JP5560239B2 - シラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法およびガスクロマトグラフィ用カラム - Google Patents

シラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法およびガスクロマトグラフィ用カラム Download PDF

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本発明は、モノシランやトリクロロシラン等のシラン・クロロシラン類を製造する工程等で得られる塩化水素を含有するシラン・クロロシラン類から、塩化水素とクロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する方法に関する。
シラン・クロロシラン類、すなわち、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のシラン系化合物は、多結晶シリコンロッドの製造や半導体デバイス等の製造時のプロセスガスとして用いられる。
これらのシラン・クロロシラン類は、通常、金属ケイ素と塩化水素の反応により製造されるが、シラン・クロロシラン類のみを分離した状態で得ることは困難であり、塩化水素との混合物として得られる。また、テトラクロロシランのトリクロロシランへの還元反応やトリクロロシランを用いた多結晶シリコンの製造時の排ガスからも、塩化水素とシラン・クロロシラン類の混合物が回収される。
このような混合物から所望の成分を単離するためには、通常、蒸留法が用いられるが、すべての成分を分離するためには複雑な設備や多大な労力等が必要になる。そこで、一般には、目的とする成分のみを蒸留により単離することとし、残りの成分は混合物として不均化等の処理を行うという手法が採られる(例えば、特許文献1:特開2009−62211号公報を参照)。
ところで、上述のようなシラン・クロロシラン類の製造工程や蒸留工程の運転状況を把握する場合、一般には、ガスクロマトグラフィによる混合物中の各成分の分離・定量が行われる。このとき、通常のカラムを用いてガスクロマトグラフ分析を行うと、混合物中に含まれる塩化水素が強いテーリングを引き起こして塩化水素のピークが顕著にブロードになってしまう。
塩化水素のピーク検出に続き、より保持時間の長いモノクロロシラン等のピークが検出されることとなるが、上述した塩化水素のテーリングが激しい場合には、モノクロロシラン、ジクロロシラン、更にはトリクロロシランのピーク検出時間まで当該テーリングが継続し、これらクロロシラン類のピーク検出が不能となる状態に至る。このような事情のため、混合物中の各成分の分離・定量を行う際には、ベースラインの大幅な補正が必要となり、正確な分析は難しい。
ガスクロマトグラフィにおいてテーリングし易い物質を含む化合物の分析手法については、すでに多くの研究報告がなされている。例えば、特開平4−198753号公報(特許文献2)では、キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフィにおいて、石英ガラスキャピラリー内面をトリアルキルシラン処理した後無極性であるスクアランコーティングする方法を提案している。また、特開平8−304371号公報(特許文献3)では、パックドカラムを用いるガスクロマトグラフィにおいて、担体であるシリカゲルにポリアルキルシロキサンを結合させることでシラノールによるテーリングを防止することが提案されている。
特開2009−62211号公報 特開平4−198753号公報 特開平8−304371号公報
本発明者らは、塩化水素を多量に含有する、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等の混合物のガスクロマトグラフィを、市販のカラムを種々用いて試みたところ、塩化水素のテーリングを防止することが全くできなかった。特に、混合物中に塩化水素が多量に含まれている場合には、塩化水素の大きくテーリングを示すピークにより、塩化水素に後続して溶出するモノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシランのピークが消失し、定量分析が全く不能であることもある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、パックドカラムやキャピラリーカラム等を用いて塩化水素とシラン・クロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する場合において、塩化水素のテーリングを防止することにある。特に、塩化水素を多量に含有するモノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等を含む混合物から、各成分を高精度で定量的に分析する方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明に係るガスクロマトグラフ分離方法は、塩化水素を含有するシラン・クロロシラン類から塩化水素とクロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する方法であって、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用い、不活性ガスを移動相として用いる、ことを特徴とする。
好ましくは、前記不活性ガスは水素である。
また、例えば、前記シラン・クロロシラン類は、モノシラン、モノクロロシラン、及び、ジクロロシランの群より選択される1種以上のシラン系化合物を含む。
本発明に係るシラン・クロロシラン類の精製方法は、上述のガスクロマトグラフ分離方法によって分離されたシラン・クロロシラン類成分を捕集する、ことを特徴とする。
また、本発明に係るシラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフィによる定量分析方法は、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用い、移動相として不活性ガスを用いる、ことを特徴とする。
本発明のガスクロマトグラフ分離方法では、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用いることとしたので、塩化水素のテーリングを十分抑制することが可能となる。これにより、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等の高精度な分離、定量が可能となる。また、本発明はパックドカラムによって実施することもできるため、上記成分の単離に用いることが可能となる。
比較例の分離チャートである。 実施例1の分離チャートである。 実施例2の分離チャートである。
以下に、本発明のガスクロマトグラフ分離方法を実施するための形態について説明する。
本発明者らは、特許文献3において、担体に担持させる分配相の選択によりテーリングが防止できること旨の開示に着目し、担体としての珪藻土に無極性シリコーンオイルを分配相として担持させたものを用いて、塩化水素を含有するシラン・クロロシラン類から塩化水素とシラン・クロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する実験を行ったところ、塩化水素のテーリングは小さくなるものの、満足できる程の分離結果とはならなかった。さらに、単体のアルキルシランによるキャッピングによっても、十分なテーリング抑制効果は得られなかった(後述する比較例の分離チャートである図1を参照)。
これらの実験結果を踏まえ、本発明者らは、テーリングの原因と予想される極性相互作用を極限まで抑え込むため、分配相だけでなく、その担体についても、塩化水素との相互作用を抑え込むことを考えた。そして、このような担体として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂を試みた。
具体的には、PTFE樹脂を微細粒として、これにポリジメチルシロキサンを担持させて固定相とした。その結果、当初の予想通り、塩化水素のテーリングは十分に抑制され、塩化水素とモノクロロシランのピークに僅かな重なり部分は認められるものの、両ピークは十分に分離された。また、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランは、モノクロロシランよりも保持時間が長いため、これらの成分のピークも明瞭に分離されていた。本発明は、このような新たな知見に基づきなされたものである。
本発明では、ガスクロマトグラフィ用のカラムとして、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたものを用いる。このようなカラムを用いることにより、塩化水素を比較的多量に含むモノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン類をガスクロマトグラフ分離するに際して、従来のカラムでは強く表れる塩化水素のテーリングが抑制され、シラン・クロロシラン類の各成分の分離が可能となる。その結果、シラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフィによる定量分析の精度が大幅に向上する。
上述したように、従来のクロマトグラフィでは、担体として、比較的取り扱いが容易なシリカゲルや珪藻土等を用い、必要に応じ、官能基であるシラノール基をアルキルシラン等でキャッピングしたり、表面に脂溶性の高い材料を結合させることで、テーリングの抑制が行われてきた。しかし、混合物が多量の塩化水素を含む場合には塩化水素のテーリングを十分に抑え込むことができない。
本発明では、塩化水素に対する極性相互作用が極めて小さい材料である一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂を担体として用い、この上に液相である無極性シリコーンオイルを担持させたものを固定相とすることで、シラン・クロロシラン類の分離を行うに十分な程度に、塩化水素のテーリングの抑制に成功した。
本発明で用いられる、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等、いわゆるテフロン(登録商標)樹脂と呼ばれる化合物群が例示される。
このようなフッ素化された飽和炭化水素樹脂は、分配クロマトを行うための液相を担持するものであり、液相である無極性シリコーンオイルを担持する細粒として分離用カラムに充填されてもよい。充填剤として用いる場合の粒径は、分離を行う試料の量やカラムの径および長さに合わせて選択すればよく、酸化ケイ素系の担体や活性炭担体を用いる場合と同様にして選択することができる。また、形状は略球形として用いても、破砕状として用いてもよい。
また、キャピラリーカラムとして、フッ素化された飽和炭化水素樹脂を表面に有するカラムを準備し、当該飽和炭化水素樹脂の表面に無極性シリコーンオイルを塗布して担持させる態様のものでもよい。この場合、カラム自体が、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂でできているものでもよく、あるいは、それら樹脂によるライニング、またはそれら樹脂による化学的修飾でコートされた金属やガラスの管であってもよい。
本発明では、分配に用いる液相として、公知の材料である無極性シリコーンオイルを用いる。無極性シリコーンオイルとしては、代表的な材料としてポリジメチルシロキサンが挙げられるが、ケイ素に置換するメチル基の一部もしくは全部が1〜30の飽和炭化水素基に置き換わったものであってもよい。
ポリアルキルシロキサンは、末端をトリメチルシリル基等で封止することで、テーリング抑制効果を高めることができるが、本発明者らの検討によれば、ポリアルキルシロキサンの末端処理を行わないものを用いても、クロロシラン類の分離を行うに十分な程度に塩化水素のテーリングを抑制することができる。
液相である無極性シリコーンオイルを担持する担体が、カラムに充填する充填剤である場合、上述のフッ素化された飽和炭化水素樹脂又はシリコーン樹脂の担体に対する無極性シリコーンオイルの量は、目安として、5質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上30質量%以下である。なお、この無極性シリコーンオイルの量は、担体の形状等に合わせて適宜調整される。
このような充填剤は、例えば、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂による担体を容器に取り、液相である無極性シリコーンオイルをそのままカラムに充填することにより調整できる。なお、無極性シリコーンオイルをカラムに充填するに際し、ペンタン、ヘキサン等の揮発性炭化水素溶液や、エチルエーテル、メチルブチルエーテル等の揮発性エーテル系溶剤溶液、或いは、塩化メチレン等の揮発性塩素化炭化水素溶剤溶液として混合・攪拌し、必要に応じて溶剤を揮発除去した後に、カラムに充填するようにしてもよい。
また、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂を表面にもつカラムの表面に無極性シリコーンオイルを液相として担持させる場合、無極性シリコーンオイルを、ペンタン、ヘキサン等の揮発性炭化水素溶液や、エチルエーテル、メチルブチルエーテル等の揮発性エーテル系溶剤溶液、或いは、塩化メチレン等の揮発性塩素化炭化水素溶剤溶液として上記カラム中に通液させ、溶剤を蒸発留去することで、カラム表面に担持させることができる。この際、なるべく均一な担持状態とするためには、1日程度の時間をかけて低温で溶剤を蒸発させた後に、加熱して溶剤の完全な除去を行うことが好ましい。
なお、このような手法でカラム表面に担持される液相の厚さは、用いたシリコーンオイルの濃度とカラム中に残った量との関係から推定可能である。液相厚は、好ましくは1μm〜20μmであり、より好ましくは2〜10μm程度である。
充填剤を用いるカラムの材料は、石英等のガラスや金属とすることができるが、耐圧安全性からは、耐食性金属を用いることが好ましい。なお、金属性カラムは、場合によっては、腐食に起因する圧力損失による流量低下や詰りによる閉塞が問題となることがあるため、担体と同様の樹脂や無極性シリコン樹脂による内管を入れたり、それらの樹脂による表面加工を行うことが好ましい。樹脂による表面加工は、樹脂コーティングでもライニングでもよい。
カラム径およびカラム長は、一般的なガスクロマトグラフィにおける常用のものとすることができ、試料の量によって適宜調整される。また、単離に用いる場合、複数のカラムを並列もしくは並列にしたものを更に直列に組み合わせて用いてもよい。
上述した本発明のカラムを用いて、塩化水素を含有するシラン・クロロシラン類の分離を行う際の条件は、一般的なガスクロマトグラフィで設定される条件を適宜調整したものとすることができる。
移動相である不活性ガスとしては、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン等の公知のものがいずれも使用できるが、移動相に水素を用いることにより、水素をプロセスガスとして用いるシラン・クロロシラン類の製造工程と容易に組み合わせることができる。
移動相の流量や分離温度等についても公知の条件の適用が可能であるが、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂を担体として用いる場合、良好な分離を行うためには、カラム温度は室温〜60℃であることが好ましく、特に30〜50℃であることが好ましい。
ガスクロマトグラフィで用いる検出器は種々のものが使用可能であり、最も一般的に用いられる熱伝導検出器の使用も可能である。
従来のガスクロマトグラフィであれば、混合物中に0.5モル%程度の微量の塩化水素が含有していても、塩化水素のテーリングによってジクロロシランのピークと分離することができなくなる。これに対し、一部にエーテル鎖を有していてもよいフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用いた場合には、混合物中に10モル%程度の塩化水素が含有されている場合であっても、塩化水素のピークとシラン・クロロシラン類のピークを完全分離することができる。
このようなクロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法は、シラン・クロロシラン類の精製方法(捕集方法)や定量分析方法としても利用できる。例えば、液体窒素等により冷却したU字管を各成分の捕集用として複数準備し、ガスクロマトグラフィ装置の熱伝導検出器にガス流路切り替え可能なバルブを設置して、検出器により検出されたピークのフラクションを其々のU字管に流すことにより、目的とするシラン・クロロシラン類と塩化水素を捕集することができる。
本実施例は、充填剤を用いるカラムへの適用例である。
[固定相の調製]
PTFE樹脂をカッターナイフで切りだし、40〜80メッシュのPTFE細粒70gを作製した。このPTFE樹脂に対し18gのポリジメチルシロキサン(末端処理なし)を塩化メチレン200gに溶解した溶液を準備し、PTFE樹脂とフラスコ中で混合した後、60℃で48時間乾燥し、塩化メチレンを完全に除去した。
[カラムの調製]
調製した固定相を、内径3mmで長さ4mのステンレス製カラムに真空ポンプによる吸引をしながら均一に充填した。
[試料]
トリクロロシランを用いたシーメンス法による多結晶シリコン製造反応を行った際の反応装置からの排ガスを試料とし、カラムへの注入量は2μlとした。なお、上記多結晶シリコン製造時のプロセスガスは水素である。
[ガスクロマトグラフィ条件]
調製したカラムを、ガスクロマトグラフィ装置(GLサイエンス社製GC−4000)に装着し、カラム温度を40℃一定として、水素を移動相として流速20ml/分で流し、下記試料の分離を行った。各ピークの検出は、熱伝導検出器を用い、島津製作所社製CR−8Aを用いて分離チャートの作成および分離度を評価した。
[分離結果]
図2に分離チャートを示す。また、捕集されたシラン・クロロシラン類および塩化水素の順番と定量値は表1の通りである。図2から明らかなように、塩化水素のテーリングは十分に抑制され、各ピークの分離は良好である。なお、分離された各成分は、液体窒素により冷却したステンレス製U字管(直径10mm、長さ60cm)に導き、単離・捕集した。
なお、U字管に捕集された各成分のうち、分析可能な量が回収された塩化水素、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランを再度ガスクロマトグラフィにより分析したところ、各成分は不純物を含まず、完全に単離されていることが確認された。
比較例
[カラムの調整およびガスクロマトグラフィによる分離]
実施例1の固定相の材料を、担体として珪藻土、固定相としてトリメチルシランによってエンドキャッピングした無極性シリコーンオイルを用いた以外は同様の方法により分離カラム用カラムを調製した。更に、実施例1で用いた試料を、実施例1で用いたガスクロマトグラフィ条件を用いて分離を試みた。
[分離結果]
図1に分離チャートを示す。比較例のサンプルは窒素をコンタミ物質として含有し、これがモノシランのピークと重なっている。また、塩化水素のピークが大きくテーリングしているため、モノクロロシランのピークが全く分離されておらず、ジクロロシラン、トリクロロシランのピークについても定量値を得ることが難しい。
本実施例は、PTFE表面をもつカラムへの適用例である。
[カラムの調製]
内径0.53mm、長さ60mのPTFE樹脂管に、ポリジメチルシロキサン2gを塩化メチレン19gで希釈した溶液を通液した。その後、窒素雰囲気中で室温で24時間、40℃で24時間、50℃で24時間、さらに、60℃で24時間、この順序で乾燥処理を行って塩化メチレンを揮発させた。得られたシリコーンオイル相の膜厚は約5μmであった。このカラムをステンレス管の中に入れ、実施例1で用いたのと同じガスクロマトグラフィ装置に装着した。
[試料]
実施例1とは異なるロットの、トリクロロシランを用いたシーメンス法による多結晶シリコン製造反応を行った際の反応装置からの排ガスを試料とし、カラムへの注入量は1μlとした。なお、上記多結晶シリコン製造時のプロセスガスも水素である。
[ガスクロマトグラフィ条件]
カラム温度を40℃一定として、窒素を移動相として流速6ml/分で流し、分離を行った。各ピークの検出および解析は実施例1と同じ方法で行った。
[分離結果]
図3に分離チャートを示す。また、捕集されたシラン・クロロシラン類および塩化水素の順番と定量値は表2の通りである。図3から明らかなように、塩化水素のテーリングは十分に抑制され、各ピークの分離は良好である。なお、分離された各成分は、実施例1同様に、液体窒素により冷却したステンレス製U字管(直径10mm、長さ60cm)に導き、単離・捕集した。
なお、U字管に捕集された各成分のうち、分析可能な量が回収された塩化水素、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランを再度ガスクロマトグラフィにより分析したところ、各成分は不純物を含まず、完全に単離されていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、パックドカラムやキャピラリーカラム等を用いて塩化水素とシラン・クロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する場合において、塩化水素のテーリングが防止される。これにより、塩化水素を多量に含有するモノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等を含む混合物から、各成分を高精度で定量的に分析する方法等が提供される。

Claims (6)

  1. 塩化水素を含有するシラン・クロロシラン類混合物から塩化水素とシラン・クロロシラン類の各成分をガスクロマトグラフ分離する方法であって、
    一部にエーテル鎖を有するフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用い、不活性ガスを移動相として用いる、ことを特徴とするシラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法。
  2. 前記不活性ガスは水素である、請求項1に記載のシラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法。
  3. 前記シラン・クロロシラン類は、モノシラン、モノクロロシラン、及び、ジクロロシランの群より選択される1種以上のシラン系化合物を含む、請求項1又は2に記載のシラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法によって分離されたシラン・クロロシラン類成分を捕集する、ことを特徴とするシラン・クロロシラン類の精製方法。
  5. シラン・クロロシラン類をガスクロマトグラフィにより定量分析する方法であって、
    一部にエーテル鎖を有するフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相としたカラムを用い、移動相として不活性ガスを用いる、ことを特徴とするシラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフィによる定量分析方法。
  6. 一部にエーテル鎖を有するフッ素化された飽和炭化水素樹脂上に担持された無極性シリコーンオイルを固定相とした、ガスクロマトグラフィ用カラム。
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