JP5572514B2 - 未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造装置およびその製造方法に関する。
狩猟動物、畜産動物などを含む鳥獣類の未利活用残渣部分は、従来廃棄処分されていた。
例えば、食肉や皮革に供される鳥獣類は、必要な部分を切り取りそれ以外の部分は猟場に放置されることが多く、環境上および衛生上の問題が生じていた。具体的には、猟場に放置されたエゾシカなどの獣類の残渣部分を、他の動物が捕食し、その動物の移動に伴って放置された獣類が保持していた菌が拡散する、または残渣部分と共に銃弾の破片が摂取されることによって、摂取した動物が鉛中毒で死亡するなどの問題が生じていた。
また、口蹄疫病を含む各種伝染病に罹患した家畜は、感染の拡大を防ぐために廃棄処分されるのが通例であり、投資を回収できず、甚大な損失が生じていた。
このような未利活用鳥獣類を安全な状態で有効に利用および活用することが望まれている。
本発明は、未利活用鳥獣類を有効に利用し、保存性に優れ、且つ嗜好性の良好なペットフードを製造するための装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第一態様によると、圧力容器と、前記圧力容器の上部に設けられた原料投入部と、前記圧力容器の下部に設けられた反応物の排出部と、前記圧力容器内にその軸方向に挿入された回転軸およびこの回転軸に一定の間隔をあけて軸着された複数段の羽根を有する攪拌機構と、前記圧力容器の上部壁部に装着された加圧水蒸気の噴射ノズルと、前記圧力容器内の上部に配置され、前記噴射ノズルからの加圧水蒸気を衝突、反射させる反射板と、前記圧力容器に接続され、開閉弁を有する水蒸気放出管と、前記圧力容器に直接または前記放出管を経由して接続された真空配管系と、放出される水蒸気量を調整する調整弁と排出蒸気受タンクとの間に接続され、昇圧時に、減圧時における水蒸気の排出方向とは反対方向より前記圧力容器内に水蒸気を注入する昇圧及び減圧配管系とを備える、未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造装置が提供される。
本発明の第二態様によると、
1)圧力容器と、前記圧力容器の上部に設けられた原料投入部と、前記圧力容器の下部に設けられた反応物の排出部と、前記圧力容器内にその軸方向に挿入された回転軸およびこの回転軸に一定の間隔をあけて軸着された複数段の羽根を有する攪拌機構と、前記圧力容器の上部壁部に装着された加圧水蒸気の噴射ノズルと、前記圧力容器内の上部に配置され、前記噴射ノズルからの加圧水蒸気を衝突、反射させる反射板と、前記圧力容器に接続され、開閉弁を有する水蒸気放出管と、前記圧力容器に直接または前記放出管を経由して接続された真空配管系とを備える製造装置を用いてペットフードを製造する方法であって、
2)未利活用鳥獣類を原料として前記原料投入部から前記圧力容器に投入する工程;
3)前記攪拌機構の回転軸を回転させて複数段の羽根を回転することにより圧力容器内の原料を攪拌する工程;
4)前記原料の攪拌と同時または攪拌直後に加圧水蒸気を前記噴射ノズルから前記圧力容器内の反射板に噴射する工程;
5)前記攪拌機構による原料の攪拌、加圧水蒸気の噴射、反射板での加圧水蒸気の反射後、前記原料の攪拌を続行しながら、前記圧力容器内の圧力が1.4MPa以上1.96MPa以下、温度が130℃以上200℃以下になった時点から12分間以上30分間以下の時間に亘って前記圧力および温度を維持して反応物を得る工程;
6)前記攪拌機構による前記反応物の攪拌を続行した状態で、加圧水蒸気の供給を停止した後、前記水蒸気放出管の開閉弁を開閉して圧力容器内の水蒸気を反応物の実効容積1 mあたり11.5〜22.1 m/secの速度で排出して圧力容器内を大気圧まで減圧する工程;
7)前記攪拌機構による前記反応物の攪拌を続行した状態で、前記圧力容器内の残存水蒸気をさらに放出した後、前記真空配管系に繋いで、圧力容器のガスを真空引きして反応物を乾燥する工程;
8)真空乾燥後に前記圧力容器の排出部を開いて含水率が18%以下の粉末状反応物を圧力容器から取出す工程;
を含む未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造方法が提供される。
本発明によると、未利活用鳥獣類を有効に利用し、保存性に優れ、且つ嗜好性の良好なペットフードの製造装置およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造装置を示す概略図。 図1の製造装置の圧力容器を示す上面図。 図2の圧力容器のIII−III線に沿う断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製造装置を示す概略図、図2は図1の製造装置の圧力容器を示す上面図、図3は図2の圧力容器のIII−III線に沿う断面図である。
本発明の実施形態に係る製造装置は、原料を収容および処理する圧力容器1を備える。圧力容器1の上部には、原料投入部2が、下部には排出部3がそれぞれ設けられている。原料投入部2から圧力容器1内に原料10が投入された時に、圧力容器1内の上部に未充填空間11が形成される。
圧力容器1は、例えば横置きにされた筒体の両端に中空半球体を結合した形状を有する。圧力容器1は、耐圧性を備える第一種圧力容器である。圧力容器1は例えば、容積が3mまたは5mのものを用いることができる。圧力容器1は、処理を正確に制御するため、圧力、温度測定座などを備えてよい。また、圧力に対する安全性確保のため、安全弁を備えてよい。原料投入部2および排出部3は、高温高圧に耐えうる密閉構造を備えている。原料投入部2と排出部3は0.015MPa以下の圧力に達しなければ開閉操作が起きないシステム制御を備えてもよい。
攪拌機構4は、前記圧力容器1に取り付けられ、投入された原料を一様に攪拌するためのものである。攪拌機構4は、前記圧力容器1内の軸方向に挿入される回転軸41と、当該回転軸41に一定の間隔をあけて軸着される複数段、例えば5段の羽根42を備える。回転軸41は、シール機構によって前記圧力容器1の壁に軸支されている。回転軸41は、モーター12によって回転される。羽根42は、二枚羽以上の複数羽根を用いることができる。ここでは、例えば二枚羽根42を用いている。二枚羽根42は、原料を攪拌しつつ徐々に移送するように鉛直方向に対して前方に傾斜している。
二枚羽根42は、回転軸41に対してボルトおよびナットで取り付けられ、処理される原料の特性に合わせて交換可能である。
なお、攪拌機構4はさらに回転数制御、回転方向制御を行うインバーター制御の電動機、および過電流、温度上昇に対する保護装置を備えてよい。
2つの水蒸気噴射ノズル5は、例えば前記圧力容器1の上部付近の二箇所に所望の間隔をあけて装着されている。各噴射ノズル5は、ボイラーによって発生させた加圧水蒸気を圧力容器1内に噴射するためのものである。各噴射ノズル5から噴射される加圧水蒸気によって、圧力容器1内の圧力および温度を調節することができる。
2つの反射板6は、前記圧力容器1内の上部壁部に前記各噴射ノズル5の噴射口に対向するよう装着されている。各反射板6は、前記噴射ノズル5から噴射された加圧水蒸気を衝突および反射させて前記圧力容器1内に均等に拡散させる。このため、圧力容器1内の原料を均一に加熱して反応させることが可能になる。
なお、前記噴射ノズル5および反射板6は前記二枚羽根42の回転を妨げない位置に装着される。
水蒸気排出系7は、一端が前記圧力容器1の未充填空間11に対応する上部壁に接続され、他端が排出蒸気受タンク9内に挿入される水蒸気放出管71と、水蒸気放出管71の上流側から順次取り付けられた開閉弁72および調整弁73とを備える。水蒸気放出管71は、前記圧力容器1内から水蒸気を排出する。開閉弁72を開けることによって、前記圧力容器1内の蒸気を水蒸気放出管71を通して放出し、圧力容器1の圧力を大気圧まで戻す。調整弁73は、放出される水蒸気量を調整する。
真空配管系8は、一端が前記圧力容器1と開閉弁72の間に位置する水蒸気放出管71部分に接続され、他端が排出蒸気受タンク9内に挿入される真空排出管81と、真空排出管81に上流側から順次取り付けられた真空弁82、真空計83および真空ポンプ84とを備える。なお、真空排出管81は、前記圧力容器1の未充填空間11に対応する上部壁に直接接続してもよい。上述の水蒸気排出系7によって圧力容器1内の水蒸気が排出された後、真空弁82を開け、真空ポンプ84を作動することにより、真空排出管81を経由して圧力容器1内のガスを真空排気して反応物を乾燥することができる。真空計83は、例えば、ピラニ型真空計であってよい。また、1〜10−3 Torrの範囲を測定可能な水銀柱マノメーターであってもよい。
実施形態に係る製造装置は、更に、処理対象である原料および製造装置を作動させる環境に応じて、昇圧及び減圧配管系、各種制御系、消音設備、排水処理設備などを備えてよい。
前記昇圧及び減圧配管系は、減圧時の微粉末状のダストの飛散、堆積の弊害から操作弁への影響を回避するため、減圧時に付着、堆積するダストを、昇圧時に反対方向より水蒸気を注入して各操作弁の清浄化を図り、機能を維持することを目的として装着される。
前記制御系は、処理対象物である原料の性状と目的に応じて、安全かつ効率よく処理工程を進行させるため、温度と水蒸気の注入流量の制御、容器内の残留圧力と投入および排出口のインターロック、中央制御と現場制御との各条件設定、高圧蒸気注入時の条件設定、投入および排出口の開閉信号をシーケンスプログラムに組み込み、撹拌回転数および撹拌方向の自動制御を行う。
前記消音設備は、市街地での運用を想定し、騒音防止条例の規制値をクリアするために設置されてよい。
前記排水処理設備は、消音設備、冷却設備などを経由した廃水を処理および/または放流することを目的として設置される。
次に、本発明の実施形態に係る未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造方法について1)〜8)の工程に従って以下に説明する。
1)最初に前述した製造装置を準備する。
2)未利活用鳥獣類を原料10として前記原料投入部2から前記圧力容器1内に投入する。
原料には、未利活用鳥獣類が用いられる。
鳥獣類には、例えば鹿、イノシシ、ウサギ、および熊などの狩猟対象とされる動物、ならびに牛、豚、鶏などの食用に供される動物などが含まれるが、これらに限定されない。さらに、感染症などを含む疾患および障害によって、廃棄処分される必要性が生じた家畜が含まれてよい。
未利活用鳥獣類とは、利用または活用される予定がなく、一般に廃棄される鳥獣類の全体、または一部を意味する。例えば、鹿の場合、その全体、あるいは食肉や皮革として持ち帰られる部分以外の部分であって、狩猟場など屋外に放置される部分を指す。このような放置された鳥獣類の体内には銃弾が残っていることがあり、これを食べた他の動物を中毒死させることがある。また、体内に有害な微生物が存在していた場合、他の動物の体内に入り、当該他の動物の移動に伴って拡散されるという問題が生じている。例えば、牛、豚、鶏などの家畜の場合、その全体、または食肉利用後の残渣部分を指す。さらに、例えば、口蹄疫病、鳥インフルエンザなどの感染症によって食肉として利用することができなくなった家畜の場合、一般に廃棄処分されるその全体、または一部を指す。
原料は、圧力容器1内にその上部に圧力容器1の全容積に対して10〜15体積%の未充填空間11が残るように投入することが好ましい。未充填空間11を10体積%未満にすると原料の反応性が低下するおそれがある。未充填空間11が15体積%を超えると、原料の処理量が低下して得られるペットフード量が減少するおそれがある。
3)攪拌機構4の回転軸41をモーター12で回転させて複数段の二枚羽根42を回転することにより圧力容器1内の原料10を攪拌する。
二枚羽根42は3〜18 r.p.m.の速度で回転させることが好ましい。二枚羽根42の回転速度を3 r.p.m.未満にすると、原料の反応が均一に進行しなくなるおそれがある。一方、攪拌羽根42の回転速度が18 r.p.m.を超えると、原料の反応にむらが生じて反応終了後に含水率が高くなり、さらに水分分布が不均一になるおそれがある。
原料の攪拌時において、原料およびその量に応じて回転軸41および二枚羽根42を逆方向に回転させてもよい。
4)前記原料の攪拌と同時または攪拌直後に加圧水蒸気を噴射ノズル5から圧力容器1内の反射板6に噴射し、衝突および反射させる。
加圧水蒸気を反射板6に噴射することにより、その水蒸気の熱エネルギーを反射拡散させ、加圧水蒸気を原料に直接噴射することに伴う局所的な熱エネルギーの供給を回避して、攪拌する原料10に対して均一な熱エネルギーを供給することが可能である。加圧水蒸気は、原料の速やかな反応を実現するために1.4MPa以上1.96MPa以下の圧力を有することが好ましい。
5)前記攪拌機構4による原料10の攪拌、加圧水蒸気の噴射、反射板6での拡散後、前記原料10の攪拌を続行しながら、圧力容器1内の圧力が1.4MPa以上1.96MPa以下、温度が130℃以上200℃以下になった時点から12分間以上30分間以下の時間に亘って、前記圧力および温度を維持して反応物を得る。
このように圧力容器1内の原料を前記圧力および前記温度で攪拌することにより、肉、臓器、血液、骨等を含む原料の未利活用鳥獣類が加熱水の存在下で加水分解(熱水分解)を起こし、ペプチド化を含むそれら成分の低分子化に続いて、メイラード反応などを生じてペットフードに適したアミノ酸化合物を含む反応物を得ることができる。
ペプチド化とは、タンパク質が分解され、アミノ酸と共に、いくつかのアミノ酸からなるペプチドを生成することである。ペプチドには、分解前のタンパク質とも構成アミノ酸とも異なる保健的な働きがあることがわかっており、このため、大豆や牛乳、鶏肉や豚肉などの食肉タンパク質の分解物が、特定保健用食品等を含む様々な機能性食品に利用され得る。また、メイラード反応とは、アミノ・カルボニル反応とも呼ばれ、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質などのアミノ化合物と、還元糖などを含むカルボニル化合物を加熱することにより起こり、一般に加熱食品において風味成分生成および色味形成などに関わる重要な反応である。また近年、メイラード反応による生成物であるメラノイジン等には、抗酸化作用などの保健的機能があることが注目されている。
工程5)において、圧力容器1内の温度および圧力は相互に依存し、温度が下がれば圧力が下がり、圧力が下がれば温度も下がる。また、温度が上がれば圧力が上がり、圧力が上がれば温度も上がる。例えば外気温度の低い環境で圧力容器を設置して圧力および温度を前述した値に維持する場合、加圧水蒸気の供給を停止すると、温度の低下に伴って圧力が下がる。このため、加圧水蒸気の供給、停止の制御を行うことによって圧力および温度を前述した値に維持することが可能になる。
工程5)において、圧力容器1内の圧力を1.4MPa未満にすると、反応に必要な圧力が不足し、メイラード反応を進行させることが困難となるおそれがある。一方、圧力容器1内の圧力が1.96MPaを超えると、温度が上昇し、原材料が保有するタンパク質などの有機性物質が破壊され炭化するおそれがある。
圧力容器1の温度を130℃未満にすると、反応に必要な温度が不足し、メイラード反応を進行させることが困難となる可能性があり、同時に有害な菌類、ウイルスの活性が持続され安全性の確保が困難となるおそれがある。一方、温度が200℃を超えると、反応温度が高すぎて、原材料が炭化するおそれがあり、ペットフードとしては利用できない可能性がある。
攪拌および加圧水蒸気の供給時間が、12分未満の場合、反応が十分に進まず、嗜好性に優れたペットフードを得ることができなくなるおそれがある。一方、30分を超えても適切なペットフードを得ることが可能であるが、処理時間が長くなって投入エネルギーが増大するため、実用化には適さなくなる。
工程5)による反応物は、45〜55%と高い含水率を有するため、このままではペットフードとして用いることができない。
なお、工程5)において、圧力容器1内の圧力、設定圧力を保持する時間、攪拌時間および設定圧力に対応する容器内圧力は、あらかじめ制御手段によって設定される。
6)攪拌機構4による反応物の攪拌を続行した状態で、加圧水蒸気の供給を停止した後、水蒸気排出系7における水蒸気放出管7の開閉弁72を短時間開閉して圧力容器1内の水蒸気を反応物の実効容積1mあたり11.5〜22.1m/secの速度で排出して圧力容器1内を大気圧まで減圧する。
ここで、短時間とは、例えば、12〜22 secの時間を言う。
このような急激な減圧によって、攪拌される反応物の爆砕が生じ、前記加水分解で分解し難い骨等が破砕されて粉末化される。同時に、反応物中の胞子に保護された菌の胞子核の破壊、ウイルスの死滅、不活性化もなされ、死滅した菌、ウイルスは圧力容器内のガスに随伴して外部に放出除去される。
爆砕とは、圧力容器内の高温、高圧の飽和水蒸気を、急激に大気に放出して断熱膨張させることにより圧力容器内の原料を粉砕、微細化することを言う。
工程6)において、減圧速度が反応物の実効容積1mあたり11.5 m/sec未満にすると、減圧に時間がかかりすぎて十分な爆砕力を反応物に働かせることが困難になる。一方、減圧速度が反応物の実効容積1 mあたり22.1 m/secを超えると、急激な爆砕に伴う圧力変化により圧力容器1が破損するおそれがある。
7)攪拌機構4による反応物の攪拌を続行した状態で、水蒸気放出管7の開閉弁72を再度開き、圧力容器1内の残存水蒸気をさらに放出する(放出後の圧力容器の温度は50〜60℃程度)。この後、水蒸気放出管7の開閉弁72を閉じ、真空配管系8の真空排出管81の真空弁82を開き、真空ポンプ84を作動して圧力容器1内のガスを真空引きすることにより圧力容器1内の反応物を乾燥する。
この工程によって、原料の水分が強制的に揮散されて含水率が18%以下の粉末状反応物が得られる。
原料の水熱反応、乾燥までの工程は、前述したように圧力容器1内で行う、つまり外界と遮断したクローズ状態で行うことによって水熱反応過程で滅菌(殺菌)された反応物が再度、菌で汚染されるのを防止することが可能である。すなわち、含水率が高い状態で反応物が外界に曝されると、外界からの再汚染が起こるが、外界と遮断したクローズ状態で行うことによりこれを防止できる。
真空排気は、真空度1〜10−3 Torr、排気時間11〜90分の条件で行うことが好ましい。
8)真空乾燥後に真空ポンプ84の作動を停止し、真空排出管81の真空弁82を閉じ、圧力容器1の排出部3を開いて前記含水率を有する粉末状反応物を圧力容器1から取出す。
得られた粉末状反応物は、18%以下の含水率を有し、ペットフードとして十分に適した水分含有率にまで低減されている。粉末状反応物の含水率を18%以下にすることによって、ペットフードの保存時の腐敗を防止することが可能になる。より好ましい粉末状反応物の含水率は16%以下である。粉末状反応物の含水率は真空排気時間を長くするほど低くすることが可能であるが、真空排気時間を長くすることに伴うエネルギーコストの高騰を考慮して含水率の下限は4%、より好ましくは7%、最も好ましくは8%にすることが望ましい。
また、得られた粉末状反応物は例えば0.3〜1.0 mm、より好ましくは0.3〜0.4 mmの平均粒径を有する。
実施形態に係る方法で製造された粉末状反応物は、そのままでペットフードとして使用できる。また、この粉末状反応物を造粒してペットフードとして使用したり、粉末状反応物に増量剤、成分調整剤のような各種の添加剤を加えてペットフードとして使用したりすることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、未利活用鳥獣類を用いて、含水率が18%以下であり、保存性に優れ、且つ嗜好性の良好なペットフードを製造するための装置およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施例を、前述した図1〜図3の製造装置を参照して具体的に説明する。
実施例1
圧力容器1は容積5 mのものを用いた。原料として、肉、骨、内臓、血液を含む鹿を用い、未充填空間11の割合が圧力容器1の全容積の10〜15体積%となるように圧力容器1に投入した。
噴射ノズル5から加圧水蒸気を噴射し、反射板6によって反射および拡散させ、圧力容器1内の圧力を1.4〜1.96MPa、温度を160〜200℃、二枚羽根42の回転数を6〜18 r.p.m.に保持し、12〜30分間処理を行って反応物を得た。処理後、水蒸気放出管71の開閉弁72を開閉して圧力容器1内の水蒸気を反応物の実効容積1 mあたり11.5〜22.1 m/secの速度、減圧時間12〜22 secで排出し、減圧した。続いて、真空配管系8によって、真空度10−2Torrで、28分間、真空引きすることによりさらに反応物の含水率を低下させた。その後、圧力容器1の排出部3から平均粒径0.35 mmの粉末状反応物を取出した。
実施例2〜5
実施例2〜5において、用いた原料は、それぞれ牛、鶏、豚、馬である。これらの原料には、肉、骨、内臓、血液、羽などが含まれていた。
実施例2〜5において用いた、圧力容器内の圧力、温度、二枚羽根の回転数、処理時間、減圧速度、および減圧時間、ならびに真空乾燥時の真空度、および真空排気時間などの条件は、表1に示す通りである。その他の条件は、実施例1と同じである。
実施例2〜5で得られた粉末状反応物の平均粒径は、0.35 mmであった。
Figure 0005572514
次に、実施例1〜5で得られた粉末状反応物について、以下の方法で評価を行った。
<含水率測定試験>
得られた粉末状反応物の含水率は、株式会社島津製作所製、島津電子式水分計EB−340MOCを使用して測定した。結果を下記表2に示す。
<菌類の存在および増殖確認試験>
得られた粉末状反応物について、処理直後の菌類の存在確認および処理後2時間経過後の菌類増殖について調べた。当該存在確認および増殖確認は、三光純薬株式会社製,m−エンド寒天培地(LBS)を用いてコロニー形成試験を行い、1 mLあたりのColony Formation Unit(CFU)を調べた。結果を下記表2に示す。
<嗜好性試験>
次に、得られた粉末状反応物のペットフードとしての嗜好性を評価した。対象を中型犬、小型犬、猫とし、従来品のペットフードと実施例で得られたペットフードの二種類を給与容器で与え、食いつき、即ち、どちらを先行して食するかの判定、およびその持続について調べた。結果を下記表2に示す。なお、表2中、実施例1〜5のペットフードについて「適」とは、対象のペットが従来品のペットフードよりも先に食し、また食いつきの持続時間も長かったことを示す。
Figure 0005572514
前記表2から明らかなように、実施例1〜5で得られた粉末状反応物は、いずれも10〜16%の低い含水率を有していた。
また、実施例1〜5のいずれの粉末状反応物についても、菌類の存在または増殖は検出されなかった。処理後2時間後においても菌類の増殖が検出されなかったのは、含水率を低減させたことにより、微生物の増殖が抑制されたためと考えられる。
さらに、実施例1〜5で得られたペットフードはいずれも、嗜好性の良好なペットフードであることが示された。
得られた粉末状反応物には、原料に含まれていた肉、骨、内臓、血液、羽などの塊は見られなかった。これは、急激に圧力を低下させることにより十分な爆砕が起こり、粉砕化および微細化したためと考えられる。
以上の結果から、本発明の装置を用いて未利活用鳥獣類を処理することによって、得られる反応物の含水率を10〜16%まで低減できることが示された。得られた粉末状反応物は、含水率が低いため、処理後時間が経過しても菌類の増殖を予防でき、保存性の観点からペットフードとして望ましいと考えられる。また、ペットの食いつきもよく、嗜好性の点からもペットフードとして望ましいことが示された。これは、本発明の製造装置を用いることによって、メイラード反応が起こり、風味が添加されたためと考えられる。さらに、原料には加水分解、ペプチド化、メイラード反応を含む各種反応が起こっているため、得られた反応物は機能性に富んだペットフードであると考えられる。
1…圧力容器
2…原料投入部
3…排出部
4…攪拌機構
5…水蒸気噴射ノズル
6…反射板
7…水蒸気排出系
8…真空配管系
9…排出蒸気受タンク
10…原料
11…未充填空間
12…モーター
41…回転軸
42…二枚羽根
71…水蒸気放出管
72…開閉弁
73…調整弁
81…真空排出管
82…真空弁
83…真空計
84…真空ポンプ

Claims (5)

  1. 圧力容器と、前記圧力容器の上部に設けられた原料投入部と、前記圧力容器の下部に設けられた反応物の排出部と、前記圧力容器内にその軸方向に挿入された回転軸およびこの回転軸に一定の間隔をあけて軸着された複数段の羽根を有する攪拌機構と、前記圧力容器の上部壁部に装着された加圧水蒸気の噴射ノズルと、前記圧力容器内の上部に配置され、前記噴射ノズルからの加圧水蒸気を衝突、反射させる反射板と、前記圧力容器に接続され、開閉弁を有する水蒸気放出管と、前記圧力容器に直接または前記放出管を経由して接続された真空配管系と、放出される水蒸気量を調整する調整弁と排出蒸気受タンクとの間に接続され、昇圧時に、減圧時における水蒸気の排出方向とは反対方向より前記圧力容器内に水蒸気を注入する昇圧及び減圧配管系とを備える、未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造装置。
  2. 請求項1に記載のペットフードの製造装置であって、前記圧力容器が、横置きにされた筒体の両端に中空半球体を結合した形状を有する製造装置。
  3. 1)圧力容器と、前記圧力容器の上部に設けられた原料投入部と、前記圧力容器の下部に設けられた反応物の排出部と、前記圧力容器内にその軸方向に挿入された回転軸およびこの回転軸に一定の間隔をあけて軸着された複数段の羽根を有する攪拌機構と、前記圧力容器の上部壁部に装着された加圧水蒸気の噴射ノズルと、前記圧力容器内の上部に配置され、前記噴射ノズルからの加圧水蒸気を衝突、反射させる反射板と、前記圧力容器に接続され、開閉弁を有する水蒸気放出管と、前記圧力容器に直接または前記放出管を経由して接続された真空配管系とを備える製造装置を用いてペットフードを製造する方法であって、
    2)未利活用鳥獣類を原料として前記原料投入部から前記圧力容器に投入する工程;
    3)前記攪拌機構の回転軸を回転させて複数段の羽根を回転することにより圧力容器内の原料を攪拌する工程;
    4)前記原料の攪拌と同時または攪拌直後に加圧水蒸気を前記噴射ノズルから前記圧力容器内の反射板に噴射する工程;
    5)前記攪拌機構による原料の攪拌、加圧水蒸気の噴射、反射板での加圧水蒸気の反射後、前記原料の攪拌を続行しながら、前記圧力容器内の圧力が1.4MPa以上1.96MPa以下、温度が130℃以上200℃以下になった時点から12分間以上30分間以下の時間に亘って前記圧力および温度を維持して反応物を得る工程;
    6)前記攪拌機構による前記反応物の攪拌を続行した状態で、加圧水蒸気の供給を停止した後、前記水蒸気放出管の開閉弁を開閉して圧力容器内の水蒸気を反応物の実効容積1 mあたり11.5〜22.1 m/secの速度で排出して圧力容器内を大気圧まで減圧する工程;
    7)前記攪拌機構による前記反応物の攪拌を続行した状態で、前記圧力容器内の残存水蒸気をさらに放出した後、前記真空配管系に繋いで、圧力容器のガスを真空引きして反応物を乾燥する工程;および
    8)真空乾燥後に前記圧力容器の排出部を開いて含水率が18%以下の粉末状反応物を圧力容器から取出す工程;
    を含む未利活用鳥獣類を用いるペットフードの製造方法。
  4. 請求項3に記載のペットフードの製造方法であって、前記攪拌が3〜18 r.p.m.の回転数によって行われる製造方法。
  5. 請求項3または4に記載のペットフードの製造方法であって、前記圧力容器内の上部の未充填空間が圧力容器の全容積に対して10〜15体積%である製造方法。
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