JP5576410B2 - 水平型コークス炉室の一次側加熱空間へ一次燃焼用空気を供給配分又は遮断する装置及び方法 - Google Patents

水平型コークス炉室の一次側加熱空間へ一次燃焼用空気を供給配分又は遮断する装置及び方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉室の一次側加熱空間に一次燃焼用空気を送り込む空気導入装置の供給配分及び遮断のための装置に関するものであり、この装置は、空気導入装置から段階的に離れるように動作するカバーとして構成されており、流入する空気量を正確に調節することが可能である。段階数は二段階から無段階までであり、流入する空気流は任意に細かく調節できる。同時に、この装置は天候の影響に対して空気導入装置を覆う役割も果たす。この装置は、空気導入装置の上でコークス炉室の外側に位置し、従ってアクセスが容易であると云う点で、従来技術と区別される。装置の配置によって、供給配分を容易に制御でき、自動化も可能である。本発明は、コークス炉室の一次側加熱空間に本発明による装置を用いて一次燃焼用空気を供給配分する方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
石炭のコークス化は、「熱回収タイプ」又は「非回収タイプ」のコークス炉で頻繁に行われており、コークス化に際して発生するコーキングガスを完全に燃焼させて、コーキングガスの燃焼熱をコークス製造プロセスで石炭の加熱に利用する。「熱回収タイプ」のコークス炉については、石炭ケークの加熱に使われるコーキングガス燃焼からの熱を蒸気発生器によって更に活用して、例えば下流側に設けたタービンによってエネルギーを発生させる。コークス炉は、典型的には順次配置した複数のコークス炉室の構成で使用され、コークス炉バンクと呼ばれる、「非回収タイプ」又は「熱回収タイプ」のコークス炉室を連続して配置した構成と、コークス炉バッテリーと呼ばれる、従来型のコークス炉室を順次配置した構成を伴う。
【0003】
コークス化で発生するコーキングガスは夥しい熱価を持っている。コーキングガスの燃焼によって非従来型のコークス炉室で生じるコークキング熱の均一分布を実現するために、コーキングガスは二段階で燃焼させる。発生したコーキングガスは、先ず、コークス炉室内のコークスケーク上方に位置するガス空間に送られ、そこで半化学量論的量の空気と共に燃焼する。この空気は一次空気又は一次燃焼空気と呼ばれる。コークスケーク上方のガス空間は一次側加熱空間と呼ばれるのが通例である。部分的に燃焼したコーキングガスは、所謂「降水管」を経て一次側加熱空間から二次側加熱空間に送られ、ここでコーキングガスが完全燃焼する。これによってコークスケークは下からも加熱され、全面からコークスケーキを均一に加熱することができる。この結果は、改善された、とりわけ均質な品質のコークスの産出となる。
【0004】
2つのステップにおけるコーキングガスのコントロールされた燃焼には、コークス炉室の一次側燃焼室と二次側燃焼室の両方に正確に空気を投与供給する必要がある。しかしながら、従来技術の装置は通常非常に単純な設計と構造であり、正確な供給配分が不可能であるか、又は、燃焼空気の配分が、コークス炉室のわずかなアクセス可能な位置あるいはまったくアクセスできない位置で行われる。二次側燃焼空気を供給するには、空気の供給配分が二次側燃焼室に直接送られず、二次側加熱空間の下側にあり、実際の二次側加熱空間に繋がっている垂直導管に連結された、所謂二次側空気ソールを経由しているため、空気導入の供給配分は通常容易である。
【0005】
WO2006/128612A1は、「非回収タイプ」又は「熱回収タイプ」のコークス炉のコークス炉室に一次燃焼空気を送る装置を開示している。この装置によって、コークス炉室の一次側加熱空間が空間的に均等に通気されず、コークス炉室内の熱分布が不均質になることを防止している。この装置によって、コークス炉室の天井部分の複数又は多数位置で一次空気が入り、一次空気の流入が正確に測定され、乾留時間を通して可変的に制御される。このようにして、吸入された燃焼空気が炉内に入った後に直ちに反応して、燃焼が一次空気の入口エリアのみに限定されることを防止している。空気流入の調節は、ここで述べていない調節部材によってより綿密に行われる。
【0006】
US6187148B1は、一次側加熱空間と二次側加熱空間との間、又は、「非回収タイプ」又は「熱回収タイプ」のコークス炉の二次側空気ソールの圧力相殺を調整する装置としてのバルブを開示しており、これを用いて、コークス炉の一次側加熱空間と二次側加熱空間との間で圧力相殺を行う。とりわけコークス化プロセスの開始に当っては、冷えた石炭ケークがコークス炉に押し込まれるので、コークス炉室に陰圧が広がり、上述したコークス炉室扉とその上の蓋の開口を通って生じる一次空気の流入は、上手く調節できない。このため、本発明は、コークス炉の一次側加熱空間と二次側加熱空間との間で圧力相殺を行う「降水管」にバルブを設けている。これらのバルブは、必要な場合は二次側加熱空間に二次空気を取り入れるのに利用することもできる。一次燃焼空気の取り入れを調節することについては言及されていない。これらのバルブは、コークス炉室の扉からそれたコークス炉室側に収容されており、遮断装置としての回転チューブが装着されているので、操作は簡単ではない。しかし、回転チューブは、高温雰囲気では固着する傾向が有り、従って、修理の影響を受け易い。同様に、この装置に要する場所もかなりのものとなる。
【0010】
そこで、一次燃焼空気をコークス炉の天井を通して導入する、単純な装置を利用することは実質的に利点となる。この装置は1本の単純なパイプで構成可能であり、別の装置によって遮断できる、あるいはガス流量という意味では供給配分を調節することができる。天井を通して導入することはより簡単であり、必要なスペースも少ない。更に、調節装置をコークス炉室の外であり、実際の空気導入装置の外に取り付ければ、保守がより簡単かつ容易になる。
【発明の概要】
【0011】
そこでこの課題は、コークス炉室の一次側加熱空間に一次燃焼空気を供給配分できる装置を提供することであり、この供給配分は、無調節空気の導入装置上に取り付けて、この空気導入装置を遮断し、並びに、ガス流量という意味では、空気を供給することができる装置によって行われる。供給配分を行うこの装置は、単一の空気導入装置の上に取り付け可能であり、この装置を単独であるいは複数で装着できるようにする。さらに、この装置は段階的調整あるいは無段階の調整ができる。また、この装置は、供給配分と遮断を手動で、及びモーター駆動型アクチュエータによって調節可能であり、必要な場合には自動化することも可能である。本発明による装置は、更に、降雨時の雨水の浸入防止を期待できる。
【0012】
本発明は、この課題を、空気導入用に装置の上に乗せることができるカバーとして構成した装置を提供することによって解決している。この蓋のように構成された装置は、空気供給部から持ち上げて供給配分を実行し、これは装置を垂直に上げて、横方向に離れるように展開させることによって行われる。この手順によれは、装置の取り付けも操作も容易であり、保守に掛かる手間も少なくてすむ。この外部取付によって、この装置は、コークス炉室の天井を通る空気供給部を有する既存のコークス炉室に容易に取り付けることができる。取り外しは、スナップ式のストッパーを少なくとも二段階で導入することによって、またこのストッパーが無い場合は、カウンターウエイトによって十分に保持できる関節機構によって、多段階に、言い換えれば無段階に行うことができる。
【0013】
実際の装置は、カバーとして構成されており、逆さにしたカップのような形状をしている。すなわち、下側に向けて整形された襟状の周縁を有するプレートであることを意味している。しかし、下側に向けて開放された側部を具え、上方向に帽子をかぶっているかのような頂部を有する空気導入装置を覆っている側部を具える中空の円錐体であってもよい。この供給配分装置は、中実の円錐体でできていてもよく、これが動いて、下側に向かう頂部が空気導入装置に入り込んで、徐々に遮断する装置であってもよい。
【0014】
このようにして、一次燃焼空気をコークス炉室へ、簡単に、かつ無段階又は段階的に供給配分することが可能となる。この装置は、単一の空気供給装置、あるいは複数の空気供給装置に取り付けることができる。本発明は、コークス炉室の内壁が天候の影響から保護されるという利点がある。とりわけ熱帯地方では、激しい降雨が頻繁かつ定期的に発生し、水平型のコークス炉室の操業において大きな問題となっている。強い降雨に際しては、雨水が繰り返し一次側空気供給部を通ってコークス炉室に浸入し、これが炉の操業を著しく阻害することがあると共に、炉の壁面を破壊することもある。本発明による装置によって、降雨時の水の浸入が確実に防止される。
【0015】
特許請求の範囲は、特に、水平型のコークス炉室の一次側加熱空間に一次燃焼空気を供給配分又は遮断するための装置についてであり、これは、
・コークス炉バンク又はコークス炉バッテリーの少なくとも一のコークス炉室の天井に、一次燃焼空気の空気供給用の少なくとも一の開口部が設けられている装置において、
・この開口部が、外側部の空気供給部を覆うカバーを有し、このカバーを徐々に外して、空気供給部の開口を部分的に開放して、空気を導入できること
バーの取り外しと空気供給部を開放する段階数が、二段階と多段階の範囲にあること、及び
このカバーは、機械的装置によって垂直方向に動作可能なロッドに連結されており、この垂直方向の動きによってカバーが空気供給部を開閉すること、
を特徴とする。
【0016】
最も良く用いられるレイアウトでは、空気供給部又は複数の空気供給部自体がパイプとして構成されており、本発明による装置はパイプの上に蓋のように載っていて、パイプを遮断している。このパイプは、単純に天井を垂直に通り抜けていてもよく、開放端が下に向いたU字管のようになっていてもよい。この場合、本発明の遮断装置は、上向きになった襟状の突出部と水平方向において対称に載っている。空気導入装置は、断面矩形であってもよく、天井を垂直又は斜めに通っていてもよい
【0017】
の流路は、レンガを積んで作ることもでき、コークス炉の天井に取入口が形成されている。空気取入口は、上側にレンガでできた突出部を形成していてもよい。コークス炉室天井の内側には、空気送出装置が任意に作られていてもよく、取り入れた一次空気を方向づけるインサートを具えていてもよい。空気導入用の流路又はパイプは、天井に密閉材を設けるようにしてもよい。
【0018】
本発明による供給配分及び遮断装置自体は、任意の形状を有していてよい。カバーとして作用する本発明の装置は、ディスク形状であってもよく、コークス炉室に向けた襟状のカバーで構成されており、このカバーはカップを逆さにした断面を具え、これによってカバーされる空気送出装置より大きな断面となるので、本発明の機能を実現することができる。このカップは、任意の形状であっても良い。このカップは、60度の角度で分枝している2本の直線を伴う直線の中央インターフェースを具えていても良い。しかしこのカップは、波型のW字形状であってもよく、このカップは逆さになった形で使用される。
【0019】
しかしながら、本発明の装置は、逆さになっていて下向きに開放された中空円錐体として構成されており、中央インターフェースが逆さになったV字形状を有するものでもよい。最大断面において、逆さになった中空円錐体は、カバーされる空気供給部より断面が大きい。このV字形状は、波型、言い換えれば、尖った先端で終わっていなくてもよい。この中空の円錐体は、カバーするという役割を果たす限り、任意の形状であってもよい。
【0020】
非常に簡単な実施例では、カバーと供給配分を行う装置を、空気供給装置に固定されていない単純なフラップとして構成しても良い。この装置は、移動機構を用いたロッドで昇降可能となっている。
【0021】
このカバーは中実の円錐形状であってもよく、空気供給装置の中に入って、この円錐体が入ると空気供給装置又はパイプが遮断される。中実の円錐体は、中空であるが、全ての面に対して閉じている円錐体として構成することもできる。これはまた、その先端が空気供給装置の中に入ることによって、カバー機能を果たし、それによって空気を遮断する。これによって、製造コストが少なくなることがある。本発明のカバー装置はまた、それがカバー機能を果たす限り、単純なプレート形状を有するものでもよい。すなわち、本発明によるカバー装置は、本発明による課題を解決する限り、任意の形状でもよい。
【0022】
本発明の装置は、コークス炉室天井における高温に対して充分に耐性がある任意の材料で作ることができる。この材料の一例は、ステンレススチールであるが、セラミクス又は石でつくることもできる。本発明のインサートは、密封剤又は封止具を具えていても良い。
【0023】
本発明による装置は、その内側部に空気供給装置に入り込む増厚材を有しており、更なる密閉遮断を提供するようにしてもよい。これらの増厚材は、耐火性材料でできていることが望ましい。このことは、とりわけ開始段階で有用である。これらの増厚材は、カバーと供給配分を行う本発明の装置に対する、ボルト装置と共に昇降する。
【0024】
本発明による装置は、空気供給部から離れるように動いて、空気供給装置を開く。空気供給装置が逆さにしたカップである場合、これを持ち上げることによって、空気供給装置から離れる。閉じた状態では、単にパイプの上に載せるだけで、装置が閉じる。例示的な実施例においては、このカップが下に向けてロッドへ連結されており、ロッドは油圧式昇降シリンダーに連結されている。この油圧式昇降装置は逆さになったカップを昇降させ、カップが下りたときにパイプを遮断する。この装置は二段階(開・閉)で、又は任意の段階数で昇降可能である。
【0025】
開閉装置は、横方向に回して取り外したときに所望の機能を発揮する。これは、カバー装置に固定されている関節装置によって行なわれる。これは任意の方向に回して取り外すことができる。この取り外し動作も二段階から多段階(無段階)まで様々な段階で行うことができる。
【0026】
カバー装置が中実の円錐体である場合は、通常は回して外すことができないので、通常、上下させることによってのみ外すことができる。しかし原理的には、いずれの装置も、カバー装置を空気供給装置へ及び装置から移動させることが考えられる。
【0027】
一般的に、カバーは、完全且つ確実にカバーするためには、空気供給装置又はパイプよりも断面が大きい。不完全なカバー装置も考えられるが、稀である。通常、本発明のカバーとしての最大断面は、80乃至280ミリメートルである。通常、本発明のカバーを設けた空気供給部又はパイプの最大断面は、50乃至250ミリメートルである。典型的な実施例では、これらのパイプの高さは50乃至1200ミリメートルである。
【0028】
空気供給部は、その内側に空気誘導装置を設けることができる。本発明の装置は、その内側に、例えば狭窄部が設けられており、これが流入するガス流にベンチュリー効果をもたらす。これによって、流入する空気流の速度が速くなる。空気供給部は整流板を具えていてもよい。コークス炉室の内側において、空気供給部に、ガス導入装置又は噴出口を設けるようにしてもよい。カバー装置はプレート又はカップであり、これらは、カバーの下のエリアを見る又はそこにアクセスできるように、開口又は目視用ガラスを具えていてもよい。
【0029】
殆どのアプリケーションにおいて、空気供給部は、コークス炉室の上に個別に又はまとまって配置されている。しかし、中央で空気を吸引しこれを個々の空気供給部に分配する集合管を用いることも可能である。ガス排出管を具えた複数のコークス化室からガスを排出する集合管の例は、GB384092に開示されている。個々のガスを排出管には、供給配分装置としてフラップ(18)が設けられている。外側から取り付けて、カバー効果のある供給配分装置はここには開示されていない。したがって、本発明に記載されているように、一次燃焼空気が外から供給され、コークス炉バッテリー又はコークス炉バンクの一次側燃焼空間の個々の空気導入管にこれを供給する集合管に、本発明の装置を設けて、コークス炉室を避けた集合管の外側端部で、遮断と供給配分を行うようにすることができる。
【0030】
本発明による装置は、取付が簡単であり、コスト的に有利であり、保守や汚れ除去を容易に行うことができる。
【0031】
特許請求の範囲は、特に方法について請求しており、この方法は、一次側加熱室への空気流入を本発明による装置によって制御及び調節することができる。特許請求の範囲は、特に、水平型のコークス炉室の一次側加熱空間に一次燃焼空気を供給配分又は遮断する方法に関し、この方法は、
・コークス炉バンク又はコークス炉バッテリーのコークス炉室の一次側加熱空間に、コークス炉室天井の一の開口を通って一次燃焼空気が取り入れられ、
・この一次燃焼空気が、コーキングガスの燃焼の一部に使われ、このコーキングガスはコークス化に際して、コークスケーク上方のコークス炉室の内部に位置しているガス空間に流れ、
・このようにして得た部分燃焼コーキングガスが、適宜の流路を通って、コークス化室の下方に位置している二次側加熱空間に流れ、そこで、当該部分燃焼したコーキングガスが二次燃焼空気と共に完全に燃焼する、
方法であり、
・一次燃焼空気を取り入れる開口部に、コークス炉室の外部に配置した装置が設けられており、一次燃焼空気を供給配分し、又は、一次燃焼空気のコークス炉室のコークス化空間への流入を遮断するステップと、
カバーが垂直方向に持ちあがることによって一次燃焼空気の供給配分を行い、一次燃焼空気を供給配分し、又は、一次燃焼空気のコークス炉室の一次燃焼空間への流入を遮断するのにこの装置を使用するステップ、
を具えることを特徴とする。
【0032】
本発明による方法を実行するうえで、複数のコークス炉バンクの一つ又はコークス炉バッテリーの複数のコークス炉室の空気供給部のみで供給配分及び遮断を行うように装置を配置して、空気流入を調節することができる。本発明の装置は、任意の位置に取り付けることができ、調節機能を持たない別の空気供給装置があってもよい。また、本発明による装置は、コークス炉バンク又はコークス炉バッテリーの一又は複数のコークス炉室の複数の空気供給部に載っていて、空気流入を制御調節するために使うことができる。一例として、コークス炉室の空気供給部のすべてに、本発明による遮断装置を設けるようにしてもよい。これらはいずれの場合も個別に又は同時に、制御及び調節を行うことができる
【0033】
の操作は、レバーやワイヤーあるいはリンク類を用いて、遠隔場所から手動で行うことができる。本発明による装置の駆動は、油圧式又は電動式で行うこともできる。例えば、この操作はカバーに対して直接、又は例えばレバーを用いて遠隔場所から行なってもよい。油圧式又は電動式の装置を適用する場合は、例えばプロセス・コントロールシステムによって自動化することができる。このために、例えばコークス炉室又は一次側加熱空間の温度や酸素含有量を検出するセンサー類も利用する。本発明による装置の位置を検出するセンサーも利用できる。ブローワーやコンプレッサーによって空気供給装置に若干、一定の負圧が生じる場合にも、この装置を利用することができる。
【0031】
本発明による装置は、外側から空気導入装置に取り付けることができるので装着が容易であり、現存の設備に容易に据え付けることもできる。この装置は保守の手間がかからず、簡単に汚れを落とすことができる。その配置タイプによって、装置及び装置に取り付けたコークス炉室に必要なスペースが少なくて済む。本発明の装置によって、一次側加熱室への空気流入を容易に調節することができるので、一次側加熱空間への空気供給を均等に配分することができ、産出されるコークスの品質がより良いものとなる。カバー及び供給配分する本発明による装置は、自動化が容易であり、コークス炉室内の測定パラメーターに基づいて制御可能な方法を適用することによって作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下において、本発明による装置の設計とレイアウトは12枚の図面に基づいて説明されているが、発明の設計とレイアウトはこれら実施例に限定されるものではない。
【図1】図1は、コークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への空気供給部(2)の供給配分及び遮断を行う本発明による装置(1)を示す。コークス炉室には、天井(5)と一次側加熱空間(3)の一部が見られる。実際の本発明のカバー(1)は、逆さにしたカップ(1a)のような構成であり、これはコークス炉室に対して丸く襟状のカバー(1b)を具えている。このカバーは空気供給装置(2)に載っているので、これによって空気の流入流(6)が遮断される。遮断装置は、その内側にロッド(7)で固定されている。このロッドは更に油圧シリンダー(8)に連結されており、適宜の油圧式装置によって上下に動く。油圧式装置は、接続ケーブル(8b)を介して制御装置(8c)に接続されているモーター式アクチュエータ(8a)によって駆動される。
【図2】図2は、油圧シリンダー(8a)によって開いている同一の装置を示す。この油圧シリンダー(8)は、ロッド(7)を上方に動かし、このロッドが同様にカップ(1a)を上方に動かす。これによって、一次側空気(6)を導入する空気供給部が開く。装置(1)はここでハンドル(9a)が付いた内部点検用点検ポート(9)を具えている。
【図3】図3はまた、点検用ポートに替えて、逆さになったカップ(1a)の内部に配置され、空気供給装置(2)へ移動し得、それをしっかり塞ぐことができる増厚材(1c)を具える、同じ装置(1)を示している。この装置はまた、油圧シリンダー(8)を用いて、ロッド(7)によって自動的に動くことができる。
【図4】図4は、逆さになったカップ(1a)の内部に配置され、スクリュー装置(1d)によって降下可能、すなわち、本発明によるフラップ(1)から、空気導入装置(2)へ降下できる増厚材(1c)を具える、同じ装置(1)を示している。この装置(2)も、油圧シリンダー(7)を用いて、ロッド(6)によって自動的に動く。
【図5】図5も、コークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への空気供給部(2)の供給配分及び遮断を行う本発明の装置(1)を示す。遮断装置は、底部に向かって開放されている、中空の逆さになった円錐体(1)として構成されている。この中空円錐体はグリップ(10)が付いていて、これによって中空円錐体(1e)を手動(10a)で横方向に回すことができる。中空円錐体それ自体は、ロッドを介して関節機構(7a)に固定されている。コークス炉室内部方向に向けた先端(5)側に、空気供給部(2)が噴出口(11)と共に設けられている。
【図6】図6は、開位置にある中空円錐体(1e)を伴う装置(1)を示している。一次空気(6b)は噴出口(11)を通って、方向づけられた形で導入される。
【図7】図7も、コークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への空気供給部(2)の供給配分及び遮断を行う本発明の装置(1)を示す。この装置(1)は、中実の閉じられた円錐体(1f)を具えており、これは空気供給装置(2)の開口(2a)に入って、これをしっかり閉鎖する。空気供給装置(2)は、狭窄部を具えており、流入する一次空気(6)のガス速度(12)を上げる。
【図8】図8は、この装置(1f)を閉じた状態で示す。この動きは、油圧式アクチュエータによって動作する油圧シリンダー(8)を介して行なわれる。これは更に、制御ユニット(8c)に接続ケーブル(8b)を介して接続されたモーター駆動式アクチュエータ(8a)を介して制御される。コークス炉室の天井(5)の下に、一次側加熱空間(3)が見て取れる。
【図9】図9は、コークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への空気供給部(2)の供給配分及び遮断を行う本発明による装置(1)を表わしている。この図では、空気供給装置(2)の上のカバーだけを見て取れる。中央断面においては、弧を描いたW字状(1g)の形をしている。それによって、空気供給装置(2)としてのパイプを、より良い状態で覆うことができる。
【図10】図10は、単純なフラップ(1h)として構成された本発明による装置(1)を示す図であり、このフラップは下に展開することで(1i)空気供給部を覆う。この下側への展開は、油圧シリンダー(8)で動くレバー(7)によって制御される。これはモータ駆動式アクチュエータ(8a)によって駆動する。フラップは、ロッド(1j)に対して可動に吊られている。
【図11】図11は、本発明による装置(1)を示す図であり、この装置はコークス炉室(4)に空気を供給する空気供給装置(2)を覆っている。両装置は無機物質又は石状材料でできている。カバー及び供給配分する本発明の装置(1)は、逆さになった中空円錐体(1k)として構成されており、これはセラミクス材料でできている。コークス炉室(4)に空気を供給する装置(2)は、非焼成煉瓦(2a)でできており、突出部として形成された煉瓦の空気供給流路(2b)を形成している。この供給配分及びカバー装置(1)は、横方向に展開させることで開く。
【図12】図12は、「非回収タイプ」又は「熱回収タイプ」の水平型コークス炉室(4)における本発明の装置(1)の配置を示している。供給配分及び遮断を行う本発明の装置(1)は、ここではパイプとして構成されている空気供給装置(2)の上方に配置した、丸い、襟状のスリーブ(1b)を有する蓋として構成されている。これは、関節機構(7a)によって横方向に回って離れるようになっており、これによって空気供給部(2)が開閉する。ここではコークスケーク(13)、コークス炉室の扉(14)、開口部(15a)を具える「降水管」流路(15)、二次側加熱空間(16)、そして二次側空気ソール(17)が見て取れる。二次側空気ソール(17)は、開口部(17a)を具えており、この開口部にも供給配分及び遮断を行う装置が設けられており、二次側空気流を調節できる。
【符号の説明】
【0033】
1 供給配分及び遮断を行う装置
1a 逆さになったカップ
1b 丸い襟状のカバー
1c 増厚材
1d スクリュー装置
1e 中空円錐体
1f 中実円錐体
1g 弧を描いたW字状の逆さになったカップ
1h フラップ
1i 下側に展開したフラップ位置
1j ロッド
1k 煉瓦でできた逆さになった中空円錐体
2 空気供給部
2a 空気供給装置の煉瓦
2b 突出部として煉瓦を積んだ空気供給路
3 一次側加熱空間
4 コークス炉室
5 コークス炉室の天井
6 空気流
7 ロッド
7a ロッドを動かす関節機構
8 油圧シリンダー
8a 位置決めモーター
8b 接続ケーブル
8c 制御装置
9 グリップ付きの点検用開口部
10 開放用グリップ
10a 手動開口
11 噴出口
12 「ベンチュリー効果」でガス流速を高める狭窄部
13 コークスケーク
14 コークス炉室の扉(開装置付き)
15 降水管
15a 降水管の開口部
16 二次側加熱空間
17 二次側空気ソール
17a 二次側空気ソールの供給配分及び遮断を行う装置

Claims (18)

  1. 水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置であって、
    前記空気供給部(2)が、一次燃焼空気供給用の少なくとも1つの開口部を有し、この開口部が、コークス炉バンク又はコークス炉バッテリーの少なくとも1つのコークス炉室(4)の天井(5)に設けられている装置において、
    前記カバー(1)が、前記空気供給部(2)の前記開口部を外側から覆うことができ、当該カバー(1)を徐々に取り外すことにより、前記開口部を部分的に開き、これによって空気導入を可能にしており、
    ・前記カバー(1)を取り外して前記空気供給部(2)を開放する段階数は、二段階以上であるか、または無段階で前記カバー(1)を取り外して前記空気供給部(2)を開放することができ、及び、
    ・前記カバー(1)が機械的装置によって垂直方向に移動可能なロッド(7)に連結されて、前記カバー(1)が前記垂直方向の移動によって前記空気供給部(2)を開閉すること、
    を特徴とする装置。
  2. 請求項1に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記空気供給部(2)が、前記コークス炉(4)の天井(5)を抜けて通る単純かつ垂直なパイプとして構成されており、これによって、前記一次側加熱空間(3)に前記一次燃焼空気を供給することを特徴とする装置。
  3. 請求項1又は2に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記カバー(1)が、前記コークス炉室に向けた丸い襟状のカバー(1b)を有するディスクとして構成されており、当該ディスクがカップ状の断面を有し、このカバー(1)の断面が、カバーされる空気供給部(2)の断面よりも大きいことを特徴とする装置。
  4. 請求項1又は2に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記カバー(1)が下側に開放された中空円錐体(1e)として構成されており、その最大断面位置において、カバーされる空気供給部(2)よりも大きいことを特徴とする装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記カバー(1)が、前記空気供給部(2)と前記コークス炉室(4)に対向する側部に増厚材(1c)を具えており、当該増厚材が、閉鎖手順において前記空気供給部に入り込んで、前記空気供給部(2)を密閉することを特徴とする装置。
  6. 請求項5に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記増厚材(1c)が耐火材でできていることを特徴とする装置。
  7. 請求項5又は6に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記増厚材(1c)が、前記カバー(1)に対して、ボルト装置(1d)を用いて高さを上げ下げできることを特徴とする装置。
  8. 請求項1又は2に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記カバー(1)が、中実の又は覆われた円錐体(1f)として構成されており、その先端が空気供給部(2)に入り込んでこれを覆うことを特徴とする装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記空気供給部(2)が最大断面50乃至250ミリメートルのパイプとして構成されており、前記カバー(1)が最大断面部において80乃至280ミリメートルの断面を有することを特徴とする装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記空気供給部(2)が、内部に、流入空気に対して空気の流速を高めるベンチュリー効果を及ぼす狭窄部(12)があるパイプとして構成されていることを特徴とする装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分及び遮断する空気供給部(2)とカバー(1)を具える装置において、
    前記カバー(1)が、点検ポート(9)または目視用ガラスを具えており、これを通して、当該カバー(1)の下方に位置するエリアにアクセスし又はそこを目視できることを特徴とする装置。
  12. 水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法であって、
    ・コークス炉バンク又はコークス炉バッテリーのコークス炉室(4)の一次側加熱空(3)に、コークス炉室(4)天井(5)の開口部を通って一次燃焼空気を取り入れるステップと、
    ・この一次燃焼空気がコーキングガスの部分燃焼に使われ、このコーキングガスがコークス化に際して、コークスケーク(13)の上方のコークス炉室(4)内部に位置するガス空間に流れるステップと、
    ・このようにして得た部分燃焼コーキングガスが、適宜の流路(15)を通って、コークス炉室(4)の下方に位置する二次側加熱空間(16)に流入し、そこで部分燃焼コーキングガスが二次燃焼空気と完全燃焼するステップと、
    を具える方法において、
    ・一次燃焼空気を取り入れる開口部に、コークス炉室(4)の外に配置したカバー(1)が設けられており、このカバーが、コークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への一次燃焼空気の供給配分、又は、一次燃焼空気の流入の遮断を制御するステップと、
    ・前記カバー(1)が垂直方向に持ち上がることによって、前記一次燃焼空気の供給配分を行い、前記カバー(1)が垂直方向に降下することによって、一次燃焼空気のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)への流入を遮断するステップと、
    を具えることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記カバー(1)が、コークス炉バッテリー又はコークス炉バンクにある一又は複数のコークス炉室(4)の一の空気供給部(2)の上にのみ載っており、空気流入の調節に使用されるステップを具えることを特徴とする方法。
  14. 請求項12に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記カバー(1)が、コークス炉バッテリー又はコークス炉バンクにある一又は複数のコークス炉室(4)の複数の空気供給部(2)の上に載っており、空気流入の調節に使用されるステップを具えることを特徴とする方法。
  15. 請求項12乃至14のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記カバー(1)が、レバー、リンク類又はワイヤーを介して手動で動作するステップを具えることを特徴とする方法。
  16. 請求項12乃至14のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記カバー(1)が油圧で動作するステップを具えることを特徴とする方法。
  17. 請求項12乃至14のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記カバー(1)が電動モーターで動作するステップを具えることを特徴とする方法。
  18. 請求項12乃至17のいずれか1項に記載の水平型のコークス炉室(4)の一次側加熱空間(3)に一次燃焼空気を取り入れて供給配分し又は遮断する方法において、
    前記一次燃焼空気が、一定の正圧で動作するブローワー又はコンプレッサーによって供給されることを特徴とする方法。
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