JP5571171B2 - 肺癌のマーカーとしてのcybp - Google Patents

肺癌のマーカーとしてのcybp Download PDF

Info

Publication number
JP5571171B2
JP5571171B2 JP2012510316A JP2012510316A JP5571171B2 JP 5571171 B2 JP5571171 B2 JP 5571171B2 JP 2012510316 A JP2012510316 A JP 2012510316A JP 2012510316 A JP2012510316 A JP 2012510316A JP 5571171 B2 JP5571171 B2 JP 5571171B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cybp
lung cancer
markers
marker
cea
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012510316A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012526976A (ja
Inventor
ヘルベルト アンドレス,
ヨハン カール,
ユリア クレックナー,
マルクス ロースラー,
ミヒャエル タッケ,
ミヒャエル ティーロルフ,
Original Assignee
エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト filed Critical エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
Publication of JP2012526976A publication Critical patent/JP2012526976A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5571171B2 publication Critical patent/JP5571171B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
    • G01N33/57407Specifically defined cancers
    • G01N33/57423Specifically defined cancers of lung
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/46Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans from vertebrates
    • G01N2333/47Assays involving proteins of known structure or function as defined in the subgroups
    • G01N2333/4701Details
    • G01N2333/4727Calcium binding proteins, e.g. calmodulin

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、肺性又は肺癌(=LC)の評価、特に非小細胞肺癌(NSCLC)の評価を補助する方法に関する。本発明は、LC、特にNSCLCのマーカーとしての「カルサイクリン結合タンパク質」(CYBP)の使用を開示する。さらに、本発明は液体試料中のCYBPを測定することにより、個体から得られる液体試料から肺癌を評価する方法に特に関する。CYBPの測定は、例えば、肺癌の早期発見、又は手術を受ける患者のサーベイランスに使用することができる。
癌は、検出及び治療の進歩にもかかわらず、主要な公衆衛生的課題のままである。様々な種類の癌のなかでも、LCは西欧諸国で頻出する癌であり、癌に関連した死亡率の最も頻出する原因である。これは、疾患の早期発見に対する診断ギャップによるところが大部分である。LCは、その初期段階ではほとんど無症状である。全ての肺癌のほとんどは、疾患が既に手術不能になった後期で検出される。
LC腫瘍の大部分は、小細胞肺癌(SCLC)と非小細胞肺癌(NSCLC)に分けることができる。SCLCは、全ての肺癌症例の約20−25%を占める。SCLCは、侵襲性の神経内分泌タイプのLCであり、初期段階で検出されたとしても、予後は非常に悪い。SCLCは、切除による治癒的処置にめったに順応しない。疾患が進行する速度のために、SCLCは、より複雑なTNMステージ分類システムよりむしろ、2つの段階のみを使用して、すなわち制限された疾患及び広範囲の疾患に分類される(以下を参照)。LC症例の約75−80%が、扁平上皮癌(細胞腫=CA)、腺CA(腺房CA、乳頭CA、気管支肺胞腫瘍、固形腫瘍、及び混合サブタイプのサブクラスを含む)、及び大細胞癌(巨細胞腫、明細胞CA、腺扁平上皮CA、及び未分化型CAのサブクラスを含む)を含むNSCLCのクラスにグループ分けされる。NSCLCは、後期段階で検出された場合は、また非常に予後が悪い。癌のステージ分類は、程度、進行度、細胞型及び腫瘍悪性度による疾患分類である。それは、一般化が予後及び治療の選択についてなされるように、癌患者をグループ分けする。
今日、TNMシステムは、癌の解剖学的範囲に基づき、最も広く使用されている分類システムである。それは、国際的に認められた均一なステージ分類システムである。3つの基本的変数:T(原発腫瘍の程度)、N(局所リンパ節の状態)、及びM(遠隔転移の有無)がある。TNM基準は、UICC(国際対癌連合),1997版(Sobin, L.H.,and Fleming, I.D., TNM 80 (1997) 1803-4)により刊行されている。
原発腫瘍の外科的切除は、初期段階のNSCLCに対する選択される処置法として広く受け入れられている。NSCLCの進行、より詳細にはステージIIIa(T3N1M0、T1N2M0、T2N2M0、T3N2M0)からIIIb(T4N0M0、T4N1M0、T4N2M0)への移行では、医師のアプローチにおける顕著なシフトが引き起こされる。しかしながら、より早い段階(Ia−IIIa;好ましくは、ステージT3N1M0まで)で癌が検出された場合、5年生存率は35%と80%との間で変化する。ステージIa((T1N0M0);腫瘍サイズ小、転移なし)での検出は、80%までの5年生存率を有する最も好ましい予後を明らかに有している。
NSCLCのステージIIIb−IVの管理においても、稀に手術が使用される。ステージIVは、遠隔転移、すなわち肺及び局所リンパ節を超えた疾患の広がりに対応する。後期ステージIII及びIVにおける5年生存率は、それぞれ15%未満と1%未満の間で落ちる。
特に重要であるものは、NSCLCの早期診断がより良好な予後に移ることである。ステージIa(T1N0M0)、Ib(T2N0M0)、IIa(T1N1M0)、IIb(T3N0M0)、及びIIIa(T3N1M0)と同じほど早期に診断された患者は、適切に処置されたならば、診断から5年後では80%の生存確率となる。これは、遠隔転移が既にあると診断された患者では、1%未満の5年生存率に対して比較されなくてはならない。
本発明の意味において、LCの早期評価は、上述したように、IaとIIIaの間の腫瘍ステージでの評価を意味する。
LCは、IaとIIIaの間のステージで評価されるのが好ましい。
ほとんどの肺癌は、それらが症状を呈したときに検出される。現在の検出方法は、胸部X線、スパイラル断層撮影、喀痰細胞診及び気管支検査を含む。しかしながら、集団検診に対してこれらの手段の適合性に関しては議論がある。
肺癌のための多くの血清腫瘍マーカーが臨床的に使用されている。扁平上皮癌(SCC)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、癌胎児性抗原(CEA)、サイトセラチン(cytoceratin)19の可溶型30kDa断片(CYFRA21−1)は、最も卓越したLCマーカーである。しかしながら、それらのいずれも、スクリーニングツールに必要とされる感度(感受性)及び特異性についての基準は満たしていない(Thomas, L., Labor und Diagnose (2000)TH Books Verlagsgesellschaft, Frankfurt/Main, Germany)。
臨床的有用性があるためには、単一マーカーとしての新規な診断マーカーは、当該分野で知られている他のマーカーに匹敵するか、又はそれより良好なものであるべきである。もしくは、新規なマーカーは、単独で使用されるか又は一又は複数の他のマーカーと組合せて使用される場合、それぞれ診断感度及び/又は特異性における進歩につながるべきである。検査の診断感度及び/又は特異性は、その受信者動作特性により最も良好に評価され、これを以下に詳細に説明する。
全血、血清又は血漿は、臨床的ルーチンにおいて最も広く使用される試料源である。信頼性のある癌検出に役立ち、又は初期の予後情報を提供する初期LC腫瘍マーカーの同定により、診断及びこの疾患の管理において大いに役立つ方法が得られる。よって、LCのインビトロ評価を改善するための緊急の臨床的必要性が存在している。疾患が進行した段階で診断された者と比較して、早期に診断された患者については生存の確率がかなり高いため、LCの初期診断を改善することは特に重要である。特に、LC治療の信頼性のあるモニタリング、LCの個体のスクリーニング、及びLC治療後の肺癌の再発の検査の方法に対して緊急の必要性がある。
肺癌における生化学マーカーの臨床的有用性は、最近概説されている(Duffy, M.J., Critical Reviews in Clinical Laboratory Sciences 38 (2001) 225-262)。
CYFRA21−1は、肺癌のための現在知られている腫瘍マーカーで最も好ましいものと現在みなされている。器官特異性ではないが、それは主に肺組織に見出される。肺癌に対するCYFRA21−1の感度は、他の良性の肺疾患に対して95%の特異性で46−61%であると記載されている。また、CYFRA21−1の血清レベルの上昇は、明白に良性の肝疾患、腎不全、及び浸潤性膀胱癌に関連している。CYFRA21−1検査は、術後の治療サーベイランスに推奨される。
CEAは、通常は胚形成中に生成される癌胎児性抗原のグループに属する。CEAは器官特異性ではなく、主として結腸直腸癌のモニタリングに使用される。悪性腫瘍の他に、いくつかの良性疾患、例えば肝硬変、気管支炎、膵炎及び自己免疫疾患が、CEA血清レベルの増加に関連している。良性の肺疾患に対する95%特異性で、肺癌に対するその感度は29−44%と報告されている。CEAの好ましい使用は、肺癌の治療サーベイランスである。
NSEはSCLCの腫瘍マーカーである。一般的に、NSE血清レベルの上昇が、神経外胚葉及び神経内分泌腫瘍に関連して見出されている。また、血清レベルの上昇は、良性の肺疾患及び大脳疾患、例えば髄膜炎又は脳の他の炎症性疾患、及び頭部の外傷性障害を患っている患者にも見出される。95%特異性でのSCLCに対する感度は60−87%と報告されている一方、NSCLCについてのNSE検査の性能は良好ではない(感度7−25%)。NSEはSCLCの治療サーベイランスに推奨される。
proGRPは、SCLCの検出及びモニタリングに有用な腫瘍マーカーである。また、血清レベルの上昇は、非悪性の肺/胸膜疾患、例えば特発性肺線維症又はサルコイドーシスを患っている患者にも見出される。SCLCの分野におけるproGRPに対する感度(特異性95%)は47−86%と報告されている一方、NSCLCの分野におけるproGRP検査の性能は、感度が10%以下と報告されているため良好ではない。
SCCは、頸部の扁平細胞CAにおいて元来同定された。LCに対するSCCの感度は一般的に低い(18−27%)。よって、SCC検査は、スクリーニングには適していないと見なされる。しかしながら、扁平細胞CAに対する感度が高いため、CYFRA21−1が一般にはより良好に機能するが、SCCの好ましい用途は治療サーベイランスである。
免疫組織化学的調査において、Zhaiら(Journal of Histochemistry and Cytochemistry, vol. 56(8): 765-772, 2008)は、モノクローナル抗CacyBP抗体を用いた免疫組織化学的染色により、広範囲のヒト正常組織及び細胞腫におけるCacyBPタンパク質発現プロファイルを分析した。この研究において、CacyBP染色が、様々な腺癌及び扁平上皮癌において観察された。ポジティブ染色の割合は、上咽頭癌(71%)、膵腺癌(70%)、乳癌(63%)、及び骨肉腫(63%)で最も高かった。比較すると、約45%の肺腺癌試料と50%の肺扁平上皮癌試料のみが染色された。
マーカープロファイルに関し、肺癌の診断の改善を目的とし、一般的な炎症マーカーであるCYFRA21−1、NSE及びC反応性タンパク質(CRP)の血清レベルを組合せるためにファジー理論に基づいた分類アルゴリズムを使用する方法が公表されている(Schneider, Jら Int. J. Clin. Oncol. 7 (2002) 145-151)。著者は、95%の特異性で92%の感度を報告している。しかしながら、この研究では、例えば単一腫瘍マーカーとしてのCYFRA21−1の感度は、95%の特異性で72%であると報告されており、これは、多くの他の報告されている研究よりも顕著に高い。Duffy, M.J., Critical Reviews in Clinical Laboratory Sciences 38 (2001) 225-262には、46%から61%の感度が報告されている。Schneiderらにより達成されたこの異常に高い性能は、ある疑いを引き起こし、いくつかの事実のためであるかも知れない。最初に、対照患者の集団は、患者集団よりも若いように見える、すなわちグループは同年齢ではなく、患者集団は多くの後期を含む。第2に、より重要なことには、アルゴリズムの性能は、ファジー理論限定子の決定に使用されたトレーニングセットの試料でチェックされている。よって、これらの限定子は、厳密に言えばこのセットのために「仕立てられ」ており、独立した確認セットには適用されていない。正常な環境下では、より大きく、独立し、十分にバランスのとれた確認セットに同じアルゴリズムを適用すると、全体の性能が顕著に低下するであろうことが予想されるはずである。
LCの評価に使用されうる生化学マーカーが同定可能かどうかを調査することが、本発明の課題である。
驚くべきことに、マーカーCYBP(カルサイクリン結合タンパク質、CacyBP、Siah相互作用タンパク質、S100A6結合タンパク質)、特にヒトCYBP(hCYBP)の使用が、技術の最先端で現在知られているマーカーの問題のいくつかを、少なくとも部分的に克服可能であることが見出された。
本発明は、試料中においてCYBPの存在及び/又は濃度を測定し、測定結果、特に肺癌の評価に測定された濃度を使用することを含む、インビトロで肺癌を評価する方法に関する。
好ましい実施態様では、新規マーカーCYBPは、モニタリング及びスクリーニング目的に使用されうる。
患者のモニタリングに使用される場合、本発明に係る診断方法は、腫瘍量、治療効果、及び患者の経過観察における腫瘍再発を評価するのに役立ちうる。CYBPレベルの増加は腫瘍量に直接相関する。短期間(数時間から14日)の化学療法後、CYBPの増加は、腫瘍細胞死の指標となりうる。患者の経過観察(3ヶ月から10年)において、CYBPの増加は、腫瘍再発の指標として使用することができる。
好ましい実施態様では、本発明に係る診断方法はスクリーニング目的に使用される。すなわち、それは、CYBPのレベルを測定し、LCの有無に対して測定されたレベルを相関させることにより、LCを事前診断することなく被験者を評価するために使用される。
本発明は、試料中においてCYBP及び一又は複数の他のLCマーカーの存在及び/又は濃度を測定し、測定結果、特にLCの評価に測定された濃度を使用することを含む、生化学マーカーによりインビトロでLCを評価する方法にまた関する。一又は複数の他のLCマーカーは、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択されることが好ましい。
本発明は、LCの評価におけるCYBPと一又は複数の付加的なマーカーを含むマーカーパネルの使用にまた関し、ここで好ましい付加的なマーカーはCYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される。
本発明は、好ましい実施態様では、LCの評価における少なくともCYBP及びCYFRA21−1を含むマーカーパネルの使用に関する。
本発明は、LCの評価における少なくともCYBP及びCEAを含むマーカーパネルの使用にまた関する。
本発明は、LCの評価における少なくともCYBP及びSCCを含むマーカーパネルの使用にまた関する。
本発明は、少なくともCYBPを特異的に測定するのに必要とされる試薬と、場合によっては測定を実施するための補助試薬を含んでなる、本発明に係る方法を実施するためのキットにさらに関する。
本発明は、少なくともCYBP及びCYFRA21−1をそれぞれ特異的に測定するのに必要とされる試薬と、場合によっては測定を実施するための補助試薬を含んでなる、本発明に係る方法を実施するためのキットをまた提供する。
本発明は、少なくともCYBP及び一又は複数の他の肺癌マーカーを特異的に測定するのに必要とされる試薬を含んでなる、本発明に係る方法を実施するためのキットをまた提供する。
本発明は、少なくともCYBP及びCEAをそれぞれ特異的に測定するのに必要とされる試薬と、場合によっては測定を実施するための補助試薬を含んでなる、本発明に係る方法を実施するためのキットをまた提供する。
本発明は、少なくともCYBP及びSCCをそれぞれ特異的に測定するのに必要とされる試薬と、場合によっては測定を実施するための補助試薬を含んでなる、本発明に係る方法を実施するためのキットをまた提供する。
好ましい実施態様では、本発明は、試料中においてa)CYBP、及びb)場合によっては一又は複数の他の肺癌マーカーの存在及び/又は濃度を測定し、c)肺癌の評価において、測定結果、特に工程(a)と場合によっては工程(b)において決定される濃度を使用することを含んでなる、肺癌をインビトロで評価する方法に関する。
「測定」なる用語は、試料中のCYBPの定性的又は定量的測定を含む。好ましい実施態様では、測定は定性的又は半定量的測定であり、すなわち、CYBPが存在するのかしないのかが決定され、あるいはCYBPの濃度がカットオフ値より上なのか下なのかが決定される。当業者には分かるように、「はい」-(存在)又は「いいえ」-(存在せず)アッセイにおいては、アッセイ感度は、通常カットオフ値に適合するようにセットされる。カットオフ値は、例えば健常な個体群の検査から決定することができる。好ましくは、カットオフは、90%の特異性になるようにセットされ、また好ましくは、カットオフは95%の特異性になるようにセットされ、あるいはまた好ましくは、カットオフは98%の特異性になるようにセットされる。例えばカットオフ値を越える値の存在は、肺癌の存在の指標になりうる。さらに好ましい実施態様では、測定は定量的測定である。この実施態様では、CYBPの濃度は、根底にある診断上の問題、例えば疾患のステージ、疾患の進行度、又は治療に対する応答性に相関される。
カルサイクリン(S100A6)はS100タンパク質のファミリーに属するカルシウム結合タンパク質である(Zimmerら, Brain Res. Bull. 37 (1995),417-429;Heizmann及びCox, Biometals 11 (1998), 383-397に概説)。その遺伝子は、その細胞周期依存性発現に基づいて発見された(Calabrettaら, J. Biol. Chem. 261 (1986), 12628-12632)。この遺伝子は、細胞周期のGとS期との間の移行中、その最大レベルで発現するが、その発現は急性骨髄性白血病において調節解除される(Calabrettaら, Proc. Natl. Sci USA 83 (1986), 1495-1498)。該タンパク質はエールリッヒ腹水癌(EAT)細胞から初めて精製され、特徴付けられた(Kuznicki及びFilipek, Biochem. J. 247 (1987), 663-667;Kuznickiら, Biochem.J. 263 (1989), 951-956)。その後、カルサイクリンは、線維芽細胞及び上皮細胞、高増殖活性を有する細胞、及び分化を受けるものにおいて高レベルで発現することが見出された(Leonardら, Mol. Cell. Biol. 7 (1987),3156-3167;Guoら, Cell Growth Differ. 1 (1990),333-338;Toniniら, Cancer Res. S1 (1991), 1733-1737, Kuznickiら, Exp. Cell. Res. 200 (1992), 425-430)。
カルサイクリンのいくつかの可能性のあるタンパク質標的が同定されている。カルサイクリンは、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アネキシンII(Filipekら, Eur. J. Biochem. 195 (1991), 795-800)、アネキシンVI(Zengら, Int. J. Biochem.25 (1993), 1019-1027)、アネキシンXI(Tokumitsuら, Biochem. Biophys. Res. Comm. 186 (1992), 1227-1235)、カルデスモン(Maniら, Biochemistry 2 (1993),11217-11223)、及びCacyBP(カルサイクリン結合タンパク質)(Filipek及びKuznicki, J. Neurochem.70 (1998), 1793-1798;Filipek及びWojda, Biochem. J. 320 (1996), 585-587)とCa2+依存的にインビトロで相互作用することが示された。カルシウムの存在下又は不在下におけるカルサイクリンの3次元構造は決定されているが(Pottsら, Nat. Struct. Biol. 2 (1995), 790-796)、標的との相互作用及び細胞中におけるカルシウムセンサーとしてのその推定的役割に対する構造的基礎は不明瞭なままである。
CacyBPは、最初はEAT細胞から同定され、精製され、特徴付けられた(上掲のFilipek 及びWojda (1996))。キモトリプシン断片のアミノ酸配列決定により、それが新規なタンパク質であったことが示唆され、そのためCacyBPがマウス脳cDNAライブラリーからクローニングされ、配列決定された(上掲のFilipek及びKuznicki (1998))。ヒトCYBPのアミノ酸配列(Swiss PROT Q9HB71)は配列番号:1として示す。明らかにCacyBPのヒトホモログである、最近投稿された仮想タンパク質を除き、CacyBPのヌクレオチド配列は、標準データベースに寄託された他の如何なる配列に対しても相同性が明らかにされていない。組換えCacyBPは大腸菌中で発現され、カルサイクリンとのその相互作用が、生理学的なカルシウム濃度で生じることが示された(上掲のFilipek及びKuznicki (1998))。最近の研究により、CacyBPが、マウス及びラットの脳内、特にニューロン細胞中に高レベルで存在していることが明らかとなった(Jastrzebskaら, J. Histochem. Cytochem. 48 (2000), 1195-1202)。
CYBPは、標的タンパク質のカルシウム依存性ユビキチン化及び後続するプロテオソーム分解に関与している可能性がある。それはおそらくユビキチンE3複合体における分子架橋となる。それはベータ-カテニン(CTNNB1)のユビキチン媒介性分解に関与している。
CYBPは、生理学的なカルシウム濃度で、S100ファミリーのS100A1、S100A6、S100B、S100P及びS100A12と相互作用する。それは、少なくともUBE2D1、SIAH1、CACYBP/SIP、SKP1、APC及びTBL1Xからなるいくつかの大きなE3複合体の成分である。それは、SIAH1、SIAH2及びSKP1と直接的に相互作用する。
CYBPは、低カルシウム濃度で核及び細胞質に局在する。神経芽細胞腫細胞においては、レチノイン酸(RA)導入及びカルシウム増加後に、核及び細胞質の双方に局在する。核画分はリン酸化されうる。
組織抽出物及び体液中におけるCYBPの感受性で特異的な決定は肺癌の評価を可能にするであろうことは、従来は示唆されていない。驚くべきことに、組織可溶化液試料及び/又は体液中のCYBPの存在及び/又は量を測定することで、肺癌を評価可能であることが、本発明において見出された。CYBPは、体液、例えば血液、血清又は血漿中で、高い感度で測定することができる。さらに、本発明者は、LCの信頼性のある評価が、個体からの血液試料内のCYBPを測定することにより可能である、すなわち、マーカーとしてタンパク質CYBPを使用する場合、LCの診断に、組織も生検試料も必要とされないことを見出した。さらにより驚いたことには、個体の体液から測定されたCYBPレベルの増加は、肺癌に関連していることが見出された。
当業者には明らかなように、本発明は、配列番号:1の全長タンパク質CYBPに限定して解釈されるべきでない。CYBPの生理学的又は人工的断片、CYBPの二次修飾体、並びにCYBPの対立遺伝子変異体もまた本発明に包含される。人工的断片は、配列番号:1に開示された配列から誘導される少なくとも6の近接アミノ酸からなる、診断的関心のある一エピトープを少なくとも含む、合成的に又は組換え技術により生産されるペプチドを好ましくは包含する。このような断片は、抗体の生産用に、又はイムノアッセイにおける標準体として有利に使用することができる。より好ましい人工的断片は、サンドイッチイムノアッセイのセッティングに適した少なくとも2つの関心あるエピトープを含む。
ここで使用される場合、次の用語のそれぞれが、このセクションにおけるそれと関連した意味を有する。
冠詞「a」及び「an」は、1又は1より多い(すなわち、少なくとも1)冠詞の文法的対象を意味するためにここで使用される。例えば、「マーカー」は、1つのマーカー又は1より多いマーカーを意味する。「少なくとも」なる用語は、場合によっては一又は複数のさらなる対象が存在することを示すために使用される。例えば、少なくとも(マーカー)CYBP及びCYFRA21−1を含むマーカーパネルは、一又は複数の他のマーカーを場合によっては含みうる。
「一又は複数」なる表現は、1〜50、好ましくは1〜20、また好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、又は15を示す。
ここで使用される「マーカー」又は「生化学的マーカー」なる用語は、患者の検査試料を分析するための標的として使用される分子を意味する。一実施態様では、このような分子標的の例はタンパク質又はポリペプチドである。本発明でマーカーとして使用されるタンパク質又はポリペプチドは、上記タンパク質の天然に生じる変異体、並びに該タンパク質又は該変異体の断片、特に免疫学的に検出可能な断片を含むと考えられる。免疫学的に検出可能な断片は、該マーカーポリペプチドの少なくとも6、7、8、10、12、15又は20の近接アミノ酸を好ましくは含む。当業者であれば、細胞から放出されるか、又は細胞外マトリックス中に存在するタンパク質は、例えば炎症中に損傷を受けるおそれがあり、このような断片に分解又は切断されうることを認識しているであろう。ある種のマーカーは、後にタンパク質分解により活性化されうる不活性な形態で合成される。当業者には分かるように、タンパク質又はその断片はまた複合体の一部として存在しうる。そのような複合体がまた本発明の意味のマーカーとして使用されうる。マーカーポリペプチドの変異体は同じ遺伝子によりコードされるが、例えば選択的mRNA又はプレmRNAプロセシングの結果として、それらの等電点(=PI)又は分子量(=MW)、又は双方が異なる場合がある。変異体のアミノ酸配列は、対応するマーカー配列の95%又はそれ以上が同一である。さらに、又は代替的に、マーカーポリペプチド又はその変異体は、翻訳後修飾を保有している場合がある。好ましい翻訳後修飾は糖鎖付加(グリコシル化)、アシル化、及び/又はリン酸化である。
好ましくはマーカーCYBPは、特異的結合剤の使用により、試料から特異的に測定される。
特異的結合剤は、例えばCYBPに対するレセプター、CYBPに結合するレクチン、又はCYBPに対する抗体である。特異的結合剤は、その対応する標的分子に対して、少なくとも10l/molの親和性を有する。特異的結合剤は、その標的分子に対して、好ましくは10l/mol又はまた好ましくは10l/molの親和性を有する。当業者には分かるように、特異的なる用語は、試料中に存在する他の生体分子が、CYBPに対して特異的な結合剤には有意には結合しないことを示すために使用される。好ましくは、標的分子以外の生体分子に結合するレベルは、標的分子に対する親和性のそれぞれ、最大でわずか10%以下、わずか5%以下、わずか2%以下、又はわずか1%以下の結合親和性となる。好ましい特異的結合剤は、親和性並びに特異性の上述の最小基準の双方を満たすであろう。
特異的結合剤は、好ましくはCYBPと反応性の抗体である。抗体という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、このような抗体の抗原結合断片、単鎖抗体、並びに抗体の結合ドメインを含む遺伝的コンストラクトを意味する。
特異的結合剤の上記基準を保持する任意の抗体断片を使用することができる。抗体は、例えばTijssen(Tijssen, P., Practice and theory of enzyme immunoassays, 11, Elsevier Science Publishers B.V., Amsterdam, 全編, 特に43-78頁)に記載されたような、従来技術の手順により生産される。また、当業者は、抗体の特異的単離に使用可能な免疫吸着剤に基づいた方法をよく知っている。これらは、ポリクローナル抗体の品質、よって免疫アッセイにおけるそれらの性能を高めることができることを意味する(上掲のTijssen, P., 108-115頁)。
本発明に開示された成果では、ウサギにおいて生じせしめたポリクローナル抗体を使用することができる。しかしながら、明らかに、異なる種、例えばラット又はモルモットからのポリクローナル抗体、並びにモノクローナル抗体も使用することができる。モノクローナル抗体は、一定の性質で必要とされる任意の量で製造されうるので、それらは臨床ルーチン用のアッセイの開発における理想的なツールである。本発明に係る方法における、CYBPに対するモノクローナル抗体の生産及び使用は、それぞれ、他の好ましい実施態様である。
当業者には分かるように、CYBPが、肺癌の評価に有用なマーカーとして同定されたのであるから、本発明の成果に匹敵する結果に到達するために、様々な免疫診断手順を使用することができる。例えば、抗体を生産するための代替的方策を使用することができる。このような方法は、とりわけ、免疫のためのCYBPのエピトープを表す合成ペプチドの使用を含む。別法では、DNAワクチン接種としても知られているDNA免疫化を使用することができる。
測定では、個体から得られた試料を、結合剤CYBP-複合体の形成に適した条件下で、CYBPに対して特異的な結合剤と共にインキュベートする。如何なる発明的努力もすることなく当業者であれば、このような適切なインキュベーション条件を容易に特定することができるため、このような条件は特定する必要はない。結合剤CYBP-複合体の量を測定し、肺癌の評価に使用する。当業者には分かるように、関連テキストに全て詳細に記載されている特異的結合剤CYBP-複合体の量を測定するための多くの方法が存在する(例えば、上掲のTijssen P.又はDiamandis, E.P. 及び Christopoulos, T.K.(編), Immunoassay, Academic Press, Boston (1996)を参照)。
好ましくは、CYBPはサンドイッチ型アッセイ形式で検出される。このようなアッセイでは、第1の特異的結合剤が一方ではCYBPを補足するために使用され、直接的又は間接的に検出可能なように標識される、第2の特異的結合剤が他方では使用される。
好ましい実施態様では、試料中のCYBPの測定は、サンドイッチイムノアッセイを使用することにより実施され、そこでは、ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートが使用される。CYBPに対するビオチン化ポリクローナル抗体が捕捉抗体として使用され、CYBPに対するジゴキシゲニン化ポリクローナル抗体が、このサンドイッチアッセイにおける第2の特異的結合パートナーとして使用される。形成されたサンドイッチ複合体は、抗ジゴキシゲニン西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート及び適切なペルオキシダーゼ基質により最終的に可視化される。
上述したように、CYBPは個体試料から得られる液体試料から測定することができる。LCの診断にマーカーCYBPを適用するためには組織及び生検試料は必要とされない。
好ましい実施態様では、本発明に係る方法は、液体試料物質として血漿を用いて実施される。
本発明の意味における「肺癌のマーカー」は、マーカーCYBPと組合せられるならば、LCの評価に関連情報を付加する任意のマーカーである。情報は、LCの評価について、与えられた特異性での感度が、又は与えられた感度での特異性が、マーカーCYBPを既に含んでいるマーカー組合せ中に上記マーカーを含めることによって改善可能であるならば、関連している又は相加的価値があると考えられる。好ましくは、感度又は特異性のそれぞれの改善性は、p=.05、.02、.01又はそれ以下の有意水準で統計的に有意である。好ましくは、LCの一又は複数の他のマーカーは、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される。
ここで使用される「試料」なる用語は、インビトロでの評価目的のために得られる生体試料を意味する。本発明の方法では、試料又は患者試料は、好ましくは任意の体液又は組織抽出物を含みうる。好ましい検査試料は、血液、血清、血漿、痰、及び気管支洗浄液が含まれる。好ましい試料は、全血、血清、血漿、気管支洗浄液又は痰であり、血漿が最も好ましい。
「肺癌を評価する」なる用語は、本発明に係る方法が(単独で、又は他のマーカー又は変量、例えばUICCにより定義された基準(上を参照)と併せて)、例えば、医師がLCの存在又は不在を確立又は確認する助けとなるか、又は予後、再発の検出(術後の患者の経過観察)、治療、特に化学療法のスクリーニング及び/又はモニタリングにおいて医師を助けるであろうことを示すために使用される。
当業者には分かるように、このような評価はいずれもインビトロでなされる。患者試料はその後廃棄される。患者試料は、本発明のインビトロ診断法に対してのみ使用され、患者試料の物質は、患者の体内に戻されない。典型的には、試料は液体試料、例えば全血、血清又は血漿である。
好ましい実施態様では、本発明は、試料中においてCYBPの濃度を測定し、LCの評価に測定された濃度を使用することを含む、生化学的マーカーによりインビトロでLCを評価する方法に関する。
本発明の発明者は、驚くべきことに、LCを患っている患者から得られた有意の割合の試料中にマーカータンパク質CYBPを検出することができた。さらに驚くべきことに、発明者は、個体から得られるこのような試料中におけるCYBPの存在及び/又は濃度が、肺癌の評価に使用することができることを証明することができた。
診断の理想的なシナリオは、単一の事象又はプロセスが、例えば感染症におけるように各疾患を引き起こす状況であろう。全ての他の症例では、正確な診断は非常に難しく、特に疾患の原因が、LCの場合のように、十分に理解されていない場合はしかりである。当業者には分かるように、与えられた多因子疾患、例えばLCに対して100%の特異性で、同時に100%の感度である生化学マーカーは存在しない。むしろ、生化学マーカー、例えばCYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP、SCC、又はここに示されたCYBPは、ある種の蓋然性又は予測値、例えば疾患の有無又は重症度を用いて評価するために使用することができる。よって、常用臨床診断においては、一般的には種々の臨床症状及び生体マーカーが、根底にある疾患の診断、治療及び管理において併せて考慮される。
生化学マーカーは、個々に測定することができ、あるいは本発明の好ましい実施態様では、それらはチップ又はビーズべースのアレイ技術を使用し、同時に測定することができる。ついで、バイオマーカーの濃度は、例えば各マーカーに対する個々のカットオフを使用して、独立して解釈されるか、又はそれらは組み合わされて解釈される。
さらに好ましい実施態様では、本発明によるLCの評価は、試料中においてa)CYBP、及びb)一又は複数の他の肺癌用マーカーの存在及び/又は濃度を測定し、c)肺癌の評価において、測定結果、例えば工程(a)及び工程(b)においてそれぞれ測定された濃度を使用することを含む方法で実施される。
LCの評価において、マーカーCYBPは、次の態様の一又は複数において有利である:スクリーニング;診断補助;予後;化学療法、放射線療法、及び免疫療法のような治療法のモニタリング。
スクリーニング:
スクリーニングは、疾患の指標、例えば肺癌の存在について、個体、例えばリスクのある個体を特定する試験の系統的適用として定義される。好ましくはスクリーニング集団は、喫煙者、元喫煙者、及びウラン曝露、水晶曝露又はアスベスト曝露労働者等、肺癌の平均的リスクよりも高いことが知られている個体からなる。好ましい一実施態様では、肺癌をスクリーニングする試料として痰が使用される。
多くの疾患では、循環中のいずれの単一生化学マーカーも、スクリーニング目的に要求される感度及び特異性基準を満たさない。このことは、肺癌についても真実であると思われる。複数のマーカーを含むマーカーパネルが、LCのスクリーニングにおいて使用されなければならないことが予想されなければならない。本発明で確立されたデータは、マーカーCYBPが、スクリーニング目的に適したマーカーパネルの不可欠部分を形成するであろうことを示している。よって、本発明は、LCスクリーニング目的での、LCマーカーパネルの一マーカーとしてのCYBP、すなわちCYBPと一又は複数の付加的なマーカーを含むマーカーパネルーの使用に関する。好ましい付加的なマーカーは、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される。
診断補助:
マーカーは、特定の器官における良性対悪性疾患の鑑別診断を補助し、異なった組織学的タイプの腫瘍を区別し、又は手術前のベースラインマーカー値を確立するのに役立ちうる。
今日、肺癌の検出において使用される重要な方法は、放射線学及び/又はコンピュータ断層(CT)スキャンである。小結節、すなわち疑わしい組織の小領域が、これらの方法により可視化されうる。しかしながら、これらの小結節の多く−CTで90%以上−は、良性の組織変化を表し、少しの小結節のみが癌組織を表す。マーカーCYBPの使用は、良性対悪性小結節の区別化を補助する。
好ましい実施態様では、マーカーCYBPは、異なった組織学的タイプのLCを確立又は確認するために、免疫組織学的方法で使用される。
単一マーカーとしてのCYBPは、CEA又はNSE等の他のLCマーカーより優れているかも知れないため、CYBPが、特に手術前のベースライン値を確立することにより、診断補助として使用されるであろうことが期待されるはずである。よって、本発明は、LCについて、手術前のベースライン値を確立するためのCYBPの使用にも関する。
予後:
予後指標は、疾患の成績を所定の蓋然性をもって予測する癌患者及びその腫瘍の臨床的、病理学的、又は生化学的特徴として定義することができる。それらの主要な用途は、患者の管理を理性的に計画立てる、すなわち侵襲性疾患の処置不十分、及び無痛性疾患の過剰処置をそれぞれ回避するのに役立つ。Molina Rら, Tumor Biol. (2003) 24:209-218では、NSCLCにおけるCEA、CA125、CYFRA21−1、SSC及びNSEの予後値を評価した。彼らの研究では、マーカーNSE、CEA、及びLDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)の異常な血清レベルが、より短い生存率を示すようであった。
CYBPは単独で健常な対照からのLC患者の区別化に有意に寄与するために、LCを患っている患者の予後の評価を補助することが期待されなければならない。術前のCYBPのレベルは、LC及び/又はTNMステージ分類システムのための一又は複数の他のマーカーと組合せられる可能性が高い。好ましい実施態様では、CYBPはLCを患っている患者の予後に使用される。
化学療法のモニタリング:
Merle, Pら, Int. J. of Biological Markers (2004) 19:310-315では、術前化学療法で治療された、局所的に進行したNSCLCを患っている患者においてCYFRA21−1血清レベル変化が評価されている。彼らは、CYFRA21−1の血清レベルの早期モニタリングが、ステージIIIのNSCLC患者の腫瘍応答及び生存期間についての有用な予後ツールとなりうると結論付けている。また、報告書には、LCを患っている患者の処置のモニタリングに、CEAを使用することが記載されている(Fukasawa Tら, Cancer & Chemotherapy (1986) 13:1862-1867)。これらの研究のほとんどが、レトロスペクティブで無作為でなく、少数の患者を含むものであった。CYFRA21−1を用いた研究の場合におけるように、CEA研究では、a)化学療法を受けながらCEAレベルが減少している患者は、一般に、CEAレベルが減少していない患者よりも良好な結果を有しており、(b)ほとんど全ての患者に対して、CEAレベルの増加が疾患の進行に関連していたことが示唆された。
CYBPは、CYFRA21−1又はCEAそれぞれと同様に、少なくとも化学療法のモニタリングのための良好なマーカーであることが予想される。従って、本発明は、化学療法下にあるLC患者のモニタリングにおけるCYBPの使用にもまた関する。
経過観察:
癌組織の完全な除去を目的として外科的切除を受けたLC患者の多くが、後に再発性又は転移性疾患を発症している(Wagner, H., Chest (2000) 117:110-118;Buccheri, Gら, Ann. Thorac. Surg. (2003) 75:973-980)。これらの再発のほとんどは、術後の最初の2−3年で生じている。再発性/転移性疾患は、あまりに遅くに検出された場合は、常に致命的であるため、多くの研究が、初期の、よって潜在的に治療可能性のある段階でのLC再発に集中している。
その結果、多くのLC患者は、CEAを用いた常套的モニタリングを頻繁に含む、術後監視プログラムを受ける。外科的切除の1年後、CEAを用いた一連のモニタリングにより、疑わしい症状又は兆候がなくても、約29%の感度、約97%の特異性で、初期の術後再発性/転移性疾患を検出することが示されている(Buccheri, Gら, Ann. Thorac. Surg. (2003) 75:973-980)。よって、術後、LCを患っている患者の経過観察は、適切な生化学マーカーについての最も重要な使用分野の一つである。調査されたLC患者において、CYBPは高感度であるため、CYBPは単独で、又は一又は複数の他のマーカーとの組合せで、LC患者、特に術後のLC患者の経過観察に大きく役立つであろう蓋然性が高い。LC患者の経過観察におけるCYBP及び一又は複数の他のLCマーカーを含むマーカーパネルの使用は、本発明のさらに好ましい実施態様を表す。
本発明は、好ましい実施態様では、LCの診断分野、又はLCの評価のそれぞれにおけるCYBPの使用に関する。
またさらに好ましい実施態様では、本発明は、個体から得られる液体試料からの肺癌の評価において、肺癌用の一又は複数のマーカー分子と組合せての、肺癌用のマーカー分子としてのCYBPの使用に関する。CYBPの測定が組合せられうる好ましく選択される他のLCマーカーは、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP、及び/又はSCCである。またさらに好ましくは、LCの評価において使用されるマーカーパネルは、CYBPと、CYFRA21−1及びCEAからなる群から選択される少なくとも一の他のマーカー分子を含む。
当業者には分かるように、調査下にある診断問題を改善するために、2又はそれ以上のマーカーの測定を使用するために多くの方法がある。かなり単純ではあるが、多くの場合有効なアプローチでは、試料が調査されるマーカーの少なくとも一に対して陽性であれば、ポジティブな結果が仮定される。このことは、例えば、AIDS等の感染性疾患を診断するときにしかりでありうる。
しばしば、しかしながら、マーカーの組合せが評価される。好ましくは、マーカーパネルのマーカー、例えばCYBP及びCYFRA21−1について測定される値が、数学的に組合せられ、組合せられた値が、潜在する診断問題に相関する。マーカー値は、任意の適切な技術水準の数学的方法により組合せることができる。疾患に対してマーカー組合せを相関させるためのよく知られている数学的方法は、判別分析(DA)(すなわち、線形−、二次−、正規化−DA)、カーネル法(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(すなわちk−最近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング法)、一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)、主成分ベース分析(すなわちSIMCA)、一般加法モデル、ファジー理論ベース法、神経ネットワーク及び遺伝的アルゴリズムベース法等の方法を用いる。当業者であれば、本発明のマーカーの組合せを評価するための適切な方法を選択することに何の問題もないであろう。好ましくは、例えばLCの有無に対して本発明のマーカーの組合せを相関させる際に使用される方法は、DA(すなわち、線形−、二次−、正規化判別分析)、カーネル法(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(すなわちk−最近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、又は一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計的方法に関する詳細は、次の文献:Ruczinski, Iら, J. of Computational and Graphical Statistics, 12 (2003) 475-511;Friedman, J. H. , J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175;Hastie, Trevor, Tibshirani, Robert, Friedman, Jerome, The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001;Breiman, L., Friedman, J. H., Olshen, R. A., Stone, C. J. (1984) Classification and regression trees, California: Wadsworth; Breiman, L., Random Forests, Machine Learning, 45 (2001) 5-32;Pepe, M. S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003);及び Duda, R. O., Hart, P. E., Stork, D. G., Pattern Classification, Wiley Interscience, 2版(2001)に見出される。
生物学的マーカーの根底にある組合せに対する最適な多変量カットオフを使用し、健常から例えば疾患のステージBからステージAを区別することが、本発明の好ましい実施態様である。この種の分析において、マーカーはもはや独立してはいないが、マーカーパネルを形成する。
診断方法の精度は、その受信者動作特性(ROC)により最も良好に記載される(特に、Zweig, M. H.,及びCampbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577を参照)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲にわたる識別閾値を連続的に変えることから生じる、全ての感度/特異性対のプロットである。
研究室検査の臨床成績は、その診断精度、又は被験者を臨床的に関連するサブグループに正確に分類する能力に依存する。診断精度では、調査される被験者の2つの異なる状態を正確に区別する試験の能力が測定される。このような状態は、例えば健康及び疾患、又は良性対悪性疾患である。
各々の場合、ROCプロットは、感度対1−特異性を識別閾値の全範囲に対してプロットすることにより、2つの分布間の重複を示す。y軸には感度、又は真陽性フラクション[(真陽性試験結果の数)/(真陽性の数+偽陰性試験結果の数)と定義]である。またこれは、疾患又は病状の存在下で陽性と称される。それは、罹患したサブグループからのみ算出される。x軸においては偽陽性フラクション、又は1−特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)と定義]である。それは特異性の指標であり、罹患していないサブグループから完全に算出される。真陽性及び偽陽性フラクションは全く別々に算出されるため、2つの異なるサブグループからの試験結果を使用することにより、ROCプロットは、試料における疾患の罹患率とは独立している。ROCプロットにおける各ポイントは、特定の識別閾値に相当する感度/1−特異性対を表す。完全な区別を伴う試験(結果の2つの分布に重複なし)は、上方左角部を通過するROCプロットを有し、真陽性フラクションは1.0、又は100%(完全な感度)であり、偽陽性フラクションは0(完全に特異的)である。区別のない(2つのグループについて同一の結果の分布)試験についての理論的プロットは、下方左角部から上方右角部への45°対角線である。ほとんどのプロットはこれら2つの極限値間に入る(ROCプロットが45°対角線の下に完全に入るならば、「より大きい」から「より小さい」まで「陽性」の基準を逆にするか、又はその逆により、容易に改善される)。定性的には、プロットが上方左角部に近くなればなる程、試験の全体的精度が向上する。
実験室検査の診断精度を定量する好ましい一方法は、一つの数でその性能を表すことである。このような全体的パラメーターは、例えば、いわゆる「全誤差」又は「曲線下面積=AUC」である。最も一般的な包括的尺度は、ROCプロット下の面積である。慣例により、この面積は常に≧0.5である(そうでない場合は、そうなるように決定則を逆にすることができる)。値は、1.0(2つのグループの試験値が完全に分離)と0.5(2つのグループの試験値に明白な分布差はない)の間である。面積は、対角線に最も近い点又は90%特異性での感度のようなプロットの特定の部分にだけ依存せず、プロット全体に依存する。これは、ROCプロットが完全なもの(面積=1.0)に如何に近いのかを定量的に記述する表現である。
好ましい実施態様では、本発明は、少なくともCYBP及びCYFRA21−1、そして場合によってはCEA、proGRP、NSE、及び/又はSCCの濃度をそれぞれ、試料中において測定し、LCの有無に対して測定された濃度を相関させることにより、LC対健常なコントロールに対する診断精度を改善する方法に関し、該改善は、より多くの患者が、単独で調査された任意の単一マーカーに基づく分類と比較して、LC罹患対健常なコントロールとして正確に分類される結果となる。
本発明に係るさらに好ましい方法では、少なくともバイオマーカーCYBP及びCYFRA21−1の濃度がそれぞれ測定され、該マーカーの組合せがLCの評価に使用される。
本発明に係るさらに好ましい方法では、少なくともバイオマーカーCYBP及びCEAの濃度がそれぞれ測定され、該マーカーの組合せがLCの評価に使用される。
本発明に係るさらに好ましい方法では、少なくともバイオマーカーCYBP、CYFRA21−1及びCEAの濃度がそれぞれ測定され、該マーカーの組合せがLCの評価に使用される。
本発明に係るさらに好ましい方法では、少なくともバイオマーカーCYBP、CYFRA21−1及びproGRPの濃度がそれぞれ測定され、該マーカーの組合せがLCの評価に使用される。
本発明に係る別のさらに好ましい方法では、少なくともバイオマーカーCYBP、CYFRA21−1及びSCCの濃度がそれぞれ測定され、該マーカーの組合せがLCの評価に使用される。
次の実施例及び図は本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は添付される特許請求の範囲に記載される。記載された手順において本発明の精神を逸脱することなく、変更を行うことができることが理解される。
実施例1
肺癌マーカータンパク質CYBPに対する抗体の生産
肺癌マーカータンパク質CYBPに対するポリクローナル抗体の調製を、免疫検出アッセイ、例えばウエスタンブロット法及びELISAによる、CYBPの血清及び血漿及び血中レベルの測定において抗体をさらに使用するために生産する。
大腸菌中における組換えタンパク質発現:
CYBPに対して抗体を生産するために、大腸菌中において組換え抗原を生成させる:よって、CYBPコード化領域は、適切な順方向及び逆方向プライマーを使用し、配列番号:1に特定された227のアミノ酸をコードする全長CYBP−cDNAクローンからPCR増幅させる。
順方向プライマーは、(EcoRIクローニング及びリボソーム結合部位の他に)CYBPポリペプチドにインフレームで導入されたN末端MRGSHHHHHHIEGRペプチド伸長(配列番号:2)をコードするオリゴヌクレオチドを特徴とする。EcoRI/BamHI消化PCR断片を対応するpQE−30(Qiagen, Hilden, Germany)ベクター断片に連結し、これが続いて大腸菌XL1−ブルーコンピテント細胞に形質転換される。配列解析後、プラスミドは、製造者の使用説明書に従い、pQEベクターシリーズのIPTG誘導性T5プロモーター下での発現のために大腸菌BL21コンピテント細胞に形質転換される。
MRGSHHHHHHIEGR−CYBP融合タンパク質の精製では、1lの一晩誘導された細菌培養物を遠心分離によりペレット化し、細胞ペレットを、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、500mMの塩化ナトリウム、pH7.4で、1mg/mlのリゾチームと完全TMEDTAフリープロテアーゼインヒビター錠剤を含むものに再懸濁させる。細胞を超音波で破壊し、不溶性物質を遠心分離によりペレット化し、上清をNi−ニトリロトリ酢酸(Ni−NTA)金属−アフィニティクロマトグラフィーに適用する:カラムを数総容積の溶解バッファーで洗浄し、続いて20mMのリン酸ナトリウムバッファー、500mMの塩化ナトリウム、20mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄する。最後に、結合した抗原を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、500mMの塩化ナトリウム、pH7.4中、20から500mMのイミダゾール勾配を用いて溶出させ、4℃で、75mMのHEPES-バッファー、pH7.5、100mMの塩化ナトリウム、1mMのEDTA、6.5%のスクロース中に保存する。
ポリクローナル抗体の生成:
a)免疫化
免疫化のために、1:1の比のタンパク質溶液(100μg/mlタンパク質CYBP)と完全フロイトアジュバントの新鮮なエマルションを調製する。各ウサギを、1mlの該エマルションで、1、7、14、及び30、60及び90日目に免疫化する。血液を抜き出し、得られた抗CYBP血清を、以下に記載するようにして使用する。
b)カプリル酸と硫酸アンモニウムを用いた連続沈殿によるウサギ血清からのIgG(免疫グロブリンG)の精製
1容量のウサギ血清を、4容量のアセテートバッファー(60mM、pH4.0)で希釈する。pHを2Mのトリス塩基で4.5に調節する。カプリル酸(25μl/mlの希釈試料)を、激しく攪拌しつつ滴下して加える。30分後、試料を遠心分離(13000×g、30分、4℃)し、ペレットを廃棄し、上清を収集する。2Mのトリス塩基の添加により、上清のpHを7.5に調節する。
上清中の免疫グロブリンを、最終濃度が2Mになるまで、4Mの硫酸アンモニウム溶液を滴下して加えることにより、激しい攪拌下で沈殿させる。沈殿した免疫グロブリンを遠心分離(8000×g、15分、4℃)で収集する。
上清を廃棄する。ペレットを10mMのNaHPO/NaOH、pH7.5、30mMのNaClに溶解させ、徹底して透析する。透析液を遠心分離(13000×g、15分、4℃)し、濾過する(0.2μm)。
c)ポリクローナルウサギIgGのビオチン化
ポリクローナルウサギIgGを、10mMのNaHPO/NaOH、pH7.5、30mMのNaCl中において10mg/mlにする。IgG溶液1ml当たり、50μlのビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミド(DMSO中3.6mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料をスーパーデックス200(10mMのNaHPO/NaOH、pH7.5、30mMのNaCl)でクロマトグラフィー処理する。ビオチン化IgGを含む画分を収集する。
d)ポリクローナルウサギIgGのジゴキシゲニンコンジュゲーション
ポリクローナルウサギIgGを、10mMのNaHPO/NaOH、30mMのNaCl、pH7.5中において10mg/mlにする。IgG溶液1ml当たり、50μlのジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-ε-アミノカプリン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany, カタログ番号1 333 054)(DMSO中3.8mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料をスーパーデックス(登録商標)200(10mMのNaHPO/NaOH、pH7.5、30mMのNaCl)でクロマトグラフィー処理する。ジゴキシゲニン化IgGを含む画分を収集する。
実施例2
ヒト血清及び血漿試料中のCYBPの測定のためのELISA
ヒト血清又は血漿中におけるCYBPを検出するために、サンドイッチELISAを開発する。抗原を捕捉するために、抗CYBPポリクローナル抗体(実施例1を参照)をビオチンとコンジュゲートさせ、ストレプトアビジン被覆表面に固定し、抗原の検出のために、抗CYBPポリクローナル抗体をジゴキシゲニンとコンジュゲートさせる。
ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートを、室温で10分間、ウェル当たり100μlのビオチン化抗CYBPポリクローナル抗体(1μg/ml)と共にインキュベートする。その後、プレートをPBS、0.05%のトゥイーン20で3回洗浄する。ついで、標準抗原として、段階希釈の組換えタンパク質(実施例1を参照)と共に、又は5μg/mlのジゴキシゲニンとコンジュゲートした抗CYBPポリクローナル抗体と共に、患者からの希釈されたEDTA−血漿試料と共に、ウェルを2時間インキュベートする。インキュベーションはインキュベーションバッファー(0.1%のトゥイーン20、1%のBSAを含有するPBS)中においてであった。その後、プレートを3回洗浄して未結合成分を除去する。次の工程において、ウェルを60分間、20mU/mlの抗ビオチン−ジゴキシゲニン−ペルオキシダーゼコンジュゲートと共にインキュベートする。ついで、プレートを同じバッファーで3回洗浄する。結合した抗原抗体複合体を検出するために、ウェルを200μlのTMB(テトラメチルベンジジン)溶液(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号120 344 25 001)と共に15分間インキュベートし、50μlの1N硫酸の添加により停止させ、ODを450nm(参照波長として620nm)においてELISAリーダーを用いて測定する。
実施例3
研究集団
60名の十分に特徴付けられたNSCLC患者(30のアデノ−CA、30の扁平細胞CA)から得られた試料を使用する。
LC試料中のCYBP、CEA及びCYFRA21−1のレベルを評価する。
結果を表1に示す:
Figure 0005571171
9.29μg/mlのカットオフ値では、全てのLC試料中におけるCYBPの感度は82%であり、それぞれ腺癌試料では83%、扁平上皮癌試料では80%である。この感度は驚くべきことであって、CEA及びCYFRA21−1の感度よりも有意に高い。

Claims (13)

  1. 肺癌をインビトロで評価する方法であって、該方法は
    (a)体液試料中のCYBPの濃度を測定する工程、及び
    (b)工程(a)の測定結果を肺癌の評価に使用する工程を含み、
    CYBPの増大した濃度の検出が肺癌の指標となる、方法。
  2. CYBPの増大した濃度の検出は、工程(a)の測定結果と、健常な個体群の検査から予め決定されたカットオフ値との比較により決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(a)が一又は複数の他の肺癌用マーカーの濃度を測定することを更に含み、前記工程(b)が肺癌の評価に前記一又は複数の他のマーカーの測定結果を使用することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記一又は複数の他のマーカーが、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される請求項に記載の方法。
  5. 前記一又は複数の他のマーカーがCYFRA21−1である請求項に記載の方法。
  6. 前記一又は複数の他のマーカーがCEAである請求項に記載の方法。
  7. 前記一又は複数の他のマーカーがSCCである請求項に記載の方法。
  8. 癌のインビトロ評価におけるCYBPの使用であって、該使用は体液試料中のCYBPの濃度を測定する工程を含み、CYBPの増大した濃度の検出が肺癌の指標となる、使用。
  9. 癌のインビトロ評価におけるCYBP及び一又は複数の他の肺癌用マーカーを含むマーカーパネルの使用であって、該使用は体液試料中のCYBP及び一又は複数の他の肺癌用マーカーの濃度を測定する工程を含み、CYBPの増大した濃度の検出が肺癌の指標となる使用。
  10. 一又は複数の他のマーカーが、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される請求項に記載のマーカーパネルの使用。
  11. 少なくともCYBP及びCYFRA21−1を含む請求項10に記載のマーカーパネルの使用。
  12. 体液が血漿である、請求項1からの何れか一項に記載の方法、又は請求項から11の何れか一項に記載の使用。
  13. CYBPと、CYFRA21−1、CEA、NSE、proGRP及びSCCからなる群から選択される一又は複数の他の肺癌用マーカーを特異的に測定するのに必要とされる試薬を含んでなる、請求項1からの何れか一項に記載の方法を実施するためのキット。
JP2012510316A 2009-05-15 2010-05-17 肺癌のマーカーとしてのcybp Expired - Fee Related JP5571171B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP09006609 2009-05-15
EP09006609.3 2009-05-15
PCT/EP2010/056730 WO2010130839A1 (en) 2009-05-15 2010-05-17 Cybp as a marker of lung cancer

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012526976A JP2012526976A (ja) 2012-11-01
JP5571171B2 true JP5571171B2 (ja) 2014-08-13

Family

ID=40902073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012510316A Expired - Fee Related JP5571171B2 (ja) 2009-05-15 2010-05-17 肺癌のマーカーとしてのcybp

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8951738B2 (ja)
EP (1) EP2430450B1 (ja)
JP (1) JP5571171B2 (ja)
CN (1) CN102439455B (ja)
CA (1) CA2761873A1 (ja)
ES (1) ES2493069T3 (ja)
HK (1) HK1165204A1 (ja)
WO (1) WO2010130839A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012101283A1 (en) * 2011-01-28 2012-08-02 Biosystems International Sas Combinatorial biomarkers for clinical applications in lung cancer patient management
CN103389375B (zh) * 2013-07-10 2015-11-04 横店集团家园化工有限公司 一种用于肺癌诊断的液相芯片试剂盒
JP6613490B2 (ja) 2016-02-19 2019-12-04 国立大学法人 宮崎大学 腺癌の検出方法
CN105891482B (zh) * 2016-03-29 2017-12-19 复旦大学附属中山医院 一种基于生物标志物谱针对中国农村人口肺结节人群的肺癌风险预测模型

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005032495A2 (en) * 2003-10-03 2005-04-14 Bayer Pharmaceuticals Corporation Gene expression profiles and methods of use
KR100664589B1 (ko) * 2004-12-28 2007-01-04 김현기 인간 암 억제 유전자, 이에 의해 코딩되는 단백질, 및이를 포함하는 발현 벡터
US9347945B2 (en) * 2005-12-22 2016-05-24 Abbott Molecular Inc. Methods and marker combinations for screening for predisposition to lung cancer
EP3153860A3 (en) * 2005-12-22 2017-06-14 Abbott Molecular Inc. Methods and marker combinations for screening for predisposition to lung cancer
WO2008116592A1 (en) * 2007-03-23 2008-10-02 F. Hoffmann-La Roche Ag Apex as a marker for lung cancer
US10815517B2 (en) * 2009-04-28 2020-10-27 Roche Diagnostics Operations, Inc. Use of DPPIV/seprase as a marker for cancer

Also Published As

Publication number Publication date
CN102439455B (zh) 2015-01-07
EP2430450B1 (en) 2014-07-16
JP2012526976A (ja) 2012-11-01
US20120196303A1 (en) 2012-08-02
CA2761873A1 (en) 2010-11-18
HK1165204A1 (en) 2012-09-28
EP2430450A1 (en) 2012-03-21
US8951738B2 (en) 2015-02-10
CN102439455A (zh) 2012-05-02
ES2493069T3 (es) 2014-09-11
WO2010130839A4 (en) 2011-01-06
WO2010130839A1 (en) 2010-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2223115B1 (en) Seprase as a marker for cancer
JP5079023B2 (ja) 肺癌用マーカーとしてのapex
EP2380024B1 (en) Armet as a marker for cancer
JP5312684B2 (ja) 癌のマーカーとしてのdppiv/セプラーゼの使用
JP5731488B2 (ja) 癌のマーカーとしてのセセルニン‐1
KR20090007454A (ko) 결장직장암에 대한 마커로서 단백질 s100a12 의 용도
EP2071337A1 (en) Seprase as a marker for cancer
JP4981133B2 (ja) 肺癌用マーカーとしてのnnmtの使用
JP5571171B2 (ja) 肺癌のマーカーとしてのcybp
JP5298188B2 (ja) 肺癌用マーカーとしてのasc

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140603

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140625

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5571171

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees