JP5570415B2 - 他のペプチド型に対する交差反応性の低いヒトb型ナトリウム利尿ペプチドアッセイ - Google Patents

他のペプチド型に対する交差反応性の低いヒトb型ナトリウム利尿ペプチドアッセイ Download PDF

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Description

本発明は試験サンプル中のヒトB型ナトリウム利尿ペプチドの量の検出及び/又は定量用アッセイに関する。詳細には、本発明のアッセイは試験サンプル中に存在する又は含有されるヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチドに対して約20%未満の交差反応性を示す。
心房性ナトリウム利尿ペプチド(以下、「ANP」と言う)、B型ナトリウム利尿ペプチド(以下、「BNP」と言う)、C型ナトリウム利尿ペプチド(以下、「CNP」と言う)及びマンバ(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(以下、「DNP」と言う)は各々「ナトリウム利尿ペプチド」と呼ばれるホルモンファミリーのメンバーである。ANPとBNPは共通の広範な生物学的性質をもち、心臓由来ナトリウム利尿系に属する。ANPとBNPはいずれも心筋細胞に由来し、CNPは内皮細胞に由来する。DNPはグリーンマンバヘビの毒から単離され、ANP、BNP及びCNPと構造的類似性をもつ。
ANPは心臓により心房で分泌される。ANPは2個のシステイン残基間のジスルフィド結合により閉環した17アミノ酸環をもつ。環の17個のアミノ酸のうちの11個はANP、BNP、CNP及びDNP間で保存されている。17アミノ酸環構造に加え、ANPは6アミノ酸のアミノ末端尾部と、5アミノ酸のカルボキシ末端尾部をもつ。ANPはANPの主要保存形態である126アミノ酸プロANPとして産生される。アミノ酸98及び99間の蛋白分解開裂後、冠動脈洞血漿中には成熟28アミノ酸ペプチドANPが検出される(Yandle,J.Internal Med.,235:561−576(1994)参照)。
BNPはブタの脳から最初に単離されたことから命名され、従って、当初は「BNP」は「脳性ナトリウム利尿ペプチド」の意味であった。しかし、BNPは心臓由来ナトリウム利尿系に属することが分かったため、「脳(brain)」という単語は「B型」に変更された。従って、「BNP」は現在では「B型ナトリウム利尿ペプチド」意味する。ヒトにおいて、BNPは心臓により冠動脈洞を通って主に心室から分泌される。ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体(以下、「ヒトプレプロBNP」と言う)は134アミノ酸長(配列番号1)であり、酵素により開裂されて108アミノ酸長(配列番号2)のBNPのヒトプロペプチド(以下、「ヒトプロBNP」と言う)を遊離する短いシグナルペプチドを含む。ヒトプロBNPは更に開裂され、76アミノ酸長(配列番号3)のヒトBNPのN末端プロペプチド(以下、「ヒトNT−プロBNP」と言う)と、32アミノ酸長(配列番号4)の活性ホルモンヒトBNP(以下、「hBNP」又は「hBNP−32」と言う)となる。ヒトNT−プロBNP、hBNP−32及びヒトプロBNPは各々ヒト血漿中を循環することが示唆されている(Tateyama et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.185:760−7(1992);Hunt et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.214:1175−83(1995)参照)。
CNPは最初に脳で検出されたが、その大半は内皮細胞と腎細胞に由来する。脈管構造、脳、骨及び内皮に広く分布している。CNPは心臓には存在するとしても僅かである。プロCNPは103アミノ酸ペプチドであり、プロセシングされると、活性ペプチドであるCNP−53(アミノ酸51〜103)又はCNP−22(アミノ酸82〜103)となる。ANPと同様に、CNPはシステイン残基間のジスルフィド結合により閉環した17アミノ酸環をもつ。この17アミノ酸環構造に加え、CNP−22は5アミノ酸のアミノ末端尾部をもち、カルボキシ末端尾部は含まない。CNP−53はアミノ末端の31アミノ酸延長部を除いてCNP−22と同一である。
上記のように、DNPはグリーンマンバヘビの毒から単離された。DNPの成熟形は38アミノ酸から構成される。ヒト血漿中でDNP様免疫反応性(DNP−LI)が報告されており、鬱血性心不全患者ではDNP−LIの血漿濃度が上昇していることが分かっている(Cataliotti,et al.,Mayo Clin.Proc,76:111−1119(2001)参照)。更に、合成DNPの注入の結果、血漿及び尿中の環状グアノシン一リン酸の増加と共に顕著なナトリウム利尿及び利尿を生じることも知られている。同上参照。
ヒトでは、心疾患がANP及びBNPの分泌を刺激する場合がある。実際に、ヒトにおけるANP及びBNPの分泌は一般に心機能の変化を反映する。具体的には、ANPの分泌は一般に心房に負荷がかかっているときに加速され、BNPの生合成と分泌は心室に負荷がかかっているときに刺激される。従って、ANPとBNPはいずれも心疾患の診断における指標として有用である。しかし、徐々にBNPはANPよりも心疾患の診断における有用な指標として認められるようになっている。例えば、BNPの血中濃度は正常対象ではANPの1/6に過ぎないが、心不全患者ではANPよりも高くなる。更に、心不全患者ではBNPの血中濃度はANPと同様に増加し、BNPの血漿濃度はANPを上回ることが多いため、心機能不全の重篤度をより正確に反映する。更に、心不全患者のBNP濃度は場合により健常対象の数十倍から数百倍まで増加する。
ヒトプロBNP、ヒトNT−プロBNP及びhBNPは循環でき、心血管疾患、特に心不全の患者の試験サンプル中で検出できることが知られている。hBNPとヒトNT−プロBNPはいずれも心不全を検出し、患者におけるその危険を推定するためのマーカーとして多用されている。しかし、循環する個々の型のBNP(即ちヒトプロBNP、ヒトNT−プロBNP及びヒトBNP)の各々の実際の量はこれらの各種型の現行市販アッセイの交差反応性により不明である(Liang F.,et al.,J.American College of Cardiology,49(10):1071−1078(2007)参照)。
更に、ヒトプロBNPとヒトNT−プロBNPは糖鎖付加される場合があることが知られており(Schellenberger,U.et al.,Archives of Biochemistry and Biophysics,451:160−166(2006)参照)、これらの糖鎖付加体はヒトサンプルから単離されている(Hammerer−Lercher A.,et al.,Clinical Chemistry,54(5):858−865(2008)及びSeferian,K.et al.,Clinical Chemistry,54(5):866−873(2008)参照)。ペプチドのN末端部分内の36アミノ酸領域(アミノ酸36〜71)に限られた7個の可能な糖鎖付加部位が存在する。この領域に対して作製された抗体は1)抗体を作製するために使用する免疫原;及び2)検体の糖鎖付加の有無に応じて、検体ヒトプロBNP又はNT−プロBNPを含有するサンプルと結合する場合と結合しない場合がある。ヒトプロBNP及びNT−プロBNPのオプションのアッセイはこれらの領域を避ける抗体を使用すべきである。
Yandle,J.Internal Med.,235:561−576(1994) Tateyama et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.185:760−7(1992) Hunt et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.214:1175−83(1995) Cataliotti,et al.,Mayo Clin.Proc,76:111−1119(2001) Liang F.,et al.,J.American College of Cardiology,49(10):1071−1078(2007) Schellenberger,U.et al.,Archives of Biochemistry and Biophysics,451:160−166(2006) Hammerer−Lercher A.,et al.,Clinical Chemistry,54(5):858−865(2008) Seferian,K.et al.,Clinical Chemistry,54(5):866−873(2008)
上記に鑑み、特に(例えば他の型に対する)それらの個々の循環濃度の変動の臨床的重要性が理解されるようになるにつれて、ヒトBNPの量を定量するための新規アッセイ、特に前記ペプチドの他の型に対する交差反応性の低いアッセイが当分野で必要とされている。本発明は新規アッセイ及び方法を提供することを目的とする。本発明は更にこのようなアッセイ及び方法で使用するためのキットを提供することも目的とする。前記方法及びキットは心血管疾患の重篤度を推定するため、心血管疾患の進行を監視するため、又は心血管疾患の進行の危険を推定するために実施されるアッセイを含むヒトBNPの定性的又は定量的アッセイで使用することができる。これら及び他の目的及び利点と、その他の特徴は本明細書の詳細な記載から理解されよう。
1側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトプロBNP」)に対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階(なお、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(b)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階(なお、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(c)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(b)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(a)、段階(b)、又は段階(a)及び段階(b)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明のイムノアッセイで使用するキャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と検出抗体は約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。キャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と検出抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。第1のキャプチャー抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。第1の検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。キャプチャー抗体はクローン3(3−631−436)が好ましい。検出抗体はAM1又は8.1が好ましい。
別の側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と前記試験サンプルを接触させ、少なくとも1種のhBNP−検出抗体の複合体を含む第1の混合物を形成する段階(なお、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(b)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体と、前記少なくとも1種のhBNP−検出抗体の複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階(なお、前記少なくとも1種のキャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(c)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(b)で形成された少なくとも1種の検出抗体−hBNP−少なくとも1種のキャプチャー抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
少なくとも1種の検出抗体と少なくとも1種のキャプチャー抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(b)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種の検出抗体と少なくとも1種のキャプチャー抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種の検出抗体と少なくとも1種のキャプチャー抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明のイムノアッセイで使用する検出抗体とキャプチャー抗体は各々約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。検出抗体とキャプチャー抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。第1のキャプチャー抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。第1の検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。
別の側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体と、hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体とに試験サンプルを接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を形成する段階(なお、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は各々約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体である)と;
(b)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(a)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
少なくとも1種のキャプチャー抗体と検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(a)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明のイムノアッセイで使用するキャプチャー抗体と検出抗体は各々約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。キャプチャー抗体と検出抗体は1種以上の抗体とすることができる。キャプチャー抗体と検出抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。第1のキャプチャー抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。第1の検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。
別の側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階(なお、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(b)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階(なお、検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(c)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(b)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(a)、段階(b)、又は段階(a)及び段階(b)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明のイムノアッセイで使用するキャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と検出抗体は約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。キャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と検出抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。第1のキャプチャー抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。第1の検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3(3−631−436)、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。キャプチャー抗体はクローン3(3−631−436)が好ましい。検出抗体はAM1又は8.1が好ましい。
別の側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と試験サンプル(例えばhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル)を接触させ、少なくとも1種のhBNP−検出抗体の複合体を含む第1の混合物を形成する段階(なお、少なくとも1種の検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(b)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体と、前記hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階(なお、前記少なくとも1種のキャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数をもつ1種以上の抗体を含む)と;
(c)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(b)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
検出抗体とキャプチャー抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(b)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明のイムノアッセイで使用する検出抗体とキャプチャー抗体は各々約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。検出抗体とキャプチャー抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。検出抗体及びキャプチャー抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。
更に別の側面において、本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するhBNPの量の定量方法に関し、前記方法は試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対する交差反応性が低い。前記方法は、
(a)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体と、hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体とに試験サンプル(例えばhBNPを含有している疑いのあるサンプル)を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を形成する段階(なお、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は各々約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数をもつ1種以上の抗体である)と;
(b)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(a)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階を含み、
キャプチャー抗体と検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。前記方法は更に、場合により段階(a)後に洗浄段階を含む。
より厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約15%未満の交差反応性を示す。更により厳密には、上記イムノアッセイにおいて、少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体は併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約10%未満の交差反応性を示す。
更に、本発明の方法で使用するキャプチャー抗体と検出抗体は各々約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつことができる。キャプチャー抗体と検出抗体は1種以上の抗体とすることができる。キャプチャー抗体と検出抗体はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、完全ヒト化抗体、部分ヒト化抗体、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv、抗イディオタイプ抗体又はその機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとすることができる。キャプチャー抗体及び検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、M1、クローン3、AM1、AM5、AM8、8.1及び201.3が挙げられる。
本発明の更に別の態様では、試験サンプル中のヒトプロBNPとヒトBNP又はヒトBNPとヒトプロBNPのモル比又は重量比の測定方法を提供する。前記方法は、
(a)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(b)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(c)前記サンプル中のヒトプロBNPとヒトBNP又はヒトBNPとヒトプロBNPのモル比又は重量比を求める段階を含む。場合により、このような方法において、ヒトプロBNP/hBNPのモル比は約1.0〜約50.0、特に約1.20〜約45.0である。更に、このような方法において、ヒトプロBNP/hBNPの重量比は約2.0〜約150.0、特に約4.0〜約145.0である。場合により、このような方法において、ヒトBNP/ヒトプロBNPのモル比は約0.02〜約0.72である。更に、このような方法において、ヒトBNP/ヒトプロBNPの重量比は約0.007〜約0.21である。
本発明の更に別の態様では、対象における心血管疾患の重篤度の判定方法を提供する。前記方法は、
(a)対象からの試験サンプルを準備する段階と;
(b)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(c)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)モル比又は重量比を対象における心血管疾患の重篤度と相関させる段階を含むことができ、比が所定レベルよりも低い場合には対象は心血管疾患の重篤度が高いと判定し、比が所定レベルよりも高い場合には対象は心血管疾患の重篤度が低いと判定する。
上記方法において、心血管疾患は特に冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、心筋梗塞又は心不全とすることができる。
本発明の更に別の態様では、対象における心血管疾患の進行の監視方法を提供し、前記方法は、
(a)対象からの試験サンプルを準備する段階と;
(b)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(c)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)モル比又は重量比を対象における疾患の進行と相関させる段階を含み、前記比は進行している対象では初期試験サンプル中の比に比較して低下し、前記比は心血管疾患が進行していない対象又は改善した対象では初期試験サンプル中の比に比較して変化しないか又は上昇する。
上記方法では、場合により心血管疾患の治療後又は治療前(例えば治療の開始時等に治療決定を補助するために監視を実施する場合)に監視を実施する。
心血管疾患に関連する1種以上の臨床徴候を示す対象の1例はそのcorin又はfurin遺伝子に突然変異をもつ対象である。
更に別の側面において、本発明は心血管疾患のナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が有効であった対象の同定方法に関する。前記方法は、
(a)心血管疾患に関連する1種以上の臨床徴候を示す対象から試験サンプルを採取する段階と;
(b)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(c)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)段階(d)で求めたモル比又は重量比が所定レベルよりも高いか又は低いかを判定する段階と;
(f)段階(e)の判定に基づいてナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったか否かを判断する段階を含む。具体的には、段階(d)で求めた比が所定レベルよりも低い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効でなかったと判断する。他方、段階(d)で求めた比が所定レベルよりも高い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったと判断する。対象を治療するために使用することができるヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体の1例はネシリチドである。
本発明の更に別の態様では、対象が1種以上の医薬組成物を前記対象に投与した結果として心血管合併症を発症しているか否かを判定する方法を提供する。このような方法は、
(a)対象に1種以上の医薬組成物を投与する前に対象から第1の試験サンプルを採取する段階と;
(b)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(c)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)対象に1種以上の医薬組成物を投与した後に対象から第2の試験サンプルを採取する段階と;
(f)(例えば本発明のイムノアッセイに従って)適切な方法により第2の試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(g)任意の適切な方法(例えば実施例2に記載の方法)により前記第2の試験サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(h)前記第2の試験サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(i)段階(d)で求めたモル比又は重量比を段階(h)のモル比又は重量比と比較する段階を含むことができる。具体的には、段階(d)で求めたモル比又は重量比が段階(h)で求めたモル比又は重量比に比較して変化していない場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していないと判定する。段階(d)で求めたモル比又は重量比が段階(h)で求めたモル比又は重量比に比較して変化(上昇又は低下)している場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していると判定する。
更に別の側面において、本発明は試験サンプル中のヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(「hBNP」)の存在の検出方法の改善に関する。前記方法は、
(a)hBNP/抗体の複合体の形成を可能にする時間と条件下で、hBNPを含有している疑いのある試験サンプルを前記hBNPに特異的な少なくとも1種のキャプチャー抗体と接触させる段階と;
(b)前記hBNPの存在を示すものとして少なくとも1種の検出抗体を使用して形成されたhBNP/抗体の複合体を検出する段階を含み、
前記改善は併用時にヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトプロBNP」)に対して約20%未満の交差反応性を示す抗体を前記少なくとも1種のキャプチャー抗体及び前記少なくとも1種の検出抗体として利用する段階を含む。
更に別の側面において、本発明は免疫診断試薬に関する。本発明はヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(「hBNP」)に対して特異的であり、併用時にヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトプロBNP」)に対して約20%未満の交差反応性を示す少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体を含む。キャプチャー抗体と検出抗体は約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数(K)をもつことができる。好ましくは、キャプチャー抗体は3−631−436であり、検出抗体はAM1又は8.1である。
更に別の側面において、本発明は試験サンプル中のヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(「hBNP」)の検出用キットに関する。前記キットは、
(a)試験サンプルのアッセイを実施するための説明書と;
(b)ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(「hBNP」)に対して特異的であり、併用時にヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトプロBNP」)に対して約20%未満の交差反応性を示す少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体を含有する免疫診断試薬を含む。
hBNPペプチド系較正物質と、実施例1に従って実施したイムノアッセイによる4種類の選択BNPアッセイを使用して作成した典型的な較正曲線を示す。この図1中、−■−は3−631−436微粒子/106.3AM1コンジュゲートを表し、−▲−は106.3AM1微粒子/8.1コンジュゲートを表し、−◆−は3−631−436微粒子/8.1コンジュゲートを表し、*は106.3AM1微粒子/M1コンジュゲートを表す。 実施例1に従って実施したイムノアッセイによるスパイク添加ヒトプロBNPペプチドの平均回収率%を示す。この図2中、黒棒線は3−631−436微粒子/106.3AM1コンジュゲートを表し、格子状棒線は106.3AM1微粒子/8.1コンジュゲートを表し、点状棒線は3−631−436微粒子/8.1コンジュゲートを表し、斜線棒線は106.3AM1微粒子/M1コンジュゲートを表す。 実施例2に従って実施したイムノアッセイによりヒトプロBNPペプチド系較正物質を使用して作成した典型的な較正曲線を示す。この図3中、−◆−は106.3AM1微粒子/18 H5コンジュゲートを表す。 実施例4に従って実施したヒトプロBNPに対するhBNPの濃度のプロットを示す。
本発明はhBNPについて試験する試験サンプル又はhBNPを含有している疑いのある試験サンプル中に存在するヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(「hBNP」)の量の定量用イムノアッセイに関する。詳細には、本発明のイムノアッセイはヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトプロBNP」)に対する交差反応性が低い。別の態様において、本発明は試験サンプル中のhBNPの量の定量用イムノアッセイに関し、前記イムノアッセイはヒトプロBNP又はヒトN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(「ヒトNT−プロBNP」)に対する交差反応性が低い。更に別の態様において、本発明は試験サンプル中のヒトプロBNPとhBNPの量の比の測定方法に関する。更に別の態様において、本発明は対象における疾患の重篤度又は進行の判定方法に関する。更に別の側面において、本発明はその治療を必要とする対象における心血管疾患の治療薬の同定方法に関する。
A.定義
本明細書で使用する単数形はそうでないことが内容から明白である場合を除き、複数形も含む。本明細書で数値範囲を記載する場合には、同一精度でその範囲内の各数値を明確に想定する。例えば、6〜9の範囲では、6と9に加えて数値7及び8を想定し、6.0〜7.0の範囲では、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0を明確に想定する。
a)抗体
本明細書で使用する単数及び複数の「抗体」なる用語はモノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全又は部分ヒト化)、動物抗体(1側面では、トリ(例えばアヒル又はガチョウ)、別の側面ではサメ又はクジラ、更に別の側面では、非霊長類(例えばウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス等)及び非ヒト霊長類(例えばカニクイザル、チンパンジー等のサル)を含む哺乳動物)、組換え抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv(scFv)、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab”フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、並びに上記のいずれかの機能的に活性なエピトープ結合フラグメントを意味する。特に、抗体としては免疫グロブリン分子と免疫グロブリン分子の免疫活性フラグメント、即ち抗原結合部位を含む分子が挙げられる。免疫グロブリン分子は任意種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgA)又はサブクラスとすることができる。
b)8.1
本明細書で使用する「8.1」とは1996年2月21日付けでAmerican Type Culture Collection(A.T.C.C.)に寄託され、A.T.C.C.Accession No.HB−12056を付与されたハイブリドーマ細胞株8.1により産生されるモノクローナル抗体と又はその誘導体を意味する。8.1と8.1の作製方法は米国特許第6,162,902号に記載されている。8.1はhBNP上のアミノ酸残基26−32を含むエピトープと結合する。
c)106.3
本明細書で使用する「106.3」とは1996年2月14日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.HB−12044を付与されたハイブリドーマ細胞株106.3により産生されるモノクローナル抗体又はその誘導体を意味する。106.3と106.3の作製方法は米国特許第6,162,902号に記載されている。106.3はhBNP上のアミノ酸残基5−13を含むエピトープと結合する。106.3には2つの異なる平衡解離定数(K)、即ち約0.32×10−9Mの平衡解離定数と約1.0×10−9Mの平衡解離定数が報告されている。
d)201.3
本明細書で使用する「201.3」とは1996年2月14日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.HB−12045を付与されたハイブリドーマ細胞株201.3により産生されるモノクローナル抗体又はその誘導体を意味する。201.3と201.3の作製方法は米国特許第6,162,902号に記載されている。201.3はhBNP上のアミノ酸残基1−10を含むエピトープと結合する。
e)AM1
本明細書で使用する「AM1」又は「106.3AM1」、「AM1 106.3」又は「106.3 L1 B24/H2 288」とは2005年9月20日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−6987を付与されたハイブリドーマ細胞株106.3 L1 B24/H2 288により産生されるモノクローナル抗体又はその誘導体を意味する。AM1とAM1の作製方法は2006年11月9日付け米国特許出願第11/595,625号に記載されている。AM1はhBNP上のアミノ酸残基5−13を含むエピトープと結合する。AM1には2つの異なる平衡解離定数(K)、即ち約0.14×10−9Mの平衡解離定数と約1.9×10−12Mの平衡解離定数が報告されている。
f)AM5
本明細書で使用する「AM5」とは2007年4月24日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−8369を付与されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株AM5(別称BNP3−631−436AM5CHO893−214)により産生される抗体又はその誘導体を意味する。AM5とAM5の作製方法は2007年5月8日付け米国特許出願第11/745,963号に記載されている。AM5の平衡解離定数は約1.4×10−10Mである。AM5はhBNP上のアミノ酸残基13−18を含むエピトープと結合する。
g)AM8
本明細書で使用する「AM8」とは2007年4月24日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−8368を付与されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株AM8(別称BNP3−631−436AM8CHO974−211)により産生される抗体又はその誘導体を意味する。AM8とAM8の作製方法は2007年5月8日付け米国特許出願第11/745,963号に記載されている。AM8の平衡解離定数は約1.0×10−10Mである。AM8はhBNP上のアミノ酸残基13−18を含むエピトープと結合する。
h)BC203
本明細書で使用する「BC203」とは1991年8月20日付けで茨城県、つくば市、東1丁目、1−3に所在の微生物工業技術研究所に寄託され、微工研条寄第FERM BP−3515号を付与されたハイブリドーマ細胞株BC203により産生されるモノクローナル抗体又はその誘導体を意味する。BC203とBC203の作製方法は米国特許第6,677,124号に記載されている。BC203はhBNP上のアミノ酸残基26−32を含むエピトープと結合する。BC203には2つの異なる平衡解離定数(K)、即ち約3.1×10−8Mの平衡解離定数と約1.3×10−9Mの平衡解離定数が報告されている。
i)クローン3又はBNP3−631−436
本明細書で同義に使用する「クローン3」、「BNP3−631−436ms」、「3−631−436」又は「抗体3−631−436」とは各々2004年12月21日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−6476を付与されたハイブリドーマ細胞株3−631−436により産生されるモノクローナル抗体又はその誘導体を意味する。クローン3とクローン3の作製方法は2006年8月17日付け米国特許公開第2006/0183154号に記載されている。クローン3はhBNP上のアミノ酸残基13−18を含むエピトープと結合する。クローン3の平衡解離定数は約3.7×10−10Mである。
j)M1
本明細書で使用する「M1」とはStrategic Diagnostics,Newark,Delaware(カタログ番号B910SMD01−D0)から市販されているハイブリドーマ細胞株M1により産生されるモノクローナル抗体を意味する。M1はhBNP上のカルボキシ(C)末端と結合する。M1の平衡解離定数は約1.7×10−7Mである。
k)会合速度
本明細書で同義に使用する「会合速度」、「kon」又は「k」なる用語は抗体とその標的抗原の結合強度(程度)又は下式:
抗体(Ab)+抗原(Ag)→Ab−Ag
により示されるようなmAbと抗原の間の複合体形成速度を示す数値を意味する。
会合定数(k)の測定方法は当分野で周知である。例えば、BIAcore(登録商標)(生体分子間相互作用解析)アッセイを使用することができる(例えばスウェーデン,Uppsalaに所在のGE Healthcare社であるBIAcore International ABから市販されている機器)。更に、Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から市販されているKinExA(登録商標)(結合平衡除外法)アッセイも使用することができる。
l)心血管合併症
本明細書で同義に使用する「心血管合併症」又は「心血管合併症を発症」なる用語は任意心血管疾患又はイベントを意味する。心血管疾患又はイベントが二次的合併症(例えば肺鬱血又は鬱血肺)を誘発する場合には、このような二次的合併症も「心血管合併症」なる用語に含むものとみなす。心血管合併症は「代償性」(例えば代償性とは対象の身体の通常酸素要求量を満足できていることを意味する)でも「非代償性」(例えば非代償性とは対象の身体の通常酸素要求量を現時点で満足していないことを意味する)でもよい。更に、「心血管合併症」又は「心血管合併症を発症」なる用語は既存心血管合併症の悪化も意味する。
m)心血管疾患
本明細書で使用する「心血管疾患」なる用語は心臓、血管又は循環に関する各種臨床疾患、障害又は病態を意味する。これらの疾患、障害又は病態は冠動脈、脳動脈又は末梢動脈のアテローム硬化性障害に起因すると考えられる。心血管疾患としては限定されないが、冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、心筋梗塞、心不全等が挙げられる。例えば、心不全では、心血管疾患の「重篤度上昇」とは例えばクラスIII又はクラスIVまでのNYHA分類の上昇により示されるような疾患の悪化を意味し、心血管疾患の「重篤度低下」とは例えばクラスIII又はIVからクラスII又はIへのNYHA分類の低下により示されるような疾患の改善を意味する。
n)臨床徴候
本明細書で使用する「臨床徴候」なる用語は心血管疾患の指標となるアッセイ、試験法(例えば撮像法)、標準(例えばニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)分類)、生物理学的尺度(例えばLDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、ボディマス指数、胴囲、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時グルコース濃度、糖尿病状態)及び他のバイオメトリックパラメーター(限定されないが、例えば人種、性別、年齢、喫煙状態、心血管疾患歴、心血管疾患の家族歴、高血圧薬の使用等)を意味する。
o)解離速度
本明細書で同義に使用する「解離速度」、「koff」又は「k」なる用語はその標的抗原からの抗体の解離強度(程度)又は下式:
抗体(Ab)+抗原(Ag)←Ab−Ag
により示されるようなAb−Ag複合体から遊離mAb及び抗原への経時的分離を示す数値を意味する。
解離定数(k)の測定方法は当分野で周知である。例えば、Biacore(登録商標)(スウェーデン)アッセイを使用することができる。更に、Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から市販されているKinExA(登録商標)(結合平衡除外法)アッセイも使用することができる。
p)平衡解離定数
本明細書で同義に使用する「平衡解離定数」又は「K」なる用語は解離速度(koff)を会合速度(kon)で割ることにより得られる数値を意味する。会合速度、解離速度及び平衡解離定数は抗原に対する抗体の結合親和性を表すために使用する。
q)エピトープ
本明細書で使用する単数又は複数の「エピトープ」なる用語は対象において抗原又は免疫原活性をもつポリペプチド又は蛋白質の部位又はフラグメントを意味する。免疫原活性をもつエピトープは動物に抗体応答を誘発するポリペプチド又は蛋白質の部位又はフラグメントである。抗原活性をもつエピトープは当業者に周知の任意方法、例えばイムノアッセイにより判定した場合に抗体が免疫特異的に結合するポリペプチド又は蛋白質の部位又はフラグメントである。
r)心不全
本明細書で使用する「心不全」なる用語は心臓が身体の他の部分に血液を効率的に拍出できない病態を意味する。心不全は梗塞、心筋症(一次性又は二次性)、高血圧、冠動脈疾患、弁疾患、先天性欠損症又は感染に起因する心臓損傷又は動脈狭窄が原因であると考えられる。心不全は更に慢性、鬱血性、急性、非代償性、収縮期又は拡張期に分類することができる。ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類は患者の機能に基づいて疾患の重篤度を分類しており、NYHAクラスは治療又は治療応答の欠如に基づいて進行及び/又は後退することができる。
s)ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド
本明細書で同義に使用する「ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド」、「ヒトBNP」、「hBNP」、「hBNP−32」、「hBNPペプチド」、「hBNPポリペプチド」又は「B型ナトリウム利尿ペプチド」なる用語は配列番号4に示すアミノ酸配列をもつ32アミノ酸分子を意味する。配列番号4に示すアミノ酸配列はヒトプロBNPの108アミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸77−108により表される。
t)hBNPフラグメント
本明細書で同義に使用する「hBNPフラグメント」、「hBNP−32フラグメント」、「hBNPペプチドフラグメント」又は「ヒトBNPフラグメント」なる用語は配列番号4の少なくとも6個の連続するアミノ酸を含むポリペプチドを意味する。1側面において、hBNPフラグメント又はhBNPペプチドフラグメントとは配列番号4の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、配列番号4の少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、配列番号4の少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、配列番号4の少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、又は配列番号4の少なくとも30個の連続するアミノ酸残基を含むペプチドを意味する。hBNPフラグメント又はhBNPペプチドフラグメントの例としては限定されないが、配列番号4のアミノ酸残基1−31、1−30、1−29、1−28、1−27、1−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、2−32、2−31、2−30、2−29、2−28、2−27、2−26、2−25、2−24、2−23、2−22、2−21、2−20、2−19、2−18、2−17、2−16、2−15、2−14、2−13、2−12、2−11、2−10、2−9、2−8、2−7、3−32、3−31、3−30、3−29、3−28、3−27、3−26、3−25、3−24、3−23、3−32、3−21、3−20、3−19、3−18、3−17、3−16、3−15、3−14、3−13、3−12、3−11、3−10、3−9、3−8、4−32、4−31、4−30、4−29、4−28、4−27、4−26、4−25、4−24、4−23、4−22、4−21、4−20、4−19、4−18、4−17、4−16、4−15、4−14、4−13、4−12、4−11、4−10、4−9、5−32、5−31、5−30、5−29、5−28、5−27、5−26、5−25、5−24、5−23、5−22、5−21、5−20、5−19、5−18、5−17、5−16、5−15、5−14、5−13、5−12、5−11、5−10、6−32、6−31、6−30、6−29、6−28、6−27、6−26、6−25、6−24、6−23、6−22、6−21、6−20、6−19、6−18、6−17、6−16、6−15、6−14、6−13、6−12、6−11、7−32、7−31、7−30、7−29、7−28、7−27、7−26、7−25、7−24、7−23、7−22、7−21、7−20、7−19、7−18、7−17、7−16、7−15、7−14、7−13、7−12、8−32、8−31、8−30、8−29、8−28、8−27、8−26、8−25、8−24、8−23、8−22、8−21、8−20、8−19、8−18、8−17、8−16、8−15、8−14、8−13、9−32、9−31、9−30、9−29、9−28、9−27、9−26、9−25、9−24、9−23、9−22、9−21、9−20、9−19、9−18、9−17、9−16、9−15、9−14、10−32、10−31、10−30、10−29、10−28、10−27、10−26、10−25、10−24、10−23、10−22、10−21、10−20、10−19、10−18、10−17、10−16、10−15、11−32、11−31、11−30、11−29、11−28、11−27、11−26、11−25、11−24、11−23、11−22、11−21、11−20、11−19、11−18、11−17又は11−16を含むアミノ酸配列が挙げられる。
u)ヒトナトリウム利尿ペプチドアナログ
本明細書で使用する「ヒトナトリウム利尿ペプチドアナログ」なる用語はヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばヒトBNP)の生物学的に活性な類似体を意味する。例えば、生物学的に活性なヒトナトリウム利尿ペプチドアナログとしては、元の化合物の生物学的活性を失わないように短縮、欠失、挿入、置換、代替、側鎖延長を加えたヒトナトリウム利尿ペプチド、及び融合蛋白質、又はその組合せが挙げられる。ヒトナトリウム利尿ペプチドアナログは各種手段により得ることができる。例えば、相互結合能を失わせずに天然ナトリウム利尿ペプチド構造の所定アミノ酸を他のアミノ酸に置換することができる。ヒトナトリウム利尿ペプチドアナログの例とこのようなアナログの作製方法は米国特許出願第2006/0172933号に記載されている。
v)ヒトナトリウム利尿ペプチドコンジュゲート
本明細書で使用する「ヒトナトリウム利尿ペプチドコンジュゲート」なる用語は少なくとも1個の修飾部分又は少なくとも1個の反応性部分を付加したヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチドフラグメントを意味する。修飾部分はヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチドフラグメント(例えばhBNP又はhBNPフラグメント)を修飾する部分である。修飾部分の例としては限定されないが、安定性、溶解度及び/又は生物学的活性に作用する部分(例えば親水性ポリマー又はオリゴマー、両親媒性ポリマー又はオリゴマー、及び親油性ポリマー又はオリゴマー)、親水性部分、ポリエチレングリコール部分、生体適合性水溶性部分、ポリカチオン性部分、両親媒性部分、ポリエチレングリコール/アルキル修飾部分等が挙げられる(各々米国特許出願第2006/0172933号に記載されている)。
ヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチドフラグメントは米国特許出願第2004/0266673号に記載されているように反応性部分とカップリングすることにより(共有結合により)化学的に修飾することができる。反応性部分は血液成分、好ましくは血液蛋白質と共有結合を形成することが可能である。共有結合は一般に反応性部分と血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基又はチオール基の間に形成される。アミノ基はカルボキシ、ホスホリル又はアシル等の反応性部分と共有結合を形成することができ、ヒドロキシル基は好ましくは活性エステル等の反応性部分と共有結合を形成し、チオール基は好ましくはエステルや混合酸無水物等の反応性部分と共有結合を形成する。好ましい血液成分は血清アルブミン、免疫グロブリン又はその組合せ等の流動性血液成分であり、好ましい反応性部分はマレイミド又はマレイミド含有基等の酸無水物を含む。
修飾部分をヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばヒトBNP)等の塩基分子と結合するための方法は当分野で周知である。例えば、修飾部分をヒトナトリウム利尿ペプチドと結合するためのストラテジーは米国特許出願第2006/0172933号に開示されている。ヒトナトリウム利尿ペプチドを反応性部分で化学的に修飾するための方法は米国特許出願第2004/0266673号に記載されている。
w)ヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体
本明細書で使用する「ヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体」なる用語はヒトナトリウム利尿ペプチドアナログ、ヒトナトリウム利尿ペプチドコンジュゲート又はヒトナトリウム利尿ペプチドの組換え体(例えばヒトBNP(配列番号4)の組換え体(例えばネシリチド))を意味する。
x)免疫診断試薬
本明細書で使用する「免疫診断試薬」なる用語はhBNPの1領域と特異的に結合する1種以上の抗体を意味する。
y)医薬組成物
本明細書で使用する「医薬組成物」なる用語は治療を必要とする疾患又は病態の患者を使用するために使用することができる任意の物質又は薬剤を意味し、小分子(例えば活性剤を含有する薬剤)でも生物製剤でもよい。医薬組成物の例としては限定されないが、抗腫瘍薬(化学療法薬)、抗鬱薬(例えば三環系抗鬱薬)、多発性硬化症治療薬、麻酔薬、インターフェロン、ホルモン、HIV抗ウイルス薬等とその任意組合せが挙げられる。一般に、医薬組成物は心血管系に作用することが知られているもの又は予想されるものでもよいし、予想外又は意外にも心血管系に作用するものでもよい。
z)ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体
本明細書で使用する「ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体」又は「ヒトプレプロBNP」なる用語は配列番号1に示すアミノ酸配列をもつ134アミノ酸分子を意味する。
aa)ヒトBNPのプロペプチド
本明細書で使用する「ヒトBNPのプロペプチド」又は「ヒトプロBNP」なる用語は配列番号2に示すアミノ酸配列をもつ108アミノ酸分子を意味する。ヒトプロBNPはヒトプレプロBNPから誘導される。
bb)ヒトBNPのN末端プロペプチド
本明細書で使用する「ヒトBNPのN末端プロペプチド」、「ヒトNT−プロB型ナトリウム利尿ペプチド」又は「ヒトNT−プロBNP」なる用語は配列番号3に示すアミノ酸配列をもつ76アミノ酸分子を意味する。ヒトNT−プロBNPはヒトプロBNP(配列番号2)から誘導される。
cc)対象
本明細書では「対象」及び「患者」なる用語を同義に使用するが、本発明の対象は必ずしもイムノアッセイ時に医療治療を受けているか又は受けたことがある必要はない。本明細書で使用する単数及び複数の「対象」なる用語は動物を意味し、1側面ではトリ(例えばアヒル又はガチョウ)、別の側面ではサメ又はクジラ、又は別の側面では、非霊長類(例えばウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット及びマウス)及び霊長類(例えばカニクイザル、チンパンジー等のサル及びヒト)を含む哺乳動物を意味する。対象はヒトが好ましい。
dd)試験サンプル
本明細書で使用する「試験サンプル」なる用語はhBNPについて試験する対象及び/又はhBNPを含有している疑いのある対象の組織、血清、血漿、全血、リンパ液、CNS液、尿又は他の体液に由来する生体サンプルを意味する。試験サンプルは当業者に公知の日常的技術を使用して作製することができる。
ee)読取値
「読取値」なる用語は較正曲線(例えばBNP較正曲線)から読取られた所定検体(例えばプロBNP)の濃度を意味する。検体が較正物質(と一致しない場合例えば検体プロBNPと較正物質BNP)には、分子量の差について読取値を補正すると最適である。
ff)交差反応性の低下
本明細書で使用する「交差反応性の低下」なる用語は当業者に知られているような他の(例えば少なくとも1種、場合により少なくとも2種の)ヒトBNPアッセイ及び/又はヒトBNPスパイク添加試験に比較して、併用時に試験サンプルに含まれるプロBNP又はNT−プロBNPとの結合の低下を示す1種以上の抗体を利用する試験サンプル中のヒトBNPのイムノアッセイを意味する。低下は約0.1%〜約20%、場合により約1%〜約20%、約0.1%〜約15%、約1%〜約15%、約0.1%〜約10%又は約1%〜約10%とすることができる。
gg)所定レベル
本明細書で使用する「所定レベル」なる用語は一般にアッセイ結果を所定レベルに比較することにより診断結果を判定するために使用されるアッセイカットオフ値を意味し、所定レベルは予め各種臨床パラメーター(例えば疾患の重篤度、進行/非進行/改善等)と関係又は関連付けられている。本発明は典型的な所定レベルを提示し、本明細書に記載するような典型的イムノアッセイに関してこのようなレベルと臨床パラメーターの初期関係又は関連について記載する。しかし、カットオフ値がイムノアッセイの種類(例えば利用する抗体等)により変動する場合があることは周知である。更に、この記載に基づいて他のイムノアッセイのイムノアッセイ特異的カットオフ値を得るように本発明を他のイムノアッセイに適応させることは当業者が十分に可能である。所定レベル(カットオフ)の厳密な値はアッセイ間で変動する場合があるが、本明細書に記載するような相関は一般に適用可能であると思われる。
B.イムノアッセイ
本明細書に要約するように、本発明は試験サンプル中のhBNP又はhBNPフラグメントの定性的検出及び/又は定量に使用することができるイムノアッセイに関する。本明細書に記載するイムノアッセイは試験サンプル中に含まれている可能性のあるヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対する交差反応性が低い。
本発明のイムノアッセイは当分野で公知の任意フォーマットを使用して実施することができ、限定されないが、サンドイッチフォーマットが挙げられる。
本発明の所定態様では、試験サンプル中のhBNP又はhBNPフラグメントを分離及び定量するために少なくとも2種類の抗体を使用する。より詳細には、少なくとも2種類の抗体はhBNP又はhBNPフラグメントの所定のエピトープと結合し、「サンドイッチ」と呼ばれる免疫複合体を形成する。一般に、イムノアッセイでは、試験サンプル中のhBNP又はhBNPフラグメントを捕捉するために1種類以上の抗体を使用することができ(これらの抗体は「キャプチャー」抗体と通称される)、検出可能(即ち定量可能)なラベルをサンドイッチに結合するために1種類以上の抗体を使用することができる(これらの抗体は「検出抗体」又は「コンジュゲート」と通称される)。
本発明者らはキャプチャー抗体及び検出抗体として抗体の所定の組合せを使用して優れたイムノアッセイ、特にサンドイッチアッセイを実施できることを発見した。より詳細には、本発明の特定態様でキャプチャー抗体及び検出抗体として使用される抗体は各々約3.0×10−7〜約1.0×10−13M、約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数(K)をもつ。上記範囲内の平衡解離定数(K)をもち、本発明のイムノアッセイでキャプチャー抗体及び検出抗体として使用することができる抗体の例としては限定されないが、106.3、BC203、クローン3、M1、AM1、AM5、201.3、AM8又は8.1が挙げられる。
所定のキャプチャー抗体とコンジュゲート抗体の組合せは同一又は重複するエピトープを共有するため、本明細書に記載するようなサンドイッチアッセイで併用するには好ましくない。同一又は重複するエピトープをもつ抗体群を下表Aに示す。
Figure 0005570415
一般に、異なる群(例えば任意に指定した「A」、「B」又は「C」)の抗体は相互に対になる。例えば、一般にA群からの抗体はB群からの抗体と対になる。しかし、所定の場合及びアッセイフォーマットでは、重複又は連続するエピトープをもつ2種類の抗体をサンドイッチ形成に使用することが可能である。換言するならば、表Aは例示に過ぎず、抗体対組合せに関して限定するものではない。
本明細書に記載するように実施するイムノアッセイは各々約3.0×10−7〜約1.0×10−13M、約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数(K)をもつ抗体を少なくとも1種のキャプチャー抗体及び少なくとも1種の検出抗体として利用し、前記少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体の併用時に試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNPに対して交差反応性の低下を示す。好ましくは、イムノアッセイは試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。より好ましくは、イムノアッセイは試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNPに対して約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満又は約1%未満(例えば約0.1%)の交差反応性を示す。
本発明の別の態様では、本明細書に記載するように実施するイムノアッセイは各々約3.0×10−7〜約1.0×10−13M、約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数(K)をもつ抗体を少なくとも1種のキャプチャー抗体及び少なくとも1種の検出抗体として利用し、試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して交差反応性の低下を示す。好ましくは、イムノアッセイは試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す。より好ましくは、イムノアッセイは試験サンプル中に存在する可能性のあるヒトプロBNP又はヒトNT−プロBNPに対して約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満又は約1%未満の交差反応性を示す。
hBNP又はhBNPフラグメントについて試験する試験サンプル(例えば含有している疑いのある試験サンプル)を少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体とに同時又は順次に任意順序で接触させることができる。例えば、試験サンプルを先ず少なくとも1種のキャプチャー抗体と接触させた後に(順次)少なくとも1種の検出抗体と接触させることができる。あるいは、試験サンプルを先ず少なくとも1種の検出抗体と接触させた後に(順次)少なくとも1種のキャプチャー抗体と接触させることができる。更に別法では、試験サンプルをキャプチャー抗体と検出抗体とに同時に接触させることができる。
サンドイッチアッセイフォーマットでは、第1の抗体−hBNPの複合体の形成を可能にする条件下で、hBNP又はhBNPフラグメントを含有している疑いのある試験サンプルを先ず、約3.0×10−7〜約1.0×10−13M、約2.5×10−7〜約5.0×10−13M、又は約2.0×10−7〜約1.0×10−12Mの平衡解離定数をもつ少なくとも1種の第1のキャプチャー抗体と接触させる。2種類以上のキャプチャー抗体を使用する場合には、第1の多重キャプチャー抗体−hBNPの複合体が形成される。サンドイッチアッセイでは、試験サンプル中に予想されるhBNP又はhBNPフラグメントの最大量よりも過剰の抗体、好ましくは少なくとも1種のキャプチャー抗体を使用する。例えば、緩衝液(例えば微粒子コーティング用緩衝液)1mL当たり約5μg/mL〜約1mg/mLの抗体を使用することができる。
場合により、試験サンプルを少なくとも1種のキャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と接触させる前に、第1の抗体−hBNPの複合体を試験サンプルから分離し易い固体支持体に少なくとも1種のキャプチャー抗体を固定することができる。当分野で公知の任意固体支持体を使用することができ、限定されないが、ウェル、チューブ又はビーズ形態のポリマー材料からなる固体支持体が挙げられる。hBNP又はhBNPフラグメントと結合する抗体の能力を妨げないという条件で、吸着、化学カップリング剤を使用する共有結合又は当分野で公知の他の手段により抗体を固体支持体に固定することができる。あるいは、(例えば、Seradyn,Indianapolis,Indianaから市販されているPower−Bind(登録商標)−SA−MPストレプトアビジンコート微粒子を使用して)予めストレプトアビジンをコーティングしておいた微粒子に抗体を固定することができる。あるいは、抗種特異的モノクローナル抗体を予めコーティングしておいた微粒子を使用して抗体を固定することもできる。更に、必要に応じて抗体の各種官能基と反応できるように固体支持体を誘導体化することもできる。このような誘導体化には所定のカップリング剤の使用が必要であり、限定されないが、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが挙げられる。
hBNP又はhBNPフラグメントについて試験する試験サンプル及び/又は含有する疑いのある試験サンプルを少なくとも1種のキャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と接触させた後、第1の抗体(又は多重抗体)−hBNPの複合体の形成を可能にするように混合物をインキュベートする。インキュベーションは約4.5〜約10.0のpH、約2℃〜約45℃の温度で少なくとも約1分間〜約18時間、好ましくは約1〜20分間、最も好ましくは約2〜4分間実施することができる。本明細書に記載するイムノアッセイは1段階(即ち、試験サンプルと少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体の全てを反応容器に順次又は同時に加える)で実施してもよいし、2段階以上、例えば2段階、3段階等で実施してもよい。
(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNPの複合体の形成後、((第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−第2の検出抗体の複合体の形成を可能にする条件下で)複合体を少なくとも1種の検出抗体と接触させる。少なくとも1種の検出抗体はイムノアッセイで使用する第2、第3、第4等の抗体とすることができる。キャプチャー抗体−hBNPの複合体を2種類以上の検出抗体と接触させるならば、(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−(多重)検出抗体の複合体が形成される。キャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)と同様に、少なくとも第2(以下)の検出抗体をキャプチャー抗体−hBNPの複合体と接触させる場合には、(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−(第2/多重)検出抗体の複合体の形成には上記と同様の条件下のインキュベーション時間が必要である。少なくとも1種の検出抗体は検出可能なラベルを含むことが好ましい。(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−(第2/多重)検出抗体の複合体の形成よりも前、同時又はその後に検出可能なラベルを少なくとも1種の検出抗体(例えば第2の検出抗体)に固定することができる。当分野で公知の任意の検出可能なラベルを使用することができる。例えば、検出可能なラベルは放射性ラベル(例えばH、125I、35S、14C、32P、33P)、酵素ラベル(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ等)、化学発光ラベル(例えばアクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノール、チオエステル、スルホンアミド、フェナントリジニウムエステル等)、蛍光ラベル(例えばフルオレセイン(5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロフルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート等)、ローダミン、フィコビリプロテイン、R−フィコエリスリン、量子ドット(硫化亜鉛をコートしたセレン化カドミウム))、温度ラベル又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応ラベルとすることができる。ラベル、標識法及びラベル検出の概要はPolak and Van Noorden,Introduction to Immunocytochemistry,2nd ed.,Springer Verlag,N.Y.(1997)と、Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oregonから発行されたハンドブック兼カタログであるHaugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)に記載されている。更に、2種類以上のラベルを使用することもできる。例えば、各々異なるラベルを含む二重コンジュゲートを使用することができる。例えば、一方のコンジュゲート抗体にはビオチンを付加し、第2のコンジュゲートはアクリジニウムで標識した抗ビオチン抗体とすることができる。他の変形も当業者に容易に認識されよう。
検出可能なラベルは抗体に直接固定してもよいし、カップリング剤により固定してもよい。使用可能なカップリング剤の1例はSigma−Aldrich,St.Louis,MOから市販されているEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)である。使用可能な他のカップリング剤は当分野で公知である。検出可能なラベルを抗体に固定する方法は当分野で公知である。更に、検出可能なラベルを抗体にカップリングし易くする末端基を予め付加した多数の検出可能なラベルを購入又は合成することができ、例えばN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−カルボキシプロピル)アクリジニウム−9−カルボキサミド活性エステル(別称CPSP−アクリジニウムエステル)又はN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)アクリジニウム−9−カルボキサミド活性エステル(別称SPSP−アクリジニウムエステル)が挙げられる。
(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−(第2/多重)検出抗体の複合体は必ずしもそうしなくてもよいが、ラベルの定量前に試験サンプルの残余から分離することができる。例えば、少なくとも1種のキャプチャー抗体(例えば第1のキャプチャー抗体)をウェルやビーズ等の固体支持体に固定している場合には、(試験サンプルの)液体を固体支持体から引き離すことにより分離を行うことができる。あるいは、少なくとも1種の第1のキャプチャー抗体を固体支持体に固定している場合には、hBNP含有サンプルと少なくとも1種の第2の検出抗体とに同時に接触させ、第1の(多重)抗体−hBNP−第2の(多重)抗体の複合体を形成した後に、液体(試験サンプル)を固体支持体から引き離すことができる。少なくとも1種の第1のキャプチャー抗体を固体支持体に固定していない場合には、ラベルの量を定量するために(第1/多重)キャプチャー抗体−hBNP−(第2/多重)検出抗体の複合体を試験サンプルから除去する必要はない。
標識キャプチャー抗体−hBNP−検出抗体の複合体(例えば第1のキャプチャー抗体−hBNP−第2の検出抗体の複合体)の形成後、当分野で公知の技術を使用して複合体中のラベルの量を定量する。例えば、酵素ラベルを使用する場合には、発色等の定量可能な反応を生じるラベルの基質と標識複合体を反応させる。ラベルが放射性ラベルの場合にはには、シンチレーションカウンターを使用してラベルを定量する。ラベルが蛍光ラベルの場合には、ある色(「励起波長」と言う)の光でラベルを刺激し、刺激に応答してラベルにより発光される別の色(「発光波長」と言う)を検出することによりラベルを定量する。ラベルが化学発光ラベルの場合には、目視又はルミノメーター、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラ等を使用して発光を検出することによりラベルを定量する。複合体中のラベルの量を定量したら、既知濃度のhBNP又はhBNPフラグメントの希釈系列を使用して作成しておいた標準曲線を利用して試験サンプル中のhBNP又はhBNPフラグメントの濃度を測定する。hBNP又はhBNPフラグメントの希釈系列の使用以外に、重量測定、質量分析法及び当分野で公知の他の技術により標準曲線を作成することもできる。
C.試験サンプル中の所定比の測定方法
別の態様において、本発明は(a)試験サンプル中のhBNPの量とヒトプロBNPの量又は(b)試験サンプル中のヒトプロBNPとhBNPの量のモル比又は重量比の測定方法に関する。詳細には、本発明の方法は試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階を含む。試験サンプル中のhBNPの量を測定又は定量するのに適した任意方法を使用することができる。このような方法は当分野で周知である。例えば、このような方法は本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイ等のイムノアッセイとすることができる。更に、本発明の方法は試験サンプル中のヒトプロBNPの量を測定又は適切する段階を含む。試験サンプル中のヒトプロBNPの量を測定又は定量するのに適した任意方法を使用することができる。このような方法は当分野で周知である。例えば、このような方法は本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイ等のイムノアッセイとすることができる。あるいは、実施例2に記載する方法等の方法を使用することができる。試験サンプル中のhBNP又はヒトプロBNPの量を測定又は定量する順序は特に重要ではない。測定することができるモル比又は重量比は(i)前記サンプル中のhBNPの量とヒトプロBNPの量;又は(ii)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量の比とすることができる。測定するモル比又は重量比は試験サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量の比が好ましい。
上記方法に従って測定したヒトプロBNP/hBNPのモル比は約1.0〜約50.0とすることができる。この範囲は約1.20〜約45.0が好ましい。上記方法に従って測定したヒトプロBNP/hBNPの重量比は約2.0〜約150.0とすることができる。好ましくは、この範囲は約4.0〜約145.0である。上記方法に従って測定したhBNP/ヒトプロBNPのモル比は約0.02〜約0.72とすることができる。上記方法に従って測定したhBNP/ヒトプロBNPの重量比は約0.007〜約0.21とすることができる。
本明細書に記載する方法を使用して測定したモル比又は重量比は対象の臨床状態(即ち疾患の重篤度又は進行)の指標を提供するために利用することができる。例えば、本発明の方法を使用して測定したモル比又は重量比は対象が心不全等の疾患を発症しているか否かを判定するために使用することができる。あるいは、本明細書に記載するモル比又は重量比は心不全を発症している対象をニューヨーク心臓協会(NYHA)分類I、II、IIIもしくはIVのいずれかに分類すべきであるか又は所定のニューヨーク心臓協会分類に分類された対象が別のニューヨーク心臓協会分類まで進行している(例えば対象は当初にニューヨーク心臓協会分類IIに分類された後に、対象はニューヨーク心臓協会分類IIIまで進行している)かを判定するために使用することができる。具体的には、
(a)対象からの試験サンプルを準備する段階と;
(b)本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイのいずれかに従って試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
(c)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)モル比又は重量比を対象における疾患の重篤度又は進行と相関させる段階を含む方法により、対象における心血管疾患等の疾患の重篤度又は進行を判定することができる。具体的には、モル比又は重量比を対象における心血管疾患の重篤度と相関させる場合には、重篤度が高いときに比は所定レベルよりも低く、重篤度が低いときに比は所定レベルよりも高い。モル比又は重量比を対象における疾患の進行と相関させる場合には、比は進行している対象では初期試験サンプルの比に比較して低下し、比は心血管疾患が進行していない対象又は改善した対象では初期試験サンプル中の比に比較して変化しないか又は上昇する。対象における治療の開始前又は対象における治療の開始後に心血管疾患等の疾患の進行を監視することができる。
更に、本明細書に記載する方法を使用して測定したモル比又は重量比を使用し、対象のcorin又はfurin遺伝子が突然変異しているか否かを判定又は判断することができる。corinとfurinはナトリウム利尿性ペプチドのプロ体(例えばcorinはプロANPとプロBNPの両者を開裂し、furinはプロCNPとプロBNPを開裂する)をその活性形(ANP,BNP,CNP)とそのN末端不活性ペプチドに開裂することが知られているセリンプロテアーゼである。これらの遺伝子の突然変異の結果、これらの遺伝子を必要とするプロホルモンのプロセシングが不完全になり、活性ペプチドの循環量が低下する可能性がある。従って、corin又はfurinが突然変異した対象は突然変異していない対象又は野生型対立遺伝子をもつ対象よりもヒトプロBNPとhBNPの比が高くなると予想される。このことを利用して心血管疾患の治療が有効であった対象を同定することができ、特に心血管疾患のナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が有効であった対象を判定又は同定することができる。例えば、このような方法は、
(a)心血管疾患に関連する1種以上の臨床徴候を示す対象(例えばそのcorin又はfurin遺伝子が突然変異した対象)から試験サンプルを採取する段階と;
(b)本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイのいずれかに従って試験サンプル中のヒトBNPの量を測定する段階と;
(c)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)段階(d)で求めたモル比又は重量比が所定レベルよりも高いか又は低いかを判定する段階と;
(f)段階(e)の判定に基づいてナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったか否かを判断する段階を含むことができる。具体的には、段階(d)で求めた比が所定レベルよりも低い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効でなかったと判断する。他方、段階(d)で求めた比が所定レベルよりも高い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったと判断する。対象を治療するために使用することができるヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体の1例はネシリチドである。このような対象の治療の種類と量は日常的技術を使用して当業者が容易に決定することができる。
更に、本明細書に記載する方法を使用して測定したモル比又は重量比を使用し、対象が1種以上の医薬組成物を前記対象に投与した結果として心血管合併症を発症しているか否かを判定することができる。例えば、このような方法は、
(a)対象に1種以上の医薬組成物を投与する前に対象から第1の試験サンプルを採取する段階と;
(b)本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイのいずれかに従って試験サンプル中のヒトBNPの量を測定する段階と;
(c)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(d)前記サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(e)対象に1種以上の医薬組成物を投与した後に対象から第2の試験サンプルを採取する段階と;
(f)本明細書(例えば上記セクションB)に記載するイムノアッセイのいずれかに従って第2の試験サンプル中のヒトBNPの量を測定する段階と;
(g)前記第2の試験サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
(h)前記第2の試験サンプル中のヒトプロBNPの量とhBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
(i)段階(d)で求めたモル比又は重量比を段階(h)のモル比又は重量比と比較する段階を含むことができる。具体的には、段階(d)で求めたモル比又は重量比が段階(h)で求めたモル比又は重量比に比較して変化していない場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していないと判定する。段階(d)で求めたモル比又は重量比が段階(h)で求めたモル比又は重量比に比較して変化(上昇又は低下)している場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していると判定する。
D.方法の応用
本発明は更に、例えば米国特許第5,089,424号及び5,006,309号に記載され、例えばAbbott Laboratories(Abbott Park,IL)から市販されているような各種自動及び半自動システム(固相が微粒子からなるものを含む)で使用するように応用することもでき、このようなシステムとしては限定されないが、Abbott社のARCHITECT(登録商標)、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)、PRISM(登録商標)及びQuantum(登録商標)II機器と、他のプラットフォームが挙げられる。更に、本発明は場合によりサンドイッチイムノアッセイを実施するためのAbbott Laboratories社の市販ポイントオブケア(i−STAT(登録商標))電気化学イムノアッセイシステムにも応用可能である。免疫センサーとその製造方法及び使い捨て装置における操作方法は例えば米国特許第5,063,081号、米国特許出願第2003/0170881号、米国特許出願第2004/0018577号、米国特許出願第2005/0054078号、及び米国特許出願第2006/0160164号に記載されている。
E.典型的キット
本発明は更に自動及び半自動システム及びプラットフォーム用の各種キットで使用するように応用することもでき、例えばAbbott Laboratories(Abbott Park,IL)から市販されているものとして、限定されないが、Abbott Laboratories社のARCHITECT(登録商標)、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)、PRISM(登録商標)及びQuantum(登録商標)II機器)、サンドイッチイムノアッセイを実施するためのAbbott Laboratories社の市販ポイントオブケア(i−STAT(登録商標))電気化学イムノアッセイシステム、並びに他のプラットフォームが挙げられる。
このようなキットは本明細書に記載する免疫診断試薬(例えば抗体)の1種以上を含むことができる。より詳細には、キットがイムノアッセイを実施するためのキットである場合には、キットは場合により(1)hBNPと結合し、併用時にヒトプロBNP及びヒトNT−プロBNPに対して低い交差反応性を示す少なくとも1種のキャプチャー抗体及び検出抗体と;(2)イムノアッセイを実施するための1種以上の説明書を含むことができる。キャプチャー抗体として、検出抗体として、又はキャプチャー抗体と検出抗体の両者として本発明の免疫診断試薬をこのような試験キットに含むことができる。例えば、抗体クローン3をキャプチャー抗体としてキットに含むことができ、抗体AM1を検出抗体としてキットに含むことができる。あるいは、抗体クローン3をキャプチャー抗体としてキットに含むことができ、抗体8.1を検出抗体としてキットに含むことができる。場合により、キットは更に少なくとも1種の較正物質又は対照を含むことができる。任意較正物質又は対照をキットに含むことができる。しかし、較正物質又は対照はhBNPが好ましく、特に上記配列番号4である。従って、キットは少なくとも1種の較正物質、又は少なくとも1種の対照、又は少なくとも1種の較正物質と少なくとも1種の対照の組合せを含むことができる。
場合により、キットは更に品質管理用試薬(例えば感受性パネル、較正物質及び陽性対照)を含むことができる。品質管理用試薬の作製は当分野で周知であり、例えば各種免疫診断剤添付シートに記載されている。場合により、例えば既知量のhBNP抗原を適切なアッセイバッファー(例えばリン酸緩衝液)にスパイク添加することにより、例えば「低」から「高」までの既知量のhBNP抗原を含有する各種量のヒトBNP感受性パネルメンバーを作製することができる。これらの感受性パネルメンバーは場合によりアッセイ性能特性を確認するために使用され、更に、場合によりイムノアッセイキット試薬の完全性とアッセイ標準化の有用な指標である。hBNP抗原も較正物質として使用することができる。
キットで提供する抗体はフルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジンラベル、クロモフォア、化学発光ラベル等の検出可能なラベルを付加することができ、あるいはキットは抗体の標識用試薬又は抗体(例えば検出抗体)の検出用及び/又は抗原の標識用試薬又は抗原の検出用試薬を含むことができる。抗体、較正物質及び/又は対照は別々の容器で提供してもよいし、適切なアッセイフォーマット、例えばマイクロタイタープレートに予め分配してもよい。
更に別の態様において、キットは106.3、BC203、クローン3、M1、AM1、AM5、201.3、AM8及び8.1から構成される群から選択される1種以上の抗体を含有する免疫診断剤を単独、説明書と共に、又はキット及びキット成分の他の側面と共に含むことができる。
キットは場合により診断アッセイを実施するため又は品質管理評価を助長するために必要な他の試薬(例えば緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬等)を含むことができる。試験サンプルの単離及び/又は処理用緩衝液及び溶液(例えば前処理用試薬)等の他の成分もキットに加えてもよい。更に1種以上の他の対照をキットに加えてもよい。キットの成分の1種以上を凍結乾燥し、凍結乾燥成分の再構成に適した試薬をキットに更に加えてもよい。
キットの各種成分は場合により適切な容器に入れて提供される。上記のように、容器の1種以上はマイクロタイタープレートとすることができる。キットは更にサンプルの保持又は保存用容器(例えば血液又は尿サンプル用容器又はカートリッジ)を含むことができる。必要に応じて、キットは更に場合により反応容器、混合容器及び試薬又は試験サンプルの作製を助長する他の成分を含むことができる。キットは更に試験サンプルの採取補助用の1種以上の機器(例えばシリンジ、ピペット、ピンセット、計量スプーン等)を含むことができる。
キットは更に場合により使用説明書を含むことができ、紙形態でもよいし、ディスク、CD、DVD等のコンピュータ読取り可能な形態でもよい。
以下、非限定的な例示として本発明の実施例を記載する。
ヒトプロBNPに対する交差反応性が<10%のヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)サンドイッチアッセイ
ARCHITECT(登録商標)−hBNP特異的アッセイ(以下、「Arc−hBNP」と言う)に備え、常磁性粒子にモノクローナル抗体(「mAb」)3−631−436をコーティングした。このmAbはhBNPペプチド上のアミノ酸13−18を含むアミノ酸配列と結合する。ハイブリドーマ細胞株3−631−436により産生されるモノクローナル抗体を本明細書では「モノクローナル抗体3−631−436」又は「クローン3」及び「BNP3−631−436ms」と言う場合もある。更に、マウスハイブリドーマ細胞株3−631−436は2004年12月21日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−6476を付与されている。米国特許第6,162,902号に記載の技術を使用してBNP3−631−436ms mAbを常磁性粒子(Polymer Laboratories,Amherst,MA)にコーティングした。具体的には、EDACカップリングを使用した。EDACは一般に第1級アミンとのアミド結合用カルボキシル活性化剤として使用されている。更に、リン酸基と反応する。また、ペプチド合成、蛋白質と核酸の架橋及び免疫コンジュゲートの作製に使用されている。EDACの化学名は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。EDACはSigma−Aldrich,St.Louis,MOから市販されている。粒子を洗浄し、BSAをオーバーコートした。これらの粒子を検体の存在下の1回目のインキュベーション中のアッセイでキャプチャー試薬として使用する。
モノクローナル抗体106.3 L1 B24/H2 288をN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−カルボキシプロピル)アクリジニウム−9−カルボキサミド活性エステル(別称CPSP−アクリジニウムエステル)(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)で標識した。このmAbはhBNPペプチド上のアミノ酸5−13を含むアミノ酸配列と結合する。ハイブリドーマ細胞株106.3 L1 B24/H2 288により産生されるモノクローナル抗体を本明細書では「モノクローナル抗体106.3 L1 B24/H2 288」、「106.3AM1」及び「AM1」と言う場合もある。更に、マウスハイブリドーマ細胞株106.3 L1 B24/H2 288は2005年9月20日付けでA.T.C.C.に寄託され、A.T.C.C.Accession No.PTA−6987を付与されている。アクリジニウムで標識した抗体106.3AM1を2回目のインキュベーション中のアッセイで使用し、粒子と結合したhBNPペプチドを検出する。標識は抗体106.3AM1と活性化アクリジニウムカルボキサミドエステルの反応により生じた。
補完として他のキャプチャー試薬(106.3AM1、BC203、201.3、8.1、M1)を作製した。これらの粒子を検体の存在下の1回目のインキュベーション中のアッセイでキャプチャー試薬として使用する。上記の補完として他の検出試薬(8.1、M1、201.3、BC203及びBNP3−631−436msコンジュゲート)を作製した。活性化アクリジニウムカルボキサミドエステルを使用して抗体−アクリジニウムコンジュゲートを作製した。抗体−アクリジニウムコンジュゲートを2回目のインキュベーション中のアッセイで使用し、粒子と結合したhBNPペプチドを検出する。
hBNPの全イムノアッセイはARCHITECT(登録商標)機器で実施した(この機器は米国特許第5,468,646号に記載されている)。
Peptides International,Inc.(Louisville,KY)から入手した材料を(米国特許公開第2005/0014287号に記載されている)hBNP較正物質希釈剤で希釈することにより全長hBNP較正物質(アミノ酸残基1−32)を作製した。HyTest Ltd.(Turku,フィンランド)から入手した全長ヒトプロBNPをhBNP較正物質希釈剤で希釈することによりヒトプロBNP溶液(アミノ酸残基1−108)を調製した。回収率%実験で使用した全ヒトプロBNPスパイク添加溶液はhBNP較正物質モル濃度に等しい濃度とした。
キャプチャー抗体をTris/BSA希釈剤で希釈してコーティングした微粒子をサンプリングセンターでサンプリングプローブにより個々の反応容器に注入した。微粒子を入れた各反応容器にhBNP較正物質又はヒトプロBNPスパイク添加溶液を含むアリコートを分配し、反応混合物を形成した。反応混合物を約4分間約37℃の温度でインキュベートした。インキュベーション後に反応混合物をARCHITECT(登録商標)系希釈剤で洗浄し、捕捉されなかったhBNP又はヒトプロBNPペプチドを除去した。ARCHITECT(登録商標)系希釈剤はAbbott Laboratories,Abbott Park,Illinoisから市販されている。
次にMES希釈剤で150ng/mLまで希釈した抗体−アクリジニウムコンジュゲートを反応容器に分配し、得られた混合物を約4分間約37℃の温度でインキュベートした。インキュベーション後に反応容器をARCHITECT(登録商標)系希釈剤で洗浄し、未結合材料を除去した。
反応容器に過酸化水素溶液、次いで水酸化ナトリウムを加え、ARCHITECT(登録商標)機器の化学発光微粒子イムノアッセイ(CMIA)光学アセンブリにより化学発光シグナルを測定した。
ARCHITECT(登録商標)システムはアクリジニウムシグナルを一般に相対発光量(以下、「rlu」と言う)として測定する。2回ずつ測定した。下表1a〜1fと図1に示す結果はhBNP較正物質の2回の測定値の平均と典型的較正曲線を示す。
Figure 0005570415
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較正物質曲線が得られたら、スパイク添加試験を実施し、ヒトプロBNPに対する交差反応性を測定した。BNP較正物質範囲にわたって等モル濃度でプロBNPのスパイク添加を実施した。図2は選択した抗体組合せのスパイク添加ヒトプロBNPペプチドの平均回収率%を示す。表2a〜2fはヒトプロBNPの平均読取値濃度(pg/mL)を示す。
Figure 0005570415
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これらのデータからプロBNPに対する交差反応性が約20%又は約15%及び/又は約10%未満であり、ヒトBNPに特異的なアッセイ構成であることが確認される。例えば、BNP3−631−436ms/106.3AM1及びBNP3−631−436ms/8.1の2種類のアッセイ構成はプロBNPに対して10%未満の交差反応性を示し、従って、BNPに特異的なアッセイである。
hBNPに対する交差反応性のないヒトプロB型ナトリウム利尿ペプチド(ヒトプロBNP)サンドイッチアッセイ
ARCHITECT(登録商標)−ヒトプロBNP特異的アッセイ(以下、「Arc−ヒトプロBNP」と言う)に備え、上記のように常磁性粒子にmAb 106.3AM1をコーティングした。米国特許第6,162,902号に記載の技術を使用して上記のように106.3AM1 mAbを常磁性粒子(Polymer Laboratories,Amherst,MA)にコーティングした。これらの粒子を検体の存在下1回目のインキュベーション中のアッセイでキャプチャー試薬として使用する。
モノクローナル抗体18H5をアクリジニウム(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)で標識した。このmAbはヒトプロBNPペプチド上のアミノ酸13−27を含むアミノ酸配列と結合し、従って、可能な糖鎖付加領域の外側と結合する。モノクローナル抗体18H5はHyTest Ltd.(Turku,フィンランド)から市販されている。アクリジニウムで標識した抗体18H5を2回目のインキュベーション中のアッセイで使用し、粒子と結合したヒトプロBNPペプチドを検出する。標識は抗体18H5と活性化アクリジニウムカルボキサミドエステルの反応により生じた。
ヒトプロBNPの全イムノアッセイはARCHITECT(登録商標)機器で実施した。HyTest Ltd.(Turku,フィンランド)から入手した材料をhBNP較正物質希釈剤で希釈することによりヒトプロBNP較正物質(アミノ酸残基1−108)を作製した。実施例1からのhBNP較正物質溶液をhBNPスパイク添加溶液として使用した。利用した全hBNP及びヒトプロBNP溶液は等モル濃度とした。
106.3AM1キャプチャー抗体をTris/BSA希釈剤で希釈してコーティングした微粒子をサンプリングセンターでサンプリングプローブにより個々の反応容器に注入した。微粒子を入れた各反応容器にヒトプロBNP較正物質又はhBNPスパイク添加溶液を含むアリコートを分配し、反応混合物を形成した。反応混合物を約4分間約37℃の温度でインキュベートした。インキュベーション後に反応混合物をARCHITECT(登録商標)系希釈剤で洗浄し、捕捉されなかったヒトプロBNP又はhBNPペプチドを除去した。
次にMES希釈剤で150ng/mLまで希釈した18H5抗体−アクリジニウムコンジュゲートを反応容器に分配し、得られた混合物を約4分間約37℃の温度でインキュベートした。インキュベーション後に反応容器をARCHITECT(登録商標)系希釈剤で洗浄し、未結合材料を除去した。
反応容器に過酸化水素溶液、次いで水酸化ナトリウムを加え、ARCHITECT(登録商標)機器の化学発光微粒子イムノアッセイ(CMIA)光学アセンブリにより化学発光シグナルを測定した。
3回ずつ測定した。下表3と図3に示す結果はヒトプロBNP較正物質の3回の測定値の平均と典型的較正曲線を示す。
Figure 0005570415
具体的には、表4の結果はhBNPの平均読取値濃度(pg/mL)とスパイク添加hBNPペプチドの回収率%を示す。
Figure 0005570415
従って、以上から明らかなように、106.3AM1と18 H5によるアッセイはhBNPに対する交差反応性がなく、ヒトプロBNPのみを検出する。
臨床サンプル中のヒトプロBNP/hBNP比の測定
20個のEDTA血漿検体をARUP Laboratories(Salt Lake City,UT)から入手した。サンプルはドライアイスで梱包して輸送し、使用時まで−70℃で保存した。サンプルは医師がBNP試験用に依頼した各種年齢の男女対象から採取した。
BNP3−631−436ms微粒子/106.3AM1アクリジニウムコンジュゲート組合せを使用して上記のようにARCHITECT(登録商標)−hBNP特異的測定を実施した。106.3AM1微粒子/18H5アクリジニウムコンジュゲート組合せを使用して上記のようにARCHITECT(登録商標)−ヒトプロBNP特異的測定を実施した。hBNP及びヒトプロBNPの全イムノアッセイは上記のように作製したBNP較正物質(アミノ酸残基1−32)とヒトプロBNP較正物質(アミノ酸残基1−108)を使用してARCHITECT(登録商標)機器で実施した。
全hBNP及びヒトプロBNP較正物質は検体特異的キットを使用して2回ずつ測定し、2点間データ減少法を使用してフィットさせ、各検体の較正曲線を作成した。夫々の較正曲線から読取った単一測定値から各患者検体におけるhBNPとプロBNPの濃度を求めた。各患者検体におけるhBNP及びヒトプロBNP濃度の読取値を下表5に示す。具体的には、表5の結果は患者検体におけるhBNP又はヒトプロBNPをpg/mL又はピコモル(pM)で表す。
Figure 0005570415
ヒトプロBNPとBNP又はhBNPとヒトプロBNPのモル比と重量比も測定した。プロBNP/BNPのモル比(上記表5参照)は1.39〜5.74であった。BNP/プロBNPのモル比は0.17〜0.72であった。比の概算4倍範囲を示した。プロBNP/BNPの重量比は4.79〜19.72であり、BNP/プロBNPの重量比は0.051〜0.209であった。この場合も、比の概算4倍範囲を示した。
臨床サンプル中のヒトプロBNP/hBNPモル比及び重量比の測定
ニューヨーク心臓協会分類I−IVに分類した73個のHF血漿検体をProMedDx,LLC(Norton,MA)から入手した。サンプルはドライアイスで梱包して輸送し、使用時まで−70℃で保存した。
クローン3微粒子/106.3AM1アクリジニウムコンジュゲート組合せを使用して上記のようにARCHITECT(登録商標)−hBNP特異的測定を実施した。106.3AM1微粒子/18H5アクリジニウムコンジュゲート組合せを使用して上記のようにARCHITECT(登録商標)−ヒトプロBNP特異的測定を実施した。hBNP及びヒトプロBNPの全イムノアッセイは上記のように作製したBNP較正物質(アミノ酸残基1−32)とヒトプロBNP較正物質(アミノ酸残基1−108)を使用してARCHITECT(登録商標)機器で実施した。
全hBNP及びヒトプロBNP較正物質は検体特異的キットを使用して2回ずつ測定し、2点間データ減少法を使用してフィットさせ、各検体の較正曲線を作成した。夫々の較正曲線から読取った単一測定値から各患者検体におけるhBNPとヒトプロBNPの濃度を求めた。各患者検体におけるhBNP及びヒトプロBNP濃度の読取値を下表6A及びBに示す。ヒトプロBNP/hBNP及びhBNP/ヒトプロBNPのモル比と重量比も表6A及びBに示す。図4は測定したヒトプロBNPに対するhBNPの濃度のプロットを示し、数値間の一般相関を示す。具体的には、図4の結果は患者検体におけるhBNP又はヒトプロBNPをpMで表す。各NYHA分類のヒトプロBNP/hBNPモル比及び重量比の平均値を表7A及びBに示す。疾患の重篤度と試験したNYHA IVサンプル数が少ない(n=3)ことから、NYHAクラスIII及びIVの患者は同一分類とする。
Figure 0005570415
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ニューヨーク心臓協会分類I−IVにより心不全に分類される対象ではヒトプロBNPとhBNPの比に相関が認められ、即ち臨床徴候により測定した疾患重篤度の上昇(即ちNYHAクラスの上昇)に伴ってヒトプロBNP/hBNP比(モル又は重量)の低下が認められた。
当業者に容易に理解されるように、本発明は目的を実施し、記載した結果と利点を得ると共に、それらに内在する結果と利点を得るために好適である。本明細書に記載する分子複合体と方法、手順、処理、分子、特定化合物は好ましい態様の現在の代表例であり、例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者に容易に理解されるように、発明の範囲と精神から逸脱せずに本発明に種々の置換及び変更を加えることができる。
本明細書に引用した全特許及び刊行物は本発明が属する分野の当業者の技術水準を示すものである。
本明細書に具体的に記載する発明は本明細書に具体的に開示しない要素、限定の不在下で適切に実施することができる。従って、例えば、本明細書の各箇所で「〜を含む」、「〜から本質的に構成される」及び「〜から構成される」なる用語はいずれも相互に置き換えることができる。利用した用語及び表現は説明として使用するものであり、限定ではなく、このような用語及び表現の使用において表示及び記載する特徴又はその部分の等価物を排除する意図はなく、請求する発明の範囲内で種々の変更が可能であるとみなされる。従って、好ましい態様と非必須の特徴により本発明を具体的に開示したが、当然のことながら、当業者は本明細書に開示する概念の変更及び変形も採用することができ、このような変更及び変形も特許請求の範囲に定義するような本発明の範囲に含むものとみなす。

Claims (7)

  1. 対象における心血管疾患の重篤度のインビトロにおける判定方法であって、
    (a)hBNPの量を定量化するためのイムノアッセイに従って試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
    (b)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
    (c)前記サンプルにおけるhBNPの量に対するヒトプロBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
    (d)モル比又は重量比を対象における心血管疾患の重篤度と相関させる段階と
    を含み、前記比が所定レベルよりも低い場合には対象は心血管疾患の重篤度が高いと判定し、前記比が所定レベルよりも高い場合には対象は心血管疾患の重篤度が低いと判定し、
    hBNPの量を測定するための前記イムノアッセイは、試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに交差反応性が低く、前記イムノアッセイは、
    (I)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階と、ここで、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (II)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階と、ここで、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (III)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(II)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階と
    を含み、
    少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体が、併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す、方法。
  2. 心血管疾患が冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、心筋梗塞及び心不全からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 対象における心血管疾患の進行のインビトロにおける監視方法であって、
    (a)hBNPの量を定量化するためのイムノアッセイに従って試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
    (b)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
    (c)前記サンプルにおけるhBNPの量に対するヒトプロBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
    (d)モル比又は重量比を対象における疾患の進行と相関させる段階と
    を含み、前記比は進行している対象では初期試験サンプル中の比に比較して低下し、前記比は心血管疾患が進行していない対象又は改善した対象では初期試験サンプル中の比に比較して変化しないか又は上昇し、
    hBNPの量を測定するための前記イムノアッセイは、試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに交差反応性が低く、前記イムノアッセイは、
    (I)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階と、ここで、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (II)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階と、ここで、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (III)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(II)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階と
    を含み、
    少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体が、併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す、方法。
  4. 心血管疾患の治療後に前記監視を実施する請求項3に記載の方法。
  5. 心血管疾患のナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が有効であった対象のインビトロにおける同定方法であって、
    (a)hBNPの量を定量化するためのイムノアッセイによって、心血管疾患に関連する1種以上の臨床徴候を示す対象から得られた試験サンプル中のhBNPの量を測定する段階と;
    (b)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
    (c)前記サンプルにおけるhBNPの量に対するヒトプロBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
    (d)段階(c)で求めたモル比又は重量比が所定レベルよりも高いか又は低いかを判定する段階と;
    (e)段階(d)の判定に基づいてナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったか否かを判断する段階と
    を含み、比が所定レベルよりも低い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効でなかったと判断し、前記比が所定レベルよりも高い場合には、ナトリウム利尿ペプチド誘導体治療が対象に有効であったと判断し、
    ヒトBNPの量を測定するための前記イムノアッセイは、試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに交差反応性が低く、前記イムノアッセイは、
    (I)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階と、ここで、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (II)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階と、ここで、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (III)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(II)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階と
    を含み、
    少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体が、併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す、方法。
  6. ナトリウム利尿ペプチド誘導体がネシリチドである請求項5に記載の方法。
  7. 対象が1種以上の医薬組成物を前記対象に投与した結果として心血管合併症を発症しているか否かを判定するインビトロにおける方法であって、
    (a)対象に1種以上の医薬組成物を投与する前に、試験サンプル中に存在するhBNPの量を定量するためのイムノアッセイによって、対象から得られた試験サンプル中のヒトBNPの量を測定する段階と;
    (b)前記サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
    (c)前記サンプルにおけるhBNPの量に対するヒトプロBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
    (d)対象に1種以上の医薬組成物を投与した後に、前記イムノアッセイによって、対象から得られた第2の試験サンプル中のヒトBNPの量を測定する段階と;
    (e)前記第2の試験サンプル中のヒトプロBNPの量を測定する段階と;
    (f)前記第2の試験サンプルにおけるhBNPの量に対するヒトプロBNPの量のモル比又は重量比を求める段階と;
    (g)段階(c)で求めたモル比又は重量比を段階(f)のモル比又は重量比と比較する段階と
    を含み、段階(c)で求めたモル比又は重量比が段階(f)で求めたモル比又は重量比に比較して変化していない場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していないと判定し、段階(c)で求めたモル比又は重量比が段階(f)で求めたモル比又は重量比に比較して変化している場合には、対象が1種以上の医薬組成物の投与の結果として心血管合併症を発症していると判定し、
    hBNPの量を測定するための前記イムノアッセイは、試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに交差反応性が低く、前記イムノアッセイは、
    (I)hBNPと結合し、固相に固定化して固定化抗体とした少なくとも1種のキャプチャー抗体を前記試験サンプルと接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む第1の混合物を形成する段階と、ここで、前記キャプチャー抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (II)hBNPと結合し、検出可能なラベルで標識した少なくとも1種の検出抗体と、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNPの複合体を含む前記第1の混合物を接触させ、少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体を含む第2の混合物を形成する段階と、ここで、前記検出抗体は約3.0×10−7〜約1.0×10−13Mの平衡解離定数(K)をもつ1種以上の抗体を含む;
    (III)試験サンプル中に含まれるhBNPの量の尺度として検出可能なラベルを検出することにより、段階(II)で形成された少なくとも1種のキャプチャー抗体−hBNP−少なくとも1種の検出抗体の複合体の量を測定する段階と
    を含み、
    少なくとも1種のキャプチャー抗体と少なくとも1種の検出抗体が、併用時に試験サンプル中に存在するヒトプロBNPに対して約20%未満の交差反応性を示す、方法。
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