JP5561484B2 - 新規アフィニティー担体 - Google Patents
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Description
しかし、アフィニティーカラムクロマトグラフィーでは、リガンド特異的に結合する物質のみならず、非特異的な疎水性相互作用により担体と相互作用する物質が吸着されるという問題があった。
さらに、膜結合型蛋白質の場合、通常の水溶性蛋白質とは異なり、生体内において脂質二重膜に組み込まれた状態で存在するため、取り扱いが非常に難しく、機能や構造等いまだ未解明の部分が多い。そのような膜蛋白質をアフィニティーカラムクロマトグラフィーで精製する場合、膜蛋白質に適したアフィニティー担体や汎用性のある方法が存在しないのが現状である。
ところで、国際公開第2004/25297号パンフレット(特許文献1)には、アフィニティーカラムクロマトグラフィーのリガンドとポリスチレン等の固相担体表面との間に導入可能な親水性スペーサーが記載されており、国際公開第2005/37881号パンフレット(特許文献2)には、親水性スペーサーを、メタクリレート系樹脂のモノマーに組み込んだ、アガロース系樹脂に匹敵する親水性特性を有するアフィニティークロマトグラフィー用樹脂が記載されている。更に国際公開第2006/18901号パンフレット(特許文献3)には、金属の固相担体に親水性スペーサーを導入することにより非特異的蛋白質の吸着が抑制され、かつ分子間の特異的相互作用が増強されることが記載されている。
また、国際公開第2005/10528号パンフレット(特許文献4)には、ステアリン酸等の疎水性キャッピング剤をメタクリレート系樹脂上に固定化し、ターゲット蛋白質探索の障害となる非特異的蛋白質との結合を抑制できること等が開示されており、国際公開第2006/80559号パンフレット(特許文献5)には、リガンドとしてのケトプロフェン及びキャッピング剤としてのステアリン酸がそれぞれ固定化され、固相担体表面の疎水性性質が調節されたアフィニティー用アガロース系固相担体が開示されている。
しかしながら、リガンド特異的に結合する膜結合型蛋白質を効率良く吸着させることができる、キャッピング剤が樹脂上に固定化され、かつリガンドが親水性ポリマーを介して樹脂上に固定化された、アフィニティーカラムクロマトグラフィー用固相担体は知られていなかった。
〔1〕 コレステロール誘導体、脂肪酸誘導体及び脂肪族アミンから選択される疎水性キャッピング剤、並びにリガンドが、親水性樹脂に固定化されてなるアフィニティーカラムクロマトグラフィー用の固相担体であって、前記リガンドが、ポリエチレングリコール部分を含むスペーサーを介して前記親水性樹脂と共有結合していることを特徴とする固相担体;
〔2〕 親水性樹脂が、糖類が重合してなる樹脂、又は高度親水性モノマーが重合してなる樹脂である、〔1〕に記載の固相担体;
〔3〕 糖類が重合してなる親水性樹脂が、セファロース系樹脂、デキストラン系樹脂、セルロース系樹脂、アミロース系樹脂又はアガロース系樹脂である、〔2〕に記載の固相担体;
〔4〕 高度親水性モノマーが重合してなる樹脂が、ポリエチレングリコール基又はポリオール基を有するメタクリル酸が重合したメタクリレート系樹脂である、〔2〕に記載の固相担体;
〔5〕 リガンドが、膜結合型蛋白質に特異的に吸着する物質である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の固相担体;
〔6〕 固相担体が、以下の式(1):
で表される部分構造を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の固相担体;
〔7〕 固相担体が、以下の式(2):
で表される部分構造を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の固相担体;
〔8〕 式(2)において、sが1である、〔7〕に記載の固相担体;
〔9〕 式(1)におけるY1及び式(2)におけるY2が以下の式(3)〜(6):
から独立して選択される二価基、又は前記式(3)〜式(6)から独立して選択される同一もしくは異なる1又は複数の二価基がアミド結合を介して結合して形成される二価基である、〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の固相担体;
〔10〕 式(1)におけるX1、及び式(2)におけるX2が、単結合及び式(7)〜(10):
(7) -X3-(CH2)m-X4-
(8) -X3-(CH2)m-X5-(CH2)n-X4-
(9) -X3-(CH2)m-X5-(CH2)n-X6-(CH2)o-X4-
(10)-X3-(CH2)m-X5-(CH2)n-X6-(CH2)o-X7-(CH2)p-X4-
(式中、X3は単結合又はCOを表し、X5、X6及びX7はO、S、NR1、NHCO又はCONHを表し、X4は酸素原子、NH又はCOを表し、R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、m、n、o及びpは独立して1〜5の整数を表す)
のいずれかで表される二価基から独立して選択されることを特徴とする、〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の固相担体;
〔11〕 式(1)におけるZ1、及び式(2)におけるZ2が、単結合、NH、CO、及び式(11):
(11) −Z3−(CH2)t−Z4−
(式中、Z3はNH又はCOを表し、Z4はNH、CO、NHCO、CONH、CO−O又はO−COを表し、tは1〜5の整数を表す)
で表される二価基から、独立して選択されることを特徴とする、〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の固相担体;
〔12〕 Y1におけるエチレングリコールのユニット数が、Y2におけるエチレングリコールのユニット数よりも2以上大きいことを特徴とする、〔6〕〜〔11〕のいずれかに記載の固相担体;
〔13〕 Y1におけるエチレングリコールのユニット数が2〜36であり、Y2におけるエチレングリコールのユニット数が0〜6である、〔12〕に記載の固相担体;
〔14〕 以下の(a)〜(b)の工程を含む、リガンド特異的結合蛋白質の濃縮、単離又は精製方法:
(a)〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の固相担体及び試料を接触させる工程;及び
(b)固相担体から、リガンド特異的結合蛋白質を溶出する工程;
〔15〕 リガンド特異的結合蛋白質が、膜結合型蛋白質である、〔14〕に記載の精製方法;
〔16〕 〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の固相担体の、アフィニティーカラムクロマトグラフィー用担体としての使用;
に関する。
これら膜結合型蛋白質は、複数のタンパク質が会合して複合体を形成していても良い。膜結合型蛋白質として、受容体、チャンネル、トランスポーター、ポンプ、酵素等が挙げられる。
前記細胞としては特に限定は無く、本発明の固相担体を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーの試料に用いられる細胞として、具体的には、ラット、マウス、ヒト組織から調製された任意の細胞、細胞バンク等より入手可能な細胞株を培養し用いてもよい。
前記細胞小器官としては、核、小胞体、ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ミトコンドリア、ペルオキシソーム等が挙げられる。
本発明のアフィニティークロマトグラフィー用固相担体により精製可能な蛋白質として、好ましくは分子量として5kDa〜500kDaの膜結合型蛋白質が挙げられる。
リガンドもしくは疎水性キャッピング剤における官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、ホルミル基等が挙げられる。また、当該官能基へ変換可能な部分構造としては、特に限定は無く、加水分解によりカルボキシ基へ変換可能なカルボン酸エステル、酸化反応により水酸基へ変換可能な炭素−炭素二重結合等が挙げられ、適宜当業者に周知の合成方法により官能基への変換反応を行えばよい。
また、リガンドに官能基を導入する方法としては、1)芳香族化合物等に酸化剤を用いて水酸基を導入する方法、2)S9mix(ラット等の哺乳動物の腹腔内にフェノバルビタール等の薬物を投与して代謝酵素を誘導した肝ホモジネートの上清画分S9に補助因子を添加したもの)等代謝酵素を用いて水酸基を導入する方法、3)芳香族化合物にニトロ基を導入後、還元剤を用いてアミノ基へ変換する方法、4)芳香族化合物の芳香環上にハロゲン原子を導入後、パラジウム触媒等を用い、カルボン酸等を導入する方法等が挙げられる。
リガンド及び疎水性キャッピング剤は、上記官能基が親水性樹脂やスペーサーとエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、アミン結合、アミド結合、ウレア結合又はウレタン結合等を形成することにより、親水性樹脂に固定化される。従って、反応性を上げるために上記官能基を適宜修飾して固定化してもよく、具体的にはカルボキシ基を酸クロリドや酸ブロミド等の酸ハライドとしたり、水酸基をメタンスルホニル化したりして、官能基の反応性を高めることができる。
セファロース系樹脂としては、GEヘルスケア社製のECHセファロース4B、EAH-セファロース4B(登録商標)等が挙げられる。デキストラン系樹脂としては、GEヘルスケア社製のセファデックス(登録商標)等が挙げられる。
アミロース系樹脂としては、ニュー・イングランド・バイオラボ(New England BioLab)社製のアミロースレジン(Amylose resin、登録商標)、アミロースセファロースレジン、アミロースアガロースアフィニティレジン等が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、シグマ社製のセルロース(商品名:Cellurose(cat.No;22182)、Cellurose,beaded(cat.No; C7079)、Sodium carboxymethyl cellulose(cat.No; 419311))等が挙げられる。
尚、セファロース系樹脂及びアミロース系樹脂は、ともに水酸基を有しているため、カルボキシ基を有する化合物とエステル結合を形成させることができる。また、以下の製造法2で示す方法で、水酸基をアルキル化することにより、カルボキシ基やアミノ基を有する製造中間体へ導くことができる。
ここでリガンド及び疎水性キャッピング剤の親水性樹脂表面上の水酸基に対する結合率(これを固定化率という)は、特に限定はなく、0.1%〜60%程度の水酸基にリガンド又はキャッピング剤が結合している。
また、リガンド及び疎水性キャッピング剤の比は特に限定はなく、リガンド:疎水性キャッピング剤としては、1:100〜100:1が挙げられる。
また、本発明の固相担体は複数種類の疎水性キャッピング剤を有していてもよく、好ましくは、1〜3種類の疎水性キャッピング剤を有していてもよい。複数種類の疎水性キャッピング剤を有する固相担体として、具体的には、コレステロール誘導体及び脂肪酸誘導体、コレステロール誘導体及びリン脂質誘導体が固定化された固相担体を挙げることができる。
リガンドを親水性樹脂に固定化するためのスペーサーとして具体的には、式(1)における「−X1−Y1−Z1−」で表される二価基が、疎水性キャッピング剤を親水性樹脂に固定化するためのスペーサーとして具体的には、式(2)における「−X2−(Y2−Z2)s−」で表される二価基がそれぞれ挙げられる。
式(1)においてX1は単結合又は親水性樹脂における水酸基とポリエチレングリコール部分を共有結合で連結する二価基を表す。X1における二価基は、Y1で表されるポリエチレングリコール部分の末端の官能基と親水性樹脂における水酸基とを化学的に安定につなぐ二価基であれば特に限定はない。すなわち、当該二価基として、任意のメチレン基が適宜酸素原子、硫黄原子、NR1(R1は前記と同義)、NHCO又はCONHで置換されていてもよい化学的に安定な炭素数2〜25の直鎖アルキレンが挙げられる。具体的には、前記式(7)〜式(10)のいずれかで表される二価基が挙げられる。
式(2)においてX2は単結合又は親水性樹脂における水酸基とポリエチレングリコール部分もしくは疎水性キャッピング剤とを共有結合で連結する二価基を表す。
式(2)においてsが0を表す場合、すなわち疎水性キャッピング剤及び親水性樹脂をつなぐスペーサーがポリエチレングリコール部分を含まない場合、X2は疎水性キャッピング剤が親水性樹脂上の水酸基と安定な共有結合を形成するための二価基を表す。また、sが0を表し、疎水性キャッピング剤がカルボキシ基を有する場合、X2は単結合を表していてもよい。
式(2)においてsが1を表す場合、X2は単結合又は親水性樹脂における水酸基とポリエチレングリコール部分を共有結合で連結する二価基を表す。X2における二価基は、Y2で表されるポリエチレングリコール部分の末端の官能基と親水性樹脂における水酸基を化学的に安定につなぐ二価基であれば特に限定はない。すなわち、当該二価基として、任意のメチレン基が適宜酸素原子、硫黄原子、NR1(R1は前記と同義)、NHCO又はCONHで置換されていてもよい化学的に安定な炭素数2〜25の直鎖アルキレンが挙げられる。具体的には、前記式(7)〜式(10)のいずれかで表される二価基が挙げられる。
式(1)におけるY1は、1〜50個のエチレングリコールユニット(−O−CH2CH2−で表わされる二価基)を含むポリエチレングリコール部分を表す。ここでポリエチレングリコール部分は、両端にX1もしくは親水性樹脂における水酸基、及びZ1と、それぞれエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、アミン結合、アミド結合、ウレア結合又はウレタン結合を形成可能な官能基を有する。また、当該ポリエチレングリコール部分は、エチレングリコールユニットを1〜50個含んでいれば、個々のエチレングリコールユニット間の結合様式に特に限定は無く、エチレングリコールが1〜50個重合してポリエチレングリコールを形成しているか、あるいは、エチレングリコールが1〜50個、好ましくは2〜15個重合したポリエチレングリコールの両端に適宜炭素数1〜5個の直鎖アルキレンを介して官能基を有する同一もしくは異なる二価基が1又は複数結合し、全体でエチレングリコールユニットを1〜50個含む二価基を形成していてもよい。具体的には、前記式(3)〜式(6)から選択される二価基、又は前記式(3)〜式(6)から独立して選択される同一もしくは異なる二価基がアミド結合を介して結合して形成される二価基等が挙げられる。
Y1に含まれるエチレングリコールユニット数は好ましくは2〜36であり、更に好ましくは、5から24である。
Y2に含まれるエチレングリコールユニット数は好ましくは1〜6であり、更に好ましくは、1から4である。好ましくは、Y1に含まれるエチレングリコールユニット数は、Y2に含まれるエチレングリコールユニット数よりも2以上大きい。
具体的には、例えばアガロース系樹脂であるアフィゲル102は、アガロース系樹脂の水酸基に、カルボキシ基を有する化合物とアミド結合形成可能なスペーサーが導入されており、以下の式:
また、セファロース系樹脂にはN-ヒドロキシコハク酸イミドで活性エステル化されたカルボキシ基を有する6-Aminocaproic acid N-hydoxysuccinimide ester-activated-Sepharose 4B(登録商標)、6-Aminohexanoic acid N-hydroxysuccinimide ester-activated Sepharose 4B及びCH-activated Sepharose 4B、臭化シアンで活性化されたCNBr-activated Sepharose 4B等がアミノ基を有する化合物を混合するだけでそのまま共有結合を形成できる活性型担体として市販されている。また、アミノ基を有するEAH-Sepharose 4B、及びカルボキシ基を有するECH-Sepahroseが市販されている。更に、エポキシ基を有するEpoxy-activated Sepharose 6Bが、アミノ基、水酸基又はチオール基を有する化合物と共有結合を形成できる担体として市販されている。また、活性化されたチオール基を有するActivated Thiol Sepharose 4Bは、チオール基を有する化合物とジスルフィド結合を形成できる担体として市販されている。
で表される(図1)。ここで、疎水性キャッピング剤もしくはリガンドが固定化されている親水性樹脂上の水酸基の割合、又は、固定化されたキャッピング剤及び固定化されたリガンドの割合に特に限定は無いが、担体としてアフィゲルを用いる場合、水酸基を、アミノ基等を有する基に変換(官能基化)し、当該官能基化された水酸基に対して、リガンドは60%から90%程度、キャッピング剤は0.1%から40%程度が固定化されていることが好ましい。
式(1)のY1や式(2)のY2におけるポリエチレングリコール部分として、以下の式(3)〜(6):
また、式(3)で表される二価基がキャッピング剤もしくはリガンドと結合し、当該キャッピング剤もしくはリガンドがカルボキシ基を有する場合、アミド結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2は単結合を表す。また、式(3)で表される二価基はキャッピング剤もしくはリガンドが水酸基を有する場合、NHCOO結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2はカルボニル基を表す。また、式(3)で表される二価基はキャッピング剤もしくはリガンドがアミノ基を有する場合、NHCONH結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2はカルボニル基を表す。
また、式(3)で表される二価基は、前記式(11)で表される二価基からなるスペーサーを介してキャッピング剤もしくはリガンドと結合してもよく、この場合式(1)におけるZ1又は式(2)におけるZ2は式(11)で表され、式(11)においてZ3はカルボニル基を表す。
また、式(4)で表される二価基がキャッピング剤もしくはリガンドと結合し、当該キャッピング剤もしくはリガンドがカルボキシ基を有する場合、アミド結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2は単結合を表す。また、式(4)で表される二価基はキャッピング剤もしくはリガンドが水酸基を有する場合、NHCOO結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2はカルボニル基を表す。また、式(4)で表される二価基はキャッピング剤もしくはリガンドがアミノ基を有する場合、NHCONH結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2はカルボニル基を表す。
また、式(4)で表される二価基は、前記式(11)で表される二価基からなるスペーサーを介してキャッピング剤もしくはリガンドと結合してもよく、この場合式(1)におけるZ1又は式(2)におけるZ2は式(11)で表され、式(11)においてZ3はカルボニル基を表す。
また、式(5)で表される二価基がキャッピング剤もしくはリガンドと結合し、当該キャッピング剤もしくはリガンドがアミノ基もしくは水酸基を有する場合に用いられ、アミド結合もしくはエステル結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2は単結合を表す。
また、式(5)で表される二価基は、前記式(11)で表される二価基からなるスペーサーを介してキャッピング剤もしくはリガンドと結合してもよく、この場合式(1)におけるZ1又は式(2)におけるZ2は式(11)で表され、式(11)においてZ3はNH基を表す。
また、式(6)で表される二価基がキャッピング剤もしくはリガンドと結合し、当該キャッピング剤もしくはリガンドがアミノ基もしくは水酸基を有する場合に用いられ、アミド結合もしくはエステル結合を介して結合できる。この場合、式(1)におけるZ1、又は式(2)におけるZ2は単結合を表す。
また、式(6)で表される二価基は、前記式(11)で表される二価基からなるスペーサーを介してキャッピング剤もしくはリガンドと結合してもよく、この場合式(1)におけるZ1又は式(2)におけるZ2は式(11)で表され、式(11)においてZ3はNH基を表す。
また、式(1)におけるZ1、及び式(2)におけるZ2が前記式(11)で表わされる場合、キャッピング剤もしくはリガンドがカルボキシ基を有する場合、式(11)におけるZ4はNHを表す。また、キャッピング剤もしくはリガンドが水酸基を有する場合、式(11)におけるZ4はカルボニル基もしくはNHCOを表す。キャッピング剤もしくはリガンドがアミノ基を有する場合、式(11)におけるZ4はカルボニル基もしくはNHCOを表す。
で表される部分構造等が挙げられる。
本発明の固相担体の好ましい態様として、上記式(13)で表される構造を有する固相担体が挙げられる。式(13)において、Y2は、好ましくは上記式(3)〜式(6)から選択される、同一もしくは異なる1〜5個の二価基がアミド結合で結合して形成される二価基を表し、この場合、Y2に含まれるポリエチレングリコールのユニット数は好ましくは1〜6である。好ましくは、Y2が式(3)〜(6)のいずれかを表し、当該式(3)〜(6)においてb、e、h及びkが1〜5、好ましくは1〜3を表す。
式(13)において、Y1としては、好ましくは上記式(3)〜式(6)から選択される同一もしくは異なる1〜5個の二価基がアミド結合で結合して形成される二価基が挙げられ、この場合、Y1に含まれるポリエチレングリコールのユニット数は好ましくは2〜36である。好ましくは、Y1が式(3)〜(6)のいずれかから選択される同一もしくは異なる任意の基が2〜5個結合して形成される二価基を表し、当該式(3)〜(6)においてb、e、h及びkが1〜5、好ましくは2〜3を表す。
以下に本発明の固相担体の製造方法について、具体的に例示する。
〔製造方法1〕
本発明の固相担体は、以下の工程で製造することができる:
すなわち、アミノ基を有する担体、カルボキシ基を有するキャッピング剤及びカルボキシ基を有するリガンドを適当な溶媒中で混合し、脱水縮合剤を用いてアミド化反応を行うことにより、本発明の固相担体を製造することができる。
ここで原料となるアミノ基を有する担体は、以下の工程で製造することができる:
すなわち、1)アルキル化反応(Lgで表される脱離基が臭素原子やメタンスルホニルオキシ基等であり、担体とX1”がエーテル結合をしている場合)、又はジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSCD)もしくは2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート メタナミニウム(HATU)等の縮合剤による脱水縮合反応(Lgで表される脱離基が水酸基であり、担体とX1”がエステル結合をしている場合)、2)アミノ基の保護基を除去する脱保護反応を経て製造することができる。
カルボキシ基を有する担体を用いて以下の工程で本発明の固相担体を製造することもできる:
カルボキシ基を有する担体は、以下の工程で製造することができる:
すなわち、1)アルキル化反応(Lgで表される脱離基が臭素原子やメタンスルホニルオキシ基等であり、担体とX1”がエーテル結合をしている場合)、又はジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSCD)、もしくは2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート メタナミニウム(HATU)等の縮合剤による脱水縮合反応(Lgで表される脱離基が水酸基であり、担体とX1”がエステル結合をしている場合)、2)カルボキシ基の保護基を除去する脱保護反応を経て製造することができる。
あるいは、X1”が−CO(CH2)2−を表す場合、無水コハク酸を用いてカルボキシ基を有する担体を製造することもできる。
次いで、キャッピング剤もしくはリガンドにポリエチレングリコール部分を導入した中間体の製造方法について説明する。
キャッピング剤が水酸基を有する場合、キャッピング剤にポリエチレングリコール部分を導入した中間体は、例えば以下の工程で製造できる。
すなわち、キャッピング剤上の水酸基を、トリホスゲン等の試薬を用いてクロロ蟻酸化し、次いで塩基の存在下にPg-Y2-Hで表される化合物のアミノ基もしくはヒドロキシ基と反応させた後保護基を脱保護する。
リガンドが水酸基を有する場合、リガンドにポリエチレングリコール部分を導入した中間体は、前記と同様の方法で製造できる。
キャッピング剤がカルボキシ基を有する場合、キャッピング剤にポリエチレングリコール部分を導入した中間体は、例えば以下の工程で製造できる:
すなわち、キャッピング剤を、塩基及びジシクロヘキシルカルボジイミド、WSCDもしくはHATU等の脱水縮合剤の存在下にPg-Y2-Hで表される化合物のアミノ基もしくはヒドロキシ基と、反応させた後、保護基を脱保護する。
リガンドがカルボキシ基を有する場合、リガンドにポリエチレングリコール部分を導入した中間体は前記と同様の方法で製造できる。
キャッピング剤がアミノ基を有する場合、キャッピング剤にポリエチレングリコール部分を導入した中間体は、例えば以下の工程で製造できる:
すなわち、キャッピング剤を、塩基及びジシクロヘキシルカルボジイミド、WSCDもしくはHATU等の脱水縮合剤の存在下にPg-Y2-OHで表される化合物のカルボキシ基と反応させた後、保護基を脱保護する。
リガンドがアミノ基を有する場合、リガンドにポリエチレングリコール部分を導入した中間体は前記と同様の方法で製造できる。
尚、上記製造方法3に記載された、アミド化(エステル化)反応及び脱保護反応を適宜繰り返すことにより、より高分子量のポリエチレングリコール部分を導入することができる。
本発明の固相担体は、担体にポリエチレングリコール部分を導入した後、キャッピング剤及びリガンドを固定化することもできる。例えば、以下の式:
(式中、X1”、X1’、X2’、Y1、Y2、Z1、Z2及びLgは前記と同義であり、Pg1及びPg2は異なる条件で脱保護可能な保護基を表す)
で示される方法で製造できる。
すなわち、上記製造方法1〜3に記載のアミド化反応及び脱保護反応を行うことにより、ポリエチレングリコール部分を有する固相担体を製造し、これにリガンド及びキャッピング剤を反応させることができる。
また、カルボキシ基を有する担体から出発して、同様の方法で本発明の固相担体を製造することもできる。
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(b)の工程を含む、リガンド特異的結合蛋白質の濃縮、単離又は精製方法:
(a)〔1〕に記載の固相担体及び試料を接触させる工程;及び
(b)固相担体から、リガンド特異的結合蛋白質を溶出する工程
を包含する。
上記精製方法は、リガンド特異的蛋白質が膜結合型蛋白質である場合に好適である。すなわち、上記精製方法に供される「試料」としては、膜結合型蛋白質を含む試料であれば純度等に限定は無いが、本発明の精製方法は、細胞膜に結合した状態の膜結合型蛋白質を含む試料を精製するために特に有用である。従って試料としては、ヒト、動物由来の生体組織、臓器由来の細胞膜画分を含む試料(粗精製されたものも未精製のものも含む)が挙げられる。
〔工程(a)〕
固相担体と試料は、通常緩衝液(バッファー)中で接触させる。ここで用いられるバッファーとしてはMESバッファー、HEPESバッファー、トリス(Tris)−塩酸バッファー、MOPSバッファー、リン酸(Phosphate)バッファー等が挙げられる。
上記バッファーのpHは5.0〜9.0に調整され、好ましくは6.0〜8.0に調整される。
固相担体と接触させる際の試料の濃度としては特に限定は無いが、蛋白質混合物(ライゼート)、すなわち組織、細胞から抽出したタンパク質混合物の場合、0.1mg/ml〜10mg/mlが好ましく、更に好ましくは0.5mg/ml〜5mg/mlである。
試料及び固相担体を接触させる時間に特に限定はないが、通常10分〜24時間接触させることにより、試料中に含まれる膜結合型蛋白質を固相担体に吸着させることができる。また、通常4〜37℃下に接触させる。
試料を固相担体に吸着させた後、洗浄バッファーで固相担体を3〜20回洗浄する。洗浄バッファーとしては、通常試料を接触させる際に用いたものと同じものを用いる。
リガンド特異的に結合する膜結合型蛋白質の溶出には、通常高濃度にリガンドを溶解した水溶液やバッファーを用いることができる。適宜1〜70%の親水性有機溶媒(アセトニトリルやイソプロパノールが挙げられる)を添加してもよい。また、適宜1%〜5%のSDSや、0.1%〜10%の界面活性剤(例えばチャップス、チャプソー、オクチルグルコシド、ドデシルマルトシド、トリトン等)を添加してもよい。具体的には、0.1MTris−HCl(pH6.8),2%SDS, 20%Glycerol, 0.2%BPB、0.2M DTTからなる組成のバッファーを挙げることができる。
溶出液のpHは特に限定は無く、酸性条件(pH2.0〜5.0)、アルカリ性条件(pH9.0-11.0)、中性条件(pH5.0-9.0)のいずれでもよい。好ましくは中性条件で溶出される。溶出温度は4℃〜95℃である。
溶出された膜結合型蛋白質は、ウェスタンブロッティング等の当業者に公知の方法で検出することができる。すなわち、溶出された蛋白質溶液をSDS-PAGEに付し、PVDF膜等に蛋白質をトランスファーし、抗体等を用いて得られたバンドを解析すればよい。または、溶出された蛋白質溶液をSDS−PAGEに付し、目的のバンドを切りだし、解析すればよい。具体的には、目的のバンドをゲルから切り出し、インゲルトリプシン消化法にて得られるペプチドを質量スペクトル法にて解析することができる。
あるいは、樹脂に結合している状態の蛋白質を溶出することなくトリプシン等の消化酵素で処理し、得られるペプチド断片を含む溶液を質量スペクトル解析することもできる。
(a)ターゲットタンパク質に特異的に結合する公知のリガンドを有する〔1〕に記載の固相担体、ターゲットタンパク質、及び被験物質を接触させる工程;
(b)前記固相担体から、ターゲット蛋白質を溶出する工程;
(c)溶出されたターゲット蛋白質を検出する工程;及び
(d)(c)の検出結果に基づき、ターゲット蛋白質の検出量が小さい被験物質をターゲット蛋白質特異的リガンドであると判定する工程
を包含する。
で表わされる化合物またはその塩が挙げられる。当該化合物またはその塩は、γ−セクレターゼを精製するためのアフィニティークロマトグラフィー用固相担体の製造中間体として有用である。すなわち式(12)で表わされる化合物又はその塩は、γ−セクレターゼのリガンドとする本発明の固相担体を製造するためのスペーサーを導入した化合物に相当する。
前記塩は、当業者に周知の塩であれば特に限定は無く、有機酸塩又は無機酸塩が用いられる。具体的には塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩等を例示することができる。
式(12)で表わされる化合物は、実施例1に記載の方法に準じて製造することができる。
尚、本明細書で用いられる略号は以下のとおりである:
iPr2NEt:ジイソプロピルエチルアミン
AcOEt:酢酸エチル
DMF:ジメチルホルムアミド
WSCD:水溶性カルボジイミド(1−エチルー3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)
HOBt:N-ヒドロキシベンゾトリアゾール
Boc:tert−ブトキシカルボニル
DAPT:N−[N−(3,5−ジフルオロフェニルアセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシン−t−ブチルエステル
HATU:2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート メタナミニウム(2-(1H-7-Azabenzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyl uronium hexafluorophosphate Methanaminium)
得られたBoc体(1−3)(770mg, 1.05mmol) を酢酸エチル60mlに溶かし、4N-HCl/AcOEt (国産化学製;5ml) を加え、室温にて5時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム50mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸塩(1−4)(703mg)を定量的に得た。質量分析結果:MS(m/z): 633(MH+)。
以下に、製造した化合物の1H-NMRデータを示した。
式(1−3)の化合物:
1H-NMR (CDCl3) δ0.67(s, 3H), 0.86 (d, J=6.6Hz, 3H), 0.87 (d, J=6.6Hz, 3H), 0.91 (d, J=6.4Hz, 3H), 0.94-1.06 (m, 3H), 1.00 (s, 3H), 1.06-1.18 (m, 5H), 1.30-1.40 (m, 3H), 1.40-1.45 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.45-1.60 (m, 7H), 1.76 (m, 4H), 1.84 (m, 1H), 1.86 (m, 2H), 1.94 (m, 1H), 2.00 (m, 2H), 2.27 (br d, J=13.1, 5.1, 1.9Hz, 1H), 2.35 (ddd, J=13.1, 5.1, 1.9Hz, 1H), 3.22(br t, J=6.1Hz, 2H), 3.27 (m, 2H), 3.51-3.57(m, 4H), 3.57-3.62 (m, 4H), 3.62-3.66 (m, 4H), 4.48 (m, 1H), 5.36 (m, 1H), 4.95 (br s, 1H), 5.14 (br s, 1H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C43H77O7N2, 733.5725; found, 733.5724.
式(1−4)の化合物:
1H-NMR (CDCl3) δ0.67 (s, 3H), 0.86 (d, J=6.6Hz, 3H), 0.87 (d, J=6.6Hz, 3H), 0.88-0.94 (m, 1H), 0.91 (d, J=6.6Hz, 3H), 0.94-1.06 (m, 3H), 1.00 (s, 3H), 1.04-1.20 (m, 5H), 1.20-1.40 (m, 4H), 1.40-1.60 (m, 6H), 1.76-1.90 (m, 4H), 1.80 (m, 2H), 1.92-2.12 (m, 3H), 2.06 (m, 2H), 2.29 (br dd, J=13.1, 2.3Hz, 1H), 2.34 (ddd, J=13.1, 5.2, 1.7Hz, 1H), 3.20-3-30 (m, 4H), 3.58 (m, 2H), 3.64 (m, 6H), 3.73 (m, 4H), 4.44 (m, 1H), 5.35 (m, 1H), 8.05-8.30 (m, 3H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C38H69O5N2, 633.5201; found, 633.5192
DAPT(1−5)(5.0g、11.56mmol)をジクロロメタン100mlに溶かし室温にて攪拌した。TFA10mlをゆっくりと滴下し、室温にて一昼夜攪拌した。溶媒を留去し、クロロホルム50mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を2回繰り返した。析出した結晶をジエチルエーテルにて洗浄し、結晶を濾取した。減圧下乾燥し、目的のカルボン酸体(1−6)(4.28g)を98.4%にて得た。
カルボン酸体(1−6)(978mg, 2.60mmol) をジクロロメタン40mlに溶かし、窒素気流下、4℃にて攪拌した。WSCD (546μl, 3.12mmol), HOBt (420mg, 3.12mmol) をゆっくりと加え、室温にて60分間攪拌した。再度、4℃にて攪拌後、 Mono-N-t-Boc-amido-dPEG3TM-amine (QUANTA BIODESIGN; 1.0g, 3.12mmol) をジクロロメタン2ml に溶かし、ゆっくりと滴下した。ジイソプロピルエチルアミン(542μl, 3.12mmol) を加え、室温にて60分間攪拌した。溶媒を留去後、反応液を酢酸エチル100mlに溶かし、水100ml、飽和食塩水100mlにて洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のBoc体(1−7)(1.14g)を収率64.6%にて得た。質量分析結果: MS(m/z): 679(MH+)。
得られたBoc体(1−7)(1.14g, 1.68mmol) を酢酸エチル50ml、クロロホルム50mlの混合溶媒に溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製;10ml) を加え、室温にて一昼夜攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム30mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸塩(1−8)(1.0g)を収率97%にて得た。質量分析結果:MS(m/z): 579(MH+)。
N-t-Boc-amido-d-PEG4TM-acid (QUANTA BIODESIGN,; 715mg, 1.96mmol)(1−9)をジクロロメタン(70ml)及びクロロホルム(10ml)の混合溶媒に溶かし、窒素気流下4℃にて攪拌した。 WSCD (343μl, 1.96mmol), HOBt (264mg, 1.96mmol) をゆっくりと加え、室温にて60分間攪拌した。再度、4℃にて攪拌後、アミノ体塩酸塩(1−8) (1.0g,1.63mmol) をジクロロメタン10ml,クロロホルム5mlの混合溶媒に溶かし、反応系中に滴下した。ジイソプロピルエチルアミン(681μl, 3.91mmol) を加え、室温にて60分間攪拌した。溶媒を留去後、クロロホルム100mlを加え、水50ml、飽和食塩水50mlにて洗浄した。無水硫酸マグシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のBoc体(1−10)(1.07g)を収率70.9%にて得た。質量分析結果:MS(m/z): 926(MH+)。
得られたBoc体(1−10)(1.0g, 1.08mmol)をクロロホルム(60ml)−酢酸エチル(20ml)の混合溶媒に溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製;10ml) を加え、室温にて1時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム(30ml)を加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸塩(1−11)(931mg)を定量的に得た。質量分析結果: MS (m/z): 826(MH+)。
尚原料となるDAPTは、公知化合物であり、J. Neurochem. 2001, 76, p173、Org. Biomol. Chem., 2005, 3, p2450-2457、及びBioorganic & Medicinal Chemistry Letters., 2004, 14, p1983-1985に記載の方法で製造できる。また、市販品(シグマ社、Cat. No. D5942)を入手することもできる。
以下に、製造した化合物の1H-NMRデータを示した。
式(1−7)の化合物:
. 1H-NMR (DMSO-d6)δ1.21 (d, J=7.1Hz, 3H), 1.36 (s, 9H), 1.52-1.62 (m, 4H), 2.94 (q, J=6.6Hz, 2H), 3.07 (m, 2H), 3.26-3.54 (m, 14H), 4.40 (quin, J=7.1Hz, 1H), 5.35 (d, J=8.1Hz, 1H), 6.73 (br t, J=6.6Hz, 1H), 6.92-7.00 (m, 1H), 7.06 (tt, J=9.5, 2.4Hz, 1H), 7.22-7.36 (m, 5H), 8.19 (t, J=5.6Hz, 1H), 8.35 (d, J=7.1Hz, 1H), 8.38 (d, J=8.1Hz, 1H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C34H49O8N4F2, 679.3513; found, 679.3519
式(1−8)の化合物:
1H-NMR (DMSO-d6) δ1.22 (d, J=7.1Hz, 3H), 1.58 (quin, J=6.7Hz, 2H), 1.76 (quin, J=6.7Hz, 2H), 2.83 (t, J=6.7Hz, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.30 (t, J=6.7Hz, 2H), 3.38-3.54 (m, 12H), 4.40 (quin, J=7.1Hz, 1H), 5.36 (d, J=7.8Hz, 1H), 6.94-7.00 (m, 2H), 7.07 (tt, J=9.4, 2.4Hz, 1H), 7.22-7.38 (m, 5H), 7.69 (br s, 2H), 8.23 (t, J=5.6Hz, 1H), 8.381 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.383 (d, J=7.1Hz, 1H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C29H41O6N4F2, 579.2989; found, 579.2983.
式(1-10)の化合物:
1H-NMR (DMSO-d6)δ1.22 (d, J=7.2Hz, 3H), 1.37 (s, 9H), 1.54-1.64 (m, 4H), 2.28 (t, J=6.5Hz, 2H), 3.02-3.10 (m, 10H), 3.26-3.54 (m, 28H), 3.57 (t, J=6.5Hz, 2H), 4.41 (quin, J=7.2Hz, 1H), 5.36 (d, J=7.8Hz, 1H), 6.74 (t, J=5.4Hz, 1H), 6.85-7.00 (m, 2H), 7.07 (tt, J=9.5, 2.4Hz, 1H), 7.20-7.40 (m, 5H), 7.78 (t, J=5.6Hz, 1H), 8.21 (t, J=5.6Hz, 1H), 8.36 (d, J=7.2Hz, 1H), 8.39 (d, J=7.8Hz, 1H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C45H70O13N5F2, 926.4933; found, 926.4945.
式(1-11)の化合物:
1H-NMR (DMSO-d6)δ1.22 (d, J=7.1Hz, 3H), 1.52-1.64 (m, 4H), 2.29 (t, J=6.5Hz, 2H), 2.97 (q, J=5.5Hz, 2H), 3.02-3.12 (m, 4H), 3.26-3.62 (m, 30H), 4.40 (quin, J=7.1Hz, 1H), 5.36 (d, J=7.8Hz, 1H), 6.94-7.00 (m, 2H), 7.07 (tt, J=9.5, 2.4Hz, 1H), 7.22-7.38 (m, 5H), 7.77 (br s, 2H), 7.82 (t, J=6.5Hz, 1H), 8.22 (t, J=5.5Hz, 1H), 8.37 (d, J=7.1Hz, 1H), 8.38 (d, J=7.8Hz, 1H);
HRMS-ESI (m/z): [M+H]+calcd. for C40H62O11N5F2, 826.4408; found, 826.4414.
式(1-7)の化合物の製造例(別法)
カルボン酸体(1−6)(587mg, 1.56mmol) Mono-N-t-Boc-amido-dPEG3TM-amine (QUANTA BIODESIGN; 500mg, 1.56mmol) をDMF10ml に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(300μl, 1.72mmol) を加え、氷冷下攪拌した。HATU(渡辺化学工業, Cat, no, A01695; 652mg, 1.72mmol)を加え氷冷下3時間攪拌した。 クロロホルム150mlを加え、有機層を水100mlにて2回、飽和食塩水100mlにて洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のBoc体(1−7)(656mg)を収率62%にて得た。
同様に、縮合剤としてWSCD及びHOBTのかわりにHATUを用いて、式(1−10)、式(1−13)、式(1−14)、式(1−19)、式(1−20)、式(1−21)、式(1−22)、式(6−3)、式(6−4)及び式(9−1)化合物を合成することができる。
樹脂に結合しない化合物(1−11),化合物(1−4)を、HPLCを用い定量した結果、樹脂上のカルボン酸官能基に対して(1-11)が57%,(1-12)が30%固定化された樹脂:DAPT-PEG(2)+コレステロール-PEG(1)(1−13)を得た。
尚、リガンドもしくは疎水性キャッピング剤の固定化率が異なる固相担体は、目的とする固定化率を達成するために理論的に必要なモル比に応じたリガンドもしくは疎水性キャッピング剤を原料として反応させることにより、製造した。
(1)DAPT-PEG(3)-NH2(1−15)の合成
溶媒を留去後、クロロホルム100mlを加え、水50ml、飽和食塩水50mlにて洗浄した。無水硫酸マグシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のBoc体(1−14)(150mg)を収率44%にて得た。質量分析結果:MS (m/z):1173(MH+)。得られたBoc体(1−14)(150mg, 0.128mmol)をクロロホルム10ml−酢酸エチル2mlの混合溶媒に溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製;2ml) を加え、室温にて2時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム30mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全にとばし、目的のアミノ体塩酸塩(1−15)(123mg)を定量的に得た。質量分析結果: MS (m/z): 1073(MH+)。
得られたBoc体(1−17)(645mg, 1.12mmol) を酢酸エチル10ml−クロロホルム30mlの混合溶媒に溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製; 3ml) を加え、室温にて3時間攪拌した。反応完結後、結晶を濾取し、結晶をクロロホルム2mlにて洗浄した。減圧下乾燥し、目的のアミノ体塩酸塩(1−18)(570mg)を定量的に得た。質量分析結果: MS (m/z):473(MH+)。
化合物(1−13)を得た同様の方法で、化合物(1−4)、(1−15)、(1−11),(1−18)を組み合わせることによりポリエチレングリコール部分の長さの異なるアフィニティー樹脂(1−19)(DAPT-PEG(2)+Chole-PEG(0)):
(1)ラット脳抽出物の作成
i) ラット全脳 (2g)を、20mlのバッファーA(subcellular buffer A) (20mM Hepes pH7.5, 50mM KCl, 2mM EGTA+proteaseinhibitor) 中でホモジナイズした。
ii)遠心分離した(回転数1000 x g, 10分間)
iii) ii)で得られた上清を更に遠心分離した(回転数10,000 x g, 15分間)
iv) iii)で得られた上清を更に遠心分離し(回転数100,000 x g, 60分間)、ペレットを得た(0.26g)。
v) 得られたペレット(0.26g)に、1%チャプソー入りバッファーA(1% CHAPSO/buffer A ;2.6ml)を加えて懸濁し、氷冷下に60分間インキュベートした。4℃下に遠心分離(回転数100,000 x g, 30分間)し、2.6mlのbuffer Aを加え、最終濃度が0.5%CHAPSOとなるように調製した。
(2)結合実験
実施例1で調製したアフィニティー樹脂(1−13)(4.8μmol相当)を正確にはかり取り、(1)で得られたラット脳ライゼート(200μl)と示された結合条件(温度・時間)で結合実験を実施した。拮抗(+)はあらかじめLysateに100mM DAPT 0.2μl加え(最終濃度 100μM)、各実験温度にて30分間インキュベーションした後、結合実験に用いた。結合実験終了後、樹脂を12,000xgにて遠心分離し、上澄みを捨て、残された樹脂をbufferB (20mM Hepse pH7.5, 50mM KCl, 2mM EGTA+ protease inhibitor, 0.5%CHAPSO) 800μl にて3回(15分x3)洗浄した。樹脂にSDS用ローディングバッファー(nakalai cat. No; 30566-22, 2-ME(2-メルカプトエタノール)含有電気泳動サンプルバッファー溶液(2x))40μlを加え、90℃にて3分間インキュベーションした。こうして得られたサンプル液を市販のSDSゲル(BioRad ready Gel J, 5-20%SDS, cat. No; 161-J371V)で分離し、そのSDSゲルを解析した。
SDS-PAGEによって分離した蛋白質をPVDF Membrane Filter Paper Sandwich 0.2um Pore Size, 20/pk.(invitrogen cat. No; LC2002)へトランスファーした。PVDF膜をトレーに移し、ブロッキング剤であるBlocking One (nakalai)を50ml加え、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。1次抗体をCan Get Signal Solution 1 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。 2次抗体をCan Get Signal Solution 2 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間インキュベーションした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。検出試薬はECL Plus western Blotting Detection System (GE Healthcare cat. No;RPN2132)を用いて行った。検出装置としてルミノ・イメージアナライザーLAS-1000(富士フィルム)を用いて検出した。
その結果、脳抽出物にあらかじめγ−セクレターゼ阻害剤であるDAPTを添加しなかった場合はγ−セクレターゼ(ニカストリン(Nct),プレセニリン1(PS1-NTF,PS1−CTF),アフ−1(Aph−1),ペン−2(Pen-2)のコンプレックス体)と結合するが、脳抽出物に拮抗剤であるDAPTをあらかじめ添加した場合にはNct,PS1,Aph−1、Pen−2のバンドが検出されなかった。バンドの消失からこれら4つの構成成分がコンプレックス体としてDAPTに特異的に結合していることがわかった。従って、式(1−13)の固相担体とγ−セクレターゼの構成成分との結合は、DAPTにより拮抗される特異的なものであることがわかった。
実施例1と同様の方法で、以下の式(1−22)で表される固相担体(DAPT-(PEG)1-Chol(PEG1))を製造した。
式(1−22):
実施例1で得られた式(1−13)で表される固相担体についてアフィニティークロマトグラフィー用樹脂としてγ−セクレターゼを特異的に結合するか否かを調べた。すなわち、DAPTの固定化率が10%、30%、60%と異なる3種類の固相担体について、結合実験、SDS−PAGE、ウエスタンブロッティング実験により得られるバンドを解析した。
実施例1で調製したアフィニティー樹脂(1−13)(4.8μmol相当)を正確にはかり取り、実施例3と同様の方法で得られたラット脳ライゼート(200μl)と示された結合条件(温度・時間)で結合実験を実施した。結合実験終了後、樹脂を12,000xgにて遠心分離し、上澄みを捨て、残された樹脂をbufferB (20mM Hepse pH7.5, 50mM KCl, 2mM EGTA+ protease inhibitor, 0.5%CHAPSO) 800μl にて3回(15分x3)洗浄した。樹脂にSDS用ローディングバッファー(nakalai cat. No; 30566-22, 2-ME(2-メルカプトエタノール)含有電気泳動サンプルバッファー溶液(2x))40μlを加え、90℃にて3分間インキュベーションした。こうして得られたサンプル液を市販のSDSゲル(BioRad ready Gel J, 5-20%SDS, cat. No; 161-J371V)で分離した。
ウエスタンブロッティング
SDS-PAGEによって分離した蛋白質をPVDF Membrane Filter Paper Sandwich 0.2um Pore Size, 20/pk.(invitrogen cat. No; LC2002)へトランスファーした。PVDF膜をトレーに移し、ブロッキング剤であるBlocking One (nakalai)を50ml加え、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。1次抗体をCan Get Signal Solution 1 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。 2次抗体をCan Get Signal Solution 2 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間インキュベーションした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。検出試薬はECL Plus western Blotting Detection System (GE Healthcare cat. No;RPN2132)を用いて行った。検出装置としてルミノ・イメージアナライザーLAS-1000(富士フィルム)を用いて検出した。
結果を図2に示す。
図2に示すとおり、アフィゲル102ゲル上のアミノ基を無水コハク酸で処理することで得られるカルボン酸樹脂(1−12)上のカルボキシル基に対し、10%〜100%でDAPTがポリエチレングリコールを介して固定化されている固相担体(レーン1−4)、及び樹脂上のカルボキシル基(1−12)に対し、30%でコレステロールが固定化されている固相担体(レーン8)にはγ−セクレターゼが全く結合できないのに対して、樹脂上のカルボキシル基(1−12)に対し、10〜60%にポリエチレングリコールを介してDAPTが固定化され、かつ30%にコレステロールが固定化されている固相担体(レーン5−7)にはγ−セクレターゼの4種類の構成成分が結合した。
また、式(1−13)で表される固相担体が、サンプル中に存在する多量の蛋白質を非特異的に吸着するものでないことを確認した。SDS−PAGE後、ゲルを10%酢酸40%メタノール水溶液中で30分間振とうし、溶液を除いた後、CBB染色液(ナカライテスク製)50ml中にて15分間振とうした。水でゲルを数回洗い得られたバンドを解析した。結果を図3に示す。
図3に示されるとおり、式(1−13)で表される固相担体は、多量に存在する蛋白質を非特異的に結合するものではないことが確認された。一方アフィゲルのかわりに疎水性樹脂であるトーヨーパールを用いて製造した固相担体で同様の実験を行った。その結果、図4に示されるとおり、式(1−13)に相当する固相担体(1)及び式(1−19)に相当する固相担体(2)においては、いずれも非特異的な蛋白質の結合が観察された。
(1) C18-PEG(1)-NH2(6−2)の合成
ステアリン酸(404mg,1.42mmol)をジクロロメタン60mlに溶かし、氷冷下攪拌した。WSCD (343μl, 1.96mmol)、HOBt (264mg, 1.96mmol) をゆっくりと加え、室温にて60分間攪拌した。再度、4℃にて攪拌後、Mono-N-t-boc-amido-dPEG3TM-amine(1−2) (QUANTA BIODESIGN製; 500mg,1.56mmol) をジクロロメタン1mlに溶かし、ゆっくりと滴下した。ジイソプロピルエチルアミン(494μl, 2.84mmol) を加え、室温にて一昼夜攪拌した。減圧濃縮後、酢酸エチル200mlを加えた。酢酸エチル層を水100ml、飽和食塩水にて洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。目的のBoc体(6−1)(730mg)を収率87%にて得た。質量分析結果:HRMS-ESI (m/z):[M+H]+calcd.for C33H67O6N2, 587.4994; found, 587.4986。
得られたBoc体(700mg, 1.19mmol) を酢酸エチル60mlに溶かし、4N-HCl/AcOEt (国産化学製;5ml) を加え、室温にて5時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム50mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸(6−2)を得た。質量分析結果:HRMS-ESI(m/z):[M+H]+calcd.for C28H59O4N2, 487.4469; found, 487.4449 。
実施例1に記載の方法で調製したカルボン酸樹脂(1−12)(36μmol)にDMF10mlを加え、WSCD(7.5μl, 43.2μmol), HOBt (5.8mg, 43.2μmol)を加え室温にて30分間攪拌した。化合物(1−11)(18.6mg, 21.6μmol), C18-PEG(1)-NH2 (5.7mg, 10.8μmol), エタノールアミン(0.22mg, 3.6μmol), iPr2NEt (15μl, 86.4μmol)を加え、室温にて一昼夜攪拌した。樹脂をDMFにて洗浄後、引き続き20%エタノール水溶液にて洗浄し、目的の固相担体:DAPT-PEG(2)+C18-PEG(1)(6−3)を得た。
上記(2)と同様の方法で、カルボン酸樹脂(1−12)(36μmol)にDMF10mlを加え、WSCD(7.5μl, 43.2μmol), HOBt (5.8mg, 43.2μmol)を加え室温にて30分間攪拌した。化合物(1−11)(18.6mg, 21.6μmol), 化合物(1−4)(2.4mg,3.6μmol),C18-PEG(1)-NH2(6−2) (3.8mg,7.2μmol), エタノールアミン(0.22mg, 3.6μmol), iPr2NEt (15μl, 86.4μmol)を加え、室温にて一昼夜攪拌した。樹脂をDMFにて洗浄後、引き続き20%エタノール水溶液にて洗浄し、目的の固相担体:DAPT-PEG(2)+C18-PEG(1)+コレステロール-PEG(1)(6−4)を得た。
コレステロール以外のキャッピング剤の効果を検討した。
すなわち、60%DAPT−PEG(2)にキャッピング剤であるC18−PEG(1)、又はコレステロール−PEG(1)及びC18−PEG(1)を導入した樹脂を作成し、γ−セクレターゼの結合量を解析した。
実施例6で調製したアフィニティー樹脂(6−3)(4.8μmol相当)を正確にはかり取り、実施例3と同様の方法で得られたラット脳ライゼート(200μl)と示された結合条件(温度・時間)で結合実験を実施した。結合実験終了後、樹脂を12,000xgにて遠心分離し、上澄みを捨て、残された樹脂をbufferB (20mM Hepse pH7.5, 50mM KCl, 2mM EGTA+ protease inhibitor, 0.5%CHAPSO) 800μl にて3回(15分x3)洗浄した。樹脂にSDS用ローディングバッファー(nakalai cat. No; 30566-22, 2-ME(2-メルカプトエタノール)含有電気泳動サンプルバッファー溶液(2x))40μlを加え、90℃にて3分間インキュベーションした。こうして得られたサンプル液を市販のSDSゲル(BioRad ready Gel J, 5-20%SDS, cat. No; 161-J371V)で分離した。
ウエスタンブロッティング
SDS-PAGEによって分離した蛋白質をPVDF Membrane Filter Paper Sandwich 0.2um Pore Size, 20/pk.(invitrogen cat. No; LC2002)へトランスファーした。PVDF膜をトレーに移し、ブロッキング剤であるBlocking One (nakalai)を50ml加え、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。1次抗体をCan Get Signal Solution 1 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。 2次抗体をCan Get Signal Solution 2 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間インキュベーションした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。検出試薬はECL Plus western Blotting Detection System (GE Healthcare cat. No;RPN2132)を用いて行った。検出装置としてルミノ・イメージアナライザーLAS-1000(富士フィルム)を用いて検出した。
カルボン酸樹脂(1−12)上のカルボキシル基に対し、100%でDAPTがポリエチレングリコールを介して固定化されている固相担体、カルボン酸樹脂(1−12)上のカルボキシル基に対し、30%でステアリン酸が固定化されている固相担体及びカルボン酸樹脂(1−12)上のカルボキシル基
に対し、30%でコレステロールが固定化されている固相担体にはγ−セクレターゼが全く結合できなかった。一方、カルボン酸樹脂(1−12)上のカルボキシル基に対し、60%でDAPTがポリエチレングリコールを介して固定化され、かつ30%もしくは20%のコレステロールが固定化されている固相担体、30%もしくは20%のステアリン酸が固定化されている固相担体、並びに10%のコレステロール及び10%ステアリン酸が固定化されている固相担体にはγ−セクレターゼの4種類(Nct, PS1(PS1-NTF,PS1-CTF), Aph-1, Pen2)の構成成分が結合した。
キャッピング剤であるコレステロール−PEG(1)を固定化し、リンカーの長さが異なるDAPTをそれぞれ固定化したアフィニティー樹脂を用い、特異的結合γ−セクレターゼを解析した。
実施例2で調整したアフィニティー樹脂(1−21)(4.8μmol相当)を正確にはかり取り、実施例3と同様の方法で得られたラット脳ライゼート(200μl)と示された結合条件(温度・時間)で結合実験を実施した。拮抗(+)はあらかじめLysateに100mM DAPT 0.2μl加え(最終濃度 100μM)、各実験温度にて30分間インキュベーションした後、結合実験に用いた。結合実験終了後、樹脂を12,000xgにて遠心分離し、上澄みを捨て、残された樹脂をbufferB (20mM Hepse pH7.5, 50mM KCl, 2mM EGTA+ protease inhibitor, 0.5%CHAPSO) 800μl にて3回(15分x3)洗浄した。樹脂にSDS用ローディングバッファー(nakalai cat. No; 30566-22, 2-ME(2-メルカプトエタノール)含有電気泳動サンプルバッファー溶液(2x))40μlを加え、90℃にて3分間インキュベーションした。こうして得られたサンプル液を市販のSDSゲル(BioRad ready Gel J, 5-20%SDS, cat. No; 161-J371V)で分離した。
ウエスタンブロッティング
SDS-PAGEによって分離した蛋白質をPVDF Membrane Filter Paper Sandwich 0.2um Pore Size, 20/pk.(invitrogen cat. No; LC2002)へトランスファーした。PVDF膜をトレーに移し、ブロッキング剤であるBlocking One (nakalai)を50ml加え、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。1次抗体をCan Get Signal Solution 1 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間振とうした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。 2次抗体をCan Get Signal Solution 2 (TOYOBO, cat. No;NKB-101)にて希釈し、室温にて1時間インキュベーションした。TBS-Tにて3回洗浄した(10分x3)。検出試薬はECL Plus western Blotting Detection System (GE Healthcare cat. No;RPN2132)を用いて行った。検出装置としてルミノ・イメージアナライザーLAS-1000(富士フィルム)を用いて検出した。
図5に示すとおり、親水性樹脂及びDAPTの間のポリエチレングリコール部分の長さが長い程、γ−セクレターゼの構成成分が良好に結合している(レーン3、5及び7)。一方、親水性樹脂及びDAPTの間にポリエチレングリコールを含まない固相担体(レーン1)では、PS−1(C末端を認識する抗体で検出したもの)及びPen−2の結合量が十分でないことがわかった。
実施例2と同様の方法で、以下の固相担体を製造した。
DAPT(式(1−5)で表される化合物)の代わりに、カラゾロール(Carazolol; Life Sci. 1979, 24(24), 2255-64を参照):
式(10−6)で表される化合物を製造した。
得られたBoc体(1.185g, 2.77mmol)をクロロホルム30mlに溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製;5ml)を加え、室温にて6時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム30mlを加え、減圧下溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸塩(10−4)を定量的に得た。
HRMS-ESI(m/z):[M+H]+calcd.for C19H25N3O2, 328.2020; found, 328.2018.
N-t-Boc-amido-d-PEG4TM-acid (化合物(1−9);QUANTA BIODESIGN; 500mg, 1.37mmol)と得られたアミノ体塩酸塩(化合物(10−4);548mg,1.37mmol)をDMF3mlに加え窒素気流下4℃にて攪拌した。HATU(572mg, 1.51mmol), ジイソプロピルエチルアミン(107μl, 2.736mmol)を加え、窒素気流下、4℃にて1時間攪拌した。クロロホルム100mlを加え、水50ml、飽和食塩水50mlにて有機層を洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて有機層を乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のBoc体(化合物(10−5);359mg)を収率38.9%にて得た。
HRMS-ESI(m/z): [M+H]+calcd.for C35H54N4O9, 675.3964; found, 675.3960.
得られたBoc体(10−5)(302mg, 0.45mmol)をクロロホルム30mlに溶かし、4M(N)-HCl/AcOEt (国産化学製;5ml)を加え、室温にて6時間攪拌した。反応完結後、溶媒を留去し、クロロホルム30mlを加え、減圧下溶媒を留去した。
この操作を3回繰り返した。真空ポンプにて溶媒を完全に留去し、目的のアミノ体塩酸塩(化合物(10−6))を定量的に得た。HRMS-ESI(m/z): [M+H]+calcd.for C30H46N4O7, 575.3439; found, 575.3440.
実施例11
すなわち、以下の式(11−1)で表される固相担体(Carazolol-PEG(1)-Chole-PEG(1)を製造した。
式(11−1):
Affi-Gel 102Gel (BIO-RAD, cat. No; 153-2401) 12ml(144μmol) をDMFにて置換し、無水コハク酸(28.8mg, 288μmol)、iPr2NEt (75μl, 432μmol)を加え、室温にて一昼夜攪拌した。樹脂をDMFにて洗浄後、ニンヒドリンテストを行い、定量的に目的のカルボン酸体 (1−12)が得られたのを確認した。引き続き、樹脂を20%無水酢酸DMF溶液にて30分間室温で攪拌した。得られたカルボン酸樹脂(1−12)(36μmol)にDMF10mlを加え、アミノ体塩酸塩(10−6)(14mg, 21.6μmol),(化合物(1−4)(7.2mg, 10.8μmol), エタノールアミン(0.22mg, 3.6μmol),HATU(15mg, 39.6μmol), iPr2NEt (22.5μl, 129.6μmol)を加え、室温にて一昼夜攪拌した。樹脂をDMFにて洗浄後、引き続き20%エタノール水溶液にて洗浄し、目的の固相担体:Carazolol-PEG(1)+コレステロール-PEG(1)(式(11-1))を得た。
Claims (8)
- コレステロール誘導体、炭素数14〜20の脂肪酸誘導体及び炭素数8〜18の脂肪族アミンから選択される疎水性キャッピング剤、並びにリガンドが、親水性樹脂に固定化されてなるアフィニティーカラムクロマトグラフィー用の固相担体であって、以下の式(1):
で表される部分構造を有し、
前記コレステロール誘導体が以下の群:
コレステロール(cholesterol)、5α-コレスタン-3β-オール(5α-cholestan-3β-ol)、5β-コレスタン-3α-オール(5β-cholestan-3α-ol)、5β-コレスタン-3β-オール(5β-cholestan-3β-ol)、α-コレスタノール(α-cholestanol)、デスモステロール(desmosterol)及びエピコレステロール(epicholesterol)から選択され、
式(1)におけるリガンドが膜結合型蛋白質に特異的に吸着する物質であり、分子量1000以下のアフィニティーカラムクロマトグラフィーにおけるプローブとなり得る低分子化合物であり、
式(1)における親水性樹脂が、セファロース系樹脂、デキストラン系樹脂、セルロース系樹脂、アミロース系樹脂、アガロース系樹脂、又は、ポリエチレングリコール基もしくはポリオール基を有するメタクリル酸が重合したメタクリレート系樹脂であり、
式(1)におけるX 1 及びX 2 が、単結合及び式(7)〜(10):
(7) -X 3 -(CH 2 ) m -X 4 -
(8) -X 3 -(CH 2 ) m -X 5 -(CH 2 ) n -X 4 -
(9) -X 3 -(CH 2 ) m -X 5 -(CH 2 ) n -X 6 -(CH 2 ) o -X 4 -
(10)-X 3 -(CH 2 ) m -X 5 -(CH 2 ) n -X 6 -(CH 2 ) o -X 7 -(CH 2 ) p -X 4 -
(式中、X 3 は単結合又はCOを表し、X 5 、X 6 及びX 7 はO、S、NR 1 、NHCO又はCONHを表し、X 4 は酸素原子、NH又はCOを表し、R 1 は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、m、n、o及びpは独立して1〜5の整数を表す)
のいずれかで表される二価基から独立して選択され、
式(1)におけるY 1 及びY 2 が以下の式(3)〜(6):
から独立して選択される二価基、又は前記式(3)〜式(6)から独立して選択される同一もしくは異なる1又は複数の二価基がアミド結合を介して結合して形成される二価基である固相担体。 - 式(1)において、sが1である、請求項1に記載の固相担体。
- 式(1)におけるZ1及びZ 2が、単結合、NH、CO、及び式(11):
(11) −Z3−(CH2)t−Z4−
(式中、Z3はNH又はCOを表し、Z4はNH、CO、NHCO、CONH、CO−O又はO−COを表し、tは1〜5の整数を表す)
で表される二価基から、独立して選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固相担体。 - Y1におけるエチレングリコールのユニット数が、Y2におけるエチレングリコールのユニット数よりも2以上大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の固相担体。
- Y1におけるエチレングリコールのユニット数が2〜36であり、Y2におけるエチレングリコールのユニット数が0〜6である、請求項4に記載の固相担体。
- 以下の(a)〜(b)の工程を含む、リガンド特異的結合蛋白質の濃縮、単離又は精製方法:
(a)請求項1〜5のいずれかに記載の固相担体及び試料を接触させる工程;及び
(b)固相担体から、リガンド特異的結合蛋白質を溶出する工程。 - リガンド特異的結合蛋白質が、膜結合型蛋白質である、請求項6に記載の精製方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の固相担体の、アフィニティーカラムクロマトグラフィー用担体としての使用。
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