JP5575448B2 - コンクリート硬化体の配合推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法に関するものである。
打設されたコンクリートの品質確認やコンクリート構造物の耐久性診断等のために、コンクリート硬化体の配合を推定する必要がある。特に、コンクリート硬化体の配合の中でも単位水量は、単位セメント量とともに打設されたコンクリートの強度等の品質に影響を与える要因の一つである。
そのため、例えば、コンクリート構造物等のコンクリート硬化体においてひび割れ等が生じた場合に、それが配合不良による圧縮強度の低下を原因とするものであるのか、又は経年劣化による圧縮強度の低下を原因とするものであるのかを判断するためには、コンクリート硬化体の配合を正確に推定する必要がある。
従来、コンクリート硬化体の配合を推定する方法としては、コンクリート硬化体を所定の粒度に微粉砕した試料を塩酸で処理した後に、不溶残分及び酸化カルシウムを定量し、それを指標として単位骨材量及び単位セメント量を推定する方法(非特許文献1参照)、コンクリート硬化体を所定の粒度に微粉砕した試料をグルコン酸ナトリウムに溶解させ、その溶解量から単位セメント量を推定する方法(非特許文献2参照)等が提案されている。
「コンクリート専門委員会報告 F−18 硬化コンクリートの配合推定に関する共同試験報告」,社団法人セメント協会,昭和42年9月 「グルコン酸ナトリウムによる効果コンクリートの単位セメント量試験方法」,日本非破壊検査協会規格,NDIS−3422,2002年
しかしながら、上記非特許文献1に記載の方法は、以下に詳述するように、配合推定値の精度が低く、信頼性に欠けるという問題がある。
すなわち、上記非特許文献1に記載の方法は、0.1N塩酸にコンクリート試料を溶解させ、濾過して得られた残渣を骨材量としているため、塩酸に溶解し得る石灰石骨材を含むコンクリート硬化体には適用することができないという問題がある。
また、上記方法では、水和反応に伴い生じる空隙とエントラップトエアとを区別することができないため、空気量を推定することができない。よって、単位水量を過大に又は過小に評価してしまう可能性が懸念されている。
さらに、コンクリート硬化体の単位容積質量から他の配合材料の単位量を差し引くことで単位水量を推定しているため、単位水量の推定値が他の配合材料の単位量に対する誤差を含むことになり、推定精度が低いという問題がある。
一方で、上記非特許文献2に記載の方法は、コンクリート粉砕物をグルコン酸ナトリウムに溶解させるため、石灰石骨材等を含むコンクリート硬化体であっても適用することができるが、熟練した操作が必要であるとともに、グルコン酸ナトリウムの粘性が高く濾過に時間がかかってしまうという問題がある。
このような問題点に鑑みて、本発明は、石灰石骨材を含むコンクリート硬化体であっても正確に配合を推定することができるとともに、簡易な操作により配合を推定することのできるコンクリート硬化体の配合推定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、前記コンクリート硬化体の多値画像を、骨材量推定用閾値を用いて2値化処理し、得られた2値化処理画像より算出された骨材面積率から、下記式(1)に基づいて単位骨材量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法を提供する(発明1)。
Figure 0005575448

式(1)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を表す。
上記発明(発明1)によれば、コンクリート硬化体を塩酸やグルコン酸ナトリウム等の溶媒に溶解させる必要がなく、コンクリート硬化体を撮像した多値画像を2値化処理した画像より、単位骨材量を算出することができるため、コンクリート硬化体に含まれる骨材や混和材等の種類を問わず、正確にかつ簡易にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。なお、本明細書において「多値画像」とは、画像における各画素の階調が2よりも大きい画像のことを意味し、例えば、256階調のカラー画像やモノクロ画像等が含まれる。
また、本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、前記コンクリート硬化体の多値画像を、空気量推定用閾値を用いて2値化処理し、得られた2値化処理画像からエントラップトエア部分判定用パラメータに基づいて抽出されたエントラップトエア部分の面積率を算出し、得られた面積率を前記コンクリート硬化体における空気量と推定することを特徴とする配合推定方法を提供する(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、コンクリート硬化体を撮像した多値画像を2値化処理した画像より、従来の方法では推定することのできなかった空気量を推定することができるため、正確にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
上記発明(発明2)においては、前記多値画像における未水和セメント部分、セメント水和物部分及び骨材部分よりも低輝度側に表示される略円形部分を前記エントラップトエア部分の画像として抽出するのが好ましい(発明3)。
コンクリート硬化体中のエントラップトエア部分は、画像上における未水和セメント部分、セメント水和物部分及び骨材部分よりも低輝度側に略円形部分として表示されることから、上記発明(発明3)によれば、コンクリート硬化体中の空隙部分とエントラップトエア部分とを明確に区別することができるため、コンクリート硬化体の空気量をより正確に推定することができる。
上記発明(発明2,3)においては、前記エントラップトエア部分判定用パラメータが、円形度数又は円相当径であり、前記円形度数又は円相当径に基づいて、前記2値化処理画像から前記エントラップトエア部分の画像を抽出するのが好ましい(発明4)。
2値化処理された画像中の略円形粒子のうちの一部は、コンクリート硬化体に生じたひび割れやセメントの水和によって生じる空隙等であって、かかるひび割れや空隙をエントラップトエア部分として抽出してしまうと、空気量の推定精度及び後述する単位水量の推定精度が低下するおそれがある一方、コンクリート硬化体中に含まれる空気泡(エントラップトエア)は、略真円に近い円形粒子として画像上に表されるため、上記発明(発明4)によれば、円形度数又は円相当径に基づいて2値化処理画像からひび割れや空隙部分とエントラップトエア部分とを区別することができ、より精度よく空気量を推定することができる。
さらに、本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、前記コンクリート硬化体の多値画像を、水セメント比推定用閾値を用いて2値化処理し、2値化処理画像より算出された未水和セメント面積率、空隙面積率及びセメント水和物面積率から、下記式(2)に基づいて水セメント比推定値を算出することを特徴とする配合推定方法を提供する(発明5)。
Figure 0005575448

式(2)中、Vは「水体積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「セメントの水和膨張係数」を、VCPは「空隙面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、ρは「セメントの密度(g/cm)」を表す。
上記発明(発明5)によれば、コンクリート硬化体を塩酸やグルコン酸ナトリウム等の溶媒に溶解させる必要がなく、コンクリート硬化体を撮像した多値画像を2値化処理した画像より、水セメント比を算出することができるため、コンクリート硬化体に含まれる骨材や混和材等の種類を問わず、正確にかつ簡易にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
さらにまた、本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、上記発明(発明5)に係る配合推定方法において算出された前記未水和セメント面積率から、下記式(3)に基づいて初期セメント体積率を算出し、上記発明(発明1)に係る配合推定方法において算出された前記骨材面積率、上記発明(発明2〜4)に係る配合推定方法において算出された前記エントラップトエア部分の面積率及び前記初期セメント体積率から、下記式(4)に基づいて単位セメント量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法を提供する(発明6)。
Figure 0005575448
Figure 0005575448

式(3)中、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「水和膨張係数」を表し、式(4)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を、Vairは「エントラップトエア部分の面積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、ρは「セメント密度(g/cm)」を表す。
上記発明(発明6)によれば、コンクリート硬化体を塩酸やグルコン酸ナトリウム等の溶媒に溶解させる必要がなく、コンクリート硬化体を撮像した多値画像を2値化処理した画像より、単位セメント量を算出することができるため、コンクリート硬化体に含まれる骨材や混和材等の種類を問わず、正確にかつ簡易にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
また、本発明は、コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、上記発明(発明5)に係る配合推定方法により算出された水セメント比推定値と、上記発明(発明6)に係る配合推定方法により算出された単位セメント量推定値とから、下記式(5)に基づいて単位水量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法を提供する(発明7)。
Figure 0005575448
上記発明(発明7)によれば、コンクリート硬化体を塩酸やグルコン酸ナトリウム等の溶媒に溶解させる必要がなく、コンクリート硬化体を撮像した多値画像を2値化処理した画像より、単位水量を算出することができるため、コンクリート硬化体に含まれる骨材や混和材等の種類を問わず、正確にかつ簡易にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
上記発明(発明1〜7)においては、前記多値画像は、前記コンクリート硬化体を所定の大きさに切断して得られる試験片の一の面を撮像した多値画像であるのが好ましい(発明8)。
上記発明(発明8)によれば、コンクリート構造物等のコンクリート硬化体の一部を試料片として用いて配合を推定することができる。
上記発明(発明8)においては、前記多値画像は、研磨された前記試験片の一面を撮像した多値画像であるのが好ましい(発明9)。かかる発明(発明9)によれば、撮像面を研磨することにより、より正確にコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
本発明によれば、石灰石骨材を含むコンクリート硬化体であっても正確に配合を推定することができるとともに、簡易な操作により配合を推定することのできるコンクリート硬化体の配合推定方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るコンクリート硬化体の配合推定方法における試験片の調製工程を示すフローチャートである。 同実施形態における単位骨材量推定工程を示すフローチャートである。 同実施形態における空気量推定工程を示すフローチャートである。 同実施形態における水セメント比、単位セメント量及び単位水量推定工程を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態に係るコンクリート硬化体の配合推定方法を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るコンクリート硬化体の配合推定方法における試験片の調製工程を示すフローチャートであり、図2は、同実施形態における単位骨材量推定工程を示すフローチャートであり、図3は、同実施形態における空気量推定工程を示すフローチャートであり、図4は、同実施形態における水セメント比、単位セメント量及び単位水量推定工程を示すフローチャートである。
〔試験片の調製〕
本実施形態に係るコンクリート硬化体の配合推定方法において用いられる配合推定用試験片を調製する方法としては、図1に示すように、まず、配合を推定しようとするコンクリート硬化体の一部を採取する(S101)。
本実施形態における配合推定対象となるコンクリート硬化体としては、例えば、鉄筋コンクリート構造物の基礎部、トンネルライニング、橋梁の桁等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記コンクリート硬化体に含まれるセメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント;都市ゴミ焼却灰及び/又は下水汚泥焼却灰を原料として製造した焼成物の粉砕物と石膏とからなるセメント(エコセメント)等が挙げられる。
また、上記コンクリート硬化体に含まれる骨材の種類も特に限定されるものではなく、天然骨材であってもよいし、人工骨材であってもよく、例えば、砂、砂利、砕砂、砕石、珪砂等を使用することができ、特に石灰石骨材を含むコンクリート硬化体においても適用し得る。なお、骨材の粒径も特に限定されるものではないが、本実施形態に係る配合推定方法において用いられる試験片の大きさを考慮すると、骨材の最大寸法が20mm程度のものであるのが好ましい。
さらに、上記コンクリート硬化体には、通常のコンクリートを製造する際に用いられる混和剤が含まれていてもよく、例えば、リグニン系、ナフタリンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤(空気量調整剤)、凝結調整剤、防錆剤等が含まれていてもよい。
コンクリート硬化体の一部を採取する際に、当該コンクリート硬化体のいかなる部分から採取してもよいが、好ましくはコンクリート硬化体の健全部から採取するのが好ましい。健全部から採取することで、より精度の高い配合推定が可能となる。
コンクリート硬化体の一部を採取する場合、その採取量は、極めてわずかであればよく、具体的には、縦2cm×横3cm×厚さ1.5cm〜縦10cm×横10cm×厚さ1.5cm程度の大きさであればよい。この程度の大きさのものでれば、十分に高い精度の配合推定が可能となる。
このようにして採取したコンクリート硬化体の一部を、所定の大きさに切断する(S102)。切断後の試験片の大きさとしては、例えば、試験片の撮像面の大きさが6〜100cm程度であればよく、好ましくは、36〜100cm程度であればよい。
次に、切断後の試験片を乾燥させる(S103)。コンクリート硬化体から採取された試験片中の空隙等に水分が含まれていると、後述する樹脂含浸(S104)工程において、試験片中の空隙等に十分に樹脂を流入させることができないおそれがあるが、試験片を乾燥させることによって、当該空隙等に含まれる水分を除去することができ、より精度の高い配合推定が可能となる。
試験片の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、常法により行えばよく、例えば、真空乾燥、加熱乾燥、フリーズドライ等の手法により行えばよい。
続いて、乾燥後の試験片を所定の樹脂に含浸させる(S104)。試験片を樹脂に含浸させることにより、試験片中の空隙部分等に樹脂が入り込み、後述する各推定工程における画像処理(2値化処理)時に、当該空隙部分を的確に抽出することができるようになる。
試験片を含浸させる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂等が挙げられ、当該樹脂が硬化する際の伸縮性が低収縮のものであるのが好ましく、当該樹脂の粘度は、200cP以下であるのが好ましい。樹脂の粘度が200cPを超えると、試験片中の空隙部分等への樹脂の流入が困難となるおそれがある。
なお、試験片を含浸させる上記樹脂は、不透明タイプの樹脂用顔料等が混練されることで着色されたものであるのが好ましい。かかる顔料が混練されていることで、後述する単位骨材量推定工程において、骨材と空隙との判別を的確に行うことができるようになる。
上記所定の樹脂に含浸させた試験片を乾燥させて当該樹脂を硬化させた後、当該試験片の撮像面を研磨する(S105)。試験片を含浸させた樹脂が試験片の撮像面で硬化することで、当該撮像面に凹凸ができてしまい、そのまま撮像面を撮像すると、画像上に凹凸による陰影等が表れてしまい、それによりコンクリート硬化体の配合推定精度が低下してしまうが、当該撮像面を研磨することで、高い精度でコンクリート硬化体の配合を推定することができる。
試験片の撮像面の研磨方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられる研磨装置を用いて行えばよい。また、研磨工程において使用し得る研磨材としては、シリコンカーバイト研磨材、ボロンカーバイト研磨材、ダイヤモンドペースト、アルミナ粉末等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの研磨材の平均粒度は、8〜60μm程度であればよい。
なお、後述するように、試験片の撮像装置として電子顕微鏡を用いて反射電子像を取得しようとする場合には、上記の研磨材を用いて研磨した試験片の表面に対して、研磨材として粒径0.3〜3μmのアルミナ粉末等を用いたバフ研磨加工をさらに施すのが好ましい。
最後に、撮像面を研磨した試験片の表面に蒸着膜を形成し、当該試験片に導電性を付与する(S106)。後述するように、少なくとも空気量の推定工程(図3)、並びに水セメント比、単位セメント量及び単位水量の推定工程(図4)においては、試験片の走査型電子顕微鏡像の反射電子像を取得することになる。しかしながら、コンクリートは導電性を有しないため、試験片に蒸着膜を形成せずに反射電子像を取得しようとすると、電子線を照射し続けることで試験片の表面が帯電し、反射する電子のパターンが乱れてしまい、正確な反射電子像を取得できないこととなってしまう。そこで、試験片の表面に導電性を有する蒸着膜を形成することで、正確な反射電子像を取得することが可能となる。
上記蒸着膜としては、試験片の表面に導電性を付与し得る限り特に限定されるものではないが、例えば、炭素、白金パラジウム、金等が挙げられる。また、蒸着膜を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により行うことができる。
〔単位骨材量推定工程〕
本実施形態において、コンクリート硬化体の単位骨材量を推定するには、図2に示すように、まず、上述の試験片調製工程により調製された試験片の撮像面のカラー画像(多値画像)を取得する(S201)。
当該カラー画像の取得の方法としては、例えば、試験片の撮像面をデジタルカメラ等で撮影する方法、スキャナを用いて試験片の撮像面のカラー画像を取得する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
取得するカラー画像の解像度は、600〜2400dpiであるのが好ましく、800〜1200dpiであるのがより好ましい。解像度が600dpi未満であると、画像における骨材部分とセメントペースト部分との界面の判別が困難になるおそれがあり、2400dpiを超えると、画像処理に長時間を要したり、市販の画像処理ソフトでは対応できなくなったりするおそれがある。
次に、取得したカラー画像のノイズを除去する処理をする(S202)。かかるノイズを除去する処理としては、例えば、カラー画像に移動平均フィルタやメディアンフィルタ等をかける処理等が挙げられる。
上述のようにしてノイズが除去されたカラー画像を2値化処理し、第1の2値化画像を取得する(S203)。2値化処理は、ノイズが除去されたカラー画像中の骨材部分とセメントペースト部分との輝度差や明度差を利用して、骨材部分とセメントペースト部分とを区別し得るような閾値を適宜設定して行うことができる。これにより、第1の2値化画像上において骨材部分とセメントペースト部分とを明確に区別することができる。
一方で、上記S201にて取得したカラー画像を常法によりモノクロ変換して、モノクロ画像を取得し(S204)、その後、当該モノクロ画像のノイズを除去する(S205)。なお、かかるノイズを除去する処理は、上述のカラー画像のノイズを除去する処理(S202)と同様の処理を行えばよい。
このようにしてノイズが除去されたモノクロ画像を2値化処理して第2の2値化画像を取得する(S206)。かかる2値化処理は、動的閾値法を用い、上記S201にて取得したカラー画像中の骨材部分と目視で一致するように行うのが望ましいが、第1の2値化画像において抽出されなかった骨材部分(セメントペースト部分との輝度差や明度差がほとんどなく、セメントペースト部分と区別されなかった骨材部分)を抽出し得る方法であれば、特に限定されるものではない。
さらに、上記S202でノイズが除去されたカラー画像を、空隙部分とそれ以外の部分との色度差を閾値として利用して2値化処理し、上記S201で取得したカラー画像上の空隙部分を抽出した第3の2値化画像を取得する(S207)。カラー画像上の空隙部分は、空隙に流入した樹脂に含まれる顔料の色で表示されるため、当該顔料の色に基づいて閾値としての色度差を適宜設定すればよい。
続いて、第1の2値化画像から第3の2値化画像を減算処理し、さらに第2の2値化画像を加算処理して、第4の2値化画像を取得する(S208)。上述のようにして得られる第1の2値化画像は、骨材部分とセメントペースト部分との色度差及び明度差を利用して2値化処理しているため、骨材部分として抽出される部分に空隙部分も含まれてしまう。また、セメントペースト部分の色度及び明度と区別し得ない色度及び明度を有する一部の骨材部分がセメントペースト部分として抽出されてしまう。そのため、第1の2値化画像から第3の2値化画像を減算処理し、さらに第2の2値化画像を加算処理することで、コンクリート硬化体中の骨材部分をより正確に2値化画像として表すことができ、単位骨材量を精度よく推定することができる。
そして、第4の2値化画像上の骨材部分と、上記S201にて取得したカラー画像上の骨材部分とが一致するように、第4の2値化画像における各画素の階調数(0又は1)を補正する(S209)。かかる補正により、さらに精度よく単位骨材量を推定することが可能となる。
このようにして補正された第4の2値化画像における骨材部分の面積率(骨材面積率(%),Vagg)を算出する(S210)。このようにして算出された骨材面積率は、ステレオロジー理論に基づいて、骨材体積率であるとみなすことができるため、下記式(1)に従って単位骨材量の推定値を算出する(S211)。
Figure 0005575448

式(1)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を表す。
このように、本実施形態によれば、調製された試験片の撮像面についてのデジタルカラー画像を解析することで単位骨材量を推定することができるため、骨材として石灰石骨材を含むコンクリート硬化体であっても高精度で、かつ簡易な操作により単位骨材量を推定することができる。
〔空気量推定工程〕
本実施形態においてコンクリート硬化体中の空気量を推定するには、図3に示すように、まず、上述の試験片調製工程により調製された試験片を、走査型電子顕微鏡を用いて撮像した反射電子像を取得する(S301)。
走査型電子顕微鏡によって撮像する際には、加速電圧を10〜15keV程度に、照射電流を200〜500pA程度に設定するのが好ましい。この範囲であれば、解像度の高い反射電子像を取得することができる。さらに、視野数を10〜20程度に設定することで、撮像箇所による気泡の偏在の影響を軽減することが可能となる。
走査型電子顕微鏡を用いて反射電子像を取得するにあたり、当該走査型電子顕微鏡での観察倍率は50〜100倍であるのが好ましく、特に80〜100倍であるのが好ましい。また、反射電子像の解像度は、0.1〜2.0μm/pixelであるのが好ましく、特に0.5〜1.0μm/pixelであるのが好ましい。
続いて、得られた反射電子像を平滑化処理することで当該反射電子像のノイズを除去する(S302)。そして、ノイズの除去された反射電子像を2値化処理し、第5の2値化画像を取得する(S303)。
コンクリート硬化体中に含まれるエントラップトエア(空気泡)部分は、反射電子像上において略円形の粒子状として表されるため、上記2値化処理にあたり、反射電子像上において未水和セメント部分、セメント水和物部分及び骨材部分よりも低輝度側に認められる略円形粒子を抽出可能な閾値を設定するのが好ましい。
また、反射電子像上の低輝度側に認められる略円形粒子には、コンクリート硬化体に生じたひび割れやセメントの水和によって生じる空隙等も含まれるため、第5の2値化画像中に認められる略円形粒子の面積率に基づいて空気量を算出すると、空気量の推定誤差が生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態においては、上述のようにして得られた第5の2値化画像上の略円形粒子から、円形度数又は円相当径を指標として、エントラップトエアに該当する部分を抽出した第6の2値化画像を取得する(S304)。
具体的には、第5の2値化画像上の略円形粒子のうち、円形度数が0.95以上、又は円相当径が10μm以上の略円形粒子をエントラップトエア部分として抽出する。
その後、第6の2値化画像上のエントラップトエア部分が、反射電子像上のエントラップトエア部分と一致するように、第6の2値化画像における各画素の階調数(0又は1)を補正し(S305)、エントラップトエア部分の面積率を算出する(S306)。
このようにして算出されたエントラップトエア部分の面積率は、ステレオロジーの理論からエントラップトエア部分の体積率と同等であるとみなすことができるため、当該面積率をコンクリート硬化体中の空気量と推定することができる。
このように、本実施形態によれば、従来の方法では推定することのできなかったコンクリート硬化体中の空気量を精度よく推定することができる。
〔水セメント比、単位セメント量、単位水量推定工程〕
本実施形態においてコンクリート硬化体中の水セメント比、単位セメント量及び単位水量を推定するには、図4に示すように、まず、上述の試験片調製工程により調製された試験片を、走査型電子顕微鏡を用いて撮像した反射電子像を取得する(S401)。
走査型電子顕微鏡によって撮像する際には、加速電圧を10〜15keV程度に、照射電流を500pA〜2nA程度に設定するのが好ましい。この範囲であれば、解像度の高い反射電子像を取得することができる。さらに、視野数は、反射電子像上から骨材部分やエントラップトエア部分を可能な限り排除することができるように適宜設定すればよいが、具体的には、20〜30程度に設定すればよい。
走査型電子顕微鏡を用いて反射電子像を取得するにあたり、当該走査型電子顕微鏡での観察倍率は250〜1000倍であるのが好ましく、特に500倍程度であるのが好ましい。また、反射電子像の解像度は、0.01〜0.02μm/pixelであるのが好ましく、特に0.01μm/pixelであるのが好ましい。
次に、得られた反射電子像のノイズを除去する(S402)。そして、ノイズの除去された反射電子像を、セメントペースト部分と骨材部分及びひび割れ部分との輝度差を閾値として利用して2値化処理し、骨材部分及びひび割れ部分を抽出した第7の2値化画像を取得する(S403)。そして、第7の2値化画像上の骨材部分及びひび割れ部分が、反射電子像上の骨材部分及びひび割れ部分と一致するように、第7の2値化画像における各画素の階調数(0又は1)を補正し、補正後の第7の2値化画像から骨材部分及びひび割れ部分の合計面積率を算出する。
次に、得られた第7の2値化画像を反射電子像に加算、又は反射電子像から第7の2値化画像を減算することにより、反射電子像にマスク処理を施す(S404)。これにより、反射電子像からセメントペースト部分以外の部分(骨材部分、ひび割れ部分)を排除することができる。
続いて、マスク処理された反射電子像を2値化処理し、セメントペースト部分のうちの未水和セメント部分を抽出し得る第8の2値化画像、及びセメントの水和により生じた空隙部分を抽出し得る第9の2値化画像を取得する(S405)。
第8及び第9の2値化画像を取得するに際し、それぞれ未水和セメント部分及び空隙部分を抽出し得る閾値を設定して、マスク処理された反射電子像を2値化処理するのが好ましい。特に、空隙部分の抽出にあたっては、反射電子像におけるグレイレベルの累積度数分布グラフに基づいて、低輝度側のスロープからセメント水和物のスロープに転じる屈曲点を閾値とするのが好ましい。
そして、第8及び第9の2値化画像のそれぞれから、未水和セメント部分の面積率及び空隙部分の面積率を算出し(S406)、下記式によりセメント水和物の面積率を算出する(S407)。
Figure 0005575448

式(6)中、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、Vcrackは「骨材部分及びひび割れ部分合計面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VCPは「空隙面積率(%)」を表す。
このようにして算出されたセメント水和物面積率、未水和セメント面積率及び空隙面積率から、下記式(2)に従って水セメント比推定値を算出する(S408)。
Figure 0005575448

式(2)中、Vは「水体積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「セメントの水和膨張係数」を、VCPは「空隙面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、ρは「セメントの密度(g/cm)」を表す。
続いて、算出されたセメント水和物面積率から、下記式(3)に従って、初期セメント体積率を算出する(S409)。
Figure 0005575448

式(3)中、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「水和膨張係数」を表す。
さらに、算出された初期セメント体積率、単位骨材量推定工程により算出された骨材面積率、及び空気量推定工程により算出されたエントラップトエア部分の面積率から、下記式(4)に基づいて単位セメント量推定値を算出する(S410)。
Figure 0005575448

式(4)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を、Vairは「エントラップトエア部分の面積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、ρは「セメント密度(g/cm)」を表す。
さらにまた、上述のようにして算出された水セメント比推定値及び単位セメント量推定値から、下記式(5)に従って単位水量を算出する(S411)。
Figure 0005575448
このように、本実施形態によれば、コンクリート硬化体の試験片の撮像面の画像を取得し、当該画像を解析するだけで、コンクリート硬化体の配合のうち、水セメント比、単位セメント量及び単位水量を、簡易な操作により精度よく推定することができる。
上述した単位骨材量推定工程、空気量推定工程、並びに水セメント比、単位セメント量及び単位水量推定工程によって、コンクリート硬化体に配合されている骨材や混和材の種類を問わず、コンクリート硬化体の配合を精度よく推定することができる。したがって、本実施形態に係る配合推定方法によれば、石灰石骨材を含むコンクリート硬化体であっても正確に配合を推定することができるとともに、簡易な操作により配合を推定することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記実施形態の試験片調製工程において、樹脂含浸工程(S104)と撮像面研磨工程(S105)とを1回ずつ行っているが、これに限定されるものではなく、2回以上繰り返して行ってもよい。この場合において、2回目以降の撮像面研磨工程(S105)においては、研磨材としてアルミナ粉末等を用いたバフ研磨機にて撮像面を研磨するのが好ましい。
〔実施例1〕
配合推定対象コンクリートとして、海水飛沫帯にて2年間暴露されていたコンクリート硬化体を用い、配合推定用試験片(試料1〜4)を調製した。当該コンクリート硬化体の使用材料及び配合を表1及び2に示す。なお、表2中の試料1及び3は、セメントとして普通ポルトランドセメントを用いたものであり、試料2及び4は、セメントとして低熱ポルトランドセメントを用いたものである。
Figure 0005575448
Figure 0005575448
上記コンクリート硬化体から、2cm×4cm×2cmの試験片(骨材量推定用試験片)及び2cm角の試験片(空気量及び水セメント比推定用試験片)を切り出し、1週間真空乾燥した。
乾燥後の骨材量推定用試験片に、朱色塗料を混練した低粘性エポキシ樹脂(製品名:スペシフィックス−20,丸本ストルアス社製,粘度:185〜190cP)を減圧下にて含浸させた。含浸させた樹脂が硬化した後、研磨材としてSiC研磨材(♯240,400,800)及びBC研磨材(♯1000)を用い、研磨機としてマルトー社製のパワーラップ(製品名)を用いて試験片の撮像面を研磨した。
また、乾燥後の空気量及び水セメント比推定用試験片を、内径1インチの円筒形モールドに収容し、当該円筒形モールド内に低粘性エポキシ樹脂脂(製品名:スペシフィックス−20,丸本ストルアス社製,粘度:185〜190cP)を流し込み、減圧下にて当該樹脂を含浸させた。含浸させた樹脂が硬化した後、研磨材としてSiC研磨材(♯240,400,800)及びBC研磨材(♯1000)を用い、研磨機としてマルトー社製のパワーラップ(製品名)を用いて試験片の撮像面を研磨した。その後、再度低粘性エポキシ樹脂を含浸させ、研磨材としてアルミナ粉末(粒径:3,1,0.3μm)を用い、バフ研磨機(エンギス社製,製品名:KENT3)にてバフ研磨加工を施した。研磨後、試験片に導電性を付与するため、カーボン蒸着を行った。
このようにして得られた単位骨材量推定用試験片、並びに空気量及び水セメント比推定用試験片について、以下のようにして画像処理を行い、コンクリート硬化体の配合推定を行った。なお、画像処理は、市販の画像解析ソフト(製品名:NanoHunter NS2K−Pro,ナノシステム社製)を用いて行った。
(1)単位骨材量推定
単位骨材量推定用試験片の撮像面のカラー画像を、スキャナ(キャノン社製,製品名:CanoScanLiDE500F)を用いて取得し、得られたカラー画像に含まれるノイズを当該カラー画像に移動平均フィルタをかけることにより除去した後、骨材部分とセメントペースト部分との色度差及び明度差を利用して2値化処理を行い、第1の2値化画像を取得した。また、カラー画像をモノクロ変換して、当該モノクロ画像に移動平均フィルタをかけてノイズを除去した後、動的閾値法により2値化処理を行い、第2の2値化画像を取得した。さらに、カラー画像に含まれるノイズを除去した当該画像について、空隙部分とそれ以外の部分との色度差を利用して2値化処理を行い、第3の2値化画像を取得した。
取得した第1の2値化画像から第3の2値化画像を減算し、さらに第2の2値化画像を加算し、加算後の画像上の骨材部分と、カラー画像上の骨材部分とが目視で一致するように、加算後の画像の階調を補正した。このようにして得られた2値化画像より骨材部分の面積率を算出し、当該骨材面積率から、下記式(1)に基づいて単位骨材量を算出した。
Figure 0005575448

式(1)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を表す。
(2)空気量推定
走査型電子顕微鏡(JSM−7001F,日本電子社製)を用い、観察倍率を100倍として取得した反射電子像について、移動平均フィルタをかけてノイズを除去した。ノイズを除去した後の反射電子像上における未水和セメント部分、セメント水和物部分及び骨材部分よりも低輝度側に認められる略円形粒子を抽出し得るように閾値を設定し、2値化処理を行った。得られた2値化画像上の略円形粒子のうち、円相当径が10μm以上、かつ円形度数が0.95以上のものをエントラップトエアとして抽出するように閾値を設定して、再度2値化処理を行った。
このようにして得られた2値化画像上のエントラップトエアが、ノイズを除去した後の反射電子像上のエントラップトエアと一致するように、2値化画像の各画素の階調数を補正した。その後、補正後の画像よりエントラップトエア部分の面積率を算出し、当該面積率を空気量(Vair)と推定した。
(3)水セメント比推定
走査型電子顕微鏡(JSM−7001F,日本電子社製)を用い、観察倍率を500倍として取得した反射電子像について、移動平均フィルタをかけてノイズを除去した。反射電子像上の骨材部分及びひび割れ部分を抽出し得る閾値を設定した上で、2値化処理を行い、骨材部分及びひび割れ部分を抽出した2値化画像を取得し、その合計面積率(Vcrack)を算出した。
そして、ノイズを除去した後の反射電子像から骨材部分及びひび割れ部分を抽出した2値化画像を減算して、当該反射電子像についてマスク処理をした。マスク処理後の反射電子像上の未水和セメント部分を抽出し得る閾値を設定して2値化処理を行い、未水和セメント部分を抽出した2値化画像を取得した。
また、ノイズを除去した後の反射電子像に骨材部分及びひび割れ部分を抽出した2値化画像を加算して、当該反射電子像についてマスク処理をした。マスク処理後の反射電子像上の空隙部分を抽出し得る閾値を設定して2値化処理を行い、空隙部分を抽出した2値化画像を取得した。
そして、反射電子像上の未水和セメント部分及び空隙部分と、各2値化画像上の未水和セメント部分及び空隙部分とが目視で一致するように、各2値化画像の各画素の階調を補正した。
補正後の画像から、未水和セメント部分及び空隙部分の合計面積率を算出し、下記式(6)に従って、セメント水和物の面積率を算出した。
Figure 0005575448

式(6)中、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、Vcrackは「骨材部分及びひび割れ部分合計面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VCPは「空隙面積率(%)」を表す。
このようにして算出されたセメント水和物面積率、未水和セメント面積率及び空隙面積率から、下記式(2)に従って、水セメント比推定値を算出した。
Figure 0005575448

式(2)中、Vは「水体積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「セメントの水和膨張係数」を、VCPは「空隙面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、ρは「セメントの密度(g/cm)」を表す。
続いて、算出されたセメント水和物面積率から、下記式(3)に従って、初期セメント体積率を算出した。
Figure 0005575448

式(3)中、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「水和膨張係数」を表す。
さらに、算出された初期セメント体積率、骨材面積率及びエントラップトエア部分の面積率から、下記式(4)に基づいて単位セメント量推定値を算出した。
Figure 0005575448

式(4)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を、Vairは「エントラップトエア部分の面積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、ρは「セメント密度(g/cm)」を表す。
さらにまた、上述のようにして算出された水セメント比推定値及び単位セメント量推定値から、下記式(5)に従って単位水量を算出した。
Figure 0005575448
上述したようにして推定されたコンクリート硬化体の配合を、当該コンクリート硬化体の配合とあわせて表3に示す。
〔比較例1〕
実施例1において使用したコンクリート硬化体(試料1〜4)を用い、コンクリート専門委員会報告 F−18 硬化コンクリートの配合推定に関する共同試験報告(社団法人セメント協会,昭和42年9月)に記載の方法により、上記各試料1〜4の単位容積質量及び単位水量を求め、グルコン酸ナトリウムによる硬化コンクリートの単位セメント量試験方法(日本非破壊検査協会規格,NDIS−3422,2002年)に記載の方法により、上記各試料1〜4の単位セメント量を求めた。なお、単位骨材量は、下記式(7)〜(11)により算出した。結果を表3にあわせて示す。
Figure 0005575448

式(7)中において、Xは「セメント量(%)」を、Yは「骨材量(%)」を、Zは「水量(%)」を表す。
Figure 0005575448

式(8)中において、aは「コンクリート試料の500℃強熱減量(%)」を、αは「骨材の600℃強熱減量(%)」を表す。なお、本比較例1においては、αを1.2%と仮定し、下記式(9)により水量(Z)をコンクリート試料の500℃強熱減量(a)及び骨材量(Y)で表すことができるため、上記式(7)は、下記式(10)で表すことができる。
Figure 0005575448
Figure 0005575448
上記式(7)〜(10)による算出結果、表乾単位容積質量、コンクリートの吸収率及び骨材の吸収率を下記式(11)に代入することにより、単位骨材量を算出した。なお、骨材の吸収率は、1.8%と仮定した。
Figure 0005575448

式(11)中において、Wは「単位容積質量(kg/m)」を、Yは「骨材量(%)」を、ρは「コンクリートの吸水率(%)」を、ρは「骨材の吸水率(%)」を表す。
Figure 0005575448
表3に示すように、実施例1の方法によるコンクリート硬化体の配合推定値は、比較例1の方法によるそれよりも、実際の配合に近い値であることが確認された。このことから、実施例1の方法によれば、高い精度でコンクリート硬化体の配合を推定し得ることが確認された。特に、石灰石骨材を含むコンクリート硬化体であっても、単位骨材量を高精度で推定し得ることが判明した。また、従来の方法では推定することができなかった空気量に関しても、精度よく推定できることが確認された。

Claims (8)

  1. コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、
    前記コンクリート硬化体の多値画像を、空気量推定用閾値を用いて2値化処理し、
    得られた2値化処理画像から、円形度数又は円相当径に基づいて、略円形部分をエントラップトエア部分の画像として抽出し、
    抽出されたエントラップトエア部分の面積率を算出し、得られた面積率を前記コンクリート硬化体における空気量と推定する
    ことを特徴とする配合推定方法。
  2. 前記多値画像における未水和セメント部分、セメント水和物部分及び骨材部分よりも低輝度側に表示される前記略円形部分を前記エントラップトエア部分の画像として抽出することを特徴とする請求項に記載の配合推定方法。
  3. コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、
    前記コンクリート硬化体の多値画像を、水セメント比推定用閾値を用いて2値化処理し、2値化処理画像より算出された未水和セメント面積率、空隙面積率及びセメント水和物面積率から、下記式(2)に基づいて水セメント比推定値を算出することを特徴とする配合推定方法。
    Figure 0005575448

    式(2)中、Vは「水体積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「セメントの水和膨張係数」を、VCPは「空隙面積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、ρは「セメントの密度(g/cm)」を表す。
  4. コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、
    前記コンクリート硬化体の多値画像を、骨材量推定用閾値を用いて2値化処理し、得られた2値化処理画像より骨材面積率を算出し、
    請求項に記載の配合推定方法において算出された前記未水和セメント面積率から、下記式(3)に基づいて初期セメント体積率を算出し、
    前記骨材面積率、請求項1又は2に記載の配合推定方法において算出された前記エントラップトエア部分の面積率及び前記初期セメント体積率から、下記式(4)に基づいて単位セメント量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法。
    Figure 0005575448

    Figure 0005575448

    式(3)中、Vは「初期セメント体積率(%)」を、VAHは「未水和セメント面積率(%)」を、VHPは「セメント水和物面積率(%)」を、δは「セメントの水和膨張係数」を表し、式(4)中、Vaggは「骨材面積率(%)」を、Vairは「エントラップトエア部分の面積率(%)」を、Vは「初期セメント体積率(%)」を、ρは「セメント密度(g/cm)」を表す。
  5. コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、
    前記コンクリート硬化体の多値画像を、骨材量推定用閾値を用いて2値化処理し、得られた2値化処理画像より骨材面積率を算出し、
    前記コンクリート硬化体の多値画像を、空気量推定用閾値を用いて2値化処理し、得られた2値化処理画像からエントラップトエア部分判定用パラメータに基づいて抽出されたエントラップトエア部分の面積率を算出し、
    請求項3に記載の配合推定方法において算出された前記未水和セメント面積率から、下記式(3)に基づいて初期セメント体積率を算出し、
    前記骨材面積率、前記エントラップトエア部分の面積率及び前記初期セメント体積率から、下記式(4)に基づいて単位セメント量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法。
    Figure 0005575448

    Figure 0005575448

    式(3)中、V は「初期セメント体積率(%)」を、V AH は「未水和セメント面積率(%)」を、V HP は「セメント水和物面積率(%)」を、δ は「セメントの水和膨張係数」を表し、式(4)中、V agg は「骨材面積率(%)」を、V air は「エントラップトエア部分の面積率(%)」を、V は「初期セメント体積率(%)」を、ρ は「セメントの密度(g/cm )」を表す。
  6. コンクリート硬化体の配合を推定する方法であって、
    請求項に記載の配合推定方法により算出された水セメント比推定値と、請求項4又は5に記載の配合推定方法により算出された単位セメント量推定値とから、下記式(5)に基づいて単位水量推定値を算出することを特徴とする配合推定方法。
    Figure 0005575448
  7. 前記多値画像は、前記コンクリート硬化体を所定の大きさに切断して得られる試験片の一の面を撮像した多値画像であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の配合推定方法。
  8. 前記多値画像は、研磨された前記試験片の一面を撮像した多値画像であることを特徴とする請求項に記載の配合推定方法。
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