人間型歩行ロボットの応用として、人間が生活する環境で人間が行う作業の代替え作業以外にも、人間用機器の評価(例えば、車の乗り込み時の人間にかかる関節負荷をロボットに同じ動作をさせて関節トルクや関節可動角の計測とその評価)やエンターテイメント分野(例えば、イベント会場のMCやファッションモデルなど)などへの応用も期待されている。特に、人間型歩行ロボットを人間用機器の評価のために活用しようとした場合には、人間に極めて近い動作を実現可能な人間型ロボットの実現が求められている。例えば靴や衣類などの履物の動きによるしわや布の動きなどの評価のために人間型歩行ロボットを活用しようとした場合には、人間による動作に類似した動作の実現が求められている。加えて、人間が着用する履物を人間型歩行ロボットが着用できるように、人間型歩行ロボットのプロポーションに関しても、人間に近いプロポーションが求められている。また、人間型歩行ロボットをエンターテイメント分野へ応用する場合においても、例えばイベント会場でのMCやファッションモデルとして人間型歩行ロボットを活用しようとした場合には、人間に極めて近い動作の実現に加え、人間に極めて近いプロポーションの実現も求められている。
また、人間型歩行ロボットの活躍の場が広がるに従い、多種多様な環境で安全に動作ならびに歩行することが求められている。人間型歩行ロボットの関節に異物が巻き込まれると、動的なバランスを失い転倒する危険性があり、関節部での異物巻き込み抑制が求められている。特に、人間型歩行ロボットが歩行している際は足と床面が接触しており、爪先関節を有する足の異物巻き込み抑制は重要な課題である。そのため、人間型歩行ロボットにおいては、例えば、毛足の長い絨毯の上の歩行時には絨毯の巻き込みを抑制するとともに、屋外歩行時には草の巻き込みを抑制するなど、爪先関節部での異物巻き込み混入抑制の実現が求められている。
特許文献2では、遊脚期に次の支持脚期に備え踵側足と爪先側足の相対姿勢がバネ力により初期姿勢に戻るように爪先部が構成されている。すなわち、爪先部が徐々に離床する期間における踵側足と爪先側足の相対姿勢は、爪先部に設けたバネ力と爪先部が床面から受ける力の平衡点で受動的に決まり、爪先部と床面が完全に離れた時に初めて初期姿勢に戻る構成になっている。そのため、爪先部と床面が完全に離れない離床期においては、爪先部の先端部は地面と接触しており、この期間に不要な蹴り力を発生させないようにするためには、爪先部の先端部が不動となるような足の軌道を生成する必要があり、特許文献2においても、やはり自由な遊脚の足の軌道を生成することが困難であった。また、爪先部の関節角を能動的に制御することが出来ないため、人間に極めて近い動作を実現することも困難であった。
非特許文献1と特許文献3では、爪先関節軸が爪先側足の部材の前後方向での中間位置を左右方向に伸びるように配置するとともに、爪先側足の部材の左辺と右辺が爪先関節軸より後方に伸びるように爪先側足の部材を構成したことにより、爪先立ち時に左右から見た足の外観が人間の足の外観とは明らかに異なる構成になっている。また、爪先関節を駆動するためのアクチュエータの回転速度を減速してトルクを増幅する商品名ハーモニックドライブの出力部に直接爪先側足が接合されており、商品名ハーモニックドライブの厚みにより爪先関節の厚みを抑えることが困難であり、人間の足に近いプロポーションの実現も困難であった。加えて、爪先立ち状態において、爪先側足の部材の左辺と右辺が爪先関節軸より後方に伸びた爪先側足の部位と踵側足の前方部位の間に異物が混入してしまう可能性があった。
また、人間の足の動作に極めて近い動作を実現可能な人間型ロボット用脚とその足として、爪先側足裏を爪先関節軸から後方に出ないように構成するとともに、爪先関節を駆動するためのアクチュエータの回転速度を減速してトルクを増幅する減速装置の出力部に直接爪先側足を接合する形態が考えられる。この形態による一例を図1から図4に示す。この図1から図4に示す事例においては、本発明の実施例と同様に減速装置として精密減速装置を用いている。本明細書においては、バックラッシュが少ない減速装置を、具体的には商品名ハーモニックドライブを用いたハーモニック減速装置や遊星歯車(不思議遊星歯車を含む)を用いた遊星歯車減速装置や商品名サイクロ減速機を用いたサイクロ減速装置や商品名RV減速機を用いたRV減速装置や商品名ローラドライブを用いたローラドライブ減速装置やサイクロイドを用いたボール減速機を「精密減速装置」と言う。
図1(a),(b),(c)および(d)は、アクチュエータの出力トルクを増幅する精密減速装置の出力軸が直接爪先関節軸となる人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図2は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図3は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図4(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第一実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図1(a)中の矢印eye-Aに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。
しかしながら、精密減速装置の出力部に直接爪先側足を接合する形態においては、精密減速装置の出力軸と爪先関節軸が同軸であるため、精密減速装置の厚みにより爪先関節の厚みを抑えることが困難であり、人間の足に近いプロポーションの実現が困難であった。また、爪先関節軸と地面との間の距離を短く構成することが困難であり、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)の面積が広くなるため、例えば毛足の長い絨毯の上の歩行時に絨毯の巻き込みや屋外歩行時の草の巻き込みなど異物を爪先関節に巻き込む可能性があった。
それゆえこの発明は、人間型歩行ロボット用の脚と足において、人間の脚や足による動作に類似した動作を実現するとともに人間の足に近いプロポーションを実現し、爪先関節部での異物の巻き込みを抑制することを目的にしている。
本発明は、上記課題を有利に解決するためになされたものであり、本発明の第一の解決手段は、足の踵側である踵側足と足の爪先側である爪先側足を備えるとともに、踵側足と爪先側足の相対姿勢を変える爪先関節を備えた人間型歩行ロボット用足において、前記踵側足にアクチュエータと精密減速装置を配置するとともに第一支軸を設けるとともに、前記爪先側足に第二支軸と第三支軸を設け、前記アクチュエータの出力要素と前記精密減速装置の入力要素を、プーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構もしくは歯車により構成される伝達機構もしくはプーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構と歯車により構成される伝達機構を組み合わせた伝達機構により駆動結合し、前記減速装置の出力要素に、能動リンクをその両端部のうち一端部を前記減速装置の出力軸である能動軸回りに能動的に回転するように結合し、前記第一支軸を介して、第一リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第二支軸を介して、第二リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第三支軸を介して、第三リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記能動リンクの両端部のうち他端部に設けた第四支軸を介して、前記第二リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第一リンクの両端部のうち他端部に設けた第五支軸を介して、前記第三リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第一リンクに第六支軸を設け、前記第六支軸を介して前記第二リンクを回転可能に軸支し、前記能動軸と前記第一支軸と前記第四支軸と前記第六支軸を4つの節とする第一平行リンク機構を備えるとともに、前記第二支軸と前記第三支軸と前記第五支軸と前記第六支軸を4つの節とする第二平行リンク機構を備え、前記第六支軸は、前記第二支軸と前記第四支軸を結ぶ線分上にくるように配置されているとともに前記第一支軸と前記第五支軸を結ぶ線分上にくるように配置し、前記第一支軸と前記第二支軸と前記第六支軸と仮想支軸を4つの節とする仮想的な平行リンク機構である仮想平行リンク機構を備え、前記踵側足が床面と接触する足裏面である踵側足裏面は、前記仮想支軸を含有するとともに前記仮想支軸を境とする半平面上に構成されるとともに、前記爪先側足が床面と接触する足裏面である爪先側足裏面は、前記仮想支軸を含有するとともに前記仮想支軸を境とする半平面上に構成され、前記仮想支軸を爪先関節軸とするとともに、前記アクチュエータを駆動することにより前記爪先関節の角度を能動的に駆動することを特徴としている。
このような本発明の第一の解決手段によれば、アクチュエータにより爪先関節を駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になる。また、厚みがかさばるアクチュエータと精密減速装置を踵側足に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現している。加えて、仮想支軸を実現するように第一平行リンク機構と第二平行リンク機構を構成すると同時に、踵側足裏面と踵側足裏面が仮想支軸を含有するとともに仮想支軸を境とする半平面上に構成されたことにより、爪先関節軸と地面までの距離はゼロとなり、爪先関節部での異物の巻き込み抑制を実現している。
本発明の第二の解決手段によれば 足の踵側である踵側足と足の爪先側である爪先側足を備えるとともに、踵側足と爪先側足の相対姿勢を変える爪先関節を備えた人間型歩行ロボット用足において、前記踵側足にアクチュエータと精密減速装置を配置するとともに第一支軸と第七支軸と第十三支軸を設け、前記爪先側足に第二支軸と第三支軸と第八支軸と第九支軸を設け、前記アクチュエータの出力要素と前記精密減速装置の入力要素を、プーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構もしくは歯車により構成される伝達機構もしくはプーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構と歯車により構成される伝達機構を組み合わせた伝達機構により駆動結合し、前記精密減速装置の出力要素に、能動リンクをその両端部のうち一端部を前記精密減速装置の出力軸である能動軸回りに能動的に回転するように結合し、前記第一支軸を介して、第一リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第二支軸を介して、第二リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第三支軸を介して、第三リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記能動リンクの両端部のうち他端部に設けた第四支軸を介して、前記第二リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第一リンクの両端部のうち他端部に設けた第五支軸を介して、前記第三リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第一リンクに第六支軸を設け、前記第六支軸を介して前記第二リンクを回転可能に軸支し、前記能動軸と前記第一支軸と前記第四支軸と前記第六支軸を4つの節とする第一平行リンク機構を備えるとともに、前記第二支軸と前記第三支軸と前記第五支軸と前記第六支軸を4つの節とする第二平行リンク機構を備え、前記第六支軸は、前記第二支軸と前記第四支軸を結ぶ線分上にくるように配置されているとともに前記第一支軸と前記第五支軸を結ぶ線分上にくるように配置し、前記第一支軸と前記第二支軸と前記第六支軸と仮想支軸を4つの節とする仮想的な平行リンク機構である第一仮想平行リンク機構を備え、前記踵側足が床面と接触する足裏面である踵側足裏面は、前記仮想支軸を含有するとともに前記仮想支軸を境とする半平面上に構成されるとともに、前記爪先側足が床面と接触する足裏面である爪先側足裏面は、前記仮想支軸を含有するとともに前記仮想支軸を境とする半平面上に構成され、前記第十三支軸を介して、第四リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第七支軸を介して、第五リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第八支軸を介して、第六リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第九支軸を介して、第七リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第四リンクの両端部のうち他端部に設けた第十支軸を介して、前記第六リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第五リンクの両端部のうち他端部に設けた第十一支軸を介して、前記第七リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第五リンクに第十二支軸を設け、前記第十二支軸を介して前記第六リンクを回転可能に軸支し、前記第七支軸と前記第十支軸と前記第十二支軸と前記第十三支軸を4つの節とする第三平行リンク機構を備えるとともに、前記第八支軸と前記第九支軸と前記第十一支軸と前記第十二支軸を4つの節とする第四平行リンク機構を備え、前記第十二支軸は、前記第八支軸と前記第十支軸を結ぶ線分上にくるように配置されているとともに前記第七支軸と前記第十一支軸を結ぶ線分上にくるように配置し、前記第七支軸と前記第十三支軸は、互いを結ぶ直線上に前記仮想支軸がくるように配置されているとともに、前記第八支軸と前記第九支軸は、互いを結ぶ直線上に仮想支軸がくるように配置され、前記第七支軸と前記第八支軸と前記第十二支軸と前記仮想支軸を4つの節とする仮想的な平行リンク機構である第二仮想平行リンク機構を備え、前記仮想支軸を爪先関節軸とするとともに、前記アクチュエータを駆動することにより前記爪先関節の角度を能動的に駆動することを特徴としている。
すなわち本発明の第二の解決手段は、本発明の第一の解決手段を行うとともに、前記踵側足に第七支軸と第十三支軸を追加して設け、前記爪先側足に第八支軸と第九支軸を追加して設け、前記第十三支軸を介して、第四リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第七支軸を介して、第五リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第八支軸を介して、第六リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第九支軸を介して、第七リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第四リンクの両端部のうち他端部に設けた第十支軸を介して、前記第六リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第五リンクの両端部のうち他端部に設けた第十一支軸を介して、前記第七リンクの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、前記第五リンクに第十二支軸を設け、前記第十二支軸を介して前記第六リンクを回転可能に軸支し、前記第七支軸と前記第十支軸と前記第十二支軸と前記第十三支軸を4つの節とする第三平行リンク機構を備えるとともに、前記第八支軸と前記第九支軸と前記第十一支軸と前記第十二支軸を4つの節とする第四平行リンク機構を備え、前記第十二支軸は、前記第八支軸と前記第十支軸を結ぶ線分上にくるように配置されているとともに前記第七支軸と前記第十一支軸を結ぶ線分上にくるように配置し、前記第七支軸と前記第十三支軸は、互いを結ぶ直線上に前記仮想支軸がくるように配置されているとともに、前記第八支軸と前記第九支軸は、互いを結ぶ直線上に仮想支軸がくるように配置され、前記第七支軸と前記第八支軸と前記第十二支軸と前記仮想支軸を4つの節とする仮想的な平行リンク機構である第二仮想平行リンク機構を備え、前記仮想支軸を爪先関節軸とするとともに、前記アクチュエータを駆動することにより前記爪先関節の角度を能動的に駆動することを特徴としている。
このような本発明の第二の解決手段によれば、本発明の第一の解決手段による効果に加え、第一仮想平行リンク機構と第二仮想平行リンク機構が爪先関節軸である仮想支軸を共有するため、爪先関節の機械的剛性を向上することができる。
本発明の第三の解決手段によれば、足の踵側である踵側足と足の爪先側である爪先側足を備えるとともに、踵側足と爪先側足の相対姿勢を変える爪先関節を備えた人間型歩行ロボット用足において、前記踵側足にアクチュエータと精密減速装置を配置するとともに第一支軸を設け、前記爪先側足に第二支軸を設け、前記アクチュエータの出力要素と前記精密減速装置の入力要素を、プーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構もしくは歯車により構成される伝達機構もしくはプーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構と歯車により構成される伝達機構を組み合わせた伝達機構により駆動結合し、前記精密減速装置の出力要素に、能動リンクをその両端部のうち一端部を前記精密減速装置の出力軸である能動軸回りに能動的に回転するように結合し、前記能動リンクの両端部のうち他端部に第三支軸を設け、前記第一支軸を介して、前記爪先側足をその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第二支軸を介して、連結リンクをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、前記第三支軸を介して、前記連結リンクをその両端のうち他端部で回転可能に軸支し、前記能動軸と前記第一支軸と前記第二支軸と前記第三支軸を4つの節とする四節リンク機構を備え、前記踵側足は床面と接触する踵側足裏面を備えるとともに、前記爪先側足は床面と接触する爪先側足裏面を備え、前記踵側足裏面と前記爪先側足裏面は、ともに床面と接触する状態で同一平面となるように構成されており、前記第一支軸を爪先関節軸とするとともに、前記アクチュエータを駆動することにより前記爪先関節の角度を能動的に駆動することを特徴としている。
このような本発明の第三の解決手段によれば、第一の解決手段および第二の解決手段と同様、アクチュエータにより爪先関節を駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になる。また、厚みがかさばるアクチュエータと精密減速装置を踵側足に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現している。また、四節リンク機構の4つの節(内1つの節は、精密減速装置の出力軸)の内1つの節を爪先関節軸とすることにより、爪先関節軸と地面までの距離を短くすることが可能であり、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)の面積が小さくなるため、その結果、爪先関節部での異物の巻き込み抑制を実現している。
本発明の第四の解決手段によれば、第三の解決手段に加え、能動軸と第三支軸を結ぶ線分の長さが、第一支軸と第二支軸を結ぶ線分の長さよりも短くなるように四節リンク機構を構成していることを特徴としている。
このような本発明の第四の解決手段によれば、能動軸周りの回転速度に対して第一支軸(爪先関節軸)周りの回転速度を減速することが可能であり、すなわち四節リンク機構で減速することが可能であるため、アクチュエータの回転速度を減速する精密減速装置をより小型なものに採用することができ、その結果、本発明の第三の解決手段による効果に加え、より足の厚みを低減することが可能になる。
本発明の第五の解決手段によれば、第一の解決手段から第四の解決手段の何れか1解決手段による人間型歩行ロボット用足の踵側足が足首関節を介して人間型歩行ロボットの下腿に接合された人間型歩行ロボット用脚において、前記足首関節は、前記下腿に対してピッチ軸周りに揺動するとともに前記踵側足に対してロール軸周りに揺動する足首関節部材を支持している関節であるとともに、前記足首関節のピッチ軸周りとロール軸周りの揺動は2つのアクチュエータで駆動されており、前記爪先関節軸は、右後方から左前方に向かう方向または左後方から右前方に向かう方向に配置されていることを特徴としている。
このような本発明の第五の解決手段によれば、下腿に対する爪先側足の相対姿勢をロール軸とピッチ軸の両軸周りにおいて広範囲に渡り能動制御することが可能であり、その結果、本発明の第一の解決手段から第四の解決手段による効果に加え、極めて人間の脚や足による動作に類似した動作を実現することが可能になる。
本発明の第六の解決手段によれば、第一の解決手段から第四の解決手段の何れか1解決手段による人間型歩行ロボット用足の踵側足が足首関節を介して人間型歩行ロボットの下腿に接合された人間型歩行ロボット用脚において、前記足首関節は、前記下腿に対してピッチ軸周りに揺動するとともに前記踵側足に対してロール軸周りに揺動する足首関節部材を支持している関節であるとともに、前記足首関節のピッチ軸周りとロール軸周りの揺動は2つのアクチュエータで駆動されており、前記爪先関節軸は、左右方向に向かう向きに配置されていることを特徴としている。
このような本発明の第六の解決手段によれば、下腿に対する爪先側足の相対姿勢をピッチ軸周りにおいて広範囲において能動制御することが可能であり、その結果、本発明の第一の解決手段から第四の解決手段による効果に加え、より歩幅の広い人間の歩行動作に類似した動作を実現することが可能になる。
本発明の第七の解決手段によれば、第五の解決手段又は第六の解決手段に加え、精密減速装置を、前記踵側足と前記足首関節との接合部を挟んで爪先関節側に配置するとともに、前記爪先関節を駆動するアクチュエータを、前記踵側足と前記足首関節との接合部を挟んで踵側に配置することを特徴としている。
このような本発明の第七の解決手段によれば、足首関節の関節軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)、特に足首関節ピッチ軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)を軽減できるため、その結果、本発明の第五の解決手段または第六の解決手段による効果に加え、より高速な足の運動を実現することが可能になる。また、踵周辺は足甲周辺に比べ空間的に広いスペースがあるため、より大きいアクチュエータを採用することが可能になり、その結果、本発明の第五の解決手段または第六の解決手段による効果に加え、より高速な爪先の運動も実現することが可能になる。
本発明の第八の解決手段によれば、第五の解決手段による人間型歩行ロボット用脚を右脚用と左脚用の2つを備え、それぞれが胴体に結合された人間型歩行ロボットにおいて、右脚用の前記爪先関節軸は右後方から左前方に向かう方向に配置されているとともに、左脚用の前記爪先関節軸は左後方から右前方に向かう方向に配置されていることを特徴としている。
このような本発明の第八の解決手段によれば、右脚用の爪先側足を接地した状態で右脚用の爪先関節を駆動すると、右脚が、特に右脚の踵と右脚の足首が、左脚から遠ざかる方向に可動し、またその逆に、左脚用の爪先側足を接地した状態で左脚用の爪先関節を駆動すると、左脚が、特に左脚の踵と左脚の足首が、右脚から遠ざかる方向に可動するため、その結果、本発明の第五の解決手段による効果に加え、更に人間の脚による動作により類似した動作を実現できるとともに、左右脚の干渉が回避された歩行動作を実現することが可能になる。
本発明の第九の解決手段によれば、第八の解決手段に加え、右脚用の前記精密減速装置を、右脚用の前記踵側足と右脚用の前記足首関節との接合部を挟んで右脚の爪先関節側に配置するとともに、右脚用の前記爪先関節を駆動する前記アクチュエータを、右脚用の前記踵側足と右脚用の前記足首関節との接合部を挟んで右脚の踵側に配置し、左脚用の前記精密減速装置を、左脚用の前記踵側足と左脚用の前記足首関節との接合部を挟んで左脚の爪先関節側に配置するとともに、左脚用の前記爪先関節を駆動する前記アクチュエータを、左脚用の前記踵側足と左脚用の前記足首関節との接合部を挟んで左脚の踵側に配置することを特徴としている。
このような本発明の第九の解決手段によれば、本発明の第八の解決手段による効果に加え、より高速な足の運動とより高速な爪先の運動を実現することが可能になる。
本発明の第一の解決手段により、アクチュエータにより爪先関節を駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になる。また、厚みがかさばるアクチュエータと精密減速装置を踵側足に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現している。加えて、仮想支軸を実現するように第一平行リンク機構と第二平行リンク機構を構成すると同時に、踵側足裏面と踵側足裏面が仮想支軸を含有するとともに仮想支軸を境とする半平面上に構成されたことにより、爪先関節軸と地面までの距離はゼロとなり、爪先関節部での異物の巻き込み抑制を実現している。
本発明の第二の解決手段により、本発明の第一の解決手段による効果に加え、第一仮想平行リンク機構と第二仮想平行リンク機構が爪先関節軸である仮想支軸を共有するため、爪先関節の機械的剛性を向上することが可能になる。
本発明の第三の解決手段により、第一の解決手段および第二の解決手段と同様、アクチュエータにより爪先関節を駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になる。また、厚みがかさばるアクチュエータと精密減速装置を踵側足に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現している。また、四節リンク機構の4つの節(内1つの節は、精密減速装置の出力軸)の内1つの節を爪先関節軸とすることにより、爪先関節軸と地面までの距離を短くすることが可能であり、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)の面積が小さくなるため、その結果、爪先関節部での異物の巻き込み抑制を実現している。
本発明の第四の解決手段により、能動軸周りの回転速度に対して第一支軸(爪先関節軸)周りの回転速度を減速することが可能であり、すなわち四節リンク機構で減速することが可能であるため、アクチュエータの回転速度を減速する精密減速装置をより小型なものに採用することができ、その結果、本発明の第三の解決手段による効果に加え、より足の厚みを低減することが可能になる。
本発明の第五の解決手段により、下腿に対する爪先側足の相対姿勢をロール軸とピッチ軸の両軸周りにおいて広範囲に渡り能動制御することが可能であり、その結果、本発明の第一の解決手段から第四の解決手段による効果に加え、極めて人間の脚や足による動作に類似した動作を実現することが可能になる。
本発明の第六の解決手段により、下腿に対する爪先側足の相対姿勢をピッチ軸周りにおいて広範囲において能動制御することが可能であり、その結果、本発明の第一の解決手段から第四の解決手段による効果に加え、より歩幅の広い人間の歩行動作に類似した動作を実現することが可能になる。
本発明の第七の解決手段により、足首関節の関節軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)、特に足首関節ピッチ軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)を軽減できるため、その結果、本発明の第五の解決手段または第六の解決手段による効果に加え、より高速な足の運動を実現することが可能になる。また、踵周辺は足甲周辺に比べ空間的に広いスペースがあるため、より大きいアクチュエータを採用することが可能になり、その結果、本発明の第五の解決手段または第六の解決手段による効果に加え、より高速な爪先の運動も実現することが可能になる。
本発明の第八の解決手段により、右脚用の爪先側足を接地した状態で右脚用の爪先関節を駆動すると、右脚が、特に右脚の踵と右脚の足首が、左脚から遠ざかる方向に可動し、またその逆に、左脚用の爪先側足を接地した状態で左脚用の爪先関節を駆動すると、左脚が、特に左脚の踵と左脚の足首が、右脚から遠ざかる方向に可動するため、その結果、本発明の第五の解決手段による効果に加え、更に人間の脚による動作により類似した動作を実現できるとともに、左右脚の干渉が回避された歩行動作を実現することが可能になる。
本発明の第九の解決手段により、本発明の第八の解決手段による効果に加え、より高速な足の運動とより高速な爪先の運動を実現することが可能になる。
図5は、本実施例に係る人間型歩行ロボットの下半身100を示す傾斜図である。この人間型歩行ロボットは、この人間型歩行ロボットの下半身100が具える腰関節101を介して図示しない上半身すなわち胸と頭と左右の腕を具えている。また、人間型歩行ロボットの下半身100は、腰関節101を支持する腰フレーム102と、腰フレーム102の左右側部に設けられた二つの股関節104と、それらの股関節104を介して腰フレーム102にそれぞれ連結された二本の脚105と、各脚105に設けられた足首関節50を介して足1とを具えている。足1は、踵側足11と爪先側足13を具えており、踵側足11が足首基台45を介して足首関節50の下端面に結合されている。
ここで、腰関節101と二つの股関節104とは、互いに同一の関節ユニット106を用いてそれぞれ構成されており、この関節ユニット106は、上部ベース106aと、その上部ベース106aの下面にそれぞれ結合された前ブラケット106bおよび後ブラケット106cと、それら前後ブラケット106b,106cをこの人間型歩行ロボットの前後方向へ延在する腰ロール軸R4または股ロール軸R3周りに回動可能に支持する十字状の連結部材106dと、その連結部材106dをこの人間型歩行ロボットの左右方向へ延在する図示しない腰ピッチ軸P4または股ピッチ軸P3周りに回動可能に支持する左ブラケット106eおよび右ブラケット106fと、上部ベース106aと連結部材106dとの間にこの人間型歩行ロボットの前後方向へ軸線が延在する向きで配置されて前後ブラケット106b,106cで支持された図示しないロール軸用アクチュエータと、後ブラケット106cに設けられて入力要素をプーリとタイミングベルトを用いたベルト式伝動機構によりロール軸用アクチュエータの出力軸に駆動結合されるとともに出力要素を連結部材106dに結合された商品名ハーモニックドライブ106hと、その連結部材106d内にこの人間型歩行ロボットの左右方向へ軸線が延在する向きで配置された図示しないピッチ軸用アクチュエータと、左ブラケット106eに設けられて入力要素をそのピッチ軸用アクチュエータの出力軸に結合されるとともに出力要素を連結部材106dに結合された商品名ハーモニックドライブ106iとを有している。
さらに、腰関節101を構成する関節ユニット106の上部ベース106aは、図示しない上半身の胸の下端部をこの人間型歩行ロボットの上下方向へ延在する腰ヨー軸Y4周りに回動可能に支持するとともに、その胸の下部の腰ヨー軸Y4上の位置に配置された商品名ハーモニックドライブの出力要素に結合され、そのハーモニックドライブの入力要素は、胸の下部に設けられた腰ヨー軸用アクチュエータの出力軸にプーリとタイミングベルトを用いたベルト式伝動機構により駆動結合されており、また腰関節101を構成する関節ユニット106の左右ブラケット106e,106fは、腰フレーム102の上面に結合されている。これにより腰関節101は、腰ヨー軸用アクチュエータと関節ユニット106のロール軸用アクチュエータおよびピッチ軸用アクチュエータとの作動により、腰フレーム102に対し上半身を、腰ヨー軸Y4周り、腰ロール軸R4周りおよび腰ピッチ軸P4周りに三自由度で回動させることができる。
一方、各股関節104を構成する関節ユニット106の上部ベース106aは、腰フレーム102の下端部をこの人間型歩行ロボットの上下方向へ延在する股ヨー軸Y3周りに回動可能に支持するとともに、その腰フレーム102の下部の図示しない股ヨー軸Y3上の位置に配置された商品名ハーモニックドライブの出力要素に結合され、そのハーモニックドライブの入力要素は、腰フレーム102の中央部に設けられた図示しない股ヨー軸用アクチュエータの出力軸に図示しないプーリとタイミングベルトを用いたベルト式伝動機構により駆動結合されており、また各股関節104を構成する関節ユニット106の左右ブラケット106e,106fは、この実施例の脚105の大腿フレーム107の上端面に結合されている。これにより各股関節104は、股ヨー軸用アクチュエータと関節ユニット106のロール軸用アクチュエータおよびピッチ軸用アクチュエータとの作動により、腰フレーム102に対し各脚105を、股ヨー軸Y3周り、股ロール軸R3周りおよび股ピッチ軸P3周りに三自由度で回動させることができる。
そして二本の脚105は各々、上記大腿フレーム107に加えて、下腿フレーム51と、足1とを具えるとともに、大腿フレーム107と下腿フレーム51とを連結する膝関節110と、下腿フレーム51と足1とを連結する足首関節50と、下腿フレーム51と足首関節50との間に介挿されたギヤボックス112とを具えており、これら大腿フレーム107と下腿フレーム51と足1と膝関節110と足首関節50とギヤボックス112との構成は、大腿フレーム107が各々下方に向かって内向きに傾斜して左右対称をなしている点と、足1が各々左右対称をなしている点とを除けば、二本の脚105で互いに同一とされている。
ここで、大腿フレーム107と下腿フレーム51とは、スリム化および軽量化に加えて内部でのアクチュエータ等の配線の引き回しのために各々カバーと組み合わされて概略角筒状に形成されており、膝関節110は、大腿フレーム107の下端面に結合された左ブラケット110aおよび右ブラケット110bと、下腿フレーム51の上端面に結合されてそれら左右ブラケット110a,110bを図示しない中空軸を介しこの人間型歩行ロボットの左右方向へ延在する膝ピッチ軸P2周りに回動可能に支持するL字状の下ブラケット110cと、大腿フレーム107の下端面と下ブラケット110cとの間にこの人間型歩行ロボットの左右方向へ軸線が延在する向きで配置されて左右ブラケット110a,110bで支持された膝ピッチ軸用アクチュエータと、左ブラケット110aに設けられて入力要素をプーリとタイミングベルトを用いたベルト式伝動機構により膝ピッチ軸用アクチュエータの出力軸に駆動結合されるとともに出力要素を下ブラケット110cに結合された商品名ハーモニックドライブ110eとを有している。これにより膝関節110は、膝ピッチ軸用アクチュエータの作動により、大腿フレーム107に対し下腿フレーム51を膝ピッチ軸P2周りに一自由度で回動させることができる。
足首関節50は、下腿フレーム51の下端面にギヤボックス112を介してそれぞれ結合された左ブラケット50aおよび右ブラケット50bと、それら左右ブラケット50a,50bをこの人間型歩行ロボットの左右方向へ延在する足首ピッチ軸P1周りに回動可能に支持する十字状の連結部材50fと、その連結部材50fをこの人間型歩行ロボットの前後方向へ延在する足首ロール軸R1周りに回動可能に支持する前ブラケット50cおよび後ブラケット50dと、足首ピッチ軸P1と足首ロール軸R1との交点を通ってそれらと直交する踵側足11の支持中心軸C1の周囲に配置された三本の弾性ブッシュ113と、それらの弾性ブッシュ113を介して踵側足11に弾性支持されるとともに力センサ111を介して前後ブラケット50c,50dに結合された足首基台45とを有している。
加えてこの足首関節50は、足首ピッチ軸駆動系と足首ロール軸駆動系とを有し、足首ピッチ軸駆動系は、下腿フレーム51の上部内に、その下腿フレーム51の長手方向に沿ってそれぞれ軸線が延在するように前後に並べて配置された図示しない足首ピッチ軸用アクチュエータおよび同じく図示しないねじ式直線駆動機構を有するとともに、その足首ピッチ軸用アクチュエータの出力要素としての出力軸と、ねじ式直線駆動機構の入力要素としての図示しないねじ軸とをプーリとタイミングベルトを用いた図示しないベルト式伝動機構により駆動結合している。また足首ロール軸駆動系は、下腿フレーム51の下部内に、その下腿フレーム51の長手方向に沿って軸線が延在するように配置された図示しない足首ロール軸用アクチュエータを有するとともに、下腿フレーム51の下端面に固定されたギヤボックス112の側部に、軸線が足首ピッチ軸P1と平行に延在するようにそのギヤボックス112を貫通して回転可能に支持された図示しない第1の中間軸を有し、さらにギヤボックス112内に、足首ロール軸用アクチュエータの出力要素としての出力軸と第1の中間軸とを図示しない第1のベベルギヤ組により駆動結合している。
ここで、ねじ式直線駆動機構は、その入力要素としてのねじ軸に螺合する図示しないボール循環式ナットと、そのボール循環式ナットを基端部に固定されて下腿フレーム51の長手方向に沿って延在するとともに、その延在方向へ進退移動可能にガイドスリーブを介して下腿フレーム51に支持された出力要素としての中空の図示しない駆動ロッドと、ボール循環式ナットとともに同じく図示しない駆動ロッドの基端部に固定されて、下腿フレーム51の長手方向へ延在する下腿フレーム51の内面と摺接し、ねじ軸に対するボール循環式ナットの供回りを阻止する概略矩形の図示しない摺動部材とを有し、そのねじ軸の回転により駆動ロッドを進退移動させる。
さらに足首ピッチ軸駆動系は、ギヤボックス112の後方に、連結部材50fの、足首ピッチ軸P1上から後方へ外れた部位をねじ式直線駆動機構の駆動ロッドの先端部に連結するリンク部材としての図示しない連結ロッドを有し、また足首ロール駆動系は、足首ロール軸R1上で連結部材50fの前部に配置されるとともに出力要素を前ブラケット50cに結合された足首ロール軸用の図示しない商品名ハーモニックドライブと、連結部材50fの足首ピッチ軸P1上の位置とその足首ピッチ軸P1上から足首ロール軸用のハーモニックドライブ側と反対の側である後方へ外れた位置とにそれぞれ回転可能にかつ互いに平行に支持された図示しない第2の中間軸および同じく図示しない第3の中間軸と、それら第2の中間軸と第3の中間軸とを駆動結合する図示しないスパーギヤ組と、上記第1の中間軸と第2の中間軸とを駆動結合するプーリとタイミングベルトを用いたベルト式伝動機構と、足首ロール軸用のハーモニックドライブの入力要素と第3の中間軸とを駆動結合する第2のベベルギヤ組とを有している。
上述の構成により、下腿フレーム51の上部に配置された足首ピッチ軸用アクチュエータの出力軸が、同じく下腿フレーム51の上部に配置されたねじ式直線駆動機構のねじ軸を、ベルト式伝動機構を介して駆動し、それによりねじ式直線駆動機構の駆動ロッドが進退駆動されて、下腿フレーム51に足首関節50の足首ピッチ軸P1周りに揺動可能に支持された連結部材50fの足首ピッチ軸P1上から外れた部位を、連結ロッドを介して押し引きし、その連結部材50fに足首関節50の足首ロール軸R1周りに揺動可能に支持された踵側足11を足首ピッチ軸P1周りに揺動させることができる。
また、下腿フレーム51の下部に配置された足首ロール軸用アクチュエータの出力軸が、下腿フレーム51の下端に固定されたギヤボックス112に回転可能に支持された第1の中間軸14を、ベベルギヤ組を介して駆動し、それにより回転駆動された第1の中間軸が、連結部材50fの足首ピッチ軸P1上の位置に回転可能に支持された第2の中間軸を、ベルト式伝動機構を介して駆動し、それにより回転駆動された第2の中間軸が、連結部材50fの足首ピッチ軸P1上から外れた位置に第2の中間軸と平行に支持された第3の中間軸を、スパーギヤ組を介して駆動し、それにより回転駆動された第3の中間軸が、足首ロール軸R1上に配置されて出力要素を踵側足11に結合されたハーモニックドライブの入力要素を、ベベルギヤ組を介して回転駆動し、踵側足11を足首ロール軸R1周りに揺動させることができる。
なお、この人間型歩行ロボットの下半身100が具える腰関節と股関節と膝関節と足首関節の詳しい説明は、本出願人によって既に出願されている特願2009-255977号に記載されている。
(第一実施例)
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ここに、図6(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第1の態様に基づき実現した、この発明の第一実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図7は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図8は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図9(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第一実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図6(a)中の矢印eye-Bに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。ここで、1は足、11は踵側足、13は爪先側足、20は爪先関節、21は爪先関節軸、30は第一平行リンク機構と第二平行リンク機構、41は爪先関節用のアクチュエータ(以下の説明では単にアクチュエータと称す)、42は爪先関節用の精密減速装置(以下の説明では単に精密減速装置と称するが、精密減速装置については上記段落0010の記載参照。)である。本明細書の実施例図の精密減速装置には商品名ハーモニックドライブを用いて実施例図を図示しているが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。
アクチュエータ41と精密減速装置42は踵側足11に配置されている。このアクチュエータ41の出力軸にはプーリ44aが取り付けられており、精密減速装置42の入力軸にはプーリ44bが取り付けられており、これらプーリ44a,44bにはタイミングベルト44cが巻かれている。すなわち、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、プーリ44a,44bとタイミングベルト44cにより構成される伝達機構で駆動結合している。精密減速装置42の出力要素には、能動リンク31aをその両端部のうち一端部を精密減速装置42の出力軸である能動軸43回りに能動的に回転するように結合している。すなわち、アクチュエータ41を駆動することにより能動リンク31aを能動軸43周りに一自由度で回動させることができる。
なお、第一実施例に限らず本発明の実施例では、第八実施例を除き、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、プーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構で駆動結合しているが、これは例示にすぎず、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、歯車により構成される伝達機構で駆動結合しても良いし、プーリとタイミングベルトにより構成される伝達機構と歯車により構成される伝達機構を組み合わせた伝達機構で駆動結合しても良い。
本明細書においては、スパーギヤやピニオンギヤやヘリカルギヤやフェアロックギヤやべベルギヤやウォームギヤやラックアンドピニオンやボールナットを、「歯車」と言う。
踵側足11には、左ブラケット12aと右ブラケット12bが具えられ、第一支軸32aが設けられている。爪先側足13には、左ブラケット14aと右ブラケット14bと中央ブラケット14cが具えられ、第二支軸32bと第三支軸32cが設けられている。
踵側足11に設けた第一支軸32aを介して、第一リンク31bをその両端のうち一端部で回転可能に軸支している。また、爪先側足13に設けた第二支軸32bを介して、第二リンク31cをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、爪先側足13に設けた第三支軸32cを介して、第三リンク31dをその両端のうち一端部で回転可能に軸支している。加えて、能動リンク31aの両端部のうち他端部に設けた第四支軸32dを介して、第二リンク31cの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、第一リンク31bの両端部のうち他端部に設けた第五支軸32eを介して、第三リンク31dの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、第一リンク31bに第六支軸32fを設け、第六支軸32fを介して第二リンク31cを回転可能に軸支している。更に、能動軸43と第一支軸32aと第四支軸32dと第六支軸32fを4つの節とする第一平行リンク機構を備えるように構成するとともに、第二支軸32bと第三支軸32cと第五支軸32eと第六支軸32fを4つの節とする第二平行リンク機構を備えるように構成している。
第一平行リンク機構と第二平行リンク機構を構成するに際し、第六支軸32fは、第二支軸32bと第四支軸32dを結ぶ線分上にくるように配置されているとともに、第一支軸32aと第五支軸32eを結ぶ線分上にくるように配置されている。第六支軸32fをこのように配置することにより、実際に軸はないがその軸を仮想支軸と定義すると、第一支軸32aと第二支軸32bと第六支軸32fと仮想支軸を4つの節とする仮想平行リンク機構が構成されている。
なお、第一平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形と、第二平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形は合同である必要はない。
また、踵側足11が床面と接触する踵側足裏面は、仮想支軸を含有するとともに仮想支軸を境とする半平面上に構成されるとともに、爪先側足13が床面と接触する爪先側足裏面は、仮想支軸を含有するとともに前記仮想支軸を境とする半平面上に構成されている。
このような構成をすることにより、アクチュエータ41を駆動すると、能動リンク31aが能動軸43周りに回動し、第一平行リンク機構と第二平行リンク機構の平行四辺形の形をともに変形させることができ、踵側足11に対し爪先側足13を仮想支軸周りに一自由度で回動させることができる。すなわち、仮想支軸が爪先関節軸21となり、アクチュエータ41を駆動することにより爪先関節20の角度を能動的に駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になっている。また、厚みがかさばるアクチュエータ41と精密減速装置42を踵側足11に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現することが可能になっている。加えて、仮想支軸を実現するように第一平行リンク機構と第二平行リンク機構を構成すると同時に、踵側足裏面と踵側足裏面が仮想支軸を含有するとともに仮想軸を境とする半平面上に構成されたことにより、爪先関節軸21と地面までの距離はゼロとなり、爪先関節部での異物の巻き込みを抑制することが可能になっている。
図6から図9では図示していないが、踵側足裏面と爪先側足裏面に跨って足裏ゴムシートを貼ることにより、歩行時の滑りを抑制するとともに、爪先関節部での異物の巻き込み抑制をより効果的に実現することが可能になる。
また、図6から図9に示す第一実施例では、踵側足11を足首基台45を介して足首関節50に結合するとともに、足首関節50をギヤボックス112(図5参照)を介して下腿フレーム51に結合し、人間型歩行ロボット用の脚105を構成している。足首関節50は、下腿フレーム51の中に配置した2つのアクチュエータにより、下腿フレーム51に対し踵側足11を、足首ピッチ軸P1周りと足首ロール軸R1周りに二自由度で回動させることができる。加えて、爪先関節軸21は、右後方から左前方に向かう方向または左後方から右前方に向かう方向に配置されている。このような配置を行うことにより、爪先関節軸21の動きは、ピッチ軸PPとロール軸RRの両軸での動きとなる。すなわち、下腿フレーム51に対する爪先側足13の相対姿勢をロール軸RRとピッチ軸PPの両軸周りにおいて広範囲に渡り能動制御することが可能であり、人間の脚や足による動作に極めて類似した動作を実現することが可能になる。
図10は、第一実施例により実現した人間型ロボット用脚を右脚用と左脚用の2つを備え、それぞれが胴体に結合された人間型歩行ロボットにおいて、その左脚用の足と右脚用の足を示す平面図である。この図10に示すように、右脚用の前記爪先関節軸21Rは右後方から左前方に向かう方向に配置されているとともに、左脚用の前記爪先関節軸21Lは左後方から右前方に向かう方向に配置されている。このように爪先関節軸21Rと21Lを配置することにより、右脚用の爪先側足を接地した状態で右脚用の爪先関節を駆動すると右脚、特に右脚の踵と右脚の足首が左脚から遠ざかる方向に可動し、またその逆に、左脚用の爪先側足を接地した状態で左脚用の爪先関節を駆動すると左脚、特に左脚の踵と左脚の足首が右脚から遠ざかる方向に可動するため、人間の脚による動作により類似した動作を実現できるとともに、左右脚の干渉が回避された歩行動作を実現することが可能になる。
(第二実施例)
図11は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第2の態様に基づき実現した、この発明の第二実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。また図12(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第二実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を示す右前方からみた傾斜図であり、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の傾斜図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の傾斜図および爪先を下げた姿勢の傾斜図である。図5から図9と同じ符号については同じ部材を示しており、爪先関節の駆動原理についても第一実施例と同様であるので詳述は省略する。以下では、第一実施例に加えて追加された、第三平行リンク機構と第四平行リンク機構の構成方法と役割と効果について説明する。
図11および図12に示すように、第二実施例では、第一実施例に加え、踵側足11には、第二左ブラケット12dと第二右ブラケット12eと第二中央ブラケット12fが追加して具えられ、第七支軸37aと第十三支軸37gが追加して設けられている。また、爪先側足13には、第二左ブラケット14fと第二右ブラケット14gと第二中央ブラケット14hが追加して具えられ、第八支軸37bと第九支軸37cが追加して設けられている。
踵側足11に設けた第十三支軸37gを介して、第四リンク36aをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、踵側足11に設けた第七支軸37aを介して、第五リンク36bをその両端のうち一端部で回転可能に軸支している。また、爪先側足13に設けた第八支軸37bを介して、第六リンク36cをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、爪先側足13に設けた第九支軸37cを介して、第七リンク36dをその両端のうち一端部で回転可能に軸支している。加えて、第四リンク36aの両端部のうち他端部に設けた第十支軸37dを介して、第六リンク36cの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、第五リンク36bの両端部のうち他端部に設けた第十一支軸37eを介して、第七リンク36dの両端部のうち他端部を回転可能に軸支し、第五リンク36bに第十二支軸37fを設け、第十二支軸37fを介して第六リンク36cを回転可能に軸支している。更に、第七支軸37aと第十支軸37dと第十二支軸37fと第十三支軸37gを4つの節とする第三平行リンク機構を備えるように構成するとともに、第八支軸37bと第九支軸37cと第十一支軸37eと第十二支軸37fを4つの節とする第四平行リンク機構を備えるように構成している。
第三平行リンク機構と第四平行リンク機構を構成するに際し、第十二支軸37fは、第八支軸37bと第十支軸37dを結ぶ線分上にくるように配置されているとともに、第七支軸37aと第十一支軸37eを結ぶ線分上にくるように配置されている。加えて、第七支軸37aと第十三支軸37gは、互いを結ぶ直線上に仮想支軸がくるように配置されているとともに、第八支軸37bと第九支軸37cは、互いを結ぶ直線上に仮想支軸がくるように配置されている。このように配置することにより、第七支軸37aと第八支軸37bと第十二支軸37fと仮想支軸を4つの節とする仮想的な平行リンク機構である第二仮想平行リンク機構が構成されている。このように第三平行リンク機構と第四平行リンク機構を構成することにより、アクチュエータ41を駆動して踵側足11に対し爪先側足13を仮想支軸周りに一自由度で回動させた場合においても、第三平行リンク機構と第四平行リンク機構のおのおのの姿勢を変形することが可能になる。すなわち、第二実施例では、本発明の第一実施例による効果に加え、第一支軸32aと第二支軸32bと第六支軸32fと仮想支軸を4つの節とする第一仮想平行リンク機構と第七支軸37aと第八支軸37bと第十二支軸37fと仮想支軸を4つの節とする第二仮想平行リンク機構が爪先関節軸である仮想支軸を共有するため、爪先関節の機械的剛性を向上することができる。
なお、第三平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形と、第四平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形は合同である必要はない。また、第一平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形,第二平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形,第三平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形,第四平行リンク機構の4節を角に持つ平行四辺形の形,全てが異なる平行四辺形であっても良い。
(第三実施例)
図13(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第3の態様に基づき実現した、この発明の第三実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図14は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図15は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図16(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第三実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図13(a)中の矢印eye-Cに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。図5から図9と同じ符号については同じ部材を示している。
本発明の第三実施例と、第一実施例との相違点は、爪先関節軸21の配置されている向きであり、第三実施例では爪先関節軸21は左右方向に向かう向きに配置されている。そのため、爪先関節の駆動原理についても第一実施と同様であるので詳述は省略する。
第三実施例においても、アクチュエータ41を駆動することにより踵側足11に対し爪先側足13を爪先関節軸21周りに一自由度で回動させることができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になっている。また、厚みがかさばるアクチュエータ41と精密減速装置42を踵側足11に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現することが可能になっている。加えて、仮想支軸を実現するように第一平行リンク機構と第二平行リンク機構を構成すると同時に、踵側足裏面と踵側足裏面が仮想支軸を含有するとともに仮想軸を境とする半平面上に構成されたことにより、爪先関節軸21と地面までの距離はゼロとなり、爪先関節部での異物の巻き込みを抑制することが可能になっている。
加えて、第三実施例では、爪先関節軸21は左右方向に向かう向きに配置されており、下腿フレーム51に対する爪先側足13の相対姿勢をピッチ軸PP周りにおいて広範囲において能動制御することが可能であり、より歩幅の広い人間の歩行動作に極めて類似した動作を実現することが可能になる。
なお、第二実施例で第一実施例に対して追加導入した第三平行リンク機構及び第四平行リンク機構を、第三実施例に対して追加導入することは可能であり、このような第三平行リンク機構及び第四平行リンク機構の追加導入により、第三実施例の爪先関節の機械的剛性を向上することができる。
(第四実施例)
図17(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第4の態様に基づき実現した、この発明の第四実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図18は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図19は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図20(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第四実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図17(a)中の矢印eye-Dに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。ここで、1は足、11は踵側足、13は爪先側足、20は爪先関節、21は爪先関節軸、33は四節リンク機構、41は爪先関節用のアクチュエータ(以下の説明では単にアクチュエータと称す)、42は爪先関節用の精密減速装置(以下の説明では単に精密減速装置と称す)である。
本発明の第四実施例においても、第一実施例および第二実施例および第三実施例と同様、アクチュエータ41と精密減速装置42は踵側足11に配置されている。このアクチュエータ41の出力軸にはプーリ44aが取り付けられており、精密減速装置42の入力軸にはプーリ44bが取り付けられており、これらプーリ44a,44bにはタイミングベルト44cが巻かれている。すなわち、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、プーリ44a,44bとタイミングベルト44cにより構成される伝達機構で駆動結合している。精密減速装置42の出力要素には、主能動リンク34aをその両端部のうち一端部を精密減速装置42の出力軸である能動軸43回りに能動的に回転するように結合している。すなわち、アクチュエータ41を駆動することにより主能動リンク34aを能動軸43周りに一自由度で回動させることができる。
踵側足11には、左ブラケット12aと右ブラケット12bが具えられ、第一支軸35aが設けられている。爪先側足13には、ブラケット14dが具えられ、第二支軸35bが設けられている。主能動リンク34aの両端部のうち他端部に第三支軸35cを設けている。
踵側足11に設けた第一支軸35aを介して、爪先側足13をその両端のうち一端部で回転可能に軸支している。また、爪先側足13に設けた第二支軸35bを介して、連結リンク34cをその両端のうち一端部で回転可能に軸支し、第三支軸35cを介して、連結リンク34cをその両端のうち他端部で回転可能に軸支している。すなわち、能動軸43と第一支軸35aと第二支軸35bと第三支軸35cを4つの節とする四節リンク機構を備えている。
本発明の第四実施例においては、アクチュエータ41により駆動される主能動リンク34aがより確実に能動軸43周りに回動するように、従能動リンク34bを設けている。すなわち、左ブラケット12aに能動軸43と同軸になるように設けた図示しない第四支軸を設け、その第四支軸を介して、従能動リンク34bをその両端のうち一端部で回転可能に軸支するとともに、第三支軸35cを介して、能動リンク34bをその両端のうち他端部で主能動リンク34aに結合している。このように、従能動リンク34bを追加して導入することにより、主能動リンク34aがより確実に能動軸43周りに回動し、連結リンク34cをよりスムーズに押し引きでき、爪先関節の機械的剛性を向上することができる。また、右ブラケット12aと左ブラケット12bをそれぞれ足1の右端付近と左端付近に配置し、第一支軸35aを長くすることにより、第一支軸35a周りの機械的剛性を向上することができ、爪先関節の機械的剛性も向上することができる。
また、踵側足11は床面と接触する踵側足裏面を備え、爪先側足13は床面と接触する爪先側足裏面を備え、踵側足裏面と爪先側足裏面は、ともに床面と接触する状態で同一平面となるように構成されている。
このような構成をすることにより、アクチュエータ41を駆動すると、主能動リンク34aが能動軸43周りに回動し、連結リンク34cが押し引きされ、踵側足11に対し爪先側足13を第一支軸35a周りに一自由度で回動させることができる。すなわち、第一支軸35aが爪先関節軸21となり、アクチュエータ41を駆動することにより爪先関節20の角度を能動的に駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になっている。また、厚みがかさばるアクチュエータ41と精密減速装置42を踵側足11に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現することが可能になっている。加えて、第一支軸35aが爪先関節軸21となる構成であるため、爪先関節軸21と地面までの距離を短くすることができ、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)の面積が小さくなるため、爪先関節部での異物の巻き込みを抑制することが可能になっている。
なお、右ブラケット12aと左ブラケット12bをそれぞれ足1の右端付近と左端付近に配置し、第一支軸35aを長くし、また右ブラケット12aと左ブラケット12bの厚みを確保することにより、第一支軸35aの径をより細くでき、爪先関節軸21と地面までの距離をより短くすることができる。第四実施例では、足の長さ(爪先から踵までの距離)が245mmで足の幅が105mmの足1に対し、爪先関節軸21と地面までの距離は10mmにすることが出来ている。商品名ハーモニックドライブの型番CSF-11のサーキュラ・スプラインの径40mmに比べ、爪先関節軸21と地面までの距離を短くできていることが分かる。
加えて、第四実施例においては、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)が円柱の側面形状となるように構成している。このような構成により、爪先が持ち上がった姿勢にて、例えば図20(a)の姿勢にて、踵側足裏面が床面に接している状態から爪先側足裏面を床面に接する状態への移行もしくは爪先側足裏面が床面に接している状態から踵側足裏面を床面に接する状態への移行がスムーズに移行し、その結果、人間型歩行ロボットの姿勢もスムーズに変化することができ、安定した動作の実現に効果的である。
また、図17から図20に示す第四実施例では、踵側足11を足首基台45を介して足首関節50に結合するとともに、足首関節50をギヤボックス112(図5参照)を介して下腿フレーム51に結合し、人間型歩行ロボット用の脚105を構成している。足首関節50は、下腿フレーム51の中に配置した2つのアクチュエータにより、下腿フレーム51に対し踵側足11を、足首ピッチ軸P1周りと足首ロール軸R1周りに二自由度で回動させることができる。加えて、爪先関節軸21は、右後方から左前方に向かう方向または左後方から右前方に向かう方向に配置されている。このような配置を行うことにより、爪先関節軸21の動きは、ピッチ軸PPとロール軸RRの両軸での動きとなる。すなわち、下腿フレーム51に対する爪先側足13の相対姿勢をロール軸RRとピッチ軸PPの両軸周りにおいて広範囲に渡り能動制御することが可能であり、人間の脚や足による動作に極めて類似した動作を実現することが可能になる。
本明細書では図示しないが、第四実施例により実現した人間型ロボット用脚を右脚用と左脚用の2つを備え、それぞれが胴体に結合された人間型歩行ロボットにおいて、図10に示す爪先関節軸21Rと21Lの配置と同様に、右脚用の前記爪先関節軸21Rは右後方から左前方に向かう方向に配置されているとともに、左脚用の前記爪先関節軸21Lは左後方から右前方に向かう方向に配置することにより、右脚用の爪先側足を接地した状態で右脚用の爪先関節を駆動すると右脚、特に右脚の踵と右脚の足首が左脚から遠ざかる方向に可動し、またその逆に、左脚用の爪先側足を接地した状態で左脚用の爪先関節を駆動すると左脚、特に左脚の踵と左脚の足首が右脚から遠ざかる方向に可動するため、人間の脚による動作により類似した動作を実現できるとともに、左右脚の干渉が回避された歩行動作を実現することが可能になる。
(第五実施例)
図21(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第5の態様に基づき実現した、この発明の第五実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図22は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図23は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図24(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第五実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図21(a)中の矢印eye-Eに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。図5および図17から図20と同じ符号については同じ部材を示している。
本発明の第五実施例と、第四実施例との相違点は、爪先関節軸21の配置されている向きであり、第五実施例では爪先関節軸21は左右方向に向かう向きに配置されている。そのため、爪先関節の駆動原理についても第四実施例と同様であるので詳述は省略する。
第五実施例においても、アクチュエータ41を駆動することにより踵側足11に対し爪先側足13を爪先関節軸21周りに一自由度で回動させることができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になっている。また、厚みがかさばるアクチュエータ41と精密減速装置42を踵側足11に配置したことにより、爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みを抑え、人間の足に近いプロポーションを実現することが可能になっている。加えて、第一支軸35aが爪先関節軸21となる構成であるため、爪先関節軸21と地面までの距離を短くすることができ、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)の面積が小さくなるため、爪先関節部での異物の巻き込みを抑制することが可能になっている。
また、本発明の第五実施例は、第三実施例と同様に、爪先関節軸21は左右方向に向かう向きに配置されており、下腿フレーム51に対する爪先側足13の相対姿勢をピッチ軸PP周りにおいて広範囲において能動制御することが可能であり、より歩幅の広い人間の歩行動作に極めて類似した動作を実現することが可能になる。
加えて、第五実施例においても、第四実施例と同様に、爪先関節が動く際に踵側足と爪先側足が互いにすれ違いながら動く部分(踵側足の爪先関節側の側面と爪先側足の爪先関節側の側面)が円柱の側面形状となるように構成している。このような構成により、爪先が持ち上がった姿勢、例えば図20(a)の姿勢にて、踵側足裏面が床面に接している状態から爪先側足裏面を床面に接する状態への移行もしくは爪先側足裏面が床面に接している状態から踵側足裏面を床面に接する状態への移行がスムーズに移行し、その結果、人間型歩行ロボットの姿勢もスムーズに変化することができ、安定した動作の実現に効果的である。
(第六実施例)
図25(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第6の態様に基づき実現した、この発明の第六実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また、図26は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図27は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図28(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第六実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図25(a)中の矢印eye-Fに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。図5および図17から図24と同じ符号については同じ部材を示している。
本発明の第六実施例と、第五実施例との相違点は、四節リンク機構を構成しているリンク長の長さの違いである。そのため、爪先関節の駆動原理についても第五実施例と同様であるので詳述は省略する。以下では、第六実施例で構成している四節リンク機構の構成方法と役割と効果について説明する。
第五実施例を示す図20から図24からも分かるように、第五実施例においても、能動軸43と第三支軸35cを結ぶ線分の長さが、第一支軸35aと第二支軸35bを結ぶ線分の長さよりも短くなるように四節リンク機構を構成している。一方、第六実施例においては、『能動軸43と第三支軸35cを結ぶ線分の長さが、第一支軸35aと第二支軸35bを結ぶ線分の長さよりも短い四節リンク機構』の特徴を示すために、第五実施例よりも更に、能動軸43と第三支軸35cを結ぶ線分の長さが、第一支軸35aと第二支軸35bを結ぶ線分の長さよりも短くなるように四節リンク機構を構成している。より具体的には、第二支軸35bの配置位置を、第五実施例に比べより爪先側に配置すると同時に爪先側足裏面に近い位置に配置するとともに、第三支軸35cの配置位置を、第五実施例に比べより能動軸43に近い位置に配置している。図24と図28においては、主能動リンク34aの回転角と従能動リンク34bの回転角を両図で比較するのを容易にするために、能動軸43周りにマイナスネジのような溝を設けて図示しているが、これらの図を見比べれば分かるように、第六実施例では、第五実施例と同じ第一支軸35a(爪先関節軸21)周りの回転角を得るために能動軸43周りの回転角が大きく回転していることが分かり、言い換えれば、能動軸43周りの回転速度に対して第一支軸35a(爪先関節軸21)周りの回転速度を減速することが可能であることが分かる。すなわち、『能動軸43と第三支軸35cを結ぶ線分の長さが、第一支軸35aと第二支軸35bを結ぶ線分の長さよりも短い四節リンク機構』により、能動軸43を入力として第一支軸35aを出力とする四節リンク機構に減速機能を持たせることが可能であることが分かる。第五実施例と第六実施例で、同じアクチュエータ41を採用して、爪先関節軸21周りに同じトルクを発生させようとした場合に、精密減速装置42の出力軸43周りでのトルクは第五実施例に比べ第六実施例の方が小さいトルクで済むため、その結果、第五実施例に比べて第六実施例ではより小型な(より径の細い)精密減速装置を採用することが可能であり、より足の厚みを低減することが可能になる。
なお、本明細書ではその説明を省略するが、第六実施例で第五実施例に対して導入したような四節リンク機構の構成を、第四実施例に対して導入することは可能であり、このような四リンク機構の構成方法により第四実施例の足の厚みをより低減することが可能になる。
(第七実施例)
図29(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第7の態様に基づき実現した、この発明の第七実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図30は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図31は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。更に図32(a),(b)および(c)は、上記人間型ロボット用脚(左脚)が具える上記第七実施例の人間型歩行ロボット用足(左脚用足)を図29(a)中の矢印eye-Gに沿う方向から見た側面図で、それぞれ爪先が持ち上がった姿勢の側面図、爪先側足裏面と踵側足裏面が同一平面にある姿勢の側面図および爪先を下げた姿勢の側面図である。図5および図17から図28と同じ符号については同じ部材を示している。
本発明の第七実施例と、第五実施例との相違点は、アクチュエータ41と精密減速装置42の配置位置の関係である。そのため、爪先関節の駆動原理についても第五実施例と同様であるので詳述は省略する。また、踵側足11と爪先側足13の形状の相違は、例示にすぎず、形状の相違についての説明は省略する。以下では、第七実施例で導入しているアクチュエータ41と精密減速装置42の配置位置による役割と効果について説明する。
図29から図32に示すように、第七実施例では、精密減速装置42を、踵側足11と足首関節50との接合部を挟んで爪先関節側に配置するとともに、アクチュエータ41を、踵側足11と足首関節50との接合部を挟んで踵側に配置し、精密減速装置42とアクチュエータ41が、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前後に離れて配置されている。また、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、プーリ44a,44bとタイミングベルト44cにより構成される伝達機構で駆動結合している。
このように精密減速装置42とアクチュエータ41を、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前後に離れて配置したことにより、足首関節の関節軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)、特に足首関節ピッチ軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)を軽減できるため、第五実施例の効果に加え、より高速な足の運動を実現することが可能になる。
また、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで後側である踵周辺は、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前側である足甲周辺に比べ、空間的に広いスペースがあるため、より大きいアクチュエータ41を採用することが可能である。そのため、第五実施例の効果に加え、より高速な爪先の運動を実現することも可能になる。
なお、本明細書ではその説明を省略するが、第六実施例で第五実施例に対して導入したような四節リンク機構の構成を、第七実施例に対して導入することは可能であり、このような四リンク機構の構成方法により第七実施例の足の厚みをより低減することが可能になる。
(第八実施例)
図33(a),(b),(c)および(d)は、この発明の人間型歩行ロボット用足の第8の態様に基づき実現した、この発明の第八実施例の足(左脚用足)を備える人間型ロボット用脚(左脚)を示す平面図、正面図、側面図および底面図である。また図34は、 上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す左前方から見た傾斜図である。加えて図35は、上記人間型ロボット用脚(左脚)を示す右前方から見た傾斜図である。図5および図17から図32と同じ符号については同じ部材を示している。
本発明の第八実施例と、第七実施例との第1の相違点は、爪先関節軸21の配置されている向きであり、第七実施例では爪先関節軸21は左右方向に向かう向きに配置されているのに対し、第八実施例では爪先関節軸21は右後方から左前方に向かう方向または左後方から右前方に向かう方向に配置されている。第八実施例の爪先関節軸21の配置による効果に関しては、第四実施例と同様であるので、ここではその詳述を省略する。また、本発明の第八実施例と、第七実施例との第2の相違点は、アクチュエータ41と精密減速装置42の配置位置の間の伝達機構である。以下では、第八実施例で導入しているアクチュエータ41と精密減速装置42の配置位置の間の伝達機構について説明を行い、第八実施例について説明する。なお、爪先関節の駆動原理についても第七実施例と同様であるので詳述は省略する。
図33から図35に示すように、第八実施例では、第七実施例と同様に、精密減速装置42を、踵側足11と足首関節50との接合部を挟んで爪先関節側に配置するとともに、アクチュエータ41を、踵側足11と足首関節50との接合部を挟んで踵側に配置し、精密減速装置42とアクチュエータ41が、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前後に離れて配置されている。
アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素の間に、べベルギヤ伝達機構46を導入し、アクチュエータ41の出力回転軸と精密減速装置42の入力回転軸の軸方向の向きに角度を付けている。具体的には、アクチュエータ41の出力軸にはプーリ44aが取り付けられており、べベルギヤ伝達機構46の入力軸にはプーリ44dが取り付けられている。これらプーリ44a,44dにはタイミングベルト44cが巻かれている。すなわち、アクチュエータの出力要素とべベルギヤ伝達機構46の入力要素を、プーリ44a,44dとタイミングベルト44cにより構成される伝達機構で駆動結合している。また、べベルギヤ伝達機構46内では、その入力軸にはべベルギヤ46aが結合しており、べベルギヤ伝達機構46の入力トルクは中間べベルギヤ46cを介して、べベルギヤ伝達機構46の出力軸に結合されたべベルギヤ46bに伝達される。また、べベルギヤ伝達機構46の出力軸は直接、精密減速装置42の入力軸に結合されている。従って、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素を、プーリ44a,44dとタイミングベルト44cにより構成される伝達機構と歯車により構成される伝達機構(べベルギヤ46a,46b,46cを用いたべベルギヤ伝達機構46)を組み合わせた伝達機構で駆動結合している。精密減速装置42の出力要素には、主能動リンク34aをその両端部のうち一端部を精密減速装置42の出力軸である能動軸43回りに能動的に回転するように結合している。すなわち、アクチュエータ41を駆動することにより主能動リンク34aを能動軸43周りに一自由度で回動させることができる。
このように、アクチュエータ41の出力要素と精密減速装置42の入力要素の間に、べベルギヤ伝達機構46を導入している第八実施例においても、アクチュエータ41を駆動すると、主能動リンク34aが能動軸43周りに回動し、連結リンク34cが押し引きされ、踵側足11に対し爪先側足13を第一支軸35a周りに一自由度で回動させることができる。すなわち、第一支軸35aが爪先関節軸21となり、アクチュエータ41を駆動することにより爪先関節20の角度を能動的に駆動することができ、人間の足の動作に類似した動作を実現することが可能になっている。
第八実施例では、このように精密減速装置42とアクチュエータ41を、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前後に離れて配置したことにより、足首関節の関節軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)、特に足首関節ピッチ軸周りの足のイナーシャ(踵側足のイナーシャと爪先側足のイナーシャ)を軽減できるため、第七実施例の効果と同様、第五実施例の効果に加え、より高速な足の運動を実現することが可能になる。
また、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで後側である踵周辺は、踵側足11と足首関節50との接合部である足首基台45を挟んで前側である足甲周辺に比べ、空間的に広いスペースがあるため、より大きいアクチュエータ41を採用することが可能である。そのため、第七実施例の効果と同様、第五実施例の効果に加え、より高速な爪先の運動を実現することも可能になる。
図36は、第八実施例により実現した人間型ロボット用脚を右脚用と左脚用の2つを備え、それぞれが胴体に結合された人間型歩行ロボットにおいて、その左脚用の足と右脚用の足を示す平面図である。この図36に示すように、右脚用の前記爪先関節軸21Rは右後方から左前方に向かう方向に配置されているとともに、左脚用の前記爪先関節軸21Lは左後方から右前方に向かう方向に配置されている。このように爪先関節軸21Rと21Lを配置することにより、右脚用の爪先側足を接地した状態で右脚用の爪先関節を駆動すると右脚、特に右脚の踵と右脚の足首が左脚から遠ざかる方向に可動し、またその逆に、左脚用の爪先側足を接地した状態で左脚用の爪先関節を駆動すると左脚、特に左脚の踵と左脚の足首が右脚から遠ざかる方向に可動するため、人間の脚による動作により類似した動作を実現できるとともに、左右脚の干渉が回避された歩行動作を実現することが可能になる。
図37(a),(b),(c)および(d)は、図4(b),図16(b),図24(b)および図28(b)に示す人間型歩行ロボット用足の側面図に、その側面形状を比較するために人間の足の側面輪郭形状に類似した外形線を重ね合わせた図である。
図4(b)を再掲した図37(a)と図16(b)を再掲した図37(b)を見比べて分かるように、アクチュエータの出力トルクを増幅する精密減速装置の出力軸が直接爪先関節軸となる人間型歩行ロボット用足[図4(b)を再掲した図37(a)]に比べ、第三実施例の人間型歩行ロボット用足[図16(b)を再掲した図37(b)]の爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みが抑えられており、第三実施例においてはより人間に近いプロポーションの足が実現できている。
また、図4(b)を再掲した図37(a)と図24(b)を再掲した図37(c)を見比べて分かるように、アクチュエータの出力トルクを増幅する精密減速装置の出力軸が直接爪先関節軸となる人間型歩行ロボット用足[図4(b)を再掲した図37(a)]に比べ、第五実施例の人間型歩行ロボット用足[図24(b)を再掲した図37(c)]の爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みが抑えられており、第五実施例においてもより人間に近いプロポーションの足が実現できている。
加えて、図4(b)を再掲した図37(a)と図28(b)を再掲した図37(d)を見比べて分かるように、アクチュエータの出力トルクを増幅する精密減速装置の出力軸が直接爪先関節軸となる人間型歩行ロボット用足[図4(b)を再掲した図37(a)]に比べ、第六実施例の人間型歩行ロボット用足[図28(b)を再掲した図37(d)]の爪先側足の厚みと爪先関節周辺の厚みが抑えられていることが分かる。更に、図24(b)を再掲した図37(c)と図28(b)を再掲した図37(d)を見比べて分かるように、第五実施例に比べ、第六実施例の足の厚みをより抑えることができ、第五実施例に比べ第六実施例においては更により人間に近いプロポーションの足が実現できている。
図37では、第三実施例と第五実施例と第六実施例を例示したが、第一実施例及び第二実施例及び第四実施例及び第七実施例及び第八実施例においても、上記してきた実施例と図面に示すごとく、アクチュエータの出力トルクを増幅する精密減速装置の出力軸が直接爪先関節軸となる人間型歩行ロボット用足[図4(b)を再掲した図37(a)]に比べ、より人間に近いプロポーションの足が実現できている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形し、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項の組み合わせを限定させるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。