JP5581136B2 - 定着構造および定着構造体、並びに定着方法 - Google Patents

定着構造および定着構造体、並びに定着方法 Download PDF

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本発明は、緊張材の定着端部を構造物に定着させる定着構造、および定着構造体、並びに定着方法に関する。
従来から、この種の定着構造として、例えば下記特許文献1に示されるような、構造物内に埋め込まれたキャスティングブロックと、キャスティングブロックに支承され緊張材を定着する内部コーンを有するボンディングブロックと、緊張材を定着するアンカーヘッドと、を備える構成が知られている。
この定着構造では、まず、緊張材の初期緊張を、緊張材の定着端部をアンカーヘッドに定着することで行う。そして、このように緊張材を初期緊張させた後、ボンディングブロック内に充填材を充填し、充填材と緊張材とが一体化してなる内部コーンをボンディングブロック内に形成する。
特開2003−286759号公報
しかしながら、前記従来の定着構造では、緊張材の初期緊張が、緊張材の定着端部をアンカーヘッドに定着することで行われていることから、緊張材の初期緊張力がアンカーヘッドに集中するため、アンカーヘッドの強度を確保する必要がある。そのため、アンカーヘッドを厚くする必要があり、アンカーヘッドに多量の鋼材を要し、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、定着端部を構造物に確実に定着させつつ低コスト化を図ることができる定着構造を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る定着構造は、構造物に形成された挿通孔に緊張材を挿通して前記緊張材の定着端部を前記構造物に定着させる定着構造であって、前記定着端部が固着されるとともに前記構造物に連結可能な定着体を備え、前記定着体は、一方側の開口部から前記定着端部が内挿された管部と、該管部内に充填されるとともに前記定着端部が埋め込まれた状態で固着された充填材と、該充填材に前記一方側から密接する受圧部と、を備え、前記充填材は、モルタル材料、樹脂材料またはモルタル材料と樹脂材料との混合材料からなり、前記定着体には、前記管部を有するとともに前記挿通孔を通過可能であり、前記挿通孔に進入して前記挿通孔を通過することで、前記緊張材を前記挿通孔に挿通させる定着具本体が備えられていることを特徴とする。
この発明では、緊張材の緊張力は、定着端部から充填材に伝達された後、支圧力として受圧部に伝達される。
また充填材が、モルタル材料、樹脂材料またはモルタル材料と樹脂材料との混合材料からなるので、前述のように充填材に緊張力が伝達されると、充填材が管部の径方向の外側に膨らむように変形する。このとき、管部が充填材の変形を拘束することにより、充填材に伝達された力が管部にも伝達される。
すなわち、緊張材の緊張力は、充填材を介して受圧部および管部に分散して伝達され、その後、定着体から構造物に伝達されて受け止められる。
以上により、定着端部を構造物に確実に定着させることができる。
また、緊張材の緊張力が、受圧部および管部に分散して伝達されるので、受圧部および管部の強度を確保するためにこれらを厚くする必要が無く、定着体における鋼材の使用量を抑えることができる。
さらに、緊張力が充填材を介して分散されるので、管部内に充填材を充填するという簡便な作業を行うことで、緊張力を分散させる構造を形成することができる。これにより、定着体の製造時に、煩雑な加工を抑制することが可能になり、製造コストを抑えることができる。
以上より、定着構造の低コスト化を図ることができる。
また、前記定着端部は、前記一方側とは反対側の他方側から前記充填材に密接する支圧面を有する固定部材に固定されていても良い。
この場合、緊張材の緊張力は、定着端部からだけではなく、固定部材の支圧面から支圧力として充填材に伝達されることとなる。これにより、緊張力を充填材に効果的に伝達することが可能になり、定着端部を構造物に一層確実に定着させることができる。
なお固定部材として、既成品(例えば、くさび型定着具や圧着グリップなど)を採用する場合には、固定部材の製作コストを抑えることが可能になり、定着構造の確実な低コスト化を図ることができる。
また、前記固定部材は、前記充填材内に埋め込まれていても良い。
この場合、固定部材が充填材内に埋め込まれているので、固定部材に伝達された緊張材の緊張力が漏れなく充填材に伝達されることとなり、緊張材の緊張力を充填材に一層効果的に伝達することができる。
また、前記固定部材は、外周面が前記管部の内周面に対向するように配置された板状に形成されていても良い。
この場合、固定部材が、外周面が管部の内周面に対向するように配置された板状に形成されているので、定着体の製造時に、管部内において固定部材を前記径方向に高精度に位置決めすることが可能になり、管部内において定着端部を前記径方向に高精度に位置決めすることができる。これにより、充填材に対する定着端部の前記径方向の位置を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を定着端部から効果的に伝達することができる。
なお、充填材に複数の定着端部が固着され、固定部材に複数の定着端部が固定されている場合には、管部内において定着端部同士の相対的な位置関係を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を充填材に効果的に分散させて伝達することができる。これにより、定着端部を構造物に更に一層確実に定着させることができる。
また、前記固定部材は、前記管部を前記他方側から閉塞する板状に形成されていても良い。
この場合、固定部材が、管部を前記他方側から閉塞する板状に形成されているので、定着体の製造時に、充填材が管部の前記他方側の開口部から漏出するのを抑制することができる。
ここで、固定部材が管部を閉塞しているので、前述のように充填材が管部から漏出するのを抑制するために専用の部材を設ける必要が無く、定着体に要する鋼材量を抑制することが可能になる。これにより、この定着構造の製造コストを確実に抑えることができる。
なお固定部材が、管部に接続されている場合には、固定部材を前記径方向に高精度に位置決めすることが可能になり、定着体の製造時に、管部内において定着端部を前記径方向に高精度に位置決めすることができる。これにより、充填材に対する定着端部の前記径方向の位置を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を定着端部から効果的に伝達することができる。
さらに、充填材に複数の定着端部が固着され、固定部材に複数の定着端部が固定されている場合には、管部内において定着端部同士の相対的な位置関係を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を充填材に効果的に分散させて伝達することができる。これにより、定着端部を構造物に更に一層確実に定着させることができる。
また、前記定着端部は、前記緊張材の緊張方向に対して傾斜していても良い。
この場合、定着端部が、前記緊張方向に対して傾斜しているので、定着端部と充填材との固着力によって、定着端部から充填材に緊張力を効果的に伝達することができる。
また、前記緊張材は、複数の線材が撚り合わされてなり、前記定着端部における前記複数の線材は、撚り合いが解かれるとともに、前記緊張材の緊張方向に対して傾斜していても良い。
この場合、定着端部における複数の線材が、前記緊張方向に対して傾斜しているので、これらの線材と充填材との固着力によって、線材から充填材に緊張力を効果的に伝達することができる。これにより、緊張力を充填材に効果的に伝達することが可能になり、定着端部を構造物に一層確実に定着させることができる。
またこのように、複数の線材を前記緊張方向に対して傾斜させるという簡便な加工によって、定着端部を構造物に一層確実に定着させることができるので、この定着構造の製造コストを確実に抑えることができる。
また、前記定着端部における前記線材の先端には、拡径部が形成されていても良い。
この場合、定着端部における線材の先端に拡径部が形成されているので、定着端部における線材から充填材に緊張力を一層効果的に伝達することができる。
また、前記定着具本体と前記受圧部とが別部材で構成され、前記受圧部は、前記定着端部が内挿されるとともに、前記充填材の外周縁部に前記一方側から密接するリング状に形成され、前記定着具本体および前記充填材が、前記受圧部に、前記一方側とは反対側の他方側から当接するとともに、前記受圧部が、前記他方側から前記構造物に当接することで、前記定着体が前記構造物に連結されても良い。
この場合、受圧部がリング状に形成されているので、充填材に伝達された緊張力を受圧部に支圧力として効果的に伝達することが可能になり、定着端部を構造物に一層確実に定着させることができる。
また受圧部が、構造物に前記他方側から当接することで連結されるので、充填材から前記一方側に向けて受圧部に伝達された支圧力を、受圧部から直接、構造物に受け止めさせることができる。
またこのように、受圧部が、構造物に前記他方側から当接することで連結されるので、定着体と構造物とを連結する他の部材が不要となり、この定着構造の製造コストを確実に抑えることができる。
また、前記受圧部は、前記管部に接続され、前記受圧部内には、前記定着端部が嵌合された位置決め孔を有する位置決め板が配設されていても良い。
この場合、受圧部内に前記位置決め板が配設されているので、定着体の製造時に、受圧部内において定着端部を前記径方向に高精度に位置決めすることができる。これにより、充填材に対する定着端部の前記径方向の位置を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を定着端部から効果的に伝達することができる。
なお、充填材に複数の定着端部が固着され、位置決め孔に複数の定着端部が嵌合されている場合には、受圧部内において定着端部同士の相対的な位置関係を高精度に調整することが可能になり、緊張材の緊張力を充填材に効果的に分散させて伝達することができる。これにより、定着端部を構造物に更に一層確実に定着させることができる。
また、前記定着具本体は、前記受圧部を備え、前記定着体は、前記定着具本体と前記構造物との間に介在する支圧板を備え、前記支圧板は、前記緊張材が内挿されるリング状に形成されても良い。
また、本発明に係る定着構造体は、緊張材と、該緊張材の定着端部が、前記定着構造によって定着された構造物と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、低コスト化が図られた定着構造によって定着端部が構造物に定着されているので、定着構造体の低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る定着方法は、前記定着構造によって、前記定着端部を前記構造物に定着させる定着方法であって、前記管部に前記定着端部を内挿するとともに該管部内に前記充填材を充填し、前記充填材に前記定着端部を固着させる固着工程と、前記固着工程の後に、前記定着具本体を前記挿通孔に進入させて前記定着具本体に前記挿通孔を通過させることで、前記緊張材を前記挿通孔に挿通させて前記定着体を前記構造物に連結する連結工程と、を有していることを特徴とする。
この発明によれば、固着工程の後に連結工程を行うので、緊張材の初期緊張力を、受圧部および管部に分散して伝達させることができる。
本発明に係る定着構造によれば、定着端部を構造物に確実に定着させつつ低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る定着構造体によれば、低コスト化を図ることができる。
さらに、本発明に係る定着方法によれば、緊張材の初期緊張力を、受圧部および管部に分散して伝達させることができる。
本発明の第1実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 図1に示すA−A断面矢視図である。 図1に示すB−B断面矢視図である。 本発明の第1実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 図6に示すC−C断面矢視図である。 本発明の第3実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 図8に示すD−D断面矢視図である。 本発明の第4実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 図10に示すE−E断面矢視図である。 本発明の第5実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る定着構造体の要部を示す上面図である。 本発明の第7実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 本発明の第8実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 図17に示すF−F断面矢視図である。 本発明の第9実施形態に係る定着構造体の要部を示す断面図である。 本発明の第9実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第9実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第9実施形態に係る定着構造体の変形例の要部を示す断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る定着構造体を説明する。
図1に示すように、定着構造体1は、緊張材2a、2bと、該緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが定着された構造物4と、を備えている。
構造物4には、緊張材2a、2bが挿通された挿通孔4aが形成されている。そしてこの構造物4には、定着端部3a、3bが固着されるとともに構造物4に連結可能な定着体11を有する定着構造10によって、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが定着されている。
定着体11は、一方側L1の開口部から定着端部3a、3bが内挿された管部12を有する定着具本体13と、管部12内に充填されるとともに定着端部3a、3bが埋め込まれた状態で固着された充填材14と、定着具本体13と構造物4との間に介在する支圧板15と、を備えている。
定着具本体13は、前記管部12と、充填材14に前記一方側L1から密接する受圧部16と、管部12の他方側L2の開口部を閉塞する蓋部17と、を備えている。管部12の管軸O方向から見たとき、これらの管部12、受圧部16および蓋部17の外形状は、いずれも円形状となっており、管部12、受圧部16および蓋部17は、同軸に配設されている。この定着具本体13のうち、最も外径が大きい部分の外径は、構造物4の前記挿通孔4aの内径よりも小さくなっており、挿通孔4aを通過可能となっている。
なお以下では、前記管軸Oに直交する方向を単に径方向、管軸O回りに周回する方向を単に周方向という。
蓋部17は板状に形成され、管部12の前記他方側L2の開口端縁に接続されている。
受圧部16は、定着端部3a、3bが内挿されるとともに、充填材14の外周縁部に前記一方側L1から密接するリング状に形成されている。この受圧部16は、管部12に接続されている。受圧部16は、前記管軸O方向を向く成分を有する受圧面16aを備えており、この受圧面16aが充填材14に前記一方側L1から密接している。
また図示の例では、定着具本体13は、例えば、管部12、受圧部16および蓋部17が鋼材料などで鋳造によって一体成形されてなる。なお定着具本体13は、管部12、受圧部16および蓋部17が互いに別部材で構成された後、溶接されることで接続された構造であっても良い。
図2に示すように、支圧板15は、定着具本体13と同軸に配置された円環状(リング状)とされており、その中心軸線(前記管軸O)を通る分断面に沿って2分割されている。図1に示すように、支圧板15の内径は、受圧部16の内径と同等とされており、この支圧板15には、受圧部16が前記他方側L2から当接するとともに、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが内挿されている。そして、支圧板15の外周縁部は、構造物4の挿通孔4aの開口周縁部に当接している。
充填材14は、管部12内に隙間無く充填されている。そして本実施形態では、充填材14は、モルタル材料、樹脂材料またはモルタル材料と樹脂材料との混合材料からなる。
ここで図示の例では、この充填材14には、複数の緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが固着されている。
緊張材2a、2bは、例えば鋼などで形成された複数の線材18が撚り合わされてなり、各緊張材2a、2bの緊張方向Tは、前記管軸O方向と平行となっている。なお以下に示す図面では、図面の見易さのため、緊張材2a、2bを、複数の線材18が寄り合わされていない状態で示している。
図3に示すように、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bは、互いの中心軸間の間隔が同等となるように配置されている。図示の例では、複数の緊張材2a、2bとして、定着端部3aが前記管軸O上に配置された第1緊張材2aと、この第1緊張材2aを前記径方向の外側から囲うように複数配設された第2緊張材2bと、が備えられている。第2緊張材2bの定着端部3bは、前記周方向に互いに同等の間隔をあけて配置されている。
なお以下では、特に区別する必要がある場合、第1緊張材2aの定着端部3aを第1定着端部3aといい、第2緊張材2bの定着端部3bを第2定着端部3bという。
図1に示すように、定着端部3a、3bは、前記他方側L2から充填材14に密接する支圧面19を有する固定部材20に固定されている。固定部材20は、充填材14内に埋め込まれており、本実施形態では、1つの固定部材20に1つの定着端部3a、3bが固定されている。図示の例では、固定部材20として、円筒状に形成されるとともに、内径が前記他方側L2から前記一方側L1に向かうに従い漸次縮径する既製品のくさび型定着具を採用している。この固定部材20では、前記径方向に沿って延び、かつ前記一方側L1を向く端面が前記支圧面19とされ、この固定部材20には、くさび21によって定着端部3a、3bが定着されている。
次に、以上のように構成された定着構造10によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
はじめに、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bに固定部材20を固定する固定工程を行う。
次いで、管部12に定着端部3a、3bを内挿するとともに該管部12内に充填材14を充填し、充填材14に定着端部3a、3bを固着させる固着工程を行う。ここで本実施形態では、定着具本体13が蓋部17を備えているので、充填材14が管部12の前記他方側L2の開口部から漏出するのを抑制することができる。
なお固着工程の後、定着具本体13の蓋部17を定着具本体13から分離させても良い。この場合、定着具本体13に用いる鋼材量を低減させることができる。
そして固着工程の後に、定着体11を構造物4に連結する連結工程を行う。
この連結工程では、例えば、構造物4の挿通孔4aに定着具本体13を進入させた後、定着具本体13に挿通孔4aを通過させ、緊張材2a、2bを挿通孔4aに挿通させるとともに、定着具本体13の受圧部16と構造物4との間に隙間をあける。そしてこの隙間に、緊張材2a、2bを前記径方向に挟み込むように、分割された支圧板15を差し込む。すると、定着具本体13の受圧部16が前記他方側L2から支圧板15に当接するとともに、支圧板15が前記他方側L2から構造物4に当接して、定着体11が構造物4に連結される。
次に、前記定着構造10の作用について説明する。
この定着構造10では、緊張材2a、2bの緊張力は、定着端部3a、3bから充填材14に伝達される。このとき本実施形態では、緊張材2a、2bの緊張力は、定着端部3a、3bからだけではなく、固定部材20の支圧面19から支圧力として充填材14に伝達されることとなる。
このように充填材14に伝達された緊張材2a、2bの緊張力が、支圧力として受圧部16に伝達される。
また充填材14が、モルタル材料、樹脂材料またはモルタル材料と樹脂材料との混合材料からなるので、前述のように充填材14に緊張力が伝達されると、充填材14が前記径方向の外側に膨らむように変形する。このとき、管部12が充填材14の変形を拘束することにより、充填材14に伝達された力が管部12にも伝達される。
すなわち、緊張材2a、2bの緊張力は、充填材14を介して受圧部16および管部12に分散して伝達され、その後、定着体11から支圧板15を介して構造物4に伝達されて受け止められる。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造10によれば、定着端部3a、3bを構造物4に確実に定着させることができる。
また、受圧部16がリング状に形成されているので、充填材14に伝達された緊張力を受圧部16に支圧力として効果的に伝達することが可能になり、定着端部3a、3bを構造物4に一層確実に定着させることができる。
また、緊張材2a、2bの緊張力が、定着端部3a、3bからだけではなく、固定部材20の支圧面19を介して支圧力として充填材14に伝達されるので、緊張力を充填材14に効果的に伝達することが可能になり、定着端部3a、3bを構造物4に更に一層確実に定着させることができる。
さらに、固定部材20が充填材14内に埋め込まれているので、固定部材20に伝達された緊張材2a、2bの緊張力が漏れなく充填材14に伝達されることとなり、緊張材2a、2bの緊張力を充填材14に一層効果的に伝達することができる。
また、緊張材2a、2bの緊張力が、受圧部16および管部12に分散して伝達されるので、受圧部16および管部12の強度を確保するためにこれらを厚くする必要が無く、定着体11における鋼材の使用量を抑えることができる。
さらに、緊張力が充填材14を介して分散されるので、管部12内に充填材14を充填するという簡便な作業を行うことで、緊張力を分散させる構造を形成することができる。これにより、定着体11の製造時に、煩雑な加工を抑制することが可能になり、製造コストを抑えることができる。
以上より、定着構造10の低コスト化を図ることができる。
また本実施形態のように、固定部材20として、既成品のくさび型定着具を採用する場合には、固定部材20の製作コストを抑えることが可能になり、定着構造10の確実な低コスト化を図ることができる。
また本実施形態に係る定着構造体1によれば、低コスト化が図られた定着構造10によって定着端部3a、3bが構造物4に定着されているので、定着構造体1の低コスト化を図ることができる。
さらに本実施形態に係る定着方法によれば、固着工程の後に連結工程を行うので、緊張材2a、2bの初期緊張力を、受圧部16および管部12に分散して伝達させることができる。
なお本実施形態では、固定部材20として既製品のくさび型定着具を採用したが、これに限られるものではなく、図4に示す定着構造10Aのように、固定部材20Aとして、筒状に形成され、定着端部3a、3bにその径方向の外側から圧着させることで取り付けられた既製品の圧着グリップを採用しても良い。
また図5に示す定着構造10Bのように、管部12の内周面が、前記他方側L2から前記一方側L1に向かうに従い漸次、縮径するテーパ面12aを備えていても良い。この場合、充填材14に伝達された緊張力を管部12に効果的に伝達することができる。
また本実施形態では、充填材14に複数の緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが固着されているものとしたが、これに限られるものではなく、1つの緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが充填材14に固着されていても良い。
さらに前記実施形態では、緊張材2a、2bが、複数の線材18が撚り合わされてなるものとしたが、緊張材2a、2bが1本の線材18で構成されていても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態の定着構造体30における定着構造31では、定着具本体32は、前記管部12および前記蓋部17を備え、定着具本体32と受圧部33とが別部材で構成されている。
充填材14において前記一方側L1を向く面は、定着具本体32の管部12の前記一方側L1の開口端面と面一となっている。
図7に示すように、受圧部33は、定着具本体32と同軸に配置された円環状(リング状)とされており、その中心軸線(前記管軸O)を通る分断面に沿って2分割されている。図6に示すように、この受圧部33には、定着具本体32の管部12が前記他方側L2から当接するとともに、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが内挿されている。
そして本実施形態では、受圧部33は、前記他方側L2から構造物4に当接することで連結されている。図示の例では、受圧部33の外周縁部が、構造物4の挿通孔4aの開口周縁部に当接している。
次に、前記定着構造31によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記連結工程の際、例えば、構造物4の挿通孔4aに定着具本体32を進入させた後、定着具本体32に挿通孔4aを通過させ、緊張材2a、2bを挿通孔4aに挿通させるとともに、定着具本体32の管部12および充填材14と構造物4との間に隙間をあける。そしてこの隙間に、緊張材2a、2bを前記径方向に挟み込むように、分割された受圧部33を差し込む。すると、定着具本体13の管部12および充填材14が前記他方側L2から受圧部33に当接するとともに、受圧部33が前記他方側L2から構造物4に当接して、定着体11が構造物4に連結される。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造31によれば、受圧部33が、構造物4に前記他方側L2から当接することで連結されるので、充填材14から前記一方側L1に向けて受圧部33に伝達された支圧力を、受圧部33から直接、構造物4に受け止めさせることができる。
またこのように、受圧部33が、構造物4に前記他方側L2から当接することで連結されるので、定着体11と構造物4とを連結する他の部材(例えば、前記第1実施形態に示した支圧板15)が不要となり、この定着構造31の製造コストを確実に抑えることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8および図9に示すように、本実施形態の定着構造体40における定着構造41では、固定部材42は、外周面が前記管部12の内周面に対向するように配置された板状に形成されている。図9に示すように、固定部材42は円盤状に形成されており、図8に示すように、この固定部材42では、前記径方向に沿って延び、かつ前記一方側L1を向く表面が前記支圧面19となっている。また、固定部材42の外周面と管部12の内周面との間には、全周にわたって微小隙間43があいている。
また固定部材42には、複数の定着端部3a、3bが固定されている。図9に示すように、この固定部材42には、定着端部3a、3bがくさび21によって固定された複数の固定孔44a、44bが、互いに等しい間隔をあけて形成されている。図示の例では、固定孔44a、44bとして、前記管軸O上に配設された第1固定孔44aと、この第1固定孔44aを前記径方向の外側から囲うように前記周方向に互いに同等の間隔をあけて複数配設された第2固定孔44bと、が備えられている。第1固定孔44aには第1定着端部3aが固定され、第2固定孔44bには第2定着端部3bが固定されている。
次に、前記定着構造41によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記固着工程の際、固定部材42に固定された複数の緊張材2a、2bを管部12に内挿する。ここで本実施形態では、固定部材42が、外周面が管部12の内周面に対向するように配置された板状に形成されているので、管部12内において固定部材42を前記径方向に高精度に位置決めすることが可能になり、管部12内において定着端部3a、3bを前記径方向に高精度に位置決めすることができる。そしてこの状態で、定着端部3a、3bを充填材14に固着させることで、充填材14に対する定着端部3a、3bの前記径方向の位置を高精度に調整することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造41によれば、充填材14に対する定着端部3a、3bの前記径方向の位置を高精度に調整することが可能になり、緊張材2a、2bの緊張力を定着端部3a、3bから効果的に伝達することができる。
また本実施形態のように、固定部材42に複数の定着端部3a、3bが固定されている場合には、管部12内において定着端部3a、3b同士の相対的な位置関係を高精度に調整することが可能になり、緊張材2a、2bの緊張力を充填材14に効果的に分散させて伝達することができる。これにより、定着端部3a、3bを構造物4に更に一層確実に定着させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10に示すように、本実施形態の定着構造体50における定着構造51では、前記第1実施形態に示した固定部材20に代えて、前記第3実施形態で示した固定部材42を採用している。そして受圧部16内には、定着端部3a、3bが嵌合された位置決め孔52a、52bを有する位置決め板53が配設されている。
図11に示すように、位置決め板53は、位置決め孔52a、52bが貫設された本体板54と、本体板54に前記径方向の外側に向けて突設された複数の突出板55と、を備えており、これらの本体板54および突出板55が一体成形されるとともに、それぞれの表裏面が互いに面一となっている。
位置決め孔52a、52bとして、前記管軸O上に配設された第1位置決め孔52aと、この第1位置決め孔52aを前記径方向の外側から囲うように前記周方向に互いに同等の間隔をあけて複数配設された第2位置決め孔52bと、が備えられている。第1位置決め孔52a内には第1定着端部3aが嵌合され、第2位置決め孔52b内には第2定着端部3bが嵌合されている。
複数の突出板55同士の間には、間隔55aが設けられており、これらの位置決め板53では前記間隔55aによって肉抜き効果が得られ軽量化されている。図示の例では、複数の突出板55は、本体板54において位置決め孔52a、52bが形成された部分の外周縁から前記径方向の外側に向けて突設されており、この突出板55によって、本体板54における位置決め孔52a、52bの周縁部が補強されている。また、各突出板55の先端面と受圧部16の内周面とは微小隙間55bをあけて対向し、互いに近接している。
ここで図10に示すように、定着端部3a、3bは、緊張材2a、2bの緊張方向T(前記管軸O方向)に対して傾斜している。図示の例では、位置決め板53の前記第2位置決め孔52bが、固定部材42の前記第2固定孔44bよりも前記径方向の内側に配置されており、第2定着端部3bが、前記緊張方向Tに対して傾斜している。
次に、前記定着構造51によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記固定工程の前に、緊張材2a、2bの定着端部3a、3bを位置決め板53の位置決め孔52a、52b内に嵌合する嵌合工程を行う。
そして前記固着工程の際、固定部材42に固定された複数の緊張材2a、2bを管部12に内挿するとともに、位置決め板53を受圧部16内に配設する。これにより、受圧部16内において定着端部3a、3bを前記径方向に高精度に位置決めすることができる。そしてこの状態で、定着端部3a、3bを充填材14に固着させることで、前記第3実施形態で示したように、管部12内において定着端部3a、3bを前記径方向に高精度に位置決めすることができることと相俟って、充填材14に対する定着端部3a、3bの前記径方向の位置を確実に高精度に調整することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造51によれば、充填材14に対する定着端部3a、3bの前記径方向の位置を確実に高精度に調整することが可能になり、緊張材2a、2bの緊張力を定着端部3a、3bから一層効果的に伝達することができる。
また本実施形態のように、位置決め孔52a、52bに複数の定着端部3a、3bが嵌合されている場合には、受圧部16内において定着端部3a、3b同士の相対的な位置関係を高精度に調整することが可能になり、緊張材2a、2bの緊張力を充填材14に一層効果的に分散させて伝達することができる。これにより、定着端部3a、3bを構造物4に更に一層確実に定着させることができる。
また、定着端部3a、3bが、前記緊張方向Tに対して傾斜しているので、定着端部3a、3bと充填材14との固着力によって、定着端部3a、3bから充填材14に緊張力を効果的に伝達することができる。
なお本実施形態では、前記第1実施形態に示した固定部材20に代えて、前記第3実施形態で示した固定部材42を採用するものとしたが、これに限られるものではない。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態の定着構造体60における定着構造61では、定着具本体62は、前記管部12と、前記受圧部16と、を備えており、前記他方側L2に向けて開口している。
そして本実施形態では、固定部材42は、管部12を前記他方側L2から閉塞する板状に形成されている。固定部材42は、管部12の前記他方側L2の開口端面に接続されており、図示の例では、固定部材42と定着具本体62とは一体成形されている。
次に、前記定着構造61によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記固着工程の際、管部12内に充填材14を充填する。ここで固定部材42が、管部12を前記他方側L2から閉塞する板状に形成されているので、充填材14が管部12の前記他方側L2の開口部から漏出するのを抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造61によれば、固定部材42が管部12を閉塞しているので、前述のように充填材14が管部12から漏出するのを抑制するために専用の部材(例えば、前記第4実施形態に示した蓋部17)を設ける必要が無く、定着体11に要する鋼材量を抑制することが可能になる。これにより、この定着構造61の製造コストを確実に抑えることができる。
また本実施形態のように、固定部材42が、管部12に接続されている場合には、固定部材42を前記径方向に高精度に位置決めすることが可能になり、定着体11の製造時に、管部12内において定着端部3a、3bを前記径方向に高精度に位置決めすることができる。これにより、充填材14に対する定着端部3a、3bの前記径方向の位置を高精度に調整することが可能になり、緊張材2a、2bの緊張力を定着端部3a、3bから効果的に伝達することができる。
なお本実施形態では、前記位置決め板53を備えているものとしたが、図13に示す定着構造61Aのように、位置決め板53はなくても良い。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図14に示すように、本実施形態の定着構造体70における定着構造71では、定着体11は、定着体11を前記他方側L2から引っ張ることで緊張材2a、2bに緊張力を付与する図示しない付与手段(例えば、ジャッキ等)が着脱自在に装着可能とされている。
図示の例では、定着具本体13の蓋部17には、前記付与手段が螺着される雌ねじ72を有する装着部73が形成されている。装着部73は、蓋部17における前記径方向の中央部から前記一方側L1に向けて突出しており、雌ねじ72は前記他方側L2に向けて開口している。また、装着部73の前記一方側L1の端部には、前記径方向の外側に向けてフランジ部74が突設されている。
次に、前記定着構造71によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記連結工程の際、装着部73の雌ねじ72に前記付与手段を装着させ、該付与手段によって緊張材2a、2bに緊張力を付与する。
次に、前記定着構造71の作用について説明する。
この定着構造71では、緊張材2a、2bの緊張力は、前述のように充填材14を介して受圧部16および管部12に分散されるのに加え、さらに蓋部17にも分散されて伝達される。すなわち、充填材14に伝達された緊張材2a、2bの緊張力は、前記フランジ部74に支圧力として伝達され、その後、装着部73を介して蓋部17に伝達される。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造71によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお本実施形態では、定着体11は、前記装着部73および前記フランジ部74を備えているものとしたが、前記付与手段が着脱自在に装着可能であれば、異なる構成を採用することも可能である。
(第7実施形態)
次に、本発明に係る第7実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第7実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図15および図16に示すように、本実施形態の定着構造体80の構造物4には、第1ピン孔82が形成されたガセットプレート4bが突設されている。
そして、本実施形態の定着構造81では、管部12に接続されるとともに構造物4に前記一方側L1から連結可能な連結部84を備えている。図16に示すように、連結部84は、定着具本体13の蓋部17から前記他方側L2に向けて突設された一対の連結板85を備えている。これらの連結板85は、前記ガセットプレート4bが挿入可能な隙間をあけて互いに対向している。また各連結板85には、ガセットプレート4bの第1ピン孔82に対向するように第2ピン孔86が貫設されており、これらの第1ピン孔82および第2ピン孔86には、ピン部材87が挿通され固定されている。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造81によれば、緊張材2a、2bの緊張力が、前述のように充填材14を介して受圧部16および管部12に分散されて伝達された後、連結部84、ピン部材87、ガセットプレート4bを介して構造物4に伝達されて受け止められることとなる。これにより、定着端部3a、3bを構造物4に確実に定着させることができる。
(第8実施形態)
次に、本発明に係る第8実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第8実施形態においては、第7実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図17に示すように、本実施形態の定着構造体90の定着構造91では、定着具本体13の管部12は、前記他方側L2から前記一方側L1に向かうに従い漸次、縮径しており、中空の円錐台形状をなしている。この管部12の内周面は、前記他方側L2から前記一方側L1に向かうに従い漸次、縮径するテーパ面92となっている。
さらにこの定着構造91では、前記第1実施形態に示した固定部材20に代えて、前記第3実施形態で示した固定部材42を採用している。
そして受圧部16内には、前記第4実施形態に示した位置決め板53が配設されている。図18に示すように、この位置決め板53では、1つの位置決め孔52cが前記管軸O上に配設されており、この1つの位置決め孔52c内に、複数の定着端部3a、3bが互いに密接して配置されている。図示の例では、位置決め孔52c内では、第1定着端部3aと第2定着端部3bとが密接するとともに、前記周方向で隣り合う第2定着端部3b同士が互いに密接している。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造91によれば、前記第8実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第9実施形態)
次に、本発明に係る第9実施形態の定着構造体を説明する。
なお、この第9実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図19に示すように、本実施形態の定着構造体100の定着構造101では、定着端部3a、3bにおける複数の線材18は、撚り合いが解かれているとともに、緊張材2a、2bの緊張方向T(前記管軸O方向)に対して傾斜している。図示の例では、定着端部3a、3bにおける複数の線材18は、先端に向かうに従い漸次、互いに離間するように屈曲されている。
また定着端部3a、3bにおける線材18の先端には、拡径部18aが形成されている。図示の例では、拡径部18aは球状となっている。
次に、前記定着構造101によって定着端部3a、3bを構造物4に定着させる定着方法について説明する。
この定着方法では、前記固定工程に代えて、定着端部3a、3bにおける複数の線材18を、先端に向かうに従い漸次、互いに離間するように傾斜させる傾斜工程を行う。このとき、例えば線材18の先端を屈曲することで傾斜させる。
以上説明したように、本実施形態に係る定着構造101によれば、定着端部3a、3bにおける複数の線材18が、前記緊張方向Tに対して傾斜しているので、これらの線材18と充填材14との固着力によって、線材18から充填材14に緊張力を効果的に伝達することができる。これにより、緊張力を充填材14に効果的に伝達することが可能になり、定着端部3a、3bを構造物4に一層確実に定着させることができる。
また、定着端部3a、3bにおける線材18の先端に拡径部18aが形成されているので、定着端部3a、3bにおける線材18から充填材14に緊張力を一層効果的に伝達することができる。
さらに前述のように、複数の線材18を前記緊張方向Tに対して傾斜させるという簡便な加工によって、定着端部3a、3bを構造物4に一層確実に定着させることができるので、この定着構造101の製造コストを確実に抑えることができる。
なお本実施形態では、充填材14に複数の緊張材2a、2bの定着端部3a、3bが固着されているものとしたが、これに限られるものではなく、図20に示す定着構造101Aのように、1つの緊張材2cの定着端部3cが充填材14に固着されていても良い。
さらに本実施形態では、定着端部3a、3b、3cにおける線材18の先端には拡径部18aが形成されているものとしたが、図21および図22に示す定着構造101B、101Cのように、拡径部18aはなくても良い。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、受圧部16がリング状に形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、受圧部16が、前記周方向に間隔をあけて複数設けられた板部材で形成されていても良い。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、30、40、50、60、70、80、90、100 定着構造体
2a、2b、2c 緊張材
3a、3b、3c 定着端部
4 構造物
10、10A、10B、31、41、51、61、61A、71、81、91、101、101A、101B 定着構造
11 定着体
12 管部
14 充填材
16、33 受圧部
18 線材
18a 拡径部
19 支圧面
20、20A、42 固定部材
52a、52b、52c 位置決め孔
53 位置決め板
L1 一方側
L2 他方側
T 緊張方向

Claims (13)

  1. 構造物に形成された挿通孔に緊張材を挿通して前記緊張材の定着端部を前記構造物に定着させる定着構造であって、
    前記定着端部が固着されるとともに前記構造物に連結可能な定着体を備え、
    前記定着体は、
    一方側の開口部から前記定着端部が内挿された管部と、
    該管部内に充填されるとともに前記定着端部が埋め込まれた状態で固着された充填材と、
    該充填材に前記一方側から密接する受圧部と、を備え、
    前記充填材は、モルタル材料、樹脂材料またはモルタル材料と樹脂材料との混合材料からなり、
    前記定着体には、前記管部を有するとともに前記挿通孔を通過可能であり、前記挿通孔に進入して前記挿通孔を通過することで、前記緊張材を前記挿通孔に挿通させる定着具本体が備えられていることを特徴とする定着構造。
  2. 請求項1記載の定着構造であって、
    前記定着端部は、前記一方側とは反対側の他方側から前記充填材に密接する支圧面を有する固定部材に固定されていることを特徴とする定着構造。
  3. 請求項2記載の定着構造であって、
    前記固定部材は、前記充填材内に埋め込まれていることを特徴とする定着構造。
  4. 請求項3記載の定着構造であって、
    前記固定部材は、外周面が前記管部の内周面に対向するように配置された板状に形成されていることを特徴とする定着構造。
  5. 請求項2記載の定着構造であって、
    前記固定部材は、前記管部を前記他方側から閉塞する板状に形成されていることを特徴とする定着構造。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の定着構造であって、
    前記定着端部は、前記緊張材の緊張方向に対して傾斜していることを特徴とする定着構造。
  7. 請求項1記載の定着構造であって、
    前記緊張材は、複数の線材が撚り合わされてなり、
    前記定着端部における前記複数の線材は、撚り合いが解かれるとともに、前記緊張材の緊張方向に対して傾斜していることを特徴とする定着構造。
  8. 請求項7記載の定着構造であって、
    前記定着端部における前記線材の先端には、拡径部が形成されていることを特徴とする定着構造。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の定着構造であって、
    前記定着具本体と前記受圧部とが別部材で構成され、
    前記受圧部は、前記定着端部が内挿されるとともに、前記充填材の外周縁部に前記一方側から密接するリング状に形成され
    前記定着具本体および前記充填材が、前記受圧部に、前記一方側とは反対側の他方側から当接するとともに、前記受圧部が、前記他方側から前記構造物に当接することで、前記定着体が前記構造物に連結されることを特徴とする定着構造。
  10. 請求項9記載の定着構造であって、
    前記受圧部は、前記管部に接続され、
    前記受圧部内には、前記定着端部が嵌合された位置決め孔を有する位置決め板が配設されていることを特徴とする定着構造。
  11. 請求項1から8のいずれか1項に記載の定着構造であって、
    前記定着具本体は、前記受圧部を備え、
    前記定着体は、前記定着具本体と前記構造物との間に介在する支圧板を備え、
    前記支圧板は、前記緊張材が内挿されるリング状に形成されていることを特徴とする定着構造。
  12. 緊張材と、
    該緊張材の定着端部が、請求項1から11のいずれか1項に記載の定着構造によって定着された構造物と、を備えることを特徴とする定着構造体。
  13. 請求項1から11のいずれか1項に記載の定着構造によって、前記定着端部を前記構造物に定着させる定着方法であって、
    前記管部に前記定着端部を内挿するとともに該管部内に前記充填材を充填し、前記充填材に前記定着端部を固着させる固着工程と、
    前記固着工程の後に、前記定着具本体を前記挿通孔に進入させて前記定着具本体に前記挿通孔を通過させることで、前記緊張材を前記挿通孔に挿通させて前記定着体を前記構造物に連結する連結工程と、を有していることを特徴とする定着方法。
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