JP5559020B2 - ベローズポンプ - Google Patents
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Description
このベローズポンプは、例えば、特許文献1及び2に記載されているように、ポンプヘッドの左右方向(水平方向)の両側にポンプケースを連結して2つの空気室を形成し、各空気室の内部にそれぞれ左右方向に伸縮可能なベローズを設け、各空気室に交互に加圧エアを供給することによって各ベローズを収縮又は伸張させるように構成されている。
また、圧縮コイルバネは、PTFE等の合成樹脂により形成されているので、長期使用によるクリープ等によってシール精度が低下する可能性がある。
しかしながら、弁体(ボール)が、ベローズの伸縮に伴う流体の流れのみによって移動するため、圧縮コイルバネを備えたものと比較して、特に、チェックバルブの開から閉への切り換えに遅れを生じやすくなるという欠点がある。また、ベローズポンプの運転を停止したときに、閉弁の遅れに起因して、吐出通路からベローズ内に、またベローズ内から吸込通路内に流体が逆流しやすくなるという欠点がある。このような流体の逆流は、ベローズポンプの運転を再開したときの定量性を損なう原因となる。また、バルブケース内に弁体を収容するスペースが必要であるため、バルブケースの左右方向寸法を小さくするにも限界がある。
前記チェックバルブは、前記ポンプヘッド内に収容されるとともに、自重によって閉弁方向へ移動可能な弁体と、前記ポンプヘッドに取り付けられるとともに、前記弁体が前記ポンプヘッド内から離脱するのを阻止するキャップ部材と、を備えており、前記ポンプヘッドには、前記弁体が移動可能に収容されると共に、閉弁のための前記弁体の移動方向が低位となるように水平方向に対して傾斜する移動通路が形成されていることを特徴とする。
いずれにおいても移動通路内で円滑に弁体を移動させることができる。
《ベローズポンプの全体構成》
図1は、本発明の実施形態に係るベローズポンプの断面図である。
本実施形態のベローズポンプ10は、薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられ、ポンプヘッド11と、このポンプヘッド11の左右方向(水平方向)の両側に取り付けられる一対のポンプケース12と、各ポンプケース12の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる一対のベローズ13と、一対のベローズ13の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる計4個のチェックバルブ38,40と、を備えている。
ポンプケース12は、ポンプヘッド11の左右両側に固定された筒形状のケース胴体15と、このケース胴体15の左右方向の一端部(ポンプヘッド11とは反対側の端部)を閉鎖する閉鎖蓋16と、を備えている。ケース胴体15と、ポンプヘッド11及び閉鎖蓋16との接合端面にはシール部材が介装されており、これらの部材によって囲まれた空間が気密状態が保持された空気室17とされている。
また、閉鎖蓋16には、近接センサからなる検出センサ21が取り付けられており、この検出センサ21は、ベローズ13に取り付けられた作動板24を検知して、当該ベローズ13の伸縮状態を検出する。
ベローズ13は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂により有底筒形状に形成され、ベローズ13の開放側端部はポンプヘッド11に固定されている。具体的に、ベローズ13の開放側端部には周溝22が形成され、ポンプヘッド11とポンプケース12との間には、径方向内方へ突出する係止環23が固定され、この係止環23を周溝22に嵌合することによってベローズ13がポンプヘッド11に固定されている。
図2は、ポンプヘッド及びチェックバルブを示す断面図、図3は、ポンプヘッド及びチェックバルブを示す斜視図である。
ポンプヘッド11は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂から形成されている。ポンプヘッド11の内部には、吸込通路33及び吐出通路34(本発明の流路)が形成されている。この吸込通路33及び吐出通路34は、図3に示すように、ポンプヘッド11の外周面において開口する主通路33A,34Aを有し、この主通路33A,34Aには、当該外周面に設けられた吸込ポート及び吐出ポート(いずれも図示略)に接続される。吸込ポートは流体の貯留タンク等に接続され、吐出ポートは流体の移送先に接続される。
吸込通路33の分岐通路33Bは、主通路33Aに連なる第1分岐通路33B1と、ポンプヘッド11の側面11Aに凹設された3個の第2分岐通路33B2とからなる。第1分岐通路33B1は、ポンプヘッド11の側面11Aから離れるほど低位となるように水平方向に対して傾斜している。また、第1分岐通路33B1は、ポンプヘッド11の側面11Aに凹設された移動通路53に連通している。この移動通路53は、チェックバルブ38の弁体45が収容されるものであり、その詳細については後述する。
吐出通路34の分岐通路34Bは、3個形成されており、いずれも、ポンプヘッド11の側面11Aから水平方向に凹設され、主通路34Aに連通している。また、分岐通路34Bは、図5(b)に示すように側面視で三角配置されている。三角配置された3個の分岐通路34Bの中心位置には移動通路53が凹設され、この移動通路53内にチェックバルブ40の弁体45が収容されている。このチェックバルブ40の詳細についても後述する。
図1に示すように、ポンプヘッド11の側面11Aには、吸込通路33及び吐出通路34における一方向への流体の流通を許容し、他方向への流体の流通を阻止するチェックバルブ38,40が設けられている。
図6(a)は、吸込用チェックバルブのキャップ部材の正面断面図、(b)は、同キャップ部材の側面図である。キャップ部材44は、円筒部44Aと、底部44Bとから有底円筒形状に形成されている。円筒部44Aの外周面には雄ネジ44Cが形成されており、この雄ネジ44Cは、図2及び図4に示すように、ポンプヘッド11の側面11Aに形成された凹溝41の雌ネジ42に螺合される。これにより、ポンプヘッド11にキャップ部材44が取り付けられる。また、ポンプヘッド11に取り付けられたキャップ部材44の底部44Bは、ポンプヘッド11の側面11Aと間隔をあけて配置される。
移動通路53は、吸込通路33の第1分岐通路33B1と略同一の傾斜角度で傾斜している。すなわち、移動通路53は、ポンプヘッド11の側面11Aから離れるほど低位となるように水平方向に対して傾斜している。したがって、この移動通路53に配置された弁体34は、流体からの圧力を受けていない状態で傾斜に沿って低位側に転動し、第1分岐通路33B1と移動通路53との境界に形成された弁座66に嵌合する。つまり、弁体45は、その自重によって吸引用チェックバルブ38の閉方向へ移動する。また、弁体45は、キャップ部材44によって移動通路53からの離脱が阻止されている。
図7は、吐出用チェックバルブのキャップ部材の正面断面図である。キャップ部材46は、円筒部46Aと底部46Bとから有底円筒状に形成されている。また、円筒部46Aの外周面には雄ネジ46Cが形成されており、この雄ネジ46Cは、図2及び図5に示すようにポンプヘッド11の側面11Aに形成された凹溝41の雌ネジ42に螺合される。これにより、ポンプヘッド11にキャップ部材46が取り付けられる。また、ポンプヘッド11に取り付けられたキャップ部材46の底部46Bは、ポンプヘッド11の側面11Aにほぼ密着される。
なお、図2には、全て閉じた状態のチェックバルブ38,40が示されている。
次に、本実施形態のベローズポンプ10の作用を図8及び図9を参照して説明する。なお、図8及び図9においてはベローズ13の構成を簡略化して示している。
図8に示すように、左側のベローズ13が収縮し、右側のベローズ13が伸張した場合、ポンプヘッド11の左側面に装着された吐出用チェックバルブ40と吸込用チェックバルブ38の各弁体45は、左側のベローズ13内の流体から圧力を受けて移動通路53内を右側に移動する。これにより吐出用チェックバルブ40が開くとともに、吸込用チェックバルブ38が閉じ、左側のベローズ13内の流体が吐出通路34からポンプ外へ排出される。
本実施形態において、チェックバルブ38,40の弁体45は、移動通路53の傾斜に沿ってその自重によりチェックバルブを閉じる方向(閉弁方向)に移動するように構成されている。そのため、ベローズ13の伸縮に応じた流体の流れに応答性よく追従し、特に、開から閉への動作を迅速に行うことができる。そのため、閉弁の遅れに起因する流体の逆流を防止することができる。したがって、ベローズポンプ10の運転を停止した場合には、吐出通路34からベローズ13内への流体の逆流や、ベローズ13内から吸込通路33への流体の逆流を好適に抑制することができる。これにより、ベローズポンプ10の運転を再開したときの定量性を確実に確保することができる。
また、チェックバルブ38,40に対して傾斜した移動通路が形成されている場合、移動通路の傾斜方向を正確に合わせながらチェックバルブ38,40をポンプヘッド11に取り付けなければならないが、本実施形態では、移動通路の傾斜方向を意識することなく容易にチェックバルブ38,40をポンプヘッド11に取り付けることができる。したがって、ベローズポンプ10の組立性を向上することができる。
なお、弁体45は、球体によって構成するに限らず、移動通路53の傾斜に沿って移動可能であれば他の形態によって構成してもよい。例えば、弁体45は、円筒体(円柱体)によって構成することができる。
11: ポンプヘッド
13: ベローズ
33: 吸込通路(流路)
34: 吐出通路(流路)
38: 吸込用チェックバルブ
40: 吐出用チェックバルブ
44: キャップ部材
45: 弁体
46: キャップ部材
53: 移動通路
Claims (3)
- 流体の流路が形成されたポンプヘッドと、このポンプヘッドに取り付けられ、その内部が前記流路に連通する水平方向に伸縮自在なベローズと、前記流路に対する一方向への流体の流れを許容し、他方向への流体の流れを阻止するチェックバルブと、を備えているベローズポンプであって、
前記チェックバルブは、前記ポンプヘッド内に収容されるとともに、自重によって閉弁方向へ移動可能な弁体と、前記ポンプヘッドに取り付けられるとともに、前記弁体が前記ポンプヘッド内から離脱するのを阻止するキャップ部材と、を備えており、
前記ポンプヘッドには、前記弁体が移動可能に収容されるとともに、閉弁のための前記弁体の移動方向が低位となるように水平方向に対して傾斜した移動通路が形成されていることを特徴とするベローズポンプ。 - 前記弁体が、前記移動通路に沿って転動可能な球体である請求項1に記載のベローズポンプ。
- 前記弁体が、前記移動通路に沿って転動可能な円柱体である請求項1に記載のベローズポンプ。
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