次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)電極接続構造:
本発明の電極接続構造の一の実施形態は、図1A及び図1Bに示されるように、セラミックハニカム構造部11に配設された電極接続用突起部5と、弾性力により電極接続用突起部5に固定されることによって電極接続用突起部5に取り付けられた接続具1とを有するものである。つまり、本実施形態の電極接続構造100は、上記接続具1が、上記電極接続用突起部5に、上記接続具1の弾性力により電極接続用突起部5に固定されるようにして、取り付けられた構造(接続構造)であるということができる。
更に詳細には、本実施形態の電極接続構造100は、電極接続用突起部5が、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5a」から「反対側の端部5b」に向かう方向において拡開するように形成されたテーパー部5cを有し、接続具1が、「一対の平行な縁部2a,2bを有する導電性の板状の胴部2、及び、胴部2における一対の縁部2a,2bのそれぞれから胴部2の一の面2c側に向かって延びるように配設された一対の導電性の板状の脚部3,3を有する」接続部材6と、「胴部2の一の面2cに配設され一の面2cの法線方向に伸縮することができる」バネ部材4とを備え、一対の脚部3,3の対向する面が、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面形状に対して相補的なテーパー形状を有し、「接続具1が、バネ部材4が押し縮められた状態で電極接続用突起部5に被せられる」とともに、「一対の脚部3,3の対向する面3a,3bが、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に当接するようにして、一対の脚部3,3が、電極接続用突起部5のテーパー部5cに係合し」、バネ部材4が伸びようとする弾性力により、一対の脚部3,3の対向する面3a,3bが電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に押し付けられて、接続具1が電極接続用突起部5に固定されたものである。尚、セラミックハニカム構造部に電極接続用突起部が配設されたものを、セラミックハニカム構造体と称することがある。
また、接続具1には、電極に接続されるリード線(導電性部材)12が配設されており、リード線12の「接続具1に接続されている側の端部に対して、反対側の端部」(図1A、図1Bにおいて、省略されている側の端部)が、電極(セラミックハニカム構造体が挿入された缶体等に取り付けられた電極)に接続されることになる(図10を参照)。
図1Aは、本発明の電極接続構造の一の実施形態の断面を示す模式図である。図1Aは、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に直交する断面を示している。図1Bは、本発明の電極接続構造の一の実施形態を模式的に示す側面図である。また、図1A及び図1Bにおいては、セラミックハニカム構造部11は、外周壁11aの一部のみが示され、他の部分は省略されている。
このように、本実施形態の電極接続構造100は、セラミックハニカム構造部11に配設された電極接続用突起部5と、弾性力により電極接続用突起部5に固定されることによって電極接続用突起部に取り付けられた接続具1とを有するため、熱膨張差による破壊や振動による破壊を防止しながら、セラミックハニカム構造体に電極を接続することができる。ここで、「セラミックハニカム構造体に電極を接続する」とは、セラミックハニカム構造体が挿入された缶体に取り付けられた電極と、セラミックハニカム構造体とを、リード線等の導電性部材によって電気的に接続することを意味する。従って、本実施形態の電極接続構造100によってセラミックハニカム構造体に電極を接続する際には、電極から延びるリード線に接続具を取り付け、当該接続具を弾性力により電極接続用突起部5に固定することになる。そして、本実施形態の電極接続構造100は、電極から延びるリード線に接続具を取り付け、当該接続具を弾性力により電極接続用突起部5に固定するため、熱膨張や振動が生じても、接続具が弾性変形して熱膨張差や振動を緩和することができ、これにより、セラミックハニカム構造体の破壊を防止することができる。
本実施形態の電極接続構造100において、電極接続用突起部5は、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5a」から「反対側の端部(先端部)5b」に向かうに従って(向かう方向において)拡開するように形成されたテーパー部5cを有するものである。電極接続用突起部5は、セラミックハニカム構造部11の外周壁11aから外側に突き出した柱状の突起物である。本実施形態の電極接続構造100における電極接続用突起部5は、四角柱(直方体)における「平行な一対の面」に相当する位置関係の「2つの面」が、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5a」から「反対側の端部(先端部)5b」に向かうに従って拡開するように、テーパー状に形成された形状である。従って、電極接続用突起部5のテーパー形状は、電極接続用突起部5の先端部5bに向かうに従って拡開する形状である。また、電極接続用突起部5の形状は、円錐台形状であってもよい。この場合、円錐台形状の「小さい側の端面」がセラミックハニカム構造部11に接するようにして、電極接続用突起部5がセラミックハニカム構造部11に配設されていることが好ましい。
電極接続用突起部5の高さは、5〜15mmであることが好ましい。5mmより低いと、接続具1を取り付け難くなることがあり、また、取り付けたときに、外れ易くなることがある。15mmより高いと、ハニカム構造体を缶体に挿入して使用する際に、電極接続用突起部5が折れ易くなることがあり、また、大きな缶体が必要になることがある。また、電極接続用突起部5の、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5aに対して反対側の端部(先端部)5b」側の端面(上端面)の大きさ(「縦の長さ」×「横の長さ」)は、「5mm×5mm」〜「10mm×10mm」であることが好ましい。「5mm×5mm」より小さいと、接続具1を取り付け難くなることがあり、また、取り付けたときに、外れ易くなることがある。更に、電極接続用突起が破損し易くなることがある。「10mm×10mm」より大きいと、接続具1が不必要に大きくなることがある。また、電極接続用突起部5の形状が円錐台形状である場合、電極接続用突起部5の、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5aに対して反対側の端部(先端部)5b」側の端面(上端面)の大きさ(直径)は、5〜10mmであることが好ましい。
また、電極接続用突起部5のテーパー部5cのテーパー形状の角度(小さい方の角度)は、電極接続用突起部5の中心軸(「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5a」から「反対側の端部(先端部)5b」に向かう方向)に対して0°より大きく、30°以下であることが好ましい。角度が0°であると、接続具1を取り付けたときに、外れ易くなることがある。30°より大きいと、接続具1を取り付け難くなることがあり、また角部(先端部の外周部分)が破損し易くなることがある。加えて、偏荷重がかかった場合、電極接続用突起部5が破損し易くなることがある。電極接続用突起部5の材質は、セラミックハニカム構造部11と同材質、等が好ましい。
また、電極接続用突起部5は、テーパー部5cが、電極接続用突起部5の、「セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5a」から「反対側の端部(先端部)5b」までの全体に亘って形成されたものである。これに対し、図2に示すように、電極接続用突起部5は、テーパー部5cが、電極接続用突起部5の、セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5aから反対側の端部5bまでの間における一部に形成されたものであってもよい。図2に示す、本発明の電極接続構造の他の実施形態(電極接続構造200)は、本発明の電極接続構造の一の実施形態において、電極接続用突起部5のテーパー部5cが、電極接続用突起部5の先端部5b側の半分に形成されたものである。図2は、本発明の電極接続構造の他の実施形態の断面を示す模式図である。
本実施形態の電極接続構造100において、接続具1は、「一対の平行な縁部2a,2bを有する導電性の板状の胴部2、及び胴部2における一対の縁部2a,2bのそれぞれから胴部2の一の面2c側に向かって延びるように配設された一対の導電性の板状の脚部3,3を有する」接続部材6と、「胴部2の一の面2cに配設され一の面2cの法線方向に伸縮することができる」バネ部材4とを備えるものである。
接続具1における接続部材6の胴部2は、長方形の板であり、長方形の一対の平行な2辺に相当する部分(縁部2a,2b)に、それぞれ脚部3,3が配設されている。また、接続部材6は、一枚の板を、平行な2本の線を折り目として折り曲げて(2箇所で折り曲げて)形成した形状であり、上記折り目に直交する断面が「U字形状」に近い形状になっているということもできる。
接続具1における接続部材6は、一体的に形成されたもの(複数の部材を溶接等により接合したものではなく、1つの部材を変形して形成したものであり、例えば、上記のように、一枚の板を折り曲げて形成したもの)であることが好ましい。そして、接続部材6の材質は、ステンレス鋼等が好ましい。
接続具1における接続部材6の胴部2の大きさは、一辺の長さが、電極接続用突起部5の上端面の対応する一辺(接続具1を電極接続用突起部5に取り付けたときに、当該胴部2の辺と略平行であり最も近くに位置する辺)の長さより、1〜3mm長いことが好ましい。胴部2の一辺の長さが、「電極接続用突起部5の上端面の対応する一辺の長さより1mm長い」長さより短いと、接続具1を電極接続用突起部5に取付け難くなることがある。胴部2の一辺の長さが、「電極接続用突起部5の上端面の一辺の長さより3mm長い」長さより長いと、接続具1が電極接続用突起部5から外れ易くなることがある。また不必要に大きくなることがある。胴部2の厚さは、0.3〜1.5mmであることが好ましい。0.3mmより薄いと、接続具1の強度が低下することがある。1.5mmより厚いと、不必要に材料を多く使用することになることがある。
接続具1における接続部材6の脚部3は、長方形の板である。一対の脚部3,3の対向する面は、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面形状に対して相補的なテーパー形状を有する。そして、脚部3の、「胴部2に接続されている辺」に直交する方向における長さは、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けたときに、接続部材6の胴部2と、電極接続用突起部5の上端面との間の距離が1〜5mmとなる、長さであることが好ましい。胴部2と、電極接続用突起部5の上端面との間の距離が1mmより短いと、バネ部材4を配設し難くなることがある。胴部2と、電極接続用突起部5の上端面との間の距離が5mmより長いと、ハニカム構造体を挿入する缶体を大きくする必要が生じることがある。更に、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に直交する断面(図1A参照)において、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けたときに、電極接続用突起部5のテーパー部5cと、脚部3の内側の面(対向する面3a,3b)とが接触する長さは、当該断面におけるテーパー部5cの長さの20〜90%であることが好ましい。20%より短いと、接続具1が外れ易くなることがある。90%より長いと、接続具1を電極接続用突起部5に取り付け難くなることがある。またセラミックハニカム構造体11を破損し易くなることがある。脚部3の厚さは、0.3〜1.5mmであることが好ましい。0.3mmより薄いと、接続具1の強度が低下することがある。1.5mmより厚いと、不必要に材料を多く使用することになることがある。
「一対の脚部3,3の対向する面3a,3bが、テーパー形状である」とは、一対の脚部3,3が、「胴部2に接続されている側の端部から、反対側の端部である先端部に向かうに従って」互いの距離が近くなるように傾斜することにより、一対の脚部3,3の対向する面が、「胴部2に接続されている側の端部から、反対側の端部である先端部に向かうに従って」互いの距離が近くなるように傾斜していることを意味する。そして、「一対の脚部3,3の対向する面が、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面形状に対して相補的なテーパー形状である」とは、「一対の脚部3,3の対向する面が、テーパー形状である」とともに、一対の脚部3,3の対向する面の傾斜と、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面の傾斜とが同じ角度であることを意味する。
バネ部材4の大きさ(伸縮する方向に直交する断面における大きさ)は、接続部材6と電極接続用突起部5との間に挟み込むことができる大きさ(図1A、図1B参照)であることが好ましい。また、バネ部材4の材質は、インコネル等が好ましい。
また、接続具1において、バネ部材4は、伸縮方向が胴部2の一の面2cに直交するように配設されていることが好ましい。また、バネ部材4は、胴部2の一の面2cに溶接されていることが好ましいが、胴部2と電極接続用突起部5との間に配置されているだけでもよい。
本実施形態の電極接続構造100は、「接続具1(接続部材6)が、バネ部材4が押し縮められた状態で電極接続用突起部5に被せられる」とともに、「一対の脚部3,3の対向する面3a,3bが、電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に当接するようにして、一対の脚部3,3が、電極接続用突起部5のテーパー部5cに係合し」、バネ部材4が伸びようとする弾性力により、一対の脚部3,3の対向する面3a,3bが電極接続用突起部5のテーパー部5cの表面に押し付けられて、接続具1が電極接続用突起部5に固定されたものである。つまり、接続部材6と電極接続用突起部5との間に配設された縮められた状態のバネ部材4が、伸びようとする弾性力により、接続部材6の胴部2と、電極接続用突起部5との間を押し広げようとすることにより、一対の脚部3,3が、電極接続用突起部5のテーパー部5cに引っ掛かった状態で係合し、上記バネ部材4の伸びようとする弾性力により、この状態(一対の脚部3,3が、電極接続用突起部5のテーパー部5cに、引っ掛かるように係合した状態)で固定される。
接続具1を電極接続用突起部5に取り付けて本実施形態の電極接続構造100を形成する際には、一対の脚部3,3が開いた状態(例えば、脚部3と、胴部2の一の面2cとの角度が90°程度の状態)の接続部材6を、「接続部材6と電極接続用突起部5との間にバネ部材4を挟んだ」状態で、電極接続用突起部5の上に載せて、「かしめる」ことにより脚部3,3を閉じて、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けることが好ましい。「かしめる」ことにより、電極接続用突起部5の形状に係わりなく、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けることができる。また、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けて本実施形態の電極接続構造100を形成する際には、接続部材6を、「接続部材6と電極接続用突起部5との間にバネ部材4を挟むとともに、一対の脚部3,3を電極接続用突起部5のテーパー部5cに引掛けた」状態で、電極接続用突起部5の上をスライドさせながら、電極接続用突起部5に取り付けてもよい。
また、本実施形態の電極接続構造100においては、電極接続用突起部5はテーパー状に形成されているが、電極接続用突起部5は、円柱状や四角柱等の角柱状であってもよい。電極接続用突起部が、円柱状や角柱状である場合には、接続部材を、電極接続用突起部の上に載せて、「かしめる」ことにより脚部を閉じて、接続具を電極接続用突起部に取り付けることが好ましい。「かしめる」ことにより、接続具が、円柱状又は角柱状の電極接続用突起部から外れることを防止することができる。
本発明の電極接続構造の更に他の実施形態は、図3に示すように、本発明の電極接続構造の一の実施形態において、セラミックハニカム構造部11に、間隔を開けて並ぶ2つの電極接続用突起部5が配設され、2つの電極接続用突起部5が、セラミックハニカム構造部11に接する側の端部5aから反対側の端部(先端部)5bに向かう方向において拡開するように形成されたテーパー部5cを有し、接続具1が、一対の平行な縁部2a,2bを有する導電性の板状の胴部2と、胴部2における一対の縁部2a,2bのそれぞれ及び胴部2における一対の縁部2a,2bに平行であって胴部2の中央の位置から、胴部2の一の面2c側に向かって延びるように配設された3枚の導電性の板状の脚部3,3c,3と、を有する弾性変形可能な接続部材6を備え、接続具1が、「縁部2a,2bに配設された2つの脚部3,3が2つの電極接続用突起部5,5のそれぞれのテーパー形状における外側の面5e,5eに係合するとともに胴部2の中央の位置に配設された脚部(中央脚部)3cが2つの電極接続用突起部5の間に差し込まれた」状態で、電極接続用突起部5に被せられ、接続部材6の弾性力により、縁部2a,2bに配設された2つの脚部3,3の対向する面3a,3bが2つの電極接続用突起部5のそれぞれの外側に位置する外側の面5e,5eを押圧することにより、接続具1が電極接続用突起部5に固定されたものである。また、接続具1には、リード線12が配設される。図3は、本発明の電極接続構造の更に他の実施形態の断面を示す模式図である。
ここで、「2つの電極接続用突起部5,5のそれぞれのテーパー形状における外側の面5e,5e」とは、セラミックハニカム構造部11に配設された2つの電極接続用突起部5,5における「一方の電極接続用突起部5のテーパー形状を形成する面のなかの、他方の電極接続用突起部5から遠い側の面」と、「上記他方の電極接続用突起部5のテーパー形状を形成する面のなかの、上記一方の電極接続用突起部5から遠い側の面」との2つの面を意味する。そして、「縁部2a,2bに配設された2つの脚部3,3が2つの電極接続用突起部5,5のそれぞれのテーパー形状における外側の面5e,5eに係合する」とは、上記外側の面5e,5eによって一つのテーパー形状が形成されていると仮定したときに、2つの脚部3,3が当該「外側の面5e,5eによって形成された」テーパー形状に係合することを意味する。
本実施形態の電極接続構造300においては、各電極接続用突起部5の条件は、上記本発明の電極接続構造における一の実施形態における電極接続用突起部5の条件と同じであることが好ましい。また、2つの電極接続用突起部5,5の形状は、異なっていても良いが、同じであることが好ましい。
本実施形態の電極接続構造300においては、接続具1の各脚部(中央脚部を除く)3,3の条件は、上記本発明の電極接続構造における一の実施形態における脚部3の条件と同じであることが好ましい。中央脚部3cは、「2つの脚部3,3の対向する面3a,3bに直交する断面(胴部2の一対の縁部2a,2bに直交する断面)における形状が、底辺が胴部2の一の面2cに接する2等辺三角形」の、三角柱状(全体形状)であることが好ましい。2つの脚部3,3の対向する面3a,3bに直交する断面において、中央脚部3cの、胴部2の一の面2cに接する部分(底辺)の長さは、1〜3mmが好ましい。また、2つの脚部3,3の対向する面3a,3bに直交する断面において、中央脚部3cの高さ(上記「底辺」に直交する方向の長さ)は、3〜10mmが好ましい。
接続具1の胴部2の一の面2cと、電極接続用突起部5の先端部5bとの間には隙間が空いていることが好ましい。隙間が空いていることにより、熱膨張等により接続具1及び電極接続用突起部5が、熱膨張、熱収縮等の変形(接続具1は弾性変形)を起こしたときに、当該隙間によって応力が特定の部分に集中することを防止することができ、電極接続用突起部5の破壊等を防止することができる。また、接続具1の胴部2の一の面2cと、電極接続用突起部5の先端部5bとの間の距離は、0.5〜5mmが好ましい。0.5mmより短いと、接続具1と電極接続用突起部5とが接触することがあり、電極接続用突起部5における特定の部分に応力が集中し易くなることがある。
接続具1の胴部2の、縁部2a,2bの延びる方向における長さは、「電極接続用突起部5の、テーパー部5cに直交する断面に直交する方向における長さ」の、20〜90%が好ましい。また、接続具1の胴部2の、縁部2a,2bに直交する断面における長さは、「2つの電極接続用突起部5のテーパー部5cに直交する断面における、2つの先端部5b,5b(上端面)の長さと、2つの先端部5b,5b間の距離とを合計した長さ」に対して、1〜5mmだけ長いことが好ましい。
本実施形態の電極接続構造300においては、接続具1の上記条件以外の条件については、上記本発明の電極接続構造における一の実施形態における接続具1の条件と同じであることが好ましい。
接続具1を電極接続用突起部5に取り付けて本実施形態の電極接続構造300を形成する際には、一対の脚部3,3が開いた状態の接続部材6を、電極接続用突起部5の上に載せて、かしめることにより脚部3,3を閉じて、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けることが好ましい。また、接続具1を電極接続用突起部5に取り付けて本実施形態の電極接続構造100を形成する際には、接続部材6を、「一対の脚部3,3を電極接続用突起部5のテーパー部5cに引掛けた」状態で、電極接続用突起部5の上をスライドさせながら、電極接続用突起部5に取り付けてもよい。
本発明の電極接続構造の更に他の実施形態は、図4A、図4Bに示すように、本発明の電極接続構造の一の実施形態において、接続具1が、柔軟性のあるリング状の金属線21と、金属線21に等間隔に配設された2つのバネ部材22とを備え、金属線21が、2つのバネ部材22,22を電極接続用突起部5との間で挟んで縮めた状態で、電極接続用突起部5の外周を取り囲むようにして電極接続用突起部5に取り付けられ、2つのバネ部材22,22が伸びようとする弾性力によって金属線21が押し広げられることにより、金属線21が、電極接続用突起部5を、バネ部材22が金属線21を押し広げる方向と直交する方向から挟むことによって、接続具1が電極接続用突起部5に固定されたものである。また、接続具1には、リード線12が配設される。図4Aは、本発明の電極接続構造の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。図4Bは、本発明の電極接続構造の更に他の実施形態を模式的に示す側面図である。
本実施形態の電極接続構造400においては、電極接続用突起部5は、四角柱状であることが好ましい。また、電極接続用突起部5は、四角柱状において、バネ部材22が当接する「互いに隣接していない2つの面」が、先端部が広がるテーパー状になった形状であってもよい。電極接続用突起部5が、先端部が広がるテーパー状であると、接続具1が、より外れ難くなる。「互いに隣接していない2つの面」とは、例えば、直方体であれば、平行な一対の面であり、「当該直方体における平行な一対の面」に相当する位置関係にある2つの面のことを意味する。尚、電極接続用突起部5が四角柱状(テーパー状になっていない形状)であっても、ハニカム構造体を缶体に挿入するときには、通常、ハニカム構造体と缶体との隙間が充填材により埋められるため、当該充填材の存在により、接続具1は、電極接続用突起部5から抜け難くなっている。
本実施形態の電極接続構造400においては、電極接続用突起部5の上記以外の条件は、上記本発明の電極接続構造における一の実施形態における電極接続用突起部5の条件と同じであることが好ましい。
本実施形態の電極接続構造400においては、接続具1は、柔軟性のあるリング状の金属線21と、金属線21に等間隔に配設された2つのバネ部材22とを備えるものである。金属線21の材質としては、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属線21の断面(金属線21を一か所で切断して一本の線状としたときの「長さ方向」、に直交する断面)の形状としては、長方形、楕円形、円形等を挙げることができる。金属線21の断面の面積は、0.1〜20mm2が好ましい。0.1mm2より小さいと、金属線21が細く、強度が小さくなることがある。20mm2より大きいと、金属線21が太いため、電極接続構造400が大きくなることがあり、また、金属線21が外れやすくなることがある。また、金属線21の長さ(リング状の金属線21の一周の長さ)は、電極接続用突起部5の先端部5bの外周の長さの1.4〜4倍であることが好ましい。1.4倍より短いと、バネ部材22を小さくする必要があるため、バネ部材22の弾性力が小さくなることがある。4倍より長いと、バネ部材22が長くなり、固定状態が不安定になることがある。
バネ部材22の大きさ(伸縮する方向に直交する断面における大きさ)は、金属線21と電極接続用突起部5との間に挟み込むことができる大きさ(図4A、図4B参照)であることが好ましい。また、バネ部材22の材質は、インコネル等が好ましい。
本実施形態の電極接続構造400においては、2つのバネ部材22,22が伸びようとする弾性力によって金属線21が押し広げられることにより、金属線21が、電極接続用突起部5を、バネ部材22が金属線21を押し広げる方向と直交する方向から挟むことによって、接続具1が電極接続用突起部5に固定されている。換言すれば、バネ部材22,22によって電極接続用突起部5を挟むとともに、バネ部材22が金属線21を押し広げる方向と直交する方向から金属線21によって挟むことによって、接続具1が電極接続用突起部5に固定されている。
本発明の電極接続構造の更に他の実施形態は、図5、図6に示すように、本発明の電極接続構造の一の実施形態において、接続具1が、それぞれの一方の面41a,41aを対向させるとともに間隔を開けて配置された弾性変形可能な2枚の導電性の板部41,41と、2枚の板部41,41の一方の端部同士及び他方の端部同士を繋ぐように配設された一対の連結部42,42とを備え、接続具1が、2枚の板部41,41が互いに離れる方向に弾性変形した状態で、電極接続用突起部5の外周を取り囲むようにして電極接続用突起部5に取り付けられ、接続具1の2枚の板部41,41が、互いに近づく方向に変形しようとする弾性力により電極接続用突起部5を押圧した状態で、電極接続用突起部5を挟むことにより、接続具1が電極接続用突起部5に固定されたものである。図5は、本発明の電極接続構造の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。図6は、本発明の電極接続構造の更に他の実施形態を模式的に示す側面図である。
ここで、「2枚の板部41,41が、互いに離れる方向に弾性変形した状態」とは、2枚の板部41,41が、それぞれの中央部分が離れるように変形することを意味する。2枚の板部41,41は、端部同士が連結部42によって繋がれて固定されており、端部は変形し難いため、それぞれの中央部が離れるように変形する。
本実施形態の電極接続構造600においては、電極接続用突起部5は、四角柱状であることが好ましい。また、電極接続用突起部5は、先端部5bが広がるテーパー状であってもよい。電極接続用突起部5が、先端部が広がるテーパー状であると、接続具1が、より外れ難くなる。「互いに隣接していない2つの面」とは、例えば、直方体であれば、平行な一対の面であり、「当該直方体における平行な一対の面」に相当する位置関係にある2つの面のことを意味する。尚、電極接続用突起部5が四角柱状(テーパー状になっていない形状)であっても、ハニカム構造体を缶体に挿入するときには、通常、ハニカム構造体と缶体との隙間が充填材により埋められるため、当該充填材の存在により、接続具1は、電極接続用突起部5から抜け難くなっている。
本実施形態の電極接続構造600においては、電極接続用突起部5の上記以外の条件は、上記本発明の電極接続構造における一の実施形態における電極接続用突起部5の条件と同じであることが好ましい。
本実施形態の電極接続構造600においては、接続具1が、それぞれの一方の面41a,41aを対向させるとともに間隔を開けて配置された弾性変形可能な2枚の導電性の板部41,41と、2枚の板部41,41の一方の端部同士及び他方の端部同士を繋ぐように配設された一対の連結部42,42とを備えるものである。接続具1は、このように板部41と連結部42とにより形成されていることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、一体的に形成された(接続部分が存在しない)四角筒状であってもよい。また、一枚の板をリング状に巻き、端部同士を溶接して、リング状の枠体としてもよい。
接続具1を電極接続用突起部5に取り付けた状態において、電極接続用突起部5と連結部42との間の距離は、0.5〜5mmであることが好ましい。0.5mmより短いと、接続具1を電極接続用突起部5に取り付け難くなることがある。5mmより長いと、接続具1を電極接続用突起部5に、安定して固定することが難しくなることがある。
接続具1の材質としては、インコネル等を挙げることができる。
本発明の電極接続構造の上記各実施形態における接続具の製造方法は、特に限定されず、所定の材料の部材を所定形状に加工して形成することができる。
(2)セラミックハニカム構造体(接続具を有するセラミックハニカム構造体):
本発明の電極接続構造を構成する電極接続用突起部は、セラミックハニカム構造部に配設されるものであり、「セラミックハニカム構造部及び電極接続用突起部を備える」セラミックハニカム構造体の構成要素であるということもできる。そのため、本発明の電極接続構造を形成するということは、「セラミックハニカム構造部及び電極接続用突起部を備える」セラミックハニカム構造体に接続具を取り付けて、接続具が取り付けられたハニカム構造体を形成するということと同じになる。以下、上記、接続具が取り付けられたハニカム構造体について説明する。尚、「本発明の電極接続構造を構成する」接続具が、取り付けられたハニカム構造体のことを、本発明の電極接続構造を有するセラミックハニカム構造体ということがある。
「本発明の電極接続構造を構成する」接続具が、取り付けられたセラミックハニカム構造体は、図9に示されるように、セラミックハニカム構造部54及びセラミックハニカム構造部54の外周壁53に配設された電極接続用突起部5を有する」ハニカム構造体700と、電極接続用突起部5に取り付けられた接続具1とを備えるものである。図9は、本発明の電極接続構造の一の実施形態を有するセラミックハニカム構造体の断面を示す模式図である。
セラミックハニカム構造体700は、図7、図8に示すように、流体の流路となる一方の端面61から他方の端面62まで延びる複数のセル52を区画形成する多孔質の隔壁51と、最外周に位置する(隔壁51全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁53とを有する筒状のセラミックハニカム構造部54と、セラミックハニカム構造部54の外周壁53に配設された一対の電極接続用突起部5,5とを備えるものである。図7は、本発明の電極接続構造の一の実施形態が適用されるセラミックハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。図8は、本発明の電極接続構造の一の実施形態が適用されるセラミックハニカム構造体の断面を示す模式図である。以下、「セラミックハニカム構造体」を単に、「ハニカム構造体」ということがある。
ハニカム構造体700は、隔壁51及び外周壁53が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであることが好ましい。ハニカム構造体700においては、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。
ハニカム構造体700は、セラミックハニカム構造部54の側面(外周壁53)に一対の電極部21,21が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極接続用突起部5,5間に電圧を印加することにより、発熱する。印加する電圧は50〜300Vが好ましく、100〜200Vが更に好ましい。
ハニカム構造体700の隔壁厚さは、特に限定されないが、35〜430μmであることが好ましい。また、ハニカム構造体700のセル密度は、特に限定されないが、15〜190セル/cm2であることが好ましい。
ハニカム構造体700は、電極接続用突起部5が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることが好ましい。ここで、「炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」とは、炭化珪素粒子と珪素との合計質量が、電極部全体の質量の90質量%以上であることを意味する。このように、電極接続用突起部5が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極接続用突起部5の成分とセラミックハニカム構造部54の成分とを同じ(又は近い)成分とすることができるため(セラミックハニカム構造部54の主成分が、炭化珪素粒子及び珪素の場合)、電極接続用突起部5とセラミックハニカム構造部54の熱膨張係数が同じ(又は近い)になる。また、材質が同じ(又は近い)になるため、電極接続用突起部5とセラミックハニカム構造部54との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極接続用突起部5がセラミックハニカム構造部54から剥れたり、電極接続用突起部5とセラミックハニカム構造部54との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
ハニカム構造体700は、セル52の延びる方向に直交する断面におけるセル52の形状が、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形であることが好ましい。
本実施形態のハニカム構造体の形状は特に限定されず、例えば、底面が円形の筒状(円筒形状)、底面がオーバル形状の筒状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の筒状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、特に限定されないが、底面の面積が500〜165000mm2であることが好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、100〜460mmであることが好ましい。
ハニカム構造体700の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のように製造することができる。
まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10〜30質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、成形原料全体の質量に対して30〜78質量%であることが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して2〜10質量%であることが好ましい。
水の含有量は、成形原料全体に対して20〜60質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
また、成形原料は、焼結助剤として炭酸ストロンチウムを含有することが好ましい。焼結助剤の含有量は、成形原料全体に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、電極接続用突起部形成用部材を作製することが好ましい。電極接続用突起部形成用部材は、ハニカム成形体に貼り付けられて、焼成され、電極接続用突起部となるものである。電極接続用突起部形成用部材の形状は、特に限定されないが、例えば、図1A、図1Bに示す電極接続用突起部5のような形状に形成することが好ましい。そして、得られた電極接続用突起部形成用部材を、ハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。尚、ハニカム成形体の作製、及び電極接続用突起部形成用部材の作製の、順序はどのような順序でもよい。
電極接続用突起部形成用部材は、電極接続用突起部形成原料(電極接続用突起部形成用部材を形成するための原料)を成形、乾燥して得ることが好ましい。電極接続用突起部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極接続用突起部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極接続用突起部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、電極接続用突起部形成原料全体の質量に対して50〜85質量%であることが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、電極接続用突起部形成原料全体に対して1〜10質量%であることが好ましい。
水の含有量は、電極接続用突起部形成原料全体に対して15〜30質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、電極接続用突起部形成原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、電極接続用突起部形成原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、電極接続用突起部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、混練機を用いることができる。
得られた電極接続用突起部形成原料を成形して、電極接続用突起部形成用部材の形状にする方法は特に限定されず、押し出し成形後に加工する方法等を挙げることができる。
電極接続用突起部形成原料を成形して、電極接続用突起部形成用部材の形状にした後に、乾燥させて、電極接続用突起部形成用部材を得ることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
次に、電極接続用突起部形成用部材を、ハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。電極接続用突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付ける方法は、特に限定されないが、上記電極接続用突起部形成原料又はこれを水で希釈した原料を用いて電極接続用突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。電極接続用突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付ける際には、「底面が台形の四角柱状」の電極接続用突起部形成用部材の、「当該低面に直交する断面における台形の上底」に相当する面を、ハニカム成形体に接触させるようにして貼り付けることが好ましい。
そして、電極接続用突起部形成用部材が貼り付けられたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、本発明のハニカム構造体とすることが好ましい。
このときの乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、200〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1600℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
尚、電極接続用突起部形成用部材は、ハニカム成形体を焼成する前に貼り付けてもよいし、焼成した後に貼り付けてもよい。電極接続用突起部形成用部材を、ハニカム成形体を焼成した後に貼り付けた場合は、その後に、上記条件によって再度焼成することが好ましい。
図10に示すように、接続具1が取り付けられたセラミックハニカム構造体(本発明の電極接続構造の一の実施形態を有するセラミックハニカム構造体)700は、缶体71に収納され、接続具1は、缶体71に配設された電極72に、リード線12によって接続されることが好ましい。図10は、缶体71に収納された、本発明の電極接続構造の一の実施形態を有するセラミックハニカム構造体700の、断面を示す模式図である。
接続具1が取り付けられたセラミックハニカム構造体700は、外周に充填材73を配設した状態で、缶体71内に収納されている。また、ハニカム構造体700は、留め具74によって、缶体71内で動かないように固定されている。缶体71は、ガスGが流入する入口71a及びガスGが流出する出口71bとを有する筒状体である。缶体71の材質としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、鉄等を挙げることができる。また、電極としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、充填材73としては、特に限定されないが、耐熱無機絶縁マット等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合し、これに、焼結助剤として炭酸ストロンチウム、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とし、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であり、炭酸ストロンチウムの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計に対し1質量部であり、造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
次に、ハニカム成形体に塗布した電極部形成原料を乾燥させた。乾燥条件は、70℃とした。
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極接続用突起部形成原料とした。電極接続用突起部形成原料を、真空土練機を用いて坏土とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに4質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに22質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
得られた坏土を、真空土練機を用いて成形し、図1A、図1Bに示される電極接続用突起部5のような形状に加工し、乾燥して、電極接続用突起部形成用部材を得た。電極接続用突起部形成用部材の形状は、底面が台形(線対象の台形)の四角柱状であった。また、乾燥条件は、70℃とした。電極接続用突起部形成用部材は2つ作製した。
次に、2つの電極接続用突起部形成用部材のそれぞれを、ハニカム成形体に貼り付けた。電極接続用突起部形成用部材は、電極接続用突起部形成原料を用いて、ハニカム成形体に貼り付けた。電極接続用突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付ける際には、「底面が台形の四角柱状」の電極接続用突起部形成用部材の、「当該低面に直交する断面における台形の上底」に相当する面を、ハニカム成形体に接触させるようにして貼り付けた。その後、電極接続用突起部形成用部材を貼り付けたハニカム成形体を、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは90μmであり、セル密度は90セル/cm2であった。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは100mmであった。また、電極接続用突起部は、セラミックハニカム構造部に接する面が、直径7mmの円形であり、先端部の面が、直径10mmの円形であり、「セラミックハニカム構造部に接する面から、先端部の面までの距離」が、10mmであった。電極接続用突起部を、底面が台形の四角柱としたときの、当該台形は、線対象の台形のままであった。
次に、図1A、図1Bに示されるような接続具1を作製した。接続具の接続部材は、20mm×20mmの大きさで、厚さが1mmの金属板を材料として形成した。接続部材の材質は、ステンレス鋼とした。接続部材の形成の際には接続部材を電極接続用突起部に取り付ける前は、接続部材は、胴部2と脚部3,3とが略90°になるようにした。
接続具のバネ部材は、コイル状のバネを用いた。バネ部材の構造は、直径0.5mmの金属線が螺旋状に3回巻かれた構造とした。バネ部材の螺旋形状全体を円筒形であると想定したときの、底面の直径は、5mmであり、中心軸方向の長さは7mmであった。
次に、図9に示すように、ハニカム構造体700の2つの電極接続用突起部5に接続具1を接続し、接続具が取り付けられたセラミックハニカム構造体(本発明の電極接続構造を有するセラミックハニカム構造体)を作製した。電極接続構造は、図1A,図1Bに示すような構造とした。電極接続用突起部5に接続具1を接続する際には、接続部材と電極接続用突起部との間にバネ部材が挟まれるようにして、接続具を電極接続用突起部に被せ、脚部を「かしめる」ことにより、接続具1を電極接続用突起部5に固定した。
得られた、接続具が取り付けられたセラミックハニカム構造体について、以下に示す方法で、冷熱加振試験を言った。また、耐熱衝撃性試験の前と後に、以下に示す方法で、通電試験を行った。
(冷熱加振試験)
日本ガイシ社製、冷熱加振試験機を用いて、加速度:30G、周波数:200Hz、試験時間:100時間、冷熱条件:「100℃から900℃までの間を往復する」の条件で冷熱加振試験を実施し、破損の有無を確認した。
(通電試験)
まず、接続具が取り付けられたセラミックハニカム構造体の抵抗値を測定する。そして、冷熱加振試験後、接続具が取り付けられたセラミックハニカム構造体の抵抗を測定し、その変化を算出した。
冷熱加振試験の結果、セラミックハニカム構造部と電極接続用突起部との間に亀裂等は生じなかった。また、電極接続用突起部と接続具との接続状態も、目視で、異常はなかった。また、冷熱加振試験の前と後に行った抵抗値測定では(通電試験)、抵抗値の変化がほとんど得られなかった(変化量1mΩ以下)。これにより、セラミックハニカム構造部と電極接続用突起部との間の電気的な接続状態、及び、電極接続用突起部と接続具との間の電気的な接続状態の、いずれも、異常がなかったことが分かる。