JP5568930B2 - 難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線 - Google Patents

難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線 Download PDF

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Description

本発明は、難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線に関するものである。
従来、自動車部品などの車両部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線としては、一般に、導体の外周に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物を被覆したものが広く用いられてきた。
ところが、塩化ビニル樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有しているため、車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などの燃焼時にハロゲン系ガスを大気中に放出するおそれがあり、環境汚染が懸念されていた。
そのため、地球環境への負荷を低減するなどの観点から、近年では、燃焼時にハロゲン系ガスを放出しないオレフィン系樹脂等に、水酸化マグネシウム系の難燃剤を添加した、いわゆるノンハロゲン系難燃性組成物への代替が進められている。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィンまたはその共重合体よりなる合成樹脂に対して、レーザー回折散乱法で測定された平均二次粒子径が2μm以下であり、BET法による比表面積が1〜10m/gである水酸化マグネシウム粒子を配合した合成樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、熱可塑性樹脂と水酸化マグネシウムとを含む難燃性樹脂組成物及びそれを用いた電線において、レーザー光回折・散乱式粒子径分布測定器より測定された平均粒径が1〜10μmであり、一次粒子で形成された凝集体からなる二次粒子が含まれており、比表面積が8.0m/g以上の条件を満足する水酸化マグネシウムを用いる点が記載されている。
特許第3638783号公報 特開2008−7722号公報
ところで、オレフィン系樹脂等のマトリックスポリマーに水酸化マグネシウム系難燃剤を添加し、十分な難燃性を有する難燃性組成物を得るためには、難燃剤を多量に配合する必要がある。
難燃剤の配合量が多量になると、混練機による難燃性組成物の製造時に、ホッパー内で原料の詰まりが発生しやすくなり、生産性が悪化する原因となる。また、得られた難燃性組成物の耐寒性も低下しやすくなるといった問題もあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、難燃性組成物の生産性および耐寒性を高めることが可能な難燃剤を提供することにある。また、これを用いた難燃性組成物、絶縁電線を提供することにある。
本発明に係る難燃剤は、水酸化マグネシウム一次粒子の凝集体よりなる二次粒子を含み、(1)BET法により測定される比表面積が15m/g以下、(2)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均二次粒子径が0.1〜10μm、(3)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均円形度が0.6以上であることを要旨する。
ここで、上記二次粒子の表面は、有機高分子を含有する表面処理剤により被覆されていることが好ましい。
また、上記有機高分子は、オレフィン系樹脂であることが好ましい。
上記オレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、および、エチレン−ビニルアセテート共重合体から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
また、上記表面処理剤の被覆量は、上記二次粒子に対し0.1〜10質量%の範囲内にあることが好ましい。
本発明に係る難燃性組成物は、上記本発明に係る難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有することを要旨とする。
本発明に係る絶縁電線は、上記本発明に係る難燃性組成物を導体の外周に被覆してなることを要旨とする。
本発明に係る難燃剤は、水酸化マグネシウム一次粒子の凝集体より形成された二次粒子を含み、上記(1)〜(3)の条件を満たしているので、流動性に富む。そのため、混練機による難燃性組成物の製造時に、ホッパー内で原料の詰まりが発生し難く、難燃性組成物の良好な吐出を行うことが可能となり、生産性の向上に寄与できる。また、上記(1)〜(3)の条件を満たしているので、難燃性組成物中における分散性が高まり、難燃性組成物の耐寒性の向上に寄与できる。
ここで、上記二次粒子の表面が有機高分子を含有する表面処理剤により被覆されている場合には、二次粒子の表面凹凸が少なくなる。そのため、上記流動性・分散性が向上し、上記難燃性組成物の生産性・耐寒性の向上に寄与しやすくなる。
また、上記有機高分子がオレフィン系樹脂である場合には、難燃性組成物のマトリックスポリマーがオレフィン系樹脂であるときに、そのマトリックスポリマーとなじみやすくなる。そのため、難燃性組成物の良好な吐出を確保しやすくなり、生産性の向上に寄与しやすい。また、難燃性組成物中における分散性もより高まり、難燃性組成物の耐寒性の向上に寄与しやすい。
また、上記表面処理剤の被覆量が二次粒子に対し0.1〜10質量%の範囲内にある場合には、難燃性組成物の良好な吐出を確保しやすくなり、生産性の向上に寄与しやすい。また、難燃性組成物中における分散性もより高まり、難燃性組成物の耐寒性の向上に寄与しやすい。
本発明に係る難燃性組成物は、上記難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有する。そのため、生産性、耐寒性に優れる。また、本発明に係る絶縁電線は、上記難燃性組成物を導体の外周に被覆してなるため、生産性、耐寒性に優れる。
以下、本発明の実施形態に係る難燃剤(以下、「本難燃剤」ということがある。)、本発明の実施形態に係る難燃性組成物(以下、「本組成物」ということがある。)、本発明の実施形態に係る絶縁電線(以下、「本電線」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本難燃剤
本難燃剤は、水酸化マグネシウム一次粒子の凝集体よりなる二次粒子を主に含有している。この種の水酸化マグネシウム二次粒子は、水酸化マグネシウムの製造方法と密接な関係を有している。
水酸化マグネシウム二次粒子は、例えば、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩を含む水溶液に、水酸化カルシウム等のアルカリ物質を加え、反応により生じた水酸化マグネシウム一次粒子を、凝集剤により凝集させ、水と分離し、回収するなどの化学合成法により作製することができる。
より具体的には、海水中の塩化マグネシウムをマグネシウム源とし、これに水酸化カルシウムを加え、水溶液反応させて析出(晶出)した水酸化マグネシウム一次粒子を凝集剤を用いて凝集させることにより水酸化マグネシウム二次粒子を得ることができる。上記水溶液反応では、粒径が非常に細かい(サブミクロンオーダーの)微粒子状の水酸化マグネシウム一次粒子が析出(晶出)するため、水酸化マグネシウム一次粒子は沈降しないで水中に浮遊しており、ろ過等により水と分離して回収することができない。凝集剤を用いて一次粒子を凝集させて二次粒子とし沈降させれば、水から分離・回収することができる。
上記化学合成法により好適に製造される水酸化マグネシウム二次粒子は、水酸化マグネシウム一次粒子が凝集したものであるため、その表面は一次粒子による凹凸を有している。そのため、水酸化マグネシウム二次粒子は、その表面状態・形状により、流動性、難燃性組成物中での分散性等が変化する。物によっては、難燃性組成物の製造時にホッパー内での原料詰まりを引き起こして生産性を悪化させたり、耐寒性等の難燃性組成物の物性を低下させたりすることがある。それ故、本発明では、以下の(1)〜(3)の条件を規定している。
本難燃剤は、(1)BET法により測定される比表面積(以下、単に「BET比表面積」という。)が15m/g以下である。BET比表面積は、二次粒子の表面状態と関係がある。BET比表面積の値が大きくなると、一次粒子による表面凹凸が大きくなり、二次粒子の球体からのズレが大きくなる。当該値が小さくなると、一次粒子による表面凹凸が小さくなり、二次粒子が球体に近くなる。
上記BET比表面積は、分散性向上等の観点から、好ましくは、14m/g以下、より好ましくは、13m/g以下、さらに好ましくは、10m/g以下であると良い。
本難燃剤は、(2)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均二次粒子径が0.1〜10μmの範囲内にある。また、本難燃剤は、(3)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均円形度が0.6以上である。
粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置としては、装置のセル中に測定対象粒子を流し、レンズ観察領域内を通過する測定対象粒子の画像をCCDカメラで撮り込んで画像解析を行うことが可能な装置を好適に用いる。この種の粒度・形状分布測定装置としては、株式会社セイシン企業製、「PITA−1」を好適に用いることができる。
なお、レーザー光回折・散乱式の粒度分布測定装置は、粗大粒子が含まれる場合に、頻度が少ないと観測されない等の問題があるし、また、円形度(=撮像された粒子の周囲長と同じ投影面積を持つ円の周囲長/撮像された粒子の周囲長)が低く、球体からのズレの大きな二次粒子が入っていても測定することができない。
上記平均二次粒子径が0.1μm未満になると、凝集が起こりやすくなり、流動性、分散性が低下し、難燃性組成物の生産性、耐寒性を低下させる傾向がある。上記平均二次粒子径が10μmを越えると、本難燃剤を含む難燃性組成物を電線の被覆材に用いた場合に、被覆材の外観が悪くなる傾向がある。上記平均二次粒子径は、これらのバランス等の観点から、好ましくは、0.1〜10μm、より好ましくは、0.2〜8μm、さらに好ましくは、0.5〜5μmの範囲内にあると良い。
また、上記平均円形度が0.6未満になると、凝集が起こりやすくなり、流動性、分散性が低下し、難燃性組成物の生産性、耐寒性を低下させる傾向がある。上記平均円形度は、これらのバランス等の観点から、好ましくは、0.65以上、より好ましくは、0.7以上、さらに好ましくは、0.75以上であると良い。
本難燃剤は、水酸化マグネシウム二次粒子の表面が表面処理剤により被覆されていても良い。この場合には、二次粒子の表面凹凸が少なくなるため、流動性・分散性が向上し、難燃性組成物の生産性・耐寒性の向上に寄与しやすくなる。なお、水酸化マグネシウム二次粒子の表面が表面処理剤により被覆されている場合、上記BET比表面積、平均二次粒子径、平均円形度の値は、表面処理剤により被覆された状態における値である。
表面処理剤に含まれる有機高分子の種類としては、特に限定されるものではないが、オレフィン系樹脂を好適に用いることができる。オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィンの単独重合体あるいは共重合体、もしくは、オレフィンと、アクリレートやビニルモノマーなどの他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用することができる。より具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などが好適である。
上記有機高分子は、酸変性されていても良い。酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体などを用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。このうち、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。これらは1種または2種以上併用しても良い。酸変性されていると、無機物である水酸化マグネシウム二次粒子になじみやすくなる。
表面処理剤の有機高分子に酸を導入する方法としては、グラフト法や直接(共重合)法などが挙げられる。酸変性量は、有機高分子に対して0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量%であると良い。酸変性量が少ないと、水酸化マグネシウム二次粒子との親和性を高める効果が小さくなりやすく、酸変性量が多いと、自己重合することがあり、水酸化マグネシウム二次粒子との親和性を高める効果が小さくなりやすい。
表面処理剤の被覆量は、二次粒子に対し、0.1〜10質量%の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%、さらに好ましくは、1〜5質量%であると良い。上記表面処理剤の被覆量が二次粒子に対し0.1〜10質量%の範囲内にある場合には、難燃性組成物の良好な吐出を確保しやすくなり、生産性の向上に寄与しやすくなる。また、難燃性組成物中における分散性もより高まり、難燃性組成物の耐寒性の向上に寄与しやすくなる。
なお、表面処理剤は水酸化マグネシウム二次粒子表面の全部を覆っていても良いし、その一部を覆っていても良い。また、表面処理剤の厚さは、特に限定されるものではない。好ましくは、0.001〜0.01μmの範囲内にあると良い。
表面処理剤による水酸化マグネシウム二次粒子の表面処理方法は、特に限定されるものではない。表面処理剤の有機高分子を溶解させるための溶媒を用いた湿式方法であっても良いし、溶媒を用いない乾式方法であっても良い。湿式方法による場合、好適な溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒などを例示することができる。溶融状態または溶解状態にある表面処理剤中に水酸化マグネシウム二次粒子を浸漬し、必要に応じて撹拌する、水酸化マグネシウム二次粒子に対して表面処理剤を噴霧するなどにより、表面処理を行なうことができる。
2.本組成物
本組成物は、上述した本難燃剤とマトリックスポリマーとを含有している。
マトリックスポリマーとしては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィンやスチレン系共重合体などが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレンゴム、スチレンーエチレンーブチレンースチレンブロック共重合体などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
マトリックスポリマーは、酸変性されていても良い。酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体などを用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。このうち、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。これらは1種または2種以上併用しても良い。
マトリックスポリマーに酸を導入する方法としては、グラフト法や直接(共重合)法などが挙げられる。酸変性量は、マトリックスポリマーに対して0.1〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量%である。酸変性量が0.1質量%未満であると、耐寒性や耐摩耗性等が低下する傾向が見られる。また、20質量%を越えると、成形加工性が悪化する等の傾向が見られる。
本組成物は、本難燃剤を、マトリックスポリマー100質量部に対して30〜250質量部含有していることが好ましい。より好ましくは、50〜200質量部であり、さらに好ましくは、60〜180質量部である。30質量部未満では、難燃性が低下しやすくなる。一方、250質量部を超えると、十分な機械特性が得られ難くなる。
本組成物中には、必要に応じて、当該組成物の物性を損なわない範囲で他の添加剤が配合されていても良い。例えば、電線被覆材などに用いられる一般的な酸化防止剤、老化防止剤、充填剤や、顔料などが配合されていても良く、特に限定されるものではない。
本組成物は、例えば、難燃剤とマトリックスポリマーと、必要に応じて配合される添加剤とを加熱混練することにより調製できる。この際、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いることができる。加熱混練する前に、タンブラーなどで予めドライブレンドすることもできる。加熱混練後は、混練機から取り出して当該組成物を得る。その際、ペレタイザーなどで当該組成物をペレット状に成形しても良い。
3.本電線
本電線は、本組成物を導体の外周に被覆してなる。つまり、本電線は、本組成物を被覆材の材料として用いたものである。被覆材は、単層であっても良いし、2層以上の層により構成されていても良い。なお、本組成物は、導体と接触した状態で被覆されていても良いし、1または2以上の他の組成物を介して導体の外周に被覆されていても良い。
導体は、その導体径や導体の材質など、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、被覆材の厚さについても、特に制限はなく、導体径などを考慮して適宜定めることができる。
本電線は、例えば、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの通常用いられる混練機を用いて混練した本組成物を、押出成形機などを用いて導体の外周に押出被覆するなどして製造することができる。
本電線は、自動車、電気・電子機器等に配線される絶縁電線として好適に用いることができる。
以下に本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
1.難燃剤の作製
海水中の塩化マグネシウムをマグネシウム源とし、これに水酸化カルシウムを加え、水溶液反応させて水酸化マグネシウム一次粒子を析出させた。その後、凝集剤を添加し、析出した水酸化マグネシウム一次粒子を凝集させて水酸化マグネシウム二次粒子とし、水から分離・回収した。上記回収した水酸化マグネシウム二次粒子を乾燥させることにより、難燃剤(1)〜(5)、難燃剤(8)〜(12)に係る難燃剤を得た。
また、上記難燃剤(1)を温度180℃にてスーパーミキサー内で撹拌しながら、表面処理剤(PEワックス[クラリアント社製、商品名「PE190」)を約5分かけてミキサー内に徐々に投入した。所定量投入後、さらに約60分撹拌し、徐冷することにより、難燃剤(6)を得た。
同様に、上記難燃剤(1)を温度180℃にてスーパーミキサー内で撹拌しながら、表面処理剤(PPワックス[クラリアント社製、商品名「2602」])を約5分かけてミキサー内に徐々に投入した。所定量投入後、さらに約60分撹拌し、徐冷することにより、難燃剤(7)を得た。
同様に、上記難燃剤(8)を温度180℃にてスーパーミキサー内で撹拌しながら、表面処理剤(PEワックス[クラリアント社製、商品名「PE190」)を約5分かけてミキサー内に徐々に投入した。所定量投入後、さらに約60分撹拌し、徐冷することにより、難燃剤(13)を得た。
同様に、上記難燃剤(8)を温度180℃にてスーパーミキサー内で撹拌しながら、表面処理剤(PPワックス[クラリアント社製、商品名「2602」])を約5分かけてミキサー内に徐々に投入した。所定量投入後、さらに約60分撹拌し、徐冷することにより、難燃剤(14)を得た。
なお、各難燃剤の作製時に、凝集剤の添加量、反応温度、乾燥条件等を変化させる、表面処理剤の処理条件を変化させる等により、BET比表面積、平均二次粒子径、平均円形度を種々調整した。
2.難燃剤の物性
2.1 BET比表面積の測定
全自動粉体比表面積測定装置(大倉理研(株)製、「AMS−8000」)を用い、各難燃剤を250℃にて10分間、窒素フローによる前処理を行った後、液体窒素下で吸着ガス(窒素50%/アルゴン50%)により比表面積を測定した。
2.2 平均二次粒子径・平均円形度
粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置((株)セイシン企業製、「PITA−1」)を用いて、当該装置のセル内に難燃剤サンプルを流して撮り込んだ粒子画像から、難燃剤サンプルの平均二次粒子径、平均円形度を求めた。
なお、測定時のキャリアには純水を用いた。また、測定粒子個数は1万個とした。
3.難燃性組成物および絶縁電線の作製
表1または表2に示す各成分(質量部)を二軸混練機の原料投入ホッパーより投入し、温度250℃にて混練した後、混練物を二軸混練機より吐出し、ペレタイザーにてペレット状に成形して各難燃性組成物を得た。
得られた各難燃性組成物を、押出成形機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に0.2mm厚で押出被覆し、各絶縁電線を作製した。
4.評価
4.1 吐出量
上記難燃性組成物の作製時に、二軸混練機のバレルから吐出される難燃性組成物の吐出量(kg/h)を測定した。なお、測定時のバレル温度は250℃、樹脂温度は260℃であり、スクリュー回転数は300回転とした。
4.2 耐寒性試験
耐寒性試験は、JIS C3005に準拠して行なった。すなわち、作製した絶縁電線を38mmの長さに切断して試験片とした。その試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本全ての試験片が割れたときの温度を耐寒温度とした。
表1および表2に各難燃剤の物性、難燃性組成物の配合、評価結果等をまとめて示す。
Figure 0005568930
Figure 0005568930
表1および表2を相対比較すると以下のことが分かる。すなわち、比較例1〜7は、何れも難燃剤のBET比表面積、平均二次粒子径、平均円形度が本願で規定される範囲内にない。そのため、混練機による難燃性組成物の製造時における混練物の吐出性が悪く、生産性に劣っていることが分かる。また、耐寒性にも劣っていることが分かる。
これに対し、実施例1〜7は、何れも難燃剤のBET比表面積、平均二次粒子径、平均円形度が本願で規定される範囲内にある。そのため、混練機による難燃性組成物の製造時における混練物の吐出性が良好であり、生産性に優れていることが分かる。また、耐寒性にも優れていることが分かる。
また、実施例1、6、7を比較すると、水酸化マグネシウム二次粒子の表面を表面処理剤にて被覆した場合には、二次粒子の表面凹凸が少なくなるため、難燃性組成物の生産性・耐寒性の向上に寄与しやすくなることが分かる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (6)

  1. 水酸化マグネシウム一次粒子の凝集体よりなる二次粒子を含み、
    前記二次粒子の表面は、有機高分子を含有する表面処理剤により被覆され、
    前記表面処理剤により被覆された状態において、
    (1)BET法により測定される比表面積が15m/g以下、
    (2)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均二次粒子径が0.1〜10μm、
    (3)粒子画像を用いる粒度・形状分布測定装置により測定される平均円形度が0.6以上
    であることを特徴とする難燃剤。
  2. 前記有機高分子は、オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項に記載の難燃剤。
  3. 前記オレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、および、エチレン−ビニルアセテート共重合体から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃剤。
  4. 前記表面処理剤の被覆量は、前記二次粒子に対し0.1〜10質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の難燃剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有することを特徴とする難燃性組成物。
  6. 請求項に記載の難燃性組成物を導体の外周に被覆してなることを特徴する絶縁電線。
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