JP5570382B2 - ポリマー套管用の吊り治具、及び、ポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造 - Google Patents

ポリマー套管用の吊り治具、及び、ポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造 Download PDF

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Description

本発明は、ポリマー套管の吊り治具、及び、ポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造に関し、特に、複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー套管用の吊り治具及び接続構造に関する。
近年、套管の軽量化、スリム化、縮小化、套管種類の共通化及び作業工程の簡略化等を図る観点から、エポキシブッシング等の絶縁体の表面に、シリコーンゴム等のポリマー被覆体を直接モールドした、固体絶縁構造(完全乾式)のポリマー套管が使用されている。この種のポリマー套管は、ケーブル終端接続部として、或いは、ブッシングとして用いられる。
この種のポリマー套管は、複数の襞部が外面の長手方向に亘って所定の間隔をもって離間して形成されている。
従来、この種のポリマー套管の取り付け作業や運搬作業は、図1に示すように、ポリマー套管1の表面にナイロンスリング等の紐2を掛け、この紐2をクレーンのプーリー3及びチェーンブロック4に設けられたそれぞれのフックに掛けることにより、ポリマー套管1を吊り上げ、かつ、ポリマー套管1の高さ及び傾きを変えながら行われる。
また、ポリマー套管を設置するときの作業性を向上させるものとして、特許文献1では、簡易足場が提案されている。
特開2010−22106号公報
ところで、ポリマー套管の表面はシリコーンゴム等のポリマーが用いられているので、表面に紐2を掛けて吊り上げる方法を用いると、シリコーンゴム等のポリマーの表面に汚れ等の吊り跡が転写し易い。そのため、吊り上げに用いる紐2として、毎回新しいものを用いたり、突起の無いものを用いる必要がある。また、紐2の掛け方が悪いと、ポリマー套管の吊り上げ状態が不安定になり、ポリマー套管を設置する作業時間が増加する原因にもなる。
また、ポリマー套管を設置した後に、ポリマー套管の上部に固定端子を取り付ける作業は、高所の作業となるので、安全帯を用いながら行う必要がある。ところが、ポリマー套管には、安全帯を掛ける箇所は無く、シリコーンゴムに安全帯を掛けると汚れたりするので、安全帯を直接掛けることは好ましくない。そのため、安全帯取り付け用の仮架台が必要となる。特許文献1では、簡易足場に安全帯を掛けることが提案されている。しかし、安全帯取り付け用の仮架台を設置する場合、当然、その分だけ手間が増したり、建設資材が増える欠点がある。
本発明は、上述した点を考慮してなされたもので、吊り上げ時のポリマー套管の汚れや傷を抑制し、かつ、安全帯の取り付けも可能な、ポリマー套管用吊り治具、及び、ポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造を提供する。
本発明のポリマー套管用吊り治具の一つの態様は、胴体部の外面に複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー被覆体を有するポリマー套管用の、吊り治具であって、前記ポリマー被覆体の外周を覆う筒状の本体部と、前記本体部の内周から、前記襞部と襞部との間に突出し、前記胴体部の外周に配置される環状の突起部と、を具備し、前記突起部の突出長は、前記襞部の突出長よりも長く形成され、前記本体部は2分割された2つの部材を連結することにより形成される
本発明のポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造の一つの態様は、前記ポリマー套管用吊り治具と、胴体部の外面に複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー被覆体を有するポリマー套管と、を有し、前記ポリマー被覆体の外周は、前記吊り治具の前記2分割された2つの部材を連結することにより筒状の前記本体部によって覆われ、前記ポリマー套管の前記襞部と襞部との間には、前記吊り治具の筒状の本体部の内周から突出し、前記胴体部の外周に環状の前記突起部が配置される。
本発明によれば、吊り上げ時のポリマー套管の汚れや傷を抑制でき、かつ、安全帯の取り付けも可能となる。
従来のポリマー套管の吊り上げ状態を示す図 実施の形態の吊り治具をポリマー套管に取り付けた状態を示す図 図2の上方向又は下方向から吊り治具のみを見た図 図3の矢印Aの方向から、吊り治具を見た図 ポリマー套管に吊り治具を取り付けたときの、ポリマー套管と吊り治具との関係を示す図 ポリマー套管の構成を示す断面図 実施の形態の吊り治具を用いて縦吊りした状態を示す図 実施の形態の吊り治具を用いて横吊りした状態を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図2に、本発明の実施の形態に係るポリマー套管用吊り治具(以下、単に吊り治具と呼ぶ)をポリマー套管10に取り付けた状態を示す。図2は、ポリマー套管10に吊り治具20を2つ取り付けた例である。吊り治具20は、ポリマー被覆体13の先端側(図2では上側)と、ポリマー被覆体13の後端側(図2では下側)と、に取り付けられている。なお、本実施の形態では、ポリマー套管10に吊り治具20を2つ取り付ける場合について説明するが、取り付ける吊り治具は3つ以上でもよいし、1つでもよい。取り付ける吊り治具の数及び取り付ける位置は、吊り上げ方に応じて適宜選択すればよい。
図3及び図4に、吊り治具20の詳細構成を示す。
図3は、図2の上方向又は下方向から吊り治具20のみを見たものである。
吊り治具20は、ポリマー套管10の外周を覆う筒状の本体部21と、本体部21の内周からポリマー套管10の襞部と襞部との間に突出する環状の突起部22と、を有する。吊り治具20は、図3では、2分割された同形状の2つの部材がボルト23及びアイナット24によって連結されて、ポリマー套管10に取り付けられる。すなわち、図3の吊り治具20では、2分割された同形状の2つの部材を連結することにより、筒状の本体部21と環状の突起部22を形成する。なお、ボルト23及びアイナット24による連結は、図に示す図の正面側の2箇所と、図の背面側の2箇所の、合計4箇所で行われる。なお、2分割された2つの部材は同形状である必要は無い。
図4は、図3の矢印Aの方向から、吊り治具20を見た図である。つまり、図4は、吊り治具20を構成する2分割された部材のうちの一方の部材の連結面を示す図である。図に示すように、本体部21には、ボルト23を通すための4つの貫通孔25が形成されている。また、本体部21の外周面には、外周面を周回するバンド巻回用の凹部26が形成されている。これにより、吊り治具20は、2分割された2つの部材をボルト23及びアイナット24によって連結する以外に、ボルト23及びアイナット24に代えて凹部26にバンド30(図7及び図8)を巻回することによって連結することもできるようになっている。また、凹部26により、バンド30を巻回してポリマー套管10の吊り上げ作業等を行う際に、巻回したバンド30がずれるおそれがない。
図5は、ポリマー套管10に吊り治具20を取り付けたときの、ポリマー套管10と吊り治具20との関係を示したものである。突起部22の径方向に突出した長さ(突出長)dは、襞部13−2の径方向に突出した長さ(突出長)mよりも長くされている。本実施の形態の場合、襞部13−2は、効率良く表面漏洩距離を確保するために、突出長が長い大径襞部13−2aと突出長が短い小径襞部13−2bが交互に形成されている。大径襞部13−2aの突出長をm1、小径襞部13−2bの突出長をm2とする。本実施の形態では、大径襞部13−2aの突出長m1が襞部13−2の突出長mであり、突起部22の突出長dは、大径襞部13−2aの突出長m1よりも長くされている。
このように、突起部22の突出長dを襞部13−2の突出長mよりも長くしたことにより、ポリマー套管10の吊り上げ時には、突起部22の内周側端部の少なくとも一部がポリマー套管10の胴体部13−1に当接し、襞部13−2の外周側端部は吊り治具の本体部21内周面には当接しない。これにより、ポリマー被覆体13のうち、胴体部13−1に比して強度が弱い、襞部13−2の先端の損傷を未然に回避できる。特に吊り治具20で吊る対象であるポリマー套管の襞部13−2が、屋外用に一般的に使用されるシリコーンゴムの場合、襞部13−2の強度が弱いため、本実施の形態の吊り治具20がより有効である。
具体的には、矢印xの方向を上向きにして、ポリマー套管10を横吊りする場合に、環状の突起部22の内周側端部のうち、少なくとも吊り上げる方向と反対側(上側に吊り上げる場合に下側)に位置する端部がポリマー套管10の胴体部13−1に当接し、襞部13−2の外周側端部は吊り治具20の本体部21内周面には当接しない。一方で、矢印yの方向を上向きにして、ポリマー套管10を縦吊りする場合には、突起部22の上面(図5では上側)が襞部13−2の底面(図5では下側)に当接する。
このように、本実施の形態の吊り治具20は、横吊り時には、ポリマー套管10の重量を強度の高い胴体部13−1で受け持たせ、縦吊り時には、ポリマー套管10の重量を襞部13−2の全周で受け持たせることができるので、吊り上げ時の襞部13−2の損傷を未然に回避できる。
ここで、図6を用いて、ポリマー套管10の構成を簡単に説明する。図6は、中心軸を含む面で切った、ポリマー套管10の断面図である。ここで、ポリマー套管10は、図中下側を後端側と呼び、図中上側を先端側と呼ぶことにする。ポリマー套管10は、例えば、66/77kV級のCVケーブルの気中終端接続部として用いられる。
ポリマー套管10は、内部導体11と、絶縁体12と、ポリマー被覆体13と、遮蔽金具14と、を有する。図6の気中終端接続部の場合は、底部金具15と、保護金具16と、受容口17と、を更に有する。
内部導体11は、銅などの通電に適した金属製の棒体で形成されており、図6のように、半導電と絶縁ゴムとからなるストレスコーン(不図示)を受容口17に嵌挿する、所謂プレハブ型接続部の場合は、後端部に導体挿入孔11aを有する。なお、図1のポリマー套管1のように変圧器等の電気機器に取り付けるブッシングとして適用するポリマー套管の場合は、内部導体の両端が絶縁体から突出する構造となる。
絶縁体12は、内部導体11の外周を覆うように設けられている。絶縁体12は、機械的強度の高い材料、例えば、エポキシ樹脂やFRPなどの硬質プラスチック樹脂、で形成されている。
ポリマー被覆体13は、絶縁体12の外周を覆い、かつ、胴体部13−1の外面に複数の襞部13−2が長手方向に離間して形成されている。襞部13−2は、上述したように、大径襞部13−2aと小径襞部13−2bが交互に配置されている。ポリマー被覆体13は、電気絶縁性能に優れた材料、例えば、シリコーンゴムなどの高分子絶縁材料、で形成されている。内部導体11、絶縁体12及びポリマー被覆体13は、モールドにより一体的に形成されている。なお、襞部13−2の外径は一定の外径でもよく、本発明の吊り治具の対象となるポリマー套管の襞部の外径は特に限定されない。
遮蔽金具14は、内部導体11と同心状に絶縁体12に埋設されている。遮蔽金具14は、絶縁体12に埋設された円筒部14aと、ポリマー套管10の外表面に突出したフランジ部14bと、を有する。円筒部14aは、ここではフランジ部14bから直角に立ち上げられている。
底部金具15は、フランジ部14bの外周縁部の下端面に、締付ボルト(不図示)を介して固定されている。保護金具16は、耐食アルミ合金等からなり、上端部が遮蔽金具14のフランジ部14bの下面に取り付けられている。受容口17は、コーン状でなり、接続するケーブル端末部のストレスコーン(不図示)を受容する。また、受容口17は、内部導体11の導体挿入孔11aと連通されている。
図7は、吊り治具20を用いて、ポリマー套管10を縦吊りした様子を示す。ポリマー套管10の先端側に取り付けられた吊り治具20における、本体部21の周囲の180度離れた位置に設けられた2つのアイナット24に吊り紐40が掛けられ、先端部を上にしてポリマー套管10が吊り上げられる。
図8は、2つの吊り治具20を用いて、ポリマー套管10を横吊りした様子を示す。ポリマー套管10に取り付けられた2つの吊り治具20のそれぞれの1つのアイナット24に吊り紐40が掛けられ、ポリマー套管10の長手方向がほぼ水平になるようにしてポリマー套管10が吊り上げられる。
このように、本実施の形態の吊り治具20を用いれば、吊り治具20への吊り紐40の掛け方、又は、ポリマー套管10への吊り治具20の取り付け方を変えることで、ポリマー套管10の縦方向での設置、横方向での設置に容易に対応できる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、吊り治具20を、ポリマー套管10の外周を覆う筒状の本体部21と、本体部21の内周からポリマー套管10の襞部13−2と襞部13−2との間に突出する突起部22と、を有する構成としたことにより、吊り上げ時にポリマー套管10に汚れや傷が生じることを抑制できる。
また、2分割構造の本体部21をボルトで固定するのにアイナット24を用いたことにより、アイナット24を吊り紐40を掛止するための掛止部として用いることに加えて、安全帯を掛止するための掛止部として用いることもできる。ボルトの固定にアイナット24を用いているため、ボルトを固定するためのナットと別にアイナット24を設ける必要がなく、部品点数を削減できる。なお、安全帯を掛止するための掛止部としては、アイナット24とは別に、本体部21の外周に専用の掛止部を設けてもよい。掛止部は、安全帯のフックを掛けることができるものであればよい。
次に、本実施の形態に係るポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造について説明する。
上述したように、本実施の形態の吊り治具20の吊る対象としてのポリマー套管10は、外面にシリコーンゴムなどの高分子絶縁材料で形成される複数の襞部13−2が長手方向に離間して形成されている。そして図5のように、吊り治具20の本体部21はポリマー套管10の外周を覆い、突起部22は襞部13−2と襞部13−2との間に配置されて、吊り治具20とポリマー套管10とが接続される。
このような接続構造によれば、上述した吊り治具20の構成による効果を有することに加えて、ポリマー套管10の形状やポリマー套管10の襞部13−2の形状に影響されずに、ポリマー套管10に汚れや傷が生じることを抑制しつつポリマー套管10を吊り上げることができる。また、安全帯を取り付けることができるため、ポリマー套管10自体に安全帯を取り付ける必要が無い。
なお、上述した実施の形態では、4つの突起部22を設けた場合について述べたが、突起部22の数はこれに限らない。極端な例では、突起部22は1つでもよい。但し、突起部22を複数設けると、吊り上げ時にポリマー套管10にかかる力を分散できるので好ましい。特にポリマー套管10の重量が大きい場合、突起部22の数が少ないと、ポリマー套管10を吊り上げるのにポリマー被覆体に取り付ける吊り治具の数を多くする必要があるため、突起部22は複数個設ける方が好ましい。
また、上述した実施の形態では、4つの環状の突起部22を、襞部13−2と襞部13−2の間毎に長手方向に離間して設けた場合、すなわち隣り合う突起部22の間に1つの襞部13−2が挟まれる構成について述べたが、例えば、突起部22と突起部22の間には2つの襞部13−2(実施の形態では大径襞部13−2a及び小径襞部13−2b)が挟まれる構造でもよい。
また、本発明の吊り治具を取り付けるポリマー套管は、図6に示した構成のものに限らない。ポリマー套管としては図6のようにケーブル端末を接続する気中終端接続部でもよいし、図1のように変圧器等の電気機器に取り付けるブッシングでもよい。要は、本発の吊り治具は、複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー套管用の吊り治具として広く適用可能である。
本発明のポリマー套管用吊り治具は、例えば、ポリマー套管を設置する場合に用いて有用である。
1、10 ポリマー套管
11 内部導体
12 絶縁体
13 ポリマー被覆体
13−1 胴体部
13−2a 大径襞部
13−2b 小径襞部
14 遮蔽金具
15 底部金具
16 保護金具
17 受容口
20 吊り治具
21 本体部
22 突起部
23 ボルト
24 アイナット
25 貫通孔
26 凹部
30 バンド

Claims (4)

  1. 胴体部の外面に複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー被覆体を有するポリマー套管用の、吊り治具であって、
    前記ポリマー被覆体の外周を覆う筒状の本体部と、
    前記本体部の内周から、前記襞部と襞部との間に突出し、前記胴体部の外周に配置される環状の突起部と、
    を具備し、
    前記突起部の突出長は、前記襞部の突出長よりも長く形成され、
    前記本体部は2分割された2つの部材を連結することにより形成される、
    ポリマー套管用吊り治具。
  2. 前記本体部の外周には、バンド巻回用の凹部が形成されている、
    請求項に記載のポリマー套管用吊り治具。
  3. 前記本体部には、安全帯を掛止する掛止部が形成されている、
    請求項1又は請求項2に記載のポリマー套管用吊り治具。
  4. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のポリマー套管用吊り治具と、
    胴体部の外面に複数の襞部が外面の長手方向に離間して形成されたポリマー被覆体を有するポリマー套管と、
    を有し、
    前記ポリマー被覆体の外周は、前記吊り治具の前記2分割された2つの部材を連結することにより筒状の前記本体部によって覆われ、
    前記ポリマー套管の前記襞部と襞部との間には、前記吊り治具の筒状の本体部の内周から突出し、前記胴体部の外周に環状の前記突起部が配置される、
    ポリマー套管用吊り治具とポリマー套管との接続構造。
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