JP2003066031A - 硬化コンクリートの配合推定方法 - Google Patents

硬化コンクリートの配合推定方法

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JP2003066031A
JP2003066031A JP2001259556A JP2001259556A JP2003066031A JP 2003066031 A JP2003066031 A JP 2003066031A JP 2001259556 A JP2001259556 A JP 2001259556A JP 2001259556 A JP2001259556 A JP 2001259556A JP 2003066031 A JP2003066031 A JP 2003066031A
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Yoichi Ishikawa
陽一 石川
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Taiheiyo Consultant Co Ltd
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Taiheiyo Consultant Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 硬化コンクリートの配合を調査する必要があ
る場合に、より正確な推定結果を得る手段を提供する。 【解決手段】絶乾微粉末分析試料中のCaO含有率
(%)から検体硬化コンクリートのセメント構成比を推
定し、さらに順次検体硬化コンクリートの単位セメント
量(kg/m3 )、検体硬化コンクリートの結合水構成比、
検体硬化コンクリートの絶乾骨材構成比、検体硬化コン
クリートの絶乾単位骨材量(kg/m3 )、検体硬化コンク
リートの単位セメント量容積(l/m3 )、検体硬化コンク
リートの単位骨材量容積(l/m3 )を推定し、推定見掛空
気量容積(l/m3 )を引いて検体硬化コンクリートの単位
水量(l/m3 )を推定する硬化コンクリートの配合推定方
法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化コンクリート
の配合割合を推定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、硬化コンクリー
トの配合割合を推定する方法として、セメント協会コン
クリー卜専門委員会報告F−18「硬化コンクリートの
配合推定に関する共同試験報告」に記載されている方法
があり、この方法が広く採用されている。しかし、この
方法は、信頼性に乏しいとの評価を受けている。
【0003】上記F−18「硬化コンクリートの配合推
定に関する共同試験報告」に記載された従来の方法が、
信頼性に乏しいとされる理由の一つは、先ず絶乾骨材構
成比の推定に骨材の不溶残分(%)を用いていることに
ある。
【0004】即ち、通常、検体硬化コンクリートに使用
された骨材の不溶残分(%)は不明であるので、従来の
絶乾骨材構成比の推定方法は、検体硬化コンクリートを
代表するように調製された絶乾微粉末分析試料(以下、
「分析試料」と略記する。)の不溶残分(%)を測定
し、これを我が国のコンクリート用骨材の不溶残分
(%)の平均値で除して、絶乾骨材構成比を推定してい
る。
【0005】しかし、前記の絶乾骨材構成比を推定する
従来の方法は、検体の硬化コンクリートに使用された骨
材の不溶残分(%)と、我が国のコンクリート用骨材の
不溶残分(%)の平均値は、常に等しいと仮定して推定
していることになるが、コンクリート用骨材の不溶残分
(%)のばらつきは、非常に大きいので、我が国のコン
クリート用骨材の不溶残分(%)の平均値で、我が国の
全てのコンクリート用骨材の不溶残分(%)を代表させ
ることには無理がある。
【0006】図1は、上記F−18「硬化コンクリート
の配合推定に関する共同試験報告」の資料II「全国各地
の骨材分析結果」から、細骨材と粗骨材の不溶残分
(%)をまとめてヒストグラムにしたものである。同図
に示すように、コンクリート用骨材の不溶残分(%)は
非常にばらつきが大きい。
【0007】上記コンクリート用骨材の不溶残分(%)
のばらつきが大きい理由は、コンクリート用骨材は天然
物であり、岩種によって不溶残分(%)が異なるからで
ある。しかも、コンクリート用骨材は、複数の岩種の混
合物である場合が普通であるので、岩種の構成割合、岩
種の組み合わせが異なると、不溶残分(%)の値が変動
する。従って、同一河川から採取したコンクリート用骨
材であっても、同一の不溶残分(%)であるとは限らな
い。
【0008】図1に示したように、コンクリート用骨材
の不溶残分(%)のばらつきを示す標準偏差は、1.7
9%であり、これをコンクリート用骨材の不溶残分の平
均値を100で割った0.952で割ると、1.88%
となり、2σで考えると、骨材構成比は±4%近い誤差
を持つことになる。この誤差は、単に単位骨材量(kg/m
)の推定に誤差を与えるばかりではなく、本当は骨材
であったにも係わらず水と見なしてしまう誤り、逆に本
当は水であったにも係わらず骨材と見なしてしまう誤り
が、重要な配合推定項目である単位水量(kg/m)或い
は水セメント比に大きな影響を与える。
【0009】即ち、検体硬化コンクリートに使用された
骨材の不溶残分(%)が、我が国のコンクリート用骨材
の不溶残分(%)の平均値より小さかった場合には、検
体硬化コンクリートの単位水量(kg/m)及び水セメン
ト比は過大に推定されてしまい、検体硬化コンクリート
に使用された骨材の不溶残分(%)が、我が国のコンク
リート用骨材の不溶残分(%)の平均値より大きかった
場合には、検体硬化コンクリートの単位水量(kg/m
及び水セメント比は過小に推定されてしまう。このこと
が、先ず、従来の硬化コンクリートの配合推定結果の信
頼性を損なっている原因の一つである。
【0010】次に、従来方法が信頼性に乏しいとされる
もう一つの理由は、空気量(%)の扱い方にある。
【0011】即ち、F−18「硬化コンクリートの配合
推定に関する共同試験報告」が報告された当時は、AE
コンクリートの製造が始まったばかりの頃であったた
め、同報告書では空気量(%)を考慮しておらず、硬化
コンクリートの空気量(%)を推定する方法は記載され
ていない。しかし、その後AEコンクリートの製造が普
通になってきたため、空気量(%)を無視することはで
きなくなってきたが、上述したように硬化コンクリート
の空気量(%)を推定する方法が無かったため、便法と
して、従来においては空気量(%)を想定した値を用い
て、配合推定を行なうことが成されてきた。具体的に
は、 nonAEコンクリートであれば、空気量を1.5%
程度と想定し、AEコンクリー卜であれば、空気量を
4.0%程度と想定して推定することがなされていた。
【0012】この空気量想定値(%)と検体硬化コンク
リートの実際の空気量(%)に差異があった場合、本当
は水であったにも係わらず空隙と見なしてしまう誤り、
逆に本当は空隙であったにも係わらず水と見なしてしま
う誤りが、重要な配合推定項目である単位水量(kg/
m)或いは水セメント比に大きな影響を与える。
【0013】即ち、検体硬化コンクリートの空気量
(%)を過大に想定した場合には、検体硬化コンクリー
トの単位水量(kg/m)及び水セメント比は過小に推定
されてしまい、検体硬化コンクリートの空気量(%)を
過小に想定した場合には、検体硬化コンクリートの単位
水量(kg/m)及び水セメント比は過大に推定されてし
まう。
【0014】また、コンクリート構造物を打設する際
に、コンクリートの締固めが不足した場合には、空気で
形成された空隙が残留する。従って、実構造物コンクリ
ートには、打設するコンクリート自体に含まれていた空
気量(%)の他に、締固め不足によって残留した空隙量
(%)が加算されることがあるので、かならずしも設計
どおりの空気量(%)が導入されているとは限らない。
【0015】そのため、検体硬化コンクリートの配合割
合を推定する場合の空気量(%)は、打設するコンクリ
ー卜自体に含まれていた空気量(%)と、締固め不足に
よって残留した空隙量(%)の合計空気量(%)が必要
である。しかし、この打設するコンクリー卜自体に含ま
れていた空気量(%)と、締固め不足によつて残留した
空隙量(%)の合計空気量(%)を、予め想定すること
は非常に困難であり、この空気量(%)の想定値の過誤
が、従来の硬化コンクリートの配合推定方法の信頼性を
損なっていたもう一つの大きな理由である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
の硬化コンクリートの配合割合を推定する方法が有する
課題を解決するため、以下に記載した硬化コンクリート
の配合割合の推定方法とした。
【0017】先ず、本発明のセメント構成比の推定方法
について説明する。我が国の普通ポルトランドセメント
(以下、「普通セメント」と略記する。)は、CaO含
有率が64.5%程度になるように調整して製造されて
いるので、天然物とは異なり、CaO含有率のばらつき
は小さい。よって、分析試料中のセメント起源のCaO
含有率(%)を測定し、これを普通セメントの平均的な
CaO含有率で除すと、検体の推定セメント構成比が求
まる。
【0018】上記セメント起源のCaO含有率(%)の
測定は、分析試料を薄い塩酸に溶解し測定するが、この
際、コンクリート骨材微粉末からも僅かではあるがCa
Oが溶出する。この溶出した骨材に含まれていたCaO
を、骨材起源のCaO量と言う。分析試料の分析結果の
CaO量は、セメント起源のCaO含有率(%)と上記
骨材起源のCaO量の合計である。従って、セメント起
源のCaO含有率(%)は、分析結果のCaO量から骨
材起源のCaO量を引かなければならない。
【0019】通常、検体硬化コンクリートの使用骨材の
CaO溶出率は不明であるので、上記F−18「硬化コ
ンクリートの配合推定に関する共同試験報告」の資料II
「全国各地の骨材分析結果」から、コンクリート用骨材
のCaO溶出率の全国平均値を求めた値の0.37%を
仮定値として用い、単位骨材量(kg/m)×0.37/
100で骨材から溶出するCaO量を算出し、セメント
起源のCaO含有率(%)を求める。セメント起源のC
aO含有率(%)が求められれば、セメント構成比が求
められる。このセメント構成比の推定方法は、従来技術
と同じである。
【0020】しかし、ここで問題となるのは、本発明の
方法は、後述するように上記セメント構成比が定まらな
ければ骨材構成比が定まらず、前述したように骨材構成
比が定まらなければセメント構成比が定まらないと言う
矛盾に直面する。そこで、前記矛盾点を解決する手段と
して、以下のような方法を採用した。
【0021】先ず、補正前のセメント起源のCaO含有
率(%)を用いて後述する方法によって仮の骨材構成比
を求める。次に、この仮の骨材構成比を用いて前述した
方法でセメント起源のCaO含有率(%)を求め、セメ
ント構成比を求め、このセメント構成比を用いて再度後
述する方法によって骨材構成比を求める。この骨材構成
比が前記仮の骨材構成比と有効数字3桁で合致するまで
上記操作を繰り返し、骨材構成比を決定する。上記操作
は、実務上はコンピュータ計算であり、仮の骨材構成比
を1回入力するれば、有効数字3桁で合致するのが普通
であることから、上記操作は、それほど複雑な計算では
ない。
【0022】次に、結合水構成比の推定方法について説
明する。我が国の普通セメントは、CaO含有率ばかり
でなく、その他の化学成分及びクリンカー鉱物組成も近
似しているので、普通セメントに対する結合水の比(以
下、「結合水比」と略記する。)は、ほぼ一定の値をと
ると考えて良い。従って、結合水構成比は、セメント構
成比に比例するはずであるから、結合水構成比は、セメ
ント構成比に仮定結合水比を乗ずることによって推定で
きる。結合水比は、材齢及び水和環境によって異なる
が、これについては後述する。
【0023】上記結合水構成比を推定する理由は、後述
する絶乾骨材構成比を推定する場合に必要となるからで
あり、推定絶乾骨材構成比に誤差があると、上述したよ
うに重要な配合推定項目である単位水量(kg/m)、或
いは水セメント比に大きな影響を与えるので、結合水構
成比は重要である。
【0024】次に、絶乾骨材構成比の推定方法について
説明する。絶乾コンクリートは、セメント水和物と絶乾
骨材とから構成されており、セメント水和物はセメント
と結合水に分けて考えることができる。そのため、微量
成分を無視するとセメント構成比と結合水構成比と絶乾
骨材構成比の合計は1になるはずである。従って、1か
ら上記セメント構成比と上記結合水構成比を引けば絶乾
骨材構成比が推定できる。
【0025】検体硬化コンクリートの単位結合水容積
(l/m)は、検体硬化コンクリートの実測絶乾単位容積
質量(kg/m)に検体硬化コンクリートの上記推定結合
水構成比を乗じれば推定でき、検体硬化コンクリートの
単位セメント量(kg/m)は、検体硬化コンクリートの
実測絶乾単位容積質量(kg/m)に検体硬化コンクリー
トの上記推定セメント構成比を乗じれば推定できる。ま
た、検体硬化コンクリートの絶乾単位骨材量(kg/m
は、検体硬化コンクリートの絶乾単位容積質量(kg/
m)に検体硬化コンクリートの上記推定絶乾骨材構成
比を乗じれば推定でき、検体硬化コンクリートの推定表
乾単位骨材量(kg/m)は、検体硬化コンクリートの前
記推定絶乾単位骨材量(kg/m)に(1+仮定骨材吸水
率/100)を乗じれば推定できる。
【0026】次に、見掛空気量容積(l/m)の推定方法
について説明する。ここで、本発明において見掛空気量
容積(l/m)とは、打設するコンクリート自体に含まれ
ていた空気量(%)と、締固め不足によって残留した空
隙量(%)の合計を言う。以下の説明を分かり易くする
ために、硬化コンクリートの物質構成を容積で説明した
概念図を図2に示す。同図において横軸のスケールは不
定である。また、フレッシュコンクリートの物質構成を
容積で説明した概念図を図3に示す。この図においても
横軸のスケールは不定である。
【0027】空気量(%)を実測してあるフレッシュコ
ンクリートを用いて成型し、材齢91日まで標準水中養
生した試製供試体の表乾単位容積質量(kg/m)と絶乾
単位容積質量(kg/m)を実測する。表乾単位容積質量
(kg/m)と絶乾単位容積質量(kg/m)の差を全空隙
容積(l/m)と呼ぶ。全空隙容積(l/m)から骨材中に
含まれる空隙(l/m)を引いたものを試製供試体のペー
スト空隙容積(l/m)と呼ぶ(図1参照)。試製供試体
間の単位骨材量(kg/m)の差異による骨材空隙容積
(l/m)の変動が見掛空気量容積(l/m)の推定に及ぼ
す影響を排除するために骨材空隙容積(l/m)を引く。
骨材中に含まれる空隙容積(l/m)は、推定絶乾単位骨
材量(kg/m)に使用骨材の実測吸水率(%)を乗じて
100で割れば求められる。
【0028】試製供試体の余剰水容積(l/m)は、10
00(l/m)から、推定単位セメント量容積(l/m)、
推定単位骨材量容積(l/m)、推定単位結合水容積(l/
m)及び実測空気量容積(l/m)を引いて求める(図2
参照)。推定単位セメント量容積(l/m)は、推定単位
セメント量(kg/m)を実測セメント密度で除して求
め、推定単位骨材量容積(l/m)は、推定表乾単位骨材
量(kg/m)を実測表乾骨材密度で除して求める。
【0029】試製供試体の(空気+余剰水)容積(l/m
)は、1000(l/m)から、推定単位セメント量容
積(l/m)、推定単位骨材量容積(l/m)及び推定単位
結合水容積(l/m)引いて求める(図2参照)。即ち、
推定余剰水容積(l/m)に実測空気量(l/m)を加えた
ものである。
【0030】以上のように数値変換した試製供試体の推
定ペースト空隙容積(l/m)と推定余剰水容積(l/m)
との関係を回帰分析すると両者の関係は、図4に示すよ
うに極めて良好な曲線回帰となった。この回帰線を用い
て、以下のような解析を行なうと見掛空気量容積(l/m
)が推定できる。なお、回帰線は、二次曲線として回
帰分析を行なった方が誤差が少ないが、直線回帰と見な
すこともできる。
【0031】回帰線は空気量を0%とした回帰線である
から、回帰線の下側の領域は水が起源であった空隙であ
り、回帰線の上側の領域は空気が起源であった空隙であ
る。
【0032】図4の推定余剰水容積(l/m)のプロット
を、試製供試体の推定(空気+余剰水)容積(l/m)の
プロットに書き換えた図を図5に示す。推定(空気+余
剰水)容積(l/m)は、推定余剰水容積(l/m)に実測
空気量容積(l/m)を加えたものであるから、プロット
は、実測空気量容積(l/m)分だけ回帰線から上に移動
した位置に移動する。従って、同プロットと回帰線とを
結ぶ垂線上の同プロットと回帰線との隔たり(l/m)
を、見掛空気量容積(l/m)として推定できる。
【0033】プロットと回帰線との隔たり(l/m)を読
み取りやすくするために、空気量容積10l/m がコン
クリート中の空気量1%に相当するので、空気が起源で
あった散布図上の領域に、回帰線を10l/m ずつ上方
に平行移動させた補助線を引き、見掛空気量(%)の凡
例を付記した図を図6に示す。この図が見掛空気量
(%)推定のための計算図表である。
【0034】単位水量(l/m)は、1000lから推定
単位セメント量容積(l/m)、推定単位骨材量容積(l/
m)及び推定見掛空気量容積(l/m)を引くことによっ
て推定できる。
【0035】次に、空気量未知の検体硬化コンクリート
の空気量推定の方法を説明する。前記の計算図表上に、
検体硬化コンクリートの推定ペースト空隙容積(l/m)
と推定(空気+余剰水)容積(l/m)とのプロットを記
入し、プロットの回帰線からの隔たりを読み取れば、検
体硬化コンクリートの見掛空気量(%)、或いは見掛空
気量容積(l/m)が推定できる。
【0036】回帰線は、実測空気量(%)をべースにし
て作成したものであるから、本発明の見掛空気量(%)
には、余剰水に起因する細孔空隙は含まれていない。ま
た、実務上の見掛空気量容積(l/m)の推定は、後述す
る方程式で推定できる。
【0037】上述した本発明は、原則として普通セメン
ト使用のコンクリートに適用するが、検体硬化コンクリ
ートの使用セメントの平均的なCaO含有率を適切に仮
定できる場合で、検体硬化コンクリートの結合水比を適
切に仮定できる場合には、推定精度は低下すると考えら
れるが、異種セメント使用のコンクリートにも適用でき
る。例えば、フライアッシュセメント使用硬化コンクリ
ートの場合、従来法では、セメント中のフライアッシュ
の大部分が不溶残分として測定されてしまうので、フラ
イアッシュの大部分は骨材と見なされてしまうが、本発
明の方法では、フライアッシュが骨材と見なされること
はないので、おおよその配合割合の推定は可能である。
【0038】また、検体硬化コンクリートの使用骨材の
一部又は全部が石灰石であった場合は、セメント起源の
CaOか石灰石起源のCaOであるか区別しなければな
らない。本発明の方法では、検体硬化コンクリートの分
析試料中のCO含有率を測定して、石灰石の使用量を
求め、セメント起源のCaO含有率を算出して、セメン
ト構成比を推定することもできる。この方法は、石灰石
以外の天然骨材にも少量のCOが含まれているため、
正しい石灰石使用量は推定できないので、石灰石使用コ
ンクリートは、補正項が増えただけ推定精度が低下す
る。
【0039】従来法では、石灰石は不溶残分として測定
できない、即ち、石灰石は塩酸に溶けてしまうので、セ
メント構成比の補正の他に、分析試料中のCO含有率
から求めた石灰石使用量を用いて、骨材構成比も補正し
なければならない。不確かさを含む石灰石使用量を二重
に補正しなければならない従来法は、前述した問題点の
他に、石灰石使用コンクリートにおいても、本発明より
推定精度が劣ることになる。
【0040】以下、上述した本発明を見出した試験例、
及び上述した本発明の推定精度を裏付ける試験例につき
説明する。
【0041】
【試験例1】配合量(kg/m)が既知で、且つ、空気量
(%)を実測してあるフレッシュコンクリートを用いて
成型して得た硬化コンクリートの試製供試体群を材齢9
1日まで標準水中養生した。この試製供試体群を用いて
見掛空気量推定のための回帰線を作成する。空気量
(%)は、JIS A 1182「フレッシュコンクリートの空気
量の圧力による試験方法−空気室圧力方法」により実測
した。前記試製供試体群の配合及び実測空気量(%)な
どを表1に示す。また、使用した普通セメントのCaO
含有率及び密度、更に使用骨材の表乾密度及び吸水率を
表1に併記した。
【0042】
【表1】
【0043】材齢91日まで標準水中養生した各試製供
試体群の分析試料中のCaO含有率(%)、単位容積質
量(kg/m)、各成分構成比及び配合値と推定値の差
(kg/m)などを表2に示す。なお、推定セメント構成
比は、試製供試体中のセメント起源のCaO含有率
(%)を普通セメントのCaO含有率(%)で除すこと
により推定し、推定結合水構成比は、前記推定セメント
構成比に仮定結合水比(0.3)を乗ずることによって
推定した。また、推定絶乾骨材構成比は、1から上記推
定セメント構成比と上記推定結合水構成比を引くことに
より推定した。更に、推定単位セメント量(kg/m
は、実測絶乾単位容積質量(kg/m)に上記推定セメン
ト構成比を乗じることにより推定し、推定絶乾単位骨材
量(kg/m)は、実測絶乾単位容積質量(kg/m)に上
記推定絶乾骨材構成比を乗じて推定し、また、推定表乾
単位骨材量(kg/m)は、前記推定絶乾単位骨材量(kg
/m)に(1+骨材吸水率/100)を乗じて推定し
た。
【0044】
【表2】
【0045】上記単位セメント量(kg/m)の推定は、
従来技術と同一の方法で推定したものであり、この程度
の配合値と推定値の差(kg/m)は、やむを得ないもの
と考える。
【0046】また、上記表乾単位骨材量(kg/m)の推
定は、配合値と推定値の差(kg/m)が最小になる結合
水比を模索した結果、結合水比を0.3とすることが適
当であると判明した。上記表乾単位骨材量(kg/m)の
配合値と推定値の差(kg/m)は、多少プラス側に偏っ
ているので、結合水比は0.3より多少大きいと考えら
れるが、単位セメント量の推定誤差と同等であり、推定
表乾単位骨材量(kg/m)の推定精度としては十分満足
できる範囲内であるので、結合水比は、小数点以下1桁
に留めた0.3とした。
【0047】次に、見掛空気量容積(l/m)の推定につ
いて説明する。表2に示した値を用いて数値変換した推
定ペースト空隙容積(l/m)、推定余剰水容積(l/m)
及び推定(空気+余剰水)容積(l/m)を表3に示す。
なお、推定ペースト空隙容積(l/m)は、実測表乾単位
容積質量(kg/m)と実測絶乾単位容積質量(kg/m
との差である全空隙容積(l/m)から、上記推定絶乾単
位骨材量(kg/m)に使用骨材の実測吸水率(%)を乗
じて100で割ることにより求めた骨材中に含まれる空
隙(l/m)を引くことにより推定した。また、推定余剰
水容積(l/m)は、1000(l/m)から、推定単位セ
メント量容積(l/m)、推定単位骨材量容積(l/m)、
推定単位結合水容積(l/m)及び実測空気量容積(l/m
)を引くことにより推定し、前記推定単位セメント量
容積(l/m)は、上記推定単位セメント量(kg/m)を
実測セメント密度で除して求め、前記推定単位骨材量容
積(l/m)は、上記推定表乾単位骨材量(kg/m)を実
測表乾骨材密度で除して求めた。更に、推定(空気+余
剰水)容積(l/m)は、1000(l/m)から、推定単
位セメント量容積(l/m)、推定単位骨材量容積(l/m
)及び推定単位結合水容積(l/m)を引くことにより
推定した。即ち、上記推定余剰水容積(l/m)に実測空
気量(l/m)を加えて推定した。
【0048】
【表3】
【0049】上記表3において、A30試製供試体の余
剰水容積(l/m)がマイナスになっているが、余剰水容
積(l/m)は、理論的には0l/m なるはずである。な
ぜならば、水セメント比が30%のコンクリート中のセ
メントの結合水比を0.3と仮定すると、余剰水は残ら
ないはずである。このような値が得られた理由は、水セ
メント比が30%まで小さくなると、それ以上の水セメ
ント比の場合より、結合水比は小さくなる、或いは単な
る試験誤差かも知れない。
【0050】A30試製供試体の余剰水容積(l/m)の
取り扱いに関しては、後述する回帰分析及びそれ以降の
解析は、全て試験結果から推定した値を用いており、理
論値は用いていないので、このデータのみ理論値を用い
るわけにはいかないし、水セメント比が大きい場合との
連続性を得るためにも、試験結果をそのまま採用するこ
とにした。
【0051】設計どうりのコンクリートを試製すること
は困難であり、特に設計どうりの空気量(%)を導入す
ることは極めて困難である。まして、単位容積質量(kg
/m)を理論的に求めることは不可能であるので、見掛
空気量(%)、或いは見掛空気量容積(l/m)の推定
は、空気量(%)を実測してある実供試体から求めたデ
ータから推定しなければならない。
【0052】表3に示した推定ペースト空隙容積(l/m
)と推定余剰水容積(l/m)との回帰分析結果を図4
に示す。両者の関係は極めて良好な曲線回帰となった。
【0053】図4の上に、推定余剰水容積(l/m)に換
えて表3に示した推定(空気+余剰水)容積(l/m)を
プロットしたものを図5に示す。推定(空気+余剰水)
容積(l/m)のプロットは、実測空気量容積(l/m)分
だけ回帰線から上に移動した位置にあるので、同プロッ
トと回帰線とを結ぶ垂線上の同プロットと回帰線との隔
たり(l/m)を、見掛空気量容積(l/m)として推定で
きる。
【0054】回帰線は空気量を0%とした回帰線である
から、回帰線の下側の領域は水が起源であった空隙であ
り、回帰線の上側の領域は空気が起源であった空隙であ
る。プロットと回帰線との隔たり(l/m)を読み取りや
すくするために、空気量容積10l/m がコンクリート
中の空気量1%に相当するので、空気が起源であった散
布図上の領域に、回帰線を10l/m ずつ上方に平行移
動させた補助線を引き、空気量(%)の凡例を付記した
図を図6に示す。この図が見掛空気量(%)推定のため
の計算図表である。この計算図表を用いて、見掛空気量
(%)を図上で推定できる。
【0055】見掛空気量容積(l/m)は、図上解析する
より方程式で算出した方が推定誤差が少ないので、実務
上は、図4の左上に示した回帰方程式を用いた下記の1
式で解くのが良い。 見掛空気量容積(l/m)=v+0.00265x−1.783x+95.2・・・1式 ここに v:推定(空気+余剰水)容積(l/m) x:推定ペースト空隙容積(l/m)
【0056】請求項1で、見掛空気量容積(l/m)を推
定する方程式を限定しなかった理由は、上記1式は実験
式であり、実験数を増やしたり、使用材料を変更したり
した場合には、多少式が変わるおそれがあり、また、曲
線回帰に限定する必要もなく、直線回帰でも推定できる
ので限定しなかった。従って、見掛空気量容積(l/m)
を推定する方程式が、本発明の方程式と多少異なったと
ころで、本発明の考え方を覆すものではない。
【0057】見掛空気量容積(l/m)が推定できれば、
単位水量(kg/m)及び水セメント比が推定できるの
で、まとめて表4に示す。なお、推定見掛空気量容積
(l/m)は、上記1式に表3に記載した推定(空気+余
剰水)容積(l/m)、及び推定ペースト空隙容積(l/m
)の値を各々代入して推定した。また推定単位水量(k
g/m)は、1000lから推定単位セメント量容積(l/
m)、推定単位骨材量容積(l/m)及び上記推定見掛空
気量容積(l/m)を引いて推定し、前記推定単位セメン
ト量容積(l/m)は、上記推定単位セメント量(kg/
m)を実測セメント密度(g/cm) で除すことにより
求め、前記推定単位骨材量容積(l/m)は、上記推定表
乾単位骨材量(kg/m)を実測表乾骨材密度(g/cm)
で除すことにより求めた。更に、推定水セメント比は、
前記推定単位水量(kg/m)を上記推定単位セメント量
(kg/m)で除すことにより推定した。
【0058】
【表4】
【0059】上記表4に記載した推定結果は、いずれも
十分満足できる精度で推定されている。単位水量(kg/m
)及び水セメント比の推定値は、配合値より多少マイ
ナス側に推定されているが、この理由は結合水比が多少
小さ目に設定されているからである。しかし、あえて結
合水比を修正するほどの誤差ではない。
【0060】次に、本発明の方法による検体硬化コンク
リートの配合推定の試験例を説明する。
【0061】
【試験例2】検体硬化コンクリートの使用セメントのC
aO含有率、使用セメントの密度、使用骨材の密度及び
吸水率などは不明であるので、全国平均的な値を仮定し
て配合割合を推定せざるを得ない。このような数値の仮
定は、従来法も同様である。このように仮定することに
よって、前記の使用材料のデータが分かってる場合より
推定精度は多少悪くなる。
【0062】検体硬化コンクリートの使用セメントのC
aO含有率は64.5%とし、使用セメントの密度は
3.16g/cmとし、使用骨材の表乾密度は2.61g/
cmとし、使用骨材の吸水率は1.7%と仮定して推定
した。これらの仮定値は、試験例3、試験例4及び試験
例5においても同じ値を用いた。
【0063】本発明の方法による検体硬化コンクリート
の配合推定において、材齢91日まで標準水中養生した
コンクリートの結合水比と、打設後数拾年間気乾状態に
あった実構造物コンクリートの結合水比は、ほぼ同等で
あると、とりあえず仮定して説明する。
【0064】検体硬化コンクリートの真の結合水比と仮
定した結合水比とが多少異なっていても、配合推定結果
には、幸いなことに、それほど大きい誤差を与えないこ
とは、試験例4のシミュレート結果に示すとうりであ
る。
【0065】検体硬化コンクリートの配合推定に必要な
測定結果、数値変換結果及び配合推定結果を表5に示
す。例示する検体は、いずれもコンクリート打設後数拾
年経過している実構造物から採取したコンクリートコア
である。結合水比は0.3とした。なお、各推定値の推
定は、上記試験例1において記載した推定方法と同様に
行った。
【0066】
【表5】
【0067】上記表5においてB及びC検体は、昭和初
期に建設された nonAEコンクリートであり、見掛空気
量(%)は、それぞれ0.9%及び2.0%と推定さ
れ、 nonAEコンクリートの空気量(%)として常識的
な空気量(%)であり、単位セメント量(kg/m)及び
水セメント比も常識的な値を示した。
【0068】また、D及びE検体は、AEコンクリート
であり、D検体の見掛空気量(%)は、4.8%と推定
され、設計どうりの空気量(%)が導入されていると推
定された。E検体の見掛空気量(%)は、6.2%と推
定され、打設コンクリー卜自体の空気量(%)の他に締
固め不足による空隙が多少残留しているように思われ
る。
【0069】また、F検体の配合推定結果は、空隙量が
異常に多く、単位セメント量(kg/m)及び単位水量
(kg/m)も異常に少ないと推定された。単位セメント
量(kg/m)及び単位水量(kg/m)が共に少ないの
で、水セメント比は常識的な60%と推定されている。
これは、締固め不足による空隙が残留しているために生
じた現象で、単位容積質量(kg/m)も軽かった。過剰
に残留した空隙量を4.5%程度と仮定し、この空隙が
絶乾単位容積質量が2200kg/m程度のコンクリート
で充填されたと仮定すると、このコンクリートの絶乾単
位容積質量が2200kg/mを超え、正常なコンクリー
トの絶乾単位容積質量になる。従って、F検体を打設し
たコンクリート自体は、正常なコンクリートであった
が、締固め不足により異常な硬化コンクリートになって
しまったものと想定できる。
【0070】続いて、本発明の配合推定方法と従来技術
による配合推定方法との比較を説明する。
【0071】
【試験例3】検体硬化コンクリートの配合推定に必要な
測定結果、数値変換結果及び配合推定結果を表6に示
す。例示する検体は、いずれもコンクリート打設後拾年
以上経過している実構造物から採取したコンクリートコ
アである。結合水比は0.3とした。
【0072】
【表6】
【0073】表6から分かるように、本発明による配合
推定方法の実測項目は、一つ減少しているにもかかわら
ず、配合推定の精度が向上している理由は、検体硬化コ
ンクリートの構成比の推定において、一番信頼性の高い
セメント構成比をべースにして、信頼性の低い不溶残分
による絶乾骨材構成比の推定を排除したことと、見掛空
気量(%)が推定できるようにしたためである。
【0074】従来法では結合水構成比を推定する必要は
ないが、本発明の方法で求めた結合水構成比を転用し
て、かっこ書きで表6に記載してある。セメント構成比
は、本発明の方法も従来法も同一の方法で推定している
ので、両者のセメント構成比の値は等しい。従来法の絶
乾骨材構成比は、本発明の方法で推定した値より小さく
推定されており、従来法の構成比の合計が1に満たな
い。
【0075】従来法の絶乾骨材構成比が、本発明の方法
で推定した値より小さく推定されている理由は、検体硬
化コンクリートに使用されている骨材の不溶残分が、我
が国のコンクリート用骨材の不溶残分の平均値より小さ
かったためである。
【0076】構成比の合計が1に満たない構成比に実測
絶乾単位容積質量(kg/m)を乗じて求めた各単位量
(kg/m)の合計は、実測絶乾単位容積質量(kg/m
より小さくなってしまう。従来法では、配合推定結果か
ら計算される絶乾単位容積質量(kg/m)と実測絶乾単
位容積質量(kg/m)が一致しないことが普通である。
本発明の方法では、配合推定結果から計算される絶乾単
位容積質量(kg/m)と実測絶乾単位容積質量(kg/
m)は一致する。
【0077】試験例3では、単位骨材量容積(l/m)は
過少に推定され、1000lから単位骨材量容積(l/
m)と単位セメント量容積(l/m)を引いた残余容積
(l/m)が過大に推定されてしまう。残余容積(l/m)
は、水と空気で構成されており、空気量(%)を一定の
値に仮定して配合を推定する従来方法では、過大に推定
された残余容積(l/m)は、水と見なされてしまい、単
位水量(kg/m)及び水セメント比は過大に推定されて
しまう。
【0078】また、表6に示したように、空気量(%)
を推定見掛空気量(%)より過小に仮定する従来法は、
単位水量(kg/m)及び水セメント比共に、本発明の方
法より過大に推定されてしまう。特に、検体硬化コンク
リートGにおいては、推定見掛空気量(%)が非常に多
いにもかかわらず、空気量(%)を常識的な4.0%と
仮定して配合を推定したことにより、水セメント比が9
7%と推定されている。このように大きい水セメント比
のコンクリートが、実際に打設されたわけがないので、
従来法による配合推定が信頼性に欠けると評価されてし
まうのである。
【0079】次に、検体硬化コンクリートの仮定結合比
と真の結合水比とに差があった場合の誤差について説明
する。
【0080】
【試験例4】コンクリートが置かれた環境、例えば、水
中、土中、或いは気中に置かれたコンクリートの結合水
比は、当然異なっているものと考えられる。即ち、水
中、或いは土中の実構造物コンクリートの結合水比は、
0.3より大きいものと考えられる。また、乾燥が激し
い環境に置かれた実構造物コンクリートの結合水比は、
0.3より小さいかも知れない。
【0081】検体硬化コンクリートの水和が完了してい
ると仮定した場合の結合水比は、標準水中養生期間を3
〜4年に延長すれば、試験例1の方法で水和が完了して
いる場合の結合水比を推定することは不可能ではない。
しかし、検体硬化コンクリートの水和が完了していると
は限らないので、水和が完了しているとした場合の結合
水比を、そのまま定常的に採用することはできない。従
って、検体硬化コンクリートの結合水比は、仮定せざる
を得ない。
【0082】また、検体硬化コンクリートの分析試料の
強熱減量を測定する方法も考えられるが、使用骨材の強
熱減量が不明である限り、検体硬化コンクリートの結合
水比を推定することはできない。結合水比の水準を変え
た場合の配合推定結果に及ぼす影響を、前述の平均的な
AEコンクリートである検体硬化コンクリートDのデー
タを用いて検討した結果を表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】表7に示したように、本発明の方法におい
ては、幸いなことに、実構造物コンクリートの真の結合
水比と仮定した結合水比が多少異なっていても、それが
配合推定結果に及ぼす影響は小さい。使用材料などの仮
定値を用いる検体硬化コンクリートの配合推定は、あく
までも推定であるので、推定誤差は付き物である。結合
水比の違いによるこの程度の推定誤差は、容認できる範
囲と考えられ、従来法の推定誤差に比べれば、わずかな
誤差である。従って、特別な場合を除き、結合水比を
0.3と仮定して大過はないと考えられる。
【0085】しかし、コンクリートがおかれた環境によ
り、明らかに結合水の仮定値を変更した方が良いと考え
られる場合は、変更した方が良い。請求項1で結合水比
を限定しなかった理由は、コンクリートの置かれた環境
に応じて結合水比の仮定値を変更した方が良い場合があ
るからである。
【0086】最後に、本発明において用いる回帰線の精
度について説明する。
【0087】
【試験例5】試製供試体(硬化コンクリート検体の場合
も同様)の浸水時間及び乾燥時間は、48時間以上とし
なければならない。この操作時間を厳守するかぎり、測
定項目の内の表乾単位容積質量(kg/m)及び絶乾単位
容積質量(kg/m)は、単に試製供試体の質量を測定す
るだけであるから、転記ミスでもない限り試験誤差の入
る余地がない。試験誤差が入るおそれがある試験項目
は、CaO分析値(%)のみである。
【0088】CaO分析値(%)には、分析誤差の他に
分析試料のサンプリング誤差、即ち、試製供試体を正し
く代表する分析試料が調製されているかどうかの誤差が
入る。そこで、表2に示した試製供試体のCaO分析値
(%)を±0.5%変化させた場合、回帰線がどの程度
移動するかシミュレートした結果を図8に示す。分析誤
差にサンプリング誤差を加えた標準偏差として、0.5
%は決して小さすぎる値ではない。
【0089】図8に示したように、回帰線はほとんど移
動しない。図8の縦軸のスケールは、図4から図7の縦
紬のスケールの2倍にしてある。2倍にしないと見えな
い程度しか回帰線は移動しない。この理由は、本発明の
配合推定方法の特徴でもあるが、仮にCaO分析値が
0.5%高目に測定されたとした場合、当然のことなが
ら単位セメント量(kg/m)は高目に推定され、単位骨
材量(kg/m)は低目に推定される。しかし、セメント
水和物の密度と骨材の嵩密度が近似しているために、容
積換算した単位セメント量容積(l/m)と単位骨材量容
積(l/m)は相殺されるので、余剰水容積(l/m)に
は、大きな差を与えない。実測CaO分析値(%)から
堆定した余剰水容積(l/m)も、図8に示したCaO分
析値(%)を±0.5%変化させた場合の二つの回帰線
の範囲内に収まっている。
【0090】試製供試体の代表として、平均的な水セメ
ント比の50%に設定したA50試製供試体について、
CaO分析値を±0.5%変化させた揚合のシミュレー
トした結果を表8に示す。
【0091】
【表8】
【0092】表8に示したように、本発明の配合推定方
法は、万が一、分析誤差とサンプリング誤差が同一方向
に重なった場合でも、単位量には多少の推定誤差が生じ
るものの、推定見掛空気量(%)及び推定水セメント比
には、相殺効果により、ほとんど誤差を生じないことが
分かる。
【0093】以上、硬化コンクリートについて本発明の
詳細な説明を述べたが、本発明の配合推定方法は、その
まま硬化モルタルの配合推定にも適用できることは言う
までもない。また、検体硬化コンクリートの配合推定と
は別に、硬化コンクリートの見掛空気量(%)、即ち、
細孔空隙を除く空隙率(%)を測定しようとするとき、
更には、細孔空隙の原因物質である余剰水容積(l/m)
を推定し、これから細孔空隙率(%)を推定することも
可能である。
【0094】
【発明の効果】以上に説明した本発明にかかる硬化コン
クリートの配合推定方法は、従来から採用されていた配
合推定方法に比べて、検体硬化コンクリートの実測項目
は一つ減ったにもかかわらず、推定精度は数段向上し、
硬化コンクリートの配合を調査する必要がある場合に、
より正確な推定結果を得る手段を提供することができる
効果がある。また、検体硬化コンクリートに異常があっ
た場合で、その原因を究明しようとするとき、本発明の
方法によれば、打設したフレッシュコンクリート自体に
問題があったのか、締固め不足などの施工上の不具合が
あったのかを判別できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】F−18「硬化コンクリートの配合推定に関す
る共同試験報告」の資料II「全国各地の骨材分析結果」
の細骨材と粗骨材の不溶残分(%)をまとめてヒストグ
ラムにしたものであり、コンクリート用骨材の不溶残分
(%)のばらつきを示す図である。
【図2】硬化コンクリートの物質構成を容積で説明した
概念図であり、横軸のスケールは不定である。全空隙容
積(l/m)は、実測表乾単位容積質量(kg/m)と実測
絶乾単位容積質量(kg/m)との差である。
【図3】フレッシュコンクリートの物質構成を容積で説
明した概念図であり、横軸のスケールは不定である。推
定残余容積(l/m)は、1000lから推定単位セメン
ト量容積(l/m)と推定単位骨材量容積(l/m)を引い
たものである。
【図4】空気量(%)を実測してある試製供試体群の横
軸を推定ペースト空隙容積(l/m)とし、縦軸を推定余
剰水容積(l/m)とした場合の回帰分析結果である。縦
軸を推定余剰水容積(l/m)としているので、空気量が
0%の場合の回帰線である。
【図5】空気量(%)を実測してある試製供試体群の横
軸を推定ペースト空隙容積(l/m)とし、縦軸を推定
(空気+余剰水)容積(l/m)とした場合の図である。
縦軸の推定(空気+余剰水)容積(l/m)は、実測空気
量が加算されているので、プロットは、実測空気量容積
に相当する量(l/m)だけ回帰線より上方に移動してい
る。
【図6】回帰線とプロットの隔たり量(l/m)が、空気
量容積(l/m)であるが、これを空気量(%)として読
み取りやすくするするために、回帰線を10l/m ずつ
上方に平行移動した補助線を書き加え、空気量(%)の
凡例を付記した図である。これが見掛空気量(%)を推
定するための計算図表である。
【図7】上記図5の試製供試体の推定(空気+余剰水)
容積(l/m)のプロットを検体硬化コンクリートの推定
(空気+余剰水)容積(l/m)のプロットに書き換えた
図であり、検体硬化コンクリートの見掛空気量(%)を
推定した試験例の図である。
【図8】表2に示した試製供試体のCaO分析値(%)
を±0.5%変化させた場合、回帰線がどの程度移動す
るかシミュレートした図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体硬化コンクリートを代表するように
    調製された絶乾微粉末分析試料中のCaO含有率(%)
    から検体硬化コンクリートのセメント構成比を推定し、
    これに検体硬化コンクリートの実測絶乾単位容積質量
    (kg/m)を乗じて検体硬化コンクリートの単位セメン
    ト量(kg/m)を推定し、前記推定セメント構成比に仮
    定結合水比を乗じて検体硬化コンクリートの結合水構成
    比を推定し、1から前記推定セメント構成比及び前記推
    定結合水構成比を引いて検体硬化コンクリートの絶乾骨
    材構成比を推定し、これに前記実測絶乾単位容積質量
    (kg/m)を乗じて検体硬化コンクリートの絶乾単位骨
    材量(kg/m)を推定し、1000lから、上記推定単
    位セメント量(kg/m)から推定される検体硬化コンク
    リートの単位セメント量容積(l/m)、上記推定絶乾単
    位骨材量(kg/m)から推定される検体硬化コンクリー
    トの単位骨材量容積(l/m)、及び検体硬化コンクリー
    トの推定見掛空気量容積(l/m)を引いて検体硬化コン
    クリートの単位水量(l/m)を推定することを特徴とす
    る、硬化コンクリートの配合推定方法。
  2. 【請求項2】 上記検体硬化コンクリートの見掛空気量
    容積(l/m)の推定が、空気量(%)を実測してある試
    製供試体群の推定ペースト空隙容積(l/m)と推定余剰
    水容積(l/m)との散布図上に両者の回帰線を書き、同
    散布図上に検体硬化コンクリートの推定ペースト空隙容
    積(l/m)と推定(空気+余剰水)容積(l/m)のプロ
    ットを記入し、同プロットと前記回帰線とを結ぶ垂線上
    の前記プロットと前記回帰線との隔たり(l/m)を、検
    体硬化コンクリートの見掛空気量容積(l/m)として図
    上で推定するか、或いは、前記プロットと前記回帰線と
    を結ぶ垂線上の前記プロットと前記回帰線との隔たり
    (l/m)を方程式の解として、検体硬化コンクリートの
    見掛空気量容積(l/m)を推定することを特徴とする、
    請求項1記載の硬化コンクリートの配合推定方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011027686A (ja) * 2009-07-29 2011-02-10 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 硬化コンクリートの配合組成推定方法
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JP2011106969A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Railway Technical Res Inst 硬化コンクリート中のアルカリ総量測定方法
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JP2014206434A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 日本電信電話株式会社 コンクリート中の塩素濃度測定方法

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JP2014206434A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 日本電信電話株式会社 コンクリート中の塩素濃度測定方法

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