以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、一態様を示すものであり、限定するものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る記録装置の内部構造を示す断面図である。以下、記録装置としてのインクジェット式プリンター(以降、「プリンター」という)を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施形態における記録装置1は、記録実行領域56での搬送方向D1と交差し、図面に対して垂直方向である幅方向D4に往復移動し得るキャリッジ40の下面に記録ヘッド42を搭載したプリンターである。
記録装置1は、複数枚の記録媒体としての印刷用紙(以降、「用紙」という)Pを収容する積載装置10、用紙Pを給送する給送装置3、用紙Pに対して記録処理を行う記録部4、用紙Pを搬送経路に沿って搬送する搬送装置5、キャリッジ40の位置を検出するエンコーダー装置7、用紙Pを搬送方向D1に搬出させる排出装置6、及び各構成装置の動作を総括的に制御する不図示の制御部等を備えている。
積載装置10は、複数枚の用紙Pを重ねて収容するカセット11、カセット11を装着する装着部13、分離斜面12、規制ユニット100を備えて構成されている。記録装置1の使用者は、カセット11を装着部13に対して装着方向D2から装着する。
装着部13は、使用者がカセット11を装着方向D2から移動させたとき、カセット11を装着方向D2にガイドするガイド部(不図示)が備えられる。装着部13は、カセット11を分離斜面12に対して所定の位置で固定することができる。カセット11が装着部13によって固定された位置から、使用者がカセット11を装着方向D2と反対側に移動させると、カセット11は装着部13から取り外される。
分離斜面12は、カセット11の装着方向D2における下流側に配設される。分離斜面12は、カセット11内に収容された複数枚の用紙Pを、一枚ずつ分離しながら記録部4側に案内するための斜面を有し、用紙Pが枚葉搬送される搬送経路となる。
規制ユニット100は、複数枚の用紙Pが収容されたカセット11を装着部13に装着する際、用紙Pにおける分離斜面12側の端部Pseを規制し、装着部13にカセット11を装着したときに、時間差を有して端部Pseの規制を解除する。
給送装置3は、カセット11内に収容された用紙Pのうち、最上位のものを順番に分離斜面12側に繰り出すピックアップローラー16と、繰り出された最上位の用紙Pを分離しながらU字反転経路50に導く際に、分離できなかった後続の用紙Pを最上位の用紙Pから完全に分離させる分離ローラー21と、U字反転経路50に倣って用紙Pを搬送する中間搬送用ローラー25,31と、を備えて構成されている。
搬送装置5は、上述した積載装置10、ユニットフレーム81、搬送用ローラー34、搬送従動ローラーホルダー82、トレイ55等を備える。搬送用ローラー34は、搬送駆動ローラー35と搬送従動ローラー36とによって構成される。ユニットフレーム81には、積載装置10、搬送駆動ローラー35、搬送従動ローラーホルダー82、トレイ55が取り付けられている。また、このユニットフレーム81には、用紙Pの搬送姿勢を支持する支持部材38が設けられている。
搬送従動ローラー36は、搬送従動ローラーホルダー82に複数軸支されている。搬送従動ローラーホルダー82には、複数の付勢バネ(不図示)が接続されており、この付勢バネの弾性力によって、搬送従動ローラー36が搬送駆動ローラー35側へ常に付勢されている。
記録部4は、用紙Pに対して記録処理を行う記録ヘッド42と、記録ヘッド42を搭載するキャリッジ40と、を備えている。記録ヘッド42は、インクカートリッジ(不図示)を保持するキャリッジ40の底部に搭載される。記録ヘッド42は、用紙Pの搬送経路において、搬送用ローラー34よりも下流側に設けられた支持部材38と上下方向で対向するように配置されている。そして、搬送用ローラー34によって支持部材38上に供給された用紙Pに対して所定の記録が行われる。
キャリッジ40は、ユニットフレーム81に取り付けられたキャリッジガイド軸41に支持されている。このキャリッジ40は、タイミングベルト(不図示)を介してキャリッジモーター(不図示)に連結されている。これにより、キャリッジ40は、キャリッジモーターが駆動されると、キャリッジガイド軸41に沿って、図面に対して垂直な走査方向(用紙Pの幅方向)D4に往復移動する。
キャリッジ40は、キャリッジガイド軸41を支軸として支持部材38に対して鉛直方向D3に上下変動することにより、用紙Pの厚み等に応じて支持部材38と記録ヘッド42とのギャップPGを変化できるようになっている。また、キャリッジ40にはインクカートリッジ(不図示)が着脱可能に取り付けられている。このインクカートリッジ内のインクは、記録ヘッド42に送られる。
エンコーダー装置7は、走査方向D4におけるキャリッジ40の位置を検出するものであり、所定のパターンが形成されたエンコーダースケール71と、エンコーダースケール71のパターンを光学的に検出する検出センサー20と、を備えている。
エンコーダースケール71は、走査方向D4に延在するようにしてユニットフレーム81内に張設されている。エンコーダースケール71には、走査方向D4に亘って遮光部と透過部とが交互に配置されてなる所定のパターンが形成されている。
検出センサー20は、キャリッジ40の背面側に一体的に設けられている。検出センサー20は、キャリッジ40に追従して移動することで、エンコーダースケール71に形成された所定のパターンを読み取り、キャリッジ40の移動量を検出するようになっている。検出センサー20としては、例えば光学式センサーや磁気式センサーを用いることができる。
排出装置6は、排出用ローラー43と排出用スタッカー46とを備えている。排出用ローラー43は、排出駆動ローラー44と排出従動ローラー45によって構成されている。搬送用ローラー34の回転によって搬送された用紙Pが、支持部材38を通って排出用ローラー43に供給されるようになっている。排出駆動ローラー44は、上述した搬送駆動ローラー35と同一の駆動モーターに接続されており、互いに連動して作動する。
排出用スタッカー46は、記録処理後の用紙Pを積畳状態でスタックするためのものであり、カセット11の装着面の上方に設けられている。
このような記録装置1においては、使用者がカセット11を装着方向D2に移動させ、装着部13にカセット11を装着すると、上述した規制ユニット100によってカセット11に収容された複数枚の用紙Pの端部Pseが揃えられる。その後、ピックアップローラー16によってU字反転経路50に供給された1枚の用紙Pが、分離ローラー21、中間搬送用ローラー25,31の送り及び案内作用によってU字反転経路50を通り、U字反転経路50の下流近傍位置に設けられた搬送用ローラー34に供給される。
搬送用ローラー34の用紙Pの搬送経路における下流側には、支持部材38及び記録ヘッド42が鉛直方向D3における上下方向に対向して配置されており、用紙Pが搬送駆動ローラー35の回動によって支持部材38上に供給されて記録ヘッド42と対向する位置に搬送されると、記録ヘッド42による記録処理が行われる。記録処理を経た用紙Pは、排出用ローラー43によって排出用スタッカー46へと送り出されることになる。
図2は、複数枚の用紙Pが重ねて収容されたカセット11の外観斜視図である。カセット11のカセット本体11eには、用紙Pの幅方向D4を規制する幅方向エッジガイド11b,11cが備えられる。幅方向エッジガイド11b,11cは、幅方向D4にスライドすることができるので、カセット11に積載する用紙Pの幅に応じて、用紙Pの幅方向D4を規制することができる。
また、カセット11のカセット本体11eには、用紙Pの装着方向D2における図1の分離斜面12と反対側を規制する後端エッジガイド11dが備えられる。後端エッジガイド11dは、装着方向D2にスライドすることができるので、カセット11に積載する用紙Pの装着方向D2の長さに応じて、用紙Pの装着方向D2における分離斜面12と反対側を規制することができる。
カセット本体11eの装着方向D2における図1の分離斜面12側には、突起部11aが設けられる。
図3は、図1の規制ユニット100の外観斜視図である。レバー受け部110、台座120が、図1のユニットフレーム81に備えられる。レバー受け部110は、レバー150を支持する。レバー150は、第1のレバー150a、第2のレバー150b、軸部150cとから構成される。軸部150cは、第1のレバー150aと第2のレバー150bとを結合する。
台座120には、スライダー130が備えられる。スライダー130は、台座120の溝部120aに沿って装着方向D2にスライドする。弾性部材としてのコイルバネ160が、スライダー130と第2のレバー150bとを結合する。
規制面140aを有する規制部材としてのストッパー140が、スライダー130と台座120とリンク結合される。
使用者がカセット11を装着方向D2に押し込むと、カセット本体11eに備えられた突起部11aは、第1のレバー150aと当接する。
図4は、規制部材としてのストッパー140の外観斜視図である。ストッパー140の規制面140aは、図1の用紙Pの端部Pseが装着方向D2へ移動することを規制する。
ストッパー140の鉛直方向D3の下端には、円筒部140bが形成されている。台座120とストッパー140とは円筒部140bによってリンク結合される。ストッパー140は、円筒部140bの回転軸S1を回転中心として回転方向D5に回転動作する。
ストッパー140には、規制面140aの反対側に形成された円筒部140cが形成されている。
図5は、台座120とスライダー130の外観斜視図である。図5は、説明のため、台座120とスライダー130とが鉛直方向D3において離れた位置にある。
図5のスライダー130には、鉛直方向D3に対して傾斜した方向に伸びる溝部が形成された受け部130aが設けられる。受け部130aの溝部は、用紙Pの幅方向D4に貫通し、鉛直方向D3における下側が開放されている。溝部の幅は、図4のストッパー140の円筒部140cの直径より長いので、円筒部140cは受け部130aの溝部に入ることができる。これにより、スライダー130とストッパー140とはリンク結合される。
図5の台座120には、装着方向D2に伸びる複数の溝部120aが形成されている。スライダー130には、複数の突起部130bが形成されている。溝部120aと突起部130bとは、溝部120aがガイドとなって突起部130bを装着方向D2に沿って移動可能に配置される。これにより、スライダー130は、装着方向D2に移動する。
円筒部140cは、受け部130aの溝部に沿ってスライドすることができる。前述したように、受け部130aの溝部は鉛直方向D3に対して傾斜した方向に伸びるように形成されているので、スライダー130が装着方向D2に移動すると、円筒部140cが装着方向D2の力を受けることよって、円筒部140cが装着方向D2に移動するとともに、鉛直方向D3の力の成分によって、鉛直方向D3にも移動する。従って、ストッパー140は、円筒部140bの回転軸S1を回転中心として回転方向D5に回転動作することになる。
スライダー130と台座120との接触面には、粘性材料(不図示)を配置する。そのため、スライダー130と台座120との接触面は、オイルダンパーとして機能する。
図6は、伝達部材としてのレバー150の外観斜視図である。第1のレバー150aは、当接部150dから軸部150cの回転軸S3までの範囲となる。第2のレバー150bは、連結部150eから軸部150cの回転軸S3までの範囲となる。
第1のレバー150aにおける当接部150dから軸部150cの回転軸S3までの距離L1は、第2のレバー150bにおける連結部150eから軸部150cの回転軸S3までの距離L2より短い。
図6の軸部150cは、図1のユニットフレーム81に備えられた図3のレバー受け部110によって、回動自由に支持される。第1のレバー150aと第2のレバー150bとは、回転軸S3を回転中心として回転方向D6に回転する。
図1のカセット11が装着部13に向かって装着方向D2に移動すると、図3のカセット11の突起部11aは(図2参照)、第1のレバー150aの当接部150d(図6参照)と当接し、当接部150dは、装着方向D2における装着部13側に移動する。そのため、レバー150は、回転軸S3を回転中心として回転動作を行う。
これにより、第2のレバー150bの連結部150eは、装着方向D2における装着部13側に移動する。そして、連結部150eと連結されたコイルバネ160は、装着方向D2における装着部13側に引っ張られる。そのため、コイルバネ160に連結されたスライダー130が装着方向D2にスライドし、ストッパー140が傾斜する。
本実施形態では、第1のダンパー部としての、スライダー130と台座120に形成された溝部120aと粘性材料と、第2のダンパー部としてのコイルバネ160とからダンパー機構部が構成される。
レバー150の回転動作に伴って第2のレバー150bの連結部150eが装着方向D2に引くことによりストッパー140を回転動作させるための作用力を、ダンパー機構部が吸収する。これにより、ストッパー140の回転動作を遅くさせたり、あるいは、ストッパー140が回転動作して傾斜を開始する時点を遅らせたりすることができる。
コイルバネ170は、レバー受け部110に備えられ、第2のレバー150bに当接する。コイルバネ170は、カセット11が装着方向D2に移動することによってレバー150が回転する方向とは反対の方向に回転させようとする力を第2のレバー150bに与える。
カセット11が第1のレバー150aの当接部150dに当接していないとき、コイルバネ170の作用によって、スライダー130は装着方向D2における装着部13とは反対側に位置し、ストッパー140は、図3に示すように、規制面140aの面方向が鉛直方向D3となる姿勢にある。
図7(a)、(b)は、カセット11の移動によってストッパー140が傾斜するときの様子を説明するための模式図である。図7(a)は、カセット11が装着方向D2に移動し、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接を開始した当接開始時点の様子を説明する図である。
図7(a)の当接開始時点では、ストッパー140の規制面140aの面方向は、傾斜面である分離斜面12(太い破線)と交わる方向の位置にある。そのため、用紙Pの端部Pseが規制面140aに当接して、用紙Pが装着方向D2に移動することを規制する。
図7(a)の当接開始時点では、用紙Pの端部Pseは、規制面140aとは隙間距離a0を置いて離れた位置にある。これにより、カセット11が装着方向D2にさらに移動したときに、用紙Pが後端エッジガイド11dとストッパー140の規制面140aとによって挟まれることによって湾曲するなどして損傷されることを抑制する。
図7(b)は、カセット11が装着方向D2にさらに移動し、ストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避した時点の様子を説明する図である。図7(b)の退避した時点では、ストッパー140は、鉛直方向D3に対する傾斜角度θzで傾斜した姿勢にあり、ストッパー140の規制面140aの面方向は、傾斜面である分離斜面12(太い破線)の面方向の位置にある。また、規制面140aは、分離斜面12の装着方向D2における下流側にある。そのため、用紙Pの端部Pseが規制面140aに当接しないので、用紙Pの装着方向D2への移動規制が解除されている。
使用者がカセット11を装着方向D2に移動量Xだけ押し込むことによって、カセット11の突起部11aと当接する第1のレバー150aにおける当接部150dの位置は、図7(a)の当接開始時点における位置から、図7(b)の退避時点における位置まで移動し、装着方向D2に移動量Xだけ移動する。
すると、レバー150は回転動作し、コイルバネ160と連結する第2のレバー150bにおける連結部150eの位置は、図7(a)の当接開始時点における位置から、図7(b)の退避時点における位置まで移動し、装着方向D2に移動量Yだけ移動する。
図6に示すように、第2のレバー150bにおける回転軸S3から連結部150eまでの距離をL2とし、第1のレバー150aにおける回転軸S3から当接部150dまでの距離をL1とすると、レバー比LXは、次式(1)によって算出される。
LX=L2/L1 ・・・式(1)
回転軸S3を支点として第1のレバー150aと第2のレバー150bが回転されるので、図7(a)、(b)の連結部150eの装着方向D2への移動量Yは、当接部150dの装着方向D2への移動量Xと式(1)のレバー比LXとから次式(2)によって算出される。
Y=X×LX ・・・式(2)
第2のレバー150bにおける回転軸S3から連結部150eまでの距離L2は、第1のレバー150aにおける回転軸S3から当接部150dまでの距離L1より長い。これにより、式(1)のレバー比LXの値は1を超えるので、図7の連結部150eの装着方向D2への移動量Yは、当接部150dの装着方向D2への移動量Xより長い。このように、連結部150eの装着方向D2への移動量Yは、当接部150dの装着方向D2への移動量Xがレバー比LXによって増幅された値となる。
図7(a)、(b)の第1のダンパー部200は、図5の台座120と、台座120に対してスライドするスライダー130と、粘性材料とによって構成される。第1のダンパー部200によって、カセット11が装着方向D2に移動するとき、ストッパー140の回転動作を遅らせることができる。あるいは、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接した時点から、スライダー130が装着方向D2に移動を開始するまでの時間を遅らせることができる。そのため、ストッパー140が回転動作を開始する時点を遅らせることができる。
図17は、カセット11の押し込み時間Tに対するストッパーの傾斜角度θの関係を説明するグラフである。横軸は、カセット11の押し込み時間Tを示し、縦軸は、ストッパーの傾斜角度θを示す。カセット11の押し込み時間Tは、カセット11が装着方向D2に押し込まれることにより、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接した時点を0とし、カセット11の装着方向D2への移動に伴って経過した時間Tである。
図17に示すように、時間Tに対するストッパーの傾斜角度θの関係を示すグラフは、ダンパー機構部の作用によって、図17の下側に湾曲した曲線形状のグラフになる。
カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接した時点(時間Tが0である時点)では、ストッパー140の傾斜角度θは0である。図7(a)の隙間距離a0だけカセット11が装着方向D2に移動すると、用紙Pの端部Pseがストッパー140の規制面140aに当接する。
グラフのαに示す位置は、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接した時点ta0を示し、ストッパー140の傾斜角度がθ0であることを示す。
グラフのβに示す位置は、図7(b)のストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避した時点tzを示し、ストッパー140の傾斜角度がθzであることを示す。
T1は、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接した時点(時間Tが0である時点)から、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接した時点ta0までの期間を示す。H1は、期間T1における変位量としての傾斜角度θの増加分を示す。従って、期間T1における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ1は、次式から算出される。
Δθ1=H1/T1 ・・・式(3)
Δθ1=θ0/T1 ・・・式(4)
T2は、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接した時点ta0から、ストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避した時点tzまでの期間を示す。H2は、期間T2における変位量としての傾斜角度θの増加分を示す。従って、期間T2における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ2は、次式から算出される。
Δθ2=H2/T2 ・・・式(5)
Δθ2=(θz−θ0)/T2 ・・・式(6)
本実施形態では、コイルバネ160のバネ定数、スライダー130と台座120との接触面に備える粘性材料、第1のレバー150aと第2のレバー150bとのレバー比LXの選択によって、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接する時点ta0から、ストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避する時点tzまでの期間T2における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ2が、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接する時点から、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接する時点ta0までの期間T1における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ1より大きくなるようにする。
図8は、本実施形態と比較するための比較例における規制ユニットの外観斜視図である。比較例の規制ユニットには、L字状部材310と、L字状部材310を装着方向D2に移動自由に支持する支持部300が備えられる。
カセット11が装着方向D2に移動すると、L字状部材310の当接部310aには、カセット11の突起部11aが当接する。すると、L字状部材310の連結部310bと連結されたコイルバネ160が装着方向D2に引っ張られる。
図9(a)、(b)は、図8の規制ユニットを用いた比較例において、カセット11の移動によってストッパー140が傾斜するときの様子を説明するための模式図である。図9(a)は、カセット11が装着方向D2に移動し、カセット11の突起部11aが図8のL字状部材310の当接部310aに当接を開始した当接開始時点の様子を説明する図である。
図9(b)は、カセット11が装着方向D2にさらに移動し、ストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避した退避時点の様子を説明する図である。図9(b)の退避時点では、ストッパー140は、鉛直方向D3に対する傾斜角度θzで傾斜した姿勢にあり、ストッパー140の規制面140aの面方向は、傾斜面である分離斜面12(太い破線)の面方向の位置にある。また、規制面140aは、分離斜面12の装着方向D2における下流側にある。そのため、用紙Pの端部Pseが規制面140aに当接しないので、用紙Pの装着方向D2への移動規制が解除されている。
比較例では、連結部310bの装着方向D2への移動量Yは、当接部310aの装着方向D2への移動量Xと同じである。
図9(a)の当接開始時点では、用紙Pの端部Pseは、規制面140aとは隙間距離b1を置いて離れた位置にある。これにより、カセット11が装着方向D2にさらに移動したときに、用紙Pが後端エッジガイド11dとストッパー140の規制面140aとによって挟まれることによって湾曲するなどして損傷されることを抑制する。
図10(a)は、カセット11の押し込み量Xに対する連結部の移動量Yの関係を説明するグラフである。横軸は、使用者によってカセット11を装着方向D2に押し込んだときの押し込み量Xを示す。縦軸は、連結部の移動量Yを示す。
グラフg1の押し込み量Xは、本実施形態について、図7(a)、(b)を用いて説明した当接部150dの装着方向D2への移動量Xである。グラフg1の連結部の移動量Yは、図7(a)、(b)を用いて説明した連結部150eの装着方向D2への移動量Yである。
グラフg2の押し込み量Xは、比較例について、図9(a)、(b)を用いて説明した当接部310aの装着方向D2への移動量Xである。グラフg2の連結部の移動量Yは、比較例について、図9(a)、(b)を用いて説明した連結部310bの装着方向D2への移動量Yである。
式(2)を用いて説明したように、図10(a)において、カセット11の押し込み量Xが同じ位置において、本実施形態における連結部150eの移動量Yは、比較例における連結部310bの移動量Yより多い。すなわち、本実施形態におけるカセット11の押し込み量Xに対する連結部150eの移動量Yの増加率は、比較例におけるカセット11の押し込み量Xに対する連結部310bの移動量Yの増加率より大きい。
次に、用紙Pの当接開始時点における規制面140aの傾斜角度について説明する。
図10(b)は、カセット11の押し込み量Xに対するストッパーの傾斜角度θの関係を説明するグラフである。横軸は、使用者によってカセット11を装着方向D2に押し込んだときの押し込み量Xを示す。縦軸は、ストッパー140の傾斜角度θを示す。
本実施形態では、前述したダンパー機構部を備えるため、本実施形態のグラフg3、比較例のグラフg4における傾斜角度θは、押し込み量Xに対して比例関係にならずに、図10(b)に示すように、曲線となる。ダンパー機構部によって当接開始時点では、傾斜角度θが0の期間がある場合があるが、ここでは、当接開始時点から傾斜角度θが増加するものとする。
押し込み量Xに対する傾斜角度θの本実施形態のグラフg3、比較例のグラフg4は、押し込み量Xに対する連結部の移動量Yの本実施形態のグラフg1、比較例のグラフg2にそれぞれ対応するので、本実施形態におけるカセット11の押し込み量Xに対する傾斜角度θの増加率は、比較例におけるカセット11の押し込み量Xに対する傾斜角度θの増加率より大きい。
図10(b)において、比較例のグラフg4の押し込み量b1であるとき、ストッパー140の傾斜角度θ1が得られる。図10(b)において、本実施形態のグラフg3の押し込み量a1であるとき、ストッパー140の傾斜角度θ1が得られる。
図10(b)において、本実施形態のグラフg3では、押し込み量の値をa1より小さいa0にすれば、ストッパー140の傾斜角度θ1より小さい傾斜角度θ0が得られることを示す。同様に、比較例のグラフg4では、押し込み量の値をb1より小さいb0とすれば、ストッパー140の傾斜角度θ1より小さい傾斜角度θ0が得られることを示す。
図10(c)は、カセット11の押し込み時間Tに対するストッパーの傾斜角度θの関係を説明するグラフである。横軸は、カセット11の押し込み時間Tを示す。縦軸は、ストッパー140の傾斜角度θを示す。本実施形態におけるカセット11の移動速度と比較例におけるカセット11の移動速度は同じで、一定速度であるとする。
図10(c)のカセット11の押し込み時間Tは、カセット11の当接開始時点からの時間を示し、図10(b)のカセット11の押し込み量Xに対応する。すなわち、本実施形態のグラフg5における時間ta0は、図10(b)のカセット11の押し込み量a0に到達する時点までの時間を示し、時間ta1は、カセット11の押し込み量a1に到達する時点までの時間を示す。また、図10(c)の比較例のグラフg6における時間tb0は、図10(b)のカセット11の押し込み量b0に到達する時点までの時間を示し、時間tb1は、カセット11の押し込み量b1に到達する時点までの時間を示す。
図10(b)の本実施形態のグラフg3の押し込み量a0は、図7(a)を用いて説明した隙間距離a0に相当する。すなわち、本実施形態の図7(a)に示す位置からカセット11を押し込み量a0だけ移動させたとき、隙間距離は0になり、用紙Pは、ストッパー140の規制面140aに当接し、ストッパー140の傾斜角度はθ0になる。
図10(b)の比較例のグラフg4の押し込み量b1は、図9(a)を用いて説明した隙間距離b1に相当する。すなわち、比較例の図9(a)に示す位置からカセット11を押し込み量b1だけ移動させたとき、隙間距離は0になり、用紙Pは、ストッパー140の規制面140aに当接し、ストッパー140の傾斜角度はθ1になる。
本実施形態におけるカセット11の押し込み時間Tに対するストッパー140の傾斜角度θの増加率は、比較例におけるカセット11の押し込み時間Tに対するストッパー140の傾斜角度θの増加率より大きい。
従って、図10(c)に示すように、本実施形態のカセット11の押し込み時間ta0からta1の差は、比較例のカセット11の押し込み時間tb0からtb1の差より小さい。すなわち、ストッパー140の傾斜角度がθ0からθ1まで変化する時間は、比較例より本実施形態の方が短い。これは、本実施形態におけるストッパー140の回転動作が、比較例におけるストッパー140の回転動作より早いことを示す。
このことから、本実施形態では、図7(a)の隙間距離をa0に設定し、ストッパー140の傾斜角度をθ0に設定しても、用紙Pをカセット11の後端エッジガイド11dとストッパー140の規制面140aで挟み込む可能性が低い。一方、比較例では、図9(a)の隙間距離をb0に設定し、ストッパー140の傾斜角度をθ0に設定すると、用紙Pをカセット11の後端エッジガイド11dとストッパー140の規制面140aで挟み込むことにより用紙Pを損傷させてしまう可能性が高い。
従って、本実施形態では、図7(a)の隙間距離をa0に設定し、ストッパー140の傾斜角度をθ0に設定することが可能であるが、比較例では、図9(a)の隙間距離をb0に設定し、ストッパー140の傾斜角度をθ0に設定することができない。
次に、ストッパー140の傾斜角度をθ1より小さいθ0に設定できることによる効果について説明する。
図11(a)、(b)、(c)は、本実施形態において、用紙Pの移動を規制する様子を説明する図である。図11(a)では、カセット11の突起部11aは第1のレバー150aに当接しないので、ストッパー140における傾斜角度は0である。ストッパー140は、装着方向D2における上流側に位置し、用紙Pの装着方向D2への移動を規制する位置にある。
図11(b)は、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aに当接を開始した時点を示し、ストッパー140における鉛直方向D3に対する傾斜角度はθ0である。このとき、用紙Pの端部Pseの鉛直方向D3における下側がストッパー140の規制面140aに当接し、用紙Pの端部Pseの端面は鉛直方向D3に対して傾斜している。
図11(c)は、ストッパー140がさらに傾斜し、分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避した時点を示す。ストッパー140は、分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避するので、用紙Pの端部Pseは、分離斜面12に当接する。そのため、用紙Pは分離斜面12によって分離される。
図12(a)、(b)、(c)は、比較例において、用紙Pの移動を規制する様子を説明する図である。図12(a)では、カセット11の突起部11aはL字状部材310に当接しないので、ストッパー140における傾斜角度は0である。ストッパー140は、装着方向D2における上流側に位置し、用紙Pの装着方向D2への移動を規制する位置にある。
図12(b)は、カセット11の突起部11aがL字状部材310に当接を開始した時点を示し、ストッパー140における鉛直方向D3に対する傾斜角度はθ1である。このとき、用紙Pの端部Pseの鉛直方向D3における下側が当接し、用紙Pの端部Pseの端面は鉛直方向D3に対して傾斜している。比較例における傾斜角度θ1は、本実施形態における傾斜角度θ0より大きい。
図12(c)は、ストッパー140がさらに傾斜するが、規制面140aは、まだ、装着方向D2における上流側に位置し、用紙Pの装着方向D2への移動を規制する位置にあり、ストッパー140全体が分離斜面12の装着方向D2における下流側に完全に退避することができない。そのため、用紙Pはストッパー140を乗り越えて装着方向D2に移動してしまう。
本実施形態におけるカセット11の移動速度と比較例におけるカセット11の移動速度は一定速度であるとして説明したが、移動速度が変動したとしても、本実施形態におけるカセット11の移動速度と比較例におけるカセット11の移動速度とが同じであれば、本実施形態におけるストッパー140の傾斜角度がθ0からθ1に変化する時間は、比較例におけるストッパー140の傾斜角度がθ0からθ1に変化する時間より短い。
以上、本実施形態で説明した積載装置10は、複数の記録媒体としての用紙Pを重ねて収容するカセット11と、カセット11の装着方向D2への移動により、カセット11を装着する装着部13と、軸部150cと当接部150dと連結部150eとを有し、軸部150cの回転軸S3から当接部150dまでの距離L1は軸部150cの回転軸S3から連結部150eまでの距離L2より短く、カセット11の装着方向D2への移動により、カセット11が当接部150dに当接すると、軸部150cの回転軸S3を軸として回転し、当接部150dがカセット11から受けた力を連結部150eに作用力として伝達する伝達部材としてのレバー150と、レバー150における連結部150eと連結し、連結部150eから作用力を受けるダンパー機構部と、カセット11の装着方向D2における下流側に位置し、用紙Pを分離する分離斜面12と、ダンパー機構部と連結し、分離斜面12の装着方向D2における上流側の位置で用紙Pの移動を規制し、ダンパー機構部から作用力を受けると、用紙Pを規制していた位置から退避し、用紙Pの移動の規制を解除する規制部材としてのストッパー140と、を備える。
そして、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接する時点ta0から、ストッパー140が分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避する時点tzまでの期間T2における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ2が、カセット11の突起部11aが第1のレバー150aの当接部150dに当接する時点から、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接する時点ta0までの期間T1における傾斜角度の単位時間当たりの増加分Δθ1より大きくなるようにする。
この構成によれば、用紙Pがストッパー140の規制面140aに当接する時点ta0において、ストッパー140の傾斜角度θ0を小さくしてストッパー140の姿勢の変化を最小化し、用紙Pがストッパー140に当接する時点ta0の位置からストッパー140を早く分離斜面12の装着方向D2における下流側に退避させることが可能となる。そのため、用紙Pがストッパー140に当接する時点ta0においては、用紙Pの装着方向D2への移動を規制することができ、用紙Pがストッパー140に当接した時点ta0から以降は、用紙Pを分離斜面12に当接させることができる。従って、用紙Pがストッパー140を乗り越えてしまうことを抑制できる。
そのため、記録装置1は、分離斜面12での用紙Pの分離ができなくなることにより用紙Pが重送され、紙詰まりなどの不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
また、伝達部材としてのレバー150は、第1のレバー150aと第2のレバー150bとを含んで構成される。この構成によれば、一つの部材で構成できるので、製造コストの増加を抑制できる。
図13は、当接部150dが回転する回転角度の位置範囲を説明するための図である。図13のQ1は、当接部150dの移動開始位置を示し、Q2は、当接部150dの移動終了位置を示す。
また、カセット11と当接部150dとが当接しながらカセット11が装着方向D2へ移動するときの、当接部150dにおける回転軸S3を中心とする回転角度のそれぞれの位置範囲(回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と移動終了位置Q2とで形成される角度の範囲)には、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれるようにしてもよい。
当接部150dにおける回転軸S3を中心とする回転角度の位置範囲に、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれることによる効果について説明する。
図16(a)は、当接部150dの位置j1〜j3におけるカセット11から受ける接線方向の力F1〜F3を示す図である。円W1は、当接部150dが回転軸S3を中心に回転したときの移動軌跡を示す。カセット11の突起部11aが当接部150dに当接しながら、装着方向D2に移動すると、当接部150dは、移動軌跡W1における位置j1〜j3に移動する。
当接部150dの位置j1〜j3における当接部150dがカセット11から受ける装着方向D2の力はFである。装着方向D2に対する回転軸S3と当接部150dとを結ぶ直線の方向の角度は、当接部150dの位置j1では角度γ1であり、当接部150dの位置j2では角度γ2であり、当接部150dの位置j3では角度γ3である。当接部150dの位置j3は、鉛直線Vの位置であり、角度γ3は直角である。
従って、当接部150dの位置j1〜j3における当接部150dがカセット11から受ける移動軌跡W1の接線方向の力は式(7)〜式(9)となる。
F1=F・Sin(γ1) ・・・式(7)
F2=F・Sin(γ2) ・・・式(8)
F3=F・Sin(γ3) ・・・式(9)
当接部150dの位置j3における角度γ3は直角であるので、接線方向の力F3は、カセット11から受ける装着方向D2の力Fに等しい。
角度γ3は、角度γ2より大きく、角度γ2は、角度γ1より大きい。そのため、位置j3における接線方向の力F3は、位置j2における接線方向の力F2より大きく、位置j2における接線方向の力F2は、位置j1における接線方向の力F1より大きい。すなわち、移動軌跡W1における当接部150dの位置が鉛直線Vに近づくにしたがい接線方向の力が大きくなる。
従って、当接部150dにおける回転軸S3を中心とする回転角度の位置範囲に、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれることにより、レバー150を効率よく回転させることができる。
また、図13の当接部150dの回転角度の位置範囲(回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と移動終了位置Q2とで形成される角度の範囲)における中央に鉛直線Vが位置する。すなわち、回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と鉛直線Vとで形成される回転角度R1は、回転軸S3を頂点として移動終了位置Q2と鉛直線Vとで形成される回転角度R2と同じにしてもよい。
この構成によれば、レバー150をさらに効率よく回転させることができる。
次に、連結部150eにおける回転軸S3を中心とする回転角度の位置範囲について図13を用いて説明する。ここでは、図13のQ1は、連結部150eの移動開始位置を示し、Q2は、連結部150eの移動終了位置を示す。
カセット11と当接部150dとが当接しながらカセット11が装着方向D2へ移動するときの、連結部150eにおける回転軸S3を中心とする回転角度の位置範囲(回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と移動終了位置Q2とで形成される角度の範囲)には、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれるようにしてもよい。
次に、連結部150eにおける回転軸S3を中心とする回転角度の位置範囲に、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれることによる効果について説明する。
図16(b)は、連結部150eにおける回転軸S3を中心とする回転角度ωの位置範囲における装着方向D2の移動距離を示す図である。回転角度ωの位置範囲における移動開始位置k1から移動終了位置k2は、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれないことを示す。
回転角度の位置範囲における移動開始位置k3から移動終了位置k4は、回転軸S3を通る鉛直線Vを含むことを示す。
装着方向D2に対する移動開始位置k3から移動終了位置k4を結ぶ直線の角度φ2は、装着方向D2に対する移動開始位置k1から移動終了位置k2を結ぶ直線の角度φ1より小さい。そのため、移動開始位置k3から移動終了位置k4までの装着方向D2における距離L6は、移動開始位置k1から移動終了位置k2までの装着方向D2における距離L5より長い。
すなわち、連結部150eにおける回転軸S3を中心とする回転角度ωの位置範囲に、回転軸S3を通る鉛直線Vが含まれるようにすることにより、連結部150eの装着方向D2における距離を長くすることができる。
また、図13の連結部150eの回転角度の位置範囲(回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と移動終了位置Q2とで形成される角度の範囲)における中央に鉛直線Vが位置するようにしてもよい。すなわち、回転軸S3を頂点として移動開始位置Q1と鉛直線Vとで形成される回転角度R1は、回転軸S3を頂点として移動終了位置Q2と鉛直線Vとで形成される回転角度R2と同じにしてもよい。
図16(b)の連結部150eの移動開始位置k5と移動終了位置k6は、図16(b)の連結部150eの回転角度ωの位置範囲における中央に鉛直線Vが位置するように連結部150eを回転させたことを示す。このようにすれば、移動開始位置k5から移動終了位置k6を結ぶ直線方向は、装着方向D2と一致するので、連結部150eの装着方向D2における距離L6よりさらに長い距離L7にすることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、伝達部材としてレバー150を用いた場合について説明したが、第2実施形態では、伝達部材として円筒状部材を用いた場合について説明する。図14は、本実施形態における伝達部材としての円筒状部材500の外観斜視図である。第2実施形態の積載装置における円筒状部材500の他の構成は、第1実施形態における積載装置の構成と同じである。
円筒状部材500は、第1の円筒状部材500a、第2の円筒状部材500bを含んで構成される。第1の円筒状部材500aには、カセット11の突起部11aが当接するための当接部500dが備えられる。第2の円筒状部材500bには、コイルバネ160が連結するための円筒状の部材である連結部500eが備えられる。
第1の円筒状部材500aと第2の円筒状部材500bとは軸部500cに固定されており、当接部500dにカセット11の突起部11aが当接すると、当接部500d、連結部500eは、軸部500cの回転軸S4を回転中心として回転する。
回転軸S4から連結部500eまでの距離L4は、回転軸S4から当接部500dまでの距離L3より長い。これにより、連結部500eの装着方向への移動量は、当接部500dの装着方向への移動量より長い。
(第3実施形態)
第1実施形態では、ダンパー機構部を構成する第1のダンパー部200(図7(a)、(b)参照)として、台座120の溝部120aに沿って装着方向D2にスライドするスライダー130を用いた場合について説明したが、中空の筒状部材に棒状部材を挿入し、筒状部材に対して棒状部材をスライドさせる摩擦部をダンパー機構部に含んでもよい。第3実施形態の積載装置におけるダンパー機構部の他の構成は、第1実施形態における積載装置の構成と同じである。
図15は、第3実施形態におけるダンパー機構部の断面図である。図15のダンパー機構部は、筒状部材400に、筒状部材400の中空部の内側寸法未満の外側寸法を有する棒状部材410を挿入したもので、棒状部材410の外周面が筒状部材400の内周面を軸方向にスライドする。
筒状部材400と棒状部材410との接触面には、粘性材料(不図示)を配置してオイルダンパーとして機能してもよい。
第1実施形態から第3実施形態では、インクジェット式プリンターについての説明をしたが、感光体を備え、光を照射して感光体に画像を形成する記録装置にも適用する。