【発明の詳細な説明】
サブミクロン・エマルジョンの調製のための乾燥組成物
技術分野
本発明は、医薬及び化粧品の投与における使用のためのサブミクロンの油/水
エマルジョンを形成するために水により容易に再構築される乾燥組成物、並びに
このような乾燥組成物の製造方法に関する。
発明の背景
油/水エマルジョンは、患者への医薬、化粧品又は他の活性剤の投与のための
特定の用途をもっているが、このようなエマルジョンがそれらの製造、運搬及び
保存に関して特定の欠点をもつということにおいて不利である。これらは、懸濁
液中の油を保つために使用される水の嵩及び重量、限定された期間のエマルジョ
ンの保存安定性、このようなエマルジョンを利用することができるところの濃度
の限定されたレンジ並びに水相中で微生物の増殖の危険であってアミノ酸又は炭
水化物が含まれているとき微生物のための特に肥沃な増殖グランドであることが
できるものを、含む。
凍結乾燥は、水分感受性化合物の加工及び保存のためによく知られた技術であ
る。この方法論は、食品及び医薬品工業における様々な用途において使用されて
いる。例えば、米国特許第4,616,047号は、80℃以下の温度において攪拌するこ
とにより脂質相を調製し、80℃以下の温度において水と共に有機増量剤又は増粘
剤を攪拌することにより水相を調製し、その脂質相をその水相に導入し、均一な
エマルジョンを作り、そのエマルジョンを歯槽状の容器(alveolar
packs)内に分配し、その容器の内容物を-20と-50℃との間の温度において凍結
させ、そしてその凍結した内容物を80と0.13 Paとの間でその成分の融解温度よ
りも常に低い熱供給を伴って凍結乾燥させる段階を含む。医薬として活性な物質
を、この歯槽状の容器内への分配に先立ってそのエマルジョン中に取り込むこと
ができる。
しかしながら、油/水エマルジョンを凍結乾燥させる従来の試みは、再構築後
に元の平均滴サイズを保存することに失敗した。そのうえ、その医薬の増強され
た生物学的利用能がその平均滴サイズがサブミクロン・レンジにあるときに達成
される。
さらに、首尾よい凍結乾燥は、普通には、大量の炭水化物の使用を必要とし、
これは、高張力溶液及び微生物汚染についての高い受け易さを引き起こすきおと
ができる。例えば、欧州特許第211,257号は、ある場合に糖尿病患者について危
険であることができ、そしてある場合には再構築の後に高い浸透圧にある炭水化
物を含んで成るエマルジョン組成物に関するものである。したがって、これらの
エマルジョンは、非経口滴使用のためにのみ意図され、そして疎水性医薬を含ん
でいる。
また、商業的に望ましい2年間の保存寿命にわたり油/水エマルジョンを安定
化することは困難である。このゴールは、そのエマルジョンが冷蔵されて保管さ
れる場合にときどき達成されることができるけれども、冷蔵の使用は、その製品
の配送に対しての限定を生じさせる。そのうえ、医薬のエマルジョンへの添加は
、一般的に増加された不安定性をもたらし、そして妥当な商業的製品を排除する
。
それ故、それは、エマルジョンがこのようなエマルジョンの輸送、保存及び安
定性を容易にするために使用に先立って再構築されることができる乾燥製品とし
て製造されることができる場合に、現実的且つ経済的にの両方において、有利で
あろう。容易に滅菌されるこ
とができ、いずれかの所望の濃度に容易に調製されることができ、そしてそれが
汚染された場合に微生物の増殖の機会を取り除くような、油/水エマルジョンを
提供することも、望ましいことであろう。
発明の要約
本発明は、約40から約90重量パーセントまでのアミノ化合物;約0.1から約20
重量パーセントまでの乳化剤;及び約0.2から約40重量パーセントまでの油状成
分を、適当な量の水性液と合わされたときその組成物が油/水エマルジョンを形
成するような組み合わせにおいてその成分が存在するように、含んで成る凍結乾
燥組成物に関する。このアミノ化合物は、直鎖又は分枝のアミノ酸又はそれらの
非毒性塩又はエステル、ペプチド又は化合物であって1以上のアミノ酸基を含む
ものであることができる。好ましいアミノ酸は、グリシン、ロイシン、イソロイ
シン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、
バリン、アラニン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン、タ
ウリン又はカルニチンを含み、一方好ましいアミノ化合物は、ナイアシンアミド
又はクレアチニン並びにペプチド又はタンパク質加水分解産物を含む。このよう
なアミノ化合物の使用は、その再構築生成物の滴サイズに関し優れた性質を提供
する。これは、約0.05〜0.5μmの平均滴サイズをもつサブミクロン・エマルジ
ョンが再構築の間に容易に達成されることを可能にする。
これらの乾燥組成物は、約0.2〜25重量パーセントの油第一成分、約0.1〜5重
量パーセントの乳化剤第二成分、約0.25〜25重量パーセントのアミノ化合物及び
水性成分の低温保護剤(cryoprotectant)を含んで成る油/水エマルジョンであ
ってそのアミノ化合物がその第一成分のものに等しい化合物又はそれより大きな
量で存在するも
のから、形成される。所望により、好ましくは非イオン界面活性剤の補乳化剤が
約0.1〜5%の量で含まれることができる。懸濁剤(suspending agent)、保存剤
、抗酸化剤及び1以上の医薬も、これらの配合品中に含まれることができる。
本発明は、また、凍結乾燥組成物の製造方法であって先に記載したエマルジョ
ンの中の1つを凍結乾燥することを含んで成るものに、並びにそのような方法に
より作られた乾燥凍結乾燥組成物に関する。
さらに、本発明は、好適な水性液をこれらの凍結乾燥組成物の中の1つに添加
することによるエマルジョンの製造方法に関する。これらのエマルジョンを再構
築するための水性液は、Water for Injection,U.S.P.(米国薬局方注射水);0
.9% Sodium Chloride Injection,U.S.P.(米国薬局方0.9%塩化ナトリウム注射
液);又は5% Dextrose Injection,U.S.P.(米国薬局方5%デキストローズ注射
液)であることができる。一般的には、凍結乾燥組成物を作るときに除去された
ものよりもより少ない水性液が本エマルジョンを作るために必要とされる。但し
、この乾燥組成物は、いずれかの所望の濃度及び浸透圧まで溶解されることがで
きる。また、この水性液は、エマルジョンを形るために混合しながら凍結乾燥組
成物に添加されることができる。
発明の詳細な説明
本発明は、多数のサブミクロン・サイズの滴を含んで成るエマルジョンをもた
らすような、水と又は水性媒質と接触されることができる長い保存寿命をもつ物
質(matter)の乾燥し、安定した組成物に関する。このエマルジョンは、本質的
に油/水エマルジョンである。本発明は、さらに、このような安定した乾燥組成
物及び油/水エマルジョンの調製方法にも関する。本発明の組成物は、炭水化物
を全
く含まず、そして疎水性及び両親媒性であるもの、そしてそれらの混合物を含む
全ての種類の医薬を取り込むことができる。これらの組成物は、油溶性、水不溶
性又は両親媒性の医薬化合物の投与のための非経口的、経口的又は局所的なエマ
ルジョン媒体(vehicles)としての用途をもつ。
エマルジョンは、水中への油の(oil in water("o/w"))分散体であり、そ
してマクロエマルジョン又はマイクロエマルジョンのいずれかとして定義される
ことができる。マクロエマルジョンは、0.5〜100μmの油滴サイズをもつ濁った
(cloudy turbid)組成物であり、そして一般的には、熱力学的に不安定である
。これに反して、マイクロエマルジョンは、0.005〜0.5μmの滴サイズをもつ半
透明〜透明な組成物であり、熱力学的に安定であり、そして一般的に自己乳化性
である。例えば、Friberg et al.(1987)Microemulsions Structure and Dyna
mics,CRC Press Inc.,Boca Raton,FL,pp.154を参照のこと。また、界面活性
剤対マイクロエマルジョンを作るのに必要な油の比率は、一般的にマクロエマル
ジョンにおけるよりもより高い。
用語”サブミクロン”は、約0.05〜0.5μmの、そして好ましくは約0.1〜0.3
μmのサイズを意味するものと本明細書中で使用される。したがって、これらの
サイズの滴をもつサブミクロン・エマルジョンは、0.5μmを超える滴サイズを
もつ古典的なマクロエマルジョンのものよりも小さいであろうが、実際の目的の
ために0.1μm未満の滴サイズをもつ古典的なマイクロエマルジョンのものより
も一般的には大きいであろう。
これらのサブミクロン・エマルジョンは、濾過により、例えば、0.45μm及び
/又は0.22μmフィルター内で容易に滅菌されることができ、長い期間の保存に
おいてより安定であり、そしてオートク
レーブ内の滅菌によりよく耐えることができる。
本発明の油/水エマルジョンは、水性媒質中の滴又はコロイド粒子の分散体で
あり、そのコロイド粒子は乳化剤及び補乳化剤(すなわち、表面作用剤又は界面
活性剤)の界面のフィルムにより取り囲まれた油状コアをもつ。本発明の明瞭な
理解のために、以下の用語を使用する:
”水相”-その中に滴又はコロイド粒子が分散されている水溶液をいう。
”油相”-その滴又はコロイド粒子の油状コアをいう。
”両親媒性相”-その滴又はコロイド粒子の油相を取り囲む乳化剤及び界面活
性剤の界面フィルムをいう。
最初の油/水エマルジョンの本質的な成分は、油、乳化剤及び低温保護剤を含
む。場合により、補乳化剤(又は界面活性剤)、懸濁剤、保存剤又は抗酸化剤が
、これらのエマルジョン中に含まれることができる。以下に説明するように、医
薬が、水相、両親媒性相又は油相に、エマルジョンの形成の前又は後に、添加さ
れることができる。
低温保護剤は、好ましくは、アミノ化合物である。好適なアミノ化合物は、ア
ミノ酸(第一、第二、第三)又は1以上のアミノ基をもつ化合物、例えば、ナイ
アシンアミド又はクレアチニンを含む。本発明の組成物中に投与されるアミノ酸
は、これに限定しないが、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェ
ニルアラニン、トレオニン、トロプトファン、バリン、アラニン、アルギニン、
ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン、グリシン、タウリン及びカルニチン
を、そのL-、D-、又はラセミ形態として、並びにそれらの非毒性塩及びエステル
を、含むことができる。
単一アミノ酸が、本組成物を配合するために使用されることがで
きるけれども、これらのアミノ酸の2以上の混合物を使用することが、可能であ
り、そしてしばしば好ましい。この点において、ペプチド又はタンパク質加水分
解産物を使用することが有利である。なぜなら、それらが多数のアミノ酸及び/
又はペプチドを含んでいるからである。
本発明の組成物に添加されるアミノ酸は、また、好ましくは分枝鎖アミノ酸で
あって特に衰弱した又は肝臓損傷患者において血漿アミノ酸レベルの正常化を容
易にすると報告されているものを、含んで成る。
アミノ化合物(1又は複数)は、一般的に約0.25から25重量パーセントまで、
好ましくは約0.5〜12重量パーセント、そしてより好ましくは約1〜10重量パーセ
ントの濃度においてエマルジョン中に存在する。使用されるアミノ化合物の量は
、そのエマルジョンを破壊するであろうものよりも少なくなければならないが、
一方、また、意図された用途と一致している。さらに、使用される量は、溶解し
なければならない。当業者は、最適濃度を決定するために定例的なテストを行う
ことができる。
油成分は、植物油、合成油、鉱物油又は中級鎖トリグリセリド(MCT)油、す
なわち、その炭水化物鎖が8-12炭素をもつようなトリグリセリド油、又はこのよ
うな油の2又は3の組み合わせであることができる。MCT油が植物油の成分とし
て考えられることができるけれども、それは、本エマルジョン中での使用のため
に好ましい油としてその特定の用途により、本明細書中で別々に同定される。さ
らに、MCT油は、商業的に入手可能である。このようなMCT油の例は、TCR(脂肪
酸鎖の95%が8又は10炭素をもつトリグリセリドの混合物についてのSociete Ind
ustrielle des Oleagineaux,Franceの商品名)及びMIGLYOL(グリセリンとカプ
リル酸及びカプリン酸との
混合トリエステルについてのDynamit Nobel,Swedenの商品名)を含む。植物油
の例は、大豆油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油及びヒマシ油を含む。鉱物油は、
天然の炭化水素又はそれらの合成アナログであることができる。油状脂肪酸、例
えば、オレイン酸及びリノレン酸、脂肪アルコール、例えば、オレイル・アルコ
ール、及び脂肪エステル、例えば、ソルビタン・モノオレート及びシュクロース
・モノ-,ジ-又はトリ-パルミテート、を油成分として使用することができる。
但し、これらは、先に述べた他の油と同程度には好ましくない。本発明の組成物
中で使用されることができる他の脂質は、合成及び半合成のモノ-,ジ-及び/又
はトリ-グリセリド、天然の溶媒又は熱分画により調製されたトリグリセリド、
合成及び半合成のトリグリセリド、及び分子内エステル化及び/又は配向性又は
ランダム再配列により調製されたトリグリセリドを、含む。この油成分は、一般
的に、約0.2から25重量パーセントまでの、好ましくは約0.4〜10重量パーセント
の、そしてより好ましくは約0.6〜8重量パーセントの濃度において存在する。
最適な結果のために、アミノ化合物及び油成分は、それぞれ、約0.3/1〜20/1
の、そして好ましくは約0.4/1〜15/1の重量比において、存在する。最も好まし
い比は、約0.5/1−12.5/1の範囲内にある。一般的には、アミノ酸、ペプチド又
はタンパク質加水分解産物の混合物の使用は、より低い重量比を必要とする。
両親媒性相は、乳化剤、使用される場合には、補乳化剤を含む、好ましい乳化
剤は、リン脂質化合物又はリン脂質の混合物を含む。好適な成分は、レシチン;
EPICURON 120(Lucas Meyer,Germany)であって約70%のホスファチジルコリン
、12%のホスファチジルエタノールアミン及び約15%の他のリン脂質の混合物であ
るもの;OVOTHIN160(Lucas Meyer,Germany)であって約60%のホスファチジル
コリ
ン、18%のホスファチジルエタノールアミン及び12%の他のリン脂質の混合物であ
るもの;精製リン脂質混合物;LIPOID E-75又はLIPOID E-80(Lipoid,Germany
)であって約80%のホスファチジルコリン、8%のホスファチジルエタノールアミ
ン、3.6%の非極性脂質及び約2%のスフィンゴミエリンを含んで成るリン脂質混合
物であるもの、を含む。精製した卵黄リン脂質、大豆油リン脂質又は他の精製し
たリン脂質混合物が上記の成分として有用である。上記の列挙は、代表的なもの
であり、そしてこれを限定するものではなく、当業者に知られた他のリン脂質材
料を使用することができる。乳化剤は、約0.1〜5重量パーセントの、好ましくは
約0.2〜4重量パーセントの、そしてより好ましくは約0.25〜2.5重量パーセント
の量で存在する。
補乳化剤を、本エマルジョンの形成を強化するために使用することができる。
この成分は、表面活性剤又は界面活性剤、好ましくは非イオン性のものであるこ
とができ、そして当業者は、いずれかの特定のエマルジョンについて特定の化合
物を選択するために定例的なテストを行うことができる。一般的には、界面活性
剤は、1以上のヒドロキシル基を含む有機化合物の非イオン・アルキレン・オキ
サイド縮合物である。例えば、エトキシ化及び/又はプロポキシ化アルコール又
はそれらのエステル化合物又は混合物が、一般的に入手可能であり、そして当業
者によく知られている、好適な界面活性剤は、これに限定されないが、TYLOXAPL
;POLOXAMER 4070;POLOXAMER188;POLYOXYL 40 Stearate;POLYSORBATE 80、及
びPOLYSORBATE 20、並びに商品名TWEENの下で販売されている様々な化合物(ICI
American Inc.,Wilmington,Delware,U.S.A.)、PLURONIC F-68(ポリオキシ
エチレンとポリオキシプロピレンとのコポリマーについてのBASF,Ludwigshafen
,Germanyの商品名)を、含む。好まし
い界面活性剤は、また、ポリオキシエチル化油又はポロキシアミンを含む。TYLO
XAPOL及びTWEEN界面活性剤が最も好ましい。なぜなら、それらは、ヒト用途につ
いてFDA認可されているからである。この補乳化剤は、約0.1〜5重量パーセント
の、好ましくは約0.2〜4重量パーセントの、そしてより好ましくは約0.25〜2.5
重量パーセントの量で存在する。
懸濁剤は、場合により、保存段階にわたりエマルジョンを保護し、並びにそれ
がサブミクロン・レンジ内に保持されるように再構築エマルジョンの滴サイズを
制御するために、含まれることができる。好適な懸濁剤は、ポリビニル・アルコ
ール("PVA")、ポリビニル・ピロリドン("PVP")、ゼラチン、ペクチン、メチ
ル・セルロース、グリコール、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン・グリ
コール又はそれらの混合物を含む。上記成分は、使用されるとき、一般的に約0.
1〜約5重量パーセントの範囲内にある。
水性成分は、エマルジョンの連続相であろうし、そして水、生理食塩水又いず
れかの他の好適な水溶液であって等張性及びpH制御調製物を作ることができるも
のであることができる。
また、医薬をこれらのエマルジョンの水相又は油相中に含むことができる。例
えば、本発明の組成物を、再構築エマルジョンの不連続相が1以上の親油性の医
薬として活性な剤(”親油性医薬”)を単独又は医薬として許容される脂質中に
溶解されてのいずれかで含むように、配合することができる。本明細書中、”親
油性”とは、水中で比較的不要であるが1以上の脂質溶媒(ベンゼン、クロロホ
ルム、アセトン、エーテル、ヘキサン、等)中で溶解する剤を意味する。特に、
脂質含有組成物を、少なくとも2:1の脂質成分:水の分配係数をもつ医薬とし
て活性な剤のために媒体として使用することができる。
再構築エマルジョンの不連続相が本質的に親油性医薬又は親油性医薬の組み合
わせから成るような組成物は、その医薬のための別々の脂質媒体の使用を回避し
、その医薬(単数又は複数)の単位投与量の容量を最小化し、そして他に使用さ
れるであろう他の媒体と会合されるであろう毒性効果の危険を減少させる。
本発明の組成物中で使用される親油性医薬は、好ましくは、一般的な麻酔薬、
局所麻酔薬、催眠薬(hypnotics)、沈痛剤(sedatives)及び不安緩解剤(anxi
olytics)、抗鬱剤(antidepressants)、抗痙攣薬(anticonvulsants)、迷朦
麻酔薬(narcoticanalgesics)及び拮抗麻酔薬(narcotic antagonists)、非ス
テロイド抗炎症薬(nonsteroidal antiinflammatory drugs)、抗コリンエステ
ラーゼ薬(anticholinesterases)、交感神経興奮剤(sympathomimetics)及び
副交感神経興奮剤(parasympathomimetics)、神経節剌激及び遮断剤(gang-lio
nic stimulating and blocking agents)、神経筋遮断剤(neuromuscular block
ing agents)、抗ムスカリン剤(antimuscarinicagents)、アドレナリン遮断薬
(adrenergic blocking agents)、オータコイド(複数及び単数)拮抗薬(auta
coids and autacoid antagonists)、ジギタリス(複数及び単数)・コンジナー
(digitalis and digitalis congeners)、利尿剤(diuretics)及び塩排泄剤(
saliuretics)、抗生物質及び抗菌剤(antibiotics and antimicrobials)、抗
新形成剤(antineoplastics)、免疫抑制剤(immunosuppressants)及び免疫調
節剤(immunomodulators)、ヘモグロビン(単数及び複数)誘導体及びポリマー
、ホルモン(複数及び単数)拮抗薬、及び脂溶性ビタミン、並びにそれらの組み
合わせから成る群からえらばれる。これらの用語は、医薬分野における標準的な
参照テキスト、特にGilman,Therapeutics,6th Ed.(MacMillan,New York,1
980),(ここで、この開示を、引用により本明細書中に取り込む。)中で
一般的に使用された意味において、使用される。
特に、一般的な麻酔薬は、限定しないが、ジエチル・エーテル、ジビニル・エ
ーテル、フルロキサン(fluroxene)、メトキシフルラン(methoxyflurane)、
ハロタン(halothane)、エトミデート(etomidate)、麻酔性ステロイド、エン
フルラン(enflurane)、イソフルラン(isoflurane)、及びそれらの組み合わ
せを含む。
同様に、局所麻酔薬は、好ましくは、コカイン(cocaine)、プロカイン(pro
caine)、リドカイン(lidocaine)、ブピバカイン(bupivacaine)、クロロプ
ロカイン(chloroprocaine)、ジブカイン(dibucaine)、エチドカイン(etido
caine)、メピバカイン(mepivacaine)、プリロカイン(prilocaine)、シクロ
メチカイン(cyclomethycaine)、ヘキシルカイン(hexylcaine)及びプラモキ
シン(pramoxine)、及びそれらの組み合わせから選ばれる。
催眠薬、沈痛剤及び不安緩解剤のカテゴリーは、バルビツレート(barbiturat
es)、例えば、チオペンタル(thiopental)及びフェノバルビタール(phenobar
bital);ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、例えば、ジアゼピン及びクロ
ロアゼペート(chlorazepate);ブチロフェノン(buthrophenones)、例えば、
ドロペリドール(droperidol)及びハロペリドール(haloperidol);フェノチ
アジン(phenothiazines)、例えば、クロルプロマジン(chlorpromazine)及び
プロクロルペラジン(prochlorperazine);チオキサンチン(thioxanthines)
、例えば、クロルプロチキセン(chlorprothixene);並びにロキサピン(loxap
ine)、モリンドン(molindone)、クロラル・ハイドレート(chloral hydrate
)、クロラル・ベタイン(chloral betaine)、エチクロルビノール(ethchlorv
ynol)、エチナメート(ethinamate)、グルテチミド(glutethimide)、メプロ
バメート(meprobamate)、メタクアロン(methaqualone)、メチプリロン(met
hyprylon)、パーアルデヒド
(paraldehyde)、並びにトリクロフォス(triclofos);並びに上記の中のいず
れかの組み合わせを含む。
抗鬱剤は、イミプラミン(imipramine)、デシプラミン(desipramine)、ア
ミトリプチリン(amitriptyline)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、ドキ
セピン(doxepin)、プロトリプチリン(protriptyline)、イソカルボキサジド
(isocarboxazid)、フェネルジン(phenelzine)及びトラニルシプロミン(tra
nylcyprimine)の剤、及びこれらの剤の組み合わせから選ばれることができる。
抗痙攣薬は、これに限定されないが、フェニトイン(phenytoin)、メフェニ
トイン(mephenytoin)、エトトイン(ethotoin)、プリミドン(primidone)、
カルバマゼピン(carbamazepine)、エトスキシミド(ethosuximide)、メスス
キシミド(methsuximide)、フェンスキシミド(pheneuximide)、バルプロン酸
(valproic acid)、バルプロエート(valproates)、トリメタジオン(trimeth
adione)、パラメタジオン(paramethadione)、及びフェナセミド(phenacemid
e)、及びそれらの組み合わせを含む。
多くの非ステロイド抗炎症薬は、優先的に脂質中に可溶であり、これに限定さ
れないが、サリシレート(salicylates)、ビシナル及びジェミナルの有機リン
酸塩、ジェンティセート(gentisates)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)
、インドメタシン(indomethacin)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone
)、アンチピリン(antipyrine)、アミノピリン、アパゾナー・アセトアミノフ
ェン(apazoner aceto-aminophen)、フェナセチン(phenacetin)、スリンダッ
ク(sulindac)、フルフェナメート(flufenamates)、メフェナメート(mefena
mates)、トルメチン(tolmetin)、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセ
ン(naproxen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルビプロフェン(flubip
rofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、コルチシン
(colchicine)及びアロプリノール(allopurinol)、並びにこれらの剤の組み
合わせを含む。但し、一般的には大部分が組み合わせにおいて使用されない。
不連続脂質相がカテコールアミン(catecholamines)、例えば、エピネフリン
(epinephrine)及びイソプロテレノール(isoproterenol);アンフェタミンで
あってメタムフェタミン(methamphetamine)及びヒドロキシアンフェタミン(h
ydroxyamphetamine)を含むもの;及びエフェドリン(ephedrine)、メフェンタ
ーミン(mephentermine)、メタラミノール(metaraminol)、フェニレフリン(
phenylephrine)、メトキサミン(methoxamine)、メトキシフェナミネ・メタプ
ロテレノール(methoxyphenaminer metaproterenol)、及びターブタリン(terb
utaline)の剤;並びに上記の中にいずれかの組み合わせから選ばれた交感神経
興奮薬を含むような組成物が、本発明に従って配合されることもできる。
本発明の実施において有用なアドレナリン遮断剤は、アルファ-アドレナリン
・ブロッカー(alpha-adrenergic blockers)、例えば、フェノキシベンザミン8
phenoxybenzamine);ベータ-アドレナリン・ブロッカー、例えば、プロプラノ
ールオール(propranolol);アドレナリン・ニューロン・ブロッカー、例えば
、グアネチジン(guanethidine)及びブレチリウム(bretylium);及びこれら
の剤の組み合わせを含む。
本明細書中で使用するときオータコイドは、天然及び合成のヒスタミン(hist
amines)、及び5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxy-tryptamine)、並びにそ
れらの組み合わせをいう。同様に、オータコイド拮抗薬は、ヒスタミン(H1)-
レセプタ・ブロッカー、ヒスタミン(H2)-レセプタ・ブロッカー、5-ヒドロキ
シトリプタミン拮抗薬、例えば、アルカロイド(alkaloids)、リセルグ酸(lys
rgic acid)誘導体、及びシプロヘプタジン(cyproheptadine)、並びに互換性
の
これらの化合物の組み合わせから選ばれる。
様々な利尿性又は塩排泄性物質を本発明の実施において使用することができ、
これは、カルボニック・アンヒドラーゼ阻害剤、例えば、アセトアゾラミド(ac
etazolamide);ベンゾチアジアジド(benzothiadiazides)、例えば、ヒドロク
ロロチアジド(hydro-chlorothiazide)及びメチクロチアジド(methyclothiazi
de);及びエタクリン酸(ethacrynic acid)、フロセミド(furosemide)、ブ
メタニド(bumetanide)、ムゾリミン(muzolimine)、スピロノラクトン(spir
onolactone)、トリアムテレン(triamterene)、アミロリド(amiloride)、チ
クリナフェン(ticrynafen)及びインダクリン酸(indacrynic acid)、及びこ
れらの組み合わせから選ばれたものを含む。
本発明の実施において有用な抗菌又は抗生物質の化合物は、ペニシリンであっ
て天然又は合成のいずれかもの;エリスロマイシン、スルホンアミド、セファロ
スポリン、アミノグリコシド、テトラマイシン、クロラムフェニコール、イソニ
アジド(isoniazid)、リファマイシン(rifamycins)、クリンダマイシン(cli
ndamycin)、スペクチノマイシン(spectinomycin)、ポリミキシン(polymyxin
s)、バンコマイシン(vancomycin)、ニスタチン(nystatin)、アンフォテリ
シンB、フルシトシン(flucytosine)、グリセオフルビン(grise-ofulvin)、
アマタジン(amantadine)、メチサゾン(methisazone)、ビダラビン(vidarab
ine)、イドクスリジン(idoxuridine)、アシクロビル(acyclovir)及びイン
ターフェロン、及びそれらの組み合わせを含む。
抗新形成剤は、様々なクラスの化合物、例えば、エチレンイミン誘導体、アル
キル・スルフォネート、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸アナログ、ピリミジ
ン・アナログ、プリン・アナログ、ビンカ・
アルカロイド(vinca alkaloids)、1-アスパラギナーゼ、ダクチノマイシン(d
actinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドクソルビシン(doxorubic
in)、ブレオマイシン(bleomycin)、ミスラマイシン(mithramycin)、マイト
マイシン(mitomycin)、白金配位結合錯体、置換ウレア、プロカルバジン(pro
carbazine)、マイトタン(mitotane)及びタモキシフェン(tamoxifen)、及び
それらの組み合わせを含む。
シクロスポリン(cyclosporin)は、使用されることができる免疫調節剤及び
免疫抑制剤の主要な例である。
ヘモグロビン(単数及び複数)誘導体及びポリマーは、ヒト、動物又は合成の
ヘモグロビンそれ自体、並びにヒト、動物又は合成のヘモグロビンの誘導体を含
む。誘導体は、ヘモグロビン・オリゴマー及びポリマー、リポソーム・ヘモグロ
ビン、並びに他の担体又は活性化合物又はポリマーに結合したヘモグロビン、例
えば、2-nor-2-ホルミルピリドキサル5'−ホスフェートに結合したヘモグロビン
を含む。これらの組成物は、また、ワクチン又は血液代用物として使用されるこ
とができる。
多くのホルモン及び合成誘導体、特に合成ステロイド・ホルモンは、容易に脂
質に溶解できる。しかしながら、このクラスは、また、成長ホルモン、プロラク
チン(prolactin)、胎盤ラクトゲン(placental lactogen)、黄体形成ホルモ
ン(luteinizing hormone)、卵胞剌激ホルモン(follicle stimulating hormon
e)、サイロトロピン(thyrotropin)、コルチコトロピン(corticotropin)、
アルファ-及びベータ-メラニン細胞剌激ホルモン、ベータ-及びガンマ-リポトロ
ピン(lipotropins)、エンドルフィン(endorphins)、エンケファリン(enkep
haline)、エストロゲン(estrogens)、プロゲスチン(progestins)、アンド
ロゲン(androgens)及び蛋白同化ステロ
イド(anabolic steroids)、グルココルチコイド(glucocorticoids)及びグル
ココルチコイド誘導体、ミネラロコルチコイド(mineralo-corticoids)及びミ
ネラロコルチコイド誘導体、インスリン、グルカゴン、上皮小体ホルモン(para
thyroid hormone)、甲状腺ホルモン及びカルシトニンを含む。上記ホルモンの
組み合わせもまた、適当な場合に、使用することができる。
脂溶性ビタミンは、ある程度上記のカテゴリーのいくつかと重複する。例えば
、ビタミンEは、トコフェロールの抗酸化剤であり、ビタミンD(カルシフェロ
ール(calciferol))を、ホルモンとして適当に分類することができる。また、
この脂溶性ビタミンは、ビタミンA及び前駆体を含むカロテン(carotenes);
メナキノン(menaquinones)、フィトナジノン(phytinadinone)及びメナジオ
ン(menadione)並びにそれらの組み合わせを含む合成カリフェロール(califer
ols)及びトコフェロール、ビタミンKを、包含する。
使用されることができる追加の医薬は、様々な抗-緑内障(anti-glaucoma)医
薬、例えば、ベータ-アドレナリン・ブロッカー又は他の自律系医薬、麻酔薬、
ステロイド、非ステロイド抗炎症薬、抗生物質薬、抗菌薬、抗ウイルス薬又はそ
れらの組み合わせを含む。
所望により、本発明の組成物は、追加の医薬、例えば、β-アドレナリン・ブロ
ッカー、カンナビノイド(cannabinoids)、コリンエステラーゼ阻害剤、交感神
経興奮剤又はカルボニック・アンヒドラーゼ阻害剤を含むこともできる。水溶性
医薬、例えば、チモールオール(timolol)及びピロカルピン(pilocarpine)(
3-エチルジヒドロ-4-[(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-2(3H)
-フラノン)又は水不溶性医薬、例えば、インドメタシン(indomethacin)、ベ
タキゾールオール(betaxolol)及びアダプロールオール(adaprolol)は、眼病
用の(ophthalmic)配合品のために使用することができる医
薬の特定の例である。
用語”有効量”は、被験者に対し医薬としての効果を発揮することにおいて有
効な医薬の量をいうために本明細書中で使用する。本医薬は、典型的には、その
組成物の約0.01〜2重量%の、好ましくは約0.1〜1%の量で存在する。その医薬が
親水性又は疎水性であるかどうかに依存して、それは、油相、両親媒性相又は水
性成分中に物理的に存在する。
”医薬として許容できる”は、安全な医療判断の範囲内で不適当な毒性、剌激
、アレルギー反応等を伴わずにヒト及びより下等な動物の組織との接触における
使用に好適であり、妥当な有益/危険の比に比例し、そしてその組成物中でのそ
れらの意図された用途のために有効な、物質をいう。それぞれの成分が、これら
の組成物がヒトに投与されることができるように医薬として許容できることが好
ましい。
それらは、それらの普通のレベルにおいて使用される慣用の乳化剤のみを含む
けれども、本発明の組成物は、高く保存安定性である。なぜなら、それらが、乾
燥形態で延長された期間にわたり保たれることができるからである。また、これ
らの乾燥生成物は、使用時のエマルジョンの性能に影響を与えることなくガンマ
照射により滅菌されることができる。
また、配合者の要求に従って、本発明の組成物は、再構築エマルジョンの水性
連続相が電解質、水溶性ビタミン及び水溶性微量元素、並びにそれらの混合物か
ら選ばれた1以上の溶質を含んで成るように、配合されることができる。医薬と
して許容される量における、電解質、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、リチウム、アンモニウム、リン、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、
炭酸塩、及びリン酸塩が、典型である。溶液の電解質含量を測定し又
は計算することにおいて、その配合品中に存在するアミノ酸の電解質当量が含ま
れなければならない。
本発明の組成物内で有用な水溶性ビタミンは、よく知られており、そしてB-ビ
タミン類、ビタミンC、及び少量のビタミン、例えば、ビオフラボノイド(biof
lavonoids)及びビオチン(biotin)を含む。水溶性微量元素は、クロム、セレ
ニウム、銅、カルシウム、亜鉛、マグネシウム及び鉄を含む。
さらに、また、本発明の組成物は、慣用の添加物、例えば、保存剤又は抗酸化
剤を含んで成る。典型的な保存剤は、メチル、エチル、プロピル又はブチル・パ
ラベン(paraben)、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロザール
(thimerosal)等を含み、そして約0.01〜0.3重量パーセントの濃度において含
まれる。抗酸化剤は、α-トコフェロール又はそれらの塩、EDTA等を含み、そし
て約0.01と0.5重量パーセントの間の濃度において使用される。
本発明の粒子状生成物により提供される高い粒子表面積のため、その成分は、
特に不飽和脂肪酸の含量が高い場合には、酸化を受けやすくなることができる。
このような場合には、組成物は、好ましくは、α-トコフェロール、α-トコフェ
ロール・スクシネート又はいくつかの他のよく知られた親油性抗酸化剤をも含む
であろう。
これらの乳化剤は、微細な本質的に乾燥した材料を提供するために凍結乾燥さ
れ、これは、長い期間にわたり分解せずに保存されることができ、そして再構築
され、安定した油/水エマルジョンを与える。そのうえ、この凍結乾燥エマルジ
ョンは、周囲温度において長い期間保存されることができ、そしてそれは、微細
なサブミクロン・エマルジョンに再構築されることができる。再構築の後、これ
らのエマルジョンは、経口、非経口又は眼、経皮、粘膜を含む局所的適用のため
に、そして予防接種又は血液置換のために、並びに他
の医薬及び化粧品用途のために、使用されることができる。
サブミクロン・エマルジョンは、一般的に、新陳代謝の、合成又は植物の油、
好ましくはリン脂質及び合成補乳化剤(co-emulsifier)、例えば、ポリオキシ
エチル化部分をもつ非イオン界面活性剤により乳化されたMCT油(中鎖トリグリ
セリド)、好ましくはポリオキシエチル化油、ポロキシマー(poloxamers)又は
ポロキサミン(poloxamines)から成る。このサブミクロン・エマルジョンは、
必要なときにpH及び等張性について調整される。このサブミクロン・エマルジョ
ンは、先に述べたような好ましくはアミノ酸又はアミノ酸の混合物であるアミン
基化合物により保護される。これらの乳化剤もまた、生体適合性ポリマー、例え
ば、PVP、PVA又はPEGを保護コロイドとして及び懸濁剤又はバルキング剤を含む
ことができる。
典型的なサブミクロン・エマルジョン配合品は、様々な油相濃度、好ましくは
約0.1〜25重量パーセントにより調製されることができるが、希釈は、凍結乾燥
前、再構築後に必要な平均滴サイズに依存して、且つ保護剤、例えば、好ましく
は約2%を超える濃度におけるアミノ化合物が添加されるという条件で、油濃度を
約5%未満まで、好ましくは約2%未満まで減少されなけらばならない。ポリオキシ
エチル化脂肪酸(PLURONICs)が、補乳化剤として使用されることができ、そし
て明らかにアミノ化合物との組み合わせにおいて有用である。このサブミクロン
・エマルジョンもまた、抗酸化剤及び保存剤を含むことができる。
上記成分と組み合わせ及び水による希釈の後であるが凍結乾燥前の有利な組成
を以下に与える:
W/V
MCT油 1%
グリシン 2%
卵黄ホスファチド 0.3%
界面活性剤(EMULPHOR EL980) 0.6%
低温保護剤(PVP 4000) 0.2%
α-トコフェロール 0.006%
保存剤 0.1%
生物活性化合物 0.1%
注射のための水 100%まで。
乾燥エマルジョンを得るための工程は2段階:エマルジョンの調製及び凍結乾
燥を、含む。
エマルジョンを調製するために、油溶性材料を油相中に溶解させ、そして水溶
性材料を水相中に溶解させる。場合により、成分、例えば、低温保護剤、保存剤
又は他の添加物のいくつかを、エマルジョンを調製した後に溶解させることがで
きる。
エマルジョンを、40〜85℃における両方の相の高エネルギー剪断混合により(
例えば、15,000 rpm、5分間におけるPolytronミキサー、その後の750 bar、5
分間のAPV Gaulin Lab 60を使用して)、調製する。このエマルジョンを約5%未
満の、そして好ましくは約2%未満の油含量まで、凍結乾燥に先立って希釈する。
これは、エマルジョン中の水の約5〜15倍(それ以上)、好ましくは約8〜12倍の
間の典型滴な添加を必要とする。場合により、低温保護剤、保存剤又は他の成分
を、希釈エマルジョンに添加し、そして次にマグネチック・スターラーにより混
合することができる。最終の液体調製物を、凍結乾燥及び要求される医薬濃度を
提供するのに必要な容量中
での事実上の再構築の後に得られることが望まれるレベルまでpH及び浸透圧につ
いて調製する。
凍結乾燥段階は、低い油濃度をもつサブミクロン・エマルジョン上で行われる
。再構築は、必要な油及び医薬濃度を得るために、好ましくは、元の容量よりも
小さな容量による。エマルジョンの凍結は、凍結乾燥装置の棚上での-10℃以下
における直接的凍結によるか又は-10℃未満における冷却液(普通には液体窒素
又はドライ・アイスを含むエタノール)中のいずれかにより得られることができ
る。凍結乾燥の最新技術に従った様々な凍結乾燥手順を使用することができる。
凍結乾燥を、バルク材料上で又は個々の投与量形態での材料のアリコット上で行
うことができる。凍結速度は、この凍結乾燥段階には決定的ではないようである
。密閉化は、凍結乾燥装置内の窒素雰囲気下で、又は所望により真空下で行われ
ることができる。
凍結乾燥サブミクロン・エマルジョンは、生物活性化合物、例えば、医薬、プ
ロドラッグ、ペプチド又はワクチンを配達するために設計される。この生物活性
化合物は、親油性、両親媒性、僅かな水溶性又は水不溶性であり、油相中に殆ど
溶け又は特定の配向の有無にかかわらず界面又は水相中に取り込まれる、ことが
できる。
再構築を必要な場合に注射のための滅菌水により、又は好適な溶液により行い
、そして僅かな振とうが十分に微細な安定したサブミクロン・エマルジョンを作
り出す。所望により、これらのサブミクロン・エマルジョンを、必要な油及び医
薬濃度、並びに所望の浸透圧のエマルジョンを得るために、元の容量よりも小さ
な容量により再構築することができる。先に述べたように、再構築容量は、一般
的に、元の容量の約10〜50%の、好ましくは約15〜40%の、そしてより好ましくは
25〜35%のオーダー上にある。例えば、凍結乾燥後、
その最初の容量の1/3を超えることを示す配合品の再構築は、3%の油サブミクロ
ン・エマルジョンを作り出すであろう。
本発明の組成物は、非経口的投与のために配合される、非経口的投与とは、腸
以外の投与経路であり、そして局所、普通には注射によるものを意味し、そして
これに限定されないが、静脈内、動脈内、強膜下腔内(intrathecal)、神経周
囲(perineural)、心臓内、腹腔内、気管を通しての、筋肉内、皮下、小皮下(
subcuticular)、関節内、被膜内(intracapsular)、クモ膜下(subarachnoid
)、及び硬膜外(epidural)、の注射を含む。本発明の凍結乾燥組成物のための
非経口的配達システムの設計において、意図された水性医薬希釈剤からその中に
提供されるような乾燥組成物を分離するための準備がなされなければならない。
したがって、その凍結乾燥組成物を別々に単に包装し、そして商業的に入手可能
な注射水、U.S.P.;0.9%塩化ナトリウム注射液U.S.P.;5%デキストロース注射液
U.S.P.;又は類似の容易に入手可能な医薬希釈剤による使用の時にそれらを再構
築することが、好まれることができる。
非経口投与のための配達システムは、普通には、2つのカテゴリー:大容量非
経口(large volume parenteral("LVP"))配達システム及び小容量非経口(sm
all volume parenteral("SVP"))配達システムに分けられる。LVP配達システ
ムは、一般的にいは、大容量の液体が必要とされ又は静脈内経路により直接的に
与えられるように設計されるときに使用され、一方、小容量の非経口は、一般的
には、先に述べた経路のいずれかを介しての単一又は多数の注射を提供するため
に使用される。また、SVP配達システムにおいて提供される医薬は、希釈されて
いるが連続的な医薬の静脈内投与を提供するためにLVP配達システムに添加され
ることができる。
LVP配達システムは、一般的には、100ml(これは、小児用途のた
めのLVP投与量を考慮したものである。)から3000mlまでの容量を提供する。こ
れらの容量の液体は、ガラス・ボトル及び本分野においてよく知られた様々なポ
リマー及びポリマーの組み合わせから作られた硬性、半硬性及び柔軟性の容器内
の両方において入手可能である。これらの形態のそれぞれが、非経口溶液容器に
ついての普通の安全性及び他の標準に適合する限り、本発明の実施における使用
に好適である。
SVP配達システムも、含まれる特定の医薬、その意図された用途、及び投与さ
れるべき液体の容量に依存して、様々な形態で入手可能である。SVP配達システ
ムは、典型的には、0.1mlから100mlまでの液体を含む。これらの配達システムは
、ガラス及びポリマーのアンプル;ガラス及びポリマーの”フリップトップ(fl
iptop)”バイアルであってシリンジを満たすことにおける使用を意図されてい
るもの;加圧及び非加圧”ピントップ(pintop)”バイアルであって移送カニュ
ーラを取り込み、そしてLVP配達系にその内容物を添加することにおける使用を
意図されているもの;及び多くのスタイルの前充填シリンジを、含む。それぞれ
が、本発明の実施における使用に好適であり、このような配達システムの選択を
命ずる普通の基準のみに従い、そして再構築までのその希釈剤からのその活性乾
燥成分の分離に関しての先に述べたことを考慮している。
実施例実施例1
サブミクロン・エマルジョンを、4.25% MCT油、0.75%レシチン、0.02% α-ト
コフェロール、2%PLURONIC F-68、1.5%デオキシコール酸Na+塩及び100%までの
水を混合することにより調製した。この粗エマルジョンを、次にPolytronホモゲ
ナイザーにより85℃におい
て5分間、その後Gaulinホモゲナイザーにより5分間750 Atmにおいて均質化し
、サブミクロン・エマルジョンを得た。このエマルジョンを、水により希釈し、
凍結乾燥に先立って0.5%の油濃度を作り、そしてグリシンを添加し、6%のグリシ
ン濃度を達成した。
この希釈したサブミクロン・エマルジョンを、-60℃未満で2分間凍結させ、
そして凍結乾燥装置の真空チャンバー内に移した。凍結乾燥の24時間後、乾燥物
質をその凍結乾燥装置から取り出し、シールし、そして再構築まで室温において
保存した。
乾燥形態における凍結乾燥エマルジョンを、2回蒸留した水により再構築し、
等浸透圧のエマルジョンを得た。再構築後の平均滴サイズを、コールター・ナノ
サイザー(Coulter's nanosizer)(N4SDモデル)により測定し、0.28±0.09μ
mを与えた。これは、先に討議したサブミクロン・サイズ範囲内にある。光学顕
微鏡により測定するような最大滴サイズは、1.5μmであった。サンプルの滴サ
イズを再構築の5分後及び24時間後に測定し、そしてそれぞれの時間において本
質的に同一であった。実施例2-6
配合品を実施例1と同様に調製した。但し、PVPを凍結乾燥段階前に添加した
。実施例2、3、4、5及び6中では、PVPの濃度は、それぞれ、0.05%、0.2%、
0.5%、1.0%及び2.0%であった。表1中に与える結果は、PVPのより大きな量がそ
の平均滴サイズを変更することなくその最大滴直径の減少を助けることを示して
いる。
実施例7-10
配合品を実施例1と同様に調製した。但し、これらの実施例中、グリシンの濃
度は、それぞれ、1.5%、3%、4%及び5%であり、PVPを添加し、凍結乾燥段階前に0
.2%の最終を得た。表2中に示す結果は、グリシンの増加がそのエマルジョンの
最大粒子直径を減少させることを説明している。
実施例11-15
配合品を実施例1と同様に調製した。但し、実施例11中、0.2%の
最終のおうどのPVPを、凍結乾燥段階前に添加し、そして実施例12、13、14及び1
5中、その油濃度は、それぞれ、1%、2%、3%及び4%であった。表3中に示す結果
は、最大滴サイズが油含量の増加と共に増加することを説明している。
実施例16-22
配合品を実施例1と同様に調製した。但し、以下の変更を除く:
実施例16-21についての油濃度は、1%であり、一方、実施例22については、そ
れは2%であった。
非イオン界面活性剤である補乳化剤、EMULPHOR EL-980を、それぞれの実施例
の凍結乾燥段階前に2%の最終濃度において添加したが、PLURONIC F-68及びデオ
キシコール酸Na+塩を省略した。
実施例17及び20中、グリシンの濃度は、3%であり、一方、実施例18、21及び22
については、それは6%であった。
1%の最終濃度におけるPVPを、実施例19-22中の凍結乾燥前に添加した。表4中
に要約する結果は、グリシン及びPVPがそのエマルジョンの平均滴サイズを減少
させることを示している。
実施例23-29
配合品を、実施例16-22と同様に調製した。但し、その油濃度は、実施例23-28
については3%であり、そして実施例29については4%であった。結果は、表5中に
要約され、そして再び、グリシン及びPVPがそのエマルジョンの平均滴サイズを
減少させることを示している。
実施例30-32
これらの配合品は、実施例11に類似している。但し、ピロカルピン(pilocarp
ine)-ベースをその乳化段階前に添加し、2%の最終濃度を得た。希釈後、実施例
30、31及び32の配合品中のピロカルピンの濃度は、それぞれ0.2%、0.4%及び0.8%
であり、そしてその油濃度は、それぞれ0.5%、1%及び2%であった。結果は、表6
中に見られ、そしてその油含量の減少がそのエマルジョンの滴のサイズを減少さ
せることを説明している。
実施例33-35
これらの配合品は、実施例30-32と同様である。但し、ピロカルピン-ベースの
添加の代わりに、インドメタシンを添加した。実施例33、34及び35中のインドメ
タシンの濃度は、それぞれ0.1%、0.2%及び0.4%であった。結果は、表7中に示さ
れ、そして再び、その平均滴サイズに対するグリシン及びPVPの効果を示してい
る。類似のやり方で、ピロカルピン又はインドメタシンの代わりに、医薬として
活性な化合物、例えば、ジアゼパン(diazepam)、リドカイン(lidocaine)、
ニフェジピン(nifedipine)及びミコナゾール(miconazol)により行われた追
加の実験は、類似の結果を生じさせた。
実施例36-56
サブミクロン・エマルジョンを、4.25% MCT油、0.75% Lipoid E-80、0.02% α
-トコフェロール・スクシネート、2%TWEEN-80及び100%までの水を混合すること
により調製した。この粗エマルジョンを、次にPolytronホモゲナイザーにより40
℃において5分間、その後Gaulinホモゲナイザーにより5分間750 Atmにおいて
均質化した。
このエマルジョンを希釈し、凍結乾燥に先立って1%の油を作り、そして卵白ア
ルブミン加水分解産物を添加し、卵白アルブミン加水分解産物(ovalbumin hydr
olysate("OA"))の2%濃度を達成した。
この希釈したサブミクロン・エマルジョンを、数時間にわたりフリーザー内で
-35℃未満で凍結させ、そして凍結乾燥装置の真空チャンバー内に移した。凍結
乾燥の24時間後、乾燥物質をその凍結乾燥装置から取り出し、シールし、そして
再構築まで室温において保存した。
乾燥形態における凍結乾燥エマルジョンを、2回蒸留した水により再構築し、
等浸透圧のエマルジョンを得た。再構築後の平均滴サ
イズを、コールター・ナノサイザー(N4MD モデル)により、0.16±0.05μmと
して測定した。その最大滴サイズを光学顕微鏡により測定した。
実施例37は、実施例36に類似していた。但し、そのエマルジョンを、2%の油濃
度まで希釈された、一方、実施例38中では、その油濃度は、0.5%であり、そして
実施例39中では、それは1%であった。実施例38及び39中、1%のOAHを添加した。
実施例40は、実施例36に類似していた。但し、その油濃度は、2%であり、そして
OAHは、1%であった。
実施例41は、実施例38に類似していた。但し、ポリビニルピロリドン(PVP)
を、1%の濃度において凍結乾燥段階前に添加した。実施例42は、実施例41に類似
していた。但し、その油濃度を、1%に変更した。
実施例43-46は、実施例37、38、41及び42にそれぞれ類似していたが、凍結乾
燥前に-60℃未満で凍結させた。実施例47は、実施例46に類似していた。但し、
その油濃度は、2%であった。
実施例48は、実施例39に類似していた。但し、そのエマルジョンは、2% TWEEN
-80の代わりに、異なる界面活性剤、2% Tyloxapolを含んでいた。実施例49は、
実施例36の調製物と類似の調製物であった。但し、そのエマルジョンは、2% TWE
EN-80の代わりに、2% PLURONIC F-68及び1%ナトリウム・デオキシコレートを含
んでいた。アラニン・グリシン・ジペプチド(ALA-GLY)を、OAHの代わりに、6%
の濃度において、凍結乾燥に先立って添加した。その油濃度は、希釈後、0.5%で
あった。実施例50は、実施例49に類似していた。但し、グリシン-D-アスパラギ
ン(GLY-D-ASN)6%を、ALA-GLYの代わりに添加した。
実施例51は、実施例36に類似していた。但し、ALA-GLY 6%をOAH
の代わりに凍結乾燥に先立って添加し、そしてその油濃度は、希釈後、0.5%であ
った。実施例52は、実施例51に類似していた。但し、グリシンーグルタミン・ジ
ペプチド(GLY-GLN)6%を、凍結乾燥に先立って添加した。
実施例53は、実施例36に類似していた。但し、エマルジョンは、2% TWEEN-80
の代わりに、0.4%のアダプロールオール(adaprolol)、実験的ソフト・ベータ
・アドレナリン・ブロッカー(soft beta adrenergic blocker)、1% Tyloxapol
を含んでおり、そして凍結乾燥の先立って、GLY-D-ASN 6%を、OAHの代わりに添
加した。その油濃度は、0.5%であった。実施例54は、実施例53に類似していた。
但し、そのエマルジョンは、2% TWEEN-80を含んでいた。
実施例36-48についての結果を表8中に与え、一方、実施例49-54についての結
果を、表9中に与える。
実施例55を、1.7% MCT油、0.3% Lipoid E-80、0.02% α-トコフェロール、1.5
% Emulphor EL-620及び100%とするための精製水を混合することにより調製した
。この材料を、実施例1により均質化した。このエマルジョンに、カルシトニン
、10,000U/ml、グリシン4%及びPVP 1%を添加した。この混合物を凍結させ、そし
て従来の希釈を伴わずに凍結乾燥させた。再構築後の滴サイズは、コールター・
ナノサイザー(Model N4MD)により測定するように130±70nmであった。実施例5
6は、実施例55に類似していたが、その凍結段階の前に、0.05%のCarbopol 940を
添加した。再構築後の滴サイズは、125±52nmであった。
本明細書中に開示する発明は、先に述べた目的を達成するためによく計算され
たものであることは明らかであるけれども、多くの変更及び態様が当業者により
案出されることができることが理解されるであろうし、そして添付クレームが、
本発明の神髄及び範囲内にあるような上記の変更及び態様のすべてをカバーする
ことが意図されている。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
B01J 13/00 A 9342−4D
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,SN,TD,
TG),AU,BB,BG,BR,CA,CZ,FI,
HU,JP,KR,LK,MG,MN,MW,NO,N
Z,PL,RO,RU,SD,SK,UA