JP2005251483A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2005251483A
JP2005251483A JP2004058204A JP2004058204A JP2005251483A JP 2005251483 A JP2005251483 A JP 2005251483A JP 2004058204 A JP2004058204 A JP 2004058204A JP 2004058204 A JP2004058204 A JP 2004058204A JP 2005251483 A JP2005251483 A JP 2005251483A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
pressure
fuel cell
supply pressure
fuel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004058204A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyo Omori
英世 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004058204A priority Critical patent/JP2005251483A/ja
Publication of JP2005251483A publication Critical patent/JP2005251483A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 無負荷運転時でのクロスリークの発生及びその増大を効果的に防止し、発電電力及び再始動性が良好で、無負荷運転時の電圧降下がなく、燃費性能及び耐久性能に優れた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池10の無負荷での運転時において、エア供給圧が水素供給圧に達したときにエア供給管32の保圧バルブV3を閉じてエア供給圧及び水素供給圧を略同圧にする。また、エア供給圧を増加させると共に、エアを排出する排出管33の弁開度を調節して略同圧にすることもできる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関し、特に電気自動車等の車両や船舶、航空機等に搭載可能な燃料電池システムに関する。
近年、水素と酸素の電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギー供給源として注目されている。この燃料電池は、例えば、燃料としての水素ガス(燃料ガス)とこれと反応する酸素ガス(酸化剤ガス)とが各々燃料極、酸化剤極に充分に供給されることで安定的に発電することができる。
しかし、両極間において、燃料ガスが酸化剤極側に、あるいは酸化剤ガスが燃料極側に漏洩する、いわゆるクロスリークが生じた場合には、燃料ガス中の水素と酸化剤ガス中の酸素とが直接反応することがある。特に、無負荷での運転時、例えばアクセルオフの状態のようにモータ等の負荷を外して両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC;Open Circuit)の状態のときには、一般に燃費向上の点から燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を停止するため、燃料電池内部(例えば固体高分子形(PEFC)の場合は高分子電解質膜近傍)では燃料ガス圧>酸化剤ガス圧となり、クロスリークの量が増大する。クロスリーク量の増大は、電池内部の電解質膜、触媒等の劣化や炭素部材の腐食と共に、燃費の低下や燃料電池の電圧降下の発生を促進させる。
このようなクロスリークに関連する技術として、燃料電池のカソードオフガスを再循環して発電を継続し、発電電圧が所定値以下になったときに発電を停止する方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、一旦排出されたカソードオフガスを再びカソードに戻して更に発電を継続するため、カソード側のガス雰囲気が不活性となるために始動性が悪化し、頻繁に燃料ガス及び酸化剤ガスの停止を行なえないという課題がある。
また、負荷運転停止時に、停止に起因する電池特性の劣化を抑制する目的でカソード極に不活性ガスを導入する技術に関する開示もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、上記同様にカソード側のガス雰囲気が不活性となるために始動性の悪化を来たし、頻繁に燃料ガス及び酸化剤ガスの停止を行なうことはできず、しかも不活性ガス供給用のボンベ等が必要となる。
さらに、空気の流通経路を閉鎖する技術として、電解質膜の乾燥防止の目的で空気の流通の閉止手段を備えた燃料電池に関する文献がある(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−115317号公報 特開平9−45351号公報 特開2002−216823号公報
以上のように、クロスリークに関わる技術の提案はなされているものの、OC時における両極間のガス圧差の拡大を回避し、クロスリークの増加及びそれに伴なう燃費の低下や高分子電解質膜の劣化を防止することが可能で、酸化剤極側の水素分圧が上昇し起電力及び再始動性が低下するのを効果的に解消できる技術は、未だ確立されるまでに至っていない。また、特に無負荷での運転を行なうような場合には短時間での負荷運転停止が可能であることが要求されるがこれまでの技術では時間がかかりすぎる課題があり、また、始動性の低下から頻繁に無負荷運転への切替えも困難であった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、負荷運転から無負荷運転へ任意に切替えることが可能であると共に、無負荷での運転時におけるクロスリークの発生及びその増大を効果的に防止して、良好な発電電力及び再始動性を有し、無負荷運転(OC)時の電圧降下が抑制され、燃費性能及び耐久性能に優れた燃料電池システムを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、燃料電池の無負荷での運転時に、燃料極に供給する燃料ガスのガス供給圧(p1)と酸化剤極に供給する酸化剤ガスのガス供給圧(p2)とを略同圧にする同圧化手段を設けて構成したものである。
本発明の燃料電池システムにおいては、負荷に電力供給を行なう燃料電池の通常の発電運転から無負荷での運転、すなわち両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC;Open Circuit)の状態に切り替える際に、燃料極及び酸化剤極へのガスの供給を停止すると共に、燃料極側のガス供給圧と酸化剤極側のガス供給圧とを略同圧に調節する。無負荷運転時は、従来より図1−(b)に示すように燃料極側のガス供給圧がシステム構成上高くなるため酸化剤極側との差圧が拡大し、クロスリークが増大するため、結果的に燃費の悪化と酸化剤極側での水素分圧の上昇に伴なう起電力の低下を招くが、本発明においては上記構成を採用することにより、図1−(a)に示すように無負荷運転(OC)時における燃料極及び酸化剤極間のガス圧差が解消されるので、クロスリークを効果的に抑止でき、クロスリーク量の低減を図ることができる。その結果、燃費が向上し、無負荷運転時の電圧降下(起電力の低下)を防止することができる。したがって、負荷運転から無負荷運転への切替えも任意にかつ短時間に行なえる。また、両極間のガス圧差及びクロスリーク量の低減により、高分子電解質膜を備えた燃料電池における該膜の劣化が解消され、燃料電池の耐久性が向上する。
ここで、無負荷での運転時とは、起動(運転)状態であって水素ガスおよび空気(酸素)の供給を止め発電停止の状態にあるとき、すなわち発電を担う電気化学反応(電池反応)の停止状態時であり、例えば、一時的にアクセルオフにして発電を停止した時〔自動車が信号待ち状態にある等の出力に寄与していないが、いつでも出力可能な出力待機の状態時〕などが含まれる。
また、「略同圧」は、二つの圧力差の絶対値が10kPa未満の範囲にあることをさす。ガス圧がp1≧p2であれば燃料極側(循環系を含む。)への空気のクロスリークを抑制できる。
本発明の燃料電池システムにおいては、酸化剤ガスを供給する供給配管に弁を設け、酸化剤ガスのガス供給圧が所定値に達したときに前記弁を閉じるようにして両極間のガス圧を略同圧の状態とすることができる。無負荷での運転とされた際に、酸化剤極側のガス供給圧を増加させ所定値(例えば、燃料極側のガス供給圧)に達したところで酸化剤ガスの供給配管を弁で閉じることで、酸化極側のガス圧を燃料極側のガス圧と同圧に保持できるので、燃料ガスの酸化剤極側へのクロスリークを効果的に防止することができる。この場合には、酸化剤極側のコンプレッサ等を無駄に駆動させる必要がなく、燃費の点でより効果的である。
燃料極側において燃料ガスを供給する供給配管を循環系に構成し、循環系の圧力を下げることで同圧を形成することも可能であるが、燃料ガスの放出が不可欠なため、本発明のようにクロスリークを抑制すると同時に、燃費及び始動性の低下まで回避することは困難であり、上記のように酸化剤極側において同圧形成を行なうのが効果的である。
また、酸化剤ガスのガス供給圧を増加させると共に、さらに酸化剤極から酸化剤ガスを排出する排出配管に設けられた弁の開度を調節するようにして両極間のガス圧を略同圧の状態とすることができる。無負荷での運転とされた際に、例えばコンプレッサ等の補器類を作動させた状態とし酸化剤極側のガス供給圧を増加させると同時に排出配管側において弁の開閉度合を調節することで、酸化極側のガス圧を燃料極側のガス圧と同圧に保持できるので、燃料ガスの酸化剤極側へのクロスリークを効果的に防止することができ、この場合には負荷運転への切替えが迅速に行なえる利点がある。
また、本発明の燃料電池システムは、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)や直接メタノール形燃料電池(DMFC)など高分子電解質膜を備えた形態で構成することができる。このように構成された場合には、高分子電解質膜における燃料ガスの膜透過量を測定する膜透過量測定手段を更に設け、膜透過量測定手段によって測定された膜透過量が、所定値以下であるときには膜透過量の増加と共に酸化剤ガスのガス供給圧を漸増し、膜透過量が所定値を超えたときには燃料ガスのガス供給圧と酸化剤ガスのガス供給圧とを略同圧にするようにし、両極間のガス圧を略同圧の状態とすることができる。この場合も、上記のように酸化剤極側の供給配管の弁を閉じる、又は排出配管の弁の開閉を調節することで効果的に略同圧の状態を形成することができる。
無負荷での運転とする際に膜透過量測定手段により逐次あるいは任意間隔で膜透過量を測定することで、無負荷運転にしたときの膜のガス透過状態に応じた酸化剤極側のガス圧の調節が可能であるので、例えば発電初期のクロスリークの比較的少ない場合など膜透過量が所定値以下であるような場合は、コンプレッサの駆動等を控えて膜透過量の増加にしたがって必要な分だけ徐々に圧力を高めるようにでき、消費電力の低減が可能となる。そして、膜透過量が所定値を超えるに至った場合に、上記と同様に燃料ガスのガス供給圧と酸化剤ガスのガス供給圧とを略同圧にするようにすると、すなわち膜透過量に応じて略同圧状態が形成されるようにすると、燃費の点でより効果的である。
本発明に係る燃料電池には、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC)、直接メタノール形燃料電池(DMFC)などが含まれる。高分子電解質膜を有してPEFCに構成する場合には例えば、アノード極、カソード極、および前記アノード極と前記カソード極との間に狭持された高分子電解質膜を有する膜電極接合体、並びに前記膜電極接合体を狭持すると共に、前記アノード極との間に燃料が通過する燃料流路と前記カソード極との間に酸化ガスが通過する酸化ガス流路とを形成する一対のセパレータを備えた単セルを含み、所望によりこの単セルを複数積層したスタック構造に構成することができる。スタック構造は単一であるほか、スタック構造に構成された複数のサブスタックが接続されたものでもよい。前記アノード極と前記カソード極は、電気化学反応を担う触媒層と集電体として機能する拡散層とで構成できる。
本発明によれば、負荷運転から無負荷運転へ任意に切替えることが可能であると共に、無負荷での運転時におけるクロスリークの発生及びその増大を効果的に防止して、良好な発電電力及び再始動性を有し、無負荷運転(OC)時の電圧降下が抑制され、燃費性能及び耐久性能に優れた燃料電池システムを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態を説明する。なお、下記の実施形態において、固体高分子形に構成された燃料電池に燃料ガス及び酸化剤ガスとして水素ガス及び空気(エア)を用いた場合を中心に説明する。但し、本発明においてはこれら実施形態に制限されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の燃料電池システムの第1実施形態を図2〜図4を参照して説明する。本実施形態は、電気自動車に本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムを搭載し、エアを供給するエア供給管に保圧バルブを設け、燃料電池システムの無負荷での運転時にエア供給圧が所定値に達すると保圧バルブを閉じて空気極(カソード)側のエア供給圧を水素極(アノード)側の水素供給圧と略同圧にするようにしたものである。
図2に示すように、本実施形態における燃料電池システムは、スタック構造を有する燃料電池10を備え、燃料電池10には種々の配管が接続されて水素ガスの給排並びに空気(エア)の給排及び生成水の排出が可能なようになっている。スタックは、100個の単セルが積層されて構成されている。
燃料電池10は、図3に示すように、フッ素系イオン交換樹脂膜(高分子電解質膜)11がアノード拡散電極16とカソード拡散電極17との間に狭持されてなる膜電極接合体20と、膜電極接合体20を更に狭持すると共に、アノード拡散電極16との間に水素ガスが通過する、即ち供給排出される水素ガス流路(燃料流路)23と、カソード拡散電極17との間に空気(エア)が通過する、即ち供給排出されるエア流路(酸化ガス流路)24とを形成する一対のセパレータ21、22とで構成されている。
高分子電解質膜は、イオン導電性を有する電解質で構成することができ、一般にパーフルオロスルホン酸膜などが用いられる。この膜は、通常イオン導電性を高める点から湿潤状態とされ、水素ガスが供給されて得たアノード側の水素イオンは該膜を良好にイオン伝導してカソード側に移動することができる。この湿潤状態は、燃料である水素ガス及び/又はカソード側の酸素を含む空気に加水(加湿)することによって形成できる。
アノード拡散電極及びカソード拡散電極は、電気化学反応を担う触媒層と集電体として機能する拡散層とで構成される。アノード拡散電極16は、高分子電解質膜11側から順にアノード触媒層12と拡散層14とが積層され、カソード拡散電極17は、高分子電解質膜11側から順にカソード触媒層13と拡散層15とが積層されて構成されている。アノード触媒層12及びカソード触媒層13は、高分子電解質膜の表面に、触媒としての白金又は白金と他の金属とからなる合金を塗布してなるものである。塗布は、白金又は白金と他の金属とからなる合金を担持したカーボン粉を作製し、このカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させ、これに電解質溶液を適量添加してペースト化し、高分子電解質膜上にスクリーン印刷する方法などによって行なえる。また、前記カーボン粉を含有するペーストを膜成形したシートを高分子電解質膜上にプレスしたり、白金等を高分子電解質膜と対向する側の拡散層の表面に塗布するようにしてもよい。
各拡散層は、ともに炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されている。なお、拡散層は、カーボンクロスのほか、炭素繊維からなるカーボンペーパーやカーボンフェルトなどで構成した形態も好適である。
セパレータ21,22は、膜電極接合体20を更に狭持するように設けられると共に、膜電極接合体を構成するアノード拡散電極16との間に水素ガス流路23が形成され、カソード拡散電極17との間にエア流路24が形成される。セパレータは、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンによって構成することができる。このセパレータは、単セルを複数積層してスタック構造をなすときには一つのセパレータが二つの膜電極接合体の間で共有され、セパレータの両側の面において流路が形成されるようになっている。
燃料電池10は、スタック構造における水素ガス流路23に水素(H2)密度の高い水素ガスが供給され、エア流路24に酸素(O2)を含む空気が供給され、下記式(1)〜(3)で表される電気化学反応(電池反応)によって外部に電力を供給することができる。なお、式(1) 、式(2)は各々アノード側、カソード側での反応を示し、式(3)は燃料電池の全反応である。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
燃料電池10のアノード側には、単セルが積層されたスタック構造の水素ガス流路23の供給口と連通するように、圧力計P1、水素調圧バルブV1、加湿器25、及びマスフローコントローラ27を備えた水素供給管30の一端が接続され、更に水素ガス流路23の排出口と連通するように、バルブV2を備えた排出管31の一端が接続されており、発電運転時に水素ガス流路23への水素ガスの供給と、電池反応に寄与しなかった排出水素ガス及び不活性ガスの排出が可能なようになっている。
なお、水素供給管30の他端には、図示しない水素貯蔵タンク、レギュレータが接続可能に設けられており、発電運転時に水素ガスを供給できるようになっている。このとき、供給される水素ガスの供給圧は水素調圧バルブV1の開閉状態を制御して調整することができる。
また、排出管31の他端は、排出水素ガス中の水分を除去する気水分離器42と接続されており、この気水分離器42は循環用水素ポンプ43及び逆止弁を備えた配管35によって水素供給管30と連通され、発電運転時に電池反応に寄与しなかった排出水素ガスを循環させて再供給されるようになっている。気水分離器42では、これを通過する排出水素ガスを再び燃料ガスとして利用するために、排出水素ガスに含まれる余分な水分が除去される。更に、配管35の循環用水素ポンプ43と逆止弁との配管途中にはバルブV5を備えた排出管36の一端が接続されており、バルブV5を開けたときに他端からの排出が可能なようになっている。
燃料電池10のカソード側には、スタック構造中のエア流路24の供給口と連通するように保圧バルブV3を備えたエア供給管32の一端が接続され、更にエア流路24の排出口と連通するように圧力計P2及びエア調圧バルブV4を備えた排出管33の一端が接続されており、スタックのエア流路24へのエア(空気)の供給と、電池反応によって酸素密度が低くなった排出空気及び生成水の排出が可能なようになっている。エア供給管32及び排出管33の各他端は加湿器41と接続されており、燃料電池10に加湿エアを供給すると共に、排出管33を通じて排出された生成水を再びエア供給管32に戻し再利用可能なように構成されている。また、加湿器41には更に、コンプレッサ29を備えた供給配管44及び排出配管45の各々の一端が接続されており、供給配管44の他端に配された図示しないフィルタを介して外気よりエア(空気)を吸引すると共に、排出配管45の他端から外部に排出空気及び不要な生成水を排出できるようになっている。
また、燃料電池10、圧力計P1〜P2、水素循環用ポンプ43、水素調圧バルブV1、バルブV2及びV5、保圧バルブV3、エア調圧バルブV4、加湿器25,41、マスフローコントローラ27及びコンプレッサ29等は、制御部(ECU)100と電気的に接続されており、制御部100によって動作タイミングが制御されるようになっている。この制御部100は、負荷の大きさに応じて水素ガス及びエアの量を調節することにより出力を制御する燃料電池の通常の発電運転制御を担うと共に、OC状態の時にはカソード側をアノード側と略同圧にコントロールする同圧制御を担うものである。
次に、本実施形態に係る燃料電池システムの制御部100による制御ルーチンについて、特に燃料電池の無負荷での運転時に行なう同圧制御ルーチンを中心に図4を参照して説明する。
上記したように燃料電池10に水素ガスおよび空気を供給し、不図示のモータ等の負荷に電力供給する通常の発電運転を行なった後、負荷を外して無負荷としたとき(OC状態時)に、カソード側のエア供給圧p2をアノード側の水素供給圧p1と略同圧にする同圧制御を行なう。
図4は、同圧制御ルーチンを示すものである。本ルーチンが実行されると、ステップ100において燃料電池10が通常の発電運転制御において両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC;Open Circuit)の状態であるか否かが判断され、OC状態であると判断されたときには、ステップ120でコンプレッサ29を駆動させてカソード側のエア供給圧を増加させ、次のステップ140においてエア供給圧p2が所定値P(ここでは水素供給圧p1)と略同圧であるか否かが判断される。ステップ100において、OC状態にないと判断されたときにはそのまま本ルーチンを終了する。
ステップ140において、エア供給圧p2が水素供給圧p1と略同圧に達したと判断されたときは、水素ガスのクロスリークの生じない状態にあるため、ステップ160に移行して保圧バルブV3を閉じ、更にステップ180においてコンプレッサ29を停止する。そしてその後、本ルーチンを終了する。また、エア供給圧p2が水素供給圧p1より低く略同圧に達していないと判断されたときは、未だ水素ガスのクロスリークが生じやすい状態にあるため、ステップ120に戻って継続してエア供給圧を増加させ、その後再びステップ140においてエア供給圧p2が水素供給圧p1と略同圧に達したか否かが判断される。そして、エア供給圧p2が水素供給圧p1と略同圧であると判断されたときにはステップ160に移行し、上記と同様に保圧バルブV3を閉じ、コンプレッサ29を停止して本ルーチンを終了する。
以上のようにして、無負荷での運転とされた際にカソード側及びアノード側のガス圧を図1−(a)に示すように略同圧に保持できるので、両極間のガス圧差が解消され、水素ガスのカソード側へのクロスリークを効果的に防止することができる。その結果、燃費が向上し、OC時での電圧降下が抑えられ、また、燃料電池を構成する高分子電解質膜の劣化も解消され、燃料電池の耐久性を向上させることができる。しかも、本実施形態ではコンプレッサの無駄な駆動が不要であり、燃費の点でより効果的である。
(第2実施形態)
本発明の燃料電池システムの第2実施形態を図5を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態における保圧バルブV3を設けず、エア供給圧を増加させながらエアを排出する排出配管に設けたエア調圧バルブの開度を調節して両極間のガス圧(エア供給圧及び水素供給圧)を略同圧にするようにしたものである。なお、発電のための燃料ガス及び酸化剤ガスは第1実施形態で使用したものを用いることができ、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態における燃料電池10及びこれを構成する単セルの各々は第1実施形態(図2〜3参照)と同様に構成されると共に、燃料電池10をはじめ、その他ポンプ等の補器類は制御部(ECU)100と電気的に接続され、制御部100によって動作タイミングが制御されるようになっており、外部のモータ等の負荷に電力を供給することができる。また、制御部100は、第1実施形態における場合と同様に燃料電池の通常の発電運転制御と同圧にコントロールする同圧制御を担うものである。
以下、本実施形態に係る燃料電池システムの制御部100による制御ルーチンについて、特に燃料電池の無負荷での運転時に行なう同圧制御ルーチンを中心に図5を参照して説明する。
本実施形態では既述のように、燃料電池10に水素ガスおよび空気を供給し、不図示のモータ等の負荷に電力供給する通常の発電運転を行なった後、負荷を外して無負荷のOC状態としたときに、カソード側のエアコンプレッサ29を駆動させた状態にしてエア供給圧p2をアノード側の水素供給圧p1と略同圧にする同圧制御を行なう。
図5は、同圧制御ルーチンを示すものである。本ルーチンが実行されると、ステップ200において燃料電池10が通常の発電運転制御において両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC)の状態であるか否かが判断され、OC状態であると判断されたときには、ステップ220でコンプレッサ29を駆動させてカソード側のエア供給圧を増加させ、次のステップ240においてエア供給圧p2が所定値P(ここでは水素供給圧p1)と略同圧であるか否かが判断される。ステップ200において、OC状態にないと判断されたときにはそのまま本ルーチンを終了する。
ステップ240において、エア供給圧p2が水素供給圧p1と略同圧の状態にあると判断された場合は、水素ガスのクロスリークの生じない状態にあるため、ステップ260に移行して通常の負荷運転要求があるか否か、即ち未だOC状態のままであるか否かが判断され、負荷運転要求があると判断されたときはそのまま本ルーチンを終了し、負荷運転要求がないと判断されたときにはOC状態が継続中であるため、ステップ240に戻って同様のステップが繰り返される。
また、ステップ240においてエア供給圧p2が水素供給圧p1と略同圧の状態にないと判断された場合は、ステップ270に移行し、エア供給圧p2が水素供給圧p1を超えているか否かが判断される。ステップ270において、エア供給圧p2が水素供給圧p1を超えていると判断されたときは、水素ガスのクロスリークの発生は抑制されるが、逆にエアがアノード側にクロスリークするおそれが生ずるため、ステップ280においてエア調圧バルブV4が開方向に調節され、エア供給圧p2が水素供給圧p1より低いと判断されたときは、水素ガスのクロスリークが生じやすい状態にあるため、ステップ290においてエア調圧バルブV4が閉方向に調節される。
その後、ステップ260において負荷運転要求があるか否か、即ち未だOC状態のままであるか否かが判断され、負荷運転要求があると判断されたときはそのまま本ルーチンを終了し、負荷運転要求がなくOC状態のままであると判断されたときにはステップ240に戻って同様のステップが繰り返される。
本実施形態のように、別途他のバルブを設けずにエア圧調整用の調圧バルブを利用することによっても、無負荷での運転とされた際のカソード側及びアノード側のガス圧を図1−(a)に示すように同圧に保持できるので、両極間のガス圧差が解消され、水素ガスのカソード側へのクロスリークを効果的に防止することができる。その結果、燃費が向上し、OC時での電圧降下が抑えられ、また、燃料電池を構成する高分子電解質膜の劣化も解消され、燃料電池の耐久性を向上させることができる。しかも、本実施形態では負荷運転への切替えを迅速に行なうことができる。
(第3実施形態)
本発明の燃料電池システムの第3実施形態を図6〜図16を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態において所定値(p1)との関係で行なったエア供給圧の調整を、燃料電池内部における水素ガスの膜透過量との関係で行ない、膜透過量(クロスリーク)の多い場合に選択的に両極間のガス圧(エア供給圧及び水素供給圧)を同圧にするようにしたものである。なお、発電のための燃料ガス及び酸化剤ガスは第1実施形態で使用したものを用いることができ、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態における燃料電池10及びこれを構成する単セル(構成セルともいう)の各々は第1実施形態(図3参照)と同様に構成されており、外部のモータ等の負荷に電力を供給することが可能なようになっている。また、図6に示すように、燃料電池10には個々の単セルと電気的に接続されるようにして電圧測定器34が設けられ、発電運転時の複数の単セルの個々の電圧をモニタ可能なようになっており、他の各種ポンプやバルブ等の補器類は第1実施形態と同様に構成されている。
なお、電圧測定器は、個々の単セルと接続せず、複数個(例えば2つの単セル)ごと、又はスタックが分割構造になっているときはサブスタック毎に接続するようにしてもよく、あるいはスタック中央部では個々の単セル毎に接続し端部付近では2つ毎に接続するような形態であってもよい。
また、カソード及びアノード両極のガス供給圧間に差圧を生じさせるときには、予め圧力計P1並びに圧力計P2及びコンプレッサ29によりガス供給量を略一定に保った状態でアノード側の水素調圧バルブV1とカソード側のエア調圧バルブV4を調節、例えばエア調圧バルブV4の開度を大きくしてカソード側ガス供給圧を低下させる等することによって両ガス供給圧の間に圧力差を形成することができる。このとき、バルブV5は閉状態となっている。
燃料電池10及び電圧測定器34をはじめ、その他ポンプ及びバルブ等の補器類は、第1実施形態と同様に制御部(ECU)100と電気的に接続され、制御部100によって動作タイミングが制御されるようになっており、また、制御部100は、第1実施形態における場合と同様に燃料電池の通常の発電運転制御を担うと共に、測定した電圧を取り込み、取込まれた各電圧間の電圧差からクロスリーク量の計測・対比を行なう膜透過量計測制御、及びガス供給圧をコントロールするガス圧制御(第1実施形態で既述の同圧制御を含む)を担うものである。
以下、本実施形態に係る燃料電池システムの制御部100による制御ルーチンについて、特に燃料電池の無負荷での運転時に行なうガス圧制御ルーチン、及びガス圧制御にあたり行なう膜透過量計測制御を中心に図7〜図16を参照して説明する。
本実施形態では、既述のように燃料電池10に水素ガスおよび空気を供給し、不図示のモータ等の負荷に電力供給する通常の発電運転途中で、あるいは発電運転後の無負荷運転時に、燃料電池の電圧を単セル毎に取り込むと共に取込まれた各電圧間の電圧差からクロスリーク量を予め計測し、そして負荷を外して無負荷運転状態としたときに、計測されたクロスリーク量と所定値との対比をもとにカソード側のエア供給圧p2を漸増するか、アノード側の水素供給圧p1と略同圧にする同圧制御を行なう。具体的には以下のとおりである。
図7は、ガス圧制御ルーチンを示すものである。本ルーチンが実行されると、ステップ300において燃料電池10が通常の発電運転制御において両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC)の状態であるか否かが判断され、OC状態であると判断されたときには、ステップ320において図8及び図10に示す第1及び第2計測ルーチンを実行し、燃料電池内部での水素ガスの膜透過量(水素透過量)を測定する。水素ガスの膜透過量の測定については後述する。なお、ステップ300において、OC状態にないと判断されたときにはそのまま本ルーチンを終了する。
次に、ステップ340において、ステップ320で測定された水素透過量の最大値tmaxが所定値T以下であるか否かが判断され、最大値tmaxが所定値T以下であると判断されたときには、水素透過量の発生がそれほど多くないため、ステップ360においてコンプレッサの駆動を抑えつつ図11に示すように、透過量の増加に応じて水素供給圧との間のガス圧差が小さくなるようにエア供給圧が漸増され、最大値tmaxが所定値Tを超えていると判断されたときには、ステップ380においてエア供給圧及び水素供給圧を略同圧となるように制御される。ステップ380では、上記した第1実施形態及び第2実施形態における場合と同様にして、無負荷での運転とされた際のカソード側及びアノード側のガス圧が同圧に保持される。そして、その後に本ルーチンは終了する。
以下、第1及び第2計測ルーチンについて説明する。図8は、単セルの電圧降下を計測する第1計測ルーチンを示すものであり、図10は、燃料電池における電圧降下を単セル毎に計測する第2計測ルーチンを示すものである。
まず、燃料電池(スタック)10を構成する複数の単セルから任意に選択した個々の単セル(セルNo.1〜No.m)について、図6に示す燃料電池システムの配管等の構成を一時的に図9に示す構成とした状態で、以下のように図8に示す第1計測ルーチンを実行し性能解析を行なった。なお、カソード側のエア供給管32にはマスフローコントローラ28が設けられており、水素供給管30及びエア供給管32は、特に図示しないがいずれも、透過量測定(性能解析)時において外部より窒素等の不活性ガスの供給が行なえるように構成されている。
本ルーチンが実行されると、単セル1が有するガス成分の透過量の程度を測定するために、ステップ400において、単セル1のアノード側に繋がる水素供給管30に設けられた水素調圧バルブV1を開けて未加湿の窒素(不活性ガス)又は水素ガス(水素供給側のガス供給圧p1)を供給すると共に、カソード側に繋がるエア供給管32に設けられた保圧バルブV3を開けて未加湿の窒素ガス(不活性ガス;エア供給側のガス供給圧p2)を供給する。このとき、p1=p2に調圧されており、単セル1は非発電状態である。そして、エア調圧バルブV4により排出管33を挿通して窒素ガスを排出してp1>p2の状態を形成し、この状態からのアノード側のp1の単位時間当りの降下量を測定する。測定されたp1の降下量から圧力変化量を求め、この変化量をもとに単セル1のガス透過量を算出する。
次に、ステップ420において、上記と同様にして水素供給管30に加湿水素ガス(ガス供給圧p1)を供給すると共に、カソード側に繋がるエア供給管32に加湿エア(空気;ガス供給圧p2)を供給し、モータ等の負荷に電力供給しながら通常の発電運転を行ない、その後負荷を外して両極間における電荷の移動が遮断された開回路(OC;Open Circuit)の状態とした後、ステップ440においてアノード及びカソードへのガス供給量を圧力計P1,P2及びマスフローコントローラ27,28により各々略一定にし、次のステップ460でアノード側ガス供給圧p1とカソード側ガス供給圧p2とが同圧であるときの電圧(同圧時電圧)を取り込む。
次に、ステップ480において、アノード側ガス供給圧p1とカソード側ガス供給圧p2との間にp1>p2となるように上記同様に差圧を生じさせ、次のステップ500でp1>p2時の電圧(差圧時電圧)を取り込む。
一つの構成セルについて同圧時電圧及び差圧時電圧の取り込みが終了した後、ステップ520において測定済セルの数がカウントされ、セル数の和〔Σ(セル数)〕が所望とするセル数m以下であるか否かが判断される。このとき、ガス透過量の異なるセルを選択して行なうようにする。ステップ520において、セル数の和がm以下であると判断されたときは未測定の他のセルについてステップ400〜ステップ500を繰り返し、セル数の和がmを超えていると判断されたときにはステップ540に移行する。
次のステップ540において、ステップ400で得た各単セルのガス透過量の値と、ステップ460及びステップ500で取り込まれた複数セルの全電圧(差圧時電圧及び同圧時電圧)とから、横軸を単セルのガス透過量とし、縦軸を電圧としたガス透過量及びセル電圧の関係を示す図12のグラフを作成する。
図12に示されるように、差圧をかけたときには電圧降下が大きく、同圧としたときには差圧時に比し電圧降下の程度が緩和されている。すなわち、差圧時電圧と同圧時電圧との電圧差ΔV1の絶対値に相当する量がクロスリークに由来する電圧降下を意味し、同圧時における電圧降下ΔV2はクロスリーク以外の例えば短絡や触媒劣化等に由来するものである。このように、差圧時及び同圧時における電圧差から単セルの電圧降下要因を分析(計測)することができる。
上記において、OC状態での電圧から図12を得る場合を説明したが、発電中の電圧からガス透過量とセル電圧との関係を示すグラフを作成するようにすることもできる。この場合には、同圧時から差圧時の電圧降下は小さく、OC状態又は濃度分極抵抗の小さい(低電流密度)領域において効果的である。
次のステップ560において、上記より得られたグラフ(図12)から得られる電圧差ΔV1の変化から上記のガス透過率に対応する電圧変化率を求め、横軸を電圧変化率、縦軸をガス透過量とした図13の関係線を作成し、電圧変化率とガス透過量との関係を示す近似式を得る。この関係線におけるガス透過量は、クロスリーク量を表すものである。
続いて、ステップ600(図10参照)に移行し、図6に示す燃料電池システムにおいて第2計測ルーチンが実行される。本ルーチンが実行されると、まずステップ600において燃料電池10が通常の発電運転制御において開回路(OC)の状態であるか否かが判断され、OC状態であると判断したときには、ステップ620に移行する。また、OC状態でないと判断したときには、OC状態となるまで待機する。
ステップ620において、アノード及びカソードへのガス供給量を圧力計P1及びマスフローコントローラ27、並びに圧力計P2及びエアコンプレッサ29により各々略一定にし、次のステップ640でセル(例えばセルNo.1)におけるアノード側ガス供給圧p1とカソード側ガス供給圧p2とが同圧であるときの電圧(同圧時電圧)を取り込む。
一つの単セル(セルNo.1)について同圧時電圧の取り込みが終了した後、ステップ650において測定済セルの数がカウントされ、セル数の和〔Σ(セル数)〕が燃料電池10の構成セル数n以下であるか否かが判断される。ステップ650において、セル数の和がn以下、即ち構成セルの全ての測定が完了していないと判断されたときは、未測定の他のセルについて取り込みを繰り返し、セル数の和がnを超えている、即ち構成セルの全ての測定が完了したと判断されたときには、ステップ660に移行する。
次に、ステップ660において、アノード側ガス供給圧p1とカソード側ガス供給圧p2との間にp1>p2となるように差圧を生じさせ、次のステップ680でセル(例えばセルNo.1)におけるp1>p2時の電圧(差圧時電圧)を取り込む。
一つの単セル(セルNo.1)について差圧時電圧の取り込みが終了した後、ステップ700において測定済セルの数がカウントされ、セル数の和〔Σ(セル数)〕が燃料電池10の構成セル数n以下であるか否かが判断される。ステップ700において、セル数の和がn以下、即ち構成セルの全ての測定が完了していないと判断されたときは、未測定の他のセルについて取り込みを繰り返し、セル数の和がnを超えている、即ち構成セルの全ての測定が完了したと判断されたときには、ステップ720に移行する。
ステップ720において、燃料電池の構成セルの取り込まれた全電圧(差圧時電圧及び同圧時電圧)を、横軸をセル番号(No.1…No.n)、縦軸をセル電圧として各セルとセル電圧との関係を示す図14のグラフを作成し、作成したグラフから各単セルの電圧変化率を算出する。
ここで、差圧時電圧と同圧時電圧との電圧差ΔV1の絶対値に相当する量がクロスリークに由来する電圧降下を意味し、同圧時における電圧降下はクロスリーク以外の例えば短絡や触媒劣化等に由来するものである。
次に、ステップ740において、算出された電圧変化率から、既に得られている電圧変化率とガス透過量との関係線における近似式を用いてガス透過量を求め、横軸をセル番号、縦軸をガス透過率として各セルとガス透過率との関係を示す図15のヒストグラムを作成する。ここでのガス透過量は、クロスリーク量を表すものである。以上のようにして、燃料電池を構成する単セル全てについての水素ガスの膜透過量(水素透過量)を測定することができる。
上記のように水素ガスの膜透過量を計測するようにした場合には、単セル毎のクロスリーク量を計測できると共に、クロスリークの程度が大きいセルを特定することができる。これにより、特定されたセルの電圧降下がクロスリークに大きく由来するものである場合には、特定されたセルに注視してステップ340における判断を行なったり、そのセルのみを交換する等の処置が可能となる。したがって、複数の単セルで構成されてたスタックの場合でも、従来のように電圧降下の大きいセルの特定や、その要因がクロスリークに由来するものであるか否かの判断が困難であるために実用上問題のない場合でも定期的にスタック全体を交換する、あるいはスタックを分解して対処する等を行なうのを回避でき、特定された単セルについてのみ交換や適切な処置を講ずることが可能となる。
本実施形態では、tmaxを参照するようにしたが、tmax付近の複数値の平均値を参照して判断する等、場合に応じた事項を参照することによっても行なえる。
また、上記のようにクロスリーク量から判断するのではなく、複数の単セルの所定単位毎の出力低下(電圧降下)やその変化データから、ステップ340での所定値を満足するか否かを判断するようにしてもよい。
上記では、スタックを構成する個々の単セルのクロスリーク量の結果からエア供給圧を制御するようにしたが、所望数の単セルを1単位とし各クロスリーク量の平均値から予測を行なうようにすることもできる。この場合、1単位ごとの平均電圧の差ΔVからガス透過率に対応する電圧変化率(平均セル電圧変化率)を求め、横軸を平均セル電圧変化率、縦軸をガス透過量とした図16の関係線を作成し、平均セル電圧変化率とガス透過量との関係を示す近似式を得、これに基づいてクロスリーク量を測定するようにすることもできる。ここでの関係線におけるガス透過量もクロスリーク量を表すものである。また同様に、スタックが複数のサブスタックからなる分割構造をなす場合はサブスタック単位で各サブスタックのクロスリーク量の結果をもとにステップ340での判断を行なうことも可能である。
上述した実施形態では、燃料に水素ガスを用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)を中心に説明したが、メタノール溶液を用いた直接メタノール形燃料電池(DMFC)の場合においても同様である。
また、燃料電池システムを電気自動車に搭載した例を中心に説明したが、電気自動車以外の車両や船舶、航空機等の他の移動装置や、移動装置以外の電気エネルギーで作動する装置への電力供給源として適用することもできる。
(a)は本発明の燃料電池システムにおいてOC時に両極間のガス圧を略同圧にする制御を説明するための図であり、(b)は従来より生じていた水素供給圧とエア供給圧との間のガス圧差を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムを示す概略構成図である。 単セルの構成例を示す概略断面図である。 本発明の第1実施形態に係る同圧制御ルーチンを示す流れ図である。 本発明の第2実施形態に係る同圧制御ルーチンを示す流れ図である。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムを示す概略構成図である。 本発明の第3実施形態に係るガス圧制御ルーチンを示す流れ図である。 単セルの電圧降下を計測する第1計測ルーチンを示す流れ図である。 図2の燃料電池システムの一部構成を単セルの性能解析が可能なように変更したときの概略図である。 燃料電池における電圧降下を単セル毎に計測する第2計測ルーチンを示す流れ図である。 膜透過量の増加にしたがって両極間のガス圧力差をなくす制御例を説明するための関係図である。 OC時におけるガス透過量とセル電圧との関係を示す関係図である。 電圧変化率とガス透過量との近似関係を示す関係図である。 n個のセルと各セルのセル電圧との関係を示す関係図である。 n個のセルと各セルのクロスリーク量との関係を示す関係図である。 平均セル電圧変化率とガス透過量との近似関係を示す関係図である。
符号の説明
1…単セル
10…燃料電池
11…高分子電解質膜
16…アノード拡散電極(燃料極)
17…カソード拡散電極(酸化剤極)
32…エア供給管(供給配管)
33…排出管(排出配管)
34…電圧測定器
100…制御部
V3…保圧バルブ
V4…エア調圧バルブ

Claims (4)

  1. 燃料電池の無負荷での運転時に、燃料極に供給する燃料ガスのガス供給圧と酸化剤極に供給する酸化剤ガスのガス供給圧とを略同圧にする同圧化手段を備えた燃料電池システム。
  2. 前記同圧化手段は、酸化剤ガスを供給する供給配管に弁を有し、前記酸化剤ガスのガス供給圧が所定値に達したときに前記弁を閉じるようにした請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記同圧化手段は、前記酸化剤ガスのガス供給圧を増加させると共に、酸化剤極から酸化剤ガスを排出する排出配管に設けられた弁の開度を調節するようにした請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池は高分子電解質膜を含み、前記高分子電解質膜における燃料ガスの膜透過量を測定する膜透過量測定手段を更に備え、
    前記同圧化手段は、測定された前記膜透過量が所定値以下であるときには膜透過量の増加と共に酸化剤ガスのガス供給圧を漸増し、前記膜透過量が所定値を超えるときには燃料ガスのガス供給圧と酸化剤ガスのガス供給圧とを略同圧にするようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
JP2004058204A 2004-03-02 2004-03-02 燃料電池システム Pending JP2005251483A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004058204A JP2005251483A (ja) 2004-03-02 2004-03-02 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004058204A JP2005251483A (ja) 2004-03-02 2004-03-02 燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005251483A true JP2005251483A (ja) 2005-09-15

Family

ID=35031761

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004058204A Pending JP2005251483A (ja) 2004-03-02 2004-03-02 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005251483A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007119621A1 (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
JP2007323959A (ja) * 2006-05-31 2007-12-13 Toyota Motor Corp 燃料電池システム
JP2015097218A (ja) * 2009-10-30 2015-05-21 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン 燃料電池スタックの動作停止方法
JP2016126932A (ja) * 2015-01-05 2016-07-11 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム
CN114976132A (zh) * 2022-06-29 2022-08-30 北京亿华通科技股份有限公司 一种用于低氧环境的燃料电池电堆活化控制方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61116764A (ja) * 1984-11-12 1986-06-04 Toshiba Corp 燃料電池装置
JPH07272740A (ja) * 1994-03-30 1995-10-20 Mazda Motor Corp 燃料電池システムの制御装置
JP2003045466A (ja) * 2001-07-26 2003-02-14 Honda Motor Co Ltd 燃料電池におけるガス漏れ検知方法
JP2003217631A (ja) * 2002-01-17 2003-07-31 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池の制御装置
JP2004129433A (ja) * 2002-10-04 2004-04-22 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池車両及びその制御方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61116764A (ja) * 1984-11-12 1986-06-04 Toshiba Corp 燃料電池装置
JPH07272740A (ja) * 1994-03-30 1995-10-20 Mazda Motor Corp 燃料電池システムの制御装置
JP2003045466A (ja) * 2001-07-26 2003-02-14 Honda Motor Co Ltd 燃料電池におけるガス漏れ検知方法
JP2003217631A (ja) * 2002-01-17 2003-07-31 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池の制御装置
JP2004129433A (ja) * 2002-10-04 2004-04-22 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池車両及びその制御方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007119621A1 (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
JP2007323959A (ja) * 2006-05-31 2007-12-13 Toyota Motor Corp 燃料電池システム
JP2015097218A (ja) * 2009-10-30 2015-05-21 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン 燃料電池スタックの動作停止方法
JP2016126932A (ja) * 2015-01-05 2016-07-11 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム
CN114976132A (zh) * 2022-06-29 2022-08-30 北京亿华通科技股份有限公司 一种用于低氧环境的燃料电池电堆活化控制方法
CN114976132B (zh) * 2022-06-29 2024-01-26 北京亿华通科技股份有限公司 一种用于低氧环境的燃料电池电堆活化控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2269257B1 (en) Fuel cell system and operating method of a fuel cell
US9299998B2 (en) Fuel cell management method
JP5596758B2 (ja) 燃料電池システム及びその制御方法
KR101148402B1 (ko) 연료 전지 시스템 및 연료 전지의 활성화 방법
US10290888B2 (en) Method of operating fuel cell system with performance recovery control
JP4973138B2 (ja) 燃料電池システム
CN116093378A (zh) 燃料电池系统及其关机控制方法
EP2375484B1 (en) Operating method of fuel cell system
US20100081016A1 (en) Fuel cell system and method for shutting down the system
JP2007005000A (ja) 燃料電池システムの制御方法
JP2005063724A (ja) 燃料電池システム
JP2010061981A (ja) 燃料電池システムの始動方法
JP5403874B2 (ja) 固体高分子形燃料電池及びその特性回復方法
JP2005251483A (ja) 燃料電池システム
JP2014063664A (ja) 燃料電池システムの起動方法
JP4945882B2 (ja) 燃料電池の性能解析方法
JP5166907B2 (ja) 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池エージングシステム
JP5559002B2 (ja) 燃料電池システム及びその起動方法
JP2021166152A (ja) 燃料電池システム
JP5073448B2 (ja) 固体高分子型燃料電池の運転方法
JP2006190571A (ja) 燃料電池の制御装置
JP2012129081A (ja) 燃料電池システムの運転方法
JP5480086B2 (ja) 燃料電池システムの運転停止方法
JP5524787B2 (ja) 燃料電池システムの運転停止方法
KR101800078B1 (ko) 연료 전지 및 이동체

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101207