JP5559585B2 - 塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系成形体 - Google Patents

塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系成形体 Download PDF

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本発明は、塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系成形体に関する。
塩化ビニル樹脂(以下、「PVC」と記載することがある)は、優れた物理化学的性質を有し、かつ、他の樹脂に比べて安価なことから成形品の広い分野で利用されている。しかし、PVCは、比重が1.4と大きいため、他の樹脂、例えば、発泡ポリウレタン(d=0.5〜0.7)と比較すると重いという欠点がある。
そのため、塩化ビニル樹脂成形品の軽量化に対する種々の試みがなされている。
例えば、塩化ビニルプレートのような成形体では、軽量化の目的で化学的に発泡させる(特許文献1参照)、無機物からなる中空粒子等が添加されるなどの試みがなされていた。また、難燃性を付与するために、難燃剤を配合することが提案されている(特許文献2参照)。
特許公開平11−60868号公報 特許公開平9−316268号公報
しかし、発泡剤をPVCに配合した成形体では、発泡倍率に制限があり、わずかの条件の違いにより、所望の発泡倍率が得られないことがある。また、独立気泡の他に、相当の割合で連続気泡が含まれる。さらに、成形品の部位により、気泡が不均一に分布することもあった。
従って、加熱後の真空成形のような二次加工成形体では、そのセルが潰れるか、気泡が変形するなどにより、比重の低減効果がなくなることがあった。
成形体内に無機物による中空粒子を添加すると、塩化ビニルとの相溶性が低いために、物性の低下を招くか、二次加工性時に破れ等の不具合をもたらすことがあった。また、有機物系の中空粒子を添加すると、シート等に使用する場合には、難燃性が悪化するという傾向があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、塩化ビニル自体の優れた特性を確保しながら、塩化ビニル系の成形体として軽量化を図ることができるとともに、二次加工性をも確保することができる塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、該中空粒子を含有する塩化ビニル系樹脂組成物及び該塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニルプレートを提供することを目的とする。
本発明の塩化ビニル系中空粒子は、
主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分と、重合開始剤と、分散剤とを含む系での懸濁重合によって得られ、
空隙率が40%以上であることを特徴とする。
このような塩化ビニル系中空粒子では、塩化ビニルが、全モノマー成分の70重量%以上であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系中空粒子の製造方法は、
(1)主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分、重合開始剤、分散剤を、非重合性有機溶剤に懸濁して懸濁液を調製し、
(2)該懸濁液を加熱してモノマー成分を重合して、前記非重合性有機溶剤を含む樹脂粒子を形成し、
(3)該樹脂粒子から前記非重合性有機溶剤を除去する工程を含むことを特徴とする。
このような塩化ビニル系中空粒子の製造方法では、塩化ビニルが全モノマー成分の70重量%以上であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、
少なくとも請求項1又は2に記載の塩化ビニル系中空粒子と、塩化ビニル系樹脂とを含む塩化ビニル系樹脂組成物であって、
前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記中空粒子が3〜50重量部含有されてなることを特徴とする。
このような塩化ビニル系樹脂組成物では、さらに、衝撃改質剤と、重量平均分子量が100万〜600万のアクリル系加工助剤とを含むことが好ましい。
本発明の塩化ビニル系成形体は、上述した塩化ビニル系樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする。
本発明によれば、塩化ビニル自体の優れた特性を確保しながら、塩化ビニル系の成形体として軽量化を図ることができるとともに、二次加工性を良好とすることができる塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、該中空粒子を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を得ることができる。
また、この塩化ビニル樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニル系成形体は、塩化ビニル樹脂が本来有する耐衝撃性、耐熱性等の物理的性質及び耐溶剤性、耐酸性等の化学的性質に優れた物理化学的性質を備えるとともに、従来の塩化ビニル成形体に比較して軽量化を図ることができ、種々の用途に用いることができる。
本発明の塩化ビニル系中空粒子(以下、単に「中空粒子」と記載することがある)は、実質的に、主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含んで構成される。この塩化ビニル系中空粒子は、その製造過程において重合開始剤、分散剤、非重合性有機溶剤及び/又はその他の添加剤等が用いられることから、残留物として、これらの成分が残留していてもよい。
この中空粒子は、例えば、平均粒子径が3〜100μm程度のものが適しており、好ましくは10〜80μm程度である。この範囲とすることにより、ハンドリング性が良好となる。また、この塩化ビニル系中空粒子を用いて成形品を製造した場合に、得られる成形体の物性を良好にすることができる。
また、中空粒子は、空隙率が30%以上、40%以上、45%以上であることが適しており、50%以上であることが好ましい。この空隙率とすることにより、十分な軽量化を確保することができる。
空隙率は、塩化ビニル系中空粒子の全体積中に占める中空部の体積を百分率(%)で表示したものであり、例えば、アムコ社製ポロシメーター2000を用いて封入水銀圧力2000kg/cm2の条件等にて測定することができ、次式で表される。
空隙率(%)=(V2/V1)×100
ここで、V1は、水銀が圧入される前の中空粒子の嵩体積、V2は、封入水銀圧力2000kg/cm2での中空粒子細孔容積を表す。
この中空粒子では、連続気泡よりもむしろ独立気泡が多く存在していることが好ましい。これにより、所定の空隙率において最大限の強度を確保することができる。
<モノマー成分>
モノマー成分としては、単官能性モノマーと、多官能性モノマーと、任意にその他のモノマー等とからなる混合モノマーを用いることが好ましい。
単官能性モノマーは、塩化ビニルである。塩化ビニルは、モノマー成分において、主成分として含有されていることが適している。主成分とは、全モノマー成分中に占める割合が最も多いことを意味する。その量は、50重量%以上であることが適しており、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上、さらには75重量%以上であることがより好ましい。
多官能性モノマーは、塩化ビニル系中空粒子の耐圧縮強度を改善する等の目的で添加するものであり、その種類は、特に限定されない。
例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリル化合物;
ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
混合モノマーにおける多官能性モノマーの配合量は、特に限定されないが、0.1重量%以上であることが好ましく、0.3重量%以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、50重量%以下であることが適しており、30重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、塩化ビニルの特性を確保しながら、得られる塩化ビニル系中空粒子の耐圧縮強度を十分に確保することができる。
その他のモノマーとしては、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニルビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
<重合開始剤>
重合開始剤は、上記モノマー成分に可溶である油溶性のフリーラジカルを発生する化合物であれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸化物等が挙げられる。なかでも、2種以上を組み合わせて用いることが適している。
重合開始剤の添加量は特に限定されないが、モノマー成分100重量部に対して0.01重量部以上、3重量部以下が好ましい。より好まくは、0.1重量部以上、0.5重量部以下である。
<分散剤>
分散剤は、塩化ビニル系中空粒子の製造において、媒体中に、モノマー成分からなる液滴を懸濁/分散させ、その分散を安定化する役割を有するものである。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。特に、コロイド状の無機系分散剤(例えば、コライダルシリカ、リン酸カルシウム等)が好ましい。
また、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル等を使用してもよい。
さらに、例えば、中空粒子の製造において用いられる、後述する極性媒体中に溶解することができるもの、以下の1以上の親水基等(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基等)の置換基を備えるもの等が挙げられる。
水酸基を有するものとして、カルボキシメチルセルロース等、カルボキシル基を有するものとして、ポリ(メタ)アクリル酸等、アミノ基を有するものとして、ゼラチン等、スルホン酸基を有するものとして、ポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。アミド基を有するものとして、ポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
好ましい分散剤としては、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせが挙げられる。水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキルアクリレート又はポリジアルキルアミノアルキルメタクリレート;ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキルアクリルアミド又はポリジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド;ポリアクリルアミド;ポリカチオン性アクリルアミド;ポリアミンサルフォン;ポリアリルアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、コロイダルシリカとポリビニルピロリドンとの組み合わせが適している。コロイダルシリカとポリビニルピロリドンとの添加量によって、得られる中空粒子の粒子径を調整することができる。
特に、コロイダルシリカを使用する場合は、pHを適宜調整することが望ましい。コロイダルシリカは酸性環境である方が好ましい。
さらに他の好ましい分散剤としては、水酸化マグネシウムおよび/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせが挙げられる。ここでの乳化剤としては、例えば、不飽和ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
分散剤の添加量は特に限定されないが、モノマー成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。より好ましくは、1〜20重量部、さらに好ましくは、3〜10重量部が挙げられる。
特に、コロイダルシリカを用いる場合には、その粒子径によって調整されるが、モノマー成分100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部が挙げられる。無機塩を用いる場合には、モノマー成分100重量部に対して、0重量部〜100重量部が挙げられる。ポリビニリピロリドンを用いる場合には、0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部が挙げられる。
<塩化ビニル系中空粒子の製造方法>
本発明の塩化ビニル系中空粒子の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法が好適に利用される。
まず、(1)主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分、重合開始剤、分散剤及び非重合性有機溶剤を懸濁して懸濁液を調製する。
懸濁液の調製方法としては、例えば、モノマー成分と重合開始剤とを非重合性有機溶剤に溶解したモノマー溶液を予め調製する。これを、分散剤を含有する極性媒体に添加し、攪拌により油滴状に懸濁/分散させる方法等が挙げられる。
<非重合性有機溶剤>
非重合性有機溶剤は、モノマー成分と相溶するものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、後述する重合系の極性媒体と相溶しないものが適している。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等から選択することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非重合性有機溶剤の添加量は特に限定されないが、モノマー成分100重量部に対して5〜90重量部が適しており、好まくは10〜80重量部である。非重合性有機溶剤の添加量によって、得られる塩化ビニル系中空粒子の空隙率を調整することができる。つまり、この範囲とすることにより、得られる塩化ビニル系中空粒子の空隙率を適当な値に調整することができ、空隙率が大きくなりすぎることに起因する中空粒子の強度の低下等を防止することができる。
<極性媒体>
モノマー成分を懸濁重合するために、極性媒体を用いることが好ましい。
極性媒体としては、上述したモノマー成分等を含有する溶液と非相溶であれば特に限定されない。例えば、水(脱イオン水等)、メタノール、エタノール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、取り扱いが容易なことから水が好適である。
なお、極性媒体には、分散剤、補助安定剤、pH調整剤、水溶性重合禁止剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤等、通常懸濁重合法において用いられる種々の添加剤(例えば、架橋剤等)を含有することができる。これらの添加剤は、当該分野で通常用いられるものを利用することができる。
具体的には、極性媒体は分散剤を含有し、pHが調節されることが好ましい。
分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合には、酸性環境で重合が行われることになるため、塩酸等の酸を必要に応じて加えて、系のpHを3〜4に調整することが適している。
また、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウム等を使用する場合には、アルカリ性環境で重合が行われることになるため、系のpHをアルカリ側に調整することが適している。
攪拌の際には、ホモミキサー、バイオミキサー、ホモジナイザー等の機械的攪拌機を用いてもよいし、超音波ホモジナイザー等を用いてもよい。得られる中空粒子の粒子径は懸濁液中の油滴径に依存するため、分散安定剤の種類、量又は撹拌の方法、強度等により適宜制御することができる。
次いで、(2)懸濁液を加熱してモノマー成分を重合して、非重合性有機溶剤を含む樹脂粒子を形成する。
そのために、得られた懸濁液を加熱する。
加熱温度は、用いるモノマー成分の組成、分子量、重合開始剤の種類及び量等によって適宜調整することができ、例えば、30〜100℃程度が挙げられ、30〜70℃程度が好ましい。
懸濁液の加熱によって、モノマー成分が重合し、樹脂粒子が形成される。この際、モノマー成分として、非重合性有機溶媒に対して親水性の高い又は塩化ビニルに対して親和性が低いモノマーを主成分とするモノマー混合物を用いた場合には、非重合性有機溶媒は、樹脂微粒子の主に中心部に局在する。
一方、モノマー成分として、非重合性有機溶媒及び/又はポリ塩化ビニルと親和性の高いモノマーを主成分とするモノマー混合物を用いた場合には、重合中にポリマー成分と有機溶剤が相分離することが抑制され、粒子内部に緻密な複数の中空部を有する中空粒子を得ることができる。
樹脂粒子骨格の軟化に起因する中空部の低減を防止することができ、樹脂粒子の強度を向上させることができる。その結果、後述する非重合性有機溶剤の除去の際においても、樹脂粒子の損傷を防止することができる。
重合終了後、極性媒体を除去することにより、非重合性有機溶剤をその内部に含む樹脂粒子を形成することができる。
さらに、(3)樹脂粒子から非重合性有機溶剤を除去する。
そのために、例えば、乾燥、加熱等する方法が挙げられる。具体的には、得られた樹脂粒子からなるスラリーを脱水(例えば、セントル脱水)する、樹脂粒子を蒸気、熱風等により加熱する及び/又は減圧条件下に載置する等の方法が挙げられる。非重合性有機溶剤を除去することにより、中空樹脂粒子を形成することができる。
乾燥又は加熱は、例えば、60℃〜160℃程度の温度範囲で行うことが適しており、好ましくは、80℃〜100℃程度である。
なお、一般に、塩化ビニル系樹脂の重合方法として、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が知られていることから、上述した懸濁重合法を利用するのみならず、その他の方法に準じて塩化ビニル系中空粒子を製造することもできる。
例えば、以下の方法が挙げられる。
<塩化ビニル系中空粒子の製造方法(排ガス処方)>
まず、(1)主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分、重合開始剤及び分散剤を極性溶媒に混合して懸濁液を調製する。
懸濁液を調製する場合、具体的には、圧力容器(釜)に、極性溶媒(例えば、水)、分散剤、多官能性モノマーを入れた後に、減圧し、減圧の中で、塩化ビニルモノマー(液化ガスモノマー)を添加し、撹拌/混合する。モノマー成分等と極性溶媒との混合/攪拌には、ホモミキサー、バイオミキサー、ホモジナイザー等の機械的攪拌機を用いてもよいし、超音波ホモジナイザー等を用いてもよい。得られる中空粒子の粒子径は懸濁液中の油滴径に依存するため、分散安定剤の種類、量又は撹拌の方法、強度等により適宜制御することができる。
次いで、(2)懸濁液を加熱してモノマー成分を重合し、重合の途中の時点で未反応塩化ビニルを除去して、樹脂粒子を形成する。
重合するために、まず、得られた懸濁液を加熱する。
加熱温度は、用いるモノマー成分の組成、分子量、重合開始剤の種類及び量等によって適宜調整することができ、例えば、30〜100℃程度が挙げられ、30〜70℃程度が好ましい。
重合の途中の時点としては、例えば、モノマー成分の重合率が75%以下のいずれかの時点、つまり、モノマー成分の重合率が10〜70%±5%程度となった時点とすることが適しており、40〜70%±5%程度となった時点とすることが好ましく、50〜65%±5%程度となった時点とすることがより好ましい。具体的には、モノマー成分の重合率が40%付近(例えば、40±5%)となった時点、50%付近(50±5%)となった時点、60%付近となった時点、70%付近となった時点などが挙げられる。本発明においては、重合率を上げると空隙率が下がるというように、重合率が空隙に比例するため、この範囲とすることにより、中空粒子の空隙率を適切に制御することができ、軽量化等の中空粒子の特性を最大限に発揮させることができる。また、収率が良好となり、生産性を向上させることができる。
なお、重合中、触媒量、圧力降下(塩ビモノマーガスがポリマーになると圧力が下がってくる)より逆算して、重合をストップする時期を判断することができる。
このような重合の途中の時点で未反応塩化ビニルを除去する方法としては、塩化ビニルモノマーはガス状で存在するために、排ガスする方法又は不活性ガス等の非反応性ガスで塩化ビニルモノマーを置換する方法等が例示される。なかでも、前者が好ましい。
この重合途中での未反応塩化ビニルの除去のタイミングを調整することにより、形成された塩化ビニルの重合体からガスが適切に抜け出て、その内部に中空を効率的に形成することができる。
さらに、(3)樹脂粒子を脱水及び乾燥する。
そのために、例えば、加熱等する方法が挙げられる。具体的には、得られた樹脂粒子からなるスラリーを、例えば、セントル脱水する、樹脂粒子を蒸気、熱風等により加熱する及び/又は減圧条件下に載置する等の方法が挙げられる。これにより、中空樹脂粒子を得ることができる。
脱水又は乾燥は、例えば、60℃〜160℃程度の温度範囲で行うことが適しており、好ましくは、80℃〜100℃程度である。脱水又は乾燥の時間は、特に限定されず、その方法によって適宜調整することができる。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂と上述した塩化ビニル系中空粒子とを含有する。ここでの塩化ビニル系中空粒子は、懸濁重合法のみならず、他の重合法によって形成されたものでもよい。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマー(好ましくは、50重量%以上含む)との共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等の塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これら重合体は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合させるものであれば特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法を利用することができる。例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂の重合度は、小さくなると機械的物性が低下する傾向があり、大きくなると成形性が悪化する傾向があるため、400〜2500程度が好ましく、より好ましくは600〜2000程度、600〜1600程度である。
重合度を調整する方法としては、主に重合温度等が例示される。一般に重合温度が高いほど重合度は低くなる。重合度は、JIS K 6720−2に準拠して測定することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物では、上述した塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」と記載することがある)100重量部に対して、上述した塩化ビニル系中空粒子を3〜50重量部配合することが適している。この範囲とすることにより、樹脂組成物の軽量化を十分に図ることができるとともに、これを用いて作成した成形品の外観の損傷等を防止することができる。但し、成形品の外観が重要視されないものであれば、50重量部を超えて使用されていてもよい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、さらに衝撃改質剤と、重量平均分子量が100万〜600万のアクリル系加工助剤とが添加されていることが好ましい。
ここで、アクリル系加工助剤とは、成型時のゲル化を促進、滑性を付与し成形性を向上させるもので、特に重量平均分子量100万〜600万のものがその効果が高い。アクリル系加工助剤としては、例えば、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
衝撃改質剤とは、塩化ビニル系成形体の耐衝撃性等を向上させるもので、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
これらの使用量は、例えば、上述した塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、衝撃改質剤は1〜30重量部、より好ましくは5〜15部であり、アクリル系加工助剤は重量平均分子量100万〜600万を1〜30重量部より好ましくは5〜15部であることが適している。
この塩化ビニル系樹脂組成物は、特に、成形品を作成する際に、さらに、PVCに通常配合される安定剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料等を、本発明の目的を阻害しない範囲で配合してもよい。
塩化ビニル系樹脂組成物は、上述した塩化ビニル系樹脂、衝撃改質剤、重量平均分子量が100万〜600万のアクリル系加工助剤、任意に安定剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料等を、例えば、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー(商標)等の公知の混合装置に投入し、混合する。
混合装置を用いて、塩化ビニル系樹脂組成物を混合する際には、加熱することがあるが、塩化ビニル系中空粒子は、上述した成分を添加して加熱/混合した場合の昇温終了後に又は冷却時、80℃程度以下となった時点で添加して攪拌することが好ましい。加熱による空隙の変形又は損傷を防止するためである。
また、さらに公知の造粒装置を用いて混練造粒してもよい。造粒装置としては、単軸又は二軸押出機等が挙げられる。ロール加工シートからペレット化してもよい。
造粒装置を用いて、塩化ビニル系樹脂組成物を造粒する際には、加熱することがあるが、塩化ビニル系中空粒子は、170℃以下の樹脂温度にて添加、造粒することが好ましい。
<成形品の製造>
本発明の成形体は、特に限定されるものではなく、例えば、板状又は波形等のプレート、パイプ、パイプ継手、シート、フィルム等種々の用途及び形状を有することができる。
このような成形体は、通常のPVCの成形によって製造することができる。例えば、単軸型、2軸型等の押出成形機、スクリュー等を用いて、任意の形状に成形することができる。
このように、本発明の塩化ビニル系中空粒子を含む塩化ビニル系樹脂組成物によって成形体を形成することにより、比重値が極めて低く、これまでには無い軽量化された塩化ビニル成形体を得ることができる。また、塩化ビニル本来の特性及び軽量化を維持したまま、最大限の難燃性を期待することができる。
成形体が、建材、乗り物の内装等への応用が期待される場合、難燃性は、燃焼性の規格等で規制されることがある。例えば、アクリル系の中空粒子を用いる場合には燃焼しやすくなるが、塩化ビニル系樹脂では燃焼時の脱塩酸発生による自己消化性があるため、燃えにくく、難燃で軽量化された塩化ビニル成形体を得ることができる。
以下、本発明の塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、塩化ビニル系樹脂組成物及び成形品について、実施例によって、詳細に説明する。
実施例A:塩化ビニル系中空粒子(A1)の製造
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水7.89kg、表1に示すように、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート1.1kg、油溶性ラジカル開始剤としてジ−secブチルパーオキシジカーボネート2.2g及びα−クミルパーオキシネオデカノエート2.9g、有機溶剤としてn−ペンタン1172g、分散剤として濃度20%のコロイダルシリカ1712g、濃度30%ポリビニルピロリドン30.1g、食塩2790g及び塩酸10.9gを投入し、混合してモノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液を、攪拌分散装置を用いて10分間攪拌して、懸濁液を得た。
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー2.6kgを圧入し、10分間攪拌した。その後、撹拌しながら、54℃(重合度1300)まで昇温し、重合器内の温度を54℃(重合度1300)に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから30分経過後、ジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。
得られた重合スラリーを、脱水装置を用いて脱水した。しかる後、真空乾燥して、重合スラリーが内包するn−ペンタンを除去することにより、多孔性の塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例B:塩化ビニル系中空粒子(A2)の製造
有機溶剤として、n−ペンタンに代えてシクロヘキサンを用いたこと以外は、表1に示すように、実施例Aと同様にして塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例C:塩化ビニル系中空粒子(A3)の製造
有機溶剤として、n−ペンタンに代えてシクロヘキサンを用い、分散剤として濃度10%のポバール186gを用い、濃度20%のクロコダイルシリカ、濃度30%ポリビニルピロリドン、食塩及び塩酸を用いなかったこと以外は、表1に示すように、実施例Aと同様にして塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例D:塩化ビニル系中空粒子(A4)の製造
有機溶剤として、n−ペンタンに代えてシクロヘキサンを用い、油溶性ラジカル開始剤としてジsecブチルパーオキシジカーボネート3.7g、α−クミルパーオキシネオデカノエート5.5gとしたこと以外は、表1に示すように、実施例Aと同様にして塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例E:塩化ビニル系中空粒子(A5)の製造
有機溶剤として、n−ペンタンに代えてシクロヘキサンを用い、分散剤として濃度10%のポバール372gを用い、濃度20%のクロコダイルシリカ、濃度30%ポリビニルピロリドン、食塩及び塩酸を用いなかったこと以外は、表1に示すように、実施例Aと同様にして塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例F:塩化ビニル系中空粒子(A6)の製造
有機溶剤として、n−ペンタンに代えてシクロヘキサンを用い、分散剤として濃度10%のポバール747gを用い、濃度20%のクロコダイルシリカ、濃度30%ポリビニルピロリドン、食塩及び塩酸を用いなかったこと以外は、表1に示すように、実施例Aと同様にして塩化ビニル系中空粒子を得た。
実施例G:塩化ビニル系中空粒子(A7)の製造
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水8.78kg、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート0.56kg、分散剤として濃度10%のポリビニルアルコール558g、油溶性ラジカル開始剤としてジ−secブチルパーオキシジカーボネート3.7g及びα−クミルパーオキシネオデカノエート5.5gとを混合した溶液を調製した。得られたモノマー溶液を、溶解した水中に加え、攪拌分散装置を用いて10分間攪拌して、懸濁液を得た。
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー3.16kgを圧入し、次いで、10分間攪拌し、撹拌しながら、54℃(重合度1300)まで昇温し、重合器内の温度が54℃(重合度1300)に保持しながら水懸濁重合を行った。重合開始3.0時間後(重合率65%となるように設定)経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、重合スラリーを取り出し脱水装置により脱水した。しかる後、真空乾燥し塩ビモノマーを除くと同時に、多孔性の中空樹脂粒子を得た。
得られた収量は、2.2kgとなり、収率は59.0%となった。
実施例H:塩化ビニル系中空粒子(A8)の製造
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水8.78kg、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート2.97kg、分散剤として濃度10%のポリビニルアルコール558g、油溶性ラジカル開始剤としてジ−secブチルパーオキシジカーボネート3.7g及びα−クミルパーオキシネオデカノエート5.5gとを混合した溶液を調製した。得られたモノマー溶液を、溶解した水中に加え、攪拌分散装置を用いて10分間攪拌して、懸濁液を得た。
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー0.75kgを圧入し、次いで、10分間攪拌後、撹拌しながら、54℃(重合度1300)まで昇温し、重合器内の温度が54℃(重合度1300)に保持しながら水懸濁重合を行った。重合開始3.0時間後(重合率65%となるように設定)経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、重合スラリーを取り出し脱水装置により脱水した。しかる後、真空乾燥し塩ビモノマーを除くと同時に、多孔性の中空樹脂粒子を得た。
得られた収量は、3.5kgとなり、収率は75.0%となった。
Figure 0005559585
なお、表1においては、単位は重量部であり、白丸はA1の重量部と同じことを意味する。
(空隙率の測定)
得られた塩化ビニル系中空粒子について、中空粒子の全体積中に占める中空部体積を測定した。測定は、アムコ社製ポロシメーター2000を用いて封入水銀圧力2000kg/cm2の条件で行った。その結果を百分率(%)で表2に示す。
Figure 0005559585
表2中の塩化ビニルの割合は、全モノマー成分(塩化ビニル+多官能性モノマー)との合計重量)に対する重量%である。
実施例1〜15及び比較例1、2:塩化ビニル系樹脂組成物の調製
塩化ビニル樹脂(商品名「TS800E」、徳山積水工業社製)100重量部に対して、熱安定剤として有機錫系安定剤(オクチル錫メルカプト、商品名「TVS #1380」、日東化成工業社製)2.0重量部、滑剤として商品名「Wax−OP」(ヘキスト社製)2.0重量部、改質剤(MBS、商品名「M511」、カネカ社製)10重量部、加工助剤(商品名「K125P」(ローム&ハース社製)5部をスーパーミキサー(100L、カワタ社製)に、表2に示す実施例A〜Hで得られた所定の塩化ビニル系中空粒子を攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、8インチロール成形機にて、190℃×3分間混練し、厚さ1.5mmのシートとし、塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形体を得た。
(比重の測定)
成形した試料片から40×50mmの試験片を切り取り、JISK 7112に従って、比重を測定した。
(二次加工後の成形品の比重の測定)
得られた塩化ビニル系樹脂成形体を、プレス成型機(温度180℃予熱3分−加圧1分:圧力0.1MPa)で加温したあと、L/D=1/1となる木製の治具に押さえつけることでその成形体を変形させた。その後、乾燥させ、その変形後の試験片を切り取り、JISK 7112に従って、比重を測定した。
得られた塩化ビニル樹脂成形体を、プレス成形機(温度195℃予熱3分−加圧3分:圧力20MPa)で厚さ3mmのスペーサーとともに加圧するとともに3mm厚の樹脂成形体得た後、下記に準拠しての燃焼試験を実施した。
(燃焼試験(ASTM D635))
試験片を、ブンゼン式バーナーで30秒間着火させた後、ブンゼン式バーナーの炎を試験片から離すと共に、試験片から炎が消えるまでの時間をストップウォッチで計測した。各試験片についてN=5で実施した。
サンプル:幅13 長さ130m 厚み3mm
燃焼時間=t−30秒
tは炎が消えるまでの時間である。
これらの結果を以下の表に示す。
Figure 0005559585
Figure 0005559585
Figure 0005559585
表3〜表5の結果から、二次加工後の成形品の比重は、成形体比重と実質的に同じであった。また、比重が極めて低く、これまでには無い軽量化された塩化ビニル成形体を得ることができる。
また、燃焼性については、アクリル仕込み量の多いものを用いたものに比較して、塩化ビニル系中空粒子を用いる場合には、きわめて難燃性に優れていることが確認できる。
このように、上記実施例の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニル系成形体は、塩化ビニル樹脂が本来有する耐衝撃性、耐熱性等の物理的性質及び耐溶剤性、耐酸性等の化学的性質に優れた物理化学的性質を備える。
また、従来の塩化ビニル成形体に比較して軽量化を図ることができる。
さらに、例えば、従来のアクリル系中空粒子を用いて、所定の難燃性を付与しても、難燃性と軽量化との双方を満足させることができないが、本発明の塩化ビニル系成形体では、難燃剤を添加せず又は最小限に留めて難燃性を図るとともに、軽量化をも同時に満足させることができ、従来のアクリル中空粒子を用いた場合に比較して、難燃性の優れる塩化ビニル系中空粒子、樹脂組成物及び成形体を得られる。
本発明の塩化ビニル系中空粒子、その製造方法、塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系成形体は、従来用いられていた塩化ビニル樹脂組成物及び成形体の全てにおいて代替として、さらには、より軽量化、機能化が要求される新たな分野への用途、例えば、建材、乗り物の内装等への応用が期待される。

Claims (9)

  1. 主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分と、重合開始剤と、分散剤とを含む系での懸濁重合によって得られ、
    前記多官能性モノマーは、全モノマー成分に対して29.7〜50重量%で含有され、
    空隙率が40%以上であることを特徴とする塩化ビニル系中空粒子。
  2. 塩化ビニルが、全モノマー成分の50重量%以上である請求項1に記載の塩化ビニル系中空粒子。
  3. さらに非重合性有機溶剤を含有する系での懸濁重合によって得られる請求項1又は2の塩化ビニル系中空粒子。
  4. (1)主成分としての塩化ビニルと多官能性モノマーとを含むモノマー成分、重合開始剤、分散剤及び非重合性有機溶剤を懸濁し、該非重合性有機溶剤を全モノマー成分100重量部に対して、10〜80重量部で含有する懸濁液を調製し、
    (2)該懸濁液を加熱してモノマー成分を重合して、前記非重合性有機溶剤を含む樹脂粒子を形成し、
    (3)該樹脂粒子から前記非重合性有機溶剤を除去する工程を含む塩化ビニル系中空粒子の製造方法。
  5. 前記懸濁液が、前記多官能性モノマーは、全モノマー成分に対して29.7〜50重量%で含有されている請求項4に記載の塩化ビニル系中空粒子の製造方法。
  6. 塩化ビニルが全モノマー成分の50重量%以上である請求項4又は5に記載の塩化ビニル系中空粒子の製造方法。
  7. 少なくとも請求項1〜3のいずれか1つに記載の塩化ビニル系中空粒子と、塩化ビニル系樹脂とを含む塩化ビニル系樹脂組成物であって、
    前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記中空粒子が3〜50重量部含有されてなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  8. さらに、衝撃改質剤と、アクリル系加工助剤とを含む請求項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  9. 請求項7又は8に記載の塩化ビニル系樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする塩化ビニル系成形体。
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