JP5561991B2 - 静電霧化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属ナノコロイドや機能性成分を含む水溶液を超微細なミストとして、空気中、例えば車の室内等に放出する静電霧化装置に関するものである。
従来より、エアコンや空気清浄機では、フィルターを利用して室内環境を改善した。更に近年は、エアコンや空気清浄機からミストを放出し、室内の湿度調節や脱臭、除菌効果も期待できる商品が販売されている。
これらを空気中に放出させる手段として、例えば空気清浄機や加湿器などに内蔵され液体を霧化する霧化装置として、超音波を利用して液体を霧化する超音波霧化装置が知られている。一般に、超音波霧化装置は、超音波を発生する超音波発生手段として圧電素子を備えており、超音波発生手段から出力された超音波により、霧化対象の不揮発性機能性成分含有液をミストとして放出することが可能である。しかし、超音波により発生させたミストは粒子が目視可能な程度に大きく、湿度過剰や濡れが生じて腐食やカビなどを発生させることがあった。
また、液体を霧化する霧化装置としては、超音波霧化装置の他に、特許文献1に開示されているように、キャピラリ電極またはキャピラリ電極及び対極電極に高電圧を印加することにより液体を霧化する静電霧化装置が知られている。
この種の静電霧化装置としては、例えば、液体を入れた容器と、容器から液体を吸い上げるキャピラリ(細管)と、キャピラリの備えた電極と接地極との間に高電圧を印加する高電圧電源とを有しているものが知られている。
このように、近年、エアコンや空気清浄機では、フィルターを利用して空気を清浄化し、在室者に快適な室内環境を提供している。更に近年は、エアコンや空気清浄機からミストを放出し、室内の湿度調節や脱臭、除菌効果も期待できる商品が販売されている。
また、エアコンや空気清浄機、加湿器などでは、室内環境を改善する手段として、コロナ放電を利用したマイナスイオンの発生装置や、水を蒸発させてミストを放出する加湿装置や電気分解を利用したアルカリイオン水のミストを付属機能として装備することがなされている。
例えば、水保持部内に収容されている水に負電圧を印加する印加電極と、接地されている対向電極と、前記の水に接触しているとともに前記対向電極に先端の針状霧化部を対向させて水保持部から吸い上げた水を静電霧化させる吸水体と、前記対向電極との間のコロナ放電でマイナスイオンを発生させるイオン化針とから成るマイナスイオン発生機能付の静電霧化装置を備えた空気清浄機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−79714公報 特開2004−358358公報
特許文献1に開示された静電霧化装置では、高電圧電源が必要となり、高電圧を発生する高電圧回路などのコストが高くなるとともに取り扱いに注意が必要であった。また、静電霧化装置では、オゾンの発生に伴う異臭の発生などの懸念があり、これらの問題を解決するための対策を含めた装置全体のコストが高くなってしまうとともに、装置全体のサイズが大きくなってしまうという懸念があった。
特許文献2に開示されたマイナスイオン発生技術のように、市販されているナノサイズのミスト発生装置は、典型的なコロナ放電作用を利用しているため、マイナスイオンを大量に発生させたり、前記同様にオゾンが発生させたりする。この原因はマイナスイオン量の発生量を大きくする目的でミスト放出基材の先端部を鋭利に尖った形状に形成していることにあり、そのため、ミスト放出基材の先端まで十分な水の吸い上げができず、保水量も少ないために十分なミスト量が得られないので、任意の水分量をミストとして放出することができない。
また、市販されている機能性成分の空気中への放出手段としては、揮発性成分以外ではビタミン類のイオン導入機が挙げられるが、超音波を利用した発生装置ではミスト粒子がミクロンサイズであり大き過ぎるため水滴となって結露しやすく、また、マイナスイオンを利用した発生装置ではミスト粒子がナノサイズと小さいものもあるが、車の室内のように狭い空間の中にオゾンなどの物質が放出されると健康上好ましくない。
そこで、本発明は、室内環境、例えば車の室内などの環境を改善すべく、不揮発性のビタミン類やカテキンなどの機能性成分を混合した水溶液を、超微細なナノサイズのミストとして静電霧化装置の放出ピン部材から外部に大量に放出させる静電霧化装置を提供することを目的とする。
また、機能性水溶液に金属ナノコロイドを配合し、ナノサイズの超微細ミストを静電霧化装置の放出ピン部材から外部に大量に放出させ、室内の脱臭、除菌などの効果を発揮する静電霧化装置を提供することを他の目的とする。
(1)本発明に係る静電霧化装置は、
金属ナノコロイドを配合した水溶液を収容する給水手段と、
多孔質の保水材に、放出ピン部材を突設して形成された多孔質成型体と、
該多孔質成型体に負極が接続され該多孔質成型体を負に帯電させる直流電源とを備え、
前記給水手段から金属ナノコロイドを配合した水溶液を吸い上げて放出ピン部材から金属ナノコロイドを配合したミストを放出する静電霧化装置であって、
前記放出ピン部材は、その長さが異なる複数本を保水材上に突設して形成したものであることを特徴とする。
(2)本発明に係る静電霧化装置は、前記(1)において、
前記金属ナノコロイドが、白金ナノコロイド、又は金ナノコロイドであることを特徴とする。
(3)本発明に係る静電霧化装置は、前記(1)又は(2)において、
金属ナノコロイドを配合した水溶液に、さらに、不揮発性機能性成分を含む水溶液が混合されたものであることを特徴とする。
(4)本発明に係る静電霧化装置は、前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、
前記放出ピン部材が、金属ナノコロイドを配合したものであることを特徴とする。
(5)本発明に係る静電霧化装置は、前記(1)〜(4)のいずれかにおいて、
前記放出ピン部材が、振動手段によって振動しているものであることを特徴とする。
(6)本発明に係る静電霧化装置は、前記(1)〜(5)のいずれかにおいて、
前記静電霧化装置が、車室内にミストを放出するものであることを特徴とする。
(7)本発明に係る静電霧化装置は、前記(6)において、
前記静電霧化装置が、空調ユニットのケース内又はダクト内に設置されているものであることを特徴とする。
本発明の静電霧化装置によれば、次のようなすぐれた効果を奏する。
本発明の静電霧化装置は、金属ナノコロイドを含んだ水溶液を収容する給水手段と、多孔質の保水材に、放出ピン部材を突設して形成された多孔質成型体と、該多孔質成型体に負極が接続され該多孔質成型体を負に帯電させる直流電源とを備え、前記給水手段から金属ナノコロイドを配合した水溶液を吸い上げて放出ピン部材から金属ナノコロイドを配合したミストを放出することを特徴とする。したがって、本発明の静電霧化装置を、たとえば室内や車室内に設置することで、金属ナノコロイドを含んだ水溶液のナノサイズのミスト(超微粒子水)を大量に空気中や車の室内に放出させることができ、室内や庫内を水分でべとつかせることなく、消臭、除菌環境を有効に得ることができる。
本発明の放出ピン部材は、セラミックス材料、合成樹脂材料、金属材料の多孔体、又は、繊維成型体の1種類または2種類以上を複合化して形成されている。また、セラミックス材料等を棒状体として形成したものが挙げられる。放出ピン材を形成する材料が多孔体として無数の微細孔が連続しているものを使用することで、水溶液の効果的な通過を促進する。
放出ピン部材は、給水手段内の水溶液を吸い上げ、その先端部でミストが放出されるように構成されている。放出ピン部材を負に帯電させる直流電源により、放出ピン部材から自然放電現象を生ぜしめ、そのイオン風を利用して機能性成分をミストとともに大量に空気中に放出することができる。したがって、この静電霧化装置を、たとえば室内や車室内に設置することで、室内環境を効果的に改善することができる。
前記機能性水溶液に含まれる不揮発性機能性成分は、ビタミン類、ビタミン誘導体、カテキン、ヒアルロン酸、アミノ酸、コラーゲンのような有機系の水溶性成分、あるいは、銀又は食塩のような無機系可溶性成分のうちの1種類もしくは2種類以上を組み合わせたものとすることができ、これら成分によりさまざまな室内環境に適用して環境改善を図ることができる。
機能性水溶液に、白金ナノコロイド、金ナノコロイド、又はパラジウム・ナノコロイドなどの金属ナノコロイドを含ませることにより、これら金属ナノコロイドの作用により、消臭、除菌効果を有効に得ることができる。
上記のように、本発明の静電霧化装置は、不揮発性機能性成分を含むナノサイズのミスト(微粒子水)を大量に空気中、例えば車の室内等に放出させることができ、室内や車の壁面に結露して水分でべとつかせることがなく、消臭、除菌作用を有効に得ることができる。
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。図1は本発明に係る静電霧化装置の実施の一形態を示す概略図である。図2は放出ピン部材を示す説明図である。
図において、1はナノサイズのミストを放出するミスト発生装置であり、金属ナノコロイドを含んだ水溶液を吸水保持する多孔質成型体2と、金属ナノコロイドを含んだ水溶液を収容し多孔質成型体2に供給する給水手段3と、金属ナノコロイドを含んだ水溶液を保持した多孔質成型体2を負に帯電させる直流電源4と、を備える。ここで、金属ナノコロイドとは、ナノメートルサイズ(平均粒径が1〜50nm)の粒径の白金などの金属をコロイド状態に制御したものをいう。
多孔質成型体2は、吸水性および保水性を有し、平板状を呈する多孔質の保水材11と、保水材11上に突設された多孔質の放出ピン部材12とから構成される。保水材11や放出ピン部材12は優れた吸水力および保水力を備えており、その素材としては、セラミックス材料、合成樹脂材料、金属材料などの、多孔体又は繊維成型体の1種類または2種類以上を複合化して形成されたものが挙げられる。
多孔体や繊維成型体の保水材11を構成するセラミックス材料としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアのような単一酸化物、または、ムライト、ゼオライト、ベントナイト、セビオライト、アタパルジャイト、シリマナイト、カオリン、セリサイト、珪藻土、長石、蛙目粘度、珪酸塩化合物(パーライト、バナミキュライト、セリサイトなど)が挙げられ、天然繊維材料としては、パルプ繊維、綿、ウール繊維、麻繊維などが挙げられ、合成樹脂材料としては、ポリエステル、ナイロンやレーヨン、ウレタン(ポリウレタンを含む)、アクリル、ポリプロピレンなどが挙げられ、金属材料としては、ステンレス、銅、チタン、スズ、プラチナ、金、銀などが挙げられる。
多孔体や繊維成型体の形状の他にも、ハニカム構造やコルゲート構造が挙げられ、パイプ状、シート状、プリーツ状なども挙げられる。必要条件は優れた吸水力および保水力を有するということである。
放出ピン部材12は、棒状体(スティック体)として形成され、水溶液を1〜100nm程度の超微細なミストとして放出する先端部材であり、保水材11の片面(一方の面)に複数本突設されている。放出ピン部材12を棒状体として形成することにより、放出ピン部材12からナノサイズのミストの放出が容易となり、保水材11上に放出ピン部材12を複数本突設することにより、ミストの放出量を増大させることができる。
また、放出ピン部材12の先端部12aの構造は、フラット面よりも先細りになった構造が好ましいが、先端部12aが鋭利に尖っている必要はなく、適度な丸みがあった方が好ましい。すなわち、放出ピン部材12の先端部12aは、丸みを帯びた円もしくは楕円などの曲面に形成することで放出するミストを大量に放出させることができる。
また、各放出ピン部材12は、直径が数mm(例えば2〜4mm)で長さは数十mm(例えば30mm)に形成されているものが好ましく用いることができる。なお、図2(a)に示すように長さが異なったものを交互に配列し先端部12aの高さを変化させると、ミストを高さ方向に広く分布させて放出させることができ好ましい。
放出ピン部材12の保水率は30〜150%程度とすることが好ましく、さらに70〜110%とすることがより好ましい。放出ピン部材12は、保水材11よりも高い吸水力を有することが好ましい。これは、保水材11に吸水した水を保水材11に留まらせることなく、放出ピン部材12へと吸い上げ供給させるためである。
放出ピン部材12としては、セラミックス繊維(セラミックスファイバー、ガラス繊維など)、有機繊維(ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維など)、金属繊維(ステンレス繊維、銅繊維、チタン繊維など)を棒状体として形成したものが挙げられる。
その他、セラミックス粒子や金属粒子を棒状体として焼結させた多孔体や、ウレタン樹脂やスチレン樹脂などの発泡体を棒状体として形成したものが挙げられる。
なお、多孔体の場合、独立した微細泡の集合体であるよりも、無数の微細孔が連続しているものであることが、水溶液が通過する上で都合がよい。
なお、放出ピン部材12としては、上記の素材にさらに白金や金などの金属ナノコロイドを練り込んだものや表面の被覆したものも用いることができる。
セラミックスまたは樹脂、金属等の多孔質構造は、水の吸水特性で放出性能が決定され、特に時間当たりの水の吸い上げ量が重要である。これらの性能は、多孔体のもつ時間当たりの吸水率で性能が決定され、いずれの素材においてもその吸水率は30〜100%程度が適しているが、特に材質別にみれば、セラミックス材料では30〜80%が好ましく、樹脂では70〜110%が好ましく、金属では10〜60%が好ましい。
棒状体の放出ピン部材12として、例えば、多孔体であり無数の微細孔が連続している連続気孔のものを用いることができる。
また、放出ピン部材12を繊維成型体構造に形成する場合の具体的な構成として、セラミックスでは、セラミックスファイバーと呼ばれるガラス質またはシリカやムライト結晶質の繊維をバインダーを用いて成形したものや焼結体が挙げられ、
合成樹脂では、ポリエステルやナイロン、アクリルなどの繊維が挙げられ、短繊維はそれらをバインダーを使って編んだり、または短繊維を絡むように成型したものがある。
また、長繊維はそれらを束ねて(収束して)任意の太さになるようにしたものを適切な使用でカットして用いる。これらの繊維成型体構造では、機能性成分を含む水溶液を保水材11から毛細管現象により吸い上げることができる。
なお、図2に示すように放出ピン部材12を円筒形状とすることもできるが、四角形、三角形などとすることもできる、保水材11に突設される放出ピン部材12の本数は、複数に限らず、1本のみでもよい。
保水材11の形状は、図2(b)や(c)に示すように、円形、四角形などその形は問わない。
また、保水材11上に配置する放出ピン部材の配列は、縦横マス目上の格子状でもよいが、図2(b)や(c)のように平面視で千鳥状に配列すると飛散ミストが重ならず多くの量を放出させることができる。
また、給水手段3は、白金ナノコロイドや金ナノコロイドなどの金属ナノコロイドを含む水溶液を収容するとともに、毛細管現象などを利用して、常時、保水材11に金属ナノコロイドを含む水溶液を供給する手段であり、本実施形態では、収容容器13と、収容容器13内に一端を設けた供給パイプ14とを有し、さらに、収容容器13内の底部には、水量センサ15が付設されている。水量センサ15は、直流電源4に電気的に接続されており、収容容器内の水溶液が無くなると信号を発生し水溶液の補充を促すようになっている。
直流電源4は、例えば、4〜10kV程度のDCマイナス電圧を発生させる電源であり、その負極が保水材11に接続され、水または機能性成分を含む水溶液を保持する保水材11を負に帯電させている。
直流電源4の負極を保水材11に接続することにより、電流は最も放電し易い場所を求めて流れ、通常、先端が尖っている場所や金属など通電性に優れた場所に集まる性質を利用して、放出ピン部材12へと集まることになる。
なお、直流電源4と保水材11との間にコンデンサーを介在させることにより、所定時間ごとに間欠的に保水材11を負に帯電させ、放出ピン部材12から間欠的にミストを霧化させることもできる。
また、保水材11上に突設された多孔質の放出ピン部材12を振動手段によって振動させることにより、放出ピン部材12からのミストの霧化を促進させることができる。
振動手段としては、直流電源4からの駆動による超音波振動、電磁振動、機械的振動などが挙げられる。
金属ナノコロイドを含んだ水溶液に含まれる機能性成分としては、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、ビタミンCエステル((L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム、リン酸アスコルビンマグネシウムなど)、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンDα−リボ酸、アミノ酸、茶菓抽出物(カテキン、タンニン、サポニン、テアニン、カフェインなど)、ヒアルロン酸、コラーゲン、アロマ精油(ラベンダー、ローズマリー、レモングラス、ティートリー、セージ、クローブ、オレンジ、グレープフルーツ、シナモン、ジャスミンなど)、コーヒー豆、茶菓、ワサビ、ヒノキチオール、キチン、キトサン、プロポリスなどのような有機系可溶性成分が挙げられ、その他、無機物(無機系可溶性成分)では、銀または食塩が挙げられる。
ここで、「機能性」とは、生活環境を快適にして、健康に改善できる性質をいい、消臭性(脱臭、分解など)、抗微生物性(抗菌性、殺菌性、静菌性、抗カビ性、抗ウイルス性など)、リラクゼイション性(アロマテラピー性)、保湿性、抗酸化性、有害小生物忌避性、静電気抑制性、防塵性などのうち、少なくとも一種類の性質を有することを意味する。
また、機能性水溶液は、前記機能性成分に加え、金属ナノコロイドを含む。ここで金属ナノコロイドとは、白金ナノコロイド、金ナノコロイド、パラジウム・ナノコロイドなどを指す。水溶液における金属ナノコロイドの水溶液濃度は約0.001%〜0.01%程度とすることが好ましい。
金属ナノコロイドとは、ナノメートルサイズの粒径の白金微粉末をコロイド状態に制御したものであり、平均粒径が1〜100nm程度の、白金や金、パラジウムからなる貴金属微粒子とこの貴金属微粒子をコロイド化する有機物からなるコロイド化剤からなる。
コロイド化剤としては、増粘剤、界面活性剤、カルボキシル基を化学構造中に含むカルボキシル基含有化合物が挙げられ、ポリアクリル酸(Na、Kなどの塩を含む)、ポリメタクリル酸(Na、Kなどの塩を含む)、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン(特に、ポリ−1−ビニル−2−ピロリドン)、ポリビニルアルコール、アミノペクチン、ペクチン、メチルセルロース、メチルスロース、グルタチオン、シクロデキストリン、ポリシクロデキストリン、ドデカンチオール、有機酸(クエン酸などのヒドロキシカルバン酸)、グリセリン脂肪酸エステル(ポリソルべー卜)、カチオン性ミセル−臭化セチルトリメチルアンモニウム、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性)、アルキル硫酸エステルのアルカリ金属塩、それらの混合物が例示できる。
コロイド化剤がカルボキシル基含有化合物である場合は、微細粒子に対して、カルボキシル基のモル数が白金のモル数を基準として80〜180程度になるように含有させることが望ましい。
金属ナノコロイドを含んだ水溶液をミストとして発生する方法は、以上の如く構成されたミスト発生装置(静電霧化装置)1を用いて行われ、保水材11に給水手段3から水または不揮発性の機能性成分を含む水溶液18を供給し、金属ナノコロイドを含んだ水溶液18や不揮発性の機能性成分を含む水溶液18を保持した保水材11に、直流電源4の負極5を接続して負に帯電させるものである。
このように金属ナノコロイドを含んだ水溶液18や不揮発性の機能性成分を含む水溶液18を保持した保水材11を負に帯電させると、保水材11に突設された複数本の放出ピン部材12…の先端部12a…まで電流が流れて自然放電現象が起こり、その放電作用でイオン風が発生し、このイオン風を利用して金属ナノコロイドを含んだ水溶液やビタミン類等の機能性成分をナノサイズ(1〜100nm程度)の目に見えない微細なミスト8…として空気中に放出させることができる。
多孔質成型体2は、セラミックス材料、合成樹脂材料、金属材料の1種類または2種類以上を複合化させて構成されており、放出ピン部材12から放出される水または機能性成分含有ミスト8…の粒子は、多孔質成型体2の電気伝導度あるいは電圧に左右され、およそ1〜100nm程度の粒子ミスト8…になっているので、車に設置されたエアコンや空気清浄機などの送風ファンの風を利用して車室内の隅々まで行き渡らせることができる。
また、金属ナノコロイドを含んだ水溶液のミスト発生装置として、図1に示したミスト発生装置1において、保水材11と放出ピン部材12とを備える多孔質成型体2に、さらに金属ナノコロイドを担持(固定)させた装置としてもよい。
具体的には、放出ピン部材12の重要な特性である吸い上げ性能および保水力に優れた保水材11に、金属ナノコロイド溶液を練り込んだりすることもできる。
なお、多孔体や繊維体は、吸水力および保水力に優れていることが必要であり、特に多孔体の場合にはポーラス構造が連通孔であることが重要である。
素材としては、セラミックス繊維(セラミックスファイバー、ガラス繊維など)や有機繊維(ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維など)、金属繊維(ステンレス繊維、銅繊維、チタン繊維など)などをシート状またはブロック状に成形したものが挙げられ、その他、セラミックス粒子や金属粒子を焼結させた多孔質体やウレタン樹脂やスチレン樹脂などの発泡体が挙げられる。
保水材11に、給水手段3から金属ナノコロイドを含んだ水溶液を供給し、保水状態の保水材11に直流電源4の負極5を接続して負に帯電させると、保水材11に突設された複数本の放出ピン部材12…の先端部12a…まで電流が流れて自然放電現象が起こり、その放電作用でイオン風が発生し、このイオン風により、保水材11に固定された機能性成分は放出ピン部材12まで水溶液として移動しながら、ナノサイズ(1〜100nm程度)の目に見えない微細なミスト8…とともに大量に放出される。
そして、使用する用途に応じて、放出ピン部材12の材質選択や、放出ピン部材12の長さおよび径や先端部12aの形状、本数を適宜設計することにより、水または機能性成分を含むミスト放出量を任意に設計することができる。
本発明の、金属ナノコロイドや機能性成分をミスト8…として空気中に放出することを可能としたミスト発生装置1は、エアコン、空気清浄機および加湿器などの機器に組み込むことができる。例えば、車に組み込む場合は、図3及び図4に示すように、図3は、乗用車等の車両内に備えられた車両用空調装置の空調ユニットの概略構成図である。
図3において、空調ユニット20は、ケース21の内部に、外付けのブロアモータ22に駆動されるブロアファン23と、ブロアファン23により送風された空気を冷却するエバポレータ24と、エバポレータ24で冷却された空気を再加熱するヒータコア25と、ヒータコア25への配風比を調節するエアミックスドア29等とを備えている。
ブロアファン23の前面には、外気導入口27または内気導入口28からの空気の流入比を制御するインテークドア26が設置されている。
電圧で制御されるブロアモータ22により駆動されるブロアファン23で加圧、送風された送風空気は、エバポレータ24を通過して冷却される。
エアミックスドア29は、設定温度などの空調運転条件に応じて開度すなわち配風比が変化する。エアミックスドア29で分配されてヒータコア25を通過した空気と、ヒータコア25を通過しなかった空気とは、ヒータコア25下流で再び合流して車室内に供給される。送風空気は、エアミックスドア29の開度により加熱量が調整される。
また、空調ユニット20は、ヒータコア25下流で再び合流して温度が制御された空調空気がそれぞれ供給されるダクト30と、ダクト30を開閉するベントドア31とを備えている。
図4は、車両用空調装置が搭載されている乗用車を車両斜め上方から見た斜視図である。
図4に示すように、車両のインストルメントパネルの運転席側には車両の中央側および窓側にセンターベント吹出口130およびサイドベント吹出口140が設けられ、助手席側には車両の中央側および窓側にセンターベント吹出口120およびサイドベント吹出口150が設けられ、前席の足元付近にフット吹出口160が設けられている。
空調ユニット20のダクト30内の空調空気は、分岐したダクトを介してそれぞれサイドベント吹出口150、センターベント吹出口120、センターベント吹出口130、サイドベント吹出口140、フット吹出口160から車室内に送風される。
また、本発明のミスト発生装置1は、空調ユニット20のヒータコア25の下流とダクト30との間の空調空気の送風経路に設置されており、その空調空気にミストを供給するようになっている。
なお、本実施の形態では、エバポレータ24に付着している凝縮水を利用して、エバポレータ24の周囲を通過して加湿された空気にミスト発生装置1からミストを供給することによって、乗員の降車時における静電気の除去を行うこともできる。
しかし、エンジンの停止によりブロアファン23は停止して送風は行われなくなるが、ミスト発生装置1に独立した電源を付与することにより、エンジンを切った場合でもミスト発生装置1が独自に駆動させることができるので、ベント吹出口110からのミストが導入された空気は、センターベント吹出口120等から駐車中の車室内に導入することができる。
このように、従来の空調ユニットでは、加湿された空気がケースの内部に保たれているため、カビなどが生え易い環境にあり、車室内に送風される空気もカビ臭いものであったが、本願実施態様のミスト発生装置1をケース21内に設けることにより、カビ菌の発生を抑制し、また防臭効果もある。
また、上記の実施の形態では、ミスト発生装置1は空調ユニット20内のヒータコア25とベントダクト30との間の送風空気の経路に設置されているが、ミスト発生装置1の設置位置は別の位置に設置してもよい。
例えば、ミスト発生装置1は、ベントダクト30の内部、またはベント吹出口120の近傍等に設置することもできる。
以上説明したように、本発明に係る静電霧化装置は、先端部12aまで保水した放出ピン部材12が直流電源4の負極5を接続した場合、大気中6の水蒸気との間に放電現象が起き、OHラジカルが発生するが、オゾンは発生しないように構成したので、放出ピン部材12への水溶液の供給量や吸い上げ速度を制御することができ、機能性成分の放出速度または放出量を制御することができる。
また、微粒子径が小さいミストほど、OHラジカルを多く含むので、化学反応による無臭化や抗菌、抗カビ効果に優れている。
また、多孔質の保水材11に多孔質の放出ピン部材12を突設して形成され吸水性、保水性および吸上げ特性を有する多孔質成型体2と、多孔質成型体2に負極5が接続され多孔質成型体2を負に帯電させる直流高電圧電源4とを備え、かつ、多孔質成型体2が帯電した負に対する正の対極を備えていないので、多孔質の放出ピン部材12…から自然放電現象が起こり、風を利用してナノサイズのミストを大量に放出させることができる。そして、正の対極を備えていないので、放出するミストにオゾンを全く発生させずに済む。また、機能性成分を効率よく含ませてミスト化することができる。
本発明に係る静電霧化装置の実施の一形態を示す説明用概略図である。 放出ピン部材を示す説明図である。 乗用車等の車両内に備えられた車両用空調装置の空調ユニットの概略構成図である。 車両用空調装置が搭載されている乗用車を車両斜め上方から見た斜視図である。
1 ミスト発生装置
2 多孔質成型体
3 給水手段
4 直流電源
5 負極
6 大気中
8 ミスト
11 保水材
12 放出ピン部材
12a 先端部
13 収容容器
14 供給パイプ
15 水量センサ
18 水溶液
19 ファン
20 空調ユニット
21 ケース
22 ブロアモータ
23 ブロアファン
24 エバポレータ
25 ヒータコア
26 インテークドア
27 外気導入口
28 内気導入口
29 エアミックスドア
30 ダクト
31 ベントドア
120 センターベント吹出口
130 センターベント吹出口
140 サイドベント吹出口
150 サイドベント吹出口
160 フット吹出口

Claims (7)

  1. 金属ナノコロイドを配合した水溶液を収容する給水手段と、
    多孔質の保水材に、放出ピン部材を突設して形成された多孔質成型体と、
    該多孔質成型体に負極が接続され該多孔質成型体を負に帯電させる直流電源とを備え、
    前記給水手段から金属ナノコロイドを配合した水溶液を吸い上げて放出ピン部材から金属ナノコロイドを配合したミストを放出する静電霧化装置であって、
    前記放出ピン部材は、その長さが異なる複数本を保水材上に突設して形成したものであることを特徴とする静電霧化装置。
  2. 前記金属ナノコロイドが、白金ナノコロイド、又は金ナノコロイドであることを特徴とする請求項1に記載の静電霧化装置。
  3. 金属ナノコロイドを配合した水溶液に、さらに、不揮発性機能性成分を含む水溶液が混合されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の静電霧化装置。
  4. 前記放出ピン部材が、金属ナノコロイドを配合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電霧化装置。
  5. 前記放出ピン部材が、振動手段によって振動しているものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電霧化装置。
  6. 前記静電霧化装置が、車室内にミストを放出するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電霧化装置。
  7. 前記静電霧化装置が、空調ユニットのケース内又はダクト内に設置されているものであることを特徴とする請求項6に記載の静電霧化装置。
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