JP5559964B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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本発明は、セット性及び再整髪性に優れた毛髪化粧料に関する。
従来、整髪に用いるエアゾール式毛髪化粧料は、毛髪セット用ポリマーの固着力を用いて、髪を固定するものが一般的であるが、一度毛髪を固定した後、ヘアスタイルが崩れると再度毛髪を固定(以下、「再整髪」という)することができず、仕上がった髪がごわつく、硬いなどの不満が生じている。
一方、ヘアワックスなどのスタイリング剤では、髪を油の粘着力で保持することから、髪は固まることなく自然な仕上がりが得られ、再整髪も可能であるが、油による粘着力はべたつきの原因となる。しかもヘアワックスの固着力は毛髪セット用ポリマーの固着力に比べて極めて弱く、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しい。
そこで、毛髪セット用ポリマーと油剤を含有し、一定以上の粘着力を有する毛髪化粧料が、頭髪を固めずに自然なまとまりを付与でき、ヘアスタイルの保持性に優れるものとして提案されている(特許文献1)。しかし、このものは、粘着性が十分でないため、再整髪性が低く、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しいという問題があった。
また、N-置換(メタ)アクリルアミド単量体とこれ以外の不飽和単量体との共重合体を毛髪化粧料の基剤として使用した、粘着性が低くべたつきの発生が抑制された毛髪化粧料が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この技術は粘着性を低く抑えることを目的としたものであり(段落[0003])、実際に、当該文献に記載された毛髪化粧料は粘着性が低く、セット性にも劣るものである。
また、再整髪が可能な毛髪化粧料として、毛髪セット用ポリマーとポリオール溶剤とを一定比率で含有し、更に可塑剤として特定の非イオン界面活性剤を含有する組成物を原液とするエアゾール化粧料(特許文献3)、1価分岐鎖アルコール、毛髪固定用高分子及び特定の非イオン界面活性剤を含有する透明毛髪化粧料(特許文献4)が提案されている。しかしながら、これらのものも、粘着性が十分でなく、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しい。
特開平11-116443号公報 特開2006-199664号公報 特開2005-68134号公報 特開2002-201116号公報
従って本発明は、セット性及び再整髪性に優れ、しかもべたつき、ごわつきが少ない毛髪化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の毛髪セット用ポリマーと特定の可塑剤を組合せ、かつ特定の成分の含有量を抑制した霧状に吐出して使用する毛髪化粧料が、上記要求を満たすものであることを見出した。
本発明は、次の成分(A)及び(B)を含有し、更に成分(C)及び/又は成分(D)を含有するか、又はいずれも含有せず、成分(C)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(C)/(B)が0〜1、成分(D)の含有量の成分(A)の含有量に対する質量比(D)/(A)が0〜0.2であり、かつ成分(B)及び成分(C)の合計含有量の成分(A)の含有量に対する質量比〔(B)+(C)〕/(A)が0.8〜3である霧状に吐出して使用する毛髪化粧料を提供するものである。
(A) ビニル系アニオン性毛髪セット用ポリマー
(B) 30℃で液体である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油
(C) 30℃で固体である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油
(D) 炭素数14〜20の1価脂肪族分岐アルコール
本発明の霧状に吐出して使用する毛髪化粧料は、セット性及び再整髪性に優れ、かつべたつき、ごわつきが少ない。
成分(A)のビニル系アニオン性毛髪セット用ポリマーとしては、以下のものが挙げられる。
・クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれかを構成単位として含むアニオン性の皮膜形成性ポリマー:
クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれかを構成単位として含んでいれば特に限定されないが、ビニルエーテル類、ビニルエステル類の1種以上と共重合されているもの、あるいは更に加水分解によりビニルアルコール単位を構成するものが好ましい。例えば、メチルビニルエーテル/マレイン酸アルキルコポリマー(ISP社製のガントレッツES-225,同ES-425,同SP-215等)、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー(ナショナル・スターチ社製のレジン28-1310等)、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー(ナショナル・スターチ社製のレジン28-2930等)、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー(BASF社製のルビセットCAP等)、ビニルアルコール/イタコン酸コポリマー(クラレ社製のKM-118等)がより好ましく、メチルビニルエーテル/マレイン酸アルキルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマーが更に好ましい。
・(メタ)アクリル酸を構成単位として含むアニオン性の皮膜形成性ポリマー:
(メタ)アクリル酸を構成単位として含むビニルポリマーであれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルあるいはN-アルキル(メタ)アクリルアミドの1種以上と共重合されているものが好ましい。より好ましくは、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミドコポリマー(BASF社製のウルトラホールド8,ウルトラホールド・ストロング等)、オクチルアクリルアミド/アクリル酸コポリマー(ナショナル・スターチ社製のアンフォーマーV-42等)、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸コポリマー(ユニオンカーバイド社製のアマホールドDR25等)、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミドコポリマー(互応化学工業社製のプラスサイズL9540B(当該ポリマーの2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)等)、アクリレーツ/C1-18アルキルアクリレーツ/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー(互応化学工業社製のプラスサイズL9909B(当該ポリマーの2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)等)が挙げられ、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸コポリマー、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アクリレーツ/C1-18アルキルアクリレーツ/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマーがより好ましい。
これらの中でもメチルビニルエーテル/マレイン酸アルキルコポリマー、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アクリレーツ/C1-18アルキルアクリレーツ/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマーがより好ましく、さらには、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミドコポリマーが特に好ましい。
成分(A)の含有量は、高いセット力と再整髪性を得る観点から、全組成中の0.6〜20質量%、更には1〜10質量%、特に1.4〜7質量%が好ましい。なお、本発明の霧状に吐出して使用する毛髪化粧料が、エアゾール原液と噴射剤からなるエアゾール式毛髪化粧料である場合、各成分の含有量に関する限り、「全組成」とは、噴射剤を含まないエアゾール原液の全組成をいうものとする。
成分(B)は、可塑剤として成分(A)と混合することで粘着性を生じさせるものである。成分(B)のうちポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(付加モル数3〜9)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(ポリオキシエチレンの付加モル数1〜10)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(付加モル数4〜13)、ポリオキシエチレンアルキル(sec-C11-15)エーテル(付加モル数5〜9)、ポリオキシエチレンアルキル(sec-C12-14)エーテル(付加モル数5〜9)などが挙げられ、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(付加モル数5〜50)などが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル;ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル;ポリオキシエチレン(7)セチル−ステアリルエーテル;ポリオキシエチレン(5)アルキル(sec-C11-15)エーテル、ポリオキシエチレン(7)アルキル(sec-C11-15)エーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル;ポリオキシエチレン(5)アルキル(sec-C12-14)エーテル、ポリオキシエチレン(7)アルキル(sec-C12-14)エーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C12-14)エーテルなどが挙げられる。また成分(B)のうちポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油などが挙げられる。
成分(B)の含有量は、高いセット力と再整髪性を得る観点から、全組成中の1〜30質量%、更には1.6〜16質量%、特に2〜10質量%が好ましい。
また、成分(A)と成分(B)の含有比率は、高いセット力と再整髪性を得る点から、質量比で(B)/(A)=45/55〜75/25、特に50/50〜70/30の範囲に調整することが好ましい。
本発明の毛髪化粧料には、更に成分(C)として、30℃で固体のポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油を少量含有させることもできる。かかる成分(C)は成分(B)と同様、可塑剤として機能するものであるが、経時で成分(C)自体が析出することによる粘着性低下を回避し、セット持ちや再整髪性に優れたものとする観点より、成分(C)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(C)/(B)は0〜1に制限され、好ましくは0〜0.8、より好ましくは0〜0.6に制限される。
また、成分(B)及び成分(C)の合計含有量の成分(A)の含有量に対する質量比〔(B)+(C)〕/(A)は、高いセット力と再整髪性を得る観点から、0.8〜3であり、更には0.9〜2.5、特に1〜2が好ましい。
かかる成分(C)のうち30℃で固体のポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(付加モル数12以上)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(ポリオキシエチレンの付加モル数20以上)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(付加モル数30以上)、ポリオキシエチレンアルキル(sec-C11-15)エーテル(付加モル数30以上)、ポリオキシエチレンアルキル(sec-C12-14)エーテル(付加モル数30以上)などが挙げられ、30℃で固体のポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(付加モル数60以上)などが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(13)セチル−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)アルキル(sec-C11-15)、ポリオキシエチレン(30)アルキル(sec-C12-14)エーテルなどが挙げられ、成分(C)のうち30℃で固体のポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油などが挙げられる。
本発明の毛髪化粧料には、更に成分(D)として、炭素数14〜20の1価脂肪族分岐アルコールを少量含有させることもできるが、成分(A)との分離による粘着性の低下を回避し、セット力、セット持ち及び再整髪性に優れたものとする観点から、成分(D)の含有量の成分(A)の含有量に対する質量比(D)/(A)は0〜0.2に制限され、好ましくは0〜0.1、より好ましくは0〜0.05に制限される。
かかる成分(D)としては、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソアラキルアルコールが挙げられる。
本発明の毛髪化粧料には、更に溶媒としてエタノール及び/又は水が含有されることが好ましい。これらの含有量は、化粧料に含まれるポリマーや可塑剤の溶解性や噴霧状態を良好にする観点から、全組成中の4〜98.4質量%が好ましく、更には30〜98質量%、特に50〜95質量%が好ましい。
また、本発明の毛髪化粧料は、通常の毛髪化粧料に使用される各種成分、例えば、カチ
オン界面活性剤、アニオン界面活性剤、前記以外の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤
、pH調整剤、ビタミン類、蛋白質、アミノ酸類、生薬類、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、着色剤等を、目的に応じて含有することができる。
本発明の毛髪化粧料は、エアゾール式スプレー又はポンプ式スプレーの形態とすることができる。
本発明の毛髪化粧料をエアゾール式毛髪化粧料とする場合は、更に噴射剤を用いる。エアゾール式毛髪化粧料は、噴射剤以外の成分(以下原液とする)と噴射剤とを耐圧容器に充填することにより製造される。
噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な作業性、整髪性、再整髪性と共に、良好な噴射特性と粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量比で、原液/噴射剤=5/95〜80/20、更には30/70〜70/30、更には40/60〜60/40の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るためには20℃の温度で0.12〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
原液は、30℃における粘度が15mPa・s以下、特に10mPa・s以下であるのが、原液を微細な液滴として噴射するために好ましい。なお、ここでの粘度とは、ブルックフィールド型粘度計(ローター BLアダプター,回転数30rpm,60秒間,30℃)により測定した値をいう。
耐圧容器に使用するバルブは、ステム径φ0.33〜0.46mm,ハウジング径φ0.33〜0.65mm×ベーパータップ径φ0〜0.64mmが好ましい。水を含む処方系では、特にステム径φ0.33〜0.42mm、ハウジング径φ0.33〜0.42mm、かつベーパータップ無しが好ましく、非水系では、特にステム径φ0.40〜0.46mm、ハウジング径φ0.42〜0.65mm×ベーパータップ径φ0.33〜0.46mmが好ましい。
実施例1〜7及び比較例1〜6
表1に示す各成分をエタノールに溶解してヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.15MPa,20℃)と共に、原液/噴射剤(質量比)=47/53で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填して、エアゾール式毛髪化粧料(ヘアスプレー)を製造した。容器内の圧力は20℃で0.23Mpaであった。
バルブ:ステム径φ0.41mm,ハウジング径φ0.64mm×ベーパータップ径φ0.41mm
ボタン:口径φ0.46mm(MB,コンケープ)
(日本プリシジョンバルブ社)
(評価方法)
専門パネラー10人により、各ヘアスプレーを用いて髪をセットし、「セット性」、「べたつきのなさ」及び「ごわつきのなさ」について官能評価を行った。
更に、スプレー施術後、25℃、65%の環境で9時間経過後、「再整髪性」についても官能評価を行った。なお、評価は以下の基準に従って行い、10人の評価点の平均値で示した。
(評価基準)
5:非常に良い。
4:良い。
3:やや良い。
2:やや悪い。
1:悪い。
Figure 0005559964
表1に示す各実施例の原液組成をエタノールで2質量倍に希釈し、容器に封入してポンプスプレーとした(三谷バルブ社製のZ-155-120のスプレイヤーを使用)。これらのポンプスプレーについて、「セット性」、「再整髪性」、「べたつきのなさ」及び「ごわつきのなさ」の評価を行い、いずれも良好な結果を得た。

Claims (2)

  1. 次の成分(A)及び(B)を含有し、更に成分(C)及び/又は成分(D)を含有するか、又はいずれも含有せず、成分(A)の含有量が1.4〜20質量%、成分(B)の含有量が1〜30質量%、成分(C)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(C)/(B)が0〜1、成分(D)の含有量の成分(A)の含有量に対する質量比(D)/(A)が0〜0.2であり、かつ成分(B)及び成分(C)の合計含有量の成分(A)の含有量に対する質量比〔(B)+(C)〕/(A)が1〜2.5である霧状に吐出して使用する毛髪化粧料。
    (A) ビニル系アニオン性毛髪セット用ポリマー
    (B) 30℃で液体である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油
    (C) 30℃で固体である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油
    (D) 炭素数14〜20の1価脂肪族分岐アルコール
  2. 更に、噴射剤を含有するエアゾール式毛髪化粧料である請求項1記載の毛髪化粧料。
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