JP5563552B2 - ホスホロモノクロリダイト合成のためのスラリー法 - Google Patents

ホスホロモノクロリダイト合成のためのスラリー法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年3月28日に出願された米国仮特許出願第61/040,322号の利益を請求する。
発明の分野
本発明は、一般的に、有機ポリホスファイトの合成用中間体であるホスホロモノクロリダイト(phosphoromonochloridites)の製造方法に関する。
ホスファイトは、均質(homogeneous)触媒のための配位子として、そして可塑剤、難燃剤、紫外線安定剤及び酸化防止剤の成分として、有用な様々な種類の有機リン化合物を代表する。ホスファイトは有機モノホスファイト及び有機ポリホスファイトに更に分類することができる。有機ポリホスファイトはある種の均質触媒に特に有用である。例えば特許文献1は、一般的に、有機ポリホスファイトの合成及びヒドロホルミル化法における配位子としてのその使用に関する。
ホスホロモノクロリダイトは有機ポリホスファイトの合成用中間体である(例えば特許文献2、3及び1を参照)。ホスホロモノクロリダイトは、典型的には、三塩化燐(PCl3)を1モル当量のジアルコール又は2モル当量のモノアルコールと、出発アルコールの反応性及び得られるホスホロモノクロリダイトに大きく依存する反応条件下で、接触させることによって、縮合反応で合成する。この縮合反応により、生成されるホスホロモノクロリダイトの各分子当たり2モルの塩化水素(HCl)が生成する。縮合反応が高い、例えば90%超のアルコール転化率を達成するためには、反応溶液からHClを除去しなければならない。
縮合反応からHClを除去するための1つの方法は、生成するHClの理論量に対して、化学量論量で又は過剰量で窒素塩基を用いるHClの中和である。例えば特許文献4、2、5及び6並びに非特許文献1を参照。しかし、窒素塩基を用いる場合には、その結果として生じる窒素塩基−HCl塩は、濾過操作によって反応混合物から除去しなければならず、濾過操作は塩化物及び窒素を含む廃棄物を発生し、それによりコスト増になる。
PCl3−アルコール縮合反応からHClを除去する別のアプローチは、アルコールと大過剰量のPCl3との混合物を、PCl3(沸点(bp):74〜78℃)を還流させるのに充分に高い温度で加熱して、HClを飛ばすことを含む。本アプローチでは窒素塩基は必要でないか又は使用する。例えば特許文献1は、2,2’−ビフェノールと3.7モル当量(2.7当量過剰)のPCl3との混合物を還流させることよって、1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトを製造する方法を開示している。ホスホロモノクロリダイト生成物は、減圧蒸留によって、使用2,2’−ビフェノールのモル数に基づき、72モル%の収率で単離されることを開示している。非特許文献2及び3において言及された別の方法は、1,1’−ビ−2−ナフトールと11.5モル当量のPCl3との混合物を75〜80℃において加熱することによる、4−クロロジナフト[2,1−d:1’,2’−f][1,3,2]ジオキサホスフェピンの合成である。前記方法の不所望な構成の1つには、水分と発熱反応し且つ、典型的には、更なる安全性の問題を伴う大過剰量のPCl3の除去及び取扱の必要性がある。本方法で使用される過剰量のPCl3を減少させることが望ましいであろう。
PCl3−アルコール縮合反応が固体ジオールを用いる場合において、HClを除去するための更に別の方法は、a)非プロトン性極性有機溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)中に、又は非プロトン性極性有機溶媒を含む溶媒混合物中に、固体ジオールを溶解させて、供給溶液を生成し;b)前記供給溶液を、トルエンのような炭化水素溶媒中に溶解されたPCl3の還流溶液中にゆっくりと加えることを含む。反応溶液からHClを気体として飛ばすためには、還流が必要である。供給溶液の重量に基づき、周囲温度で約20重量%超のジオールを含む供給溶液を得るには、ジオールが炭化水素溶媒に対して許容され得ない溶解度を有する場合には特に、THFのような非プロトン性極性有機溶媒が一般に必要である。この方法は商業的に使用されており、Union Caribde Chemicals and Plastics Technology LLCの名称で出願された”ISOTHERMAL PROCESS FOR PHOSPHOROMONOCHLORIDITE SYSTHESIS”に関する特許文献7の主題である。
前記商業的方法に関しては、塩化水素は好ましい非プロトン性極性有機溶媒、即ちテトラヒドロフランと反応して、4−クロロブタノールを生成することが知られている:例えば非特許文献4を参照。他の条件が同じままであるならば、塩化水素とテトラフドロフランとの反応は低温であるほど遅いが、約98℃未満の温度で操作すると、反応溶液中に塩化水素がTHF−HCl複合体(complex)の形態で蓄積する可能性があり、それが4−クロロブタノールの生成速度を更に速くする可能性がある。不都合なことに、PCl3とホスホロモノクロリダイトは、いずれも、4−クロロブタノールと反応して、不所望な副生成物を生成する。
ホスホロモノクロリダイトは、更なる精製をせずに、有機ポリホスファイトの合成に用いるのが望ましい。しかし、ホスホロモノクロリダイト縮合反応中における4−クロロブタノールの形成は、ホスホロモノクロリダイト生成物、好ましくは1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル−ホスホロモノクロリダイトの収率を低下させるだけでなく、その後の有機ポリホスファイト合成反応を複雑にする。
前記の商業的方法の更なる面としては、本方法から回収されたPCl3とTHFとの任意の混合物は、典型的には、PCl3(bp:74〜78℃)とTHF(bp:65〜67℃)とを分離させる必要性があるために、再利用されない。
米国特許第4,769,498号 米国特許第6,031,120号 米国特許第5,663,369号 米国特許第5,235,113号 米国特許第7,196,230号 米国特許出願公開公報第2007/0112219A1号 米国仮特許出願第61/040,304号(2008年3月28日出願)(代理人整理番号67062A)
Journal of Molecular Catalysis A:Chemical 164(2000)125-130 Korostyler et al.,Tetrahedron:Asymmetry,14(2003)1905-1909 Cramer et al.,Organometallics,Vol.25,No.9(2006)2284-2291 Barry et al.,Journal of Organic Chemistry(1981),46(16),3361-4
前述のことを考慮して、ホスホロモノクロリダイトのより効率的な製造方法に対するニーズが当業界に存在する。
本発明は、三塩化リン(PCl3)を式I:
Figure 0005563552
[式中、mは0、1又は2であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1〜C10置換又は非置換のヒドロカルビル部分から選ばれ;そして任意的に、R2はR3に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成でき;そして/又は、任意的に、R4はR5に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成できる]
で表される芳香族ジオールと、固体形態の芳香族ジオールの一部分を含み且つ芳香族ジオールの残りの一部分及び有機溶媒を含む溶液相を含んでなるスラリー中で接触させることを含んでなる、ホスホロモノクロリダイトを製造するための新規合成方法であって、前記スラリーが、芳香族ジオールの総モルに基づいて計算して、5モル%未満の窒素塩基を含み;前記有機溶媒が低い塩化水素溶解度を有し;そして前記接触を、式II:
Figure 0005563552
[式中、m及びR1〜R8は前記定義の通りである]
で表されるホスホロモノクロリダイトを生成させるのに充分な反応条件下に実施する合成方法を提供する。
以下で単に「方法(process)」と称する本発明の方法は芳香族ジオール、三塩化リン(PCl3)及び有機溶媒を用いる。
本発明の説明においては、本明細書中で定義する特定の句、用語及び単語を用いる。句、用語若しくは単語の意味を解釈する場合、特定の用途のために本明細書中の他の場所で異なる意味を記載する場合を除いて、又はその句、用語若しくは単語の使用状況からここで示す定義と異なる意味が意図とされることが明白に示される場合を除いて、ここでの定義がその意味を決定する。
冠詞(“a”及び“the”)は、これらによって修飾されるものの単数及び複数の形態を意味する。2つ又はそれ以上の構成員の羅列の最初の構成員の前に用いる場合、語(“a”及び“the”)は、独立して、その羅列の各構成員を意味する。本明細書中で使用する「1つ(a,an)の」、「その(the)」、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又はそれ以上の(one or more)」は同義である。用語「含んでなる(comprise)」とその変形形態は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に記載される場合、限定的な意味を持たない。従って、例えば「1種」の芳香族ジオールを含む反応体混合物は、芳香族ジオールが「1種又はそれ以上の」芳香族ジオールを含むことを意味するものと解釈することができる。用語「若しくは、又は及び或いは(or)」は、羅列中の構成員を、単独で又は任意の組合せで意味する。
「ヒドロカルビル」部分は、炭化水素の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分と定義する。「炭化水素」は、炭素及び水素原子を含んでなる化合物を指すその通常の意味を有するものとする。
「ヒドロカルビレン」部分は、炭化水素の2つの炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる二価部分と定義する。
「置換ヒドロカルビル」又は「置換ヒドロカルビレン」部分は、ヒドロカルビル又はヒドロカルビレン中の1つ又はそれ以上のH又はC原子が、1つ若しくはそれ以上のヘテロ原子又は1つ若しくはそれ以上のヘテロ原子を含む1つ若しくはそれ以上の官能基で置換されていることを意味する。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、イオウ、リン、ホウ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられるが、それらに限定するものではない。置換ヒドロカルビル部分は、一般式RO−(ここでRは、前に定義したヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル部分である)を有する「ヒドロカルビルオキシ」部分であることができる。
有機溶媒中の「低い塩化水素溶解度」は、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において溶媒モル当たり塩化水素(HCl)0.2モル未満と定義する。最小塩化水素溶解度は重要ではなく、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において溶媒モル当たり事実上HCl 0モルであることができる。
用語「有機溶媒」は、周囲温度及び圧力において液体であり且つ別の物質(溶質)を溶解させて、分子又はイオンレベルで均一に分散された混合物(溶液)を形成することができる有機物質を指す通常の意味を有する。
用語「周囲温度」は、22℃±2℃の温度を意味する。
用語「非プロトン性」は、本明細書中では、プロトンを供与しない有機溶媒を意味する。
有機溶媒に関して、用語「沸点」は、液相の蒸気圧が1気圧の規定圧に等しい温度を意味する。
「窒素塩基」は、HClを中和して、本発明の方法に使用される有機溶媒中に本質的に不溶の塩を形成することができる窒素含有有機化合物と定義する。
この方法は、式I:
Figure 0005563552
[式中、mは0、1又は2であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1〜C10置換若しくは非置換のヒドロカルビル部分から選ばれ;そして、任意的に、R2はR3に結合して置換若しくは非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5若しくは6員環を形成でき;そして/又は、任意的に、R4はR5に結合して置換若しくは非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5若しくは6員環を形成できる]
で表される芳香族ジオールを用いる。好ましくはmが0又は1であり、且つR7及びR8はいずれも水素である。より好ましくはmが0又は1であり且つR1、R6、R7及びR8はいずれも水素である。
本発明の方法に使用できる芳香族ジオールの例としては、2,2’−ビフェノール、5,5’−ジメチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジクロロ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジヨード−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジエチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−プロピル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−イソプロピル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−ブチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−sec−ブチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−イソブチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−アミル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ビス(1,1−ジメチルプロピル)−2,2’−ビフェノール、5,5’−ビス(2,2−ジメチルプロピル)−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−ヘキシル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−2−ヘキシル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−3−ヘキシル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−ヘプチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−2−ヘプチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−3−ヘプチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−4−ヘプチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−オクチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−2−オクチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−3−オクチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−4−オクチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2’−ビフェノール、5,5’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジフェニル−2,2’−ビフェノール、5,5’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジメトキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジエトキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−プロポキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−イソプロポキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−n−ブトキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−sec−ブトキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−イソブトキシ−2,2’−ビフェノール、5,5’−ジ−tert−ブトキシ−2,2’−ビフェノール、1,1’−ビ−2−ナフトール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、及び2,2−メチレンビス(4−tert−ブチル−フェノール)が挙げられるが、これらに限定するものではない。芳香族ジオールの好ましい種は2,2’−ビフェノールである。
本発明の方法には、商業的供給業者から入手可能な三塩化リンも必要である。本発明の方法において使用するPCl3対総芳香族ジオールのモル比は、有利には約1.0超、好ましくは約1.1超、より好ましくは約1.2超であって、有利には3.5未満、好ましくは3.3未満、より好ましくは3.1未満、更に好ましくは約2.9未満、更に好ましくは約2.7未満、更に好ましくは約2.5未満、更に好ましくは約2.3未満、更に好ましくは約2.1未満、更に好ましくは約1.9未満である。先行技術と比較して、PCl3対総芳香族ジオールの前記モル比は、縮合反応の完了時に除去すべき過剰の未転化PCl3の量を低減させるので有利である。
一方では前述のように、総芳香族ジオールに対してより少ない過剰量のPCl3を使用するのが望ましく;他方では、芳香族ジオールとホスホロモノクロリダイト反応生成物との副反応を最小に抑えるために、縮合反応の溶液相中のPCl3:溶解芳香族ジオールモル比を高く保持することが望ましい。例えば2,2’−ビフェノールはその反応生成物である1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトと反応して、不所望な副生成物:2’−(ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)ビフェニル−2−オール(式III)及び2,2’−ビス(ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)ビフェニル(式IV)を生成するおそれがある。
Figure 0005563552
スラリー中の、即ち固相と溶液相の間で分配される芳香族ジオールの一部分を保持する、有機溶媒(及びその量)を選択することによって、本方法は、有利には、溶液又は反応相中においてPCl3:溶解芳香族ジオールのモル比が高いという利益を得ると同時に、総芳香族ジオールに対して過剰量のPCl3が全体的により少ないという前記利益を得る。
従って、本方法における有機溶媒の望ましい機能としては、a)溶液相中の芳香族ジオールの濃度を低下させて、縮合反応過程において溶液相中に高いPCl3:溶解芳香族ジオールモル比を保持し;且つb)縮合反応溶液からのHClの放出を促進することが挙げられるが、これらに限定するものではない。前記機能の少なくとも1つを果たすために、この方法のための有機溶媒は、以下の基準に基づいて選択することができる:a)有機溶媒中の芳香族ジオールの溶解度が25℃において、溶液の重量に基づき、約1重量%超、好ましくは約2重量%超、より好ましくは約3重量%超であって、約50重量%未満であり;且つb)有機溶媒中のHClの溶解度が、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において有機溶媒モル当たりHCl約0.2モル未満、好ましくは約0.1モル未満である。
有機溶媒中の芳香族ジオールの溶解度は、既知の方法によって測定できる。例えば特定温度における有機溶媒中の芳香族ジオールの溶解度は、平衡溶解度法によって測定できる。この平衡溶解度法は、特定温度において過剰量の芳香族ジオールを有機溶媒中で、平衡に達するまで充分な時間撹拌することによって得られる芳香族ジオールの飽和溶液を使用する。その後、得られた液相の飽和溶液、得られた固相又は液相と固相の両方を、任意の従来の分析法によって分析して、有機溶媒中の芳香族ジオールの溶解度を得る。
有機溶媒中のHCl溶解度の測定方法もよく知られている。例えばGerrardら(Chem. Rev.,1959,59,1105)及びAhmedら(J.Appl.Chem.,1970,Vol.20,April ,page 109-116)はバブラー法(bubbler prodecure)を用いて、多くの有機溶媒中のHCl溶解度を測定した。Gerrardら及びAhmedらによって報告された有機溶媒中のHCl溶解度の例を下記表Iに示す。
Figure 0005563552
本方法に使用する有機溶媒の更なる望ましい機能としては、a)反応溶液中における式IIのホスホロモノクロリダイトの保持;及びb)任意の過剰量のPCl3の除去を単純化することによる、有機溶媒中溶液としてのホスホロモノクロリダイトの単離の単純化が挙げられるが、これらに限定するものではない。本方法のために選択された有機溶媒は、有利には約90℃超、好ましくは約95℃超、より好ましくは約100℃超であって、好ましくは約250℃未満の沸点を有し、その結果として、本方法に使用される任意の過剰のPCl3が反応溶液から優先的に除去されて、ホスホロモノクロリダイト及び有機溶媒から実質的になる生成物溶液を得ることができる。
有機溶媒は、有利には、炭化水素溶媒及び塩素化炭化水素溶媒から選ばれる。トルエン、クロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、オクタン及びそれらの混合物は、この方法に使用できる有機溶媒の非限定的例である。ジブチルエーテルのようなジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサンは、このような溶媒中のHClの溶解度が高い(表I参照)ため、本方法には使用しない。例えば温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において、溶媒モル当たりHCl 0.2モル超、更にはHCl約0.5モル超の溶解度は有機溶媒には好ましくない。前述のように、高温のような特定の条件下では、THFは不都合なことに、HClと反応して4−クロロブタノールを生成する。例えばBarry et al.,Journal of Organic Chemistry(1981),46(16),3361-4を参照。アルコールとして、4−クロロブタノールは、所望のホスホロモノクロリダイト生成物に対して反応性である。
本方法に使用する有機溶媒の量は、有機溶媒中の芳香族ジオールの溶解度と併用し決定する。有機溶媒の量は、芳香族ジオールの総量の有利には約1重量%超、好ましくは約3重量%超、より好ましくは約5重量%超であって、有利には約50重量%未満、好ましくは約40重量%未満、より好ましくは約30重量%未満が有機溶媒中に溶解するような量である。芳香族ジオールの残りは固体相として存在し、その結果スラリーを形成する。スラリー中の有機溶媒の量は、固体形態及び溶解形態の両方の芳香族ジオール、PCl3及び有機溶媒を含むスラリーの総重量に基づき、有利にはスラリーの約20重量%超、好ましくは約25重量%超、より好ましくは約30重量%超であって、有利には約95重量%未満、好ましくは約90モル重量%未満、より好ましくは約85重量%未満である。望ましくは、有機溶媒の量は、芳香族ジオールの実質的に全てが転化された後にホスホロモノクロリダイト生成物を実質的に可溶化するのに充分なものである。有利にはホスホロモノクロリダイト生成物の約90重量%超、好ましくは約95重量%超、本質的に全てを有機溶媒に可溶化させる。典型的には総芳香族ジオールの約95重量%超、好ましくは約98重量%超、より好ましくは本質的に100重量%が反応において転化される。
一般に、水素結合形成水素原子が出発芳香族ジオールのヒドロキシル基から除去されるため、この方法に使用する有機溶媒中にはその出発芳香族ジオールよりもホスホロモノクロリダイトの方が溶解しやすい。選択された有機溶媒へのホスホロモノクロリダイトの溶解度は、前述の平衡溶解度法によって測定できる。別法として、選択された有機溶媒へのホスホロモノクロリダイトの溶解度は、有機溶媒の稀釈溶液中においてホスホロモノクロリダイトを生成させ(例えば稀釈溶液の重量に基づき、約1重量%)、次いで、この稀釈溶液から有機溶媒を、ホスホロモノクロリダイトの飽和溶液が得られるまで蒸発させることによって測定できる。飽和溶液中におけるホスホロモノクロリダイトの濃度は、定量的31P NMR又は簡易な重量分析によって測定できる。
本方法の一態様において、PCl3は、最初に、固体形態及び溶解(有機溶媒に溶解された)形態の両方の芳香族ジオールを含むスラリーと周囲温度で接触させる。次いで、スラリーの温度を、ホスホロモノクロリダイトを生成するのに充分な反応温度まで、有利には約2時間未満で、好ましくは約1.5時間未満であって、典型的には約30分超で上昇させる。反応温度は有利には約25℃超、好ましくは約30℃超であって、有利には約80℃未満、好ましくは約75℃未満である。接触は有利には、反応温度で、芳香族ジオールの約95%、好ましくは約98%、より好ましくは本質的に全てが反応において転化されるのに充分に長い反応時間、行う。反応時間は有利には約3時間超、好ましくは約6時間超であって、有利には約48時間未満、好ましくは約36時間未満である。
本方法の別の態様において、PCl3は最初に、有利には約20℃未満、好ましくは約15℃未満、より好ましくは約10℃未満、更に好ましくは約5℃未満、更に好ましくは0℃未満の温度において、スラリーと接触させる。操作可能な最低温度は、選択された有機溶媒の凝固点より高い。典型的には、本方法は、約−78℃超の温度で実施する。これらのより低い初期接触温度は、初期反応速度を増加させる可能性がある、混合及び反応の初期熱による任意の予測不能な温度上昇を防ぐ。速い初期反応速度は不都合なことに、芳香族ジオールとその反応生成物との間で副反応が起こるほどまで、増加するおそれがある。
反応の進行につれて、芳香族ジオールの固体形態の分は、有利には、徐々に溶解されて、溶液相中の芳香族ジオールの濃度が実質的に一定に保たれる。固体芳香族ジオールは、有利には、反応において芳香族ジオールの約30%超、好ましくは40%超、より好ましくは約50%超が転化される場合に、実質的に全て溶解される。固体芳香族ジオールの実質的に全てが溶解された後、31P NMR分析(PCl3の消失とホスホロモノクロリダイトの出現)のために反応溶液のアリコートを採取することによって、縮合反応の進行を常法によって監視することができる。
固体形態の芳香族ジオールの一部分を含むスラリー中の芳香族ジオールとPCl3との接触は、溶液相中の芳香族ジオールの濃度を減少させ、その結果として芳香族ジオールと式IIのその反応生成物との間における副生成物の形成が減少する。芳香族ジオールが2,2’−ビフェノールである場合に形成される式III及びIVの副生成物は本発明のスラリー法によって減少させることができる。
一般に、本発明の方法は、約1気圧(101kPa)と見なされる周囲圧力において実施するが、所望ならば、これより高い又は低い圧力も使用できる。好ましくは、反応は、窒素、アルゴン又はヘリウムのような不活性雰囲気のブランケット下で実施する。
本方法で生成されるホスホロモノクロリダイトは、有利には、減圧蒸発によって又は大気圧若しくは減圧下での蒸留によって過剰のPCl3を除去することによって又は有機溶媒の溶液として単離する。有機溶媒の一部は、PCl3を確実に完全に除去するために又は好ましい濃度のホスホロモノクロリダイトを含む溶液を得るために、PCl3と共に除去することができる。除去されたPCl3及び除去された有機溶媒がある場合には、それらは、その後のホスホロモノクロリダイト合成反応に再利用して本方法の効率を更に増大させることができる。所望ならば、蒸留によって、ニートのホスホロモノクロリダイト生成物を得ることができる。ホスホロモノクロリダイトの単離収率は、本方法に使用する総芳香族ジオールのモル数に基づき、有利には約90モル%超、好ましくは約95モル%超である。
本方法におけるホスホロモノクロリダイトの収率は、少なくともある程度は芳香族ジオール中の極微量の未確認不純物のレベルによって異なる可能性がある。この不純物のレベルは、芳香族ジオールの供給源及び/又は特定のバッチによって異なる。収率範囲の上端の一貫した収率でホスホロモノクロリダイトを得ることが望ましい。これは意外なことに、縮合反応を極微量の塩基、好ましくは窒素塩基の存在下で実施することによって達成された。従って、この方法は有利には、極微量の塩基、好ましくは窒素塩基を使用する。極微量の窒素塩基は、本方法に使用する芳香族ジオールの総モルに基づき、有利には5モル%未満、より好ましくは3モル%未満である。窒素塩基を用いる場合には、好ましくは、極微量の窒素塩基は、本方法に使用する芳香族ジオールの総モルに基づき、約0.01モル%超である。窒素塩基の非限定的例は、ピリジン、トリアルキルアミン及びN,N−ジアルキルアニリンである。極微量の窒素塩基を用いる場合には、ホスホロモノクロリダイトの収率は、本方法に使用する芳香族ジオールの総モルに基づき、有利には約93モル%超、より好ましくは約96モル%超である。
先行技術において、例えば米国特許第5,235,113号、第6,031,120号及び第7,196,230号、米国特許出願公開公報第2007/0112219A1号並びにJournal of Molecular Catalysis A:Chemical 164(2000)125〜130におけるように、ホスホロモノクロリダイト合成法においてHClの中和に窒素塩基が使用される場合には、窒素塩基は、一般に、生成されるHClモル当量当たり1モル当量超の量で使用される。本発明において窒素塩基を使用する場合には、使用する極微量の塩基は、本方法において生成されるHClの総モルの2.5モル%未満であるので、縮合反応において生成されるHClの中和を目的として用いるのではない。極微量の塩基が、縮合反応において存在する又は生成される酸を中和するとしても、結果として生じる極微量の塩は、本方法に有害な作用を引き起こさず、実際には、有機溶媒中のホスホロモノクロリダイトと共に、その後の有機ポリホスファイト合成工程に持ち越される。
本発明の方法から単離される式IIのホスホロモノクロリダイトは、有機ポリホスファイト合成反応において、ホスホロモノクロリダイトを有機ポリヒドロキシ化合物と縮合させることによって有機ポリホスファイトを生成するのに有用である。この下流プロセスの副生成物として、塩化水素が生成する。ホスホロモノクロリダイトは、有機ポリホスファイト合成において、有機溶媒の溶液としても又はニートな形態でも使用できる。有機ポリホスファイト合成反応は、有利には、生成されるHClの本質的に全てを中和するのに充分な量の窒素塩基の存在下で実施する。有機ポリホスファイトの単離は、一般に、中和によって生成された窒素塩基−HCl塩を濾過によって又は水性処理(aqueous workup)によって除去するための操作を含む(例えば米国特許第6,031,120号、第5,663,369号及び第4,769,498号を参照)。有機ポリホスファイトを単離するための塩除去操作は、いずれも、ホスホロモノクロリダイトと共に持ち越された任意の極微量の塩を除去するのに有効であることが判明した。
前述のホスホロモノクロリダイトの合成方法は以下の利点の1つ又はそれ以上を有する:a)有機溶媒を使用してスラリーの溶液相中の芳香族ジオールの濃度を低下させる−それによって、より高いホスホロモノクロリダイト収率が得られ且つ生じる副生成物がより少ない;b)先行技術に比較して、より低いPCl3:総芳香族ジオールモル比を用いる−それによって過剰量のPCl3を減少させる;c)反応をより低い温度で、溶媒もPCl3も還流させずに実施する−それによって操作を簡略化し且つエネルギー必要量を低減させる;d)窒素塩基−HCl塩をほとんど又は全く生成させない−それによって廃棄物を減少させ且つコストを削減する;e)回収された過剰量のPCl3を循還できる−それによって効率を更に改善し且つコストを削減する。
以下の実施例は、本発明の実例であり、本発明を限定するものとはみなすべきでない。反応体、温度及び溶媒のような反応条件の変動は、本明細書中に説明及び実施例に基づけば、当業者には明らかとなるであろう。特に断らない限り、本明細書中で言及する全ての部、百分率及び割合は重量基準で示してある。
実施例1
1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトの製造
ゼプタムポート、電磁撹拌子及び還流冷却器を装着し且つ上部に窒素入口及びスクラバーへのベントラインを有する、窒素パージされた乾燥250ml3つ口丸底フラスコに、2,2’−ビフェノール(6.2g,33ミリモル)を装入する。脱気された無水トルエン(50ml,43g)を加え、得られたスラリーを氷浴で0℃まで冷却し、その後にPCl3(7.1g,51ミリモル)、次いでピリジン(0.1ml,1ミリモル)を加える。固体2,2’−ビフェノール、溶解2,2’−ビフェノール、PCl3及びトルエンを含む得られたスラリーを60分間にわたって35℃に加温しながら撹拌し、次いで35℃において一晩撹拌する。その間に固体が溶解して、透明な溶液が得られる。31P NMR分析は、余分のPCl3及び1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイト(δ=180.5ppm)並びに不純物(5モル%未満)のみを示す。この溶液を94℃まで蒸留して、過剰のPCl3(bp=76℃)を除去する。
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.三塩化リン(PCl 3 )を式:
Figure 0005563552
[式中、mは0、1又は2であり;R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 及びR 8 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC 1 〜C 10 置換又は非置換のヒドロカルビル部分から選ばれ;そして、任意的に、R 2 はR 3 に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成でき;そして/又は、任意的に、R 4 はR 5 に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成できる]
で表される芳香族ジオールと、固体形態の芳香族ジオールの一部を含み且つ芳香族ジオールの残りの部分及び有機溶媒を含む溶液相を含んでなるスラリー中で、接触させることを含んでなるホスホロモノクロリダイトの製造方法であって、前記スラリーが、芳香族ジオールの総モルに基づいて計算して、5モル%未満の窒素塩基を含み;前記有機溶媒が低い塩化水素溶解度を有し;そして前記接触を、式:
Figure 0005563552
[式中、m及びR 1 〜R 8 は前記定義の通りである]
で表されるホスホロモノクロリダイトを生成させるのに充分な反応条件下に実施する方法。
態様2.mが0又は1である態様1に記載の方法。
態様3.R 1 、R 6 、R 7 及びR 8 がいずれも水素である態様1又は2に記載の方法。
態様4.前記芳香族ジオールが2,2’−ビフェノールである態様1に記載の方法。
態様5.前記有機溶媒が、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において測定した場合に、有機溶媒モル当たり塩化水素(HCl)0.2モル未満の塩化水素溶解度を有する態様1〜4のいずれか1項に記載の方法。
態様6.前記有機溶媒が90℃超でかつ250℃未満の沸点を有する態様1〜5のいずれか1項に記載の方法。
態様7.前記有機溶媒がトルエン、クロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、オクタン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様1〜6のいずれか1項に記載の方法。
態様8.前記有機溶媒を、スラリーの重量に基づき、20重量%超〜95重量%未満の量で使用する態様1〜7のいずれか1項に記載の方法。
態様9.PCl 3 :芳香族ジオールのモル比が1.0/1〜3.5/1未満である態様1〜8のいずれか1項に記載の方法。
態様10.前記接触を25℃超〜80℃未満の反応温度で実施する態様1〜9のいずれか1項に記載の方法。
態様11.前記反応において芳香族ジオールの95モル%超が転化されるように、前記反応時間が3時間超〜48時間未満である態様10に記載の方法。
態様12.前記方法が、−78℃超〜20℃未満の範囲の初期温度でPCl 3 を芳香族ジオールと接触させ、次いで温度を25℃超〜80℃未満の反応温度まで上昇させることを更に含む態様10又は11に記載の方法。
態様13.前記接触を、芳香族ジオールの総モルに基づいて計算して、0.01モル%超〜5モル%未満の量の窒素塩基の存在下に実施する態様1〜12のいずれか1項に記載の方法。
態様14.前記窒素塩基がピリジン、トリアルキルアミン及びN.N−ジアルキルアニリンからなる群から選ばれる態様13に記載の方法。
態様15.前記方法が、未反応PCl 3 を除去して、ホスホロモノクロリダイト及び有機溶媒を含む生成物溶液を得ることを更に含む態様1〜14のいずれか1項に記載の方法。
態様16.未反応PCl 3 の全て又は一部を回収して、前記方法に循還させる態様1〜15のいずれか1項に記載の方法。
態様17.PCl 3 と2,2’−ビフェノールとを、固体形態の2,2’−ビフェノールの一部を含み且つ2,2’−ビフェノールの残りの部分及び有機溶媒を含む溶液相を含んでなるスラリー中で、25℃超〜75℃未満の反応温度において、95モル%超の2,2’−ビフェノールを1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトに転化させるのに充分な時間接触させることを含んでなる1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトの製造方法であって、前記スラリーが、2,2’−ビフェノールの総モルに基づいて計算して、5モル%未満の窒素塩基を含み、PCl 3 対2,2’−ビフェノールのモル比が1.0/1超〜3.5/1未満であり、且つ前記有機溶媒が、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において測定した場合に、有機溶媒モル当たり塩化水素(HCl)0.2モル未満の塩化水素溶解度を有する方法。

Claims (16)

  1. 三塩化リン(PCl3)を式(I)
    Figure 0005563552
    [式中、mは0、1又は2であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1〜C10置換又は非置換のヒドロカルビル部分から選ばれ;そして、任意的に、R2はR3に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成でき;そして/又は、任意的に、R4はR5に結合して置換又は非置換のヒドロカルビレン部分を形成して、5又は6員環を形成できる]
    で表される芳香族ジオールと、固体形態の前記芳香族ジオールの一部を含み且つ前記芳香族ジオールの残りの部分及び有機溶媒を含む溶液相を含んでなるスラリー中で、接触させることを含んでなるホスホロモノクロリダイトの製造方法であって、前記スラリーが、前記芳香族ジオールの総モルに基づいて計算して、5モル%未満の窒素塩基を含み;前記有機溶媒が(a)前記芳香族ジオールの溶解度が25℃において、溶液の重量に基づき、1重量%超、50重量%未満であり、且つ(b)有機溶媒中の塩化水素(HCl)溶解度が、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において、有機溶媒モル当り塩化水素(HCl)0.2モル未満であり;そして前記接触を、式(II)
    Figure 0005563552
    [式中、m及びR1〜R8は前記定義の通りである]
    で表されるホスホロモノクロリダイトを生成させるのに充分な反応条件下に実施する方法。
  2. mが0又は1である請求項1に記載の方法。
  3. 1、R6、R7及びR8がいずれも水素である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記芳香族ジオールが2,2’−ビフェノールである請求項1に記載の方法。
  5. 前記有機溶媒が90℃超でかつ250℃未満の沸点を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記有機溶媒がトルエン、クロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、オクタン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記有機溶媒を、スラリーの重量に基づき、20重量%超〜95重量%未満の量で使用する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. PCl3:芳香族ジオールのモル比が1.0/1〜3.5/1未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記接触を25℃超〜80℃未満の反応温度で実施する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記反応において芳香族ジオールの95モル%超が転化されるように、前記反応時間が3時間超〜48時間未満である請求項9に記載の方法。
  11. 前記方法が、−78℃超〜20℃未満の範囲の初期温度でPCl3を芳香族ジオールと接触させ、次いで温度を25℃超〜80℃未満の反応温度まで上昇させることを更に含む請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記接触を、芳香族ジオールの総モルに基づいて計算して、0.01モル%超〜5モル%未満の量の窒素塩基の存在下に実施する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記窒素塩基がピリジン、トリアルキルアミン及びN.N−ジアルキルアニリンからなる群から選ばれる請求項12に記載の方法。
  14. 前記方法が、未反応PCl3を除去して、ホスホロモノクロリダイト及び有機溶媒を含む生成物溶液を得ることを更に含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 未反応PCl3の全て又は一部を回収して、前記方法に循還させる請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. PCl3と2,2’−ビフェノールとを、固体形態の2,2’−ビフェノールの一部を含み且つ2,2’−ビフェノールの残りの部分及び有機溶媒を含む溶液相を含んでなるスラリー中で、25℃超〜75℃未満の反応温度において、95モル%超の2,2’−ビフェノールを1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトに転化させるのに充分な時間接触させることを含んでなる1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスホロモノクロリダイトの製造方法であって、前記スラリーが、2,2’−ビフェノールの総モルに基づいて計算して、5モル%未満の窒素塩基を含み、PCl3対2,2’−ビフェノールのモル比が1.0/1超〜3.5/1未満であり、且つ前記有機溶媒が、温度20℃及び全圧760mmHg(101kPa)において測定した場合に、有機溶媒モル当たり塩化水素(HCl)0.2モル未満の塩化水素溶解度を有する方法。
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