JP5579032B2 - バイオマスガス化システム及びバイオマスガス化ガスの精製方法 - Google Patents
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さらに、例えば活性炭やバイオマスやバイオマスチャー等の吸着剤を用いて、タール成分や硫化水素(H2S)を吸着した後の使用済の吸着剤を、ガス化炉に再投入することで吸着剤を再生、再利用することが考えられるが、タール成分の場合に関しては有効であるが、硫化水素に対しては以下の課題がある。
1) 吸着剤に吸着された硫黄分はガス化炉で再びガス化される。これによりガス化炉内で硫黄分が濃縮され、ガス化ガス中の硫化水素濃度が増加する、という問題がある。
2) 硫黄分は湿式ガス洗浄(スクラバ)においても除去されないため、結局はバイオマスチャーと、ガス化ガスとして系外へ排出される、という問題がある。
図1に示すように、バイオマスガス化システム10Aは、バイオマス乾燥機24で乾燥した後、バイオマス供給装置12により供給されたバイオマス11をガス化するバイオマスガス化炉13と、該バイオマスガス化炉13で生成されたガス化ガスである生成ガス14中に含まれるバイオマスチャー(以下、「チャー」という)30を除去する第1の除塵手段15と、該チャー30が除去された生成ガス14を冷却する生成ガス冷却器16と、冷却後の生成ガス14中の粉塵を除塵する第2の除塵手段17と、第2の除塵手段17で除塵された生成ガス14中のタール成分及び硫黄化合物の多成分を同時に除去するチャー30を付着したチャー付着バイオマス粒子31を充填した吸着塔18と、該吸着塔18で使用済のチャー付着バイオマス粒子を用いて熱風43を発生させ、前記バイオマス乾燥機24に供給するバイオマス焚熱風炉41と、該バイオマス焚熱風炉41で発生した熱風43中の粉塵及び酸性ガスを除去する除塵・酸性ガス除去装置42と、を具備する。なお、本実施例では、冷却器16の前後に第1の除塵手段15及び第2の除塵手段17を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、チャー及び粉塵量や、除塵装置の集塵性能によっては、いずれかの除塵手段を設ける必要はない。
このバイオマス原料21を熱分解して生成ガスを得る際に、その熱分解によって生じる生成ガス中に含まれる有機物をタール成分といい、主成分は芳香族成分である。
なお、チャーを付着させるにはバイオマス・チャー混合器33に限定されるものではなく、チャーを搬送する途中でバイオマス粒子を添加して、チャー付着バイオマス粒子31を得るようにしてもよい。
いずれにしても、バイオマス粒子である粉砕物21Aがチャー30の担体として機能して、チャー同士が圧密されることを防止している。
このように、チャー30を付着したチャー付着バイオマス粒子31を用い、吸着塔18内に充填することで、圧力損失を低減したバイオマスチャーの充填層を形成できる。この充填層により生成ガス14中のタール成分及び硫黄化合物の多成分を同時に除去することが可能となる。
図4に示すように、バイオマスチャーのみでは、圧力損失が高い(バイオマス原料の180倍)ものであったが、チャー付着バイオマス粒子とすることで、圧力損失は小さい(バイオマス原料のみの3.5倍)ものとすることができる。
チャー30を付着したバイオマス粒子31を充填した充填塔(試験例)と単なるバイオマス粒子のみを充填した充填塔(比較例)とを用いて、吸着塔18の入口と出口とのガス中のH2S成分とタール成分の濃度を計測した。
その計測の結果を表1に示す。ここで、流速は300L/h、ガス温度は43℃で試験した。
これに対し、比較例の吸着塔は、H2S成分の場合では、その濃度が30ppmであったものが、30ppmと全く減少できなかった。また、タール成分の場合では、その濃度が300mg/Nm3であったものが、180mg/Nm3までしか減少できなかった。
バイオマス粉砕物21Aは、ガス化炉13の投入用に数ミリに粉砕されたものの一部を用いている。
除塵・酸性ガス除去装置42は例えばサイクロンやバグフィルタ等を用い、例えば亜鉛華(ZnO)、消石灰、酸化鉄等の酸性ガス除去助剤を添加して乾式で除去するようにしている。
バイオマス乾燥用の熱風炉として、バイオマス粉砕物21Aを燃料としたバイオマス焚熱風炉41を用い、この熱風炉41の燃料として、吸着後の使用済チャー付着バイオマス粒子31Aを燃焼させるようにしている。
燃焼廃ガスの熱風43中には、硫黄分を吸着したことに由来するSOxが含まれるが、消石灰、亜鉛華(ZnO)、酸化鉄などの吸着剤を吹き込んだバグフィルタなどにより脱硫処理し、S分を固定することができる。
この際、吸着した硫黄分は除塵・酸性ガス除去装置42より除去できるため、タール、硫黄分を吸着した吸着剤の処理、有効利用を図る上で、バイオマスガス化システムへの再循環、蓄積の回避が可能となると共に、システムにおける熱源利用の両立が図られる。
図2に示すように、バイオマスガス化システム10Bは、図1に示すバイオマスガス化システム10Aにおいて、吸着塔18の後流側に、生成ガス14に残存する軽質ハイドロカーボンを吸着・除去するタール除去塔19を設けている。
ここで、タール除去塔19でタール成分を吸着・除去する充填剤としては、例えば活性炭、活性炭素繊維、バイオマスチャー30又はチャー付着バイオマス粒子31等を用いるようにしている。
なお、再生により脱離した軽質ハイドロカーボンガスは、バイオマスガス化炉13又はバイオマス乾燥用の熱風炉(図示せず)に再投入して、熱源として再利用することができる。
なお、生成ガス14中の軽質ハイドロカーボンはその濃度が高く、タール除去塔19のタール吸着剤層は比較的早く破過するが、 軽質ハイドロカーボンは脱着が容易なため、脱着・再生して繰り返し利用することができる。
図5は、ガス中にベンゼン(1,000ppm)のみの場合と、ベンゼン(1,000ppm)にH2Sを添加(30ppm)した場合と、ベンゼン(1,000ppm)にH2Sを添加(30ppm)すると共に、ナフタレンを添加(80ppm)した場合の破過状態を示している。吸着剤は活性炭を用いた。
図6は、ガス中にナフタレン(80ppm)のみの場合と、ナフタレン(80ppm)にH2Sを添加(30ppm)した場合と、ナフタレン(80ppm)にH2Sを添加(30ppm)すると共に、ベンゼン(1,000ppm)を添加した場合の破過状態を示している。吸着剤は活性炭を用いた。
図5に示すように、ベンゼンの破過曲線では、約30分で破過が発生し、50分を経過すると飽和状態となった。
これに対し、図6に示すように、ナフタレンの場合では、ベンゼンが共存していても、ナフタレンの破過は200分を経過した後に発生し、飽和になるまでは480分も要した。
これに対し、前段の吸着塔18での軽質のタール成分の破過時間は短いものの、後流側にタール除去塔19を設置しているので、残存する軽質のタール成分の吸着除去が可能となる。
図3に示すように、バイオマスガス化システム10Cは、吸着塔18で使用する吸着剤を活性炭、活性炭素繊維、バイオマスチャーを用いた場合であり、使用済吸着剤50をバイオマス焚熱風炉41に送り、ここで、バイオマス粉砕物21Aと共に燃焼して熱風43を発生させている。そして、実施例1と同様に、粉塵及び酸性ガスを除去する除塵・酸性ガス除去装置42により灰・S分44を固定するようにしている。
よって、得られた精製ガス20は、ガス中のH2 とCOガスの組成を調整することで、アンモニア、メタノール(又はジメチルエーテル)等の化成品の製造用のガスとして利用することができる。
11 バイオマス
12 バイオマス供給装置
13 バイオマスガス化炉
14 生成ガス
15 第1の除塵手段
16 生成ガス冷却器
17 第2の除塵手段
18 吸着塔
19 ガス精製塔
20 精製ガス
30 バイオマスチャー(チャー)
31 チャー付着バイオマス粒子
41 バイオマス焚熱風炉
42 除塵・酸性ガス除去装置
43 熱風
Claims (4)
- バイオマス乾燥機で乾燥したバイオマスをガス化するバイオマスガス化炉と、
前記バイオマスガス化炉で生成されたガス化ガスである生成ガス中に含まれるバイオマスチャーを除去する除塵手段と、
前記生成ガスを冷却する生成ガス冷却器と、
除塵及び冷却された前記生成ガス中のタール成分及び硫黄化合物の多成分を同時に除去するバイオマスチャーを付着したチャー付着バイオマス粒子を充填した吸着塔と、
前記吸着塔で使用済のチャー付着バイオマス粒子を用いて熱風を発生させ、発生させた熱風を前記バイオマス乾燥機に供給するバイオマス焚熱風炉と、
前記バイオマス焚熱風炉で発生した熱風中の粉塵及び酸性ガスを除去する除塵・酸性ガス除去装置と、を具備することを特徴とするバイオマスガス化システム。 - 請求項1において、
バイオマスを粉砕した粉砕物と前記生成ガス中から捕集したバイオマスチャーとを混合してチャー付着バイオマス粒子とするバイオマス・チャー混合器を有し、
前記バイオマス・チャー混合器で混合したチャー付着バイオマス粒子が前記吸着塔に充填されることを特徴とするバイオマスガス化システム。 - 請求項1又は2において、
前記吸着塔の後流側に設けられ、前記生成ガス中に残存する軽質ハイドロカーボンを吸着及び除去するタール除去塔を具備することを特徴とするバイオマスガス化システム。 - バイオマスがバイオマスガス化炉でガス化されたガス化ガスである生成ガス中のバイオマスチャーを除塵し、
除塵された前記バイオマスチャーとバイオマスの粉砕物とを混合してチャー付着バイオマス粒子とし、
前記チャー付着バイオマス粒子を用いて、前記生成ガス中のタール成分及び硫黄化合物の多成分を同時に除去すると共に、吸着及び除去した使用済チャー付着バイオマス粒子をバイオマスの乾燥用の熱源としてバイオマス焚熱風炉で燃焼させた際の排ガス中に含有する酸性ガスを除去することを特徴とするバイオマスガス化ガスの精製方法。
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