記反応ガスの流量を調整する流量調整部と、前記燃料電池が前記高湿潤状態であると判定された場合において、前記流量調整部を制御して前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給すると共に、前記電流調整部を制御して低い電流密度範囲で前記燃料電池に流れる電流の電流値を変化させながら、前記燃料電池の電圧及び抵抗を測定する測定制御部と、前記測定制御部により得られた電圧の測定電圧値と、前記測定制御部により得られた抵抗の測定抵抗値と、前記測定電圧値及び前記測定抵抗値に対応する電流値とに基づき、電荷移動係数を決定する電荷移動係数決定部と、前記決定された差分電圧と、前記決定された開回路電流値と、前記決定された電荷移動係数とに基づき、交換電流密度を決定する交換電流密度決定部と、前記決定された交換電流密度に基づき、前記触媒の劣化率を決定する劣化率決定部と、を備える、燃料電池システム。
適用例1の燃料電池システムでは、開回路時の電圧(OCV)の測定、及び電流を変えて電圧,抵抗の測定を行い、得られた測定値に基づき電荷移動係数,交換電流密度を決定し、得られた交換電流密度に基づき触媒の劣化率を決定するので、各値の測定において、燃料電池に印加するための外部電源は不要であり、また、各機能部をオンボードで実現可能であることから、触媒の劣化率を決定するための大規模な機構を必要とせず、簡易な構成で触媒劣化率を求めることができる。その結果、燃料電池システムの製造コストの上昇を抑制できる。加えて、開回路時の過電圧に基づき触媒劣化率を求めるので、閉回路時(負荷接続時)における様々な要因(ガス流量や発熱要求の有無等)による活性化過電圧の変化を抑制でき、触媒劣化率を正確に求めることができる。また、燃料電池が高湿潤状態である場合に開回路時の電圧を得るので、乾燥によるクロスリーク電流の減少に起因する開回路時の電圧の増加を抑制できる。したがって、触媒の劣化による活性化過電圧の増加を正確に見積もることができ、触媒の劣化率を正確に決定することができる。また、低い電流密度範囲で電流値を変化させるので、濃度過電圧の発生を抑制でき、活性化過電圧の増加を正確に見積もることができる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池システムにおいて、さらに、前記燃料電池の温度である燃料電池温度を取得する温度取得部を備え、前記電荷移動係数決定部は、各電流値ごとに、対応する前記測定抵抗値と前記電流値とを掛け合わせて得られるIR過電圧を、対応する前記測定電圧値に加えて補正後電圧値を求めると共に、各電流値の対数値と対応する前記補正後電圧値とを直線近似した場合の傾きを求め、前記求めた傾き及び前記燃料電池温度に基づき、式1に基づき前記電荷移動係数を決定する、燃料電池システム。
Figure 0005581880
ただし、前記式1において、αは前記電荷移動係数を,Rは気体定数を,Tは前記燃料電池温度を,Fはファラデー定数を,Aは前記傾きを,それぞれ示す。
このような構成により、抵抗過電圧をキャンセルすることができるので、活性化過電圧を、補正後電圧として得ることができる。したがって、電荷移動係数を正確に決定することができるため、触媒の劣化率を正確に決定することができる。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池システムにおいて、前記低い電流密度範囲は、0(アンペア/平方センチメートル)よりも大きく0.2(アンペア/平方センチメートル)以下である、燃料電池システム。
このような構成により、燃料電池内において、燃料電池の断面方向(積層方向と垂直な方向)のガス濃度分布をほぼ均一にすることができる上、燃料電池が複数の単セルを積層した構成とした場合において、積層方向のガス濃度分布をほぼ均一にすることができるので、濃度過電圧の発生を抑制することができる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、さらに、前記決定された劣化率が所定の劣化率に達した場合に、前記触媒のリフレッシュ処理を実行する、触媒リフレッシュ実行部を備える、燃料電池システム。
このような構成により、触媒が所定の劣化率よりも悪化した場合に触媒をリフレッシュできるので、反応ガスの燃費を向上させることができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記開回路電流値は、クロスリーク電流及びマイクロショート電流の合計電流値である、燃料電池システム。
このような構成により、交換電流密度を決定する際に、開回路時に燃料電池を流れる電流、すなわち、活性化過電圧の原因となり得る電流であるクロスリーク電流及びマイクロショート電流をいずれも用いるので、交換電流密度を正確に求めることができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記測定制御部は、前記流量調整部を制御して、前記燃料電池における前記反応ガスの入口側におけるストイキ比が1.0以上かつ6.0未満となるように前記反応ガスを前記燃料電池に供給することにより、前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給する、燃料電池システム。
このような構成により、反応ガスの入口側及び出口側を含む燃料電池全体において、供給される反応ガスのストイキ比が1.0以上となるので、濃度過電圧の発生を抑制することができる。加えて、入口側におけるストイキ比が6.0未満とすることによりドライの影響を抑制できるので、IR過電圧の発生を抑制することができる。
[適用例7]触媒及び電解質膜を有し反応ガスを利用して発電を行う燃料電池における前記触媒の劣化率を決定する方法であって、(a)前記燃料電池の開回路時の電圧である開回路電圧を測定する工程と、(b)前記燃料電池の開回路時の理論上電圧である理論開回路電圧を算出すると共に、前記測定された開回路時の電圧である実測開回路電圧と前記理論開回路電圧との差分電圧を決定する工程と、(c)前記開回路時に前記燃料電池を流れる電流である開回路電流値を決定する工程と、(d)前記燃料電池が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを判定する工程と、(e)前記燃料電池が前記高湿潤状態であると判定された場合において、前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給すると共に、低い電流密度範囲で前記燃料電池に流れる電流の電流値を変化させながら、前記燃料電池の電圧及び抵抗を測定する工程と、(f)前記得られた電圧の測定電圧値と、前記得られた抵抗の測定抵抗値と、前記測定電圧値及び前記測定抵抗値に対応する電流値とに基づき、電荷移動係数を決定する工程と、(g)前記決定された差分電圧と、前記決定された開回路電流値と、前記決定された電荷移動係数とに基づき、交換電流密度を決定する工程と、(h)前記決定された交換電流密度に基づき、前記触媒の劣化率を決定する工程と、を備える、方法。
適用例7の方法では、開回路時の電圧の測定、及び電流を変えた電圧,抵抗の測定を行い、得られた測定値に基づき電荷移動係数,交換電流密度を決定し、得られた交換電流密度に基づき触媒の劣化率を決定するので、各値の測定において、燃料電池に印加するための外部電源は不要であり、また、各機能部をオンボードで実現可能であることから、触媒の劣化率を決定するための大規模な機構を必要とせず、簡易な構成で触媒劣化率を求めることができる。その結果、触媒の劣化率を決定するための機構の製造コストの上昇を抑制できる。加えて、燃料電池が高湿潤状態である場合において、開回路時の電圧を得るので、乾燥によるクロスリーク電流の減少に起因する開回路時の電圧の増加を抑制できる。したがって、触媒の劣化による活性化過電圧の増加を正確に見積もることができ、触媒の劣化率を正確に決定することができる。また、低い電流密度範囲で電流値を変化させるので、濃度過電圧の発生を抑制でき、活性化過電圧の増加を正確に見積もることができる。
本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図。 本実施例における触媒劣化率決定処理の手順を示すフローチャートである。 ステップS115において実行される平均分圧決定処理の手順を示すフローチャートである。 電荷移動係数αを決定する方法を模式的に示す説明図である。 本実施例の触媒劣化率決定処理により得られた触媒劣化率の例を示す説明図である。
A.実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。本実施例において、燃料電池システム100は、駆動用電源を供給するためのシステムとして、電気車両に搭載されて用いられる。燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、空気供給路61と、カソードオフガス排出路62と、水素ガス供給路63と、第1アノードオフガス排出路64と、水素ガスバイパス路65と、第2アノードオフガス排出路66と、エア流量計22と、エアコンプレッサ21と、カソード側圧力センサ24と、調圧弁72と、水素タンク31と、水素ガス用循環ポンプ32と、アノード側圧力センサ33と、遮断弁73と、冷却媒体供給路68と、冷却媒体排出路67と、ラジエータ41と、冷却媒体用循環ポンプ42と、温度センサ43と、パワーコントロールユニット52(以下、「PCU」と呼ぶ)と、電圧測定部53と、電流測定部54と、インピーダンス測定部55と、制御ユニット90とを備えている。
燃料電池スタック10は、積層された複数の単セル80を備えている。単セル80は、アノード側セパレータ81と、電解質膜を有するMEA(Membrane Electrode Assembly)82と、カソード側セパレータ83とを備えており、MEA82をアノード側セパレータ81とカソード側セパレータ83とで挟んだ構成を有している。MEA82は、固体高分子膜を触媒層及び拡散層で挟んだ構成を有する。触媒層としては、例えば、触媒(白金や、白金とルテニウムや鉄等の金属との合金など)を導電性粒子(カーボンブラックなど)に担持させた部材、及びプロトン導電体であるアイオノマを用いて構成することができる。拡散層としては、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体を採用することができる。
空気供給路61は、エアコンプレッサ21と燃料電池スタック10とを連通し、エアコンプレッサ21から供給される圧縮空気を燃料電池スタック10に導くための流路である。カソードオフガス排出路62は、燃料電池スタック10のカソードからカソードオフガス(電気化学反応に用いられなかった余剰空気)を排出するための流路である。
水素ガス供給路63は、水素タンク31と燃料電池スタック10とを連通し、水素タンク31から供給される水素ガスを燃料電池スタック10に導くための流路である。第1アノードオフガス排出路64は、燃料電池スタック10のアノードからアノードオフガス(電気化学反応に用いられなかった余剰水素ガス)を排出するための流路である。水素ガスバイパス路65は、第1アノードオフガス排出路64と水素ガス供給路63とを連通し、燃料電池スタック10から排出される水素ガスを水素ガス供給路63に戻すための流路である。第2アノードオフガス排出路66は、第1アノードオフガス排出路64と連通し、第1アノードオフガス排出路64から供給されるアノードオフガスを外部へと排出するための流路である。
エア流量計22は、空気供給路61に配置され、エアコンプレッサ21から燃料電池スタック10に供給される空気量を計測する。エアコンプレッサ21は、空気供給路61に配置され、外部から取り込んだ空気を加圧して酸化剤ガスとして燃料電池スタック10に供給する。エアコンプレッサ21としては、例えば、インペラが回転して圧縮を行う遠心式のコンプレッサや、動翼(ロータ)が回転して圧縮を行う軸流式のコンプレッサを用いることができる。カソード側圧力センサ24は、カソードオフガス排出路62に配置され、燃料電池スタック10のカソード側出口におけるガス圧を測定する。調圧弁72は、カソードオフガス排出路62に配置され、燃料電池スタック10側の圧力(背圧)を調整するための弁である。
水素タンク31は、燃料ガスとしての高圧水素ガスを貯蔵しており、図示しない遮断弁及び調圧弁を介して燃料電池スタック10に水素ガスを供給する。水素ガス用循環ポンプ32は、水素ガスバイパス路65に配置され、水素ガスを第1アノードオフガス排出路64から水素ガス供給路63へと流通させるためのポンプである。アノード側圧力センサ33は、水素ガス供給路63に配置され、燃料電池スタック10のアノード側入口におけるガス圧を測定する。遮断弁73は、第2アノードオフガス排出路66に配置され、開いた状態において第1アノードオフガス排出路64から供給されるアノードオフガスを外部へと排出し、閉じた状態において第1アノードオフガス排出路64から供給されるアノードオフガスを水素ガスバイパス路65に供給する。
冷却媒体供給路68は、ラジエータ41と燃料電池スタック10とを連通し、ラジエータ41により冷却された冷却媒体を燃料電池スタック10に導くための流路である。冷却媒体排出路67は、燃料電池スタック10とラジエータ41とを連通し、燃料電池スタック10から排出される冷却媒体をラジエータ41へと導くための流路である。ラジエータ41は、冷却媒体排出路67から供給される冷却媒体の熱と外気の熱とを交換する。冷却媒体用循環ポンプ42は、冷却媒体排出路67に配置され、冷却媒体排出路67,冷却媒体供給路68、及び図示しない燃料電池スタック10内の冷却媒体流路において、冷却媒体を循環させる。温度センサ43は、冷却媒体排出路67に配置され、冷却媒体の温度を測定する。なお、本実施例では、燃料電池スタック10の温度として、温度センサ43により測定される冷却媒体の温度を用いる。
PCU52は、図示しないインバータやDC−DCコンバータ等を備え、燃料電池スタック10と負荷(電気車両の駆動用モータや、エアコンプレッサ21や水素ガス用循環ポンプ32などの補機等)との間の電気的接続を制御する。また、PCU52は、燃料電池スタック10を流れる電流及び燃料電池スタック10の電圧を制御する。電圧測定部53は、燃料電池スタック10全体の電圧値を測定する。電流測定部54は、燃料電池スタック10全体を流れる電流値を測定する。インピーダンス測定部55は、燃料電池スタック10と接続されており、燃料電池スタック10全体としての抵抗値を測定する。抵抗測定の方法としては、例えば、交流インピーダンス法を採用することができる。
制御ユニット90は、エアコンプレッサ21と、水素ガス用循環ポンプ32と、冷却媒体用循環ポンプ42と、各弁72,73と電気的に接続されており、これら各要素を制御する。また、制御ユニット90は、流量計22と、温度センサ43と、電圧測定部53と、電流測定部54と、インピーダンス測定部55と電気的に接続されており、これら各要素から測定値を受信する。
制御ユニット90は、CPU(Central Processing Unit)91と、RAM(Random Access Memory)92と、ROM(Read Only Memory)93とを備えている。ROM93には、燃料電池システム100を制御するための図示しない制御プログラムが格納されており、CPU91は、RAM92を利用しながらこの制御プログラムを実行することにより、湿潤判定部91a,測定制御部91b,分圧決定部91c,クロスリーク電流決定部91d,過電圧決定部91e,電荷移動係数決定部91f,交換電流密度決定部91g,触媒劣化率決定部91hとして機能する。
湿潤判定部91aは、燃料電池スタック10内部の湿潤状態(燃料電池スタック10内に含まれる水分量の多少)を判定する。測定制御部91bは、燃料電池スタック10を流れる電流値と、燃料電池スタック10の電圧値と、燃料電池スタック10のインピーダンスとを測定する。分圧決定部91cは、アノード側における水素ガス分圧と、カソード側における酸素ガス分圧とを決定する。クロスリーク電流決定部91dは、燃料電池スタック10におけるクロスリーク電流値を決定する。過電圧決定部91eは、開回路(OC:Open Circuit)状態における燃料電池スタック10の過電圧を決定する。電荷移動係数決定部91fは、後述する触媒劣化率決定処理において電荷移動係数αを決定する。交換電流密度決定部91gは、後述する触媒劣化率決定処理において交換電流密度i0を決定する。触媒劣化率決定部91hは、後述する触媒劣化率決定処理において触媒劣化率を決定する。
ROM93には、前述の制御プログラムに加えて、予め各種定数が格納されている。具体的には、図1に示すように、「i_SHORT」,「f_LEAK」,「G_LEAK」,「G_i0」,「i0_INI」,「T1」,「st」が格納されている。
定数i_SHORTは、燃料電池スタック10を流れるマイクロショート電流の電流値を示す。マイクロショート電流は、例えば、MEA82における局部的に圧力がかかる部分において、電解質膜にガス拡散層基材のカーボン繊維が突き刺さることにより短絡が起こり発生し得る。
定数f_LEAKは、クロスリーク電流値を求める際に用いられる係数であり、水素ガス分圧値とクロスリーク電流値との相関を示す係数である。また、定数G_LEAKもクロスリーク電流値を求める際に用いられる係数であり、後述の温度T1と、後述の触媒劣化処理を実行する際の燃料電池スタック10の温度との差分をキャンセルしてクロスリーク電流値を求めるための係数である。
定数G_i0は、交換電流密度i0を求める際に用いられる係数であり、後述の温度T1と、後述の触媒劣化処理を実行する際の燃料電池スタック10の温度Tとの差分をキャンセルして交換電流密度i0を求めるための係数である。定数i0_INIは、初期状態(燃料電池スタック10が初めて運転を行う前)における燃料電池スタック10の交換電流密度(すなわち、交換電流密度の初期値)である。定数i0_INIの求め方については後述する。定数T1は、定数i0_INIを求めた際の燃料電池スタック10の温度を示す。定数stは、燃料電池スタック10が通常運転(動作点が燃料電池スタック10のI−V特性曲線上となるような運転)を行っている際の反応ガス(空気及び水素ガス)のストイキ比を示す。上述した各定数は、いずれも予め実験等より求めてROM93に格納されている。
なお、前述の過電圧決定部91eは、請求項における開回路電圧測定部及び差分電圧決定部に相当する。また、クロスリーク電流決定部91dは請求項における開回路電流決定部に、パワーコントロールユニット52及び測定制御部91bは請求項における電流調整部に、エアコンプレッサ21及び測定制御部91bは請求項における流量調整部に、温度センサ43は請求項における温度取得部に、それぞれ相当する。
A2.触媒劣化率決定処理:
燃料電池システム100を搭載した電気車両において、燃料電池スタック10がOC状態になった場合に、触媒劣化決定処理を実行する。なお、OC状態とは、燃料電池スタック10の両極間における電荷の移動が遮断された状態(無負荷状態)であり、本実施例では、燃料電池スタック10が発電を停止した状態を意味する。
図2は、本実施例における触媒劣化率決定処理の手順を示すフローチャートである。図1に示す湿潤判定部91aは、燃料電池スタック10内部が高湿潤状態であるか否かを判定し、燃料電池スタック10内部が高湿潤状態となるまで待機する(ステップS105)。燃料電池スタック10が発電を停止してOC状態となった後には燃料電池スタック10の温度が低下するため、飽和水蒸気圧が低下し、燃料電池スタック10内部の湿度が増加する。
ステップS105における判定は、例えば、以下のように実現することができる。湿潤判定部91aは、OC状態になる直前の燃料電池スタック10を流れる電流値(電流密度)に基づき燃料電池スタック10内の水蒸気分圧を計算する。次に、湿潤判定部91aは、算出した水蒸気分圧に基づき、燃料電池スタック10の温度が低下して燃料電池スタック10内が飽和蒸気圧に達する温度を決定する。そして、温度センサ43から得られる燃料電池スタック10の温度が、燃料電池スタック10内が飽和蒸気圧となる温度まで達していない場合に高湿潤状態ではないと判定し、かかる温度以下となった場合に高湿潤状態であると判定することができる。
燃料電池スタック10内部が高湿潤状態となるまで待機するのは、以下の理由による。燃料電池スタック10内部が乾燥状態においては、燃料電池スタック10のOCV(開回路電圧)は上昇する傾向にある。この傾向は、各単セル80内の電解質膜の乾燥に伴って極間をリークするガスが減ることによりクロスリーク電流が減少することに起因する。後述するように、本実施例では、初期状態と比べたOCVの低下(過電圧)のうち、触媒劣化に伴う活性化過電圧に基づき、触媒劣化率を求めるようにしている。したがって、乾燥状態においては、電解質膜の乾燥に伴うOCVの上昇の影響によって過電圧を正確に求めることができないため、触媒劣化率を正確に求めることができない。そこで、本実施例では、燃料電池スタック10の温度が低下して高湿潤状態となるまで待機することにより、電解質膜の乾燥に伴うOCVの上昇を抑制する。
燃料電池スタック10内部が高湿潤状態であると判定されると(ステップS105:YES)、測定制御部91bは、燃料電池スタック10の温度と、OCV(実測OCV)と、アノード側の入口及び出口の全圧と、カソード側の入口及び出口の全圧とを取得する(ステップS110)。燃料電池スタック10の温度は、温度センサ43から通知される温度により取得することができる。OCVは、開回路状態となった後において電圧測定部53から通知される電圧値により取得することができる。カソード側の入口の全圧は、カソード側圧力センサ24の圧力に、燃料電池スタック10のカソード側の圧力損失(所定値)を加えることにより取得することができる。カソード側の出口の全圧は、カソード側圧力センサ24から通知される圧力値により取得することができる。アノード側の入口の全圧は、アノード側圧力センサ33から通知される圧力値により取得することができる。アノード側の出口の全圧は、アノード側圧力センサ33から通知される圧力値から、燃料電池スタック10のアノード側の圧力損失(所定値)を差し引くことにより取得することができる。
分圧決定部91cは、平均分圧決定処理を実行することにより、アノード側における水素ガスの平均分圧(P_H2)と、カソード側における酸素ガスの平均分圧(P_O2)とを決定する(ステップS115)。
図3は、ステップS115において実行される平均分圧決定処理の手順を示すフローチャートである。分圧決定部91cは、燃料電池スタック10の温度Tを下記式2(いわゆる、Antoine式)に代入して、飽和水蒸気圧P(sat/vap)を計算する(ステップS205)。
Figure 0005581880
湿潤判定部91aは、図2のステップS110で求めた各全圧(アノード側の入口/出口,カソード側の入口/出口)から、ステップS205で求めた飽和水蒸気圧を差し引くことで、アノード側の入口及び出口の水素ガス分圧と、カソード側の入口及び出口の酸素ガス分圧とを決定する(ステップS210)。
湿潤判定部91aは、ROM93からストイキ比stを読み出し(ステップS215)、ストイキ比stとステップS210で求めた各分圧とに基づき、公知の方法により、アノード側における水素ガスの平均分圧(P_H2)と、カソード側における酸素ガスの平均分圧(P_O2)とを決定する(ステップS220)。
図2に示すように、平均分圧決定処理(ステップS115)が終了すると、過電圧決定部91eは、下記式3(いわゆるNernst式)に基づき、理論上の燃料電池スタック10のOCV(理論OCV:V_IDEAL)を算出する(ステップS120)。
Figure 0005581880
上記式3において、T(K)は、燃料電池スタック10の温度の絶対温度を示す。また、Rは気体定数を、Tは燃料電池スタック10の絶対温度を、P_H2及びP_02はステップS220で求めたアノード側における水素ガスの平均分圧及びカソード側における酸素ガスの平均分圧を、nは燃料電池スタック10を構成する単セル80の数を、Patmは1気圧(101.3kPa)を、それぞれ示す。
過電圧決定部91eは、OC状態において電圧測定部53から通知される燃料電池スタック10の実測のOCV(V_fc)と、ステップS120で求めた理論OCV(V_IDEAL)とに基づき、式4に基づき過電圧(η)を求める。
Figure 0005581880
理論OCVは、過電圧が発生していない理想的な状態における燃料電池スタック10の電圧である。これに対し、実測OCV(V_fc)は、過電圧を含むため、理論OCV(V_IDEAL)よりも電圧値が低い。実測OCVに含まれる過電圧は、活性化過電圧と、濃度過電圧と、抵抗過電圧とから構成される。
活性化過電圧は、アノード触媒において水素が水素イオンとなる際に必要なエネルギー及びカソード触媒において水素イオンと酸素が反応して水となる際に必要なエネルギーの和が損失分となって低下した電圧を意味する。一般に、アノードでの活性化過電圧はカソードと比べて十分に小さいため、以下ではカソードでの活性化過電圧についてのみ考慮する。OC状態における活性化過電圧は、クロスリーク電流及びマイクロショート電流を生じる電気化学反応における活性化エネルギーが損失分となって低下した電圧と考えられる。なお、長期間の運転に伴いカソード触媒が劣化するため、カソード活性化過電圧が増大する。濃度過電圧は、電気化学反応に伴い生じる生成水による触媒層細孔の閉塞(フラッディング)や、反応ガスの濃度低下により、反応部位である触媒表面に反応ガスが到達しにくくなるために生じる過電圧を意味する。抵抗過電圧は、燃料電池スタック10を構成する各単セル80の内部抵抗に起因する過電圧である。
過電圧ηが決定されると、クロスリーク電流決定部91dは、ROM93から、定数「f_LEAK」,「G_LEAK」を読み出し、これら定数と、ステップS115で決定した水素ガスの平均分圧(P_H2)とを用いて、式5に基づき、クロスリーク電流値(i_LEAK)を決定する(ステップS130)。なお、式5において、Rは気体定数を、Tは燃料電池スタック10の温度を、それぞれ示す。
Figure 0005581880
測定制御部91bは、エアコンプレッサ21及び図示しない調圧弁を制御して、反応ガス(エア及び水素ガス)を、高ストイキ比となるように燃料電池スタック10に供給する(ステップS135)。エアのストイキ比として、例えば、2.0以上とすることにより、カソード側出口におけるストイキ比を1.0以上(2.0−1.0)にできる。この場合、カソード側出口における酸素のストイキ比は1.0以上となり、カソード全体において、酸素のストイキ比をほぼ1.0とすることができる。また、例えば、水素ガス側のストイキ比を2.0以上とすることにより、アノード側出口における水素のストイキ比を1.0(2.0−1.0)にできるので、アノード全体において水素のストイキ比をほぼ1.0とすることができる。このように、アノード側及びカソード側において反応ガスのストイキ比を1.0以上とするのは、各単セル80の反応面内においてガス濃度をほぼ均一とし、反応ガスの欠乏に起因する濃度過電圧の発生を抑制するためである。さらに、エア及び水素のストイキ比を6.0未満とすることで、ドライの影響を抑制しつつ(IR過電圧の増加を抑制しつつ)、濃度過電圧の発生を抑制することができる。
測定制御部91bは、PCU52を制御して、燃料電池スタック10を流れる電流(電流密度)の大きさを変えながら、燃料電池スタック10の電圧値及び抵抗値を測定する(ステップS140)。電流密度を変化させる範囲は、比較的小さい電流密度の範囲とする。例えば、0〜0.2(A/平方cm)とする。かかる電流密度範囲においては、単セル80の積層方向のガス濃度分布、及び単セル80内におけるMEA82の断面方向(積層方向に対して垂直となる方向)のガス濃度分布がほぼ均一となり、濃度過電圧の発生を抑制できるからである。電荷移動係数決定部91fは、ステップS140で得られた測定値に基づき、電荷移動係数(α)を決定する(ステップS145)。
図4は、電荷移動係数αを決定する方法を模式的に示す説明図である。図4において、横軸は電流密度(対数値)を示し、縦軸は抵抗過電圧分を補正した後の電圧値を示す。電荷移動係数決定部91fは、以下のようにして電荷移動係数αを決定する。まず、ステップS140で得られた各電流密度に対応する電圧値に抵抗過電圧を加えることにより補正後の電圧を求める。抵抗過電圧は、測定した電流密度とインピーダンス値とを掛け合わせることで求めることができる。次に、電流密度の対数と補正後の電圧とに対して最小二乗法等により直線近似(フィッティング)を行い、傾きAを求める。図4に示すように、測定した電流密度の対数値と補正後の電圧値とが直線L1で近似できた場合、傾きAは、「−0.0317」となる。次に、得られた傾きAを、式6に代入して電荷移動係数αを求める。なお、式6において、Rは気体定数を、Tは燃料電池スタック10の温度を、Fはファラデー定数を、それぞれ示す。なお、図4の例では、電流密度の範囲は、0.01〜0.2(A/平方cm)である。
Figure 0005581880
電荷移動係数αが決定されると、交換電流密度決定部91gは、電荷移動係数αを用いて式7に基づき交換電流密度i0を算出すると共に、式8に基づき現在の燃料電池スタック10の温度における交換電流密度i0を決定する(ステップS150)。式7において、Fはファラデー定数を、Rは気体定数を、Tは燃料電池スタック10の温度を、それぞれ示す。また、式7において、i_LEAKはステップS130で求めたクロスリーク電流値i_LEAKを、i_SHORTは図1に示す定数i_SHORTを、それぞれ示す。
Figure 0005581880
Figure 0005581880
式8において、i0(T)は、現在の(すなわち、経年後の)燃料電池スタック10における交換電流密度i0を、i0_INIは、図1に示す定数i0_INI(すなわち、初期状態の交換電流密度i0)を、G_i0は、図1に示す定数G_i0を、Tは現在の燃料電池スタック10の温度を、T1は図1に示す定数T1を、それぞれ示す。定数i0_INIは、予め前述のステップS135〜S145を実行し、得られた電荷移動係数αを上記式7に代入することにより得ることができる。
一般に、交換電流密度i0は、反応(電荷移動過程)の進み易さを示しており、値が大きいほど電荷移動過程は速やかに進む。したがって、触媒が劣化するのに従い交換電流密度i0は減少する。ここで、燃料電池スタック10は高湿潤状態であるためクロスリーク電流の減少に起因するOCVの増加は抑制されている。また、電荷移動係数αを求める際に用いる電圧値からは燃料電池スタック10の抵抗過電圧はキャンセルされている。また、高ストイキ比で反応ガスを供給すると共に比較的低い電圧密度範囲(0〜0.2A/平方cm)において電圧を測定しているので、電荷移動係数αを求める際に用いる電圧値において濃度過電圧の影響は抑制されている。したがって、抵抗過電圧及び濃度過電圧の影響が抑制されているので、触媒の劣化に伴う活性化エネルギーの増加(すなわち、活性化過電圧の増加)に起因する交換電流密度i0の減少を正確に求めることができる。
触媒劣化率決定部91hは、ステップS150で求めた現在の交換電流密度i0と、初期状態の交換電流密度i0(定数i0_INI)とを用いて、式9に基づき、触媒劣化率Rdを決定する(ステップS155)。本実施例において、触媒劣化率Rdとは、初期状態における有効触媒量(反応に供する触媒の量)に対する、反応に寄与しない触媒量の割合(%)を意味する。
Figure 0005581880
図5は、本実施例の触媒劣化率決定処理により得られた触媒劣化率の例を示す説明図である。図5に示す例では、新品MEAと擬似中古MEAとを用いて、本実施例の触媒劣化率決定処理により触媒劣化率を求めた。擬似中古MEAとは、新品MEAの触媒層において、触媒(Pt)の量を減らして25.0%としたMEAを意味する。したがって、図5に示すように、実際の触媒劣化率は25.0%となる。
図5に示すように、劣化後のOCVの値は、劣化前のOCV(新品MEAのOCV)の値に比べて低くなっていた。また、劣化後の交換電流密度(すなわち、i0)は、劣化前の交換電流密度(すなわち、i0_INI)に比べては減少しており、反応の進み易さが低下していることを示している。そして、本実施例の触媒劣化率決定処理の結果、触媒劣化率Rdは、24.1%であると決定された。実際の触媒劣化率は25.0%であるので、誤差は1%以下であった。このように、本実施例の触媒劣化率決定処理により得られた触媒劣化率は、実際の値に近いものであった。
以上説明したように、本実施例の燃料電池システムでは、OCVの測定、及び電流密度,電圧,インピーダンスの測定を行い、得られた測定値に基づき所定の演算,フィッティングを行って交換電流密度i0を求め、得られた交換電流密度i0と、初期状態の交換電流密度(i0_INI)とに基づき触媒劣化率Rdを求める。各値の測定においては、PCU52,電圧測定部53,電流測定部54,インピーダンス測定部55を用いるため、各単セル80に印加するための外部電源は不要であり、また、所定の演算,フィッティングは制御ユニット90(オンボード)で処理することができる。したがって、触媒劣化率を求めるための大規模な機構を必要とせず、簡易な構成で触媒劣化率を求めることができる。その結果、燃料電池システム100の製造コストの上昇を抑えることができる。
加えて、開回路時の過電圧に基づき触媒劣化率を求めるので、閉回路時(負荷接続時)における様々な要因(ガス流量や発熱要求の有無等)による活性化過電圧の変化を抑制でき、触媒劣化率を正確に求めることができる。
また、高湿潤状態においてOCVを測定するので、乾燥によるクロスリーク電流の減少に起因するOCVの上昇を抑制することができる。また、電荷移動係数αを求める際に用いる電圧値からは燃料電池スタック10の抵抗過電圧はキャンセルされ、高ストイキ比で反応ガスを供給すると共に比較的低い電圧密度範囲(0〜0.2A/平方cm)において電圧を測定しているので、電荷移動係数αを求める際に用いる電圧値において濃度過電圧の影響は抑制されている。したがって、触媒の劣化に伴う活性化エネルギーの増加(すなわち、活性化過電圧の増加)に起因する交換電流密度i0の減少を正確に求めることができるので、触媒劣化率を正確に決定することができる。
また、交換電流密度i0を導出する際に用いる電流値として、クロスリーク電流値i_LEAK及びマイクロショート電流値i_SHORTを用いているので、OC状態において燃料電池スタック10内を流れる電流、すなわち、活性化過電圧の原因となり得る電流をいずれも利用して交換電流密度i0を導出するので、交換電流密度i0を正確に求めることができる。
B.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
上記実施例では、燃料電池システム100は、触媒劣化率を決定するまでを行っていたが、これに加えて、決定した触媒劣化率に基づき種々の処理を実行することもできる。具体的には、例えば、触媒劣化率が所定の値に達した場合には、高電位回避制御処理を禁止させることができる。高電位回避制御処理とは、例えば、負荷(駆動用モータなど)への電力供給の停止指示があった場合に、反応ガスの供給量を減らすと共に電力供給を継続することで、カソードが高電位無負荷となって触媒が形態変化(劣化)することを抑制する処理を意味する。このような構成により、触媒劣化がある程度進み、高電位回避制御を行っても高い効果が得られない場合には、無駄な反応ガスの供給を抑制して燃費を向上させることができる。また、例えば、触媒劣化率が所定の値に達した場合には、触媒の洗浄を行うことで、被毒した触媒をリフレッシュする処理を実行することもできる。このような構成により、触媒の劣化を抑制して活性化過電圧の発生を抑制できるので、燃費を向上させることができる。
B2.変形例2:
上記実施例では、触媒劣化率決定処理が開始されるのは、電気車両が停止してOC状態になった場合であったが、これに変えて、アイドリング中など、負荷から燃料電池スタック10が切り離されてOC状態となった場合に、触媒劣化率決定処理を開始する構成を採用することができる。すなわち、一般には、OC状態において(開回路時に)、触媒劣化率決定処理を実行する任意の構成を、本発明の燃料電池システムに採用することができる。
B3.変形例3:
上記実施例では、交換電流密度i0を求める際に、クロスリーク電流値i_LEAK及びマイクロショート電流値i_SHORTを用いていたが、これに代えて、クロスリーク電流値i_LEAK及びマイクロショート電流値i_SHORTのうち、一方の電流値のみを用いることもできる。例えば、単セル80の構成によりマイクロショート電流が非常に小さい場合には、クロスリーク電流値i_LEAKのみ用いて交換電流密度i0を導出することもできる。この構成では、定数i_SHORTをROM93に格納しなくて済み、また、交換電流密度i0の決定処理(式7の演算)が比較的短時間で実行できる。すなわち、一般には、開回路時に燃料電池スタック10を流れる電流である開回路電流値を、交換電流密度i0を求める際に用いることができる。
B4.変形例4:
上記実施例では、燃料電池スタック10全体としての触媒の劣化率を求めたが、これに代えて、各単セル80について触媒の劣化率を求めることもできる。例えば、電圧測定部53及びインピーダンス測定部55を、各単セル80単位で電圧及びインピーダンスを測定可能な構成とし、ステップS140において、各単セル80単位で電流値を変えながら電圧値及び抵抗値を測定する。また、ステップS145において、各単セル80単位で電荷移動係数αを決定する。そして、予め各単セル80単位で交換電流密度i0_INIを求めておき、ステップS155では、各単セル80単位で触媒劣化率を決定する。このような構成により、各単セル80ごとに触媒の劣化率を管理することができる。
また、すべての単セル80に代えて、一部の単セルについてのみ触媒の劣化率を決定することもできる。例えば、燃料電池スタック10を構成するすべての単セル80のうち、最も端の単セル80についてのみ触媒の劣化率を決定することもできる。最も端の単セル80は、燃料電池スタック10の中央部に位置する単セル80に比べて外気により近いために温度低下速度が高く、OC状態となった後、短期間のうちに高湿潤状態になる。したがって、電気車両停止後において短期間のうちに、触媒劣化率決定処理を終了させることができる。
B5.変形例5:
上記実施例では、ステップS140においてカソード側に供給する反応ガス(エア)は、通常運転の際と同様に、エアコンプレッサ21から供給されるエアであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、濃度が100%の酸素を貯蔵する酸素タンクを用意して、かかる酸素タンクから酸素ガスを供給することもできる。この構成では、例えば、空気供給路61においてエアコンプレッサ21よりも下流側に三方弁を配置し、エアコンプレッサ21と、酸素タンクと、燃料電池スタック10とを三方弁で接続する。そして、ステップS140を実行する際には、三方弁を制御して酸素タンクから燃料電池スタック10に酸素ガスを供給する構成を採用することができる。このような構成により、濃度過電圧の影響をより抑制することができ、触媒劣化率をより正確に求めることができる。
B6.変形例6:
上記実施例では、燃料電池スタック10内部が高湿潤状態であるか否かを判定するために、燃料電池スタック10の温度を利用して判定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電気車両が停止してからの期間を測定し、かかる期間が所定期間を過ぎた場合に、燃料電池スタック10内部が高湿潤状態であると判定することもできる。電気車両が停止すると燃料電池スタック10の温度は低下し始めるので、十分に燃料電池スタック10の温度が低下して高湿潤状態となり得るまでに要する期間を、予め実験等により求めて設定することができる。すなわち、一般には、燃料電池スタック10内部が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを任意の方法で判定する湿潤判定部を、本発明の燃料電池システムに採用することができる。
B7.変形例7:
各実施例では、燃料電池システム100は、電気車両に搭載されて用いられていたが、これに代えて、ハイブリッド自動車,船舶,ロボットなどの各種移動体に適用することもできる。また、燃料電池スタック10を定置型電源として用い、燃料電池システムをビルや一般住宅等の建物における暖房システムに適用することもできる。
B8.変形例8:
上記実施例において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、これとは逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。
10…燃料電池スタック
21…エアコンプレッサ
22…エア流量計
24…カソード側圧力センサ
31…水素タンク
32…水素ガス用循環ポンプ
33…アノード側圧力センサ
41…ラジエータ
42…冷却媒体用循環ポンプ
43…温度センサ
52…パワーコントロールユニット
53…電圧測定部
54…電流測定部
55…インピーダンス測定部
61…空気供給路
62…カソードオフガス排出路
63…水素ガス供給路
64…第1アノードオフガス排出路
65…水素ガスバイパス路
66…第2アノードオフガス排出路
67…冷却媒体排出路
68…冷却媒体供給路
72…調圧弁
73…遮断弁
80…単セル
81…アノード側セパレータ
83…カソード側セパレータ
90…制御ユニット
91…CPU
91a…湿潤判定部
91b…測定制御部
91c…分圧決定部
91d…クロスリーク電流決定部
91e…過電圧決定部
91f…電荷移動係数決定部
91g…交換電流密度決定部
91h…触媒劣化率決定部
92…RAM
93…ROM
100…燃料電池システム

Claims (7)

  1. 燃料電池システムであって、
    触媒を有し、反応ガスを利用して発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池の温度である燃料電池温度を取得する温度取得部と、
    前記燃料電池におけるクロスリーク電流値を決定するクロスリーク電流値決定部と、
    前記燃料電池が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを判定する湿潤判定部と、
    前記燃料電池の開回路時の電圧である開回路電圧を測定する開回路電圧測定部と、
    前記燃料電池の開回路時の理論上電圧である理論開回路電圧を算出すると共に、前記測定された開回路時の電圧である実測開回路電圧と前記理論開回路電圧との差分電圧を決定する差分電圧決定部と、
    前記開回路時に前記燃料電池を流れる電流である開回路電流値を決定する開回路電流値決定部と、
    前記燃料電池に流れる電流の電流値を調整する電流調整部と、
    前記燃料電池に供給する前記反応ガスの流量を調整する流量調整部と、
    前記燃料電池が前記高湿潤状態であると判定された場合において、前記流量調整部を制御して前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給すると共に、前記電流調整部を制御して低い電流密度範囲で前記燃料電池に流れる電流の電流値を変化させながら、前記燃料電池の電圧及び抵抗を測定する測定制御部と、
    前記測定制御部により得られた電圧の測定電圧値と、前記測定制御部により得られた抵抗の測定抵抗値と、前記測定電圧値及び前記測定抵抗値に対応する電流値とに基づき、電荷移動係数を決定する電荷移動係数決定部と、
    前記決定された差分電圧と、前記決定された開回路電流値と、前記決定された電荷移動係数とに基づき、交換電流密度を決定する交換電流密度決定部と、
    前記決定された交換電流密度に基づき、前記触媒の劣化率を決定する劣化率決定部と、
    を備え
    前記電荷移動係数決定部は、各電流値ごとに、対応する前記測定抵抗値と前記電流値とを掛け合わせて得られるIR過電圧を、対応する前記測定電圧値に加えて補正後電圧値を求めると共に、各電流値の対数値と対応する前記補正後電圧値とを直線近似した場合の傾きを求め、前記求めた傾き及び前記燃料電池温度に基づき、式1Aに基づき前記電荷移動係数を決定し、
    前記交換電流密度決定部は、前記決定されたクロスリーク電流値と、予め設定されているマイクロショート電流の電流値と、前記決定された電荷移動係数と、に基づき、式1Bにより初期状態の交換電流密度を求めると共に、式1Cにより現在の交換電流密度を求め、
    前記劣化率決定部は、前記求められた初期状態の交換電流密度と、前記求められた現在の交換電流密度とに基づき、式1Dにより前記触媒の劣化率を決定し、
    前記開回路電流値は、前記クロスリーク電流及び前記マイクロショート電流の合計電流値である、燃料電池システム。
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    但し、前記式1Aにおいて、αは前記電荷移動係数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、Fはファラデー定数を、Aは前記傾きを、それぞれ示し、
    前記式1Bにおいて、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、αは前記電荷移動係数を、Fはファラデー定数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、i_LEAKは前記クロスリーク電流値を、i_SHORTは前記マイクロショート電流を、それぞれ示し、
    前記式1Cにおいて、i0(T)は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、Rは気体定数を、Tは現在の前記燃料電池温度を、T1は前記i0_INIを求める際の前記燃料電池温度を、前記G_i0は前記Tと前記T1との差分をキャンセルして前記現在の交換電流密度を求めるための所定の係数を、それぞれ示し、
    前記式1Dにおいて、Rdは前記触媒の劣化率を、i0は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、それぞれ示す。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記低い電流密度範囲は、0(アンペア/平方センチメートル)よりも大きく0.2(アンペア/平方センチメートル)以下である、燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、さらに、
    前記決定された劣化率が所定の劣化率に達した場合に、前記触媒のリフレッシュ処理を実行する、触媒リフレッシュ実行部を備える、燃料電池システム。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記測定制御部は、前記流量調整部を制御して、前記燃料電池における前記反応ガスの入口側におけるストイキ比が1.0以上かつ6.0未満となるように前記反応ガスを前記燃料電池に供給することにより、前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給する、燃料電池システム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池は、燃料電池スタックを構成する複数の燃料電池のうち、最も端の燃料電池である、燃料電池システム。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、さらに、
    前記燃料電池のカソード側に用いられる前記反応ガスとして、濃度が100%の酸素ガスを貯蔵する酸素タンクを備え、
    前記測定制御部は、前記燃料電池の電圧および抵抗を測定する際に、前記酸素ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給する、燃料電池システム。
  7. 触媒及び電解質膜を有し反応ガスを利用して発電を行う燃料電池における前記触媒の劣化率を決定する方法であって、
    (a)前記燃料電池の温度である燃料電池温度を取得する工程と、
    (b)前記燃料電池におけるクロスリーク電流値を決定する工程と、
    )前記燃料電池の開回路時の電圧である開回路電圧を測定する工程と、
    )前記燃料電池の開回路時の理論上電圧である理論開回路電圧を算出すると共に、前記測定された開回路時の電圧である実測開回路電圧と前記理論開回路電圧との差分電圧を決定する工程と、
    )前記開回路時に前記燃料電池を流れる電流である開回路電流値を決定する工程と、
    )前記燃料電池が、所定の水分量よりも多い水分量を含む高湿潤状態であるか否かを判定する工程と、
    )前記燃料電池が前記高湿潤状態であると判定された場合において、前記反応ガスを濃度過電圧の発生を抑制する条件で前記燃料電池に供給すると共に、低い電流密度範囲で前記燃料電池に流れる電流の電流値を変化させながら、前記燃料電池の電圧及び抵抗を測定する工程と、
    )前記得られた電圧の測定電圧値と、前記得られた抵抗の測定抵抗値と、前記測定電圧値及び前記測定抵抗値に対応する電流値とに基づき、電荷移動係数を決定する工程と、
    )前記決定された差分電圧と、前記決定された開回路電流値と、前記決定された電荷移動係数とに基づき、交換電流密度を決定する工程と、
    )前記決定された交換電流密度に基づき、前記触媒の劣化率を決定する工程と、
    を備え
    前記工程(h)は、各電流値ごとに、対応する前記測定抵抗値と前記電流値とを掛け合わせて得られるIR過電圧を、対応する前記測定電圧値に加えて補正後電圧値を求めると共に、各電流値の対数値と対応する前記補正後電圧値とを直線近似した場合の傾きを求め、前記求めた傾き及び前記燃料電池温度に基づき、式1Eに基づき前記電荷移動係数を決定する工程を含み、
    前記工程(i)は、前記決定されたクロスリーク電流値と、予め設定されているマイクロショート電流の電流値と、前記決定された電荷移動係数と、に基づき、式1Fにより、初期状態の交換電流密度を求めると共に、式1Gにより現在の交換電流密度を求める工程を含み、
    前記工程(j)は、前記求められた初期状態の交換電流密度と、前記求められた現在の交換電流密度とに基づき、式1Hにより前記触媒の劣化率を決定する工程を含み、
    前記開回路電流値は、前記クロスリーク電流及び前記マイクロショート電流の合計電流値である、方法。
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    Figure 0005581880
    但し、前記式1Eにおいて、αは前記電荷移動係数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、Fはファラデー定数を、Aは前記傾きを、それぞれ示し、
    前記式1Fにおいて、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、αは前記電荷移動係数を、Fはファラデー定数を、Rは気体定数を、Tは前記燃料電池温度を、i_LEAKは前記クロスリーク電流値を、i_SHORTは前記マイクロショート電流を、それぞれ示し、
    前記式1Gにおいて、i0(T)は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、Rは気体定数を、Tは現在の前記燃料電池温度を、T1は前記i0_INIを求める際の前記燃料電池温度を、前記G_i0は前記Tと前記T1との差分をキャンセルして前記現在の交換電流密度を求めるための所定の係数を、それぞれ示し、
    前記式1Hにおいて、Rdは前記触媒の劣化率を、i0は前記現在の交換電流密度を、i0_INIは前記初期状態の交換電流密度を、それぞれ示す。
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