本発明の一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
本実施形態に係る定量供給装置10は、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱うものであり、図1に示すように、当該被計量物100が多量に収容された溜めホッパ12と、この溜めホッパ12の下方に配置されると共に当該溜めホッパ12から被計量物100の供給を受ける計量ホッパ14と、を備えている。溜めホッパ12の底部にある排出口には、開閉ゲート16が設けられており、この開閉ゲート16の開度Gxによって、当該溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の単位時間当たりの供給量(流量)Qxが制御される。なお、ゲート開度Gxと供給量Qxとは、被計量物100の粒度や粘度,見かけ比重等の当該被計量物100の性状、或いは溜めホッパ12内における当該被計量物100の収容量や収容姿勢等、の諸状況が一定であることを前提として、互いに相関関係にあり、例えば比例関係にある。つまり、当該供給量Qxは、被計量物100の単位時間当りの質量流量と考えることができる。そして、この関係が維持されるように、溜めホッパ12は計量ホッパ14よりも十分に大きい容積を有している。併せて、溜めホッパ12内における被計量物100の収容高さHが常に一定の範囲に保たれるように、図示しない充填装置によって当該溜めホッパ12内に被計量物100が適宜に補充される。
計量ホッパ14は、荷重センサとしてのロードセル18を備えており、このロードセル18は、自身への印加荷重に応じた大きさ(電圧値)のアナログ荷重検出信号Wyを生成する。このアナログ荷重検出信号Wyは、情報出力手段としての例えば液晶型のディスプレイ20を備えた制御装置22に入力される。なお、ロードセル18としては、例えば歪ゲージ式のものが適当であるが、これ以外にも、磁歪式や静電容量式、或いはジャイロ式等の適宜のものが採用可能である。また、ロードセル18以外の荷重センサが採用されてもよい。
制御装置22は、図2に示すように、増幅回路24を有しており、この増幅回路24に、アナログ荷重検出信号Wyが入力される。この増幅回路24に入力されたアナログ荷重検出信号Wyは、ここで増幅処理を施された後、A/D変換回路26に入力される。なお、図示は省略するが、増幅回路24の前段または後段には、アナログ荷重検出信号Wyに含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、詳しくは周波数が50Hz〜60Hzのいわゆるラインノイズを含むそれ以上の周波数帯域の電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのローパスフィルタ回路、例えば1次遅れフィルタ回路、が設けられている。また、増幅回路24自体に、当該ローパスフィルタ回路が組み込まれてもよい。
A/D変換回路26は、増幅回路24経由で入力されたアナログ荷重検出信号Wyを、パルス生成手段としてのクロックパルス生成回路28から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これにより、アナログ荷重検出信号Wyは、デジタル態様の信号に変換される。なお、A/D変換回路26によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTは、例えばΔT=1msである。
このA/D変換回路26による変換後のデジタル荷重検出信号Wyは、入出力インタフェース回路30を介して、制御手段としてのCPU(Central
Processing Unit)32に入力され、厳密には、上述のクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて、当該CPU32に取り込まれる。このため、CPU32にも、入出力インタフェース回路30を介して、クロックパルスCLKが与えられる。CPU32に取り込まれたデジタル荷重検出信号Wyには、計量ホッパ14を含む秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が重畳されている。CPU32は、この振動成分を減衰させるべく、デジタル荷重検出信号Wyに対して第1の平滑処理を施す。この第1の平滑処理としては、秤系の固有振動数が概ね10Hz程度であり、かつ、後述する定量供給時に当該固有振動数が被計量物100をも加えた秤系の重量の増加に応じて多少変化することから、例えば10Hz付近に数Hzの幅の比較的に大きい減衰帯域を形成するフィルタリング処理、より具体的には9Hzおよび11Hzという互いに近接した2つのノッチ周波数による減衰帯域を形成する多重(2重)移動平均処理、が適当である。そして、CPU32は、この第1の平滑処理が施された後のデジタル荷重検出信号Wyに基づいて、今現在、計量ホッパ14に供給されている被計量物100の重量値、言わば真の供給済み重量値Wx’、を求め、詳しくは当該真の供給済み重量値Wx’の測定値である重量測定値Wxを求める。さらに、CPU32は、この重量測定値Wxに基づいて、ゲート制御信号Sgを生成する。このゲート制御信号Sgは、入出力インタフェース回路30を介して、D/A変換回路34に入力され、ここでアナログ態様の信号に変換された後、上述した開閉ゲート16を駆動するための後述するサーボアンプ回路36に入力される。また、ゲート制御信号Sgとは別に、CPU32は、排出制御信号Scをも生成する。この排出制御信号Scは、入出力インタフェース回路30を介して、後述するシリンダ38に与えられる。
このCPU32の動作は、当該CPU32に接続された記憶手段としてのメモリ回路40に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、CPU32には、入出力インタフェース回路30を介して、上述したディスプレイ20と、当該CPU32に各種命令を入力するための命令入力手段としての例えば操作キー42と、が接続されている。なお、ディスプレイ20と操作キー42とは、互いに一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって構成されてもよい。
図1に戻って、サーボアンプ回路36は、制御装置22から入力されたゲート制御信号Sgに基づいて、サーボモータ44を駆動するための駆動信号Sdを生成する。サーボモータ44は、この駆動信号Sdに従って駆動され、その駆動力は、駆動ギア46と従動ギア48とを有する駆動力伝達手段としてのギア機構50を介して、開閉ゲート16に与えられる。これにより、開閉ゲート16が開閉し、つまりゲート開度Gxが制御される。さらに、サーボモータ44の回転軸には、その回転角度を検出するための回転角度検出手段としてのロータリ型のポテンショメータ52が結合されており、このポテンショメータ52から出力される回転角度検出信号Spは、サーボアンプ回路36にフィードバックされる。サーボアンプ回路36は、このフィードバックされた回転角度検出信号Spと、上述のゲート制御信号Sgと、を比較し、さらに、この比較結果に基づいて、希望通りのゲート開度Gxとなるように、駆動信号Sdを補正する。
また、計量ホッパ14の底部は、当該計量ホッパ14に供給された被計量物100を排出するための排出口を形成しており、この排出口には、開閉ゲート16とは別のゲート、言わば排出ゲート54、が設けられている。そして、この排出ゲート54を駆動するための駆動手段として、上述したシリンダ38が設けられている。なお、シリンダ38としては、例えば空気圧式のものが適当であるが、油圧式等の当該空気圧式以外のものも採用可能である。また、シリンダ38に代えて、電磁ソレノイドやモータ等の他の駆動手段が採用されてもよい。
このように構成された本実施形態に係る定量供給装置10によれば、次の要領により、被計量物100の定量供給が実現される。
即ち、本実施形態に係る定量供給装置10によれば、図3に示すように、大供給段階および漸減段階という2つの段階に分けて、溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の供給が行われる。つまり、上述した従来技術とは異なり、小供給段階が存在しない。このうちの大供給段階においては、ゲート開度GxがGx=G1という比較的に大きな一定値とされる。これに続く漸減段階においては、時間txの経過に対するゲート開度Gxの関係が概略S字状に推移するように、ゲート開度Gxが制御される。詳しくは、時間txの経過と共に、ゲート開度Gxが漸減する。加えて、当該時間txに対するゲート開度Gxの変化率(言わば漸減速度)dGx/dtxの絶対値|dGx/dtx|が、前半部分で漸増し、後半部分で漸減する。そして、漸減段階の後半部分において重量測定値Wxが目標重量値Wtよりも落差量Wd分だけ小さい供給停止重量値Wcと一致(Wx≧Wc)したときに、ゲート開度GxがGx=0とされ、つまり被計量物100の供給が停止される。
より具体的に説明すると、図3(a)に示すように、時間txがtx=0という時点を基点として、開閉ゲート16が開かれる。これにより、溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の供給が開始される。この被計量物100の供給開始直後は、大供給段階とされ、上述の如くゲート開度GxがGx=G1という比較的に大きな一定値とされる。これに伴い、図3(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度dWx/dtxで増大する。そして、重量測定値Wxが予め設定された推定開始重量値W0に到達(Wx≧W0)すると、その時点t0で、重量推定値Wx”を算出するための演算が開始され、厳密には当該重量推定値Wx”を算出するための重量測定値Wxの記憶が開始される。
ここで、重量推定値Wx”とは、今現在(tx)の真の供給済み重量値Wx’の推定値であり、この重量推定値Wx”は、過去の{n+1}(n;1以上の整数)個の重量測定値Wxに基づいて求められる。即ち、図4に示すように、上述したサンプリング周期ΔTごとに得られる重量測定値Wxが、m(m;1以上の整数)個置きに順次記憶され、つまりTb=m・ΔTという周期で順次記憶される。そして、このように順次記憶された重量測定値Wxのうち、kという或るタイミングで記憶された重量測定値Wx[k]を含む過去{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に基づいて、同タイミングkにおける重量推定値Wx”[k]が求められる。言い換えれば、或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]は、Tc=n・Tbという期間分の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に基づいて求められる。
なお、このTcという期間、つまり或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]の算出要素である{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]を取得するのに必要な言わば推定用重量値取得期間は、少なくとも計量ホッパ14を含む秤系の固有振動周期Toよりも長め(Tc>To)に設定され、詳しくは当該秤系の固有振動周期Toのうち最も長い周期Tomaxよりもさらに長め(Tc>Tomax)に設定される。例えば、最長固有振動周期TomaxがTomax=100msecであり、上述の整数mがm=10である、と仮定する。この場合、重量測定値Wxの記憶周期TbはTb=m・ΔT=10msec(∵ΔT=1msec)であるので、整数nがn≧11であれば、推定用重量値取得期間TcはTc=n・Tb≧110msecとなり、最長固有振動周期Tomax(=100msec)よりも長くなる。このように推定用重量値取得期間Tcが最長固有振動周期Tomaxよりも長めに設定されることで、重量推定値Wx”を求める際に誤差の要因となる秤系の固有振動による影響、特に被計量物100の供給開始直後に発生する初期振動成分の影響、が抑制され、ひいてはより正確な重量推定値Wx”が求められる。ただし、この推定用重量値取得期間Tcが長すぎると、(特に最初の)重量推定値Wx”が求められるまでに相応の時間が掛かり、応答性が悪くなる。従って、推定用重量値取得期間Tcは、最長固有振動周期Tomaxの2倍よりも短い(Tc<2・Tomax)のが好ましく、例えば当該最長固有振動周期Tomaxの1.1倍〜1.3倍(1.1・Tomax<Tc<1.3・Tomax)程度であるのが好ましい。
この或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]の算出要領について、さらに詳しく説明すると、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]は、次の式5の1次関数式(直線式)によって表される。なお、この式5におけるr1[k]およびr2[k]は、或るタイミングkにおける定数である。
《式5》
Wx”[k]=r1[k]・k+r2[k]
そして、この式5における定数r1[k]およびr2[k]を求めるために、当該式5に準拠する次の式6が組み立てられる。
《式6》
f[tx]=r1[k]・tx+r2[k]
さらに、この式6において、左辺のf[tx]に、過去の{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]がそれぞれ代入されると共に、右辺の変数txに、当該重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に対応するタイミング値{k−n}〜kがそれぞれ代入される。これにより、次の式7の如く{n+1}個の1次関数式が組み立てられる。
《式7》
Wx[k−n]=r1[k]・{k−n}+r2[k]
Wx[k−n+1]=r1[k]・{k−n+1}+r2[k]
:
Wx[k−1]=r1[k]・{k−1}+r2[k]
Wx[k]=r1[k]・k+r2[k]
そして、これら{n+1}個の1次関数式を用いた回帰分析法によって、例えば最小2乗法によって、当該各1次関数式に共通する定数r1[k]およびr2[k]が求められる。なお、最小2乗法以外の回帰分析法や、回帰分析法以外の適宜の演算法によって、当該定数r1[k]およびr2[k]が求められてもよい。ただし、最小2乗法等の回帰分析法によれば、概ね(大きな)時間遅れを生ずることなく、当該定数r1[k]およびr2[k]が求められ、ひいては重量推定値Wx”[k]が求められる。
つまり、上述の如く或るタイミングkにおける定数r1[k]およびr2[k]が求められると、これらの定数r1[k]およびr2[k]が上述の式5に代入される。これによって、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]が求められる。そして、これ以降、同様の要領で、各タイミング{k+1},{k+2},…における各重量推定値Wx”[k+1],Wx”[k+2],…が順次求められる。要するに、推定用の重量測定値Wxの記憶周期Tbと同じ周期で、当該重量推定値Wx”が求められる。
この重量推定値Wx”は、図3(b)に太破線Yで示すように推移する。この重量推定値Wx”と、同図に太実線Xで示した重量測定値Wxと、を比較して分かるように、重量測定値Wxにおいては、被計量物100の供給開始直後に比較的に振幅の大きい初期振動成分が現れるのに対して、重量推定値Wx”においては、当該初期振動成分が現れない。つまり、初期振動成分の影響が排除された重量推定値Wx”が得られる。ただし、この重量推定値Wx”の算出に当たっては、推定用重量測定値Wxの記憶開始時点t0から最初の当該重量推定値Wx”が得られるまでに、上述の推定用重量値取得期間Tcという一定の期間が掛かる。従って、初期振動成分の影響が排除された重量推定値Wx”が得られるようにするには、この推定用重量値取得期間Tc分の余裕を持って推定用重量値Wxの記憶開始時点t0が設定される必要があり、そうなるように、同時点t0の決定要素である推定開始重量値W0が設定される。
このようにして重量推定値Wx”が求められながら、大供給段階が継続されるが、当該重量推定値Wx”が予め設定された段階切換重量値W1に到達(Wx”≧W1)すると、その時点t1で、大供給段階から漸減段階に切り換わる。そして、漸減段階に切り換わった後も、重量推定値Wx”が逐次求められる。この漸減段階においては、厳密には重量推定値Wx”が予め設定された前後半切換重量値W2に到達(Wx”≧W2)するまでの前半部分においては、当該重量推定値Wx”を変数とする次の式8に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。なお、段階切換重量値W1は、推定開始重量値W0よりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcよりも小さい(W0<W1<Wc)。そして、前後半切換重量値W2は、段階切換重量値W1よりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcよりも小さい(W1<W2<Wc)。
《式8》
Gx=a1・Wx”2+a2・Wx”+a3
where W1≦Wx”<W2
この式8において、a1,a2およびa3は、いずれも定数であり、次の3つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W1であるときに、ゲート開度GxがGx=G1であることが、要求される。そして、第2の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W2となるときに、ゲート開度GxがGx=G12となることが、要求される。さらに、第3の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W1であるときのゲート開度G1が、当該ゲート開度Gxの最大値であることが、要求される。なお、G12は、大供給段階のゲート開度G1よりも小さく、かつ、後述する最終ゲート開度G2よりも大きい(G2<G12<G1)、任意に設定可能なゲート開度Gxであり、例えば両ゲート開度G1およびG2の略中間(≒(G1+G2)/2)、または、大供給段階のゲート開度G1の略半分(≒G1/2)程度とされる。
これら3つの条件が満足されることで、それぞれの定数a1,a2およびa3は、次の式9,10および11のように決定される。
《式9》
a1=−(G1−G12)/(W2−W1)2
《式10》
a2=2・{(G1−G12)/(W2−W1)2}・W1
《式11》
a3=G1−{(G1−G12)/(W2−W1)2}・W12
そして、これらの定数a1,a2およびa3を含む式8に基づくことで、ゲート開度Gxは、重量推定値Wx”が増大するに連れて漸減し、かつ、その漸減度合(言わば漸減速度)を表すゲート開度変化率dGx/dWx”の絶対値|dGx/dWx”|が漸増するように、制御される。この結果、時間txとの関係においては、上述したように、ゲート開度Gxは、当該時間txの経過と共に漸減する。併せて、この時間txに対するゲート開度Gxの変化率dGx/dtxの絶対値|dGx/dtx|は、漸増する。つまり、図3(a)から分かるように、横軸の時間txに対して、縦軸のゲート開度Gxは、上方に向かって凸状に湾曲する放物線を描くように推移する。このことは、式9の定数a1が負数(a1<0)であることからも、分かる。そして、このゲート開度Gxの推移に応じて、重量測定値Wxは、時間txの経過と共に増大し、その増大速度dWx/dtxは、漸減する。なお、この漸減段階の前半部分におけるゲート開度変化率dGx/dWx”は、次の式12によって表される。
《式12》
dGx/dWx”=2・a1・Wx”+a2
=−2・{(G1−G12)/(W2−W1)2}・(Wx”−W1)
where W1≦Wx”<W2
そして、重量推定値Wx”が上述の前後半切換重量値W2に到達すると、その時点t2で、漸減段階の前半部分から後半部分に切り換わる。この後半部分においては、厳密には重量推定値Wx”が予め設定された推定終了重量値W3に到達(Wx”≧W3)するまでは、当該重量推定値Wx”を変数とする次の式13に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。なお、推定終了重量値W3は、前後半切換重量値W2よりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcよりも小さい(W2<W3<Wc)。
《式13》
Gx=b1・Wx”2+b2・Wx”+b3
where W2≦Wx”<W3
この式13において、b1,b2およびb3は、いずれも定数であり、次の3つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W2であるときに、ゲート開度GxがGx=G12であることが、要求される。そして、第2の条件として、重量推定値Wx”がWx”=Wcとなるときに、ゲート開度GxがGx=G2となることが、要求される。さらに、第3の条件として、重量推定値Wx”がWx”=Wcとなるときのゲート開度G2が、当該ゲート開度Gxの最小値となることが、要求される。なお、G2は、ゲート開度GxがGx=0とされる直前の当該ゲート開度Gxの希望値(理想値)であり、この言わば最終ゲート開度G2は、大供給段階のゲート開度G1よりも遥かに小さい(G2<G1)。
これら3つの条件が満足されることで、それぞれの定数b1,b2およびb3は、次の式14,15および16のように決定される。
《式14》
b1=(G12−G2)/(W2−Wc)2
《式15》
b2=−2・{(G12−G2)/(W2−Wc)2}・Wc
《式16》
b3=G2+{(G12−G2)/(W2−Wc)2}・Wc2
そして、これらの定数b1,b2およびb3を含む式13に基づくことで、ゲート開度Gxは、重量推定値Wx”が増大するに連れて漸減し、かつ、その漸減度合を表すゲート開度変化率dGx/dWx”の絶対値|dGx/dWx”|が漸減するように、制御される。この結果、時間txとの関係においては、上述したように、ゲート開度Gxは、当該時間txの経過と共に漸減する。併せて、この時間txに対するゲート開度Gxの変化率dGx/dtxの絶対値|dGx/dtx|は、漸減する。つまり、図3(a)から分かるように、横軸の時間txに対して、縦軸のゲート開度Gxは、下方に向かって凸状に湾曲する放物線を描くように推移する。このことは、式14の定数b1が正数(b1>0)であることからも、分かる。そして、このゲート開度Gxの推移に応じて、重量測定値Wxは、時間txの経過と共に増大するが、その増大速度dWx/dtxは、前半部分よりもさらに漸減する。なお、この漸減段階の後半部分におけるゲート開度変化率dGx/dWx”は、次の式17によって表される。
《式17》
dGx/dWx”=2・b1・Wx”+b2
=−2・{(G12−G2)/(W2−Wc)2}・(Wc−Wx”)
where W2≦Wx”<W3
ただし、重量推定値Wx”が上述の推定終了重量値W3に到達すると、その時点t3で、当該重量推定値Wx”の算出が終了される。そして、これ以降、上述の式13における重量推定値Wx”に代えて重量測定値Wxが適用された次の式18に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。なお、この言わば推定終了時点t3においては、重量測定値Wxに関しても、初期振動成分の影響は殆ど無く、ゆえに、当該重量測定値Wxと重量推定値Wx”とは、略等価(Wx≒Wx”)である。
《式18》
Gx=b1・Wx2+b2・Wx+b3
where W3≦Wx<Wc
そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致すると、その時点t4で、ゲート開度GxがGx=0とされ、つまり開閉ゲート16が閉鎖される。なお、この言わば供給停止時点t4が到来する瞬間のゲート開度Gxは、上述の如くGx=G2となる。そして、重量測定値Wxは、この供給停止時点t4から落差量Wd分だけ増大して、最終的に、目標重量値Wtに近い最終重量値Wf(≒Wt)に収束する。
最終重量値Wfが得られると、詳しくは供給停止時点t4から所定の安定待ち時間Tfが経過した時点t5での重量測定値Wxが当該最終重量値Wfとして取得されると、この最終重量値Wfは、上述したディスプレイ20に表示される。なお、厳密には、最終重量値Wfは、次の式19に基づく移動平均処理によって求められる。
《式19》
Wf={ΣWx[i−j]/J} where j=0〜{J−1}
この式19において、iは、図2に示したA/D変換回路26による任意のサンプリング番号である。そして、Jは、タップ数であり、詳しくは1以上の任意の整数である。また、この式19に基づく移動平均処理の実現のために、供給停止時点t4から安定待ち時間Tfが経過するまでの間に得られる重量測定値Wxは、図示しないJ個の記憶領域を有するシフトレジスタに順次記憶される。
このようにして最終重量値Wfが得られた後、上述したシリンダ38が駆動され、排出ゲート54が開かれる。これにより、計量ホッパ14に供給された被計量物100は、当該排出ゲート54を介して排出され、例えば図示しない包装袋に収容される。そして、被計量物100の排出が終了した時点、詳しくは最終重量値Wfが取得された時点t5から所定の排出時間Tgを経過した時点t6で、排出ゲート54が閉鎖される。これをもって、一連の定量供給が終了する。そして、この一連の定量供給が終了した時点t6から所定の準備時間Thを経過した時点t7で、次の定量供給が開始される。つまり、当該時点t7は、次の定量供給の開始時点(tx=0)となる。
ここで、漸減段階の後半部分、特に推定終了時点t3以降の言わば終盤部分、に注目すると、この終盤部分におけるゲート開度変化率dGx/dWxは、上述の式17に準拠する次の式20で表される。
《式20》
dGx/dWx=2・b1・Wx+b2
=−2・{(G12−G2)/(W2−Wc)2}・(Wc−Wx)
where W3≦Wx<Wc
この式20から分かるように、また図3(a)からも分かるように、当該終盤部分においては、特に重量測定値Wxが供給停止重量値Wcに近づくほど、ゲート開度変化率dGx/dWxの絶対値|dGx/dWx|が小さくなる。つまり、ゲート開度Gxが大きく変化せず、当該ゲート開度GxはGx≒G2という比較的に小さい略一定の値になる。従って、重量測定値Wxは、このゲート開度G2に応じた比較的に低い速度dWx/dtxで増大し、これにより、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致する時点t4の取得が容易になる。しかも、被計量物100の供給が開始されてからこの供給停止時点t4に至るまでの間には、当該被計量物100の供給開始直後を除いて、ゲート開度Gxが不連続となる部分がない。とりわけ、漸減段階においても、ゲート開度Gxは連続的に漸減する。従って、被計量物100の供給開始直後に発生する初期振動成分以外の新たな振動成分は発生しない。ゆえに、初期振動成分を含む種々の振動成分の影響を受けることなく、供給停止時点t4が正確に取得され、ひいては高精度な定量供給が実現される。
このように、本実施形態によれば、小供給段階が設けられないにも拘らず、高精度な定量供給が実現される。また、小供給段階が設けられないことで、全供給時間Taの短縮化が図られ、つまり定量供給のさらなる高速化が図られる。
加えて、漸減段階の前半部分、特に大供給段階からの切り換わり時点t1、に注目すると、同切り換わり時点t1においては、上述の式12で表されるゲート開度変化率dGx/dWx”が、次の式21のようにゼロになる。これは即ち、同切り換わり時点t1においては、未だゲート開度Gxが変化しないこと、つまり当該ゲート開度Gxが未だ漸減し始めないことを、表す。言い換えれば、式21を満足する上述の式8がゲート開度Gxの制御式として採用されることで、当該ゲート開度Gxの変化率dGx/dWx”、つまりは漸減速度|dGx/dWx”|が、ゼロから変化し始める。
《式21》
dGx/dWx”=0
where Wx”=W1
これに対して、上述の従来技術では、大供給段階から漸減段階への切り換わり時点t10におけるゲート開度変化率dGx/dWxが、式2に基づき、次の式22のように負数になる。これは即ち、同切り換わり時点t10において、その瞬間から即座にゲート開度Gxが漸減し始めること、言わば当該ゲート開度Gxが絞られ始めること、を表す。
《式22》
dGx/dWx=−α・(G10−G20)/(W20−W10)<0
where Wx=W10
このように、従来技術によれば、大供給段階から漸減段階への切り換わり時点t10で即座にゲート開度Gxが絞られ始めるのに対して、本実施形態によれば、そのようなことはなく、当該大供給段階から漸減段階への切り換わり時点t1では未だゲート開度Gxは絞られ始めない。従って、その分、本実施形態によれば、従来技術に比べて、少なくとも漸減段階の前半部分での被計量物100の総供給量の増大が図られる。これは、漸減段階を含む全供給時間Taのさらなる短縮化、つまり定量供給のさらなる高速化、に大きく貢献する。
そしてさらに、上述の式12で表されるゲート開度変化率dGx/dWx”の重量推定値Wxに対する変化度合(言わば変化速度)d2Gx/dWx”2に注目すると、この変化度合d2Gx/dWx”2は、当該式12の微分である次の式23によって表される。
《式23》
d2Gx/dWx”2=2・a1
=−2・{(G1−G12)/(W2−W1)2}
where W1≦Wx”<W2
この式23から分かるように、本実施形態の漸減段階の前半部分における当該変化度合d2Gx/dWx”2は、重量推定値Wx”に拘らず一定である。つまり、ゲート開度Gxの漸減度合|dGx/dWx”|が、一定の速度で増大する。
これに対して、従来技術の漸減段階における当該変化度合d2Gx/dWx2は、式2の微分である次の式24によって表される。
《式24》
d2Gx/dWx2=α・(α−1)・{(G10−G20)/(W20−W10)α}・(W20−Wx)α−2
この式24から分かるように、従来技術の漸減段階における当該変化度合d2Gx/dWx2は、重量測定値Wxが増大すると、これに連れて増大する。つまり、ゲート開度Gxの漸減度合|dGx/dWx|が、加速度的に増大する。これは即ち、従来技術の漸減段階においては、ゲート開度Gxが早め早めに絞られることを意味する。
このように、従来技術の漸減段階においては、ゲート開度Gxが早め早めに絞られるのに対して、本実施形態の漸減段階の少なくとも前半部分においては、そのようなことはなく、当該前半部分におけるゲート開度Gxは一定の速度で絞られる。従って、その分、本実施形態によれば、従来技術に比べて、少なくとも漸減段階の前半部分での被計量物100の総供給量のさらなる増大が図られる。これもまた、全供給時間Taのさらなる短縮化、つまり定量供給のさらなる高速化、に貢献する。
なお、本実施形態の漸減段階の後半部分においては、推定終了時点t3までのゲート開度変化率dGx/dWx”が、上述の式17によって表され、当該推定終了時点t3以降の終盤部分のゲート開度変化率dGx/dWxが、式20によって表されるが、それらの変化度合d2Gx/dWx”2およびd2Gx/dWx2もまた、次の式25および式26から分かるように、一定である。つまり、ゲート開度Gxの漸減度合|dGx/dWx”|および|dGx/dWx|は、一定の速度で低下する。
《式25》
d2Gx/dWx”2=2・b1
=2・{(G12−G2)/(W2−Wc)2}
where W2≦Wx”<W3
《式26》
d2Gx/dWx2=2・b1
=2・{(G12−G2)/(W2−Wc)2}
where W3≦Wx<Wc
また、本実施形態における漸減段階の前半部分と後半部分との切り換わり時点t2に注目すると、この切り換わり時点t2を終点とする漸減段階の前半部分から見れば、同切り換わり時点t2でのゲート開度変化率dGx/dWx”は、上述の式12に基づき、次の式27のようになる。
《式27》
dGx/dWx”=−2・{(G1−G12)/(W2−W1)}
where W1≦Wx”<W2
この式27から分かるように、前後半の切り換わり時点t2でのゲート開度G12が大きいほど、また、前後半切換重量値W2が大きいほど、同切り換わり時点t2でのゲート開度変化率dGx/dWx”の絶対値|dGx/dWx”|が小さくなる。
一方、切り換わり時点t2を始点とする漸減段階の後半部分の観点からは、同切り換わり時点t2でのゲート開度変化率dGx/dWx”は、上述の式17に基づき、次の式28のようになる。
《式28》
dGx/dWx”=−2・{(G12−G2)/(Wc−W2)}
where W2≦Wx”<W3
この式28から分かるように、切り換わり時点t2でのゲート開度G12が大きいほど、また、前後半切換重量値W2が大きいほど、同切り換わり時点t2でのゲート開度変化率dGx/dWx”の絶対値|dGx/dWx”|が大きくなる。
このように、前後半の切り換わり時点t2においては、これが、漸減段階の前半部分の終点であるのか、当該漸減段階の後半部分の始点であるのか、によって、同切り換わり時点t2でのゲート開度G12および前後半切換重量値W2に対するゲート開度変化率dGx/dWx”の関係が変わってくる。従って、同切り換わり時点t2においてゲート開度Gxが滑らかに変化するように、同切り換わり時点t2でのゲート開度G12および前後半切換重量値W2が適当に設定されることが、肝要である。なお、例えば、同切り換わり時点t2でのゲート開度G12が、大供給段階のゲート開度G1と最終ゲート開度G2との中間値(=(G1+G2)/2)に設定され、前後半切換重量値W2が、段階切換重量値W1と供給停止重量値Wcとの中間値(=(W1+W2)/2)に設定されれば、式27によって求められるゲート開度変化率dGx/dWx”と、式28によって求められるゲート開度変化率dGx/dWx”とは、互いに等価になる。また、前後半の切り換わり時点t2が供給停止時点t4から離れるほど、これら両ゲート開度変化率dGx/dWx”の差異は許容される。
以上のように、本実施形態によれば、小供給段階が設けられないにも拘らず、高精度な定量供給が実現される。そして、当該小供給段階が設けられないことで、定量供給のさらなる高速化が図られる。これについて、従来技術と比較して、説明する。
例えば、今、本実施形態における大供給段階のゲート開度G1が、従来技術における当該大供給段階のゲート開度G10と等価(G1=G10)である、とする。そして、本実施形態における最終ゲート開度G2が、従来技術における小供給段階のゲート開度G20と等価(G2=G20)である、とする。さらに、本実施形態における段階切換重量値W1が、従来技術における第1切換重量値W10と等価(W1=W10)である、とする。なお、本実施形態における前後半切換重量値W2と、従来技術における第2切換重量値W20とは、適当に設定される、とする。この条件下で、それぞれ上述した要領で定量供給が行われる、とすると、図5に示すような結果となる。
即ち、図5において、太実線Aが、本実施形態におけるゲート開度Gxの推移を示し、太破線Bが、従来技術におけるゲート開度Gxの推移を示す。この図5から分かるように、本実施形態による全供給時間Taは、従来技術による全供給時間Ta0よりも短い(Ta<Ta0)。これは、まず、本実施形態によれば、従来技術とは異なり、小供給段階が設けられないことによるのが大きい。そして、従来技術によれば、大供給段階から漸減段階への切り換わり時点t10で即座にゲート開度Gxが絞られ始めるのに対して、本実施形態によれば、当該大供給段階から漸減段階への切り換わり時点t1では未だゲート開度Gxは絞られ始めないことにもよる。さらに、従来技術の漸減段階では、ゲート開度Gxが早め早めに絞られるのに対して、本実施形態の漸減段階の少なくとも前半部分では、当該前半部分におけるゲート開度Gxが一定の速度で絞られることにもよる。これらが相まって、本実施形態によれば、従来技術よりも定量供給のさらなる高速化が実現されながらも、当該定量供給の高精度化が実現される。
このような高速かつ高精度な定量供給を実現するべく、本実施形態におけるCPU32は、上述した制御プログラムに従って、次のように動作する。なお、この動作に入る際に、開閉ゲート16は閉鎖されており、溜めホッパ12には所定量(収容高さH)の被計量物100が収容されているものとする。併せて、計量ホッパ14は空の状態であり、排出ゲート54は閉鎖されているものとする。
まず、操作キー42の操作によって自動運転ONの命令が入力されると、CPU32は、図6に示す自動運転タスクのステップS1に進む。そして、このステップS1において、初期設定処理を行う。詳しくは、後述するCb,CfおよびCgという3つのカウンタのカウント値を全てリセットする(0とする)と共に、後述するF1,F2,F3,F4,F5およびF6という6つのフラグのそれぞれに0を設定する。そして、このステップS1の実行後、ステップS3に進み、後述する割込タスクの実行を開始する。
さらに、CPU32は、ステップS5に進み、ゲート開度GxをGx=G1とするための準備を行い、要するに上述したゲート制御信号Sgを生成する準備をする。そして、ステップS7に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成し、つまり開閉ゲート16を制御する。これにより、大供給段階が開始される。
そして、CPU32は、ステップS9に進み、ここで、今現在(最新)の重量測定値Wxと推定開始重量値W0とを比較する。なお、重量測定値Wxは、後述する割込タスクで取得される。このステップS9は、重量測定値Wxが推定開始重量値W0以上(Wx≧W0)となるまで繰り返される。そして、当該重量測定値Wxが推定開始重量値W0以上になると、CPU32は、真の供給済み重量値Wx’の推定を開始するべく、ステップS11に進む。
ステップS11において、CPU32は、F1というフラグに1を設定する。このフラグF1は、真の供給済み重量値Wx’の推定が開始されたか否かを表す指標であり、厳密には重量推定値Wx”の算出に必要な推定用重量測定値Wxの記憶が開始されたか否かを表す指標である。例えば、この言わば推定開始フラグF1がF1=1であれば、供給済み重量値Wx’の推定が開始されたこと、厳密には推定用重量測定値Wxの記憶が開始されたこと、を表す。そうでないときは、当該推定開始フラグF1はF1=0とされる。
ステップS11の実行後、CPU32は、ステップS13に進み、推定用重量測定値Wxの記憶数が重量推定値Wx”の算出に必要な{n+1}個に達したか否かを判定し、詳しくは後述するアドレスポインタAPの値がn以上(AP≧n)であるか否かを判定する。なお、アドレスポインタAPの値は、推定用重量測定値Wxの記憶順を表し、割込タスクで管理される。このステップS13は、アドレスポインタAPの値がn以上になるまで繰り返され、当該アドレスポインタAPの値がn以上になると、つまり推定用重量測定値Wxの記憶数が{n+1}個に達すると、CPU32は、図7のステップS15に進む。
ステップS15において、CPU32は、アドレスポインタAPの値をCpというカウンタのカウント値にコピーする。つまり、このステップS15においては、当該カウント値Cpにnという値が設定される。なお、カウント値Cpは、この後に説明するように、重量推定値Wx”を更新させるのに用いられる。
ステップS15の実行後、CPU32は、ステップS17に進み、アドレスポインタAPの値と上述のカウント値Cpとを比較する。このステップS17は、アドレスポインタAPの値がカウント値Cp以上(AP≧Cp)になるまで繰り返される。そして、アドレスポインタAPの値がカウント値Cp以上になると、CPU32は、重量推定値Wx”を算出するべく、ステップS19に進む。なお、このステップS17が初めて実行されるときは、上述のステップS15が実行された直後であるので、アドレスポインタAPの値とカウント値Cpとはいずれもn(AP=Cp=n)であり、ゆえに、CPU32は、即座にステップS19に進む。
ステップS19において、CPU32は、現時点で記憶されている推定用重量測定値Wxのうち最も直近に記憶された(つまり今現在の)推定用重量測定値Wx[AP]を含む過去の{n+1}個の推定用重量測定値Wx[AP−n]〜Wx[AP]に基づいて、今現在の重量推定値Wx”を求める。具体的には、上述の式7に倣って、次の式29を組み立てる。
《式29》
Wx[AP−n]=r1[AP]・{AP−n}+r2[AP]
Wx[AP−n+1]=r1[AP]・{AP−n+1}+r2[AP]
:
Wx[AP−1]=r1[AP]・{AP−1}+r2[AP]
Wx[AP]=r1[AP]・AP+r2[AP]
そして、CPU32は、この式29で表される{n+1}個の1次関数式を用いた最小2乗法によって、各1次関数式に共通する定数r1[AP]およびr2[AP]を求める。さらに、この定数r1[AP]およびr2[AP]を上述の式5に準拠する次の式30に代入することによって、今現在の重量推定値Wx”を求める。
《式30》
Wx”=r1[AP]・AP+r2[AP]
このようにして今現在の重量推定値Wx”を求めた後、CPU32は、ステップS21に進み、当該重量推定値Wx”と段階切換重量値W1とを比較する。ここで、例えば、重量推定値Wx”が段階切換重量値W1よりも小さい(Wx”<W1)とき、CPU32は、ステップS23に進む。そして、このステップS23において、CPU32は、上述した重量推定値Wx”の更新用カウンタのカウント値Cpを1だけインクリメントする。つまり、当該カウント値Cpを、今現在のアドレスポインタAPの値よりも1だけ大きくする。そして、CPU32は、新たな(次の)重量推定値Wx”を求めるべく、ステップS17に戻る。
一方、ステップS21において、重量推定値Wx”が段階切換重量値W1以上(Wx”≧W1)であるとき、CPU32は、ステップS25に進む。そして、このステップS25において、今度は、当該重量推定値Wx”と推定終了重量値W3とを比較する。ここで、例えば、重量推定値Wx”が推定終了重量値W3よりも小さい(Wx”<W3)とき、CPU32は、さらにステップS27に進む。
ステップS27において、CPU32は、重量推定値Wx”と前後半切換重量値W2とを比較する。ここで、例えば、重量推定値Wx”が前後半切換重量値W2よりも小さい(Wx”<W2)とき、CPU32には、ステップS29に進む。そして、このステップS29において、上述の式8に基づいてゲート開度Gxを算出し、さらに、ステップS31に進み、当該ゲート開度Gxに基づいて開閉ゲート16を制御し、つまりゲート制御信号Sgを生成する。これにより、漸減段階が開始され、詳しくは当該漸減段階の前半部分に入る。そして、CPU32は、ステップS23に進む。
なお、ステップS27において、重量推定値Wx”が前後半切換重量値W2以上(Wx”≧W2)であるとき、CPU32は、ステップS33に進む。そして、このステップS33において、上述の式13に基づいてゲート開度Gxを算出し、さらに、ステップS35に進み、当該ゲート開度Gxに基づいて開閉ゲート16を制御し、つまりゲート制御信号を生成する。これにより、漸減段階の前半部分から後半部分に切り換わる。そして、CPU32は、ステップS23に進む。
さらに、上述のステップS25において、重量推定値Wx”が推定終了重量値W3以上(Wx”≧W3)であるとき、CPU32は、図8のステップS37に進む。そして、このステップS37において、F2というフラグに1を設定する。このフラグF2は、重量推定値Wx”の算出が終了されたか否か、つまり真の供給済み重量値Wx’の推定が終了されたか否か、を表す指標である。例えば、この言わば推定終了フラグF2がF2=0であるときは、重量推定値Wxの算出が継続されていることを表す。一方、当該推定終了フラグF2がF2=1であるときは、重量推定値Wxの算出が終了されたことを表す。
このステップS37の実行後、CPU32は、ステップS39に進み、上述の式18に基づいてゲート開度Gxを算出する。そして、CPU32は、ステップS41に進み、当該ゲート開度Gxに基づいて開閉ゲート16を制御し、つまりゲート制御信号Sgを生成する。これにより、漸減段階の終盤部分に入り、言い換えればゲート開度Gxの制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる。
そして、CPU32は、ステップS43に進み、重量測定値Wxと供給停止重量値Wcとを比較する。ここで、例えば、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcよりも小さい(Wx<Wc)とき、CPU32は、当該重量測定値Wxを制御パラメータとするゲート開度Gxの制御を継続するべく、ステップS39に戻る。一方、重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上(Wx≧Wc)になると、CPU32は、開閉ゲート16を閉鎖するべく、ステップS45に進む。
ステップS45において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=0とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS47に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、開閉ゲート16が閉鎖される。
ステップS47の実行後、CPU32は、ステップS49に進み、F3というフラグに1を設定する。このフラグF3は、上述した最終重量値Wfを得るための安定待ち動作が開始されたか否かを表す指標であり、例えば、当該フラグF3がF3=1であるときは、安定待ち動作が開始されたことを表す。そうでないときは、当該フラグF3はF3=0とされる。
さらに、CPU32は、ステップS51に進み、ここで、F4というフラグがF4=1であるか否かを判定する。このフラグF4は、上述の安定待ち動作が終了したか否かを表す指標であり、割込タスクで管理される。例えば、この安定待ち終了フラグF4がF4=1であるときは、安定待ち動作が終了したことを表し、当該フラグF4がF4=0であるときは、未だ安定待ち動作が終了していないことを表す。このステップS51は、安定待ち終了フラグF4がF4=1となるまで、つまり安定待ち動作が終了するまで、継続される。そして、安定待ち動作が終了すると、CPU32は、ステップS53に進む。
ステップS53において、CPU32は、上述の式19に基づいて最終重量値Wfを算出する。そして、ステップS55に進み、当該最終重量値Wfをディスプレイ20に表示する。なお、このディスプレイ20への最終重量値Wfの表示は、一定期間にわたって、例えば次の定量供給が開始される直前まで、継続される。また、最終重量値Wfは、図示しない印刷装置や選別装置等の各種外部装置に出力することも可能である。
ステップS55の実行後、CPU32は、図9のステップS57に進む。そして、このステップS57において、排出ゲート54を開放するようシリンダ38を制御し、つまり排出制御信号Scを生成する。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が当該計量ホッパ14から排出される。
そして、CPU32は、ステップS59に進み、F5というフラグがF5=1であるか否かを判定する。このフラグF5は、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否かを表す指標であり、これもまた、割込タスクで管理される。例えば、この排出終了フラグF5がF5=1であるときは、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したことを表し、当該フラグF5がF5=0であるときは、未だ被計量物100の排出が終了していないことを表す。このステップS59は、排出終了フラグF5がF5=1となるまで、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了するまで、継続される。そして、被計量物100の排出が終了すると、CPU32は、ステップS61に進み、排出ゲート54を閉鎖するようシリンダ38を制御する。
ステップS61の実行後、CPU32は、ステップS63に進み、F6というフラグがF6=1であるか否かを判定する。このフラグF6は、排出ゲート54が完全に閉鎖されたこと、言い換えれば一連(1回)の定量供給が終了したこと、を表す指標であり、これもまた、割込タスクで管理される。例えば、この言わば1バッチ終了フラグF6がF6=1であるときは、一連の定量供給が終了したことを表し、当該フラグF6がF6=0であるときは、未だ定量供給が終了していないことを表す。このステップS63は、1バッチ終了フラグF6がF6=1となるまで、つまり一連の定量供給が終了するまで、継続される。そして、一連の定量供給が終了すると、CPU32は、ステップS65に進む。
ステップS65において、CPU32は、全てのフラグF1,F2,F3,F4,F5およびF6に0を設定する。そして、ステップS67に進み、操作キー42の操作によって自動運転OFFの命令が入力された(または入力されている)か否かを判定する。ここで、例えば、自動運転OFFの命令が入力されていない場合、CPU32は、改めて次の定量供給を開始するべく、図6のステップS5に戻る。一方、自動運転OFFの命令が入力された場合は、ステップS69に進み、割込タスクを終了する。これをもって、CPU32は、自動運転タスクを終了する。
続いて、割込タスクについて詳しく説明する。この割込タスクは、クロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて行われる。即ち、クロックパルスCLKの立ち上がりが到来すると、CPU32は、図10のステップS101に進む。そして、このステップS101において、上述の1バッチ終了フラグF6がF6=0であるか否か、つまり一連の定量供給が行われている最中であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該1バッチ終了フラグF6がF6=1である場合、つまり一連の定量供給が終了した場合は、一旦、この割込タスクを終了する。一方、1バッチ終了フラグF6がF6=0である場合、つまり一連の定量供給が行われている最中である場合は、ステップS103に進む。
ステップS103において、CPU32は、排出終了フラグF5がF5=0であるか否か、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未了であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該排出終了フラグF5がF5=0である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未了である場合は、ステップS105に進む。なお、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合については、後で詳しく説明する。
ステップS105に進むと、CPU32は、安定待ち終了フラグF4がF4=0であるか否か、つまり安定待ち動作が未だ終了していないか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち終了フラグF4がF4=0である場合、つまり安定待ち動作が未了である場合は、ステップS107に進む。なお、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合については、後で詳しく説明する。
ステップS107において、CPU32は、A/D変換回路26から入出力インタフェース回路30経由でデジタル荷重検出信号Wyを取得する。そして、ステップS109に進み、当該デジタル荷重検出信号Wyに基づいて重量測定値Wxを求める。
さらに、CPU32は、ステップS111に進み、安定待ち開始フラグF3がF3=0であるか否か、つまり安定待ち動作が未だ開始されていないか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち開始フラグF3がF3=0である場合、つまり安定待ち動作が未開始である場合は、ステップS113に進む。なお、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された(または開始されている)場合については、後で詳しく説明する。
ステップS113において、CPU32は、推定終了フラグF2がF2=0であるか否か、つまり重量推定値Wx”の算出が継続されている(または重量推定値Wx”の算出が開始される前である)か否か、を判定する。ここで、例えば、当該推定終了フラグF2がF2=0であるとき、つまり重量推定値Wx”の算出が継続されているときは、ステップS115に進む。一方、推定終了フラグF2がF2=1であるとき、つまり重量推定値Wx”の算出が終了しているときは、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS115に進むと、CPU32は、推定開始フラグF1がF1=0であるか否か、つまり重量推定値Wx”の算出(厳密には推定用重量測定値Wxの記憶)が開始される前であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該推定開始フラグF1がF1=0であるとき、つまり重量推定値Wx”の算出が開始される前であるときは、ステップS117に進む。そして、このステップS117において、上述したアドレスポインタAPに0という値を設定する。さらに、CPU32は、ステップS119に進み、今現在の重量測定値Wxを当該アドレスポインタAPの値に対応する推定用重量測定値Wx[AP]として記憶する。そして、一旦、この割込タスクを終了する。
一方、ステップS115において、推定開始フラグF1がF1=1であるとき、つまり重量推定値Wx”の算出が開始されている(または開始された)ときは、CPU32は、ステップS121に進む。そして、このステップS121において、上述したCbというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cbは、次に説明するように、推定用重量測定値Wxの記憶周期Tbを測定するのに用いられる。
ステップS121の実行後、CPU32は、ステップS123に進み、上述の記憶周期Tb測定用のカウント値Cbと当該記憶周期Tbの決定要素である整数mの値とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cbが整数mの値と等価(Cb=m)であるとき、つまり1回の記憶周期Tbが経過したとき、CPU32は、ステップS125に進む。一方、当該カウント値Cbが整数mの値と等価でない(Cb<m)とき、つまり1回の記憶周期Tbが未だ経過していないときは、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS125において、CPU32は、記憶周期Tb測定用のカウント値Cbをリセットする。そして、ステップS127に進み、アドレスポインタAPの値を1だけインクリメントした後、当該アドレスポインタAPの値に対応する推定用重量測定値Wx[AP]を記憶するべく、上述のステップS119に進む。
なお、上述のステップS111において、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された(または開始されている)場合は、CPU32は、図11のステップS129に進む。そして、このステップS129において、上述の式19に基づいて最終重量値Wfを算出するための図示しないシフトレジスタに今現在の重量測定値Wxを記憶する。
さらに、CPU32は、ステップS131に進み、上述のCfというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cfは、次に説明するように、安定待ち時間Tfを測定するのに用いられる。
ステップS131の実行後、CPU32は、ステップS133に進み、上述の安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfと安定待ち時間Tf(厳密には安定待ち時間Tfをサンプリング周期ΔTの整数倍に換算したカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cfが安定待ち時間Tfのカウント換算値と等価(Cf=Tf)であるとき、つまり安定待ち時間Tfが経過したときは、CPU32は、ステップS135に進む。一方、当該カウント値Cfが安定待ち時間Tfのカウント換算値と等価でない(Cf<Tf)とき、つまり安定待ち時間Tfが未経過のときは、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS135において、CPU32は、安定待ち終了フラグF4に1を設定する。そして、ステップS137に進み、安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfをリセットして、一旦、割込タスクを終了する。
また、図10のステップS105において、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合は、CPU32は、図11のステップS139に進む。そして、このステップS139において、上述したCgというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cgは、次に説明するように、排出ゲート54の開閉動作を管理するのに用いられ、詳しくは排出時間Tgおよび準備時間Thを測定するのに用いられる。
ステップS139の実行後、CPU32は、ステップS141に進み、上述の排出ゲート54管理用のカウント値Cgと排出時間Tg(厳密には排出時間Tgをサンプリング周期ΔTの整数倍に換算したカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが排出時間Tgのカウント換算値と等価(Cg=Tg)である場合、つまり排出時間Tgが経過した場合は、CPU32は、ステップS143に進む。一方、当該カウント値Cgが排出時間Tgのカウント換算値と等価でない(Cg<Tg)場合、つまり排出時間Tgが未経過の場合は、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS143において、CPU32は、排出終了フラグF5に1を設定する。そして、ステップS145に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットして、一旦、割込タスクを終了する。
さらに、図10のステップS103において、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合は、CPU32は、図11のステップS147に進む。そして、このステップS147において、排出ゲート54管理用のカウント値Cgを1だけインクリメントした後、ステップS149に進む。
ステップS149において、CPU32は、排出ゲート54管理用のカウント値Cgと準備時間Th(厳密には準備時間Thをサンプリング周期ΔTの整数倍に換算したカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが準備時間Thのカウント換算値と等価(Cg=Th)である場合、つまり準備時間Thが経過した場合は、CPU32は、ステップS151に進む。一方、当該カウント値Cgが準備時間Thのカウント換算値と等価でない(Cg<Th)場合、つまり準備時間Thが未経過の場合は、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS151に進んだCPU32は、ここで、1バッチ終了フラグF6に1を設定する。そして、上述のステップS145に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットして、割込タスクを終了する。
このようにCPU32が動作することによって、上述の如く高速かつ高精度な定量供給が実現される。
なお、本実施形態で説明した内容は、飽くまでも本発明を実現するための一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
例えば、図5の別例である図12において、太実線A’で示すように、最終ゲート開度G2をより小さくすれば、供給停止時点t4およびその直前における重量測定値Wxの増大速度dWx/dtxがさらに低下し、これにより、同供給停止時点t4がさらに正確に捉えられ、ひいては定量供給のさらなる高精度化が実現される。この場合、供給停止時点t4近傍(以前)における被計量物100の総供給量が減少するので、その分、全供給時間Taが長くなるが、それでも、従来技術における全供給時間Ta0よりも短縮することは可能である。極端に言えば、本実施形態における全供給時間Taと、従来技術における全供給時間Ta0とが、互いに略同じ(Ta≒Ta0)である場合には、その分、本実施形態における最終ゲート開度G2が低減されるので、従来技術よりもさらに高精度な定量供給が実現される。
また、本実施形態では、上述の式8で表される2次関数式に基づいて、漸減段階の前半部分におけるゲート開度Gxが制御されることとしたが、これに限らない。例えば、従来技術におけるのと同様の上述の式1に準拠する次の式31に基づいて、当該漸減段階の前半部分におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。なお、この式31における冪指数βは、0<β<1を満足する任意の値であり、この冪指数βの値によって、時間tx(厳密には重量推定値Wx”)に対するゲート開度Gxの推移が変わる。
《式31》
Gx=(G1−G12)・{(W2−Wx”)/(W2−W1)}β+G12
where W1≦Wx”<W2
この式31に基づくことによっても、式8に基づく場合と同様に、漸減段階の前半部分におけるゲート開度Gxは、時間txの経過と共に漸減する。そして、このゲート開度Gxの漸減度合を表すゲート開度変化率dGx/dtxの絶対値|dGx/dtx|(厳密には重量推定値Wx”に対するゲート開度変化率dGx/dWx”の絶対値|dGx/dWx”|)は、時間txの経過と共に漸増する。ただし、この式31に基づく場合は、式8に基づく場合とは異なり、大供給段階からの切り換わり時点t1において、その瞬間から即座にゲート開度Gxが絞られ始める。その分、式8に基づく場合に比べて、漸減段階の前半部分における被計量物100の総供給量が減り、全供給時間Taの短縮化効果が薄れる。つまり、定量供給のさらなる高速化を図るには、式31よりも式8の方が有効である。
これに代えて、漸減段階の全般にわたって、厳密には推定終了時点t3までは、次の式32で表される3次関数式に基づいて、ゲート開度Gxが制御されてもよい。
《式32》
Gx=c1・Wx”3+c2・Wx”2+c3・Wx”+c4
where W1≦Wx”<W3
この式32において、c1,c2,c3およびk4は、いずれも定数であり、次の4つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W1であるときに、ゲート開度GxがGx=G1であることが、要求される。そして、第2の条件として、重量推定値Wx”がWx”=Wcとなるときに、ゲート開度GxがGx=G2となることが、要求される。さらに、第3の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W1であるときのゲート開度G1が、当該ゲート開度Gxの最大値であることが、要求される。そして、第4の条件として、重量推定値Wx”がWx”=Wcとなるときのゲート開度G2が、当該ゲート開度Gxの最小値となることが、要求される。なお、第3条件または第4条件に代えて、重量推定値Wx”がWx”=W2であるときに、ゲート開度GxがGx=G12であることが、条件とされてもよい。
そして、推定終了時点t3以降の終盤部分では、式32における重量推定値Wx”に代えて重量測定値Wxが適用された次の式33に基づいて、ゲート開度Gxが制御されてもよい。
《式33》
Gx=c1・Wx3+c2・Wx2+c3・Wx+c4
where W3≦Wx”<Wc
これらの式32および式33に基づくことによっても、上述の式8,式13および式18に基づく場合と同様に、漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txの経過と共に漸減する。そして、このゲート開度Gxの漸減度合を表すゲート開度変化率dGx/dtxの絶対値|dGx/dtx|は、前半部分で漸増し、後半部分で漸減する。
勿論、ここで説明したのとは別の数式に基づいて、漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。例えば、漸減段階が3つ以上の部分に細分化された上で、それぞれの部分毎に異なる数式(つまり3つ以上の数式)に基づいて、当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。
さらに、本実施形態においては、漸減段階のうち、その始点である切り換わり時点t1から途中の推定終了時点t3までは、重量推定値Wx”をパラメータとして、ゲート開度Gxが制御され、当該推定終了時点t3以降の終盤部分については、重量測定値Wxをパラメータとして、ゲート開度Gxが制御されるようにしたが、これに限らない。とりわけ、初期振動成分の影響が小さい場合には、特段に重量推定値Wx”を算出することなく、重量測定値Wxのみをパラメータとして、漸減段階全般にわたってゲート開度Gxが制御されてもよい。
また、供給停止時点t4においては、上述の式20で表されるゲート開度変化率dGx/dWxがゼロになるが、そうでなくてもよい。即ち、同供給停止時点t4およびそれよりも少し前において、ゲート開度Gxが概ね一定になればよい。つまり、同供給停止時点t4が正確に捉えられればよい。ただし、言うまでもなく、同供給停止時点t4におけるゲート開度変化率dGx/dWxは極力ゼロに近いのが、望ましい。
そして、具体的な図示は省略するが、大供給段階は設けられなくてもよい。即ち、漸減段階のみによって、定量供給が行われてもよい。
さらに、本実施形態においては、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱う定量計量装置10を例に挙げたが、これに限らない。例えば、当該樹脂ペレットやグラニュー糖よりも流動性の低い被計量物や、粘性のある被計量物等を取り扱う装置にも、本発明を適用することができる。特に、粘性のある被計量物を取り扱う場合には、当該被計量物がスクリューフィーダや振動フィーダ等の適宜の手段によって溜めホッパから計量ホッパへ供給される構成であってもよい。
加えて、本実施形態においては、溜めホッパ12の下方に計量ホッパ14が配置され、この計量ホッパ14に付属されたロードセル18等の荷重センサの出力Wyに基づいて、当該計量ホッパ14内の被計量物100の供給済み重量値Wx’が測定される構成を例に挙げたが、これに限らない。例えば、溜めホッパ12側にロードセル18等の荷重センサが設けられ、この荷重センサの出力に基づいて、当該溜めホッパ12から排出された被計量物100の排出済み重量値が測定される構成に、本発明を適用してもよい。
また、開閉ゲート16を駆動する手段として、サーボモータ44を採用したが、これに限らない。例えば、当該サーボモータ44に代えて、ステッピングモータ(パルスモータ)を採用してもよい。この場合、サーボアンプ回路36に代えて、ステッピングモータ用のドライブ回路が用いられる。併せて、制御装置22を構成するD/A変換回路34に代えて、CPU32の制御によって所定の駆動パルスを出力するパルス出力回路が設けられる。そして、このパルス出力回路からドライブ回路を介してステッピングモータに与えられる駆動パルスの数によって、当該ステッピングモータの回転角が制御され、ひいてはゲート開度Gxが制御される。また、当該駆動パルスの周期によって、ステッピングモータの回転速度が制御され、ひいてはゲート開度Gxの時間変化率(開閉ゲート16の開閉動作速度)が制御される。このようにステッピングモータが採用されることで、回転角度検出手段としてのポテンショメータ52が不要となり、定量供給装置10全体の構成が簡素化される。その一方で、ステッピングモータの脱調を防ぐために、特にその駆動開始時における回転速度を徐々に変化させる必要があり、つまり駆動パルスの数や周期について適宜の工夫が必要になる。なお、ステッピングモータ以外のモータや、モータ以外の駆動手段、例えば上述したシリンダ38のような手段が、採用されてもよい。