以下、実施形態の一例について図面を参照しつつ説明する。
[装置構成]
まず、各実施形態に係るデータ収集システム100の構成の一例について図1を用いて説明する。
図1に示すように、データ収集システム100は、圃場などに固定して配置された複数のセンサ端末Sと、移動端末10とを有する。移動端末10は、センサ端末Sと無線通信を行い、当該センサ端末Sにより計測されたデータを取得してサーバ20へ送信する。図1において、矢印は、データの送受信(以下、単に「データ通信」と称することもある)の流れを示している。
図2(a)はセンサ端末Sの構成の一例を示し、図2(b)は移動端末10の構成の一例を示している。
センサ端末Sは、無線通信部31と、制御部32と、記憶部33と、センサ部34とを有する。無線通信部31は、Bluetoothなどの近距離無線通信を行うための機能を有する。制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部33は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリである。センサ部34は、センサ端末Sの外部環境を計測する温度センサなどのセンサである。制御部32は、センサ部34によって計測されたデータを記憶部33に記憶させる。また、移動端末10とセンサ端末Sとが無線通信可能な状態となったときに、制御部32は、記憶部33に記憶されたデータを、無線通信部31を介して移動端末10へ送信する。
移動端末10は、無線通信部41と、制御部42と、記憶部43とを有する。無線通信部41は、Bluetoothなどの近距離無線通信を行うための機能を有する。制御部42は、例えばCPUであり、記憶部43は、例えばRAMなどのメモリである。制御部42は、無線通信部41を介して、センサ端末Sよりデータを受信するとともに、受信したデータを記憶部43へ記憶する。また、移動端末10は、3G(3rd Generation)方式などでサーバ20と通信を行うための通信部(不図示)を有し、制御部42は、当該通信部を介して、記憶部43へ記憶したデータをサーバ20へ送信する。
上述のデータ収集システム100では、複数のセンサ端末Sによって計測されたデータは、移動端末10によって一旦収集された後、当該移動端末10によってサーバ20に送信される。
ここで、複数のセンサ端末Sからデータを収集するデータ収集方法の一例を図3(a)、(b)を用いて具体的に説明する。
図3に示すデータ収集方法では、移動端末10を所持したユーザが移動することで複数のセンサ端末Sからデータを収集する。
図3に示す例では、複数のセンサ端末Sとして、センサ端末Sa、Sb、Sc、Sd、Seが圃場などに配置されている。なお、以下では、複数のセンサ端末Sを示す場合には、英小文字を用いてまとめて示すことがある。例えば、センサ端末Sa、Sb、Scを示す場合には、センサ端末Sa−cまたはセンサ端末Sa、b、cのように示す。
まず、図3(a)〜(c)に示すデータ収集方法について説明する。図3(a)〜(c)に示すデータ収集方法では、移動端末10を所持したユーザが各センサ端末Sに1つ1つ近づいていくことで、移動端末10が各センサ端末Sよりデータを収集していく。例えば、最初に、ユーザはセンサ端末Saに近づき、移動端末10とセンサ端末Saとの間の距離が無線通信可能な距離となったときに、移動端末10は、センサ端末Saとデータ通信を行い、センサ端末Saで計測されたデータを取得する(図3(a))。次に、ユーザはセンサ端末Sbに近づき、移動端末10とセンサ端末Sbとの間の距離が無線通信可能な距離となったときに、移動端末10は、センサ端末Sbとデータ通信を行い、センサ端末Sbで計測されたデータを取得する(図3(b))。続いて、ユーザはセンサ端末Scに近づき、移動端末10とセンサ端末Scとの間の距離が無線通信可能な距離となったときに、移動端末10は、センサ端末Scとデータ通信を行い、センサ端末Scで計測されたデータを取得する(図3(c))。これにより、移動端末10は、センサ端末Sa−cのそれぞれで計測されたデータを取得する。
次に、図3(d)に示すデータ収集方法について説明する。図3(d)に示すデータ収集方法では、移動端末10を所持したユーザは、データ収集のため、移動端末10が全てのセンサ端末Sa−eと無線通信可能となるような位置に移動している。移動端末10と全てのセンサ端末Sa−eとの間で無線通信可能となるような位置にユーザが移動したときに、移動端末10は、圃場の全てのセンサ端末Sa−eとデータ通信を行い、センサ端末Sa−eのそれぞれで計測されたデータを取得する。
しかしながら、図3に示すデータ収集方法ではどちらも、データ収集のために、ユーザは、移動端末10と各センサ端末Sとの間で無線通信可能となるような位置にわざわざ移動している。つまり、図3に示すデータ収集方法では、ユーザは、データ収集を意識せずに、例えば他の作業をしながら、全てのセンサ端末Sa−eのそれぞれで測定されたデータを移動端末10に収集させることが難しい。
そこで、各実施形態に係るデータ収集システム100では、センサ端末Sの無線通信部31は、移動端末10とデータ通信を行う機能に加え、他のセンサ端末Sとデータ通信を行う機能を有することとする。つまり、センサ端末S間でデータの送受信が行われるものとする。そして、所定のセンサ端末Sが移動端末10と無線通信可能となった場合には、当該所定のセンサ端末Sの制御部32は、自己のセンサ部34で計測されたデータと、他のセンサ端末Sより受信したデータとを移動端末10に送信することとする。
このようにすることで、移動端末10と無線通信可能となったセンサ端末Sを介して、当該センサ端末S以外の他のセンサ端末Sで計測されたデータを移動端末10に送信することが可能となる。例えば、図3(c)の例でいうと、センサ端末Scが移動端末10と無線通信可能となった場合には、センサ端末Sa、b、d、eのぞれぞれで計測されたデータは、センサ端末Scを介して移動端末10に送信される。つまり、全てのセンサ端末Sa−eのうち、いずれか1つのセンサ端末Sと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離となれば、移動端末10は、当該1つのセンサ端末Sを介して、全てのセンサ端末Sa−eで計測されたデータを受信することができる。これにより、ユーザは他の作業をしながら、全てのセンサ端末Sa−eで計測されたデータを移動端末10に収集させることができ、作業全体の効率を向上させることができる。以下、各実施形態に係るデータ収集方法について具体的に説明する。なお、以下の各実施形態に係るデータ収集方法は、例えば、各センサ端末Sの制御部32が記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態に係るデータ収集方法について説明する。第1実施形態に係るデータ収集方法では、移動端末10と無線通信可能な状態になったセンサ端末Sが、他の全てのセンサ端末Sに対してデータ要求を行い、当該他の全てのセンサ端末Sよりデータを受信して移動端末10に送信する。以下、図4を用いて具体的に説明する。
図4は、第1実施形態に係るデータ収集方法の一例を示す図である。図4では、センサ端末Saで計測されたデータをDaとし、センサ端末Sbで計測されたデータをDbとし、センサ端末Scで計測されたデータをDcとし、センサ端末Sdで計測されたデータをDdとし、センサ端末Seで計測されたデータをDeとして示す。また、図4において、破線は互いに無線通信可能なセンサ端末間を示し、実線矢印はデータ通信の流れを示している(以下、図6、図8、図10、図11、図17、図19にて同じ)。図4に示す例では、互いに隣接するセンサ端末S間でデータ通信が行われる。なお、以下では、複数のデータを示す場合には、英小文字を用いてまとめて示すことがある。例えば、データDa、Db、Dcを示す場合には、データDa−cまたはデータDa、b、cのように示す。
図4(a)に示すように、当初、全センサ端末Sa−eはそれぞれ、各自で計測されたデータを記憶している。即ち、センサ端末SaはデータDaを記憶し、センサ端末SbはデータDbを記憶し、センサ端末ScはデータDcを記憶し、センサ端末SdはデータDdを記憶し、センサ端末SeはデータDeを記憶している。
図4(b)に示すように、移動端末10がセンサ端末Scに近づき、センサ端末Scと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Scは、移動端末10からのデータ要求を基に、他のセンサ端末Sa、Sb、Sd、Seに対しデータ要求を行う。図4(b)に示す例では、センサ端末Scは、全てのセンサ端末Sとデータ通信可能なセンサ端末Sbを介して、センサ端末Sa、Sd、Seに対しデータ要求を行う。
図4(c)に示すように、他のセンサ端末Sa、Sb、Sd、Seは、センサ端末Scよりデータ要求を受信するとそれぞれ、各自で計測されたデータをセンサ端末Scに送信する。図4(c)に示す例では、センサ端末Sa、Sd、Seはそれぞれ、データDa、Dd、Deを、センサ端末Sbを介して、センサ端末Scに送信する。具体的には、センサ端末Sa、Sd、Seはそれぞれ、データDa、Dd、Deをセンサ端末Sbに送信し、センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dd、Deをそのままセンサ端末Scに送信するとともに、自己で計測されたデータDbをセンサ端末Scに送信する。センサ端末Scは、受信したデータDa、Db、Dd、Deを移動端末10にそのまま送信するとともに、自己で計測されたデータDcを移動端末10に送信する。このようにすることで、移動端末10は、1つのセンサ端末Scを介して、全データDa−eを取得することができる。
上述の第1実施形態に係るデータ収集方法について図5に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態となると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末Scよりデータ要求を受信すると、センサ端末Sa、Sb、Sd、Seに対しデータ要求を送信する。
センサ端末Sa、Sb、Sd、Seは、センサ端末Scからのデータ要求を受信するとそれぞれ、データDa、Db、Dd、Deをセンサ端末Scに送信する。センサ端末Scは、受信したデータDa、Db、Dd、Deを移動端末10に送信するとともに、自己のデータDcを移動端末10に送信する。つまり、センサ端末Scは、全データDa−eを移動端末10に送信する。これにより、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
以上に述べたように、第1実施形態では、センサ端末Scは、移動端末10と無線通信可能な状態となったときに、センサ端末Sa、Sb、Sd、Seにデータ要求を行うことで、データDa、Db、Dd、Deを取得して移動端末10に送信する。このようにすることで、移動端末10は、1つのセンサ端末Scを介して、全データDa−eを取得することができる。ここで、センサ端末Sa−eにおいて、各センサ端末Sは、他のセンサ端末Sから受信したデータを自己の記憶部33に記憶せずに、別の他のセンサ端末Sまたは移動端末10に送信する。これにより、各センサ端末Sの記憶部33は、データを記憶するための容量(以下、「データ記憶容量」と称する)として、各自で計測されたデータを記憶する1データ分の容量を有してさえいれば良いことになる。つまり、第1実施形態では、各センサ端末Sの記憶部33の容量を最小限にすることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るデータ収集方法について説明する。第2実施形態に係るデータ収集方法では、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを予め記憶している。以下、図6を用いて具体的に説明する。
図6は、第2実施形態に係るデータ収集方法の一例を示す図である。
図6(a)に示すように、当初、全センサ端末Sa−eはそれぞれ、各自で計測されたデータを記憶している。即ち、センサ端末SaはデータDaを記憶し、センサ端末SbはデータDbを記憶し、センサ端末ScはデータDcを記憶し、センサ端末SdはデータDdを記憶し、センサ端末SeはデータDeを記憶している。
次に、図6(b)に示すように、互いに隣接するセンサ端末S間でデータの送受信が行われる。図6(b)に示す例では、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbに対し、センサ端末Sa、Sc、Sd、SeよりデータDa、Dc、Dd、Deが送信される。センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dc、Dd、Deを記憶する。このとき、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信し、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、それぞれ、受信した全データDa−eを記憶する。これにより、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶することになる。
図6(c)に示すように、移動端末10がセンサ端末Scに近づき、センサ端末Scと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Scは、移動端末10からのデータ要求を基に、移動端末10に対し全データDa−eを送信する。このようにすることで、移動端末10は、1つのセンサ端末Scより全データDa−eを取得することができる。
図6(d)に示すように、センサ端末Scは、全データDa−eを移動端末10に送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除するとともに、全データDa−eのデータ削除要求を他のセンサ端末Sa、b、d、eに送信する。具体的には、センサ端末Scは、データ削除要求をセンサ端末Sbに送信し、センサ端末Sbは、当該データ削除要求をセンサ端末Sa、d、eに送信する。センサ端末Sa、b、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除する。これにより、各センサ端末Sにおいて、移動端末10への送信が完了して記憶することが不要となったデータを記憶部33より消去することができ、記憶部33の空き容量を増加させることができる。
上述の第2実施形態に係るデータ収集方法について図7に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、センサ端末Sbよりデータ要求を受信すると、各自によって計測されたデータDa、Dc、Dd、Deをセンサ端末Sbに送信する。センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dc、Dd、Deを記憶する。これにより、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。
次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信し、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、受信した全データDa−eを記憶する。これにより、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶することになる。
移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態になると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末Scよりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、全データDa−eを送信する。これにより、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
センサ端末Scは、移動端末10に対し全データDa−eを送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除するとともに、センサ端末Sbに対しデータ削除要求を送信する。センサ端末Sbは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除するとともに、センサ端末Sa、d、eに対し、データ削除要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除する。
以上に述べたように、第2実施形態では、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを予め記憶している。これによっても、移動端末10は、1つのセンサ端末Sを介して、全データDa−eを取得することができる。また、第2実施形態によれば、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが全データDa−eを記憶しているので、移動端末10と無線通信可能となったセンサ端末Sは、他のセンサ端末Sとデータ通信を行わずに済む。従って、第1実施形態と比較して、第2実施形態では、移動端末10は、どのセンサ端末Sに近づいても、全データDa−eを早期に取得することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るデータ収集方法について説明する。第3実施形態に係るデータ収集方法では、互いに隣接するセンサ端末Sが、全データDa−eを分散して記憶する。以下、図8を用いて具体的に説明する。
図8は、第3実施形態に係るデータ収集方法の一例を示す図である。
図8(a)に示すように、当初、全センサ端末Sa−eはそれぞれ、各自で計測されたデータを記憶している。即ち、センサ端末SaはデータDaを記憶し、センサ端末SbはデータDbを記憶し、センサ端末ScはデータDcを記憶し、センサ端末SdはデータDdを記憶し、センサ端末SeはデータDeを記憶している。
次に、図8(b)に示すように、互いに隣接するセンサ端末S間でデータの送受信が行われる。図8(b)に示す例では、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbに対し、センサ端末Sa、Sc、Sd、SeよりデータDa、Dc、Dd、Deが送信される。センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dc、Dd、Deを記憶する。このとき、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信する。
センサ端末Sa−eはそれぞれ、全データDa−eのうち、必要なデータを記憶する。ここで、必要なデータは、互いに隣接する2つのセンサ端末Sに記憶されたデータを全て合わせたときに、全データDa−eが揃うように決められる。つまり、互いに隣接する2つのセンサ端末Sは、全データDa−eを分散して記憶する。例えば、センサ端末Saは、自己で計測されたデータDaに加え、データDc、eを記憶する。センサ端末Sbは、自己で計測されたデータDbに加え、データDd、eを記憶する。センサ端末Scは、自己で計測されたデータDcに加え、データDa、eを記憶する。センサ端末Sdは、自己で計測されたデータDdに加え、データDb、eを記憶する。センサ端末Seは、自己で計測されたデータDeに加え、データDb、dを記憶する。このようにすることで、センサ端末Saに記憶されたデータDa、c、eとセンサ端末Sbに記憶されたデータDb、d、eとをあわせると、全データDa−eが揃うことになる。また、センサ端末Scに記憶されたデータDa、c、eとセンサ端末Sbに記憶されたデータDb、d、eとをあわせると、全データDa−eが揃うことになる。同様に、センサ端末Sa、dに記憶されたデータを合わせると、全データDa−eが揃うことになり、センサ端末Sc、eに記憶されたデータを合わせると、全データDa−eが揃うことになる。
図8(c)に示すように、移動端末10がセンサ端末Scに近づき、センサ端末Scと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Scは、移動端末10からのデータ要求を基に、移動端末10に対しデータDa、c、eを送信する。このようにすることで、移動端末10は、センサ端末Scを介して、データDa、c、eを取得することができる。次に、図8(d)に示すように、センサ端末Scは、隣接するセンサ端末Sbに対してデータ要求を行い、データDb、d、eをセンサ端末Sbより受信する。そして、センサ端末Scは、受信したデータDb、d、eを移動端末10に送信する。このようにすることで、移動端末10は、1つのセンサ端末Scを介して、全データDa−eを取得することができる。
上述の第3実施形態に係るデータ収集方法について図9に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、センサ端末Sbよりデータ要求を受信すると、各自によって計測されたデータDa、Dc、Dd、Deをセンサ端末Sbに送信する。センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dc、Dd、Deを記憶する。これにより、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。
次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信する。そして、各センサ端末Sは、必要なデータを記憶する。具体的には、互いに隣接する2つのセンサ端末Sは、全データDa−eを分散して記憶する。例えば、センサ端末ScはデータDa、c、eを記憶し、センサ端末SbはデータDb、d、eを記憶する。また、センサ端末SaはデータDa、c、eを記憶し、センサ端末SdはデータDb、d、eを記憶し、センサ端末SeはデータDb、d、eを記憶する。
移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態となると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末Scよりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、データDa、c、eを送信する。
次に、センサ端末Scは、センサ端末Sbに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sbは、データ要求を受信すると、データDb、d、eをセンサ端末Scに送信する。センサ端末Scは、受信したデータDb、d、eを移動端末10に送信する。これにより、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
センサ端末Scは、移動端末10に対し全データDa−eを送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除するとともに、センサ端末Sbに対しデータ削除要求を送信する。センサ端末Sbは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除するとともに、センサ端末Sa、d、eに対し、データ削除要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除する。
以上に述べたように、第3実施形態では、互いに隣接するセンサ端末Sが、全データDa−eを分散して記憶している。先に述べた第2実施形態では、各センサSの記憶部33は全データDa−eの5データ分のデータ記憶容量を有することを前提としていたが、第3実施形態では、各センサ端末Sの記憶部33はデータDa、c、e(またはデータDb、d、e)の3データ分のデータ記憶容量を有すればよい。つまり、第2実施形態と比較して、第3実施形態では、各センサ端末Sの記憶部33のデータ記憶容量を減少させることができる。また、第3実施形態では、移動端末10と通信可能になったセンサ端末Scは、全データDa−eに足りない分のデータを隣接する他の1つのセンサ端末Sbから取得している。このようにすることで、他の全てのセンサ端末Sからデータを取得する第1実施形態と比較して、移動端末10にデータを送信する際の送信時間を短縮することができる。
なお、互いに隣接するセンサ端末Sが、全データDa−eを分散して記憶する方法としては、図8に示すものには限られない。このようにする代わりに、以下に述べる図10に示すような方法で全データDa−eを分散して記憶させるとしても良い。
図10(a)〜(d)は、第3実施形態の変形例を示す図である。
図10(a)に示す例では、所定のセンサ端末Sと、当該所定のセンサ端末Sに隣接する2つの他のセンサ端末Sとの3つのセンサで全データDa−eを揃える例を示している。図10(a)に示す例では、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータを記憶するとともに、他のセンサ端末Sで計測されたデータを1つ記憶している。例えば、センサ端末SaはデータDa、cを記憶し、センサ端末ScはデータDa、cを記憶し、センサ端末SdはデータDd、eを記憶し、センサ端末SeはデータDd、eを記憶している。センサ端末Sbは自己のデータDbだけを記憶している。この場合、移動端末10と無線通信可能となったセンサ端末Sが、その近傍の2つの他のセンサ端末Sとデータ通信を行うことにより、当該移動端末10は全データDa−eを取得することができる。
図10(b)に示す例では、6つのセンサ端末Sa−fが配置された場合の例を示している。図10(b)に示す例においても、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータを記憶するとともに、他のセンサ端末Sで計測されたデータを1つ記憶している。例えば、センサ端末Saは、データDa、dを記憶し、センサ端末SbはデータDb、cを記憶し、センサ端末SeはデータDe、fを記憶している。また、センサ端末Scは、データDc、eを記憶し、センサ端末SdはデータDa、dを記憶し、センサ端末SfはデータDb、fを記憶している。この場合においても、移動端末10と無線通信可能となったセンサ端末Sが、その近傍の2つの他のセンサ端末Sとデータ通信を行うことにより、当該移動端末10は全データDa−eを取得することができる。
図8に示した例では、各センサ端末Sの記憶部33は3データ分のデータ記憶容量を有することを前提としていたが、図10(a)、(b)に示す例では、各センサ端末Sの記憶部33は2データ分のデータ記憶容量で済む。つまり、図8に示した例と比較して、図10(a)、(b)に示す例では、データ記憶容量を減少させることができる。
図10(c)は、センサ端末Sbとセンサ端末Sa、c、d、eとの間でのみデータ通信可能となっており、その場合には、各センサ端末Sの記憶部33が2データ分のデータ記憶容量では、隣接するセンサ端末では全データが揃わない例である。すなわち、図10(a)と比べて図10(c)では、センサ端末Saとセンサ端末Sd間、および、センサ端末Scとセンサ端末Se間では無線通信できない。この場合、図10(a)と同様に、センサ端末SaはデータDa、cを記憶し、センサ端末SbはデータDb、eを記憶し、センサ端末ScはデータDa、cを記憶し、センサ端末SdはデータDd、eを記憶し、センサ端末SeはデータDd、eを記憶しているとすると、隣接するセンサのみでは全データを揃えることができない。例えば、移動端末10がセンサ端末Scと通信可能となった場合、センサ端末ScにはデータDa、cが、隣接するセンサ端末SbにはデータDb、eがあるため、両方合わせてもデータDa、b、c、eとなり、データDbが足りない。すなわち、センサ端末Seはセンサ端末Scには隣接していなため、センサ端末Scが記憶しているデータDdを揃えることができない。このようなネットワーク構成の場合には、図10(d)に示すように、各センサ端末Sの記憶部33を3データ分のデータ記憶容量を有するようにすれば解決できる。
図10(d)は、図8に示したのと同様に、互いに隣接する2つのセンサ端末Sが、全データDa−eを分散して記憶している。例えば、センサ端末SaはデータDa、c、dを記憶し、センサ端末SbはデータDb、d、eを記憶し、センサ端末ScはデータDa、c、eを記憶している。また、センサ端末SdはデータDa、c、dを記憶し、センサ端末SeはデータDa、c、dを記憶している。例えば、移動端末がセンサ端末Scと通信可能となった場合、センサ端末ScにはデータDa、c、eが、隣接するセンサ端末SbにはデータDb、d、eがあるため、両方合わせることで全データDa−eを揃えることができる。これによっても、図8で述べたのと同様に、移動端末10と通信可能になったセンサ端末Sは、全データDa−eに足りない分のデータを隣接する他の1つのセンサ端末Sから取得することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るデータ収集方法について説明する。
上述の第1乃至第3実施形態に係るデータ収集方法を見てみると、あるデータにつき、記憶させるセンサ端末Sの数を変化させていることが分かる。例えば、データDaについて見てみると、第1実施形態では1つのセンサ端末Saに記憶され、第2実施形態では5つのセンサ端末Sa−eに記憶され、第3実施形態では2つのセンサ端末Sa、cに記憶されている。また、あるデータにつき、記憶されるセンサ端末Sの数が多くなるほど、移動端末10と無線通信可能となったセンサ端末Sが当該データを記憶している可能性が高まる。つまり、あるデータにつき、記憶されるセンサ端末Sの数が多くなるほど、当該データを移動端末10に送信するときの送信時間は短くなり、移動端末10による当該データの取得確率が高まる。
そこで、第4実施形態に係るデータ収集方法では、データの計測時刻に応じて、当該データを記憶させるセンサ端末Sの数を変化させることとする。具体的には、計測時刻が早いデータほど、即ち、古いデータほど、記憶させるセンサ端末Sの数を多くする。逆に言うと、計測時刻が遅いデータほど、即ち、新しいデータほど、記憶させるセンサ端末Sの数を少なくする。これは、時系列的に計測されたデータについて、移動端末10が取得したデータに抜けが生じるのを防ぐ観点から、古いデータほど、移動端末10に優先的に送信するのが好適だからである。逆に言うと、新しいデータほど、移動端末10に送信するのは別の機会でも良いからである。以下、図11を用いて具体的に説明する。
図11は、第4実施形態に係るデータ収集方法の一例を示す図である。各データの数字部分は、計測された時刻を示している。全センサ端末Sa−eは、時刻t1、t2、t3のそれぞれでデータの計測を行う。例えば、センサ端末Saにより計測されたデータDaについて、データDa1が最も計測時刻が早い時刻t1に計測されたデータである。データDa2が時刻t1の後の時刻t2に計測されたデータであり、データDa3が時刻t2の後の時刻t3に計測されたデータである。なお、以下において、複数の計測時刻で計測されたデータについて、数字を用いてまとめて示すことがある。例えば、時刻t1に計測されたデータDa1、Db1、Dc1をまとめて示す場合には、データDa1、b1、c1またはデータDa1−c1のように示す。また、例えば、時刻t1から時刻t3までにセンサ端末Saによって計測されたデータDa1、Da2、Da3をまとめて示す場合には、データDa1、2、3またはデータDa1−3のように示す。さらに、計測時刻を区別しない場合には、数字を省略して示すことがある。例えば、データDa1、データDa2、データDa3について計測時刻を区別しない場合には、単にデータDaと示す。
図11(a)に示すように、最も計測時刻が早い時刻t1に計測されたデータDa1−e1は、全センサ端末Sa−eのいずれにも記憶される。
図11(b)に示すように、時刻t2に計測されたデータDa2−e2は、互いに隣接するセンサ端末S間で分散して記憶される。例えば、センサ端末Sa、cにはそれぞれ、データDa2、c2、e2が記憶され、センサ端末Sb、d、eにはそれぞれ、データDb2、d2、e2が記憶される。つまり、各センサ端末Sには、時刻t2に計測されたデータDa2−e2のうち、半分のデータが記憶される。
図11(c)に示すように、時刻t3に計測されたデータDa3−e3は、それぞれ計測したセンサ端末Sが記憶する。つまり、センサ端末SaはデータDa3を記憶し、センサ端末SbはデータDb3を記憶し、センサ端末ScはデータDc3を記憶し、センサ端末SdはデータDd3を記憶し、センサ端末SeはデータDe3を記憶する。
このように、計測時刻が早いデータほど、記憶させるセンサ端末Sの数を多くすることにより、計測時刻が早いデータほど、移動端末10に確実に取得させることが可能となる。
上述の第4実施形態に係るデータ収集方法について図12に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、センサ端末Sa、c、d、eとデータ通信可能なセンサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、c、d、eは、センサ端末Sbよりデータ要求を受信すると、各自によって計測されたデータDa、c、d、eをセンサ端末Sbに送信する。センサ端末Sbは、受信したデータDa、Dc、Dd、Deを記憶する。これにより、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。そして、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eに対し、全データDa−eを配信する。
各センサ端末Sは、全データDa−eのうち、必要なデータのみを記憶する。例えば、時刻t1に計測されたデータDa1−e1については、各センサ端末Sは全データDa1−e1を記憶する。時刻t2に計測されたデータDa2−e2については、各センサ端末Sは半分のデータを記憶する。例えば、センサ端末SaはデータDa2、c2、e2を記憶し、センサ端末SbはデータDb2、d2、e2を記憶し、センサ端末ScはデータDa2、c2、e2を記憶する。また、センサ端末SdはデータDb2、d2、e2を記憶し、センサ端末SeはデータDb2、d2、e2を記憶する。時刻t3に計測されたデータDa3−e3については、各センサ端末Sは各自で計測されたデータのみを記憶する。
移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態となると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末Scよりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、データDa1−e1を送信する。これにより、移動端末10は、時刻t1で計測された全データDa1−e1を取得することができる。
次に、センサ端末Scは、移動端末10に対し、データDa2、c2、e2を送信する。その後、センサ端末Scは、隣接する1つのセンサ端末Sbに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sbは、当該データ要求を受信すると、センサ端末Scに対し、データDb2、d2、e2を送信する。センサ端末Scは、受信したデータDb2、d2、e2を移動端末10に送信する。これにより、移動端末10は、時刻t2で計測された全データDa2−e1を取得することができる。
ここで、センサ端末Sbは、データDb2、d2、e2をセンサ端末Scに送信した後、センサ端末Sa、d、eに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、当該データ要求を受信すると、センサ端末Sbに対し、各自で計測されたデータDa3、d3、e3を送信する。センサ端末Sbは、受信したデータDa3、d3、e3をセンサ端末Scに送信するとともに、自己で計測されたデータDb3をセンサ端末Scに送信する。センサ端末Scは、受信したデータDa3、b3、d3、e3を移動端末10に送信するとともに、自己で計測されたデータDc3を移動端末10に送信する。これにより、移動端末10は、時刻t3で計測された全データDa3−e3を取得することができる。
センサ端末Scは、移動端末10に対し全データDa3−e3を送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除するとともに、センサ端末Sbに対しデータ削除要求を送信する。センサ端末Sbは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除するとともに、センサ端末Sa、d、eに対し、データ削除要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除する。
第4実施形態に係るデータ収集方法における各センサ端末Sのデータ蓄積処理について図13に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、センサ端末Sbのデータ蓄積処理について説明する。図13(a)はセンサ端末Sbのデータ蓄積処理を示すフローチャートである。
ステップP101において、センサ端末Sa−eはそれぞれ、データDa−eの計測を行う。そして、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eから、このときに計測されたデータDa、c、d、eを取得する。センサ端末Sbは、取得したデータDa、c、d、eと自己で計測されたデータDbとを含む全データDa−eを他のセンサ端末Sa、c、d、eに配信する。続くステップP102において、センサ端末Sbは、全センサ端末Sで計測された全データDa−eを自己の記憶部33に記憶する。この後、センサ端末Sbは、ステップP103の処理へ進む。
ステップP103において、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶した記憶回数が所定回数以上になったか否かについて判定する。センサ端末Sbは、全データDa−eの記憶回数が所定回数未満になっていると判定した場合には(ステップP103:No)、ステップP101の処理へ戻る。一方、センサ端末Sbは、全データDa−eの記憶回数が所定回数以上になっていると判定した場合には(ステップP103:Yes)、ステップP104の処理へ進む。ここで、所定回数は、予め決められた適合値であり、先に述べた図11、図12に示す例では、所定回数は1回に設定されている(以下の「所定回数」についても同様)。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP101からP103の処理により、時刻t1で計測された全データDa1−e1がセンサ端末Sbに記憶される。
ステップP104において、センサ端末Sa−eはそれぞれ、データDa−eの計測を行う。そして、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eから、このときに計測されたデータDa、c、d、eを取得する。センサ端末Sbは、取得したデータDa、c、d、eと自己で計測されたデータDbとを含む全データDa−eを他のセンサ端末Sa、c、d、eに配信する。続くステップP105において、センサ端末Sbは、全センサ端末Sで新たに計測された全データDa−eのうち、半分のデータを自己の記憶部33に記憶する。この後、センサ端末Sbは、ステップP106の処理へ進む。
ステップP106において、センサ端末Sbは、全データDa−eにおける半分のデータを記憶した記憶回数が所定回数以上になったか否かについて判定する。センサ端末Sbは、記憶回数が所定回数未満になっていると判定した場合には(ステップP106:No)、ステップP104の処理へ戻る。一方、センサ端末Sbは、記憶回数が所定回数以上になっていると判定した場合には(ステップP106:Yes)、ステップP107の処理へ進む。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP104からP106の処理により、時刻t2で計測された全データDa2−e2のうち、データDb2、d2、e2がセンサ端末Sbに記憶される。
ステップP107において、センサ端末Sa−eはそれぞれ、データDa−eの計測を行う。そして、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eから、このときに計測されたデータDa、c、d、eを取得する。ただし、このとき、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eから各自で新たに計測されたデータDa、c、d、eを取得しても、自己で新たに計測されたデータDbのみを記憶する。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP107の処理により、時刻t3で計測された全データDa3−e3のうち、自己で計測されたデータDb3だけがセンサ端末Sbに記憶される。この後、センサ端末Sbは、本データ蓄積処理を終了する。
次に、センサ端末Sb以外のセンサ端末S、即ち、センサ端末Sa、c、d、eのデータ蓄積処理について説明する。図13(b)はセンサ端末Sb以外のセンサ端末Sのデータ蓄積処理を示すフローチャートである。従って、以下の図13(b)のフローチャートの説明において、センサ端末Sといった場合には、センサ端末Sb以外のセンサ端末を示すものとする。
ステップP201において、センサ端末Sは、センサ端末Sbより全データDa−eを受信する。続くステップP202において、センサ端末Sは、全データDa−eを自己の記憶部33に記憶する。この後、センサ端末Sは、ステップP203の処理へ進む。
ステップP203において、センサ端末Sは、全データDa−eの記憶回数が所定回数以上になったか否かについて判定する。センサ端末Sは、全データDa−eの記憶回数が所定回数未満になっていると判定した場合には(ステップP203:No)、ステップP201の処理へ戻る。一方、センサ端末Sは、全データDa−eの記憶回数が所定回数以上になっていると判定した場合には(ステップP203:Yes)、ステップP204の処理へ進む。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP201からP203の処理により、時刻t1で計測された全データDa1−e1がセンサ端末Sに記憶される。
ステップP204において、センサ端末Sは、センサ端末Sbより新たに計測された全データDa−eを受信する。続くステップP205において、センサ端末Sは、新たに計測された全データDa−eのうち、半分のデータを自己の記憶部33に記憶する。この後、センサ端末Sは、ステップP206の処理へ進む。
ステップP206において、センサ端末Sは、全データDa−eにおける半分のデータの記憶回数が所定回数以上になったか否かについて判定する。センサ端末Sは、記憶回数が所定回数未満になっていると判定した場合には(ステップP206:No)、ステップP204の処理へ戻る。一方、センサ端末Sは、記憶回数が所定回数以上になっていると判定した場合には(ステップP206:Yes)、ステップP207の処理へ進む。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP204からP206の処理により、時刻t2で計測された全データDa2−e2のうち、データDa2、c2、e2(又はデータDb2、d2、e2)がセンサ端末Sに記憶される。
ステップP207において、センサ端末Sは、新たに計測された全データDa−eを受信しても、自己で計測されたデータのみを記憶する。先に述べた図11、図12に示す例では、ステップP207の処理により、時刻t3で計測された全データDa3−e3のうち、自己で計測されたデータだけがセンサ端末Sに記憶される。この後、センサ端末Sは、本データ蓄積処理を終了する。
上述のデータ蓄積処理によれば、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻が早いものほど、当該全データDa−eのうち、記憶部33に記憶させるデータの数を多くしている。逆に言うと、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻が遅いものほど、当該全データDa−eのうち、記憶部33に記憶させるデータの数を少なくしている。
以上に述べたように、第4実施形態では、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻に応じて、当該全データDa−eにおける記憶部33に記憶させるデータの数を変化させる。具体的には、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻が早いものほど、当該全データDa−eのうち、記憶部33に記憶させるデータの数を多くする。これにより、計測時刻が早いデータほど、記憶されるセンサ端末Sの数が多くなるので、計測時刻が早いデータほど、移動端末10に確実に取得させることが可能となる。このようにすることで、計測時刻に応じて順序良く移動端末10にデータを取得させることができる。
なお、図11に示す例では、データの計測時刻に応じて、当該データを記憶させるセンサ端末Sの数を変化させるとしているが、さらに加えて、各センサ端末Sの記憶部33の残り容量に応じて、当該データを記憶させるセンサ端末Sの数を変化させるとしても良い。以下、図14を用いて説明する。
図14は、上述のデータ蓄積処理の変形例を示す図であり、互いに隣接するセンサ端末Sa、Sbが一例として記載されている。また、図14において、各センサ端末Sの記憶部33におけるデータ記憶容量は18データであるとする。
まず、時刻t1、t2、t3のそれぞれにおいて、各センサ端末Sはデータの計測を行う。これにより、各センサ端末Sは、計測3回分のデータを記憶部33に記憶することになる。例えば、センサ端末SaはデータDa1−3を記憶し、センサ端末SbはデータDb1−3を記憶し、センサ端末ScはデータDc1−3を記憶する。また、センサ端末SdはデータDd1−3を記憶し、センサ端末SeはデータDe1−3を記憶する。この段階では、各センサ端末Sの記憶部33は、他の全てのセンサ端末Sで計測されたデータを記憶する余裕がある。従って、各センサ端末Sはいずれも、データDa1−3、Db1−3、Dc1−3、Dd1−3、De1−3の15データを記憶する。図14に示す例においても、時刻t3において、センサ端末Sa、Sbはどちらも、データDa1−3、Db1−3、Dc1−3、Dd1−3、De1−3の15データを記憶している。
時刻t4において、各センサ端末Sがデータの計測を行うと、新たにデータDa4−e4の5データが計測される。ここで、データDa4−e4の5データを全てのセンサ端末Sにそれぞれ記憶させることはできない。なぜなら、各センサ端末Sにおけるデータ記憶容量は18データであり、既に15データ分記憶されているからである。そこで、この場合、時刻t3に計測されたデータDa3−e3と時刻t4に計測されたデータDa4−e4とは、互いに隣接するセンサ端末S間で分散して記憶される。具体的には、データDa3−e3とデータDa4−e4とのそれぞれについて、各センサ端末Sは半分のデータを記憶する。例えば、図14に示す例では、センサ端末Saには、データDa3、4とデータDc3、4とデータDe3、4とが記憶され、センサ端末Sbには、データDb3、4とデータDd3、4とデータDe3、4とが記憶される。これにより、各センサ端末Sは、16データを記憶することになる。
時刻t5において、各センサ端末Sがデータの計測を行うと、新たにデータDa5−e5の5データが計測される。ここで、データDa5−e5の5データを全てのセンサ端末Sにさらに記憶させることは、各センサ端末Sにおけるデータ記憶容量を超えるためできない。そこで、この場合、データDa2−e2と、データDa3−e3と、データDa4−e4と、データDa5−e5とは、互いに隣接するセンサ端末S間で分散して記憶される。具体的には、それら時刻の異なる各データのそれぞれについて、各センサ端末Sは半分のデータを記憶する。例えば、図14に示す例では、センサ端末Saには、データDa2−5とデータDc2−5とデータDe2−5とが記憶され、センサ端末Sbには、データDb2−5とデータDd2−5とデータDe2−5とが記憶される。これにより、各センサ端末Sは、17データを記憶することになる。
時刻t6において、各センサ端末Sがデータの計測を行うと、新たにデータDa6−e6の5データが計測される。ここで、各センサ端末Sは、残り1データしか記憶することができない。また、時刻t1に計測された全データDa1−e1については、なるべく早期に移動端末10に送信させるのが好適であるので、記憶されるセンサ端末数は多い方が良い。そこで、この場合には、データDa6−e6について、各センサ端末Sは自己で計測されたデータだけを記憶する。例えば、図14に示す例では、センサ端末Saには、データDa6が記憶され、センサ端末Sbには、データDb6が記憶される。
時刻t7において、各センサ端末Sがデータの計測を行うと、新たにデータDa7−e7の5データが計測される。ここで、各センサ端末Sは、さらなるデータを記憶する容量がない。そこで、この場合には、各センサ端末Sは、隣接するデータ間で分散して記憶されたデータのうち、最新分のデータについて、自己で計測されたデータだけを記憶する。具体的には、各センサ端末Sは、分散して記憶されたデータDa5−De5について、各センサ端末Sは自己で計測されたデータだけを記憶する。その上で、新たなデータDa7−e7について、各センサ端末Sは自己で計測されたデータだけを記憶する。例えば、図14に示す例では、時刻t5から時刻t7までに計測されたデータについて、センサ端末SaはデータDa5−7を記憶し、センサ端末SbはデータDb5−7を記憶する。
以下、時刻t8からt14までの計測においても同様に、各センサ端末Sで計測が行われる度に、各センサ端末Sは、分散して記憶された半分のデータのうち、最新分のものから順に、自己で計測されたデータだけを記憶する。
時刻t15において、各センサ端末Sがデータの計測を行うと、新たにデータDa15−e15の5データが計測される。ここで、各センサ端末Sでは、先に分散して記憶されたデータ全てについて、自己で計測されたデータだけが記憶された状態となっている。そこで、この場合には、各センサ端末Sは、時刻t1に計測された全データDa1−e1について、自己で計測されたデータだけを記憶する。このように、各センサ端末Sがデータを計測し続けると、最終的には、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータだけを記憶することになる。例えば、図14に示すように、時刻t15における計測が終了した段階で、センサ端末SaはデータDa1−15を記憶し、センサ端末SbはデータDb1−15を記憶することになる。
このように図14に示す例では、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻が遅いものほど、かつ、自己の記憶部33の残り容量が少なくなるほど、当該全データDa−eのうち、自己の記憶部33に記憶させるデータの数を少なくしている。これにより、各センサ端末Sの記憶部33の残り容量が少なくなるほど、かつ、計測時刻が遅いデータほど、記憶されるセンサ端末Sの数が少なくなる。このようにすることで、各センサ端末Sの記憶部33の残り容量に応じて、移動端末10に送信する優先順位の低いものから順に、記憶させるセンサ端末Sの数を少なくすることができる。
次に、上述の変形例に係る各センサ端末Sのデータ蓄積処理について図15、16に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップP301において、各センサ端末Sは、新たに計測された全データDa−eを取得する。例えば、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、c、d、eより各自で計測されたデータDa、c、d、eを受信することで、全データDa−eを取得する。一方、センサ端末Sb以外の他のセンサ端末Sは、センサ端末Sbより全データDa−eを受信することで、全データDa−eを取得する。続くステップP302において、各センサ端末Sは全データDa−eを自己の記憶部33に記憶する。この後、各センサ端末Sは、ステップP303の処理へ進む。
ステップP303において、各センサ端末Sは、次に新たに計測される全データDa−eを記憶する上で、自己の記憶部33のデータ記憶容量不足が発生するか否かについて判定する。各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生しないと判定した場合には(ステップP303:No)、ステップP301の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生すると判定した場合には(ステップP303:Yes)、ステップP304の処理へ進む。
ステップP304において、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に記憶されているデータのうち、最新分の全データDa−eを半分に削除する(図14でいうと、例えば時刻t4におけるデータDa3−e3)。ステップP305において、各センサ端末Sは、ステップP301で述べたのと同様にして、新たに計測された全データDa−eを取得する。ステップP306において、各センサ端末Sは、取得した全データDa−eのうち、半分のデータ(以下、「半分データ」と称する)を自己の記憶部33に記憶させる。この後、各センサ端末Sは、ステップP307の処理へ進む。
ステップP307において、各センサ端末Sは、次に計測された半分データを記憶する上で、自己の記憶部33のデータ記憶容量不足が発生するか否かについて判定する。各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生しないと判定した場合には(ステップP307:No)、ステップP305の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生すると判定した場合には(ステップP307:Yes)、ステップP308の処理へ進む。
ステップP308において、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に記憶されているデータのうち、全データDa−e分記憶されているのが最古分のもの(図14の例でいうと、データDa1−e1)のみか否かについて判定する。各センサ端末Sは、全データDa−e分記憶されているのが最古分のもののみでないと判定した場合には(ステップP308:No)、ステップP304の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、全データDa−e分記憶されているのが最古分のもののみであると判定した場合には(ステップP308:Yes)、ステップP309の処理へ進む。
ステップP309において、各センサ端末Sは、ステップP301で述べたのと同様にして、新たに計測された全データDa−eを取得する。ただし、このとき、ステップP310において、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータのみを自己の記憶部33に記憶させる。この後、各センサ端末Sは、ステップP311の処理へ進む。
ステップP311において、各センサ端末Sは、次に自己で計測されたデータを記憶する上で、自己の記憶部33のデータ記憶容量不足が発生するか否かについて判定する。各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生しないと判定した場合には(ステップP311:No)、ステップP309の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生すると判定した場合には(ステップP311:Yes)、ステップP312の処理へ進む。
ステップP312において、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に記憶されている半分データのうち、最新分の半分データについて自己のデータを残して削除する(図14でいうと、例えば時刻t7におけるデータDa5−e5)。ステップP313において、各センサ端末Sは、ステップP301で述べたのと同様にして、新たに計測された全データDa−eを取得する。ただし、このとき、ステップP314において、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータのみを自己の記憶部33に記憶させる。この後、各センサ端末Sは、ステップP315の処理へ進む。
ステップP315において、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータを次に記憶する上で、自己の記憶部33のデータ記憶容量不足が発生するか否かについて判定する。各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生しないと判定した場合には(ステップP315:No)、ステップP313の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生すると判定した場合には(ステップP315:Yes)、ステップP316の処理へ進む。
ステップP316において、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に半分データが記憶されているか否かについて判定する。各センサ端末Sは、自己の記憶部33に半分データが記憶されていると判定した場合には(ステップP316:Yes)、ステップP312の処理へ進む。一方、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に半分データが記憶されていないと判定した場合には(ステップP316:No)、ステップP317の処理へ進む。
ステップP317において、各センサ端末Sは、自己の記憶部33に記憶されている最古分の全データDa−eについて、自己で計測されたデータを残して削除する。そして、ステップP318において、各センサ端末Sは、ステップP301で述べたのと同様にして、新たに計測された全データDa−eを取得する。ただし、このとき、ステップP319において、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータのみを自己の記憶部33に記憶させる。この後、各センサ端末Sは、ステップP320の処理へ進む。
ステップP320において、各センサ端末Sは、自己で計測されたデータを次に記憶する上で、自己の記憶部33のデータ記憶容量不足が発生するか否かについて判定する。各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生しないと判定した場合には(ステップP320:No)、ステップP318の処理へ戻る。一方、各センサ端末Sは、データ記憶容量不足が発生すると判定した場合には(ステップP320:Yes)、本データ蓄積処理を終了する。
上述のデータ蓄積処理をまとめると、各センサ端末Sは、各時刻で計測された全データDa−eについて、自己の記憶部33のデータ記憶容量が少なくなるほど、かつ、計測時刻の遅いものほど、自己の記憶部33に記憶させるデータの数を動的に少なくする。
以上に述べたことから分かるように、第4実施形態の変形例では、各センサ端末Sは、全データDa−eの計測時刻と自己の記憶部33の残り容量とに応じて、全データDa−eにおける自己の記憶部33に記憶させるデータの数を動的に変化させる。これにより、計測時刻が遅い全データDa−eほど、記憶させるセンサ端末Sの数を少なくすることができる。このようにすることで、各センサ端末Sの記憶部33の残り容量に応じて、移動端末10に送信する優先順位の最も低いものから順に、記憶させるセンサ端末Sの数を少なくすることができる。つまり、記憶部の残り容量が少なくなった場合でも、計測時刻の早いデータについては、なるべく多くのセンサ端末Sに記憶させることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係るデータ収集方法について説明する。
上述の第1乃至4実施形態に係るデータ収集方法では、いずれかのセンサ端末Sと移動端末10とが無線通信可能な状態となったときに、当該センサ端末Sを介して、全データを移動端末10に送信する方法について示した。
ここで、移動端末10を所持しているユーザは、移動している可能性がある。そのため、移動端末10が全データを収集し終える前に当該センサ端末Sとのデータ通信が遮断される可能性がある。この場合には新たに、当該センサ端末Sとは異なる別のセンサ端末Sと移動端末10とが無線通信可能な状態となったときに、移動端末10は当該別のセンサ端末Sよりデータを収集する。このとき、移動端末10が当該別のセンサ端末Sより改めて全データを収集し直すとすると、移動端末10が全データを取得するのに時間がかかる恐れがある。例えば、ユーザが常に移動しているような場合には、移動端末10が全データを取得する前に、各センサ端末Sとのデータ通信の遮断が繰り返され、移動端末10が全データを取得するのに時間がかかる。
そこで、第5実施形態に係るデータ収集方法では、移動端末10は、無線通信可能な状態となったいずれかのセンサ端末S(以下、「第1センサ端末S」と称する)より受信したデータに関する情報(以下、「データ情報」と称する)を記憶する。そして、移動端末10は、第1センサ端末Sの次に無線通信可能な状態となった別のセンサ端末S(以下、「第2センサ端末S」と称する)に対し、当該データ情報を送信する。第2センサ端末Sは、受信したデータ情報を基に、移動端末10が第1センサより受信したデータとは異なるデータを移動端末10に送信する。以下、図17を用いて説明する。
図17は、第5実施形態に係るデータ収集方法の一例を示す図である。
図17に示す例では、第2実施形態で述べたように、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶しているとする。
図17(a)に示すように、移動端末10がセンサ端末Sbに近づき、センサ端末Sbと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Sbは、移動端末10からの全データ要求を基に、移動端末10に対し全データDa−eを送信する。ここで、センサ端末SbがデータDa、bを送信したところで、移動端末10の移動によりデータ通信が遮断され、移動端末10は、データDa、bだけを受信したものとする。次に、図17(b)に示すように、移動端末10がセンサ端末Scに近づき、センサ端末Scと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Scは、移動端末10からのデータ要求を基に、移動端末10に対しデータDc−eを送信する。移動端末10は、センサ端末Sbより受信したデータを基に、全データのデータ要求ではなく、データDc−eのデータ要求をセンサ端末Scに送信する。このときのデータ要求が、データ情報に対応する。センサ端末Scは、当該データ要求を基に、データDc−eを移動端末10に送信する。このようにすることで、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
図17(c)に示すように、センサ端末Scは、全データDa−eを移動端末10に送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除するとともに、全データDa−eのデータ削除要求を他のセンサ端末Sa、b、d、eに送信する。具体的には、センサ端末Scは、データ削除要求をセンサ端末Sbに送信し、センサ端末Sbは、当該データ削除要求をセンサ端末Sa、d、eに送信する。センサ端末Sa、b、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除する。
以上に述べたようにすることで、移動端末10とセンサ端末Sとの間で通信の遮断が発生した場合であっても、移動端末10は、当該センサ端末Sとは異なる別のセンサ端末Sより、当該センサ端末Sより取得したデータとは異なるデータを取得することができる。これにより、移動端末10とセンサ端末Sとの間で通信の遮断が発生して、移動端末10が複数のセンサ端末Sよりデータを取得する場合であっても、移動端末10が全データを取得するのに時間がかからずに済む。
上述の第5実施形態に係るデータ収集方法について図18に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、センサ端末Sbよりデータ要求を受信すると、各自によって計測されたデータDa、Dc、Dd、Deをセンサ端末Sbに送信する。これにより、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。
次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信し、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、受信した全データDa−eを記憶する。これにより、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶することになる。
移動端末10は、センサ端末Sbと無線通信可能な状態となると、センサ端末Sbに対し接続要求を送信する。センサ端末Sbは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Sbより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Sbに対し全データ要求を送信する。センサ端末Sbは、移動端末10より全データ要求を受信すると、移動端末10に対し、全データDa−eを送信する。ただし、このとき、移動端末10が移動することにより、移動端末10とセンサ端末Sbとの間のデータ通信が遮断され、移動端末10はデータDa、bだけを受信したとする。
次に、移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態となると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。このとき、移動端末10は、先にセンサ端末Sbから受信したデータの情報を基に、全データDa−eを要求するデータ要求ではなく、データDc−eを要求するデータ要求をセンサ端末Scに送信する。センサ端末Scは、移動端末10よりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、データDc−eを送信する。これにより、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
センサ端末Scは、移動端末10に対しデータDc−eを送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データを削除するとともに、センサ端末Sbに対しデータ削除要求を送信する。センサ端末Sbは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除するとともに、センサ端末Sa、d、eに対し、データ削除要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDa−eを削除する。
以上に述べたように、第5実施形態によれば、移動端末10とセンサ端末Sとの間で通信の遮断が発生して、移動端末10が複数のセンサ端末Sよりデータを取得する場合であっても、移動端末10が全データを取得するのに時間がかからずに済む。
なお、図17に示す例では、移動端末10が、第1センサ端末Sより受信したデータに関するデータ情報を第2センサ端末Sに送信するとしている。しかしながら、このようにする代わりに、第1センサ端末Sが、移動端末10に送信したデータに関するデータ情報を第2センサ端末Sに送信するとしても良い。この場合の例について、以下、図19を用いて具体的に説明する。
図19は、第5実施形態に係るデータ収集方法の他の例を示す図である。
図19に示す例では、第2実施形態で述べたように、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶しているとする。
図19(a)に示すように、移動端末10がセンサ端末Sbに近づき、センサ端末Sbと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Sbは、移動端末10からの全データ要求を基に、移動端末10に対し全データDa−eを送信する。ただし、このとき、センサ端末SbがデータDa、bを送信したところで、移動端末10の移動によりデータ通信が遮断され、移動端末10は、データDa、bだけを受信したものとする。
ここで、図19(b)に示すように、センサ端末Sbは、送信済みのデータDa、bを削除する旨の削除要求を他のセンサ端末Sa、c−eに送信する。この削除要求がデータ情報に対応する。他のセンサ端末Sa、c−eは、削除要求を受信すると、データDa、bを削除する。このとき、他のセンサ端末Sa、c−eは、データDc−eを記憶していることになる。
次に、図19(c)に示すように、移動端末10がセンサ端末Scに近づき、センサ端末Scと移動端末10との間の距離が無線通信可能な距離になると、センサ端末Scは、移動端末10からの全データ要求を基に、移動端末10に対しデータDc−eを送信する。このようにすることで、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
上述の第5実施形態の他の例に係るデータ収集方法について図20に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、センサ端末Sa、Sc、Sd、Seとデータ通信可能なセンサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、データ要求を送信する。センサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、センサ端末Sbよりデータ要求を受信すると、各自によって計測されたデータDa、Dc、Dd、Deをセンサ端末Sbに送信する。これにより、センサ端末Sbは、全データDa−eを記憶することになる。
次に、センサ端末Sbは、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seに対し、全データDa−eを配信し、他のセンサ端末Sa、Sc、Sd、Seは、受信した全データDa−eを記憶する。これにより、全てのセンサ端末Sa−eのいずれもが、全データDa−eを記憶することになる。
移動端末10は、センサ端末Sbと無線通信可能な状態となると、センサ端末Sbに対し接続要求を送信する。センサ端末Sbは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Sbより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Sbに対しデータ要求を送信する。センサ端末Sbは、移動端末10よりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、全データDa−eを送信する。ただし、このとき、移動端末10が移動して、移動端末10とセンサ端末Sbとの間の通信が遮断され、移動端末10はデータDa、bだけを受信したとする。
この後、センサ端末Sbは、自己の記憶部33に記憶された送信済みのデータDa、bを削除するとともに、送信済みのデータDa、bを削除する旨の削除要求を他のセンサ端末Sa、c−eに送信する。他のセンサ端末Sa、c−eは、当該削除要求を受信すると、データDa、bを削除する。このとき、他のセンサ端末Sa、c−eは、データDc−eを記憶していることになる。
次に、移動端末10は、センサ端末Scと無線通信可能な状態となると、センサ端末Scに対し接続要求を送信する。センサ端末Scは、移動端末10より接続要求を受信すると、移動端末10に対し接続応答を送信する。
移動端末10は、センサ端末Scより接続応答を受信すると、データ通信を行う準備が整ったとして、センサ端末Scに対しデータ要求を送信する。このときのデータ要求は全データの要求である。センサ端末Scは、移動端末10よりデータ要求を受信すると、移動端末10に対し、自己の記憶部33に記憶されているデータDc−eを送信する。これにより、移動端末10は、全データDa−eを取得することができる。
センサ端末Scは、移動端末10に対しデータDc−eを送信し終えると、自己の記憶部33に記憶された全データc−eを削除するとともに、センサ端末Sbに対しデータ削除要求を送信する。センサ端末Sbは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDc−eを削除するとともに、センサ端末Sa、d、eに対し、データ削除要求を送信する。センサ端末Sa、d、eは、データ削除要求を受信すると、自己の記憶部33に記憶された全データDc−eを削除する。
以上に述べたように、第4実施形態の他の例によっても、移動端末10とセンサ端末Sとの間で通信の遮断が発生して、移動端末10が複数のセンサ端末Sよりデータを取得する場合であっても、移動端末10が全データを取得するのに時間がかからずに済む。さらに、図19に示す他の例では、通信が遮断した時、どこまでデータを送ったか移動端末10が記憶するのではなく、センサ端末Sが記憶することにより、センサ端末Sbに接続した移動端末10とは異なる別の移動端末がセンサ端末Scに接続したとても、サーバ20に全データを送信することが可能となる。
[変形例]
なお、実施形態は、上述した実施形態の例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の第2乃至第5実施形態に係るデータ収集方法では、移動端末10が全データDa−eの受信を完了したときに各センサ端末Sに記憶されている全データの削除が行われるとしている。しかしながら、これに限られるものではなく、第1実施形態に係るデータ収集方法においても同様に、移動端末10が全データDa−eの受信を完了したときに各センサ端末Sに記憶されているデータの削除が行われるとしても良い。なお、上述の第2乃至第5実施形態に係るデータ収集方法において、各センサ端末Sに記憶されているデータの削除が行われないとしても良いのは言うまでもない。
また、上述の第5実施形態に係るデータ収集方法では、全てのセンサ端末Sa−eのいずれにも全データDa−eが記憶されているとしている。つまり、第2実施形態に係るデータ収集方法を前提として、第5実施形態に係るデータ収集方法が適用されている。しかしながら、第5実施形態に係るデータ収集方法を適用可能な例としては、これに限られるものではない。第1、第3、第4実施形態に係るデータ収集方法を前提としても第5実施形態に係るデータ収集方法を適用可能である。
また、上述の各実施形態では、各センサ端末S間は無線通信が行われるとしているが、これに限られるものでななく、代わりに、有線通信が行われるとしても良いのは言うまでもない。
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
固定されて配置された複数のセンサ端末と、前記センサ端末と通信を行うことにより当該センサ端末に記憶されたデータを収集する移動端末とを備えるデータ収集システムであって、
前記センサ端末は、
前記センサ端末の外部環境を計測するセンサ部と、
前記センサ部により計測されたデータを記憶する記憶部と、
前記移動端末及び他のセンサ端末と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して、前記他のセンサ端末とデータの送受信を行う制御部と、を有し
前記制御部は、前記移動端末と通信可能な状態となったときに、前記記憶部に記憶されたデータと、前記他のセンサ端末より受信したデータとを前記移動端末に送信することを特徴とするデータ収集システム。
(付記2)
前記センサ端末は、前記移動端末と通信可能な状態となったときに、前記複数のセンサ端末で計測された複数のデータを取得して前記移動端末に送信することを特徴とする付記1に記載のデータ収集システム。
(付記3)
前記複数のセンサ端末のいずれもが、前記複数のセンサ端末で計測された複数のデータを記憶することを特徴とする付記1に記載のデータ収集システム。
(付記4)
前記複数のセンサ端末における互いに隣接する前記センサ端末が、前記複数のセンサ端末で計測された複数のデータを分散して記憶することを特徴とする付記1に記載のデータ収集システム。
(付記5)
前記センサ端末は、前記複数のセンサ端末で計測された前記複数のデータの計測時刻に応じて、当該複数のデータにおける前記記憶部に記憶させるデータの数を変化させることを特徴とする付記1に記載のデータ収集システム。
(付記6)
前記複数のセンサ端末は、前記データの計測時刻に応じて、当該データが記憶される前記センサ端末の数を変化させることを特徴とする付記5に記載のデータ収集システム。
(付記7)
前記センサ端末は、前記記憶部の残り容量に応じて、前記複数のデータにおける前記記憶部に記憶させるデータの数を変化させることを特徴とする付記5に記載のデータ収集システム。
(付記8)
前記複数のセンサ端末は、前記記憶部の残り容量に応じて、前記データが記憶される前記センサ端末の数を変化させることを特徴とする付記7に記載のデータ収集システム。
(付記9)
前記複数のセンサ端末における第1及び第2のセンサ端末と前記移動端末との間でデータ通信が行われ、
前記移動端末は、前記第1のセンサ端末とのデータ通信が遮断されると、前記第1のセンサ端末より受信したデータに関するデータ情報を前記第2のセンサ端末に送信し、
前記第2のセンサ端末は、前記データ情報に基づいて、前記移動端末が前記第1のセンサ端末より受信したデータとは異なるデータを前記移動端末に送信する付記1乃至8に記載のデータ収集システム。
(付記10)
前記複数のセンサ端末における第1及び第2のセンサ端末と前記移動端末との間でデータ通信が行われ、
前記第1のセンサ端末は、前記移動端末とのデータ通信が遮断されると、前記移動端末に送信したデータに関するデータ情報を前記第2のセンサ端末に送信し、
前記第2のセンサ端末は、前記データ情報に基づいて、前記移動端末が前記第1のセンサ端末より受信したデータとは異なるデータを前記移動端末に送信する付記1乃至9に記載のデータ収集システム。
(付記11)
外部環境を計測するセンサ部と、
前記センサ部により計測されたデータを記憶する記憶部と、
移動端末及び他のセンサ端末と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して、前記他のセンサ端末とデータの送受信を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動端末と通信可能な状態となったときに、前記記憶部に記憶されたデータと、前記他のセンサ端末より受信したデータとを前記移動端末に送信することを特徴とするセンサ端末。
(付記12)
外部環境を計測するセンサ部と前記センサ部により計測されたデータを記憶する記憶部とを有し、移動端末とデータの送受信を行うセンサ端末にて実行されるデータ収集方法であって、
前記移動端末及び他のセンサ端末と通信を行う通信工程と、
前記他のセンサ端末とデータの送受信を行う制御工程と、を有し
前記制御工程は、前記移動端末と通信可能な状態となったときに、前記記憶部に記憶されたデータと、前記他のセンサ端末より受信したデータとを前記移動端末に送信することを特徴とするデータ収集方法。
(付記13)
外部環境を計測するセンサ部と前記センサ部により計測されたデータを記憶する記憶部とを有し、移動端末とデータの送受信を行うセンサ端末にて実行されるデータ収集プログラムであって、
前記移動端末及び他のセンサ端末と通信を行う通信部、
前記通信部を介して、前記他のセンサ端末とデータの送受信を行う制御部、として前記センサ端末を機能させ、
前記制御部は、前記移動端末と通信可能な状態となったときに、前記記憶部に記憶されたデータと、前記他のセンサ端末より受信したデータとを前記移動端末に送信することを特徴とするデータ収集プログラム。