JP5559790B2 - インドシアニングリーンの蛍光エマルジョン - Google Patents

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Description

本発明は、診断薬として、特に蛍光イメージング法に用いることができるインドシアニングリーンの新規な製剤、およびその作製のための方法、およびその使用に関する。
蛍光イメージング法は、蛍光標識の動物またはヒトへの注入、およびその蛍光標識の位置の検出に基づくイメージング技術である。従って、その装置は、蛍光標識の励起源、および標識が発する蛍光の検出器を含む。
現在、蛍光イメージング法は、MRI(磁気共鳴画像法)、PET(陽電子放出断層撮影法)、SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)、超音波診断法、放射線撮影法、またはX線断層撮影法などのその他の様式に対する相補的なイメージング技術として考えられている。
蛍光イメージング法は、その他のイメージング技術と比較して以下のような多くの利点を有する:
−電離線を用いないため、電離放射線防護や放射性廃棄物の複雑な管理を必要としない;
−装置が安価、コンパクトであり、使用が容易である;
−取得時間が非常に短い;
−注入される標識の濃度から考えて非常に高感度の技術であり、標識の濃度は、MRIに用いられるよりも非常に低く、PETおよびSPECTに用いられるものと同等である;
−小動物または臓器のスケールで非侵襲的にイメージングを行った場合、核イメージング法(PET、SPECT)と同等の解像度を有する技術であり、顕微鏡技術を用いた場合は細胞解像度を有することができる。
現在、フルオレセインおよびインドシアニングリーンは、米国においてヒトへの注入が認可されているフルオロフォアである。
以降本明細書においてICGと称するインドシアニングリーンは、Cardiogreen(エイコーン社(Akorn Inc.))、Infracyanine(サーブ社(Serb))、ICG−Pulsion(パルシオンメディカルシステム社(Pulsion Medical System))の商品名で販売されている。この化合物は以下の式を有する:
Figure 0005559790
これは近赤外線を放出するフルオロフォアである。この波長範囲は、可視光範囲と比べて組織による吸収が低いこと、組織による分散が少ないこと、および組織の自己蛍光が低減されることから、蛍光イメージング法において特に興味深い。
この理由により、インドシアニングリーンは、現在、蛍光イメージング法の臨床応用において最適なフルオロフォアである。
しかし、ICGは、その蛍光標識としての使用を問題とするいくつかの特性を有する。
第一に、ICGは、溶解度が5から10mg/mlの両親媒性化合物であり、従って水に難溶性である。より高い濃度では、分光特性が異なる二量体または凝集体が形成される。
さらに、ICGは、安定性が低く、特に発光性の低い二量体が形成されることにより、水溶液中における蛍光量子収率が低い。従って、FDAは、溶液の作製を、患者への注入の10時間前未満とすることを求めている。
さらに、ICGは、静脈内経路で注入した場合に高い度合いで血漿タンパク質上に吸着され、それによって吸収および発光スペクトルが変化してしまう。
さらに、ICGの蛍光寿命(0.5ns)は、生物組織の自己蛍光の寿命(通常は0.3〜0.4ns)に非常に近い。従って、パルス発光励起に基づく蛍光装置を用いてICG蛍光と組織の自己蛍光とを区別することは難しい
最後に、ICGは、抗体、ペプチド、サッカリド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、もしくはアプタマーなどの標的化生物分子または分子との結合を可能とするグラフト基を持たない。標的化分子とのグラフト化は有益であり、それは、全身注入の後にフルオロフォアをインビボにて対象とする領域へ指向させることを可能とし、それによってイメージングすべき領域にICGが選択的に蓄積され、その結果として検出感度が高められるからである。
これらの問題点のいくつかを克服するために、数多くのICG製剤が提案されている。
従って、光凝固による病変部の治療に関して、特許出願WO2001/017561では、その溶解度および化学的安定性を高めることができるICGの製剤を提案しており、この製剤は、アルコール、バッファー、界面活性剤、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、オイル、赤血球、脂肪酸、および抗菌薬を含んでいる。特許出願US2004/0156782には、肝臓クリアランスもしくは心臓クリアランスの測定、または血流の測定のための血管造影法用として、凍結乾燥した形態のICG製剤が記載されている。
特許出願WO2003/057259には、リポソームに基づき、フルオロフォアの溶解度を高めることができるICGの製剤が記載されている。フルオロフォアの場所は指定されていない。しかし、フルオロフォアがリポソームの形成後に添加されることを考えると、その表面に吸着されていると推察される。さらに、この製剤の安定性は、1ヶ月未満である。最後に、リポソームは二重層のシェルを持つ小胞で、一般にその粒子サイズは直径が100nm超であり;そのサイズの粒子の溶液は光を拡散させ、血液循環の腫瘍組織への血管外遊出、および細胞への内部移行が十分に得られない。
特に血中半減期を延長するために、ICGをカーゴ分子へ吸着させることも提案されている。例えば、特許出願WO2005/082423には、血清アルブミンのICGとの非特異的吸着による結合が記載されている。しかし、吸着による非共有結合に基づく製剤は、化学的安定性が低く、用いることができる標的化生物リガンドの選択肢が限定される。従って、広く研究されている血管新生マーカーであるcRGDなどの標的化小ペプチド(Haubner et al. JACS 1996, 118, 7461-7472)は、これらの方法によってICGと会合させて蛍光標識を作り出すことができない。
特許出願US2005/0019265は、ポリマーソーム内のフルオロフォア製剤を提案している。しかし、そのような合成リポソームは、合成が複雑であり、合成ポリマーを用いる必要があり、血液循環の腫瘍組織への血管外遊出、および細胞への内部移行を十分に得るために適するナノ粒子、すなわち100nm未満、およびさらには50nm未満のナノ粒子が直接得られるわけではない。
さらに、文献US7014839およびWO98/48846では、水中油型のエマルジョンの形態のICG製剤が記載されているが、製造方法もエマルジョンの特性も示されていない。しかし、この形態の製剤は、ほとんどの場合、液滴サイズが大きすぎて、光の拡散の制限、ならびに注入後のインビボにおける十分なコロイドの安定性および隠匿性(furtivity)の確保ができないエマルジョンとなる。
提案された製剤では、蛍光イメージング用フルオロフォアとしてのICGの性能を最適化することができない。従って、蛍光イメージングに用いることができ、特に外部環境から保護することによって安定でありその光学特性を最適化することができ、注入後に十分な血液循環の腫瘍組織への血管外遊出および細胞への内部移行を示す透明製剤を得ることができるICG製剤を利用可能とすることが求められていた。
本発明では、油相中に可溶化脂質を含むエマルジョン中にICGを製剤することを提案する。
従って、第一の側面によると、本発明は、ナノエマルジョンの形態でのインドシアニングリーンの製剤に関し、このナノエマルジョンは、連続水相および少なくとも1つの分散油相を含み、ここで、この油相は、インドシアニングリーン、少なくとも1つの両親媒性脂質、および少なくとも1つの可溶化脂質を含む。
両親媒性脂質は、リン脂質が好ましい。
可溶化脂質は、少なくとも1つの脂肪酸グリセリドを含むことが有利であり、例えば、12〜18個の炭素原子を持つ飽和脂肪酸の少なくとも1つのグリセリドである。
油相は、少なくとも1つのオイル、特に親水性油性バランス(HLB)が3〜6であるオイルをさらに含んでよく、特には大豆油または亜麻仁油である。
水相は、共界面活性剤、特にエチレンオキシドユニットから成る、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドユニットから成る少なくとも1つの鎖を持つ共界面活性剤をさらに含むことが好ましい。この共界面活性剤は、特に、ポリエチレングリコール/ホスファチジルエタノールアミン複合体(PEG−PE)、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエーテル、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエステル、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーから選択することができる。
エマルジョンの連続相は、特に生理学的に許容されるバッファーを含んでよい。
第二の側面によると、本発明は、少なくとも1つの連続水相および少なくとも1つの分散油相を含むインドシアニングリーンの製剤を作製するための方法に関し、この方法は:
(i)少なくとも1つの可溶化脂質、両親媒性脂質、およびICGを含む油相を作製する工程;
(ii)ナノエマルジョンを形成するのに十分なせん断作用の下、油相を水相中に分散させる工程;および、
(iii)このようにして形成したナノエマルジョンを回収する工程、
を含む。
せん断作用は、特に超音波処理によって施すことができる。
油相は、特に、成分のすべてまたは一部を適切な溶媒に溶解し、次に溶媒を留去することによって作製することができる。
第三の側面によると、本発明は、前記インドシアニングリーンの製剤の診断薬としての使用に関する。
このように製剤した場合、ICGの光学特性が大きく改善され(約10倍の性能の向上)、これによって、イメージングにおける性能の改善、または注入用量の削減が可能となる。例えば、0.27mg/mlのナノエマルジョンとして製剤されたICGの2〜10mlは、2.5mg/mlのICG溶液2〜8mlと少なくとも同様の強度の蛍光シグナルを発する(循環血液量および心拍出量の測定のために体重70kgのヒトへ静脈内注入される用量)。
さらに、本発明に従う製剤は、化学的な意味でもコロイドレベルでも、および経時での光学性能に関しても非常に安定である。
本製剤の別の利点は、154mM塩化ナトリウムなどの等張性媒体中で作製することができる点であり、そのような媒体中では凝集してしまうために低張性媒体(5%グルコース水)中で注入される懸濁させたICGとは異なる。
好ましくは現在ヒトへの注入がすべて認可されている化合物によって構成される限りにおいて、蛍光イメージング法への使用に完全に適している。
本発明に従うICGの製剤は、さらに、作製が非常に容易であり、安価であることから、容易に入手可能である。
さらに、この製剤は、成分のモル組成を変えることによって、種々の薬物動態に適応させることができる。
最後に、本発明に従う製剤は官能化が可能であり、従って、標的化生物分子または分子とグラフト化することにより、イメージングすべき対象となる領域へICGを輸送可能とすることができ、このことは、蛍光イメージングに新しい臨床応用をもたらすものである。
図1のAは、充填率0μMから1000μMにおける実施例1に従うICGナノエマルジョンの750nmでの光学濃度を、透析の前後にてCARY300SCAN分光光度計で測定したものである。図1のBは、充填率0μMから1000μMにおける実施例1に従うICGナノエマルジョンを、これらの作製の10日後および40日後に透析したものの750nmでの光学濃度である。 図2のAは、水中、DMSO中、または実施例1に従うナノエマルジョンとして製剤されたICGの吸収スペクトルである。図2のBは、PERKIN ELMER LS5OB分光蛍光計で測定した、同一のサンプルの蛍光発光スペクトルである。 図3は、実施例1で述べるようにして作製されたエマルジョンの分散相の平均径のヒストグラムである。 図4のAは、透析直後(黒色棒グラフ)、透析の10日後(線影付棒グラフ)、および透析の40日後(白色棒グラフ)における、DMSO溶液のICG、水溶液のICG、または実施例1に従うナノエマルジョン中でカプセル化されたICGの蛍光量子収率Fを示すヒストグラムである。図4のBは、DMSO中のICG、および1000μMの充填率でナノエマルジョンとして製剤された(実施例1で述べるように)異なる種類のICG(シグマアルドリッチ社のカーディオグリーン、またはセルブラボラトリーズ社(Serb Laboratoires)のインフラシアニン)の、上述の式に従って算出された量子収率Fを示すヒストグラムである。 図5のAは、水中のICGおよびナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(実施例1で述べるように)の蛍光レベルを、ICGの吸収帯で発光する光源および適切なレンズを組み合わせたカメラから構成される光学機器で測定し、2つの溶液の濃度範囲の関数として対数スケールで示したものである。図5のBは、水溶液としてICG2.5ナノモルを含有するキャピラリーおよび既述のようにしてナノエマルジョンとして製剤したICG0.5ナノモルを含有するキャピラリーの蛍光レベルを、図5Aで示した測定のおよそ25分後に測定し、これを対数スケールで示したものである。 図6は、メタノール溶液中の遊離ICG、またはPBS(10mM、pH7.3)中に懸濁させたナノエマルジョン中にカプセル化したICGを実施例1に従って作製し、ネオジムバナデート連続レーザー[Millennia Pro、スペクトラフィジクス社,米国](532nm、5W)で励起し、700nm〜100nmの範囲で波長が可変であるチタンサファイアレーザー[Tsunami、スペクトラフィジクス社,米国](80MHz、100フェムト秒)を用いて、その蛍光の低下を測定鎖(measuring chain)上で測定したものである。 図7のA〜Dは、実施例2で述べるラットにおける血管系の蛍光イメージング画像である。 図8のA〜Bは、5%グルコース水によるICG溶液(A)またはナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(B)を皮内注射した後のヌードマウスにおいて、尾部リンパ節の白色光で得たイメージと蛍光イメージとを重ねて示す図である(ここで、膝窩リンパ節を白矢印で示す)。 図9のA〜Eは、ナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(A、C)または5%グルコース水によるICG溶液(B、D)の静脈注入後のヌードマウスに皮下移植して2週間経過した腫瘍の蛍光イメージングによる画像である。 図10は、T=10℃およびT=60℃の温度に対する、作製後のナノエマルジョンの2つのH NMRスペクトルを示す(実施例6)。 図11のa)およびb)は、作製後(a)、および周囲温度で4ヶ月保存後(b)のナノエマルジョンに、Universal V3.8B TAデバイスを用いた示差走査熱量測定(DSC)を行うことで得られたサーモグラムである(℃による温度の関数としての熱流(W/g))(実施例6)。 図12は、3つのナノエマルジョンについて、時間(日)の関数としてのナノエマルジョンの液滴サイズ(単位nm)の40℃における変化を示す。
[定義]
本明細書の範囲内において、「ナノエマルジョン」という用語は、少なくとも2つの相、一般的には油相および水相、を持つ組成物として理解され、ここで、分散相の平均サイズは1ミクロン未満、好ましくは10〜500nm、特には20〜100nmである(C. Solans, P. Izquierdo, J. Nolla, N. Azemar and M.J. Garcia-Celma, Curr Opin Colloid In, 2005, 10, 102-110の論文参照)。
「液滴」という用語は、液状オイルの液滴それ自体、および油相が固体である場合の水中油型のエマルジョンで得られる固体粒子の両方を含む。後者の場合、固体エマルジョンという表現も多く用いられる。
本明細書の範囲内において、「脂質」という用語は、脂肪性物質全体、または動物由来の油脂中および植物油中に存在する脂肪酸を含有する物質全体を示す。これらは、主として炭素、水素、および酸素から構成され、水よりも小さい密度を有する疎水性または両親媒性分子である。脂質は、周囲温度(25℃)において、ワックスのような固体状態であっても、またはオイルのような液体であってもよい。
「リン脂質」という用語は、リン酸基を持つ脂質を意味し、特にはホスホグリセリドである。ほとんどの場合、リン脂質は、置換されていてよいリン酸基によって形成される1つの親水性末端、および脂肪酸鎖によって形成される2つの疎水性末端を含む。リン脂質の中でも特に言及すべきものとしては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびスフィンゴミエリンであろう。
「レシチン」という用語は、ホスファチジルコリン、すなわち、コリン、ホスファート、グリセロール、および2つの脂肪酸から形成される脂質を示す。より一般的には、ほとんどの部分がホスファチジルコリンによって構成される限りにおいて、植物または動物に由来する生物から抽出したリン脂質を含む。そのようなレシチンは、一般的に、異なる脂肪酸を有するレシチンの混合物を構成する。
「脂肪酸」という表現は、炭素原子数が少なくとも4個である炭素含有鎖を持つ脂肪族カルボン酸を示すために用いられる。天然の脂肪酸は、炭素原子数が4〜28個(一般的には偶数個)である炭素含有鎖を持つ。長鎖脂肪酸という表現は、14〜22個の炭素原子数である長さに対して用いられ、炭素原子数が22個を超える場合は、極長鎖脂肪酸である。
「界面活性剤」という用語は、両親媒性構造を有する化合物を意味するものとして理解され、その構造のために、油/水および水/油型の界面に対する特定の親和性が付与され、それによって、そのような界面の自由エネルギーを低下させて分散系を安定化させる能力を持つ。
「共界面活性剤」という用語は、界面活性剤に加えて作用して、界面のエネルギーをさらに一層低下させる界面活性剤を意味するものと理解される。
[エマルジョン]
第一の側面によると、本発明は、ナノエマルジョンの形態でのインドシアニングリーンの製剤に関し、このナノエマルジョンは、少なくとも1つの水相および少なくとも1つの油相を含み、ここで、この油相は、インドシアニングリーン、少なくとも1つの両親媒性脂質、および少なくとも1つの可溶化脂質を含む。
従って、このエマルジョンは、水中油型のエマルジョンである。これは、単式(simple)または、特に分散相に第二の水相を含むことによる複式(multiple)であってもよい。
このエマルジョンは、油相が、フルオロフォアに加えて、少なくとも1つの両親媒性脂質および少なくとも1つの可溶化脂質を含むことを特徴とする。
本発明に従うエマルジョンは、油相中に、エマルジョンを安定化する目的で1もしくは2つ以上の両親媒性脂質を追加して含む。
このような両親媒性脂質は、親水性部分および親油性部分を含む。これらは、一般的には、親油性部分が8〜30個の炭素原子を持つ直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和または不飽和鎖を含む化合物から選択される。これらは、天然もしくは合成由来のリン脂質類、コレステロール類、リゾ脂質類(lysolipids)、スフィンゴミエリン類、トコフェロール類、グルコ脂質類(glucolipids)、ステアリルアミン類、カルジオリピン類;ソルビタンエステルなどのエーテルもしくはエステル官能基によって親水性基と結合した脂肪酸から構成される分子、例えば、シグマ社からSpan(登録商標)の商品名で市販されているソルビタンモノオレエートおよびモノラウレート;高分子化脂質;ICIアメリカ社(ICI Americas Inc.)からTween(登録商標)の商品名で、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)からTriton(登録商標)の商品名で市販されている非イオン性界面活性剤などの、短鎖ポリエチレンオキシド(PEG)と結合した脂質;サッカロースモノ−およびジ−ラウレート、モノ−およびジ−パルミテート、モノ−およびジ−ステアレートなどの糖エステル類、から選択することができ;前記界面活性剤は、それ単独で用いることも、または混合物として用いることも可能である。
1もしくは複数の両親媒性脂質は、好ましくは、天然由来であり、生体適合性であり、リン脂質およびコレステロールなどである。
本発明に従うエマルジョンは、可溶化脂質をさらに含む。
この化合物の目的は、溶解性が低い両親媒性脂質をナノエマルジョンの油相中に可溶化させることである。
可溶化脂質は、両親媒性脂質に対してその可溶化を可能にするのに十分な親和性を持つ化合物から選択される。それはオイルまたはワックスであってよい。
両親媒性脂質がリン脂質である場合は、それは特にグリセロール誘導体であってよく、特には、グリセロールと脂肪酸とのエステル化によって得られるグリセリドであってよい。
可溶化脂質は、好ましくは、少なくとも1つの脂肪酸グリセリドを含む。12〜18個の炭素原子を持つ飽和脂肪酸のグリセリドが特に好ましい。
有利には、それは、異なるグリセリドの混合物である。
少なくとも10重量%のC12脂肪酸、少なくとも5重量%のC14脂肪酸、少なくとも5重量%のC16脂肪酸、および少なくとも5重量%のC18脂肪酸を含む飽和脂肪酸のグリセリドが好ましい。
0重量%〜20重量%のC8脂肪酸、0重量%〜20重量%のC10脂肪酸、10重量%〜70重量%のC12脂肪酸、5重量%〜30重量%のC14脂肪酸、5重量%〜30重量%のC16脂肪酸、および5重量%〜30重量%のC18脂肪酸を含む飽和脂肪酸のグリセリドが好ましい。可溶化脂質は、周囲温度(25℃)にて固体であることが好ましい。
特に好ましい可溶化脂質は、ガッテフォッセ社(Gattefosse)からSuppocire(登録商標)の商品名で市販され、ヒトへの注入が認可されている半合成グリセリドの混合物である。
上述の可溶化脂質により、安定であることが有利であるナノエマルジョンの形態での製剤を得ることが可能となる。特定の理論に束縛されるものではないが、上述の可溶化脂質によりアモルファスコアを持つ液滴をナノエマルジョン中に得ることが可能になるものと推察される。このようにして得られたコアは、結晶性を持たず、高い内部粘性を有する。結晶化は、一般的に液滴の凝集および/またはカプセル化された分子の液滴外部への排出を引き起こすことから、ナノエマルジョンの安定性にとっては確かに有害である。従って、これらの物理的性質により、ナノエマルジョンの物理的安定性、およびインドシアニングリーンのカプセル化の経時での安定性が向上する。
ICGは、残留ヨウ素を含まない医療グレードのICGが好ましい。
ICGは、エタノール、DMSO、またはメタノールなどの適切な有機溶媒中の濃縮溶液として用いてよい。しかし、インビボでの用途に対しては、耐容性が良好である溶媒が好ましい。
好ましくは、本発明に従うエマルジョンの分散油相は、少なくとも1つのオイルを追加でさらに含む。
それは生体適合性オイルであることが好ましい。生体適合性オイルは、エマルジョンの形成前に化学的もしくは物理的修飾を行わずに用いることが好ましい。
本発明に従って用いることができる生体適合性油は、天然(植物もしくは動物)由来であってもまたは合成由来であってもよい。そのようなオイルの中で、特に言及すべきものとしては、植物由来のオイル、特に大豆油、パーム油、落花生油、オリーブ油、ブドウ種油、およびヒマワリ油;動物由来のオイル、特に魚油、合成油、特にトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドから構成されていてよく;前記オイルは、それ単独で用いても、または混合物として用いてもよい。このようなオイルは、バージン油、精製油、またはエステル交換油であってよい。
本発明の特に好ましい態様によると、オイルは、水への溶解度が低いオイル、すなわち、親水性油性バランス(HLB)がおおむね8未満、より好ましくは3から6であるオイルから選択され、例えば大豆油などである。
大豆油および亜麻仁油から選択される少なくとも1つのオイルを油相に含むエマルジョンがより特に好ましい。
このエマルジョンは、当然、連続水相をさらに含む。
水相は、水、またはPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を例とするリン酸バッファーなどの生理学的に許容されるバッファー、または塩化ナトリウム溶液を含むか、または、これらから実質的に構成されていることが好ましい。
しかし、水相は、グリセロールなど、連続相の粘度を増加させ、乳化を促進させることができる剤をさらに含んでいてよい。
有利には、本発明に従うエマルジョンは、共界面活性剤をさらに含む。
共界面活性剤は、エチレンオキシドユニットから成る、またはエチレンオキシドユニットおよびプロピレンオキシドユニットから成る少なくとも1つの鎖を持つことが好ましい。
有利には、共界面活性剤は、ポリエチレングリコール/ホスファチジルエタノールアミン複合体(PEG−PE)、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエーテル、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエステル、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーから選択される。
[作製方法]
上述の製剤は、超音波処理によるものを例とする、公知の乳化方法の1つによって得ることができる。
しかし、本発明の製剤は、ICGが、水溶液中ではなく油相中に導入される方法によって得られることが好ましい。
この工程によってフルオロファオがより効果的にカプセル化され、従って、得られた製剤の蛍光量子収率および安定性が高まる。
従って、第二の側面によると、本発明は、少なくとも1つの水相および少なくとも1つの油相を含むインドシアニングリーンの製剤を作製するための方法を提案し、この方法は:
(i)少なくとも1つの可溶化脂質、両親媒性脂質、およびICGを含む油相を作製する工程;
(ii)ナノエマルジョンを形成するのに十分なせん断作用の下、油相を水相中に分散させる工程;および、
(iii)このようにして形成したナノエマルジョンを回収する工程、
を含むことが好ましい。
せん断作用は超音波処理によって施されることが好ましい。
さらに、油相は、成分のすべてまたは一部を適切な溶媒に溶解し、次に溶媒を留去することによって作製することが有利である。
両親媒性化合物の溶解が困難である場合は、分散相の成分を混合し、次に両親媒性化合物を可溶化脂質の補助によって油中に溶解することで油相を作製することが興味深いものであり得る。
次に、ICGを溶解する有機溶媒を留去する。
続いて、連続相の成分を混合することで作製した水相を添加することができる。
油相への水相の添加は、油相が液体であるように加熱下で行うことが好ましい。
乳化は、ナノエマルジョンを形成させるために、超音波処理を例とする強いせん断によって行う。
本発明の好ましい態様によると、製剤は、ナノエマルジョン表面における生物リガンドまたは対象とする分子のグラフト化によって官能化することが可能である。
グラフト化は、連続相と分散相との間の界面の一部を形成する共界面活性剤上で実施されることが好ましい。
このような分子の共界面活性剤への結合は、乳化前または乳化後のいずれで行ってもよい。乳化後では、エマルジョンが不安定化しないように、化学グラフト反応が、水溶液中にて、極端な酸性でも塩基性でもないpH(pH5〜11)で行われることが好ましい。従って、化学グラフト反応の実施が困難である場合、第一の変形(乳化前のグラフト化)が原理的には好ましい。
本発明に従うエマルジョンの官能化に用いることができる対象となる分子は、以下に例示するものであってよい:
a)生物リガンド
i)生物標的化リガンド:ある細胞(例としては、例えばS. Achilefu, Technology in Cancer Research & Treatment, 2004, 3, 393-408に記載の腫瘍細胞)もしくはある臓器の特異的な認識を可能とする生物的要素(抗体、ペプチド、サッカリド、アプタマー、オリゴヌクレオチドなど)または化学的要素(例えば葉酸)、
ii)酵素活性を例とするある生物活性に対するマーカーである生物リガンド。例えば、そのような生物リガンドは、あるプロテアーゼによって開裂可能なペプチドであり、その末端にICG蛍光阻害剤がグラフト化することになる。この種のリガンドは、C.H. Tung, Biopolymers, 2004, 76, 391-403の論文に記載のように、プロテアーゼの酵素活性の特異的なイメージングを可能とする。別の例は、その蛍光の阻害剤から標識を分離するジスルフィド架橋を有する生物リガンドによって構成される。このような生物リガンドは、プローブの細胞内への内部移行の特異的なイメージングを可能とし、例えば、フランス特許出願FR2888938に記載されている;
b)隠匿剤(furtivity agent):これは、生物内でのICGの循環時間を延長し、その排出を遅延する効果を有する要素である;
c)「集合ベクター(assembly vector)」:これは、1もしくは複数の蛍光標識、および/または1もしくは複数の生物標的化リガンド、および/または1もしくは複数の隠匿剤、および/または1もしくは2つ以上の機能(例えば、医薬の送達、その他のイメージング様式、治療機能)の集合を可能とする要素である。
エマルジョンは、以下のような意図する用途に用いられるその他の剤をさらに含有していてよい:
−MRI(磁気共鳴画像法)、PET(陽電子放出断層撮影法)、SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)、超音波診断法、放射線撮影法、またはX線断層撮影法などのその他のイメージング様式のためのイメージング剤;または、
−治療効果を持つ分子(DNA、オリゴヌクレオチド、化学分子など)。
そのような剤は、エマルジョンの分散相もしくは水相、または別の選択肢としてその界面へ導入してよく、または、共有結合もしくは非共有結合によって分散相上へ吸着させてもよい。
得られたエマルジョンの分散相における平均径は、10〜500nm、より特には20〜200nm、最も特には100nm未満である。
いかなる理論にも束縛されるものではないが、現在のところ、ICGは、恐らくナノエマルジョンの内部にカプセル化されると共に、その膜(またはシェル)にインターカレートされていると推測される。ICGがさらに乳化の前に存在する場合、ICGが表面に吸着されることは非常に可能性が低いと考えられる。
提案されるICGの製剤は、経時での安定性に優れ、さらに非常に良好な光学特性を示す。
さらに、これは、あるいくつかの用途において対象とする標的化リガンドによる官能化が可能である。
[エマルジョンの使用方法]
提案されるICG製剤は、特に診断薬として用いることができる。
化学的、光学的、およびコロイド安定性、分散相の小平均径、ならびに提案される製剤中におけるICGの安定した高い蛍光量子収率により、この製剤は蛍光イメージング法において特に価値のあるものとなる。
この用途では、エマルジョンは、蛍光プローブとして作用させるために体内へ注入され、発光されるシグナルを適切な検出装置で取得する。
重要な用途は、センチネル節の検出である。
今までこの分野で臨床的に主に用いられてきた方法は、シンチグラフィー(核イメージング)および色素イメージング(パテントブルー、メチレンブルーなどの青色素)である。用いられる標識は、ほとんどの場合、ナノコロイドの形態のアルブミンの複合体であり、その上に色素が吸収されるか、または一般的には99mTcに基づく放射性核種キレートがグラフトされる。手術室での実施が困難である核イメージング法の使用を避けるためには、染色法よりも高感度であり定量化しやすい蛍光法が最適な技術であろう。
本発明は、従って、上述の製剤を哺乳類へ投与することを含む診断方法にも関する。哺乳類は好ましくはヒトである。
本発明を、実施例および添付の図面によってより詳細に説明する。
図1A:充填率0μMから1000μMにおける実施例1に従うICGナノエマルジョンの750nmでの光学濃度を、透析の前後にてCARY300SCAN分光光度計で測定する。透析前の相関直線の式は、y=0.2235x−2.8271、相関係数(R)は0.997;透析後の式は:y=0.0754x+0.0111、Rは0.999である。ICGのナノエマルジョンへの平均取り込み率は、およそ35%である。
図1B:充填率0μMから1000μMにおける実施例1に従うICGナノエマルジョンを、これらの作製の10日後および40日後に透析したものの750nmでの光学濃度である。10日後については、相関直線の式は:y=0.0709x−0.1805、Rは0.983;40日後の式は:y=0.0704x−3.7455、Rは0.988である。ICGのナノエマルジョンからの喪失率は、カプセル化の40日後でおよそ7%と算出される。
図2A:水中、DMSO中、または実施例1に従うナノエマルジョンとして製剤されたICGの吸収スペクトルである。水またはDMSOへのICGの溶解は、7.75mg/mlの濃度で行う。CARY300SCAN分光光度計で測定した、水中のICG、DMSO中のICG、およびナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(最終濃度1μM)の吸収スペクトルである。
図2B:PERKIN ELMER LS5OB分光蛍光計で測定した、同一のサンプルの蛍光発光スペクトルである。
図3:実施例1で述べるようにして作製されたエマルジョンの分散相の平均径のヒストグラムである:透析の10日後(黒棒グラフ)および40日後(白棒グラフ)。測定は、ZeitaSizer Nano(マルベルンインスツルメント社(Malvern Instrument))での動的光散乱法により、種々の量のICG(充填率を0〜1500μMまで変化させる)を含有する非常に少量のナノエマルジョン(0.5〜2μl)を添加した0.1×のPBS溶液1mlで行う。
図4A:透析直後(黒色棒グラフ)、透析の10日後(線影付棒グラフ)、および透析の40日後(白色棒グラフ)における、DMSO溶液のICG、水溶液のICG、または実施例1に従うナノエマルジョン中でカプセル化されたICGの蛍光量子収率Fを示すヒストグラムである。蛍光量子収率Fは、式:F=Fref×((Ifluo)/(Ifluoref))×((1−10−Absref/(1−10−Abs))×(n ref/n)、によって算出され、式中、Frefは、レファレンスの蛍光量子収率(DMSO中のICG;Fref=0.13)、Ifluoは、サンプルの蛍光積分値、Ifluorefは、レファレンスの蛍光積分値、Absは、励起波長におけるサンプルの吸光度、Absrefは、励起波長におけるレファレンスの吸光度、n refは、レファレンス(DMSO)の屈折係数、nは、サンプルの屈折係数である。水溶液中のICGとは異なり、ナノエマルジョンとして製剤されたICGの量子収率は、経時で安定であることに留意されたい。
図4B:DMSO中のICG、および1000μMの充填率でナノエマルジョンとして製剤された(実施例1で述べるように)異なる種類のICG(シグマアルドリッチ社のカーディオグリーン、またはセルブラボラトリーズ社(Serb Laboratoires)のインフラシアニン)の、上述の式に従って算出された量子収率Fを示すヒストグラムである。ナノエマルジョンとして製剤されたICGの光学特性の向上は、用いたICGの種類に無関係であることに留意することが重要である。
図5A:水中のICGおよびナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(実施例1で述べるように)の蛍光レベルを、ICGの吸収帯で発光する光源および適切なレンズを組み合わせたカメラから構成される光学機器で測定し、2つの溶液の濃度範囲の関数として対数スケールで示す。水中のICGの濃度範囲(100μM〜0.01μMの範囲)およびナノエマルジョン中でカプセル化されたICGの濃度範囲(透析後の充填率350μM)を、それぞれ超純水および154mM塩化ナトリウム中で作製し、各濃度点の10μlを直径1.9mmのPTFE製小キャピラリーに付着させ、これをカメラの下に置いて蛍光レベルを測定する。
図5B:水溶液としてICG2.5ナノモルを含有するキャピラリーおよび既述のようにしてナノエマルジョンとして製剤したICG0.5ナノモルを含有するキャピラリーの蛍光レベルを、図5Aで示した測定のおよそ25分後に測定し、これを対数スケールで示す。水溶液としてのICGの蛍光レベルの経時での減少と、ナノエマルジョンとしてカプセル化されたICGの蛍光レベルの安定性に留意されたい。
図6:メタノール溶液中の遊離ICG、またはPBS(10mM、pH7.3)中に懸濁させたナノエマルジョン中にカプセル化したICGを実施例1に従って作製し、ネオジムバナデート連続レーザー[Millennia Pro、スペクトラフィジクス社,米国](532nm、5W)で励起し、700nm〜100nmの範囲で波長が可変であるチタンサファイアレーザー[Tsunami、スペクトラフィジクス社,米国](80MHz、100フェムト秒)を用いて、その蛍光の低下を測定鎖(measuring chain)上で測定する。この装置の運転モードに応じて、分析すべきサンプルに対する励起ファイバーとして用いるマルチモード光ファイバーへレーザーを注入する。第二の光ファイバー(検出用)が、発光された蛍光またはレーザー拡散をフィルターシステムを介して捕捉する。TCSPCカウントカード(TCSPC counting card)[ベッカー&ヒッケル社(Becker & Hickel),ドイツ]と連結させた光電子増倍管[浜松,日本]によりシグナルを測定する。後者は、光ファイバーへ注入される前に高速光ダイオード(PD)[ベッカー&ヒッケル社,ドイツ]を介して取り出されたレーザーシグナル(パルス列)の一部(4%)がトリガーとなる。測定は、パルス励起波長740nmを用いて行った。続いて、蛍光寿命tを、SPCImageソフトウェア(ベッカーヒックル社(Becker Hickl GmbH))を用い、機器の応答関数(instrument response function)(IRF)のデコンボリュートされた蛍光減衰曲線を単一指数関数減衰(monoexponential decline)(χ =1.0)によって近似することで得た。結果を実施例1の表2にまとめる。
図7:図7A〜Dは、実施例2で述べるラットにおける血管系の蛍光イメージング画像である。写真は、白色光下にて光学機器でイメージングした領域を示す。ガス麻酔下(2%イソフルラン)にてラット頚部の切開を行い、取り出した頚動脈を切開用カニューレ上に配置した。次に、225μMに希釈したICGのナノエマルジョン製剤200μl(透析処理後の充填率350μM)を尾部静脈中へボーラス注入した。図Bは、注入直後の頚動脈を示す(注入の0.5秒後)。図Cは、注入の1.5秒後に撮影したもので、フルオロフォアが通過すると、蛍光シグナルが今までよりも強くなっていることを示す。図Dは、注入の2.5秒後に撮影したもので、そのように製剤されたフルオロフォアが通過すると、蛍光シグナルがさらに強くなることを示している。図Eは、注入の5秒後に撮影したもので、ナノエマルジョン中でカプセル化されたICGが頭部組織の血管系を循環した後、さらに強い蛍光シグナルが頚静脈で観測されることを示している(白矢印)。続いて周囲組織によって発光される僅かな蛍光シグナルは、その血管新生に対応するものである可能性がある。
図8:図8A〜Bは、5%グルコース水によるICG溶液(A)またはナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(B)を皮内注射した後のヌードマウスにおいて、尾部リンパ節の白色光で得たイメージと蛍光イメージとを重ねて示す図である(ここで、膝窩リンパ節を白矢印で示す)。白色光によるイメージは、同一の積分時間(60ms)で得たものであり、一方蛍光イメージは、異なる積分時間で得たものである(図Aは200ms、図Bは30ms)。
図9:図9A〜Eは、ナノエマルジョン中でカプセル化されたICG(A、C)または5%グルコース水によるICG溶液(B、D)の静脈注入後のヌードマウスに皮下移植して2週間経過した腫瘍の蛍光イメージングによる画像である。図AおよびBは、レーザーを用いずに周囲光の下で光学装置で得られるものであり、一方図CおよびDは、レーザー光の励起下、いかなる光からも遮断した光学装置で得られるものである。図Eは、切除後の腫瘍の蛍光イメージを表し、右側が、ナノエマルジョンとして製剤されたICGを注入したマウスから除去した腫瘍、左側が、5%グルコース水溶液中のICGを注入したマウスから除去した腫瘍である。
図10:T=10℃およびT=60℃の温度に対する、作製後のナノエマルジョンの2つのH NMRスペクトルを示す(実施例6)。
図11:図11a)およびb)は、作製後(a)、および周囲温度で4ヶ月保存後(b)のナノエマルジョンに、Universal V3.8B TAデバイスを用いた示差走査熱量測定(DSC)を行うことで得られたサーモグラムである(℃による温度の関数としての熱流(W/g))(実施例6)。
図12:3つのナノエマルジョンについて、時間(日)の関数としてのナノエマルジョンの液滴サイズ(単位nm)の40℃における変化を示す。ダイアモンド形の印は、オイルを含み可溶化脂質を含まないナノエマルジョンを表し、三角は、可溶化脂質とオイルの50/50混合物を含むナノエマルジョンを表し、丸は、可溶化脂質を含みオイルを含まないナノエマルジョンを表す(実施例6)。
実施例1
エマルジョンの形態のICGの製剤
適切な容器中に、大豆油(シグマ‐アルドリッチ社)0.05g、Suppocire(登録商標)NC(ガッテフォッセ社)の商品名で市販されている半合成グリセリド0.150g、ならびに、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液としてのICG(シグマアルドリッチ社のカーディオグリーン、またはセルブラボラトリーズ社のインフラシアニン)0.310mgおよび9.30mg、さらにはLipoid(登録商標)S45の商品名でリポイド社(Lipoid)から市販されている大豆レシチン0.100g(45%ホスファチジルコリンに濃縮)から構成される予備混合物を作製した。
DMSOを減圧留去後、残渣を50〜60℃まで加熱し、この液体混合物をこの温度で維持して乳化させる(周囲温度ではこの混合物はワックス状となる)。
グリセロール0.05g、ICIアメリカ社からMyrj(登録商標)53の商品名で市販されているエチレンオキシドユニットを50個有するポリオキシエチレンステアレート0.331g、および154mMの塩化ナトリウム溶液を混合して混合物を1.7gとし、連続相を作製した。次に、乳化前に、この溶液を加熱して維持した(50〜60℃)。
次に、この水溶液をオイル/レシチン混合物へ添加した。次に、直径3mmのコニカルプローブを備えたAV505(登録商標)ソニケーター(ソニックス社、ニュータウン)をこの溶液中におよそ1cm浸漬させることにより、この二相溶液と接触させる。この溶液を、このソニケーターセットの最大出力の25%で5分間、以下のサイクルで超音波処理した:超音波処理10秒間/停止30秒間。超音波処理の間、溶液は湯浴中にて40℃に維持した。
次に、この溶液を、カットオフ値12,000のSpectra/Por(登録商標)透析膜を用い、154mM塩化ナトリウム溶液に対して透析し、未反応試薬を除去する。
得られたエマルジョンを0.22μmフィルターでろ過し、殺菌および凝集物の除去を行う。こうして、このエマルジョンは、希釈後、インビボでの機能イメージング用蛍光プローブとして直接用いることができる。透析前の得られた製剤の組成を以下の表1にまとめる。
Figure 0005559790
透析後、過剰のフルオロフォア(ナノエマルジョンとして製剤されていない)を除去する。ナノエマルジョン中へのICGの取り込み率の平均は、図1Aに示すように35%である。さらに、図1Bに示すように、カプセル化の40日後にフルオロフォアのロスがないかほとんどないため、このICG製剤は、少なくとも40日間は非常に安定である。
このようにして製剤されたICGのスペクトル特性は、図2Aおよび2Bならびに表2に示すように、DMSO中のICGのものと同一である。
Figure 0005559790
得られた新規製剤は、文献に報告されたもの(WO2003/057259にて25日間)と比較して、化学的、コロイド的、および光学的安定性が非常に高い(少なくとも>40日間)。
このようにして得られたエマルジョンは、光散乱法(ZeitaSizer Nano、マルベルンインスツルメント社(Malvern Instrument))で測定した分散相の平均径が29nmであり、図3に示すように、この径は経時で変化していない。
表2および図4Aに示すように、DMSO溶液で測定したものと比較して、カプセル化した場合のICGの蛍光量子収率Fが僅かに低下しているが、それでも、水溶液で測定したものよりも高い値が維持されている。さらに、図4Aに示す水溶液中の遊離ICGとは異なり、図4Bに示すように、用いたICGの種類に関わらず(シグマアルドリッチ社のカーディオグリーン、またはセルブラボラトリーズ社のインフラシアニン)、量子収率は経時で安定している。
図5Aおよび5Bに示すように、最適化された光学特性により、数mW/cmのオーダーの励起パワーによってICGの吸収帯で発光する光源、および観察されるサンプルに適合させたレンズと組み合わせたカメラから構成される適切な測定装置の下、検出限界を下げることが可能である。
さらに、図6および表2に示すように、カプセル化するとICGの蛍光寿命tは延長される。この特性は、本発明に従う製剤を時間分解測定装置に用いることを考慮することができることから、非常に価値のあるものである。
図7A〜7Eの写真は、本発明に従うICG製剤の特に蛍光イメージングにおける価値を示すものである。
従って、これらすべての特性に照らして、本発明に従う製剤を、すぐに使用できる形態で市販することが可能であろう。
実施例2
血管新生のイメージング
雄のスプラーグドーリーラット(ハーラン(Harlan)、フランス)にイソフルラン吸入(4%で誘導、2%で維持)による麻酔を施し、次にイメージング装置の下に配置する。この装置は:1)ICGの励起帯で発光し、その励起パワーが数mW/cmのオーダーである光源、および2)観察されるサンプルに適合させたレンズと組み合わせたCCDカメラから構成される。この集合体は、励起光とフレアを回避し、蛍光のみの検出を可能とするフィルターを備えている。次に頚部領域を切除して頚動脈および頚静脈を取り出す。次に、実施例1で述べたように作製した、透析後の充填率350μMのICG製剤を静脈内注入する。続いて、この領域の血管系の蛍光イメージングを行い、図7に示すように、頚動脈の視覚化をまず行い、次に頚静脈の視覚化を行う。この蛍光イメージングシステムを用いれば、手術の過程において外科医の動きのガイドおよび/または管理が可能となる。
実施例3
センチネルリンパ節のイメージング
雌のヌードマウス(ジャンビエ(Janvier))にイソフルラン吸入(4%で誘導、2%で維持)による麻酔を施し、次に上述の蛍光イメージング装置の下に配置する。
実施例1で述べたようにして作製したICG製剤の10μl(0.5ナノモル注入)またはグルコース水中に溶解したICGの10μl(1ナノモル注入)を、右後ろ足に皮内注入する。
続いて、注入を受けたマウスの経時モニタリングを蛍光イメージングで行った。ナノエマルジョンとして製剤されたICGトレーサーが、注入部位近傍のリンパ節へ急速に選択的に蓄積されること(最初の5分から)に留意されたい。さらに、図8Aおよび8Bに示すように、ナノエマルジョンとして製剤されたICGトレーサーの使用により、5%グルコース水中に製剤されたICGを用いて得られた結果と比較して、リンパ節のより高感度の検出が可能となる。
実施例4
腫瘍イメージング
マウス由来のTs/Apc腫瘍細胞を、雌のヌードマウス(ジャンビエ)の背中へ皮下注入し(10細胞)、注入部位の領域における腫瘍成長を、イメージングセッションに先立つ期間全体にわたってモニタリングする。
2週間後、マウスは注入部位の近傍に腫瘍を有しており、次に、イソフルラン吸入(4%で誘導、2%で維持)による麻酔を施し、次に上述のイメージング装置の下に配置した。
体積200μlの実施例1で述べたようにして作製したICG製剤(7ナノモル)または5%グルコース水のICG溶液(7ナノモル)を、各ケースについて3体ずつのマウスに静脈内注入した。1日後、麻酔を施したマウス(イソフルラン、2.5%)に新しいイメージングセッションを実施し、図9に示すように、実施例1で述べるICG製剤について、蛍光イメージングによる腫瘍検出が改善された。
従って、ナノエマルジョンとしてのICG製剤は、特に腫瘍の可視化において、グルコース水のICG溶液よりもより良好な蛍光トレーサーである。
実施例5
グラフト化cRGDによるエマルジョン
攪拌手段を備えた適切な容器中にて、メタノール1mlの中、25mgのホスファチジルエタノールアミン(PE、シグマ社)および100mgのSCM−PEG5000−マレイミド(クリエイティブバイオケム(Creative Biochem))を5μlのトリエチルアミンと混合することでPE−PEG(5000)−マレイミドを作製する。攪拌は周囲温度で行なう。
3時間後、溶媒およびトリエチルアミンを留去し、次に得られた生成物、PE−PEG(5000)−マレイミドを1mlのメタノール中に溶解する。
ICGをカプセル化するエマルジョンを実施例1のようにして作製するが、上記の125mgの大豆油、375mgのSuppocire、350mgのレシチン、および1.5mgのフルオロフォアに加えて、上記で作製したPE−PEG(5000)−マレイミドの25mgを分散相に添加する。
アンシンスサービスBV社(Ansynth Service BV)(オランダ)より市販のc(RGDf[ε−S−アセチルチオアセチル])Kであり、以降cRGDと称する、内皮細胞の表面で過剰発現されるαVβ3インテグリンを標的とする環状ペプチドは、メルカプト酢酸の形で保護されたチオール基を有する。ナノエマルジョンと結合させる30分前に、0.5MのTCEP(シグマ社)4μlを添加することにより、水(500μl)で希釈したペプチド2mgを脱保護する。
官能化のために、このエマルジョンをHEPES/EDTAバッファー、pH7.4で希釈し、次にcRGDペプチドの溶液を添加する。この反応混合物を室温にて1時間混合させる。4μmolの2−メルカプトエタノールを反応の最後に添加して、ペプチドと反応しなかったマレイミド基を不活性化する。
次に、この溶液を、カットオフ値12,000のSpectra/Por(登録商標)透析膜でPBSに対して透析し、未反応試薬を除去する。上記で得たエマルジョンを0.22μmフィルターでろ過し、凝集物の除去および殺菌も行う。こうして、このエマルジョンは、希釈後、インビボでの機能イメージング用蛍光プローブとして直接用いることができる。
実施例6
ナノエマルジョンの安定性の実証
可溶化脂質によってナノエマルジョンに付与された安定性を実証するために、以下の実験を行った。
実施例6a:液滴の高内部粘度のNMRによる実証
255mgのSuppocire(登録商標)NC(ガッテフォッセ社)(可溶化脂質)、85mgの大豆油(シグマアルドリッチ社)(オイル)、345mgのMyrj52(登録商標)(ICIアメリカ社)(共界面活性剤)、65mgのLipoid(登録商標)s75(レシチン、両親媒性脂質)、およびリン酸バッファー(PBS)を含むナノエマルジョンを、実施例1のプロトコルに従って作製した。
プロトン核磁気共鳴によるナノエマルジョンの分析を10℃および60℃にて行った。H NMRスペクトル上で観察されるナノエマルジョンの液滴のコア成分に対応するピーク(オイル/可溶化脂質および両親媒性脂質)(0.9;1.5;1.6;2.0;2.2;4.1;4.2ppm)は、レファレンス(4,4−ジメチル−4−シラペンタン−1−スルホン酸 DSS、0ppm)と比べて拡大されており、温度が低い場合はなお一層そうであり、これは、液滴の内部粘度が高いことを示している。共界面活性剤Myrj53(登録商標)に対応するピーク(3.7ppm)はまったく拡大されておらず、このことは、共界面活性剤が液滴の表面に留まり、ポリオキシエチレン鎖が水性バッファー中に溶解していることを示している(図10)。
実施例6b:示差走査熱量測定による液滴内での結晶化の不在の実証
150mgのSuppocire(登録商標)NC(ガッテフォッセ社)(可溶化脂質)、50mgの大豆油(シグマアルドリッチ社)(オイル)、228mgのMyrj53(登録商標)(ICIアメリカ社)(共界面活性剤)、100mgのLipoid(登録商標)s75(レシチン、両親媒性脂質)、およびリン酸バッファー(PBS)を含むナノエマルジョンを、実施例1のプロトコルに従って作製した。
作製後、および周囲温度での4ヶ月間の保存後にナノエマルジョンの示差走査熱量測定で得られたサーモグラムでは、作製後も、周囲温度での4ヶ月間の保存後も、融解ピークが見られず、このことは液滴が結晶化していないことを示している(図11)。
実施例6c:ナノエマルジョン組成の物理的安定性に及ぼす影響の実証
228mgのMyrj53(登録商標)(ICIアメリカ社)(共界面活性剤)、100mgのLipoid(登録商標)s75(レシチン、両親媒性脂質)、1600μlのリン酸バッファー(PBS)、表3に示す量のSuppocire(登録商標)NC(ガッテフォッセ社)(可溶化脂質)、および大豆油(シグマアルドリッチ社)(オイル)を含む3つのナノエマルジョンを、実施例1のプロトコルに従って作製した。
Figure 0005559790
得られた3つのナノエマルジョンについて、40℃にて促進安定性試験を行った。ナノエマルジョンの経時でのサイズ/多分散のモニタリングにより、可溶化脂質の安定化効果が示された。可溶化脂質を含まないナノエマルジョンのサイズは、40℃にてほぼ170日間後に大きく増加するが、可溶化脂質を含むナノエマルジョンは、液滴サイズの大きな変動を示さない(図12)。この結果は、可溶化脂質をナノエマルジョンの組成物に添加することで、より良好な物理的安定性が液滴およびナノエマルジョンに付与されることを示している。

Claims (14)

  1. 連続水相および少なくとも1つの分散油相を含み、ここで、前記油相は、インドシアニングリーン、少なくとも1つの両親媒性脂質、および、25℃で固体であり、少なくとも10重量%のC12脂肪酸、少なくとも5重量%のC14脂肪酸、少なくとも5重量%のC16脂肪酸、及び少なくとも5重量%のC18脂肪酸を含む飽和脂肪酸のグリセリドの混合物からなる少なくとも1つの可溶化脂質、を含む、ナノエマルジョンの形態でのインドシアニングリーンの製剤。
  2. 少なくとも1つの可溶化脂質が、0重量%〜20重量%のC8脂肪酸、0重量%〜20重量%のC10脂肪酸、10重量%〜70重量%のC12脂肪酸、5重量%〜30重量%のC14脂肪酸、5重量%〜30重量%のC16脂肪酸、および5重量%〜30重量%のC18脂肪酸を含む飽和脂肪酸のグリセリドの混合物からなる、請求項1に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  3. 前記両親媒性脂質がリン脂質である、請求項1または2に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  4. 前記油相が少なくとも1つのオイルをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  5. 前記オイルの親水性油性バランス(HLB)が3〜6である、請求項4に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  6. 前記油相が、大豆油および亜麻仁油から選択される少なくとも1つのオイルを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  7. 前記水相が、共界面活性剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  8. 前記共界面活性剤が、エチレンオキシドユニットから成るか、またはエチレンオキシドユニットおよびプロピレンオキシドユニットから成る少なくとも1つの鎖を含む、請求項7に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  9. 前記共界面活性剤が、ポリエチレングリコール/ホスファチジルエタノールアミン複合体(PEG−PE)、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエーテル、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエステル、ならびに、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーから選択される、請求項8に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  10. 前記エマルジョンの前記連続相が、生理学的に許容されるバッファーを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のインドシアニングリーンの製剤。
  11. 請求項1に記載のインドシアニングリーンの製剤を作製するための方法であって、
    (i)インドシアニングリーン、両親媒性脂質、および、25℃で固体であり、少なくとも10重量%のC12脂肪酸、少なくとも5重量%のC14脂肪酸、少なくとも5重量%のC16脂肪酸、及び少なくとも5重量%のC18脂肪酸を含む飽和脂肪酸のグリセリドの混合物からなる少なくとも1つの可溶化脂質、を含む油相を作製する工程;
    (ii)ナノエマルジョンを形成するのに十分なせん断作用の下、前記油相を水相中に分散させる工程;および、
    (iii)このようにして形成した前記ナノエマルジョンを回収する工程、
    を含む、方法。
  12. 前記せん断作用を、超音波処理で発生させる、請求項11に記載の作製方法。
  13. 前記油相が、前記成分のすべてもしくは一部を適切な溶媒に溶解し、次に前記溶媒を留去することで作製される、請求項11または12に記載の作製方法。
  14. 請求項1から10のいずれか1項に記載のインドシアニングリーンの製剤の、診断薬としての使用。
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