JP7431541B2 - 発泡成形用マスターバッチ及び発泡成形体 - Google Patents

発泡成形用マスターバッチ及び発泡成形体 Download PDF

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本発明は、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、発泡速度が抑制され、外観品質が良好な発泡成形体を製造することが可能な発泡成形用マスターバッチに関する。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体に関する。
プラスチック発泡体は、発泡体の素材と形成された気泡の状態に応じて遮熱性、断熱性、遮音性、吸音性、防振性、軽量化等を発現させることができることから、様々な用途で用いられている。このようなプラスチック発泡体を製造する方法としては、化学発泡剤を含有するマスターバッチを加熱することで発泡させ、成形する方法が挙げられる。しかし、化学発泡剤を含有するマスターバッチは、加熱しても発泡しないことがあり、射出発泡成形機内で発泡剤が急激に分解するおそれがある等の問題があり、取り扱いが難しかった。また、樹脂の種類によっては充分な発泡倍率を得ることができず、成形体として所望の硬度を得ることが困難な場合があった。
一方、特許文献1には、化学発泡剤を含有するエチレン-α-オレフィン共重合体のマスターバッチペレットを用いることにより、樹脂の種類を問わず、硬度や発泡倍率が高く、均一な気泡が形成された射出発泡成形体が得られることが記載されている。
しかしながら、化学発泡剤は、加熱分解すると分解ガスと同時に発泡残さを生じ、成形体に残った残さが成形体の接着性能に影響を与えることがあった。また、化学発泡剤を使用すると、全てが独立気泡とはならず、どうしても連続気泡となる部分が生じてしまい、気密性が高い発泡成形体を得ることが難しいといった問題点があった。
特許文献2には、ポリオレフィン樹脂又はスチレン樹脂をベースレジンとし、発泡剤として、化学発泡剤に代えて熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡樹脂マスターバッチが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載された熱膨張性マイクロカプセルを用いた場合、得られる発泡体の発泡倍率は低く、得られる発泡体の独立気泡を一定の大きさとすることが困難であった。
これに対して、特許文献3には、熱膨張性マイクロカプセルを含有するマスターバッチと、化学発泡剤を含有するマスターバッチとをブレンドした樹脂組成物を用いて発泡、成形することで、発泡複合板を製造する方法が記載されている。
しかしながら、このような方法を用いた場合でも、多少の発泡倍率向上は認められるが、依然として成形品の発泡倍率は低いものとなっており、所望の軽量性、断熱性等の性能を得ることができなかった。また、外観品質の良いものを得ることは困難であった。
更に、特許文献4には、熱膨張性マイクロカプセル及びベースレジンを含有する合成樹脂組成物、及び、その製造方法が開示されている。このような合成樹脂組成物では、メルトフローレートが所定の範囲内のベースレジンを用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルの殻を破壊することなく、熱膨張性マイクロカプセルとベースレジンとの混和性、親和性に優れるとしている。
特開2000-178372号公報 特開平11-343362号公報 特開2005-212377号公報 特開2002-264173号公報
本発明は、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、発泡速度が抑制され、外観品質が良好な発泡成形体を得ることが可能な発泡成形用マスターバッチを提供することを目的とする。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明は、ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、前記ベースレジンは、メルトフローレートが0.1~60g/10分、融点が70~110℃である樹脂を含有し、前記熱膨張性マイクロカプセルは、平均粒子径が15~35μmであり、前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が52~70重量%である発泡成形用マスターバッチである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、ベースレジンとして所定のメルトフローレート及び融点を有する樹脂、発泡成分として熱膨張性マイクロカプセルを用い、熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径及び含有量を所定の範囲内とした場合、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能となることを見出した。また、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の発泡成形用マスターバッチは、ベースレジンを含有する。
本発明では、上記ベースレジンとして、所定のメルトフローレート及び融点を有する樹脂を含有する。これにより、発泡速度を抑制することが可能となる。また、外観品質が良好な発泡成形体を製造することができる。
上記ベースレジンを構成する樹脂のメルトフローレートは、下限が0.1g/10分、上限が60g/10分である。
上記メルトフローレートを0.1g/10分以上とすることで、マスターバッチの変形を防止することができ、60g/10分以下とすることで、得られる成形体の外観を良好なものとすることができる。
上記メルトフローレートの好ましい下限は1.0g/10分、好ましい上限は55g/10分である。
なお、メルトフローレートとは、樹脂の流動性を示す指数を意味し、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の合成樹脂を、定められた温度(例えば、190℃)で加熱、定められた荷重(例えば2.16kg)で加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量で示す。単位はg/10分が使用され、JIS K 7210-1で規定されている測定方法で測定する。
上記ベースレジンを構成する樹脂の融点は、下限が70℃、上限が110℃である。
上記融点を70℃以上とすることで、マスターバッチのブロッキングを防止することができ、110℃以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を抑制することができる。
上記融点の好ましい下限は75℃、好ましい上限は105℃である。
なお、融点とは、DSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。
上記ベースレジンは、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂及びオレフィン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。これにより、発泡速度を抑制することが可能となる。また、外観品質が良好な発泡成形体を製造することができる。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの単独重合体、又は、これらを含む(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を示す。
上記(メタ)アクリル共重合体において、アクリル系モノマーと共に共重合される他の共単量体としては、α-オレフィン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
なかでも、アクリル系モノマーとα-オレフィンとの共重合体が好ましく、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)がより好ましい。
これらの共単量体は、アクリル系樹脂中に、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体の形で存在することができる。
上記(メタ)アクリル共重合体である場合、上記アクリル系モノマーの含有量((メタ)アクリル共重合体全体に対するアクリル系モノマー成分の重量%)の好ましい下限が10重量%、好ましい上限が50重量%である。
アクリル系モノマー含有量が上記範囲内である(メタ)アクリル共重合体を使用することで、成形性や熱膨張性マイクロカプセルの分散性を向上させることができる。
上記アクリル系樹脂は、重量平均分子量が10,000以上であることが好ましい。
上記重量平均分子量を上記範囲内とすることで、外観の優れた成形品を得ることができる。
上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。
上記アクリル系樹脂の融点は、75~105℃であることが好ましい。これにより、外観の優れた発泡成形体を得ることができる。なお、融点とは、DSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。
上記アクリル系樹脂のメルトフローレートは、好ましい下限が1g/10分、好ましい上限が50g/10分である。
上記メメルトフローレートを1g/10分以上とすることで、マスターバッチの変形を防止することができ、50g/10分以下とすることで、得られる成形体の外観を良好なものとすることができる。
上記ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。なかでも、低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
上記オレフィン系エラストマーとしては、オレフィンを主成分とする共重合体が挙げられ、主成分となるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン共重合体が挙げられる。なかでも、プロピレン系エラストマーが好ましい。
上記オレフィン系エラストマーとしては、オレフィンに加えて、ジエン成分を有するものを用いることができる。このようなジエン成分を有するオレフィン系エラストマーとしては、EPDM樹脂(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)が好ましい。
上記ベースレジンはアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂及びオレフィン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種が100重量%であってもよく、他の樹脂成分を1種又は2種以上適宜混合することも可能である。
なお、上記他の樹脂成分を使用する場合、上記アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂及びオレフィン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種の比率は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、通常100重量%未満である。
上記他の樹脂成分としては、ゴム成分が挙げられる。上記ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Si)等を用いることができる。また、上記ゴム成分から選択される1種または2種以上を混合使用することができる。
また、上記他の樹脂成分として、一般的な熱可塑性樹脂を使用してもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリプロピレンオキシド、ポリスチレン等の一般的な熱可塑性樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。なお、これらのなかでは、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の発泡成形用マスターバッチにおける上記ベースレジンの含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は50重量%である。上記ベースレジンの含有量が40重量%未満であると、マスターバッチ作製時に発泡し、マスターバッチ化できないことがあり、上記ベースレジンの含有量が50重量%を超えると、所望の発泡倍率が得られないことがある。
本発明の発泡成形用マスターバッチは、熱膨張性マイクロカプセルを含有する。
本発明の発泡成形用マスターバッチにおける上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量の下限は52重量%、上限は70重量%である。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を52重量%以上とすることで、所望の発泡倍率を得ることができる。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を70重量%以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を防止して、結果として発泡成形品の発泡倍率を向上させることができる。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量の好ましい下限は55重量%、好ましい上限は60重量%である。
上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることが好ましい。
上記重合性モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
また、更に耐熱性を向上させたい場合には、上記熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは、重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%とを含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることが好ましい。
上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は90重量%である。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量が40重量%未満であると、シェルのガスバリア性が低くなるため発泡倍率が低下することがある。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量が90重量%を超えると、耐熱性が上がってこないことがある。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量のより好ましい下限は50重量%、より好ましい上限は80重量%である。
上記カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)としては、例えば、イオン架橋させるための遊離カルボキシル基を分子当たり1個以上持つものを用いることができる。具体的には例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸やその無水物、不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体等が挙げられる。
上記不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等が挙げられる。上記不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等が挙げられる。上記不飽和ジカルボン酸のモノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
上記モノマー混合物中における、上記カルボキシル基を有し、炭素数3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は50重量%である。上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量が5重量%未満であると、最大発泡温度が190℃以下となることがあり、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量が50重量%を超えると、最大発泡温度は向上するものの、発泡倍率が低下する。上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は40重量%である。
上記モノマー混合物としては、上記重合性モノマー(I)、及び、上記カルボキシル基を有し、炭素数3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量が上述した範囲内であれば、特に限定されないが、下記モノマー混合物(1)~(3)を用いることが好ましい。
上記モノマー混合物(1)は、上記重合性モノマー(I)40~90重量%と、上記カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないものである。
上記モノマー混合物(1)は、上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない。上記重合性モノマー(III)は、一般的に架橋剤として用いられているものである。
上記モノマー混合物(1)では、上記重合性モノマー(I)とラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)とを所定量含有するモノマー混合物を用いることで、充分な強度を有するシェルが得られる。これにより、上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない場合でも、優れた耐剪断性、耐熱性、発泡性を有する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。上述のように充分な強度を有する理由は明確でないが、カルボキシル基同士の脱水縮合反応による架橋が関係していると考えられる。
また、上記重合性モノマー(III)を添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が歪なものとなり、結果として嵩比重が低下してしまう。嵩比重が低下してしまうと、次工程において、特に押出成形を用いてマスターバッチを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルに剪断がかかりやすくなるため、熱膨張性マイクロカプセルが発泡気味となる。その結果、マスターバッチの真比重が低下する等によって、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。
このように、上記モノマー混合物(1)では、上記分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を用いずに、充分な強度及び耐熱性を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることを可能としている。なお、本明細書において、「上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない」とは、重合性モノマー(III)を実質的に含有しないことを意味し、上記重合性モノマー(III)をごく微量含む場合は、上記重合性モノマー(III)を含有しないものとみなすこととする。
なお、上記重合性モノマー(III)としては、ラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーが挙げられる。具体的には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200~600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
加えて、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記モノマー混合物(2)は、上記重合性モノマー(I)40~90重量%と、上記カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、上記重合性モノマー(III)0.2重量%以下と、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%とを含有するものである。
上記モノマー混合物(2)は、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有することが好ましい。上記重合性モノマー(III)は、架橋剤としての役割を有する。
上記重合性モノマー(III)を含有することにより、シェルの強度を強化することができ、熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。
上記重合性モノマー(III)としては、上記カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)と異なるものであれば、特に限定はされず、一般的にはラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーが好適に用いられる。具体的には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200~600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記モノマー混合物(2)中における、上記重合性モノマー(III)の含有量の好ましい上限は0.2重量%である。上記重合性モノマー(III)を0.2重量%を超えて添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が歪なものとなり、結果として嵩比重が低下してしまう。嵩比重が低下してしまうと、次工程において、特に押出成形を用いてマスターバッチを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルに剪断がかかりやすくなるため、熱膨張性マイクロカプセルが発泡気味となる。その結果、マスターバッチの真比重が低下する等によって、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。本発明では、上記重合性モノマー(III)の含有量を0.2重量%以下とすることで、嵩比重の低下を防止することができる。上記重合性モノマー(III)の含有量の好ましい下限は0重量%、より好ましい上限は0.1重量%である。
上記モノマー混合物(2)は、金属カチオン水酸化物(IV)を含有することが好ましい。
上記金属カチオン水酸化物(IV)を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン結合が起こることから、剛性が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン結合であるから、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへ転化時において、熱膨張性マイクロカプセルの体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記金属カチオン水酸化物(IV)の金属カチオンとしては、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)と反応してイオン結合させる金属カチオンであれば、特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Zn、Mg、Ca、Ba、Sr、Mn、Al、Ti、Ru、Fe、Ni、Cu、Cs、Sn、Cr、Pb等のイオンが挙げられる。但し、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)とイオン結合させることが目的なので、水酸化物であることが必要で、NaCl等の塩化物はイオン結合が弱く、ここでは該当しない。これらのなかでは、2~3価の金属カチオンであるCa、Zn、Alのイオンが好ましく、特にZnのイオンが好適である。これらの金属カチオン水酸化物(IV)は、単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記モノマー混合物(2)中における、上記金属カチオン水酸化物(IV)の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限が10重量%である。上記金属カチオン水酸化物(IV)の含有量が0.1重量%未満であると、耐熱性に効果が得られないことがあり、上記金属カチオン水酸化物(IV)の含有量が10重量%を超えると、発泡倍率が著しく悪くなることがある。上記金属カチオン水酸化物(IV)の含有量のより好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記モノマー混合物(3)は、上記重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないものである。
上記モノマー混合物(3)は、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする。
ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)と金属カチオン水酸化物(IV)との間でイオン結合による架橋が起こることで、上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない場合でも、得られるシェルは充分な強度及び耐熱性を有する。なお、上記重合性モノマー(III)を添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が歪なものとなり、結果として嵩比重が低下してしまう。嵩比重が低下してしまうと、次工程において、特に押出成形を用いてマスターバッチを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルに剪断がかかりやすくなるため、熱膨張性マイクロカプセルが発泡気味となる。その結果、マスターバッチの真比重が低下する等によって、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。
上記モノマー混合物(3)では、イオン結合による架橋を主として、共有結合による架橋を減らすことで、上記分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を用いずに、充分な強度及び耐熱性を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることを可能としている。なお、本明細書において、「上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない」とは、重合性モノマー(III)を実質的に含有しないことを意味し、上記重合性モノマー(III)をごく微量含む場合は、上記重合性モノマー(III)を含有しないものとみなすこととする。
上記モノマー混合物中には、上記重合性モノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)等に加えて、これら以外の他のモノマーを添加してもよい。上記他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。これら他のモノマーは、熱膨張性マイクロカプセルに必要な特性に応じて適宜選択されて使用され得るが、これらのなかでメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル等が好適に用いられる。シェルを構成する全モノマー中の他のモノマーの含有量は10重量%未満が好ましい。上記他のモノマーの含有量が10重量%以上であると、セル壁のガスバリア性が低下し、熱膨張性が悪化しやすいので好ましくない。
上記モノマー混合物中には、上記モノマーを重合させるため、重合開始剤を含有させる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。
上記過酸化ジアルキルとしては、メチルエチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
上記過酸化ジアシルとしては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートとしては、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピル-オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
上記シェルを構成する重合体の重量平均分子量の好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。重量平均分子量が10万未満であると、シェルの強度が低下することがあり、重量平均分子量が200万を超えると、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡倍率が低下することがある。
上記シェルは、更に必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有していてもよい。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、上記シェルにコア剤として揮発性膨張剤が内包されている。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、低分子量炭化水素、クロロフルオロカーボン、テトラアルキルシラン等が挙げられる。
上記低分子量炭化水素としては、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-へキサン、ヘプタン、イソオクタン、石油エーテル等が挙げられる。
上記クロロフルオロカーボンとしては、CClF、CCl、CClF、CClF-CClF等が挙げられる。
上記テトラアルキルシランとしては、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル-n-プロピルシラン等が挙げられる。
なかでも、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-へキサン、イソオクタン、石油エーテル、及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
上記熱膨張性マイクロカプセルでは、上述した揮発性膨張剤のなかでも、炭素数が5以下の低沸点炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素を用いることにより、発泡倍率が高く、速やかに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
本発明の発泡成形用マスターバッチにおいて、コア剤として用いる揮発性膨張剤の含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は25重量%である。
上記シェルの厚みはコア剤の含有量によって変化するが、コア剤の含有量を減らして、シェルが厚くなり過ぎると発泡性能が低下し、コア剤の含有量を多くすると、シェルの強度が低下する。上記コア剤の含有量を10~25重量%とした場合、熱膨張性マイクロカプセルのへたり防止と発泡性能向上とを両立させることが可能となる。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度(Tmax)の好ましい下限が180℃、好ましい上限が230℃である。最大発泡温度が180℃未満であると、耐熱性が低くなることから、高温領域や成形加工時において、熱膨張性マイクロカプセルが破裂、収縮する。また、マスターバッチ製造時に剪断により発泡してしまい、未発泡のマスターバッチを安定して製造することができない。最大発泡温度のより好ましい下限は210℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱機械分析で測定した最大変位量(Dmax)の好ましい下限が300μm、好ましい上限が1500μmである。
なお、上記最大変位量は、所定量の熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、所定量全体の熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となるときの値をいう。
また、発泡開始温度(Ts)の好ましい上限は160℃、好ましい上限は165℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときにおける温度を意味する。
上記熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径の下限は15μm、上限は35μmである。平均粒子径が15μm以上であることで、得られる成形体の発泡が充分なものとなり、平均粒子径が35μm以下であることで、得られる成形体において外観が良好なものとなり成形体の強度を充分なものとすることができる。平均粒子径の好ましい下限は18μm、好ましい上限は30μmである。
なお、上記熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径とは、粒度分布径測定器等を用いて測定した体積平均粒子径を意味する。
上記熱膨張性マイクロカプセルの嵩比重の好ましい下限は0.40g/cmである。上記嵩比重が0.40g/cm未満であると、特に押出成形を用いてマスターバッチを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルに剪断がかかりやすくなるため、熱膨張性マイクロカプセルが発泡気味となる。その結果、マスターバッチの真比重が低下する等によって、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。上記嵩比重の好ましい下限は0.42g/cmである。
上記嵩比重とは、容器等に最密充填した熱膨張性マイクロカプセル集合体の体積を基準とする比重をいう。上記嵩比重は、JIS K 6721に準拠し、測定することができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法としては、例えば、水性媒体を調製する工程、上記重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。その後、上記モノマーを重合させる工程を行う方法等が挙げられる。
上記熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合、最初に水性媒体を調製する工程を行う。具体的には例えば、重合反応容器に、水と分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えることにより、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、分散安定剤の種類、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径等により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記補助安定剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物等が挙げられる。また、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
また、上記分散安定剤と補助安定剤との組み合わせとしては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらの中では、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記水溶性窒素含有化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。
上記ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
上記ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
上記コロイダルシリカの添加量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、ビニル系モノマー100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。上記コロイダルシリカの添加量の更に好ましい下限は2重量部、更に好ましい上限は10重量部である。また、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の添加量についても熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記分散安定剤及び補助安定剤に加えて、更に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。上記無機塩の添加量は、通常、モノマー100重量部に対して0~100重量部が好ましい。
上記分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製され、この際の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカを使用する場合は、酸性媒体で重合がおこなわれ、水性媒体を酸性にするには、必要に応じて塩酸等の酸を加えて系のpHが3~4に調製される。一方、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性媒体の中で重合させる。
次いで、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法では、上記重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。この工程では、モノマー及び揮発性膨張剤を別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合し油性混合液としてから、水性分散媒体に添加する。この際、油性混合液と水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加しても良い。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記油性混合液を水性分散媒体中に所定の粒子径で乳化分散させる方法としては、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、上述した工程を経て得られた分散液を、例えば、加熱することによりモノマーを重合させる工程を行うことにより、製造することができる。このような方法により製造された熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が高く、耐熱性に優れ、高温領域や成形加工時においても破裂、収縮することがない。また、嵩比重が高いので、マスターバッチ製造時に剪断によって発泡することが無く、未発泡のマスターバッチを安定して製造することができる。
本発明の発泡成形用マスターバッチは、化学発泡剤を含有していてもよい。上記化学発泡剤を含有させることで、例えば、炭酸水素ナトリウム等の化学発泡剤を用いる場合、分解される際に発生するCOにより発泡性能を向上させることができる。また、上記熱膨張性マイクロカプセルと化学発泡剤と併用することで、化学発泡剤を単独で使用した場合に発生しがちな連続気泡の生成を抑えることが可能となる。
上記化学発泡剤としては、常温で粉末状のものであれば特に限定されず、従来から化学発泡剤として汎用されているものを使用することができる。具体的には例えば、炭酸水素ナトリウム等の無機系化学発泡剤、アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド等の有機系化学発泡剤が挙げられる。
本発明の発泡成形用マスターバッチは、滑剤等の添加剤を含有していてもよい。上記滑剤を含有させることで、マスターバッチ製造時に熱膨張性マイクロカプセルにかかるシェアが抑制され、微発泡等が発生し難くなり、また、熱膨張性マイクロカプセルの分散性を向上させることができ、マスターバッチを製造しやすくなる。その結果、熱膨張性マイクロカプセルの濃度が高いマスターバッチを生産効率が良く安定して製造することができる。
上記滑剤としては、マスターバッチ製造時の温度で溶解するものであれば、特に限定されず、従来から滑剤として汎用されているものを使用することができる。具体的には例えば、粘度平均分子量3,000以下のポリエチレンワックス、脂肪酸エステル、ステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸誘導体、及び、脂肪酸アマイドを主成分とした複合滑剤と呼ばれるものが挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。また、上記脂肪酸誘導体としては、水酸基が付加された脂肪酸等が挙げられる。
なかでも、脂肪酸誘導体が好ましく、特に水酸基が付加された脂肪酸を用いることで、高粘度のベースレジンに熱膨張マイクロカプセルを高濃度で含有させたマスターバッチを作製することが可能となる。
また、上記脂肪酸エステル、脂肪酸、又は、脂肪酸誘導体を構成する脂肪酸の炭素数は15~40であることが好ましく、18~36であることがより好ましく、18~20であることがさらに好ましい。
なお、本発明の発泡成形用マスターバッチ中の滑剤の含有量は、1~15重量%であることが好ましく、5~12重量%であることがより好ましい。
本発明の発泡成形用マスターバッチの形状は、粉末状、粒状、塊状、ストランド状、ペレット状、シート状等、種々の形状の何れであってもよい。
本発明の発泡成形用マスターバッチの真比重の好ましい下限は0.80g/cmである。上記真比重が0.80g/cm未満であると、マスターバッチ中にある熱膨張性マイクロカプセルが膨れていることを意味するので、成形後に得られる成形品の発泡倍率が低下することがある。
上記真比重のより好ましい下限は0.90g/cm、好ましい上限は1.0g/cmである。
上記真比重とは、空孔を除いた素材のみの比重をいい、20℃におけるマスターバッチの
単位体積の質量と、それと等体積の4℃における水の質量との比を表す。上記真比重は、JIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定することができる。
本発明の発泡成形用マスターバッチの嵩比重の好ましい下限は0.35g/cmである。上記嵩比重が0.35g/cm未満であると、特に射出成形の場合、体積一定にしてマスターバッチの計量を行うため、嵩比重が低いと、マスターバッチの重量が少なくなり結果として得られた成形品の発泡倍率が低下することがある。
上記嵩比重のより好ましい下限は0.38g/cm、好ましい上限は0.50g/cmである。
上記嵩比重とは、容器等に最密充填したマスターバッチ集合体の体積を基準とする比重をいう。
上記嵩比重は、JIS K 6721に準拠し、測定することができる。
本発明の発泡成形用マスターバッチが、粒状、ペレット状の形状である場合、その粒度の好ましい下限は450mg/30個である。上記粒度が450mg/30個未満であると、粒度が小さいため、表面積が増加し、成形機内で温度や剪断等によってベースレジンが早めに溶解し、シリンダー内で熱膨張性マイクロカプセルが早めに発泡しないように、マスターバッチ中のベースレジンの融点を上げる効果が低下することがある。
上記粒度のより好ましい下限は470mg/30個、好ましい上限は600mg/30個である。
上記粒度とは、マスターバッチの大きさの目安であり、マスターバッチ30個の合計重量で表す。
上記粒度は、マスターバッチ30個をランダムに採取し、その重量を計測することで測定することができる。
本発明の発泡成形用マスターバッチを製造する方法としては特に限定されず、例えば、オレフィン系エラストマーを含有するベースレジン、滑剤等の各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、熱膨張マイクロカプセルからなる発泡剤を添加した後、更に混練することにより得られる混練物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチとする方法等が挙げられる。この時点で微発泡してしまえば、その後の発泡成形で所望の発泡倍率が得難く、バラツキも大きくなる。
また、ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセル、滑剤等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒する方法や、押出機とペレタイザーによりペレット形状のマスターバッチを製造する方法を用いてもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明の発泡成形用マスターバッチに、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を加えた樹脂組成物を射出成形等の成形方法を用いて成形し、成形時の加熱により、上記熱膨張性マイクロカプセルによって発泡させることにより、発泡成形体を製造することができる。このような発泡成形体もまた本発明の1つである。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、高発泡倍率かつ高外観品質が得られ、独立気泡が均一に形成されており、軽量性、断熱性、耐衝撃性、剛性等に優れるものとなり、住宅用建材、自動車用部材、靴底等の用途に好適に用いることができる。
上記熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン等の一般的な熱可塑性樹脂が用いられる。また、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。また、エチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の熱可塑性エラストマーを使用してもよく、これらの樹脂を併用して使用してもよい。また、上記マトリックス樹脂としては、上記ベースレジンと同様の樹脂を使用することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂100重量部に対する本発明の発泡成形用マスターバッチの添加量は0.5~20重量部が好ましく、より好ましくは1~10重量部である。
本発明の発泡成形体の成形方法としては、特に限定されず、例えば、混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等が挙げられる。射出成形の場合、工法は特に限定されず、金型に樹脂材料を一部入れて発泡させるショートショート法や金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック法等が挙げられる。
別の形態の本発明は、180℃に加熱した場合における3分後の発泡率が15%以下、5分後の発泡率が25%以下の発泡成形用マスターバッチである。
上記3分後の発泡率は、12%以下であることが好ましい。また、上記5分後の発泡率は、24%以下であることが好ましい。
上記3分後の発泡率は、0.2gの発泡成形用マスターバッチを180℃で30分間加熱した場合における、「30分後の発泡高さ」に対する「3分後の発泡高さ」の割合をいう。
また、上記5分後の発泡率は、発泡成形用マスターバッチを180℃で30分間加熱した場合における、「30分後の発泡高さ」に対する「5分後の発泡高さ」の割合をいう。
本発明及び別態様の本発明の発泡成形体の成形方法で得られた成形品の用途としては、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル(インパネ)等の自動車内装材や、バンパー等の自動車外装材等が挙げられる。また、木粉プラスチック等の建材用途、靴底、人工コルク等の用途が挙げられる。
本発明によれば、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、発泡速度が抑制され、外観品質が良好な発泡成形体を得ることが可能な発泡成形用マスターバッチを提供できる。また、発泡速度の抑制が達成されることで、成形機内での発泡成形用マスターバッチ同士の合着や熱膨張性マイクロカプセル同士の合着を防止することが可能となる。更に、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
重合反応容器に、水300重量部と、調整剤として塩化ナトリウム89重量部、水溶性重合禁止剤として亜硝酸ナトリウム0.07重量部、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)8重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量の金属塩、モノマー、揮発性膨張剤、重合開始剤からなる油性混合液を水性分散媒体に添加、混合することにより、分散液を調製した。全分散液は15kgである。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、遠心分離機にて脱水と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセル(No.1~6)を得た。
なお、表1では、重合性モノマー(I)をモノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)をモノマー(II)、重合性モノマー(III)をモノマー(III)とした。
(実施例1~3、5~、参考例4、比較例1~9)
(マスターバッチペレットの作製)
表2に示すベースレジン100重量部と、表2に示す種類、配合量の滑剤とをバンバリーミキサーで混練し、約100℃になったところで、得られた熱膨張性マイクロカプセルを表2に示す配合量で添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。なお、表2中のEMMAはエチレン-メチルメタクリレート共重合体、LDPEは低密度ポリエチレン、TPOはオレフィン系エラストマーを表す。
また、樹脂としては以下のものを用いた。
[EMMA(1)]エチレン-メタクリレート共重合体:メルトフローレート20g/10分、融点79℃、MMA含有量25重量%(住友化学社製、アクリフトWK402)
[EMMA(2)]エチレン-メタクリレート共重合体:メルトフローレート7g/10分、融点80℃、MMA含有量25重量%(住友化学社製、アクリフトWK307)
[EMMA(3)]エチレン-メタクリレート共重合体:メルトフローレート450g/10分、融点67℃、MMA含有量28重量%(住友化学社製、アクリフトCM5021)
[LDPE(1)]低密度ポリエチレン樹脂:メルトフローレート45g/10分、融点108℃(東ソー社製、ペトロセン209)
[LDPE(2)]低密度ポリエチレン樹脂:メルトフローレート7.6g/10分、融点120℃(東ソー社製、ペトロセン1384R)
[TPO]プロピレン系エラストマー:メルトフローレート3.6g/10分、融点80℃、エチレン含有量11重量%(Exon Mobil社製 Vistamax3000)
(発泡成形体の製造)
得られたマスターバッチペレット3重量部と、オレフィン系エラストマー(三井化学社製 ミラストマー7030BS)100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを押出成形機のホッパーに供給して溶融混練し、押出成形を行い、板状の発泡成形体を得た。なお、押出条件は、金型温度:190℃とした。
(評価)
熱膨張性マイクロカプセル(No.1~6)、及び、実施例1~3、5~、参考例4及び比較例1~9で得られた成形体について、下記性能を評価した。結果を表1及び表2に示した。
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価
(1-1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA-910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(1-2)発泡開始温度、最大発泡温度、最大変位量
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/分の昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
Figure 0007431541000001
(2)マスターバッチペレットの評価
(2-1)発泡率(3分後の発泡率、5分後の発泡率)の測定
発泡成形用マスターバッチについて、試験管(φ16mm、長さ100mm)に0.2gのマスターバッチを入れ、エスペックオーブンを用いて180℃で加熱しつつ、3分後、5分後、30分後における発泡高さを計測した。
そして、「30分後の発泡高さ」に対する「3分後の発泡高さ」の割合(%)を算出して「3分後の発泡率」とした。同様に、「30分後の発泡高さ」に対する「5分後の発泡高さ」の割合(%)を算出して「5分後の発泡率」とした。
(2-2)真比重の測定
比重計MD-200S(ミラージュ社製)を用いてマスターバッチペレットの真比重をJIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により計測した。
(2-3)嵩比重の測定
JIS K 6721に準拠した方法で測定した。
(2-4)粒度の測定
得られたマスターバッチペレットからランダムに30個を採取し、合計重量を測定した。
(3)成形体の評価
(3-1)密度、発泡倍率
発泡前の密度、及び、得られた成形体(発泡後)の密度をJIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
また、発泡前後の成形体の密度から発泡倍率を算出した。
(3-2)表面性
3D形状測定機(キーエンス社製)により、成形体表面の表面粗さ(Rz)を計測した。判断基準として、その計測値であるRz値が50μm未満を○、50μm≦Rz値≦100μmを△、100μm超を×とした。
Figure 0007431541000002
本発明によれば、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、発泡速度が抑制され、外観品質が良好な発泡成形体を得ることが可能な発泡成形用マスターバッチを提供できる。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体を提供できる。

Claims (9)

  1. ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、
    前記ベースレジン(但し、オレフィン系エラストマーを除く)は、メルトフローレートが7~60g/10分、融点が70~110℃である樹脂を含有し、
    前記熱膨張性マイクロカプセルは、平均粒子径が15~35μmであり、
    前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が52~70重量%であり、
    前記熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下、もしくは/かつ、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなる
    ことを特徴とする発泡成形用マスターバッチ。
  2. ベースレジンは、アクリル系樹脂及びポリエチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の発泡成形用マスターバッチ。
  3. モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)と、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下、もしくは/かつ、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%とを含有するとを特徴とする請求項1又は2記載の発泡成形用マスターバッチ。
  4. モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下、もしくは/かつ、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%とを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の発泡成形用マスターバッチ。
  5. モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
  6. モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40~90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3~8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5~50重量%と、金属カチオン水酸化物(IV)0.1~10重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
  7. 熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が180℃以上、最大変位量が300~1500μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5記載の発泡成形用マスターバッチ。
  8. 180℃に加熱した場合における3分後の発泡率が15%以下、5分後の発泡率が25%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6記載の発泡成形用マスターバッチ。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7記載の発泡成形用マスターバッチを用いてなることを特徴とする発泡成形体。

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