JP5572065B2 - 要冷蔵品の品質判定方法およびそのインジケータ - Google Patents

要冷蔵品の品質判定方法およびそのインジケータ Download PDF

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Description

本発明は、野菜や肉類、魚類のような生鮮食品や弁当、惣菜等の加工食品の原材料や中間、最終製品などの他、ワクチンなどの薬剤、生化学用サンプル、化粧品など、冷蔵流通が必要な物品(即ち、要冷蔵品)の保存環境温度や経過時間による品質への影響を評価する方法およびこの方法に用いて有効なインジケータに関するものである。
生鮮食品や生加工食品などの食品その他の要冷蔵品は、これらの食品の安全性を確保するため、冷蔵下に流通させることが必要なものが多い。食品衛生法での冷蔵食品の保存基準は、10℃以下と規定されているが、調理済みの食品については、保存および輸送時の製品温度が6℃(2〜4℃)を超えないこと、生食用の魚介類については、4℃以下の保存が推奨されており、その流通環境の温度履歴のみならず、流通過程に保持された時間などの管理も重要とされている。
とくに、要冷蔵品の品質の低下は、たとえその要冷蔵品がチルド域(0〜10℃)に保持されていたとしても起こる可能性があることが指摘されている。例えば、Listeria monocytogenesは、冷蔵温度でも増殖活性を示す食品媒介性感染の原因菌であり、このような原因菌に汚染されていた場合、チルド域に保持されていたとしても菌が増殖して食中毒を発生するおそれがあるため、より厳密な温度管理と温度上昇を警告することのできるインジケータが必要とされる。
要冷蔵品の品質低下の程度や、食中毒の発生の可能性を判定するため、従来、様々な品質評価方法やそのインジケータが開発されている。例えば、特許文献1では、拡散性の染料が温度上昇と時間の経過により、染料拡散層に拡散浸透し、変色することによって温度履歴を確認する方法が開示されている。また、特許文献2では、加熱温度と時間に依存して変色するインクを用いて、記号、図形または文字を飲食品の包装に直接印刷、または紙や樹脂シートに印刷したものを包装に貼付することにより飲食品の温度履歴を表示する方法が開示されている。さらに、特許文献3〜5では、低温増殖性酵母や乳酸菌等を利用し、微生物の増殖によって生成する酸性ガスの量や、pHによって変色する色素成分の色調によって飲食品等の品質の程度を判定する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1および2に開示の技術は、温度と時間による微生物増殖の一般的な関係から飲食品の増殖程度を推測する方法であり、実際にどの程度、微生物が増殖しているのかを判断することができず、未だ高い品質を十分に保持している場合でさえも、危険を避けるために廃棄処分することになり非経済的である。また、特許文献3〜5に開示の技術は、産生ガスの発生量や、酸性物質の発生に伴う色素成分の色調変化によって客観的に品質の程度を判断することができるものの、微生物を利用するため、無菌的な条件下でのインジケータの作成が必要であると共に、微生物の管理や維持に高度の技術や手間、コストが必要であるという点で解決すべき課題がある。その他、温度上昇を蓄積し、食品の異常な温度上昇があった場合にそれを警告することのできるインジケータも市販されているが、高価である上、データの読取に特殊な読取機械やコンピュータが必要であり、現場での機動性や即時判断性に欠けるという問題点があった。
特開平11−194053号公報 特開平11−296086号公報 WO2003/067254 WO2003/096309 特開2005−87044号公報
そこで、本発明は、従来技術が抱えている上述した実情に鑑み、冷蔵すべき飲食品等の保管環境の温度変動および/または保管時間の経過等に起因する品質への影響の程度を、需要者自身が視覚的に判定できるようにすると共に、簡便で安価に利用することのできる要冷蔵品の品質判定方法およびそのインジケータを提案することを目的とする。
発明者らは、上記目的を実現するため、鋭意研究を重ねてきた結果、食用色素青色2号が、低温環境下においても気温被曝履歴に応じて変色する性質を見出し、以下の要旨構成に係る方法およびインジケータを開発するに至った。すなわち、本発明は、要冷蔵品に対し、少なくとも青色2号を含む食品色素と、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液とを、密閉された軟質プラスチック製フィルムからなる透明な小袋内に封入してなる温度検知袋を随伴帯同させ、該要冷蔵品の気温被曝履歴に応じて変化する前記温度検知袋内の食用色素の変色程度を観察することにより、その品質の良し悪しを判断することを特徴とする要冷蔵品の品質判定方法である。
なお、本発明の要冷蔵品の品質判定方法においては、
(1)前記温度検知袋は、食品成分水溶液を封入した弱シール部分を少なくとも有する内小袋と、この内小袋を収容してなる前記食用色素を封入した外袋との2重構造袋であること、
(2)前記内小袋を使用に先立って、外袋越しに圧迫して、前記弱シール部分を剥離破袋させることにより、前記食用色素を食品成分水溶液に溶解させること、
(3)判定すべき飲食品等の種類によって前記食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度を変化させること、
(4)前記食用色素は、青色2号単独あるいは、青色2号と赤色食用色素または黄色食用色素との混合色素からなること、
(5)前記食用色素は、濾紙に浸漬させた後、乾燥させて前記外袋内に封入すること、
(6)前記グリセリンは、50〜60wt%の濃度であること、
(7)前記エチルアルコールは、50〜75vol%の濃度であること、
(8)前記食用色素は、0.005〜0.1wt%の濃度であること、
がより好ましい解決手段となる。
また、本発明は、密閉された軟質プラスチック製フィルムからなる透明な小袋内に、少なくとも青色2号を含む食品色素と、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液とを封入してなる温度検知袋からなり、該温度検知袋を要冷蔵品に対して随伴帯同させて、要冷蔵品の気温被曝履歴に応じて変化する温度検知袋内の前記食用色素の変色程度を観察することにより、その品質の良し悪しを判定するようにしてなる要冷蔵品の品質判定用インジケータである。
なお、本発明の要冷蔵品の品質判定用インジケータにおいては、
(1)前記温度検知袋は、食品成分水溶液を封入した弱シール部分を少なくとも有する内小袋と、この内小袋を収容してなる前記食用色素を封入した外袋との2重構造袋であること、
(2)前記内小袋を使用に先立って、外袋越しに圧迫して、前記弱シール部分を剥離破袋させることにより、前記食用色素を食品成分水溶液に溶解させること、
(3)判定すべき飲食品等の種類によって前記食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度を変化させること、
(4)前記食用色素は、青色2号単独あるいは、青色2号と赤色食用色素または黄色食用色素との混合色素からなること、
(5)前記食用色素は、濾紙に浸漬させた後、乾燥させて前記外袋内に封入すること、
(6)前記グリセリンは、50〜60wt%の濃度であること、
(7)前記エチルアルコールは、50〜75vol%の濃度であること、
(8)前記食用色素は、0.005〜0.1wt%の濃度であること、
がより好ましい解決手段となる。
本発明の要冷蔵品の品質判定方法およびそのインジケータによれば、食用色素青色2号の色調の変化を観察することにより、温度管理が適切であるか否かや、要冷蔵品の品質低下の程度を視覚的に明確に判定することができる。また、本発明によれば、インジケータを回収してデータ処理するなどの手間がなく、その場で温度管理が適切であったのか否かの判断をすることができる。
また、本発明のインジケータは、食用色素と食品成分水溶液であるグリセリンまたはエチルアルコールとを、軟質のプラスチック製フィルム小袋内で混ぜ合わせるだけで使用することができるため、特別な技術を必要とせず簡単に、しかも安価に提供することができる。また、使用後は、一般ゴミとして廃棄することができる。
また、食用色素青色2号は、グリセリンまたはエチルアルコール水溶液と混ぜ合わせた時のみ、変色する性質を有することから、食用色素を外袋内に、グリセリンまたはエチルアルコール水溶液を内小袋内にそれぞれ独立して保存することで長期間にわたってインジケータを維持管理することができる。なお、この場合、内小袋の少なくとも一辺を弱シール部分とすることにより、該内小袋を外袋を通して手指等で圧迫することで簡単に剥離破袋できるため、使用する直前に食用色素とグリセリンまたはエチルアルコール水溶液とを混合させて要冷蔵品の品質管理を開始することができる。
また、本発明に使用される食用色素やグリセリン、エチルアルコールは、通常、飲食品等に添加して使用できるものであるため、破袋等してこれらが飲食品等に触れるなどしても問題がない。
青色2号と赤色食用色素との混合色素の色調変化を示す図である。 本発明のインジケータの一実施形態を示す図である。 食用色素の種類とその変色の様子を示す図である。 青色2号と赤色106号との混合色素の環境温度と変色反応との関係を示す図である。 青色2号単独を用いたインジケータ(インジケータI)と、青色2号と赤色2号との混合色素を用いたインジケータ(インジケータII)の色調を示す図である。 図5のインジケータIおよびインジケータIIの色調変化を示す図である。 図5のインジケータIにおけるグリセリン濃度と警告時間との関係を示す図である。 図5のインジケータIIにおけるグリセリン濃度と警告時間との関係を示す図である。 Listeria monocytogenesの環境温度と増殖量の関係を示す図である。
本発明の判定方法およびそのインジケータは、食用色素青色2号(以下、単に青色2号と言う。)の低温環境下における特殊な変色特性を利用するところに特徴がある。すなわち、発明者らは、この食用色素青色2号を、一定濃度のグリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液に溶解させた場合に、その色が、低温環境下において、その保存温度や経過時間等に依存して青色から淡い黄色(ほぼ透明)に不可逆的に変色する特性を有することを見出し、この変色特性を要冷蔵品の品質判定方法およびインジケータを開発したのである。
なお、青色2号とは、インジゴカルミンを主成分とする、食品衛生法で認可されている合成食用色素であり、製菓や製餡、各種製剤用として広く利用されているものである。また、グリセリンおよびエチルアルコールもまた、食品衛生法で認可されているものであり飲食品用として広く利用されている。
この青色2号の変色(退色)の理由については、なお研究中であるが、青色2号の主成分であるインジゴカルミンの発色団の配置が、グリセリンやエチルアルコール溶媒下において変化したため、あるいは、インジゴカルミンがグリセリンやエチルアルコール溶媒下において分解し、青色を発色しない物質に変化したためと考えられる。なお、青色2号の上記変色反応は、グリセリンまたはエチルアルコール溶媒との反応によってのみ生じるものであり、その他の溶媒下では同様な反応は認められなかった。
本発明の青色2号の特殊な性質を利用したインジケータによれば、少なくとも青色2号からなる食用色素とグリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液とを、軟質プラスチック製フィルムからなる透明な小袋内に封入し、これを対象とする要冷蔵品に直接貼付または同じ環境下で帯同して保管し、要冷蔵品のおかれる温度や経過時間に伴う、前記食用色素の色調変化を観察するだけで、要冷蔵品の品質の良し悪しを簡単に、かつ視覚的に判断することができる。そのため、このインジケータによれば、一般の家庭においても自主的な温度管理が可能となり、衛生管理への意識の向上が期待できる。
ところで、判定の対象となる要冷蔵品の種類によって、その保存温度や賞味期限(消費期限)も異なる。そのため、本発明では判定すべき要冷蔵品の種類によって前記食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度を変化させることが好ましい。
これは、青色2号の変色が、保持される環境温度が高いほど早く、また低温環境下において、溶媒となる食品成分水溶液の濃度によって変色速度が異なるという特性を有しているためであり、判定する飲食品等に従って、この温度依存性と食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度とを考慮することにより、最適な条件のインジケータを提供することができるからである。
なお、本発明のインジケータは、様々な条件下(環境温度、食用色素/食品成分水溶液濃度、経過時間等)における青色2号の色調変化の測定データと、要冷蔵品に帯同したインジケータの色調との比較から、要冷蔵品の品質の良し悪しを予測するものである。そのため、帯同させる要冷蔵品に合わせて、上記したように食用色素や食品成分水溶液の濃度を変化させて作成した好適な条件のインジケータを選定することが重要となる。
また、本発明のインジケータでは、判定対象となる要冷蔵品に合わせて注意期や危険期などの判定条件(例えば、注意期はインジケータの青色2号の青色が薄くなった時点、危険期をほぼ透明(淡い黄色)になった時点)を変えることにより同じインジケータを使って様々の要冷蔵品の品質程度の判定を行うことも可能である。
なお、本発明のインジケータは、青色2号、食品成分水溶液およびプラスチック製の軟質フィルムからなる小袋のみで簡単に作成することができるため、安価であり、また使用後は、家庭ごみとして廃棄することができるため取り扱いが容易である。
また、青色2号と食品成分水溶液はいずれも食品衛生法で食品に利用することが認められているものであるため、取り扱い中に破袋等して飲食品等に触れることがあっても問題がない。さらに、従来の酵母等を利用したインジケータとは異なり、その取り扱いや保管に特別な技術や知識を必要としないしないため、多くの分野への適用が期待できる。
なお、青色2号の変色反応は、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液に溶解した時点から開始するため、判定の対象となる要冷蔵品に帯同させた時点で、青色2号と食品成分水溶液とを混合できるようにすることが好ましい。そこで、本発明では、食品成分水溶液を軟質プラスチック製フィルムからなる内小袋内に封入し、これを食用色素が封入された同フィルムからなる外袋内に収納し、使用に際して、内小袋のみを破袋して食品成分水溶液と食用色素とを混合させて、要冷蔵品の品質管理を開始させる方法を提案する。
このような外袋と内小袋とからなる2重袋を用いる方法では、外袋内にある内小袋のみを破袋させる必要があるため、内小袋の少なくとも1辺を、外袋のシール部分よりも弱シール部分とし、該部分を外袋を通して手指で押圧するだけで簡単に剥離破袋できるようにしておくことが好ましい。このように2重袋を用いて、食用色素と食品成分水溶液とを独立させておくことにより、インジケータを常温において長期間にわたって保存することができる。
また、本発明において用いられる食用色素としては、青色2号単独の他、青色2号と赤色食用色素または黄色食用色素との混合色素を用いても良い。赤色食用色素としては、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色106号(アシドレッド)などがあり、黄色食用色素としては、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)などがある。
食用色素として、青色2号と赤色食用色素との混合色素を用いた場合には、青色2号のみが変色(退色)するため、時間経過と共に青紫色から赤色に変色し、また、青色2号と黄色食用色素との混合色素を用いた場合には、同様に黄緑色から黄色へと変色することになる。とくに、青色2号と赤色食用色素との混合色素を用いた場合には、図1に示すように青紫色から徐々に赤みが増していき最終的には赤色となるため、色調の変化が分かり易く好適であり、図に示したように判定基準を設定することで要冷蔵品の品質の程度を標準化することもできる。なお、青色2号と他の色素との混合比率は、作動前の色調と、時間経過や温度上昇後の色調との変化が大きくなるように設定することが好ましい。
また、本発明では、前記食用色素を濾紙に浸漬させた後、それを乾燥させ、使用に際して、該濾紙に食品成分水溶液を染み込ませるか、または、その食用色素を浸漬させた乾燥濾紙を、食品成分水溶液が封入された内小袋と共に、外袋内へ封入し、使用時に外袋越しに内小袋を圧迫して破袋し、該食品成分水溶液を乾燥濾紙に染み込ませることによりインジケータの作動を開始させてもよい。これは、前述の食用色素と食品成分水溶液とを混合させた溶液の色調変化を観察する方法では、その溶液量や濃度、光の当たり方等によって色の見え方が異なり、正確な色調の変化を視認できない場合があるのに対し、濾紙を使ったこの方法によれば、濾紙の色の変化を確認すればよいため、正確に色調の変化を判断できると共に、作動開始(濾紙が食品成分水溶液の浸透によって濡れた時点)を容易に確認できるという効果がある。
図2に濾紙を用いたインジケータの一実施形態を示す。このインジケータは、グリセリン水溶液を封入した内小袋を、食用色素(青色2号および赤色106号)水溶液を染み込ませた乾燥濾紙(3×5cm)と共に、透明な軟質プラスチックフィルムからなる外袋内に収納したものである。なお、内小袋の周辺4辺のうち、1辺のシール強度を弱くしておき、インジケータとして使用する際に、外袋越に内小袋を指圧して、前記弱シール辺を剥離させ、内小袋内のグリセリン水溶液を濾紙に浸透させることにより作動を開始させた。作成したインジケータは、時間の経過に伴って青色から赤色(1→4)に変色した。
本発明では、前記の通り、飲食品等の種類や微生物の種類等に合わせて、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液および/または食用色素の濃度を変えることにより、インジケータが変色して危険を知らせる時間(警告時間)を調整することが好ましい。
なお、グリセリンは50〜65wt%の濃度、エチルアルコールは50〜75%vol%の濃度であることが好ましい。これは、濃度が上記範囲未満の場合、食用色素の変色に要する時間が長く、あるいは変色しないおそれがあり、一方、濃度が上記範囲を超える場合にも、変色に要する時間が長く、あるいは変色しないおそれがあることによる。
また、食用色素については、0.005〜0.1wt%の濃度であることが好ましく、とくに、食品成分水溶液に溶解させる場合(液体インジケータの場合)には、好ましくは0.005〜0.02wt%、より好ましくは0.01wt%であり、一方、食用色素を濾紙に浸漬させて利用する場合には、0.05〜0.1wt%の濃度であることが好ましい。これは、色素濃度が低すぎる場合は、変色を見分けることが難しくなり、判定に悪影響を及ぼすためである。また、濃度が高すぎる場合には、変色時間が長くなることにより、低温増殖性食中毒菌の増殖を警告する効果等が発揮できなくなるためである。
なお、青色2号のインジケータとしての有効性については、以下のような様々な実験を行うことにより検討した。
(1)インジケータ用食用色素の選択
まず、本発明にかかるインジケータに使用する食用色素について検討をおこなった。食品衛生法で認可されている9種類の合成食用色素(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号:三栄源エフ・エフ・アイ製)を、蒸留水、75vol%エチルアルコール、50wt%グリセリンにそれぞれ0.01wt%の濃度になるように溶解させた。これらの色素溶液2mlをそれぞれ、二層樹脂フィルム(PET12μm/XA-S50μm 大成ラミック製)からなる3方シール小袋(内寸25mm×30mm)内に封入してインジケータを作成し、4℃に1週間静置して色調の変化を観察した。
その結果、図3に示すように、蒸留水に溶解した場合では、いずれの食用色素についても色調の変化が見られなかったが、75vol%エチルアルコールに溶解した場合では、青色2号においてわずかな色調の変化が見られ、初期の青色と比べてわずかに淡い色になっていた。一方、50wt%グリセリンに溶解した場合では、青色2号において青色から透明に近い淡い黄色となり、顕著に変色が生じることが確認された。その他の食用色素は、いずれの溶媒に溶解した場合も色調の変化が認められず、この変色反応が青色2号に特有のものであることが確認できた。
(2)環境温度と変色反応との関係
次に、青色2号の環境温度と変色反応との関係を確認するため、下記のような実験を行った。
食用色素として青色2号と赤色106号との混合色素を、50wt%グリセリン溶媒に0.01wt%濃度となるように溶解させたものを(1)と同様にしてインジケータに封入し、これを15℃、10℃、4℃に設定した恒温槽内にそれぞれ放置して色調の変化を観察した。
その結果、図4に示すように、青色2号の退色反応は、温度が高いほど早くなることが確認できた。例えば、インジケータの色が青系から赤系に色調が変化した時点を警告時間とした場合には、4℃環境下では4日、10℃環境下では3日、15℃環境下では2日が警告時間となった。
(3)青色2号の性質を利用したインジケータの試作
次に、青色2号をインジケータとして利用するための条件について検討した。まず、上記(1)と同様の小袋内に2種類の溶液を封入してインジケータIとIIを作製した。インジケータIは、0.01wt%青色2号含有50wt%グリセリン水溶液2mlを封入したものであり、IIは、0.01wt%青色2号および0.01wt%赤色2号含有50wt%グリセリン水溶液2mlを封入したものである(図5)。
これらのインジケータを、−50℃で24時間凍結させた後、4℃、10℃、25℃の恒温槽中に静置し、その色調の経時変化を観察した。
その結果、図6に示すように、試作したインジケータIは最終的に青色から徐々に淡い黄色へと変色し、インジケータIIは青紫色から赤紫色、赤色へと変色することが確認された。
ここで、インジケータが色調の変わったことを目視で判断できる色(警告色)に達するまでの時間(警告時間)と、グリセリン濃度との関係を確かめるため、インジケータI、IIについてグリセリン濃度を50、55、60wt%と変化させたものをそれぞれ準備し、色差計(CR-10 コニカミノルタ製)を用いて、インジケータの色調を測定した。ここで、色差計のb値とは、青色〜黄色を表し、マイナスに大きくなるにつれて青色が強くなり、プラスに大きくなるについて黄色が強くなるものである。また、a値とは、緑色〜赤色を表し、マイナスに大きくなるにつれて緑色が強くなり、プラスに大きくなるにつれて赤色が強くなるものである。その結果を図7および図8に示す。なお、警告色の基準値は、インジケータIではb値:1.5(初期値平均−12.4)、インジケータIIではa値:6.0(初期値平均1.7)とし、その値を点線で示した。
図7および図8の結果より、インジケータIおよびIIのいずれも、温度が高いほど早く警告色に変化し、温度上昇に対応して警告できることが確認できた。また、警告色の基準値とグラフの交点から、各インジケータIとIIの警告時間を求めた結果を表1に示す。これによれば、4℃および10℃の低温環境下において、グリセリン濃度が高いほど警告時間が短く、グリセリン濃度を変えることで警告時間を調整できることがわかった。
Figure 0005572065
以上の検討の結果から、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液中に溶解した青色2号は、とくに低温環境下において温度依存的に変色すると共に、食品成分水溶液の濃度を変化させることで変色する時間を調整できることが分かった。このような青色2号の特殊な性質を利用することにより、要冷蔵品の品質程度および温度上昇に対する好適な警告用インジケータの提供が期待できる。
欧米で食中毒被害を発生させており、我が国でもその対策が急がれている低温増殖性食中毒菌であるListeria monocytogenesをマグロの赤身に摂取し、これに本発明のインジケータを帯同させて20℃、12℃、8℃、4℃、0℃の恒温槽中に保持した。その結果、Listeria monocytogenesの生菌数は、図9のように増加したが、帯同させたインジケータは、各温度においてListeria monocytogenesの増殖が始まる前、たとえば、20℃では6時間経過時、8℃では48時間経過時、4℃では72時間経過時に変色が始まり、その増殖を警告することができた。
本発明の技術は、水産物や野菜などの要冷蔵品の保管、輸送時の温度および品質の管理や、加工工場での温度上昇への警告、生食用材料と加熱加工用材料の分別等に利用できると共に、需要者に供給された後に、家庭で簡単に品質程度を視認することができるため温度、品質管理に関する衛生教育の教材としての役割も期待できる。また、低温増殖性食中毒菌であるListeria monocytogenesの増殖を確認するためのインジケータとしての利用が期待できる。

Claims (18)

  1. 要冷蔵品に対し、少なくとも青色2号を含む食品色素と、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液とを、密閉された軟質プラスチック製フィルムからなる透明な小袋内に封入してなる温度検知袋を随伴帯同させ、該要冷蔵品の気温被曝履歴に応じて変化する前記温度検知袋内の食用色素の変色程度を観察することにより、その品質の良し悪しを判断することを特徴とする要冷蔵品の品質判定方法。
  2. 前記温度検知袋は、食品成分水溶液を封入した弱シール部分を少なくとも有する内小袋と、この内小袋を収容してなる前記食用色素を封入した外袋との2重構造袋であることを特徴とする請求項1に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  3. 前記内小袋を使用に先立って、外袋越しに圧迫して、前記弱シール部分を剥離破袋させることにより、前記食用色素を食品成分水溶液に溶解させることを特徴とする請求項1または2に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  4. 判定すべき飲食品等の種類によって前記食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  5. 前記食用色素は、青色2号単独あるいは、青色2号と赤色食用色素または黄色食用色素との混合色素からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  6. 前記食用色素は、濾紙に浸漬させた後、乾燥させて前記外袋内に封入することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  7. 前記グリセリンは、50〜60wt%の濃度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  8. 前記エチルアルコールは、50〜75vol%の濃度であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  9. 前記食用色素は、0.005〜0.1wt%の濃度であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定方法。
  10. 密閉された軟質プラスチック製フィルムからなる透明な小袋内に、少なくとも青色2号を含む食品色素と、グリセリンまたはエチルアルコールからなる食品成分水溶液とを封入してなる温度検知袋からなり、該温度検知袋を要冷蔵品に対して随伴帯同させて、要冷蔵品の気温被曝履歴に応じて変化する温度検知袋内の前記食用色素の変色程度を観察することにより、その品質の良し悪しを判定するようにしてなる要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  11. 前記温度検知袋は、食品成分水溶液を封入した弱シール部分を少なくとも有する内小袋と、この内小袋を収容してなる前記食用色素を封入した外袋との2重構造袋であることを特徴とする請求項10に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  12. 前記内小袋を使用に先立って、外袋越しに圧迫して、前記弱シール部分を剥離破袋させることにより、前記食用色素を食品成分水溶液に溶解させることを特徴とする請求項10または11に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  13. 判定すべき飲食品等の種類によって前記食用色素および/または前記食品成分水溶液の濃度を変化させることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  14. 前記食用色素は、青色2号単独あるいは、青色2号と赤色食用色素または黄色食用色素との混合色素からなることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  15. 前記食用色素は、濾紙に浸漬させた後、乾燥させて前記外袋内に封入することを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  16. 前記グリセリンは、50〜60wt%の濃度であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  17. 前記エチルアルコールは、50〜75vol%の濃度であることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
  18. 前記食用色素は、0.005〜0.1wt%の濃度であることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の要冷蔵品の品質判定用インジケータ。
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