JP5580619B2 - 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス - Google Patents

薄膜トランジスタ基板および表示デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5580619B2
JP5580619B2 JP2010035023A JP2010035023A JP5580619B2 JP 5580619 B2 JP5580619 B2 JP 5580619B2 JP 2010035023 A JP2010035023 A JP 2010035023A JP 2010035023 A JP2010035023 A JP 2010035023A JP 5580619 B2 JP5580619 B2 JP 5580619B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
oxygen
alloy
semiconductor layer
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010035023A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011171581A (ja
Inventor
晋也 森田
裕史 後藤
綾 三木
勝文 富久
泰昭 寺尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2010035023A priority Critical patent/JP5580619B2/ja
Priority to TW100103652A priority patent/TWI469357B/zh
Priority to CN201110036949.3A priority patent/CN102169905B/zh
Priority to KR1020110014477A priority patent/KR101251227B1/ko
Publication of JP2011171581A publication Critical patent/JP2011171581A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5580619B2 publication Critical patent/JP5580619B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L27/00Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate
    • H01L27/02Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate including semiconductor components specially adapted for rectifying, oscillating, amplifying or switching and having potential barriers; including integrated passive circuit elements having potential barriers
    • H01L27/12Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate including semiconductor components specially adapted for rectifying, oscillating, amplifying or switching and having potential barriers; including integrated passive circuit elements having potential barriers the substrate being other than a semiconductor body, e.g. an insulating body
    • H01L27/1214Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate including semiconductor components specially adapted for rectifying, oscillating, amplifying or switching and having potential barriers; including integrated passive circuit elements having potential barriers the substrate being other than a semiconductor body, e.g. an insulating body comprising a plurality of TFTs formed on a non-semiconducting substrate, e.g. driving circuits for AMLCDs
    • H01L27/124Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate including semiconductor components specially adapted for rectifying, oscillating, amplifying or switching and having potential barriers; including integrated passive circuit elements having potential barriers the substrate being other than a semiconductor body, e.g. an insulating body comprising a plurality of TFTs formed on a non-semiconducting substrate, e.g. driving circuits for AMLCDs with a particular composition, shape or layout of the wiring layers specially adapted to the circuit arrangement, e.g. scanning lines in LCD pixel circuits
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/40Electrodes ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/43Electrodes ; Multistep manufacturing processes therefor characterised by the materials of which they are formed
    • H01L29/45Ohmic electrodes
    • H01L29/456Ohmic electrodes on silicon
    • H01L29/458Ohmic electrodes on silicon for thin film silicon, e.g. source or drain electrode

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、半導体、光学部品などに使用される薄膜トランジスタ基板、および表示デバイスに関し、特に、ソース−ドレイン電極などを構成するCu合金層を薄膜トランジスタの半導体層と直接接続することが可能な新規な薄膜トランジスタ基板に関するものである。
液晶ディスプレイなどのアクティブマトリクス型液晶表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと呼ぶ。)をスイッチング素子とし、透明画素電極と、ゲート配線およびソース・ドレイン配線等の配線部と、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)などの半導体層を備えたTFT基板と、TFT基板に対して所定の間隔をおいて対向配置され共通電極を備えた対向基板と、TFT基板と対向基板との間に充填された液晶層から構成されている。
TFT基板において、ゲート配線やソース・ドレイン配線などの配線材料には、これまでアルミニウム(Al)合金膜が使用されている。しかし表示デバイスの大型化および高画質化が進むにつれて、配線抵抗が大きいことに起因する信号遅延および電力損失といった問題が顕在化している。そのため配線材料として、Alよりも低抵抗である銅(Cu)が注目されている。
配線材料に純CuまたはCu合金(以下、これらをまとめてCu系合金と呼ぶ。)を用いる場合には、通常、Cu系合金配線膜とTFTの半導体層との間に、特許文献1〜7に記載されているように、Mo、Cr、Ti、W、などの高融点金属からなるバリアメタル層が設けられている。これには主に以下の二つの理由が挙げられる。
第一に、バリアメタル層を介さずにCu系合金配線膜をTFTの半導体層と直接接触させると、その後の工程(例えば、TFTの上に形成する絶縁層の成膜工程や、シンタリングやアニーリングなどの熱工程)における熱履歴によってCu系合金配線膜中のCuが半導体層中に拡散し、TFT特性が低下したり、Cu系合金配線膜と半導体層との接触抵抗が増加するなどといったことが挙げられる。
第二に、上述したようにCu系合金配線膜中のCuが半導体中に拡散して半導体層とCuとの反応層が形成されると、この反応層の部分からCu系合金配線膜が剥離するという問題がある。すなわちCu合金膜と半導体層を直接接触させると密着性が低下する。
しかし、このようなバリアメタル層を形成するためには、Cu系合金配線膜形成用の成膜装置に加え、バリアメタル形成用の成膜装置が別途必要になる。具体的には、バリアメタル層形成用の成膜チャンバーをそれぞれ余分に装備した成膜装置(代表的には、複数の成膜チャンバーがトランスファーチャンバーに接続されたクラスタツール)を用いなければならず、製造コストの上昇や生産性の低下を招く。
このような背景の下、上記のようなバリアメタル層を省略した技術として、例えば本願出願人によって提案された特許文献8が挙げられる。特許文献8では、Cu系合金配線膜と半導体層とのダイレクトコンタクト技術として、ソース−ドレイン電極が酸素含有層と、純CuまたはCu合金薄膜とからなり、酸素含有層を構成する酸素が半導体層のSiと結合し、前記純CuまたはCu合金の薄膜が前記酸素含有層を介して半導体層と接続しているTFT基板を開示している。
特開平7−66423号公報 特開平8−8498号公報 特開2001−196371号公報 特開2002−353222号公報 特開2004−133422号公報 特開2004−212940号公報 特開2005−166757号公報 特開2009−4518号公報
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、Cu系合金配線膜と半導体層との間に通常設けられるバリアメタル層を省略しても優れた低接触抵抗率を発揮し得、さらにCu系合金配線膜と半導体層との密着性に優れた薄膜トランジスタ基板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の薄膜トランジスタ基板は、薄膜トランジスタの半導体層と、Cu合金層とを有する薄膜トランジスタ基板において、前記半導体層と前記Cu合金層との間に、酸素含有層を含んでおり、前記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層のSiと結合しており、前記Cu合金層は、合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で2原子%以上20原子%以下含有し、前記Cu合金層は、前記酸素含有層を介して前記薄膜トランジスタの前記半導体層と接続している点に要旨を有している。
本発明は、薄膜トランジスタの半導体層と、Cu合金層とを有する薄膜トランジスタ基板において、前記半導体層と前記Cu合金層との間に、酸素含有層を含んでおり、前記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層のSiと結合しており、前記Cu合金層は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層側から順に、合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含有するCu合金下地層(第一層)と、純CuまたはCuを主成分とするCu合金であって前記第一層よりも電気抵抗率の低いCu合金からなる層(第二層)、とを含む積層構造であり、前記Cu合金層は、前記酸素含有層を介して前記薄膜トランジスタの前記半導体層と接続していることを特徴とする薄膜トランジスタ基板も包含する。
本発明において、前記Cu合金下地層(第一層)におけるX含有量は合計で2原子%以上20原子%以下であることが好ましく、また、Cu合金下地層(第一層)の厚みが10nm以上100nm以下であることが好ましい。
本発明において、前記酸素含有層を構成する酸素の原子数[O]と、Siの原子数[Si]との比([O]/[Si])が0.5以上2.0以下であることが好ましく、また、前記酸素含有層の膜厚が、1.3nm以上3.3nm以下であることが好ましい。さらに、前記薄膜トランジスタの前記半導体層は、水素化アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、および多結晶シリコンのいずれか一種または二種以上を組み合わせたものであることも好ましい。
本発明には、上記のいずれかの薄膜トランジスタ基板を備えた表示デバイスも包含される。
本発明では、Cu合金層が酸素含有層を介して薄膜トランジスタの半導体層と接続しているため、Cu原子の半導体層への拡散を抑制することができ、半導体層との高い密着性及び低接触抵抗率を実現することができる。また、Cu合金層を、合金成分X(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を所定量含有するCu−X合金層の単層、または純Cu等との積層とすることによって、さらに高度に半導体層との高い密着性および低接触抵抗率を実現することができる。
図1は、本発明の適用例であるソース−ドレイン電極の構成を模式的に示す概略図である。 図2は、TLM素子による接触抵抗率の測定原理を説明する図である。 図3は、電極距離と電気抵抗の関係を示すグラフである。 図4(a)は酸素プラズマ処理を行わなかった場合のCuとSiの濃度プロファイルを示すグラフであり、図4(b)は酸素プラズマ処理を行った場合のCuとSiの濃度プロファイルを示すグラフである。 図5は、XPS分析による結晶回折ピークを示すグラフである。
本発明者らは、前述した特許文献8の技術を提案した後も、TFTの半導体層に直接接続可能なCu系合金配線材料を備えた新規な薄膜トランジスタ基板を提供するため、検討してきた。その結果、特許文献8のように酸素含有層を介して半導体層とCu系合金配線材料が電気的に接続された配線構造であって、Cu系合金配線材料を(ア)合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を所定量含有するCu−X合金の単層構造とするか、または(イ)Cu−X合金と純Cu等の積層構造とすれば、特許文献8と比べて、半導体層との密着性と接触抵抗率が一層改善され、特に積層構造とすればCu系合金配線材料自体の電気抵抗率も低く抑えられることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は特許文献8における酸素含有層の介在による半導体層との密着性向上、および接触抵抗率の低減化の思想はそのまま踏襲しつつも、Cu系合金配線材料の構成を、密着性向上等に寄与する合金元素を含むCu−X合金に限定し、Cu系合金配線材料自体の電気抵抗率も勘案して、Cu−X合金の単層構造、またはCu−X合金と純Cu等との積層構造とした点で特許文献8と相違している。
以下では、本発明におけるCu合金層の適用例であるソース−ドレイン電極を例に挙げて説明するが、これに限定する趣旨ではない。
(ソース−ドレイン電極)
本発明の適用例であるソース−ドレイン電極28、29は、図1に示すように、酸素含有層28a、29aと、Cu合金層28b、29bとからなる。酸素含有層28a、29aは、TFTの半導体層33を覆うように形成されており、例えば、酸素含有層28a、29aの酸素原子(O)の一部または全部は、半導体層33のSiと結合した状態で存在している。酸素含有層28a、29aを構成するOは、半導体層33を構成するSiよりもCuとの密着性に優れており、パターニング後の電極の剥離が生じない。更に、酸素含有層28a、29aは、Cu合金層28b、29bとTFTの半導体層33との界面におけるCuとSiとの相互拡散を防止するためのバリア(拡散防止バリア)として作用する。
本発明によれば、後記する実施例で実証するように、従来のようにMoなどのバリアメタル層を形成しなくても、低接触抵抗率を実現できる。また、酸素含有層は、後で詳しく説明するように、半導体層を形成した後であって、Cu合金層を形成する前に、例えば、プラズマ法などによって簡便に作製できるため、従来のように、バリアメタル層形成用の特別な成膜装置は不要である。
まず、本発明に用いられる酸素含有層について説明する。酸素含有層の詳細およびその形成方法は、上記特許文献8に記載した通りであるが、再掲すると以下の通りである。
酸素含有層の酸素原子(O)の一部または全部は、半導体層のSiと結合し、主に、Si酸化物(SiOx)となっている。Si酸化物は、例えば、Si半導体層の表面を酸化することによって得られる。
上記の酸素含有層(Si酸化物)は、Cu合金層中のCuが半導体層に拡散するのを抑制する上、さらにCu合金層との密着性に優れており、その結果、酸素含有層を有するCu合金層を用いれば、酸素含有層を有しない場合に比べ、アモルファスシリコン層との密着性を向上させることができる。本発明における酸素含有層は、以下の要件を満足していることが好ましい。
酸素含有層を構成する酸素原子数([O])とSi原子数([Si])との比([O]/[Si]、以下、便宜上、P値と呼ぶ場合がある。)は、0.5以上2.0以下の範囲内であることが好ましい。これにより、接触抵抗率を上昇させることなく、酸素含有層によるバリア作用を有効に発揮させることができる。P値は0.7以上1.8以下がより好ましい。
P値の好ましい下限(0.5)は、アモルファスシリコン層の表面酸化による拡散抑制が可能な「O/Si」から設定したものである。一方、P値の好ましい上限(2.0)は、SiO2形成時における「O/Si」の最大値がほぼ2.0であると考え、設定したものである。
P値は、酸素含有層の形成工程(後述する。)において、例えばプラズマ照射時間を概ね1秒間から60分間の範囲内に制御することによって調節することができる。また、P値は、酸素含有層の深さ方向の元素(OおよびSi)をXPS法(X−Ray Spectroscopy、X線光電子分光法)によって分析することによって算出される。
酸素含有層の厚さは、1.3nm以上3.3nm以下の範囲内であることが好ましい。酸素含有層の厚さが1.3nm未満であると、Cu合金層中のCu原子が半導体層に拡散することを抑制できない。一方、酸素含有層の厚さが3.3nmを超えるとCu合金層と半導体層の間の接触抵抗率が高くなりすぎ、電力損失が生じるため表示装置における表示画質が低下する。酸素含有層の厚さはより好ましくは、1.5nm以上3.0nm以下である。
酸素含有層の厚さは、種々の物理分析手法によって求めることができる。例えば、前述したXPS法の他、RBS法(ラザフォード後方散乱分光法)、SIMS(二次イオン質量分析)法、GD−OES(高周波グロー放電発光分光分析)法、分光エリプソメトリーなどを利用することができる。
酸素含有層は、例えば、半導体層の上部に酸化処理を行うことによって形成される。これらの処理方法は特に限定されず、例えば、(i)プラズマを用いる方法、(ii)加熱による方法などの方法を採用することができる。
上記(i)のようにプラズマを用いる場合、例えば、酸素ガスを用いて酸素含有層を形成すればよい。プラズマ処理に用いられる酸素ガスは、Arなどの不活性ガスで希釈してもよい。酸素含有プラズマ源から酸素を供給する場合、酸素イオンを用いたイオン注入法を利用することもできる。
また、上記(ii)のように加熱を行う場合、酸素ガス雰囲気中でSi半導体層を加熱すればよく、これにより、酸素含有層が得られる。加熱処理に用いられる酸素ガスは、Arなどの不活性ガスで希釈してもよい。
上記方法のほか、例えば、ソース−ドレイン電極の形成過程で、Si半導体層の表面に存在する酸素原子がCu系薄膜などに拡散し、酸素含有層を形成することもあり得るが、このような自然拡散法を利用することもできる。
以下、上記(i)〜(ii)について、詳細に説明する。
(i)プラズマ酸化法
プラズマ酸化法は、プラズマを利用するものであり、具体的には例えば酸素ガス雰囲気中で高周波プラズマを印加し、これにより発生した酸素ラジカルやオゾンを試料と反応させることで酸化を行うものである。酸素含有ガスとしては、O2、H2O、N2Oなどのガスが挙げられる。これらは、単独で、もしくは二種以上の混合ガスとして使用される。具体的には、酸素を含有するプラズマ源の近傍にTFTの半導体層を設置することが好ましい。ここで、プラズマ源と半導体層との距離は、プラズマの種類や、プラズマ発生条件[パワー(投入電力)、圧力、温度、照射時間、ガス組成など]などに応じて適宜適切な範囲に設定すればよいが、おおむね、数十cmの範囲であることが好ましい。このようなプラズマ近傍には、高エネルギーの酸素原子が存在しており、これにより、半導体層表面に所望の酸素含有層を容易に形成することができる。
酸素含有プラズマ源などから酸素を供給する場合、イオン注入法を利用することもできる。イオン注入法によれば、電界によって加速されたイオンは、長距離を移動できるため、プラズマ源と半導体層との距離を任意に設定することが可能である。イオン注入法は、プラズマ近傍に設置された半導体層に負の高電圧パルスを印加することにより、半導体層の表面全体にイオンを注入することが好ましい。あるいは、専用のイオン注入装置を用いてイオン注入を行ってもよい。
また、処理温度は300℃以上であることが好ましい。処理温度が300℃未満の場合、酸化反応の進行が遅く、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要し、より良好なTFT特性を得ることが難しくなる。ただし、温度が高くなり過ぎると、処理対象である半導体層の変質や半導体層への損傷を招くため、おおむね、360℃以下であることが好ましい。
また、圧力に関しては、55Pa以上の圧力で行うことが好ましい。圧力が55Pa未満の場合、酸化反応の進行が遅く、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要する。圧力を高くすれば酸化反応の進行が短時間で進み、半導体層へのダメージが少なく、良好なバリア性を示す酸素含有層を形成することができ、低接触抵抗率を実現できる。上記の観点からすれば、圧力は高いほど良く、例えば、60Pa以上であることがより好ましく、66Pa以上であることが更に好ましい。なお、圧力の上限は、使用する装置の性能などに依存するために一義的に決定し難いが、プラズマを安定して供給するという観点からすれば、おおむね、400Pa以下であることが好ましく、266Pa以下であることがより好ましい。
プラズマ照射時間は、60分以下とすることが好ましい。プラズマ照射時間が60分超の場合、アモルファスシリコン層の表面に形成された酸素含有層による電圧降下が無視できなくなり、TFT特性が低下する。プラズマ照射時間は、30分以下であることがより好ましく、10分以下であることが一層好ましい。プラズマ照射時間の下限に関しては、アモルファスシリコン層の表面に一層程度の酸素含有層が形成されていれば本発明の効果は充分発揮されると考えられることを勘案すれば、少なくとも、アモルファスシリコン層の表面に酸素含有層が一層程度(SiOxの1原子層程度)形成される時間以上とすれば良い。プラズマ照射時間は、1秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがより好ましい。
また、投入電力は、50W以上とすることが好ましい。投入電力が50W未満の場合、酸化反応の進行が遅く、適切な[O]/[Si]比の酸素含有層を形成しにくく、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要するなど、TFT特性が低下する。上記の観点からすれば、投入電力は高いほど良く、例えば、60W以上であることがより好ましく、75W以上であることが更に好ましい。
ガス組成は、前述した酸素含有ガス(O2、H2O、N2Oなど)のみであっても良いが、酸素含有ガスをArなどの不活性ガスで希釈してもよい。
(ii)熱酸化法
熱酸化法は、酸化皮膜のつきまわりが良いなどの理由によって汎用されている。具体的には、例えば、酸素ガス雰囲気下で、400℃以下の温度で加熱することが好ましい。加熱温度が高いと、半導体層への損傷が大きくなり、一方、加熱温度が低い場合、所望の酸素含有層を十分形成できない恐れがある。加熱温度は、200℃以上380℃以下に制御することがより好ましく、250℃以上350℃以下に制御することがさらに好ましい。上記の加熱処理は、前述したプラズマ酸化法と併用してもよく、これにより、酸素含有層の形成を更に促進することができる。
このように、酸素含有層は、好ましくは、前述した(i)〜(ii)の方法によって形成されるが、更に、製造工程の簡略化や処理時間の短縮などの観点から、酸素含有層の形成に用いる装置やチャンバー、温度やガス組成を、以下のように制御して行うことが好ましい。
まず、装置は、製造工程の簡略化のため、半導体層形成装置と同じ装置で行うことが好ましい。これにより、装置間もしくは装置内で、処理対象のワークが余分に移動する必要がなくなる。
また、温度に関しては、半導体層の成膜温度と実質的に同じ温度で行うことが好ましく、これにより、温度変動に必要な調節時間を省略することができる。
あるいは、ガス組成は、前述した酸素含有ガスを、Arなどの不活性ガスで希釈して用いてもよい。
このようにしてTFTの半導体層上に酸素含有層を形成した後、例えば、スパッタリング法によってCu合金層を形成すると、所望のソース−ドレイン電極が得られる。
本発明の薄膜トランジスタ基板は、TFTの半導体層とCu合金層との間に、TFTの半導体層を覆うように上記の酸素含有層を設けたところに特徴がある。従って、例えば、半導体層の種類は特に限定されず、TFT特性に悪影響を及ぼさない限り、ソース−ドレイン電極に通常使用されるものを用いることができるが、好ましくは水素化アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、および多結晶シリコンのいずれか一種または二種以上を組み合わせたものである
次に、本発明を特徴付けるCu合金層について以下に説明する。
本発明におけるCu合金層は、(ア)合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で2原子%以上20原子%以下含有する一層構造であっても良いし、(イ)薄膜トランジスタの半導体層側から順に、合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含有するCu合金下地層(第一層)と、純CuまたはCuを主成分とするCu合金であって前記第一層よりも電気抵抗率の低いCu合金からなる層(第二層)、とを含む積層構造であっても良い。Cu合金層が前記積層構造である場合、Cu合金下地層(第一層)におけるX含有量は合計で2原子%以上20原子%以下であることが好ましい。
一層構造について
一層構造のCu合金層は合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含有するCu−X合金層である。このようなCu−X合金層とすることによって、バリアメタル層を介在させなくても半導体層との密着性が向上できるとともに、半導体層との低接触抵抗率を達成することができる。これらのX元素は、Cu金属には固溶するがCu酸化膜には固溶しない元素として選択したものである。これらの元素が固溶しているCu合金が成膜過程の熱処理によって酸化されると、上記元素は拡散して粒界や界面に濃化し、該濃化層によって半導体層との密着性が向上すると考えられる。またこれら元素は、Cuを用いた場合の有用性(Cu自体の低電気抵抗、および低接触抵抗率)は何ら阻害することなく上記密着性を発揮できる。
上述したX元素のうち好ましいのはMn、Niであり、より好ましいのはMnである。特にMnは密着性に優れている。Mnは上述した界面での濃化現象が非常に強く発現される元素であり、Cu合金成膜時または成膜後の熱処理(例えば、SiN膜の絶縁膜を成膜する工程といった表示装置の製造過程における熱履歴を含む)によって膜の内側から外側に向かって移動する。界面へのMnの移動は、熱処理による酸化によって生成するMn酸化物が駆動力になって、更に一層促進される。その結果、半導体層との密着性が向上する。
一層構造のCu合金層におけるX含有量は2原子%以上20原子%以下である。X元素として上記した元素を単独で用いる場合は単独の量が上記範囲を満たしていれば良く、2種以上を含有する場合は合計量が上記範囲を満足すれば良い。X含有量が2原子%未満であると、半導体層との高い密着性と低接触抵抗率が十分実現できない。一方、X含有量が20原子%を超えるとCu合金層全体の電気抵抗が高くなる結果、半導体層との接触抵抗率が高くなる。X含有量の好ましい範囲は4〜18原子%、より好ましい範囲は6〜15原子%である。
一層構造におけるCu合金層の膜厚は100〜500nmであることが好ましい。膜厚が100nm未満であるとCu配線の電気抵抗が高くなり、一方、500nmを超えると半導体層との密着性が確保できず、膜剥がれが起こりやすくなる。一層構造におけるCu合金層の膜厚はより好ましくは200〜400nmである。
積層構造について
積層構造におけるCu合金下地層(第一層)の合金元素は、上記した一層構造と同じであり、合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含有するCu−X合金層である。上述したX元素のうち好ましいのはMn、Niであり、より好ましいのはMnである。Cu合金下地層(第一層)におけるX含有量は、一層構造の場合と同様とすることが好ましく、すなわち2原子%以上20原子%以下とすることが好ましい。前記範囲とすることが好ましい理由は、一層構造の場合と同様である。
積層構造におけるCu−X合金層(第一層)の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm未満であると、半導体層との密着性が確保できない。一方、膜厚が100nmを超えるとCu合金層全体(第一層+第二層)の電気抵抗が高くなり、配線からの発熱の問題が深刻となる。Cu−X合金層(第一層)の好ましい膜厚は15〜60nmである。
積層構造における第二層は第一層の上(直上)に形成されており、純Cu、またはCuを主成分とするCu合金であって上記第一層よりも電気抵抗率の低いCu合金で構成されている。このような第二層を設けることにより、Cu合金層全体の電気抵抗率を低く抑えることができる。ここで、第一層よりも電気抵抗率の低いCu合金とは、X元素を含むCu−X合金で構成されている第一層に比べて電気抵抗率が低くなるように合金元素の種類および/または含有量を適切に制御すれば良い。電気抵抗率が低い元素(おおむね、純Cu合金並みに低い元素)は、文献に記載の数値などを参照し、公知の元素から容易に選択することができる。ただし、電気抵抗率が高い元素であっても含有量を少なくすれば(おおむね、0.05〜1原子%程度)電気抵抗率を低減できるため、第二層に適用可能な合金元素は、必ずしも電気抵抗率が低い元素に限定されない。具体的には、例えばCu−0.5原子%Ni、Cu−0.5原子%Zn、Cu−0.3原子%Mnなどが好ましく用いられる。また、第二層に適用可能な合金としては、酸素ガスや窒素ガスなどのガス成分を含むものであってもよく、例えばCu−OやCu−Nなどを用いることができる。
積層構造におけるCu合金層全体の厚さ(第一層+第二層)は必要とされるTFT特性などに応じて適宜設定できるが、概ね200nm以上500nm以下であることが好ましく、より好ましくは200〜400nmである。
本発明に用いられるCu合金層は、一層構造および積層構造のいずれの場合であっても、上述した元素を除く残部はCuおよび不可避不純物である。
本発明のCu合金層は、スパッタリング法によって形成することが好ましい。特に積層構造とする場合、上記の第一層を構成する材料をスパッタリング法によって成膜した後、その上に上記第二層を構成する材料をスパッタリング法によって成膜することによって積層構造とすればよい。このようにしてCu合金積層膜を形成した後、所定のパターニングを行ってから断面形状をカバレッジの観点から好ましくはテーパー角度45〜60°程度のテーパー状に加工することが好ましい。
スパッタリング法を用いれば、スパッタリングターゲットとほぼ同じ組成のCu合金層を成膜できる。そこでスパッタリングターゲットの組成を調整することにより、Cu合金層の組成を調整できる。スパッタリングターゲットの組成は、Cu合金ターゲットを用いて調整しても良いし、あるいは純Cuターゲットに合金元素の金属をチップオンすることによって調整しても良い。
なおスパッタリング法では、成膜したCu合金層の組成とスパッタリングターゲットの組成との間でわずかにズレが生じることがある。しかしそのズレは概ね数原子%以内である。そこでスパッタリングターゲットの組成を最大でも±10原子%の範囲内で制御すれば、所望の組成のCu合金層を成膜できる。
本発明に用いられる基板は特に限定されないが、例えば、無アルカリガラス、高歪点ガラス、ソーダライムガラスなどが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されず、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
本実施例ではCu合金層(積層構造)と半導体層との接触抵抗率、および密着性を検討する。
(1)半導体層との接触抵抗率の測定
Cu合金層と半導体層との接触抵抗率を調べるため、TLM(Transfer Length Method)素子を作製し、図2、3に示すTLM法に従って接触抵抗率を測定した。まず、TLM素子の作製方法を説明する。
まず、ガラス基板上に、プラズマCVD法により、膜厚約200nmの不純物(P)をドーピングした低抵抗のアモルファスシリコン膜を膜厚約200nmで成膜した。続いて、同一のプラズマCVD装置内にて、酸素ガスのみを供給してプラズマを発生させ、低抵抗アモルファスシリコン膜の表面を酸素プラズマにて30秒間処理し、酸素含有層を形成した。酸素プラズマ装置としては、ヤマト科学社製のアッシング装置(型番:PR41)を用い、投入電力は450W、成膜温度は室温、ガス圧力は67Paとした。
次いで、スパッタリング法によりCu合金層(単層構造、積層構造)を成膜した。より詳細には、単層構造の成膜は、表1に示す組成の純CuまたはCu合金を300nm成膜し、積層構造の成膜は、表2〜4に示す条件で下地層を蒸着し、その上に純Cu膜を成膜した(Cu合金層全体の膜厚:約300nm)。スパッタリングの温度は室温とした。フォトリソグラフィによりレジストをパターニングした後、レジストをマスクとしてCu系合金膜をエッチングすることにより複数の電極を形成した。ここでは、各電極間の距離を種々変化させた。最後に、実際の薄膜トランジスタの製造工程を模擬するため、270℃で30分の熱処理を施した。
次に、図2および図3を参照しながら、TLM法によるコンタクト抵抗の測定原理を説明する。図2(a)は、前述した要領に従って作製したTLM素子の配線構造を模式的に示す断面図であり、図2(b)は該TLM素子の上面図である。
まず、前述した図2(a)の配線構造において、複数の電極間における電流電圧特性を測定し、各電極間の抵抗値を求めた。こうして得られた各電極間の抵抗値を縦軸とし、電極間距離(トランスファー長、L)を横軸としてプロットし、図3のグラフを得た。図3のグラフにおいて、y切片の値は、コンタクト抵抗Rcの2倍の値(2Rc)に、x切片の値は、実効的なコンタクト長(LT:transfer length、トランスファー長)に、それぞれ相当する。以上から、コンタクト抵抗率ρcは下式にて表される。
ρc=Rc*LT*Z
上式中、Zは、図2(b)に示すように電極幅を示す。
(2)密着性の測定
密着性評価試験用の試料を、以下の要領にしたがって作製した。まず、ガラス基板上にプラズマCVD法によって、膜厚100nmのSiN膜、および膜厚200nmの、不純物(P)をドーピングした低抵抗のアモルファスシリコン膜(n−a−Si:H層)を成膜した。この低抵抗アモルファスシリコン膜(n−a−Si:H層)は、SiH4、PH3を原料としたプラズマCVDを行うことによって形成した。プラズマCVDの成膜温度は320℃とした。
続いて、同一のプラズマCVD装置の同一チャンバー内にて、酸素ガスのみを供給してプラズマを発生させ、上記の低抵抗アモルファスシリコン膜の表面を酸素プラズマにて30秒間処理し、酸素含有層を形成した。酸素プラズマの条件は、上記の接触抵抗率測定の場合と同様とした。
次いで、スパッタリング法によってCu−X合金膜を表1(単層構造)、表2〜4(積層構造)に示す種々の条件(X含有量、膜厚)で成膜した。積層構造については、表2〜4に示す第一層の上にさらに純Cu膜を成膜した。Cu合金層全体の膜厚は、単層構造の場合は約300nmであり、積層構造の場合は約300nmであり、スパッタリングの温度は室温とした。次に、フォトリソグラフィによりレジストをパターニングして、レジストをマスクとして上記のCu合金膜をエッチングすることにより、密着性試験用のパターンを形成した。その後、窒素雰囲気下、270℃で30分間の熱処理を行った。
密着性評価は、テープによる剥離試験で評価した。詳細には、Cu合金膜の表面にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切込みを入れた。次いで、住友3M社製黒色ポリエステルテープ(製品番号8422B)を上記Cu合金膜上にしっかり貼り付け、上記テープの引き剥がし角度が60°になるように保持しつつ、上記テープを一挙に剥がして、上記テープにより剥離した碁盤目の区画数をカウントし、全区画との比率(膜剥離率)を求めた。測定は3回行い、3回の平均値を各試料の膜剥離率とした。
接触抵抗率と密着性の測定結果から、接触抵抗率が2Ω・cm2未満、かつ、膜剥離率が10%未満のものを合格とし、それ以外を不合格とした。これらの結果を表1〜3に示す。
表1、表2からは、合金元素Xの含有量と、半導体層との接触抵抗率および密着性の関係をみることができる。表1のNo.1は合金元素を含有しない純Cuの従来例であり、接触抵抗率が高く、密着性も低下した。これに対して、表1のNo.2〜5は、Mn量が適切に制御されているため、所望とする低接触抵抗率と高い密着性とが実現できた。表2のNo.1は合金元素を含有しない純Cuの従来例であり、接触抵抗率が高く、密着性も低下した。表2のNo.2は合金元素Xの含有量が少ない例であり、純CuのNo.1に比べて接触抵抗率および密着性が改善された。これに対して、表2のNo.3〜9は、Mnが適切に含有されているため、所望とする低接触抵抗率と高い密着性とが実現できた。
表3からは、第一層の好ましい膜厚と、接触抵抗率および密着性の関係をみることができる。表3のNo.1は、第一層の膜厚が薄いため、密着性が低下した。一方、表3のNo.2〜6は、第一層の膜厚が好ましい範囲に制御されているため、低接触抵抗率と高い密着性とが実現できた。
表4では、第一層の合金元素として、Ni、Mg、Znを用いているが、いずれの元素を用いた場合も、高い密着性と低接触抵抗率が実現できた。
実施例2
本実施例では、半導体層表面に形成された酸素含有層が、Cu合金層のCu原子が半導体層に拡散するのを防止する効果について検討する。
まず、ガラス基板上にプラズマCVD法によって、膜厚100nmのSiN膜を成膜し、その上に膜厚200nmの、不純物(P)をドーピングした低抵抗のアモルファスシリコン膜(n−a−Si:H層)を成膜した。プラズマCVDの成膜温度は320℃とした。
続いて、同一のプラズマCVD装置の同一チャンバー内にて、酸素ガスのみを供給してプラズマを発生させ、上記の低抵抗アモルファスシリコン膜の表面を酸素プラズマにて10分間処理し、酸素含有層を形成した。酸素プラズマ装置としては、ヤマト科学社製のアッシング装置(型番:PR41)を用い、周波数は13.56Hz、投入電力は450W、成膜温度は室温、ガス圧力は67Paとした。
次いで、スパッタリング法によって第一層:Cu−4原子%Mn(膜厚:20nm)、第二層:純Cu(膜厚:280nm)のCu合金層を成膜した。その後、270℃で30分間熱処理を施した。
上記の要領で作製した試料について、Cu合金層成膜直後および熱処理後における、深さ方向での元素分析をGD−OES分析により行った。GD−OES分析は、成膜完了後の試料の膜表面(上層)から、高周波スパッタによって膜を削りながら膜を分析する手法である。GD−OESの分析条件は以下の通りである。
ガス圧力300Pa、電力20W、周波数500Hz、
デューティー比0.125
また、酸素プラズマ処理を行わず、Cu合金層として第一層:Cu−10原子%Mn(膜厚:20nm)、第二層:純Cu(膜厚:280nm)としたこと以外は上記試料と同様にして、比較用の試料を作製した。
これらの結果を図4(a)、(b)に示す。図4(a)は、酸素プラズマ処理を行わなかった場合の元素分析結果を示すグラフであり、図4(b)は酸素プラズマ処理を行った場合の元素分析結果を示すグラフである。図中、点線は熱処理を行う前の状態を示しており、実線は熱処理後の状態を示している。
図4(a)から、酸素プラズマ処理を行わなかった場合には、熱処理後にCu合金層中のSi濃度が増加していることから、熱処理によってCuとSiの相互拡散が生じていることがわかる。一方、図4(b)では熱処理前後で濃度プロファイルにほとんど変化が見られず、CuとSiの相互拡散が抑制されていることが分かる。
実施例3
本実施例では、酸素含有層における[O]/[Si]比および酸素含有層の膜厚が、接触抵抗率および密着性に与える影響を検討する。
(1)酸素含有層におけるOとSiの結合状態の測定
試料の作製は、Cu合金層を、第一層:Cu−4原子%Mn(膜厚:20nm)、第二層:純Cu(膜厚:280nm)としたこと以外は、実施例1の密着性評価試験と同様にした。なお、酸素プラズマ処理における酸素ガス流量は30sccmであった。
該試料をXPS分析し、酸素含有層におけるSiとOとの結合状態を測定した。結果を図5に示す。図5によれば、99.3eVの位置にSi−Si結合に由来するピークが検出され、103.5eVの位置にSi−O結合に由来するピークが検出されていることがわかる。これらのピーク強度の比から、酸素含有層における[O]/[Si]比が0.88であることがわかった。該試料について、実施例1の接触抵抗率測定と同様にして接触抵抗率を測定したところ、接触抵抗率は0.2Ω・cm2であった。すなわち、酸素含有層の[O]/[Si]比が0.88と、本発明の好ましい要件を満足する場合には、低接触抵抗率が実現できることが確認できた。
(2)酸素含有層の[O]/[Si]比および酸素含有層の膜厚が、接触抵抗率および密着性に与える影響の検討
試料の作製は、Cu合金層を、第一層:Cu−10原子%Mn(膜厚20nm)、第二層:純Cu(膜厚:280nm)とし、表5に示す条件で酸化処理を行ったこと以外は、実施例1の密着性評価試験と同様にした。UV酸化処理の条件は、GSYUASA社製UV照射装置を使用し(型番:DUV−800−6)、ランプ電圧:300V、UV照射時間:1分間であり、プラズマ酸化処理の条件は、周波数:13.56Hz、電力:450W、処理温度:室温、ガス雰囲気:酸素、ガス圧力:67Pa、処理時間:30分である。表5に示す各試料について、実施例1と同様にして接触抵抗率を測定するとともに、実施例2と同様にして熱処理後のCu、Siの濃度プロファイルをGD−OES分析によって測定した。Cu、Siの濃度プロファイルから、CuとSiの相互拡散が抑制されているものを○、拡散が発生しているものを×とした。
結果を表5に示す。
表5のNo.2〜4は、[O]/[Si]比および酸素含有層の膜厚が適切に制御されているため、CuとSiの相互拡散が抑制され、低接触抵抗率と高密着性が実現できた。一方、表5のNo.1は、UV酸化時間が短く、またUVはプラズマと比べて酸化の効果が小さいため[O]/[Si]比が小さく、酸素含有層の膜厚が小さくなって相互拡散が発生して、密着性が低下した。また表5のNo.5は酸素含有層の厚さが好ましい範囲を超えていたため、密着性は良好であったものの接触抵抗率が高くなった。
26 ゲート電極
27 ゲート絶縁膜(Si窒化膜)
28 ソース電極
29 ドレイン電極
28a、29a 酸素含有層
28b、29b Cu合金層
33 アモルファスシリコンチャネル層(活性半導体層)
52 バリアメタル層

Claims (6)

  1. 薄膜トランジスタの半導体層と、Cu合金層とを有する薄膜トランジスタ基板において、
    前記半導体層と前記Cu合金層との間に、酸素含有層を含んでおり、
    前記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層のSiと結合しており、
    前記酸素含有層を構成する酸素の原子数[O]と、Siの原子数[Si]との比([O]/[Si])が0.5以上2.0以下であるとともに、
    前記酸素含有層の膜厚が、1.3nm以上3.3nm以下であり、
    前記Cu合金層は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層側から順に、合金元素としてX(Xは、Mn、Ni、Zn、およびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含有するCu合金下地層(第一層)と、純CuまたはCuを主成分とするCu合金であって前記第一層よりも電気抵抗率の低いCu合金からなる層(第二層)、とを含む積層構造であり、
    前記Cu合金層は、前記酸素含有層を介して前記薄膜トランジスタの前記半導体層と接続していることを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 前記半導体層と前記Cu合金層との接触抵抗率が2Ω・cm 2 未満である請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記Cu合金下地層(第一層)におけるX含有量が合計で2原子%以上20原子%以下である請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記Cu合金下地層(第一層)の厚みが10nm以上100nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 前記薄膜トランジスタの前記半導体層は、水素化アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、および多結晶シリコンのいずれか一種または二種以上を組み合わせたものである請求項1〜のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板を備えた表示デバイス。
JP2010035023A 2010-02-19 2010-02-19 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス Expired - Fee Related JP5580619B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010035023A JP5580619B2 (ja) 2010-02-19 2010-02-19 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス
TW100103652A TWI469357B (zh) 2010-02-19 2011-01-31 Thin film transistor substrate and display device
CN201110036949.3A CN102169905B (zh) 2010-02-19 2011-02-10 薄膜晶体管基板及显示器件
KR1020110014477A KR101251227B1 (ko) 2010-02-19 2011-02-18 박막 트랜지스터 기판 및 표시 디바이스

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010035023A JP5580619B2 (ja) 2010-02-19 2010-02-19 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011171581A JP2011171581A (ja) 2011-09-01
JP5580619B2 true JP5580619B2 (ja) 2014-08-27

Family

ID=44490986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010035023A Expired - Fee Related JP5580619B2 (ja) 2010-02-19 2010-02-19 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP5580619B2 (ja)
KR (1) KR101251227B1 (ja)
CN (1) CN102169905B (ja)
TW (1) TWI469357B (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101323151B1 (ko) * 2011-09-09 2013-10-30 가부시키가이샤 에스에이치 카퍼프로덕츠 구리-망간합금 스퍼터링 타겟재, 그것을 사용한 박막 트랜지스터 배선 및 박막 트랜지스터
JP2013118367A (ja) * 2011-11-02 2013-06-13 Hitachi Cable Ltd 薄膜トランジスタ及びその製造方法、並びに薄膜トランジスタを備えた表示装置、スパッタリングターゲット材
JP5912046B2 (ja) * 2012-01-26 2016-04-27 株式会社Shカッパープロダクツ 薄膜トランジスタ、その製造方法および該薄膜トランジスタを用いた表示装置
KR20130139438A (ko) * 2012-06-05 2013-12-23 삼성디스플레이 주식회사 박막 트랜지스터 기판
JP6250614B2 (ja) * 2015-02-19 2017-12-20 株式会社神戸製鋼所 Cu積層膜、およびCu合金スパッタリングターゲット
WO2024150098A1 (ja) * 2023-01-13 2024-07-18 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置、及びその作製方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07326756A (ja) * 1994-05-30 1995-12-12 Kyocera Corp 薄膜トランジスタおよびその製造方法
KR100866976B1 (ko) * 2002-09-03 2008-11-05 엘지디스플레이 주식회사 액정표시장치용 어레이기판과 제조방법
KR100904524B1 (ko) * 2002-12-31 2009-06-25 엘지디스플레이 주식회사 액정표시장치용 어레이기판 제조방법
JP2005166757A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Advanced Lcd Technologies Development Center Co Ltd 配線構造体、配線構造体の形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの形成方法、及び表示装置
TW200739912A (en) * 2006-04-06 2007-10-16 Chunghwa Picture Tubes Ltd Thin film transistor having copper line and fabricating method thereof
JP4746021B2 (ja) * 2006-10-13 2011-08-10 株式会社神戸製鋼所 薄膜トランジスタ基板の製造方法、および表示デバイス
KR101043508B1 (ko) * 2006-10-13 2011-06-23 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 박막 트랜지스터 기판 및 표시 디바이스
JP5121299B2 (ja) * 2007-05-09 2013-01-16 アルティアム サービシズ リミテッド エルエルシー 液晶表示装置
JP2009004518A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Kobe Steel Ltd 薄膜トランジスタ基板、および表示デバイス
JP5315701B2 (ja) * 2008-01-18 2013-10-16 三菱マテリアル株式会社 薄膜トランジスター

Also Published As

Publication number Publication date
TW201131785A (en) 2011-09-16
JP2011171581A (ja) 2011-09-01
CN102169905B (zh) 2014-07-30
KR20110095825A (ko) 2011-08-25
CN102169905A (zh) 2011-08-31
TWI469357B (zh) 2015-01-11
KR101251227B1 (ko) 2013-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI425640B (zh) 薄膜電晶體基板,及顯示元件
JP5584436B2 (ja) 薄膜トランジスタ基板の製造方法
JP5475260B2 (ja) 配線構造、薄膜トランジスタ基板およびその製造方法、並びに表示装置
KR101043508B1 (ko) 박막 트랜지스터 기판 및 표시 디바이스
JP5580619B2 (ja) 薄膜トランジスタ基板および表示デバイス
WO2012043806A1 (ja) 配線構造および表示装置
TWI504765B (zh) Cu alloy film, and a display device or an electronic device provided therewith
JP2011091364A (ja) 配線構造およびその製造方法、並びに配線構造を備えた表示装置
JP2011049543A (ja) 配線構造およびその製造方法、並びに配線構造を備えた表示装置
JP5685125B2 (ja) 配線構造、表示装置、および半導体装置
WO2012153364A1 (ja) 表示用薄膜半導体装置及び表示用薄膜半導体装置の製造方法
WO2011125802A1 (ja) 配線構造、表示装置、および半導体装置
JP2008010801A (ja) ソース−ドレイン電極、薄膜トランジスタ基板およびその製造方法、並びに表示デバイス
JP5888501B2 (ja) 薄膜配線形成方法
JP2012109465A (ja) 表示装置用金属配線膜
JP2009016862A (ja) ソース−ドレイン電極、薄膜トランジスタ基板およびその製造方法、並びに表示デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140708

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5580619

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees