以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。第1実施形態の道路用照明装置(以下、単に「照明装置」と省略する)S1は、図1〜3に示すように、内照式の道路標識1の下方に配置されている。この照明装置S1は、後述する標識本体2における周壁部3の下壁4(底壁)を構成する取付壁部と、取付壁部(下壁4)の下面側に取り付けられる道路照明部32と、を備えてなる。換言すれば、道路標識1は、照明装置S1を有するもので、内照式の標識本体2と、標識本体2の下部側に配置される道路照明部32と、を備えてなる。第1実施形態の照明装置S1を有した道路標識1は、図13〜16に示すように、横断歩道Wや自転車横断帯Bが設置される道路Rにおいて、横断歩道W,自転車横断帯Bの近傍となる位置(図例では、横断歩道Wの手前に設置される停止線SLの直上)に設置されて、照明装置S1により横断歩道Wや自転車横断帯Bを照射する構成である。そして、第1実施形態の照明装置S1を有した道路標識1は、夜間に、標識本体2を点灯させて、車を運転する運転者に標識本体2を認識させるとともに、照明装置S1の道路照明部32を点灯させて、横断歩道W,自転車横断帯Bを照射させる構成である。
なお、実施形態では、特に断らない限り、上下、前後、左右の方向を、照明装置S1を有した道路標識1を道路Rに設置した状態で、鉛直方向に沿う方向を上下方向とし、標識本体2の底壁(周壁部3の下壁4であって、道路照明部32を取り付ける取付壁部)に沿う方向を左右方向とし、道路を走行する自動車の進行方向に沿った方向を前後方向とし、路肩側を左方として説明をする。
標識本体2は、外形形状を、「道路標識、区画線及び道路標識に関する命令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)」の別表第2に示された規格「407−A」、「407の2」、「407の3」における五角形の各寸法を、1.5倍した大きさに設定されている。標識本体2は、正面視における各寸法L1,L2,L3(図1参照)を、L1=90cm、L2=30cm、L3=90cmに設定され、厚さ寸法T1(図5参照)を、20cmに設定されている。
標識本体2は、図1,3に示すように、遮光性を有する材料から形成される断面略五角筒形状の周壁部3と、周壁部3の前面側の開口を閉塞する略五角形状の前壁部8と、周壁部3の後面側の開口を閉塞する略五角形状の後壁部12と、を備えて構成されている。周壁部3は、金属製とされるもので、実施形態の場合、アルミニウム製とされている。詳細には、周壁部3は、標識本体2の底面を構成する下壁4と、下壁4の左右両端から鉛直上方に延びるように形成される2つの側下壁5,5と、各側下壁5,5の上端から相互に接近するように傾斜して延びて先端相互を連結される2つの側上壁6,6と、を備えて、左右対称形として構成されている。下壁4は、道路照明部32を取り付ける取付壁部を構成するもので、水平方向に略沿って設置される略板状とされ、上面側に、道路照明部32を取り付ける取付ボルト73を締結させるためのブラインドナット4aを備えている。なお、実施形態の場合、周壁部3は、図7に示すように2重構造とされている。また、標識本体2における周壁部3の外周面には、連結環29が配置されている。実施形態の場合、連結環29は、図1に示すように、周壁部3における左側に配置される側下壁5から左方に突出するように配置されて、道路標識1を、道路Rの脇(路肩)に配置される柱Pに連結させるためのものである。
前壁部8は、周壁部3に対応して略五角形状とされる金属製(アルミニウム製)の枠体9と、枠体9の開口部を閉塞する略五角形状の表示板10と、を備えている。また、後壁部12も、前壁部8と同様に、枠体13と表示板14とを備えている。各枠体9,13は、断面略L字形の部材を曲げ加工して形成されるもので、各表示板10,14を支持可能に、周壁部3から連なるように配置される(図3参照)。各表示板10,14は、透光性を有した合成樹脂製の板状物から構成されるもので、規格で定められた色及び図柄を施されている。また、前壁部8,後壁部12には、各表示板10,14の外周縁と枠体9,13との間の隙間を埋めて、標識本体2内の気密性を向上させるためのシール部材16が、各表示板10,14の外周縁の全周にわたって設けられている(図3参照)。
そして、前壁部8及び後壁部12は、周壁部3における下壁4の領域において、下壁4の長手方向(左右方向)に沿って複数配置される蝶番18により、周壁部3に対して開閉可能に連結されている。実施形態の場合、蝶番18は、左右両端付近と、左右の中央付近と、の3箇所ずつとなる計6箇所に、配置されている(図1,2参照)。また、周壁部3における各側上壁6,6には、図1に示すように、前壁部8及び後壁部12を連結させるための複数(実施形態の場合、2個ずつ)の止め具19が、配置されており、前壁部8及び後壁部12は、この止め具19を利用して、周壁部3の開口を閉塞するように閉じられて、標識本体2内を密封させた状態で設置されることとなる。
また、標識本体2は、周壁部3の内周面に、図3,7に示すように、照明としてのLEDユニット21と、LEDユニット21におけるLED23から照射される光を反射させる光反射材としての光反射シート25と、を配設させることにより、内照式とされている。LEDユニット21は、長尺状のLED基板22に、長手方向に沿って多数のLED23を配置させた構成とされるもので、実施形態の場合、周壁部3の内周面に、周壁部3の周方向に沿って複数個配置されている。各LEDユニット21は、LED基板22の長手方向を周壁部3の周方向に略沿わせるようにして、周壁部3における前後の略中央となる位置に、配置されている。実施形態の場合、LEDユニット21は、周壁部3における下壁4と、各側上壁6,6と、の3箇所に、配置されている。光反射材としての光反射シート25は、周壁部3におけるLEDユニット21を除いた領域の内周面側を略全域にわたって覆うように配置されている。LEDユニット21に使用されるLED23としては、標識本体2の認識に充分な照度を得るために、初期特性における光束が20lm(lm:ルーメン)以上に設定されるものを使用することが望ましい。さらに、初期特性における光束を20〜25lmの範囲内に設定されたLEDを使用すれば、標識本体2の認識に充分な照度を得ることができ、かつ、消費電力量の増加を抑制することが可能となって、好ましい。実施形態では、LED23としては、指向角120°の白色系高出力LED(具体的には、日亜化学工業株式会社製の白色チップタイプLED「NSSW123B」)を使用している。光反射シート25としては、実施形態の場合、具体的には、住友スリーエム社製の「3M(登録商標) スコッチカル(登録商標) ライトエンハンスメントフィルム」を使用している。
また、標識本体2の内部における下端近傍には、2つの道路照明部32(32L,32R)にそれぞれDC44Vの電流を供給するための外照用電源部27,27と、各LEDユニットのLED23にDC12Vの電流を供給するための内照用電源部28と、が、配設されている(図3参照)。各外照用電源部27,27は、周壁部3における各側下壁5,5の下端近傍に取り付けられ、内照用電源部28は、周壁部3の下壁4に取り付けられている。なお、各外照用電源部27,27及び内照用電源部28は、いずれも、外部の交流電源に接続されて、交流を直流に変換するものである。
照明装置S1を構成する道路照明部32は、図1〜7に示すように、標識本体2の下方において、全体を標識本体2の下方に突出させるように配置されるもので、実施形態の場合、左右方向に沿って2個配置されている。この道路照明部32(32L,32R)は、標識本体2の底壁(周壁部3の下壁4、取付壁部)に沿うように、左右方向側を幅広として前後方向側を狭幅とした長尺状(略直方体状)とされるもので、左右方向の中央付近に配置される上下方向に略沿った軸心C1を中心として、水平面に沿って回動可能で、かつ、前後方向の中央付近に配置される左右方向に略沿った軸心C2を中心として、前後方向に沿って回動可能に、標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)に取り付けられている。実施形態では、特に断らない限り、道路照明部32を、水平方向側にも前後方向側にも回動されず、長手方向を左右方向に略沿わせるように配置された非回動の状態として、詳細に説明する。
各道路照明部32(32L,32R)は、図4〜9に示すように、道路照明部32を標識本体2の下壁4(取付壁部)に取り付ける取付ブラケット55と、左右方向に沿って複数並設されるLED光源としてのLEDユニット34を備えた照明本体33と、照明本体33を保持して取付ブラケット55に連結させる連結部材63と、照明本体33の前方側と後方側とを覆う2枚のカバー板70と、を備える構成とされている。
照明本体33は、図10〜12に示すように、LEDユニット34と、LEDユニット34を取り付けるハウジング42と、LEDユニット34の下方を覆うカバー部52と、を備えている。
LEDユニット34は、実施形態の場合、左右方向に沿って3個並設されるもので、それぞれ、LED35と、LED基板36と、LED35を覆うガラス製のレンズ部37と、を備えている。レンズ部37は、LED35の下方を覆うレンズ本体38と、レンズ本体38の外周縁から全周にわたって延びるように形成される平板状の取付片39と、を備える構成とされている。レンズ本体38は、内面及び外面のいずれも下方に向けて凸状(すなわち、LED35側に凹状)とされたメニスカスレンズであり、LED35から発射された光を広角に広げて配光させることができる。また、実施形態では、レンズ本体38は、平面視において、前後方向の幅寸法を左右方向の幅寸法より大きく設定された長円状とされており(図12参照)、LED35の点灯時には、道路照明部32は、図13のAに示すように、路面を、長軸を前後方向に略沿わせるような前後に長い略長円状の照射範囲Aで、照射することとなる。なお、図13において、実線で示す照射範囲は、左側の道路照明部32Lによる照射範囲であり、破線で示す照射範囲は、右側の道路照明部32Rによる照射範囲である。実施形態のLEDユニット34で使用されるLED35は、クリー社製のもので、順電圧DC44V、順電流400mA、光束1130lm、中心光度1000cd、消費電力17.6W、照射角(ビーム角2θ1/2)を90×40°の広角に設定された高出力LEDである。なお、LEDとしては、広角のものに限らず、照射角を54×20°に設定された中角のものや、照射角を30×15°に設定された狭角のもの、あるいは、照射角を140×60°に設定された超広角のものも使用することができるが、横断歩道Wを的確に照射する点からは、広角のものを使用することが好ましい。
そして、各LEDユニット34は、LED35を取り付けた状態のLED基板36と、レンズ部37の取付片39と、を、レンズ本体38の左右両側に配置されるビス(図符号省略)を利用して、ハウジング42に連結させることにより、一体化された状態で、ハウジング42に取り付けられる。また、実施形態のLEDユニット34は、レンズ本体38を下方に突出可能な開口(図符号省略)を有した合成樹脂製の基板カバー40により、LED基板36の下面側と側方とを略全域にわたって覆われている(図10,11参照)。
ハウジング42は、長手方向を左右方向に略沿わせた略長方形板状とされて、水平面(標識本体2の下壁4、取付壁部)に略沿うように配置されるもので、上面側に、上方に突出する多数の放熱フィン44を有している。この放熱フィン44は、各LED基板36で発生した熱を外部に放出するためのものである。ハウジング42は、左右両端側に、水平方向に略沿って突出する取付片43,43を有しており、この取付片43を、取付ボルト77を使用して、連結部材63の後述する連結片66に連結させることにより、連結部材63に連結される構成である(図7参照)。また、ハウジング42には、図10に示すように、略筒状の通気部45が、上方に突出するように、形成されている。実施形態の場合、通気部45は、ハウジング42の右端側に、形成されている。この通気部45は、ハウジング42を貫通するように構成されるもので、先端側(上端側)の開口を、キャップ48により、閉塞されている。通気部45の先端側の開口を閉塞するキャップ48は、略円柱状とされて通気部45の先端側を嵌合可能な凹溝を有するパッキン49と、パッキン49の下面側を除いた上面と側面とを略全周にわたって覆う合成樹脂製のカバー材50と、の二重構造とされている。パッキン49は、通気性を有して、かつ、防水性を付与されたゴアテックス〈登録商標〉製とされ、カバー材50は通気性を備えない構成とされている。すなわち、キャップ48は、パッキン49におけるカバー材50と通気部45との間の部位から水蒸気を外部に逃がし可能とされている。そのため、実施形態では、内外の温度差により、照明本体33内(ハウジング42とカバー部52とに囲まれる領域)に発生する水蒸気を、通気部45から外部に放出させることができて、カバー部52が曇ることを抑制できる。また、ハウジング42には、図11に示すように、各LED基板36から延びる電線41を挿通可能な挿通孔46が、形成されている。挿通孔46は、実施形態の場合、ハウジング42の左端側に、形成されている。この挿通孔46は、電線41を挿通可能な貫通孔(図符号省略)を有した合成樹脂製の閉塞部材51により、閉塞される構成であり、貫通孔を経て外部に突出している電線41は、標識本体2内の外照用電源部27に接続される。
カバー部52は、透明なポリカーボネートから形成されるもので、LEDユニット34の下方を全面にわたって覆い可能な略半円筒状とされている。カバー部52は、上縁側に、水平面に略沿って全周にわたって外方に突出するフランジ部52aを有し、このフランジ部52aの部位で、図示しない連結手段等を用いてハウジング42に連結されている。また、フランジ部52aとハウジング42との間には、照明本体33内の気密性を向上させるシール材(図符号省略)が、全周にわたって配置されている(図10,11参照)。
取付ブラケット55は、板金製(実施形態の場合、アルミニウム製)として、図8〜10に示すように、照明本体33の上方を覆う上壁部56と、照明本体33の左右方向の両端側を覆うように上壁部56の左右の両端から下方に延びる側壁部59,59と、を備える構成とされている。
上壁部56は、長手方向を左右方向に略沿わせた略長方形板状とされるもので、前後方向の幅寸法W1を、照明本体33の前後方向の幅寸法W2より大きく設定されている(図6参照)。実施形態の場合、上壁部56は、前後方向の幅寸法W1を、照明本体33の前後方向の幅寸法W2の1.8倍程度に設定されている。また、この上壁部56は、前後方向の幅寸法W1を、標識本体2における周壁部3(下壁4、取付壁部)の幅寸法W3(図6参照)より小さく設定されている。さらに、上壁部56の前後左右の中央付近には、照明本体33から延びる電線41を挿通させるための円形に開口した挿通孔56aが、形成されている。実施形態の場合、挿通孔56aは、内径寸法を、上壁部56の前後方向の幅寸法の2/5程度とするように大きく開口して形成されている。
この上壁部56は、挿通孔56aの左右において上方に突出するように配置される2本の取付ボルト73,73を、標識本体2における下壁4(取付壁部)の上面に固着されるブラインドナット4a(図7参照)に締結させることにより、標識本体2の下壁4(取付壁部)に取り付けられる構成である。この2本の取付ボルト73,73は、上壁部56の前後の略中央において、上壁部56を左右で略3等分するような位置に配置される構成である(図7参照)。また、上壁部56における挿通孔56aの周囲には、各取付ボルト73を挿通可能とされるとともに、道路照明部32を水平面に沿って回動させる際のガイドとなる2つの略円弧状の案内溝部58,58が、形成されている(図8参照)。実施形態の場合、道路照明部32は、前後左右の中央付近に配置される上下方向に略沿った軸心C1(上壁部56における挿通孔56aの中心)を中心として、平面視で時計回り方向(底面側から見て半時計回り方向)に略90°の範囲で回動可能な構成とされるもので、各案内溝部58は、中心を挿通孔56aの中心(回動時の軸心C1)と一致させた略1/4円弧状として、挿通孔56aの右前方と左後方とに形成されている。すなわち、非回動状態では、図8に示すように、各取付ボルト73は、各案内溝部58の一端側に配置されることとなり、各案内溝部58は、各取付ボルト73から左斜め前方あるいは右斜め後方に向かって延びるように、形成されている。なお、取付ブラケット55を取り付ける下壁4にも、挿通孔56aと対応した位置に、電線41を挿通可能な貫通孔(図符号省略)が、形成されている(図7参照)。
そして、実施形態の道路照明部32では、取付ブラケット55から上方に突出する取付ボルト73を、下壁4に固着されるブラインドナット4aに、若干緩められて締結された状態で、取付ブラケット55を水平面に沿って回動させることができる。詳細には、各取付ボルト73をブラインドナット4aに対して若干緩められて締結された状態で、照明本体33を取り付けた状態の取付ブラケット55全体を、各取付ボルト73を挿通させた案内溝部58にガイドされるようにして、水平面に沿って回動させれば、道路照明部32を、図6の二点鎖線及び図14〜16に示すように、周壁部3の下壁4(取付壁部)に対して水平面に沿って回動させることができる。そして、道路照明部32の水平面に沿った回動後に、取付ボルト73をブラインドナット4aに強固に締結させれば、道路照明部32を、水平面に沿った回動状態を維持された状態で、周壁部3の下壁4(取付壁部)に取り付けることができて、標識本体2に取り付けることができる。
各側壁部59は、前後方向の幅寸法W4(図5参照)を、上壁部56の前後方向の幅寸法W1より小さく設定されるとともに、前後の中央を上壁部56の前後の中央と一致させるようにして、上壁部56の左右の端部から下方に延びるように、形成されている。実施形態の場合、側壁部59は、前後方向の幅寸法W4を、上壁部56の前後方向の幅寸法W1の3/5程度に設定されている。また、側壁部59は、前後方向の幅寸法W4を、照明本体33の前後方向の幅寸法W2より大きく設定され、かつ、下端59aを、連結部材63を介して照明本体33を連結させた状態で、照明本体33の下端(カバー部52)より下方に位置させて、照明本体33の左右の側方を全域にわたって覆い可能な構成とされている(図4,7参照)。
各側壁部59は、図8に示すように、上下前後の中央よりやや上方となる位置と、その直上と、の2箇所で、取付ボルト74と案内ボルト75とを用いて、照明本体33を連結させた連結部材63を、連結させる構成とされている。すなわち、側壁部59は、内方に向かって突出させた取付ボルト74と案内ボルト75とを、連結部材63における後述する側壁部65に形成されるブラインドナット65a,65bに、それぞれ、締結させることにより、照明本体33を連結させた連結部材63を取り付ける構成である。下側の取付ボルト73を挿通させるための取付孔60は、図9に示すように、各側壁部59の上下前後の中央よりやや上方となる位置において、略円形に開口して形成されている。各側壁部59における取付孔60の上方には、案内ボルト75を挿通可能とされるとともに、道路照明部32の照明本体33を前後方向に沿って回動させる際のガイドとなる案内溝部61が、形成されている。実施形態の場合、照明本体33は、連結部材63とともに、取付ブラケット55に対して、上下前後の中央付近に配置される左右方向に略沿った軸心C2(取付ボルト74)を中心として、側面視で前方と後方とにそれぞれ略45°ずつの範囲で回動可能な構成とされるもので、各案内溝部61は、中心を取付ボルト74(取付孔60の中心であって、回動時の軸心C2)と一致させた略1/4円弧状として、取付孔60の上方に形成されている。すなわち、非回動状態では、ブラインドナット65aに締結される案内ボルト75は、図5に示すように、案内溝部61の前後の略中央に配置されることとなり、案内溝部61は、案内ボルト75から前後に向かって延びるように、形成されている。
そして、実施形態の道路照明部32では、側壁部59から内側に突出する取付ボルト74を連結部材63の側壁部65に設けられるブラインドナット65bに強固に締結させるとともに、案内ボルト75を、連結部材63の側壁部65に設けられるブラインドナット65aに、若干緩められて締結させた状態で、照明本体33を連結させた連結部材63を前後方向に沿って回動させることができる。詳細には、各案内ボルト75をブラインドナット65aに対して若干緩めた状態で、照明本体33を連結させた状態の連結部材63を、案内ボルト75を挿通させた案内溝部61にガイドされるようにして、取付ボルト74,74(軸心C2)を中心として前後方向に沿って回動させれば、図5の二点鎖線、図13のB,14のB,15のB、及び、図16に示すように、照明本体33を、標識本体2に対して前後方向に沿って回動させることができる。そして、照明本体33の前後方向に沿った回動後に、案内ボルト75をブラインドナット65aに強固に締結させれば、前後方向に沿った回動状態を維持された状態で、照明本体33を取付ブラケット55に取り付けることができる。なお、実施形態の場合、案内ボルト75としては、締結作業が容易なように、頭部を蝶型とした蝶ボルトが使用されている。
連結部材63は、取付ブラケット55と同様に、板金製(実施形態の場合、アルミニウム製)とされるもので、図7〜9に示すように、照明本体33の上方を覆う上壁部64と、上壁部64の左右の両端から下方に延びる側壁部65,65と、上壁部64の前後の両端から下方に延びる前壁部67,後壁部68と、を備える構成とされている。連結部材63は、左右方向の幅寸法を、各側壁部65の外周面を、取付ブラケット55の各側壁部59の内周面に当接可能とするように設定されている。また、連結部材63の前後方向の幅寸法W5(図9参照)は、取付ブラケット55における側壁部59の前後方向の幅寸法W4よりも、カバー板70,70の板厚分小さく設定されている。
上壁部64は、照明本体33の上方を覆うように、照明本体33と取付ブラケット55の上壁部56との間に配置されるもので、照明本体33との間と、上壁部56との間と、に、それぞれ、隙間を設けるように、配置されている(図7参照)。上壁部56における前後左右の略中央には、照明本体33から延びる電線41を挿通させるための挿通孔64aが、円形に開口して形成されている。
側壁部65,65は、それぞれ、照明本体33における放熱フィン44の左右の側方を覆うように構成されるもので、先端側に、左右の内側に突出して、照明本体33におけるハウジング42の取付片43を連結可能な連結片66を、有している。連結片66は、下面を取付片43の上面に当接可能に構成され、連結片66の上面側には、ハウジング42の取付片43を取り付けるための取付ボルト77を締結可能なブラインドナット66aが、固着されている(図7参照)。また、各側壁部65の内側面における前後の略中央には、取付ブラケット55と連結部材63とを連結させるための取付ボルト74,案内ボルト75を、それぞれ締結可能なブラインドナット65a,65bが、固着されている。前壁部67,後壁部68は、それぞれ、照明本体33における放熱フィン44の前後の側方における上側の領域を覆うように、実施形態の場合、上下方向の幅寸法を、側壁部65の上下方向の幅寸法の1/2程度に設定されている。また、前壁部67,後壁部68の左右の両端付近の内側面には、カバー板70を連結部材63に取り付けるための取付ボルト78を締結可能なブラインドナット67a,68aが、固着されている。
各カバー板70は、板金製(実施形態の場合、アルミニウム製)として、左右に幅広の長方形板状とされている。各カバー板70は、左右方向の幅寸法を、取付ブラケット55の側壁部59,59間において、照明本体33の前後両側を略隙間なく覆い可能な寸法に設定されている。このカバー板70は、外周面を、各側壁部59,59の前縁若しくは後縁と略面一として、配置されている。また、各カバー板70は、左右両端側の上端付近に、連結部材63の前壁部67,後壁部68に取り付けるための取付ボルト78を挿通可能な挿通孔71,71を有している。各挿通孔71は、上下方向に沿って長尺の長穴状とされており、カバー板70は、連結部材63に対して上下にスライド可能に取り付けられる構成である(図4の二点鎖線参照)。そして、カバー板70は、上下方向の幅寸法を、取付ボルト78を挿通孔71の下縁に当接させるように上方にスライドさせて連結部材63に取り付けた状態では、下端70aを、取付ブラケット55における側壁部59の下端59aより上方に位置させ(図4の二点鎖線参照)、取付ボルト78を挿通孔71の上縁に当接させるように下方にスライドさせて連結部材63に取り付けた状態では、下端70aを、側壁部59の下端59aよりも下方に突出させるような寸法に、設定されている。また、カバー板70は、下方にスライドさせて連結部材63に取り付けた状態では、上縁を連結部材63における上壁部64の上面と略面一とするように、構成されている(図4参照)。カバー板70の下端70a側の側壁部59からの下方への突出量は、道路設置時において、照明本体33とカバー板70とを連結させた連結部材63を、取付ブラケット55に対して前後に回動させた状態で、設置した状態においても、車を運転している運転者が標識本体2を視認した際に、道路照明部32から照射される光が、運転者の視界に入ることを極力抑制可能な寸法に、設定されている。
第1実施形態の照明装置S1を有した道路標識1は、実施形態の場合、図16に示すように、横断歩道Wや自転車横断帯Bが設置される道路Rにおいて、横断歩道W,自転車横断帯Bの近傍(具体的には、横断歩道W,自転車横断帯Bの手前に形成される停止線SLの側方の路肩近傍)に設置される柱Pに連結されて、停止線SLの直上となる位置に、配置される。また、この道路Rへの設置時に、照明装置S1を構成する各道路照明部32L,32Rを、照射範囲を考慮して、標識本体2に対して回動させた状態で、標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)に固定させる。そして、夜間、外部の電源から内照用電源部28を介して、電流が標識本体2のLEDユニット21に流れ、各LED23を点灯させて、標識本体2の内側から表示板10,14を照射させることとなる。また、同時に、外部の電源から外照用電源部27を介して、電流が道路照明部32L,32Rの照明本体33のLEDユニット34に流れ、各LED35を点灯させて、照明装置S1の道路照明部32L,32Rが、横断歩道W,自転車横断帯Bを照射することとなる。なお、道路標識1には、昼夜判別回路を設けて、夜間のみに各LED23,35を点灯させたり、さらに、人感知センサを設けて、夜間に人の存在を検出したときのみに各LED23,35を点灯させる構成としてもよい。
そして、第1実施形態の照明装置S1では、左右方向側を幅広とした長尺状(略直方体状)の道路照明部32が、左右方向の中央付近に配置される上下方向に略沿った軸心C1(取付ブラケット55における上壁部56の挿通孔56aの中心軸)を中心として、水平面に沿って回動可能で、かつ、前後方向の中央付近に配置される左右方向に略沿った軸心C2(連結部材63を取付ブラケット55に取り付ける取付ボルト74)を中心として、前後方向に沿って回動可能とするように、標識本体2における周壁部3の下壁4(水平方向に略沿って設置される取付壁部)に取り付けられている。すなわち、道路照明部32は、幅広の左右方向の両端側を大きく移動させるように回動させる構成であっても、水平面(取付壁部)に沿うような回動であることから、周壁部3の下壁4(取付壁部)から離れるような移動をせず、周壁部3の下壁4(取付壁部)からの突出量を略一定とすることができる。そのため、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32の周壁部3の下壁4(取付壁部)からの突出量変化を考慮して、道路標識1自体を、高いところに設置しなくともよい。
また、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32が、長手方向を左右方向に対して交差させるように、水平面に沿って大きく回動させることができることから、路面を照射する照射範囲を大きく変化させることができる。詳細に説明すれば、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32は、平面視における時計回り方向(底面側から見て反時計回り方向)に略90°の範囲で、水平面に沿って回動可能に、標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)に取り付けられている。そのため、道路照明部32を水平面に沿って回動させることにより、図13のA,14のA,15のAに示すように、照射範囲Aを、大きく変化させることができる。具体的には、第1実施形態の道路照明部32は、水平面に沿った非回動状態において、図13のAに示すように、路面を、長軸を前後方向に略沿わせるような前後に長い略長円状の照射範囲Aで、照射することとなる。そして、道路照明部32は、右端側を後方に向けるように水平面に沿って回動角度α2:45°で回動させれば、図14のAに示すように、右端を前方に向け左端を後方に向けるように、長軸を傾斜させた略長円状の照射範囲A1で、路面を照射することとなり、さらに、道路照明部32は、右端側をさらに後方に向けるように水平面に沿って回動角度α2:90°で回動させれば、図15のAに示すように、長軸を左右方向に略沿わせるような左右に長い略長円状の照射範囲A2で、路面を照射することとなる。すなわち、実施形態では、道路照明部32の水平面に沿った回動角度を変化させることにより、路面の照射範囲A(A1,A2)の長軸の傾斜を変化させることが可能である。
さらに、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32の照明本体33が、前後方向に沿って回動可能に構成されていることから、照射範囲の前後の位置を大きく変化させることができる。詳細に説明すれば、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32の照明本体33は、道路照明部32を取付壁部(標識本体2における周壁部3の下壁4)に取り付ける取付ブラケット55に対して、前後にそれぞれ略45°の範囲で前後方向に沿って回動可能とされている。そのため、道路照明部32の照明本体33を前後方向に沿って回動させることにより、図13のBに示すように、照射範囲Aを、前後に大きく変化させることができる。具体的には、実施形態の道路照明部32の照明本体33は、前後方向に沿った非回動状態では、図13のAに示すように、前後の中心を標識本体2(取付壁部)と一致させるような略長円状の照射範囲Aで、路面を照射することとなる。そして、道路照明部32の照明本体33は、前方側に回動角度β1:45°で回動させれば、図13のBに示すように、中心を、標識本体2(周壁部3の下壁4、取付壁部)の前方に位置する横断歩道Wの前縁付近に位置させるように、前方にずらした略長円状の照射範囲A3で、路面を照射することとなる。すなわち、実施形態では、道路照明部32(照明本体33)の前後方向に沿った回動角度を変化させることにより、路面の照射範囲A(A3)の位置を前後方向側(照明本体33の短手方向側)で変化させることが可能である。
そのため、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32を、長手方向を左右方向に対して交差させるように、水平面に沿って大きく回動させることにより、路面の照射範囲Aの長軸の傾斜を変化させることができ、かつ、道路照明部32(照明本体33)を、前後方向(照明本体33の短手方向)に沿って回動させることにより、路面の照射範囲Aの位置を前後で変化させることが可能であることから、水平方向に沿った回動角度と前後方向に沿った回動角度とを調整することにより、図14のB,15のBに示すごとく、照射範囲A4,A5を容易に変化させることができる。図14のBに示す照射範囲A4は、水平面に対して回動角度α1:45°で回動させた状態の道路照明部32の照明本体33を、前方側に回動角度β1:45°で回動させた状態の照射範囲であり、図15のBに示す照射範囲A5は、水平面に対して回動角度α2:90°で回動させた状態の道路照明部32の照明本体33を、前方側に回動角度β1:45°で回動させた状態の照射範囲である。その結果、第1実施形態の照明装置S1では、設置位置に係らず、設置する道路に応じて、照射範囲を容易に変更することができ、かつ、照射範囲を微細に調整することができる。その結果、道路照明部32により、横断歩道Wや自転車横断帯Bを的確に照射することができる。なお、図13〜15において、実線で示す照射範囲は、左側の道路照明部32Lによる照射範囲であり、破線で示す照射範囲は、右側の道路照明部32Rによる照射範囲である。図13〜15に示すように、各道路照明部32L,32Rの角度を同一に設定すれば、両者の照射範囲は殆ど重なって配置されることとなる。
したがって、第1実施形態の照明装置S1では、回動時の道路照明部32の標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)からの突出量を略一定にすることができて、かつ、道路照明部32により横断歩道Wや自転車横断帯Bを的確に照射することができる。
実施形態では、具体的には、道路照明部32を、道路照明部32を標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)に取り付ける取付ブラケット55と、LED光源(LEDユニット34)を備えた照明本体33と、照明本体33を取付ブラケット55に連結させる連結部材63と、を備える構成としている。そして、取付ブラケット55を、照明本体33の上方を覆う上壁部56と、照明本体33の左右方向の両端側を覆うように上壁部56の両端から下方に延びる側壁部59,59と、を備える構成として、上壁部56の部位で、水平方向で回動可能に、下壁4(取付壁部)に取り付ける構成とし、連結部材63を、照明本体33の上面側を取付可能な略平板状として、左右方向の両端側を、取付ブラケット55における側壁部59,59に、前後方向に沿って回動可能に取り付けている。
そのため、第1実施形態の照明装置S1では、連結部材63を介して照明本体33を連結させた取付ブラケット55を、軸心C1を中心として、標識本体2における周壁部3の下壁4(取付壁部)に対して回動させることにより、道路照明部32を水平面に沿って回動させることができ、また、照明本体33を保持させた連結部材63を、軸心C2を中心として、取付ブラケット55に対して回動させることにより、道路照明部32を前後方向に沿って回動させることができる。すなわち、第1実施形態の照明装置S1では、それぞれ別の部材を利用して、道路照明部32を、水平面に沿って回動させ、かつ、前後方向に沿って回動させることができることから、一方の回動作業が他方の回動作業の影響を受けず、それぞれの回動角度の調整が容易となって、道路照明部32の位置決めが容易となる。勿論、このような点を考慮しなければ、1つの部材を用いて道路照明部を取付壁部に取り付け、この1つの部材により、道路照明部を取付壁部に対して水平方向で回動可能で、かつ、前後方向で回動可能とするように構成してもよい。
さらにまた、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32に、照明本体33の短手方向の前方側と後方側とを覆い可能なカバー板70,70を、配置させている。そのため、道路設置時において、車を運転している運転者が、照明装置S1の上方に配置される標識本体2を視認した際に、道路照明部32から照射される光が、運転者の視界に入ることを抑制することができる。また、予めカバー板70,70を取り付けた状態で運搬する場合、カバー板70と取付ブラケット55の側壁部59とによって、照明本体33の周囲を、下方を除いて、略全周にわたって覆うことができることから、運搬時に、カバー板70と取付ブラケット55とによって、照明本体33を保護することも可能となる。勿論、このような点を考慮しなければ、道路照明部に、カバー板を配置させない構成としてもよい。
さらにまた、第1実施形態の照明装置S1では、カバー板70を、下端70aを取付ブラケット55における側壁部59の下端59aよりも突出可能に構成するとともに、連結部材63に対して、上下にスライド可能に取り付ける構成とされている。そのため、カバー板70が、下端70aを取付ブラケット55の側壁部59よりも下方に突出させるようにして道路に設置される構成であっても、道路設置前の運搬時には、上方にスライドさせて、カバー板70の下端70aを側壁部59より突出させない状態として、運搬できることから、運搬時の取扱作業性が良好となる。勿論、このような点を考慮しなければ、カバー板を連結部材に対して上下にスライド可能に取り付けなくともよく、カバー板の下端が取付ブラケットの側壁部よりも下方に突出した状態で、運搬する構成としてもよい。また、実施形態では、カバー板70を、下端70aを取付ブラケット55の側壁部59の下端59aよりも突出させる構成としていることから、カバー板70により、照明本体33の前後両側を上下に広く覆うことができる。そのため、照明本体33を前後方向に沿って回動させた状態で設置した場合にも、照明本体33から照射される光が、車を運転している運転者の視界に入ることを極力抑制することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、カバー板を、下端を取付ブラケットの側壁部の下端と略一致させて、側壁部よりも下方に突出させないような大きさに設定してもよい。
さらにまた、第1実施形態の照明装置S1では、道路照明部32L,32Rを、左右方向に沿って2個配置させる構成としていることから、これら2つの道路照明部32L,32Rを、それぞれ、角度を変えて設置することにより、道路Rにおける横断歩道Wや自転車横断帯Bを、広い範囲にわたって照射することができる。
図16に、第1実施形態の照明装置S1を有した道路標識1と、この道路標識1を設置する道路Rの具体例を示す。図16の道路Rは、全体の幅RW1を10370mmに設定される片側一車線の道路であり、横断歩道Wと自転車横断帯Bが並設されている。そして、横断歩道Wの手前に配置される停止線SLの左端上方に、照明装置S1を有する道路標識1が設置されている。図示しないが、路面から道路照明部32L,32Rまでの離隔距離は、5m(5000mm)に設定されている。この道路Rにおいて、道路標識1(照明装置S1)及び停止線SLの前後の中央から横断歩道Wの離隔距離RLは、2275mmに設定されており、横断歩道Wの幅RW2は、3000mmに、自転車横断帯Bの幅RW3は、1950mmに設定されている。また、道路照明部32L,32Rの照明本体33としては、スタンレー電気株式会社製のLEDユニット「LLM0171A」(レンズタイプ:広角)が、使用されている。
この道路Rに使用する場合、照明装置S1において、左側の道路照明部32Lを、水平面に沿って平面視における時計回り方向(底面側から見て反時計回り方向)に回動角度α3:15°で回動させ、鉛直方向に対して前方に回動角度β2:20°で回動させた状態で、標識本体2の下壁4(取付壁部)に取り付けている。そして、右側の道路照明部32Rを、水平面に沿って平面視における時計回り方向(底面側から見て反時計回り方向)に回動角度α4:45°で回動させ、鉛直方向に対して前方に回動角度β3:35°で回動させた状態で、下壁4(取付壁部)に取り付けている。この照明装置S1では、道路照明部32L,32Rの各照明本体33を点灯させた際に、左側の道路照明部32Lは、中心を横断歩道Wの手前側の縁よりやや後方に位置させつつ、右端を前方に向け左端を後方に向けるように、長軸を前後方向に対して僅かに傾斜させた略長円状の照射範囲AL1で、路面を照射することとなり、右側の道路照明部32Rは、中心を、道路照明部32Lの照射範囲AL1より前方にずらし、かつ、照射範囲AL1よりも前後方向に対する傾斜量を大きくして、横断歩道の中央付近に位置する照射範囲AR1で、路面を照射することとなる。すなわち、道路照明部32L,32Rは、相互に重なる領域を有しつつ、前後左右に広い照射範囲AL1,AR1で、路面を照射することとなる。
なお、図16において、四角の内部に記入されている数値は、各部位における路面の照度を、照度計を用いて測定した値(単位:lx)である。この図16に示す道路Rでは、照明装置S1の道路照明部32L,32Rにより、横断歩道Wを略全体にわたって充分な照度で照射でき、かつ、自転車横断帯Bも、中央付近を中心に、充分な照度で照射することができる。そのため、2つの道路照明部32L,32Rを有する照明装置S1を使用すれば、片側の車線のみにこの道路標識1を設置するだけで、横断歩道Wと自転車横断帯Bとを的確に照射することができ、反対側の車線側には、照明装置を設置しなくともよい。勿論、このような点を考慮しなければ、照明装置として、1つの道路照明部のみを備える構成としてもよく、1つの道路照明部を有する照明装置を、両方の車線における横断歩道の近傍に、設置してもよい。
次に、本発明の第2実施形態である照明装置S2について、説明をする。照明装置S2は、図17に示すように、第1実施形態の照明装置S1と同様に、内照式の道路標識1Aの下方に配置されている。この第2実施形態の照明装置S2も、前述の第1実施形態の照明装置S1と同様に、後述する標識本体2Aにおける周壁部3Aの下方の下壁4A(底壁)を構成する取付壁部と、取付壁部(下壁4A)の下面側に取り付けられる道路照明部81と、を備えてなる。換言すれば、道路標識1Aは、照明装置S2を有して、内照式の標識本体2Aと、標識本体2Aの下部側に配置される道路照明部81と、を備えてなる。この標識本体2Aは、前述の第1実施形態の道路標識1における標識本体2と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
照明装置S2を構成する道路照明部81は、図17〜20に示すように、標識本体2Aの下方において、全体を標識本体2Aの下方に突出させるように配置されるもので、左右方向に沿って2個配設されている。この道路照明部81(81L,81R)は、標識本体2Aの底壁(下壁4A、取付壁部)に沿うように、左右方向側を幅広として前後方向側を狭幅とした長尺状(略直方体状)とされる。道路照明部81(81L,81R)は、左右方向の中央付近に配置される上下方向に略沿った軸心C1を中心として、水平面に沿って回動可能であることと、前後方向の中央付近に配置される左右方向に略沿った軸心C2を中心として、前後方向に沿って回動可能であることに加えて、左端付近に配置される前後方向に略沿った軸心C3を中心として、右端を下方に向けるように回動可能に、標識本体2Aにおける周壁部3Aの下壁4A(取付壁部)に取り付けられている。なお、第2実施形態においても、特に断らない限り、道路照明部81を、水平方向側にも前後方向側にも左右方向側にも回動されず、長手方向を左右方向に略沿わせるように配置された非回動の状態として、詳細に説明する。
各道路照明部81(81L,81R)は、図21〜23に示すように、道路照明部81を標識本体2Aの下壁4A(取付壁部)に取り付ける取付ブラケット55Aと、左右方向に沿って複数並設されるLED光源としてのLEDユニット34を備えた照明本体33と、照明本体33を保持して取付ブラケット55Aに連結される連結部材83と、照明本体33の前方側と後方側とを覆う2枚のカバー板99,99と、を備える構成とされている。照明本体33は、第1実施形態の照明装置S1に使用される照明本体33と同一のものであり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
取付ブラケット55Aは、上壁部56Aにおける左右の幅寸法(側壁部59LA,59RA間の離隔距離)を若干大きく設定されて、上壁部56Aに形成される挿通孔56a及び案内溝部58Aを若干右方にずらして配置させている以外は、第1実施形態の照明装置S1の道路照明部32における取付ブラケット55と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して詳細な説明を省略する。詳細には、第2実施形態の照明装置S2では、照明本体33を保持させた連結部材83の保持部材84が、連結環部91に対して、左端付近に配置される軸心C3を中心として右端側を下方に向けるように回動可能とされていることから、取付ブラケット55Aは、回動時の照明本体33及び保持部材84と接触しないように、水平面に沿って回動させる際の軸心C1(上壁部56Aにおける挿通孔56aの軸心)から左側の側壁部59LAまでの距離を、軸心C1から右側の側壁部59RAまでの距離よりも大きくするように、構成されている(図2参照)。換言すれば、取付ブラケット55A単品では、上壁部56Aに形成される挿通孔56a及び案内溝部58Aは、上壁部56Aの左右の中央より右側にずれた位置に、形成されている(図23参照)。また、第2実施形態S2では、取付ブラケット55Aにおける側壁部59LA,59RAには、連結部材83における連結環部91が取り付けられる構成であるが、この側壁部59LA,59RAへの連結環部91の取り付けは、第1実施形態の道路照明部32における側壁部59への連結部材63の取り付けと同様であり、詳細な説明を省略する。
連結部材83は、図21〜23に示すように、照明本体33を保持する保持部材84と、保持部材84と取付ブラケット55Aの間に介在される連結環部91と、を備えて構成されている。保持部材84及び連結環部91は、取付ブラケット55Aと同様に、板金製(実施形態の場合、アルミニウム製)とされている。
保持部材84は、第1実施形態の照明装置S1の道路照明部32における連結部材63と略同様の構成であり、照明本体33の上方を覆う上壁部85と、上壁部85の左右の両端から下方に延びる側壁部86と、上壁部85の前後の両端から下方に延びる前壁部88,後壁部89と、を備えている。この保持部材84は連結環部91内に挿通可能とされるもので、左右方向の幅寸法を、連結環部91との間に隙間を設けるように、連結環部91より小さく設定され、前後方向の幅寸法を、前壁部88,後壁部89の外周面を、それぞれ、連結環部91における前壁部93,後壁部94の内周面に当接可能とするように、設定されている。また、保持部材84は、左右の中央を、取付ブラケット55Aにおける挿通孔56aの中心(軸心C1)と略一致させるように、取付ブラケット55Aに対して、右方に偏った状態で、配置されている(図22参照)。
上壁部85は、照明本体33の上方を覆うように、照明本体33と取付ブラケット55Aの上壁部56Aとの間に配置されるもので、照明本体33との間と、上壁部56Aとの間と、に、それぞれ、隙間を設けるように、配置されている。上壁部85における前後左右の略中央であって、上壁部56Aの挿通孔56aと上下で略一致した位置には、照明本体33から延びる電線41を挿通させるための挿通孔85aが、円形に開口して形成されている。
側壁部86は、それぞれ、照明本体33における放熱フィン44の左右の側方を覆うように構成されるもので、先端側に、左右の内側に突出して、照明本体33におけるハウジング42の取付片43を連結可能な連結片87を、有している。連結片87は、下面を取付片43の上面に当接可能に構成され、上面側に、この取付片43を取り付けるための取付ボルト77を締結可能なブラインドナット87aを、固着させている。
前壁部88,後壁部89は、それぞれ、照明本体33における放熱フィン44の前後の側方における上側の領域を覆うように構成されるもので、上下方向の幅寸法を、側壁部86の上下方向の幅寸法を1/2程度に設定されている。前壁部88,後壁部89の内側面において、上端側における左端近傍と、左右の中央付近と、には、連結環部91と保持部材84とを連結させるための取付ボルト103,案内ボルト104を、それぞれ締結可能なブラインドナット88a,89a,88b,89bが、固着されている。
連結環部91は、上下を開口させた略四角筒状として、保持部材84と取付ブラケット55Aとの間に介在されている。連結環部91は、保持部材84における側壁部86,86の左右の外方を覆う側壁部92と、保持部材84における前壁部88,後壁部89の前後の外方を覆う前壁部93,後壁部94と、を備えるもので、実施形態の場合、上下方向の幅寸法を、保持部材84の上下方向の幅寸法と略一致させて構成されている。連結環部91は、左右方向の幅寸法を、各側壁部92の外周面を取付ブラケット55Aの各側壁部59LA,59RAの内周面に当接可能とするように設定されている。また、連結環部91は、前後方向の幅寸法を、各前壁部93,後壁部94の内周面を保持部材84における各前壁部88,後壁部89の外周面に当接可能として、かつ、取付ブラケット55Aの各側壁部59LA,59RAよりも、カバー板99,99の板厚分小さく設定されている。
側壁部92の内側面における前後の略中央には、取付ブラケット55Aと連結環部91とを連結させるための取付ボルト74,案内ボルト75を、それぞれ締結可能なブラインドナット92a,92bが、固着されている。そして、第2実施形態の道路照明部81においても、取付ボルト74を、連結環部91の側壁部92に形成されるブラインドナット92bに強固に締結させるとともに、案内ボルト75を、側壁部92に形成されるブラインドナット92aに、若干緩められて締結させた状態で、保持部材84を介して照明本体33を連結させた連結環部91を、取付ボルト74を軸心C2として、前後方向に沿って回動させることができる。
前壁部93,後壁部94は、上端側における左右の中央よりやや右方となる位置と、その左方と、2箇所で、取付ボルト103と案内ボルト104とを用いて、照明本体33を保持させた保持部材84を、連結させる構成とされている。すなわち、各前壁部93,後壁部94は、内方に向かって突出させた取付ボルト103と案内ボルト104とを、保持部材84の前壁部88,後壁部89に形成されるブラインドナット88a,89a,88b,89bに、それぞれ、締結させることにより、照明本体33を保持させた保持部材84を取り付ける構成である。左側の取付ボルト103を挿通させるための取付孔95は、各前壁部93,後壁部94において、左端から1/4程度の領域の上端近傍となる位置において、略円形に開口して形成されている。各前壁部93,後壁部94において、取付孔95の右方には、案内ボルト104を挿通可能とされるとともに、道路照明部81の照明本体33を左右方向に沿って回動させる際のガイドとなる案内溝部96が、形成されている(図19,23参照)。実施形態の場合、照明本体33は、保持部材84とともに、連結環部91に対して、左端付近に配置される前後方向に略沿った軸心(取付ボルト103)を中心として、正面視で、下方に略30°の範囲で回動可能な構成とされるもので、案内溝部96は、中心を取付ボルト103(取付孔95の中心であって、回動時の軸心C3)と一致させた略1/6円弧状として、上端側を、取付孔95と左右方向で略一致させつつ、下端側を左方に向けるように、配置されている。また、案内溝部96は、上端側の中心を、軸心C1と前後方向側で略一致させるように、配置されている(図22参照)。非回動状態では、ブラインドナット88a,89aに締結される案内ボルト104は、取付ボルト103と上下の位置を略一致させるようにして、案内溝部96の上端側に配置されることとなり、案内溝部96は、案内ボルト104から左下方に向かって延びるように、形成されている。
そして、実施形態の道路照明部81では、各前壁部93,後壁部94から内側に突出する取付ボルト103を保持部材84の前壁部88,後壁部89に設けられるブラインドナット88a,89aに強固に締結させるとともに、案内溝部96に挿通させた案内ボルト104を、前壁部88,後壁部89に設けられるブラインドナット88b,89bに、若干緩められて締結させた状態で、照明本体33を保持させた保持部材84を、水平面に略沿った状態から、左右方向に沿って下方に回動させることができる。詳細には、各案内ボルト104をブラインドナット88b,89bに対して若干緩めた状態で、照明本体33を保持させた状態の保持部材84を、案内ボルト104を挿通させた案内溝部96にガイドされるようにして、取付ボルト103を軸心C3として、左右方向に沿って回動させれば、図19の二点鎖線に示すように、照明本体33を、右端側を下方に向けるように、標識本体2Aに対して左右方向に沿って回動させることができる。そして、照明本体33の左右方向に沿った回動後に、案内ボルト104をブラインドナット88b,89bに強固に締結させれば、左右方向に沿った回動状態を維持された状態で、照明本体33を取付ブラケット55A(連結部材83)に取り付けることができる。なお、実施形態では、この案内ボルト104にも、案内ボルト75と同様に、締結作業を容易とすることを目的として、頭部を蝶型とした蝶ボルトを使用している。
各カバー板99は、板金製(実施形態の場合、アルミニウム製)として、左右に幅広の長方形板状とされている。各カバー板99は、左右方向の幅寸法を、取付ブラケット55Aの側壁部59LA,59RA間において、照明本体33の前後両側を略隙間なく覆い可能な寸法に設定されるとともに、外周面を、各側壁部59LA,59RAの前縁若しくは後縁と略面一として、配置されている(図19,20参照)。カバー板99における上縁側には、取付ボルト103及び案内ボルト104を迂回するように、上縁側を略長方形状に切り欠くようにして、凹部100が、形成されている(図23参照)。この凹部100は、下方への凹み量を、後述するように下方へスライドさせた状態で、照明本体33を取付ブラケット55Aに対して左右方向に沿って回動させた際にも、下方移動する案内ボルト104を、カバー板99と接触させないような大きさに、設定されている。このカバー板99は、左右両端側の上端付近を、取付ボルト105を利用して、連結環部91に取り付けられている。カバー板99は、左右両端側の上端付近に、上下方向に沿って長尺の長穴状として、取付ボルト105を挿通可能な挿通孔101を、備えており、連結環部91に対して上下にスライド可能に取り付けられる構成である。そして、カバー板99は、取付ボルト105を挿通孔101の下端側に位置させるように、上方にスライドさせて、連結環部91に取り付けられた状態では、上端を、保持部材84における上壁部85の上面と略一致させ、下端を、取付ブラケット55Aにおける各側壁部59LA,59RAの下端よりも下方に突出させている(図19参照)。そして、このカバー板99の上下方向の幅寸法は、カバー板99を、取付ボルト105を挿通孔101の上端側に位置させるように、下方にスライドさせて連結環部91に取り付けられた状態で、案内ボルト104を案内溝部96の下端側に位置させるように、右端を下方に向けるように回動している照明本体33の側方を全域にわたって覆い可能な寸法に、設定されている(図19の二点鎖線参照)。
第2実施形態の照明装置S2を有した道路標識1Aも、第1実施形態の道路標識1と同様に、図24,26に示すように、道路Rにおいて、横断歩道W,自転車横断帯Bの手前に形成される停止線SLの側方の路肩近傍に設置される柱Pに連結されて、停止線SLの直上となる位置に配置されるものである。
この第2実施形態の照明装置S2では、道路照明部81が、上下方向に略沿った軸心C1及び左右方向に略沿った軸心C2に加えて、前後方向に略沿った軸心C3の三方向で、回動させることができることから、照射範囲を一層微細に調整することができる。すなわち、第2実施形態の照明装置S2では、道路照明部81の照明本体33を、左右方向(長手方向)に沿って回動可能に構成していることから、照射範囲の左右(照明本体33の長手方向側)の位置を大きく変化させることができる。詳細に説明すれば、第2実施形態の照明装置S2では、道路照明部81が、後方から見た状態で、右端側を下方に向けるように時計回り方向に略30°の範囲で、左右方向に沿って回動可能に、標識本体2Aにおける周壁部3Aの下壁4A(取付壁部)に取り付けられている。そのため、図24のA,Bに示すように、右端側を後方に向けるように水平面に沿って90°の回動角度で回動させた状態の道路照明部81(照明本体33)を、左右方向(照明本体33の長手方向)に沿って、右端(水平回動時の後端)を下方に向けるように、回動転角度γ1:30°で回動させれば、道路照明部81は、停止線SLの前方に位置する横断歩道W上を照らすように、左右方向に沿った回動前の照射範囲A2から、前方(水平非回動時における左方)にずらした照射範囲A6で、路面を照射することとなる。すなわち、この第2実施形態では、道路照明部81(照明本体33)の左右方向(長手方向)に沿った回動角度を変化させることにより、路面の照射範囲A6(A2)の位置を、左右方向(照明本体33の長手方向及び照射範囲Aの短軸方向であって、水平方向に90°回動させた状態での前後方向)で変化させることが可能である。なお、この図24においても、実線で示す照射範囲は、左側の道路照明部81Lによる照射範囲であり、破線で示す照射範囲は、右側の道路照明部81Rによる照射範囲である。
また、第2実施形態の照明装置S2では、具体的には、道路照明部81は、左端付近に回動時の軸心C3を配置させて、右端側を下方に向けるように左右方向に沿って回動させる構成とされている。そして、第2実施形態の照明装置S2では、照明本体33を取付ブラケットに取り付ける連結部材83を、照明本体33を保持する保持部材84と、保持部材84と取付ブラケット55Aとの間に介在される連結環部91と、の二つの部材から構成し、照明本体33を保持させた保持部材84を連結環部91に対して回動させることにより、道路照明部81を左右方向側で回動させ、保持部材84と連結される連結環部91を取付ブラケット55Aに対して回動させることにより、道路照明部81を前後方向に沿って回動させる構成である。すなわち、第2実施形態の照明装置S2では、道路照明部81を三つの方向で回動させる構成であっても、それぞれ、別の部材を利用して、道路照明部81を、水平面に沿って回動させ、前後方向に沿って回動させると同時に、左右方向に沿って回動させることができることから、一つの回動作業が他の回動作業の影響を受けず、それぞれの回動角度の調整が容易となって、道路照明部81の位置決めが容易である。また、第2実施形態の照明装置S2では、照明本体33を保持させた保持部材84は、左端側に配置される軸心C3を中心として、右端側を下方に向けるように回動可能に、連結環部91に取り付けられる構成であることから、左右方向側への回動時に、上方に向かって移動する保持部材84(照明本体33)の左端側が、取付ブラケット55Aの上壁部56Aに近接するように、連結環部91から大きく上方へ突出することを、抑制できる(図19の二点鎖線参照)。そのため、保持部材84(照明本体33)を右端側を下方に向けるように回動させた状態で、連結環部91を取付ブラケット55Aに対して前後方向側へ回動させる際に、保持部材84が取付ブラケット55Aと干渉することを抑制できて、連結環部91を取付ブラケット55Aに対して自在に前後方向に回動させることができる。
また、第2実施形態の照明装置S2においても、道路照明部81に、照明本体33の短手方向の前方側と後方側と覆い可能なカバー板99,99を、配置させており、このカバー板99,99は、右端を下方に向けるように左右方向に沿って回動させた状態の照明本体33の前方側と後方側とを、全面にわたって覆い可能な構成とされている。そのため、道路設置時において、車を運転している運転者が、照明装置S2の上方に配置される標識本体2Aを視認した際に、道路照明部81から照射される光が、運転者の視界に入ることを抑制できる。
また、第2実施形態の照明装置S2においても、道路照明部81L,81Rを、左右方向に沿って2個配置させていることから、これら2つの道路照明部81L,81Rを、それぞれ、角度を変えて設置することにより、道路Rにおける横断歩道Wや自転車横断帯Bを、広い範囲にわたって照射することができる。
図25,26に、第2実施形態の照明装置S2を有した道路標識1Aと、この道路標識1Aを設置する道路Rの具体例を示す。図26の道路Rは、図16の道路Rと同一であり、道路照明部81L,81Rの照明本体33も、図16の道路照明部32L,32Rに使用される照明本体33と同一のものが使用されている。
図25では、照明装置S2において、左側の道路照明部81Lを、水平面に沿って平面視における時計回り方向(底面側から見て反時計回り方向)に回動角度α2:90°で回動させ、鉛直方向に対して前方(水平回動後の右方)に回動角度β4:25°で回動させ、左右方向(照明本体33の長手方向)に対して左方(水平回動後の前方)に回動角度γ1:30°で回動させた状態で、標識本体2Aの下壁4A(取付壁部)に取り付けている。そして、右側の道路照明部81Rを、水平面に沿って平面視における時計回り方向(底面側から見て反時計回り方向)に回動角度α2:90°で回動させ、鉛直方向に対して前方(水平回動後の右方)に回動角度β1:45°で回動させ、左右方向(照明本体33の長手方向)に対して左方(水平回動後の前方)に回動角度γ1:30°で回動させた状態で、標識本体2Aの下壁4A(取付壁部)に取り付けている。この照明装置S2では、図26に示すように、道路照明部81L,81Rの各照明本体33を点灯させた際に、左側の道路照明部81Lは、中心を横断歩道Wの幅方向の略中央で、かつ、標識本体2Aの前方となる位置に位置させつつ、長軸を左右方向(横断歩道Wの長手方向)に略沿わせた略長円状の照射範囲AL2で、路面を照射することとなり、右側の道路照明部81Rは、中心を、横断歩道Wの幅方向の略中央で、道路照明部81Lの照射範囲AL2の右端付近にずらして、長軸を左右方向(横断歩道Wの長手方向)に略沿わせた略長円状の照射範囲AR2で、路面を照射することとなる。すなわち、第2実施形態の照明装置S2における道路照明部81L,81Rは、半分程度相互に重なる領域を有しつつ、横断歩道W上を全面にわたって含む照射範囲AL2,AR2で、路面を照射することとなる。
図26においても、四角の内部に記入されている数値は、図16における第1実施形態の照明装置S1の照度測定結果と同様に、各部位における路面の照度を、照度計を用いて測定した値(単位:lx)である。そして、この第2実施形態の照明装置S2を使用した場合の路面の照度の測定値を、図16の第1実施形態の照明装置S1の路面の照度の測定値と比較してみると、第2実施形態の照明装置S2は、自転車横断帯Bの照度を若干低下させているものの、横断歩道W上を、全体にわたって、第1実施形態の照明装置S1と比較して、ピンポイントで明るく照射することができる。なお、第2実施形態の照明装置S2では、道路照明部81L,81R(照明本体33)を、左右方向に沿って回動させる構成であることから、第1実施形態の照明装置S1と比較して、道路照明部81L,81Rの下壁4A(取付壁部)からの突出量が大きくなるが、この道路照明部81L,81Rの下方への突出量は比較的小さく、本発明の目的を大きく阻害しない範囲内である。
また、実施形態では、照明装置S1,S2を、内部に照明を配置させた内照式の道路標識1,1A(標識本体2,2A)に配設させており、道路照明部32,81を、全体を、内照式の標識本体2,2Aの下方に突出させるように、標識本体2,2Aの底壁(下壁4,4A)に取り付けている。そのため、従来の照明装置のごとく、内部照明を点灯させた状態の道路標識に道路照明部の影が生じず、点灯時の道路標識1,1A(標識本体2,2A)の見栄えも良好である。
なお、実施形態では、横断歩道Wの手前に設けられる停止線SLの上方に、照明装置S1,S2(道路標識1,1A)を設置しているが、照明装置S1,S2の設置位置は、横断歩道Wや自転車横断帯Bの近傍であればこれに限られるものではない。第1,第2実施形態の照明装置S1,S2の道路照明部32,81は、前後方向の中央付近に配置される左右方向に略沿った軸心を中心として、前後方向に沿って回動可能に構成されていることから、仮に、横断歩道Wの前方(進行方向で離れた側)に設置しても、道路照明部32,81により、後方の横断歩道を的確に照射することができる。
また、実施形態では、内照式の標識本体2,2Aを有する道路標識1,1Aの下方に、照明装置S1,S2を配置させているが、本発明の照明装置は、これに限られるものではなく、例えば、単品で、支柱等を用いて横断歩道や自転車横断帯の近傍に設置してもよく、また、内照式ではない地名表示等の案内標識等の下部側に板状の取付壁部を配置させて、この取付壁部に取り付けるようにして、設置してもよい。さらに、実施形態では、照明装置S1,S2を、横断歩道Wや自転車横断帯Bが設置される道路Rにおいて、横断歩道W,自転車横断帯Bの近傍となる位置に設置しているが、照明装置の設置位置はこれに限られるものではなく、例えば、照明装置を、横断歩道や自転車横断帯を備えない道路の交差点を照射するように、交差点付近に設置してもよい。