JP5569509B2 - 交通信号制御システム及び交通信号制御機 - Google Patents

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Description

本発明は、道路の交差点等に設置された信号灯器の点灯又は消灯などを制御する交通信号制御システム及び交通信号制御機に関する。
道路の交差点や横断歩道には、青・赤・黄等の灯色を有する信号灯器や、この信号灯器の点灯又は消灯を所定の時間間隔で繰り返すように制御する交通信号制御機が設置されている。また、従来から、地震等の災害が発生したときに車両や歩行者の通行を制限するように信号灯器を制御することによって、事故の発生を防止し、安全の確保を図ろうとする技術が種々提案されている。
例えば、交通信号制御機に振動センサや水位センサを設け、これらのセンサが地震や洪水を検出したときに、信号灯器を異常時の表示に変更する技術(例えば、特許文献1参照)や、交通管制を行う中央装置が地震情報を受信し、この地震情報に応じた指令を交通信号制御機に行い、この指令に基づいて交通信号制御機が信号灯器を異常時の表示に変更する技術(例えば、特許文献2参照)等が知られている。また、地震の揺れが収束して所定時間経過したときに信号灯器を異常時の表示から平常時の表示に戻すようにした技術(例えば、特許文献3参照)も知られている。
特許第4228056号公報 特開2010−79326号公報 特開2007−188173号公報
特許文献1に記載された技術の場合、全ての交通信号制御機に振動センサや水位センサを設ける必要があり、設備コストが増大するという欠点がある。これに対して、特許文献2に記載された技術は、交通信号制御機自体にはセンサを設ける必要はないので、特許文献1のような欠点はないが、中央装置が地震情報を受信し、中央装置からの指令によって交通信号制御機が信号灯器の制御を行うので、中央装置からの指示を受けない「単独動作型」(「地点型」)の交通信号制御機には適用することができない。
また、特許文献3に記載された技術のように、地震の揺れが収束した後、単に信号灯器を平常時の表示に戻すだけでは、車両等が災害地域に止まったままとなる可能性があり、火災や津波等の二次災害の被害を受けてしまうおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、災害に対応した信号制御を安価に実行することができる交通信号制御システム及び交通信号制御機を提供することを主たる目的とする。
(1)本発明は、互いに通信可能に接続された複数の交通信号制御機を備えている交通信号制御システムであって、
複数の前記交通信号制御機が、少なくとも1つの主制御機と、その他の副制御機とを含み、
前記主制御機が、災害に関する情報を取得する災害情報取得部と、前記情報に基づき災害に応じた所定の信号制御を実行する主信号制御部と、前記副制御機に対して前記信号制御の実行を指示する実行指示通知を行う通知部と、を備え、
前記副制御機が、前記主制御機から受信した実行指示通知に基づいて前記信号制御を実行する副信号制御部を備えていることを特徴とする。
本発明の交通信号制御システムは、交通信号制御機の主制御機が、災害に関する情報を取得し、この情報に基づいて災害に応じた所定の信号制御を実行するとともに、副制御機に所定の信号制御の実行を指示する実行指示通知を行う。これに対して副制御機は、主制御機から受信した実行指示通知に基づいて所定の信号制御を実行する。したがって、全ての交通信号制御機に対して地震計等のセンサを設ける必要が無く、主制御機が災害情報を取得することによって主制御機だけでなく副制御機も災害に応じた所定の信号制御を実行することができる。したがって、交通信号制御システムを安価に構成することができる。また、主制御機及び副制御機は、中央装置からの指示を受けることなく所定の信号制御を実行することができるので、いわゆる「集中型」の交通信号制御機である必要はなく、各種の交通信号制御機に対して本発明を適用することができる。
(2) 前記主制御機は、前記災害情報取得部が前記情報を取得した後、所定の条件が満たされたときに、前記通知部が前記副制御機に対して前記信号制御の終了を指示する終了指示通知を行うとともに、前記主信号制御部が前記信号制御を終了させ、
前記副制御機は、前記主制御機から受信した終了指示通知に基づいて前記副信号制御部が前記信号制御を終了させてもよい。
(3)前記主制御機は、地震感知器をさらに備え、前記災害情報取得部が前記地震感知器によって検出された地震の情報を取得するように構成されており、
前記所定の信号制御は、前記地震感知器が揺れを検出したときに実行される第1の信号制御と、前記地震感知器が揺れを検出した後、所定の条件が満たされたときに実行される、前記第1の信号制御とは異なった第2の信号制御とを含むことが好ましい。
この構成によれば、主制御機が地震感知器を備えているので、地震の初期微動から主要動までを直接的に迅速に検出し、主制御機自身及び副制御機に地震に応じた所定の信号制御を適切に実行させることができる。また、所定の信号制御は、地震の揺れを検出したときに実行される第1の信号制御と、その後、所定の条件が満たされたときに実行される第2の信号制御とからなるので、地震が発生した後の状況の変化に応じて適切な制御を行うことが可能となる。
(4) 前記第2の信号制御は、前記地震感知器がP波(Primary Wave)を検出した後、前記地震感知器がS波(Secondary Wave)を検出しなくなったことを条件として実行されるものであってもよい。
地震は、最初にP波が観測され、その後、主要動の原因となるS波が到達し、大きな揺れをもたらす。本発明では、S波を検出しなくなる前と後、すなわち、揺れが発生している最中と揺れが収まった後とでそれぞれに適した信号制御を行うことができる。
(5) また、前記第2の信号制御は、前記地震感知器がP波を検出した後、所定時間が経過してもS波を検出しなかったことを条件として実行されるものであってもよい。
(6) 前記第1の信号制御は、信号灯器の灯色を全て赤に変更する制御であってもよい。
このような制御によって、地震感知器が揺れ(P波)を検出した直後に車両や歩行者の通行を止めることができ、その後に大きな揺れ(S波)が到達したとしても車両同士の衝突や車両と歩行者の接触等の事故を最小限に抑えることができる。
(7) 前記第1の信号制御は、信号灯器の灯色を最小表示秒数で赤に変更する制御であってもよい。
このような制御によって、走行中の車両や歩行者の混乱を招くことなく、可及的に早く信号灯器の灯色を赤に変更することができる。
(8) 前記第2の信号制御は、災害地域からの避難を促す制御であってもよい。
上記のように、第1の信号制御で車両や歩行者の通行を止めた場合、そのままの状態で放置していると、地震に伴って発生した火災や津波などの二次災害に巻き込まれる可能性が高くなる。そのため、揺れが収まった後など所定の条件が満たされたときは、車両や歩行者が災害地域から離れて避難することができるような信号制御を行うことで、二次災害による被害を防止することができる。
(9) 前記主制御機と前記副制御機との間の通信が無線通信により行われることが好ましい。
地震等の災害が発生した場合、有線回線は破断の可能性があるため、主制御機と副制御機との間の通信を無線通信とすることにより、災害時における通信の確実性を高めることができる。
(10)本発明の交通信号制御機は、地震を感知する地震感知器と、この地震感知器から地震に関する情報を取得する災害情報取得部と、前記情報に基づき災害に応じた所定の信号制御を実行する信号制御部と、前記地震感知器を備えていない他の交通信号制御機に前記信号制御を実行させるため、当該他の交通信号制御機に対して前記信号制御の実行を指示する実行指示通知を行う通知部と、を備え、
前記所定の信号制御が、前記地震感知器が揺れを検出したときに実行される第1の信号制御と、前記地震感知器が揺れを検出した後、所定の条件が満たされたときに実行される、前記第1の信号制御とは異なった第2の信号制御と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、災害に対応した信号制御を安価に実行することができる。
本発明の実施形態に係る交通信号制御システムの構成例を示す概略図である。 中央装置の構成例を示すブロック図である。 交通信号制御機(親機)の構成例を示すブロック図である。 交通信号制御機(子機)の構成例を示すブロック図である。 地点型の交通信号制御機が設置された道路の概略平面図である。 集中型の交通信号制御機が設置された道路の概略平面図である。 交通信号制御機の稼働状態確認処理の手順を示すフローチャートである。 中央装置と交通信号制御機との間の災害モード移行処理の手順を示すフローチャートである。 災害モード(第1の信号制御)の移行処理の手順を示すフローチャートである。 災害モード(第1の信号制御)の移行済確認処理の手順を示すフローチャートである。 災害モード(第2の信号制御)の移行処理の手順を示すフローチャートである。 災害モード(第2の信号制御)の移行処理の手順を示すフローチャートである。 災害モード(第2の信号制御)の終了処理の手順を示すフローチャートである。 変形例における交通信号制御機の稼働状態確認処理の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
[交通信号制御システムの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る交通信号システムの全体構成を示す概略図である。また、図5は、地点型の交通信号制御機が設置された道路の概略平面図、図6は、集中型の交通信号制御機が設置された道路の概略平面図である。なお、図5及び図6には、交通量の多い主道路(幹線)RMと、交通量の少ない従動路(非幹線)RSとが合流した交差点が例示されている。
本発明の交通信号システムは、交通管制センターやその下位のサブセンター等に設置された中央装置10と、道路R(RM,RS)の交差点に設置された信号灯器の灯色制御やその他の外部装置(図5及び図6参照)の制御を行う交通信号制御機11,12とを備えている。本実施形態の交通信号制御機11,12は、中央装置10からの指令に基づいて信号制御を行う「集中型」の交通信号制御機11と、中央装置10から独立して信号制御を行う「地点型」(「独立制御型」)の交通信号制御機12とからなる。集中型の交通信号制御機11は、中央装置10によって系統制御又は広域制御される集中制御エリアA1内に配置されている。一方、地点型の交通信号制御機12は、集中制御エリアA1とは異なる他のエリア(独立制御エリア)A2に配置されており、平常時には、中央装置10から独立して信号制御を行うように構成されている。
集合型の交通信号制御機11は、有線の通信回線によって中央装置10とルータ13を介してLAN(Local Area Network)を構成している。また、集中型の交通信号制御機11は、無線通信回線によっても中央装置10とLANを構成している。これに対して、地点型の交通信号制御機12は、無線通信回線によって中央装置10とLANを構成している。集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2の交通信号制御機11,12は、それぞれ有線LAN及び/又は無線LANによって同一エリアA1,A2内の他の交通信号制御機11,12との間で双方向通信が可能となっている。
また、各エリアA1,A2に配置された交通信号制御機11,12は、それぞれ一つの親機(主制御機)11a,12a(図1にハッチング付の○で示す)とその他の子機(副制御機)11b,12b(図1に白抜き○で示す)とを含んでいる。親機11a,12aは、災害が発生したときにその災害に応じた所定の信号制御(災害モードによる信号制御)を実行するとともに子機11b,12bに対して所定の指令を送り、子機11b,12bは、その指令に基づいて親機11a,12aと同様に災害に応じた所定の信号制御を実行するように構成されている。災害としては、地震、台風、雷雨等の天災に基づくものや、火の不始末による火事等の人災に基づくものがあるが、本実施形態では、一例として地震が発生した場合に交通信号制御機11,12が所定の信号制御を実行するように構成されている。
また、集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2の各交通信号制御機11,12は、それぞれ無線通信回線を用いて中央装置10との間で特定の情報の送受信を行う。本実施形態では、特定の情報として、交通信号制御機11,12の稼働状態を示す「稼働情報」と、この稼働情報を要求する「要求情報」の送受信が無線通信回線を用いて行われる。
次に、交通信号制御システムの各構成について詳しく説明する。
[中央装置の構成]
図2は、中央装置10の構成例を示すブロック図である。
中央装置10は、制御部20と、記憶部21と、操作部22と、表示部23と、通信部(有線及び無線)24,25とを備えている。なお、本明細書においては、後述する交通信号制御機11,12の制御部30及び通信部38,39と区別するため、中央装置10の制御部20を「中央制御部」と、中央装置10の通信部24,25を「中央通信部」ということがある。
中央制御部20は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等よりなり、交通信号制御機11等からの各種交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。中央制御部20は、内部バスを介してハードウェア各部に接続されており、これら各部の動作も制御する。
中央制御部20は、集中制御エリアA1内の交通信号制御機11に対して、同一道路上の交通信号制御機11群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)等を行う信号制御部201を備えている。また、この信号制御部201は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長、オフセットなど)を設定する交通感応制御を行うことができる。
また、中央制御部20は、その機能構成として、上記信号制御部201の他、要求情報通知部202、異常判定部203、地震情報取得部204、制御モード移行指令通知部205、災害エリア特定部206等を有している。
要求情報通知部202は、交通信号制御機11,12に対して所定の情報(稼働情報)の送信を要求するための情報を無線通信回線を介して通知するものである。交通信号制御機11,12は、要求情報通知部202によって送信された要求情報に基づき、自らの稼働状態を判断し、その稼働状態の情報を無線通信回線を介して中央装置10に送信する。
異常判定部203は、交通信号制御機11,12から送信された稼働情報や、交通信号制御機11,12との通信状態(通信の可否等)を判断材料として、交通信号制御機11,12や通信回線が異常であるか否かを判定するものである。
地震情報取得部(災害情報取得部)204は、気象庁が提供する緊急地震速報など、外部から提供される地震に関する情報を取得する機能を有している。
制御モード移行指令通知部205は、地震情報取得部204によって取得された地震情報に基づき、交通信号制御機11,12に対して災害モードでの信号制御を実行する旨の指令(災害モード移行指令)を送信する機能、及び災害モードを解除して平常時の制御モード(通常モード)での信号制御を実行する旨の指令(通常モード移行指令)を送信する機能を有している。この制御モード移行指令の通知は、集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2における交通信号制御機11,12に対して無線通信回線を用いて送信される。なお、集中型の交通信号制御機11に対しては、有線通信回線を用いて制御モード移行指令の通知が行われてもよい。また、本実施形態では、災害モードに2つの信号制御(第1,第2の信号制御)が含まれており、中央装置10の制御モード移行指令通知部205が送信する災害モード移行指令は、第2の信号制御を実行する旨の指令とされている。
災害エリア特定部206は、異常判定部203によって異常と判定された交通信号制御機11,12の位置から地震等の災害エリアを特定するものである。地震が発生すると、その発生地点の周辺に配置された複数の交通信号制御機11,12に障害等が発生する可能性が高くなるため、災害エリア特定部206は、異常と判定された交通信号制御機11,12が集中しているエリアを災害エリアとして特定する。
以上の中央装置10における中央制御部20の各機能構成については、中央装置10及び交通信号制御機11,12における処理手順(図7〜図13参照)と共に、後でより詳細に説明する。
中央装置10の有線通信部24は、公衆通信回線等を介して集中制御エリアA1内の交通信号制御機11の有線通信部38(図3及び図4参照)に接続された通信インタフェースであり、主として所定時間ごとの信号灯器の灯色切り替えタイミング等に関する信号制御指令や、道路リンクの旅行時間や渋滞情報等を含む交通情報を、各交通信号制御機11に送信するために使用される。
中央装置10の無線通信部25は、集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2内の交通信号制御機11,12の無線通信部39に接続された通信インタフェースであり、交通信号制御機11,12から送信された稼働情報を受信したり、中央装置10から交通信号制御機11,12に稼働情報を要求したりするために使用される。また、災害の発生時には、中央装置10の制御モード移行指令通知部205から指令を送信するためにも使用される。
中央装置10の表示部23は、例えば、集中制御エリアA1内の道路地図と、この道路地図上の全ての信号灯器や車両感知器等の路側センサの位置などが表示された表示画面により構成され、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知する。また、表示部23は、独立制御エリアA2内の道路地図等も表示することができる。そして、表示部23は、集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2の道路地図等に対して、通信障害や故障等の不具合が生じることによって異常と判定された交通信号制御機11,12の位置を表示するとともに、地震等の災害が発生していると特定された災害エリアを表示する機能を有している。
中央装置10の操作部22は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部22によって中央オペレータが表示部23に対する表示切り替え操作等の行えるようになっている。
中央装置10の記憶部21は、HDDや半導体メモリ等から構成されており、交通感応制御のための制御プログラムや、この交通感応制御に用いる交通指標の演算プログラム等を記憶している。また、記憶部21は、中央制御部20が生成した信号制御指令や交通情報等の一時的な記憶領域も有する。
[交通信号機の構成]
図5及び図6に示されるように、集中制御エリアA1及び独立制御エリアA2の交差点に配置された交通信号機は、主道路RMと従道路RSのそれぞれに設置された複数の信号灯器41と、この信号灯器41と通信回線を介して接続された交通信号制御機11,12とを備えている。なお、信号灯器41には、車両用灯器と歩行者用灯器とが含まれる。また、本実施形態においては、集中制御エリアA1における道路RM,RSやその交差点には、図6に示されるように、交通情報板43、光ビーコン44、無線装置45、車両感知器42等の外部装置が設けられており、これらの外部装置を介した情報の提供等が交通信号制御機11,12によって行われる。これに対して、図5に示されるように、独立制御エリアA2における道路RM,RSやその交差点は、集中制御エリアA1の道路RM,RS及び交差点に比べて規模が小さく、交通量も少なくなっている。そのため、独立制御エリアA2においては車両感知器42以外の交通情報板43,光ビーコン44,無線装置45は設置されていない。
図3は、交通信号制御機11,12の親機11a,12aの構成を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、「交通信号制御機11,12の親機11a,12a」のことを、単に「交通信号制御機11a,12a」又は「交通信号制御機(親機)11a,12a」と表記することがあり、「交通信号制御機11,12の子機11b,12b」のことを、単に「交通信号制御機11b,12b」又は「交通信号制御機(子機)11b,12b」と表記することがある。
交通信号制御機11,12の親機11a,12aは、制御部30、灯器駆動部31、有線通信部38、無線通信部39、記憶部37、地震感知器36、各種インタフェース部32〜35等を備えている。
親機11a,12aの制御部30は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成され、内部バスを介して他の各部に接続され、これらの動作を制御する。また、制御部30は、信号灯器41を制御する信号制御部(主信号制御部)301と、自己の稼働状態を判断し、異常や故障等の有無に関する稼働情報(状態情報)を生成する稼働情報生成部(状態情報生成部)302と、この稼働情報を無線通信部39を介して中央装置10に送信する稼働情報通知部(状態情報通知部)303と、地震感知器36によって検出された地震に関する情報と取得する地震情報取得部(災害情報取得部)304と、交通信号制御機11,12の子機11b,12bに対して制御モード移行指令を通知する制御モード移行指令通知部305と、を備えている。
信号制御部301は、地点型の交通信号制御機12aと、集中型の交通信号制御機11aとで機能が異なっている。地点型の交通信号制御機12aの場合、信号制御部301は、記憶部37に記憶している信号表示情報に基づいて、信号灯器41の青、黄、赤及び右折矢印等の点灯、滅灯、及び点滅などの信号を灯器駆動部31に出力する機能を有する。なお、信号表示情報で示す灯色の切替タイミングは、車両感知器42により交差点などの道路の交通状況を感知する感応制御などにより変更される。
一方、集中型の交通信号制御機11aの信号制御部301は、中央装置10から送信された信号制御パラメータに基づいて、信号灯器41の点灯又は消灯などの切り替えタイミングの信号を灯器駆動部31に出力する機能を有している。また、地点型と同様に、集中型の交通信号制御機11aの信号制御部301は、車両感知器42が取得した感知信号に基づいて信号制御パラメータを自律的に生成し、生成した信号制御パラメータに基づいて信号制御を実施する端末感応制御を行うこともできる。
また、集中型及び地点型の交通信号制御機11a,12aの信号制御部301は、上述したような平常時における信号制御についての制御モード(通常モード)だけでなく、災害時における制御モードである「災害モード」を実行可能である。本実施形態では、災害としての地震を検出し、この地震の発生に適応した信号制御を行うように災害モードが設定されている。
集中型の交通信号制御機11aにおける有線通信部38は、中央装置10の有線通信部24及び他の交通信号制御機(子機)11bの有線通信部38に有線通信回線を介して接続されている。また、集中型の交通信号制御機11aにおける無線通信部39は、中央装置10の無線通信部25及び他の交通信号制御機(子機)11bの無線通信部39に無線通信回線を介して接続されている。
一方、地点型の交通信号制御機12aにおける有線通信部38は、中央装置10の有線通信部24には接続されておらず、他の交通信号制御機(子機)12bの有線通信部38に接続されている。また、地点型の交通信号制御機12aにおける無線通信部39は、中央装置10の無線通信部25及び他の交通信号制御機(子機)12bの無線通信部39に無線通信回線を介して接続されている。
集中型の交通信号制御機11aの各種インタフェース部32〜35には、それぞれ交通情報板43,光ビーコン44,ITS無線装置45,車両感知器42(図6も参照)が接続されている。一方、図5に示されるように、地点型の交通信号制御機12aが設置された道路RM,RSや交差点には、車両感知器42以外の交通情報板43、光ビーコン44,ITS無線装置45が設置されていないので、当該交通信号制御機12のインタフェース部32〜34には、これらの装置は接続されていない。したがって、地点型の交通信号制御機12aにおいては、これらのインタフェース部32〜34を省略することも可能である。
交通信号制御機11a,12aの制御部30における稼働情報生成部302、稼働情報通知部303、地震情報取得部304、及び制御モード移行指令通知部305の動作や、災害モードの詳細については、中央装置10及び交通信号制御機11a,12aにおける処理手順(図7〜図13参照)と共に、後でより詳細に説明する。
図4は、交通信号制御機11,12の子機11b,12bの構成を示すブロック図である。交通信号制御機11,12の子機11b,12bは、親機11a,12aの制御部30における地震情報取得部304及び制御モード移行指令通知部305と、地震感知器36とを備えていないが、その他の構成は、親機11a,12aと同様であり、特に平常時には親機11a,12aと同様の動作を行う。また、地震の発生時には、中央装置10又は親機11a,12aから送信される制御モード移行指令に基づいて、子機11b,12bの信号制御部301が動作する。
[交通信号制御機の稼働状態確認処理]
次に、図7を参照して、交通信号制御機11,12の稼働状態を中央装置10が確認するための処理の手順を説明する。なお、この処理における交通信号制御機11,12と中央装置10との通信は、無線通信回線を介して行われる。
まず、中央装置10は、交通信号制御機11,12に対して稼働情報の送信を要求する旨の情報(要求情報)を送信する(ステップS1)。この要求情報の送信は、例えば1日に1回〜数回、所定の時刻又は任意の時刻に定期的に実行される。
交通信号制御機11,12は、中央装置10から要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS101)、要求情報を受信した場合にはステップS102に処理を進め、受信しなかった場合にはステップS101の処理を繰り返し行う。
ステップS102において、交通信号制御機11,12は、自身の稼働状態を判断し、稼働状態を示す情報を中央装置10に送信する(ステップS103)。
中央装置10は、交通信号制御機11,12から稼働情報を受信したか否かを判断し(ステップS2)、稼働情報を受信した場合にはステップS3へ処理を進め、受信しなかった場合にはステップS6へ処理を進める。
ステップS3において、中央装置10は、受信した稼働情報の内容を確認し、交通信号制御機11,12が正常であるか否かを判断する。稼働情報の内容が交通信号制御機11,12の正常を示すものである場合には、平常時の信号制御を継続して実行することができるため、稼働状態の確認処理を終了する。
一方、中央装置10は、ステップS6において、交通信号制御機11,12に対して要求情報を送信してから所定時間を経過したか否かを判断する。所定時間を経過していない場合は、再びステップS2において稼働情報の受信の有無を確認し、所定時間を経過している場合には、ステップS7に処理を進める。
ステップS7において、中央装置10は、交通信号制御機11,12に対して再び要求情報を送信する。ステップS1において要求情報を送信したにも関わらず所定時間経過しても稼働情報を受信しない場合、その原因として交通信号制御機11,12に故障等の不具合が発生しているケースと、その他の一時的な要因(一時的な通信障害、遮蔽等)によって稼働情報を受信できないケースとが考えられる。そのため、ステップS7においては、稼働情報を受信できない原因がいずれのケースによるものであるのかを確認するため、要求情報を再度送信する。
交通信号制御機11,12は、中央装置10から再要求があったか否かを判断し(ステップS104)、再要求があった場合には、再び稼働情報を送信する(ステップS105)。中央装置10は、稼働情報を受信したか否かを判断し(ステップS8)、稼働情報を受信した場合には、ステップS3に移行して、その稼働情報の内容から交通信号制御機11,12が正常であるか否かを判断する。一方、ステップS8において稼働情報を受信していないと判断した場合には、処理をステップS4に進める。
ステップS3において、中央装置10が、交通信号制御機11,12が正常ではないと判断した場合、或いはステップS8において中央装置10が稼働情報を受信していないと判断した場合、ステップS4において、交通信号制御機11,12に異常が発生していると判定する。その後、中央装置10は、ステップS5において、保守業者や管轄の警察署等の関係部署に対して、交通信号制御機11,12に異常が発生している旨の連絡を自動的に又は人手を介して実行する。
以上のように、本実施形態では、中央装置10が定期的に稼働情報の送信を要求し、それに応じて交通信号制御機11,12が自身の稼働情報を中央装置10に送信するため、中央装置10は、交通信号制御機11,12の稼働状態を確実に把握することができる。特に、従来の地点型の交通信号制御機は、信号制御のために中央装置との間で通信を行わないため、交通信号制御機に異常が発生していたとしても中央装置がその異常を把握することができず、復旧が遅れてしまう可能性があったが、本実施形態では、地点型の交通信号制御機12であっても中央装置10が異常の発生を確実に把握することができ、しかも異常が発生している場合には関係部署への連絡を行うことによって早期の復旧を実現することができる。
また、以上のような交通信号制御機11,12の稼働状態を確認するため通信は、無線通信回線を介して行われるので、特に、地点型の交通信号制御機12と中央装置10との通信のために有線通信回線を利用する場合に比べて、通信インフラの設置や維持に要するコストを抑制することができる。また、地点型の交通信号制御機12と中央装置10との間の通信は、1日に1〜数回程度の要求情報や稼働情報の送受信、及び後述する災害時の通信だけであるため、通信量も非常に少なくなる。そのため、通信コストも抑制することができ、地点型の交通信号制御機12の利点である経済性が損なわれることもない。
[災害モード移行処理]
次に、図8〜図13を参照して交通信号制御機11,12に対して災害モードによる信号制御を実行させるための処理を説明する。
図8は、中央装置10及び交通信号制御機(親機、子機)11,12における災害モード移行処理の全体的な手順を示すフローチャートである。
図8において、まず、ステップS1001は、地震の発生に基づいて交通信号制御機11,12を災害モード(第1の信号制御)へ移行させるための処理である。この処理は、交通信号制御機11,12における親機11a,12aと子機11b,12bとの間で行われ、中央装置10は直接関与していない。
上述したように本実施形態では災害モードとして第1の信号制御と第2の信号制御とが含まれている。第1の信号制御は、地震発生直後から即時的な実行が求められる信号制御であり、そのために、中央装置10からの指示を仰がず、交通信号制御機11,12側の判断で実行される制御である。本実施形態の第1の信号制御は、該当エリアA1,A2における全ての信号灯器の灯色を赤点灯に変化させる制御を行うものとされている。また、第2の信号制御は、地震が収まった後、車両や歩行者に避難を促すための信号制御とされている。この第1の信号制御及び第2の信号制御については詳細な処理手順と共に後に説明する。
ついで、ステップS1002は、交通信号制御機11,12が災害モード(第1の信号制御)へ移行したことを中央装置10が確認するための処理である。この処理は、交通信号制御機11,12と中央装置10との間で実行される。
ついで、ステップS1003は、交通信号制御機11,12を災害モード(第2の信号制御)へ移行させるための処理である。この処理は、ステップS1001の処理とは異なり、交通信号制御機11,12だけでなく中央装置10も直接的に関与して実行される。
ついで、ステップS1004は、災害モードによる信号制御を終了するための処理である。この処理についても、交通信号制御機11,12だけでなく中央装置10も直接的に関与して実行される。
以下、各処理の詳細について説明する。
図9は、災害モード(第1の信号制御)の移行処理の手順を示すフローチャートである。
交通信号制御機11,12の親機11a,12a(以下、単に「交通信号制御機11a,12a」と記載する)は、図3に示されるように自身に備わった地震感知器36から地震情報を取得する地震情報取得部304と、この地震情報取得部304によって取得された自身情報に基づき、子機11b,12bに災害モードへの移行指令を通知する制御モード移行指令通知部305とを備えている。一方、地震が発生すると、まずP波(Primary Wave)が到達し、その後、主要動であるS波(Secondary Wave)が到達する。そのため、交通信号制御機11,12の親機11a,12aは、地震が発生すると、図9のステップS111において、地震感知器36からP波を検出した旨の情報を取得する。
そして、親機11a,12aは、ステップS112において、子機11b,12bに対して災害モード移行指令情報である「第1の通知」を送信する。その後、親機11a,12aは、ステップS113において、自身が災害モードによる信号制御(第1の信号制御)を実行する。
子機11b,12bは、ステップS211において、第1の通知を受信したか否かを判断し、当該通知を受信した場合には、ステップS212に処理を進め、受信していない場合には処理をステップS211に戻す。
そして、子機11b,12bは、ステップS212において、災害モードによる信号制御(第1の信号制御)を実行する。
このように、親機11a,12a自身が災害モードに移行するとともに、同一エリアA1,A2内の子機11b,12bに対して災害モードに移行する旨の通知を行い、子機11b,12bも災害モードに移行することによって、エリアA1,A2全体で統制された災害モードによる信号制御を実行することができる。
ステップS113及びステップS212において、親機11a,12a及び子機11b,12bが実行する第1の信号制御は、制御対象となる信号灯器41の灯色を全て赤に変更する制御である。このような制御を行うのは次の理由による。すなわち、P波を検出するとその後S波が到達して大きな揺れが発生する可能性が高いため、P波を検出した時点で全ての信号灯器の灯色を赤とすることによって車両や歩行者の通行を止め、S波が到達したときの被害、例えば、走行中の車両同士の衝突や車両と歩行者との接触等の事故を最小限に抑えることができるからである。また、このような制御は、P波が検出された後できるだけ早く実行されることが望まれるため、中央装置10を介さずに交通信号制御機(親機)11a,12aの判断で実行される。
なお、第1の信号制御を実行した時点で、既に赤の灯色で点灯している信号灯器は、そのままの状態を継続すればよいが、灯色が青や黄である信号灯器をいきなり赤に変化させると、走行中の車両を混乱させ、却って事故を誘発する可能性がある。そのため、本実施形態では、次のように段階を踏んで赤の点灯に変化させる制御を実行する。
具体的に、車両用信号灯器が第1の信号制御を実行した時点で青の灯色で点灯している場合、「青→黄→赤」の順で段階的に灯色を変化させる。また、各灯色の点灯時間を予め設定された最小表示秒数(例えば、3〜6秒)とすることによって、できるだけ早く赤の灯色に変化させる。同様に、車両用信号灯器が第1の信号制御を実行した時点で黄の灯色で点灯している場合には、「黄→赤」へ最小表示秒数で灯色を変化させる。
また、歩行者用信号灯器が第1の信号制御を実行した時点で青の灯色で点灯している場合には、「青点滅→赤点灯」へ最小表示秒数で段階的に変化させる。同様に、歩行者用信号灯器が第1の信号制御を実行した時点で青の灯色で点滅している場合には、「赤点灯」へ最小表示秒数で変化させる。
なお、通常モードによる信号制御では、まず、歩行者用信号灯器の灯色を青から赤へ段階的に変更した後に、車両用信号灯器の灯色を青から赤へ段階的に変更するというように車両用信号灯器と歩行者用信号灯器とを連係させた制御が行われるが、災害モードにおける信号制御の場合は、車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の灯色を迅速に赤に変化させる必要があるため、それぞれが単独で制御されるようになっている。
図10は、災害モード(第1の信号制御)の移行済確認処理の手順を示すフローチャートである。
前述のように交通信号制御機11,12が災害モードによる第1の信号制御を実行すると、図8のステップS1002に示されるように、災害モードへの移行を中央装置10が確認するための処理、すなわち、交通信号制御機11,12が災害モードに移行したことを中央装置10に伝える処理を実行する。
具体的には、図10に示されるように、交通信号制御機11,12は、親機11a,12a、子機11b,12bともに、ステップS121において災害モードに移行した旨の通知(災害モード移行済通知)を中央装置10に送信する。
中央装置10は、ステップS21において、災害モード移行済通知を受信したか否かを判断し、当該通知を受信した場合にはステップS22に処理を進め、災害モード移行済通知を受信した旨の確認情報を交通信号制御機11,12に送信する。その後、中央装置10は、ステップ23において、関連部署に対して交通信号制御機11,12が災害モードに移行した旨の連絡を自動又は手動で行い、処理を終了する。
以上の処理によって、中央装置10の指示を仰がずに交通信号制御機11,12側の判断で災害モードに移行した場合であっても、中央装置10は、その旨を認識することができる。
一方、交通信号制御機11,12は、ステップS122において、上記の確認情報を受信したか否かを判断し、確認情報を受信した場合には処理を終了し、受信していない場合には、ステップS123において災害モード移行済通知を送信してから所定時間経過したか否かを判断する。交通信号制御機11,12は、所定時間が経過していない場合には災害モード移行済通知を再送し(ステップS121)、所定時間が経過している場合には通信エラーが発生していると判定し(ステップS124)、処理を終了する。
中央装置10は、地震情報取得部204(図2参照)によって地震が発生した旨の情報を独自に取得することができる(図8のステップS11)ので、ステップS21において、災害モード移行済通知を受信していないと判断した場合には、独自に地震情報を取得してから所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS24)、所定時間が経過していない場合にはステップS21に処理を戻し、所定時間が経過している場合には、交通信号制御機11,12が災害モードに移行できなかった旨の連絡を関連部署に対して行う(ステップS23)。
図11及び図12は、災害モード(第2の信号制御)の移行処理の手順を示すフローチャートである。
前述のように、交通信号制御機11,12による災害モード(第1の信号制御)への移行を中央装置10が確認すると(図8のステップS1002)、次に災害モードの「第2の信号制御」へ移行するための処理が行われる(図8のステップS1003)。
具体的には、図11に示されるように、中央装置10と交通信号制御機11,12の親機11a,12aとは、それぞれ地震情報取得部204,304によってS波を検出した旨の情報を取得しているか否かを判断する(ステップS31,S131)。
そして、中央装置10は、地震情報取得部204がS波を検出した旨の地震情報を取得した場合には、ステップS32へ処理を進め、取得しなかった場合にはステップS34に処理を進める。他方、交通信号制御機11,12の親機11a,12aは、S波を検出した旨の地震情報を取得した場合には、ステップS132へ処理を進め、取得しなかった場合には、ステップS134に処理を進める。
親機11a,12aは、ステップS132において、第1の信号制御を継続する制御を行う。すなわち、信号灯器41の灯色を全て赤にした状態を継続する。また、子機11b,12bは、この段階では中央装置10及び親機11a,12aからは何ら指示を受けず、第1の信号制御を継続して実行する(ステップS231)。
中央装置10は、ステップS32において、地震情報取得部204が、S波が終了した旨の地震情報を取得したか否かを判断し、当該地震情報を取得した場合には、ステップS33に処理を進め、取得していない場合にはステップS32に処理を戻す。また、親機11a,12aは、ステップS133において、地震感知器36からS波が終了した旨の地震情報を取得したか否かを判断し、当該地震情報を取得した場合には、ステップS135(図12参照)に処理を進め、取得していない場合には、ステップS132に処理を戻す。
中央装置10は、ステップS31でS波を検出した旨の地震情報を取得しなかった場合には、ステップS34において、P波についての地震情報を取得(図8のステップS11)してから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過していない場合には処理をステップS31に戻し、所定時間が経過している場合には、処理をステップS33に進める。
また、親機11a,12aは、ステップS131でS波を検出した旨の地震情報を取得しなかった場合には、ステップS134において、P波についての地震情報を取得(図9のステップS111)してから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過していない場合には処理をステップS131に戻し、所定時間が経過している場合にはステップS135(図12参照)に処理を進める。
中央装置10は、ステップS33において、交通信号制御機11,12の親機11a,12a及び子機11b,12bに対して災害モードの第2の信号制御を実行する旨の移行指令情報を通知する。一方、交通信号制御機11,12の親機11a,12a及び子機11b,12bは、図12のステップS135,S232において、中央装置10から災害モード移行指令情報を受信したか否かを判断する。
親機11a,12a、子機11b,12bともに、災害モード移行指令情報を受信した場合にはステップS136,S233に処理を進め、第2の信号制御を実行する。すなわち、中央装置10からの指示に基づいて災害モード(第2の信号制御)を実行する。
一方、親機11a,12aは、ステップS135において、災害モード移行指令情報を受信していないと判断した場合には、ステップS137に処理を進め、自身が地震情報を取得してから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過していない場合には、処理をステップS135に戻し、所定時間が経過している場合には処理をステップS138に進める。
親機11a,12aは、ステップS138において、子機11b,12bに対して「第2の通知」を行う。この第2の通知は、災害モードにおける第2の信号制御への移行指令通知情報であり、親機11a,12aは、この第2の通知を行った後に自らが第2の信号制御を実行する(ステップS136)。子機11b,12bは、ステップS234において第2の通知を受信したか否かを判断し、当該通知を受信した場合に第2の信号制御を実行する(ステップS233)。
上述のように、地震が発生すると交通信号制御機11,12と中央装置10との通信に障害が発生する可能性があり、その障害によって中央装置10から送信された災害モード移行指令情報を交通信号制御機11,12が適切に受信できない場合も考えられる。そのため、本実施形態では、交通信号制御機11,12が中央装置10から災害モード移行指令情報を受信しない場合には、親機11a,12aは、当該障害が生じたものと想定して、自身が取得した地震情報に基づいて自己判断により災害モードの第2の信号制御による信号制御を実行し、子機11b,12bは、親機11a,12aからの第2の通知に基づいて災害モードによる第2の信号制御を実行するようになっている。これにより、中央装置10からの指示に頼らずに、災害モードによる信号制御を進めることができる。
災害モードの第2の信号制御は、S波の検出が終了した後、若しくは、P波を検出した後に所定時間が経過してもS波を検出しなかった場合に行われる制御である。この第2の信号制御は、地震の揺れが収まった後、災害発生地点から車両等を迅速に流出させ、災害地点への車両等の流入を阻止するための信号制御であり、これによって二次災害等から受ける被害を最小限に食い止めることができる。すなわち、第2の信号制御は、専ら災害地域からの避難を促すための信号制御となる。第2の信号制御として次のような制御を実行することができる。
例えば、主道路RM側の信号灯器41の灯色を継続的に青点灯又は黄点滅とし、従道路RS側の信号灯器41の灯色を継続的に赤点灯若しくは赤点滅とすることができる。このような信号制御を行うことで主道路RMを積極的に利用して車両のスムーズな移動(災害地域からの避難)を促進することができる。
また、災害発生地点等へ向かう方向への信号灯器41の灯色を赤点灯とし、災害発生地点等から離れる方向への信号灯器41の灯色を青点灯とすることができる。このような信号制御を行うことで災害発生地点等に対する車両等の流入を阻止し、流出を促進することができる。
また、高速道路へ流入する方向への信号灯器41の灯色を赤にし、高速道路から流出する方向への信号灯器41の灯色を青にすることができる。このような信号制御を行うことによって、高速道路への侵入を制限し、優先的に高速道路から車両を流出させることができる。
以上の第2の信号制御は、交通信号制御機11,12の設置された場所等に応じて最適な制御を行うことができ、上記に限られるものではない。
なお、災害モード(第1,第2の信号制御)においては、信号灯器41の制御だけでなく、交通情報板43や光ビーコン44、ITS無線装置45を介して地震発生情報や避難経路等を走行中の車両等に通知することができ、災害地域からの避難をより促進することができる。
図13は、災害モード(第2の信号制御)の終了処理の手順を示すフローチャートである。
前述のように交通信号制御機11,12が災害モード(第2の信号制御)に移行し、その後、災害が収束すると、災害モード(第2の信号制御)を終了するための処理が行われる(図8のステップS1004)。具体的には、図13に示されるように、中央装置10及び親機11a,12aは、ステップS41,S141において、災害モードの終了条件が満たされたか否かを判断する。この終了条件とは、例えば、S波の検出を終了してから所定時間経過した場合や災害が収束した旨の通知を外部から受けた場合等である。中央装置10は、災害モードの終了条件が満たされたと判断した場合には、ステップS42において、親機11a,12a及び子機11b,12bに対して通常モード移行指令通知情報を送信する。親機11a,12a及び子機11b,12bは、ステップS142,S241において、通常モード移行指令情報を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合には処理をステップS143,S242に進め、災害モードによる信号制御を終了し、通常モードによる信号制御を実行する。
一方、親機11a,12aは、ステップS142において通常モード移行指令情報を受信していないと判断した場合には、ステップS144において、災害モード終了条件を満たしてから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過している場合には、ステップS145に処理を進め、所定時間が経過していない場合にはステップS142に処理を戻す。そして、ステップS145において、親機11a,12aは、子機11b,12bに対して「第3の通知」(災害モードの終了(通常モードの再開)を指令する通知)を送信する。その後、親機11a,12aは、ステップS143において、災害モードによる信号制御を終了して通常モードによる信号制御を実行する。すなわち、中央装置10からの指令を受信することができなかった場合には、親機11a,12aが自身の判断(ステップS141)に基づいて災害モードを終了し、子機11b,12bに対して災害モードを終了する旨の通知を行う。
一方、子機11b,12bは、ステップS243において第3の通知を受信したか否かを判断し、受信した場合にはステップS242において、災害モードによる信号制御を終了して通常モードによる信号制御を実行し、受信しなかった場合には、ステップS241に処理を戻す。
以上のように、本実施形態では、親機11a,12aに設けられた地震感知器36による地震の検出に基づいて、親機11a,12a自身だけでなく子機11b,12bにおいても災害モード(第1の信号制御)を実行することができる。また、中央装置10からの指令を受信できなかった場合にも、親機11a,12a自身だけでなく子機11b,12bにおいても災害モード(第2の信号制御)を実行することができる。そのため、子機11b,12bには地震感知器36を設ける必要がなく、設備コストを抑制することができる。
また、災害モードとして、第1の信号制御と第2の信号制御との2つの異なる信号制御を備えることで、地震の発生状況に応じた適切な信号制御を行うことができる。
なお、上記のような災害時における親機11a,12aと子機11b,12bとの間の通信は、有線通信回線を用いて行ってもよいし、無線通信回線を用いて行ってもよい。特に、独立制御エリアA2に配置された交通信号制御機12の場合、親機12aと子機12bとの通信に無線通信回線を用いることで、当該エリアA2には有線通信回線のインフラが全く不要となり、設備コストをより抑制することが可能である。
<変形例>
図14は、変形例における交通信号制御機の稼働状態確認処理の手順を示すフローチャートである。
図7を参照して説明した処理手順は、交通信号制御機11,12から稼働情報を取得するにあたり、中央装置10が稼働情報の送信を要求するための要求情報を定期的に交通信号制御機11,12に送信していたが、本変形例では、中央装置10からの定期的な要求情報の送信を省略し、交通信号制御機11,12から定期的に稼働情報を送信するようにした点が異なっている。したがって、図10において、図7と同一の処理については同一のステップ符号を付し、対応する処理については「’」付きのステップ符号を付している。
本変形例では、まず、交通信号制御機11,12が、ステップS102において自身の稼働状態を判断し、ステップS103’において、中央装置10へ稼働情報を送信(定期送信)する。中央装置10は、ステップS2において、交通信号制御機11,12から稼働情報を受信したか否かを判断し、稼働情報を受信した場合には、ステップS3において、交通信号制御機11,12が正常か否かを判断する。稼働情報を受信しなかった場合は、ステップS6’において、交通信号制御機11,12から稼働情報を受信すると予定された時間が経過したか否かを判断し、当該時間が経過した場合には、ステップS7’において、交通信号制御機11,12に稼働情報を要求する要求情報を送信する。交通信号制御機11,12は、中央装置10から要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS104’)、要求情報を受信した場合には、稼働情報を再送信する(ステップS105)。
その後の中央装置10におけるステップS8,S3〜S5の処理は、図7を参照して説明した処理と同様である。したがって、詳細な説明は省略する。
<その他の変形例>
上記実施形態や変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の各実施形態ではなく、特許請求の範囲と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、集中制御エリアA1の交通信号制御機11は、必ずしも中央装置10との間や親機11aと子機11bとの間の通信に無線通信回線が用いられなくてもよく、全ての通信に有線通信回線が用いられてもよい。すなわち、集中制御エリアA1においては無線通信回線を省略することができる。
逆に、独立制御エリアA2においては、親機12aと子機12bとの間の通信に有線通信回線が用いられなくてもよく、中央装置10との通信を含めた全ての通信に無線通信回線が用いられてもよい。
また、上記実施形態では、災害が発生したときや災害が収束したときに、中央装置10から親機11a,12a及び子機11b,12bに対して直接的に災害モード(第2の信号制御)の移行指令通知や災害モードの終了通知が行われていたが、中央装置10から交通信号制御機11,12の親機11a,12aのみに対して災害モードの移行指令通知や終了通知を行い、親機11a,12aから子機11b,12bへ災害モード(第2の信号制御)の移行指令通知や終了通知を行ってもよい。
上記実施形態では、交通信号制御機11,12の親機11a,12aに地震感知器36が設けられていたが、この地震感知器36を省略し、地震情報取得部304が外部からの地震情報、例えば、気象庁等が提供する緊急地震速報や、地域内で発信される緊急地震速報等を取得するように構成されてもよい。地震情報取得部304が気象庁等が提供する緊急地震速報を取得する場合、地震情報取得部304は、取得した緊急地震速報の中から自身が設置された地域の情報のみを選別して取得する機能を備えていてもよい。
上記実施形態では、災害の態様として地震を例示しているが、本発明の交通信号制御システムは、台風や雷雨等の他の災害の情報を取得し、これらの災害に応じた災害モードによる信号制御を実行するように構成されていてもよい。この場合、交通信号制御機11,12の親機11a,12aは、地震感知器36に代えて(又は加えて)、降雨感知器、風力感知器、水位感知器等を備えることができる。
11 交通信号制御機
11a 親機(主制御機)
11b 子機(副制御機)
12 交通信号制御機
12a 親機(主制御機)
12b 子機(副制御機)
36 地震感知器
301 信号制御部(主信号制御部、副信号制御部)
304 地震情報取得部
305 制御モード移行指令通知部

Claims (10)

  1. 互いに通信可能に接続された複数の交通信号制御機を備えている交通信号制御システムであって、
    複数の前記交通信号制御機が、少なくとも1つの主制御機と、その他の副制御機とを含み、
    前記主制御機が、災害に関する情報を取得する災害情報取得部と、前記情報に基づき災害に応じた所定の信号制御を実行する主信号制御部と、前記副制御機に対して前記信号制御の実行を指示する実行指示通知を行う通知部と、を備え、
    前記副制御機が、前記主制御機から受信した実行指示通知に基づいて前記信号制御を実行する副信号制御部を備えていることを特徴とする交通信号制御システム。
  2. 前記主制御機は、前記災害情報取得部が前記情報を取得した後、所定の条件が満たされたときに、前記通知部が前記副制御機に対して前記信号制御の終了を指示する終了指示通知を行うとともに、前記主信号制御部が前記信号制御を終了させ、
    前記副制御機は、前記主制御機から受信した終了指示通知に基づいて前記副信号制御部が前記信号制御を終了させる、請求項1に記載の交通信号制御システム。
  3. 前記主制御機は、地震感知器をさらに備え、前記災害情報取得部が前記地震感知器によって検出された地震の情報を取得するように構成されており、
    前記信号制御は、前記地震感知器が揺れを検出したときに実行される第1の信号制御と、前記地震感知器が揺れを検出した後、所定の条件が満たされたときに実行される、前記第1の信号制御とは異なった第2の信号制御とを含む、請求項1又は2に記載の交通信号制御システム。
  4. 前記第2の信号制御は、前記地震感知器がP波を検出した後、前記地震感知器がS波を検出しなくなったことを条件として実行される、請求項3に記載の交通信号制御システム。
  5. 前記第2の信号制御は、前記地震感知器がP波を検出した後、所定時間が経過してもS波を検出しなかったことを条件として実行される、請求項3に記載の交通信号制御システム。
  6. 前記第1の信号制御は、信号灯器の灯色を全て赤に変更する制御である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の交通信号制御システム。
  7. 前記第1の信号制御は、信号灯器の灯色を最小表示秒数で赤に変更する制御である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の交通信号制御システム。
  8. 前記第2の信号制御は、災害地域からの避難を促す制御である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の交通信号制御システム。
  9. 前記主制御機と前記副制御機との間の通信が無線通信により行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の交通信号制御システム。
  10. 地震を感知する地震感知器と、この地震感知器から地震に関する情報を取得する災害情報取得部と、前記情報に基づき災害に応じた所定の信号制御を実行する信号制御部と、前記地震感知器を備えていない他の交通信号制御機に前記信号制御を実行させるため、当該他の交通信号制御機に対して前記信号制御の実行を指示する実行指示通知を行う通知部と、を備え、
    前記所定の信号制御が、前記地震感知器が揺れを検出したときに実行される第1の信号制御と、前記地震感知器が揺れを検出した後、所定の条件が満たされたときに実行される、前記第1の信号制御とは異なった第2の信号制御と、を含むことを特徴とする交通信号制御機。
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