JP5569199B2 - 配船計画作成装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するのに好適な配船計画作成装置、方法及びプログラムに関する。
鉄鋼を始めとする多くの産業においては、原材料の輸送計画を最適に立案することが求められる。鉄鋼であれば、複数銘柄の原材料(鉱石や石炭等)を世界中に点在する山元から複数の製鉄所に船舶(船財源)で輸送している。この場合に、契約した引取目標量を守り、輸送された各原材料が日々製鉄所で使用される際に在庫切れを起こさないように配船計画を作成する必要がある。そして、配船計画を作成するに際しては、コスト(費用)が重要な指標として判断され、輸送費用(船を雇う費用であるフレートと、船が港で契約期間以上に停泊した場合に支払う滞船料)、購入費用のミニマム化(最小化)が求められる。
この種の技術として、特許文献1には、原材料使用計画及び原料運搬船の年間稼動計画を既知データとして読み込んだ後に、在庫切れを起こしそうな銘柄を優先的に船に割り当てることを繰り返すことで配船計画を作成する原料輸送配船計画用推論装置が開示されている。
また、特許文献2には、シミュレート部で制約条件に基づいて各輸送手段の運行をシミュレートし、原料在庫量推移算出部で上記シミュレート結果に基づいて原料銘柄毎の在庫量の推移を算出して、その結果を評価値算出部で評価するようにした物流計画作成装置が開示されている。
特開平8−272402号公報 特開平11−310313号公報
特許文献1では、配船計画装置において、処理対象の銘柄を選定し、選定された銘柄を輸送するのに適した船舶を選定し、輸送スケジュールを決定する。そして、例えば処理対象の銘柄の選定の際に、一定量以上の在庫を必要とする必須銘柄が先に選ばれるようにする等の基準は開示されている。しかしながら、各選定の具体的な手法については開示されていない。処理対象の銘柄、船舶、輸送スケジュールの組み合わせは多岐にわたり、満足できる結果が得られるまでには、これら各要素を変えながら計算を行わなければならず、配船計画を作成するために多くの時間がかかってしまう。
また、必須銘柄が先に選ばれる配船を行っているため、所定の期間内において全銘柄を見た場合に、在庫切れの回数、或いは在庫切れの量を最小に抑えることができないという問題があった。つまり、短期的な銘柄の在庫切れ予防を優先しているために、長期的な需給バランスが考慮されていない問題があった。このため、短期的に見た場合は在庫が保持されるが、在庫がなくなった時点では搬送すべき船舶がなくなる等の状況を回避することができない等の問題があった。
また、特許文献2では、シミュレート部や原料在庫推移算出部の規模が大きくなりがちである。また、制約条件が多くなったりするほど、適切な評価を得るために再計算を繰り返さなければならず、満足できる結果が得られるまでに多くの時間がかかってしまう。
また、現実の輸送に際しては、異なる種類の契約に基づいて船舶が運用され、船舶はこれらの契約種に従って例えば連続航海船、不定期船、スポット船と呼ばれる。ところが、特許文献1、2ではそういった船舶の種類までも含めた輸送費用のミニマム化が考慮されていない。
船舶の契約では連続航海船及び不定期船は必ず配船をする必要がある。一方、スポット船は、引取目標量、在庫状況に応じて適切に雇う船の大きさ、船数を決定する必要がある。ところが、特許文献1、2ではそういった船の雇用形態、船団構成までを含めた輸送費用のミニマム化が考慮されていない。つまり、例えば1つの連続航海船と最大積載量75000tの2つのスポット船で配船するのが良いのか、或いは1つの連続航海船と最大積載量50000tの3つのスポット船で配船するのが良いのかを考慮した配船が実際の業務では必要となる。このように、雇う船の最大積載量、航路によって船の輸送費用は大きく変わってくる。特許文献1、2では、これらを考慮した配船が行われていない。
また、減産状況が発生したような場合には、連続航海船及び不定期船での輸送能力が総引取目標量に対して余剰となることもある。この場合、余った船舶は一時他社原材料の輸送用としてレンタルすることが行われている。したがって、どのタイミングでどの航海部分を余剰として判断するかを考慮すべきであるが、特許文献1、2では、これらを考慮した配船が行われていない。
加えて、実操業においては、使用予定銘柄の在庫状況が厳しい場合には、性状の近い銘柄(一定の化学性質を共通して備える銘柄:互いに置き換えても使用可能な銘柄)を代替として使用することで、在庫切れの抑止が行われている。また、この代替使用を積極的に行うことで、フレートが高い船でしか輸送できない銘柄に変わり、性状の近い銘柄でフレートのより安い船で手配できる銘柄を輸送することで、輸送費用の削減を行っている。ところが、特許文献1、2ではこれら性状の近い銘柄を考慮した配船が行われていない。
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を迅速かつ高精度に作成できるようにし、しかも船舶の種類、船団の構成を決める船舶を雇う、雇わないといった判断、連続航海船及び不定期船での輸送能力が総引取目標量に対して余剰となったときの判断までも含めて輸送費用のミニマム化を可能にすることを目的とする。
本発明の配船計画作成装置は、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するための配船計画作成装置であって、
前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込み手段と、
前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成手段と、
前記船舶財源作成手段で作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定手段と、
前記数式モデル設定手段で設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算手段と、
前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータと、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力手段とを備え、
前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とする。
また、本発明の配船計画作成装置の他の特徴とするところは、前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
前記船舶財源作成手段は、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示する点にある。
また、本発明の配船計画作成装置の他の特徴とするところは、前記船舶財源作成手段は、前記ダミー積地及び前記ダミー揚地を含む積地と揚地との組み合わせのパターンを作成する際に、正規積地と正規揚地との組み合わせに、前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせと、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせと、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせを加える点にある。
また、本発明の配船計画作成装置の他の特徴とするところは、前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせの航海時間、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせの航海時間、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせの航海時間として、予め定められた時間が自動的に設定される点にある。
また、本発明の配船計画作成装置の他の特徴とするところは、前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせの航海時間、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせの航海時間、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせの航海時間として、ユーザが所望の時間を入力設定できる点にある。
また、本発明の配船計画作成装置の他の特徴とするところは、前記所定の船舶は連続航海船及び不定期船である点にある。
本発明の配船計画作成方法は、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するための配船計画作成装置による配船計画作成方法であって、
前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込みステップと、
前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成ステップと、
前記船舶財源作成ステップで作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定ステップと、
前記数式モデル設定ステップで設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算ステップと、
前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータによりシミュレートするシミュレートステップと、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力ステップとを有し、
前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とする。
また、本発明の配船計画作成方法の他の特徴とするところは、前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
前記船舶財源作成ステップでは、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示する点にある。
本発明のプログラムは、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するためのプログラムであって、
前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込み手段と、
前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成手段と、
前記船舶財源作成手段で作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定手段と、
前記数式モデル設定手段で設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算手段と、
前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータと、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力手段としてコンピュータを機能させ、
前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
前記船舶財源作成手段は、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示する点にある。
本発明によれば、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を迅速かつ高精度に作成することができる。しかも船舶契約の種類(例えば連続航海船、不定期船、スポット船)、各船舶を雇う/雇わないの判断、連続航海船及び不定期船での輸送量が引取目標量に対して余剰となったときの判断までも含めて輸送費用のミニマム化のための最適化が可能になる。
本実施形態に係る配船計画作成装置を含む全体システムの概略構成を示す図である。 本実施形態に係る配船計画作成装置による配船計画作成処理を説明するためのフローチャートである。 取り込みデータのうちの船舶リストを説明するための図である。 取り込みデータのうちの船舶運航状況を説明するための図である。 取り込みデータのうちのフレートリストを説明するための図である。 取り込みデータのうちの滞船料のリストを説明するための図である。 船舶の選択処理を説明するためのフローチャートである。 抽出した連続航海船について計画作成期間における積地と揚地との組み合わせのパターンを作成している様子を示す図である。 スポット船で補うべき運搬量を説明するための図である。 スポット船の航路リストを説明するための図である。 時刻と在庫量との関係を示す図である。 引取量と引取目標量とが大きく離れないという制約を説明するための図である。 マクロ最適化とミクロ最適化との関係を模式的に示した図である。 積地における負荷の平準化を目的とする目的関数について説明するための図である。 揚地における負荷の平準化を目的とする目的関数について説明するための図である。 熟練した当業者が、従来の方法で計画した配船立案結果を示す図である。 本実施形態に係る配船計画作成装置、及び方法を用いて計画された配船立案結果を示す図である。 連続航海船及び不定期船が余剰となっている状態を示す図である。 連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計より総引取目標量の方が少ない状況を示す図である。 ダミー積港Z1及びダミー揚港Z2を含む積地と揚地との組み合わせのパターンを示す図である。 レンタル期間について説明するための図である。 レンタル期間について説明するための図である。 ダミー積港Z1及びダミー揚港Z2を含む積地と揚地との組み合わせにおける港間距離の一例を示す図である。 作成された配船計画の一例を示す図である。 余剰期間抽出を行わずに計画した配船立案結果を示す図である。 余剰期間抽出を行って計画された配船立案結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、複数の製鉄所に、世界中に点在する山元から鉱石や石炭等の原材料を輸送する例を説明する。
図1は、本実施形態に係る配船計画作成装置を含む全体システムの概略構成を示す図である。図1において、100は配船計画作成装置であり、複数銘柄の原材料(鉱石や石炭等)を複数の積地(世界中に点在する山元側の積港)から複数の揚地(製鉄所側の揚港)に輸送する配船計画を作成する。本実施形態では、製鉄所毎の輸送費用平準化ではなく、全製鉄所合計での輸送費用をミニマム化する配船計画を作成することを目的としている。更には、輸送費用に加えて、購入費用を含めたコストをミニマム化する配船計画を作成することを目的としている。
200は配合計画作成装置であり、製鉄所毎に原材料を配合する配合計画を作成する。これにより、各製鉄所に輸送された原材料を日々どれだけ使用するかの使用予定量が計画される。配合計画作成装置200での配合計画作成手法としては、どのような手法のものを用いてもかまわない。
300はデータベースであり、各装置100、200で使用するデータや各装置100、200で算出したデータを格納する。
400はプロセスコンピュータ等と称される上位コンピュータであり、データベース300に格納されたデータを参照したり、データベース300にデータを格納、更新したりする。
配船計画作成装置100は、データベース300から原材料の使用予定量、原材料の引取目標量、契約の種別の異なる船舶がリストアップされた船舶リスト、船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、原材料の在庫状況、原材料の購入費用、船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用等のデータを取り込んで、例えば3ヶ月(9旬)分の配船計画を作成する。ここで、1旬は1月を3分割した期間である。配船計画として、具体的には、連続航海船、不定期船、スポット船に対する積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量、寄港順、着岸バース、入出港タイミング、及び雇うべきスポット船の船数と船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)等を決定する。
配船計画作成装置100において、101は船舶の運航、積地、揚地での設備、ヤード等を模擬したシミュレータである。シミュレータ101は、後述するマクロ最適化部102、ミクロ最適化部103により決定された連続航海船、不定期船、スポット船に対する積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量、寄港順、着岸バース、入出港タイミング、及び雇うべきスポット船の船数と船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)の情報を受け、この情報に基づいて詳細なシミュレーションを実行する。本シミュレータは、在庫推移シミュレータ及び船舶運航状況推移シミュレータにより構成される。
在庫推移シミュレータは、各製鉄所における原材料の在庫推移を計算する。この在庫推移シミュレータでは、各製鉄所の原材料の使用予定量、船舶の原材料の銘柄毎の荷揚げ時刻を考慮し、詳細に原材料の銘柄毎の在庫推移を計算する。例えば、船舶に複数銘柄が積載され、1銘柄を荷揚げした後、2銘柄目を荷揚げする時点で、ヤード能力が溢れていた場合、ヤード上の原材料の在庫量が減り、ヤード能力に余裕が出来るまで時間を空けて荷揚げをする必要があるかの判断等が考慮されて、荷揚げ時刻に対応した在庫の推移が正確にシミュレートされる。
船舶運航状況推移シミュレータは、積揚港の沖着日時(ETA:Estimated Time Of Arrival)、積揚港着岸の日時(ETB:Estimated Time Of Berthing)、積揚港出港の日時(ETD:Estimated Time Of Departure)を含む、船舶の運航状況の推移を計算する。この船舶運航状況推移シミュレータでは、荷積能力、荷揚能力の他に、他岸壁に船舶が存在するかどうか(存在する場合には着岸できない)等、他船舶との干渉等も考慮し、詳細に船舶の運航状況をシミュレートする。例えば、船舶の荷揚げに使用するアンローダの基数については、荷揚げする銘柄が積載されているハッチの位置の他、同一揚港の別バースで荷役している船舶があるか、ないか等を考慮する。この荷揚げに使用するアンローダの基数により荷揚能力が影響される。一例として、1基のアンローダで荷揚げする場合は、1500t/hで100%能力で荷揚げを行える。また、2基のアンローダの場合は、1500t/h×2基で70%能力で荷揚げを行える。上記船舶運航状況推移シミュレータは、これらアンローダ基数等の条件による荷揚能力の変化を、シミュレーションに取込み、正確にシミュレートする。これによって、実操業に求められる細かな制約まで考慮した、具体的な配船計画の立案を可能とする。
102はマクロ最適化部であり、製鉄所の配合計画(原材料の使用予定量)に支障をきたさないこと、及び、積み出し可能量を守ることを前提に、輸送費用のうちのフレートの合計金額を最も安価にすることを一つの目的として、連続航海船、不定期船、スポット船に対する積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量、寄港順、及び雇うべきスポット船の船数と船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)を決定するように最適化を行う。マクロ最適化部102は、本発明でいう船舶財源作成手段として機能する船舶財源作成部102a、本発明でいう数式モデル設定手段として機能する数式モデル設定部102b、本発明でいう最適化計算手段として機能する最適化計算部102cを備え、例えば9旬分を旬精度に演算する。
本実施形態に係る配船計画作成装置100は、詳細は後述するが、減産モード時に、配船計画において余剰となる期間を提示する余剰期間抽出機能を持っている。そのために、マクロ最適化部102の船舶財源作成部102aは、余剰期間抽出を行うときに用いるダミー積港及びダミー揚港に関する情報を記憶するダミー積港・揚港情報記憶部102dを備える。
103はミクロ最適化部であり、マクロ最適化部102により最適化された計画において滞船料の合計金額を最も安価にする着岸バース、入出港タイミングを決定するように最適化を行って、シミュレータ101に対する指示を算出する。ミクロ最適化部103は、本発明でいう数式モデル設定手段として機能する数式モデル設定部103a、本発明でいう最適化計算手段として機能する最適化計算部103bを備え、例えば1旬分を分精度に演算する。
104は本発明でいうデータ取り込み手段として機能するデータ取り込み部であり、データベース300から原材料の使用予定量、原材料の引取目標量、契約の種別の異なる船舶がリストアップされた船舶リスト、船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、原材料の在庫状況、原材料の購入費用、船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、積地での船舶停泊状況、荷積能力状況、設備修理・休止予定、揚地での船舶停泊状況、荷揚能力状況、設備修理・休止予定等のデータを取り込む。
105は本発明でいう出力手段として機能する出力部であり、シミュレータ101によるシミュレーション結果として作成された配船計画、具体的には、連続航海船、不定期船、スポット船に対する積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量、寄港順、着岸バース、入出港タイミング、及び雇うべきスポット船の船数と船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)を画面表示したり、外部機器にデータ送信したりする。
以下、本実施形態に係る配船計画作成装置100による配船計画作成処理の詳細を説明する。図2は、配船計画作成装置100を用いた配船計画作成方法における各処理のステップを説明するためのフローチャートである。本実施形態では、ユーザが設定した立案開始日から3ヶ月(9旬)を計画作成期間として配船計画を作成する。以下では、まず通常時の処理(基本処理)を説明し、減産モード時に余剰期間抽出を行うときの処理については後述する。
(1)データの取り込み(ステップS101)
配船計画作成装置100のデータ取り込み部104は、データベース300から原材料の使用予定量、原材料の引取目標量、契約の種別の異なる船舶がリストアップされた船舶リスト、船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、原材料の在庫状況、原材料の購入費用、船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、積地での船舶停泊状況、荷積能力状況、設備修理・休止予定、揚地での船舶停泊状況、荷揚能力状況、設備修理・休止予定等のデータを取り込む。
ここで、原材料の使用予定量は、配合計画作成装置200で作成された配合計画から算出される、計画作成期間における製鉄所(揚地)別、原材料の銘柄別の使用予定量を表わす情報である。原材料はその銘柄毎に、品質・性状等に違いがあるため、それぞれ銘柄毎に使用予定量を決め、配合される。
原材料の引取目標量は、山元(積地)別、銘柄別の引取目標量(引取予定量)を表わす情報である。各山元とは銘柄毎に例えば年間どれだけの量を引き取るかについて契約しており、それを旬数で割れば旬毎の引取目標量が得られる。この引取目標量に近づけるように、配船することが求められる。ただし、配船計画との関係で、引取目標量からの数万トン程度の上下へのぶれは、山元との交渉により、許容範囲内となる。また、契約によっては、所定の銘柄については所定の期間は引取しないといった契約も考えられる。このような契約に関する具体的な情報を取り込みデータに含めるようにしてもよい。
船舶リストは、図3に示すように、契約の種別の異なる船舶、ここでは具体的に連続航海船、不定期船、スポット船をリストアップした情報である。連続航海船は、契約期間において連続航海する契約を行っている船舶である。このため、最優先で配船することが求められる。不定期船は、契約期間において契約した数のみ航海する、又は契約した航海期間のみ航海する契約を行っている船舶である。このため、契約した航海数又は契約した航海期間内でできる限り配船することが求められる。スポット船は、シミュレーションの段階では通常は未契約である。連続航海船及び不定期船を配船しても、必要な引取量を満たせない、或いは揚地の在庫を充足できない場合に、スポット的な契約形態で船舶の航海を依頼することができる。連続航海船については、傭船コード(船一隻一隻を特定するコード)、契約区分、契約期間(開始日及び終了日)、最大積載量、船名が記載される。不定期船については、傭船コード、契約区分、契約期間(開始日及び終了日)、契約の内容(契約した航海数又は契約した航海期間)、最大積載量、船名が記載される。これら連続航海船及び不定期船は船舶を個別にリストアップしているが、スポット船については、船舶の航行できる地域名と、船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)でリストアップし、傭船コード(地域名と大きさが記述される)、契約区分、最大積載量が記載される。
なお、スポット船の船型を表わすPmaxはパナマ運河を通過できる船舶(一般にこの船型はパナマックスと呼ばれる)、Capeはケープ岬を通過できる船舶(一般にこの船型はケープサイズと呼ばれる)、VL(Very Large)はこれらより大きい大型船であることを意味する。ここで、通常パナマックスとは、長さ900フィート以内、幅106フィート以内の船で、最大積載可能量が6万〜8万トンクラスの船を指す。また通常ケープサイズとは、最大積載か能力が15万〜17万トンクラスの船を指す。スポット船については、配船計画を立てる段階で、この航行できる地域と船舶の大きさを基に、必要な船数、船型(船の最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)を決定する。配船計画がある程度確定される段階になって、実際の船会社と交渉して、上記船型にマッチする船を契約する手続きが取られる。このため、配船計画を立てる段階では、まず未契約の状態(船会社と交渉する前の段階)で、必要な船数、船型(最大積載量を基に定義される船舶の大きさ)を決定することが求められる。
船舶運航状況は、図4に示すように、船舶リストにリストアップされている各船舶の運航状況の実績及び確定している予定を表わす情報である。積−揚、積−積−揚、積−揚−揚のように、積港及び揚港は1港の場合も、複数港の場合もある。このような一連の船舶の運行を一つの航海として取り扱い、航海Noが付される。船舶リストにリストアップされている各船舶について、航海No.積揚ドック区分、積揚連番、積揚港コード、バースコード、積揚港沖着の日時(ETA)、積揚港着岸の日時(ETB)、積揚港出港の日時(ETD)、航海時間が記載される。
例えば連続航海船Aの航海No.3とは、2008年3月7日20時に積港(X1港)沖に着き、2008年3月12日20時に積港(X1港)のコード「1」で表わされるバースに着岸し、2008年3月14日20時に積港(X1港)を出港した後、46920分航海して、2008年4月16日10時に揚港(B港)沖に着き、2008年4月16日13時に揚港(B港)のコード「11」で表わされるバースに着岸し、2008年4月18日14時に揚港(B港)を出港する航海である。また、この船は契約区分が連続航海であるため、連続航海船Aは、積−揚−積−揚…と連続的に航海をしている。つまり連続航海船Aの航海No.2の最後の揚港(D港)を2008年2月22日9時に出港した後、航海No.3の最初の積港(X1港)に向かい、20820時間航海して、2008年3月7日20時にX1港の沖に着いている。
立案開始日(配船計画を立案する対象期間の始めの日)が、立案を実行する日に対して将来である場合は、原材料の在庫状況は、配合計画作成装置200で作成された配合計画から算出される、立案開始日における製鉄所(揚地)別、銘柄別の在庫状況を表わす情報である。また、立案開始日が、立案を実行する日に対して過去の場合は、原材料の在庫状況は、各製鉄所がデータベースにインプットした原材料の銘柄別の実績在庫状況を表わす情報である。
購入費用は、山元(積地)別、銘柄別の原材料の購入費用を表わす情報である。
輸送費用は、船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合のフレート、及び、船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の積揚港別の滞船料を表わす情報である。
図5には、フレートのリストの例を示す。同図に示すように、船舶リストにリストアップされている各船舶について、傭船コード、積港、1揚港、2揚港、3揚港、フレート(ドル/トン)が記載されている。例えば連続航海船Aは、積港X1から揚港Aまで航海した場合のフレートが16.00であり、積港X1から揚港A−揚港Bまで航海した場合のフレートが16.24である。なお、フレートのリストからもわかるように、一般的には、連続航海船を利用した方が不定期船やスポット船を利用するよりもフレートが安い。
図6には、滞船料のリストの例を示す。同図に示すように、船舶リストにリストアップされている各船舶について、傭船コード、揚ラン(t/Day)、デスデマレート(ドル/日)が記載されている。揚ラン(Discharging Rate)とは、契約上の基準となる荷揚能力であり、1日で荷役ができる量を表す。その荷揚能力で荷を揚げると仮定した場合と比較して、実際の揚げ時間が早くなった場合は、デスデマレートで設定された金額を船会社から受け取ることができる。逆に遅くなればデスデマレートに設定された金額を船会社に支払うこととなる。例えば、連続航海船Aが10000tの荷揚げをした際に、ETAから11時間後にETDした場合を考える。揚ランは20000(t/Day)であるため、このレートどおりの荷揚げを行えば荷揚げに12時間かかる見込みになる。これに対し、実際には11時間で荷揚げしたため、デスデマレート16250(ドル/日)で規定された金額の1時間分=16250/24ドルを船会社より受け取る。逆に、ETAから13時間後にETDした場合は、デスデマレート16250(ドル/日)で規定された金額の1時間分=16250/24ドルを船会社に支払うこととなる。
(2)船舶財源の作成(ステップS102)
マクロ最適化部102の船舶財源作成部102aは、ステップS101で取り込んだ船舶リスト(図3を参照)に基づいて船舶を選択し、必要な船舶財源を作成する。
図7は、船舶の選択処理を説明するためのフローチャートである。船舶財源作成部102aは、まず、船舶リスト(図3を参照)及び船舶運航状況(図4を参照)に基づいて、計画作成期間において運航予定の未定部分がある連続航海船を抽出する(ステップS201)。例えば立案開始日を2008年3月1日として3ヶ月分の配船計画を作成するとしたならば、図4に示すように、連続航海船Aは2008年4月18日以降が未定となっているので、連続航海船Aは抽出される。
そして、抽出した連続航海船Aについて計画作成期間における積地と揚地との組み合わせのパターンを作成する(ステップS202)。このとき、積地と揚地との距離等に基づいて特定の条件を設け、この条件を満たすパターンだけを作成しても良い。この場合、例えば明らかに不適な運行距離を持つパターン等を予め排除でき、シミュレーションの効率を上げられる。図8は、既に確定している航海No.3(図中「A−3」)に続けて、積港X2−揚港A(航海No.4)、積港X1−揚港B(航海No.5)のパターンを作成している様子を示す図である。パターンの作成に際して、各時刻は、標準的な航海時間(港間距離及び該船舶Aの標準ノット)や標準的な積揚時間を使用して求めるようにしている。例えば、航海No.4における揚港Aの沖着時刻は、[航海No.4における積港X2の沖着時刻]+[標準積時間]+([港X2と港A間の距離])/[船舶Aの標準ノット]で求めることができる。連続航海船Aについて計画作成期間における積地と揚地との組み合わせは複数あるので、それら全てのパターン(或いは上記の特定条件に合致するパターンだけ)を作成する。他の連続航海船についても同様の作業を行う。
次に、船舶リスト(図3を参照)及び船舶運航状況(図4を参照)に基づいて、計画作成期間において利用可能で未定部分がある不定期船を抽出する(ステップS203)。例えば、図3に示すように、不定期船5の配船予定年月は計画作成期間から外れているので、不定期船5は抽出されない。そして、連続航海船の場合と同様に、抽出した各不定期船について計画作成期間における積地と揚地との組み合わせの全てのパターン(或いは特定条件に合致するパターンだけ)を作成する(ステップS204)。
次に、船舶リスト(図3を参照)及び船舶運航状況(図4を参照)に基づいて、スポット船の候補を抽出する(ステップS205)。具体的には、まず計画作成期間における総引取目標量を計算する。また、ステップS201、S202で抽出した連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計を計算する。これにより、スポット船で補うべき運搬量を、総引取目標量から、計画作成期間に含まれる連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計を減算することで算出することができる(図9を参照)。このスポット船で補うべき運搬量に基づいて、各スポット船の最大積載量を参照し、何隻のスポット船が必要となるかを計算し、各スポット船の最少船数を求める。例えばスポット船で補うべき運搬量が250000トンである場合、豪州-PmaxSpotであれば250000÷75000=3.33で4隻必要となり、4隻の豪州-PmaxSpotをスポット船の候補とする。同様に、2隻の豪州-CapeSpot、1隻の豪州-VLSpot、4隻のカナダ-PmaxSpot、2隻のカナダ-CapeSpot、1隻のカナダ-VLSpot、1隻の豪州-PmaxSpot及び1隻の豪州-CapeSpot、等のようにスポット船の最少船数が求まる。ここで、求めたスポット船の最少船数が当該傭船コードのスポット船のみで引取を補った場合の最少船数となる。後述するように、この最少船数より多くのスポット船が必要になる場合がある。
次に、船舶リスト(図3を参照)及び船舶運航状況(図4を参照)に基づいて、スポット船の候補を抽出する。ここでは、船舶運航状況で確定された予定がある場合には、当該船舶をスポット船の候補として抽出し、更に船舶リストの契約区分が未契約の傭船コードのそれぞれに対して、予め設定した日にち毎に、計画作成期間分のスポット船の候補を作成する。図10に、各傭船コードに対するスポット船の候補を作成する間隔を10日としたスポット船の航路リストの例を示す。
ここで、上記等間隔で作成した船数と、上記計算した最少船数とを比較して、上記等間隔で作成した船数の方が少ない場合には、全てのスポット船の候補を雇ったとしても、引取目標量を満足する引取量を実現することが難しい場合がある。このため、上記計算した最少船数より船数が多くなるように、スポット船の候補を作成する間隔を狭めて、スポット船の候補を作成する。そして、連続航海船の場合と同様に、作成した各スポット船の候補について計画作成期間における積地と揚地との組み合わせの全てのパターン(或いは特定条件に合致するパターンだけ)を作成する(ステップS206)。ここで、後述するマクロ最適化において、上記スポット船の各候補について雇う、雇わないが判断され、必要となる船型、船数分のスポット船が決定される。例えば、豪州-PmaxSpot-航海No.3が、候補として作成された後、マクロ最適化において、雇わないと計画されることもある。
(3)マクロ数式モデルの設定(ステップS103)
マクロ最適化部102の数式モデル設定部102bは、ステップS102で作成した船舶の運航制約、揚地での原材料の需給バランス制約、引取目標量制約を表わすよう構築された数式モデルを設定する。設定を受ける数式モデルは、例えばLP(線形計画法)、MIP(混合整数計画法)、QP(2次計画法)等の数理計画法に則ったモデルとして構築(定式化)されている。ここでは、例としてMIPの定式化に基づいた数式モデルを示す。ここで数式モデルの設定とは、船舶数や港数等の変化に対応できるように抽象的な形式で構築されている基礎数式モデルに対して、各配列の添え字の最大数(例えば船舶数を表す)や、式中の係数の値等を、実際の計画に沿って具体的に定めることを言う。
まず、該当船が、該当積港を選択するか、選択しないかを示す変数を定義する。つまり、後述する最適化によって得られるこの変数の値に基づいて、当該積港を選択するか、選択しないかが判断される。この変数は、選択する場合を示す1、選択しない場合を示す0、のいずれかの値を取る整数変数とする。
Figure 0005569199
例えば、図8に示す連続航海船Aが候補となる船として挙げられ、この船の航海No.4(図中「A−4」)において、当該船舶の寄航可能な積港がX1、X2の2つある場合には、各積港に対応するように以下の2つの整数変数を定義する。ここで、これらの整数変数の第3の添え字であるETAは、ステップS102で計算された沖着時刻である。
Figure 0005569199
もし、最適化の結果としてX1に寄航することが選択された場合は、変数は以下の値を取ることとなる。
Figure 0005569199
また、該当船が、該当積港、該当揚港、該当寄航順(揚港の何番目に寄ったかを表わす数字、例えば積港X1−揚港A−揚港Bと寄った場合、揚港Bは寄航順2とする)を選択する、つまり該当積港に寄った後、当該揚港に、当該寄航順に寄るのか、或いは選択しない、つまり当該積港に寄った後、当該揚港に、当該寄航順に寄らないか、を示す変数を定義する。この変数は寄港する場合を示す1、寄港しない場合を示す0のいずれかの値を取る整数変数とする。ここで扱う例では、最大2揚港まで寄航できる例を提示するが、寄航できる揚港数、寄航できる積港数は、それ以上の値を取っても構わない。
Figure 0005569199
また、該当船が、該当積港で、該当銘柄を荷積する量を示す変数を定義する。
Figure 0005569199
また、該当船が、該当積港、該当揚港、該当寄航順で、該当銘柄を荷揚げする量を示す変数を定義する。
Figure 0005569199
更に、該当日、該当銘柄の、該当揚港での在庫量を示す変数を定義する。
Figure 0005569199
「各船舶の積載量が最大積載量を超えないこと」、「積載量は全部荷揚げすること」、等の条件を示す制約式は、基礎となる数式モデルとして予め構築しておく。後述するように、最適化(ステップS103〜S106)及びシミュレーション(S107)を含む一連の工程は、複数ループ反復して実行できる。初回ループの最適化では、ステップS101で取り込んだデータに基づいて船舶の運航制約を数式モデルに設定する。第2ループ以降の最適化では、シミュレータ101が前回のループで行ったシミュレーションの結果を反映させて数式モデルを設定する。
各船舶の積載量が最大積載量を超えないという制約は、下記の制約式(式1)と表わされる。
Figure 0005569199
積載量は全部荷揚げするという制約は、下記の制約式(式2)と表わされる。
Figure 0005569199
また、揚地での原材料の需給バランス制約としては、「各銘柄の在庫量が常に安全在庫量以上確保されている」という制約条件を、数式モデルとして構築する。初回ループではステップS101で取り込んだデータに基づいて、更に次ループ(ステップS103〜S107)以降はシミュレータ101でのシミュレーション結果を反映させて、図11に示すように、構築した数式モデルを設定する。
まず、各銘柄の在庫量の推移を表わす制約式は下記の(式3)と表わされる。つまり、当日の在庫量から前日の在庫量と当日に荷揚する量を引いた値は、当日の使用予定量となる。
Figure 0005569199
各銘柄の在庫量が常に安全在庫以上確保されているという制約は、下記の制約式(式4)と表わされる。
Figure 0005569199
また、揚港で荷揚げされた原材料は、ヤードに積上げられるが、この荷揚げされる原材料の在庫量は、ヤード能力の上限以下になっていないと着岸できない。但し、ヤードに積上げられた原材料は、日にちが経過すれば、つまり船舶を待たせれば荷揚げすることができる。しかし、荷揚げがヤード能力を超えすぎていると滞船時間が膨大となる。そこで、例えばヤード能力の1%程度の超過までの荷揚げを許すとする。この制約は、下記の制約式(式5)と表わされる。
Figure 0005569199
また、引取目標量制約は、ステップS101で取り込んだデータに基づいて、更に次ループ(ステップS103〜S107)以降はシミュレータ101でのシミュレーション結果を反映させて、設定する。最適化する引取量(荷積量)が引取目標量からかけ離れないこと、引取の可否(前述したように所定の銘柄については所定の期間は引取しないといった事情もありうる)、等が数式モデルに構築されている。ここで、引取量が引取目標量からかけ離れないという制約を考える場合に、例えば図12(a)に示すように、単に旬毎(或いは月毎)に引取目標量に対して上下限値を設定し、荷積量がその上下限値を超えないことを制約とすることが考えられる。しかしながら、その場合、例えば荷積量が下限値を満たしているが引取目標量を下回る状況が続いたような場合、年間で蓄積すると、引取割れが発生してしまうこともありうる。そこで、図12(b)に示すように、旬毎(或いは月毎)にそれまで引取目標量累積及び引取量累積を考え、引取目標量累積と引取量累積との差を小さくする(最小とする、上下限値を越えないようにする等)制約を設定するのが好適である。上記制約式を定式化するために、旬毎の引取目標累積量からの溢れ量、不足量の変数を定義する。
Figure 0005569199
また、各旬の引取量累積の変数を定義する。
Figure 0005569199
まず、各銘柄の引取量累積を表わす制約式は下記の(式6)と表される。つまり、引取量累積は、立案開始日から該当旬までの期間にETAが入っている船舶(航海)の荷揚量の合計となる。
Figure 0005569199
各銘柄の引取目標量累積と溢れ量、不足量との関係を表わす制約式は下記の(式7)と表される。つまり、引取累積量から溢れが生じている場合は溢れ量を引き、不足が生じている場合は不足量を足すと、引取目標累積量と一致する。ここで、引取累積量と引取目標累積量は近い量を取る程良い計画であるといえる。つまり、この溢れ量、及び不足量は少ない程良い。上記理由のため、後述するようにこの溢れ量、及び不足量は、目的関数の項目として追加され、ミニマム化される。
Figure 0005569199
ここで、目的関数としてフレートの合計金額のミニマム化を定式化するために、寄港順を示す整数変数を導入する。この寄港順変数は、特定の船が、積港として特定の積港、第一揚港として当該揚港1、第二揚港として特定の揚港2の組み合わせを選択する場合は1、この組み合わせを選択しない場合は0を取る。
Figure 0005569199
この論理関係を混合整数計画法の定式として記述する方法が、一般的に良く知られており、以下のように定式化することができる。
Figure 0005569199
(4)マクロ数式モデル及び目的関数に基づいて最適化(ステップS104)
マクロ最適化部102の最適化計算部102cは、ステップS103で設定した数式モデルを用いて、輸送費用に関して設定された目的関数(評価関数)に基づいて最適化計算を行う。最適化計算に際しては、例えばLP(線形計画法)、MIP(混合整数計画法)、QP(2次計画法)等の数理計画法により最適化問題として問題を解く。
ここでの最適化計算では、輸送費用のうちフレートの合計金額のミニマム化を目的とした目的関数を用い、下記の変数を決定する。これにより、フレートの合計金額を最も安価にする船型、船数、積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量が選定される。
Figure 0005569199
ここで、船舶に掛かるフレートは、積港から第一港目に寄航する揚港までの基準フレートと、上記に更に他の港に寄航した際に掛かる多港揚追加フレートの合計、ここでは、第一揚港から第二揚港に余分に寄航した際に発生する多港揚追加フレートの合計と、積載した量との積となる。
例えば、図5より連続航海船A−航海No.1がX1港から第一揚港Aに75000tの荷を運んだ際には、基準フレート16.00となり、雇船費用は16.00×75000=1,200,000となる。また、第二揚港としてAに寄った後、Bによると多港揚追加フレートは(16.24−16.00)=0.24となり、この際の雇船費用は(16.00+0.24)×75000=1,218,000となる。
以上より、マクロ最適化で用いる目的関数(以下マクロ目的関数と呼ぶ)を式で表わすと、下記の式(式11)を得る。
Figure 0005569199
ここで、マクロ最適化では、引取目標量累積及び引取量累積を考え、引取目標量累積と引取量累積との差を小さくすることも目的としている。このため、旬毎の引取目標累積量からの溢れ量、不足量の合計量をミニマム化する項目を目的関数に追加する。このため、目的関数を表わす(式11)を下記の式(式12)に変更する。
マクロ最適化では、全体として傭船に関する問題を最適化する。
Figure 0005569199
なお、フレートに関して目的関数を構築することを説明したが、フレートの合計金額及び原材料の購入費用の合計金額のミニマム化を目的とした目的関数としてもよい。既述したように原材料の引取目標量は契約により定められており、原材料の購入費用に大幅な変動はないが、その中でも原材料の購入費用の合計金額のミニマム化が可能になる。
上記の項目(3)、(4)で説明した如く、ミニマム化すべき式が目的関数、満足すべき各式が制約式として定式化されている。この制約式は線形等式、或いは不等式で表現されている。目的関数は1次式で表される。変数の中に整数となるべき変数が存在するモデルとして数式モデル、目的関数が構築されている。このように定式化された問題は、混合整数計画問題として一般に良く知られており、本問題は(解析的に)最適化することが可能である。
マクロ最適化に際しては、時間精度を旬精度として演算する。最適化期間は、最初のループ(ステップS103〜S107)では9旬、次ループ(ステップS103〜S107)では8旬、・・・、最後のループ(ステップS103〜S107)では1旬とする。そして、最適化期間(9旬〜1旬)のうちの最初の1旬を計画確定期間とし、その計画確定期間での演算結果をミクロ最適化部103に出力する。
(5)ミクロ数式モデルの設定(ステップS105)
ミクロ最適化部103の数式モデル設定部103aは、マクロ最適化部102で求めた計画確定期間の配船計画に従って船舶を運航する際の制約のうち、滞船制約、及び、揚地での原材料の需給バランス制約を表わす数式モデルを設定する。用いられる数式モデルは、例えばLP(線形計画法)、MIP(混合整数計画法)、QP(2次計画法)等の数理計画法を用いて構築する。ここでは、例としてMIPの定式化に基づいた数式モデルを示す。
マクロ最適化により、寄航する揚港が決定されている。ここで、揚港には船が着岸するための複数のバース(岸壁)が存在するため、該当揚港のいずれのバースに着岸するかを選択する変数を定義する。この変数は該当バースを選択する場合は1、選択しない場合は0の値を取る整数変数とする。
Figure 0005569199
また、該当船が該当バースに着岸するために沖待を開始する時刻(ETA)の変数を定義する。時刻はMIPで定式化するための変数として直接定義できないため、立案開始日からの経過分として定義する。つまり、立案開始日が1月1日0時0分の場合で、ETAが1月1日1時10分の場合は、70という値を取るとして定義する。また、この変数は整数変数ではなく、連続値を取る変数として定義する。
Figure 0005569199
同様にETBの変数を定義する。
Figure 0005569199
同様にETDの変数を定義する。
Figure 0005569199
更に、該当分、該当銘柄の、該当揚港での在庫量の変数を定義する。
Figure 0005569199
船舶の滞船制約は、初回ループではステップS101で取り込んだデータに基づいて、更に次ループ(ステップS103〜S107)以降はシミュレータ101でのシミュレーション結果を反映させて設定する。揚港での船舶運行条件(ETB>ETA、ETD>ETB+荷揚時間等)、バースの条件(許容されるLOA(全長)、DRAFT(全深)、BEAM(全幅)、積揚能力、ヤード能力等)、等が数式モデルに構築されている。
マクロ最適化で揚港が決定された船舶は、当該揚港の何れかのバースに着岸する必要がある。この制約は、下記の制約式(式13)と表される。つまり当該船に対して、着岸可能なバースの内で、必ず一つのバースが選択(変数の値が1)される必要がある。
Figure 0005569199
ETBはETA以降となる必要がある。この制約は、下記の制約式(式14)と表される。
Figure 0005569199
ETDはETB+荷揚時間以降となる必要がある。ここで、マクロ最適化により該当バースでの荷揚量は決定されているため、当該バースでの荷揚時間は、当該バースでの標準的な荷揚能力を用いると、荷揚時間=荷揚量/荷揚能力となる。以上より、上記制約は、下記の制約式(式15)と表される。
Figure 0005569199
また、揚地での原材料の需給バランス制約は、ステップS101で取り込んだデータに基づいて、更に次ループ(ステップS103〜S107)以降はシミュレータ101でのシミュレーション結果を反映させて設定する。図11に示すように、各銘柄の在庫量が常に安全在庫量以上確保されていることが数式モデルとして構築されている。つまり、該当時刻の在庫量から1分前の在庫量と当該時刻に荷揚する量を引いた値は、当該時刻1分間の使用予定量となる。
Figure 0005569199
また、揚港で荷揚げされた原材料は、ヤードに積上げられるが、この荷揚げされた原材料の在庫量は、ヤード能力の上限以下になっていないと着岸できない。つまりETB時点での在庫量はヤード能力上限以下となる必要がある。この制約は、下記の制約式(式17)と表される。
Figure 0005569199
(6)ミクロ数式モデル及び目的関数に基づいて最適化(ステップS106)
ミクロ最適化部103の最適化計算部103bは、ステップS105で設定した数式モデルを用いて、輸送費用に関して構築された目的関数(評価関数)に基づいて最適化計算を行う。最適化計算に際しては、例えばLP(線形計画法)、MIP(混合整数計画法)、QP(2次計画法)等の数理計画法により最適化問題として問題を解く。
ここでの最適化計算では、滞船料の合計金額のミニマム化を目的とした目的関数を用い、船舶が着岸する/しないを表わすδ(船舶、バース)、ETA時刻を表わすETA(船舶、バース)、ETB時刻を表わすETB(船舶、バース)、ETD時刻を表わすETD(船舶、バース)といった変数を決定する。これにより、輸送費用を最も安価にするバース、入出港タイミングが選定される。
ここで、船舶に掛かる滞船料は、ETD−ETAと契約上の基準停泊時間とを比較し、基準停泊時間より停泊が長い、つまり、ETD−ETA>基準停泊時間の場合には、デスデマレートとして契約された費用を支払い、逆の場合には、デスデマレートとして契約された費用を受取ることとなる。基準停泊時間は、契約上設定された荷揚能力である揚ランを用いて揚量/揚ランで計算される。例えば、連続航海船A−航海No.1が揚港で10000tの荷揚げを行い、ETAからETDまで11時間掛かった場合は、基準停泊時間=10000/20000=0.5日、12時時間より1時間早いため、デスデマレートで設定された16250/24の金額を船会社より受取ることとなる。以上より、ミクロ最適化で用いる目的関数(以下ミクロ目的関数と呼ぶ)を式で表わすと、下記の式(式18)を得る。
Figure 0005569199
上記式では定数部分が含まれているが、ミニマム化において定数部分は影響を与えないため、下記の式(式19)が目的関数となる。
Figure 0005569199
上記の項目(5)、(6)で説明した如く、ミニマム化すべき式が目的関数、満足すべき各式が制約式として定式化されている。この制約式は、線形等式、或いは不等式で表現されている。目的関数は1次式で表される。変数の中に整数となるべき変数が存在するモデルとして数式モデル、目的関数が構築されている。この様に定式化された問題は、混合整数計画問題として一般に良く知られており、本問題は(解析的に)最適化することが可能である。
ミクロ最適化に際しては、最適化期間を10日(1旬)とし、時間精度を分精度として演算する。
(7)シミュレーション(ステップS107)
シミュレータ101は、ミクロ最適化部103で求めた数式モデルに対する解に基づいてシミュレーションを実行して、計画確定期間(1旬)の配船計画を確定する。シミュレーションの時間精度は分精度とする。このシミュレーションでは、マクロ数式モデル、ミクロ数式モデルには組み込むことができなかった制約等も組み込むことで、実際に求められる細かな制約までも考慮した配船計画を作成することが可能となる。
例えば、マクロ・ミクロ最適化で取扱うことが難しい制約の一例として1隻の船舶の荷揚げに使用するアンローダの基数がある。この基数は、荷揚げする銘柄が積載されているハッチの位置、同一揚港の別バースで荷役している船舶があるか、ないか等により変わって来る。この荷揚げに使用するアンローダの基数により荷揚能力は変わって来る。例えば、「1基で荷揚げする場合は、1500t/hで100%能力で揚げられる」「2基の場合は、1500t/h×2基で70%能力で揚げられる」等の状況が例示できる。マクロ・ミクロ最適化ではこれらのアンローダ基数まで考慮されていないため、最適化で計算された時間を、シミュレータによりアンローダ基数まで考慮して、最適化の時間のずれ等をシミュレーションに取込み、正確にシミュレートすることで、実操業に求められる細かな制約まで考慮した配船計画の立案が可能となる。
シミュレータ101では、ミクロ最適化部103で船舶の入出港タイミングの入れ替え等による時間調整があった場合、それを波及的に反映させて時刻修正する。特に連続航海船では、ある港で時間調整があった場合その後の航海にも波及的に影響するので、シミュレータ101で時刻修正を行い、その後のマクロ最適化部102での処理に反映させるようにしている。
(8)立案開始日の更新(ステップS109)
ステップS108において計画作成期間(3ヶ月(9旬))分の計画が確定したかどうかを判定する。まだ確定していない場合、計画が確定した旬の次旬の初日、例えばN旬の計画が確定したならばN+1旬の初日を立案更新日として更新し(ステップS109)、ステップS103に戻る。ステップS103から始まる次ループでは、計画が確定した旬(N旬)における在庫推移や船舶の運航状況を更新して、次旬(N+1旬)の計画を確定させる。これを繰り返すことにより、計画作成期間(3ヶ月)分の計画が確定することになる(図13を参照)。
(9)配船計画の出力(ステップS110)
以上のようにして作成した配船計画は、出力部105により、不図示のモニタに画面表示されたり、外部機器にデータ送信されたりする。
以上述べたように、マクロ最適化部102及びミクロ最適化部103では、まず初期条件に基づいて数式モデルを設定し、最適化計算を行い、シミュレータ101に対する指示を算出する。シミュレータ101は、計画確定期間(1旬)についてシミュレーションを終了すると、計画確定期間の最終状態での原材料の在庫推移、船舶の運航状況の推移の情報をマクロ最適化部102及びミクロ最適化部103に与える。マクロ最適化部102及びミクロ最適化部103は、その与えられた情報に基づいて数式モデルを設定し、最適化計算を行い、シミュレータに対する指示を算出する。このようにシミュレータ101と最適化部102、103を連動させることにより、計画作成期間(3ヶ月(9旬))の配船計画を作成することができる。
本実施形態に係る配船計画作成装置(方法)によれば、マクロ最適化部102及びミクロ最適化部103により行われた最適化計算の結果に基づいた計算指示をシミュレータ101(在庫推移シミュレータ、船舶運航状況推移シミュレータ)に出力する。このように、最適化計算の結果に基づいてシミュレーションが行われるので、理論的な最適解を確実に得ることが可能となる。これにより、従来のようにシミュレーション結果を評価してシミュレーションを何回も繰り返して実行する必要がなく、シミュレーション結果を迅速かつ高精度に作成することができる。
また、シミュレータ101の規模が非常に大きい場合や制約条件が非常に多くて複雑な場合でも、シミュレータ101に記載された制約のうち、配船計画の作成に影響が大きい重要な部分のみを数式モデルに取り込むようにすることで、数式モデル設定部102b、103aの規模を適切な範囲にして、実用的な時間内で最適化計算を行うようにすることができる。シミュレータ101には、考慮すべき制約を全て記載することができるので、1回のシミュレーションを実行して作成された配船計画は現実に実行可能となることが保証される。
また、配船計画を作成する場合、ブラジル等の遠方より輸送される銘柄は、2ヶ月或いは3ヶ月に一度しか入荷されないといったこともあるため、長期間を考慮して配船計画を立てる必要がある。一方で、中国等頻繁に輸送される銘柄では数日で搬送される銘柄も存在する。更にバースの管理は、滞船料が発生することもあり、分単位で行われるため、分精度の計画が要求される。これらの要求に対して、マクロ最適化部102で船型、船数、積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量、寄港順を選定し、一方ミクロ最適化部103で使用バース、入出港タイミングを選定するように演算の分担を行った。このため、演算負荷を抑えるとともに、高精度で求解可能となる。すなわち、マクロ最適化とミクロ最適化を連動させ、繰り返し実行することで、長期間(3ヶ月)で特定する必要がある使用可能な船、積揚地、銘柄、量を長期間で考慮すると同時に、細かな時間精度が要求される使用バース、入出港タイミングは、細かな時間精度で最適化することを可能とした。
ここまでの説明では、各銘柄を個別のものとして取り扱っているが、性状が近い複数の銘柄(一定の化学性質を共通して備える銘柄:互いに置き換えても使用可能な銘柄)をグループ化して取り扱ってもよい。実操業においては、当初使用を予定していた銘柄に性状の近い銘柄が輸送されてきた場合は、当初使用にしていた銘柄ではなく、代替として輸送されて来た銘柄を使用することが行われているため、上記取り扱いを行うことが可能である。このように銘柄をグループ化し、一つのものとして取り扱うことにより、変数を少なくして計算量を減らすことができる。また、グループ化することで、フレートが高い船でしか輸送できない銘柄に変わり、同一グループの銘柄でフレートのより安い船で手配できる銘柄を輸送することが可能となり、輸送費用を抑制できる。
この場合には、マクロ最適化において(式4)で表されていた各銘柄の在庫量が常に安全在庫以上確保されているという制約は、下記の制約式(式20)に変更される。
Figure 0005569199
また、ミクロ最適化においても、安全在庫の制約式は、同一グループの銘柄(グループ銘柄)の合計の在庫が安全在庫を満たすように変更される。この場合には、各グループ銘柄の在庫量が常に安全在庫以上確保されているという制約は、下記の制約式(式21)と表される。
Figure 0005569199
また、配船計画作成の際に、船型、船数、積揚地(積揚港)、積揚銘柄、積揚量をユーザが個別に固定できるようにしてもよい。この場合、例えば所定の船舶を使用する、所定の積港を利用する等が予め決まっているような事情に対応できる。特に、引取目標量として設定した量に基づいて配船計画を立案した後で、山元との交渉が進み、引取量が確定されるが、この際には、引取量、積地(積港)、積銘柄、積量(荷積量)は、契約の都合上変更することが許されない。しかし、揚地に関しては、在庫状況を判断して、揚地、揚銘柄、揚量を変更する余地が残される場合が多い。このため、積地(積港)、積銘柄、積量を一括して固定化できるような操作を可能にすれば、ユーザにとって利便性が高くなる。
また、マクロ最適化部102の最適化計算部102cで輸送費用等に関して構築された目的関数(評価関数)に基づいて最適化計算を行う例を説明したが、他の目的関数を加えてもよい。
例えば積地における負荷を平準化するために、同一の積地に入出港する船舶が同時期に集中したり、逆に船舶が入出港しない期間が続いたりすることを避ける、すなわち同一の積地では計画作成期間中にできるだけ均等に配船することが求められる。
そこで、図14に示すように、積地毎に全銘柄の引取量を旬単位(或いは月単位)に集計し、それまでの累積を考える(引取量累積)。また、積地毎に全銘柄の引取目標量を旬単位(或いは月単位)に集計し、それまでの累積を目標値として設定する(引取目標量累積)。そして、引取量累積と引取目標量累積の差のミニマム化を目的とした目的関数を構築する。
これにより、各旬(或いは各月)で積地の引取量が均等に近づき、換言すれば、均等配船が可能になる。
同様に、揚地における負荷を平準化するために、同一の揚地に入出港する船舶が同時期に集中したり、逆に船舶が入出港しない期間が続いたりすることを避ける、すなわち同一の揚地では計画作成期間中にできるだけ均等に配船することが求められる。
そこで、図15に示すように、揚地毎に全銘柄の荷揚量を旬単位(或いは月単位)に集計し、それまでの累積を考える(荷揚量累積)。また、揚地毎に標準荷揚能力量を旬単位(或いは月単位)に集計し、それまでの累積を目標値として設定する(揚地標準荷揚能力量累積)。そして、その差を残荷揚量と定義し、この残荷揚量のミニマム化を目的とした目的関数を構築する。
これにより、各旬(或いは各月)で揚地の荷揚量が均等に近づき、換言すれば、均等配船が可能になる。即ち、マクロ最適化においても、滞船を抑制することが可能となる。
図16Aは、熟練した当業者が、従来の方法で計画した配船立案結果である。この図中で、重船待ち滞船は、第1の船が、特定の時刻に、特定の揚港の、特定のバースに着岸する予定である時、当該時刻において、第2の船が既に当該バースに停泊している場合に生ずる。重船待ち滞船が生ずると、上記第2の船が出港するまで、つまり上記第2の船のETDまでの間、第1の船は当該積港沖に滞船する必要がある。
また、ヤード待ち滞船は、第1の船が、特定の時刻に、特定の揚港の特定のバースに着岸する予定である時、当該時刻において、ヤード上の原材料の在庫量がヤード能力を越えており、荷役できない場合に生ずる。ヤード待ち滞船が生ずると、上記第1の船は、ヤード能力に空きが出来るまで当該積港沖に滞船する必要がある。
配船立案上では、特定の船がETAにおいて当該積港沖に到着し、ETDにおいて当該積港を出港するまでに、以下のような状況が生じうる。
(1)到着、滞船なし、荷役、出港
(2)到着、重船待ち滞船、荷役、出港
(3)到着、ヤード待ち滞船、荷役、出港
(4)到着、重船待ち滞船及びヤード待ち滞船、荷役、出港
図16Aによると、従来の方法で計画された配船立案結果では、重船待ち滞船や、ヤード待ち滞船が一定の割合で生じている。このような滞船を解消するためには、熟練した技術を持つ計画者による計画修正作業の繰り返しが必要となる。また、原理的にどこまで滞船を解消することが可能か、正確に見積もることは、熟練した計画者にとっても非常に難しい。
一方、図16Bは、本実施形態に係る配船計画作成装置、及び方法を用いて計画した配船立案結果である。図16Bでは、図16Aと比較して、重船待ち滞船、及び、ヤード待ち滞船の大部分が解消されている。この結果として、滞船に関する超過費用の削減効果が得られるほか、計画作成者の技能に直接依存せずに、安定した配船計画が可能となる。
<余剰期間抽出機能>
ここまでの説明では、連続航海船、不定期船は、必ず配船をし、積載量は最大積載量に近い配船を行う仕組みとなっている。積載量は最大積載量に近づける理由としては、船舶においては、その輸送費用は、トン当たり幾らと言うように計算されるが、不積みが生じた場合には、船会社に不利益が生じる可能性がある。このため、不積みが生じた場合、この不利益を補償するために、費用を余分に払わなくてはならないためである。
しかしながら、減産状況が発生し、連続航海船の全船に対して上記配船をした場合、過剰な量の輸送が発生することもありうる。現実には、これら余った船舶は一時他社原材料の輸送用としてレンタルし、必要となった時点で、再度自社の輸送用に使用することが行われている。したがって、連続航海船及び不定期船での輸送能力(最大積載量)が総引取目標量に対して余剰となったときに、どのタイミングで輸送能力の余剰が発生するかを判断する仕組みが求められる。
そこで、連続航海船、不定期船にて、複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を、輸送能力の余剰を検知しながら、輸送費用のミニマム化を図って作成できるようにする機能(余剰期間抽出機能)を持たせている。
図17(a)には連続航海船が余剰となっている状態を示し、図17(b)には不定期船が余剰となっている状態を示す。図17(a)の連続航海船A−02を配船すると過剰な量の配船となるため、連続航海船A−02に関しては他社にレンタルする。また、図17(b)の不定期船2を配船すると過剰な量の配船となるため、不定期船2に関しては他社にレンタルする。そこで、連続航海船については、図17(a)に示すように、揚港での荷揚げ作業完了から積港を経て、次の揚港での荷揚げ作業完了を一つの航海として、その航海単位で余剰航海を判定し、抽出する。また、不定期船については、図17(b)に示すように、積港での作業開始から次の揚港での荷揚げ作業完了を一つの航海として、その航海単位で余剰航海を判定し、抽出する。
上述した(2)船舶財源の作成(ステップS102)において、計画作成期間における総引取目標量と、ステップS201、S202で抽出した連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計とを比較するが(ステップS205)、そのとき、図18に示すように、連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計より総引取目標量の方が少ない場合、余剰な配船が発生する可能性がある。そこで、余剰発生の可能性ありとのメッセージをオペレータに提示する。
また、フル生産モード(既に説明した通常時の配船計画を作成するモード)及び減産モードを設定しておき、減産モード時に余剰期間抽出機能を動作させる。例えば余剰発生の可能性ありとのメッセージを提示したときに、自動的に或いはユーザの選択により減産モードに移行するようにしておけば良い。
減産モードにおいて、マクロ最適化部102の船舶財源作成部102aは、ステップS201、S202で抽出した連続航海船及び不定期船それぞれについて、予め設定された架空の港である一組のダミー積港Z1及びダミー揚港Z2も含めて、積地と揚地との組み合わせのパターンを作成しなおす。ダミー積港Z1及びダミー揚港Z2を含む積地と揚地との組み合わせのパターンを作成する際には、図19に示すように、全ての正規積港X1,X2,X3・・・と全ての正規揚港A,B,C・・・との組み合わせa(フル生産モードでの積地と揚地との組み合わせ)に、ダミー積港Z1とダミー揚港Z2との組み合わせcと、ダミー揚港Z2から全ての正規積港X1,X2,X3・・・の組み合わせbと、全ての正規揚港A,B,C・・・からダミー積港Z1の組み合わせdを加える。正規積港、正規揚港は配合計画作成の対象として取り扱う実在の積港、揚港のことである。なお、積地と揚地との組み合わせの全てのパターンを作成するとしたが、ここでも特定条件に合致するパターンだけ作成するようにしても良い。
この場合に、組み合わせaの航海時間は港間距離及び船舶の標準ノットで決められるが、組み合わせb〜dの航海時間はなんらかの時間を設定する必要がある。組み合わせb〜dは、抽出されるべき余剰航海に対応させるダミー航海(架空の航海)であり、現実の積地−揚地に対応していないので、現実の積地−揚地のようなかたちで航海時間を設定することはできない。余剰として抽出された航海は、船舶をレンタルに出すことが一般的であるので、レンタルした船舶が行う航海の所要時間を考慮して航海時間を設定する。具体的には、以下の設定方法が可能である。
(レンタル期間を一定間隔とする場合)
連続航海船について、レンタル期間の1セットは、図20を参照すれば、「航海時間L1+ダミー積港Z1滞在時間+航海時間L2+ダミー揚港Z2滞在時間」(式22)となる。このため、組み合わせdの航海時間(全ての正規揚港からダミー積港Z1までの航海時間)L1、及び、組み合わせcの航海時間(ダミー積港Z1からダミー揚港Z2までの航海時間)L2、及びダミー積港Z1滞在時間、ダミー揚港Z2滞在時間を一定とすることで、レンタル期間を一定間隔で取ることが可能となる。
また、複数航海分が余剰としてこのレンタル期間(式22)として選択されれば、(式22)の倍数の期間レンタルすることが望まれる等の結果を提示することも可能となる(図21を参照)。
例えばL1=L2として各4日分、ダミー積港Z1滞在時間及びダミー揚港Z2滞在時間をそれぞれ1日と設定しておけば、余剰としての期間の単位は10日単位として組み込むことが可能となる。ここで、船舶の速度が約15ノットであれば、4日分の距離は約15×24×4=1440 sea mile(海里)となる。
また、航海時間L3、すなわち組み合わせbの航海時間(ダミー揚港Z2から全ての正規積港までの航海時間)については、組み合わせd及び組み合わせcと同じ航海時間を設定しても良いし、過去実績より任意の航海時間を設定しても良い。
不定期船については、連続運転をしないので、航海時間L1は不要となる。また、不定期船では、積地でのETAは規定されるため、「ダミー積港Z1滞在時間+航海時間L2+ダミー揚港Z2滞在時間」(式23)が設定できれば良い。したがって、不定期船の(式23)の設定は、連続航海船の場合と同様に行うことが可能である。
(レンタル期間を過去実績から設定する場合)
組み合わせdの航海時間(全ての正規揚港からダミー積港Z1までの航海時間)L1を、過去実績から妥当な値に設定する。これにより、過去と同程度のレンタル期間の設定が可能となる。例えば、レンタルした船舶の動静が、レンタル積港着岸・離岸、レンタル揚港着岸・離岸等細かく情報が存在する場合には、航海時間L1を設定する際に、揚港からレンタルを開始する積港までの距離の実績を揚港毎に平均した値を、各揚港からダミー積港Z1の距離として設定する。また、組み合わせcの航海時間(ダミー積港Z1からダミー揚港Z2までの航海時間)L2を設定する際に、レンタルを開始した積港からレンタルで運んだ揚港までの距離の実績を全て平均した値を、ダミー積港Z1からダミー揚港Z2の距離として設定する。また、組み合わせbの航海時間(ダミー揚港Z2から全ての正規積港までの航海時間)L3を設定する際に、レンタルで運んだ揚港から積港までの距離の実績を積港毎に平均した値を、ダミー揚港Z2から各積港の距離として設定する。ダミー積港Z1滞在時間は、レンタルを開始した積港で滞在した時間の実績を全て平均した値を設定する。また、ダミー揚港Z2滞在時間は、レンタルで運んだ揚港で滞在した時間の実績を全て平均した値を設定する。
また例えば、レンタルした船舶の動静が、レンタルとして貸し出しを開始してからレンタル終了までの時間しか分からない場合には、航海時間L1は値0を設定する。また、航海時間L2を設定する際に、レンタルとして貸し出しを開始した揚港からレンタル終了までの時間の実績を全ての積港と揚港について平均した値を設定する。ダミー積港Z1滞在時間は値0を設定する。また、ダミー揚港Z2滞在時間は値0を設定する。
図22には、ダミー積港Z1及びダミー揚港Z2を含む積地と揚地との組み合わせにおける港間距離の一例を示す。
なお、組み合わせb〜dの航海時間は、ここまで説明した設定の考え方に従って予め定められた時間が自動的に設定され、ダミー積港・揚港情報記憶部102dに書き込まれるようにしても良いし、ユーザ(オペレータ)が過去実績や様々な条件を考慮して所望の時間を入力設定し、ダミー積港・揚港情報記憶部102dに書き込むようにしても良い。
以降の処理は、基本的には、上述した(3)マクロ数式モデルの設定(ステップS103)〜(9)配船計画の出力(ステップS110)のとおりであるが、(3)マクロ数式モデルの設定(ステップS103)に移って数式モデルを設定するときに、マクロ最適化部102の数式モデル設定部102bは、ダミー積港Z1では、ダミー銘柄を最大積載量荷載するとして設定する。同様に、ダミー揚港Z2では、ダミー銘柄を最大積載量荷揚げするとして設定する。また、ダミー積港Z1では、積能力情報の標準沖待ち、標準荷役時間を使用する。ダミー揚港Z2では、ETA〜ETD時間は内部データ(1日等)を使用する。
ダミー揚港Z2では、(式3)及び(式4)で表わされる在庫についての制約、(式5)で表わされるヤードについての制約は考慮から外す。
また、ダミー銘柄については、(式6)及び(式7)で表わされる引取目標量制約は考慮から外す。
次に、(4)マクロ数式モデル及び目的関数に基づいて最適化(ステップS104)に移って輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行うときに、マクロ最適化部102の最適化計算部102cは、ダミー積港Z1からダミー揚港Z2までの航海に関しては、(式12)で表わされる目的関数のうちフレート計算から外す。また、ダミー銘柄に関しては、(式12)で表わされる目的関数のうち引取目標累積量からの溢れ量、不足量から外す。
なお、シミュレータ101は積地、揚地での設備、ヤード等を模擬するが、ダミー積港Z1及びダミー揚港Z2については、制約がかからないように、例えばダミー積港Z1及びダミー揚港Z2に入出港できる船舶、設備やヤード等が限定されないように予め設定しておく。
以上述べたアルゴリズムを組み込むことにより、正規航海(輸送作業としての積地−揚地の航海)とダミー航海とを配船の選択肢として、与えられた評価指標を最適にする配船を最適化手法によって行うことができる。その結果作成された配船計画において、ダミー積港Z1からダミー揚港2までの航海が割り振られた部分が、余剰期間として判定、抽出される。
例えば図23に示す配船計画が作成されたとする。図23の例では、連続航海船に関しては、連続航海船A系、連続航海船B系、連続航海船C系の3つの連続航海船が存在し、連続航海船A−3→連続航海船A−4→連続航海船A−5・・・、連続航海船B−4→連続航海船B−5→連続航海船B−6・・・、連続航海船C−3→連続航海船C−4→連続航海船C−5…、と航海が行われる。余剰期間抽出機能により、連続航海船A系に関しては連続航海船A−4を、連続航海船B系に関しては連続航海船B−5、B−6を余剰航海として抽出し、レンタルすべきとの提示を可能とした。また、連続航海船C系に関しては、レンタルの必要なしとの提示を可能とした。
また、不定期船に関しては、不定期船3、不定期船4の2つの不定期船が存在し、余剰期間抽出機能により、不定期船4をレンタルすべきとの提示を可能とした。また、不定期船3に関しては、レンタルの必要なしとの提示を可能とした。
以上のように、連続航海船及び不定期船のうちでどの船舶をレンタルすれば、滞船が発生しないかを提示することが可能となった。
図24Aは、余剰な配船が発生する可能性がある(ステップS201、S202で抽出した連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計より総引取目標量の方が少ない)場合に、余剰期間抽出を行わずに計画した配船立案結果を示す図である。図24Aによると、重船待ち滞船や、ヤード待ち滞船が一定の割合で生じている。
一方、図24Bは、余剰な配船が発生する可能性がある(ステップS201、S202で抽出した連続航海船及び不定期船の最大積載量の合計より総引取目標量の方が少ない)場合に、余剰期間抽出を行って計画された配船立案結果、すなわち本実施形態に係る配船計画作成装置、及び方法を用いて計画した配船立案結果である。図24Bでは、図24Aと比較して、重船待ち滞船、及び、ヤード待ち滞船の大部分が解消されている。この結果として、滞船に関する超過費用の削減効果が得られ、安定した配船計画が可能となる。
本発明の配船計画作成装置は、具体的にはCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにより構成することができ、CPUがプログラムを実行することによって実現される。また、本発明の配船計画作成装置は、一つの装置から構成されても、複数の機器から構成されてもよい。
また、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
100:配船計画作成装置
101:シミュレータ
102:マクロ最適化部
102a:船舶財源作成部
102b:数式モデル設定部
102c:最適化計算部
102d:ダミー積港・揚港情報記憶部
103:ミクロ最適化部
103a:数式モデル設定部
103b:最適化計算部
104:データ取り込み部
105:出力部
200:配合計画作成装置
300:データベース
400:上位コンピュータ

Claims (10)

  1. 複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するための配船計画作成装置であって、
    前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込み手段と、
    前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成手段と、
    前記船舶財源作成手段で作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定手段と、
    前記数式モデル設定手段で設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算手段と、
    前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータと、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力手段とを備え、
    前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とする配船計画作成装置。
  2. 前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
    前記船舶財源作成手段は、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示することを特徴とする請求項1に記載の配船計画作成装置。
  3. 前記船舶財源作成手段は、前記ダミー積地及び前記ダミー揚地を含む積地と揚地との組み合わせのパターンを作成する際に、正規積地と正規揚地との組み合わせに、前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせと、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせと、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせを加えることを特徴とする請求項2に記載の配船計画作成装置。
  4. 前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせの航海時間、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせの航海時間、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせの航海時間として、予め定められた時間が自動的に設定されることを特徴とする請求項3に記載の配船計画作成装置。
  5. 前記ダミー積地と前記ダミー揚地との組み合わせの航海時間、前記ダミー揚地から正規積地との組み合わせの航海時間、正規揚地から前記ダミー積地との組み合わせの航海時間として、ユーザが所望の時間を入力設定できることを特徴とする請求項3に記載の配船計画作成装置。
  6. 前記所定の船舶は連続航海船及び不定期船であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配船計画作成装置。
  7. 複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するための配船計画作成装置による配船計画作成方法であって、
    前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込みステップと、
    前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成ステップと、
    前記船舶財源作成ステップで作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定ステップと、
    前記数式モデル設定ステップで設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算ステップと、
    前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータによりシミュレートするシミュレートステップと、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力ステップとを有し、
    前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とする配船計画作成方法。
  8. 前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
    前記船舶財源作成ステップでは、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示することを特徴とする請求項7に記載の配船計画作成方法。
  9. 複数銘柄の原材料を複数の積地から複数の揚地に輸送する配船計画を作成するためのプログラムであって、
    前記原材料の使用予定量、前記原材料の引取目標量、前記原材料の在庫状況、前記原材料の購入費用、複数の種別の傭船契約に基づいて運用される複数の船舶がリストアップされた船舶リスト、前記船舶リストにリストアップされている各船舶の船舶運航状況、並びに、前記船舶リストにリストアップされている各船舶を利用する場合の輸送費用、を含むデータを取り込むデータ取り込み手段と、
    前記船舶運航状況に基づいて前記船舶リストから船舶を抽出し、前記抽出した各船舶について積地と揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成する船舶財源作成手段と、
    前記船舶財源作成手段で作成した船舶の運航制約、及び、揚地での前記原材料の需給バランス制約を少なくとも表わす数式モデルを設定する数式モデル設定手段と、
    前記数式モデル設定手段で設定した数式モデルを用いて、少なくとも輸送費用に関して設定された目的関数に基づいて最適化計算を行う最適化計算手段と、
    前記最適化計算の結果に基づいて動作し、前記原材料の在庫状況の推移をシミュレートする在庫推移シミュレータ及び、前記船舶運航状況の推移をシミュレートする船舶運航状況推移シミュレータを含む、シミュレータと、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画を出力する出力手段としてコンピュータを機能させ、
    前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合は、前記各所定の船舶について、前記配船計画において余剰となる期間を提示することを特徴とするプログラム。
  10. 前記抽出した船舶のうち所定の船舶での最大積載量の合計より前記原材料の総引取目標量の方が少ない場合に、
    前記船舶財源作成手段は、前記各所定の船舶について、実在の積地である正規積地、及び、予め設定された架空の積地であるダミー積地からなる前記積地と、実在の揚地である正規揚地、及び、予め設定された架空の揚地であるダミー揚地からなる前記揚地との組み合わせのパターンを含む運航制約を作成し、
    前記シミュレータによるシミュレーション結果である配船計画において、前記各所定の船舶について、前記ダミー積地から前記ダミー揚地までの航海が割り振られた期間を余剰として提示することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
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