JP5570667B1 - 太陽電池パネルの検査装置 - Google Patents

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Abstract

特に、屋外の高所に設置されている太陽電池パネルに対して適用可能な太陽電池パネルの検査装置を提供する。
自然界の地磁気が存在する屋外に設置された太陽電池パネルの検査装置であって、太陽電池パネルを構成する太陽電池回路が通電することにより変動し得る磁気を検出する磁気検出手段と、検出した磁気に基づいて、磁気情報を生成する情報生成手段と、
磁気情報から太陽電池回路の状態を判定する判定手段と、を備え、磁気検出手段は、検査対象とする太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内で移動しながら、XY面に垂直なZ軸方向の磁気分布を取得する磁気検知素子を備え、情報生成手段は、磁気分布を微分処理することにより磁気の変化量を示す微分値分布を取得し、判定手段は、微分値分布から予め定められた閾値以下の検査位置を欠陥箇所として判定する。

Description

本発明は、自然界の地磁気が存在する屋外に設置された太陽電池パネルの検査装置に関する。
一般に、太陽電池パネルは、複数の太陽光発電セルをバスバーで直列接続したストリングスとバイパスダイオードとを組み込んだ太陽電池回路を形成し、当該太陽電池回路を複数組並設することで構成される。ここで、一つの太陽光発電セルに欠陥が発生すると、太陽電池パネルの出力が低下することになる。太陽光発電セルは太陽電池パネル内において直列に接続されているため、太陽光発電セルの欠陥による出力低下又は出力停止は、当該欠陥を有する太陽光発電セルが属する太陽電池回路全体の出力低下又は出力停止として現れる。このため、電気的な検査では欠陥が発生した太陽光発電セルを特定することは困難である。また、バスバーに断線が発生した場合も、太陽電池パネルの構造上、その断線箇所を電気的な検査によって特定することは困難である。
そこで、従来、太陽光発電セルの異常を検査する技術として、太陽光発電セルから発生する磁気を利用した検査装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、太陽電池モジュール(太陽電池パネル)を流れる電流により誘起される磁界を磁気センサで検出し、検出した磁界の分布を画像化して太陽電池パネルの故障個所を特定している。特許文献1によれば、太陽電池モジュールを流れる電流により誘起される磁界を可視化することにより、当該太陽電池モジュールに含まれる複数の太陽光発電セル間の接触不良や太陽光発電セル自体の不具合を容易に把握することができるとされている。
特開2010−171065公報
太陽電池パネルを検査するためには、太陽電池パネルの表面に検査機器を接近させる必要がある。ところが、太陽電池パネルは通常は屋外に設置されており、しかも建物の屋根や屋上等の高所に設置されているケースが多い。このような屋外の高所で行われる太陽電池パネルの検査は、作業者にとって負担を伴う場合がある。また、屋外には自然界の地磁気が存在し、これが検査結果に影響を与えることがある。
この点に関し、特許文献1には、「検査対象とする太陽電池モジュールに光を当てて発電させるための光源を有していることが望ましい。(明細書第0015段落参照)」と記載されている。すなわち、特許文献1の検査装置は、屋外に設置された太陽電池パネルを現場にて検査することを想定していない。特許文献1の検査装置は、太陽電池モジュール面に磁気センサを平行に設置して三次元方向の磁気を測定し、三次元方向の磁気強度を可視化する技術を採用している。電流により誘起される磁気は、地磁気と同程度か、あるいは方向によっては地磁気よりも小さくなる。このため、特許文献1の検査装置では、周辺の磁界の影響を大きく受ける可能性がある。磁気シールドされた実験室内での検査であれば大きな問題はないが、地磁気や検査機器の周辺に存在する太陽電池フレームや設置フレームなどの磁性体の影響を受ける屋外検査では、測定結果の信頼性が懸念される。
また、屋外の高所に設置されている太陽電池パネルの検査を、現場にて安全に、簡単に、且つ確実に行うためには、周辺の磁界の影響を排除しながら、簡単な構成の装置を用いて、短時間で検査を完了させることが望まれる。しかし、これまで開発されてきた検査装置は、人間が合否の判断を行う必要があり、その判断には検査装置の操作や判定に熟練した経験が必要となる。従って、経験の浅い作業者が検査を行うと、判定結果に揺らぎが生じ、誤判断をしてしまう可能性がある。また、検査装置を検査位置で静止させる必要があるため、検査時間も長くなる。
ちなみに、再生可能エネルギーとして太陽光発電を積極的に推進している欧州諸国は、日本よりも高緯度にあるため地磁気の影響をより受け易い。このため、屋外で太陽電池パネルの検査を行うにあたっては、地磁気の影響を十分に考慮しながら、正確な検査を行う必要がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、特に、屋外の高所に設置されている太陽電池パネルに対して適用可能な太陽電池パネルの検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る太陽電池パネルの検査装置の特徴構成は、
自然界の地磁気が存在する屋外に設置された太陽電池パネルの検査装置であって、
前記太陽電池パネルを構成する太陽電池回路が通電することにより変動し得る磁気を検出する磁気検出手段と、
検出した磁気に基づいて、磁気情報を生成する情報生成手段と、
前記磁気情報から前記太陽電池回路の状態を判定する判定手段と、
を備え、
前記磁気検出手段は、検査対象とする太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内で移動しながら、前記XY面に垂直なZ軸方向の磁気分布を取得する磁気検知素子を備え、
前記情報生成手段は、前記磁気分布のうち勾配が所定の大きさ以下となる領域をゼロ値とするゼロ補正手段を備え、前記ゼロ補正手段により、前記磁気検出手段が磁気を検出している期間に亘って、前記ゼロ補正を連続的に実行するとともに、前記磁気分布を微分処理することにより、前記磁気検出手段の移動方向における前記太陽電池回路の前後の磁気の変化量を示す微分値分布を取得し、
前記判定手段は、前記微分値分布と所定の閾値とを比較して検査位置の状態を判定することにある。
上記課題で説明したように、太陽電池パネルは通常は屋外に設置されている。このため、太陽電池パネルを構成する太陽電池回路への通電によって発生する磁気を利用して当該太陽電池パネルの検査を行う場合、周辺の磁界の影響をできるだけ排除しなければ、正確な検査を行うことはできない。
この点、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、磁気検出手段は、検査対象とする太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内で移動しながら、XY面に垂直なZ軸方向の磁気分布を取得する磁気検知素子を備え、情報生成手段は、磁気分布を微分処理することにより磁気の変化量を示す微分値分布を取得し、判定手段は、微分値分布から予め定められた閾値以下の検査位置を欠陥箇所として判定する。太陽電池回路に電流が流れると、太陽電池パネルの周囲には右ネジの法則に従って同心円状の磁界が発生する。本発明者らは鋭意研究の結果、この同心円状の磁界に着目し、磁気検知素子が取得する磁気分布を微分処理することにより、自然界の地磁気及び近辺の磁性体の影響を排除しつつ、太陽電池パネルの検査を正確に行い得ることを見出した。
具体的には、太陽電池パネルの検査において、磁気検知素子を太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内で太陽電池回路を横切るように移動しながら、XY面に垂直なZ軸方向の磁界の変化量を観測するとき、太陽電池回路(バスバー)の両側では磁界の方向が逆になっているため、太陽電池回路を超えると磁気検知素子が受ける磁界が急激に変化する。そこで、磁気検知素子が取得する磁気分布を微分処理すると、太陽電池回路に由来する磁気の変化量は、周辺の磁界の変化量より遥かに大きな変化を示すこととなる。この現象を利用し、太陽電池回路の状態を確実に判定することができる。
このように、磁気検知素子が取得する磁気分布を微分処理して太陽電池回路に由来する磁気情報を際立たせることにより、自然界の地磁気及び近辺の磁性体に由来する磁気への埋没を防ぐことができ、誤判定を無くすことができる。
また、建物の屋根や屋上等の高所に設置されている太陽電池パネルを現場にて、安全に、簡単に、且つ確実に検査することも望まれているが、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、太陽電池パネルの周囲に発生し得る同心円状の磁界に着目し、これを検知可能な磁気検知素子を設けた簡単な構成であるため、検査装置自体を簡略化・コンパクト化することができる。その結果、太陽電池パネルが設置されている建物の屋根や屋上等の高所において、現場にて、安全に、簡単に、且つ確実に検査を行うことが可能となる。
また、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、ゼロ補正手段を備えている。ゼロ補正手段は、磁気分布のうち勾配が所定の大きさ以下となる領域をゼロ値とするものである。これにより、比較的緩やかに変化する周辺の磁界の磁気プロファイルをベースラインに強制し、太陽電池回路に由来する磁気情報をさらに際立たせることができる。
さらに、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、磁気検出手段が磁気を検出している期間に亘って、ゼロ補正を連続的に実行する。これにより、比較的緩やかに変化する周辺の磁界の磁気プロファイルは常にベースラインを形成し、太陽電池回路に由来する磁気情報のみがピークとして現れるため、より精度の高い検査が可能となる。
本発明に係る太陽電池パネルの検査装置において、前記判定手段は、連続する複数の磁気の変化量の合計値又は平均値から欠陥箇所を判定することが好ましい。
本構成の太陽電池パネルの検査装置は、判定手段が連続する複数の磁気の変化量の合計値又は平均値から欠陥箇所を判定するため、例えば、作業者が手作業で検査装置を移動させて検査を行う場合でも、移動速度の揺らぎを吸収することができ、高い精度で検査を行うことができる。
本発明に係る太陽電池パネルの検査装置において、前記磁気検知素子は、X軸方向及びY軸方向の磁気分布をさらに取得することが好ましい。
本構成の太陽電池パネルの検査装置は、磁気検知素子は、X軸方向及びY軸方向の磁気分布をさらに取得する。すなわち、磁気検知素子11は、実質的に地磁気及び周辺磁性体に由来する磁気のみが作用している領域を、Z方向の磁気分布からだけでなく、X軸方向及びY軸方向の磁気分布からも認識することができる。従って、Z軸方向の磁気分布より求めた磁気情報が、X軸方向及びY軸方向の磁気分布より求めた磁気情報によって補完され、検査精度をより向上させることができる。
本発明に係る太陽電池パネルの検査装置において、前記太陽電池パネルへの日射量を検出する日射量センサを備え、前記情報生成手段は、前記日射量センサにより検出される日射量に応じて前記磁気の変化量を増幅する増幅手段を備えていることが好ましい。
太陽電池パネルの発電量は日射量の大小により変動する。本構成の太陽電池パネルの検査装置は、太陽電池パネルへの日射量を検出する日射量センサを備え、情報生成手段は、日射量センサにより検出される日射量に応じて磁気の変化量を増幅する増幅手段を備えているため、日射量が少ないときであっても、磁気の変化を確実に認識し、欠陥個所の判定を行うことができる。
本発明に係る太陽電池パネルの検査装置において、前記閾値は、前記日射量センサにより検出される日射量と前記太陽電池パネルの発電量との相関関係から得られる理論電流値に対する割合として規定されることが好ましい。
本構成の太陽電池パネルの検査装置は、欠陥箇所を判定するための閾値が、日射量センサにより検出される日射量と太陽電池パネルの発電量との相関関係から得られる理論電流値に対する割合として規定されるため、日射量の条件によって閾値を変動させて最適な閾値が設定される。従って、日射量の変動等の測定環境の影響を受けることなく、正確に欠陥個所の判定を行うことができる。
図1は、本発明の太陽電池パネルの検査装置の使用環境に関する説明図である。 図2は、太陽電池パネルの検査装置の概略構成図である。 図3は、太陽電池パネルの検査装置の一部を示す図であって、磁気検出手段の使用態様の説明図である。 図4は、製品形態としての太陽電池パネルの検査装置の斜視図である。 図5は、実施形態に係る太陽電池パネルの検査装置により太陽電池パネルの検査を行ったときのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の磁気分布のグラフである。 図6は、Z軸方向の磁気分布についてゼロ補正をした後の分布のグラフである。 図7は、図6のゼロ補正後の磁気分布の微分処理結果を示すグラフである。 図8は、X軸方向及びY軸方向の磁気分布について、{(Xの値)+(Yの値)1/2を求め、ゼロ補正及び微分処理をしたグラフである。 図9は、太陽電池パネルの検査装置を用いて実施する太陽電池パネルの検査方法のフローチャートである。 図10は、別実施形態に係る太陽電池パネルの検査装置の概略構成図である。
以下、本発明の太陽電池パネルの検査装置に関する実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔太陽電池パネルの検査装置〕
図1は、本発明の太陽電池パネルの検査装置(以下、単に「検査装置」と称する。)100の使用環境に関する説明図である。検査装置100は、特に、屋外に設置された太陽電池パネル200を検査対象とする。上記課題でも説明したように、屋外には自然界の地磁気が存在する。地球Eは大きな磁石であり、南極付近がN極、北極付近がS極となる。このため、磁力線(地磁気)は南半球から出て北半球に戻る。地球E全体で見ると、地磁気による磁界は地球Eを取り囲むように形成されている。地磁気の強さは、地球Eの緯度により異なる。地磁気の値は、赤道付近では小さく、高緯度になるほど大きくなる。日本の場合、屋外において約0.5ガウスの地磁気を検出し得る。また、太陽電池パネル200は、通常、太陽光が効率的に当たる方向、すなわち、南に向けて設置される。そうすると、地磁気は、図1に示すように、太陽電池パネル200に対して上空側から侵入することになる。さらに。図示しないが、太陽電池パネル200の近辺には太陽電池フレームや設置フレームなどの磁性体(以下、「周辺磁性体」と称する。)が存在する。磁気を利用して太陽電池パネル200の検査を行う場合、自然界の地磁気や周辺磁性体から発せられる磁気の影響は決して無視できるものではなく、特に、周辺磁性体に由来する磁気は地磁気よりも大きな値となることがある。太陽電池パネル200を構成する太陽電池回路の一つに不具合が生じ、出力電圧が低下すると、太陽電池回路の通電によって発生する磁気が地磁気や周辺磁性体の磁気(これらを「環境磁気」と称する場合がある)に埋没し、目的の磁気を正確に検出することができなくなる虞がある。そこで、検査装置100では、環境磁気の影響をできるだけ排除するための工夫がなされている。
図2は、検査装置100の概略構成図である。検査対象である太陽電池パネル200は、自然界の地磁気が存在する屋外に設置されているものとする。図3は、検査装置100の一部を示す図であって、磁気検出手段10の使用態様の説明図である。太陽電池パネル200は、図2及び図3に示すように、複数の太陽光発電セル201をバスバー202(202a,202b)で接続してなる太陽電池回路203と、当該太陽電池回路203を保護する保護ガラス204とから構成されている。一つの太陽光発電セル201のサイズは、一例として、約150mm×約150mmである。バスバー202のサイズは、一般に、幅が約3mm、厚さが約0.1mmである。保護ガラス204の厚みLは、太陽電池パネル200の種類によるが、通常2〜4mm程度である。太陽電池パネル200に太陽光が当たると、太陽光発電セル201が発電し、バスバー202(202a,202b)に電流が流れる。例えば、図2において、同図面右側のバスバー202aには手前側から奥側に電流が流れ、同図面左側のバスバー202bには奥側から手前側に電流が流れるとすると、バスバー202aの周囲には、右ネジの法則に従い、図2中一点鎖線矢印で示すように時計回り方向に同心円状の磁界(磁気)が発生する。この磁気を検出するため、検査装置100を保護ガラス204の表面に当接させる。ここで、検査装置100は、主要な構成要素として、磁気検出手段10、情報生成手段20、及び判定手段30を備えている。また、任意の構成要素として、格納手段40を備えている。
図4は、製品形態としての検査装置100の斜視図である。検査装置100は、磁気検出手段10を内蔵したヘッド部101と、先端にヘッド部101がヒンジ連結されたハンドル部102とを備えている。ヘッド部101にはガイドローラー(図示せず)が設けられ、太陽電池パネル200の表面の走査を容易にしている。ヘッド部101の上面には日射量センサ50が配設され、検査時の日射量が検知可能となっている。ヘッド部101は、構成が簡略化され、小型化することで、検査時の日陰が可能な限り少なくなるように工夫されている。ハンドル部102は、中空構造を有しており、その中空部に電源ユニット300と、情報生成手段20、判定手段30、及び格納手段40を実装した基板301とが内蔵されている。電源ユニット300は、ハンドル部102の表面の電源スイッチ302によってON/OFFの切り替えが行われる。ヘッド部101に内蔵した磁気検出手段10によって検出された磁気データは、ハンドル部102内の基板301上の格納手段40に記録され、検査後は検査装置100を外部のパソコン等に接続して解析可能に構成されている。その他、ハンドル部102には、磁気を検知したときのブザーの音量調節ダイヤル(図示せず)等が設けられる。検査時には、作業者は高所において楽な姿勢で検査作業が行えるように、ハンドル部102を持った状態で、ヘッド部101を太陽電池パネル200の保護ガラス204の表面に当接させる。このとき、ヘッド部101はハンドル部102にヒンジ連結されているため、ハンドル部102に対してヘッド部101を揺動させることにより、磁気検出手段10を保護ガラス204にフィットさせることができる。従って、検査装置100による検査は、作業者による手動検査であっても、作業に大きな負担が掛かることがなく、ヘッド部101に内蔵されている磁気検出手段10を太陽電池パネル200の保護ガラス204の表面に確実に当接させることができる。次に、検査装置100の各構成要素について説明する。
<磁気検出手段>
磁気検出手段10は、太陽電池回路203が通電することにより変動し得る磁気を検出する。磁気検出手段10は、磁束密度を検出可能な磁気検知素子11を備える。磁気検知素子11として、例えば、磁気抵抗素子、ホール素子、MIセンサ等を採用することができる。太陽電池パネル200が通電すると、複数の太陽電池セルを接続するバスバー202に電気が流れ、バスバー202の周囲には、右ネジの法則に従い、バスバー202の電流の流れる方向に対して時計回り方向に同心円状の磁界(磁気)が発生する。この磁気を検出するため、検査装置100の磁気検知素子11を太陽電池パネル200の表面に当接させて磁気の検出を行う。磁気検出に際しては、磁気検知素子11を、太陽電池パネル200の保護ガラス204の表面に当接させて太陽電池パネル200の受光面と平行なXY面内で移動させながら、XY面に垂直なZ軸方向の磁気分布を取得する。磁気検知素子11は、磁界の発生中心であるバスバー202から保護ガラス204の厚みLだけ離間した距離から磁気の検出を行うものであるが、微弱な電流による微細な磁気の変動も検出することができるように、磁気検知素子11の表面に磁気検知素子11に当てる磁束密度を増大させる強磁性体を設けることも可能である。
<情報生成手段>
太陽電池パネル200に太陽光が当たっている場合、磁気検出手段10は、上述の時計回り方向の同心円状の磁気に晒されると同時に、自然界の地磁気や周辺磁性体の磁気にも晒される。つまり、磁気検出手段10には、太陽電池パネル200側から発生する磁気と、自然界の地磁気と、周辺磁性体から発生する磁気とのベクトル和が作用することになる。このため、太陽電池パネル200の検査を行う場合、図2に示すように、太陽電池パネル200側から発生する磁気をM1(図2中の実線矢印)とし、地磁気及び周辺磁性体から発生する磁気(環境磁気)のベクトル和をM2(図2中の破線矢印)とすると、磁気M1が磁気M2の中に埋没する虞があり、この場合、磁気M1についての正確な評価が困難となる。
そこで、本発明では、磁気検出手段10を構成する磁気検知素子11によって検出した磁気分布に基づいて、磁気情報を生成する情報生成手段20を設ける。情報生成手段20は、磁気分布を微分処理することにより磁気の変化量を示す微分値分布を取得する。ここで、磁気情報とは、検出した磁気に関する情報であり、例えば、磁気を検出したことを示す磁気信号や、磁気の強さを示す評価値などが挙げられる。図2において、バスバー202aの右側から左側に磁気検出手段10を走査させる場合、磁気M1については、磁気検出手段10が太陽電池パネル200のバスバー202aを横切る前は、磁気検知素子11に対して実質的に鉛直下向きの方向に磁力が作用し、バスバー202aを横切った後は、磁気検知素子11に対して実質的に鉛直上向きの方向に磁力が作用する。環境磁気M2については、磁気検出手段10がバスバー202aを横切る前も横切った後も、磁気検知素子11に対して実質的に同じ方向(本実施形態では、鉛直下向きの方向)に磁力が作用する。磁気検知素子11が取得する磁気分布を微分処理して微分値分布を求めると、その微分値分布において、磁気検出手段10が太陽電池パネル200のバスバー202aを横切ることによる太陽電池回路203に由来する磁気の変化量は、環境磁気の変化量より遥かに大きな変化として現れる。このため、磁気M1が環境磁気M2の中に埋没することなく、太陽電池回路203に由来する磁気情報を際立たせることができ、正確な評価をすることが可能となる。このような判断手法は、作業者による経験的判断ではなく、微分処理による定量的判断であるため、検査結果のバラツキを低減することにも有効となる。
また、情報生成手段20は、磁気分布から微分値分布を取得する前に、磁気分布のうち勾配が所定の大きさ以下となる領域をゼロ値とするゼロ補正手段21を備えている。詳細は後述するが、ゼロ補正手段21は、比較的緩やかに変化する環境磁気M2の磁気プロファイルをベースラインに強制することで、太陽電池回路203に由来する磁気情報をさらに際立たせることができる。
ところで、太陽電池パネル200の発電量は日射量により変動する。太陽電池パネル200への日射量が少なくなると、太陽電池パネルの発電量が低下し、バスバー202から発生する磁気が小さくなる。そこで、検査装置100には、太陽電池パネル200への日射量を検出する日射量センサ50が設けられており、情報生成手段20は、日射量センサ50により検出される日射量に応じて磁気の変化量を増幅する増幅手段22を備えている。例えば、増幅手段22は、日射量センサ50により検出された日射量が60000lux以下の場合に、磁気の変化量を増幅させるように機能する。このときの増幅手段22の増幅率は、測定環境や検査対象の太陽電池パネル200の種類により異なるが、通常10〜100倍の増幅率とすることが好ましい。従って、曇天等の日射量が少ない条件であっても、太陽電池回路203から発生する磁気の変化を確実に認識し、欠陥個所の判定を行うことができる。
<判定手段>
判定手段30は、情報生成手段20が生成した磁気情報から太陽電池回路203の状態を判定するものであって、磁気分布を微分処理して得られる磁気の変化量(微分値分布)を所定の閾値と比較し、検査位置の状態を判定する。判定手段30は、汎用のコンピュータで構成することができる。判定手段30が行う状態判定は、閾値を基準として微分値分布を正常領域と異常領域とに分ける二値化判定とすることができるが、太陽電池回路203の正常/異常判定だけでなく、太陽電池回路203の劣化の程度まで判定することも可能である。例えば、微分値分布の閾値からの乖離度に応じて、太陽電池回路203の劣化の程度を「優、良、可、不可」のように段階的に判定することも可能である。閾値は、日射量センサ50により検出される日射量と太陽電池パネル200の発電量との相関関係から得られる理論電流値に対する割合として規定される。理論電流値に対する割合は、測定条件等に応じて変更可能であり、10〜90%の範囲、好ましくは30〜50%の範囲で設定することができる。このように、日射量の条件によって閾値を変動させて最適な閾値を設定することができるため、日射量の変動等の測定環境の影響を受けたとしても、正確に欠陥個所の判定を行うことができる。
判定手段30は、作業者が検査装置を移動させることによる移動速度の揺らぎや曇天による日射量の低下を考慮し、連続する複数の変化量の合計値又は平均値から欠陥箇所を判定することが好ましい。例えば、磁気検出手段10の現在位置の検出データ及びその前後位置の検出データの3点を取得し、現在位置の判定を3点の合計値又は平均値に基づいて行う。これにより、検出データ間の誤差が均され、より正確な判定が可能になる。なお、太陽電池パネル200の検査を行う際に、検査装置100を一定速度で移動可能なXYテーブル等の等速度移動機構を併用すれば、判定手段30による判定精度は一層向上し、自動による遠隔無人検査も可能となる。
<格納手段>
太陽電池パネル200は、建物の屋根や屋上等の高所に設置されている。このため、状況によっては、作業者の危険を低減するために検査作業自体は現場にて短時間で終了し、その解析を別の場所で行うことが好ましい場合もある。そこで、検査装置100には、図2に示すように、磁気検出手段10の検出結果に基づいて情報生成手段20が生成した磁気情報を格納する格納手段40を設けることが好ましい。格納手段40は、情報生成手段20から磁気情報が書き込まれ、書き込まれた情報を判定手段30が読み取り可能となるように構成される。情報生成手段20が生成した磁気情報を一旦格納手段40に格納しておけば、判定手段30はいつでも判定を実施することができる。つまり、太陽電池パネル200の検査と解析とを別々に行うことが可能となる。このため、危険を伴う現場での作業を短時間で終えることができるので、作業者の危険を低減することができ、事故防止に効果的である。格納手段40は、ハードディスクや書換え可能なメモリ等で構成することができる。
〔実施形態〕
検査装置100に関する代表的な実施形態について説明する。以下の実施形態では、検査対象の太陽電池パネル200として、7個×2列=14個の太陽光発電セル201をバスバー202で直列接続することにより一組の太陽電池回路203を形成し、これを四組並設したものを使用した。各太陽電池回路203にはバイパスダイオード205が接続されている。これにより、各太陽電池回路203を構成する太陽光発電セル201又はバスバー202に異常又は不具合が発生すると、当該異常又は不具合を含有する太陽電池回路203には電流が全く流れないか、あるいは殆ど流れないように構成されている。なお、この太陽電池パネル200は、16本のバスバー202を有しており、正常な状態では、照度が104000luxのとき、各バスバー202に約2Aのバスバー電流が流れる。
検査装置100の磁気検出手段10は、磁界のX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の磁気成分を独立して検出することができる。図5は、検査装置100により太陽電池パネル200の検査を行ったときのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の磁気分布のグラフ(生データ)である。ここで、横軸は検査時間(すなわち、磁気検出手段10が太陽電池パネル200の表面を移動する時間)を示し、縦軸は磁気検出手段10が検知した磁気強度を示す。なお、本実施形態では、太陽電池パネル200に対する検査装置100の走査速度を略一定としたため、横軸の検査時間は実質的に太陽電離パネル200の表面の位置(すなわち、検査箇所)に対応する。
検査装置100の情報生成手段20は、図2に示したゼロ補正手段21を備えるものである。ゼロ補正手段21は磁気分布のうち勾配が10〜20の大きさ以下となる領域をゼロ値とする。すなわち、勾配が10〜20の大きさ以下の領域では、磁気検知素子11には環境磁気のみが作用しているものと見なし、この領域をゼロ値とする。なお、本実施形態では、勾配の単位は「mG/cm」とする。このように、比較的緩やかに変化する環境磁気の磁気プロファイルをベースラインに強制する一方で、太陽電池回路203に由来する磁気情報は、バスバー202の前後で急激に変化する(勾配が20より大きい)ため、ゼロ値に補正されない。このため、太陽電池回路203に由来する磁気情報が際立ち、正確な欠陥個所の判定を行うことができる。ゼロ補正手段21によるゼロ補正は、磁気検出手段10が磁気を検出している期間に亘って連続的に実行されることが好ましい。これにより、比較的緩やかに変化する環境磁気の磁気プロファイルは常にベースラインを形成し、太陽電池回路203に由来する磁気情報のみがピークとして現れるため、より精度の高い検査が可能になる。なお、磁気検出手段10が取得する磁気分布は、基本的にはゼロ補正処理、微分処理の順で処理されるが、微分処理、ゼロ補正処理の順で処理してもよい。図6は、Z軸方向の磁気分布についてゼロ補正をした後の分布のグラフである。図6のグラフと、図5のうちZ軸方向の軸分布のグラフとを比較すると、Z軸方向の磁気分布についてゼロ補正をした図6のグラフは、ベースラインを中心に上下にピークが形成されており、ゼロ補正をする前の図5のグラフと比べて磁気の変化が明確になっていることが分かる。また、図6のグラフにおけるピークの方向から、バスバー202に流れる電流の向きを導き出すこともできる。
次に、図6の磁気分布について微分処理を行うことにより、磁気の変化量を示す微分値分布を求める。図7は、図6のゼロ補正後の磁気分布の微分処理結果を示すグラフである。このように、微分処理を行うとピークが強く表れるため、太陽電池回路203に由来する磁気情報を際立たせることができる。欠陥箇所の判定は、図7のグラフを所定の閾値と比較して行う。この検査対象の太陽電池パネル200における理論電流値は、図7のグラフの最大値(900程度)となる。そこで、例えば、理論値に対して35%(900×0.35=315)を閾値として規定し、グラフ上で閾値以上の領域が正常であると判断する。図7のグラフより、315以上の変化量を示す領域は16箇所であるため、正常なバスバー202の本数は16本とカウントできる。従って、この太陽電池パネル200は「異常なし」と判定される。
検査精度をさらに高めるため、連続する複数の磁気の変化量の合計値を求めることも可能である。例えば、図7において、一つの微分値とそれに隣接する前後の微分値との合計値をその領域の変化量とする。検査装置100は、連続する複数の磁気の変化量の合計値から欠陥箇所を判定するため、例えば、作業者が移動させて検査を行う検査装置であっても、移動速度の揺らぎを吸収することが可能になり、高い精度で検査を行うことができる。なお、連続する複数の磁気の変化量の合計値を取得したデータの数で除した平均値を用いて、太陽電池パネル200の欠陥判定を行うことも可能である。
ところで、磁気検知素子11として三次元センサを用いると、Z方向の磁気分布の他に、X軸方向及びY軸方向の磁気分布も取得することができる。この場合、磁気検知素子11は、実質的に地磁気及び周辺磁性体に由来する磁気のみが作用している領域を、Z方向の磁気分布からだけでなく、X軸方向及びY軸方向の磁気分布からも認識することができる。図8は、X軸方向及びY軸方向の磁気分布について、{(Xの値)+(Yの値)1/2を求め、ゼロ補正及び微分処理をしたグラフである。図8のグラフより、X軸方向及びY軸方向においては、バスバー202を横切るときの磁気の変化量は明確に表れないことが分かる。このため、本実施形態では、X軸方向及びY軸方向の磁気情報のみを判定に利用することは困難であるが、X軸方向及びY軸方向の磁気情報をZ軸方向の磁気分布から求めた磁気情報を補完するために利用することは有効である。すなわち、図7のグラフと図8のグラフとを合わせて、総合的に太陽電池パネル200の欠陥判定を行う。これにより、検査精度をより向上させることができる。
磁気検知素子11の測定能力としては、1秒間に1〜100回の測定が可能であることが好ましい。例えば、1秒間に20回(20Hz)程度の頻度で磁力の測定を行えば、等速移動用の機構等を用いなくても、特に移動速度を意識することなく手動操作による検査が可能になる。また、1秒間に20回を超える測定頻度であっても、微分値分布の連続する複数の変化量の合計値又は平均値から欠陥箇所を判定することにより、好ましい結果が得られることが確認された(図7を参照)。このように、本実施形態の検査装置100は、等速移動用の機構を用いなくても作業者の手作業による操作で正確に欠陥判定を行うための十分なデータを得ることができる。ただし、等速度移動機構を併用すれば、自動による遠隔無人検査が可能となり、高速スキャンにより検査時間の短縮と検査効率の向上には有効である。
日射量が検査に与える影響については、磁気分布の絶対量のみで判定を行う従来の検査装置では、日射量の変化による太陽電池パネル200の発電電流の変動により曇天時には検査が不能となることがあった。本実施形態の検査装置100では、曇天時であっても実験環境で0.5A以上の発電電流であれば、微分値の変化量からバスバー202を明確に認識できることが確認された。なお、周辺磁性体の影響がない場合には、発電電流が0.3A程度であっても、バスバー202を認識可能であることが確認された。
また、本実施形態の検査装置100では、情報生成手段20が、日射量センサ50により検出される日射量に応じて磁気の変化量を増幅する増幅手段を備えているため、日射量が少ないときであっても高い精度で検査を行うことができることが確認された。例えば、照度が60000lux以下の場合には、磁気の変化量を段階的に増幅することにより、磁気の変化を明確に表すことができる。従って、本実施形態の検査装置100は、日射量が30000lux程度の曇り空の日射量であっても、正確な判定が可能になる。
〔太陽電池パネルの検査方法〕
検査装置100を用いた太陽電池パネル200の検査方法(以下、単に「検査方法」とする。)について説明する。図9は、検査装置100を用いて実施する太陽電池パネル200の検査方法のフローチャートである。検査方法は、主に、磁気検出工程、情報生成工程、及び判定工程の各工程を経て実施される。検査方法における各ステップを記号「S」で示してある。
検査開始(S0)により、太陽電池回路203に通電が行われる(S1)。ただし、この時点では、太陽電池回路203の状態(正常/異常)は不明であるため、ステップ1において「通電を行う」とは、「通電可能な状態にすること」を意味する。すなわち、太陽電池パネル200に太陽光を当てることが通電可能な状態にすることである。次に、太陽電池回路203の表面を走査する(S2)。これは、図3に示すように、磁気検出手段10を太陽電池パネル200の一方側から他方側に移動させて行われる。ステップ1とステップ2とを合わせて磁気検出工程とする。
太陽電池回路203の走査中に磁気検知素子11に発生した出力電圧は、必要に応じて任意倍率に増幅され、磁気分布が生成される。磁気分布は、磁気分布のうち勾配が所定の大きさ以下となる領域をゼロ値とするゼロ補正処理(S3)が行われ、さらに微分処理が行われて微分値分布が生成される(S4)。ステップ3とステップ4とを合わせて情報生成工程とする。
次に、微分値分布と所定の閾値とを比較し、太陽電池回路203の状態を判定する(S5)。すなわち、微分値分布のうち閾値以上の位置には正常なバスバー202が存在することになる。これにより、正常なバスバー202の本数をカウントすることができ、太陽電池回路203のバスバー202の実際の本数と一致すれば(S5;YES)、太陽電池回路203は正常と判定し(S6)、一致しなければ(S5;NO)、太陽電池回路203は異常と判定する(S7)。ステップ5〜ステップ7を合わせて判定工程とする。なお、この判定工程では、太陽電池回路203全体の状態として判定を行っているが、本発明の検査方法では、太陽電池回路203を構成する各バスバー202の状態を個別に判定し、欠陥位置を特定することが可能である。以上で検査方法は終了する(S8)。
〔別実施形態〕
検査装置100は、上記実施形態の構成に加えて、傾斜センサ60をさらに備えたものとして構成することができる。図10は、別実施形態に係る検査装置100の概略構成図である。
本発明の検査装置100は、磁気検出手段10を太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内を移動させながら、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の磁気分布を取得するものであるが、作業者が手作業で移動させることになるため、移動中に磁気検出手段10の磁気検知素子11がXY面に対して傾いて判定に影響を及ぼすことが考えられる。そこで、磁気検出手段10に取り付けた傾斜センサ60が三軸方向の傾斜を検出し、この検出信号に基づいて、磁気検知素子11が検知するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の磁気分布を情報生成手段20で補正することができる。これにより、手作業での検査による判定への影響を少なくすることができる。
傾斜センサ60としては、例えば、傾斜によって移動する振り子の位置を磁気的に検出するMR素子(磁気抵抗素子)、この振り子を光学的に検出するフォトセンサ、この振り子に設けた磁石の位置を検出するホールIC等が挙げられる。
本発明の太陽電池パネルの検査装置は、自然界の地磁気が存在する屋外に設置されたものに対して利用可能であるが、屋外に設置された太陽電池パネルを取り外し、屋内にて検査する場合にも利用可能である。また、種々のタイプの太陽電池パネルの検査に適用可能である。
10 磁気検出手段
11 磁気検知素子
20 情報生成手段
21 ゼロ補正手段
22 増幅手段
30 判定手段
40 格納手段
50 日射量センサ
100 検査装置
200 太陽電池パネル
203 太陽電池回路

Claims (5)

  1. 自然界の地磁気が存在する屋外に設置された太陽電池パネルの検査装置であって、
    前記太陽電池パネルを構成する太陽電池回路が通電することにより変動し得る磁気を検出する磁気検出手段と、
    検出した磁気に基づいて、磁気情報を生成する情報生成手段と、
    前記磁気情報から前記太陽電池回路の状態を判定する判定手段と、
    を備え、
    前記磁気検出手段は、検査対象とする太陽電池パネルの受光面と平行なXY面内で移動しながら、前記XY面に垂直なZ軸方向の磁気分布を取得する磁気検知素子を備え、
    前記情報生成手段は、前記磁気分布のうち勾配が所定の大きさ以下となる領域をゼロ値とするゼロ補正手段を備え、前記ゼロ補正手段により、前記磁気検出手段が磁気を検出している期間に亘って、前記ゼロ補正を連続的に実行するとともに、前記磁気分布を微分処理することにより、前記磁気検出手段の移動方向における前記太陽電池回路の前後の磁気の変化量を示す微分値分布を取得し、
    前記判定手段は、前記微分値分布と所定の閾値とを比較して検査位置の状態を判定する太陽電池パネルの検査装置。
  2. 前記判定手段は、連続する複数の磁気の変化量の合計値又は平均値から欠陥箇所を判定する請求項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
  3. 前記磁気検知素子は、X軸方向及びY軸方向の磁気分布をさらに取得する請求項1又は2に記載の太陽電池パネルの検査装置。
  4. 前記太陽電池パネルへの日射量を検出する日射量センサを備え、前記情報生成手段は、前記日射量センサにより検出される日射量に応じて前記磁気の変化量を増幅する増幅手段を備えている請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
  5. 前記閾値は、前記日射量センサにより検出される日射量と前記太陽電池パネルの発電量との相関関係から得られる理論電流値に対する割合として規定される請求項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
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