JP5562036B2 - 放射性標識方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性標識された化合物を合成する方法、そのような方法において有用な前駆体、そしてそのような方法で得ることができる放射性標識された化合物に関するものである。より具体的には、本発明は、放射性標識されたアゴニストを用いて特に神経受容体を画像化するための、ポジトロン放出型断層撮影(PET)および単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)において有用な、方法、前駆体、および放射性標識された化合物に関するものである。
放射性標識されたアミンは、一般的にPETイメージングに関して、そして特に放射性標識されたアゴニストを用いた神経受容体のイメージングに関して、興味深い。
三重複合体モデルにおいて、in vivoにおいて、グアニジンヌクレオチド-結合ドパミンサブタイプ2受容体(D2)が、ドパミンアゴニストに対して高親和性状態および低親和性状態に設定されることが提案された。2つの状態と同等の親和性で結合するD2アンタゴニスト(例えば、[11C]ラクロプリド)とは対照的に、D2アゴニストは、高親和性で高親和性状態(D2high)と結合し、そして低親和性で低親和性状態(D2 low)と結合すると考えられる。その結果、アゴニストトレーサーは、D2 high受容体のin vivoでの効果的なプローブであるはずである。さらに、ドパミンそれ自体はD2 high状態とよく結合するため、アゴニストトレーサーは、内在性ドパミン濃度変化に対して特に感受性である可能性がある。
既知のD2アゴニストには、アポモルフィン、アミノテトラリン誘導体、および(+)-4-プロピル-3,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロ-2H-ナフト[1,2-b][1,4]オキサジン-9-オール(PHNO)が含まれる。
これらのアゴニストは、Hwang et al Bioconjugate Chemistry 2005 16 pp27-31において検討されており、同時に可能性のあるアゴニストを放射性標識するための放射性標識方法を開示する。
放射性標識されたPHNOもまた、Wilson et al J. Med. Chem. 2005 48 pp4153-4160において検討されており、同時に[11C]PHNOの放射性合成のためのプロトコルも検討されている。
11Cで放射性標識されたアポモルフィン誘導体(-)-N-プロピル-ノルアポモルフィン(NPA)は、Hwang et al Nuclear Medicine and Biology Vol 27 (2000) pp 533-539において検討されている。
PETおよびSPECTについてのトレーサーにおいて使用するために適した放射性核種は、しばしば短い半減期を有する。例えば、2種の有用な放射性核種11Cおよび18Fは、それぞれ約20分および110分の半減期を有する。この結果は、トレーサー化合物を放射性標識するためのプロトコルができる限り少ない工程を有し、簡便かつ迅速であり、できるだけ収量が多い、ということが、最大限重要であることを示している。
Hwang et al Bioconjugate Chemistry 2005 16 pp27-31 Wilson et al J. Med. Chem. 2005 48 pp4153-4160 Hwang et al Nuclear Medicine and Biology Vol 27 (2000) pp 533-539
残念なことに、上記で検討した化合物を放射性標識する通常の方法は、時間がかかるものである。例えば、NPAを標識するための現在の方法は、カルボン酸の形成、それに続く塩化アシルへの変換、その後に続くアミン前駆体との反応、対応するアミドの還元、そして最後に脱保護を必要とする多段階手順において低収量をもたらす可能性すらある。
本発明は、この課題に対することを目的とする。
本発明は従って、第一の側面において、放射性標識された化合物を合成するための方法を提供し、この方法は、式Iの化合物:
Figure 0005562036
式中、R1およびR2は:
a) 独立してヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択されるか;または、
b) それらが結合する窒素原子と一緒に、窒素含有ヘテロヒドロカルビル環を形成し;そして、
R3およびR4は、独立して水素、ヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択される;
を、放射性核種を含有する化合物と、塩基の存在下にて反応させることを含む。 この方法は、簡便であり、そして現在利用されている方法よりも少ない工程で放射性標識を行うことができ、収量を上げそして標識された化合物を合成するために必要な時間を少なくすることができることから、好都合である。式Iの前駆体は、アセトアミドとして、(例えば、対応するアミンを塩化アシルを用いて処理することにより)合成することが比較的容易であり、そして安定性が悪いという見込みが少ないことから、特に好都合である。
好ましくは、放射性核種は、11C、18F、75Br、76Br、および124Iから選択される。より好ましい放射性核種は、11Cまたは18Fである。75Br、76Br、または124Iが使用される場合、それらは、好ましくは、芳香族フラグメント上の置換基として使用されるべきである。
本発明の方法の好ましい態様において、放射性核種を含有する化合物は、式R*Xの化合物であり、ここで式中R*は放射性核種を含有するヒドロカルビルであり、そしてXは離脱基である。
好都合なことに、R*は、放射性標識されたアルキル基であり、特にC1〜C6アルキル基であり、そして最も好ましくは放射性標識されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基およびt-ブチル基から選択される。
R*フラグメントは、18F(例えば、[18F]C1〜C6アルキル、特に18FCH2-)により標識されてもよいが、しかしながら好ましくは11Cで標識される。
Xは、本発明の方法において機能する、十分な不安定性および安定性を有するどのような離脱基であってもよい。放射性核種が18Fである場合、離脱基は、F-よりも高い不安定性を有するべきである。
好ましい離脱基は、スルホネート離脱基であるか、または-ハロゲンである。好ましいスルホネート離脱基は、トリフラート、メシラート、トシレートまたはベシラートである。好ましいハロゲンは、クロロ、ブロモ、またはヨードである。最も好ましい離脱基は、ヨードまたはトリフラートである。
本発明の方法の最も好ましい態様において、放射性核種を含有する化合物は、11CH3Iである。これは、[11C]ヨードメタンが調製しそして使用するために便利であることから、好都合である。
式Iの化合物は、塩基の存在下にて反応を受け、結果として放射性核種を含有する種(例えば、R*)による化合物のα水素の置換を生じる。
適切な塩基には、リチウムbis(トリメチルシリル)アミド(LHMDS、通常はテトラヒドロフラン-THF - 溶液中で使用される)が含まれる。
アゴニストの合成のため、この方法には、好ましくは、標識されたアミドのアミンへの還元についてのさらなる工程が含まれる。適切な還元剤には、水素化アルミニウムリチウムが含まれる。
全体的の方法は、簡便であり、便利であり、そして放射性標識されたアゴニストを提供するために必要とされる工程の数(還元および脱保護を含む)を2工程まで減らすという効果を有する。というのも、還元の工程(例えば、還元剤としてLiAlH4を使用する場合)を、還元とアルコール保護基の脱保護とを1工程で行う結果生じることができるためである。このことは、大きな利点であり、短時間の半減期を有する11Cまたは18Fを使用する場合に特に利点である。別の利点は、この方法が(例えば、病院などの臨床環境において)商業的に利用可能な合成モジュールを利用することを可能にするワンポット手法のために適している、ということである。より多くの工程を含み、そしてより複雑なプロトコルが関連する従来使用されていた方法は、特別に作成された合成モジュールが必要とされ、そのためにプロセスのコストおよび困難性が高まった。
適切な“アルコール保護基”の例は:メチル、エチルまたはtert-ブチル;アルコキシメチルまたはアルコキシエチル;ベンジル;アセチル;ベンゾイル;トリチル(Trt)またはトリアルキルシリル(例えば、テトラブチルジメチルシリル)である。
R3およびR4は、好ましくは水素であるが、C1〜C6アルキル、好ましくはC1〜C4アルキルから独立して選択することができる。R3およびR4が独立してC1〜C4アルキルである場合、それらが直鎖アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピルまたはn-ブチル)であることが好ましい。
R2は、アルキル、アリール、およびアルキルアリールから選択することができ、特にn-プロピルF-(CH25-、-CH2CH2C6H5または-CH2CH2C6H11であり、そしてR1は好ましくは、
Figure 0005562036
であり、式中、-O Protectはアルコール保護基である。より好ましくは、R1は:
Figure 0005562036
である。
アルコール保護基の還元と脱保護により、アゴニストとして有用なアミノテトラリンがもたらされる。
あるいは、R1およびR2はそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成することができ、ここで式中、-O Protectはアルコール保護基である。還元および脱保護により、この場合(この方法においては、R*Xが11CH3Iである)には、同様に有用なアゴニストであるPHNOがもたらされる。
さらなる代替方法において、R1およびR2はそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成することができ、ここで式中-O Protectはアルコール保護基である。還元および脱保護により、有用なアゴニストであるNPAがもたらされる。
代わりの態様において、R1およびR2は一緒に5員環または6員環を形成する。
本発明の第一の側面に関連して上述したように、良好な安定性を有し(例えば、保存時に)そして相対的に簡便に調製されることから、アセトアミド前駆体は好都合である。
本発明は従って、第二の側面において、式IIの化合物:
Figure 0005562036
を提供し、ここで式中、R9およびR10は独立して、水素、ヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択され;そしてR7およびR8は以下の(a)、(b)、または(c):
a)R7は、
Figure 0005562036
であり、そしてR8はヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択される;
b)R7およびR8は、それらが結合する窒素と一緒に
Figure 0005562036
を形成する;または
c)R7およびR8は、それらが結合する窒素と一緒に
Figure 0005562036
を形成する;
に定義する通りであり、ここで式中、R11、R12、R13、R14 およびR15のそれぞれは独立して、水素、ヒドロキシル基、アルコキシル基および-[アルコール保護基]から選択され;
但し、R7およびR8が(b)において定義された通りである場合、R9またはR10のいずれもメチルではない。
好ましくは、式IIの定義における追加の条件は、R7およびR8が(c)において定義された通りである場合、R13〜R15のいずれも水素ではない、というものである。
好ましくは、R9およびR10の少なくとも一方が水素であり、より好ましくはR9およびR10の両方ともが水素である。あるいは、R9およびR10は独立して、C1〜C6アルキル、特にC1〜C4アルキル、好ましくはメチル、エチル、n-プロピルまたはn-ブチル、から選択されていてもよい。
上述したように、アセトアミド前駆体は、対応するアミンを塩化アセチルにより処理することにより都合よく調製することができる。
本発明の第二の側面のより好ましい態様において、式IIの化合物は、以下の式
Figure 0005562036
のもの;以下の式
Figure 0005562036
のもの、または以下の式
Figure 0005562036
のものである。
11CH3I(または別の[11C]-メチル試薬)を使用した場合のそしてアミドを還元した後の本発明の第一の側面の方法の生成物は、プロピルアミンである。
本発明は従って、第三の側面において、式IIIの化合物:
Figure 0005562036
を提供し、ここで式中、R5およびR6は:
a)独立してヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルから選択されるものであるか;または
b)それらが結合する窒素原子と一緒に、5員環または6員環を形成する。
R5は:
Figure 0005562036
であってもよい。
5位における-OHにより、化合物は以下の式:
Figure 0005562036
のものであってもよい。
あるいは、R5およびR6はそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成することができる。
いずれの場合においても、化合物は、以下の式:
Figure 0005562036
のものであってもよい。
あるいは、R5およびR6はそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成することができ、ここで式中、R16は、水素、ヒドロキシル基、およびアルコキシル基から選択される。いずれの場合においても、化合物は以下の式:
Figure 0005562036
のものであってもよい。
本明細書において、特に明記しない場合、“ヒドロカルビル”は、置換されていてもされていなくてもよい炭化水素基のことをいい、そしてアルキル、アルケニル、アルキニル、5員環または6員環(脂環式またはアリールであってもよく、そして単環式、二環式または多環式融合環系が含まれる)が含まれ、好ましくはC1〜C32、より好ましくはC1〜C24、最も好ましくはC1〜C18である。
“ヘテロヒドロカルビル”は、1またはそれ以上のヘテロ原子、好ましくN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含有する基であること以外は、ヒドロカルビルに関して上記に定義した基のことをいう。
アルキルは、好ましくはC1〜C6であり、より好ましくは直鎖C1〜C6であり、特にメチル、エチル、n-プロピルまたはn-ブチルである。
上記に定義した通りの式IIIの化合物を生体適合性のキャリアとともに含む放射性医薬組成物が、同様に本発明により提供される。
“生体適合性のキャリア”は、式IIIの化合物が懸濁されるかまたは溶解され、それによりこの組成物が生理学的に耐容となる、すなわち毒性や過度な不快症状を生じることなくほ乳類動物個体に対して投与することができる、流体、特に液体、である。生体適合性のキャリア培地は、適切には、滅菌した、発熱物質-不含注射用水;塩類溶液などの水溶液(都合よくは、緩衝化されて、それにより注射用の最終生成物が等張であるかまたは低調ではないものとすることができるもの);浸透圧調節剤(例えば、生体適合性の対イオンを伴うプラズマカチオンの塩)、糖(例えば、グルコースまたはスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトールまたはマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)、またはその他の非-イオン性ポリオール材料(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の1またはそれ以上の水溶液;などの注射可能なキャリア液体である。生体適合性のキャリア培地は、アルコールなどの生体適合性の有機溶媒を含むこともできる。そのような有機溶媒は、より脂溶性の化合物または製剤を可溶化するために有用である。好ましくは、生体適合性のキャリア培地は、発熱物質-不含注射用水、等張性塩類溶液、または水溶液エタノール溶液である。静脈内注射用の生体適合性のキャリア培地のpHは、適切には、4.0〜10.5の範囲である。
本発明のさらなる側面は、医薬用途のための上記に定義した式IIIの化合物である。好ましくは、その医薬用途は、高親和性ドパミンサブタイプ2 受容体(D2 high)の発現が乱される症状の診断のための方法である。例えば、これらの受容体の利用可能性は、アルツハイマー病患者における側頭葉において(Joyce et al 1998 Brain Research 784: 7-17)そしてハンチントン病患者における線条体において(van Oostrom et al 2005 Neurology 65: 941-3)、正常と比較して低下していることが示されたが、しかし初期パーキンソン病患者では、同側の被殻と比較して、主症状とは反対側の被殻において増加することが示された(Kassinen et al 2000 J. Nuc. Med. 41: 65-70)。そのような医薬用途は、好ましくは、以下の工程:
(i)検出可能な量の本発明の放射性医薬組成物を投与される被検体を用意し;
(ii)この被検体体内において放射性医薬組成物を高親和性ドパミンサブタイプ2受容体(D2 high)と結合させ;
(iii)その放射性医薬組成物により放射されるシグナルをPETにより検出し;そして、
(iv)そのシグナルの位置および/または量を示す画像を作成する;
ことを含む、ヒトまたは動物の身体の画像を作成する方法を含む。
画像を作成する方法は、検出可能な量の本発明の放射性医薬組成物を投与される被検体を“用意する”ことから始める。本発明の方法の目的は、診断的に有用な画像を提供することである。従って、放射性医薬組成物を被検体に投与することは、その画像の作成を容易にするために必要な予備的工程であると理解することができる。好ましくは、その被検体は哺乳動物であり、そして最も好ましくはヒトである。最も好ましくは、その被検体は、無傷の哺乳動物の身体のin vivoである。好ましい投与経路は、血管内投与である。代わりの態様において、検出可能な量の放射性医薬組成物の投与は、本発明の方法の一部として行うことができる。
用意する工程の後、そして検出する工程の前に、放射性医薬組成物を被検体においてD2 highに対して結合させる。例えば、被検体が無傷の哺乳動物である場合、放射性医薬組成物は、哺乳動物体内を介して動的に移動し、その体内の様々な組織と接触する。いったん放射性医薬組成物がいずれかのD2 highと接触すると、特異的な相互作用が生じ、それによりD2 highを発現する組織からの放射性医薬組成物の排出には、発現していない組織からの排出よりもより長い時間がかかる。D2 highを発現する組織に対して結合した放射性医薬組成物とD2 highを発現していない組織に結合した放射性医薬組成物との比の結果として、D2 highを発現する組織に特異的に結合した放射性医薬組成物の検出が可能になる特定の時点に達するだろう。理想的なその様な比は少なくとも2:1である。
本発明の方法の“検出”工程には、放射性医薬組成物の11Cにより放射されるシグナルを、そのようなシグナルに対して感受性の検出装置により検出することが関与する。この検出の工程は、シグナルデータの取得として理解することもできる。本発明の方法の“作成”の工程は、取得シグナルデータに対して復元アルゴリズムを適用して、データセットを回収するコンピュータにより実行される。次いで、このデータセットを操作して、被検体内の目的の領域を示す画像を作成する。
さらなる側面において、本発明は、高親和性ドパミンサブタイプ2 受容体(D2 high)の発現が乱される症状の診断において使用するための放射性医薬の製造のために、上記に定義した式IIIの化合物を使用することを提供する。
本発明をここで、以下の限定的ではない実施例により説明する。
図1は、[11C]NPAの合成のスキーム図である。
実施例1
本発明の方法に従う[11C]NPAの合成は、スキーム1に示される。
実施例2
11C]-N-プロピオニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(1)の放射性合成:
Figure 0005562036
11C]ヨウ化メチルをTHF(0.2〜0.3 ml)中に溶解したN-アセチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(5〜25μmol)を含有する閉じたバイアルで蒸留した。反応バイアルを、アセトン/ドライアイス浴を使用して-78℃まで冷却した。THF(1等量)中1 Mのリチウムbis-(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)溶液を添加し、そして1分後に反応混合物をメタノール中0.1 M酢酸、0.1 mlを用いて急冷し、その後HPLC移動相(0.1%TFA含有70%水-0.1%TFA含有30%アセトニトリル)を用いて希釈した。サンプルを、Phenomenex Luna C18(2)カラム(150 mm3 4.6 mm 35ミクロン)中、1 ml/min、波長= 254 nmにて解析した。HPLC放射化学的収率は92〜98%であった(図1)。
Figure 0005562036
Sep-Pak法を介した[11C]-N-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(2)の放射性合成:
Figure 0005562036
11C]-N-プロピオニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(1)を上述したように調製した。反応混合物をTHF(15 ml)で事前に調整したライトシリカSep-Pakを通した。0.4〜0.5 mlの追加のTHFを使用して、放射活性生成物(1)を溶出した。LiAlH4(THF中1 M、7等量)を溶出物に対して添加して、そして反応物を7分間で60℃まで加熱した。サンプルを0.1 mlの水酸化ナトリウム水溶液(10%w/w)を用いて急冷し、そして0.2 mlのHPLC移動相(50%(NH42HPO4 0.05 M-50%アセトニトリル)を用いて希釈した。サンプルをPhenomenex Luna C18(2)カラム(150 mm3 4.6 mm 35ミクロン)、1 ml/min、波長= 254 nmで解析した。HPLC放射化学的収率は、75〜95%であった(図2)。
Figure 0005562036
11C]-N-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(2)のワンポット放射性合成:
Figure 0005562036
11C]-N-プロピオニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(1)を上述したように調製した。反応物を無水メタノール(2.5等量)を用いて急冷し、そして室温まで暖めた。LiAlH4(THF中1 M、9等量)を添加し、そして反応物を7分間で60℃まで加熱した。サンプルを0.1 mlの水酸化ナトリウム水溶液(10%w/w)を用いて急冷し、そして0.2 mlのHPLC移動相(50%(NH42HPO4 0.05 M-50%アセトニトリル)を用いて希釈した。サンプルをPhenomenex Luna C18(2)カラム(150 mm3 4.6 mm 35ミクロン)、1 ml/min、波長= 254 nmで解析した。HPLC放射化学的収率は、75〜77%(図3)であった。
Figure 0005562036
実施例3
11C]-(+)-4-プロピオニル-3,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロ-9-トリイソプロピルシリルオキシ-2H-ナフト[1,2-b][1,4]オキサジン(4)の放射性合成:
Figure 0005562036
アセチル前駆体(3)(2〜3 mg、5〜7.5μmol)を100μlのTHF中に溶解した(攪拌が必要)。この溶液をアセトン/ドライアイス浴(-78℃)中で維持し、そしてリチウムbis-(トリメチルシリル)アミド(LHMDS、THF中0.2 M、アセチル前駆体3に対して2.2〜3等量、55〜112μl)の溶液を滴加した。反応混合物(わずかに黄色の溶液)を3〜7分間暖め、そして25μlの11CH3I/THFを添加した。反応を5分未満で完了した(11CH3Iの波形は何も観察されず)。0.2 mlの移動相と0.1 mlの酢酸(メタノール中0.2 M)を含有するバイアルを使用して、分析サンプル(10〜20μl)を急冷した。
Figure 0005562036
アセチル前駆体(3)(2〜3 mg、5〜7.5μmol)を150μlの11CH3I/THF溶液中にて室温で溶解した(攪拌は必要)。LHMDS(THF中0.2 M、2.2等量、55〜82μl)を室温で滴加し、そして反応を5分未満で完了した(11CH3Iの波形は何も観察されず)。0.2 mlの移動相と0.1 mlの酢酸(メタノール中0.2 M)を含有するバイアルを使用して、分析サンプル(10〜20μl)を急冷した。
HPLC条件:
Phenomenex Luna 3μC18(2)、50 3 4.6 mm、100Å。波長= 280 nm、1 ml/min。移動相:20%水(0.1%TFAを含む)-80%アセトニトリル(0.1%TFAを含む)。
保持時間:
アセチル前駆体3(UV):4.5〜4.7分
炭素-11生成物4(放射活性):6.4〜6.7分
未知放射活性生成物:0.7〜0.9分
炭素-11ヨウ化メチル:1.3〜1.4分
4についてのHPLC放射化学的収率は50〜85%であった(図1)。
Figure 0005562036
注:
阻害剤不含無水THFを全ての事例において使用した;
リチウムbis-(トリメチルシリル)アミドを、THF中1 M溶液としてAldrichから入手した。0.2 Mの塩基溶液をグローブ・ボックス中で調製し、そして少なくとも2日間使用することができた;
3、THFおよびLHMDS 0.2 Mを含有する反応混合物を、-78℃にて30分間まで維持できる。
11C]-(+)-4-プロピル-3,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロ-2H-ナフト[1,2-b][1,4]オキサジン-9-オール(PHNO、5)の放射性合成:
Figure 0005562036
アセチル前駆体(3)(2.6 mg、6.4μmol)を100μlのTHF中に溶解した(攪拌が必要)。この溶液をアセトン/ドライアイス浴(-78℃)中で維持し、そしてリチウムbis-(トリメチルシリル)アミド(LHMDS、THF中0.2 M、2.5等量、80μl)の溶液を滴加した。反応混合物(わずかに黄色の溶液)を3〜7分間暖め、そして25μlの11CH3I/THFを添加した。反応物を、無水メタノール(THF中0.2 M溶液、5等量、160μl)を用いて5分後に急冷した。水素化アルミニウムリチウム(THF中1 M溶液、15等量、96μl)を滴加した。反応バイアルには、水素生成のため、この添加のあいだ穴を開ける必要があった。LiAlH4添加後、反応バイアルを60℃で5分間加熱した(穴を開ける必要はない)。0.2 mlの移動相と2滴の酢酸を含有するバイアルを使用して、分析サンプル(10μl)を急冷した。
HPLC条件:
半-調製Phenomenex Luna 10μC18(2)、250 3 10 mm、100Å。波長= 280 nm、3 ml/min。移動相:水/0.1 Mギ酸アンモニウム(酢酸を用いてpH = 4.5に調整)-アセトニトリル。
勾配法を使用した:
0〜1分:25%アセトニトリル
1〜6分:25%〜45%アセトニトリル
6〜10分:45%〜95%アセトニトリル
10〜30分:95%アセトニトリル
30〜35分:25%アセトニトリルに戻す。
保持時間:
4-エチル-3,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロ-2H-ナフト[1,2-b][1,4]オキサジン-9-オール(還元されそして脱保護された前駆体、UV):6.2〜6.4分
炭素-11 PHNO 5(放射活性):7.9〜8.1分
未知放射活性生成物:4.1分、4.7分および6.7分
ヨウ化メチル:13.7分
非放射性前駆体3:25.8分。
5についてのHPLC放射化学的収率は60%であった(図2)。
Figure 0005562036
注:
炭素-11メチル化後のそして還元-脱保護の後の放射性-HPLCピーク領域は、大きくは変化しない、すなわち、4について60%の収率を得られる実験は、5についておよそ60%の収率を有するはずである;
非放射性の実験は、還元-脱保護が3分後に生じ、そのため放射化学において使用された5分はおそらくは減少させることができることを示す。
水素化アルミニウムリチウムの急冷および可溶化:
50μlのLiAlH4(THF中1 Mの溶液)および0.2 ml THFで開始する:
酸性条件:0.5〜0.6 mlの0.5 M HClの添加により、透明な液体を得る
塩基性条件:2 mlのNaOH 1.5 M、EDTA・2ナトリウム塩(0.125 M、2 ml)+ 0.5 ml NaOH 6.25 M、EDTA・3ナトリウム塩(0.1 M、2 ml)+ 0.3 ml NaOH 6.25 Mを添加することにより、透明な溶液を得た。
THFが蒸発される場合には、より少量の試薬を必要とする可能性がある。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]以下の式Iの化合物:
Figure 0005562036
式中、RおよびRは:
a)独立してヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択されるか;または
b)それらが結合する窒素原子と一緒に窒素含有ヘテロヒドロカルビル環を形成し;そして、
およびRは独立して水素、ヒドロカルビル、およびヘテロヒドロカルビルから選択される;
を、塩基の存在下にて、放射性核種を含有する化合物と反応させることを含む、放射性標識された化合物を合成するための方法。
[2]放射性核種が、11C、18F、75Br、76Brおよび124Iから選択される、[1]に記載の方法。
[3]放射性核種が11Cまたは18Fである、[2]に記載の方法。
[4]放射性核種を含有する化合物が式R*Xの化合物であり、式中R*は放射性核種を含有するヒドロカルビルであり、そしてXは離脱基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]R*が放射性標識されたアルキル基である、[4]に記載の方法。
[6]放射性標識されたアルキル基が、放射性標識されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基およびt−ブチル基から選択される、[5]に記載の方法。
[7]放射性標識されたアルキル基が、11Cにより放射性標識されたものである、[5]または[6]に記載の方法。
[8]Xがクロロ、ブロモ、ヨードおよびトリフラートから選択される、[4]〜[8]のいずれか1項に記載の方法。
[9]放射性核種を含有する化合物が11CHIである、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10]式Iの化合物が塩基の存在下にて反応される、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11]RおよびRが独立して水素、およびC〜Cアルキルから選択される、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12]Rがアルキル、アリール、およびアルキルアリールから選択される、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[13]Rが:
Figure 0005562036
式中、−O Protectはアルコール保護基である;
である、[12]に記載の方法。
[14]Rが:
Figure 0005562036
である、[13]に記載の方法。
[15]RおよびRがそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
式中、−O Protectはアルコール保護基である;
を形成する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[16]RおよびRがそれらが結合する窒素と一緒に
Figure 0005562036
式中、R16は水素、ヒドロキシル、アルコキシル、および−O Protectから選択され;ここで−O Protectはアルコール保護基である;
を形成する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[17]RおよびRがそれらが結合する窒素と一緒に五員環または六員環を形成する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[18]式II:
Figure 0005562036
式中、RおよびR10は独立して水素、ヒドロカルビル、およびヘテロヒドロカルビルから選択され;そしてRおよびRは以下の(a)、(b)、または(c):
(a)R
Figure 0005562036
であり、そしてRはヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択される;
(b)RおよびRはそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成する;または
(c)RおよびRはそれらが結合する窒素と一緒に:
Figure 0005562036
を形成し;
式中、R11、R12、R13、R14 およびR15のそれぞれは、独立して水素、ヒドロキシル、アルコキシル、および−[アルコール保護基]から選択される;
において定義される通りであり、
ただし、RおよびRが(b)において定義された通りである場合、RまたはR10のいずれもメチルではない;
の化合物。
[19]さらにただし、RおよびRが(c)において定義された通りである場合、R13〜R15のいずれもが水素ではない、[18]に記載の化合物。
[20]RおよびR10が独立して水素、およびC〜Cアルキルから選択される、[18]または[19]に記載の化合物。
[21]以下の式:
Figure 0005562036
式中、Rはヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルである;
である、[18]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物。
[22]以下の式:
Figure 0005562036
式中、R12は[18]において定義された通りである;
である、[18]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物。
[23]以下の式:
Figure 0005562036
式中、R14およびR15は[18]において定義された通りである;
である、[18]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物。
[24]式III:
Figure 0005562036
式中、RおよびRは:
(a)独立してヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルから選択されるか;または、
(b)それらが結合する窒素原子と一緒に五員環または六員環を形成する;
の化合物。
[25]R
Figure 0005562036
である、[24]に記載の化合物。
[26]RおよびRがそれらが結合する窒素と一緒に以下の式:
Figure 0005562036
の化合物を形成する、[24]に記載の化合物。
[27]RおよびRはそれらが結合する窒素と一緒に以下の式:
Figure 0005562036
式中、R16は水素、ヒドロキシル、およびアルコキシルから選択される;
の化合物を形成する、[24]に記載の化合物。
[28]以下の式:
Figure 0005562036
式中、Rは[24]おいて定義された通りである;
である、[24]または[25]に記載の化合物。
[29]以下の式:
Figure 0005562036
である、[24]または[26]に記載の化合物。
[30]以下の式:
Figure 0005562036
である、[24]または[27]に記載の化合物。
[31][24]〜[30]のいずれか1項に記載の化合物を、生体適合性キャリアと共に含む、放射性医薬組成物。
[32]医学的用途のための、[24]〜[30]のいずれか1項に記載の化合物。
[33]医学的用途が、高親和性ドパミンサブタイプ2受容体(D2 high)の無秩序な発現と関連する症状を診断する、[32]に記載の化合物。
[34](i)[31]に記載の検出可能な量の放射性医薬組成物が投与される被検体を提供し;
(ii)放射性医薬組成物を被検体内で高親和性ドパミンサブタイプ2受容体(D2 high)に対して結合させ;
(iii)この放射性医薬組成物から放出されるシグナルをポジトロン放出型断層撮影法(PET)により検出し;そして、
(iv)このシグナルの位置および/または量を代表的な画像を生成する;
ことを含む、医学的用途が、ヒトの身体または動物のからだの画像を作成する方法を含む、[33]に記載の化合物。
[35]高親和性ドパミンサブタイプ2受容体(D2 high)の無秩序な発現と関連する症状を診断するための方法において使用するための放射性医薬の製造のための、[24]〜[30]のいずれか1項に記載の化合物の使用。

Claims (5)

  1. 以下の式Iの化合物:
    Figure 0005562036
    [式中、RおよびRは:
    a) 独立してヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルから選択されるか;または
    b) それらが結合する窒素原子と一緒に窒素含有ヘテロヒドロカルビル環を形成し;
    ここで、R およびR に存在するヒドロキシルは保護されており;
    そして、
    およびRはどちらも水素である]
    を、塩基の存在下にて、11CHIと反応させ、その後、得られたアミドを還元することを含む、式III:
    Figure 0005562036
    [式中、RおよびRはRおよびRにおいて定義されたものと同じである]
    の放射性標識された化合物を合成するための方法。
  2. がアルキル、アリール、およびアルキルアリールから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. が:
    Figure 0005562036
    [式中、−O Protectはアルコール保護基である]
    である、請求項2に記載の方法。
  4. およびRがそれらが結合する窒素と一緒に:
    Figure 0005562036
    [式中、−O Protectはアルコール保護基である]
    を形成する、請求項1に記載の方法。
  5. およびRがそれらが結合する窒素と一緒に
    Figure 0005562036
    [式中、R16は水素アルコキシル、および−O Protectから選択され;ここで−O Protectはアルコール保護基である]
    を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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