JP4392714B2 - 飲食品等の品質判定方法およびそのインジケータ - Google Patents

飲食品等の品質判定方法およびそのインジケータ Download PDF

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Description

この発明は、農産物や畜産物、魚介類などの生鮮食品、弁当や惣菜などの加工食品、ジュースや酒などの飲料、醤油やソース、みそなどの調味料からなる飲食品、あるいはワクチン、生化学用サンプル、化粧品などの薬剤についての保管状態、とくに保管環境における温度や経過時間などで示される流通履歴の影響によって起こる、これらの物品の変質や鮮度の低下を客観的に評価判定するための保管状態判定方法およびこの判定方法に用いて有効なインジケータに関するものである。
生鮮食品や加工食品、ジュースなどの飲食品、ワクチン血液等の薬剤(以下、便宜上、これらを総称して「飲食品等」と略記して述べる)は、これらの安全性を確保するため、流通過程に保持された時間、即ち保管時間のみならず、その流通環境の温度履歴などの管理が重要である。もし、流通時の環境温度や経過時間の管理を誤ると、例えば生鮮食品の場合は、変質(鮮度の低下)を招くだけでなく、腐敗することさえあり、さらには食中毒を発生する危険さえもあった。
こうした飲食品等の変質や腐敗は、その多くが、生産者から流通業者を経て消費者に渡り、飲食や使用に供されるまでの間に微生物が増殖することによって生じる。ところが、飲食品等の品質は、従来、該飲食品自体の腐敗に伴う異臭や変色、異味等を人の感覚によって主観的に判断するのが普通である。しかしながら、こうした主観的な判断には個人差があり、正しい品質(変質や腐敗の進行程度)を知るのは難しいのが実情である。
しかも、こうした飲食品等の品質低下は、たとえその飲食品等がチルド域(0〜10℃)に保存されていたとしても生じることがある。それは、実際の流通過程において、該飲食品等がどのような温度環境にあったか、どのように取り扱われたかという条件、例えば、該飲食品等を保冷庫に入れるまでの時間や、出し入れの回数などによって異なるからである。とくに、該飲食品等の腐敗は、保管環境の温度が高ければ高い程、また保管時間が長くなればなるほど進行しやすくなる。このような背景の下で、従来より、流通過程における温度上昇や保管時間の経過に伴う飲食品等の品質低下を判定するためのインジケータの開発が強く求められてきた。
このような飲食品等の品質低下や異変等を判定するためのインジケータとしては、例えば、特許文献1に開示された方法がある。この技術は、拡散性の染料が温度上昇と時間の経過により、染料拡散層に拡散浸透し、変色することによって温度履歴を確認する方法である。また、特許文献2には、加熱温度と時間に依存して変色するインクを用いて、記号、図形または文字を飲食品の包装に直接印刷、または紙や樹脂シートに印刷したものを包装に貼付することによって飲食品等の温度履歴を表示する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、加熱温度と保持時間による微生物増殖の関係から、飲食品等の増殖の程度を推測する方法であり、実際にどの程度、微生物が増殖しているのかを客観的に判断することはできない。従って、実際の流通過程での飲食品等の取り扱いは、未だ高い品質を充分に保持している場合でさえも、危険を避けるために廃棄処分するのが普通で、非経済的であった。
特開平11-194053号公報 特開平11-296086号公報
本発明の主たる目的は、従来技術が抱えている上述した実情に鑑み、飲食品等の品質が保管環境の温度変動および/または保管時間の経過によって変質する場合に、その変質の程度、すなわち鮮度の低下などを、微生物の増殖の程度として視覚的に捉えられるようにすることにより、簡便かつ客観的に判定することのできる、飲食品や薬剤等の品質判定方法およびそのインジケータを提案することにある。
また、本発明の他の目的は、常温における長期保存が可能であり、かつ取扱性に優れた飲食品や薬剤等の品質判定方法およびそのインジケータについて提供することにある。
かつて発明者らは、飲食品等の品質低下や異変を判断するためのインジケータとして、ガス産生菌を含む試料溶液を、密閉された合成樹脂製の容器等に封入し、主に炭水化物からの酸生成に伴うガス発生量によって飲食品等の品質を判定するインジケータを提案した他、また、密閉された合成樹脂製の透明な容器等に、pHを調整したpH変色型色素を含有する色素成分と共に食品由来微生物を密封し、前記色素成分の作用による変色程度によって飲食品の品質を判定するインジケータを提案した。
しかし、これらのインジケータは、ガス産生菌または酸産生菌と試料溶液を同一の容器等に封入しているため、使用されるまでガス産生菌または酸産生菌の活動開始温度以下で保存する必要があり、使用前の取り扱いに注意を払う必要があった。
そこで、本発明では上記の問題を解決する方法として、包装袋の周囲のヒートシール部に比べて剥離し易いヒートシールを施してなる中仕切りシール部を介して設けられた独立する複数の収容部分からなり、かつ基準気泡径を印刷表示したものからなる合成樹脂製の透明な軟質フィルム袋内に、ガス産生菌または酸産生菌および試料溶液のそれぞれを、該収容部分に分けて封入し、使用に先立って前記中仕切りシール部の剥離を通じて前記収容部分どうしを互いに連通させることにより、該フィルム袋内のガス産生菌または酸産生菌および試料溶液を混ぜ合わせ、その後、このフィルム袋を、判定すべき飲食品あるいは薬剤に付帯させて同じ環境下に置き、該フィルム袋内に生成するガス量もしくは該袋内収容物の色の変化を観察することにより、飲食品あるいは薬剤の品質の程度を判定することを特徴とする飲食品あるいは薬剤の品質判定方法を開発した。
なお、上記ガス産生菌または酸産生菌が、酵母、かびおよび細菌のいずれか一種以上であること、上記ガス産生菌または酸産生菌は、ガス産生開始温度および/または酸産生開始温度以上において、主に炭水化物からの酸産生に伴ってCO2とH2を発生するものであること、上記ガス産生菌または酸産生菌は、乾燥状態のものを用いること、上記ガス産生菌または酸産生菌が、顆粒状もしくは粉状の乾燥酵母であること、上記試料溶液は、ガス産生菌または酸産生菌の繁殖を助成する栄養成分を含む他、さらに酸産生菌を用いた場合には、pH調整したpH変色型色素を含有する色素成分を含むこと、上記色素成分は、果実、野菜および/またはそれらの搾汁であること、上記pH調整は、色素成分を、かん水の如きアルカリ水、焼成カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムのうちから選ばれるいずれか1種以上のpH調整液を用いてpH=7超〜14に調整することが好ましい。
また、発明者らは、包装袋の周囲のヒートシール部に比べて剥離し易いヒートシールを施してなる中仕切りシール部を介して独立して設けられている複数の収容部分からなり、かつ基準気泡径が印刷表示されたものからなる合成樹脂製の透明な軟質フィルム袋内に、食品由来微生物および試料溶液のそれぞれを、その独立した各収容部分に分けて封入したものからなり、かつ使用に先立って前記中仕切りシール部の剥離を通じて前記収容部分どうしが互いに連通することで、ガス産生菌または酸産生菌および試料溶液を混合可能にしたものであって、飲食品あるいは薬剤に付帯させて同じ環境下に置き、該フィルム袋内に生成するガス量もしくは該袋内収容物の色の変化を観察するようにしたものであることを特徴とする飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータを開発した。
上記ガス産生菌または酸産生菌は、酵母、かびおよび細菌のいずれか一種以上であること、上記ガス産生菌または酸産生菌は、ガス産生開始温度および/または酸産生開始温度以上において、主に炭水化物からの酸産生に伴ってCO2とH2を発生するものであること、上記ガス産生菌または酸産生菌は、乾燥状態のものを用いること、上記ガス産生菌たは酸産生菌が、顆粒状もしくは粉状の乾燥酵母であること、上記試料溶液は、ガス産生菌または酸産生菌の繁殖を助成する栄養成分の他、さらに酸産生菌を用いた場合には、pH調整したpH変色型色素を含有する色素成分を含むこと、上記色素成分は、果実、野菜および/またはそれらの搾汁であること、上記pH変色型色素は、アントシアニン色素であること、上記pH調整は、色素成分を、かん水の如きアルカリ水、焼成カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムのうちから選ばれるいずれか1種以上のpH調整液を用いてpH=7超〜14に調整すること、上記基準気泡径は、腐敗危険期、注意期、安全期に相当する気泡径の大きさが印刷表示されていること、上記中仕切りシール部のシール強さは、包装袋の周囲のヒートシール部のシール強度に対して、20〜90%のシール強度を有すること、上記中仕切りシール部のシール幅は、0.4〜0.9mmであることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る飲食品の判定方法およびこの方法実施に用いるインジケータによれば、飲食品等の品質、鮮度を簡便にかつ客観的(視覚的)に判定することができる。しかも、インジケータを飲食品等に付帯させて使用する前は常温で長期間、安定して保管できるので取り扱いが便利である。
まず、ガス産生菌または酸産生菌について説明する。一般にガス産生菌または酸産生菌は、飲食品等の中にあって、発酵と腐敗の働きを司るものである。発酵とは、有用微生物およびそれらが作り出す酵素が有機物を代謝し、有用物質を生産する現象を言い、醸造や発酵食品(醤油、味噌等)などの分野で広く利用されている。これに対し、腐敗は、腐敗微生物が食品中の炭水化物やタンパク質、脂肪などを分解する酵素を菌体外に分泌し、その分解生成物を栄養源として繁殖することによって生じる現象をいう。なお、この分解生成物(有機酸、アルデヒド、アンモニア等)が、腐敗臭や味の変質、変色等の原因になっている。
前記のとおりのガス産生菌または酸産生菌が、代謝や作り出す酵素によって食品中の有機物を分解する際に、分解生産物と共に、酢酸等の有機酸を産生する機能を酸産生機能といい、CO2などの酸性ガスを発生する機能をガス産生機能という。そして、酸産生機能を有する微生物を酸産生菌といい、ガス産生機能を有する微生物をガス産生菌という。
本発明では、当該微生物のガス産生機能を食品の腐敗の程度を発生ガス量により判定する方法に、また、当該微生物の酸産生機能を食品の腐敗の程度をpH変色型色素の作用による変色程度により判定する方法である。このガス産生菌または酸産生菌による有機物の分解は、ガス産生または酸産生開始温度を超えたあたりから始まり、増殖したガス産生菌または酸産生菌の1つ1つから少量のガスまたは酸を徐々に発生する。なお、このガス産生または酸産生開始温度は、ガス産生菌または酸産生菌の種類や保存状態によって異なるが、ほとんどのガス産生菌または酸産生菌において1〜10℃の範囲内にある。
なお、微生物とは、一般に顕微鏡でなければ観察することができないほどに小さな生物の総称で、酵母、かび、細菌などが含まれる。表1に主要な有機物発酵の種類と発酵を行なう微生物、発酵に伴う主な生成物を示す。
Figure 0004392714
本発明は、このような微生物のガス産生機能および/または酸産生機能を利用して、飲食品の品質の程度を判定する方法、およびこの方法の実施に用いるインジケータについての提案である。
つまり、上述したように、ガス産生菌および/または酸産生菌による有機物分解反応、つまりガス産生反応および/または酸産生反応は、食品が置かれる環境(温度、水、酸素および栄養素の有無、pH値など)および経過(保存)時間によって徐々に進行することから、ガス産生菌および/または酸産生菌を含む試料液を飲食品等と同じ条件に調整し、これを合成樹脂製の軟質フィルムをヒートシールして形成した中仕切りヒートシールを有する小袋内に充填封入してインジケータを作製し、さらに、このインジケータを飲食品等と同じ環境下に置いて一緒に保存し、インジケータ内で発生したガスによる気泡の大きさの程度またはpH変色型色素の変色を判断すれば、このことが飲食品等の品質を判定することにつながるのである。
とくに、このような酸産生機能をもつ酸産生菌の場合には、ブドウやブルーベリー等の果汁に含まれ、pHの変化により色調や安定度が大きく変わるアントシアニンと呼ばれる色素を添加したものを利用すれば、該酸産生菌の増殖に伴う飲食品等の品質低下(腐敗の進行)をより正確に、かつ客観的に判定することができる。なお、このアントシアニン色素は、果実の他、植物の花や葉、根にも含まれ、酸性域では赤色を示し、中性域では紫色を示し、そしてアルカリ性域では青〜緑色に変化するという特性を有するものである。
本発明にかかる判断方法およびインジケータの特徴の一つは、上記合成樹脂製の透明な軟質フィルム袋に充填封入するガス産生菌または酸産生菌と試料溶液とを、中仕切りシール部を介して隔てられた複数の密封された収容部分に、それぞれ分けて隔離した状態に封入しておき、そのガス産生菌または酸産生菌と試料液を、検査の判定するべき食品等に付帯させる直前に該中仕切りシール部のシールを解いて合流させ、混ぜ合わせることができるようにしたところにある。
本発明のインジケータでは、ガス産生菌または酸産生菌と試料溶液とを予め一つの袋内に混合した状態で封入したものとは異なり、使用開始前まで、ガス産生菌または酸産生菌のガス産生または酸産生開始温度以下、つまり0℃以下の温度に冷蔵保存する必要がない。
とくに、この発明に係るインジケータでは、ガス産生菌または酸産生菌と試料溶液とが使用開始前までは混ざり合うことがないため、ガス産生または酸産生開始温度以下で保存する必要はなく、常温で保存するこが可能であり、取り扱いが便利になる。
本発明方法・装置に用いるガス産生菌または酸産生菌としては、表2に示す微生物のうちの一種以上を用いることが好ましい。
Figure 0004392714
表2に示したガス産生菌または酸産生菌のうち、本発明に係る判定方法への採用にあたっては、アスペルギルス属カビおよびラクトバシルス属細菌などがよく適合し、サッカロマイセス属酵母などが好適である。サッカロマイセス属酵母は、パンやビールの製造に、アスペルギルス属カビは、清酒の製造に、そして、ラクトバシルス属細菌は、ヨーグルトやチーズの製造に一般的に使用されている微生物であり、安心して使用することができる。
とくに前記のサッカロマイセス属酵母には、パン酵母、醸造酵母、飼料酵母および核酸原料酵母などがあり、醸造物のほか、一般に果汁、果皮、樹液のように糖密度の高い基質にも存在する。なお、パン酵母の代表株は、サッカロマイセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であり、その中には、つくったパン生地を冷凍処理・冷蔵保存しても活性が失われない冷凍耐性酵母や冷蔵耐性酵母がある。一般的なパン酵母は4℃で発酵することもあるが、この冷蔵耐性酵母においては10℃で発酵するという特徴があり、また、冷凍耐性酵母は、冷凍による発酵能の低下を招きにくいという特徴を有する。
なお、酵母は、嫌気条件下においてアルコール発酵を行い、糖(グルコース)などの栄養分を分解して二酸化炭素とエタノールを生成する。一方、好気条件下において呼吸を行い、表3に示すような栄養源を含有する液内で、適当な温度:30℃前後およびpH:5〜6の下で増殖していく。
Figure 0004392714
ところで、本発明に用いるガス産生菌または酸産生菌は、低酸素濃度でも生育できるような微好気生菌、通性嫌気生菌あるいは嫌気生菌であることが好ましい。本発明に用いるガス産生菌または酸産生菌は、密閉された袋内とうい限られた酸素の存在下で増殖し、ガス産生および/または酸産生による試料溶液の色調変化を確実に起こさせる必要があるからである。
また、本発明に用いる酸産生菌としては、アルカリ性環境下でも生育できる食品由来微生物のうち、乳酸菌等の細菌、パン酵母等の酵母、および麹カビ等のカビのうちから選ばれるいずれか一種以上を用いることが必要である。これらの菌はいずれも極端なアルカリ性環境下を除くすべての環境下で生育し、増殖することができるため、好適に用いることができる。
さらに、本発明に用いられる食品由来微生物は、乾燥状態のものを用いることが好ましい。食品由来微生物として乾燥状態のものを用いるようにすれば、第1に取扱いが容易であり、第2に袋内容収容部分に分別するのに便利であり、試料溶液合流後の状態を観察しやすい他、第3にインジケータの作成後、その性能を低下させることなく実際に使用するまでの期間を延長することが可能となるという利点があるからである。
より好ましくは、乾燥酵母であることが好ましい。乾燥酵母は、休眠状態にあるためその活動を休止している。そのため、発明に係るインジケータは、その性能を低下させることなく、常温にてより長期間保存することが可能になるからである。乾燥酵母は、酵母として、たとえば、サッカロマイセスセルビシェ、サッカロマイセスパストリアヌス等を選び、凍結乾燥機を用いてフリーズドライすることにより得られたものが好適である。一般に市販されている顆粒状または粉状のものも用いることができる。たとえば、ニッテンドライイースト(日本甜茶製糖)、スーパーカメリヤイースト(日清フーズ)、サフインスタントドライイースト(日仏商事)、レッドスターインスタントブレンド(協和発酵工業)、ふっくらパンドライイースト(日本製粉)等が市販されている。顆粒状または粉状の乾燥酵母の粒径としては、食品由来微生物によるガス産生反応または酸産生反応を効率よく進行させるためにも0.2mm以下のものが最適である。
本発明に用いられるpH変色型色素を含有する色素成分としては、アセロラ、イチゴ、グランベリー、サクランボ、ザクロ、野イチゴ、ブドウまたはブルーベリーなどの果実、黒豆、赤シソまたはナスなどの野菜および/またはそれらの搾汁、あるいはカルテノイド系色素、キノン系色素、コチニ−ル色素あるいはウコン色素などを用いることが好ましい。
なお、pH変色型色素を含有する色素成分は、pH7超〜14に調整することが好ましい。より好ましくは、pH8〜9に調整する。この色素成分のpH調整の方法は、鹹水の如きアルカリ水、焼成カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムのうちから選ばれるいずれか1種以上のpH調整液を用いて行なうことが好ましい。この理由は、これらのpH調整液はいずれも食品添加物として認可されているものであり、取扱いが容易かつ安全だからである。
また、本発明では、場合によっては上記の天然色素の他、または天然色素とともに、表4に例示するpHにより変色する薬品を使用してもよい。
Figure 0004392714
以下に、本発明に係るインジケータの作製方法について説明する。
まず、本発明に用いる合成樹脂製の軟質フィルム袋の構造について説明する。上記軟質フィルム袋は、図1に示すような三方シールされた包装袋1の内容物収納スペース5を、シールされていない一辺に平行でかつ包装袋1の全長にわたって延びる直線状の中仕切りシールによって2以上に分割したものを用いる。一の当該収納部分には、ガス産生菌または酸産生菌を封入し、他の一の収納スペースには試料液を封入する。上記軟質フィルムは、単層フィルムもしくは積層フィルムを用い、中仕切りシールは、使用時に圧力により剥離させるために、包装袋の周囲のヒートシールよりシール強度を低下させる。
中仕切りシール部は、補助ヒートシール7および補助ヒートシール部分の少なくとも一部に、ヒートシール強度の低下をもたらすコーティング層6からなる。なお、中仕切りシール部のシール強は、コーティング層6のシール強さで決まり、中仕切りシール部のシール幅は、コーティング層6の幅で表す。
図1は、この発明の包装袋を示す図であり、ここに示すこの包装袋1は、表面側に位置する単層もしくは積層フィルム2と裏面側に位置する同様のフィルム3とのそれぞれを、その幅方向の中央部にて二つ折りにした状態で、上下の端部分と開放側の側端部とをコ字状にヒートシール部4にて溶着させることにより、両フィルム2、3間に、ヒートシール部4で区画される内容物収納スペース5を設け、そして、それらの両フィルム2、3を、ヒートシール強度の低下をもたらすためのコーティング層6を予め設けた位置でもまた、補助ヒートシール部分7によって溶着させて、内容物収納スペース5を、左右の収納スペース8、9に完全に二分割したものである。
ここで、コーティング層6は、少なくとも一方のフィルム2、3の内表面の所要位置に、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、シリコン系、ウレタン系その他の樹脂を、ローラ、刷毛などによって塗布することにより、また、補助ヒートシール部分7は、コーティング層形成位置と対応する位置で、両フィルム2、3を、内容物収納スペース5を完全に横切ってヒートシールすることにより、それぞれ形成することができ、補助ヒートシール部分7のヒートシール強度は、ヒートシール幅、樹脂の塗布量などを変更することによって適宜に調整することができる。
中仕切りシール部のシール強さは、図1の包装袋1の三方シール部のシール強さ(50N/10mm幅)に対して20〜90%であることがこのましい。包装袋1の三方シール部のシール強さに対して20%以下のシール強さであると、インジケータの運搬時に、予期せぬ圧力がインジケータに加わり、中仕切りシール部が剥離してしまう可能性があるからである。一方、包装袋1の三方シール部のシール強さに対して90%以上のシール強さであると、使用時に圧力をかけて中仕切り部を剥離する際に、袋の外周部のシール部が剥離して内容物が外部に飛び出す危険があるからである。なお、実用的には、三方シール部のシール強さに対して30〜70%のシール強さであることが好ましく、より好ましくは、三方シール部のシール強さに対して50%のシール強度であることが好ましい。
また、ヒートシール幅は、実用的に0.4mm〜0.9mmであることが望ましい。ヒートシール幅が0.4mm以下であると、インジケータの運搬時等に、予期せぬ圧力がインジケータに加わった程度で、中仕切りシール部が剥離してしまう可能性があるからである。また、ヒートシール幅が0.9mm以上であると、包装袋に占める中仕切りシール部分の割合が相対的に大きくなるとともに、十分な内容物収納スペースを次第に確保しづらくなり、逆に十分な内容物収納スペースを確保しようとすると、インジケータ自体が肥大化してしまい取扱いが不便になるからである。なお、ヒートシール幅は、0.5mm〜0.7mmであることがより好ましい。
中仕切りシール部は、図2に示すように三方シールされた包装袋の内容物収納部分のシールされていない一辺と交差するように、包装袋の全幅にわたって設けることもできる。
さらに、包装袋は、図3のように四方シールされた包装袋であってもよい。
また、本発明に適合する合成樹脂製軟質フィルムの小袋としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの透明なプラスチックフィルムを用いる。また、安全性を確保するため、前記フィルム袋のベースフィルムに二軸延伸ナイロン25μmなどの強度の高い材料を用いてもよい。
なお、剥離しやすい中仕切りシール部は、積層フィルムを用いた場合には、内容物収容スペースの内面側を構成する層の材料構成の比率を調整してヒートシールするという方法によっても得られる(特開2001-294244号公報)。
試料溶液には、培養液を添加する。なお、培養液の例としては、牛乳、肉エキス、果汁、野菜ジュースおよび発酵調味料のいずれか一種以上のものが好適に用いられる。
ス産生菌を用いる場合は、試料溶液中の糖や炭水化物の濃度を適量にし、発生ガス量を調節することが好ましい。
産生菌を用いる場合は、pH調整したpH変色型色素を有する色素成分(果実や野菜など)を、試料溶液に添加する必要がある。
上記のようにして作製した試料液とガス産生菌または酸産生菌の包装は、包装袋の下端部分および一方の端部分のヒートシールと、補助ヒートシール部分6の形成とを行った後に、収納スペース内へ、その上端開口から、それぞれの内溶物をそのまま供給し、しかる後、フィルム上端部分をヒートシールすることによって行う。また、この充填封入の方法は、特許第2930515号公報、特開2001-335005号公報および特開2002-2601号公報などに提案の充填装置を用いて行なう。
このようにして包装されたそれぞれの物質の相互の接触は、包装袋1を、その外側から手でたたくことによって、補助ヒートシール部分6を、所要のヒートシール強度にて溶着されているコーティング層介在部分から剥離させることによりもたらすことができる。
なお、前記袋内に微生物や試料溶液を充填封入する際、袋(インジケータ)内に空気が混入しないように注意することが肝要である。これは、本発明に係る方法が、食品由来微生物としてガス産生菌を用いる場合は、袋(インジケータ)内に発生するガス量によって腐食の程度を判断する技術であるから、初めからインジケータ内に空気が混入すると、正確なガス発生量を確認することができなくなるからであり、食品由来微生物として、酸産生菌を用いる場合は、インジケータ内での酸産生菌による酸産生反応の進行に伴い、pHが低下し、pH変色型色素が変色する程度によって食品の品質低下を判断する技術であるから、インジケータ内が初めから酸性雰囲気下であると、飲食品等の保管状態、とくに品質低下の進行程度を正確に判定することができなくなるためである。
また、インジケータの表面には、対象となる食品の種類やガス産生菌の種類に応じて、品質の指標となる基準気泡径を予め印刷表示しておくことが好ましい。この基準気泡径は、食品の危険期、注意期および安全期に相当する気泡径の大きさを示したものであり、このように予め基準気泡径を印刷表示しておけば、食品の管理者がその都度、気泡径を測定する必要がなく、目視により品質(腐敗の進行程度)を容易に確認することができるという利点がある。
次に、本発明にかかるインジケータに使用するガス産生菌としての乾燥酵母の有効性を確認するため、以下のような実験を行なった。
(実験用インジケータの作製)
NY15/XA-S50のラミネートフィルムにて作製した図1に示す包装袋1の一方の内容物収納部分5aに、ガス産生菌として乾燥酵母0.01gを封入し、もう一方の内容物収納部分5bに、試料溶液として5%グルコース溶液1ml(培養液)を封入しインジケータを作成した。
(実験1−1)
前記のとおり作製した各インジケータ(小袋)を、作成後使用直前に中仕切りシール部のシールを外すことによって隔てられた乾燥酵母と試料溶液を合流混合させ、23℃、10℃、4℃、2℃および0.5℃に設定した恒温槽内にそれぞれ放置し、酵母によるアルコール発酵に伴い、試料液中のグルコースが分解され、CO2が発生するまでに要する時間を測定した。また、インジケータ(小袋)の作成後、常温(23℃)にて3ヶ月間保存した各インジケータ(小袋)について上記測定と同様の測定を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0004392714
表5の結果から、本発明にかかるインジケータは、常温にて3ヶ月間という長期間保存しても、なんらインジケータとしての機能は損なわれることなく、インジケータ作成後直ぐに使用した場合と比較して、ほとんど変わらない性能を示すことがわかった。
(実験1−2)
次に、ガス産生反応に伴う試料液のpH値、糖濃度および生菌数の変化について調査した。前記のとおり作製したインジケータを3つ用意し、そのインジケータ作製直後と23℃恒温槽に24時間放置後における試料液のpH値、糖濃度および生菌数を測定した結果を表6に示す。
Figure 0004392714
表6の結果から、いずれのインジケータも24時間放置後の試料液の糖濃度およびpH値が、インジケータ作製直後と比較して低下していることがわかる。これは、酵母によるアルコール発酵により試料液中のグルコース(糖分)が分解され、その分解生成物としてCO2(酸性)が生成されたことによる。また、生菌数はいずれも24時間放置により減少しているが、これは菌の栄養成分であるグルコース(糖分)が消費され、その結果、菌の代謝異常(栄養失調)が起きたためと思われる。
(実験1−3)
さらに、前記のとおり作製した実験用インジケータ(小袋)を24時間、−22℃の冷凍庫で凍結させた後、解凍し、23℃、10℃および4℃に設定した恒温槽内に放置してガス発生量に要する時間を調査した。その結果を表7に示す。
Figure 0004392714
表7の結果から、いずれのインジケータにおいても凍結−解凍処理を行なわない場合(実験1−1、表5)と比較するとガス発生までに若干の時間を要するものの、ガス発生量については大きな変化が見られず、本実験で用いた酵母が冷凍による障害(発酵能の低下)を受けにくい(冷凍耐性酵母)ことが確認できた。このような酵母は、例えば、冷凍食品等のインジケータとしての適用が期待できる。
本実験では使用しなかったが、その他にもバチルス属、大腸菌群であれば、本発明のインジケータとして利用することができると考えられる。また、ガス産生菌の種類と培養液(地)を検討することにより、温度、食品の種類に合わせて、様々なインジケータを提供することもできる。
また、酵母はその種類によって発酵温度が異なることから、対象とする食品にあわせて適切に選択すれば、優れたインジケータになり得る。
以下の方法により、酸産生菌からの酸産生現象とアントシアニン色素の色調との変化を確認した。
(乳酸菌の調整)
本実施例では、酸産生菌として乳酸菌を用いた。まず、市販の漬物液中に含まれる乳酸菌を分離した。これを、オートクレーブ滅菌処理した乳酸菌液用培養液(肉エキス3g、ペプトン10 gおよびぶどう糖5gを蒸留水1000mlに加熱溶解したもの)と混合した後、35℃で48時間培養して乳酸菌液を作製した。
次に、作製した乳酸菌液を凍結乾燥処理を行って乾燥乳酸菌を得た。
まず、アントシアニン色素を含有する色素成分として100%果汁のグレープジュース(赤紫色)を用いた。また、乳酸菌が生育しやすいように、グレープジュースと5%グルコース溶液とを混合させた。この培養液とグレープジュースとを2:1の割合で混合した後、鹹水(pH13)を加えてpHがそれぞれ4.2、5、6、7および9になるように調整して5種類の培養液−果汁混合液を得た。
この培養液−果汁混合液15mlをNY15/XA-S50のラミネートフィルムを用いて作製した中仕切りシール部にて2つの隔室からなる軟質フィルム袋中の一方の収納部分(空間スペース)内に充填封入し、他方の収容部分(空間スペース)には上記のとおり調整した乾燥乳酸菌1mgを充填封入し、それぞれを分別収容し、かつ空気が混入しないようにヒートシールを施して実験用インジケータを作製した。
上記のようにして作製した5種類のインジケータ(2収容部分からなるフィルム袋)を、使用の直前に、中仕切りシール部にて隔てられた各収容部分内の乾燥乳酸菌と試料溶液とを中仕切りシール部の剥離して合流混合し、4℃の冷蔵庫内および30℃に設定した恒温槽内にそれぞれ24時間放置し、中仕切りシール部を外した単一スペースとなった軟質シール袋内の色調変化を確認した。また、インジケータ(小袋)の作成後、常温(23℃)にて3ヶ月間保存した各インジケータ(小袋)について、上記測定と同様の測定を行った。以上の結果を、表8に示した。
Figure 0004392714
4℃の冷蔵庫内に放置したインジケータについてはいずれも、色調変化は認められなかった。一方、30℃の恒温槽内に放置したインジケータについては、いずれも時間の経過に伴い、インジケータ内の試料溶液の色調の変化が確認された。インジケータ作成後、常温にて3ヶ月間保存したインジケータについても、色調の変化が確認された。このことから、本発明にかかるインジケータは、常温にて長期間保存してもなんら性能の低下を生じないことがわかった。
次に、インジケータとして用いる中仕切りシール部のシール強度として最適なシール強度を調べた。
包装袋の材料としては、NY15/XA-S50のラミネートフィルムを用いた。
中仕切りシール部は、ヒートシールされていない一辺に平行し、かつ収納スペースを完全に横切るようにヒートシールすることにより作製する。
中仕切りシール部で仕切られた収納部分(空間スペース)の一方に、乾燥酵母を封入し、他の収納部分(空間スペース)に試料溶液としてグルコースを封入した。そして、使用時に、該シール袋の試料溶液を入れた側の収納部分に圧力をかけて、中仕切りシール部の剥離を導いて、隔離した両者を合流させて混ぜ合わせた。このときの加えた圧力と中仕切りシール部のシール強度との関係を調べた。
なお、中仕切りシール部のシール強度は、ヒートシール時の温度・圧力を調節することにより変化させた。また、中仕切りシール部のシール強度は、包装袋の三方シール部のシール強度に対する割合(%)で表わした。以上の結果を表9にまとめた。
Figure 0004392714
表9から、中仕切りシール部のシール強度が20%以下では、実用上の耐圧である1.0kg/cm2に絶えられず、インジケータを製品として運搬する際等にかかる予期せぬ圧力等で中仕切りシール部が剥離し、使用開始前に内容物が混ざり合ってしまう可能性がある。一方、中仕切りシール部のシール強度が90%以上では、包装袋の三方シール部の耐圧である6.15kg/cm2でも中仕切りシール部が剥離せず、中仕切りシール部が剥離して内容物が混ざり合う前に、包装袋の三方シール部が剥離し内容物が漏れ出す可能性がある。
よって、中仕切りシール部のシール強度が20〜90%である場合が最適であることがわかった。
インジケータとして用いる中仕切りシール部のシール幅として最適なシール幅を調べた。
包装袋の材料としては、NY15/XA-S50のラミネートフィルムを用いた。
中仕切りシール部は、コーティング層に剥離用シリコーンを塗布し、ヒートシールされていない一辺に平行し、かつ収納スペースを完全に横切るようにヒートシールすることにより作製する。なお、中仕切りシール部のシール強度は、包装袋の三方シール部のシール強度に対して50%の一定の値とした。
中仕切りシール部で仕切られた収納部分の一方に乾燥酵母、他の収納部分に試料溶液としてグルコース液を封入し、試料溶液を入れた収納スペースに圧力をかけて、中仕切りシール部を剥離し、両者を混ぜ合わせるときに加えた圧力と中仕切りシール部のシール幅との関係を調べた。
結果を表10にまとめた。
Figure 0004392714
以上の結果から、中仕切りシール部のシール幅が0.4mm以下では、実用上の耐圧である1.0kg/cm2に絶えられず、インジケータを製品として運搬する際等にかかる予期せぬ圧力等で中仕切りシール部が剥離し、内容物が混ざり合ってしまう可能性があることがわかる。
この発明は、農産物や畜産物、魚介類などの生鮮食品、弁当や惣菜などの加工食品、ジュースや酒などの飲料、醤油やソース、みそなどの調味料、ワクチンなどの薬剤、生化学用サンプル、化粧品などの物品についての保管状態、とくに保管環境における温度や経過時間などで示される流通履歴の影響によって起こる、これらの物品の変質や鮮度の低下を客観的に評価判定するための保管状態の判定に用いられる。
本発明の第1の実施の形態における包装用袋の平面図および断面図。 本発明の第2の実施の形態における包装用袋の平面図。 本発明の第3の実施の形態における包装用袋の平面図。
符号の説明
1 包装袋
2 フィルム
3 フィルム
4 ヒートシール部
5a 内容物収納スペース
5b 内容物収納スペース
6 コーティング層
7 補助ヒートシール部分

Claims (20)

  1. 包装袋の周囲のヒートシール部に比べて剥離し易いヒートシールを施してなる中仕切りシール部を介して設けられた独立する複数の収容部分からなり、かつ基準気泡径を印刷表示したものからなる合成樹脂製の透明な軟質フィルム袋内に、ガス産生菌または酸産生菌および試料溶液のそれぞれを、該収容部分に分けて封入し、使用に先立って前記中仕切りシール部の剥離を通じて前記収容部分どうしを互いに連通させることにより、該フィルム袋内のガス産生菌または酸産生菌および試料溶液を混ぜ合わせ、その後、このフィルム袋を、判定すべき飲食品あるいは薬剤に付帯させて同じ環境下に置き、該フィルム袋内に生成するガス量もしくは該袋内収容物の色の変化を観察することにより、飲食品あるいは薬剤の品質の程度を判定することを特徴とする飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  2. 上記ガス産生菌または酸産生菌が、酵母、かびおよび細菌のいずれか一種以上であることを特徴とする請求項記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  3. 上記ガス産生菌または酸産生菌は、ガス産生開始温度および/または酸産生開始温度以上において、主に炭水化物からの酸産生に伴ってCO2とH2を発生するものであることを特徴とする請求項またはに記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  4. 上記ガス産生菌または酸産生菌は、乾燥状態のものを用いることを特徴とする請求項のいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  5. 上記ガス産生菌または酸産生菌が、顆粒状もしくは粉状の乾燥酵母であることを特徴とする請求項にいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  6. 上記試料溶液は、ガス産生菌または酸産生菌の繁殖を助成する栄養成分を含む他、さらに酸産生菌を用いた場合には、pH調整したpH変色型色素を含有する色素成分を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  7. 上記色素成分は、果実、野菜および/またはそれらの搾汁であることを特徴とする請求項に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  8. 上記pH調整は、色素成分を、かん水の如きアルカリ水、焼成カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムのうちから選ばれるいずれか1種以上のpH調整液を用いてpH=7超〜14に調整することを特徴とする請求項に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定方法。
  9. 包装袋の周囲のヒートシール部に比べて剥離し易いヒートシールを施してなる中仕切りシール部を介して独立して設けられている複数の収容部分からなり、かつ基準気泡径が印刷表示されたものからなる合成樹脂製の透明な軟質フィルム袋内に、ガス産生菌または酸産生菌および試料溶液のそれぞれを、その独立した各収容部分に分けて封入したものからなり、かつ使用に先立って前記中仕切りシール部の剥離を通じて前記収容部分どうしが互いに連通することで、ガス産生菌または酸産生菌および試料溶液を混合可能にしたものであって、飲食品あるいは薬剤に付帯させて同じ環境下に置き、該フィルム袋内に生成するガス量もしくは該袋内収容物の色の変化を観察するようにしたものであることを特徴とする飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  10. 上記ガス産生菌または酸産生菌は、酵母、かびおよび細菌のいずれか一種以上であることを特徴とする請求項記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  11. 上記ガス産生菌または酸産生菌は、ガス産生開始温度および/または酸産生開始温度以上において、主に炭水化物からの酸産生に伴ってCO2とH2を発生するものであることを特徴とする請求項または10に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  12. 上記ガス産生菌または酸産生菌は、乾燥状態のものを用いることを特徴とする請求項11のいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  13. 上記ガス産生菌または酸産生菌が、顆粒状もしくは粉状の乾燥酵母であることを特徴とする請求項12にいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  14. 上記試料溶液は、ガス産生菌または酸産生菌の繁殖を助成する栄養成分の他、さらに酸産生菌を用いた場合には、pH調整したpH変色型色素を含有する色素成分を含むことを特徴とする請求項13のいずれか1に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  15. 上記色素成分は、果実、野菜および/またはそれらの搾汁であることを特徴とする請求項14に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  16. 上記pH変色型色素は、アントシアニン色素であることを特徴とする請求項14に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  17. 上記pH調整は、色素成分を、かん水の如きアルカリ水、焼成カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムのうちから選ばれるいずれか1種以上のpH調整液を用いてpH=7超〜14に調整することを特徴とする請求項14に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  18. 上記基準気泡径は、腐敗危険期、注意期、安全期に相当する気泡径の大きさが印刷表示されていることを特徴とする請求項に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  19. 上記中仕切りシール部のシール強さは、包装袋の周囲のヒートシール部のシール強度に対して、20〜90%のシール強度を有することを特徴とする請求項記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
  20. 上記中仕切りシール部のシール幅は、0.4〜0.9mmであることを特徴とする請求項に記載の飲食品あるいは薬剤の品質判定用インジケータ。
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