以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置制御装置について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100を備える蓄電装置制御システム10の構成を示す図である。
同図に示すように、蓄電装置制御システム10は、蓄電装置制御装置100及び蓄電装置200を備えている。なお、蓄電装置制御装置100及び蓄電装置200は、通信ネットワーク310を介して接続されており、蓄電装置200は、電力系統320に電気的に接続されて設置されている。
ここで、電力系統320は、電力を使用する負荷機器に電力を供給するための電力ネットワークであり、例えば、オフィスビル321、一般家庭322、一般家庭323及び工場324などに設置されている負荷機器に接続され、当該負荷機器に電力を供給する。なお、同図では、オフィスビル321、一般家庭323及び工場324には、太陽光発電設備が設置されているが、電力系統320にはどのような発電設備や負荷機器が接続されていても構わない。
蓄電装置制御装置100は、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200を制御することで、電力系統320の需給制御を行う装置である。つまり、蓄電装置制御装置100は、電力系統320の周波数制御のための系統電力の調整を行う、いわゆるアンシラリーサービスを提供するコンピュータである。
ここで、蓄電装置制御装置100は、通信ネットワーク310に接続され商用電力系統全体の需給制御を行う従来のEMS(中央給電指令所が有する需給制御システム)である従来EMS400と連携し、情報のやりとりを行う。なお、蓄電装置制御装置100は、独立した装置ではなく、従来EMS400の機能の一部として構成されていてもよい。
また、この蓄電装置制御装置100は、専用のコンピュータシステム、またはパーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムがプログラムを実行することによって実現される。蓄電装置制御装置100の詳細な説明については、後述する。
蓄電装置200は、充電と放電とを繰り返す複数の蓄電装置を備えている。具体的には、蓄電装置200は、当該複数の蓄電装置として、二次電池201a〜201g及び電気自動車用蓄電池202a〜202eを備えている。なお、蓄電装置200が備える二次電池201a〜201g及び電気自動車用蓄電池202a〜202eの台数は、特に限定されず、何台であってもよい。
二次電池201a〜201gは、電力系統320に接続されて設置されている二次電池である。つまり、二次電池201a〜201gは、電力系統320から供給される電力を充電し、電力系統320に電力を放電する蓄電装置である。
なお、二次電池201a〜201gは、電力系統320の需給制御専用の二次電池でなくともよく、どのような用途の二次電池であってもよい。例えば、同図に示す二次電池201fは、一般家庭323内に設置されており、ピークシフトや、瞬時電圧低下対策、停電補償、需要家側に設置されている分散型電源から発生する余剰電力の蓄電などの目的で設置されている二次電池である。また、二次電池201gは、工場324内に設置されており、二次電池201fと同様に、ピークシフトや、瞬時電圧低下対策、停電補償、需要家側に設置されている分散型電源から発生する余剰電力の蓄電などの目的で設置されている二次電池である。
電気自動車用蓄電池202a〜202eは、電気自動車に内蔵された蓄電池である。つまり、電気自動車用蓄電池202a〜202eは、電力系統320に接続された場合に、電力系統320から供給される電力を充電するとともに、電力系統320に電力を放電することもできることとする。
このように、蓄電装置200に含まれる二次電池201a〜201eは、電力系統320の需給制御専用として設置されている蓄電装置であり、二次電池201f、201gや電気自動車用蓄電池202a〜202eなどは、電力系統320の需給制御専用として設置されている蓄電装置ではなく、当該需給制御以外の目的で需要家が利用することを主として電力系統320に接続されている蓄電装置である。
そして、蓄電装置200が備える複数の蓄電装置のそれぞれは、蓄電装置制御装置100からの充放電指令に従い、固有の充電量まで充電または固有の放電量まで放電を行う。この固有の充電量または固有の放電量は、ユーザによって定められる各蓄電装置に固有の値であり、どのような値であってもよい。なお、固有の充電量及び固有の放電量は、蓄電装置の寿命が長くなり、かつ蓄電装置のアンシラリーサービス提供により得られる対価が多くなるように、ユーザによって定められる。
ここで、固有の放電量まで放電を行っている放電過程の蓄電装置を放電装置といい、固有の充電量まで充電を行っている充電過程の蓄電装置を充電装置という。つまり、蓄電装置200は、固有の放電量まで放電されるまでは放電装置であり、固有の放電量まで放電された後は、放電装置から例えば充電装置に切り替わる。また、蓄電装置200は、固有の充電量まで充電されるまでは充電装置であり、固有の充電量まで充電された後は、充電装置から例えば放電装置に切り替わる。
また、蓄電装置200が備える複数の蓄電装置のうち、蓄電装置制御装置100による電力系統320の需給制御の指示に従わない蓄電装置を、不参加装置という。例えば、電気自動車用蓄電池202a〜202eは、ユーザが使用するために電力系統320から切り離されたり、設定された時刻になったり、固有の充電量まで充電された場合などに、不参加装置に切り替わる。なお、当該電気自動車用蓄電池202a〜202eは、固有の充電量まで充電された場合でも、ユーザの選択により、放電装置に切り替わることでアンシラリーサービスを提供することにしてもよい。
つまり、放電装置は、固有の放電量まで放電された後に、充電装置に切り替わることもできるし、不参加装置に切り替わることもできる。また、充電装置も同様に、固有の充電量まで充電された後に、放電装置に切り替わることもできるし、不参加装置に切り替わることもできる。なお、いずれに切り替わるのかは、例えばユーザが定めることができる。
このように、蓄電装置200が備える複数の蓄電装置のそれぞれは、充電装置、放電装置及び不参加装置のいずれかに分類される。このため、以下では、二次電池201a〜201g及び電気自動車用蓄電池202a〜202eなどの蓄電装置200が備える複数の蓄電装置を、充電装置、放電装置または不参加装置に分類して、説明を行う。
図2は、本発明の実施の形態1に係る蓄電装置200を充電装置、放電装置または不参加装置に分類した場合の蓄電装置制御システム10の構成を示す図である。
同図に示すように、蓄電装置200は、m台の放電装置1〜m、n台の充電装置1〜n、及びp台の不参加装置1〜pに分類されている。ここで、放電群210は、m台の放電装置1〜mの集まりであり、充電群220は、n台の充電装置1〜nの集まりであり、不参加群230は、p台の不参加装置1〜pの集まりである。
なお、蓄電装置200は、充電装置から放電装置や不参加装置に切り替わったり、不参加装置から充電装置や放電装置に切り替わったりするため、放電群210、充電群220及び不参加群230に含まれる蓄電装置やその台数は、当該切り替わるごとに変化する。
そして、蓄電装置制御装置100は、従来EMSからの指示に従い、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200を制御する。
次に、蓄電装置制御装置100の詳細な構成について、説明する。
図3は、本実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100及び蓄電装置200の機能構成を示すブロック図である。
まず、蓄電装置制御装置100の機能構成について説明する。
蓄電装置制御装置100は、蓄電装置200の制御を行うコンピュータである。同図に示すように、蓄電装置制御装置100は、蓄電情報取得部110、制御量取得部120、制御信号生成部130、制御信号送信部140及び記憶部150を備えている。
蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200のうち、放電群210に含まれる放電装置を識別する放電装置識別情報と、充電群220に含まれる充電装置を識別する充電装置識別情報と、不参加群230に含まれる不参加装置を識別する不参加装置識別情報とを、蓄電装置200から取得する。
また、蓄電情報取得部110は、放電装置である第一蓄電装置が固有の放電量まで放電された場合に、第一蓄電装置を識別する識別情報として充電装置識別情報を取得し、充電装置である第二蓄電装置が固有の充電量まで充電された場合に、第二蓄電装置を識別する識別情報として放電装置識別情報を取得する。つまり、固有の充放電量まで充放電された場合に、充電装置と放電装置とが切り替わるので、蓄電情報取得部110は、当該切り替わり後の識別情報を取得する。
例えば、放電装置がユーザにより設定された固有の放電量まで放電された場合に、当該放電装置は、次の遷移状態が充電ならば、充電装置に状態遷移する。また、同様に、充電装置がユーザにより設定された固有の充電量まで充電された場合に、当該充電装置は、次の遷移状態が放電ならば、放電装置に状態遷移する。このため、蓄電情報取得部110は、このような状態遷移後の識別情報を取得する。
また、蓄電情報取得部110は、さらに、放電装置識別情報で示される1以上の放電装置の定格出力の合計値である放電群定格総量と、充電装置識別情報で示される1以上の充電装置の定格出力の合計値である充電群定格総量とを取得する。つまり、蓄電情報取得部110は、放電群210に含まれる放電装置の定格出力の合計値と、充電群220に含まれる充電装置の定格出力の合計値とを取得する。
例えば、蓄電情報取得部110は、各蓄電装置から伝送されてきた個々の定格出力の値を取得して記憶部150に記憶させ、当該個々の定格出力の値を積算することで、放電群定格総量や充電群定格総量を取得する。
なお、蓄電情報取得部110は、放電装置識別情報、充電装置識別情報、不参加装置識別情報、放電群定格総量及び充電群定格総量を、所定の周期で取得する。なお、所定の周期とは、どのような周期であってもよいが、例えば、秒オーダー、分オーダー、時間オーダーの間隔などである。なお、蓄電情報取得部110は、放電装置識別情報、充電装置識別情報及び不参加装置識別情報については、所定の周期でなくとも、蓄電装置の識別情報が変化したときに取得することにしてもよい。
制御量取得部120は、電力系統320が放電装置から供給を受ける必要がある電力値である放電電力値、または電力系統320が充電装置へ供給する必要がある電力値である充電電力値を取得する。ここで、制御量取得部120は、電力系統320の周波数制御のための系統電力の調整値として、放電電力値または充電電力値を所定の周期で取得する。なお、所定の周期とは、どのような周期であってもよいが、例えば、秒オーダー、分オーダー、時間オーダーの間隔などである。
具体的には、従来EMSが、電力系統320から、「負荷の総量」、「発電の総量」、「連系線潮流」などの系統情報を取得することで、蓄電装置200に求める放電電力値と充電電力値とを計算し、制御量取得部120は、従来EMSから当該放電電力値と充電電力値とを取得する。
制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得した場合に、放電装置識別情報で示される放電装置に放電電力値の電力を放電させる放電制御信号を生成し、制御量取得部120が充電電力値を取得した場合に、充電装置識別情報で示される充電装置に充電電力値の電力を充電させる充電制御信号を生成する。
具体的には、制御信号生成部130は、放電装置の定格出力の合計値に対する放電電力値の割合を放電制御信号として生成し、充電装置の定格出力の合計値に対する充電電力値の割合を充電制御信号として生成する。また、制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得した期間である放電期間に対応させて放電制御信号を生成し、制御量取得部120が充電電力値を取得した期間である充電期間に対応させて充電制御信号を生成する。
なお、制御信号生成部130は、異なる方法によって放電制御信号または充電制御信号を生成してもよい。例えば、制御信号生成部130は、放電装置ごとに、各放電装置に放電させる電力値を放電制御信号として生成し、充電装置ごとに、各充電装置に充電させる電力値を充電制御信号として生成することにしてもよい。
制御信号送信部140は、放電制御信号が生成された場合に、電力系統320に放電電力値の電力を放電するように、放電制御信号を放電装置に送信し、充電制御信号が生成された場合に、電力系統320から充電電力値の電力を充電するように、充電制御信号を充電装置に送信する。
具体的には、制御信号送信部140は、放電期間に電力系統320に放電電力値の電力を放電するように、放電制御信号を放電群210に含まれる全ての放電装置に送信し、充電期間に電力系統320から充電電力値の電力を充電するように、充電制御信号を充電群220に含まれる全ての充電装置に送信する。
記憶部150は、蓄電装置制御装置100による蓄電装置200の制御に用いられるデータテーブルである蓄電情報テーブル151等を記憶している半導体メモリ等である。この蓄電情報テーブル151については、後述する。
なお、蓄電装置制御装置100は、上記処理部以外にも、CRT(Cathode−Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部や、キーボードやマウス等の入力部を備えていることにしてもよい。
次に、蓄電装置200の機能構成について説明する。
同図に示すように、蓄電装置200に含まれるそれぞれの蓄電装置は、蓄電制御部250と蓄電池260とを備えている。蓄電制御部250は、蓄電池260を制御する処理部であり、例えばインバータに組み込まれている。蓄電池260は、蓄電制御部250からの指示に従い、固有の充電量まで充電され、また固有の放電量まで放電される蓄電池である。
また、蓄電制御部250は、蓄電情報送信部251、制御信号取得部252、充放電信号生成部253、充放電信号送信部254、切替部255及び記憶部256を備えている。
蓄電情報送信部251は、蓄電装置が、固有の放電量まで放電過程の蓄電装置である放電装置、固有の充電量まで充電過程の蓄電装置である充電装置、及び蓄電装置制御装置100に制御されない蓄電装置である不参加装置のいずれの装置であるかを識別する識別情報を、蓄電装置制御装置100に送信する。
具体的には、蓄電情報送信部251は、後述する記憶部256に記憶されている当該識別情報を読み出して、蓄電装置制御装置100に送信する。ここで、放電装置を識別する識別情報は、放電装置識別情報であり、充電装置を識別する識別情報は、充電装置識別情報であり、不参加装置を識別する識別情報は、不参加装置識別情報である。
また、蓄電情報送信部251は、蓄電装置の定格出力を蓄電装置制御装置100に送信する。具体的には、蓄電情報送信部251は、後述する記憶部256に記憶されている当該定格出力を読み出して、蓄電装置制御装置100に送信する。
制御信号取得部252は、当該識別情報を受信した蓄電装置制御装置100から、電力系統320が放電装置から供給を受ける必要がある電力値の電力を蓄電池260に放電させるための放電制御信号、または電力系統320が充電装置へ供給する必要がある電力値の電力を蓄電池260に充電させるための充電制御信号を取得する。
充放電信号生成部253は、制御信号取得部252が取得した放電制御信号または充電制御信号に従って、蓄電池260が放電する放電電力値または充電する充電電力値を示す充放電信号を生成する。
つまり、充放電信号生成部253は、放電制御信号または充電制御信号が例えば定格出力に対する割合である場合、定格出力に当該割合を乗じることで充放電電力値を算出し、充放電信号を生成する。ここで、充放電信号は、蓄電池260が充放電する充放電電力値であってもよいし、充放電するための電流の値であってもよい。
充放電信号送信部254は、充放電信号生成部253が生成した充放電信号で示される放電電力値または充電電力値の電力を蓄電池260に充放電させるために、当該充放電信号を蓄電池260に送信する。
切替部255は、蓄電装置が放電装置、充電装置及び不参加装置のいずれの装置であるかを識別する識別情報を切り替える。つまり、切替部255は、放電装置または不参加装置が充電装置に切り替わる場合に、当該放電装置または当該不参加装置を識別する識別情報から充電装置を識別する識別情報に切り替え、充電装置または不参加装置が放電装置に切り替わる場合に、当該充電装置または当該不参加装置を識別する識別情報から当該放電装置を識別する識別情報に切り替え、放電装置または充電装置が不参加装置に切り替わる場合に、当該放電装置または当該充電装置を識別する識別情報から当該不参加装置を識別する識別情報に切り替える。
例えば、切替部255は、蓄電池260が固有の放電量まで放電された場合に、識別情報を、放電装置を識別する識別情報から充電装置を識別する識別情報に切り替え、蓄電池260が固有の充電量まで充電された場合に、識別情報を、充電装置を識別する識別情報から放電装置を識別する識別情報に切り替える。
具体的には、切替部255は、後述する記憶部256に記憶されている蓄電装置のSOC(State Of Charge)を参照することで、当該切り替えを行う。なお、SOCとは、蓄電装置の充電割合(残存容量)を示す指標である。そして、当該切り替えられた識別情報は、蓄電情報送信部251が所定の周期で情報を蓄電装置制御装置100に送信するタイミングで送信される。なお、蓄電情報送信部251は、所定の周期でなくとも、識別情報が切り替えられた場合に、当該切り替えられた識別情報を蓄電装置制御装置100に送信することにしてもよい。
記憶部256は、蓄電制御部250による蓄電池260の制御に用いられるデータテーブルである蓄電データテーブル257等を記憶している半導体メモリ等である。この蓄電データテーブル257については、後述する。
なお、蓄電制御部250は、上記処理部以外にも、CRT(Cathode−Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部や、タッチパネル等の入力部を備えていることにしてもよい。
次に、記憶部150が記憶している蓄電情報テーブル151及び記憶部256が記憶している蓄電データテーブル257について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態1に係る蓄電情報テーブル151の一例を示す図である。
同図に示すように、蓄電情報テーブル151は、充電群220に含まれる充電装置の定格出力の合計値である「充電群定格総量」と、放電群210に含まれる放電装置の定格出力の合計値である「放電群定格総量」との情報を含むデータテーブルである。
当該「充電群定格総量」及び「放電群定格総量」は、蓄電情報取得部110によって所定の周期で取得され、蓄電情報取得部110によって記憶部150に記憶されることにより、蓄電情報テーブル151が更新される。
図5は、本実施の形態1に係る蓄電データテーブル257の一例を示す図である。
同図に示すように、蓄電データテーブル257は、蓄電装置の「定格出力」と、蓄電装置を識別する識別情報である「所属情報」と、「遷移情報」と、「SOC」との情報を含むデータテーブルである。
「所属情報」は、当該蓄電装置が放電群210、充電群220及び不参加群230のうちのいずれに属するかを示す情報であり、放電装置を識別する放電装置識別情報、充電装置を識別する充電装置識別情報、及び不参加装置を識別する不参加装置識別情報のいずれかの情報である。
「遷移情報」は、蓄電装置が放電装置、充電装置または不参加装置から他の装置に切り替わる場合に、放電群210、充電群220及び不参加群230のうちのいずれに属する装置に切り替わるかを示す情報である。なお、蓄電装置が不参加装置の場合、当該遷移情報には、いつ遷移するのかという遷移時期に関する情報も含まれる。
つまり、放電装置の遷移情報が充電群の場合は、放電装置から充電装置に切り替わり、放電装置の遷移情報が不参加群の場合は、放電装置から不参加装置に切り替わる。また、充電装置の遷移情報が放電群の場合は、充電装置から放電装置に切り替わり、充電装置の遷移情報が不参加群の場合は、充電装置から不参加装置に切り替わる。また、不参加装置の遷移情報が放電群の場合は、不参加装置から放電装置に切り替わり、不参加装置の遷移情報が充電群の場合は、不参加装置から充電装置に切り替わる。
なお、当該遷移情報は、どのように定められてもよいが、例えば、ユーザによって定められる。つまり、例えば、充電と放電とを所定の回数繰り返した後で不参加装置に切り替えるなど、ユーザによって蓄電装置の遷移状態がスケジューリングされることで、遷移情報が定められることにしてもよい。また、充電と放電との繰り返しモードや不参加装置への移行モードなど、ユーザによって蓄電装置の遷移状態のモード情報が設定されることで、遷移情報が定められることにしてもよい。
「SOC」は、現在のSOCの値と、SOCの上下限値(運用値)を示す情報である。具体的には、同図に示す「90%(10〜95%)」の「90%」とは、現在のSOCの値が90%であることを示している。また、「(10〜95%)」とは、運用上のSOCの上下限値を示しており、具体的には、SOCが95%まで充電可能(充電深度をSOC95%に設定)であり、SOCが10%まで放電可能(放電深度をSOC10%に設定)であることを示している。
切替部255は、蓄電データテーブル257に含まれる蓄電装置のSOCの現在値と上下限値とを参照し、例えばSOCの現在値が上限値を上回るまたはSOCの現在値が下限値を下回る場合に、蓄電データテーブル257に含まれる所属情報を遷移情報で示される識別情報に書き換える。また、切替部255は、遷移情報を、次に切り替わる装置を示す識別情報に書き換える。
ここで、蓄電データテーブル257に含まれるSOCの上下限値を示す充電深度及び放電深度は、ユーザによって設定される。以下に、ユーザによって設定される充電深度及び放電深度について説明する。
図6は、本実施の形態1に係るユーザによって設定される充電深度及び放電深度を説明する図である。具体的には、同図の(a)は、蓄電装置の特性として、充電深度が一定の場合での放電深度とサイクル寿命との関係を示すグラフである。また、同図の(b)は、充電深度も考慮した、放電深度とサイクル寿命との関係を示すグラフである。ここで、サイクル寿命とは、蓄電装置の充放電可能回数である。
同図の(a)に示すように、グラフAは、傾きが緩やかなグラフであり、グラフBは、グラフAよりも傾きが急なグラフである。ここで、グラフAとグラフBは、異なる蓄電装置の特性を示している。なお、グラフAでは、放電深度が深くなるほど、放電深度とサイクル寿命とを乗じた値は大きくなり、グラフBでは、放電深度が浅くなるほど、放電深度とサイクル寿命とを乗じた値は大きくなるものとする。
そして、放電深度とサイクル寿命とを乗じた値が大きくなるほど、蓄電装置の寿命は長くなる。このため、寿命が最長になる場合の放電深度は、蓄電装置によって異なる。
また、同図の(b)に示すように、充電深度も考慮した場合、充電深度が異なると、放電深度とサイクル寿命との関係も変化する。ここで、同図に示すグラフの複数の直線は、同じ蓄電装置における異なる充電深度での特性を示している。
例えば、同じ放電深度において、充電深度が浅い方が、サイクル寿命が大きくなる。そして、充電深度及び放電深度から得られる充放電量とサイクル寿命とを乗じた値が大きくなるほど、蓄電装置の寿命は長くなる。このため、寿命が最長になる場合の充電深度及び放電深度は、蓄電装置によって異なる。そして、蓄電装置の寿命が長くなり、かつ蓄電装置のアンシラリーサービス提供により得られる対価が多くなる充電深度及び放電深度が、ユーザによって定められる。
次に、蓄電装置制御装置100及び蓄電装置200が行う処理について、説明する。
図7は、本実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図8は、本実施の形態1に係る蓄電装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、図7に示すように、蓄電装置制御装置100の制御期間中において、所定の周期で、以下の処理(S104〜S120)が繰り返し行われる(ループ1:S102〜S122)。
まず、蓄電情報取得部110は、蓄電装置200に含まれるそれぞれの蓄電装置の所属情報を取得する(S104)。
ここで、図8に示すように、蓄電装置200に含まれるそれぞれの蓄電装置の蓄電情報送信部251は、所属情報と定格出力とを蓄電装置制御装置100に送信する(S202)。具体的には、蓄電情報送信部251は、記憶部256から蓄電データテーブル257に含まれる所属情報及び定格出力を読み出し、蓄電装置制御装置100に送信する。これにより、蓄電情報取得部110は、蓄電情報送信部251が送信した所属情報を受信する。
図9は、本実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100の蓄電情報取得部110が取得する情報を説明する図である。
同図に示すように、蓄電装置制御装置100の蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200に含まれるそれぞれの蓄電装置から、所属情報を取得する。つまり、蓄電情報取得部110は、放電群210に含まれる放電装置1〜mからは放電装置識別情報として「放電群」を取得し、充電群220に含まれる充電装置1〜nからは充電装置識別情報として「充電群」を取得し、不参加群230に含まれる不参加装置1〜pからは不参加装置識別情報として「不参加群」を取得する。
図7に戻り、蓄電情報取得部110は、放電群定格総量及び充電群定格総量を取得する(S106)。
具体的には、図9に示すように、蓄電装置制御装置100の蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200に含まれるそれぞれの蓄電装置の蓄電情報送信部251が送信した定格出力を取得する。例えば、蓄電情報取得部110は、放電装置1からは定格出力「1.0kW」を取得し、充電装置1からは定格出力「2.0kW」を取得する。
そして、蓄電情報取得部110は、放電群210に含まれる放電装置1〜mの定格出力を合計することで、放電群定格総量を取得し、充電群220に含まれる充電装置1〜nの定格出力を合計することで、充電群定格総量を取得する。例えば、蓄電情報取得部110は、放電群定格総量「1000.0MW」と充電群定格総量「800.0MW」とを取得する。
そして、蓄電情報取得部110は、取得した放電群定格総量及び充電群定格総量を、記憶部150に記憶させることにより、蓄電情報テーブル151を更新する。これにより、蓄電情報テーブル151は、図4に示すように、放電群定格総量が「1000.0MW」、充電群定格総量が「800.0MW」に書き換えられる。
図7に戻り、次に、制御量取得部120は、従来EMSから制御量を取得する(S108)。具体的には、制御量取得部120は、通信ネットワーク310を介して、従来EMSから制御量を取得する。なお、制御量取得部120は、通信ネットワーク310を介さずに、制御量取得部120と従来EMSとを繋ぐ専用線を介して、従来EMSから制御量を取得することにしてもよい。
ここで、制御量とは、電力系統320が放電群210に含まれる放電装置から供給を受ける必要がある電力値である放電電力値、または電力系統320が充電群220に含まれる充電装置へ供給する必要がある電力値である充電電力値である。
図10は、本実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100の制御量取得部120が取得する制御量を説明する図である。
具体的には、同図の(a)は、電力系統320が蓄電装置200に求める充放電パターンを示す図である。また、同図の(b)は、電力系統320が放電群210の放電装置から供給を受ける必要がある放電電力値を示す図である。また、同図の(c)は、電力系統320が充電群220の充電装置へ供給する必要がある充電電力値を示す図である。
同図の(a)に示すように、電力系統320は、蓄電装置200から同図に示す「A」及び「B」の電力の供給を受け、その後、蓄電装置200に「C」及び「D」の電力を供給し、さらに、蓄電装置200から「E」の電力の供給を受けるように、蓄電装置200に要求する。
つまり、同図の(b)に示すように、「A」、「B」及び「E」は、電力系統320が放電群210の放電装置から供給を受ける必要がある放電電力値である。また、同図の(c)に示すように、「C」及び「D」は、電力系統320が充電群220の充電装置へ供給する必要がある充電電力値である。
このため、制御量取得部120は、従来EMSから、「A」の放電電力値、「B」の放電電力値、「C」の充電電力値、「D」の充電電力値、及び「E」の放電電力値の順に、制御量を取得する。
図7に戻り、次に、制御信号生成部130は、制御量取得部120が制御量として放電電力値を取得したか否かを判断する(S110)。例えば、図10に示された「A」、「B」及び「E」の場合は、制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得したと判断する。
制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得したと判断した場合は(S110でYES)、放電制御信号を生成する(S112)。ここで、放電制御信号とは、放電装置識別情報で示される放電装置(放電群210に含まれる放電装置1〜m)に放電電力値の電力を放電させるための信号である。
具体的には、制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得した期間である放電期間に対応させて、放電群定格総量に対する放電電力値の割合を放電制御信号として生成する。例えば、制御量取得部120が図10に示された「A」の放電電力値を取得した場合、制御信号生成部130は、当該「A」の放電期間に対応させて、放電群定格総量「1000.0MW」に対する「A」の放電電力値の割合を放電制御信号として生成する。
なお、制御信号生成部130は、上記の方法ではなく、例えば、放電装置ごとに、各放電装置に放電させる電力値を放電制御信号として生成することにしてもよい。
そして、制御信号送信部140は、当該放電制御信号を放電装置に送信する(S114)。具体的には、制御信号送信部140は、放電期間に、電力系統320に放電電力値の電力を放電するように、放電制御信号を全ての放電装置に送信する。
図11は、本実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100の制御信号送信部140が放電指令または充電指令を行うことを説明する図である。
同図に示すように、蓄電装置制御装置100の制御信号送信部140は、通信ネットワーク310を介して、放電指令として、放電群210に含まれる全ての放電装置1〜mに、放電制御信号を送信する。
例えば、制御信号送信部140は、「A」、「B」または「E」などの放電期間に、放電装置1〜mに放電制御信号を送信する。
そして、放電制御信号を受信した放電装置1〜mは、放電装置1〜mから放電される電力の合計が放電電力値になるように放電を行うことで、電力系統320に当該放電電力値の電力を供給する。具体的には、放電装置1〜mのそれぞれは、自装置の定格出力に、受信した放電制御信号で示される割合を乗じた値の電力を放電する。
なお、放電制御信号が放電装置ごとの放電電力値を示す場合は、放電装置1〜mのそれぞれは、受信した放電制御信号で示される放電電力値の電力を放電する。
図7に戻り、制御信号生成部130は、制御量取得部120が放電電力値を取得していないと判断した場合は(S110でNO)、制御量取得部120が制御量として充電電力値を取得したか否かを判断する(S116)。例えば、図10に示された「C」及び「D」の場合は、制御信号生成部130は、制御量取得部120が充電電力値を取得したと判断する。
制御信号生成部130は、制御量取得部120が充電電力値を取得したと判断した場合は(S116でYES)、充電制御信号を生成する(S118)。ここで、充電制御信号とは、充電装置識別情報で示される充電装置(充電群220に含まれる充電装置1〜n)に充電電力値の電力を充電させるための信号である。
具体的には、制御信号生成部130は、制御量取得部120が充電電力値を取得した期間である充電期間に対応させて、充電群定格総量に対する充電電力値の割合を充電制御信号として生成する。例えば、制御量取得部120が図10に示された「C」の充電電力値を取得した場合、制御信号生成部130は、当該「C」の充電期間に対応させて、充電群定格総量「800.0MW」に対する「C」の充電電力値の割合を充電制御信号として生成する。
なお、制御信号生成部130は、上記の方法ではなく、例えば、充電装置ごとに、各充電装置に充電させる電力値を充電制御信号として生成することにしてもよい。
そして、制御信号送信部140は、当該充電制御信号を充電装置に送信する(S120)。具体的には、制御信号送信部140は、充電期間に、電力系統320から充電電力値の電力を充電するように、充電制御信号を全ての充電装置に送信する。
つまり、図11に示すように、蓄電装置制御装置100の制御信号送信部140は、通信ネットワーク310を介して、充電指令として、充電群220に含まれる全ての充電装置1〜nに、充電制御信号を送信する。
例えば、制御信号送信部140は、「C」または「D」などの充電期間に、充電装置1〜nに充電制御信号を送信する。
次に、図8に示すように、蓄電装置200に含まれる蓄電装置の制御信号取得部252は、制御信号送信部140が送信した放電制御信号または充電制御信号を取得する(S204)。
そして、充放電信号生成部253は、制御信号取得部252が取得した放電制御信号または充電制御信号に従って、蓄電池260が放電する放電電力値または充電する充電電力値を示す充放電信号を生成する(S206)。
そして、充放電信号送信部254は、充放電信号生成部253が生成した充放電信号を蓄電池260に送信する(S208)。これにより、当該充放電信号で示される放電電力値または充電電力値の電力が、蓄電池260に充放電される。
次に、切替部255は、蓄電装置の所属情報を切り替える必要があるか否かを判断する(S210)。例えば、切替部255は、蓄電池260が固有の放電量まで放電された場合に、蓄電装置の所属情報を、放電装置識別情報から充電装置識別情報に切り替える必要があると判断し、蓄電池260が固有の充電量まで充電された場合に、蓄電装置の所属情報を、充電装置識別情報から放電装置識別情報に切り替える必要があると判断する。
そして、切替部255は、蓄電装置の所属情報を切り替える必要があると判断した場合(S210でYES)、蓄電装置の所属情報を切り替える(S212)。また、切替部255が、蓄電装置の所属情報を切り替える必要がないと判断した場合(S210でNO)、蓄電装置の所属情報を切り替えることなく処理を終了する。
このようにして、図11に示された充電制御信号を受信した充電装置1〜nは、充電装置1〜nに充電される電力の合計が充電電力値になるように充電を行うことで、電力系統320から当該充電電力値の電力の供給を受ける。具体的には、充電装置1〜nのそれぞれは、自装置の定格出力に、受信した充電制御信号で示される割合を乗じた値の電力を充電する。
なお、充電制御信号が充電装置ごとの充電電力値を示す場合は、充電装置1〜nのそれぞれは、受信した充電制御信号で示される充電電力値の電力を充電する。
以上のようにして、蓄電装置制御装置100の制御期間中において、所定の周期で、上記処理(S104〜S120及びS202〜S212)が繰り返し行われる(ループ1:S102〜S122)。
なお、蓄電装置制御装置100の制御期間中において、例えば放電装置が固有の放電量まで放電された場合に、放電装置識別情報は充電装置識別情報に切り替えられ、また、充電装置が固有の充電量まで充電された場合に、充電装置識別情報は放電装置識別情報に切り替えられる(S212)。
このため、当該制御期間中において、蓄電情報取得部110は、放電装置である第一蓄電装置が固有の放電量まで放電された場合に、第一蓄電装置を識別する識別情報として充電装置識別情報を取得し、充電装置である第二蓄電装置が固有の充電量まで充電された場合に、第二蓄電装置を識別する識別情報として放電装置識別情報を取得する(S104)。
このように、上記処理(S104〜S120)を繰り返すことで、放電群210に含まれる放電装置、及び充電群220に含まれる充電装置の構成が変化していく。また、放電群210若しくは充電群220から不参加群230、または不参加群230から放電群210若しくは充電群220に移行することによっても、当該構成が変化していく。
なお、本実施の形態1では、蓄電装置の固有の放電量や充電量、蓄電装置が放電群210、充電群220及び不参加群230のどの群に所属するのか、またどの群に切り替わるのかなどは、個々の蓄電装置ごとに設定されている。
次に、蓄電装置200の切替部255が所属情報を切り替える処理の他の一例について、説明する。具体的には、切替部255が、電気自動車などの充電装置について、当該充電装置の本来の利便性を損ねないように所属情報を切り替える。
図12は、本実施の形態1に係る切替部255が行う処理を説明する図である。具体的には、同図の(a)は、充電装置に通常の充電を行った場合の経過時間に対するSOCの値を示したグラフである。また、同図の(b)は、蓄電装置制御装置100によって充電装置に充電を行った場合の経過時間に対するSOCの値を示したグラフである。
同図の(a)に示すように、通常の充電においては、時刻t1までの期間T1に、固有の充電量(同図に示すSOCがx%のときの充電量)まで充電装置の充電が行われる。なお、充電装置は時刻t2までに充電を完了すればよいが、時刻t1で充電が完了したため、時刻t1から時刻t2までの期間T2には、充電装置には充電は行われない。
これに対し、同図の(b)に示すように、蓄電装置制御装置100は、時刻t3までの期間T3に、充電制御信号に従って、充電装置に充電を行わせる。ここで、充電装置は、時刻t2までに、SOCがx%で示される固有の充電量まで充電を行う必要があるものとする。そして、充電制御信号に従った充電では、充電装置が、時刻t2までに当該固有の充電量まで充電されないこととする。
このため、切替部255は、充電制御信号に従った充電では蓄電池260が所定の期間内に固有の充電量まで充電されないことが予測される場合に、所属情報を不参加装置を識別する識別情報に切り替える。
そして、蓄電情報送信部251は、切替部255が切り替えた所属情報を蓄電装置制御装置100に送信する。ここで、蓄電情報送信部251は、所定の周期で情報を蓄電装置制御装置100に送信するタイミングで、当該切り替えられた所属情報を送信する。なお、蓄電情報送信部251は、所定の周期でなくとも、所属情報が切り替えられた場合に、当該切り替えられた所属情報を蓄電装置制御装置100に送信することにしてもよい。
また、充放電信号生成部253は、蓄電池260を所定の期間内に固有の充電量まで充電させる充放電信号を生成し、充放電信号送信部254は、当該充放電信号を蓄電池260に送信する。
ここで、時刻t3から時刻t2までの期間T4における充電は、同図の(a)での期間T1における充電と同じ速度で行われる充電である。つまり、当該充電装置には、時刻t3から時刻t2までの期間T4において、通常の充電が行われる。
次に、蓄電装置制御装置100が電力系統320の需給制御を行うことによる効果について、説明する。
図13は、本発明の実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100が電力系統320の需給制御を行うことによる効果を説明する図である。
具体的には、同図の(a)は、従来の需給制御による蓄電装置のSOCの変化を示す図である。また、同図の(b)は、蓄電装置制御装置100の需給制御による放電装置のSOCの変化を示す図である。また、同図の(c)は、蓄電装置制御装置100の需給制御による充電装置のSOCの変化を示す図である。
同図の(a)に示すように、従来の需給制御では、例えば「P1」で示される電力値のグラフに従って蓄電装置への充放電が短期間に繰り返し行われる場合、当該蓄電装置のSOCは、浅い放電深度で増減を繰り返す。
これに対し、同図の(b)に示すように、本実施の形態に係る蓄電装置制御装置100では、「P2」で示される電力値のグラフに従って放電装置の放電が行われ、当該放電装置のSOCは、固有の放電量の放電が完了するまで(最適な放電深度になるまで)減少する。また、同図の(c)に示すように、蓄電装置制御装置100では、「P3」で示される電力値のグラフに従って充電装置の充電が行われ、当該充電装置のSOCは、固有の充電量の充電が完了するまで(最適な充電深度になるまで)上昇する。
このように、従来の需給制御では、蓄電装置が浅い放電深度で充放電を繰り返すため、蓄電装置を長寿命で使用できるとは限らない。しかし、本実施の形態に係る蓄電装置制御装置100では、蓄電装置が最適な放電深度及び充電深度での充放電を行うことができ、かつ、充放電を繰り返す回数を減少させることができるので、蓄電装置の長寿命化を図ることができる。
以上のように、本発明の実施の形態1に係る蓄電装置制御装置100によれば、電力系統320が供給を受ける必要がある電力を放電装置が放電するように、放電制御信号を放電装置に送信し、電力系統320が供給する必要がある電力を充電装置が電力系統320から充電するように、充電制御信号を充電装置に送信する。このため、例えば蓄電装置として需要家に設置された二次電池を活用したり、充電装置として電気自動車の蓄電池を活用したりするなど、蓄電装置を本来の用途の利便性を損ねることなく、活用することができる。これにより、需給制御専用の蓄電装置を必要とせず、電力系統320の需給制御を行うことができる。また、蓄電装置は、固有の充電量または固有の放電量まで充電または放電を行うため、寿命を考慮して、最適な固有の充電量及び固有の放電量を選択することで、最適な充電深度及び放電深度での充放電を行うことができ、かつ、充放電を繰り返す回数を減少させることができるので、蓄電装置の長寿命化を図ることができる。したがって、蓄電装置を用いて電力系統320の需給制御を行う場合に、需給制御専用の蓄電装置を必要とせず、蓄電装置の長寿命化を図ることができる。
また、放電装置の定格出力の合計値に対する放電電力値の割合を放電制御信号として生成し、当該放電制御信号を全ての放電装置に送信する。また、充電装置の定格出力の合計値に対する充電電力値の割合を充電制御信号として生成し、当該充電制御信号を全ての充電装置に送信する。つまり、定格出力に対する割合を制御信号として生成することで、各放電装置または各充電装置に応じた制御信号を個別に生成する必要がなく、各放電装置または各充電装置に一律に当該制御信号を送信することができる。このため、容易に制御信号を生成及び送信して、電力系統320の需給制御を行うことができる。
また、電力系統320の周波数制御のための系統電力の調整値として、放電電力値または充電電力値を所定の周期で取得し、放電電力値を取得した期間に電力系統320に放電電力値の電力を放電するように放電装置に制御信号を送信し、充電電力値を取得した期間に電力系統320から充電電力値の電力を充電するように充電装置に制御信号を送信する。これにより、蓄電装置を用いて、電力系統320の周波数制御のための系統電力の調整を行うことができるので、蓄電装置が充電している期間、または蓄電装置が放電している期間に、アンシラリーサービスを提供することができる。また、例えば電気自動車の蓄電池を用いる場合は、充電している期間のみアンシラリーサービスを提供するという制御を行うことができる。
また、蓄電装置が固有の放電量まで放電された場合に、当該蓄電装置を識別する識別情報として充電装置識別情報を取得し、蓄電装置が固有の充電量まで充電された場合に、当該蓄電装置を識別する識別情報として放電装置識別情報を取得する。つまり、蓄電装置は、放電が完了した場合には充電するように切り替え、充電が完了した場合には放電するように切り替える機能を有している。これにより、蓄電装置から放電される電力値の合計または蓄電装置へ充電される電力値の合計が極端に変化することがなく、安定して電力系統320の需給制御を行うことができる。
また、本発明の実施の形態1に係る蓄電装置200によれば、放電装置、充電装置または不参加装置が、他の装置に切り替わる場合に、切り替わり先の装置の識別情報を蓄電装置制御装置100に送信する。例えば、蓄電池260が固有の放電量まで放電された場合に、識別情報を放電装置から充電装置を識別する識別情報に切り替え、蓄電池260が固有の充電量まで充電された場合に、識別情報を充電装置から放電装置を識別する識別情報に切り替えて、当該識別情報を蓄電装置制御装置100に送信する。なお、所属情報は、所定の周期で、蓄電装置制御装置100に送信される。これにより、蓄電装置制御装置100が充放電を切り替える機能を有していなくとも、蓄電装置の充放電を切り替えることができる。
また、蓄電装置制御装置100からの充電制御信号に従った充電では蓄電池260が所定の期間内に固有の充電量まで充電されないことが予測される場合に、識別情報を不参加装置を識別する識別情報に切り替えて、当該識別情報を蓄電装置制御装置100に送信する。なお、所属情報は、所定の周期で、蓄電装置制御装置100に送信される。また、蓄電池260を、所定の期間内に固有の充電量まで充電させる充放電信号を蓄電池260に送信する。例えば、電気自動車の蓄電池を充電制御信号に従って充電している場合に、充電制御信号に従った充電では、ユーザが使用したい時刻に充電が完了しない場合がある。この場合には、電気自動車の蓄電池を充電制御信号に従って充電させることを中止し、ユーザが使用したい時刻に充電が完了するように、急速に充電させる。これにより、電気自動車の蓄電池などの充電装置を所定の期間内に固有の充電量まで充電することができるため、本来の用途の利便性を損ねることなく、当該充電装置を電力系統の需給制御に活用することができる。
なお、放電装置は、放電が完了した場合に不参加装置に切り替わることもでき、充電装置は、充電が完了した場合に不参加装置に切り替わることもできる。この切り替わりは、自動で行われてもよいし、ユーザの指示により行われてもよい。例えば、蓄電装置が電気自動車用蓄電池などの場合で、かつ、ユーザが電気自動車を使用する予定が間近にある場合は、充電が完了した後に不参加装置に遷移させるよう設定することで、電気自動車の本来の利便性を損なわずに使用することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、説明する。上記実施の形態1では、蓄電装置200の切替部255が、放電が完了した場合には充電するように切り替え、充電が完了した場合には放電するように切り替える機能を有していることとした。しかし、本実施の形態2では、切替部255の代わりに、蓄電装置制御装置100が、蓄電装置の放電及び充電を切り替える。
ここで、本実施の形態2における蓄電装置制御システム10の構成は、図1〜5に示した実施の形態1における蓄電装置制御システム10の構成と同様であるが、当該蓄電装置制御システム10が備える構成要素が有する機能が一部異なる。このため、以下では、当該構成要素が有する機能について、実施の形態1での説明と異なる機能についての説明を行う。
蓄電情報取得部110は、蓄電装置200が備える各蓄電装置の寿命が最長になる充電深度及び放電深度を示す充放電深度情報を取得する。
制御信号生成部130は、蓄電装置が固有の放電量まで放電された場合に、蓄電装置を放電装置から充電装置に切り替える充電切替信号を生成するとともに、蓄電装置が固有の充電量まで充電された場合に、蓄電装置を充電装置から放電装置に切り替える放電切替信号を生成する。
制御信号送信部140は、充電切替信号が生成された場合に、充電切替信号を放電装置に送信するとともに、放電切替信号が生成された場合に、放電切替信号を充電装置に送信する。
次に、本実施の形態2に係る蓄電装置制御装置100が行う処理について、説明する。ここで、本実施の形態2では、図7に示した実施の形態1と同様の処理を行うが、蓄電情報取得部110が所属情報を取得する処理(図7のS104)が異なるため、以下では、当該処理について詳細に説明する。
図14は、本実施の形態2に係る蓄電装置制御装置100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、同図は、図7における蓄電情報取得部110が所属情報を取得する処理(図7のS104)に相当する。
まず、蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、蓄電装置200が備える各蓄電装置から、充放電深度情報を取得する(S302)。
ここで、充放電深度情報は、充電深度及び放電深度から得られる充放電量とサイクル寿命とを乗じた値が最大になる場合の充電深度及び放電深度を示す情報である。つまり、充放電深度情報は、蓄電装置の寿命が最長になる充電深度及び放電深度を示す情報である。このため、蓄電装置によって充放電深度情報は異なり、それぞれの蓄電装置は、固有の充放電深度情報を有する。
つまり、蓄電情報取得部110は、充電深度及び放電深度から得られる充放電量にサイクル寿命を乗じた値が最大になる場合の蓄電装置の充電深度及び放電深度を、蓄電装置の寿命が最長になる充電深度及び放電深度として、充放電深度情報を取得する。ここで、当該充電深度及び放電深度は、ユーザによって設定される。このため、蓄電情報取得部110は、ユーザが設定した充放電深度情報を取得する。
図14に戻り、次に、制御信号生成部130は、固有の放電量まで放電されて放電を完了した蓄電装置が有るか否かを判断する(S304)。
制御信号生成部130は、放電を完了した蓄電装置が有ると判断した場合(S304でYES)、放電を完了した蓄電装置である第一蓄電装置を放電装置から充電装置に切り替える充電切替信号を生成する(S306)。具体的には、制御信号生成部130は、第一蓄電装置が充放電深度情報で示される放電深度まで放電された場合に、充電切替信号を生成する。
そして、制御信号送信部140は、通信ネットワーク310を介して、当該充電切替信号を第一蓄電装置に送信する(S308)。これにより、第一蓄電装置は、充電切替信号を受信することで充電装置に切り替えられる。
そして、制御信号生成部130は、固有の充電量まで充電されて充電を完了した蓄電装置が有るか否かを判断する(S310)。また、制御信号生成部130は、放電を完了した蓄電装置が無いと判断した場合についても(S304でNO)、充電を完了した蓄電装置が有るか否かを判断する(S310)。
制御信号生成部130は、充電を完了した充電装置が有ると判断した場合(S310でYES)、充電を完了した蓄電装置である第二蓄電装置を充電装置から放電装置に切り替える放電切替信号を生成する(S312)。具体的には、制御信号生成部130は、第二蓄電装置が充放電深度情報で示される充電深度まで充電された場合に、放電切替信号を生成する。
そして、制御信号送信部140は、通信ネットワーク310を介して、当該放電切替信号を第二蓄電装置に送信する(S314)。これにより、第二蓄電装置は、放電切替信号を受信することで放電装置に切り替えられる。
そして、蓄電情報取得部110は、所属情報を取得する(S316)。具体的には、蓄電情報取得部110は、充電切替信号を受信することで充電装置に切り替えられた第一蓄電装置を識別する識別情報として充電装置識別情報を取得し、放電切替信号を受信することで放電装置に切り替えられた第二蓄電装置を識別する識別情報として放電装置識別情報を取得する。
このように、制御信号生成部130は、放電装置が充電装置に切り替わる場合に、当該放電装置を充電装置に切り替える充電切替信号を生成し、充電装置が放電装置に切り替わる場合に、当該充電装置を当該放電装置に切り替える放電切替信号を生成する。なお、制御信号生成部130は、不参加装置が充電装置に切り替わる場合に、当該不参加装置を充電装置に切り替える充電切替信号を生成し、不参加装置が放電装置に切り替わる場合に、当該不参加装置を当該放電装置に切り替える放電切替信号を生成し、放電装置または充電装置が不参加装置に切り替わる場合に、当該放電装置または当該充電装置を当該不参加装置に切り替える不参加切替信号を生成することにしてもよい。
この場合、制御信号送信部140は、充電切替信号が生成された場合に、充電切替信号を、切り替えられる放電装置または不参加装置に送信し、放電切替信号が生成された場合に、放電切替信号を、切り替えられる充電装置または不参加装置に送信し、不参加切替信号が生成された場合に、不参加切替信号を、切り替えられる放電装置または充電装置に送信する。
そして、蓄電情報取得部110は、充電切替信号を受信することで充電装置に切り替えられた蓄電装置を識別する識別情報として充電装置識別情報を取得し、放電切替信号を受信することで放電装置に切り替えられた蓄電装置を識別する識別情報として放電装置識別情報を取得し、不参加切替信号を受信することで不参加装置に切り替えられた蓄電装置を識別する識別情報として不参加装置識別情報を取得する。
以上のように、本発明の実施の形態2に係る蓄電装置制御装置100によれば、蓄電装置の充放電を切り替える切替信号を生成し、蓄電装置に送信して蓄電装置の充放電を切り替えることで、充電装置識別情報、放電装置識別情報または不参加装置識別情報を取得する。これにより、蓄電装置が充放電を切り替える機能を有していなくとも、蓄電装置の充放電を切り替えることができる。これにより、蓄電装置から放電される電力値の合計または蓄電装置へ充電される電力値の合計が極端に変化することがなく、安定して電力系統320の需給制御を行うことができる。
また、充電深度と放電深度とから得られる充放電量にサイクル寿命を乗じた値が最大になる場合の充電深度及び放電深度を、寿命が最長になる充電深度及び放電深度として充放電深度情報を取得する。これにより、容易に充電深度及び放電深度を決定して、蓄電装置の長寿命化を図ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、説明する。上記実施の形態1では、蓄電装置200の切替部255が、電気自動車などの充電装置について、当該充電装置の本来の利便性を損ねないように所属情報を切り替える機能を有していることとした。しかし、本実施の形態3では、切替部255の代わりに、蓄電装置制御装置100が、電気自動車などの充電装置について、当該充電装置の本来の利便性を損ねないように充電指令を行う。
ここで、本実施の形態3における蓄電装置制御システム10の構成は、図1〜5に示した実施の形態1における蓄電装置制御システム10の構成と同様であるが、当該蓄電装置制御システム10が備える構成要素が有する機能が一部異なる。このため、以下では、当該構成要素が有する機能について、実施の形態1での説明と異なる機能についての説明を行う。
制御信号生成部130は、充電制御信号に従った充電では充電装置である第三蓄電装置が所定の期間内に固有の充電量まで充電されないことが予測される場合に、第三蓄電装置を充電制御信号に従った充電が行われない不参加装置に切り替える不参加切替信号を生成する。また、制御信号生成部130は、当該第三蓄電装置を、所定の期間内に固有の充電量まで充電させる急速充電制御信号を生成する。
制御信号送信部140は、当該不参加切替信号及び急速充電制御信号が生成された場合に、不参加切替信号及び急速充電制御信号を第三蓄電装置に送信する。
蓄電情報取得部110は、不参加切替信号を受信することで不参加装置に切り替えられた第三蓄電装置を識別する識別情報として、不参加装置識別情報を取得する。
次に、本実施の形態3に係る蓄電装置制御装置100が行う処理について、説明する。
まず、図12での説明と同様に、同図の(b)に示すように、蓄電装置制御装置100は、時刻t3までの期間T3に、充電制御信号に従って、充電装置に充電を行わせる。ここで、充電装置は、時刻t2までに、SOCがx%で示される固有の充電量まで充電を行う必要があるものとする。そして、充電制御信号に従った充電では、充電装置が、時刻t2までに当該固有の充電量まで充電されないこととする。
このため、蓄電装置制御装置100の制御信号生成部130は、充電制御信号に従った充電では充電装置が時刻t2までに当該固有の充電量まで充電されないことを予測し、当該充電装置を充電制御信号に従った充電が行われない不参加装置に切り替える不参加切替信号を生成する。
また、制御信号生成部130は、当該充電装置を、時刻t2までに固有の充電量まで充電させる急速充電制御信号を生成する。ここで、時刻t3から時刻t2までの期間T4における充電は、同図の(a)での期間T1における充電と同じ速度で行われる充電である。つまり、当該充電装置には、時刻t3から時刻t2までの期間T4において、通常の充電が行われる。
そして、制御信号送信部140は、不参加切替信号及び急速充電制御信号を、当該充電装置に送信する。これにより、当該充電装置は、不参加切替信号を受信して不参加装置に切り替わることで、不参加群230に属することになる。
そして、蓄電情報取得部110は、不参加装置に切り替えられた充電装置を識別する識別情報として、不参加装置識別情報を取得する。
以上のように、本発明の実施の形態3に係る蓄電装置制御装置100によれば、充電制御信号に従った充電では所定の充電が行われないことが予測される場合に、充電装置を充電制御信号に従った充電が行われない不参加装置に切り替える不参加切替信号を生成するとともに、当該充電装置に所定の充電をさせる急速充電制御信号を生成し、当該信号を当該充電装置に送信して、当該充電装置を識別する不参加装置識別情報を取得する。例えば、電気自動車の蓄電池を充電制御信号に従って充電している場合に、充電制御信号に従った充電では、ユーザが使用したい時刻に充電が完了しない場合がある。この場合には、電気自動車の蓄電池を充電制御信号に従って充電させることを中止し、ユーザが使用したい時刻に充電が完了するように、急速に充電させる。これにより、電気自動車の蓄電池などの充電装置を所定の期間内に固有の充電量まで充電することができるため、本来の用途の利便性を損ねることなく、当該充電装置を電力系統320の需給制御に活用することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について、説明する。本実施の形態4では、蓄電装置制御装置100が、従来発電機と蓄電装置との制御分担の検討に利用できる情報を取得する。
ここで、本実施の形態4における蓄電装置制御システム10の構成は、図1〜5に示した実施の形態1における蓄電装置制御システム10の構成と同様であるが、当該蓄電装置制御システム10が備える構成要素が有する機能が一部異なる。このため、以下では、当該構成要素が有する機能について、実施の形態1での説明と異なる機能についての説明を行う。
蓄電情報取得部110は、放電装置が放電可能な電力量の合計値を示す放電可能電力量情報と、充電装置が充電可能な電力量の合計値を示す充電可能電力量情報とを取得する。また、蓄電情報取得部110は、放電装置が固有の放電量まで放電された後に充電装置に切り替わるか否かを示す情報、または充電装置が固有の充電量まで充電された後に放電装置に切り替わるか否かを示す情報である遷移情報を取得する。
制御量取得部120は、蓄電情報取得部110が取得した放電可能電力量情報と充電可能電力量情報と遷移情報とを用いて、放電電力値または充電電力値を取得する。具体的には、制御量取得部120は、蓄電情報取得部110が取得した情報や系統運用コストなどを用いて、従来発電機と蓄電装置との制御分担を決定し、決定した制御分担に応じた放電電力値または充電電力値を取得する。
次に、本実施の形態4に係る蓄電装置制御装置100が行う処理について、説明する。
図15は、本実施の形態4に係る蓄電装置制御装置100が行う処理を説明する図である。
同図に示すように、蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、放電群210に含まれる放電装置1〜mのそれぞれから、定格容量とSOCとを取得する。
ここで、蓄電装置の記憶部256に記憶されている蓄電データテーブル257には、定格容量の情報も含まれていることとする。そして、蓄電情報送信部251は当該定格容量とSOCとを蓄電装置制御装置100に送信することで、蓄電情報取得部110は、定格容量とSOCとを取得する。
例えば、蓄電情報取得部110は、放電装置1から、定格容量として「2.0kWh」を取得するとともに、SOCとして「90%(10〜95%)」を取得する。ここで、SOCの「90%(10〜95%)」の「90%」とは、現在のSOCの値が90%であることを示している。また、「(10〜95%)」とは、SOCの上下限値を示しており、具体的には、SOCが95%まで充電可能(充電深度をSOC95%に設定)であり、SOCが10%まで放電可能(放電深度をSOC10%に設定)であることを示している。
そして、蓄電情報取得部110は、取得した定格容量とSOCとから、各放電装置が放電可能な電力量を算出する。具体的には、蓄電情報取得部110は、定格容量に、SOCから算出される放電可能な割合を乗じて、各放電装置が放電可能な電力量を算出する。例えば、放電装置1が放電可能な電力量として、蓄電情報取得部110は、2.0kWh×(90%−10%)=1.6kWhと算出する。
そして、蓄電情報取得部110は、放電群210に含まれる全ての放電装置について、算出した各放電装置が放電可能な電力量を積算することで、各放電装置が放電可能な電力量の合計値を算出し、当該合計値を示す放電可能電力量情報を取得する。なお、各放電装置が、放電可能な電力量を算出し、蓄電情報取得部110は、各放電装置から当該放電可能な電力量を取得することで、放電可能電力量情報を算出して取得することにしてもよい。
また、充電装置についても同様に、蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、充電群220に含まれる充電装置1〜nのそれぞれから、定格容量とSOCとを取得する。例えば、蓄電情報取得部110は、充電装置1から、定格容量として「2.0kWh」を取得するとともに、SOCとして「20%(10〜90%)」を取得する。
そして、蓄電情報取得部110は、取得した定格容量とSOCとから、各充電装置が充電可能な電力量を算出する。具体的には、蓄電情報取得部110は、定格容量に、SOCから算出される充電可能な割合を乗じて、各充電装置が充電可能な電力量を算出する。例えば、充電装置1が放電可能な電力量として、蓄電情報取得部110は、2.0kWh×(90%−20%)=1.4kWhと算出する。
そして、蓄電情報取得部110は、充電群220に含まれる全ての充電装置について、算出した各充電装置が充電可能な電力量を積算することで、各充電装置が充電可能な電力量の合計値を算出し、当該合計値を示す充電可能電力量情報を取得する。なお、各充電装置が、充電可能な電力量を算出し、蓄電情報取得部110は、各充電装置から当該充電可能な電力量を取得することで、充電可能電力量情報を算出して取得することにしてもよい。
また、蓄電情報取得部110は、放電装置が固有の放電量まで放電された後に充電装置に切り替わるか否かを示す情報、または充電装置が固有の充電量まで充電された後に放電装置に切り替わるか否かを示す情報である遷移情報を取得する。
具体的には、蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、放電群210に含まれる放電装置1〜mのそれぞれから、遷移情報を取得する。例えば、蓄電情報取得部110は、放電装置1から遷移情報として「充電群」を取得し、また、放電装置2から遷移情報として「不参加群」を取得する。つまり、放電装置1は、放電完了後に充電群220に属するように移行し、放電装置2は、放電完了後に不参加群230に属するように移行する。
また、充電装置についても同様に、蓄電情報取得部110は、通信ネットワーク310を介して、充電群220に含まれる充電装置1〜nのそれぞれから、遷移情報を取得する。また、蓄電情報取得部110は、不参加群230に含まれる不参加装置1〜pからも、遷移情報を取得する。
例えば、放電装置が放電を完了して、放電群210から他の群に属するように移行すると、放電群210に含まれる放電装置の合計出力が減少する。また、充電装置が充電を完了して充電群220から放電群210に属するように移行する、または不参加装置が不参加群230から放電群210に属するように移行すると、放電群210に含まれる放電装置の合計出力は増加する。充電装置についても同様である。
このため、蓄電情報取得部110が取得する遷移情報を用いて、将来の放電装置または充電装置の電力量の合計値のみならず、将来の放電装置の合計出力または充電装置の合計出力を予測することができる。
なお、不参加装置の遷移情報には、いつ遷移するのかという時間に関する情報も含まれる。例えば、不参加装置が電気自動車用蓄電池の場合、当該電気自動車が走行を終えて、家庭内のHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などに接続されると、HEMSが電気自動車を検知し、ある一定時間(例えば、1分)経過後に充電群220に遷移するという遷移情報を、自動で蓄電情報取得部110に送信する。また、ユーザが家電機器等を占有して使用したいなどの理由から蓄電装置を不参加群230に参加させていたが、当該ユーザが外出する予定であり、その外出以降は、充電群220または放電群210に参加させることができる場合には、当該ユーザが、外出予定時刻を遷移情報に含めて、蓄電情報取得部110に送信する。これにより、蓄電情報取得部110は、不参加装置から、時間に関する情報も含む遷移情報を取得する。
そして、制御量取得部120は、蓄電情報取得部110が取得した放電可能電力量情報と充電可能電力量情報と遷移情報とを用いて、放電電力値または充電電力値を取得する。
図16は、本実施の形態4に係る制御量取得部120が取得する放電電力値または充電電力値を説明する図である。
具体的には、同図の(a)は、電力系統320が供給を受ける必要がある電力値、または電力系統320が供給する必要がある電力値を示す図である。また、同図の(b)は、制御量取得部120が取得する放電電力値または充電電力値を示す図である。
同図の(a)に示すように、電力系統320は、系統の需給バランスを維持するために、従来発電機または放電装置から、「A」、「B」及び「E」の電力の供給を受ける必要があり、従来発電機または充電装置に、「C」及び「D」の電力を供給する必要がある。
ここで、従来発電機とは、例えば電力会社の保有する火力発電設備や水力発電設備(揚水発電設備を含む)などである。つまり、例えば、火力発電設備や水力発電設備は、従来EMSからの指令に基づき、出力を調整し、電力系統の需給制御を行う機能を有している。
このため、まず、制御量取得部120は、蓄電情報取得部110が取得した放電可能電力量情報と充電可能電力量情報と遷移情報とから、蓄電装置の利用可能時間を把握することで、従来発電機と蓄電装置との制御分担を決定する。
なお、制御量取得部120は、系統運用コストなども用いて、この制御分担の決定を行うことにしてもよい。つまり、制御量取得部120は、蓄電装置に需給制御を行わせるために支払う対価(アンシラリーサービス提供の対価)と、火力発電設備などの従来発電機を予備力として待機させておくための費用とを比較して、最も安価となる制御分担を決定することにしてもよい。ここで、当該対価や費用の算出方法は、どのような手法を用いても構わない。
そして、制御量取得部120は、決定した制御分担に応じた放電電力値または充電電力値を取得する。例えば、同図の(b)に示すように、制御量取得部120は、「A1」、「B1」及び「E1」を放電電力値として取得し、「C1」及び「D1」を充電電力値として取得する。なお、「A2」、「B2」及び「E2」は、従来発電機が出力を増加させる電力値であり、「C2」及び「D2」は、従来発電機が出力を減少させる電力値である。
以上のように、本発明の実施の形態4に係る蓄電装置制御装置100によれば、放電装置が放電可能な放電可能電力量情報と、充電装置が充電可能な充電可能電力量情報と、放電装置または充電装置の切り替わり先を示す遷移情報とを取得することで、当該情報を用いて放電電力値または充電電力値を取得する。つまり、放電可能電力量情報と充電可能電力量情報と遷移情報とから、蓄電装置が電力系統320の需給制御に利用できる充放電量や充放電時間を把握することができる。このため、当該情報などを用いて、従来発電機と蓄電装置との制御分担の決定を行うことができる。これにより、決定した制御分担に応じた放電電力値または充電電力値を取得することができ、電力系統320の需給制御を行うことができる。
以上、本発明に係る蓄電装置制御装置100について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記複数の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、本実施の形態では、放電装置は、固有の放電量まで放電された後に、充電装置または不参加装置に切り替わり、充電装置は、固有の充電量まで充電された後に、放電装置または不参加装置に切り替わることとした。しかし、例えば緊急時には、蓄電装置制御装置100からの指令により、放電装置は、固有の放電量まで放電される前であっても、充電装置に切り替わることもでき、充電装置も同様に、固有の充電量まで充電される前であっても、放電装置に切り替わることもでき、不参加装置は、充電装置または放電装置に切り替わることもできる。また、この場合には、蓄電装置制御装置100は、制御量や制御回数などを記憶部150に記憶することで、対価の算出に利用することができる。つまり、蓄電装置を保有する需要家は、緊急時の制御に見合った対価を得ることができる。また、蓄電装置は、上記緊急時の指令に従わないロック機能を備えていてもよい。
また、本実施の形態では、充電制御信号が送信される充電装置は、二次電池や電気自動車などの蓄電装置であることとした。しかし、充電制御信号が送信される充電装置は、電力を消費する負荷機器であってもよい。つまり、当該負荷機器が充電制御信号に従って電力を消費することで、アンシラリーサービスを提供することができる。なお、当該負荷機器とは、ヒートポンプなどの冷暖房機器、氷蓄熱装置などの蓄熱装置などである。
なお、本発明は、このような蓄電装置制御装置または蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置制御装置と複数の当該蓄電装置とを備えた蓄電装置制御システムとして実現することもできる。また、このような蓄電装置制御装置または蓄電装置が備える各処理部が行う処理をステップとする蓄電装置制御方法または蓄電方法として実現することもできる。また、蓄電装置制御方法または蓄電方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。また、蓄電装置制御装置または蓄電装置に含まれる特徴的な処理部を備える集積回路として実現したりすることもできる。