JP5566802B2 - ボンドコート層、その溶射紛、ボンドコート層を有する耐高温部材、及び、その製造方法 - Google Patents

ボンドコート層、その溶射紛、ボンドコート層を有する耐高温部材、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

セラミックス層と母材である耐熱合金の表面との間に形成されるボンドコート層、このボンドコート層を形成する溶射紛、このボンドコート層を有する耐高温部材、及び、その製造方法に関する。
ガスタービンの動翼、静翼、燃焼器等は、高温ガスと直接接触して、過酷な熱サイクル、エロージョン、コロージョン等を受ける。このため、動翼等の耐高温部材は、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating : TBC)されていることが多い。このTBC層は、以下の特許文献1に記載されているように、Ni合金等で形成されている母材に、例えば、CoNiCrAlY金属溶射粉の溶射で形成されるボンドコート層と、このボンドコート層上にZrO系のセラミック溶射粉の溶射で形成されるセラミックス層とを有している。
TBC層を形成するセラミックス層は、母材に加わる熱を遮熱する役目を主として担い、ボンドコート層は、セラミックス層の熱膨張量と母材の熱膨張量との差を緩和する役目を主として担っている。
特開2007−270245号公報 (段落0026)
耐高温部材の経年使用により、ボンドコート層とセラミックス層との間には、セラミックス層を通過してきた酸素と、ボンドコート層を形成する金属元素とが結びついた金属酸化物が形成される。この金属酸化物は、熱生成酸化物(TGO:Thermally Grown Oxide)と呼ばれ、このTGOの層厚さが厚くなるにつれて、セラミックス層に剥離方向に作用する内部応力が増加し、このセラミックス層の剥離に繋がる。
このため、耐高温部材の製造分野では、TGOの成長を抑えることができる、言い換えると、耐酸化性の高いボンドコート層が求められている。
そこで、本発明は、耐酸化性の高いボンドコート層、このボンドコード層を形成するための溶射紛、このボンドコート層を有する耐高温部材、この耐高温部材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための発明に係るボンドコート層は、
セラミックス層と耐熱合金製の母材の表面との間に形成されるボンドコート層において、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとであることを特徴とする。
当該ボンドコート層によれば、ボンドコート層とセラミックス層との間に形成される金属酸化物の成長を抑制することができる、つまり、耐酸化性を高めることができる。
ここで、前記ボンドコート層において、Crが10〜30wt%、Alが4〜15wt%、Yが0.1〜5wt%、Mが残量であってもよい。当該ボンドコート層では、耐酸化性と延性とのバランスを図ることができる。
前記目的を達成するための発明に係る溶射粉は、
耐熱合金製の母材の表面に溶射されて、セラミックス層と該母材の表面との間のボンドコート層を形成する溶射紛において、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとであることを特徴とする。
当該溶射粉では、この溶射粉を母材に溶射して、ボンドコート層を形成すると、このボンドコート層とセラミックス層との間に形成される金属酸化物の成長を抑制することができる。
ここで、前記溶射粉において、Crが10〜30wt%、Alが4〜15wt%、Yが0.1〜5wt%、Mが残量であってもよい。当該溶射粉では、この溶射粉を母材に溶射して、ボンドコート層を形成すると、ボンドコート層の耐酸化性と延性とのバランスを図ることができる。
また、前記溶射粉において、粒径が10μm以上であってもよい。当該溶射粉では、単位体積量当たりの付着酸素元素量を所定量以下に制限することができる。
前記目的を達成するための発明に係るボンドコート層の製造方法は、
前記溶射粉を前記母材の表面に溶射して、前記ボンドコート層を形成する、ことを特徴とする。
前記目的を達成するための発明に係る耐高温部材は、
耐熱合金製の母材と、該母材の表面上に形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層上に形成されたセラミックス層とを備えている耐高温部材において、前記ボンドコート層は、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとであることを特徴とする。
当該耐高温部材では、ボンドコート層の耐酸化性が向上するため、耐高温部材の耐久性を高めることができる。
前記目的を達成するための発明に係る耐高温部材の製造方法は、
耐熱合金製の母材と、該母材の表面上に形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層上に形成されたセラミックス層とを備えている耐高温部材の製造方法において、前記母材の表面に、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとである溶射紛を溶射して、前記ボンドコート層を形成し、前記ボンドコート層上に、セラミックス溶射紛を溶射して、前記セラミックス層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、ボンドコート層とセラミックス層との間に形成される金属酸化物の成長を抑制することができる、つまり、耐酸化性を高めることができる。
本発明に係る一実施形態における耐高温部材の断面図である。 本発明に係る一実施形態における経年使用後の耐高温部材を示し、同図(A)はその断面図、同図(B)は同図(A)中の部分拡大図である。 本発明に係る一実施形態における耐高温部材の製造手順を示すフローチャートである。 本発明に係る一実施形態における低圧プラズマ溶射設備の構成を示す説明図である。 本発明に係る一実施形態におけるガスアトマイズ装置の構成を示す説明図である。
以下、本発明に係る溶射粉、この溶射粉で形成されたボンドコート層、このボンドコート層を有する耐高温部材の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
「耐高温部材の構成」
まず、図1を用いて、耐高温部材について説明する。
本実施形態の耐高温部材は、ガスタービン設備で高温の燃焼ガスが接触する箇所を形成する部材で、例えば、ガスタービン燃焼器の燃焼筒、タービン動翼、タービン静翼等である。
耐高温部材は、Ni基合金又はCo基合金等の耐熱合金製の母材1と、この母材1の表面に形成されたボンドコート層2と、ボンドコート層2の表面に形成されたセラミックス層3と、を有している。ボンドコート層2の厚さは、10μm〜500μmで、セラミックス層3の厚さは、0.1mm〜1mmである。遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating : TBC)層4は、これらボンドコート層2とセラミックス層3とで構成される。
ボンドコート層2は、母材1の表面に、金属溶射紛を溶射することで形成され、セラミックス層3は、このボンドコート層2の表面に、セラミックス溶射紛を溶射することで形成される。
「耐高温部材の製造方法」
次に、図3に示すフローチャートに従って、耐高温部材の製造方法について説明する。
まず、母材を目的の形状に形成する(S11)。母材は、前述したように、Ni基合金又はCo基合金で形成されている。
次に、ボンドコート層2(図1)の下地処理として、母材1の表面に対してブラスト処理を行う(S12)。このブラスト処理では、ブラスト装置にアルミナ粒を投入し、高エアー圧で、このアルミナ粒を母材表面に噴射する。この結果、母材表面には、多数のアルミナ粒が高速で衝突し、この表面が粗化する。
次に、母材1の表面に金属溶射粉を低圧プラズマ溶射し、母材1の表面にボンドコート層2(図1)を形成する(S13)。
ここで、低圧プラズマ溶射の際に使用する設備について、図4を用いて説明する。
低圧プラズマ溶射設備10は、プラズマ溶射ガン11と、母材1が載置される回転テーブル29と、プラズマ溶射ガン11及び回転テーブル29が内部に配置される真空チャンバー28と、プラズマ溶射ガン11に作動ガスを供給する作動ガス供給装置21と、溶射ガン11に溶射粉を供給する粉体供給装置22と、作動ガスをプラズマ化するための電力を溶射ガン11に供給する電源装置23と、溶射ガン11に冷却水を供給する冷却水供給装置24と、真空チャンバー28内を真空吸引する真空ポンプ等の真空装置25と、これらの各装置21〜25を制御する制御装置26と、を備えている。
プラズマ溶射ガン11は、内部にプラズマが形成されるノズル12と、ノズル12内に設けられているタングステン電極15と、ノズル12を囲むガンハウジング16と、を有している。タングステン電極15は、ノズル12内であって、その基部側に固定されている。ノズル12には、その基部側に作動ガス受入口13が形成され、その噴射口12a側に粉体受入口14が形成されている。また、ガンハウジング16には、このガンハウジング16の内側とノズル12の外側との間の冷却空間に、冷却水供給装置24からの冷却水を流入させる冷却水入口17と、冷却空間内の冷却水が排水される冷却水出口18と、が形成されている。
プラズマ溶射ガン11のノズル12内には、作動ガス供給装置21からのAr等の作動ガスが供給される。また、電源装置23の駆動により、タングステン電極15は負極性電極になり、ノズル12の噴射口12a近傍は正極性電極になり、タングステン電極15からノズル噴射口12a近傍に向かって電子が飛び出す。この結果、作動ガスはイオン化し、プラズマとなる。このプラズマの中に、粉体供給装置22からの溶射粉が供給される。この溶射粉は、プラズマ加熱されて、対象母材1に溶射される。
この低圧プラズマ溶射設備10を用いて、母材1の表面に金属溶射粉を低圧プラズマ溶射する際の条件は、以下の通りである。真空チャンバー28内の圧力:55〜65(mbar)、作動ガス(Ar/H)の供給流量:40〜50/8〜10(l/min)
なお、ここでは、母材1の表面に金属溶射粉を低圧プラズマ溶射する例を示したが、金属溶射粉を超高速フレーム溶射してもよい。
次に、ボンドコート層2上に、セラミックス溶射粉を大気圧プラズマ溶射し、ボンドコート層2上にセラミックス層3(図1)を形成する(S14)。この大気圧プラズマ溶射に用いる設備は、基本的に、前述の低圧プラズマ溶射設備10(図4)と同じである。但し、大気圧プラズマ溶射設備では、低圧下でプラズマ溶射する必要がないので、低圧プラズマ溶射設備10における真空チャンバー28や真空装置25が不要である。
以上で、母材1の表面に、ボンドコート層2及びセラミックス層3が形成された耐高温部材が完成する。
「セラミックス紛」
本実施形態のセラミックス溶射紛は、例えば、質量比がY:ZrO=8:92のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)で形成されている。なお、ここでは、Zr酸化物の結晶構造を安定化させものとして、Y粉末を用いているが、Y粉末の替わりに、Mg、Ca、Y、La、Sm、Nd、Gd、Dy、Er、Ybのうちのいずれか一の元素の酸化物粉末を用いてもよい。また、溶射粉の主成分であるZr酸化物の替わりに、Ce酸化物を用いてもよい。この場合、Ce酸化物の結晶構造を安定化させるものとして、La、Nd、Gdのうちの一の元素の酸化物粉末を用いてもよい。
「金属溶射紛の製造方法」
次に、ボンドコート層2を形成するための金属溶射紛の製造方法について説明する。
まず、金属溶射粉の成分について説明する。本実施形態の金属溶射粉は、M(CoとNiの両方又は一方)、Cr、Al、Y、Q(DyとCeとのうちの少なくともDyを含む)を含んでいる。すなわち、本実施形態の金属溶射粉は、従来より、ボンドコート層2に形成に用いられているMCrAlYに、Qを添加したものである。
発明者は、このQの添加量を変えた金属溶射粉を用いて形成したボンドコート層について検証したので、表1を用いて、以下で説明する。この検証では、ボンドコート層に1Kgの荷重をかけた際のビッカース硬さ(Hv)と、900℃の環境下でボンドコート層を1000時間放置した際にボンドコート層の表面に形成された金属酸化物の厚さと、を測定した。
Figure 0005566802
この検証では、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y(wt%)を、検証ベースの金属溶射粉(サンプル0)にしている。このサンプル0で形成したボンドコート層のビッカース硬さは405で、金属酸化物の厚さは6μmであった。
ボンドコート層は、硬すぎると脆くなる。このため、以下の各サンプル1〜12に対しては、ビッカース硬さ450以下を良(○)と評価し、450を超える場合を劣(△)と評価する。また、図2に示すように、ボンドコート層2の表面に形成される金属酸化物、つまり熱生成酸化物(TGO:Thermally Grown Oxide)は、Alで、これは緻密な構造で耐酸化性を向上させる物質である。このため、このAl層5は、ボンドンドコート層の表面にある程度形成されることが好ましい。しかしながら、Al層5の厚さが厚くなると、セラミックス層3に剥離方向に作用する内部応力が増加し、このセラミックス層3の剥離に繋がる。そこで、ここでは、検証ベースのサンプル0の金属酸化物の厚さは6μmを基準にして、厚さが6〜5μmの場合には良(○)と評価し、厚さが5μm以下の場合には優(◎)と評価する。
サンプル1の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.03Dy(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(0.03wt%)を添加したものである。このサンプル1で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、406で、良(○)、金属酸化物の厚さは、5.9μmで、良(○)であった。そこで、このサンプル1の総合評価は、良(○)とする。
サンプル2の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.05Dy(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(0.05wt%)を添加したものである。このサンプル2で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、418で、良(○)、金属酸化物の厚さは、4.5μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル2の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル3の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-5Dy(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(5wt%)を添加したものである。このサンプル3で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、440で、良(○)、金属酸化物の厚さは、2.5μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル3の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル4の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-6Dy(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(6wt%)を添加したものである。このサンプル4で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、480で、劣(△)、金属酸化物の厚さは、2.0μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル4の総合評価は、劣(△)とする。
サンプル5の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.03Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Ce(0.03wt%)を添加したものである。このサンプル5で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、410で、良(○)、金属酸化物の厚さは、5.9μmで、良(○)であった。そこで、このサンプル5の総合評価は、良(○)とする。
サンプル6の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.05Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Ce(0.05wt%)を添加したものである。このサンプル6で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、425で、良(○)、金属酸化物の厚さは、4.8μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル6の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル7の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-5Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Ce(5wt%)を添加したものである。このサンプル7で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、445で、良(○)、金属酸化物の厚さは、2.9μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル7の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル8の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-6Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Ce(6wt%)を添加したものである。このサンプル8で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、510で、劣(△)、金属酸化物の厚さは、2.5μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル8の総合評価は、劣(△)とする。
サンプル9の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.01Dy-0.01Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(0.01wt%)及びCe(0.01wt%)を添加したものである。このサンプル9で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、403で、良(○)、金属酸化物の厚さは、5.9μmで、良(○)であった。そこで、このサンプル9の総合評価は、良(○)とする。
サンプル10の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-0.025Dy-0.025Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(0.025wt%)及びCe(0.025wt%)を添加したものである。このサンプル10で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、420で、良(○)、金属酸化物の厚さは、4.6μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル10の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル11の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-2.5Dy-2.5Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(2.5wt%)及びCe(2.5wt%)を添加したものである。このサンプル11で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、443で、良(○)、金属酸化物の厚さは、2.7μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル11の総合評価は、優(◎)とする。
サンプル12の金属溶射粉は、Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y-3Dy-3Ce(wt%)である。つまり、CoNiCrAlYに、Dy(3wt%)及びCe(3wt%)を添加したものである。このサンプル12で形成したボンドコート層のビッカース硬さは、475で、劣(△)、金属酸化物の厚さは、2.2μmで、優(◎)であった。そこで、このサンプル12の総合評価は、劣(△)とする。
以上のように、CoNiCrAlYに、Q(DyとCeとのうちの一方、又は両方)を添加した金属溶射粉で形成されたボンドコート層は、Qが増加するにつれて、硬くなるものの、Al層の厚さが薄くなる。つまり、Qが増加するにつれて、脆性が高まるものの、Al層の成長抑制の効果が高まる。そこで、ここでは、脆性が高まる効果とAl層の成長抑制の効果とのバランスを考慮し、CoNiCrAlYに0.05〜5 wt%のDyを添加した金属溶射粉、CoNiCrAlYに0.05〜5 wt%のCeを添加した金属溶射粉、CoNiCrAlYに0.05〜5 wt%の(Dy+Ce)を添加した金属溶射粉を、総合評価で優にしている。まとめると、CoNiCrAlYに0.05〜5 wt%のQ(DyとCeとのうちの一方、又は両方)を添加した金属溶射粉を、総合評価で優にしている。
ここで、CoNiCrAlYにQを微量添加すると、Al層の成長を抑制できる理由は、以下のように考えられる。この理由は、CoNiCrAlYにQを微量添加すると、図2(B)に示すように、Al層5中の結晶粒界中にQ粒子6が析出し、セラミックス層3を通過してきた酸素が、Al層中の結晶粒界を通り難くなり、ボンドコート層2の表面にあまり至らなくなるから、と考えられる。
このため、MCrAlY(MはCoとNiの両方又は一方)のように、Alを含み、Al層が形成される溶射粉でも、0.05〜5 wt%のQを添加すると、以上と同様に、ボンドコート層の脆性化を抑えつつ、Al層の成長を抑制できる。
次に、以上で説明したQを除く元素(MCrAlY)の作用と、その適正量について説明する。
M:Mは素地材料である。
Cr:Crは、添加量を多くするほどボンドコート層の耐酸化性を向上させる効果を有している。一方、その添加量が10wt%未満では十分な耐酸化性を得ることができず、30wt%を越えるとボンドコート層が硬くなり延性が低下する。よって、Cr添加量は、10〜30wt%が好ましく、耐酸化性と延性とのバランスの点から15〜25wt%であることがより好ましい。
Al:Alは、ボンドコート層の表面に緻密なAlスケールを形成する材料になり、ボンドコート層の耐酸化性を向上させ、TBC層の耐酸化性を向上させる効果がある。しかし、4wt%未満では、比較的大きな空孔が多数存在する(Ni,Co)(Cr,Al)スピネル複合酸化物が生成され、緻密なAlスケールが生成されなくなり、耐酸化性を向上の効果を得られない。また、15wt%を越えると、ボンドコート層に含まれるNiとの金属間化合物(Ni−Al)相が形成されて硬くなり、延性が低下するので好ましくない。よって、Alの添加量は、4〜15wt%が好ましく、6〜12重量%がより好ましい。
Y:Yは、Alスケールの剥離を防止する作用を有しているが、その添加量が多すぎると、ボンドコート層を脆くし、耐熱衝撃性が低下するため、5wt%が上限値となる。また、添加量が0.1wt%未満では、十分な効果が得られない。よって、Yの添加量は、0.1〜5wt%が好ましく、0.1〜1wt%がより好ましい。
以上、本実施形態の金属溶射粉、及びこの溶射粉で形成されるボンドコート層の成分は、wt%で以下の通りである。
M−(10〜30)Cr−(4〜15)Al−(0.1〜5)Y−(0.05〜5)Q
なお、繰り返すことになるが、MはCoとNiの両方又は一方、QはDyとCeとのうちの一方、又は両方である。
金属溶射粉は、ガスアトマイズ法により、製造される。この製造設備は、図5に示すように、ガスアトマイズ装置40と、分級装置であるサイクロン45とを備えている。ガスアトマイズ装置40は、金属を誘導加熱により溶融すると共に溶融金属を浮遊させるレビテーション炉41と、レビテーション炉41から溶融金属が噴霧される噴霧チャンバー43と、を備えている。レビテーション炉41の出口には、高圧の不活性ガスを受け入れて、この不活性ガスと共にレビテーション炉41内の溶融金属を噴霧チャンバー43内に噴霧するノズル42が設けられている。噴霧チャンバー43の出口には、所定の粒径の粉を得るためのサイクロン45が接続されている。
本実施形態では、前述のMCrAlYQ溶射粉を製造するため、MCrAlYQのそれぞれを、ガスアトマイズ装置40のレビテーション炉41に入れる。MCrAlYQがレビテーション炉41内で溶融すると、この溶融MCrAlYQが、ノズル42から不活性ガスと共に、噴霧チャンバー43内に噴霧されて、微細化すると共に固化する。固化した微細MCrAlYQ、つまりMCrAlYQ粉は、サイクロン45で分級されて、目的の粒径範囲内のMCrAlYQ粉が抽出され、これがMCrAlYQ溶射粉となる。
サイクロン45で抽出するMCrAlYQ粉の粒径は、本実施形態では10〜60μmである。粒子は、粒径が小さくなるほど、単位体積量当たりの表面積が大きくなるため、溶射粉を構成する金属粒子は、粒径が小さくなるほど、単位体積量当たりの付着酸素元素量が多くなる。このため、本実施形態では、単位体積量当たりの付着酸素元素量が制限するため、MCrAlYQ溶射粉の粒径を10μm以上にしている。
以上のように製造されたMCrAlYQ溶射粉は、前述したように、母材に低圧プラズマ溶射又は超高速フレーム溶射されて、ボンドコート層を形成する。このボンドコート層の成分は、層形成時においては、溶射粉の成分と基本的に同じである。
以上、本実施形態では、ボンドコート層の耐酸化性を高めることができる。このため、ボンドコート層を有する耐高温部材の耐久性を高めることができる。さらに、本実施形態では、既存のMCrAlYに添加するDy及び/又はCeは、比較的低価格で、しかもその添加量が微量であるため、ボンドコート層の耐酸化性を高めつつも、このボンドコート層の製造コストを抑えることができる。
1:母材、2:ボンドコート層、3:セラミックス層、4:TBC層、5:Al層、10:低圧プラズマ装置、11:プラズマ溶射ガン、40:ガスアトマイズ装置、41:レビテーション炉、42:ノズル、43:噴霧チャンバー

Claims (8)

  1. セラミックス層と耐熱合金製の母材の表面との間に形成されるボンドコート層において、
    CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとである、
    ことを特徴とするボンドコート層。
  2. 請求項1に記載のボンドコート層において、
    Crが10〜30wt%、Alが4〜15wt%、Yが0.1〜5wt%、Mが残量である、
    ことを特徴とするボンドコート層。
  3. 耐熱合金製の母材の表面に溶射されて、セラミックス層と該母材の表面との間のボンドコート層を形成する溶射紛において、
    CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとである、
    ことを特徴とする溶射紛。
  4. 請求項3に記載の溶射粉において、
    Crが10〜30wt%、Alが4〜15wt%、Yが0.1〜5wt%、Mが残量である、
    ことを特徴とする溶射粉。
  5. 請求項3又は4に記載の溶射粉において、
    粒径が10μm以上である、
    ことを特徴とする溶射粉。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載の溶射粉を前記母材の表面に溶射して、前記ボンドコート層を形成する、
    ことを特徴とするボンドコート層の製造方法。
  7. 耐熱合金製の母材と、該母材の表面上に形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層上に形成されたセラミックス層とを備えている耐高温部材において、
    前記ボンドコート層は、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとである、
    ことを特徴とする耐高温部材。
  8. 耐熱合金製の母材と、該母材の表面上に形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層上に形成されたセラミックス層とを備えている耐高温部材の製造方法において、
    前記母材の表面に、CoとNiの両方又は一方のMと、Crと、Alと、Yと、Qと、を含み、QがDyとCeとのうち少なくともDyを含み且つ0.05〜5wt%で、残量がMとCrとAlとYとである溶射紛を溶射して、前記ボンドコート層を形成し、
    前記ボンドコート層上に、セラミックス溶射紛を溶射して、前記セラミックス層を形成することを特徴とする耐高温部材の製造方法。
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